2016年08月30日
アイデアよもやま話 No.3482 スマホが有機ELで激変!

有機ELについては、これまでアイデアよもやま話 No.2993 ニッポンの素材力 その3 有機ELの液体化が新たな照明革命をもたらす!?などで何度かご紹介してきました。

そうした中、6月23日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でスマホが有機ELで激変することについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今のスマホのディスプレーは液晶が使われていますが、早ければ来年にもアップルで有機ELが採用されると言われています。

そうなると、スマホの画面を曲げてみたり、折り畳んでみたりすることが出来るようになるといいます。

今の液晶画面はガラスをベースにしているディスプレーを落とすと割れてしまい易いのですが、有機ELになるとプラスチック化されることでこうしたリスクも減るといいます。

 

世界の有機EL市場は2020年には現在の約2倍の3兆円ほどに急拡大するという予測があります。

ということで、近い将来、世界中のスマホのディスプレーに有機ELが採用されると見込まれていますが、日本企業にとっても大きなチャンスが生まれると見られています。

 

化学メーカーの宇部興産ではスマホが有機ELに代わることをチャンスと捉えていました。

ポリイミドフィルムはプラスチックの一種で薄くても丈夫な性質を持っています。

その中でも宇部興産のフィルムには大きな特徴があります。

500℃の高温で10分ほど加熱しても砕けないのです。

電子回路を焼き付ける際、その温度は400℃以上とされ、通常のフィルムでは形状を保てませんが、宇部興産は500℃を超える高熱に耐えうるフィルムを開発したのです。

宇部興産はこのフィルムを30年以上前から生産してきましたが、アップルがスマホに有機ELを採用すると事業の大きな拡大に期待を持てるのです。

 

そして、液晶が有機ELに代わると次のような違いも出てきます。

液晶ではバックライトが点灯することで映像が映し出されていました。

これが有機ELに代わるとフィルムに付着させた発光材料が自ら点灯し、映像を映し出すのです。

その発光材料を製造しているのは出光興産の子会社、出光電子材料です。

電気を流すことで発光材料が自ら光ります。

従来の液晶に比べて消費電力を最大3分の1まで抑えられる可能性があるといいます。

出光興産は発光材料の生産能力をこれまでの2.5倍に引き上げます。

 

このように、スマホが有機ELに代わることを睨み、様々な日本企業が動き出しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、早ければ来年にも液晶から有機ELに代わったスマホが市販化される見込みです。

有機ELの特性を生かしたスマホが実際にどんなメリットがあるのかとても興味が湧きます。

スマホを折り曲げられたり、折り畳めたり、そして使用時間がどのくらい長くなるのか、また価格はどうなるのか気になるところです。

今後とも新しいテクノロジーの活用によって、スマホはこのようにどんどん進化していくのです。

同様に、スマホの関連メーカーの栄枯盛衰があるのも世の常なのです。

ですから、日本メーカーには今後ともこうしたテクノロジーの変化の波に乗って生き残っていって欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています