最近、AI(人工知能)の活用事例が次々に報道されています。
そこで、そうした中から5回にわたってご紹介します。
4回目は、白黒の写真を一瞬でカラー写真にしてしまうAIについてです。
8月5日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で白黒を一瞬でカラーにしてしまう技術について取り上げていたのでご紹介します。
早稲田大学の飯塚 里志研究員助教は、AI技術を使って白黒の写真を自動でカラー化する技術を開発しました。
白黒の写真データを読み込むとほんの数秒で自動的にカラー化します。
以前ご紹介したディープラーニング(深層学習)の技術を使い、AIに230万枚の画像を繰り返し読み込ませて、カラー化するうえで手掛かりとなる特徴をひたすら学習させました。
風景などシーン全体と細かい部分の二つに分けて認識させることが精度のカギとなっています。
飯塚さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「何度も繰り返し、一番いい結果が出るような構造を考えるのが難しかった。」
番組では、元のカラー写真を白黒に変換したものを今回ご紹介しているカラー化技術でカラー化したものと元のカラー写真とを比べていましたが、それほど違和感がありませんでした。
ただし、今はまだ花や服など種類が多様なものや人工的なもの、また画質が劣化した写真の再現は難しく、今後改良が必要だといいます。
ただ、このシステムは写真だけでなく映画にも使えるそうで、2時間の映画なら半日あればカラー化出来るといいます。
飯塚さんや他の開発チームメンバーの一人は、チャップリンの映画や「七人の侍」をカラー化したいとおっしゃっています。
なお、従来白黒写真をカラー化するためには、必ず人を介さなければならなくて、そのために膨大な資金と時間がかかっていたといいます。
今回ご紹介したカラー化技術の精度は60%程度ですが、今アメリカや中国などでも開発競争が進んでいて、精度を上げることが今後の課題といいます。
ちなみに、報道関係のアーカイブなどからこのカラー化技術への引き合いがかなりあるといいます。
今回ご紹介したカラー化技術で、私が小さい頃の白黒テレビからカラーテレビへの転換期を思い出しました。
白黒テレビとカラーテレビではその色合いから受けるインパクトがまるで違います。
カラー画像の鮮やかさは白黒画像と比べものになりません。
そして、一昔前までは白黒画像をカラー画像に自動的に変換するなど思いもつきませんでした。
ところが、AIやビッグデータなどの組み合わせ、そしてディープラーニング(深層学習)により、カラー化の精度向上、およびカラー化変換時間の短縮などがどんどん進んでいます。
恐らくここ10年くらいのうちにかなりの変換精度でチャップリンの映画や「七人の侍」のカラー化が実現されているのではないでしょうか。
確かに白黒映画には白黒映画なりの良さがありますが、それでも是非昔の白黒の名画をカラー化したかたちで観てみたいと思います。