最近、AI(人工知能)の活用事例が次々に報道されています。
そこで、そうした中から5回にわたってご紹介します。
1回目は、AIを活用した経営判断支援についてです。
以下に、6月2日(木)放送の「ニュースウオッチ9」(NHK総合テレビ)によるAIを活用した経営判断支援についてご紹介します。
コンピューターに人間の知能のような働きをさせるAIの技術は急速に進歩して、会話の出来るロボットや自動車の自動運転、更には小説を書くものまで出て来ています。
このAIについて、6月2日に企業の経営判断に活用しようという新たな使い方が公開されました。
日立製作所が公開したAIの技術では、2019年を目途に企業の経営判断の実用化を目指す方針です。
コンピューターが人から指示を受けなくてもネット上の情報など自ら集めて分析し、企業の幹部が難しい経営判断を行う際に支援出来るようにすることを目指しています。
今回の公開の場では、デモンストレーションとして「国は再生可能エネルギーを導入すべきかどうか」という質問を入力しました。
これに対するAIの回答の一部は次の通りです。
「私は議題に賛成である。エネルギー対策、地球温暖化対策、経済成長の観点から意義が大きく、将来に向けて導入の拡大が求められている。」
120万件の新聞記事から情報を集めて分析し、およそ2分で判断を支援するための考え方を導き出します。
この経営判断支援システムを開発した日立製作所の柳井 孝介主任研究員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「今回の人工知能は、経営判断に必要な情報を集めてくる位置づけとして考えています。」
「これからどんどん企業の経営の場に人工知能、またそれに類する技術が使われるようになってくると思います。」
今回ご紹介したAIによる経営判断支援システムに接し、あらためて思ったのはAIは飽くまでも経営判断に関する様々な情報、あるいはそこから得られる提案を提供してくれるに留まり、最終判断は人間であるということです。
ですから、AIは経営判断する立場の人間にとって、第三者として中立的な立場から相談に乗ってくれる良き相談相手、あるいはコンサルタントなのです。
こうしてみてくると、AIは人間の知的能力を飛躍的に伸ばすことの出来るかけがえのない存在になり得ると大いに期待出来るように思えてきます。
一方で、AIの限界も見えてきます。
それは、AIは飽くまでもネット上に公開されている情報がベースになっているので、ネット上で公開されていない情報は情報源として含まれていないということです。
そういう意味では、AIの情報源は限られており、従って万能ではないのです。
また、こうしたAIの有効性の限界を逆手にとって、遭えて間違った情報をネット上に公開するというような情報戦略を取る国や企業も現れてくると見込まれます。
ですから、こうしたAIの活用に当たり、常にこうしたAIの限界を意識しておくことがとても重要になるのです。