2016年08月25日
アイデアよもやま話 No.3478 健康なほどメリットのある医療保険!

6月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で健康なほどメリットのある医療保険について取り上げていたのでご紹介します。

 

自動車を運転する距離が短いほど安くなるという自動車保険は一般的ですが、健康になればなるほど安くなるという今までにない医療保険が国内初で6月16日に登場しました。

この日、都内で開かれた保険の発表会で発表されたのは、健康年齢少額短期保険株式会社による社名と同名の健康年齢少額短期保です。

がんや脳卒中など指定された5つの病気で入院したら80万円の保険金が受け取れるという保険です。

最大の特徴は、健康年齢という独自の指標を使う点です。

個人の健康状態を年齢で示すもので、これが何歳かによって保険料が決まります。

その健康年齢を割り出すのに使うのが職場などで受ける健康診断の結果です。

 

この健康年齢を算出するのはグループ会社の株式会社日本医療データセンターです。

健康診断の結果のうち、血圧や脂肪、肝機能などに関する12項目の数値を入力すると健康年齢が算出されます。

ちなみに、悪影響を及ぼした数値を改善すれば、健康年齢を下げることが出来ます。

今回の保険では、健康年齢は毎年見直すので、改善すれば保険料を安く出来るのです。

 

なお、入力された12項目の数値をもとにした健康年齢算出の仕組みは以下の通りです。

  1.どんな病気にかかる可能性があるか?

  2.医療費はいくらかかるか?

  3.その予測した医療費を年齢ごとにかかることが多い医療費と照らし合わせ、金額の近い年齢を健康年齢として割り出す

 

健康年齢少額短期保険の大橋 宏次社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「生命保険や医療保険の大手からも大きな興味をいただいておりまして、協業とか同じようなコンセプトの商品を作れないかという相談は多くいただいております。」

 

日本医療データセンターにこのような分析が出来るのは、300万人分の健康診断や診察におけるビッグデータを蓄積しているからです。

およそ100の健康保険組合からデータを取得、その規模は国内最大級だといいます。

 

この分野の成長性について、大橋社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「運動用品を買うだけで割引やキャッシュバックが付くといったように、様々な健康産業全体に影響を与えていくと思っております。」

「これから増々多くの産業がからんだ成長性の高い分野になっていくと思います。」

 

さて、健康になることにインセンティブを働かせる保険は、アメリカでは既に人気となっています。

今、加入者数12万5000人(2016年1月)と急速に加入者を増やしている、ネット上で保険サービスを手掛ける医療保険ベンチャー、オスカー社では、健康になると得をする仕組みを昨年導入しました。

保険加入者にウエアラブル端末を無料で提供し、専用スマホアプリと連動させて歩数を計測します。

そして、1万歩歩くといったような健康改善につながる運動をこの端末で記録し、目標を達成するとアマゾンのギフトカードで還元してくれるといいます。

1日の歩数目標(2000〜1万歩)を達成するごとに1ドル、20ドル貯まるとアマゾンの商品券と交換出来る仕組みです。

 

他にも、ディスカバリー社による、健康改善に取り組むことでスポーツ用品や旅行が安くなる特典が獲得でき、世界で600万人の加入者を集めた保険プログラムもあります。

 

健康なら得をする商品やサービスは今や世界の潮流で、今後様々な可能性が広がりそうです。

 

さて、これだけはっきりと健康年齢が出てしまうと、実年齢よりもかなり高いと保険に入れない人が増えるのではないかと心配になりますが、その逆で今まで健康状態が悪くて通常の保険に入れなかった人がその健康年齢に応じた保険料を払えば入ることが出来るようになるといいます。

そして、加入して1年後に健康年齢をチェックして改善していれば保険料を下げることが出来るようになるのです。

 

では、この健康年齢を意識することによってどういうところに変化が起こるのかについて、番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「日本の場合は、医療費の2025年問題というのがあって、2025年になると団塊の世代が全て75歳以上になること、75歳以上になるとだいたい一人当たり年間90万円ぐらい医療費を使っていて、国民の平均と比べると3倍くらい使っているかなり深刻な問題があるわけです。」

「その意味では、糖尿病だとか高血圧とか生活習慣病を予防したり、重症化を防止するのに非常に効果があって、一つは産業ということで言えば年間4兆円近い市場に育つ可能性がある。」

「もう一つは医療費の削減ということで言えば、1年間で1.2兆円ぐらいの削減効果が期待出来ると。」

「その意味では、(健康年齢の有効利用は)経済成長と財政再建、これを一石二鳥で実現出来るというようなかなり有効な方策だと思いますね。」

                       

以上、番組の内容をご紹介してきました。

何よりも私たち一人一人が単なる長生きではなく、健康で暮らせる健康寿命を出来るだけ延ばすことが大切なのです。

そういう意味で、健康年齢や日々の運動など、より健康であることにメリットがある医療保険のあり方はとても理に適っていると思います。

ですから、医療保険に限らず、様々な観点から健康になることにインセンティブを働かせる商品やサービスの登場を今後とも期待したいと思います。


 
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