誰でも大失敗をしでかした時には落ち込んでしまい、しばらくは立ち直れない状態が続いてしまうことがあると思います。
そうした中、5月25日(水)放送の「深層NEWS」(BS日テレ)で、番組ゲストの早稲田大学ビジネススクールの入山
章栄准教授が企業や個人の失敗の生かし方についていろいろとお話されていました。
そこで今回は、個人の人生において失敗を上手に生かす方法に的を絞ってご紹介します。
入山さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「私がよく申し上げているのは、「失敗したらお祝いしましょう」と言っています。」
「ポイントは、失敗を考える時に、認知への影響と感情への影響と分けて考えているんですね。」
「認知への影響というのは、失敗というのは自分の視野を広げてくれる学習のチャンスなんだということなんです。」
「ですから、長期的には学習のきっかけになるのでいいことなんですよ。」
「だけど一方で、感情的には当然失敗したら人間は落ち込むわけです。」
「ですので、学習のチャンスなんだけど、同時に落ち込むところを和らげてあげて、そして長い目で見て、自分の失敗を見つめて学習し、成長するってことが大事なんですね。」
「でも、(失敗したら)人間は最初落ち込むので、だったら最初は失敗したと思ったらルールを作って、例えば私は実際にやっているんですけど、失敗したら酒を飲むというルールを作るんです。」
「失敗したと思ったら、じゃあ今日は酒が飲めると思うわけです。」
「別にお酒じゃなくてもいいんですよ。」
「女性だったらスイーツいっぱい食べるとか、徹夜でカラオケするとか何でもいいんです。」
「そうすると、落ち込むところを抑えられますよね。」
「それで、しばらく落ち込む部分を抑えてあげて、ちょっと何日かして感情が収まってから、あの時失敗したけどなんで失敗したんだろうと振り返って学習する。」
「(失敗という)学習のチャンスのお祝いを最初からルールとして作っておいてあげる。」
「(周りで失敗を責め立てる人たちがいる場合の対応策として、)仲のいい友達とかサポートしてくれる人が周りにいて、そういう人と落ち込む時に一緒に落ち込んでもらうとかですね、そういうのも大事ですよね。」
「こうした積み重ねで意外と失敗からどのくらい得られるか、長い人生で結構変わってくるんじゃないかなと。」
入山さんのお話のポイントを以下にまとめてみました。
・失敗は、認知と感情に影響を与える
・認知への影響とは、自分の視野を広げてくれる学習のチャンスを与えてくれることである
・感情への影響とは、精神的に落ち込むことである
・失敗した時の精神的な落ち込みを抑える手段として、学習のチャンスのお祝いのやり方をルールとして作っておくことが有効である
・落ち込んだ時に、仲のいい友達などサポートしてくれる人も一緒に落ち込んでもらうことも大事である
・お祝いをして、しばらく落ち込む部分を抑えてあげて、感情が収まってから、失敗を振り返って学習する
・学習のチャンスとして失敗の積み重ねをうまく生かすことによって、長い人生の結果が結構変わってくる
考えてみれば、昔から何か大きな悩み事が出来たり、失敗した時には“やけ酒”を飲んで憂さ晴らしをするということはありました。
今回ご紹介した“失敗した時のお祝い”としてお酒を飲むことと“やけ酒”とは本質的に変わりはないと思います。
異なるのは、心の持ち方です。
“やけ酒”は受け身で後ろ向きな気持ちがベースですが、“失敗した時のお祝い”のお酒は積極的で前向きな気持ちがベースになっています。
また、気持ちが不安定な状態で考え事や決断をしてもロクな結果を生まない、と昔から言われてきたように、落ち着いた状態でじっくり考え事をすることはとても大切です。
要は、失敗もその対処如何によって、将来の成功への糧としてとても大切であるということなのです。
ということで、失敗は自分の視野を広げてくれる学習の絶好のチャンスである、という前向きな気持ちで失敗を恐れずにいろいろなチャレンジをしていくことをお勧めいたします。