2016年07月21日
アイデアよもやま話 No.3448いよいよ再生医療革命の到来間近 その1 数年後には脱毛症の悩みから解放される!?

これまでiPS細胞を中心に再生医療について何度となくご紹介してきました。

そうした中、7月12日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)と7月13日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)、他に7月6日(水)付け配信の週刊朝日のネットニュースでも再生医療革命の到来について取り上げていたのでこの中から2回にわたってご紹介します。

1回目は、数年後には脱毛症の悩みから解放されるという朗報についてです。

 

ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんが開発したiPS細胞を使って昨年、世界初の臨床研究が日本で成功しました。

20兆円とされる再生医療の市場に多くの企業が続々と参入し、夢の治療実現に乗り出しています。

いよいよ再生医療革命の到来間近です。

 

全国で1800万人以上の患者がいると言われている脱毛症の悩みを再生医療で治療していこうという動きが起きています。

7月12日、京セラと理化学研究所などは再生医療技術を使った脱毛症の治療研究を共同で始めると発表しました。

具体的には毛髪を作る器官(毛包)を再生する技術の研究です。

この技術が確立されれば、脱毛症の治療に役立つとしていて、2020年の実用化を目指すといいます。

 

理化学研究所によると、この毛包から細胞を取り出し、培養して増やします。

その後、細胞を結合させ、毛包の種を作ります。

この種を薄毛の頭皮に注入し、毛髪を再生させるというのです。

一度注入すれば、一生髪の毛が生え替わり続けるというのです。

ヒトの毛包を組織ごと再生させるというのは世界初の試みといいます。

 

京セラがこの分野に乗り出すにはある理由があります。

京セラの昨年度の決算は携帯電話や太陽電池の販売が鈍化し、4年ぶりに減収となりました。

そこで、今後成長が見込まれる再生医療に期待を寄せます。

 

京セラが再生医療に応用しようとしているのが圧電技術です。

圧電技術とは、セラミックに電圧を加えて伸縮させるもので、発生した振動を利用して、例えば決められた位置に決められた量の液体を高速で吐き出すといった使い方をしています。

具体的には、プリンターのインクの吐き出し口や自動車の燃料を噴射する装置などに使われています。

京セラのプリンティングデバイス事業本部の松寺 拓さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「本格的に再生医療に応用展開していくのは初めての試みとなります。」

「細胞が含まれた液体を正確にある決まった量で決められた場所に置く技術が確立出来れば、産業として成り立つんじゃないかなと考えております。」

 

これまで培ってきた技術を再生医療に活かした京セラですが、一見して無関係に見える企業でも再生医療ビジネスに参入出来る余地はあるといいます。

日経BPの宮田 満特別編集委員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「再生医療は本当に総力戦なんですよ。」

「(企業が)自分で気が付いていないかもしれない、(再生医療とは)全く離れたところにそれを救うような技術がある。」

 

企業がこぞって参入する再生医療の市場規模は、現在およそ100億円ですが、2050年には2.5兆円まで急成長すると予想されています。(経済産業省調べ)

 

なお、再生医療に基づく毛髪再生の研究で先陣を切ったのは化粧品大手の資生堂です。

再生医療に特化した研究拠点を神戸市に開設し、この夏から東京医科大学主導で臨床研究を開始し、2年後の実用化を目指すといいます。

 

一方で、実用化の先には課題もあります。

日経BPの宮田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一部の重症の薄毛に関しては保険適用になると思いますけども、そうじゃないものに関しては薬価ゼロ、つまり自由診療となるのは一つのシナリオだと思います。」

「お医者さんが良い細胞を作っても問題はいくつもあります。」

「つまり、一定の品質の細胞を大量生産する技術、それから今の保健医療体制で持続可能なサービスを供給出来るようなコストを下げなくてはいけない。」

 

いろいろと課題はありそうですが、2020年には毛髪再生が実用化されれば、多くの薄毛や脱毛症の人たちはその悩みから解放されます。

毛髪再生の実用化は、医療技術の歴史においても画期的だと思います。

ですから、メーカーには是非低料金での提供をお願いしたいと思います。

 

また、こうした再生医療技術は新しい医療ビジネスを生み出しますので経済活性化にもつながります。

ですから、メーカーの方々にはこれまでの技術を再生医療に応用出来ないか検討していただきたいと思います。


 
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