私は都民ではありませんが、アイデアよもやま話 No.3413 舛添都知事の政治資金支出にみる政治家のあり方!でもお伝えしたように今回の舛添都知事の辞任に関してはいろいろと考えさせられました。
そこで、プロジェクト管理の基本的な考え方を通して、私なりに舛添都知事の辞任から見えてきたことを4回にわたってご紹介します。
2回目は、再発防止策の必要性についてです。
都知事が2代続けて政治とカネをめぐる問題で辞職するというのは異常な事態です。
しかも、今回の舛添都知事の辞任に伴う都知事選には50億円ほどの費用がかかるといいます。
前回の猪瀬都知事の辞任に伴う都知事選にかかった費用も合わせれば、東京都民は自分たちの収めた100億円ほどの税金を二人の知事のお金に絡む問題が原因で失ったことになります。
これだけの資金があれば、東京都の抱えるいくつかの問題や課題が解決されるはずです。
ちなみに、東京都の人口はざっと1300万人ですから、一人当たりでは約770円の損失ということになります。
ですから、本来であれば東京都議会は都民を代表して、猪瀬都知事が辞任された時にこうした都知事の不祥事に対する再発防止策に真剣に取り組むべきだったのです。
今回も舛添都知事の不祥事について、事実確認が曖昧なまま終わってしまえば、適切な再発防止策が取られず、同様の不祥事が再発することは避けられません。
さて、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が1946年から70年ぶりで6月17日に成立し、6月19日に施行されました。
そして、適用されるのは6月22日に公示された参議院選挙からです。
このことの是非はともかく、これまでの有権者と同様に若い都民の方々はこれから迎える都知事選において漠然と“お金にきれい候補者”、あるいは“誠実で信頼出来る候補者”に投票したいと考えていると思います。
しかし、そのよりどころについては曖昧です。
なぜならば、こうした判断基準がはっきりしないからです。
そこで、以下に舛添都知事の辞任から見えてくる再発防止策の必要性についてまとめてみました。
(問題分析)
・有権者はどの立候補者に投票していいか判断材料が少ない
・候補者に対する漠然としたイメージや人気により投票し易い
・当選者の力量不足や不祥事、あるいは不祥事に伴う辞任は税金の無駄遣いや政策の未達成というかたちで投票者に跳ね返ってくる
・国会議員の政治資金の支出を規制する政治資金規正法は1948年に制定された古い法律で、現行法では使い道についての規制がなくザル法とまで言われるほど不正を取り締まるうえでの実効性がない
・4年足らずの間に3回も都知事選挙が行われるような、政治家の短期間での交代は政策の継続性が失われ、目に見えないかたちで有権者へのサービスに悪影響を及ぼす
ところが、有権者一人一人が投票に際してどの候補者に投票すべきか、そのよりどころとなる過去の実績や掲げる政策の具体策などを把握することはとても難しいのが現状です。
そこで、以下に問題解決の対応策の要件についてまとめてみました。
(再発防止策の要件)
・候補者の過去の政治活動の実績の公開
・候補者の過去の政治資金の支出の公開
・候補者が公約として掲げる政策、およびそれを実現するための具体策の公開
・有権者の政治意識の向上
次に、こうした要件を満たす再発防止策についてまとめてみました。
(再発防止策)
・政治資金規正法の改定
・第三者機関(NPO法人やマスコミなど)による選挙時における上記の問題解決の対応策の要件を満たす情報の公開
・自治体自らによる各議員の公約に照らした活動経過報告の毎年年度末の公開
・第三者機関による上記活動経過報告の監査結果の公開
・第三者機関による有権者の政治意識の向上を目指した情報の提供
・有権者自らが常に感情に走らず理性による判断で行動することを意識するように努めること
・有権者は政治家の不正の責任の一端は、その政治家を当選させてしまった自分たちにもあると自覚すること
・政治家は、常に一般国民の模範となる行動が要求されていること、および法令順守のみならず良識ある行動が求められていることを常に自覚していること
・政治家は、常に自分の政治活動が監視の目にさらされ、自らの不正はいずれ有権者に知れ渡ることを覚悟しておくこと
以上、有権者、および個人としての政治家の視点からより良い政治を目指すうえでの再発防止策についてお伝えしてきました。
しかし、この基本的な考え方は、政党、あるいは政府レベルの視点においても同様のことが言えると思います。