2016年06月30日
アイデアよもやま話 No.3430 三菱自動車にみる内輪の改革の難しさ!

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.434 『三菱自動車の不正にみる第三者機関による性悪説に立ったレビューの必要性』で、三菱自動車の不正にみる適切なレビューの必要性についてお伝えしました。

そうした中、4月22日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で実際に三菱自動車で何が起きていたのかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

三菱自動車の社内で実際に何が起きていたのか、かつて2度のリコール隠しで経営危機に陥った三菱自動車で再建のキーマンと言われた人物が番組の取材に応じました。

2004年、事業再生ファンドの代表として破たん寸前の三菱自動車に乗り込み、事業再生を指揮したニューホライズンキャピタルの安東 泰志社長は、今回の問題の原因について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一言でいうと気の緩みなんですが、気の緩みは言い訳にならないですね。」

「(当時100人の若手社員とともに500項目に及ぶ改善計画を作成したことについて、

)当時、これだけ厳しく全ての項目がレビュー出来て、社内風土改革をしようと言い出せたかというと、我々のような外部の株主が入ってきて、厳しくガバナンスを見たから出来たことであって・・・」

「(その時の計画が実行されなかったことについて、)今の役員構成を見ても、仕方がないんですけども三菱グループの方々がかなりの部分を占めているというようなことからしてもですね。株主や顧客を向いた経営になりきれていないのではないかという気がします。」

「(2005年、三菱重工、三菱商事、東京三菱銀行のグループ3社が三菱自動車の再建に本格的に乗り出したことで安東社長は再建から手を引くことになったことについて、)内輪のロジックで経営していると、どこかでほころびが出てくるのではないか・・・」

 

今回の三菱自動車の不正に伴う経営の壊滅的な打撃もやはり過去の成功体験や組織のしがらみに裏打ちされた内輪の経営の限界を示しているのでしょうか。

かつて私が在籍していた外資系のIT企業でも、年間数千億円規模の赤字を出して危機的な状況に陥った時に、外部から経営者を迎い入れて大胆なリストラを行い、経営を立て直すことが出来ました。

また、かつての日産自動車も今のカルロス・ゴーン社長を迎い入れて根本的な経営の立て直しを行いました。

そして、今回の三菱自動車も同様に、三菱グループによる最終的な判断で日産自動車の傘下に下ることになったのです。

 

今回のことから言えることは、企業などどんな組織でもいかに素晴らしい仕組みを構築しても長年同じ価値観で組織が動いていると、やがて時代の流れや外部の環境に敏感に対応する動きよりも内向きな価値観の方が優先されてしまうという宿命を背負っているということです。

 

こうしたことは個人においても同様です。

私たちは個人として学校で様々な学科を学び、あるいは部活など通して、あるいは家族、友人。知人とのやり取りを通して社会性を学び、更には書籍や雑誌、テレビなどを通して様々な情報や知識を入手して、一人の人間として成長をしていくのです。

煎じ詰めれば、外部からの刺激を受けることにより自分の心が反応して自分なりの考え方が確立していくのです。

ですから、外部の刺激に私たちの精神構造は依存していると言えます。

もし、こうした外部との接触がなければ、知識はとても限られ、社会性も身に付けることが難しくなります。

同時に、私たちには自分の都合の悪いことには目を背ける傾向があります。

 

ですから、個人においても、企業などどんな組織においても、健全な成長を遂げていくうえでは、常に時代の流れや環境の変化を的確に把握し、それに適応していく柔軟性を持つことが求められるのです。

そして、そのためにどうするかというアイデアと実行力こそが生き残りを左右するのです。


 
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