2016年06月27日
アイデアよもやま話 No.3427 ソフトバンクの株主総会に出席して感じたこと その1 技術的特異点が人類進化のきっかけになる!?

先週の6月22日(水)、ささやかな株主としてソフトバンクの株主総会に行ってきました。

この株主総会に出席されるの方々の多くは、毎回孫 正義社長のプレゼンテーションを楽しみにされているようですが、私もその一人です。

そこで、2回にわたって私の感じたことをご紹介します。

1回目は、技術的特異点についてです。

 

今回のプレゼンテーションの目玉の一つは技術的特異点(Technological Singularity)でした。

実は、この言葉については、No.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』でもお伝えしたように昨年のソフトバンクのイベント、ソフトバンクワールド2015での孫社長による基調講演でも紹介されていたのです。

技術的特異点とは、一言でいうと全人類の能力を超える処理能力のパソコン(AI)の出現すると見込まれる年、すなわち2045年を指しています。

しかも驚くことに、1台1000ドル程度のパソコンの情報処理能力が全人類の能力を超えると予測されているのです。

 

ちなみに、今回の株主総会で孫社長が70歳を迎えるくらいまで社長を続投するつもりであると決意表明されるに至った理由には、この技術的特異点の時を迎えるまでにソフトバンクグループとして貢献出来ることが沢山あり、その舵取りを自らやりたいという強い想いが沸き上がってきたことが大きいと思われます。

 

さて、孫社長のプレゼンテーションをきっかけに、私は帰宅後にあらためて技術的特異点について考えてみました。

今回ご紹介するのはその結果です。

そもそも技術的特異点の構成要素は、以下の3つといいます。

・ロボット

・AI(人工知能)

・IoT(Internet Of Things

 

これをヒトになぞらえると、ロボット=身体、AI=知能、そしてIoT=神経となります。

要するに、あらゆるモノが人と同じような機能を持ち合わせ、それら全体が一つのモノとしてつながるということになるのです。

当然、ヒトもこうした中のモノの一つとして位置付けられるようになります。

しかも、1台1000ドル程度のパソコンの情報処理能力が全人類の能力を超えるというのですから、孫社長も言われていたように、ヒトのIQ(知能指数)の違いはこの能力に比べたら誤差の範囲に過ぎません。

ですから、私たち人類は技術的特異点を迎えることにより、これまでの暮らしとは次元の異なる、想像を絶するような新たな時代に突入するのです。

 

こうした時代を迎えるメリットとして、すぐに思い浮かぶのは“部分最適(Partial Optimization)から全体最適(Total Optimization)への真の転換”が可能になることです。

これまで、私たち人類は個人にしろ、国家にしろそれぞれの立場から限られた情報を元に判断を下し、最適な行動を取ってきました。

ところが、あらゆるモノや情報が一元化され、マネージ出来るようになると、これまでの部分的な範囲での最適化から全体的な観点からの最適化が図られるようになるのです。

卑近な例の一つとして、あらゆる車両の位置や速度の把握による交通渋滞の緩和が挙げられます。

 

一方、今回の株主総会での質疑応答でも発言があったように、人類が将来AIにより支配されてしまうのではないかという危惧も新たに出てきます。

しかし、こうした危惧を乗り越えていくことによって、人類はまさに今次なる進化の時代を迎えようとしているのです。

 

産業革命を迎えた18世紀から21世紀までのざっと300年という期間は人類のこれまでの悠久の歴史からすれば、ほんの一瞬に過ぎません。

しかし、このほんのわずかな期間に人類は大いなる飛躍を遂げようとしているのです。

 

技術的特異点を迎えるといわれる2045年はこれからほぼ30年後ですから、今を生きている私たちの半数以上の人たちはこの時に実際に立ち会うことが出来ることになります。

私も是非この瞬間を自分の目で確かめてみたいと思っています。

 

この技術的特異点が多くの人たちにとって自分の能力や創造性を最大限に活かせる、心地よく暮らせる社会をもたらすのか、それとも一部の人たちだけが社会を牛耳る格差社会が定着し、あるいはAIの指示するがままに行動する殺伐とした社会をもたらすのか、とても気になるところです。

しかし、どのような社会になっているのか、そのカギを握っているのは技術的特異点を実現させる私たち人類にあるのです。

ですから、私たち一人一人はこうした人類の歴史上でも特異な時代を生きているという自覚を持って人類の新たな発展に寄与することを目指すべきだと痛切に感じます。

化石燃料の枯渇など資源不足に伴う争奪戦や核戦争による人類の破滅、あるいは地球環境破壊による多くの生物の絶滅などは地球上で暮らす生物の一種の責任において、私たち人類は絶対に避けなけれはならないのです。


 
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