2016年06月19日
No.3412 ちょっと一休み その546 『気になる超未来の地球とは その4 大宇宙を放浪する地球』

誰でも超未来の地球とはどんな状態になっているかとても気になると思います。

そうした中、3月17日(木)放送の「コズミック フロント☆NEXT」(NHKBSプレミアム)のテーマは「地球 超未来への旅」でしたので6回にわたってご紹介します。

4回目は、大宇宙を放浪する地球についてです。

 

太陽の支配を逃れた場合の地球の超未来ですが、最新の研究ではなんと地球は大宇宙を放浪することもあるといいます。

地球の運命は突然変わるかもしれない、そんな衝撃的な研究が2015年に発表されました。

アメリカ、ロチェスター大学のエリック・ママジック博士は、ある星を観測中、奇妙なことに気付きました。

地球から20光年ほどと比較的近くにあるショルツ星と言われている、天の川の中にある小さく暗い星です。

ママジックさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ショルツ星は見かけの動きがほとんどないため、過去に何度も観測されているにも係わらず、誰も近くにあることに気付きませんでした。」

「通常、近くの星が1年間に動く角度は千分の一度ほどです。」

「ところが、ショルツ星はほとんど動いていません。」

「近くの星なのにどうして動いて見えないのか疑問に思いました。」

 

夜空に輝いて見える星は、一見すると止まっているように見えます。

ところが、実際には高速で動いているため近くの星ほど大きく動いて見えます。

ショルツ星は20光年という近さにも係らず、ほとんど動いて見えませんでした。

これはいったい何を意味するのでしょうか。

ママジックさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「全ての星は銀河の中を動いています。」

「この星のように止まって見えるということは、私たちに向かって真っすぐ近づいているか、あるいは遠ざかっているかのどちらかを意味しています。」

 

ママジックさんは、分析によって秒速80kmで地球からまっすぐ遠ざかっていることを割り出しました。

更に動きを逆算したところ、なんと7万年前に太陽系の端をかすめるように通過していたことが分かったのです。

太陽系の端には無数の氷の小天体の集まり、オールトの雲があります。

雲のように広がっていると考えられることからこう呼ばれます。

7万年前、ショルツ星がオールトの雲に突入しました。

太陽から0.8光年という近くを通過したのです。

オールトの雲は大きくかき乱されたはずです。

中には、遠くへ飛ばされたものもあったかもしれません。

太陽系に別の星が侵入したという大事件でした。

 

7万年前というとかなり昔の出来事のように思えますが、宇宙ではほんのわずかな時間です。

つまり、再び太陽系の近くを別の星が通過する可能性は否定出来ません。

もし、地球のすぐ近くを通過するなら、地球は太陽から引き離される可能性があります。

こうした恒星から離れ、宇宙空間を漂う惑星は“浮遊惑星”と呼ばれています。

ママジックさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これまで45億年もの間、幸運にも地球の軌道を乱すほど接近した星はありませんでした。」

「でもこの先、太陽が燃え尽きるまでにはこうしたことが起きる可能性は十分あると思います。」

 

“浮遊惑星”は21世紀に入ってからいくつも発見されています。

2003年にNASAが打ち上げたスピッツァー宇宙望遠鏡は、赤外線を捉えるカメラを搭載し、天体の温度が低くても観測することが出来ます。

2014年、ペンシルバニア州立大学のケビン・ルーマン教授は“浮遊惑星”の可能性のある天体、WISE 0855−0714を発見しました。

観測データを分析したところ、天体までの距離はわずか7光年、表面温度はおよそマイナス20℃であることが分かりました。

ルーマンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「惑星が恒星の近くからはじき出されて宇宙空間をさまようことは決して珍しいことではありません。」

「銀河系の中には、こうした“浮遊惑星”がおそらく何十億も存在していることでしょう。」

 

もし地球が宇宙をさまよう“浮遊惑星”になったとしたら、どんなことが起きるのでしょうか。

一面凍り付いた地表、気温はマイナス200℃です。

雨が降り始めました。

液体窒素の雨です。

窒素の雨はやがて雪になり、溶けることなく積もり続けます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで45億年もの間、地球の軌道を乱すほど接近した星はありませんでしたが、太陽が燃え尽きるまでにはこうしたことが起きる可能性は十分あるといいます。

そして、もし地球が宇宙をさまよう“浮遊惑星”になったとしたら、一面凍り付いた地表、気温はマイナス200℃の世界と予測されています。

現在、人類は地球温暖化問題に直面していますが、真逆な状態です。

地球が宇宙をさまよう“浮遊惑星”になる可能性よりも前に地球が氷河期を迎える可能性の方が高いようにも思います。

ですから、超未来のスパンでみれば、人類の存続要件の一つとして気温の高低に左右されない状態での暮らしの維持が求められるのです。

ちなみに、先日放送された映画、「アルマゲドン2014」では小惑星の接近により地球が滅亡の危機を迎えるという、まさに今回ご紹介したような設定の内容でした。


 
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