3月9日(水)放送の「BS1スペシャル」(NHKBS1)のテーマは「ジャック・アタリが語る 混迷ヨーロッパはどうなるのか?」でした。
統合を理念に掲げて統一を進めてきたヨーロッパは今激震に見舞われています。
中東から押し寄せる難民受け入れをめぐるEU内での意見の対立、ギリシャの経済危機を発端に統一通貨ユーロの問題、テロとの闘いなど、山積する問題に直面しています。
番組では、こうした問題や課題について、経済学者で思想家でもある、ヨーロッパを代表する知性のアタリさんが持論を展開されておりました。
そこで、番組を通して、アタリさんの指摘する課題やリスクとその対応策について4回にわたってご紹介します。
4回目は、強くあるためには懸念材料を持つことが唯一の方法についてです。
1回目、2回目とアタリさんが指摘されている世界が直面する課題として、人類のノマド化、および世界の無極化についてご紹介してきました。
そして、3回目では、日本に求められる役割についてご紹介してきました。
今回ご紹介したいのは、ヨーロッパの危機についての質問に対するアタリさんによる次の回答です。
「勿論、懸念が全くなければあまりに楽観的すぎます。」
「強くあるためには懸念材料を持つことが唯一の方法ですから。」
「危険に対し、懸念を持つことは重要です。」
「危機に恐れを感じなければ、危機を排除するために十分な戦いをすることが出来ないのです。」
以上の発言から、アタリさんもこれまで何度となくお伝えしてきたリスク管理をとても重要視されているのです。
通常、何か問題が発生する場合、リスクの兆候が表れます。
その兆候を的確に把握し、リスク対応策を早期に実施すればするほど犠牲を少なくすることが出来るのです。
このことはあらゆることに通用します。
ですから、個人や家庭においても、更には企業や国家間の関係においても的確なリスク管理を実施することによって、リスクの顕在化を防ぐことが出来るのです。
そのためには、リスクに対して絶えず敏感であることが求められるのです。