2016年06月16日
アイデアよもやま話 No.3418 世界の指導者への提言 その1 被爆地、ヒロシマの訪問!

アメリカのオバマ大統領は「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけを評価されて、2009年度のノーベル平和賞を受賞されました。

5月27日、そのオバマ大統領がアメリカ大統領として初めて原爆被爆地、広島を訪問されたことは、そこに至る紆余曲折はあったものの、当然の帰結だと思います。

原爆投下に対する謝罪はされなかったということですが、核兵器保有大国であるアメリカの現職大統領が広島、中でも平和記念資料館を見学されたということ自体に大きな意味があったと思います。

というのは、平和記念資料館には誰もが目を覆うような原爆の悲惨さを否応なく実感するような圧倒的な展示物に接することが出来るからです。

まさに“百聞は一見に如かず”です。

ただ、残念ながら今回のオバマ大統領の平和記念資料館での滞在時間が数分程度であったことです。

ですから、オバマ大統領には大統領退任後も是非プライベートでじっくりと見学に再度お出でいただきたいと思います。

 

核兵器は間違いなく人類の存続を危ぶむものです。

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.391 『核兵器禁止条約は人類存続の究極のリスク対応策』でお伝えしたように、2014年1月、ストックホルム国際平和研究所の発表によると、世界の核弾頭数は少なくとも16,300発で、そのうちロシア8,000、アメリカ7,300で米ロ2国だけで全体の約94%を占めています。

その他にフランス300、中国250、イギリス225などとなっています。

ですから、万一これらの国々を含めた世界各国が2つの陣営に分かれて核兵器を使用する世界大戦に突入するようなことがあれば、ほぼ間違いなく人類は滅亡してしまうのです。

どちらかの陣営が生き残ればまだしも、一方の陣営から核弾頭が発射されれば、相手陣営からの報復があるからです。

私たち人類はあまりにも破壊力の大きい兵器を開発してしまい、しかもその保有量の持つ威力は地球を破壊してしまうほどであるがために、今や自らの存続を危うくするような事態に陥ってしまっているのです。

一方では、プロジェクト管理と日常生活 No.439 『ヨーロッパを代表する知性の指摘する課題・リスクとその対応策 その2 無極化』でもお伝えしたように、国際社会は無極化状態化が進んでいます。

しかも、最近の中国やロシアによる武力を背景とした領土拡大を巡るキナ臭い動きは一触即発のきっかけになる可能性を高めております。

ですから、今回のオバマ大統領の広島訪問をきっかけに、国連の方針として、各国のリーダークラスの方々には、被爆地である広島、あるいは長崎への訪問を義務付けるようにして欲しいと思います。

同時に、日本政府には広島、あるいは長崎で毎年“核兵器廃絶シンポジウム”の開催を国連に働きかけて欲しいと思います。

そして、参加者には是非とも平和記念資料館を見学して欲しいと思います。


そうした中、望ましい動きがありましたのでご紹介します。
広島で4月10日、11日と2日間にわたってG7(先進7ヵ国の外相会議)が開催されました。
アメリカのケリー国務長官も参加し、アメリカの現役閣僚として初めて被爆地、広島を訪問しました。
そして、ケリー長官の提案で、各国の外相は当初予定になかった中で、急きょ平和記念資料館を参観し、平和記念公園の原爆死没者慰霊碑に献花しました。
アメリカの現職閣僚が被爆地で犠牲者を追悼するのはこれが初めてでした。
また、G7として初めて世界の政治指導者らに被爆地訪問を呼びかける広島宣言を取りまとめました。
実はこの時、ケリー長官はオバマ大統領の広島訪問についても公の場で触れていたのです。


今や、広島や長崎に投下された原爆に比べようのないほどの威力のある核兵器が開発されており、核保有国は複数の国にまたがっております。
ですから、いざ核戦争が勃発すれば、かつてのように相手国のみに壊滅的な打撃を加えることが出来るような戦争はあり得ず、自国も同様の被害を受けてしまうことを覚悟しなければなりません。
皮肉なことに、このことが核兵器の保有が核戦争の抑止力となり得ると考えられている所以なのです。


繰り返しになりますが、核兵器は間違いなく人類の存続を危ぶむものです。
ですので、世界各国のリーダーの方々には、広島、あるいは長崎の訪問をきっかけに核兵器の恐ろしさを実感していただきたいのです。
資料館の展示物を実際に自分の目で見て、万一核戦争が勃発すれば間違いなく自分の親族も同じような目に遭うと実感出来れば、誰しも“核兵器廃絶”に向けて動かざるを得なくなると思うのです。 



 
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