誰でも超未来の地球とはどんな状態になっているかとても気になると思います。
そうした中、3月17日(木)放送の「コズミック
フロント☆NEXT」(NHKBSプレミアム)のテーマは「地球 超未来への旅」でしたので6回にわたってご紹介します。
3回目は、地球の運命の分かれ道についてです。
現在、45億歳と考えられている私たちの地球、現在運命の分かれ道が持っているといいます。
前回、28億年後までの地球の未来予測についてご紹介しましたが、更にその後地球はどうなるのか、最新の研究から地球の壮絶な未来が分かってきました。
メキシコ・グアナファト大学のクラウス・ペーター・シュレーダー博士はシミュレーションによって更にその後の地球と太陽の姿を予測しました。
シュレーダーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「50億年後、太陽における水素の核融合は終わりに近づきます。」
「すると、内部の構造に大きな変化が表れます。」
太陽で水素原子が核融合を繰り返すと、内部で大量のヘリウムが作られていきます。
ヘリウムは水素より重いため、中心部に沈み込み集まっていきます。
ヘリウムは密度が高くなるため高温となり、周りにある水素の核融合を促進させます。
内部の温度は更に上昇、その熱がガスを外側へ押し出すため太陽は大きく膨張します。
これが年老いた太陽の姿です。
太陽が年老いて巨大化すると、地球はどうなるのでしょうか。
シュレーダーさんは、太陽の大きさと地球の軌道の半径を計算しました。
今から76億年後をシミュレーションした結果、太陽が地球軌道に迫ってくることが分かりました。
そして、太陽が地球軌道の5分の4までに大きくなった時、地球は太陽に吸い込まれるように落ちていくことが分かりました。
太陽の表面温度はおよそ3000℃、地球はまさに吸い込まれようとしています。
しかし、地球は太陽の中に入ってもすぐに蒸発することはないとシュレーダーさんは考えており、次のようにおっしゃっています。
「地球は密度が高いため、太陽に飲み込まれても5万年くらいは中でグルグル回り続けるでしょう。」
「その時の様子は長い尾を持つ彗星のように見えるでしょう、」
「表面の岩石が太陽の熱で蒸発し、そのガスが長い尾を作るからです。」
「まさに太陽の中の不思議な彗星、これまで見たこともない光景です。」
太陽の中で尾を引きながら燃えていく地球、これはまるで彗星のようです。
これがシュレーダーさんが考える地球の未来の姿です。
一方で、地球は膨張する太陽から逃れられると考えている研究者もいます。
星の最後について研究を続けているワシントン大学のブルース・バリック名誉教授です。
バリックさんは、星がその一生を終える時、大量のガスを噴き出すことに注目しています。
年老いて巨大化した太陽は、重力でガスを留めることが出来なくなるため、大量のガスを宇宙空間に放出します。
すると太陽はガスを放出した分だけ軽くなり、地球を引き込む重力も弱まり、地球の軌道は現在の位置より外に移動するというのです。
バリックさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「太陽が巨大になって迫ってきますが、地球はギリギリのところで逃げられるでしょう。」
バリックさんの考える60億年後の世界は以下の通りです。
巨大化した太陽は、大量のガスをまき散らしながらいよいよ地球に迫ってきます。
しかしこの時、地球が太陽から遠ざかり始めます。
太陽の重力が少しだけ弱まったからです。
地球はギリギリで逃れることが出来るというのです。
果たして地球は太陽に飲み込まれるのか、それとも逃れることが出来るのか、今最新の望遠鏡からその答えを見つけ出す研究が進められています。
南米、チリの66台のパラボラアンテナから構成されているアルマ望遠鏡です。
同時に観測することで巨大なパラボラアンテナとなり、遠くのガスの分布を鮮明な画像として捉えることが出来ます。
観測したのは、年老いた星、ちょうこくしつ座R星です。
可視光では赤い星に見えますが、アルマ望遠鏡で見ると不思議な渦巻き模様が現れました。
星から放出されたガスです。
渦巻きの大きさは直径0.2光年、年老いた星でこのような模様が観測されたのは初めてです。
観測を行ったスウェーデンのチャルマース工科大学のマティアス・メーカー博士は、この画像から年老いた星の振る舞いを読み解こうとしています。
メーカーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「渦巻き模様を調べれば、年老いた星がどれくらいの勢いでガスを噴き出しているか正確に見積もることが出来ます。」
「観測で分かったのは、星は一生の最後、予想よりはるかに激しくガスを放出していたということでした。」
メーカーさんは、この渦巻き模様に注目し、ガスの放出量を計算しました。
実は、この星のすぐそばに小さな天体が存在しています。
小さな天体は放出されたガスをかき分けながら星の周りを公転、通り過ぎた後はガスが薄くなるため濃淡のムラが生じます。
このムラが中心から広がった渦巻き模様として現れていたのです。
メーカーさんは、見えない天体が一周する時間を割り出し、年老いた星が放出するガスの量を計算で導き出しました。
メーカーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「年老いた星がどれくらいのペースでガスを放出するかという情報は地球の運命を予測するうえで極めて重要です。」
「現時点ではまだ決着していませんが、多くの研究者は地球は太陽に飲み込まれないと考えています。」
「更にデータを増やし、どのくらいのペースでガスを放出するかが詳しく分かるようになれば太陽の今後を予測することが出来ます。」
「そうすれば、地球がどんな運命をたどるのか正確に分かるはずです。」
地球の運命、それは太陽のガスの放出量の違いにかかっているのです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
76億年後に太陽が地球軌道に迫ってくるのか、あるいは60億年後に地球が太陽から遠ざかり始めるのか、とても興味が湧きます。
しかし、そもそもこの超未来の時代に人類が存続しているのかどうか甚だ疑問です。
それでも何十億年後かの地球上に生物が生存しているとすれば、ざっと40億年前に誕生した単細胞生物から現在の人類まで進化してきたように、今の人類からいくつもの生物間の進化を遂げているはずです。
それがどんな生物なのかとても想像出来ませんが、もし地球が太陽に飲み込まれるような状況であれば、どこか他の惑星に移住しているか、あるいは文字通り宇宙船地球号として宇宙をさ迷っているかもしれません。