2016年06月09日
アイデアよもやま話 No.3412 ヨーロッパでの食品廃棄を減らす本格的な取り組み!

これまで、アイデアよもやま話 No.3268 ”食品ロス”への新たな取り組み その4 先進的な取り組みに挑むフードバンク!などでフードバンクについて、また、まだ食べられる食品を捨ててしまう“食品ロス”について何度となくお伝えしてきました。

一方で、今年1月、産業廃棄物業者による廃棄食品のスーパーなどへの横流し問題が国内で発覚しました。

そうした中、3月29日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でヨーロッパでの食品廃棄を減らす本格的な取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

ヨーロッパでは食品の廃棄を減らす本格的な取り組みが始まりました。

フランスは今年、スーパーが売れ残った食品を捨てることを法律で禁止しました。

2月、フランス議会ではスーパーによる食品の廃棄を禁止し、慈善団体への寄付を義務付ける法律が成立しました。

法律に違反した場合は、日本円でおよそ50万円の罰金が科せられる世界初の試みです。

 

スーパーの店内で売れ残った食品を集めるのは貧しい人々に無償で食料を配る非営利団体、フードバンクのボランティアです。

毎朝、各地のスーパーから届けられた食品は大きな倉庫に集められ、生活困窮者などに配られます。

フランスではおよそ200万人がフードバンクに頼っているとされ、新たな法律が食品廃棄防止の活動を活発化させると見込まれています。

 

世界で毎年生産される食料のおよそ3分の1が使用されず、廃棄されているとも言われています。(国連食糧農業機関(FAO)調べ)

ヨーロッパでは、イタリア議会でも食品廃棄を禁止する法案を審議中といいます。

一方、オランダではスーパー独自のある試みが始まっています。

東部の町、ウィンタースウェイクにあるスーパーでは廃棄直前の食品を店員が集め、それを厨房に集めて、チキンシチューなどを作っています。

毎日、何を作るかは食材を集めてから決めるといいます。

加熱するなど、調理して弁当にすれば賞味期限を数日延ばせるといいます。

この弁当、1日に150食も売れる人気商品だといいます。

 

廃棄直前の食品が使われていることに抵抗感はないのでしょうか。

来店したある女性の買い物客は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「気になりません。」

「ゴミを減らすいいアイデアだと思います。」

 

また、別な男性の買い物客は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「味も美味しいし、加工食品よりずっといい。」

 

このスーパーでは、こうした弁当の販売を始めたことで年間1200万円相当の廃棄食品を削減出来たといいます。

こうした弁当を作る店員の人件費など経費も回収出来ていて、今後他の店舗でも販売を始め、収益源の一つに育てる考えです。

このスーパーの店長、エルビン・アーロンソンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私たちスーパーだけでなく、食品業界は食品の有効活用についてもっと考えるべきです。」

「人々も食品に対する見方を変える必要があります。」

 

今回ご紹介したヨーロッパでの食品の廃棄を減らす本格的な取り組みは大きく以下の3つに分類されます。

・政府による食品廃棄禁止などの法令による規制

・フードバンクのような団体による組織的な取り組み

・各企業による独自の取り組み

 

こうしたそれぞれの立場からの取り組みがうまく噛み合うことによって食品廃棄を最小限に抑えることが出来ると思うのです。

特に、オランダでのスーパー独自の試みは、スーパーの利益につながり、雇用のささやかな拡大にもつながり、購入者からも人気があり、しかもそれぞれの独自の判断で出来るのです。ですから、こうした取り組みがどんどん広がって欲しいと思います。

また、こうした取り組みを促進させるうえで、政府による適切な規制はとても重要です。

今回ご紹介したフランスでのスーパーによる食品廃棄の禁止はその好例の一つだと思います。

なので、国は単に経済成長を目指すのではなく、どのような国づくりをしたいのか、明確な将来像を描き、そこに至る道筋を描き、それを促進させるような規制を検討していただきたいと思います。


 
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