2016年06月03日
アイデアよもやま話 No.3407 新たな価値観で時代を切り拓く若者たち その5 若者が考慮すべき4つのものの考え方!

3月17日(木)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)で、新たな価値観で時代を切り拓く若者たちを取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

5回目は、若者が考慮すべき4つのものの考え方についてです。

 

番組ゲストでノンフィクション作家の柳田 邦男さんは、次のようにおっしゃっています。

「(大人たちへの怒りから動く若者、あるいは自分たちが活躍出来る基礎が失われているという気持ちから動き出している若者についてどのように受け止められたかという問いに対して、)これは若者一人一人の自己責任という問題ではなくて、日本が戦後70年の中で積み残して先送りしてきたものが一気に最近現れてきて、そのしわ寄せが若い世代に全部引き寄せられたということ、そこから声が出てきたっていう、こういう捉え方ですね。」

「そういった意味で、若者たちの活動っていうのは、一昔前の政治活動なり、学生運動なり、そういうものと全く違う。」

「これどういうことかっていうと、昔のようにイデオロギーとか、あるいは労働組合とかそういう組織で縛りをかけて動くんではなくて、一人一人が主体的にいろいろな声を上げ、活動していくっていうことで、これは日本の国の社会運動としては非常に新しい傾向だと思うんですね。」

「その多様性が今(4回目まで)のレポートの中でいろんな角度から金融の動きまで含めて出ていたんですね。」

「ですから、今大きな歴史の転換期に来ているというふうに私は捉えているんですね。」

「(若者たちが集まっている原動力は何かという問いに対して、)いくつかあると思うんですけど、一つはやはり若者たちが非正規社員にしかしてもらえないような傾向が大学出の半分ぐらいがそうなってしまっているというこの時代の閉そく感、また就職してもブラック企業なり、本当に変わらないようなひどい労働条件だったりする、そういう中で若者たちが声を上げざるを得ないというのが一つあると思うのです。」

「それからもう一つは、時代閉塞の中にいる若者が例えば被災地に行って災害ボランティアをすると初めてここで人が助け合うことの大切さとか人の命の大切さ、そういうものを体で感じるわけですね。」

「ですから、そこから出てくる言葉ってのが言わば血肉から出てきたっていう本物の言葉なんです。」

「もう、思想やイデオロギーではなくて、体の中から自然に湧き出た叫びですから、それが「SEALDs」(1回目でご紹介)のように最初10人だったのが、奥田さんの本当に平凡に見えるけれども決して掛け値なしの本物の言葉だから若者たちが共感するわけです。」

「みんな内面の中でこもっている問題が啓発されてね、触発されて、そして吹き出てくる、それがあっという間に400人になり、何千人になっていくっていう、まさに時代だと思いますね。」

「(歌人の鳥居さんも共感を集めているが、こうした社会を作ったのは大人たちであるはずだが、今の若者たちは自分たちが問われており、自分たちの問題だ、そして自分の経済状況を良くすることよりも社会や国を良くしたいという意識の大きな変化が背景にあるのでは、という問いに対して、)これは例えば小学生ぐらいで被災地で避難生活をしている子どもたちが親のことに対して迷惑をかけないで子どもはじっとしていよう、みたいなけな気な想いが強いんですね。」

「それが20歳前後の若者になると、もっと積極的にこういう状況を改善したい、何か自分の出来ることはないか、っていうそういう内に秘めたものがある。」

「問題はそれをどう出せるのか、また社会がどう受け入れるのかっていう、こういうことになってくるんですよね。」

「(若者たちが動けるようになる、あるいは自分たちがもっと主体的に行動出来るようになりたいと思っている人たちにはどんなことが必要かという問いに対して、)これは2つの面からアプローチしなければいけない。」

「一つは、社会の制度とか行政とか、そういうふうに支える側ですね。」

「このシステムをちゃんと若い人たちが伸び伸びと生きられるような支援体制ですね。」

「そしてまた、企業や学校教育やそういうところが若者の主体性なり発言なりを堂々と認めていく。」

「例えば高等学校で18歳になると選挙権を与えながら、(一方では)政治活動については規制する、これは全然自己矛盾がある話で、アメリカあたりでは高校生ぐらいになると政治問題について、イラク爆撃は正当か反対かっていうんで堂々と授業の中で議論させるわけです。」

「決して生徒を政治色で見ないんですよね。」

「そうやって子どもたち、あるいは若者が本当に世の中の真実を見て自分で意志決定するっていうのが育っていくわけですが、日本はなんとそれを未だに抑圧的にしか考えない。」

「それから、政治の世界はいろんな政治活動をする若者に対して、何か反体制っていう異色でしか見ない、そういう型にはまったような古い考えがあるんですね。」

 

「一方では、若者たちが自分が進んでチャレンジしていかなきゃいけないわけで、そのためにはいろんなものの考え方を変えていく必要があるんです。」

「それはどういうことかっていうと、まず自分で考えるっていう習慣をつけること、単にマニュアルとか、あるいは学校で教えられたこと、会社のしきたりなり、就業規則なり、それだけで働いているんじゃなく、とにかく自分で考えて、自分はいったいどんな使命を持ち、役割を果たすことが少なくとも世のため人のためになるかということを考えるということ。」

「それから2番目にですね、溢れるようなネット社会の情報なり報道機関からの情報、その裏に何があるのか、その根底にある問題は何かっていう情報を読み解く力を絶えずウォッチしながら、自ら力づけていくっていうことですね。」

「それから(3番目は)自分の考えは絶対視しないで違う考えがいっぱいあるんだと。」

「他者の考えを理解する姿勢を絶えず持つ、よく耳を傾けるとかですね。」

「そして、また(4番目は)自分が考えていることをきちんと表現する力。」

「これは今のネット社会の中でものすごく弱くなっているので、そこをしっかりと身に付けないといけない。」

「これはスマホの時代になって特に表現力の低下っていうのは問題になっています。」

 

「(若者たちが目指そうとしている今の生き方、あるいはこうなったら良い社会だと彼らの心の中で考えている姿は柳田さんの目にはどのように映ったかという問いに対して、)僕はVTRにあるレポートを見て、非常に心強く感じました。」

「こういう新しい芽っていうのが新しい時代の転換を象徴するものであって、これからそういう芽をどう大事に育てるか、これを大人たちが真剣に考え、政治や行政、教育が考える、それが初めてこの国を本当に人々が生きて良かった、あるいは充実感があるとか、自己肯定感が持てるとか、生きがいを感じるとか、そういう社会づくりにつながっていくっていうふうに私は思いますね。」

「(その芽が本当に大きくなっていくのか、未来の芽になるのか、未だ分からないことについて、)大人のそういう温かい支える目線が必要ですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、これまで先送りされてきた様々な問題に若者たちが進んでチャレンジしていくうえで必要なものの考え方について、柳田さんは以下の4つを挙げておられます。

・自分で考える習慣を身に付けること

・様々な情報の根底にある問題を読み解く力を絶えず磨くこと

・自分の考えを絶対視せず、他者の考えを理解する姿勢を絶えず持つこと

・自分の考えをきちんと表現する力を身に付けること

 

こうしたものの考え方の必要性は、若者に限らず誰にでも当てはまると思います。

 

一方で、大人たちに対しては、こうした若者たちの活動を支援することを真剣に考え、政治や行政、教育に反映することを主張されております。

 

こうした柳田さんの考えに私も同感です。

世の中の行方は、常に新旧の世代をまたがった連携によって決まります。

ですから、いかにそうした連携をスムーズに行えるか、その仕組みが重要になってくるからです。


 
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