2016年06月01日
アイデアよもやま話 No.3405 新たな価値観で時代を切り拓く若者たち その3 今の時代を表現する若者とそれに響き合う若者たち!

3月17日(木)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)で、新たな価値観で時代を切り拓く若者たちを取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

3回目は、今の時代を表現する若者とそれに響き合う若者たちについてです。

 

この20年あまり、低成長時代に生まれ育った若者たち、親のリストラ、いじめ、就職氷河期、そして東日本大震災、様々な痛みを体験してきました。

2月に発売された短歌集、「キリンの子」、そのリアルな歌の描写が大きな反響を呼び、既に増刷されています。

セーラー服の歌人、鳥居さんは母親の自殺やホームレス生活を経験し、義務教育さえ満足に受けられませんでした。

鳥居さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(痛みを)他人事だって思われたくないし、思いたくない。」

「自分に引き寄せて想像してみるというのは、大事なことのような気がします。」

 

日本が長年解決出来ていない課題を若者の視点で描いた映画も注目を浴びています。

この映画を製作した大学生、仲村 悟(リュウゴ)さん(20歳)は、普天間基地の返還が決まった翌年に沖縄で生まれました。

3月に都内で公開された仲村さんの映画「人魚に会える日」、舞台は沖縄の架空の町、主人公は基地周辺に住む中学生です。

賛成、反対を単純に割り切ることが出来ない自分たちの複雑な想いを伝えたいとこの映画を作りました。

映画は、仲村さんの想いに共感した沖縄出身の大学生によって作られました。

チケットの販売などを支えるのは県外の若者たち、映画の上映場所は東京、大阪、名古屋と次々に増えています。

仲村さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「沖縄の声というのはきちんと伝えて、その中で沖縄の問題じゃなくて日本国民が同じような気持ちで当事者として悩んでもらう状況になれば、そこは新しい切り口が開けていくのかな。」

 

一人一人が直面するそれぞれの痛み、その痛みに響き合う現代の若者たちです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、映画や詩、小説、あるいは歌など、その時代その時代の情景や心の中を表現する媒体はとても大切だと思います。

なぜならば、いつの時代も若者たちによるこうした媒体を通した表現が多くの人たちの共感を得て、その時代に新たな風を巻き起こしたり、新たな雰囲気を作り出していくからです。

中でも、とても優れた内容のものは歴史さえ動かしてしまうほどのパワーを秘めているのです。

そして、今の時代とても救いなのは、こうした声なき声がネットを通して容易に世界中に発信されていく環境が整っていることです。


 
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