2016年05月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.437 『人類が直面しつつある究極のリスク』

2月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、2020年の世界経済の3大リスクについて取り上げていました。

そこで、番組を通して人類が直面しつつある究極のリスクについてお伝えします。

 

世界経済に対するリスクを分析する専門家が今から4年後、2020年のリスクを予想しました。

アメリカのシンクタンク、ユーラシアグループの代表、イアン・ブレマーさんは以下の3つのリスクを挙げています。

1.2020年までに中国が構造改革を速いスピードで実現出来るのか不透明

2.原油価格の低迷に伴う中東リスクの拡大

3.技術革新に伴う雇用を奪うリスク

   

中でも私が特に注目するのは、3つ目の技術革新に伴う雇用を奪うリスクについてです。

私は、これを人類が直面しつつある究極のリスクと捉えています。

その理由は、人類の持つ能力と技術の進歩との関連の変化にあります。

人類には、大きく分けて手足を上手に使う能力、および優れた知能という他の生物にはない並外れた能力が備わっています。

ところが、18世紀の産業革命以来、紡織機などの工場制機械工業の導入を皮切りに工場や家電などにおける様々な機械化の展開、また蒸気機関車、あるいは自動車、電車、大型の船、飛行機などの移動手段の発明、更にはコンピューターやの発明により、私たち人類の手足、あるいは知能の飛躍的な拡張を遂げつつあります。

これは何を意味しているでしょうか。

私たちが日々の暮らしの糧としているあらゆる仕事が人類が自ら発明した技術によっていよいよ取って代わられる時代を迎えつつあると私は思うのです。

 

ブレマーさんもAI(人工知能)や3Dプリンター、自動運転車などの技術革新は企業にはプラスであるものの、年収5千ドル〜1万ドル程度の水準の人々、世界的に見た場合の中間層の職を奪い、これが社会問題になりかねないと予想しています。

 

こうした状況下においては、大きく以下の2つの課題を解決する必要があると考えます。

1.技術の進展に伴う人類の創造力などの新たな能力の開発

2.仕事の有無に係わらない生活保障制度

 

こうした課題をクリアしないと、世界的な格差社会の進行を食い止めることは出来ないばかりか、精神的に豊かな暮らしも困難な時代を迎えることになってしまうのです。

 

なお、2020年の日本経済については、人口減少が続く日本は巨大経済を持ち合わせる中国をライバル視するのではなく、特定の分野に特化し、高い付加価値の創造を目指すシンガポール型の成長を目指すべきだとブレマーさんは主張しています。

しかし、こうしたことも今回ご紹介したような大きな時代の流れから見れば、過渡的な対応策に過ぎず、先ほどお伝えした2つの課題の解決が求められると思うのです。


 
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