3月16日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)で会社員への”副業のススメ”について取り上げていたのでご紹介します。
安倍政権が次々と打ち出す働き方改革、今度は多くの企業で禁止されている社員の副業をもっと認めてはどうかという話が出てきました。
その第一の理由は、人手不足の解消といいます。
安倍政権は“一億総活躍”でGDP600兆円を目指していますが、そのためには働く人たちがもっと増える必要があるというのです。
そこで、意欲や余裕のある人には、本業の仕事が終わった後や週末などに副業などで更に活躍してもらうということなのです。
ところが、多くの企業は、社内規定である就業規則で社員の副業や兼業を禁止しています。
中小企業庁の調べでも副業を認めている企業は全体の3.8%程度しかありません。
ですから、本当に副業をし易くするためには、政府が企業に依頼して就業規則を見直してもらうようにする必要があります。
なぜ、安倍政権がこれほど社員の副業にこだわるのか、そこにはもう一つ重要な背景があるといいます。
それは、マイナンバー制度です。
このマイナンバーで会社に内緒で副業していることがバレ易くなると言われています。
民間の労務行政研究所の調べでも、マイナンバーで副業が発覚した時、会社はどう対応するのかというアンケートに対して、厳格に対処すると答えた企業が32%に達しています。
ということは、今後副業に対する処分を巡って法的なトラブルになる可能性が出てきます。
ですから、専門家の中には、マイナンバー制度を機に副業をもっと認めやすくしてはどうかという意見が出てきたのです。
ところが、ただでさえ労働時間の長い日本の職場で、副業はもっと忙しくなってしまいます。
複数の企業で働くようになると、その人トータルとしての働き過ぎや長時間労働をどうやって防ぐのか、また雇用保険などの社会保険も複数の会社で同時に働くということを想定していないので制度の見直しも必要になります。
安倍政権では、“一億総活躍”プランを今年5月にまとまりますが、その中でこのことを盛り込もうとしていますが、一番重要なのは企業がこのような話をいいことに、例えば給料は安いままだけどどんどん副業で稼いで下さいね、などとならないように、まず本業での賃上げをきちんと努力する、ここが先決だと竹田
忠NHK解説委員は提言されております。
マイナンバー制度との関連はともかく、経済成長のために“一億総活躍”プランを打ち出し、労働力不足を補うために副業を進めるという方針は時代に逆行しているように思えてなりません。
本来であれば、一人一人のより豊かな暮らしを実現させるために、インターネットやロボット、AI(人工知能)などのテクノロジーを駆使して長時間労働、あるいは働き過ぎの問題を解決し、ワークライフバランスをうまく調整させていく方向で対策を打ち出すべきだと思うのです。
経済成長は単なる手段であって目的ではないのです。
こうした最終ゴールが曖昧なままでの“副業のススメ”では、竹田さんも心配されているように、今の会社の給料は安いままで、副業で稼ぐような状態になっては増々長時間労働が増え、“豊かな生活なき経済成長”をもたらしてしまいます。