2016年05月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.436 『ゴディバ、5年で売上高2倍の秘密』

2月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、5年で売上高を2倍にしたゴディバの秘密について取り上げていました。

そこで、番組を通してプロジェクト管理の観点からゴディバ躍進の秘密についてご紹介します。

 

ギフトに最適な高級チョコとして今まで以上に存在感を高めているのがベルギーのゴディバです。

日本での売り上げはここ5年で2倍以上になっています。

日本の店舗は、本国ベルギーと比べ商品内容が異なる部分も少なくないといいます。

また、宇治抹茶のクッキーのように、日本からヨーロッパやアメリカに発信している商品もあるといいます。

ゴディバ ジャパン躍進の注目を集めるジェローム・シュシャン社長は、このように就任以来クッキーやビスケットなど日本独自の商品開発に力を入れてきました。

もうとっくに過ぎてしまいましたが、今年のバレンタインデー限定で発売されたカップ型チョコレートも日本で開発されたもので、黒蜜を加えるなど、味にも特徴があります。

 

こうした取り組みにより、ゴディバ ジャパンの売り上げは、2010年の133億円から2015年には282億円と、5年間で倍増しました。

フランス人のシュシャン社長は、ラコステやモエ ヘネシー・ルイ・ヴィトンを経て、2010年から現職に就いた、まさにビジネスのプロです。

これまでのゴディバ ジャパンのイメージをガラリと変えたその手腕に今、世界中の注目が集まっています。

 

ゴディバ ジャパン躍進の影響は、本国にも及んでいます。

1926年開業の本店、ゴディバ・グランプラス店でも、今年のバレンタインデーには日本で独自開発されたカップ型チョコレートが並べられていました。

ベルギー以外で開発された商品が本店で発売されるのは珍しいといいます。

 

本国でも認められたゴディバ ジャパンの実力、そのキーマンはゴディバ ジャパンのショコラティエ、フランス人のヤニック・シュヴォローさんです。

数多くのショコラティエの中でも世界のトップ5に選ばれています。

シュヴォローさんは、2010年からゴディバ ジャパンの商品開発責任者に就任しました。

シュヴォローさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本人の味覚は、大変洗練されています。」

「日本での菓子作りに大きな可能性を感じています。」

「黒蜜やユズ、きな粉など、パティシエの創造力をかきたてる食材が日本には沢山あります。」

 

シュヴォローさんは、チョコレートをふんだんに使った日本独自のソフトクリーム(475円)を開発、それはその後世界中で販売され、大ヒットとなりました。

世界80ヵ国に展開するゴディバ、シュヴォローさんは日本から変革を起こしたいといいます。

 

実はシュシャン社長は、弓道歴30年以上で錬士五段の腕前です。

元々、来日したきっかけが弓道の精神に感銘を受けたからだといいます。

シュシャン社長は、弓道を経営に生かしていることについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

売り上げは目的ではなく結果である。

「ビジネスでも利益や売り上げ(の的に)当てたいですが、これに気を取られるとなかなか当たらない。」

「一つ一つの動作、姿勢を正しくすれば、必ず当たるという考え方です。」

正射必中という考え方があります。」

 

正しく射れば必ず中る(当る)シンプルですがビジネスの要諦を突いた奥の深い言葉だといいます。

ベルギー生まれの高級チョコレート、ゴディバ、日本を愛する二人のフランス人の手で更に生まれ変わろうとしています。

 

正射必中の環境を作るために、シュシャン社長は本部でも店舗でも働きやすい環境をまず作ったということで、社長室も本部に入ってすぐのところにあって、誰でもすぐにのぞけるようになっています。

そうした環境を作っていくと、スタッフの声がお客さんの声とイコールになってくる、そうすれば自ずとニーズがつかめるようになってくるというのです。

中てるのではなく中るのだというのはどの業界でも当てはまることだと、シュシャン社長を取材した番組のメーンキャスター、大江 麻理子さんは感想を述べられております。

 

正しく射れば必ず中るという言葉は、プロジェクト管理と日常生活 No.435 企業活動におけるプロセス管理の重要性!』でもお伝えした企業活動におけるプロセス管理の重要性につながります。

いかに高い売上目標を掲げようとも、その目標を達成するためにお客様の要求の把握、およびそれに応えられる製品、あるいはサービスの開発などの一連のプロセスが的確になされなければ目標達成はとても危ういのです。

何が何でも目標を達成させるというのではなく、こうしたプロセス管理がしっかり出来てこそ、目標は結果として後からついて来るのです。

 

そういう意味で、これまでお伝えしてきた、様々な不正事件を起こした企業はこうした考え方の反面教師と言えます。

適切なプロセス管理を踏み外した企業に明るい未来はないのです。


 
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