2016年04月27日
アイデアよもやま話 No.3375 熊本地震にみる今後の災害対策のあり方!

4月14日に熊本県で震度7を観測した地震が起きて以降、熊本県と大分県では地震の回数が少なくなってきているものの、いまだに活発な地震活動が続いています。

そこで、これまで4月23日、25日、26日と、災害対策の不備や簡易ベッド、あるいは簡易間仕切りという具体的な支援の取り組みについてお伝えしてきました。

今回はあらためて熊本地震にみる今後の災害対策のあり方について、私の思うところをお伝えします。

 

熊本地震関連については、連日マスコミでいろいろと報道されていますが、それらの中には今後の災害対策のあり方のヒントがちりばめられているように思いました。

そして、4つのキーワードが思い浮かんできましたので以下にご紹介します。

1.まず被災者ありき

2.災害対策プロデューサーの必要性

3.既存の組織を最大限に活用

4.情報の一元化

 

まず、1番目についてですが、支援物資の最終輸送先は一般的に避難所です。

ところが、高齢者のいるお宅やペットの飼い主など、避難所に行きたくても行けない事情のお宅もあるのです。

あるいは、今回の熊本地震では、幼児やペットの鳴き声など周りへの迷惑を気にされて自動車で避難生活を送る家族も多く見受けられています。

ですから、まず支援対象の被災者の方々がどのような状況であるかの把握が、より効果的な災害対策のためには最も重要なのです。

 

2番目は、災害対策プロデューサーの必要性です。

今回の熊本地震でも、被災地の自治体、国、各企業、大勢のボランティアの皆さん、あるいは自衛隊などあらゆる組織が総動員して一生懸命に支援活動をされています。

ところが、活動全体が統括されて効率よくなされているかというとどうもおぼつかないように見受けられます。

より迅速でより効果的な災害対策を目指すためには、災害活動全体をプロデュースする人、あるいは組織がどうしても必要だと思うのです。

そして、その枠組みは、プロジェクト管理と日常生活 No.433 『熊本地震に見る過去の大震災の経験が活かされていない災害対策』でお伝えした内容でいいと思います。

なお、災害対策プロデューサーは、あくまでも平常時に災害対策のあり方を具体的にデザインすること、および平常時の災害訓練、あるいは研修が役割で、被災時にはこのデザインされた体制や方法で各組織が災害に対応するというわけです。

また、災害対策プロデューサーは、一度災害対策の枠組みをデザインしたらおしまい、ということはなく、大震災のたびに問題点を見出し、新たな改善策を検討し続けることが求められるのです。

 

3番目は既存の組織を最大限に活用することです。

大震災は、言わば非常時です。

非常時とは、平常時に機能していたものが機能しなくなる事態です。

ですから、平常時とは別なかたちで機能させること、すなわち代替手段が求められるのです。

代替手段と言っても、新たに何かを求めるというのではコストがかかってしまいます。

そこで代替手段として活躍できるのが既存の組織です。

幸いにして、日本はあらゆる面で社会インフラが進んでいます。

ですから、これらを被災時に活用しない手はありません。

具体的には、以下のようなものが考えられ、こうした組織と事前支援協定を結んでおくのです。

・支援物資の提供
  乾パンやカップヌードルなどの非常食、あるいは飲料水のメーカー
  オムツなどの生活用品メーカー
  製薬会社や近隣自治体の病院
  簡易発電機メーカー
  簡易コンロメーカー
  簡易浄水器メーカー
  簡易ベッドや簡易間仕切りなどのメーカー
  コンビニやスーパー
・支援物資の輸送
  トラック、バス、タクシー、フェリーボートなどの運送業者
  自衛隊
・避難施設の提供

  被災を免れた学校などの体育館
  賃貸住宅
  空き家
  ホテルや旅館
  テントメーカー
  客船やフェリーボート

  塾(子どもの学習用)

・情報の提供

  IT関連企業やネットプロバイダー

・ボランティアの事前確保

  一般人の中には、看護師など様々な技能を身に付けられており、いざという時にはボランティアを希望されている方々がおられます。

  あるいは、企業の中には、従業員をボランティアとして派遣したいところもあるはずです。

  そうした方々、あるいは企業をボランティア希望者として持っているスキルと共に事前登録しておけば、被災時にタイムリーに必要なだけの支援を効率よく確保することが出来るのです。

 

最後の4番目は情報の一元化です。

被災時には、様々な情報が錯そうして混乱を増長してしまう可能性を秘めています。

また、一部の避難所では支援物資が多く届き過ぎて山積みされている一方で、別な避難所では足りない状況が発生しているといいます。

多く届き過ぎると、その整理にまた人手が必要になってしまいます。

ですから、全ての災害関連情報を一元化させておくことが求められるのです。

具体的には、被災者、国や地方自治体、あるいはボランティアの方々など誰でも見ることの出来る、支援物資の需給管理など一元化された情報を提供するシステムの構築です。

実際に、今回の熊本地震ではネットプロバイダーが個別にこうした役割を断片的に果たされていますが、より効率的にするためには全体にわたっての情報の一元化が必要なのです。


 
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