人工知能(AI)についてはこれまで何度となくご紹介してきました。
そうした中、先日、AIが囲碁トップ棋士に勝利したと各種報道で取り上げられていました。そこで、今回は3月14日(月)放送の「スッキリ!!」「日本テレビ」の番組内容を中心にご紹介します。
人工知能(AI)は1997年にはチェスの王者に、そして2013年には将棋のプロ棋士に勝利していました。
一方、チェスや将棋に比べて囲碁は升(マス)の数が多く、勝負がつくパターンも10の360乗と圧倒的です。
ちなみに、チェスは10の120乗、将棋は10の220乗です。
このため、AIが囲碁の世界のトップクラスになるのには今後10年はかかると言われていました。
にもかかわらず、なぜGoogleが2014年に買収したAI研究グループ、DeepMind(ディープマインド)が開発したAI、「AlphaGo」(アルファ碁)が世界最高峰の棋士の一人、韓国人のイ・セドル九段に5戦して4勝1敗で終わりました。
なぜ勝てたのか、その秘密は、「AlphaGo」は過去16万の対局データを持ち、そこから自習して自ら成長し、過去の対局にもない手を学習するところ、すなわちディープラーニングにあります。
ちなみに、ディープラーニングには人間が読める論理コードはなく、あるのは各ニューラルネットの接続の強さを表すパラメータだけで、アルゴリズムは人間にとってブラックボックスになっているといいます。
また、AI技術は用途によらず、極めて汎用的に使えるといいます。
東京大学でAIを研究する松尾 豊特任准教授は、このAIが将来私たちの生活も大きく変える可能性があるといいます。
例えば、医療の分野だとCTの写真から肺がんを読み取るというのは、人間の医者より精度が高いようなものが出てきていると言います。
また、防犯カメラの映像からベテラン刑事の目のように不審な動きをする人物を見抜けるようになるとも言われています。
ここで、ネットニュースから以下にDeepMindの持つ能力の一端をご紹介します。
2015年2月、DeepMindは「DQN」(Deep Q-Network)と呼ばれる彼らのAIが、Atari2600用の49本のTVゲームをほとんど何も教えることなくプレイすることが出来たという内容の論文を『Nature』に提出しました。
ブロック崩しを行うDQNの動画が話題となりました。
はじめは素人のような動きだったDQNは、数時間のうちにゲームのコツを学んでいき、ついには人間が思いつかなかったような裏技まで発明してしまったというのです。
さて、今回特にお伝えしたのは、AIの進化のスピードです。
AIが囲碁の世界のトップクラスになるのは10年後と言われていたのが、今回実現してしまったのです。
それほどAIの開発スピードは速いということです。
ですから、今後も私たちの想定以上のスピードでAIは様々な分野に取り入れられていくと思われます。
更に、AIはビッグデータを取り込むことにより、どんどん進化していきます。
もう一つお伝えしたいのは、AIの持つ汎用性です。
汎用性があるということは、個々の機能ごとにプログラムを書かなくてもいいということを意味します。
ですから、汎用的なアルゴリズムを一つ完成させることで様々な用途に使えるということです。
ということは、いずれ私たちの様々な知的活動分野において、AIはトップクラスの専門家を圧倒するような優れた成果をもたらすようになると見込まれます。
まさにSFのような世界が現実のものになろうとしているのです。
更には、いずれ私たち人類が束になってかかっても敵わないような能力を持つようになることは明らかです。
ということは、何らかの歯止めが必要になります。
その究極の手段は、万一AIが人間に敵対するような、あるいは人間に危害を加えるような動きを見せた場合に、いつでもAIの活動を停止出来るようなスイッチを人間が手中に収めておくことだと思います。