1月14日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)でお米の栄養価を高めたり使い方を広げるユニークなアイデアについて取り上げていました。
そこで、これを機会に日本の食料自給率について2回にわたってお伝えします。
2回目は、食料自給率向上の救世主になり得る米ゲルについて番組を通してご紹介します。
玄米はそのままでは硬くて食べにくいので、一般的に精米して胚芽やぬかを取り除いた白米を私たちは食べています。
そうした中、近畿大学農学部は栄養の成分を色分けして表示する装置で精米する前の玄米を調べました。
そうしたところ、胚芽の奥にビタミンEを豊富に含んでいるところがあることが分かりました。
そのビタミンEたっぷりの部分だけを残して精米したいということで新たな装置が開発されました。
一方、玄米をそのまま美味しく食べようというアイデアもあります。
精米する前の玄米は胚芽の部分が硬いのですが、発芽すると柔らかくなり食べやすくなるうえ、ギャバなどの栄養が増えるので、最近学校給食でも取り入れられているといいます。
更に、ストレスを下げる効果や頭の活性化に働くといいます。
この発芽玄米の栄養価を更に高めようと、宮城県古川農業試験場で新たな品種のお米が開発されました。
通常の玄米より胚芽部分がおよそ3倍の大きさになっているのでその分栄養価も増えています。
このようにコメに関する様々な取り組みが進められていますが、最後は日本の食料自給率向上の救世主になり得る可能性を秘めた米ゲルについてご紹介します。
炊いたご飯を高速のミキサーでかき混ぜて米ゲルが作られます。
この米ゲルに油や卵を混ぜてオーブンで焼くとパリパリのお菓子になります。
次に米ゲルに牛乳と砂糖を混ぜてクリーム状になったのをこのお菓子を半分に切った間にはさむと、小麦粉を使わずにシュークリームの出来上がりです。
低カロリーな上に小麦アレルギーの人にも食べてもらえると、ガトーショコラやロールケーキなどの試験的な販売も始まっています。
試食した人の感想では、従来のクリームと同じ味のような感じだといいます。
米ゲルは一度含んだ水分を長期間閉じ込めることが出来ます。
また、味も匂いもないので様々な分野への応用が期待されています。
食品総合研究所の杉山 純一さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「コメの消費量が減っていますが、全く新しい使い方をすることで食のレパートリーを広げると。」
「これを素材にしてできたら面白いんじゃないかと思います。」
米ゲルは硬さを調節出来るので調理の仕方によってうどんやアイスクリームなど様々な食べ物が作れます。
また、時間が経ってもプルンとした状態が続くのでケーキなどのお菓子に使う時も日持ちが良くなるといいます。
こうしてみると、米ゲルは和洋食の様々な食材として活用出来そうです。
ですから、米ゲルを食材として使った場合の味、および従来からの食材である小麦とのコスト比較で米ゲルに軍配が上げられるように関係者には頑張って欲しいと思います。
そうなれば、補助金行政に頼らなくても日本の農業の復活も夢ではありません。
また、こうした取り組みから新たなコメの品種改良にもつながっていきます。
こうした一連の流れから、米ゲル関連の食材生産技術の輸出も期待出来ます。
このような農業の将来への期待が高まれば、若い人たちの農業への見方も変わります。
その結果、若い人たちの農業への従事が進んで農業人口の減少に歯止めがかかり、やがて日本農業の復活につながるはずです。
ということで、米ゲルは日本の食料自給率向上の救世主になり得る可能性を秘めているのです。