昨年12月26日(土)放送のニュース(NHK総合テレビ)でGDPの国際比較について取り上げていたのでご紹介します。
国の経済力の目安とされているGDP(国内総生産)について、日本は国としては3位、国民一人当たりでは20位というデータ(2014年)が公表されました。
ちなみに、世界ランキングは以下の通りです。
(各国のGDP)
1.アメリカ 17兆3481億ドル
2.中国 10兆3548億ドル
3.日本 4兆6055億ドル
4.ドイツ 3兆8683億ドル
5.イギリス 2兆9889億ドル
(国民一人当たりGDP) *OECD(経済協力開発機構) 加盟国
1.ルクセンブルク 11万6199ドル
2.ノルウエー 9万7434ドル
3.スイス 8万5610ドル
4.オーストラリア 6万2247ドル
5.デンマーク 6万1336ドル
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7.アメリカ 5万4353ドル
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20.日本 3万6230ドル
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23.韓国 2万7970ドル
国民一人当たりGDPは、1970年以降最も低い順位となりました。
なお、大阪万博の開催に沸いた1970年、日本の国民一人当たりGDPは、2000ドル余りでOECD加盟国中19位でした。
その後、経済成長や円高が進んだことで伸び、1993年から4年連続で世界3位となりました。
しかし、バブル経済の崩壊やその後のデフレの進行で低成長が続いたことで徐々に順位を下げ、円安の影響も重なって、2013年は19位まで低下、そして2014年は率にして6%減って20位に後退しました。
ただ、円のままでは1.8%増えていて、更なる円安が影響したかたちです。
さて、国民一人当たりGDP1位のルクセンブルクは、周りをドイツ、ベルギー、フランスに囲まれており、面積が日本の約150分の1、人口は56万人余りです。
主な産業は金融業で、内閣府によると、ルクセンブルクは税制の優遇措置を設け、海外から金融機関の誘致を進めたことがGDPを押し上げたことにつながったうえ、人口が少ないため国民一人当たりGDPが高い水準になっているといいます。
また、中国はOECDに加盟していないため順位に入っていませんが、7590ドルでした。
さて、一般論として、同一の経済力レベルであれば、国別のGDPは人口に比例します。
ですから、国民一人一人の視点からみた経済力の目安として注視すべきは国民一人当たりGDPなのです。
そして更に大事なのは、格差の是正です。
いくら国民一人当たりGDPが高くても、その富の配分、すなわち収入がある一部の層に偏っており、貧困層の割合が多くては健全な国家とは言えないと思います。
ちなみに、国税庁の調査によると、収入格差は以下の通りです。
2012年 1013年
年収1000万円以上の人 172万人 186万人 +14万人
年収200万円以下の人 1090万人 1120万人 +30万人
(24.1%)
格差が広がる傾向にあり、ワーキングプア(働く貧困層)がおよそ4人に1人の割合(2013年)という現状はまさに日本は不健全な国家と言わざるを得ません。
更にもう少し視野を広げて考えてみると、アベノミクスで最も力を入れている経済成長ですが、単に経済を重点的に成長させていくと、いずれ必ず環境問題やエネルギー問題と深刻に向き合うことになります。
また、いくらこうした観点での国家のかじ取りが出来ても、世界規模で環境問題やエネルギー問題が深刻化しては一国での対応ではどうにもなりません。
そして、テロや紛争、あるいは先の大戦のように世界各国を巻き込むような世界規模の戦争が勃発しては、それまで築いた安定的な暮らしは一変してしまい、台無しです。
ということで、国の経済力の目安とされているGDPというキーワードから、経済成長、富の適切な配分、そして地球環境の保護、および有限なエネルギーへの対応、という4つの観点のバランス、および世界的な課題・問題解決への協調した取り組み、世界平和の維持の必要性について思いが至りました。