これまで地球温暖化関連については何度となくお伝えしてきました。
そうした中、1月10日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で「地球温暖化の新たな危機!
海洋酸性化」をテーマに取り上げていたので5回にわたってご紹介します。
1回目は、地球温暖化を防ぐ海の大きな2つの役割についてです。
留まることを知らない地球温暖化により自然災害が多発しています。
世界の全ての国が直面する大きな問題です。
こうした中、地球温暖化対策の枠組みを決めるCOP21(パリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)が昨年パリで開催され、初めて参加国の全てが協力してCO2を削減していくことを決めました。
しかし今、新たな問題が浮上しています。
それは海のCO2問題です。
これまで排出されたCO2の多くは海が吸収してくれていました。
ところが、今後CO2が海に吸収される割合が減っていく可能性があるというのです。
気象庁(東京都千代田区)の調査官は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「大気中のCO2が増えると残ってしまうということを意味しますので、地球温暖化を逆に加速させるのではないかというふうに考えられています。」
更に、CO2を吸収してきたことで進行しているのが海洋酸性化の問題です。
酸性化が進むと海の生態系に大きな影響を及ぼすことが明らかになってきました。
人類が排出するCO2の受け皿となってきた海に今何が起きているのでしょうか。
No.3288 ちょっと一休み その525 『観測衛星「いぶき」の観測データから見えてくる地球温暖化対策の甘さ』でもお伝えしたように、地球全体のCO2平均濃度はほぼ直線的に増えており、2015年現在で産業革命前の1.5倍にまで達しています。
気温の観測が始まって以来、世界の平均気温の変化を見ても、2014年と2015年(速報値)に2年連続で史上最高記録を塗り替えてしまったのです。
番組では、地球温暖化の危機がどうなっているかに迫るために、海に焦点を当てています。
実は、海は地球温暖化を防ぐための2つの大きな役割を担っています。
それは、熱の吸収とCO2の吸収です。
驚くことに、この40年間に地球温暖化で蓄えられた熱エネルギーの9割以上は海が吸収してくれていると考えられています。
それだけでなく、海はCO2そのものも吸収してくれているのです。
今回ご紹介したように、海には地球温暖化を左右する大きな役割があるのです。
次回の2回目は、海の熱吸収機能の異変についてお伝えします。