近年、関西有名ホテルのレストラン食品偽装(2013年10月)、アクリフーズ(現マルハニチロ)農薬混入(2014年1月)、マクドナルドの期限切れ中国産鶏肉使用(同7月)など、食品偽装事件が続いています。
そして、今年になってもカレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国展開する壱番屋が廃棄した冷凍カツの産業廃棄物処理業者のダイコーによる横流し(2016年1月)、そして食肉卸業者の都ジャパンによる産地偽装(2016年2月)が発覚しています。
さて、こうした食品偽装事件は消費者の信頼を裏切る行為であり、その結果、企業の存続を危うくするほどの影響を企業自身にも及ぼします。
ですから、食品関連企業はもっともっと食品管理に真剣に取り組む必要があるのです。
ところが、目の前の利益優先に目がくらみ、組織ぐるみでの偽装工作がなされているようです。
では、消費者に対する信頼の裏切り、および企業の存続の危機を招くような行為をどのように防げばいいのでしょうか。
そのヒントになるのはこうした食品偽装の表面化が多くの場合内部告発によってなされることです。
内部告発者の立場に立って思うことは、自社の反社会的な行為に目をつむることが出来ず、告発しているのです。
報道記事によると、こうした勇気ある告発者は、その後適当な理由により閑職に追いやられたり、解雇されるというのが一般的です。
内部告発者は、こうした自身のその後の社内での立場を乗り越えて告発しているのです。
ですから、本来、こうしたケースでの内部告発者はもっと評価されていいはずなのです。
ところが、今も多くの場合、こうした一歩を踏み出せず、悶々としている従業員の方々が少なからずいらっしゃるのではないかと危惧されます。
そこで、食品偽装のリスク対応策として思いつくのは、こうした内部告発者に対する処遇改善です。
具体的には、内部告発者が告発後の社内の処遇に不満がある場合、その時点での退職金に年収の3倍を上乗せした額を企業は支払うことを法制化することです。
このようなことが法制化されれば、内部告発者はたとえ解雇されても収入の面で当面は安心して生活することが出来るのです。
また、企業にしても自社の食品偽装を組織的に行おうとしても、表面化するリスクがこれまでに比べて格段に高くなるのでこうした法制化が大きな歯止めとなるはずです。
なお、こうした法制化は食品偽装に限らず、東芝の不正会計のような事件を未然に防ぐリスク対応策としても有効と考えます。
勿論、内部告発者には、社員としての義務として、いきなり社外に訴える前に上司などを通して不正の事実を報告することが求められます。
ですから、一般的に社内の風通しを良くする意味でも、社内の改善提案をいつでも出来る“意見箱”のような提案制度が有効と考えます。
皆さんはこうしたリスク対応策についていかがお考えでしょうか。
さて、今回は、内部告発に焦点を当てた食品偽装のリスク対応策についてお伝えしましたが、“廃棄食品”の横流しの根本的なリスク対応策として、食品の廃棄処分を依頼する企業がパッケージから取り出すなどしてそのままでは横流し出来ないかたちにして産廃業者に渡せば容易に横流しを防ぐことが出来るのです。