2016年02月22日
アイデアよもやま話 No.3319 公害先進国から環境保護への歩み その6 公害対策から環境保護へ大転換!

これまで何度となく、一人一人の意識が変わり、行動を起こすことにより社会を変えることが出来るとお伝えしてきました。

そうした中、ちょっと古いですが、昨年7月18日(土)放送の「戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか 未来への選択(3) 公害先進国から環境保護へ」の録画を最近ようやく観ました。

そこで、主に番組を通して公害先進国から環境保護への歩みについて8回にわたってご紹介します。

6回目は、公害対策から環境保護へ大転換についてです。

 

公害対策から環境保護へ大きく転換していく自治体の流れに政府も対応しました。

1993年、公害対策基本法に代わって新たに環境基本法を制定しました。

この基本法には以下の文言が記されています。

「現在、および将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する」

「環境への負荷の少ない健全な経済を発展させる」

 

環境基本法作りに中心メンバーとして携わった、元環境庁計画調査室長の小林 光さんは、当時を振り返り、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「それまでは公害がなければいいっていう感じで、被害がなければいいということでしたけども、その後はむしろ環境の恵みを長く持っていよう、みんなでそれを享受しようと、そういうことに変わったんですね。」

「ですから、落第しないようにやるんじゃなくて、いい成績を取るようにやろうっていうことで、かなり考え方が変わったんですね。」

「で、その経済も環境の負荷の少ない経済に変えるとか、そのために政策の手段もみんなが参加するようにだいぶ変わったんですね。」

「そういう意味で、大きな変化が環境基本法にあったと思います。」

 

北海道伊達市では、裁判の敗訴後も市民が環境権を地域の暮らしに活かすよう市に提言し続けました。

その方に押され、伊達市では環境基本条例を作ることになりました。

1997年、条例作りのための市民会議が発足しました。

21人のメンバーが公募で集められることになりました。

こうして、2年におよぶ話し合いの末、伊達市環境基本条例が誕生しました。

そして、環境権は次のように記されました。

「市民は環境に関する情報を知ること、及び施策の策定等に当たって、参加することを通じ、良好で快適な環境の恵みを享受する権利を有する。」

 

条例によって市民が環境保護に係ることが保障されるようになったのです。

 

1993年の環境基本法制定により、ようやく単なる公害対策ではなく環境保護を主眼とする対策に転換したのです。

また、現在のみならず将来の世代の人間が恵み豊かな環境を享受する、あるいは経済よりも環境を優先させるという基本的な考え方が初めて法制化されたのです。

ですから、1993年は日本にとって公害対策から環境保護へ大転換の年と言えます。

 

次回の7回目は、地球規模で環境保護が大きな世界的課題であることについてお伝えします。


 
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