先週、行き場を失った原発事故のゴミについて3回にわたってお伝えし、今週は廃炉に関する積み残された課題について2回にわたってお伝えしてきました。
そうした中、1月29日(木)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)で高浜原発再稼働について取り上げていたのでご紹介します。
これまでお伝えしてきたように、原発については事故後のゴミ処理、および廃炉に伴う課題が山積み状態です。
ところが、現実は既に本格的な原発再稼働に向けて動き出しています。
1月29日、関西電力の高浜原発(福井県高浜町)で3号機が再稼働しましたが、2月下旬には4号機も再稼働が計画されています。
政府は、高浜原発の再稼働に際し、地元の理解が重要だと言いつつも、その範囲について明言することを避け、曖昧にしたままです。
また、安全協定についても民間と自治体の協定に口を差し挟むべきではないとして、静観する構えだといいます。
地元が広がり、再稼働の同意を得る自治体が増えれば、収拾がつかなくなることを懸念していると見られます。
しかし、こうした政府の消極的な対応が青森県の大間原発など他の原発でも再稼働に伴い、原発周辺自治体の不満を招いています。
ですから、地元の範囲の明確化、および地元同意の手続きを法律で明文化することが必要であるといいます。
福島第一原発事故により、一旦事故が起きれば影響は広範囲に及ぶことが分かったのですから、少なくとも避難計画が義務付けられた30km圏を地元自治体と考え、同意を得ていく制度を作っていくべきだと番組では以下のような仕組みを提言しています。
・立地自治体の長とその県の知事に加え、30km圏の他の県の知事や地自体の長で構成する協議会を作り、その取りまとめ役はこれまでの歴史的な経緯を考慮して立地自治体の県知事とすること
・この協議会の役割は以下のような内容であること
安全対策など、協議会で議論した結果をまとめて電力会社に要求する
広域避難計画を共同して策定する
再稼働の同意・不同意を判断する
・政府がこうした協議会と電力会社の間を調整すること
さて、ここまで原発再稼働を前提としての原発政策のあり方についてお伝えしてきました。
しかし、現状の対応策ではいずれ立ち行かなくなることは明らかなのです。
今、安倍政権は“一億総活躍社会”をスローガンに掲げております。
しかし、一方で原発に関して言えば、今を生きる私たちの世代は何世代か後の世代から“一億総無責任世代”と言われるかもしれません。
なぜならば、政府による原発再稼働推進の方針に対して、国民の声がそれを止めるまでに高まっていない、あるいは行動にまで結びついていないからです。
ただし、ただ単に“原発反対”、あるいは“脱原発”を唱えるだけでは問題は解決しません。
原発や化石燃料を使う火力発電に依存しなくてもいいような社会に向けたあらゆる取り組みについて真剣に考え、“持続可能な社会”を実現させるようなライフスタイルを模索し続けることが今求められているのです。
ですから、原発の問題は、単に政府や電力会社の責任だけではなく、私たち国民一人一人にも責任があるということを忘れてはならないのです。
そういう意味では、安倍政権の掲げるスローガン、“一億総活躍社会”は目指す方向性が正しければ的を射ていると思います。