10月7日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で家電・先端技術の見本市「シーテック」で公開された世界初の家電を独占取材していたのでご紹介します。
開発期間およそ10年の世界初の家電、画期的な全自動洗濯物折り畳みロボ「ランドロイド」が10月7日に一般公開されました。
驚くことに、Tシャツを「ランドロイド」に放り込み、3分経つと取り出し口から綺麗に折り畳まれたTシャツが出てくるのです。
ちなみに、その折り畳み具合は人による場合とほとんど違わないといいます。
また、Tシャツ以外でも大丈夫ですが、あまり長いモノだと測定するのが難しいということで、ワンピースなどは対応出来ていないといいます。
開発したのは家電とは無縁のベンチャー企業、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ株式会社(東京都港区)です。
衣類をたたむのは大企業でも不可能だった技術だといいます。
パナソニックのある役員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「ニーズがあるのは分かっていたんですけども、解決出来る技術的なアプローチに我々もたどり着いていなかったと・・・」
「ランドロイド」の開発工場(神奈川県相模原市)では、小惑星探査機「はやぶさ」のカーボン製部品など宇宙関連の部品を開発してきました。
阪根 信一社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「カーボンで、これだけのことを一からやれる会社は世界でもあまりないんじゃないかなと思います。」
この工場では、素材を原料の配合から手掛けています。
そこで磨いたのが測定技術です。
最適な素材を作るため、原料の成分や特性を解析し尽すために測定器を自分たちで一から作り上げたのです。
測定技術を活かした製品が既にあります。
それはゴルフクラブのシャフトです。
ちなみに、価格は一番安いモノで12万円、一番高いモノは1200万円といいます。
カーボンで作った完全オーダーメードの製品なのです。
素振りの軌道を測定して1本ずつ作ります。
阪根社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「全て(の製品)に共通しているのが自社で開発している測定器。」
「当社にしかない測定器で作り上げた製品ですので、なかなか他社が真似出来ないというところで・・・」
新家電「ランドロイド」の要も測定器なのです。
全く手本のない中で開発にあたり、企業秘密だらけの「ランドロイド」ですが、たどりついたかたちの内部にはカメラとロボットアームがあります。
カメラで服の種類を判別し、それをロボットアームで折り畳みます。
持ち方でかたちが変わる服は判別が難しい、そこで自社の測定技術が生きました。
なお、「ランドロイド」の開発には6億円以上を投じてきました。
なぜ大企業に出来ない新家電を作れたのか、その理由について阪根社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「技術力が生かせて、かつ世の中の人が誰も挑戦していない難しいもので、完成すれば爆発的に売れるもの。」
「イノベーションレベルが高ければ高いほど批判が多いんですね、どうしても。」
「出来るわけないとか、売れるわけないと。」
「その批判に耐え抜いてやり切る根性と勇気を持つことが多分一番大事(だと思います)。」
「家電メーカーでなくて、その難しさを十分理解していなかったから旗を揚げられた可能性はありますね。」
「やはり日本は技術立国のトップであり続けないといけないと思っているので、それの一端を担えたらなあと強く思っています。」
こうして、「ランドロイド」について、パナソニック、大和ハウス工業と業務提携も10月7日に発表し、2016年度中に「折り畳み専用機」の販売を始めるといいます。
この時点では、一気に40枚のTシャツを入れて畳めるようにしたいといいます。
ちなみに、洗濯物を1枚ずつ畳むのにかける時間は、主婦の人生の中でほぼ1年分に相当するといいます。
今後は、2019年に洗濯乾燥機との一体型を、また2020年には自動で家の棚に仕分けるスマートハウス組み込み型も販売する計画といいます。
家電に無縁だったベンチャー企業が10年かけて生んだ技術が私たちの生活を大きく変えていく可能性を秘めているのです。
それにしても、洗濯物を自動で折り畳める技術など夢のまた夢だと思っている人たちは私も含めて沢山おられると思います。
それが、なんと来年度中には市販化される見込みというのです。
まさに“ビックリポン”です。
思えば、テレビが初めて日本に登場した時も人々は驚嘆しました。
そして、その当時の白黒テレビの価格はサラリーマンの月給が3万円といわれた時代に1台30万円前後と、まさに高嶺の花だったといいます。
これを「ランドロイド」に当てはめると発売当初は数千万円であってもおかしくありません。
でも、テレビの普及と同様に東京オリンピック開催の2020年にはある程度の富裕層のお宅には「折り畳み専用機」が普及しているのではないかと想像されます。
更に、2030年頃にはある程度の一般家庭にもスマートハウス組み込み型の「折り畳み専用機」が普及しているかもしれません。
あらためてテクノロジーの持つ力の素晴らしさを感じます。
阪根社長のおっしゃるように、日本は技術立国のトップであり続けることを目標に、世界中の人たちに便利さと豊かさを届け続ける国であって欲しいと願います。
今回ご紹介したセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズはそうしたトップランナー企業の一社だと思います。