8月5日(水)放送の「日本を動かした5人のキーパースン」(BSジャパン)でその一人として経営の神様と言われた松下幸之助さんが取り上げられていました。
松下幸之助さんと言えば、数々の名言を残されていますが、今回特にお伝えしたいのは人材抜擢法についてです。
その前に、まず松下幸之助さんの名言について、以下にそのいくつかを番組を通してご紹介します。
(人材育成について)
「なんと申しましても人であります。」
「この会社が良くなるのも悪くなるのも。」
「みなさんがやれると信じたならば必ず出来るということを申し上げたい。」
「これはいかんなと思っても、まず褒めてやる。」
「社員を頼りないとか、うちの社員は困るとか愚痴を言う商店や会社で成功した試しはない。」
「部下に大いに働いてもらうコツの一つは、部下が働こうとするのを邪魔しないようにすることだ。」
(事業に取り組む姿勢について)
「今まで失敗したということは数少ないです。」
「それには成功するまで止めない。」
「5年かかろうが10年かかろうが成功するまで止めない。」
「常にいい物をつくっていれば、必ず売れる。」
「実際の仕事をしている企業は不景気に伸びていく。」
「思ったことが全部実現したら危ない。」
「3回に1回はうまくいかないことがあってちょうどいい。」
(松下政経塾設立の狙いについて)
「あれは急に思い立ったんじゃないんです。」
「戦後、日本の復興に入ったでしょ。」
「もう一度、教育の在り方とか、これでいいのか疑問を持ったわけです。」
「経済の問題があってもそれを解決するのは政治だ。」
さて、今回特にお伝えしたのは人材抜擢法についてですが、かつてインタビューしたことのある田原総一朗さんは、当時を振り返って、松下幸之助さんは次のようにおっしゃったといいます。
「頭の良さや健康、誠実さは関係ない。」
「運が良いか悪いかだと。」
「運が良いか悪いかは分かる。」
「運とは、難しい問題にぶつかった時、あるいは矛盾にぶつかった時、それをいかにポジティブ、前向きに捉えるか、もっと言えばそれを面白がられるかどうか、そう取り組めば運は向いてくる。」
私たちは、ふだん何となく運が良いとか悪いとか言っていますが、松下幸之助さんの考える人材抜擢法で意味するところの運の良さはとてもユニークな解釈だと思います。
そして、とても実践的な人材抜擢法だと思います。
難しい問題にぶつかった時、それをポジティブに捉え、前向きに面白がって難問に向き合えば、気分的に余裕が生まれ、いろいろなアイデアが浮かんできます。
そして、難問に取り組むのが面白いのですから、途中で投げ出すことはなく、難問解決まで諦めることはありません。
ですから、松下幸之助さんは一般的に言われている運の良さを評価しているのではなく、実績に裏打ちされた個人の優れた資質を人材抜擢の際に重視されているのです。
また、松下幸之助さんが今の世の中を見たらなんと言うかについて、田原さんは次のようにおっしゃっています。
「面白がるんじゃないですか。」
「松下幸之助さん的なポジティブ思考は、“だから面白い”と。」
「こういう時に積極的に取り組める、そういう人材を松下さんは作ろうとしたんだと思う。」
今、日本を取り巻く環境は、少子高齢化、国家財政、地球環境、あるいは日中関係など大きな問題に直面しています。
でも田原さんのおっしゃるように、政治や経済・産業界、あるいは学生の中からこうした問題を解決するのが面白いと感じる人たちが少しでも多く出てくれば必ず解決への道筋が見えてくると思うのです。