2015年08月20日
アイデアよもやま話 No.3160 世界初のロボットが働くホテル!

これまでIoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボットについて、世界の先進的な取り組みについてお伝えしてきました。

そうした中、8月4日(火)放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で世界初のロボットが働くホテルについて取り上げていたのでご紹介します。

 

長崎県佐世保市にあるテーマパーク、ハウステンボスは年間約300万人が訪れるレジャー施設です。

ハウステンボスにはお客を呼ぶ独自の戦略があります。

日本一の全長約180mのウォータースライダー、そして世界最大級の電球の数約1100万個のイルミネーションなど、日本一、世界一のアトラクションやイベントでお客の心をつかんでいるのです。

 

仕掛け人は、大手旅行会社HISの会長で5年前からハウステンボスを経営する澤田 秀雄さん(64歳)です。

今年1月、澤田さんは前代未聞のホテルをつくるとぶち上げました。

世界一生産性の高いホテルをつくる、そのためには自動化、ロボット化を限りなく進めようというのです。

その名前は「変なホテル」で、予定通り夏休み直前の7月17日からハウステンボス内の一画で開業しています。

ネット検索してみると、夏休み中ということもあり予約状況も上々のようです。

 

「変なホテル」のロボット化を進めるために、株式会社ココロ(東京都羽村市)に協力を求めました。

ココロでは見た目だけでなく動きもリアルな恐竜ロボットやアンドロイド(ヒト型ロボット)を製造しており、海外からも評価されている完成度です。

ハウステンボスはその技術に目を付け、1年前からロボットの開発を依頼していました。

そして、こちらで作られた恐竜ロボットとアンドロイドが1体ずつフロントに置かれて受付係をし、チェックインやチェックアウト時に自動精算機に案内するというのです。

この他にもクロークに一時荷物を預かるクロークロボット、園内を案内するロボット、部屋まで荷物を運んでくれるポーターロボットなどがおります。

 

「変なホテル」の部屋数は72室、スタッフは通常の25人をロボットが働くことで10人で運営出来るといいます。

その結果、宿泊料金は8月でも4人1室で2万7000円(食事なし)と安く抑えることが出来ます。

 

さて、澤田さんは、日々ホテル経営に携わるうちに近い将来訪れる大きな課題に気付いたといいます。

澤田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「若い労働人口が減ってくると、何が起こるかというとサービス産業の人材が減ってくる。」

「その若い人のサービス人口が減った分をサービスロボットでケアしていくと。」

 

将来の人手不足をロボットが働くことで解消しようというのです。

この「変なホテル」を進化させ、世界展開していくという澤田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世界一生産性を高めるためには90%、ひいては99%、ロボットが全部出来るようにするのが我々の理想なんでね。」

「で、10年後にはホテル業界の歴史を変える可能性がありますね。」

 

澤田さんの危惧されているように日本の少子高齢化は進み、労働人口が減っていくことは避けられない状況です。

そうした中、これまでお伝えしたようにIoT、AI、ロボットといった技術を駆使して労働人口不足を補うことは国際競争力を維持するうえでも避けて通れません。

そして、AIやロボットには人と比べて圧倒的なメリットがあります。

それは、24時間、365日働き続けることが出来、疲れ知らずで、指示した通りに正確に仕事をこなし、しかも残業代を支払う必要がないということです。

 

日本に限らず、先進国の人件費は途上国に比べて一般的にまだまだ高いのが現状です。

でも、日本の産業全般でIoT、AI、ロボットといった技術を駆使してこうした技術のメリット最大限に活かすことによってトータルとして人件費よりもコストを抑えることが出来るような状態になったらどうでしょうか。

世界の労働状況は一変するはずです。

 

個別に見ると、今回ご紹介したホテルだけでなく既に銀行などではロボットの実験的な使用が進められています。

更に、ソフトバンクで開発された「ペッパー」は今年10月から法人向け販売が予定されています。

こうした動きが加速することによって、少なくとも人件費の高低による工場などのより人件費の安い途上国への世界的な移転といった動きは止まるはずです。

また、労働者は危険を伴う作業からも解放されるようになります。

一方では、以前にもお伝えしたように単純作業のみならず、今回ご紹介したホテルのフロントなど様々な職種はAIやロボットに取って代わられます。

ですから、労働者を取り巻く環境は世界的に一変するはずです。

その結果、人とAIやロボットとの労働における住み分けの見直しが必要になります。

 

ということで、今、私たちはこれまでの産業革命よりもはるかにインパクトのある産業革命の時代を迎えようとしているのです。

そして、世界に先駆けて少子高齢化を迎えつつある日本は、今回の産業革命によって最も恩恵を被る可能性を秘めているのです。

ですから、IoT、AI、ロボットの3点セットの組み合わせによるサービスの最大限の活用を進めることこそ、日本の明るい未来、ひいては世界の明るい未来につなげることが出来ると思うのです。


 
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