2015年04月15日
アイデアよもやま話 No.3051 次の大量絶滅の原因は人類!?

1月24日(土)放送の「地球ドラマチック」(NHK Eテレ東京)で「大量絶滅の謎 〜恐竜はなぜ滅びたのか〜」をテーマに取り上げていました。

番組で人類の活動も大量絶滅につながる可能性があると指摘していたのでご紹介します。

 

これまで大量絶滅の原因として、巨大隕石の衝突、そして大規模な火山噴火の2つが上げられていました。

そして今、地球は哺乳類を頂点とした生命の新たな黄金時代を迎えています。

生物の多様性はかつてないほどのものになりました。

ところが、新たな大量絶滅に近づいていると考える科学者もおります。

原因は私たち人類だというのです。

新たな大量絶滅について研究している古生物学者のアンソニー・バーノスキーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人類は自然環境を破壊する存在になってしまい、地球の40%に当たる地域を作り替えてきました。」

「しかも2050年までに人口は更に30億人近く増えると予想されています。」

 

生物の多様性を育む森林が今広大な範囲にわたって消滅しつつあります。

森林以外の自然環境も失われています。

70年前アフリカの草原には40万頭のライオンが生息していました。

現在はおよそ3万頭にまで減り、生息している地域も分断されています。

バーノスキーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人類は他の生物の生息場所を奪い、まとまって生きることも出来ない状態にしてしまいました。」

「しかも人類は気候まで変化させています。」

 

人類は過去の大量絶滅に匹敵する規模で地球の大気を変化させているとバーノスキーさんは警告しています。

シベリアの火山噴火と同じように温室効果ガスを大量に放出しているのです。

過去1世紀にわたってCO2濃度と気温は上昇し続け、世界中の生態系は危機に瀕しています。

 

21世紀末には地球の平均気温は5℃程度上がる可能性があります。

これは大量絶滅が起きたヘルム紀の終わりと似た状況です。

進化生物学者のショーン・キャロルさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「気温の上昇がどんな影響をもたらすのか正確なことは分かりません。」

「現在も科学者が予想しなかったような事態が起きて、絶滅に瀕している生物がいます。」

 

気候変動の影響は陸上だけでなく、海の中にも及んでいます。

カリフォルニア州の沿岸では、CO2は海に溶け込んで水質が変わりつつあります。

バーノスキーさんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「水質が以前よりも酸性化しています。」

「これは特に貝や甲殻類などの生物にとっては致命的です。」

「海水が酸性化すれば、殻や骨格を作れなくなってしまうからです。」

「既にアメリカの西海岸北部ではカキやホタテの幼生が死滅する被害が確認されています。」

 

このままの状態が続けば、海の酸性化は更に進み、地球の歴史上最大のペルム紀末の大量絶滅が起きた頃と変わらないほどになると予測されています。

バーノスキーさんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「2070年までに地球上のサンゴ礁はほとんど消滅するという予測もあります。」

「そうなれば、魚類の25%が死滅することになります。」

「その結果、漁獲量も10%は減少するでしょう。」

「私たち人類は大切な食糧源を失うことになるのです。」

 

生息地の破壊、CO2濃度と気温の上昇、海の酸性化、人類が自然にもたらしている影響は私たちが考えている以上に大きなものなのです。

バーノスキーさんは、過去の大量絶滅で姿を消した生物と現在の絶滅危惧種のデータを比較し、分析しました。

その結果、現代の生物の多くは非常に速い速度で絶滅に向かっていることが分かったといいます。

生物は通常の12倍の速さで絶滅しているとバーノスキーさんは考えています。

現在、哺乳類の4分の1、魚類と爬虫類の5分の1に当たる種が絶滅に瀕しています。

両生類はそれ以上です。

バーノスキーさんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「もし20世紀と同じ速さで様々な生物が絶滅していけば、わずか200年という短い期間に生物の種のうち75%が地球上から永遠に消え去ることになります。」

「人類がこのまま環境破壊を続けていけば、確実に6度目の大量絶滅が起きることになるでしょう。」

「6度目の大量絶滅が起きるのを防ぐことが出来るかどうかは私たちの手に委ねられています。」

「絶滅の危機を避けるために行動を起こすか、黙って見ているか、人類はそのどちらかを選ばなくてはなりません。」

「取れる手段は限られていますが、人類が行動を起こすことを期待しています。」

 

同様に、キャロルさんも番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私たちが今すぐに出来ることの一つは自然保護区を拡大することです。」

「広い空間を確保して、生態系を維持出来れば動物は生き延びることが出来ます。」

「今は哺乳類の時代です。」

「それを恐竜の時代のように終わらせたくはありません。」

「ましてや、人類の手で終わらせるなんてとんでもない。」

「灰色熊やライオンやトラを博物館のはく製でしか見られなくなるなんてまっぴらです。」

「全ては私たちが行動を起こせるかどうかにかかっているんです。」

 

21世紀末には地球の平均気温は5℃程度上がる可能性があり、これは大量絶滅が起きたペルム紀の終わりと似た状況であるとはとても驚きです。

しかもその有力な原因は私たち人類にあるといい、人類がこのまま環境破壊を続けていけば、確実に6度目の大量絶滅が起きると考えられているのです。

 

今、私たち人類はようやくエネルギーや環境の問題に強い関心を示すようになってきています。

でも事態は私たちが思っているよりもはるかに深刻な状況を迎えつつあるようです。

私たち人類は豊かさを追求するあまり、大量絶滅の原因と見られている巨大隕石の衝突、あるいは大規模な火山噴火に匹敵するほどの影響を地球環境に及ぼしつつあるのです。

ですから、私たち人類はこうした事態を真剣に受け止め、地球上の住民として地球環境への負荷を減らすことにもっともっと真摯に取り組む義務があると思うのです。


 
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