昨年12月21日(日)放送の「新報道2001」(フジテレビ)で空き家問題解決のヒントとして古民家再生について取り上げていたのでご紹介します。
新潟県十日町市、この山間の村に空き家問題解決のヒントがあります。
ドイツ人の建築デザイナー、カール・ベンクスさんは、空き家となった古民家の骨組み部分をばらした木材の山は宝の山だといい、昔ながらの木造住宅、いわゆる古民家をリノベーションしています。
カールさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「昔の大工さんは(柱を)勘で作ったから、なるべく丈夫で頑丈、長持ちに作ったんです。」
「直せばこれから何百年も持つんです。」
北国など、豪雪地帯に建てられた古い木造建築は厳しい風雪に耐えるため都心部の家より柱や梁が丈夫に作られています。
番組で紹介された古民家も130年以上風雪に耐えた建物で、柱など骨組みの部分は大きな痛みもなくまだまだ現役で活躍できます。
釘を使わずに組むことのできる古民家は一度解体しても再び組み直せるのです。
ある現場に建っているのは一度ばらした古民家の骨組みを土台の上に再び組み立てたものです。
家の中心部分には高い強度を誇る古民家の木材がしっかりと組み込まれています。
足りない部分だけ新しい木材で補強されます。
こうしてできた骨組みに最新式の外壁材を使い、外側を完成させます。
すると外見は変われど、古民家の丈夫さを維持した家へと生まれ変わります。
カールさんの事務所も元々は100年以上前に建てられた老舗旅館でした。
閉館後、長い間放置されていたところをカールさんが跡を継ぎ、リノベーションしたのです。
この事務所について、カールさんは次のようにおっしゃっています。
「木がいいし、断熱効果が沢山ありますよね。」
「なんと言いますか、味があるんですよね。」
「触っても寒くないし、冷たくないし、生きているようなものです。」
そもそもなぜドイツ人であるカールさんが日本の古民家に興味を持ったのでしょうか。
ドイツでインテリアデザイナーをしていたカールさんはそのかたわら日本の武道に没頭していました。
それがきっかけで日本を訪れた際、足を延ばした新潟、そこで見た棚田の景色がカールさんの心をつかんだのです。
この景色について、カールさんは次のようにおっしゃっています。
「鏡みたいじゃない。」
「人間が一生懸命やっている感じが出るんじゃない。」
「ここは手作りでしょ。」
「もちろん機械も使っているけど、昔は手で掘っていたんですよ。」
「信じられないくらいですよね。」
「私の好きな古民家もあるし、それだけで非常に満足ですよね。」
棚田、そして古民家と日本人の丁寧で細やかな仕事に魅せられ、移住することを決意したカールさんですが、日本はその後大きな転換点を迎えました。
このことについて、カールさんは次のようにおっしゃっています。
「日本はすごく経済に走ったんじゃない。」
「古いものを捨てて、日本をモダンにしましょうと。」
確かに、高度成長期とともに日本の空き家率は急上昇しました。
より便利で新しいもの、日本人が日本人らしさを失い、多くの古民家が捨てられていきました。
このような状況について、カールさんは次のようにおっしゃっています。
「日本の古民家は世界で一番だし、すごい個性がある建物ですよね。」
「これはなくなると二度と戻ってこない、技術もなくなるし技術家もいなくなるし。」
私はこれまで持続可能な社会の必要性について何度となくお伝えしてきました。
その中には当然建物も含まれます。
そうした中、古民家の木材は100年以上も持ち、しかもとても味わいのある独特の良さがあります。
ですからこれをリノベーションしない手はありません。
木民家にかぎらず、あらゆる建物について出来るだけリサイクルが出来るように、持続可能な社会の実現に向けて関連メーカーには取り組んでいただきたいと思います。