前回、参考にすべきアメリカで最も住みやすい街としてオレゴン州ポートランド市についてご紹介しましたが、その街づくりの視点はコンパクトシティとクリエイティブシティです。
そして、日本国内においても北海道夕張市をはじめ千葉県柏市などでコンパクトシティ化が進められつつあります。
そうした状況の中で、誰しもどんどん人口減少が進んでいくことには日本国民として多少なりとも不安を感じてしまうと思います。
だからといって、再びかつてのように人口が急増してしまうことにも抵抗があると思います。
そこで、今回は世界全体でどのくらいの人口が適しているのかについて考えてみたいと思います。
そのヒントになるのが、人類による地球上の様々な資源の消費量と供給量とのバランスです。
現在、人類が消費している地球の資源量は、地球の持つ生産力の1.5個分といわれています。
また、世界中の人が日本人と同じ消費行動をすれば、地球2.6個分が必要だといいます。
ということは、今の世界総人口約72億人は約48億人になってちょうとバランスが取れるということになります。
ところが、細かく見れば、先進国と途上国とで資源の消費量は異なりますから、大ざっぱに言えば、先進国に住む人たちだけで地球1個分の消費をしてしまっているかもしれません。
しかも、新興国や途上国では今後とも高度経済成長が見込まれます。
更には、2050年の世界人口は90億人を超えるという予測もあります。
ということで、特にこれからの途上国の高度経済成長、および省エネ技術の進歩を見込むと、地球資源とのバランスで考えれば日本の人口は今の半分以下のざっと5000億人くらいが適しているということになるのです。
こうした観点からしても、日本全体のコンパクトシティ化は方向性として間違っていないということが分かります。
ところが、少子高齢化がどんどん進んでいってしまうと5000億人はおろかどこまで人口減少が進んでしまうか分かりません。
ですから、以前お伝えしたように単なるコンパクトシティ化ではなく、“心地よく暮らせる持続可能なコンパクトシティ”を目指すべきなのです。
住民が心地よく暮らすことができ、あらゆる面で持続可能な社会が実現出来るバランスポイントを適切な人口とするということです。
ですから、どこまでの人口増が持続可能であるかによってバランスポイントは変わってきます。
そのカギはテクノロジーの進歩です。
より効率的な省エネ技術など様々な技術開発によって地球環境に負荷を与えないで人類が住めるキャパシティは変動するのです。
今、世界中で注目を集めつつあるコンパクトシティ化の波の背景には財政難や少子化だけでなく、こうした地球資源とのバランスを保つという観点も必要なのです。