これまで樹林墓地やネット上でのお墓参りについてご紹介してきました。
そうした中、昨年11月25日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で自宅近くの納骨堂で気軽に出来るお墓参りについて取り上げていたのでご紹介します。
故郷を離れて暮らす人が増える中、お墓参りになかなか行けないという人が多いようです。
そうしたもどかしさを解消しようというお墓参りのサービスが都市に住む人、故郷にお墓がある人、地方に住む人、それぞれに合わせて動き出しています。
都市では近くにお墓を持ってきてお墓参りをし易くしようという動きが出ています。
都内品川区に住む男性(73歳)がお墓参りするのは自宅から徒歩2分のところにあるビル内の納骨堂「ひかり陵苑」です。
ICカードをかざし、コンピューターが指定した先に向かうと男性の両親が眠るお墓があります。
こちらのお墓はお骨が収められた納骨箱だけが入れ替わる仕組みになっています。
ビルの内部には7000以上の納骨箱が入る巨大な棚があります。
お骨の情報はICカードで管理されていて、カードをかざすと該当する納骨箱が棚から取り出されます。
およそ1分、訪れた人がお墓にあるブースに到着するまでにセットは完了します。
価格は50年間の契約で85万円〜、管理費は年間1万3000円〜といいます。
この周辺の従来のお墓と比べ予算は3分の1程度です。
焼香するお香やお供えの花も無料で用意されています。
草取りも掃除も必要ありません。
2年前に千葉県にあった両親のお墓を移したこの男性は、自宅から近く好きな時にお参りできるのが決め手になったといいます。
子どもたちも東京に住んでいるため、自分もここに入るつもりです。
また、普段着でも散歩がてらお墓参り出来るので大満足しているといいます。
私もその一人ですが、特に高齢者の中には従来のお墓のイメージに照らすと、こうした納骨堂のあり方にはちょっと抵抗を感じてしまう方が多いと思います。
でも冷静に考えると、実家から遠く離れて暮らす人にとっては、高齢になるにつれて実家の近くにあるお墓までお参りに出かけるのはとても負担になります。
ですから、お墓参りはせいぜい1年に3,4回だと思われます。
そうした時に、今住んでいる自宅近くに納骨されていればいつでも気軽にお墓参りすることが出来ます。
ですから、特に足腰の弱くなってきた信心深い高齢者にとってはこうしたサービスはとてもありがたいのではないでしょうか。
でも、一方ではお墓に眠っている先祖の仏様にとってはお墓参りする人の都合であちこちに移動させられてしまうことになるので居場所が定まらず落ち着かないのではないかと心配になります。
そもそもこうした考え方は古くなってしまった時代を迎えているのかもしれません。
こうした納骨堂の普及の動きは従来のお寺のあり方にも大きな影響を与えそうです。
お寺の住職もこうした動きへの対応が迫られるはずです。