10月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」 (テレビ東京)で驚きのEV(電気自動車)弱点克服策について取り上げていたので3回にわたってご紹介します。
3回目はゼロ円で購入できるEVについてです。
フィリピンの首都マニラ、ここでEVの普及を新たに模索しているのがグローバルモビリティサービス株式会社(GMS)の中島
徳至社長です。
GMSは今年9月から「トライシクル」と呼ばれる3輪のEV5台で実証実験を行っています。
ここで使われているのがMCCU(モバイル コミュニケーション
コントロール ユニット)と呼ばれるこのシステムの肝になる技術です。
黒い小さな箱、MCCUの中にはGPSアンテナや通信機能などが備えられています。
この装置を「トライシクル」の1台ごとに付けているのです。
スマホを操作しただけで停止の信号を受け取った「トライシクル」の電源は入らなくなります。
遠隔操作でどこからでも電源のオンオフを自在に操れるのです。
つまり、この装置が担保となり、銀行からお金を借りられない低所得者層にも分割払いなどで「トライシクル」を販売することが出来るのです。
実は、中島社長は以前EVメーカー「ゼロスポーツ」を経営していましたが、2011年に資金繰りに行き詰まり破産、それでもEVを世界に普及させる夢を諦めずに2013年に日本とフィリピンに拠点を置く新会社を設立したのです。
低所得者層でもEVを購入できる仕組みづくりが当面の目標です。
その仕組みとは、利用者はMCCU付きのEVに乗り、走行情報などをGMSに提供する代わりに様々なサービスを受けます。
例えば、正確な走行距離を保険会社に提供する代わりに保険料を引き下げてもらったり、盗難された時に遠隔操作で電源をオフにしてもらったりします。
また、EVの状態に異常が発生すれば即座に知らせてもらうことも可能です。
中島社長はこれらのサービスの利用料を携帯電話並みにしたいと考えています。
更に、その先には携帯電話を売るようにEVをゼロ円で売りたいと考えています。
サービスを一定期間契約することで車両価格を“実質ゼロ円”にするというモデルです。
こうしたサービスを通じてのEVの普及を狙っているのです。
GMSでは来年こうしたEVをフィリピン市場に1000台投入し、MCCUを使った様々なサービスを開始するといいます。
なお、“実質ゼロ円”の販売モデルの検証も行う予定です。
その後は、勿論日本での展開も視野に入れています。
中島社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「いい車だから売れるのではなく、いい車を売るにはいいサービスが必要なんですよ。」
「今回のこだわりというのは、私がここで倒れてしまたらEVの普及はもうないっていうふうに思っています。」
確かに、EVが実質ゼロ円で購入できれば、これから自動車の急速な普及が見込まれる途上国においては大変大きな支援策になります。
また、最近日本でも超小型EVが関心を集めていますので、3輪のEV「トライシクル」が日本国内でも実質ゼロ円で購入できるようになれば、かなりの引き合いが期待出来そうです。
中島社長のおっしゃるように、どんなに素晴らしい商品でも購入者の手の届く範囲内の価格でなければ普及は限定されてしまいます。
ですから、普及させるためにはそれなりのアイデアが求められるのです。
そういう意味で、実質ゼロ円で購入できるEVというアイデアはとても素晴らしいと思います。