以前から、電気自動車(EV)普及のためにフォーミュラ1(F1)のEV版が開催されればと思っていました。
そうした中、9月15日(月)放送のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)で、今年始まった世界最速のEVを決めるレース、フォーミュラEの開幕戦が中国の北京で9月13日に初開催された様子を取り上げていたのでご紹介します。
舞台は北京の公道を使ったサーキット場です。
今までのレースと違い、響くのは大音量のエンジン音ではなくモーターの回転音です。
そして、もう一つの特徴は途中でのバッテリー切れを防ぐために車を2台用意し、ドライバーがレース途中で車を乗り換えなければならないのです。
なお、フォーミュラEは世界10都市で開催する予定です。
騒音が少なく、排ガスを出さないため公道をサーキット場として使います。
アメリカのクアルコムはフォーミュラEと提携し、このレースで事故が起きた時に先導する車をワイヤレス充電出来るようにしました。
クワルコムは将来走行中の車への充電を目指し、その実験場として期待しているのです。
レース中のEVに充電出来れば、ドライバーの乗り換えも必要なくなります。
今回のレースでひときわ注目を集めたのはチャイナレーシング、中国政府が主導する国家プロジェクトチームです。
今年度は参加する全てのチームが同じ車体を使っていますが、来年度以降は独自で開発したものが参戦できるようになります。
中国は3年以内に国内の技術力だけでレースカーの完成を目指しています。
最高峰のEVレースは最先端技術の開発の場としても期待されています。
ところが、残念なことに今回のフォーミュラEに海外メーカーの名前は多く見られましたが、車体にもタイヤにも日本メーカーの名前は見られません。
ですから、日本のメーカーももっと積極的にこうしたレースへの参戦を検討していただきたいと思います。
また、フォーミュラEは世界10都市で開催する予定ということで、神奈川県横浜市の山下ふ頭にフォーミュラEを誘致しようという動きがあります。
横浜市議会のヨコハマ活性化推進会議の横浜市議会議員のメンバーは老朽化し、物流の拠点としての役目を終えた山下ふ頭は再開発が決まっていますが、その際、市街地レースが出来るように街を整備しようというのです。
今まで市街地レースが出来なかったのは、道路補修に多額の資金がかかったのですが、山下ふ頭の場合は初めから道路を建設したうえでイベントに適した街づくりが出来るというのがメリットだといいます。
山下ふ頭ではクラシックカー・ラリーを開催してきた実績があります。
また、横浜にはEVの普及に力を入れる日産自動車の本社もあるなど、開催地としては最適だというのです。
横浜以外にも、日本開催の候補地としてお台場などもあがっています。
日本はEVの最先進国であり、技術開発や都市活性化のチャンスがあるフォーミュラEですので、是非政府主導で開催に向けて取り組んでいただきたいと思います。
ということで、自動車の技術革新に大きく貢献してきたF1と同様にこのフォーミュラEもEVを進化させるのではと期待されています。
特に、フォーミュラEをきっかけに走行しながらのワイヤレス充電が普及すれば、EVに搭載するバッテリーの容量が最小限で済むので低価格化が進み、またフル充電での走行距離も飛躍的に伸びますから一気にガソリン車のEV化が進むと期待出来ます。