2014年07月23日
アイデアよもやま話 No.2823 2020年のデータ通信量は現在の1000倍に!
6月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」 (テレビ東京)で急増するデータ通信量について取り上げていたのでご紹介します。
 
2020年のデータ通信量は現在の1000倍になると予測されています。(2010年比 NTTドコモ予測)
このような予測に向けて、世界をリードする最新技術の開発が国内で進んでいます。
NTTドコモR&Dセンター(神奈川県横須賀市)では次世代の通信規格、5Gの開発を進めています。
 
5Gの肝と言われるのは”マッシブマイモ”アンテナです。
”マッシブマイモ”とは従来よりも多くの電波を使った通信技術です。
20cm四方の箱の中にある金色に輝く丸、256個の一つ一つから電波が出ています。
256の電波を束ねることにより電波が強くなり、大容量通信を可能になります。
この5Gの技術で2020年に現在の1000倍の容量を目指すといいます。
 
現在のLTEでは一つの基地局で多くの人と通信するため通信速度には限界があります。
一方、5Gでは基地局の数がおよそ10倍に、そしてそれぞれに”マッシブマイモ”のアンテナを付けることで現在の30倍の速さを実現できるといいます。
4K動画の取り込み比較実験では、LTEがたびたび止まる一方で、5Gは一度も止まらずあっという間にダウンロード出来てしまいました。
 
世界に先駆けNTTドコモが技術を開発するには訳があります。
通信技術の開発で過去に苦い経験をしているのです。
独自に開発した携帯電話、ムーバでは日本の規格が世界と異なる”ガラパゴス化”を招きました。
今回は、サムスンやノキアなど5Gの開発を進める世界の企業と提携、世界標準であらゆるビジネスでのリードを狙います。
 
一方、沖縄では無名のベンチャー企業が世界標準を狙って動き出しています。
ランプサーブでは北谷町が運営する駐車場でこの夏から新たなサービスを始めるといいます。
監視カメラの映像データをLED通信で100mほど離れた建物に送るのです。
LED通信とはLEDの光を使い、無線で通信する技術です。
この駐車場では敷地にケーブルを敷かず、カメラの映像をLED通信で管理室に送っています。
 
このLED通信の仕組みは、送りたいデータを0と1にデジタル変換します。
光が消えているのが0、点いているのが1として光の点滅でデータを送るのです。
距離は光が届く範囲、通信速度は5Gとほぼ同じ(10Gbps)です。
 
豊社長は、LED通信を世界で初めて携帯電話事業に応用しようとしています。
携帯電話の基地局間の光ファイバーをLED通信に置き換えるという展開をしようというのです。
 
LED通信の設置コストは光ファイバーの半分、更に地面を掘り起こす必要がないので工事期間も短くなります。
こうしたことから、世界標準として勝負出来ると考えているのです。
 
そこで、6月11日に豊社長は通信を監督する総務省を訪問しました。
LED通信をまずは国内で大々的に展開出来ないか要請しに来たのです。
ところが、総務省からは実績を作らないと標準化の主力を取るのは難しいと言われました。
その理由は、通信インフラなので信頼性が求められる、そうした時に通信キャリアは障害が起きると影響が大きいのでリスクを取りたがらないことにあります。
 
一方、インターネット電話スカイプの生まれたIT先進国、エストニア共和国がこのLED通信技術に関心を持ち、昨年から協業により実証実験を進めています。
そして、6月12日、エストニア共和国でランプサーブのスタッフによる会見が開かれました。
そこで7月から簡単で早くて安い革新的なLED通信で地元通信会社の基地局を結ぶと発表したのです。
地元での注目が集まる中、LED通信は世界の携帯事業の中で第一歩を踏み出しました。
 
日本発のNTTドコモによる”マッシブマイモ”もランプサーブによるLED通信はも革新的で素晴らしい技術だと思います。
ですから、世界各国の企業と組んで、ガラパゴス化しないように、是非世界標準を実現して欲しいと思います。
更には、これまでの技術で勝ってビジネスで負けるということのないように、ビジネスとしても成功を収めて欲しいと思います。
 
それにしても、10人にも満たないようなベンチャー企業、ランプサーブからこのような技術が生まれたというのは時代の転換点を感じさせます。
今後ともランプサーブの動きから目が離せません。

 
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