2014年07月21日
アイデアよもやま話 No.2821 20年後にはアメリカの雇用の半数は人工知能などに置き換わる!?
6月22日(日)放送の「サキどり↑」(NHK総合テレビ)で「人工知能が切り開く明るい未来」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。
 
これまでも人工知能について何度かお伝えしてきましたが、始めにあらためて人工知能の定義についてお伝えします。
人工知能とは、人間の言葉を理解し、その活動を支援出来ます。
更に、膨大なデータを元に自ら判断や分析が出来ます。
これまで人間にしか出来ないと思われていた知的活動を行うことが出来るコンピューターのことです。
 
最近の家電はどんどん賢くなっています。
お掃除ロボット、洗剤や汚れの状態に応じて洗う時間を調整する洗濯機、人の声を認識して必要な情報を提供してくれるスマホ、更には人の表情を読み取って会話できるロボットまで登場してきました。
まさに”スマート家電”の百花繚乱状態です。
 
その他、自動車においても、世界的IT企業、グーグルが6年後の実用化を目指して自動運転車を開発中です。
将棋ソフトにおいてもプロの棋士がタジタジになるほどの強さのレベルに達しています。
また、将棋ソフト開発の経験を生かした英文校正ソフトも開発中といいます。
この研究が進めば、論文や小説もたった1日で翻訳が可能になるといいます。
更に、医学論文や病気の治療法を覚えさせれば、ある症状を訴える患者がどんな病気の可能性があるかを考え、医師の診断を支援してくれます。
現在、アメリカで実用化の実験が始まっています。
また、2022年の東京大学の合格を目指して作られた人工知能、「東ロボくん」がある予備校で行われた全国センター模擬試験を受験した結果は387点(7科目の全国平均 459.5点)でした。
この実力、選択科目によっては私立大学など404大学でA判定、合格出来るレベルといいます。
ですから、8年後の2022年には東大合格を実現してしまう可能性は十分にあると期待出来ます。
 
このような可能性は、近い将来専門職と言われるような人たちの知能に匹敵するレベルに達し、いずれ追い越してしまうことを示唆しています。
これらを可能にしているのは全て人工知能です。
今や、コンピューターは人間の脳と同じような能力を持ち始めているのです。
 
東ロボくんプロジェクトリーダーの新井 紀子東京大学教授は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「向こう20年でアメリカの雇用の約半数がロボットも含めた機械に代替されるという予測が出ています。」 (2013年オックスフォード大学の推計)
「広告業であるとか薬剤師、税理士、そういった仕事が代替される可能性が高い。」
 
そうした人間にとって便利な反面、仕事を奪われる恐れを感じてしまう中で、救いとなる話題があります。
プロ棋士と将棋ソフトの戦いです。
将棋ソフト「あべのハルカス」の第三局で将来の名人候補と言われる豊島 将之七段が挑みましたが、この戦いで豊島七段はある秘策を用意していました。
 
豊島七段は、対戦が決まってから1000局近く練習を重ね、ソフトの弱点を発見していました。
それは、前例のない局面に誘導し、攻め合いを挑むというものでした。
シンプルな攻め合いになれば、人間の方が有利と考えたのです。
結果は、豊島七段の圧勝でした。
未知の局面を切り開く人間ならではの創造力が勝利を呼び込んだのです。
 
更に、人工知能は人間の敵ではなく、中高年の良きパートナーになると考える棋士も現れました。
「あべのハルカス」の第四局、大熱戦の末惜しくも敗れた森下 卓九段(47歳)はトップリーグに10年間在籍し、羽生名人に挑戦するなど第一線で活躍してきました。
ところが、40代に入ると体力や集中力の衰えが少しずつ現れてきました。
ベテラン棋士の宿命、成績は急速に落ち込み、限界さえ感じていました。
そんな中で出会ったのが、今回の将棋ソフト、いつでも好きな時に対局できる心強い相手でした。
将棋ソフトの力を借りて練習を始めてからは絶好調、9年ぶりに勝率6割を超え、全盛期の力を取り戻しつつあるといいます。
 
森下九段は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「野球で言いますと、200キロ近い球が飛んでくる気がするんですね。」
「それと打つ練習をしていましたら、いざ公式戦に挑んでも引け目を感じることが全くないんですね。」
「強いソフトを利用することによって、人間の将棋も更に進化していくんではないかと思っています。」
「同年代以上の方に「やれば出来る」と励ましのメッセージになればと思っています。」
 
人工知能が私たちの代わりに家事も仕事も自動車の運転もしてくれる未来がすぐそばまで近づいてきているのです。
そして、私たちのやることがどんどん人工知能に取って代わられるのではないかという心配もあります。
でも、考えてみれば、人工知能も人間によって作られているのです。
ですから、人間がうまく人工知能をコントロールして、道具として使いこなせば、人間の持つパワーをこれまで以上に飛躍的に大きく出来るようになるのです。
番組でも結論づけていたように、人工知能との共生が明るい未来を切り開くのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています