2014年02月16日
No.2688 ちょっと一休み その424 『宇宙船地球号 その5 アメリカで進むシェール革命!』
昨年11月29日(金)から今年1月24日(金)まで4回にわたって「スペースシップ アースの未来」(NHK BS1テレビ)が放送されました。
そこで、以下のような流れでこれまでご紹介してきました。
 
今回は、「燃料タンクは枯渇する」というテーマの昨年12月6日(金)放送の「スペースシップ アースの未来」(NHK BS1テレビ)から、アメリカで進むシェール革命についてご紹介します。
 
前回、化石燃料は二度と手に入れることの出来ない大変貴重なエネルギーであるとお伝えしましたが、スペースシップ アースの奥深く、今の私たちの文明を支える燃料タンクには様々な化石燃料が眠っています。
石炭、石油といったこれまで人類が手にしてきた在来型エネルギー、そしてこれまでの技術では採掘が困難とされてきた非在来型エネルギーです。
世界に先駆けて期待の非在来型エネルギーを手に入れたアメリカは今空前のエネルギーブームに湧いています。
 
以前、オバマ大統領は次のように演説しています。
「我々の手元には100年分のガスが眠っている。」
「いずれはエネルギーの輸入量を半分にでき、天然ガスだけで60万人を雇用出来る。」
 
エネルギー危機を救うとまで言われるアメリカが手に入れたもの、それがシェール層です。
天然ガスだけでなく石油も採掘出来るようになり、埋蔵量は合わせて国内消費100年分を超えると試算されています。
 
加速するシェール開発は私たち人類に何をもたらすのか、その意義を世界的視野で見つめる人物がいます。
40年以上にわたってエネルギー問題を多角的に分析してきた、ケンブリッジ・エネルギー研究所のダニエル・ヤーギン博士です。
ヤーギンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「シェール開発は天然ガスにおいても石油においてもアメリカのエネルギー供給における革命です。」
「アメリカの石油生産量は2008年に比べて50%も増加しました。」
「更に、天然ガス生産量におけるシェールガスの割合は10年前の1%から44%へ急増しました。」
「天然ガス生産量はロシアを上回り、世界一の座を獲得したのです。」
「シェール開発はとてつもなく大きな出来事です。」
 
空前のシェールブームは各地に大量の雇用を生み出しています。
特に油田が集中するテキサス州やノースダコタ州では失業率が全米でも最低ランクの3〜6%前半で推移、給料もうなぎ昇りです。
更に追い風は続きます。
大量の燃料を必要とする世界中の化学メーカーがアメリカで次々に工場を建設し始めたのです。
狙いは安い燃料費です。
シェールガスの大増産により、国内の天然ガス価格(100万BTU当り)は12ドル(2008年)から一気に3ドル(2013年)に低下しました。
 
IEA(国際エネルギー機関)の予測によれば、アメリカは2020年代にサウジアラビアなどを抜き、世界最大の石油、天然ガスの産出国になります。
世界はこの熱狂を18世紀の産業革命になぞらえてシェール革命と呼んでいます。
 
そして今、アメリカに後れを取るまいと各国が動き出しました。
熾烈な燃料タンクの争奪戦です。
カナダのオイルサンド、地殻変動で砂の層に石油が染み込んだものです。
確認されている埋蔵量は1700億バレル、これは日本の年間石油消費量の100倍に値します。
ブラジルが着目するのは深海油田、およそ2000m下の海底、そこから更に岩盤を砕き、油を吸い上げます。
ベネズエラ、オリノコ川流域に眠る超重質油、粘りけが強くパイプ輸送が困難なために敬遠されてきましたが精製技術の発展により輸送が可能になりました。
 
このように、先進国の豊かな生活の維持、あるいは途上国の経済成長を支えるために、今アメリカを中心に世界各国は新たに非在来型エネルギーの開発、獲得に向けて猛烈に突き進んでいます。
日本もその例外ではなく、原発稼働停止の穴埋めのために天然ガスを中心に化石燃料の獲得先を求めて関連企業は邁進しているのです。 
”脱原発”、あるいは”原発依存”と単純に割り切って考える際に、まずこのような国内企業の取り組みがベースとなり、私たちの日々の暮らしが成り立っているという自覚を私たちは持たなければならないと思うのです。

 
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