2014年02月07日
アイデアよもやま話 No.2681 日本は規制改革後進国、その対策は・・・
昨年12月28日(土)放送の「田勢康弘の週間ニュース新書」のゲストは(ジャーナリストの田原 総一朗さんと慶應義塾大学教授の竹中 平蔵さんでした。
 
お二人の対談の中で、特に私が注目したのは政府の規制改革に関するお二人の次のやり取りです。
(田原さん)
「規制っていうのはね、ある種既得権益なんですね。」
「一番大きいのは公務員ですよ。」
「役人たちは規制があるから権限があるんですよ。」
「規制改革して規制を緩和したら役人の、公務員の権限なくなっちゃうんですね。」
「それからもっとひどい、今までの既得権益で一番あぐらかいて既得権益を破らない一番代表が国会議員ですよ。」
「一票の格差、大問題じゃないですか。」
「ところが、1票の格差をやろうとすると、国会議員の数を減らさなきゃいけない。」
「だから、肝心の国会議員までが岩盤規制なんですね。」
 
(竹中さん)
「既得権益を持っている人が規制緩和に反対するっていうのは、考えてみたら世界中そうなはずなんですよね。」
「でもなぜ日本だけこんなふうにもめるんだと、日本の規制改革をやっているランキングというものがありまして、一番規制改革が進んでビジネスのやり易いところはシンガポール、ホンコンなんですよ。」
「日本はかつて40位だったのが28位まで1回上がったんですけど今47位なんですよね。」
「(落ちだ原因は)、特にここ数年間生活が一番とかいう理由で規制をどんどん強化して、今タクシーだってまた規制を強化してますでしょ。」
「世界で先進国って30ヵ国ですから、その中に入らないわけですね。」
「で、どうして日本だけがこんなになるんだろうと考えると、一つはやっぱりそれをガチッと支えている官僚組織があるんですよ。」
「だから、官僚と戦って官僚をねじ伏せないと規制緩和が進まない、今まさに産業競争力会議(?)でやるわけですけれども、いろんな理屈を付けて守ってきますよ。」
「その会議には)我々民間人も入れてくれっていうことで少し入ったし、少しは進んでいるんですが、その岩盤とどう向き合うか、それに尽きます。」
「岩盤規制そのものは全く崩れていませんが、一つ希望を言うと、岩盤は簡単には崩れない、いくら批判しても崩れない、だから岩盤を崩すための装置としての国家戦略特区、この特区から崩そうと、その特区をうまく使えればある程度進むし、でも使い方次第ですから、特区をうまく使えなかったら今の状況が続いてしまう。」
 
実は、国の国会議員や官僚に限らず、民間企業においても組織は一旦出来ると、組織を維持したい、あるいはより大きくしたいという組織防衛の意識が働く傾向があるのです。
ところが、民間企業の場合は、利潤追求、あるいは競合他社との競争原理が働いているので無駄な組織はいつまでも存続することはなく淘汰されます。
また、お二人も指摘されているように、国の規制が多ければ多いほどそれを管理するための官僚が必要になります。
ちなみに、国家議員の削減の必要性については、私も以前アイデアよもやま話 No.2585 消費税増税の前にやるべきことがあるのでは?でお伝えしたことがあります。
 
さて、国会議員や官僚の数を客観的にみて妥当な人数に絞るやり方があれば、一つの歯止めになります。
その方法として、私が上げたいのがベンチマーキング(benchmarking))です。
ベンチマーキングとは製品、サービス、プロセスなどを継続的に測定して、パフォーマンスの良い競合他社やその他の優良企業のパフォーマンスと比較することです。
竹中さんのおっしゃるように、日本は他の先進国に比べて順位が最下位で規制改革後進国と言わざるを得ません。
ですから、この方法を国の組織に当てはめて、最も規制改革の進んでいる国のやり方を参考にしてベストなやり方を検討して導入するのです。
そして、ベンチマーキングを継続的に実施していけば、国会議員や官僚組織が水ぶくれ体質になることを防げるはずです。
勿論、その実行組織は国会議員や官僚から全く独立した第三者機関でなければなりません。
 
さて、今国内ではアベノミクスの一環としても国による規制の緩和の必要性に関心が集まっていますが、そもそも規制の本質とは何でしょうか。
それは、国民の側に立って、食などの安全性やいろいろな観点でのメリットが確保されるためのものであると私は思います。
ところが、規制はその気になれば、いくらでも細分化されてどんどん増えてしまう傾向があります。
ですから、本来の目的の達成と規制の細分化とのバランスが必要なのです。
 
では、そのバランスの着地点とはどこにあるのでしょうか。
その最大の要件は、国民の成熟度合いにあると思うのです。
国民の成熟度が高いほど、規制は少なくて済むはずです。
ところが、どんなに成熟度が高くなっても、残念ながら必ず悪事を働く人は出てきます。
そうした時に、いちいちそれに対応するために規制を増やしていけば、元の木阿弥になってしまいます。
ですから、規制はポイントを外さずに要点を絞ったものにすべきだと思います。
同時に、何でもかんでも規制を撤廃すれば良いというものではありません。
必要に応じて新しい規制も必要なのです。
 
さて、こうした取り組みと同時にとても大切なことがあります。
国会議員や官僚の方々には、常に国民目線で取り組んでいただきたいと思います。
このことは、成長し続けている企業が常にお客様目線を失わないのと全く同じです。
 
同時に求められるのは、国会議員や官僚に対する国民による尊敬の念です。
本来、国会議員や官僚の役割は国民にとってとても大切なものです。
その役割を担ってくれている人たちに対して、尊敬の念を持つのは当然だと思うのです。
その逆に、国民から軽視されたり、税金泥棒などと軽蔑されたりしているのでは、国会議員や官僚の方々は真剣に国務に取り組むやる気を削がれてしまいます。

 
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