2013年10月19日
プロジェクト管理と日常生活 No.302 『ベタープレイスの破産にみる”依存関係”の考慮不足!』
以前、電気自動車(EV)を普及させるうえでの一つのビジネスモデルとして、短時間で充電スタンドでバッテリーを交換するバッテリー交換システムについてお伝えしました。(アイデアよもやま話 No.1202 電気自動車普及の鍵 - スタンドでバッテリー交換! 参照)
 
先日、このビジネスを進めていたベンチャー企業、ベタープレイス(本拠地:イスラエル)のその後の動きが気になってネット検索したところ、今年5月26日、ベタープレイスが会社を清算すると発表したというのです。
追加の基金を集めることの失敗とビジネスの運用継続の為の資源の枯渇がその理由といいます。
 
私はやはりという思いを持ちました。
というのは、ベタープレイスのビジネスモデルが成功する最大の前提条件はEV用バッテリーの標準化です。
ところが、残念ながらEV用バッテリーの国際標準化は未だに全く進んでいません。
というよりも、業界全体がその必要性を感じていないのではないかと思われます。
バッテリーの標準化がなされない状況下でバッテリー交換システムを進めれば、とんでもないことになってしまいます。
EVの種類だけの充電済みバッテリーを充電スタンドに用意しなければならないからです。
これでは投資対効果の観点から無理があるとだれでも判断出来るはずです。
 
ベタープレイスのビジネスモデルは、まさにEV用バッテリーのかたち、大きさの国際標準化という依存関係を解決出来なかったことに敗因があります。
化石燃料への世界的な依存を減らすことを目的としたベタープレイスの会社清算はとても残念ですが、もし将来EV用バッテリーの国際標準化が実現されれば、ベタープレイスのビジネスモデルの復活の可能性はあり得ます。
 
プロジェクト管理において、管理項目の一つに依存関係(Dependency)があります。
プロジェクトのある作業を進めるうえで依存する項目を明らかにして、その依存関係を断ち切るまで管理項目として注視するのです。
 
プロジェクト管理に限らず、どんなに素晴らしいアイデアもこの依存関係を無視しては実現はおぼつかないのです。
ですから、アイデアを確実にかたちにするためには、依存関係には何があるかをしっかりと把握し、その適切な対応が求められるのです。

 
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