11月23日(金)放送のたけしのニッポンのミカタ!(テレビ東京)のテーマは「基準を見ればニッポンがわかる!?」で、日本標準時や野菜のかたち、映画の年齢制限などの基準を取り上げていました。 番組の中から、以前何度かご紹介した和倉温泉(石川県七尾市)にある日本一の旅館、加賀屋について今回はおもてなしの基準についてご紹介します。
創業106年の老舗旅館、加賀屋は『プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選』でなんと32年連続で総合1位といいます。
ですから、一泊一人3万円からという高級旅館ながら、国内は勿論世界中からお客が集まります。
宿泊客を魅了する加賀屋流のおもてなしには次のような独自の基準があります。
・季節ごとに年4回作り替える加賀屋オリジナルの茶菓子
・10種類以上のサイズの浴衣を常備
個別の宿泊客のサイズは客室係が宿泊客と自分の肩の高さや幅を目測で比べて見立てる
力士用のジャンボサイズも常備している
・個々の宿泊客のアレルギーや好き嫌いなどに応じて個別の注文を可能なかぎり受けること
・アンケート会議
宿泊客からのクレームについて総支配人以下、各部門長が集まり、毎月1回検討する
・備品修繕の専門スタッフによる宿泊客目線での備品チェック/修理
・接客作法
宿泊客を見下ろす失礼のないように座ったまま入室する
所作を美しく見せるため、宿泊客への挨拶をする時の指先を着く位置が決められている
音をなるべくたてないように3つの動作でふすまを開閉する
・客室のチェック
髪の毛かど小さなゴミはガムテープで取り除く
かがんで便座を触り、暖かさを確認する
加賀屋では、マニュアルというものはあくまで基本であるといいます。
ベースを知らないと応用が出来ないので、その応用こそが自分たちの一番の見せ場だと加賀屋の教育係はおっしゃいます。
また、総支配人の手島 孝雄さんは番組の最後に次のようにおっしゃっています。
「本来、加賀屋として求めているのは、日本の従来の宿屋です。」
「大きくなっても小さく見せたい、これは人を介在させることによって出来る。」
加賀屋の基準とは、宿を支えるスタッフが巨大な組織に甘んじることなく目の前の宿泊客と真摯に向き合い、きめ細やかなおもてなしを体現することなのです。
さて、プロジェクト管理ではプロジェクトを効率よく進めるために体制や作業の進め方について標準化し、それを文書化して関係者による運用を徹底させます。
そして、各運用部門での最適化が出来るように標準の柔軟な運用を図っています。
加賀屋では標準マニュアルがあり、その応用は現場にまかされていますが、これこそプロジェクト管理でいうところの最適化なのです。
ですから、加賀屋のおもてなし基準はプロジェクト管理の観点からみても理に適っているのです。