2012年08月22日
アイデアよもやま話 No.2223 広がるリサイクルからアップサイクルへの動き!
8月9日(木)放送のワールドビジネスサテライト (テレビ東京)で”アップサイクル”という耳慣れない言葉について取り上げていたのでご紹介します。 

アップサイクルとは、ただリサイクルするのではなく、そこに付加価値を付けることを意味します。
ちなみに、このアップサイクルという言葉はアメリカのオックスフォード大学で考えられた造語といいます。
今、このアップサイクルに取り組む動きが広がっています。
背景には、これまで日本が培ってきた様々なノウハウがあります。

東急ハンズ銀座店では今月から廃材から作られた商品の展示イベントが始まりましたが、以下はその一端です。
・自動車の廃車工場から出たシートベルトを使った蝶ネクタイ
・古い鍵を使ったキーホルダー (2415円)
・ウェットスーツの切れ端で作ったポーチ
・小学校の椅子から作ったハンガー (3本で3000円)

東急ハンズで展示会をしているNPO法人ニューズド プロジェクト(東京都千代田区)では、必要なものを不要なもので作るコンテスト、ゴミコンを企画しています。
廃材を企業からもらい受けて製品を作り、販売を目指します。
ニューズド プロジェクトの青山雄二さんは、企業が廃材を提供するメリットは廃材を使ってデザイン性に優れた機能性のある商品を作れることにある、と言います。

一方、三宅デザイン事務所では、ペットボトルなどから作る再生ポリエステルを使ったブラウスを手がけています。
その素材を提供しているのは服地メーカー、畑岡(福井県福井市)です。
布を織る糸は、古着を分解した再生ポリエステル、これをそのまま使うとただのリサイクルになってしまうのですが、それをアップサイクルさせす技術があるのです。
清涼感、着心地をアップするために、糸をねじる”撚り”と呼ばれる工程、ここで糸を600回ねじることで化学繊維のゴワゴワした感じが消えるといいます。
次に大切な工程は、”横糸飛ばし”で圧縮した空気で糸を鉄砲のように飛ばします。
こうして織ることで、天然素材のような風合いの生地が出来上がります。

また、アップサイクルで被災地が抱える課題に立ち向かう動きがあります。
宮城県亘理町では、津波などで発生した震災廃棄物を中間処理する施設が今年6月から本格的に稼働していて、1日に約2000トンのがれき処理出来るといいます。
その際に、タイヤなどリサイクル出来るものは分別し、再利用しています。
全体の1割程度を占めているこれ以上は分別出来ない屋根瓦やロープなどのがれきを、大手ゼネコン、大林組ではアップサイクルしようとしています。
これらのがれきを固めて作る建設資材、すなわちブロックです。
がれきに含まれる汚染物質が外に出ないように特別な混ぜ方をして作るのです。
ちなみに、コストは通常のブロックの3〜4倍ですが、実用化に向けての準備は整っています。

これまで繰り返しお伝えしてきたように、地球上の様々な資源のほとんどは有限です。
ですから、リサイクル、あるいはそれを更に進化させたアップサイクルはとても大切なのです。
中でも、付加価値を高めたアップサイクルは日本のような資源小国にとっては、ビジネスの進むべき方向性として望ましいのです。

 
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