2011年08月07日
No.1896 ちょっと一休み その291 『放射性物質でごみの焼却ピンチ』
8月6日(土)放送の「みのもんたのサタデーすばッと」(TBSテレビ)を見ていてあらためて福島第一原発事故の影響の大きさについて考えさせられました。

千葉県流山市で草や木などのごみの焼却灰から国の基準を超える1kg当り28,100ベクレルの放射性セシウムが検出された、といいます。
放射性セシウムが付着した草や木が可燃ごみの中に混じり、高い数値が出た、とみられています。
そのため、今まで千葉県外に埋め立て処分してきた焼却灰を清掃工場の敷地内の仮設テントに一時的に保管している、といいます。
ところが、保管スペースの残りがだんだんなくなりつつあり、あと1カ月半くらいの時間的な猶予しかないのです。
焼却灰を詰めた袋(約400kg)が1日15袋ずつ増えているので、このペースでいくと保管場所が9月中旬にも一杯になってしまう可能性があります。
そうなると、焼却炉を止めてストップせざるを得なくなるのです。
ですから、最悪の場合には可燃ごみの受け入れ中止の可能性も出てきてしまうのです。

流山市と同じく、放射線量の高いごみの処理に悩む隣の柏市では、7月中旬から可燃ごみを放射線量の高い「草木」と放射線量の低い「一般」に分けて収集し始めました。
そして、「草木」はそのまま保管し、「一般」ごみのみを焼却し、焼却灰の線量が大幅に下がりました。
しかし、この方法も草木を敷地内で保管しなければならないため、根本的な解決にはなりません。

流山市でもこの方法を取り入れることを検討していますが、過去のごみが一緒に燃やされていくのでそこに草木が紛れ込んでいるので焼却灰の線量が9月中旬までに基準値を下回るのは困難だとみられています。
これについて、環境省廃棄物・リサイクル対策部では、「焼却灰の安全な処理方法について早急に結論が得られるように努めていきたい」、といいます。

この高放射線物質のついては、何も千葉県の流山市や柏市だけの問題ではありません。
東北圏以外にも少なくとも関東圏全域で大なり小なり同じような状況に陥っているはずです。
実際に、多くの地域で放射線量の高い「草木」の処理が出来なくなってしまったら、と考えると暗澹たる気持ちになってしまいます。

福島第一原発事故はこんなところにまで影響を及ぼしているのです。
要するに、原発施設周辺のみならず広範囲にわたって生活全般にいろいろな影響を及ぼしているのです。
ですから、このように次から次へと新しい被害状況が明らかになってくるにつれて、私は国家財政がそのうち対応しきれなくなってしまうのではないか、と危惧を覚えます。
やっぱり、今まで住んでいた場所から長期間避難したり、今までの共同体としてのつながりが断ち切られたり、職業を奪われたり、ということを考えると、いくら原発が低コストだからと言われても”脱原発”を目指さざるを得ない、というのが大方の人たちの気持ちではないでしょうか。

そうはいっても、いざ”脱原発”となれば現在の国内の発電量のおよそ30%分についてどうするか考えざるを得ません。
すなわち、その選択枝は以下の3つのいずれかです。
1.その全てを節電で耐え忍ぶ
2.危険性の大きい原発から徐々に廃止を進める
3.今の生活レベルを維持するために原発事故という大きなリスクを背負ってでも今存在する原発に今まで通り依存する

こうしてみると、現実的な対応策としてはやはり速やかに「2.危険性の大きい原発から徐々に廃止を進める」ではないでしょうか。
もちろん、太陽光などによる代替発電の普及を進めるべきなのは言うまでもありません。

 
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