2011年05月23日
アイデアよもやま話 No.1831 電気自動車(EV)「SIM-LEI」も市販化までの道のりは険しい!?
新たな価値をプラスする材料と技術の複合展「N+(エヌプラス)」 (会場:東京ビッグサイト)に先週19日(木)行って来ました。
その主な目的は、会場で以前ご紹介した株式会社SIM-Driveにより開発された電気自動車(EV)「SIM-LEI」の技術セミナーに出席することと「SIM-LEI」」の実物を見ることでした。

技術セミナーでは、SIM-Driveのデザイン担当の畑山一郎さんと車体担当の小松隆さんがそれぞれの立場から
「SIM-LEI」開発にあたってどのような工夫を凝らしたかを説明されました。
その内容は、一言で言えば、いかにEVとしてのメリットを活かし、ディメリットを克服したか、でした。
説明の中で、特に印象に残ったのは、SIM-Driveのインホイールモター方式を既存のガソリン車の駆動輪と反対側の車輪に取り付けることにより改造EVが出来る、というのです。
そして、回生ブレーキの効率が他の方式に比べて格段に効率がいい、ということです。
なお、「SIM-LEI」の仕様など概要については、アイデアよもやま話 No.1793 いよいよSIM-Driveが先行開発車第1号「SIM-LEI」を完成!を参照下さい。 

実物を観た感想ですが、以下の通り今までの自動車とはかなり違ったものです。
・空気抵抗を最小限にするためのデザインとして、魚をヒントにしたので少しでも面積を小さくするため4人乗りにし、細長いかたちにしている
・4人乗りにしてはゆったりしたすわり心地になっており、トランクスペースもかなり広く感じたが、縦長の空間なので奥に置いた荷物はちょっと取出しにくいと思われる 
・サイドミラーが小さく、その代わりに室内モニターで後方の様子を確認出来る

それにしても250万円でスーパーカー並みの加速力を持った「SIM-LEI」が購入出来たら、世界中の自動車ユーザーから引き合いがあると期待出来ます。
ところが、ものごとはそう単純ではないようです。

会場でたまたまSIM-Driveの清水社長から直接お話を伺う機会がありました。
清水社長によると、このような素晴らしいEV「SIM-LEI」も10万台の量産化に至る開発コストはざっと100億円必要としますが、その資金集めに大変苦労されている、というのです。
ちなみに、大手自動車メーカーであればその10倍であるおよそ1000億円が必要といいます。
価格250万円というのも量産10万台が前提ですので、その条件が満たされなければ250万円以上の価格になってしまうことになります。
SIM-Driveとしては、ゆくゆくは価格を150万円まで引き下げたい、としていますが、何とか開発資金を工面して最初のハードルである10万台の量産化を達成していただきたいと思います。
また、「SIM-LEI」の量産化予定が2013年で市販化は更にその先ということですので、早くても2014年ということになります。

さて、清水社長から開発資金集めに苦労されている、というお話を伺い、あらためてアイデアをかたちにして実際に市販化することの大変さを痛感しました。
「SIM-LEI」のような先進的で大変素晴らしいと思われるEVでも、簡単には開発資金が集まってこないのです。

そこで、思い出されるのは、同じアメリカのEVベンチャーであるテスラモーターズには開発資金が集まり、以前お伝えしたように既に日本でもテスラロードスターが販売されていることです。
これは両国のビジネス・スキームの違いでしょうか。
単なる移動手段というだけでなく、地球環境にも優しいEVの普及のためにも何とか「SIM-LEI」の開発資金が集まり、計画通り250万円での市販化が出来、ゆくゆくは150万円で買えるようになって欲しいと思います。

ちなみに、大々的なEVの普及のためにフル充電での航続距離が100kmくらいでも100万円くらいで買えるEVも出来るだけ早く開発していただきたい、と清水社長にお伝えしておきました。


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