2011年03月22日
アイデアよもやま話 No.1778 科学で見通されてしまう人のココロ!
3月1日(火)放送の爆笑問題のニッポンの教養(NHK)のテーマは「どんなココロもお見通し〜感性情報工学」でした。
とても興味深いテーマでしたのでご紹介します。

現在の科学は、好き嫌いや喜怒哀楽など、人のココロの内まで脳波を数値化することによって見通すことが出来てしまう、というところまで来ているのです。
ですから、ジャンケンで相手が次に何を出すか、あるいは、好きと言っているが本当は嫌いであるとかが分かってしまうのです。
また、車椅子やロボットも脳波で制御出来てしまいます。

カオス・フラクタル理論を応用し、このような研究をしているのは、長岡技術科学大学の中川 匡弘教授です。
更に、中川教授は日本人や欧米人の感性の違いを反映した、感性価値を持った製品開発に取り組んでいます。

その一つがテニスラケットです。
ラケットでテニスボールを打った時の快感がより強く、不快感がより少ないものを商品化しようとしています。
脳波をリアルタイムで読み取ることで製品の使い心地、という曖昧なものを数値化出来るのです。
また、次世代自動車の開発では、クルマの前方に人が飛び出した瞬間、ドライバーの驚きの感情が急上昇、こうしたココロの動きやドライバーの目線の方向などを瞬時に読み取り、自動的にハンドルやブレーキが作動して事故を防ぐシステムを開発中です。
一方、ゲーム業界でも遊んでいる人の感情を読み取って、その人が一番楽しいと感じる難易度に自動的に変更するプログラムが研究されています。
ですから、将来、一人一人のゲームプレイヤーの気持ちに合わせてくれる、今までにないゲームが出来るかもしれません。

中川教授は、将来、脳波計がワンコインで買えて、マイ電極を持てる時代がやってくる、と考えています。
また、本当に矯正したかどうかを確認するために少年院の矯正プログラムにもこの技術を応用する、という話もあります。

本当にマイ電極が持てるような時代になると、とても心地良い生活が送れるようになります。
何しろ直接脳の反応に対応したかたちで楽しさが追及出来るのですから。
一方では、この最も大切な個人情報が悪用されれば、とんでもないことになります。
言葉は信用出来ず、常に自分のココロが相手に分かってしまえば、建前と本音、という文化が崩れてしまい、スムーズなコミュニケーションが出来なくなってしまいます。
ですから、感性情報工学のような科学の利用は、諸刃の剣、と言えます。
やはり、ここでも出来ることは何でも実用化すればいい、と言うものではないことが言えます。

また、感性情報工学のような科学の行き着く先には、そもそも人とは何か、という根源的な問題提起が待ち受けています。
パスカルの言葉「人間は考える葦である」にあるように、考える、あるいはモノを創造する気持ち、すなわち、いろいろなアイデアを生み続けることこそが人が人であることの最後の拠り所ではないか、と思うのです。

 
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