2010年10月05日
アイデアよもやま話 No.1634 日本を元気にする「グリーンフロート構想」!
9月30日(木)、10月1日(金)と二日間イノベーション・ジャパン2010フォーラムに行って来ました。 (会場:東京国際フォーラム)
その主な目的は「グリ−ンフロート」という聞きなれない言葉の内容はどんなものか、をシンポジウムを通して知りたい好奇心からでした。
ということで、今回は「グリ−ンフロート」という日本には大変珍しい壮大な構想についてお伝えします。

2年ほど前に清水建設により提案された「グリ−ンフロート構想」は、赤道直下に直径3000m、高さ1000mの人工アイランドを建設し、4万人が居住する、という夢のような構想です。
ちなみに、今回のシンポジウムで知ったのですが、清水建設には創業以来、このような一見建設業の枠を外れたようなプロジェクトを何度か立ち上げた実績があるそうです。

この構想には、以下のキーワードがあります。
・2025年に赤道直下に浮かべる環境アイランド (実際には、2025年着工を目標)
・地球環境時代の「新しい豊かさ」
・高さ1000m、直径3000mの植物質な人工島
・カーボン・マイナス、食糧自給、廃棄物ゼロ
・赤道直下の快適環境(都市空間) : 空中都市、海上都市
・太平洋ゴミ大陸の浄化、台風発生モニタリング

「グリ−ンフロート構想」の実現のためには多くの新技術が必要になります。
そこで、2010年5月、全国14大学で構成するスーパー連携大学院コンソーシアムと清水建設、野村証券は、これらの技術の実用化に向けた研究開発について三者協定を締結し、始動しました。
ちなみに、スーパー連携大学院コンソーシアムは、産学官連携で新技術の研究・開発を行います。
今後は、具体的に個別の課題ごとに「研究会」を発足して推進する運営になっています。
ですので、現在、研究者、大企業、ベンチャー企業などさまざまな企業、その他多くの参画を求めています。

シンポジウムでの講演を聴いた限りでは、まだまだ構想段階ですが、具体的には次のようなことが考えられています。
「グリ−ンフロート」という命名のとおり、海中の光の確保という海洋環境への配慮から、固定式とはせず、ゆるやかな潮流に浮遊する方式を採用している
 (ただし、潮流の分岐点における移動や位置制御時のみ、電磁誘導や動力を利用する)
・タワーは大地への日照を最大限にするために、逆円錐形の形状になっている
・居住空間として、高さ700m以上に3万人分、その他のタワー部分に1万人が働く業務ゾーン、水辺部分に1万人分の居住区を用意している
・電力源として、宇宙太陽光発電や海洋温度差発電など再生可能エネルギーを候補に挙げている
・食糧自給率100%を目指して、タワーの中央部には最先端のバイオ技術を備えた広大な植物工場を建設する

なお、肝心の
「グリ−ンフロート構想」実現のために必要な資金ですが、関係者によると概算見積りでは最低でも10兆円、余裕をみておよそ80兆円、とのことです。
また、「グリ−ンフロート」に具体的にどのような人たちが居住するのか、あるいはビジネス・モデルとしてどう成立させるか、などについてはまだ明確なイメージはないようです。
でも、将来的な方向性として間違いのない”持続可能な社会”の具体的なかたちの一つとして、「グリ−ンフロート」はとても夢のある構想だと思います。
そして、「グリ−ンフロート構想」が結果的にどのようなかたちになろうともそこに至るいろいろなアイデアやテクノロジーは様々な分野で応用されることが大いに期待出来ます。
また、個別技術は得意としますが、技術を統合して管理する仕組み作り、あるいは実際のマネジメントを不得手とする日本人の特性を打破するチャレンジでもあります。
ですから、何とか多くの人たちのアイデアを結集して「グリーンフロート構想」の実現を成功させていただきたいと思います。

 
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