2010年03月18日
アイデアよもやま話 No.1462 量子ドット半導体で電子立国!
3月2日(火)放送のワールドビジネスサテライト (テレビ東京)で「電子立国復権へ ”量子ドット”で挑む」をテーマに取り上げていましたのでご紹介します。

神奈川県厚木市に世界が注目するベンチャー企業、株式会社QDレーザ(2006年設立 社員約30人)の開発拠点があります。
社員は、日本の名だたるメーカーから集められた人材から構成されています。

こちらで開発されているのは、次世代光半導体で”量子ドット”と呼ばれるものです。
光半導体とは、電流を流すとマイナスの性質である電子がプラスの電荷と結びつき光を放つ半導体です。
LEDやレーザーもその仲間なのです。
”量子ドット”はそれを10万分の1の約10ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)にしたものでウイルスよりも小さい米粒のようなものです。
従来の光半導体では電子と電荷が自由に動き回っているため結びついて光る確率が低いのです。
ところが、”量子ドット”は電子1個がぎりぎり入る大きさで周りの電子を吸い寄せる性質を持っています。
そのため、マイナスの電子がプラスの電荷と結びつく確率が高く、飛躍的に効率を上げることが出来る、まさに夢の技術なのです。
本技術は、富士通株式会社、および株式会社富士通研究所と東京大学荒川研究室との産学連携、および独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援にもとづいて開発されました。

こうして、現在量子ドット半導体を量産出来るのは世界でQDレーザだけです。
それを使って作られたのが光発生装置です。
これを光回線に使われる家庭用のONU(光回線終端装置)に使えば、従来よりも3割省エネで、韓国の通信会社により既に採用済みです。
更に、これまで量産が困難だった緑色レーザーも”量子ドット”を使うことで量産に成功しました。
赤青緑の光の3原色が揃い、どんな色でも出せるようになったことで”レーザープロジェクター”が可能になったのです。
レーザーはどれだけ離れていても光が広がらない性質のため、従来のプロジェクターに不向きだったピント合わせの装置が必要ありません。
そのため数ミリ程度まで小型化が可能で、パソコンや携帯電話などにプロジェクター機能を搭載することが出来るようになるのです。
これは、”プロジェクター革命”と言えるのではないでしょうか。

番組の中で、QDレーザの菅原充社長は次のようにおっしゃっていました。
「先端時術をいかに標準化するかが大事だと思います。」
「半導体レーザー分野のインテルのような会社になりたいと思っています。」

この真意は、この根幹技術のブラックボックス化と世界標準化です。

さまざまな可能性を持つ”量子ドット”、その概念を世界で初めて1982年に発表したのは、東京大学の荒川泰彦教授(57歳)です。
2004年には富士通と共同で量子ドットレーザーの開発に成功し、QDレーザがその技術を引き継いているのです。
現在、基礎研究は他の企業も巻き込んでオールジャパン体制で進められています。
荒川教授によると、産学連携の中で量子ドットの基礎研究から出口までを見据えて企業との連携をしている国は他にないそうです。
また、この研究にはフランス、中国、インドなど世界中の研究者も参加しています。
ちなみに、政府はこの研究に10年間で総額60億円の支援を決定しているそうです。

さて、”量子ドット”は太陽光発電の観点からも世界中から注目を集めています。
太陽光のあらゆる光を抽出してエネルギーとして取り出せるのです。
電気を光に変える性質を逆に使えば、太陽電池になるのです。
ちなみに、量子ドット太陽電池ではシャープとの共同開発を進めています。
更に、レンズなどを併用すれば、将来10センチ角の大きさのパネルで家1軒分の電力を賄うことが出来る、と考えられています。
確かに、レンズにより太陽光をより多く集められれば発電量は飛躍的に増やすことが出来ます。
更に、15年後、20年後には今のスーパーコンピュータがノートパソコンになる時代が来るだろう、と荒川教授は予測されています。
その理由は、コンピュータの半導体に”量子ドット”を使い、電気ではなく光でコンピュータを動かすことによります。
要するに”光コンピュータ”です。

こうしてみると、未来の主なエネルギー源は”太陽光”ではないか、と思われてきます。
何しろ”太陽光”は太陽の消滅する50億年後まで枯渇することはない、永遠のエネルギー源とも言えるのですから。
しかも、地球に降り注ぐ太陽のエネルギーを全て電力に変えることが出来れば、わずか1時間で全世界が使用する電力の1年分をまかなうことが出来るほど超巨大なエネルギーなのです。

 
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