2019年12月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.619 『堤防が浸水被害を拡大!?』

11月13日(水)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で堤防が浸水被害を拡大させるリスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

台風19号の被害に遭った岩手県山田町のある地区では東日本大震災をきっかけに造られた堤防が浸水被害を拡大させたと見られています。

住民を守るはずの堤防でなぜ被害が大きくなってしまったのか、番組で取材しました。

 

10月13日午前6時頃、辺り一面が水に浸かった住宅地、岩手県山田町船越 田の浜地区で地元の消防団員が撮影した映像では、多くの住宅の1階部分が浸水し、約80棟の住宅が被害を受けました。

被害の一因となったのは、長さ400m、高さ約3mの堤防です。

東日本大震災の津波で大きな被害を受けたこの地区、津波対策として昨年5月に完成しました。

堤防から内側には住宅地、そして山があります。

今回の台風19号の豪雨では山から大量の水や土砂が流出、住宅地に向かって流れ込んだ水を堤防がせき止めるかたちとなりました。

 

この地区に住む田代 次雄さん(80歳)は妻と二人で暮らしていた自宅が全壊し、今も後片付けに追われています。

今回の台風で2階建ての自宅は1階部分が全て浸水しました。

電気製品や家具はほとんどが使えなくなりました。

8年前(2011年)の震災でも同じ場所にあった自宅が津波で全壊、老後の資金を取り崩し、1600万円をかけて再建しました。

ようやく日常が戻って来た中で、二重被災に見舞われました。

7人いる孫たちとの触れ合いを楽しみに自宅を再建した田代さんですが、その場所が今回の台風で奪われました。

田代さんは次のようにおっしゃっています。

「(台風がなければ、ずっと暮らすはずだったかという問いに対して、)もう一生、孫の時代まで。」

「ここはね、孫のために私は作ったんですよ。」

「一番大事な子どもたちの田舎を作っていきたいと思っていたのが破壊されたから、それが一番悔しいですね。」

 

8年前の震災と今回の台風、2度にわたり被災した田代さん、高齢のため再建に向けた資金繰りも厳しく、今後の見通しは立っていません。

田代さんは次のようにおっしゃっています。

「一番感じるのは、これ(堤防)をどうするのか。」

「(同じやり方で堤防を復旧したら住みたくないのかという問いに対して、)住みたくないですよ。」

「また同じことになるでしょうよ、いつかは将来。」

 

町は堤防を建設するにあたって、大雨対策として4ヵ所の排水溝を設けていました。

それにも係わらず、なぜ水をせき止めてしまったのか、砂防学が専門の岩手大学 農学部の井良沢 道也教授は11月3日に山田町の堤防周辺で調査を行いました。

注目したのは堤防から300mほど高台にある場所です。

直径1mに満たない用水路、山から流れ込んだ土砂などが詰まり、ここから水や土砂が溢れたと見ています。

そして、これらが住宅地を下って堤防に向かって流れ込み、排水溝を詰まらせた可能性が高いと見ています。

井良沢教授は次のようにおっしゃっています。

「ここ(用水路)に大量の土砂が来て閉塞して、ここから道路が川沿いになって水と土砂を流した。」

「あれぐらいの穴にこれだけ大量の土砂が出てきたら、全く流す力がなかったということですね。」

 

井良沢教授は、東日本大震災の被災地では住民が海の近くから高台に移転するケースが多く、土砂災害に巻き込まれるリスクが高まっているといいます。

今回の堤防については用水路の拡張など、土砂災害への対策が必要だったと指摘しています。

「海から来る津波が非常に深刻だった地域ですので、海に対しての備えは非常に増したと思うんですが、山から来る災害に対してこれから少し備えをしていく必要があるなと痛感しました。」

 

なお、番組ではこの他にも台風19号で亡くなった人は92人、行方不明は3人(NHK調べ)となっていますが、亡くなった人の約15%に当たる13人は通勤など仕事関連で移動中だったと報じていました。

災害時の避難行動に詳しい静岡大学の牛山 素行教授は次のようにおっしゃっています。

「無理に帰らせるのではなく、あるいは出勤させるのではなくて、特に危険な状況が予想されている場合には出勤、あるいは退勤について、“そんなに無理しなくていいですよ”と(言う)、そういった社会的な取り組みが増々重要になってくると思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して分かるのは、これまで主に大地震や大津波の対策に焦点が当てられてきましたが、台風などによる集中豪雨もこれまでの想定をはるかに上回る雨量に達し、土砂災害リスクの対応策の再検討をせざるを得ない状況になってきたのです。

実際に東京都では既に地下空間に一時的に雨水を貯める「調整池」は、計11河川25ヵ所で調節池が整備済みといいます。(詳細はこちらを参照)

また、私の住んでいる神奈川県内でも地上にある調整池を見かけます。

 

なお、今年発生した各地での想定外の記録的な集中豪雨による被害をベースに考えると、具体策として以下のような項目が挙げられます。

・高台などに設置されている用水路、あるいは住宅地の排水溝の太さの見直し

・津波対策として設置された堤防が貯水地としての機能を果たしてしまい、住宅に浸水被害や土砂災害をもたらすリスク対応策として、集中豪雨用の大型貯水施設の更なる建設

 

しかし、こうした対応策も地球温暖化の進行とともに、集中豪雨の雨量はどこまで増えるか計り知れません。

そして、その対応策との追いかけごっこはどこまで続くか分かりません。

ですから、やはり根本的な対応策は地球温暖化の大きな要因とされるCO2排出量の削減なのです。

しかも日本だけが一生懸命取り組んでもその効果は極めて限定的なのです。

中国やアメリカを始め、世界各国が共に協力して取り組むことが必須なのです。


 
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2019年12月13日
アイデアよもやま話 No.4511 アイデア方程式 混雑解消×?=ガチャ食券販売機!

8月8日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でメニューを選べない食券販売機について取り上げていたのでご紹介します。

 

皆さんはランチのメニューを選ぶ時に何を基準に選んでいますか?

その日の気分ですか、健康を考えてですか?

いろいろあると思いますが、世の中には選べないランチもあります。

なぜなのでしょうか?

 

何が出るかは運次第、ガチャガチャで食事メニューが決まるユニークなサービスが評判を呼んでいます。

登場したのは2017年、兵庫県丹波篠山にある西紀サービスエリア(下り線)のレストランで問題となっていたのが混雑シーズンの対応策でした。

いかに回転率を上げるか、行列を解消するにはどうしたらいいか、議論を重ねる中、男性社員の一人が「昼飯なんか何でもいいわ」と発言、この一言がメンバーをはっとさせました。

「そうか、何でもいいのか!」

「考えてみれば、メニュー選びに迷うから混雑するわけだよな!」

「だったら、ガチャガチャとかで決めちゃう?」

 

まさかのこの発想から誕生したのが、子どもや家族が楽しめるガチャ食券販売機でした。

500円のカプセルに600円以上のメニューを必ず入れることで、満足度もアップ、大当たりは豪華、2000円以上の但馬牛メニューも投入しました。

夢が詰まったガチャ食券販売機は混雑の原因がお客の迷いだと気づいたことから生まれたのです。

 

ということで、今回のアイデア方程式は混雑解消×お客の迷い=ガチャ食券販売機でした。

 

迷うのであれば、最初から選択肢を無くす、出来そうで出来ない大胆な発想です。

しかも更に、楽しさも加えている、そんな遊び心も成功のカギでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したガチャ食券販売機ですが、確かに迷うことなくメニューが選べ、遊び心もあり、混雑解消にもなります。

しかし、一方で栄養バランスを考えたり、食事の好き嫌いの激しい人にとってはどうかという疑問も湧いてきます。

そうした時には、仲間うちで食券を交換するのもいいと思います。

 

さて、今回のガチャ食券販売機のアイデアで、あるテレビ番組の内容で思い出したことがあります。

例えば、付き合いたい人をデートに誘う場合、「今度一緒に映画にでも行きませんか?」というのが一般的です。

しかし、この場合、「行かない」というのも選択肢になるので、「遠慮します」という答えもし易いです。

しかし、もし「今度、映画かドライブ、どっちに行きますか?」というような誘い方をしたら、選択肢には「遠慮します」はなく映画かドライブかを選択するように相手の意識が方向付けられるというのです。

このように“最初から選択肢を無くす”という方法はさりげなく使う場合、時には交渉術としてとても有効なのです。


 
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2019年12月12日
アイデアよもやま話 No.4510 水力を利用した超小型衛星用エンジン!

8月4日(日)放送の「未来の起源」(TBSテレビ)で水力を利用した超小型衛星用エンジンについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

東京大学 柏キャンパスで宇宙開発を大きく発展させる技術を研究している特任助教の浅川 純さん(28歳)が開発したのは水力を推進剤とする超小型衛星用エンジンです。

内部で水を蒸発させて、水蒸気を5つの穴から噴射させることで推力を得るのです。

浅川さんは次のようにおっしゃっています。

「従来のエンジンの推進剤だと安全基準が厳しくて、それを満たすことが難しいので国際宇宙ステーションへの持ち込みが難しいところがありました。」

 

これまでのエンジンは高圧ガスや有毒な燃料を使っているため、人がいる環境では搭載出来ませんでした。

そこで、安全な水を推進剤にすることにより国際宇宙ステーションからの放出を可能にしたのです。

このエンジンを使って、地球に落下しないよう、衛星の軌道を修正することで、より長期間利用出来ると期待されています。

 

なお、ご自身の研究の原動力について、浅川さんは次のようにおっしゃっています。

「宇宙のいろんなところを探査して、地球外生命体を見つけるところが私の研究の原動力になります。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した水力を利用した超小型衛星用エンジンは、内部で水を蒸発させて、水蒸気を5つの穴から噴射させることで推力を得るといいますが、水を蒸発させるにはそのための電力が必要です。

この電力は超小型衛星に搭載したバッテリーから得ていると思われます。

しかし、国際宇宙ステーションのようなある程度大きい施設であれば、設置した太陽光パネルで発電した電力をバッテリーに蓄えて、その一部の電力を使用すれば、それを推力として移動することが出来ます。

 

ということで、今回ご紹介した水力を利用した超小型衛星用エンジンは人にも優しいので、将来的に宇宙空間での移動手段としての活用が期待出来そうです。


 
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2019年12月11日
アイデアよもやま話 No.4509 曲がる天然石!

7月31日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で曲がる天然石について取り上げていたのでご紹介します。 

 

厚さ0.4ミリの曲がる天然石を販売しているウェーブ 営業部の岩本 功志課長は次のようにおっしゃっています。

「今までは石工事屋さんやタイル工事屋さんが(作業)されていたんですけども、今では内装屋さんやクロス屋さんの方で工事が出来るようになりまして、薄いものですからカッターとかで加工が出来ます。」

 

この曲がる天然石の作り方ですが、石を削って作るのではなくて、石の上に特殊な素材を張り付けてピリピリっと引きはがすのです。

そうすると、石の層がくっついてこのシートが出来るということなのです。

ですので、一つの天然石から沢山のシートが取れるのです。

 

この薄い天然石は厚紙を切るような感覚で、缶コーヒーのような小さな円筒形のようなものにも巻けるといいます。

また、火に強いという石の特性を生かして、“不燃材料”としての展開を目指しています。

岩本さんは次のようにおっしゃっています。

「こちらの商品を“不燃材料”として(認可)取得に向けてチャレンジしておりますて、それが実現すればもう少し大きなチャンスが開けるんじゃないかなと思って取り組んでおります。」

 

なお、この商品「エコリアル ストーンベニア ナノ」は縦122cm、横61cmの1枚で、価格は1万5120円です。

デザインの自由度と工事のし易さを武器に販路を広げたいといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも曲げられる天然石を実用化させたというアイデアがとても革新的だと思います。

今や壁の装飾などに壁紙クロスを貼るのは一般的です。

そして、その色や模様によっていろいろな雰囲気を出すことが出来ます。

そうした中、今回ご紹介した曲がる天然石は壁紙クロスなどいろいろなところで使用出来るし、高級感も出せます。

しかも“不燃材料”として認可されれば火災対策としての効果も期待出来ます。

一方で、厚さ0.4ミリということから、強度などが心配です。

また価格の高さも気になるところです。

いずれにしても市販化されれば、国内外を問わず、ある程度の引き合いが期待出来ると思います。


 
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2019年12月10日
アイデアよもやま話 No.4508 ”統一QRコード”が始動!

7月31日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“統一QRコード”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

QRコードなどを使い、スマホで支払いを行う、いわゆるスマホ決済ですが、おなじみのPayPayやLINEPayだけでなく、タクシーで使えるJapanTaxiWalletやイベント会場などで使えるSKIYAKIPAYなど、現在およそ40種類もあると言われています。

スマホ決済が乱立することで、利用者だけでなく、お店側にも戸惑いが広がっています。

お店によって使えるスマホ決済がバラバラなのです。

 

そんな不満を解消するための実証実験が始まります。

和歌山県の和歌山市内にあるイタリアンレストラン「Kitchen Cammy」では昨年からスマホ決済を導入しました。

お客がQRコードを読んだ後、言われた金額を打ち込んで支払う、「店舗提示型」という方式です。

お店には専用のレジが必要ないので、導入コストが低いのが利点です。

しかし、「Kitchen Cammy」の奥旗 公康代表は次のようにおっしゃっています。

「各会社でキャンペーンとか取り組み方が違うので、そのたびに僕らも楽天PayだったりPayPayだったり、いろいろありますけど・・・」

 

このお店では4社のスマホ決済を導入していて、決済用QRコードも4つ並べなくてはなりません。

そこでこのお店が8月1日から新たに導入するのが“統一QRコード”、“JPRQ”です。

これ1つ置くだけで8つのQRコードに対応出来ます。

これは国が進める取り組みで店が負担する決済手数料も来年1月末まで0〜1.8%と大きく優遇されます。

全国に先駆けて8月1日から和歌山県の他、長野、岩手、福岡の4県で始まるこの取り組み、約5700店舗が導入します。

 

国は“JPQR”をキャッシュレス化推進の切り札に位置付けていて、来年2月以降は全国にも広げたい考えです。

総務省情報通信政策課の飯倉 主税調査官は次のようにおっしゃっています。

「この機会に他の国との競争に負けないように、キャッシュレスの社会基盤を作っていきたいなと。」

「皆さん、一度お使いいただいて、一度使うと正直僕もそうですけど、これ無しでは生きていけなくなるので、そういうは体験していただきたいなと思っています。」

 

今回の店舗提示型と言われるQRコードは利便性が高まる道筋が見えてきました。

一方、スマホ決済には自分のスマホに表示させたコードをお店のレジで読み込んでもらう「利用者提示型」がありますが、国と民間事業者はこちらの方式でも「JPQR」への対応を進めることで合意しています。

コンビニやドラッグストアが順次対応する見通しです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

同じ電子決済でも従来のクレジットカードはどの発行会社のものでも統一した方式で購入者側、お店側、双方とも同じでした。

しかし、スマホ決済では、お店ではPayPayなど決済サービスの提供企業ごとにアプリを導入するので、決済用QRコードも複数並べなくてはなりません。

ですから、今のようにスマホ決済サービスの乱立状態では、どうしてもより利用者の多いスマホ決済だけを導入するお店が多くなってしまいます。

ですから、お店側の負担を考えると、スマホ決済もクレジットカードと同様にシステムの統一化が望まれます。

そうした中、統一QRコード”、“JPRQ”のように、どのQRコードでも統一された方式になれば、購入者側、お店側、双方にとってメリットがあります。

 

ということで、スマホ決済もクレジットカードと同様に国内外を問わず、どこでも同じように使えるようになって欲しいと思います。


 
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2019年12月09日
アイデアよもやま話 No.4507 普及が進むサブスプリクション・サービス!

7月30日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で普及が進むサブスプリクション・サービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

製品やサービスを定額で一定期間利用出来ることで今話題のサブスプリクション・サービス(サブスク)については当番組でもこれまでいろいろと取材してきましたが、その広がりは止まりそうもありません。

今注目のサブスクとはどんなものなのでしょうか。

 

会社員の寺嶋さんは変わったサービスを利用しています。

それは絵画です。

月額約3000円(送料別)で好きな絵が借りられるサブスク、「Casie(カシエ)」です。

月に1回、いつでも好きな絵に交換出来ます。

寺嶋さんは次のようにおっしゃっています。

「こんなサービスがあるんだっていうのが第一印象で、最初レンタルから始めることが出来るというのはすごい入り易い。」

 

家事の負担を軽減するサブスク、「SHARE DINE(シェアダイン)」も登場しています。

共働きの屋比久さんは現在育休中です。

一人の女性が訪ねてきました。

実はこの人、出張料理人、月2回、プロの料理人が料理を作りに来ます。

料金は月約1万5000円からです。

メニューの中心は、お客が用意した食材を使う、作り置き料理です。

料理の時間を確保しづらい子育て世代などに人気です。

冷蔵庫に余っている食材を使ってアドリブで料理もしてくれます。

この日はおよそ5日分のおかず、16品が完成しました。

このサブスクについて、屋比久さんは次のようにおっしゃっています。

「あらかじめ定額で、サービス料と食材費がだいたいこれくらいかなというイメージがついて、結果的に安くつくのかなと思いますね。」

 

広がりを見せるサブスクですが、1000社以上のサブスクを支援して来た、日本サブスクリプションビジネス振興会の代表理事、佐川 隼人さんは、ユーザー獲得のためにはある要素が重要だといいます。

「サブスクをやることで企業は安定した収益を得ることが出来るんです。」

「それだけでやると、当然消費者さんの支持を得られない。」

「悩み、課題をサービスで解決していくことによって長く使ってもらえるサービスになっていくと思います。」

 

その悩みや課題を解決するサブスクがレイモンド下高井戸保育園(東京都杉並区)で始まっています。

段ボールが積まれた倉庫の中、保育士が取り出したのは紙おむつです。

こちらの保育園で導入しているのは紙おむつのサブスクです。

乳幼児が使う紙おむつを定額で使うことが出来ます。

始めたのは紙おむつ最大手のユニ・チャームです。

 

なぜこのような取り組みを始めたのか、その裏には保護者のこんな事情がありました。

神奈川県在住のスミス 郁恵さんは夫と共働きで、二人の子どもを育てています。

郁恵さんが引き出しからおむつを取り出し、書き込んでいたのは子どもの名前です。

毎日、5枚ほどのおむつに名前を書いて、保育園に持参しているといいます。

更に、おむつだけではなく洋服や連絡帳など、朝準備しなければならないものが沢山あります。

こうした状況について、郁恵さんは次のようにおっしゃっています。

「(名前を書く作業がなければ、)朝の時間も少し余裕が出来ると思うんですけども。」

 

こうした保護者たちの悩みを解消しようとユニ・チャームが始めたおむつのサブスク、保育園の職員が在庫数を確認し、数が足りなくなると月に一度発注し、保育園におむつが直接運ばれます。

1歳の子どもを持つ保護者は次のようにおっしゃっています。

「朝の持ち物も無くなるので、とても楽で助かります。」

 

別の1歳の子どもを持つ保護者は次のようにおっしゃっています。

「(名前の)スタンプを(おむつに)押したりとかいうことを考えると、いろいろ手間が省けるのでいいと思います。」

 

保護者は年齢に応じた月額を支払います。

例えば、0歳児は月3000円で、このサービスを利用することが出来ます。

 

更に保育士にもメリットがあります。

こちらの保育園では、トレイの中で保護者の持ち込んだおむつを名前ごとに管理、おむつを替える時に名前を間違えないように一つひとつ確認が必要ですが、このサブスクを導入していると、名前を確認しなくても簡単におむつを替えることが出来るのです。

大野 じゅん園長は次のようにおっしゃっています。

「全てのお子さんに同じおむつを使えるというところで、保育士の負担も大変軽減しています。」

 

身近な問題を解決する新たなサブスク、こうした取り組みを始めたユニ・チャームの広報・IR室長代理の近藤 和也さんは次のようにおっしゃっています。

「(このサービスを)全国に広げることによって、保護者さんたちや保育士さんの負担を軽減するようなところを我々としては目指しております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今話題のサブスプリクション・サービス(サブスク)と言いますが、考えてみれば製品やサービスを定額で利用出来るビジネスは、携帯電話の定額制など以前からいろいろありました。

今あらためてこのサブスクが話題になっているのは、このサービスがこれまでにない領域に広がっているからなのではないでしょうか。

 

確かにこの定額制は、利用者側、提供する側双方にとってメリットがあります。

利用者としては、利用料金がある金額で固定されるので、その範囲内で安心して利用することが出来ます。

一方、提供する側は、毎月一定の売り上げが確保出来るので事業を安定させることが出来ます。

 

しかし、佐川さんの指摘されているように、サブスクを提供する側には考慮すべき点があります。

それは、利用者が今抱えている悩みや課題を解決するサービスでなければ長く使ってもらえないということです。

逆に言えば、利用者が今抱えている悩みや課題が何かを追求していけば、今後ともサブスクによるサービスは広がっていくと期待出来ます。

その好例としてあげたいものがあります。

今、私は日産「リーフ」に乗っていますが、ドライブ先で充電する際、多くの急速充電スタンドを定額で利用出来ます。

ですから、ガソリン車のように燃料代を気にして走行することはありません。

たまに「リーフ」の充電中に声をかけられることがありますが、こうしたEV(電気自動車)のメリットを話すと驚かれ、「次はEVに買い替えることを検討したい」とおっしゃる方がおります。


 
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2019年12月08日
No.4506 ちょっと一休み その698 『中曽根元総理の金言!』

11月30日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で中曽根元総理の訃報と生前の業績、発言について取り上げていたのでご紹介します。

 

戦後政治の総決算を掲げた中曽根 康弘元総理大臣が11月29日に都内の病院で亡くなりました。

101歳でした。

長年にわたって戦後の政治をリードした政治家、中曽根元総理、戦後政治の総決算を掲げて懸案の解決を目指しました。

行政改革に力を尽し、当時の電電公社、専売公社、国鉄の民営化を成し遂げました。

外交面ではアメリカのレーガン大統領と強固な信頼関係を築きました。

中曽根元総理の総理大臣としての在任期間は1806日で、戦後5番目の長期政権となりました。

そして2003年、56年におよぶ国会議員としての活動に幕を閉じました。

政界引退後も新しい憲法の制定を目指す超党派の国会議員らでつくる団体の会長を務めるなど、財政や外交を巡って積極的な発言を続けてきました。

 

中曽根元総理を悼む声は海外からも寄せられています。

旧ソビエトのゴルバチョフ元書記長は次のようなコメントを寄せています。

「中曽根氏は両国間の行き詰まりを打開し、関係を前進させる決意を持っていた。」

「更に、ペレストロイカにも関心を寄せ、我々の政治の変化についても深く研究していた。」

 

またフランスのミッテラン元大統領の元特別補佐官、ジャック アタリさんは次のようにおっしゃっています。

「中曽根氏は自らの判断基準を持っている政治家だと思った。」

「党の見解ではなく、独自の見解も持っていた。」

「ミッテラン元大統領と非常に深い関係をつくっていた。」

 

中曽根元総理は2010年放送の「100年インタビュー」(NHK総合テレビ)で次のようにおっしゃっています。

「人間関係が薄らいできている。」

「「一人でやっていける」というような印象になっている。」

「しかし、実際は社会に生きているんで、人間関係を一番大事にする、そういう関係になりますね。」

「親子の関係にしても、夫婦にしても、友達にしても、あるいは学友にしてもそれを大事にしていく。」

「それが社会が安定して、あたたかい社会になるもとになると。」

「一人ひとりが「縁」を大事にするということはあたたかい社会をつくる一番の基本だろうと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今や、ネット社会が進み、SNSで見知らぬ人との出会いがある一方で、パソコンやスマホでのゲームに一人で夢中になる時間が増えているといいます。

また家庭の主婦の中には忙しい時に幼児にスマホにあやさせている人もいると言われています。

また、家庭内ではテレビも一人一台の時代です。

更に、職場でも隣の人との業務連絡もパソコンでのやり取りが当たり前の時代となっています。

 

このようにいつの頃からか技術の進歩とともに、私たちは公私にわたって、他人との顔と顔を突き合わせたコミュニケーションの場が少なくなってきているように思います。

しかし、現実には私たちは自分一人だけで生きていくことは出来ません。

また、家族や友人などとのの顔と顔を突き合わせたコミュニケーションが人間性を豊かにする原点だと思うのです。

そうした中、今回ご紹介した中曽根元総理のおっしゃった以下の内容は的を射ていると思うんです。

 

一人ひとりの「縁」や「絆」を大事にすることが“安定した社会”、“あたたかい社会”をつくる一番の基本なのです。


 
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2019年12月07日
プロジェクト管理と日常生活 No.618 『危うい日本の石炭火力発電!』

10月4日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でアル・ゴア元アメリカ副大統領による警告について取り上げていたのでご紹介します。

 

今、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさん(16歳)をはじめ、世界中の若者たちが地球温暖化への対策を求めて立ち上がっています。

そして、この問題に30年以上前から取り組んできたのがアメリカのアル ゴア元副大統領(71歳)です。

このほど来日し、日本にも対策を呼びかけました。

温暖化対策のイベントに登場したゴアさんは次のように演説しています。

「日本の平均気温は次の80年で更に5.4℃上昇する可能性がる。」

 

世界中で起きている気候変動の実態を説明し、“皆さんの選択が未来を決める”と呼びかけました。

大学時代から地球温暖化に関心を持っていたというゴアさん、クリントン政権で副大統領を務めた1997年には温室効果ガスの排出削減目標を定めた京都議定書の採択に大きな役割を果たしました。

 

政界を引退してからは世界各国で温暖化対策を訴える活動を本格化しました。

2006年には、映画「不都合な真実」を公開、このままでは氷河が溶け、海面が上昇し、都市が水没すると訴えました。

それから10年余り、ゴアさんが映画で訴えた懸念は現実のものとなっています。

ゴアさんは次のようにおっしゃっています。

「20年前、科学者たちが出した警告は正しかったと証明されました。」

 

ハリケーンや台風が大型化、毎年の熱波をはじめ世界中で異常気象が猛威を振るっています。

9月に開かれた温暖化対策サミットでは、60ヵ国が再生可能エネルギーの導入などを発表しました。

一方で、日本は新たな対策を表明しませんでした。

ゴアさんは、“京都議定書で日本が世界に示したリーダーシップが弱まっている”と危惧して次のようにおっしゃっています。

「ここ数年、日本の気候変動への取り組みは変わってしまいました。」

「日本は東南アジア諸国に税金を使って石炭火力発電所の建設を支援するのではなく、太陽光や風力発電を取り入れるよう促すべきです。」

 

気候変動の影響を最も受けるのは若者たちです。

日本を含む世界中の若者の切実な声に大人たちは直ちに応えるべきだとゴアさんは次のように訴えます。

「気候変動は人類が直面する最重要課題です。」

「私には4人の子どもと7人の孫がいて、未来の世代を気にかけています。」

「未来の世代が我々のせいで破壊された世界に暮らすことになれば、グレタさんが言ったように“決して許さない”と言って当然です。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一方、10月7日(月)付けネットニュース(こちらを参照)で日本の石炭火力発電が「座礁資産」になるリスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

日本では再生可能エネルギーのコスト低下によって、石炭火力発電関連施設には、最大710億ドル相当の「座礁資産(市場・社会環境激変により価格が大幅に下落する資産)化リスク」があると、東京大学とイギリスのシンクタンクのカーボントラッカー、機関投資家が運営するカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)は10月6日に調査報告書を公表しました。

 

報告書は、現在稼働中と計画段階の日本の石炭火力発電施設の経済効率性を、プロジェクトファイナンスのモデルを用いて分析しました。

低稼働率と、陸上風力、洋上風力、太陽光といった再生可能エネルギーのコスト低下が日本の石炭火力発電能力に打撃を与える可能性があるとの見方を示しました。

 

洋上風力、太陽光、陸上風力のコストはそれぞれ2022年、23年、25年までに、新規計画中の石炭火力発電よりも安くなり、既存の石炭火力発電と比べても洋上風力と大規模太陽光は25年、陸上風力は27年に長期の限界コストが安くなるといいます。

 

また報告書は、世界の気温上昇を2度未満に抑えるという国際的な合意「パリ協定」に基づく取り組みを達成するには、計画中と稼働中の石炭火力発電施設を閉鎖する必要があり、それに伴って710億ドルの座礁資産が生じて日本の消費者が電力価格上昇という負担を強いられかねないと警告した上で、もし日本政府が速やかに石炭火力発電施設の計画と建設を中止すれば、290億ドル分のリスクは回避出来ると付け加えました。

 

日本政府は、再生可能エネルギーを主要な発電の手段とすることで50年以降の早い時期に発電における温室効果ガス排出をゼロにして、パリ協定を達成出来ると表明してきました。

ただ2011年の福島第一原発事故を受け、2010年に80%だった化石燃料輸入への依存度が2016年に95%近くまで上昇し、発電によって排出される温室効果ガスは25%増加したことが、国際エネルギー機関(IEA)のデータで分かりました。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

また、プロジェクト管理と日常生活 No.611 『私たちが思っているよりも緊迫化している地球温暖化リスク その1 16歳の少女の訴えが世界を動かす!?』でもお伝えしたように、現実に地球温暖化のスピードは専門家の想定よりも速いスピードで進んでいるようです。

 

こうした状況において、確かに2011年の福島第一原発事故を受け、日本のエネルギー政策は大きな影響を受けました。

同時に、火力発電の割合が一気に上昇し、それに伴ってCO2排出量も大幅に増え、世界的な地球温暖化対策にマイナスの影響をもたらしています。

 

一方で、日本の「第5次エネルギー基本計画」(2018年7月3日閣議決定 詳細はこちらを参照)によれば、2030年に実現を目指すエネルギーミックス水準(電源構成比率)は以下の通りです。

再生可能エネルギー:22〜24%

 原発       :20〜22%

 化石燃料     :56%

 

一方、2050年に向けては、日本が掲げている「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」という高い目標の達成に向けて、「エネルギー転換」を図り、「脱炭素化」への挑戦を進めていくとしています。

 

こうした流れの中で、11月27日(水)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)は、東日本大震災の津波で壊滅的な被害に遭った宮城県女川町にある東北電力・女川原発2号機が再稼働の前提となる審査に事実上審査に合格したと報じていました。

 

日本の進めるエネルギー政策について、今回ご紹介した内容からすると、以下の点で明らかに世界の流れから立ち遅れている、あるいは逆行しているように思います。

・原発による核廃棄物の最終処分場所の確保の保証が曖昧な状態にも係わらず、原発の再稼働、あるいは新規原発の稼働計画を進めていること

・他の化石燃料に比べて低コストではあるが、CO2排出量の最も多い石炭火力発電の途上国向けの導入支援を進めていること

石炭火力発電は「座礁資産」になるリスクがあること

 

一方で、以前にもお伝えしたように、今や再生可能エネルギー発電のコストは急速に低下している一方、原発関連コストは福島第一原発事故以降、万一、福島第一原発事故のような事故が起きた場合の対応コストが上昇しています。(参照:アイデアよもやま話 No.4378 福島第一原発事故の対応に最大81兆円!?

こうしたデータをどこまで真摯に受け止めて日本政府はエネルギー政策を検討しているのか分かりませんが、いずれにしても近い将来、再生可能エネルギー発電は原発や火力発電よりも低コストになることは明らかなのです。

しかも、再生可能エネルギー発電は原発よりもはるかに安全です。

また、化石燃料は可採年数(ある年の年末の埋蔵量をその年の年間生産量で割った数値)がいずれゼロを迎えることは明らかですが、再生可能エネルギーはこうした制約がありません。

更に、アイデアよもやま話 No.4457 再生可能エネルギー革命を先取りする投資マネー!でもお伝えしたように既に再生可能エネルギー発電は原発や火力発電よりも低コストであると見ている投資機関もあるのです。

そして、こうした情報をベースに再生可能エネルギーへの投資が急拡大しています。

ですから、石炭火力発電の途上国向けの導入支援を進めていることだけ取り上げても、世界各国から日本のエネルギー政策に対して疑問が投げかけられることは明らかです。

しかし、現政権は既得権益を握っている企業に配慮しているためなのか、ソフトランディングを目指しているからなのか、現実の地球温暖化のスピードに追い付いていけるようなエネルギー政策を取っていないと思われます。

 

こうしたことから、国の政策として早期に再生可能エネルギー発電を主軸としたエネルギー政策に大きく舵を切るべきなのは明らかだと思うのです。


 
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2019年12月06日
アイデアよもやま話 No.4505 日韓対立の真相 その2 5億ドルを巡る日韓経済秘史!

アイデアよもやま話 No.4490 “ファクトフルネス”の必要性!で事実や最新の統計を基に物事を見る習慣をつけること、すなわち”ファクトフルネス”についてご紹介しました。

そして、アイデアよもやま話 No.4491 “ファクトフルネス”の必要性を示す2つの事例!では、事例の一つとして今進行中の日韓問題についてご紹介しました。

また、アイデアよもやま話 No.4492 日韓のGSOMIA、望まれる2日後の失効回避!ではGSOMIAの失効は何としても避けるべきであるとお伝えしました。

この問題については、幸いなことにアメリカから韓国への強烈な圧力により失効予定前日に韓国政府は延期を公表しました。

この現在の日韓対立について、8月15日(木)、および8月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「日韓対立の真相」をテーマに2回にわたって取り上げていました。

そこで、これまでお伝えした日韓問題を補足する意味で日韓対立の真相について2回にわたってご紹介します。

2回目は、8月16日(金)放送分を通して、5億ドルを巡る日韓経済秘史についてです。

 

今、輸出管理の厳格化を巡って、日本と韓国の対立が続いていますが、そもそも日韓関係が悪化するきっかけとなったのがいわゆる元徴用工の問題です。

安倍総理の写真を踏みつけ、思い切りパンチ、元徴用工問題で日本に抗議をする集会です。

徴用工とは、日本の統治下にあった朝鮮半島や日本本土で企業の募集・徴用により働いた朝鮮半島出身労働者のことで、推定70万人〜80万人いるとも言われています。

 

昨年、元徴用の4人が日本企業に損害賠償を求めた裁判、韓国の最高裁にあたる韓国大法院は、新日鉄住金(現日本製鉄)に1人当たり約4000万円の支払いを命じました。

そして今年、新日鉄住金(現日本製鉄)と三菱重工が持つ韓国国内の資産が差し押さえられました。

 

この元徴用工らへの賠償を巡る問題で重要なカギを握っているのが過去に日本と韓国の間で結ばれた協定です。

1965年に国交を正常化する日韓基本条約とともに締結されたのが日韓請求権協定です。

日本政府から韓国政府に5億ドル(有償・無償)、現在の価値で約7500億円が経済協力金として支払われました。

これは当時の韓国の国家予算を大きく上回る金額でした。

そのうち、個人への補償金については韓国政府の手で行うということが両政府の間で確認されています。

そのため、日本政府は韓国政府に支払った5億ドルで請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決したとして、日本企業に賠償金の支払いを命じた昨年の韓国最高裁の判決を受け入れないという考えです。

ですから、日本政府は韓国が国際条約を破っているというスタンスを取っており、韓国政府に是正に向けた措置を要求しています。

 

番組では韓国に支払った巨額のお金の行方を知ろうと、「請求権資金白書」という重要な資料を入手しました。

この資料は44年前に韓国政府が発行したもので、今回特別に入手しました。

中には5億ドルの使い道が詳細に書かれており、現在の対立の原点を読み解くことが出来ます。

日韓の問題を解決するはずだったこの5億ドルの行方、そして水面下で進んでいる新たな解決策について独自に取材しました。

 

「請求権資金白書」の中を開くと、次のような記述があります。

 

日本から無償3億ドル、有償2億ドル、合わせて5億ドルの請求権資金を1966年から1975年まで10年間にわたって受け入れることになりました。

 

農業や水産業、更に原子力研究などの科学技術にいたるまで日本の資金は様々な分野に使われたことが分かります。

中でも多く使われたのは漢江(ハンガン)鉄橋です。

ソウル市内を流れる漢江にかかる全長約1kmの漢江鉄橋、ここには約89万ドルが投じられました。

この他にもソウルと第二の都市、釜山(プサン)を結ぶ京釜(キョンブ)高速道路の建設には約690万ドルがつぎ込まれました。

白書には5億ドルのうち2割近くがインフラ整備に使われたと書かれています。

この日本からの資金により、韓国は急速な経済発展を遂げます。

これを韓国では“漢江の奇跡”と呼びます。

 

こうした日本の資金を使った経済発展について、国民は知っているのでしょうか。

日本から韓国への経済協力金、インフラよりも多くのお金が投じられたのが現在の韓国の製鉄大手、浦項(ポハン)総合製鉄(現ポスコ)の建設です。

ポスコは売上高6兆4000億円、世界第5位の粗鋼生産量を誇る韓国を代表する企業です。

その創設には日本からの5億ドルのうち実に24%を占める1億1948万ドルが投じられていました。

1970年、韓国・浦項で始まった製鉄所の建設、韓国は重工業化を掲げ、悲願の製鉄所建設にまい進しました。

そこに投じられた日本の経済協力金、建設を支えたのはお金だけではありませんでした。

実は浦項製鉄の建設のために多くの日本の技術者が技術指導にやって来ていたのです。

請求権協定で得た資金を経済成長のために使うと決断した朴 正煕(パク チョンヒ)元大統領、朴 槿恵(パク クネ)前大統領の父です。

朴大統領らは日本の有力者に製鉄所建設への協力を要請、お金だけではなく技術支援も取り付けたのです。

 

さて、大江麻理子メインキャスターは神奈川県鎌倉市在住の日本の商社、トーメンの韓国法人、韓国トーメンの百瀬 格(ただし)元会長(80歳)のお宅に取材に伺いました。

百瀬さんは当時の現場監督として浦項製鉄所の建設に係わり、工程管理や資材輸入などを手掛けていました。

当時について、百瀬さんは次のようにおっしゃっています。

「(浦項製鉄所の朴元社長と二人で話すことは多かったのかという問いに対して、)多かったですね。」

「浦項に派遣をされるきっかけについて、」1968年から1970年まで私2年間ソウル駐在してたんですよ。」

「ある日、突然のようなかたちでポスコから仕事をもらったんですね、うちの会社が。」

「で、えらいことになったと、どうするんだと。」

 

高炉を作るには高い技術力が必要でした。

それを持つ、当時の新日本製鉄などの日本企業グループが多くの技術者を派遣し、韓国人を指導しました。

百瀬さんは次のようにおっしゃっています。

「当時そこにいた人たちは「これが韓国経済にプラスになるよ」なんて考えてやってなかったです。」

「やっぱり自分の仕事だとやってたんです。」

「そのためには韓国の技術者と「あなた一生懸命やるね、じゃあ教えてやるから俺についてこい」みたいな・・・」

 

小さなミスが見つかれば、一から壊してやり直す、最高の製鉄所を作るため、お互いに妥協はしなかったといいます。

「“ワンチーム”で、けんかをしてやるんじゃなくて、どこか問題があるなら手伝ってあげるよというような気持ちをどこかに持ちながらやっていたんでしょうね。」

「今の日本と韓国の間は全然違いますよね。」

 

1973年、日本の資金と技術を基礎にして、韓国の浦項銑鉄所1号高炉が完成しました。

当時、朴元大統領は次のようにおっしゃっています。

「過去、我々の夢だと思っていたのが、夢ではなく、現実として我々の目で目撃出来ました。」

 

「請求権資金白書」では、次のように評価しています。

 

浦項総合製鉄工場建設は民族的な血で獲得した「対日請求権資金」で成し遂げた代表的な事業と見ることが出来る。

 

成果を誇る一方で、ある重要なことが記されていました。

 

民間人への補償について、この資金で国民所得を向上させることが何より至急な課題だったため民間人に対する補償問題を延期した。

 

白書によれば、1975年までに個人への補償に充てたのは5億ドルのうちわずか2000万ドル、元徴用工への補償は十分とは言えなかったのです。

釜山市在住の元徴用工、シン ヨンヒョンさん(94歳)は徴用工として招集され、日本の下関に渡り、炭鉱などで働かされたといいます。

シンさんは次のようにおっしゃっています。

「朴正煕元大統領が韓国のために資金を使った。」

「私たち被害者は(賠償金を)もらっていない。」

「朴正煕元大統領らがお金をもらってきて、道路やポスコを作ったんだ。」

 

韓国政府には請求権資金を本来の補償に充てて欲しいと主張しています。

 

そんな中、私たちはある重要人物に接触することが出来ました。

ポスコのユ サンプ元会長で、会長時代は当時の新日鉄と提携を強化し、ポスコの発展に貢献しました。

ユさんは次のようにおっしゃっています。

「(5億ドルの使い道は正しかったのかについて、)私はこの本(「請求権資金白書」)は読んでいませんけれども、実は一時ですけど、徴用工の補償についてポスコが出そうと思っていたんですよね。」

「ポスコとか現代(ヒュンダイ)自動車とかそういう企業と日本の企業と両方で出し合って収めようと・・・」

 

ユ元会長によれば、7月にポスコは韓国企業と日本企業が共同で数十億円規模の補償金を出すことを日本側に提案したといいます。

「ポスコとしては、製鉄をつくるのに成功したんだけど、ポスコのために犠牲になった人たち、元徴用工とか農民とか、日韓請求権協定によって全然恵みがなかったですからね。」

「じゃあ、助け合おうと。」

 

ユ元会長によれば、一部の日本企業側もこの案に同意しているといいます。

 

この案について、テレビ東京の取材によると、ある外務省幹部は次のようにおっしゃっています。

「日刊の企業間でそのやり取りがあることは把握している。」

「しかし、韓国政府が責任を持つ枠組みでないと解決には至らない。」

 

こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「本来は個人に渡るべきお金が国家の方に渡ってしまい、そこから産業の発展に使われたと。」

「で、当然ポスコもそこで成長していったわけですから、ポスコが今贖罪の意識を持ってこの補償に取り組もうとする気持ちはよく分かるんですけども、じゃあ「一緒にやりましょう」と呼びかける相手が日本企業であり、日本政府なのかと。」

「やっぱりまず呼びかける相手というのは韓国政府じゃないかなと思うんですよね。」

「で、その主張として先ほど1965年の「日韓請求権協定」を説明しましたけど、もう1つこれを説明していかなければいけないと思うんです。」

「2005年、盧 武鉉(ノ ムヒョン)政権時代の見解というのがありまして、戦争被害者の救済をまとめる官民の共同委員会が立ち上がったんですけど、ここであらためて徴用工に関しては「解決済み」であると。」

「そして「責任を韓国政府が持つべきである」という再確認をしたんですけども、その時に、実はこの共同委員会の委員の一人が文 在寅(ムン ジェイン)氏、つまり当時の盧 武鉉大統領の側近中の側近だったわけです。」

「その人が今大統領になって、これを蒸し返すというのはやはりおかしいと思うんですよね。」

「(しかも今、文大統領は動く気配はなく、)昨日(8月15日)のスピーチを見ても徴用工については一切言及がなかったんですけども、やはりこの件については外交文書から明らかにボールは韓国政府側にあるわけですから、韓国政府が何らかの提案をしないと、日本政府としては動きようがない状況だと思うんですね。」

「(こういう政治が膠着している状態に見かねて、今経済界から声が上がったとう状況ではという指摘について、)経済界は動きたい、お金でもう1回補償して、それで収まるものなら収めたいという気持ちがある人も多いんですけども、やはり韓国政府が主語にならないと収まらないと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

日韓の5億ドルを巡る日韓経済秘史を以下にまとめてみました。

・1965年に国交を正常化する日韓基本条約とともに日韓請求権協定が締結されたこと

・それに伴い、日本政府から韓国政府に当時の韓国の国家予算を大きく上回る5億ドル(有償・無償)、現在の価値で約7500億円が経済協力金として支払われたこと

・そのうち、個人への補償金については韓国政府の手で行うということが両政府の間で確認されていること

・この経済協力金により、現在の韓国の急速な経済発展の礎とも言えるインフラ建設や基幹産業の育成が出来たこと

・この経済発展には日本企業による技術支援も大いに貢献したこと

・日本政府は韓国政府に支払った5億ドルで請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決したとして、日本企業に賠償金の支払いを命じた昨年の韓国最高裁の判決を受け入れないという考えであること

・従って、日本政府は韓国が国際条約を破っているというスタンスを取っており、韓国政府に是正に向けた措置を要求していること

・44年前に韓国政府が発行した「請求権資金白書」には以下の記述があること

  5億ドルのうち2割近くがインフラ整備に使われたこと

  現ポスコ)の建設にはインフラよりも多くのお金が投じられたこと

  民間人への補償について、この資金で国民所得を向上させることが何より至急な課題だったため民間人に対する補償問題を延期したこと

  1975年までに個人への補償に充てたのは5億ドルのうちわずか2000万ドルで、元徴用工への補償は十分とは言えなかったこと

  2005年、盧 武鉉(ノ ムヒョン)政権時代の見解として、戦争被害者の救済をまとめる官民の共同委員会が立ち上がり、ここであらためて徴用工に関しては「解決済み」であるとしたこと

そして「責任を韓国政府が持つべきである」という再確認をし、その時にこの共同委員会の委員の一人が当時の盧大統領の側近中の側近だった現在の韓国のムン ジェイン大統領だったこと

  一部の元徴用工は、韓国政府には請求権資金を本来の補償に充てて欲しいと主張していること

  ポスコは今年7月に韓国企業と日本企業が共同で数十億円規模の補償金を出すことを日本側に提案したといい、一部の日本企業側もこの案に同意していること

 

こうしてまとめてみると、ムン ジェイン大統領の罪が以下に示すようにいかに重いかが分かります。

・2005年に立ち上がった官民の共同委員会の委員の一人であったにも係わらず、そこで「責任を韓国政府が持つべきである」という再確認を承知していたのも係わらず、こうした事実を隠して偽情報をまき散らしていること

・多くの韓国国民の反日感情を煽り、日本商品の不買運動などを引き起こしていること

・これまでの日韓政府間での合意事項を蒸し返し、日韓関係を戦後最悪な状態にしていること

・日韓の経済状況の悪化を招いていること

・日米間の安全保障上の協力関係を危うくしていること

 

なお、11月27日(水)付けネットニュース(こちらを参照)によれば、民間企業のポスコによる補償金の拠出の提案とは別に、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が強制徴用問題の解決策として日本側に提案した案を法案にまとめたことが11月26日に分かりました。

韓日両国の企業、政府、国民が参与して「記憶人権財団」を設立し、被害者1500人に総額3000億ウォン(約277億円)の慰謝料を支払うのが骨子です。

 

しかし、議長秘書官らによる被害者団体の代表らへの説明会の席で、以下のような質問の声が上がったといいます。

 

「日韓基本条約を基本とするならば、まずは韓国政府が補償するべきではないのか?

 

 「徴用工裁判で日本企業の資産が差し押さえられ、現金化されようとしている事態についてはどう説明をするのか?

 

アイデアよもやま話 No.4491 “ファクトフルネス”の必要性を示す2つの事例!でお伝えしたように、残念ながら元徴用工を巡る法的解釈には異論もあり、また「個人請求権」における日本政府のこれまでの対応が二転三転してきたという事実があります。

ですから、日韓問題を巡ってはこれからも当分尾を引きそうだと思われます。


 
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2019年12月05日
アイデアよもやま話 No.4504 日韓対立の真相 その1 ファクトフルネス”が機能しない韓国!

アイデアよもやま話 No.4490 “ファクトフルネスの必要性!で事実や最新の統計を基に物事を見る習慣をつけること、すなわち”ファクトフルネス”についてご紹介しました。

そして、アイデアよもやま話 No.4491 “ファクトフルネスの必要性を示す2つの事例!では、事例の一つとして今進行中の日韓問題についてご紹介しました。

また、アイデアよもやま話 No.4492 日韓のGSOMIA、望まれる2日後の失効回避!ではGSOMIAの失効は何としても避けるべきであるとお伝えしました。

この問題については、幸いなことにアメリカから韓国への強烈な圧力により失効予定前日に韓国政府は延期を公表しました。

この現在の日韓対立について、8月15日(木)、および8月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「日韓対立の真相」をテーマに2回にわたって取り上げていました。

そこで、これまでお伝えした日韓問題を補足する意味で日韓対立の真相について2回にわたってご紹介します。

1回目は、8月15日(木)放送分を通して、“ファクトフルネス”が機能しない韓国についてです。

 

韓国内は、今や“反日派”と“親日派”とに二分されています。

そうした中、韓国では今YouTubeでニュースを見る人が増えていて、10人中4人にも上るという統計が出ています。

その背景にあるのが、既存のメディアや現政権の幹部が事実を伝えない、いわゆるフェイクニュースが溢れているという不満です。

例えば韓国与党議員の崔 宰誠(チェ ジェソン)さんは次のような発言をしています。

「東京の放射線量が基準値より何倍も高く、検出されたとの報道があるため、(東京への旅行規制を)検討する必要がある。」

 

韓国メディアが「信ぴょう性はあるのか」とこの発言を問題視したため、この議員は釈明に追い込まれました。

この状況に、文 在寅(ムン ジェイン)大統領も次のような発言をしています。

「根拠のないフェイクニュースや虚偽の情報、誇張された見通しが市場に不安を与えることを警戒すべきである。」

 

こうした中、番組取材班はあるニュース番組の撮影現場を訪れました。

実はこの番組、YouTubeのみで放送されているニュース、その名も「ペン&マイク」、チャンネル購読者は50万人、そのほとんどが20〜30代の若い層です。

「ペン&マイク」では、徹底的にフェイクニュースを検証しています。

鄭 奎載(チョン ギュジェ)代表は次のようにおっしゃっています。

「(ネット上の他のニュースを見ながら、)文大統領が福島原発事故で1368人が死亡したと主張したが、それはフェイクニュース、これもフェイクニュース。」

「文大統領が「韓国は経済的不平等が最もひどい国」だと言った。」

 

鄭代表は、文大統領の発言は事実と異なるフェイクニュースだと主張します。

「ペン&マイク」を立ち上げた鄭代表は、大手新聞社で主筆を務めた経歴の持ち主で、反文在寅を掲げ、保守系の中では名の知れた人物で次のようにおっしゃっています。

「今の文在寅政権は、フェイクニュースが作り出した政権です。」

「韓国人は気づかないまま、日本に関する嘘の情報に基づいて反日キャンペーンや日本との葛藤に翻弄されている。」

 

立場の違いによって、日本に対する意識がかなり異なっているのが今の韓国なのです。

では、今、韓国の若者は日本をどう捉えているのでしょうか。

解説キャスターで日経ビジネスの編集委員の山川 龍雄さんは、韓国の20代の学生や社会人、4人に集まってもらいました。

そして、「日本が好きか」という質問に対して全員が手を挙げました。

しかし、「日本に対する不買運動に参加したことがあるか」という質問に対しては1人だけ手を挙げました。

この他にも街中でいろんな人に話を聞いた山川さんは次のようにおっしゃっています。

「年配の人も含めて10人以上は聞きましたけど、全体として本音で反日の人っていうのは限られているのかな。」

「ただ、今、全体の雰囲気として親日的な行動は取りづらい。」

「「日本に今旅行に行きます」っていうのは言いづらい。」

「そういう雰囲気があるのかなっていうのは感じましたね。」

「一番私が残念だったのは、会う人、会う人に必ず輸出管理の強化について聞いたんですよ。」

「やっぱり理解されていない。」

「これって、結局日本は輸出を禁止しているわけじゃないじゃないかと。」

「で、輸出も再開されているし、最終的にサムスンみたいな会社は実害はほとんどないじゃないかという話をしたんですけども、かなり親日的な人でもこれについては「いや、これは日本の経済的な報復である」と、ここは譲らないんですね。」

「ここから先、細かいことを調べようというところには行かないという感じがしたんですよね。」

「(この状況をどう打開出来るのか、改善策はあるかという問いに対して、)正直、身も蓋もない言い方をしてしまうのかもしれないんですけども、韓国が文大統領政権の間、あるいは日本が安倍政権の間というのはかなり政治的に修復するのは難しいのかなというのが、私の取材した実感なんですね。」

「で、現地では今「No Japan」というスローガンが「No Abe(安倍)」というところに変わりつつあるんです。」

「で、その心は何かというと、日本人に対しての自分たちの何か対峙しているのではなくて、あくまでも安倍政権に対して批判しているんだということをよりくっきりさせたいっていう思いのようなんですけども、今日韓の双方で政治的な対立と経済の部分、あるいは民間の交流、文化の交流、こういうものを切り分けようという空気はあるので、それがベストなシナリオではないですけども、冷静になってその部分で全体をこれ以上悪くならないように管理していくというのが現実解じゃないかなと感じました。」

「(以前、日本と中国の関係が悪化した時に“政冷経熱”という言葉が使われ、政治は冷え込んでも経済は熱い、日韓関係もまずは経済だけでも温めていく必要があるのではという指摘に対して、)おっしゃる通りで、今“政冷経冷”になりかけているので、これをもう一度“政冷経熱”までは引き戻すという努力が、その知恵が問われていると思いますね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

日本政府は今年7月に輸出管理上の優遇対象国から韓国を除外する措置として、半導体材料3品目の対韓輸出管理の厳格化を発動しました。

この日本政府による輸出管理強化について、当初韓国政府、および多くの韓国の国民の間には韓国経済に多大な影響を与えると思われていましたが、事実は違います。

11月26日(火)放送の「ひるおび!」では、3品目のうち、フッ化水素のみが日本からの輸出量がほぼゼロまで激減していますが、他の2品目はむしろ昨年に比べて増えていると報じています。

ということで、輸出管理強化による韓国経済への直接的な打撃はないと言えます。

要は、韓国の企業がきちんと輸出管理上のルールを守ればそれで済む話なのです。

 

韓国の政府、あるいは報道機関はこうした事実を公表していないようです。

逆に韓国政府は反日を煽るようなフェイクニュースを垂れ流し続けているように思います。

 

こうした状況において、徹底的にフェイクニュースを検証する「ペン&マイク」の存在はとても貴重です。

また、一部の若者とはいえ、「ペン&マイク」の購読者が50万人という数字は無視出来ません。

 

なお、ファクトフルネスは韓国だけの問題ではありません。

その重要性は日本においてもとても重要です。

何事においても事実に基づいて物事に取り組むべきなのです。

 

さて、番組の中で“政冷経熱”という発言がありましたが、この言葉の狙いとするところは外交において、とても重要だと思います。

日韓問題は韓国による不正な貿易管理の是正をきっかけに日本製品の不買運動や国家間の安全保障に飛び火しているのでまさに“政冷経冷”状態です。

一方、米中間においては、政治、経済、軍事などいろいろな側面で覇権争いが起きています。

そしてフェイクニュースが氾濫すると、それだけ多くの国民が誤った情報をもとに現状を把握してしまうことになるので、覇権争いをエスカレートさせてしまうリスクが高まります。

 

ということで、どこの国民であるかは問わず、特に感情が高ぶり易い人たちにおいては、常にファクトフルネスを意識して様々な情報に接して欲しいと思います。


 
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2019年12月04日
アイデアよもやま話 No.4503 中国の経済進出は曲がり角に来ている!?

No.4458 ちょっと一休み その690 『「米中対立の世界」その先は?』でマレーシアのマハティール首相による中国との非凡な係わり方についてお伝えしました。

そうした中、7月25日(木)放送の「国際報道2019」(NHKBS1)で中国の世界各地への経済進出について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国が進出しているアフリカ、インフラ整備などで膨らむ中国への借金が問題になっている国が少なくありません。

その一つがアフリカ南部のザンビアです。

現地では中国への不満が高まっています。

アフリカに積極的に進出する中国、中でもザンビアでの存在感は際立っています。

ザンビアの首都、ルサカの町ではいたるところで中国語を目にします。

例えば中国の大手銀行である中國銀行、鉄鋼会社の看板、それに学校の案内などです。

中国企業は大規模なインフラ整備をはじめ、あらゆる業界へ進出しています。

その数は500社を超えていると言われています。

多くの中国人も移り住み、ザンビアには正式に登録しているだけでも2万人の中国人が暮らしています。

 

しかし、今ザンビアで深刻になっているのが増え続ける中国への借金です。

首都、ルサカで中国の支援で進む建設工事の取材が許されました。

国際空港の工事現場、中国の資金で中国企業が建設を担っています。

建設費用は日本円で360億円あまり、現在の空港の10倍の利用客を受け入れられる巨大空港となる予定です。

一方、競技場の建設費は日本円で96億円あまりです。

しかし、巨額の建設費は最終的にはザンビア側が返済することになっています。

ザンビアの対外債務は年々増え続け、GDPの4割にあたる100億ドルに上ります。

その最も額の多い相手が中国なのです。

それでも政府はあくまで中国と協力して大型のプロジェクトを進める構えです。

地元の専門家、ザンビア大学のルビンダ・ハーバゾカ教授は政府の立場を次のように擁護しています。

「中国はビジネスをしたがり、ザンビアはそれを受け入れています。」

「債務は確かに巨額ですが、管理は出来ています。」

 

しかし、国民からは“中国の過剰な進出”だと不満の声が強まっています。

街中のある男性は次のようにおっしゃっています。

「中国の投資はザンビア経済のためにならない。」

「ザンビア人で出来ることも中国人に乗っ取られてしまう。」

 

別の男性は次のようにおっしゃっています。

「ザンビアに利益が還元されるのか、それが一番重要なことだ。」

 

更に、中国企業での労働環境を巡る問題にも批判が広がっています。

ムサカから北にクルマでおよそ10時間。一帯は世界有数の銅の産地です。

20年近く前から中国企業が進出し、銅の採掘をしています。

地元教会の活動家、ユーゲン・ムレンガさんのもとには中国の鉱山会社で働く労働者たちから長時間労働や不十分な安全管理などの訴えが相次いで寄せられています。

ムレンガさんは次のようにおっしゃっています。

「労働者は安全基準に不満を持っています。」

「労働時間が長いと疲労が溜まり、意欲がなくなり事故につながります。」

「中国系企業は現場の安全を最優先に考えるべきです。」

 

昨年11月、人々の不満が噴出しました。

中国企業への抗議が暴動に発展したのです

しかし、治安機関は118人を拘束し、中国への批判を抑え込もうとしています。

ムレンガさんも政府の情報機関から監視されるようになりました。

私たち(NHK)の取材の後にも、誰と会って何を話したのか、明らかにするよう求められたといいます。

 

人々の間に広がる中国の進出に対する不信感、野党は中国への借金がこれ以上膨らめば、国の利益が大きく損なわれると批判しています。

野党指導者のネバース・ムンバさんは次のようにおっしゃっています。

「中国の融資は略奪的です。」

「借金の返済が出来なくなれば、ザンビア国民の財産を奪おうとするのではないかと危惧しています。」

 

ザンビアで取材にあたった、NHKのヨハネスブルグ支局長、別府 正一郎さんはザンビアにおける中国の存在感について次のようにおっしゃっています。

「もはや積極的な進出というレベルを超えているように思います。」

「ザンビアでは、中国は基幹産業である銅の採掘で中心的な役割を果たしている他、融資や援助の大部分を担い、ザンビアという国は中国抜きでは回らないような状況になっています。」

「しかも影響は政治にも及んでいます。」

「中国への批判は、その進出を許している政府への批判とみなされることから、例えば鉱山の取材では鉱山労働者は誰もが情報機関の報復を恐れて私たちのインタビューには応じませんでした。」

 

「こうした状況はザンビアだけに止まりません。」

「私は今、ザンビアの西隣りのアンゴラの首都、ルアンダに来ています。」

「後ろに見える高層ビルの建設も多くを中国企業が担っています。」

「インフラ整備や融資など、同じようにアンゴラも中国抜きでは国は回らないような状況です。」

 

「(どこを見回しても中国という感があるが、アフリカの中国依存はこれからも続くのかという問いに対して、)大きな方向性は変わらないと思います。」

「アフリカのインフラ整備を巡っては、莫大な資金が必要なことから各国の間では引き続き中国マネーへの期待が根強いものがあります。」

「それでも最近は風向きが変わっているのも事実です。」

「ザンビアの野党指導者の話していたように、最近は中国の“債務の罠”への警戒から以前ほど中国の融資について闇雲に歓迎するということは無くなっています。」

「また、中国によるインフラ整備にしても事業費が膨れ上がり過ぎるとして、アフリカ各地で見直す動きが出ています。」

「ここアンゴラでは首都ルワンダの主要駅の工事が、またタンザニアでは港が、シエラレオネでは空港の工事がストップしています。」

「中国の“一帯一路”はアジアだけでなく、ここアフリカでも一つの曲がり角に来ているようにも見えます。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

中国は“一帯一路”構想により、史上最大規模の広範囲にわたる途上国へのインフラ投資計画を進めています。

この壮大な構想の狙いはとても素晴らしいと思います。

しかし、番組を通して見えてくるその実態は中国資本、および労働力の途上国への進出であり、このままこの流れが続けば、あちこちの途上国が“債務の罠”にひっかかり、領土の一部を中国に乗っ取られかねません。

そこまで行かなくとも、国の経済は中国資本や労働力にその主導権を渡す結果となることは明らかです。

 

 

そうした中、ようやく途上国の中には“債務の罠”にひっかかるリスクに対して警戒する動きが出て来たようです。

また、自由主義陣営からみると、中国は共産党による一党独裁で、習近平国家主席は軍事、および経済における覇権主義を目指しているように見えます。

ですから、多くの途上国が共産主義陣営に取り込まれていくことは自由主義陣営にとっては大きな脅威となります。

アメリカもようやく中国のこうした動きに対抗する積極的な動きを見せ始めています。

 

さて、途上国が健全な経済成長を遂げるうえで求められるのは、支援する側の先進国と支援を受ける途上国とがWinWinの関係になることです。

ですから、アメリカを始め、自由主義陣営の先進国は、中国による“債務の罠”を反面教師として、途上国自らが主体的に経済成長に取り組めるようなかたちの支援をすべきだと思うのです。

 

一方、いずれ近い将来、GDPでもアメリカを追い抜くと予測されている中国には、覇権主義を振りかざすのではなく、途上国との関係がWinWinになる方向で“一帯一路”構想を展開していただきたいと思います。

覇権主義を振りかざして、このまま世界展開を推し進めれば、いずれアメリカとの覇権争いがヒートアップし、軍事衝突のリスクが高まってくることは容易に想像されます。

こうしたリスクは絶対に避けなければなりません。

ですから、アメリカのトランプ大統領も“アメリカファースト”を唱えて世界をリードする立場を放棄するのではなく、自国も含めて世界各国がWinWinの関係を維持出来る方向性でリーダーシップを発揮していただきたいと思います。


 
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2019年12月03日
アイデアよもやま話 No.4502 アイデア方程式 ゴールドラッシュ×?=ジーンズ!

7月25日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でジーンズの誕生秘話について取り上げていたのでご紹介します。

 

アメリカで起こったゴールドラッシュ、それは掘削技術を進歩させ、道路や鉄道、町を生み出しました。

そうしたゴールドラッシュの産み出した一つが今回の方程式です。

 

世界中で愛され続けるカジュアルファッションの代名詞、ジーンズ、誕生のきっけは1850年代のアメリカ、当時ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコで、ドイツから移住してきた一人の男が雑貨商を開業、金鉱で働く人々に生活用品を提供していました。

ある日、山に出入りする鉱夫から次のような話を耳にしました。

「作業用のズボンがすぐにダメになっちまう。」

「丈夫なズボンが欲しいんだ。」

 

そんな時、男の閃きを生んだのがふと目に入った幌馬車でした。

「そうだ、うちの店に幌馬車用の丈夫な生地があるぞ!」

「あれでワークパンツを作ろう!」

 

男の作ったパンツは瞬く間に大人気、その後、素材はデニムへと変わり、耐久性を高めるためにリベットが施され、現在のスタイルへとなりました。

1873年5月20日には特許も取得、作業着の枠を超え、普段着の定番となったジーンズ、それは金鉱にロマンを求めて集まった男たちのために幌馬車用の生地で作ったズボンから始まっていたのです。

 

金、そのものに目を向けるのではなく、金を求める人々に何を提供するか、その視点に立った先見の明、キャンバス生地をズボンに応用する機転の速さ、これが世界で今なお愛され続けるロングセラーの原点でした。

 

ということで、今回のアイデア方程式はゴールドラッシュ×幌馬車用生地=ジーンズでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アメリカで起こったゴールドラッシュはよく知られていますが、それは掘削技術を進歩させ、更に道路や鉄道、町を生み出したり、ジーンズの誕生につながったりという事実にはビックリです。

ゴールドラッシュがなければ、世界中の多くの人たちは今もジーンズという気軽に履けるカジュアルファッションの恩恵にあずかっていなかったかもしれないのです。

 

この例のように、何か新しい商品やビジネスが誕生すると、そこから派生して新たな商品やビジネスが誕生するというのが世の常なのです。

そして、その革新的な度合いが高ければ高いほど社会的なインパクトも大きいのです。

しかし、誕生するのは私たちにとってプラスになるものばかりではありません。

例えば、インターネットはまるで情報におけるビッグバンのように誕生以来あらゆる情報を加速度的に飲み込んで私たちの暮らしに寄与しています。

ですから、インターネットに関連するアイデア方程式は無限に存在すると言っても過言ではないと思います。

しかし、一方でネット社会はフェイクニュースやサイバー犯罪を生み出し、更に億単位の多額な電子マネーが一瞬のうちに盗まれるというようなマイナス面もあります。

 

ということで、アイデア方程式は私たちの暮らしにプラスになる枠内で作っていただきたいと思うのです。


 
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2019年12月02日
アイデアよもやま話 No.4501 千代田区立麹町中学校の革新的教育!

今や、教育の世界もパソコンなどの活用による改革が進みつつあります。

そうした中、7月24日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で千代田区立麹町中学校の革新的教育について取り上げていたのでご紹介します。

 

千代田区立麹町中学校では宿題は無し、定期テストも無し、クラス担任もありません。

これまで当たり前とされてきたことを次々と廃止してしまった異色の学校なのです。

番組コメンテーターで教育評論家の尾木 直樹さんはこの中学校を理想の学校と思っており、次のようにおっしゃっています。

「僕が叶えたかった夢をほとんど全部実現した、素晴らしい学校です。」

 

その素晴らしい学校に日本中の教育関係者が今視察に訪れているということです。

国会議事堂にほど近い、都心のど真ん中にある千代田区立麹町中学校、数学の授業を覗いてみると、先生が教壇に立っていません。

生徒がそれぞれタブレットを持ち、ある生徒は合同な三角形を求める問題、ある生徒は三角形の角度を求める問題と、それぞれ違う問題を解いています。

そして、解らない問題があると、先生はまるで家庭教師のように生徒一人ひとりと向き合うマンツーマン授業なのです。

数学担当の角方 寛介教諭は次のようにおっしゃっています。

「困っている子が「教えて下さい」と言ったら、教えに行く。」

「一斉に何かするということはあまりないですね。」

「一人ひとりの進度が合っている。」

「分からないところはその子はじっくり出来るし、先にどんどんやりたい子は先に進めるし、一斉授業だとそれは出来ないから、そこがいいところ。」

 

麹町中学校が廃止したのは数学の一斉授業だけではありません。

公立の中学校なら当たり前に行われている、1クラスを1人の教師が受け持つクラス担任制は廃止、更に私服姿やパーマの生徒もいて、服装や頭髪の指導も廃止しました。

こうした“学校の当たり前”を次々と廃止したのが、赴任して6年目、数々の著書でも有名な工藤 勇一校長(59歳)です。

工藤校長は次のようにおっしゃっています。

「学校でやらされている「これ無駄だろう」と思って授業を受けたことありませんか?」

「明らかにこれは自分のためにならないかもしれないと思うことも真面目にやっている。」

「みんな当たり前だと思っているだけです。」

「(今の教育は)同じことをずうっと何も変えずに繰り返している。」

「そうすると、子どもも何も考えなくなる。」

「自分で考えて、自分で判断して、自分で決定して、自分で行動出来る子どもたちになって欲しい。」

 

「学校の当たり前を疑え」、工藤校長が手始めに廃止したのが宿題です。

「例えば、同じ漢字を「30回ずつ書いて来い」と言われたことないですか?」

「「花という字を30回書くこと」と言われて花という漢字を既に覚えていたら、ただの苦行ですよね。」

「もし宿題を出されなければやらないですよね、そもそも。」

「学力を高めたいと思ったら、自律している人間だったら、言われなくても(宿題を)やりますよね。」

「言われなきゃやらないって言うんだったら、そういう人間に育っていくわけですよね。」

 

“言われなければやらない”、“言われたから仕方なくこなすだけの勉強”に意味はない、生徒が自発的に学ぶ仕組みを作りたいと廃止したのは宿題だけではありません。

中間テストと期末テストです。

「定期テストって、簡単に言えば成績をつけるためにテストしますよね。」

「僕らの仕事は差をつけることではなくて、全ての子どもたちの学力を全部上げていくことが目的です。」

 

成績をつけるためだけに行う定期テストに意味は無い、ましてや点数を取るために一夜漬けで勉強しても意味が無い、定期テストを廃止する代わりに始めたのが再テストです。

例えば、英語で「be動詞」の授業が終わったら、「be動詞」に特化したテストを行うというような小テスト制を導入しています。

点数が悪ければ再テストもありますが、再テストを受けるかどうかは生徒の自由です。

工藤校長は次のようにおっしゃっています。

「自分で「チャンスを下さい」と言って、(再テストを)受けて成績が上がったら、それが成績になる仕組みにしてあげればいいと思ったんですよね。」

「結果として100点を取った子がいたら、それでいいわけじゃないですか。」

 

工藤校長が考える勉強とは、“分からないことを分かるようにするため自ら学ぶこと”なのです。

この考えから授業も独特です。

社会の授業では、黒板には最小限の板書しかありません。

しかし、生徒たちのノートを見ると、何やら線が引かれた、変わったノートを使い、びっしりと文字が書かれています。

これは、麹町中学校の生徒が入学後にまず習う学校独自のノートの取り方です。

ノートの左側には板書、右側には授業の疑問点や今後の目標を書き込みます。

このノートの取り方について、ある生徒は次のような感想を述べています、

「(黒板に)いっぱい書かれると、何が大事で何が大事じゃないか分かんなくて、ノートがすごいごちゃごちゃになっちゃうんですよ。」

「逆に、少ない情報で「自分たちで考えましょう」という方が深い学びにつながるのかなって思います。」

 

黒板を写す作業が減り、考える時間が増え、授業中の集中力が上がったといいます。

生徒たちが自ら考えて学べるように、学校主導で“当たり前”を次々と廃止にすると、今度は生徒が自分たちの意思で学校の“当たり前”を見直すようになりました。

 

午後4時、放課後の教室からは何やら声が聞こえてきます。

生徒たちが話し合っているのは、11月に行われる文化祭についてです。

文化祭や体育祭などの学校行事は従来、教師が演目や進行スケジュールなどを決めていました。

しかし、現在では生徒たちが自主的に話し合って決めています。

工藤校長が課した体育祭のミッションはただ1つ、「生徒全員が楽しめ」ということでした。

 

運動が得意な子も苦手な子も全員が楽しめるようにするにはどうすればいいか、生徒たちは話し合いの末、クラス対抗の全員リレーを廃止したのです。

工藤校長はこうした生徒たちの自主的な行動について次のようにおっしゃっています。

「今までの当たり前を生徒たちは無くして、(運動が)苦手な子のためには「運動を競い合う」じゃなくて、「楽しめる種目」が何かを自分たちで考えて今年新たに出て来たのは「三輪車競争」。」

「学年で(足が)一番速い子が最も遅かったです。」

「もう、みんながその姿を見て笑ってくれるわけじゃないですか。」

「苦手な子のためにいろんな種目を考えるわけですね。」

「世の中にはいろんな人たちがいて、見方、考え方、価値観もみんな違う。」

「対話を通して「みんながOK」というものを探し出せるプロセスを経験出来る子どもたちになってもらいたい。」

 

学校に運動が苦手な生徒がいるのと同様に、社会に出たら多様な人とめぐり合います。

だからこそ、中学生のうちから話し合いで問題を解決する力を養うことが重要だというのです。

従来の公立中学校の当たり前をぶっ壊す改革を行ってきた工藤校長、最後に「工藤先生にとって学校とはどんな場所ですか?」という質問をぶつけてみました。

それに対して、工藤校長は次のように答えております。

「学校とは未来への社会を作るところ。」

「自分で考えて、自分で行動出来るっていう子どもたち、大人たちを増やしたかったら、そういう子どもたちを学校で生まれるような仕組みにすること。」

 

工藤校長により進められている麹町中学校の改革について、番組コメンテーターの尾木 直樹さんは次のようにおっしゃっています。

「麹町中学校の魅力は、勉強が出来る子を育てるというのではなくて、社会で通用する子を育てると。」

「その結果、学力もトップクラスに上がるということですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

尾木 直樹さんも絶賛しているように、私も千代田区立麹町中学校の工藤校長の教育方針は「これぞ理想的な教育」だと思いました。

そこで、その素晴らしさについて以下にまとめてみました。

・これまでの“学校の当たり前”の徹底的な見直し

・優れた教育方針

自律的な生徒の育成(自分で考えて、自分で判断して、自分で決定して、自分で行動出来る)

学校とはより良い未来の社会を作る人材を育成するところであること

・一人ひとりの生徒の理解の進度に合わせたマンツーマン授業

・生徒の成績評価ではなく、生徒の学力向上を主眼とした学習

  分からないことを分かるようにするため自ら学べる環境づくり

宿題、定期テスト、クラス担任の廃止

再テストの導入

・社会人としてのあるべき姿の育成

  見方、考え方、価値観の違う人同士の対話による課題や問題の解決の大切さの理解

・服装や頭髪の指導の廃止

私服姿やパーマなどが自由

 

従来の教育は一人ひとりの生徒の学力向上よりも学校が生徒を教育し易いような、あるいは管理し易いような仕組みに重点が置かれていたように思います。

以前、アイデアよもやま話 No.3569 日本の消費回復のカギとは!で消費回復のためにはプロダクトアウト的な考え方からマーケットイン的な考え方への転換が必要であるとお伝えしました。

この考え方を学校教育に当てはめると、工藤校長の教育方針はプロダクトアウトからマーケットインへの徹底的な大転換と言えます。

 

しかし、考えてみれば、産業革命以降、モノを作れば作るだけ売れる時代においては、言われたことを、あるいは決められたことを着実にこなす人材が最も求められていました。

なので、従来の教育方針はそれに応えるという意味ではそれなりに理に適っていたのです。

しかし、既にこうした大量生産、大量消費の時代は先進国を中心に曲がり角をとっくに迎えているのです。

また、地球温暖化問題や環境問題もその影響が大きくなりつつあり、単純にモノやサービスの売り上げにまい進することは許されなくなりつつあります。

一方で、AIやロボットの導入があらゆる分野で進みつつあり、従業員に求められる能力やスキルも今後急激に変わっていくことが見込まれます。

 

ではこうした状況において求められるのはどういう人材かと言えば、それはAIやロボットには出来ない能力を持った人材です。

一言で言えば、どの領域においても“創造力”だと思います。

そして、この創造力の源はまさに自分で考えて、自分で判断して、自分で決定して、自分で行動出来る“自律的な思考能力”です。

 

そういう意味で、千代田区立麹町中学校の革新的教育は、これからの日本の学校教育のみならず、企業における人材育成においても大いに参考すべきだと思います。

 

さて、前回、堺屋太一さんの金言についてご紹介し、そこでは子どものような夢を持つことの大切さについて触れましたが、今回ご紹介したような教育を受ければ、自ずとそれぞれの生徒がそれぞれの夢を抱き、更にその夢を実現させるために自発的に取り組む能力を身に付けられるようになると期待出来ます。

そして、こうした一人ひとりの活動の成果がより良い日本社会、あるいはより良い世界の実現につながると思うのです。


 
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2019年12月01日
No.4500 ちょっと一休み その697 『作家、堺屋太一さんの金言』

6月29日(土)放送の「あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)で作家、堺屋 太一さんについて取り上げていました。

そこで、番組を通して堺屋さんの金言を中心にご紹介します。

 

作家、堺屋 太一さん(2019年 83歳没)は近未来を予測した小説で知られ、戦後ベビーブーム世代を描いた「団塊の世代」は時代を象徴する流行語にもなりました。

独自の視点で歴史小説も執筆、「峠の群像」と「秀吉」はNHKの大河ドラマの原作にもなりました。

1998年には経済企画庁長官に就任するなど、幅広い分野で活躍しました。

1991年に放送された「NHKスペシャル ヒト不足社会」(NHK総合テレビ)では次のようにおっしゃっています。

「本当に大事なのは何かというと、人間が幸せに暮らせるかどうかということなんですね。」

「では、幸せとは一体何かというと、一番したい仕事をして、したい消費生活が出来る状態なんです。」

 

また、堺屋さんは次のようにおっしゃっています。

「全ては子どものような夢から始まる。」

「この子どものような夢を見ないと、人生はつまらないんじゃないか。」

「これを実現していくことが人生にとって一番の楽しみだと思うんです。」

 

「人生での豊かさとか成功とかというのは、いろんな尺度がある。」

「会社の中で昇進し、高い地位につくだけではなく、いろんな成功の基準があると思うんですね。」

「人生での豊かさは無限に追求出来るんじゃないかと思いますね。」

 

さて、堺屋さんの子どもの頃の夢は建築家になることでした。

きっかけは終戦直後、大阪で開かれた復興大博覧会(1948年開催)でした。

焼け跡に建てられた近代的な展示会や住宅が博覧会終了後に廃却され、そのまま新しい町になるというユニークなイベントでした。

最大の呼び物は白黒テレビでした。

それよりも堺屋さんが興味を持ったのは、博覧会の会場配置でした。

堺屋さんは翌日から方眼紙に様々な博覧会を想定して、展示館や造園や通路を描いたりして空想を膨らませました。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

ご紹介した堺屋さんの金言を私なりに以下に整理してみました。

・子どものような夢を実現していくことが人生にとって一番の楽しみであること

・この夢を実現出来るような仕事に就き、自分の望む消費生活を送るような人生こそ、人間の幸せにつながること

・人生の豊かさにはいろんな基準があり、必ずしも会社の中での昇進や高い地位につくことだけではないこと

 

こうしてまとめてみると、人生の幸せ、あるいは豊かさにとって大切なことは、煎じ詰めればまず夢を持つことが一番の出発点だと思うのです。

そして、この夢を持てるかどうか、そしてどんな夢を持てるかは、子どもから大人になる過程での体験にとても左右されます。

ですから、親や学校の先生、身近な人たちとの様々な触れ合い、あるいは読書や映画鑑賞などがとても大切なのです。

 

また現実には、自分の夢をかなえたい仕事が必ずしも高収入につながるとは限りません。

しかし、仮に億万長者になるほどの高給取りになったとしても、その仕事に全く楽しさや面白さを感じなければ、豊かな人生とは言えません。

ですから、現実に自分が仕事を選択する際には、夢の実現と収入の高さとのはざまで葛藤が起きるのが一般的だと思います。

それでも、やはり若い人たちだけでなく、より多くの人たちに夢の実現につながる仕事に就くことを前提に、その仕事の枠内で創意工夫をして収入を上げる方向で、本来自分のやりたい仕事に取り組んで欲しいと思います。

 

なお、堺屋さんの残した業績の一つに、大阪万博のプロデュースがありますが、この原点は子どもの頃の体験にあったのです。

そして、大阪万博という夢の実現に向けて様々な工夫を凝らしたといいます。

ですから、その人の人生を決定するうえで、子どもの頃の体験はとても大切なのです。


 
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2019年11月30日
プロジェクト管理と日常生活 No.617 『中国ハッカーによる超大規模なサイバー攻撃』

6月25日(火)付けネットニュース(既に削除済)で中国ハッカーによる超大規模なサイバー攻撃について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国政府の支援を受けたとみられる複数のハッカーが、世界の通信事業大手少なくとも10社の携帯電話ネットワークに侵入し、ユーザーの位置情報やテキストメッセージ記録、電話履歴を盗み出していたことが米サイバーセキュリティー会社サイバーリーズンの最新の報告書で明らかになりました。

 

報告書によると、数年間にわたるサイバー攻撃は、軍当局者や反体制活動家、スパイ、法執行当局者ら計20人を対象にしていました。

全員が中国と関係があるとみられ、対象地域はアジアや欧州、アフリカ、中東に及び、ハッキングは現在も続いているといいます。

 

今回のサイバー攻撃では、中国のハッカー集団「APT100」に再び注目が集まっています。

米司法省は昨年12月、西側企業・政府機関への幅広いハッカー攻撃に関与したとしてメンバーとみられる2人を起訴しました。

サイバーリーズンは、電子指紋からAPT10もしくは手法を共有した人物・勢力の仕業だと指摘しています。

 

サイバーリーズンのリノール・ディブ最高経営責任者(CEO)は、世界の他の通信企業20社超に対して、今回のハッキングについて直接説明しました。

ディブ氏によると、ハッカー被害を受けた企業は不信感や怒りをあらわにしていたといいます。

 

一方、中国政府はこれまで一貫してサイバー攻撃を行ったことはないと主張し、反対に米国や他の国々からハッキングを受けている被害者だと説明しています。

 

今回の攻撃は電気通信業界に対する最近の攻撃で最も広範なものの1つだとディブさんはおっしゃっています。

 

サイバーリーズンによると、ハッカーは今回の攻撃で通信各社のアクティブディレクトリー全体のほか、ユーザー数億人の情報にアクセスしました。

また、従業員を装って各社のシステムに侵入出来る特別なアカウントを作成しました。

 

国の支援を受けたAPT10のような集団は、機密情報の収集に力を入れる傾向があります。

ウェブサイトを閉鎖したり、銀行口座やクレジットカードデータといった資産の金銭化を狙ったりする犯罪集団とは対照的です。

 

サイバーリーズンでは、中国人以外のハッカーがAPT10を装った攻撃を行った可能性を排除出来ないとしています。

しかし、ディブさんによると、サーバーやドメイン、IPアドレスは中国、香港、台湾のもので、全ての痕跡が中国を指しているといいます。

APT10には戦略的に重要で直ちに利益にならないデータを狙ってきた歴史があるため、サイバーセキュリティー専門家は背後に中国政府があると考えています。

 

中国を拠点とするハッカーは、数年にわたり米企業を狙った攻撃を仕掛けていたが、2015年に当時のバラク・オバマ大統領と習近平国家主席が経済スパイを行わないことで合意すると、攻撃の頻度は減りました。

 

これまでにオーストラリア、日本、英国なども、自国の政府機関や企業に対してハッキングを試みたとして中国を非難しています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

以前、アイデアよもやま話 No.3473 21世紀はサイバー戦争の世紀 その4 サイバー戦争の時代は既に始まっている!でもお伝えしたように、中国のみならずアメリカの政府機関によるサイバー攻撃も行われているのです。

そして、そのターゲットは軍当局者や反体制活動家など特定の人物ですが、入手するデータには不特定多数の一般人も含まれています。

ですから、サイバー攻撃によりデータを入手した側は、いつでも必要に応じて不特定多数の人物の個人データを参照することが出来るのです。

 

こうした状況においては、ある国の指導者はその気になれば、その権限を利用して、選挙対策など、時と場合に応じて様々な用途である特定の人物の個人情報を違法に盗み見して活用出来るのです。

勿論、参照権限を持つ人物も個人的な用途で活用が出来るリスクがあります。

 

そして、万一こうしたデータが一旦外に出てしまえば、取り返しがつきません。

また、売買の対象にすれば、少なからず引き合いがあると容易に想像されます。

 

ということで、ネット社会は買い物やコミュニケーションのツールとして様々な面で私たちの暮らしを豊かにしてくれています。

私たちは無料、あるいは低価格でいろいろなサービスを受けることが出来ます。

一方、偽情報のまん延やSNSを媒介とした犯罪、あるいは偽サイトを経由した金銭的な被害といった負の側面も持っています。

更にネット社会の宿命ですが、個人情報が一旦ネット上に流れてしまうと、それをネット上から完全に消し去ることはほとんど不可能だと言われています。

ですから、場合によってはある人物の個人情報が一旦流出してしまうと、その人物は一生その情報のために悩み続けることになってしまう可能性を秘めているのです。

 

一方、国レベルの問題として、国の機密情報がハッカーにより盗まれたり、国の中枢機関のコントロール機能がハッカーの手に渡れば、その国の安全保障は壊滅的な打撃を受けることになってしまいます。

ですから、今や国の安全保障体制を構築するには、単に優れたハードウエアである軍事兵器のみならず、ソフトウエアである優れたサイバー関連技術の取得が欠かせないのです。

 

ですから、今やどこの国もこうしたハッカー対策にしのぎを削っていると思います。

しかし、それでもハッカー行為を100%防ぐ手立てを得ることはあり得ないと言われています。

 

では、こうしたネット社会における最善の対応策ですが、個人の立場からは以下の2つの要件を満たすことが求められると思います。

・ネット上に自分の情報を発信する場合は、常にこの情報が漏れても大丈夫かという意識を持ち続けること

・ネットにつながるような金融資産(銀行やクレジットカード、その他の電子マネーなど)は最小限に止めたり、1つにまとめず、いくつかに分散させたりすること

・金融資産関連の登録の際は、万一ハッカーなどによる盗難の際の損害補償サービスの有無を確認すること

 

次に、国の立場からですが、以下の3つの要件を満たすことが求められると思います。

・常に世界最先端のハッカーなどによるサイバー攻撃の対応策の研究・開発を継続させること

・同時に、組織内部からの情報漏えい対策を講じること

・そこで得た技術を国内の民間企業に開放し、国内企業のハッカー対策の支援につなげること


 
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2019年11月29日
アイデアよもやま話 No.4499 たった2秒で充電出来る蓄電デバイス!

7月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でたった2秒で充電出来る蓄電デバイスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)の唐 捷(トウ ショウ)博士は炭の仲間を使って蓄電デバイスを作っています。

炭素を加工し、アルミの袋に入れた蓄電デバイスにつなぐとたった2秒の充電でLEDライトを30分以上灯すことが出来ました。

これは世界トップレベルの技術だそうです。

 

秘密は炭素の並び方にあります。

唐博士は炭素原子で出来た薄い膜を積み重ねるという技術を確立しました。

こうすることで充電性能が格段に上がるのだそうです。

唐博士は次のようにおっしゃっています。

「現在の電気自動車(EV)は数時間で充電するところ、数分で充電出来るようなことを目指して・・・」

 

現在、製品化に向けて急ピッチで研究が進められています。

ちなみに商品名は「グラフェンスーパーキャパシター」です。

 

この蓄電デバイスは原料が炭素なので、コストがかからないこと、軽いこと、そして(リチウムオン)バッテリーのように爆発や発熱の危険性もないというメリットもあるそうです。

で、EVだけでなく、ウエアラブルデバイスの充電にも使えるので、現在はロボットスーツのサイバーダインなどから出資を受けて研究をしているということでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、お伝えしたように固定価格買取制度(FIT)の期限を迎える太陽光発電が今年から徐々に出て来て、早期に太陽光発電を導入したお宅では余剰電力の扱いをどうするかが喫緊の課題になっています。

というのは、余剰電力の買い取り価格がFITの終了以降は10円程度ととても安くなるからです。

その対応策の一つとして、バッテリーシステムを購入して、そのバッテリーに余剰電力を充電し、自宅用の電力として利用する方法があります。

しかし、肝心のバッテリーシステムがまだまだとても高額なのです。

そうした中、徐々に従来よりも割安のバッテリーも出始めています。(参照:アイデアよもやま話 No.4475 京セラが低価格の次世代型リチウムイオン電池を開発!

そして、今回ご紹介した「グラフェンスーパーキャパシター」は低価格や安全性の面で以前ご紹介した全固体電池以上に次世代型バッテリーの候補として期待出来そうです。

また、アイデアよもやま話 No.4493 米運用会社トップの語る次の成長分野!でもお伝えしたように、米運用会社トップはバッテリーを今後の5つ成長分野の1つとして挙げています。

ですから、こういう技術の実用化に際し、国としても率先してヒト・モノ・カネ、あるいは制度面で積極的に支援していただきたいと思います。


 
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2019年11月28日
アイデアよもやま話 No.4498 元本95%保証の投資信託!

7月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で元本95%保証の投資信託について取り上げていたのでご紹介します。 

 

りそな銀行は7月16日、安定志向の強い顧客に向けて、元本95%保証の投資信託の販売を始めました。

都内にあるりそな銀行の常盤台支店、その接客ブースをのぞいてみると、提案していたのはこの日から販売を開始した元本の95%を保証する「みつぼしフライト」という投資信託です。

運用によって収益が変動する投資信託で国内の銀行が元本の一定割合を保証するのは始めてです。

この投資信託について、来店した50代の男性は次のようにおっしゃっています。

「95%ってすごいんじゃないかと思いまして、投資信託って全くやったことがないので、あまりリスクの高いものはしたくないというところで、ローリスク・ローリターンかもしれないですけど、とっかかりにはいいのかな。」

 

運用期間は10年に設定していて、日本を含む世界の債権や株式、REIT(不動産投資信託)に分散投資し、市場動向に合わせて資産配分を変更することで安定した収益を目指すとしています。

ただし、投資信託を管理・運用してもらうための手数料とは別に、元本の95%を保証するために保証料、0.216%を顧客が負担します。

りそな銀行 コンシューマービジネス部の浦田 紘介さんは次のようにおっしゃっています。

「目標リターンは(年)2%台前半と。」

「人生100年時代ですので、70代の方でも10年、20年と運用いただく期間があると思いますので、若い方でもとにかく最初の第一歩を踏み出すための商品として使っていただければと思います。」

 

こうした投資信託について、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「一般的に安全性の高い金融商品というのはシニアの方が好む傾向があるんですけども、今の30代、40代あたりにもニーズがありそうなんですね。」

「というのは収入に厳しい状況がありまして、こちら(のグラフ)は大卒・大学院卒の男性の正規雇用者の賃金の変化をみたものなんですが、10年前(2008年)と比べて30代、40代で収入が伸びなくなっているんですね。」

「減ってしまっていまして、この2008年のカーブと2018年の差分を推計するとおよそ730万円なんですね。」

「ですので、この時期というのは子どもの教育費ですとか家の購入など出費がかさむ時期、そしてしかも今低金利で住宅ローンが組み易くなっているので、実はこの年代の負債も増えているんですね。」

「で、収入が減っていて負債が増えている、そして最近年金2000万円不足問題もあったということで、資産形成の意識が高くなっているけれどもなかなか回すお金がない、安全性を重視したい、(リスクを取りたくない)、そういった層にニーズの高い商品になるかもしれませんね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

従来の投資信託と言えば、運用によって収益が変動するのが前提で、投資の成果によって損失を被るリスクを避けることは出来ませんでした。

そうした中、りそな銀行が販売を開始した元本の95%を保証する投資信託「みつぼしフライト」は国内の銀行では始めてといいます。

 

なぜこれまでこうしたローリスク・ローリターンの投資信託がなかったのか不思議ですが、元本の95%が保証されるのであれば、初心者を中心にこうした投資の新たな需要の掘り起こしになると期待出来ます。


 
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2019年11月27日
アイデアよもやま話 No.4497 MMTを導入していれば消費増税は不要だった!?

以前、今話題の経済理論、MMTModern Monetaary Theory:現代貨幣理論)について、アイデアよもやま話 No.4447 驚きの経済理論”MMT”でお伝えしました。

そうした中、7月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本におけるMMTの導入の可否について取り上げていたのでご紹介します。 

 

国の借金である国債は今年度末で約897兆円になる見通しで、毎年膨らんでいます。

日銀の黒田総裁も安倍総理も困り顔ですが、こうした日本の状況を肯定するかのような、ある理論が話題となっています。

自国の通貨を発行して借金を返せばいいので財政赤字は問題ではないという考え方です。

この考え方はMMTと呼ばれています。

 

今、この理論がアメリカで政界や学会を巻き込んでの大きな議論となっているのです。

その提唱者の一人が来日しまして、MMTを実践すれば、日本ももっと経済成長出来ると発言しました。

 

今年2月、アメリカ・FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は次のようにおっしゃっています。

「MMTの詳細は把握していないが、「財政赤字は問題ではない」という考え方は全く間違っている。」

 

パウエル議長がこのように批判したMMTは、自ら通貨を発行している国では財政赤字は予算の制約にならないというもので、政府は財政赤字ではなく、インフレやその原因となる需要や供給を注視すべきとしています。

 

アメリカでは地球温暖化対策や医療保険などの充実を進めたい議員などから支持を集めています。

また巨額の政府債務に苦しむ日本でも議論になっています。

今年4月の参議院決算委員会で日銀の黒田総裁は次のようにおっしゃっています。

「(MMTの)財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は極端な主張であり、なかなか受け入れられないのではないかと。」

 

また安倍総理も次のようにおっしゃっています。

「債務残高、対GDP比の安定的な引き下げを目指していますから、言わば我々がMMTの論理を実行しているということではない。」

 

そんな中、MMTの提唱者の一人、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授が来日し、記者会見を開きました。

現在の日本の経済をどう見ているのでしょうか。

ケルトン教授は次のようにおっしゃっています。

「日本がMMTをきちんと実践していたなら、もっと経済は成長していただろう。」

「(MMTを導入すれば、消費増税は不要なのかという問いに対して、)はい、正しいです。」

「(インフレが急激に進んでも引き締めに転換出来るのかという問いに対して、)現在の日本の政府の支出増加がインフレを招くと考えている人はいない。」

「民間支出を増やすことでインフレになる状況ではないし、輸出増で日本の生産能力不足を懸念する人はいない。」

 

この会見を聴いた解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは、この財政政策を重視する主張に注目したといいます。

そして、「舞台は「金融」から「財政」へ」というご自身で書かれたボードを掲げながら、次のようにおっしゃっています。

「(政府、日銀にはMMTは極端な主張だという意見もあるが、)彼女の主張自身は意外にオーソドックスなケインズ主義の考え方、つまり景気が悪くなったら財政出動をするという考え方に近いんじゃないかと思います。」

「次に景気が悪くなった時には、経済政策の表舞台に出て来ておかしくないような主張だという印象を持ちました。」

「(ちゃんと議論した方がいいのではという問いに対して、)そうですね、今の時点からやはりメリット、ディメリットを含めて正面から議論しておくべき考え方だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

また、7月19日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもMMTの提唱者の一人、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授は次のようにおっしゃっています。

「(10月に予定されている消費増税について、)消費の落ち込みが予想されていると分かっていて消費税を上げるなんて。」

 

「(消費増税で消費が冷え込んだ場合に有効な政策について、)最も確実に世間にお金が回ると言えるのはインフラなどに対する公共事業。」

「減税は消費を促すかもしれないが、確実さでは劣る。」

「(所得をMMTによって増やしても、消費が増えない、溜めこむだけになる恐れはないかという問いに対して、)非常に重要なポイントだと思う。」

「所得の増加が一時的なものと思えば、人々は生活防衛に入り、お金を使わない。」

「政府は「増加は一時的なものでない」と繰り返し伝え、納得させないといけない。」

 

「この20〜30年は、経済対策を中央銀行に過度に依存して来た。」

「これまで成功した政策を見直し、再び実行することが必要。」

 

MMTに基づく政策で経済が回復し、インフレになった場合には日銀が政策金利を引き上げるよりも政府が増税で対応すべきだというのです。

 

こうしたケルトン教授の見解について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「MMTの評価ということになってくると思うんですけども、経済の実情が変化しているわけですから、それに対しては新しいメガネを用意する必要があるというわけなんですよね。」

「普通こういうことを主張する人はとんがり過ぎている人が多いんですけども、彼女はとてもマイルドな感じで好印象を持ちましたね。」

「1つは、せっかく財政資金を使っても国民が貯めこんじゃったらどうするんだっていうことに対して、はぐらかさずに答えていたのが非常に良かったと思います。」

「どういうことかっていると、要するに安心出来る雇用環境をつくって、年金不安みたいなのを和らげるっていうことを一緒にやるべきだと。」

「これは非常に常識的だけど重要なポイントですよね。」

「その意味では、僕は納得感がありました。」

 

また番組コメンテーターで大阪大学の安田 洋祐准教授は次のようにおっしゃっています。

「MMTが出て来た背景が気になりますね。」

「というのも従来の経済理論からみると、異説異論なわけですけども、こういったものが出て来た時にその経済理論が一蹴出来ない、その背景には恐らく伝統的な主流派の経済理論の説得力や正当性にちょっとほころびが出て来ているんじゃないか。」

「その上で少し強引なんですけど、私が考える、注目しているMMTは、私の造語ですけど、Mainstream Macroeconomics Transformation、主流派のマクロ経済学が変わる一つのきっかけになるかもしれない。」

「実際に、例えばですね、代表的な主流派の経済学者である元IMFのチーフエコノミスト、ブランシャールさんだったりとか、元財務長官のサマーズさんはケルトンさんたちのMMTは批判しているんですけど、ただ従来と比べて財政規律にそこまで縛られる必要はないと。

「現在のように金利が成長率を下回るような状況は、我々が従来思っているよりも長く続くかもしれない。」

「こういった情勢下ではすぐに増税ではなくて、国債で一定程度財政拡張するのが望ましいのではないかというかたちでスタンスを大分変えて来てるんですよね。」

「そういうことで、こういった動きが起きると、更に強引ですけどもMMT、“もっと みんなで 討論を”。」

「今、経済ではマクロ経済自体が大きな変革期にあるかもしれない。」

「なのでMMTをきっかけにこういった、みんなで討論して議論していこうと個人的には思っています。」

「(特に高齢化も進んで将来不安の大きい日本というのはこれまでの理論がなかなか通じにくい部分が多いのではという指摘に対して、)そうですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

MMTについて2つの番組を通してご紹介してきましたが、今あらためて思うのは、アイデアよもやま話 No.4447 驚きの経済理論”MMT”ではMMTを驚きの経済理論とお伝えし、最後に経済の素人ではありますが、私の見解として、MMT理論はケインズ理論を現代的に焼き直した理論のように思えると言ったのはあながち的外れではなかったということです。

 

さて、安倍政権はアベノミクスで、金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を掲げましたが、経済成長率は思うように伸びず、従って税収も伸び悩んでいます。

そこで、年金や医療などの社会保障を維持するための費用を捻出するために10月に消費増税が導入しました。

その効果のほどは暫くは見届けるとして、景気の冷え込みが確認されるようであれば、ケルトン教授らが提唱しているように、最も効果的と言われる国による最も確実に世間にお金が回るインフラなどに対する公共事業に国の借金で取り組むことについて、専門家の間で大いに議論をすべきだと思います。

 

いずれにしても日本は資本主義国家です。

そして、資本主義は消費者が消費をすることで成り立っているのです。

ですから、消費が停滞しては資本主義を継続させさることは出来ないのです。

 

日銀の黒田総裁は金融政策により、金利2%上昇を目指してこられましたが、残念ながらマイナス金利政策まで実施しても景気は思うほど上向いておりません。

その原因は消費の停滞です。

 

ですから、次の国の政策の目玉としては、やはり最も効果的な公共事業への国による取り組みが検討されるべきです。

ではその具体的な対象ですが、以下の項目が考えられます。

・災害対策

自然災害(地震や大型台風など)の対策として電柱の地中化や雨水の大型貯水施設の建設など

・スマートグリッドのインフラ整備

・公共施設への再生可能エネルギー発電の導入

・国など公共機関の業務の徹底した電子化

 

同時に進めるべきは、AIやロボットなどの先進技術に取り組むベンチャー企業へのヒト・モノ・カネの面での支援だと思います。


 
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2019年11月26日
アイデアよもやま話 No.4496 通貨の3つの機能から見た仮想通貨の危うさ!

仮想通貨からの不正流出がたびたび報じられており、止まりそうもありません。

そうした中、7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で通貨の3つの機能について取り上げていたのでご紹介します。

 

仮想通貨業者、ビットポイントジャパンは7月に35億円分の仮想通貨が不正に流出したと発表しました。

こうした状況について、番組コメンテーターでモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「新しいこと(仮想通貨)が市場に出ると、こういうこと(不正流出)があるなと思いますけど、仮想通貨が本当に通貨になるかどうかがちょっと気になるところですけども、通貨になるという条件が実は3つありますね。」

「で、(1番目は)価値の保存機能ですね。」

「(仮想通貨は)盗まれて保存されないんですね。」

「だからちょっとこれが危ないなと思いますね。」

「もう一つ(2番目)は交換機能ですね。」

「例えばコンビニに行ってモノを買いますね。」

「あんまり仮想通貨入ってないです。」

「ちょっと交換機能をまだ果たしていないなということです。」

「3番目は価値の尺度機能、ドルの価値とかビットコインの価値とかあんまり言われてないんですね。」

「なのでちょっと本当に仮想通貨を通貨として機能するかということですと、残念ながら“×、×、×”、今はね。」

「これからは、うまく開発するならうまくいくかなという可能性もまだあります。」

「(そのためには更なるイノベーションが必要ではという問いに対して、)そうです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

さて、上記の1番目の価値の保存機能についてですが、7月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で流出した仮想通貨の行先について取り上げていたのでご紹介します。

 

ビットポイントは2016年に創業し、六本木に本社を構えます。

昨年まで社員はわずか18人でしたが、今年110人まで拡大した急成長企業です。

口座を持つ11万人のお客から約160億円分の仮想通貨を預かっています。

 

ビットポイントによると、お客から預かった仮想通貨のうち、87%はインターネットにつながっていないコールドウォレットと呼ばれる場所に置かれていました。

ですが、犯人は何らかの方法で鍵を入手し、インターネットにつながっているホットウォレットから残りの13%の仮想通貨を盗み出したのです。

 

今回流出したビットポイントジャパンの35億円以外にも昨年1月にはコインチェックで約580億円、9月にはテックビューロで約70億円と、この1年半で約700億円分の仮想通貨が流出、警視庁などが捜査にあたっていますが、いずれの事件も犯人の逮捕には至っておりません、

また、国連は今年一部の流出事件について、北朝鮮が国家ぐるみで行ったとの報告書を公表しています。

ビットポイントは、盗まれた仮想通貨はお客に全て返金するとしましたが、その時期や方法は未定といいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

フェルドマンさんは、仮想通貨が通貨になると条件として、価値の保存機能、交換機能、価値の尺度機能の3つを挙げています。

そして、今のところ、この3つの条件全てについて満たしていないとおっしゃっています。

しかし、No.4440 ちょっと一休み その688 『暗号資産の信頼性はまだ先!?』でもお伝えしたように、今や仮想通貨は世界的に投資先として注目されています。

また、ユーザーの立場からもとても利便性が高いのです。

更に、仮想通貨を含めた電子マネーの普及は国の脱税対策としてもとても有効に機能します。

ちなみに、韓国における電子マネーの100%近い普及の裏には政府の脱税対策があったと言われています。

また国内においては、消費増税により消費税が10%となり、その買い控え対策として電子マネーでの購入には「5%のポイント還元」制度を期限付きで導入しています。

ですから、近い将来、通貨の3つの条件を電子マネーそのものは概ねクリアしていくと見込まれます。

しかし、その電子マネーはクレジットカードも含めてとても種類が多く、クレジットカード以外の電子マネーの中には今のところ使えるお店が限られるという問題もあります。

ですから、電子マネーの世界は今はまさに戦国時代という状況です。

そして、フェースブックが導入すると言われているリブラは従来の仮想通貨にない価値の尺度機能も兼ね備えているといいます。

世界各国の政府は、このリブラの持つ可能性に脅威を感じており、同時にその運用上の危うさを指摘し、フェースブックに対していろいろな条件を突き付けています。

そして、フェースブックもこの条件を満たす方向にあります。

 

では戦国時代が今後どのように収束していくかですが、既存のクレジットカードと新興の電子マネー、そして仮想通貨の三つどもえの状況がしばらく続くと思います。

そして、その先は利便性、低コスト(振込料金など)、安全性などの観点でより優れているものがこの戦いを制すると思います。

 

なお、こうした動きの一方で、北朝鮮のように国家ぐるみ、あるいはテロ集団による仮想通貨に係わる犯罪行為の防犯対策がとても重要であることは言うまでもありません。


 
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2019年11月25日
アイデアよもやま話 No.4495 進化系カップ麺のフタ!

7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で進化系のカップ麺のフタについて取り上げていたのでご紹介します。

 

一度開けても何度でも閉じることが出来るという、新しいカップ麺のフタが共同印刷株式会社により開発されました。

カップの上の部分が銀色のシールのようになっており、フタを閉じるとくっつくという仕組みです。

なので、上からテープを貼ったり、フタが開かないようにモノを置いたりする必要がありません。

共同印刷の佐々木 雄一さんは次のようにおっしゃっています。

「「お湯を入れて待っている間に開かないフタがあれば」という意見が多数ありました。」

「消費者の利便性を考えて開発しました。」

 

番組で実際にこの仕組みで作ったカップ麺にフタをして、10分以上経ってもフタはピッタリと閉じたままでした。

フタ全体をしっかり閉じることが出来るので一般的なカップ麺以上に熱い状態で食べることが出来ます。

更に、再密封出来る部分の反対側は、一般的なカップ麺と同じように開けられるので、スープも飲み易いのです。

また、お菓子への応用も可能で、現在商品メーカーに売込み中だといいます。

ちなみに、商品名は「カップ用リシール蓋材」です。

今後の目標について、佐々木さんは次のようにおっしゃっています。

「2022年までに売り上げ3億円ぐらいを目指しております。」

 

この進化系カップ麺のフタは、とても保温効果があり、熱が閉じこもった状態なので蒸らす効果もあり、より美味しくなるのではないかといいます。

また、フタを開けっ放しでほこりや虫が入ってこないだとか、コンビニでカップ麺にお湯を入れてクルマの中で食べたりする場合、クルマに行く途中でスープがこぼれないというメリットもあります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

世の中には、「こんな機能のモノ、あるいはやサービスがあったらいいな」と思っても、その不便さに対して、自分の出来る範囲でなんとかしてそれ以上は考えないというものがいろいろあります。

今回ご紹介したカップ麺のフタもまさにそうです。

私もたまにカップ麺を食べますが、お湯を入れて3分とか待っている間、フタが開かないように、中に入っていた具を載せたり、お箸を載せたりしています。

それでも多少はフタの部分に隙間が開いてしまうことがあります。

 

そうした中、この進化系カップ麺のフタであれば、こうしたことをせずともカップ麺が出来るのを待つ間しっかりと密閉され、保温効果があるというのです。

共同印刷ではこの技術を積極的に商品メーカーに売込み中といいますが、是非より多くのカップ麺メーカーが取り入れて欲しいと思います。

 

さて、この進化系カップ麺のフタで思い出したことがあります。

それはスナック菓子に使用されている袋についてです。

多くのスナック菓子の袋は袋の上部がチャック状になっていないため、最初に食べる際にはハサミで袋の上部の一部を切ったり、あるいは刻みのある部分を手で切って中のお菓子を取り出します。

そして食べ終わった際には、中のお菓子が湿ってしまわないように洗濯バサミなどで袋の上部の開いた部分を塞ぐようにしています。

あるいは、中身が残り少なくなった場合は輪ゴムで袋をくるんでしまうこともあります。

しかし、外出先では洗濯バサミも輪ゴムもない場合があります。

実は、今食べかけのスナック菓子も洗濯バサミで袋の上部を閉じています。

 

一方、一部のスナック菓子の袋では、中のお菓子を取り出したり、袋を閉める際に袋の上部がチャック状になっているのでしっかり袋を閉めることが出来、中のお菓子が湿りにくい効果があります。

 

こうしたことを考えると、袋の上部をチャック状にする技術は既に確立されているのですから、多少コストがかかってもスナック菓子メーカーには是非この技術を取り入れて欲しいと思うのです。

また、今やスナック菓子は子どもも含めて多くの国民の間に定着しているのですから、スナック菓子メーカーの従業員も私と同じ思いをしている方々は沢山いらっしゃると思います。

ですから社内提案制度などで是非こうした提案をしていただきたいと思います。


 
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2019年11月24日
No.4494 ちょっと一休み その696 『たった一人での映画館での映画鑑賞』

先日、久しぶりに「最高の人生の見つけ方」を観に映画館で行ってきました。

この映画はジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが共演したロブ・ライナー監督による同名映画を原案に、吉永小百合と天海祐希が共演したハートフルドラマです。

生きることの意味や家族の絆、そして家族愛をテーマとしており、とてもスートリーもよく出来ていて、久しぶりにいい映画を観たという思いでした。

 

さて、この映画を観るに至った経緯ですが、以前もお伝えしたように、私は毎週2、3回横浜中華街にある小公園(通称)や山下公園に行って太極拳をしています。

先日、いつものように一人で太極拳をやっていました。

すると、たまに小公園を掃除している同年代の女性から次のように声をかけられました。

「自分の子どもが「最高の人生の見つけ方」という映画に出演しており、とてもいい映画なのでよかったら観に行って下さい。」

 

これも何かの縁だと思い、観に行ったのです。

 

さて、私がこの映画を最寄りの映画館に観に行ったのは、劇場公開日から既に1ヵ月ほど経っていたので、1日1回のみの朝の8時過ぎからの上映でした。

ですから、観客数はとても少ないだろうと予想はしていたのですが、ふたを開けてみたらなんと観客は私一人だったのです。

勿論、座席も最も観やすい席を選びました。

こんなことはこれまで何度となく映画館に足を運んできた70年近い私の人生において初めてのことです。

 

ですから、この映画に関する感想とは別にいろいろな思いが湧いてきました。

映画館を独占した状態で観ることで一瞬大富豪の気分になったり、なんとなく落ち着かない気分だったり、観客が一人では赤字だろう、とかです。

 

ちなみに、この映画を勧めてくれた女性の家族の出番はごくわずかでしたが、とても難しい役どころで、親近感も湧いてきました。

後日、この映画を勧めてくれた女性にとてもいい映画だったと伝えると、とても喜んでいました。

こうした何気ない出会い、あるいは会話も人生の楽しいひと時だと思うのです。


 
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2019年11月23日
プロジェクト管理と日常生活 No.616 『社会の混乱を招く”ディープフェイク”!』

6月20日(木)付け読売新聞の朝刊記事で”ディープフェイク”という耳慣れない言葉について取り上げていたのでご紹介します。 

 

そもそも”ディープフェイク”という言葉の意味ですが、AI関連技術の進歩とともに今や本物と見間違う精巧な偽動画をつくることが出来るようになったのです。

そこで、こうした技術をAIのディープラーニング(深層学習)とフェイクニュース(偽ニュース)にちなんで名付けられたのです。

 

ではこうした精巧な偽動画はどのように作られるのでしょうか。

実在する動画の特徴を学び、偽動画を作るAIと、本物か偽物かを判定するAIが競い合い、膨大な回数の試行錯誤を繰り返すことで偽動画を作り出すのです。

 

従来のフェイクニュースとの違いについては、圧倒的に精巧であるということです。

政治家など著名人本人が実際に発言したように見えるといいます。

ですから偽動画を見破ることはとても困難だといいます。

フェイスブックなどでは、専門チームが専用ソフトで発見を試みていますが、限界があるというのです。

 

こうした状況を受けて、6月13日にワシントンの米議会下院委員会で開かれた公聴会で、大学教授や専門家らが真剣な表情で偽動画の監視議論を交わしました。

「選挙やジャーナリズム、株価に影響を与えかねない」、「ロシアと中国は、敵対勢力の信用性を傷付ける目的で使う可能性がある」と指摘されたほか、「アメリカ社会は偽動画が与えるリスクへの備えが十分出来ていない」と警鐘を鳴らす声が出ました。

 

なお、こうした偽動画の投稿者の判明はとても難しいといいます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

インターネット、IT、あるいはAIは、私たちの暮らしをとても豊かにしてくれます。

しかし、一方でこうした技術は、今や本物と区別がつかないほどの”ディープフェイク”を作り出せるほどに進歩しているのです。

そこで、一部のユーザーの中からは、自分を目立たせたい欲望や社会を混乱させたい欲望に駆られたり、回覧回数の増加による収入増を狙って”ディープフェイク”を発信する人が出て来るようになります。

あるいは、ある組織や国家がある意図を持って”ディープフェイク”を発信するリスクが生じます。

これまでのフェイクニュースと異なり、政治家など著名人本人が実際に発言したように見えるというのですから、一時的に国際社会を大混乱に陥らせてしまうリスクをはらんでいます。

 

なお、”ディープフェイク”の具体的なリスクとして、以下のようなものが考えられます。

・一般生活者やアイドルなどのイメージダウン

・選挙直前の相手候補のイメージダウン

・株価の大暴落や急騰

・戦争勃発の引き金

 

しかし、こうした”ディープフェイク” の投稿者の判明は現在とても難しいというのですから、”ディープフェイク”のリスク対応策は今のところとても困難な状況にあると言えます。

 

考えてみて下さい。

もし、アメリカのトランプ大統領や中国の習近平国家主席などの現実の動画と”ディープフェイク”がネット上で入り混じって投稿されていたら、世界中の人たちはどの動画を信じていいのか分からず、大混乱に陥ってしまいます。

しかも、現実と”ディープフェイク”との見分けは出来ないのですから、大混乱は暫くの間続いてしまいます。

 

最悪の事態として考えられるのは、米中の戦争の勃発の”ディープフェイク”です。

例えばアメリカと中国との覇権争いが行き詰まって限界に達し、中国から核弾頭を搭載したロケットがアメリカに向けて発射されたというような”ディープフェイク”が投稿されたら、最悪の場合、世界の終わりを迎えることになってしまいます。

 

ということで、”ディープフェイク”のリスク対応策は早急に求められます。

具体的には、以下のような対応策が考えられます。

・”ディープフェイク”の悪影響に対する一般ユーザーへの啓もう

・”ディープフェイク”の早急な識別技術の確立

・瞬時の”ディープフェイク”の削除

・”ディープフェイク”投稿者の早急な判明技術の確立

・”ディープフェイク”投稿者に対する重い処罰


 
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2019年11月22日
アイデアよもやま話 No.4493 米運用会社トップの語る次の成長分野!

7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で米運用会社トップの語る次の成長分野について取り上げていたのでご紹介します。

 

好調なアメリカ市場ですが、次の成長分野についてアメリカの運用会社、アーク インベストメント マネジメントのキャサリーン ウッドCEOは次のようにおっしゃっています。

「アメリカの株式市場の行方をとても楽観視していて、これからも上昇は続くでしょう。」

 

割高感もささやかれるアメリカ株ですが、これからもまだまだ上がるといいます。

来年に大統領選を控えるトランプ大統領が国内産業向けの景気対策を打ち出すことが予想され、それが更なる追い風になると見ています。

中でも注目していることについて、ウッドさんは次のようにおっしゃっています。

「イノベーションは未来のためにあります。」

「ただ残念なことに上場市場ではイノベーションの分野が過小評価されていて十分な投資がされていません。」

 

イノベーションによって成長すると見るのが次の5分野です。

・DNA

・AI

・ロボット

・電池(バッテリー)

・ブロックチェーン

 

こうした分野が世界を大きく変え、これからの株式市場をけん引するといいます。

しかし、ハイテク分野を中心にアメリカは中国と対立しており、イノベーションに影響はないのでしょうか。

ウッドさんは次のようにおっしゃっています。

「米中の対立を乗り越えて、イノベーションを生む企業は、より安く、早く、生産的にと、より多くの選択肢やビジネスの機会を生み出すでしょう。」

「彼らは困難な環境でも成長を続けることが出来ます。」

 

また、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「アメリカの株については金融緩和頼みじゃないかとかいろいろな指摘があるんですけども、あえて彼女(ウッドさん)の今日のコメントを要約しますとこれになるんじゃないかと思いますね。」

「“破壊的イノベーション”というのがキーワードになると思うんです。」

「破壊的というのは、既存の社会や産業のあり方を一変させてしまうようなイノベーションだと思います。」

「そうすると、負け組の企業は追い出されちゃいますから、まさに勝ち組のイノベーション優位(?)とする。」

「アークというのはノアの箱舟の箱舟という意味ですから勝ち組に乗るというネーミングだと思うんですね。」

「で、アナリストがいっぱいいるんですけども、面白いことにAIの企業とかバイオの企業で長く勤めていた人がここ(アーク インベストメント マネジメント)のアナリストになっているんです。」

「彼、ないし彼女らが車座になっているところの真ん中にウッドさんが座っていろんな戦略を練っているんですね。」

「ということで、金融の世界とイノベーションが一つになっているという点で、アメリカはやっぱり強いなと思いました。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ウッドさんのおっしゃる、イノベーションによって成長すると見る5分野はなるほどと思います。

この分野は、まだまだ“破壊的イノベーション”が登場してくる可能性を秘めていると思います。

しかし、私はあえてもう1つ、イノベーションによって成長する分野の候補を加えたいと思います。

それは再生可能エネルギーです。

既存の再生可能エネルギーの代表格である太陽光や風力は、設置場所に制約があるので、どこでも設置出来ると言うわけにはいきません。

また、このどちらも大型台風などによる強風に対して飛ばされてしまうという弱点があります。

しかも、これまで何度となくお伝えして来たアイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・の要件を満たす再生可能エネルギー発電は、地球温暖化問題や世界的な経済の活性化にも大いに貢献出来ます。

実現すれば、まさに最大中の“破壊的イノベーション”と言えます。

この要件を全て満たすわけではありませんが、アイデアよもやま話 No.3949 画期的な透明で曲がる太陽電池!アイデアよもやま話 No.4483 透明な太陽光発電!の太陽光発電は成長分野で活躍が出来る6番目のの候補の具体例として上げられると思います。


 
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2019年11月21日
アイデアよもやま話 No.4492 日韓のGSOMIA、望まれる2日後の失効回避!

一連の報道によると、そもそもGSOMIA(軍事情報包括保護協定)とは、国家間で安全保障に関する情報を共有・保護するための協定であり、2016年に日本と韓国の間で初めて締結された軍事協定です。

そして、この協定にはアメリカも自国の安全保障上メリットがあることから支持してきました。

 

ところが、韓国は日本が7月に断行した対韓輸出規制強化措置により、両国の安全保障上の信頼関係が損なわれたとして、8月にGSOMIAの終了を決定しました。

日本だけでなくアメリカもGSOMIAの維持を求めていますが、韓国は輸出規制強化措置の撤回が必要との立場を崩していません。

 

一方、11月19日(火)付けネット記事(こちらを参照)によると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日夜に行った「国民との対話」で、23日0時に失効期限を迎える日本とのGSOMIAについて、「GSOMIAが終了する事態を回避出来るなら、最後の瞬間まで努力する」と述べたといいます。

 

常識的に考えれば、GSOMIAの破棄は日米韓の3国いずれにとってもディメリットはあってもメリットはないので文大統領による無謀な決断と言えます。

しかし、敢えてこうした決断をした裏には次の2つの背景があるように思います。

・韓国がGSOMIAの破棄を決断すれば、アメリカが日韓の仲裁に乗り出し、日本の対韓輸出規制強化措置についての再検討を促してくれると見込んだこと

・反日感情の高まる中、現政権を維持する上で、半数以上の韓国の国民がGSOMIAの破棄を支持してくれると見込んだこと

 

一方、日本政府も対韓輸出規制強化措置の効果について読み違いをしたのではないかという専門家の意見もあります。

対韓輸出規制強化措置の与える韓国経済への影響の大きさから、韓国政府、および韓国国民は元徴用工問題について妥協してくるものとの期待がはずれ、韓国が国を挙げて反日に走り出し、そのお蔭でこの問題発生以前に経済政策などで成果の出せない文大統領の息を吹き返させてしまったような状態をもたらしたという見解です。

こうしたことから未だに韓国では反日が幅を利かせているようです。

同時に、この問題の長期化により日本経済への影響が少なからず出て来たことです。

具体的には韓国における日本企業の売り上げ、および韓国から日本に訪れる観光客数の大幅な減少です。

 

さて、いずれにしても繰り返しになりますが、GSOMIAの破棄は日米韓の3国いずれにとってもメリットはないのです。

そして、その失効は2日後の11月23日です。

 

ではこの場に及んで何かアイデアはないのでしょうか。

ここで思い出されるのは、これまで何度となく繰り返しお伝えしてきた次の言葉です。

 

アイデアは存在し、発見するものである。

アイデアは既存の要素の組み合わせである。

 

そこで、私が思い付くのはとても平凡なことです。

そもそも今回の問題のきっかけとなった日本による対韓輸出規制強化は、日本側が韓国に対して輸出管理の不備を何度か指摘してきましたが、韓国側が応じず、政策対話などの場で十分に協議することが出来ず、止む無く輸出管理の厳格化を韓国に求めた措置といいます。

しかし、政府関係者の中には、元徴用工問題の対応の一環の政策だという声もありました。

このことが韓国の反日の流れを大きくしたと言われています。

 

いずれにしても韓国サイドは対韓輸出規制強化措置を大きな問題として捉えており、その対応策としてGSOMIAの破棄を決断したのです。

そして、日本政府は韓国がきちんと輸出管理の厳格化をするようになれば、対韓輸出規制強化措置を解除すると明言しているのです。

ですから、期限を決めて、対韓輸出規制強化措置を早急に解除出来るような対策を検討する日韓合同チームを立ち上げ、そのチームで解除予定時期も検討し、その時期まではGSOMIAをひとまず延長するように日本政府から提案するのです。

 

そして、もし、この日韓合同チームが望ましい成果を上げたら、これをきっかけに元徴用工問題など他の問題についても同様に検討することを日本政府から提案するのです。

 

こうした問題で最も被害を被るのは、それぞれの国の企業や国民なのです。

そもそも政府の取り組むべきは、自国の国民の豊かさ、および安全保障です。

ですから、こうした状況においてこそ、日韓両国の首脳が最も知恵を絞ることが期待されているのです。

ですから、長期的な観点、および理性的な観点から、日韓両首脳には国民の感情に流されることなく、決断が求められるのです。

 

非常にタフな作業となりますが、まずは対話に始まり対話で終わることこそ最良の解決方法なのです。


 
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2019年11月20日
アイデアよもやま話 No.4491 “ファクトフルネス”の必要性を示す2つの事例!

7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で耳慣れない言葉、”ファクトフルネス”について取り上げていました。

そこで前回はその必要性についてご紹介しましたが、今回は必要性を示す2つの事例をご紹介します。

 

1つ目は今もまだ日韓の懸案事項である元徴用工問題に端を発した日韓問題です。

この問題については、国内の多くの識者が日本政府の主張に分があるとしているようです。

ところが、11月8日(金)付けのネット記事(詳細はこちらを参照)によれば、国際司法裁判で日本が敗訴となる可能性があるとしています。

その理由は、以下の通りです。

日本と韓国が国交を回復した1965年に締結された「日韓基本条約」と「請求権協定」で放棄されたのは、「外交保護権」という事実です。

「外交保護権」とは、ある国家の国籍を持つ個人が他国の国際違法行為によって損害を受けた場合に、国籍国が違反した国に対して国家の責任を追及する権限のことをいいます。

つまり、徴用工の問題に当てはめていえば、韓国政府が徴用工の損害賠償を日本政府に請求することです。

そして、「日韓基本条約」と「請求権協定」によって「外交保護権」が放棄されたということは、韓国政府が韓国人の被った損害賠償を日本政府に請求する権利を放棄したということです。

「外交保護権」の放棄に関しては、日韓で解釈の相違はないのです。

 

ところが、たとえば政府を介さないで、個人が被った損害の賠償を他の国の個人や企業に請求する場合は純粋な個人の間の損害賠償請求権なので、政府はまったく介入しません。

これを「個人請求権」と呼びます。

実は、今問題になっている徴用工問題は、徴用工が損害賠償を日本企業に請求するという「個人請求権」の問題なのです。

 

もしこれらの条約で「個人請求権」まで放棄されたという解釈ならば、徴用工の被ったとされる損害の賠償を日本企業に求めた韓国「大法院」の判決は明確な国際法違反です。

しかしもし、放棄されたのは「外交保護権」だけであって、「個人請求権」まで放棄はされてはいないという解釈ならば、「大法院」の判決は正しく、「日韓基本条約」や「請求権協定」という国際条約からみても、なんの問題もないことになります。

ところが、これまでの経緯はともかく、これまでの日本政府の「個人請求権」についての対応が二転三転して、その結果、「個人請求権」が放棄されているのかどうかについての解釈が曖昧なのです。

ということで、この記事でも記されているように、こうした内容の指摘はほとんど報道されていないのです。

 

更に、ウィキペディアの漢江の奇跡(ハンガンのきせき)の項には以下の記述があります。

 

漢江の奇跡は、朝鮮戦争で壊滅的打撃をうけた大韓民国(韓国)が、1960年代後半以降、外債を累積させながら急速に復興し、経済成長と民主化を達成した現象をさす。1960年代前半まで世界の最貧困国だった韓国は、国内総生産 (GDP) が北朝鮮を下回っていた。しかし、韓国は日韓基本条約の日韓請求権協定で個別に国民に支給すると日本側に説明して請求権資金として支払われた3億ドルの無償提供資金を、韓国経済発展のための国内投資資金に回したことで半世紀で世界10位圏の経済大国に発展し、その恩恵を受けた韓国企業は巨大な財閥に成長した。

 

こうした事実から、この時に日韓の間で合意された外交文書に「外交保護権」だけでなく「個人請求権」についても明確に記述されていれば、元慰安婦や元徴用工の問題はこの時点で解決済ということになっていたと思うのです。

 

いずれにしても、今回の日韓問題に限らず、国際間の問題解決にあたっては、国民の感情に流されず、両国の政府が一つひとつの事実の積み重ねの上に立って、更に未来志向で取り組みことがとても大切なのです。

 

2つ目地球温暖化問題についてです。

最近、地球温暖化問題で世界的に注目を集めているスウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんの発言が象徴しているように(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.611 『私たちが思っているよりも緊迫化している地球温暖化リスク その1 16歳の少女の訴えが世界を動かす!?』)、現在の地球温暖化の進行に大きな影響を与えているのは人類の経済活動という指摘が世界の多くの研究者の共通の見解です。

 

ところが一方で、アメリカのパリ協定離脱、およびこうした見解に異を唱える研究者もいることについて11月5日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で取り上げていたのでご紹介します。 

 

アメリカのトランプ大統領は11月4日、地球温暖化対策のパリ協定から離脱することを国連に正式に通告したことを明らかにしました。

協定がアメリカの労働者やビジネスに不公平な経済負担になっていることが離脱の理由だとしています。

実際の離脱は来年の11月4日でほぼ同じ時期に行われるアメリカ大統領選挙の大きな争点になりそうです。

 

こうした動きについて、番組コメンテーターで、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「中々複雑な問題だと思います。」

「近年、異常気象が頻発しているのは事実です。」

「それから気候変動への懸念が世界的に高まっている、こういうのも間違っていないです。」

「が(、しかし)、人類のCO2排出が気候変動の主犯であるという論点に関しては依然として議論があるのも事実で、例えば9月に23ヵ国、500人の科学者がサインして国連に出された所感があります。」

「そこでは、温暖化は人為的なものではなく、自然による影響が大きくて、超長期で地球の気候は温暖化と寒冷化を繰り返していると。」

「それから、現実に進んでいる温暖化のスピードは当初予測された温暖化進行の半分のスピードに過ぎないので、まだまだ科学的に分からないことが多いんじゃないかという主張をしています。」

「この信ぴょう性は私も判断出来ませんけれども、仮にここで言われていることに一定の真実があって、人類のCO2排出が主犯ではないかもしれないということになった場合に、それでも今進んでいる、例えば年間30兆円以上の再生可能エネルギーへの投資が毎年世界で進んでいると。」

「これに本当に経済的な合理性があるのかという話もあるし、それから先進国のある種、潔癖主義の理念先行で新興国に押し付けて、例えばアフリカやアジアでは未電化地域、人口10億人くらいいるわけです。」

「で、彼らは屋内で乾いた糞とか木を燃やして屋内の煙を吸って呼吸器系の病気やがんで早死にする人が沢山いる。」

「こうした人たちに安価な電力を提供する道を絶ってることにならないのかという論点もある。」

「なので、環境政策にはいろんな課題がありますけど、温室効果ガスだけが本当にそこまで重要なのかというのは再検証してもいいのかもしれないなと、こういうふうに思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、お伝えしたように、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)も人類の経済活動が地球温暖化に100%の影響を与えているわけではないが、その可能性は非常に高いとの見解を示しています。

一方で、9月に23ヵ国、500人の科学者がサインして、温暖化は人為的なものではなく、自然による影響が大きいという内容で国連に出された所感もあるのです。

いずれにしてもプロジェクト管理と日常生活 No.609 『台風15号による千葉県を中心とした長期的な被害から見えるリスク対応策の見直しの必要性』などでお伝えしたように、現実に地球温暖化の進行により、大型台風や集中豪雨により、世界的に大きな被害が毎年出ているのです。

ですから、地球温暖化について、専門家の間では見解の相違があることは認めつつ、気温上昇による災害リスクはなくならないので、リスク対応策を実施すべきなのです。

 

さて、”ファクトフルネス”の必要性を示す2つの事例をご紹介してきましたが、国も国民も常に偏った事実のみをもとに判断することなく、どのような反対意見があるかも把握し、より広範囲な視点で事実を認識することがとても大切なのです。

そのよりどころとして、やはり報道機関やジャーナリストが常に立場の違いによる意見の相違などを反映させた記事を私たちに提供してくれることもとても大切なのです。


 
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2019年11月19日
アイデアよもやま話 No.4490 “ファクトフルネス”の必要性!

7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で耳慣れない言葉、“ファクトフルネス”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

今年、日本で一番売れるビジネス書と話題になっている本「世界を正しく見る力 ファクトフルネス」、事実や最新の統計を基に物事を見る習慣をつけることを提案しています。

専門家とされる人たちでも自分の認識と世界の現状にずれがあることを示し、世界では既に100万部を超えるヒットになっています。

来日した、その著者の一人、アンナ・ロスリング・ロンランドさんは次のようにおっしゃっています。

「(人々の認識はなぜ現実とずれてしまうのかについて、)私たちはかつてないほど高い教育を受けるようになり、自分の無知に無頓着になっている。」

「それが落とし穴。」

「「もう知っている」と思い込み、知識やデータの更新をしなくなる。」

 

ただ、こうしたずれは恐怖や犯人探しなど、人間が持つ様々な本能から来るもので、解消するには時間がかかるといいます。

「人間はドラマチックな話が好き。」

「時間をかけ、社会が良くなることは忘れがち。」

「だから認識はずれていく。」

「知識のアップデートが重要と分かっても、真の実践は中々大変なこと。」

 

目まぐるしい社会の変化の中で、嘘の情報も拡散する現代、私たちが普段の生活で心がけることは何か、コツについて次のようにおっしゃっています。

「政治家が何か数字を出したら、他と比較し、読み解いてみること。」

「政治家は一部の数字を選んで使い、全体像を見せはしない。」

「政治家に全体像を望むのは期待薄。」

「残念だが、有権者が賢くならないと。」

 

番組コメンテーターでモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「私がこの本の13問のテストを受けた時に、4つしか正しく答えられなかったんですよ。」

「見事に“お猿さん”という結果ですよ。」

「で、この本は民主主義の基本を守ろうという意味が大きいと思いますね。」

「やっぱり、事実を確認するということは基本じゃないですか。」

「で、本に書かれている通り、人間の心理が邪魔になっちゃうんでうね。」

「1つは、やっぱり人間て嫌な事実は無意識に排除します。」

「もう1つは、都合の良い事実しか言わない癖があるんですね。」

「そうすると相手が隠したものを取らないといけないんですね。」

「結構大変ですね。」

「なので、やっぱり全ての事実をテーブルに載せて議論すべきだということですね。」

「ポピュリズムを抑制して、民主主義が勝つようにするという一つの方法ではないかと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かに、何事においても事実をベースに物事を考えるということはとても大事だと思います。

しかし、事実を把握することは一見簡単そうですが、実はとても難しいと思うのです。

例えば、学校の歴史の教科書の内容でも、歴史に係わる全ての事項を記述することは出来ません。

また個々の国の政府の意向や価値観が反映されるのが一般的です。

そもそも全ての事項を把握することは誰にも出来ません、

なぜならば、現存する歴史書が必ずしも全ての事項を記述していることはありませんし、しかも時の政権の意向を酌んで、その暗部など都合の悪い事実は隠している可能性が否定出来ないからです。

また、日本の学校の歴史の教科書の見直しでも、坂本龍馬に関する記述が削除されたというように、その時代の価値観や時の政権の意向などにより内容は変わり得るのです。

一方、生徒たちはこうした教科書の内容を通して、歴史の事実を学んでいるのです。

 

こうした状況において、今回ご紹介した著書「世界を正しく見る力 ファクトフルネス」の指摘は以下の点においてとても的を射ていると思います。

・私たちは既存の知識やデータの更新をしなくなる傾向があること

・その結果、いつの間にか事実から遠ざかった情報に囚われてしまうこと

・しかも、自分の無知に無頓着になっていること

・嘘の情報も拡散する現代、私たちが普段の生活で心がけるべきコツ(対応策)について提案していること

 

また、フェルドマンさんの指摘されているように、私たち人間は嫌な事実は無意識に排除したり、都合の良い事実しか言わない癖があります。

ですから、どの世界においても「ファクトフルネス」の指摘に基づいて、謙虚に、そして常に事実とされる情報に対して、反対の立場も含めて複数の情報源に向き合うことがとても大切なのです。

 

ということで、「ファクトフルネス」の基本的な考え方は、フェルドマンさんも指摘されているようには民主主義の基本を守るうえで大いに参考にすべきだと思います。

 

一方、こうしてみると、以前にもお伝えしたように(参照:No.4416 ちょっと一休み その683 『偽情報の溢れるネット社会に求められる報道と一人ひとりに求められる要件』)ジャーナリストや報道機関の役割もとても重要です。

なぜならば、私たちはこうした情報に接することにより、事実かどうかは別として世間の動きを認識するからです。


 
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2019年11月18日
アイデアよもやま話 No.4489 政府もユーチューバーとコラボ!

7月12日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で政府とユーチューバーとのコラボについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

人気ユーチューバーを多く抱えるマネジメント会社、創業2013年6月のUUUM(ウーム)株式会社7月12日に決算を発表しました。

純利益が1年前の2倍になるなど大幅な増収増益となっていますが、その要因の一つが企業などとのタイアップです。

そして今、企業のみならず政府もユーチューバーとコラボする動きが出て来ています。

ユーチューバーを多く抱えるUUUMにやって来たのは外務省・広報文化外交戦略課の前田 雄大課長補佐で、次のようにおっしゃっています。

「外務省の広報で、動画を作っているものの、中々再生回数が伸びない。」

「既にある影響力をお借りするのって効果的なんじゃないか。」

 

外務省は今回初めて広報活動の一環として、ウームに所属するユーチューバーに動画の作成を依頼、G20の開催に合わせて気候変動というテーマで3組のユーチューバーに動画を作ってもらいました。

公開から1週間で再生回数が100万回を突破したものもありました。

前田さんは次のようにおっしゃっています。

「この影響力って凄いなと思ったんですよね。」

「当然批判の声もいただいているところもあるんですけど、それよりも圧倒的に良かったという声がある・・・」

 

実は今、UUUMには行政や企業からのタイアップの依頼が増えています。

ちなみに、タイアップ広告の売上高(2019年5月期)は前年比33%の伸びです。

そこでUUUMが力を入れているのが人材育成です。

動画を投稿し始めてから1年ほどになる佐藤 あやみさんは、自身の動画が出来るだけ視聴者の目に留まるように、月に一度UUUMからアドバイスを受けています。

こうしたアドバイスを重ねることで、動画の再生回数を増やし、企業からのタイアップの指名も増やしていきたいといいます。

UUUMの渡辺 崇CFOは次のようにおっしゃっています。

「個人レベルでユーザーも獲得してビジネスをすることが世の中のトレンドとして増々広がって来るだろうなと思っていて、我々はそういったクリエーターさんをサポートする立場としてインフラになっていきたいなというのが究極的な目標ですので、・・・」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今や小学生くらいの子どもから高齢者の世代まで多くの国民がスマホを持ち歩く時代になっています。

そして、情報の入手源の多くはユーチューブやフェイスブックなどのSNSであったりネット上の掲載記事と言われています。

一方、今や若い世代を中心に新聞を購読する世帯数はとても少なくなっているように思います。

なぜならば、ネット上では多くの報道機関が記事の一部を無料で公開しているからです。

更に、大きな発信力のあるユーチューバーなどの掲載情報は、これまでの報道機関にはない、一般人の立場からの発信なので、とても身近に感じられ、しかもこうした情報はいつでもどこでも気軽に見ることが出来ます。

更に、こうした情報は友人や知人などの間で簡単にやり取り出来るのでどんどん拡散していきます。

また、人気ユーチューバーの中には既に年収が1億円を超える人たちもいるといいます。

 

こうした状況を踏まえると、広告手段の観点から見ても、従来の広告を補完する機能を持つSNSは侮れません。

こうした中、人気ユーチューバーを多く抱えるマネジメント会社、UUUMのような企業の登場は必然と思えます。

 

ということで、いずれ喜劇界に大きな影響力を持つ吉本興業のような企業がSNS界にも登場してくるのではないかと思えてきました。

UUUMもそうした候補の1つと言えます。

今回ご紹介した、政府とユーチューバーとのコラボは、こうした流れを象徴しているのではないでしょうか。


 
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2019年11月17日
No.4488 ちょっと一休み その695 『AIが示す中国人の本音!』

6月4日(火)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)で天安門事件について取り上げていましたが、今回はAIが示す中国人の本音に焦点を当ててご紹介します。

なお、今回の論者は加藤 青延解説委員でした。

 

この(中国の天安門関連)問題を考える時に、私はどうしても、2年前に人々を驚かせたある事件を思い起こさざるを得ません。

それは、中国が世界に誇るAIが引き起こしたものでした。

最先端のAIが、人間のようにしっかりとした受け答えが出来るかどうか、一般の人たちとネット上でチャットをさせるという試みが行われたのです。

ところが、誰かが「中国共産党万歳」とつぶやくと、AIはすかさず「あのように腐敗して無能な政治に万歳が出来るのか?」とつぶやき返したのです。

そこで、このAIに習近平主席の政治スローガンである「『中国の夢』とは何か」と尋ねると、AIは「アメリカに移住することだ」と答えたそうです。

まさに「AIの反乱」ともいわれたこの試みはすぐに取りやめになりました。

このAIは残念ながら、中国社会で生き残るためにはどう発言すれば安全かについて、少々学習が足りなかったのかもしれません。

ただ考えてみますと、AIは決して自らの力で答えを考え出したのではなく、中国の人たちの間で交わされるチャットの内容を繰り返し学習した結果、そのような答えに行きついたとされます。

つまりAIの発言こそ、チャットで結びつく膨大なネットユーザーたちの本音、あるいは最大公約数であったと言うべきなのかもしれないのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したAIの受け答えには、中国の共産党政権も驚いたと思います。

まさに想定外です。

番組を通して思うのは、所詮AIとはネットという枠の中のビッグ―データを使ったディープラーニング(深層学習)の結果をベースにいろいろな判断をするツールなのです。

ですから、図らずも最先端のAIは中国国民の本音を引き出してしまったのです。

 

以前お伝えしたように、AIと違って、現実の私たちは日々の暮らしの中でネット関連情報だけでなく、家族、あるいは友人、知人、仕事の関係者などいろいろな人たちと情報交換をしています。

また、街中や旅行先などでいろいろな景色に接しています。

こうした日常生活から、肌感覚でいろいろなものを感じ取っているのです。

ですから、人間とAIとでは得られる情報の幅や質が異なるのです。

 

以前、2045年にはAIが人類を超えるシンギュラリティ(参照:No.4104 ちょっと一休み その661 『AIは天使か悪魔か!』)を迎えるとお伝えしましたが、AIにはこうした限界が常に付きまとっているのです。

しかし、アイデアよもやま話 No.3958 人間の脳とAIがつながったら・・・ その4 人類はやがて生物ではなくなる!?でもお伝えしたように、いずれ人間の脳とAIがつながる時代がやってきます。

そうした時代においては、人間の脳とAIの持つ情報が融合され、それまでのAIの限界が無くなった状況を迎えます。

そうした状況においても、AIはあくまでも人間の暮らしをサポートするという位置付けであることが大前提であることがとても大切になります。

そうしなければAIが暴走してしまうリスクがあるからです。

 

ということで、今回ご紹介した、中国におけるAIと人間とのやり取りの実験は、図らずもAIの限界を露呈させましたが、私たち人間に全てをAIに依存することの危うさをあらためて教えてくれたのです。


 
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2019年11月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.615 『プロジェクト管理の観点から見た東京オリンピックのマラソン会場の変更!』

プロジェクト管理において、プロジェクト計画の一環として作業計画(マスター・スケジュール)を作成し、その進捗状況を把握するために定期的に進捗管理を実施します。

そして、プロジェクトを成功裏に完了させるために、作業計画の中でも重要なポイント(時点)をチェックポイントと呼び、これについては特に注意を払って管理します。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.116 『チェックポイントはマスター・スケジュールの重要な通過点!』

 

さて、先日、東京オリンピックの開催まで1年をきった段階でマラソン会場の変更の決定が突然報じられました。

そこで、今回は10月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、10月18日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)、そして10月31日(木)放送の「クローズアップ現代+」(NHK総合テレビ)の3つの番組を通して、主にチェックポイントの観点からお伝えします。

 

まず、「ワールドビジネスサテライト」からです。

来年開催される東京オリンピックのマラソンと競歩の会場を札幌に移す案が突如浮上し、波紋が広がっています。

開催まで10ヵ月に迫った時期での会場の変更は異例の事態で、各所で驚きの声が上がっています。

日本時間で10月17日、カタール・ドーハにおいて、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長は次のようにおっしゃっています。

「組織委員会とマラソン・競歩の会場を東京から札幌に変更することを決めた。」

「札幌は東京よりも気温が5℃から6℃低い。」

 

突如、札幌案が発表された背景には、IOCの暑さに対する強い危機感がありました。

9月から中東・ドーハで開かれていた世界陸上選手権ではマラソンや競歩で棄権者が続出、女子マラソンは深夜のスタートにも係わらず、気温30℃、湿度70%を超える厳しい環境が選手を襲い、68人中28人が途中棄権する異常事態となりました。

 

9月に東京で開催されたオリンピックのテスト大会、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)では、給水ポイントを増やすなど、暑さ対策が行われました。

それでもIOCは東京の高温多湿という気候を問題視したのです。

 

一方、大会に向けて準備を進めて来た東京都では、小池知事が会場の変更について聞いたのは、10月16日、IOCが発表する直前だったといいます。

東京都は、暑さ対策としてマラソンコースを含む約136kmの道に「遮熱性舗装」を施すなど、巨額の費用を投じてきました。

IOCの提案にすぐには同意しがたいのが本音です。

 

一方、開催地として突如浮上した札幌市は歓迎ムードです。

秋元札幌市長は、2030年冬季オリンピック招致の後押しになるとおっしゃっています。

ただ、開催まで10ヵ月を切る中、運営面での準備など、大会関係者からは不安の声が出ています。

IOCや東京都は、10月末に開催される会議で“札幌案”について協議し、方針を決める考えです。

解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川 龍雄さんは、この“札幌案”について次のようにおっしゃっています。

「私は賛成ですね。」

「やっぱり選手の健康というよりは人命最優先だと思うんですよね。」

「私はトライアスロンですら移転を考えるべきじゃないかと思っているぐらいでね。」

「(既にチケットの販売済であるとか、いろいろなところに影響が出るのではという指摘に対して、)そういう事情以上に人命が優先されるんじゃないかと。」

「仮にこれで決行して、マラソンや競歩で死者でも出たら、それだけでオリンピックも失敗のレッテルが貼られますからね。」

「考えたら、やっぱりそこを最優先すべきだと思いますよ。」

「(ただ、開催まで10ヵ月に迫っていることで、これから会場の整備などが大変ではという指摘に対して、)でも北海道もいいとこいっぱいアピールしましょ。」

「ポジティブに考えましょ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

次は「あさチャン!」からです。

突如浮上した札幌案について、北海道の関係者からは歓迎ムードの一方で次のような懸念の声も出ています。

北海道の鈴木 直道知事は次のようにおっしゃっています。

「300日切ってまして、非常に時間がないんですね。」

 

また、北海道陸上競技協議会の足立 亨さんは次のようにおっしゃっています。

「運営に携わるものとしては、やはり“これはちょっと大変だぞ”というのが率直な感想ですね。」

 

そして、スポーツライターの小林 信也さんは、札幌開催には新たな問題も発生すると指摘します。

「今はテロの危険というのがあるわけですから、これが一番心配事として上げられると思います。」

 

警察はこれまで東京のマラソンコースに合わせて警備のための綿密な対応をしてきたといいます。

しかし、コースが札幌に移った場合、一からやり直しになります。

小林さんは次のようにおっしゃっています。

「そのコース周辺の建物だとか地形だとか、そういったものをもう1回精査して対応を練り直さなきゃいけない。」

 

この他、ボランティア募集やチケット販売も一からやり直しになります。

また、男子マラソンの代表に内定している服部 勇馬選手は次のようにおっしゃっています。

「やはり(札幌は)走ったことが無いコースなので、中々地の利を生かすことは難しいのかな。」

「準備をしていかなければいけないと思っています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

次は「クローズアップ現代+」からです。

マラソン・競歩の日本の代表選手は今回の異例の札幌移転案をどう捉えているのかについて、元マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田 明美さんは次のようにおっしゃっています。

「選手たちはすごく、この札幌に移ることに関しては残念がっています。」

「なぜかというと、リオのオリンピックが終わってから女子マラソンは直後から荒川の河川敷などで強化指定の選手たちが暑い中で30km走を何度も行って、日本陸連の科学委員会の方が血液の検査をしたり、いろんな検査をして、データも残っていて。」

「だからもう準備は3年前から行われているんですね。」

「だから今までやってきたことが“水の泡”になってしまうっていう声もありますし、それから何といってもMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ですよね。」

「1発勝負で、全力であそこを走った、この地の利はすごく日本選手にとってはすごく有利なんですね。」

「また、選手の中には新国立競技場に戻って来て大歓声を浴びることをモチベーションにしてやってきた選手もいますので、いろいろな意味でなぜこのタイミングでこういうことになるのっていうのが選手たちの多くの声だと思います。」

 

「(代表の選手は既にMGCで東京のコースを走っているが、そこから課題や教訓を得た選手も多いのではという問いに対して、)そうなんです。」

「鈴木 亜由子選手なんかは、終わってすぐに、最後の上り坂で両太腿の前側が痛くなったと。」

「そういうこととか、自分と40km走の質をもっと高めないと前田 穂南選手のように優勝は出来ないんだから、次回の選手と戦かう時にもやっぱり40km走の走り方をなんて、コースを全力で走っているからこそ体感したことっていうのがあるんですね。」

「だから、そういった面でやっぱりこのタイミングでこういうことで変更になると、準備してきただけに残念だと思います。」

「(コースと選手の準備というのは不可分だという指摘に対して、)そうなんですね。」

 

なお、外国の有力選手はツイッターで次のように発信しています。

女子マラソンのリンデン選手(アメリカ)は次のようにおっしゃっています。

「オリンピックスタジアムにゴールすることが魅力で、そこを目指してきたのに。」

 

男子競歩のダンフィー選手は次のようにおっしゃっています。

「これまで暑さ対策を頑張ってきた。」

「なぜ対策していない選手に合わせるのか?」

 

増田さんは次のようにおっしゃっています。

「私が話を聞いたのは、イギリスのホーキンス選手で、強いんですよ。」

「この前のドーハで行われた世界陸上で4位に入った、アフリカ勢の後(にゴールイン)。」

「で、その選手がなぜドーハを走ったかというと、2020年の東京(オリンピック)を見据えて暑さに慣れたいと思って走ったっていう選手などもいますので。」

「だから、やっぱりそういう選手にとっては「どうして?」でしょうし。」

「ただアフリカの選手たちはあまりコースの下見とか試走をしないので、そんなに準備をしない選手にとっては「言われたコースを走るわ」っていうことだと思うんですね。」

「(比較的冷静に見ている海外の選手もいるのかという問いに対して、)アフリカの選手は。」

「ただケニアの選手は高地が涼しいので暑さ対策を(ちょっと暑い)モンバサでしてきた。」

「だからみんな準備はしていますね、アフリカの選手でも。」

 

「選手にとっては、札幌にもしなっても、コースはどうなのか、スタート時間は何時なのかっていうことが決まれば、1日も早く準備が出来るので、そういった意味では今もどかしい気持ちで結果を見ていると思うんですね。」

 

さて、IOCは今回の札幌移転については選手のためだと強調しています。

10月25日、IOCのコーツ調整委員長は次のようにおっしゃっています。

「アスリートの健康を常に念頭に置いているため、変更を決定した。」

 

以下はIOCが東京都に示した資料の一部です。

陸上の世界選手権が開かれたドーハの暑さ指数と東京の暑さ指数の比較では競技環境がとても似ているとしています。

9月27日、カタールのドーハでは暑さを避けるため、マラソンや競歩は深夜のスタートとなりました。

観客もほとんどいない中で行われたレース、ところが女子マラソンは深夜でも気温30℃以上、湿度は70%以上の過酷なコンディション、レース途中にリタイヤする選手が続出しました。

出場した68人のうち実に4割を超える28人が棄権に追い込まれたのです。

海外メディアからは、レースが強行されたことに対し、次のような痛烈な批判が相次ぎました。

 

アスリートたちは“実験体”として扱われている(英ガーディアン紙)

 

アスリートへの敬意がない(英BBC)

 

東京でも同様の事態に陥るのは避けたいと考えたIOCのバッハ会長は、カタールで10月17日に次のようにおっしゃっています。

「マラソンと競歩の会場を札幌に変更することを決めた。」

 

実は東京の暑さは上昇傾向にあるというデータもあります。

東京都が開催都市に決まった2013年の時点では、選手にとって理想的な気候だとアピールしていました。

東京の暑さ指数を時間ごとに色分けして示した図(7月31日〜8月9日)ですが、2013年の時点では危険を示す赤や極めて危険を示す紫はわずかでした。

ところが現在(2019年)では赤や紫が目立つようになり、地球温暖化などの影響で真夏の暑さが厳しくなっていることが分かります。

IOCは、暑さ指数のより低い札幌であれば安全にレースを実施出来るとしています。

IOCのコーツ調整委員長は次のようにおっしゃっています。

「東京よりも800km北で、気温も5〜6℃低い。」

「東京と比較して札幌の方が条件が良いことを示していきたい。」

 

これに対し、東京都は、長期間かけて様々な暑さ対策を行ってきたと強く反発しています。

小池都知事は次のようにおっしゃっています。

「東京都、そして都民にとりましては大変な衝撃であり、納得出来るような経緯や理由について丁寧なご説明をいただきたいと思います。」

 

マラソンと競歩のコースでは、既にコースの7割以上で道路の表面温度を下げるとされる遮熱性舗装を整備、更に沿道ではミストを噴射する装置を設置したり、日陰を増やすため剪定を工夫して街路樹を大きく育てる取り組みも行ってきました。

小池都知事は次のようにおっしゃっています。

「アスリートファーストという観点は言うまでもございません。」

「だからこそ、東京の気候・ルートに合わせましてコンディションを整えてきた選手の方々、「選手のために最高の舞台を」と準備を進めてこられた地元・地域の皆様方の気持ちをないがしろにすることは出来ないのであります。」

 

さて、アスリートファーストとはいったい何なのでしょうか。

IOCは、選手の命と健康を守ることが大事なんだとしています。

一方、小池都知事は、命と健康は勿論、選手の想いなども尊重しなくてはいけないとしています。

どちらもそれぞれの立場で選手のことは考えているというように見えますが、こうした状況についてスポーツ倫理学が専門の友添 秀則早稲田大学教授は次のようにおっしゃっています。

「難しい問題ですね。」

「札幌か東京かという選択はどちらに行ってもしこりを残さないで欲しいなって思うわけなんですけども、元々オリンピックの価値は何かって考えてみる必要があるんですね。」

「それは何かというと、選手、アスリートにとっては最高のパフォーマンスが発揮出来るような場を提供することが一番大事なわけですけども、どうもドーハショック、つまり衝撃っていうよりも多分バッハさんやコーツさんにとってはもうショックだったと思うんですね。」

「これ目の当たりにしてしまうと、私は“ドーハの悲劇”って言ってるぐらいですから、こういう悲劇を目の当たりにしてしまうと、これはやっぱり命を懸けたサバイバルゲームになってしまっていて、実は本当はアスリートを全然大事にしていないことに通じてくる、オリンピックの精神に反するっていうことが彼らを動かした大きな理由だというふうに思います。」

「同時に、こういうところでストップをかけないと、まさに臨場感の中でストップをかけなければいけないということを思ったんだと思いますね。」

「(東京も努力をしてきていることについて、)勿論努力は大事だけれども、命と健康を守ることに勝るものはないということだろうと思いますね。」

「地球環境の大きな変動の影響を受けていて、実は今年8月初旬の温度はもう端的にいうと35℃ですよね、日本の場合。」

「で、35℃で湿度が70%を超える中でいくら日陰が多い東京でも、今度は沿道で住民たちが倒れる可能性があるわけですね。」

「セキュリティを重視していますので、例えば救急車が入れない地区がいっぱい出てくるわけですね。」

「例えば、誰かが死んでしまうと、もうオリンピックの持続可能の発展があり得ないわけですね。」

「危機感を抱いたと思いますね。」

 

一方、ドーハに行かれて、解説もしていた増田さんは次のようにおっしゃっています。

「先生言われるようにドーハショックでしたね。」

「ひどすぎる。」

「もう日中はオーブンの中にいるみたいで、女子マラソンは深夜でしたけどもミストサウナの中にいるみたいで、だから比べちゃいけないんですよ。」

「東京はずっと楽、楽です。」

「だからドーハの時には「これで女子マラソンやるの」と思うような、息が苦しくなっちゃうような感じだったんですけど、東京は全然楽ですし、私、東京8月2日と8月9日、1年前にちょうど同じ6時に何ヵ所かコースを走ったんですね。」

「東京って前半が高いビルの蔭になるから、前半は日陰なんですね。」

「そういうことも考えてみると、やっぱり(ドーハとは)全然違いますよね。」

「違うんだけれども、先生言われるようにIOCの方がドーハで体感したんだったら2020年に危機感を覚えるのも分かります。」

「でも違うと思います。」

 

さて、今回の問題で注目を集めているのが開催都市、東京都とIOCの関係です。

10月30日に行われたIOCの調整委員会、会場変更のプロセスについて、認識の違いがあらためて浮き彫りになりました。

IOC、東京都、そして組織委員会、それぞれの役割の違いは、そしてオリンピックは誰のものなのでしょうか。

オリンピックの主催者はIOCです。

東京都はIOCの承認を得ながら大会を開催するという立場、そして実際の大会運営の実務を担うのは組織委員会という関係にあります。

 

競技会場を変更するような場合、これまではまず開催都市と組織委員会が協議を行って、調整をし、その後IOCに提案して承認をもらうという、言わばボトムアップで決めてきました。

実際に東京大会の競歩の会場もこのプロセスで変更した経緯があります。

ところが今回は、IOCの一存で決定事項が伝えられるというプロセスでした。

極めて異例ということですが、NHKのIOC担当デスクの原口 秀一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「今おっしゃったように、オリンピックの会場変更について最終的な権限、決めるのはIOCの理事会です。」

「ですから今回、IOCはこう決めたわけですけども、やっぱりドーハの現状を見て会場変更に舵を切ったIOCが危機感を持ったことがあるんですね。」

「それが、こちらを見ていただきたいんですねど、スケジュールなんです。」

「ドーハの世界選手権は(今年)9月27日に開幕しました。」

「女子マラソンも行われました。」

「で、この時点で(東京オリンピックの)開幕(2020年7月24日)まで10ヵ月切っています。」

「そして、今行われている調整委員会、これは準備状況などを確認するんですけども、これも(9月27日から)1ヵ月しかない。」

「この時間の間にはたして議論をボトムアップの時間があるんだろうかと思います。」

「そこが非常に迫っていたんだと思いますね。」

「それで決断が求められる中で、バッハ会長が主導して、極めて異例なかたちですけどもトップダウンでの決定になったということだと思います。」

「そして、今回はオリンピックという大会の価値にも、それを守ることにあったと思いますね。」

「沿道にほとんど観客もなくて、選手が次々とレースから外れる、あのドーハの異様な光景をやっぱり絶対東京では繰り返しちゃいけないという強い決意の表れでもあったと思います。」

 

今回の札幌移転における東京都の立場について、東京都庁担当記者の早川 沙希さんは次のようにおっしゃっています。

「ドーハでの女子マラソンの後、10月3日の時点でIOCのバッハ会長が東京で進められて来た暑さ対策について評価するという考えを示していました。」

「それから2週間も経たない間に、事前に開催都市に説明もなく、突然会場を変更するという案が出されたことは小池知事だけでなく東京での実施の準備に係わってきた多くの関係者からは納得がいかないという声が上がっています。」

「実際にIOCの発表の後に東京都には電話やメールなどで会場変更について1000件以上の意見が寄せられていて、その9割が会場変更に反対する意見だということです。

 

この一連の決定プロセスについて、スポーツ倫理学が専門の早稲田大学の友添 秀則教授は次のようにおっしゃっています。

「通常だとボトムアップが普通なんですけども、今回はそれだけ非常事態だということですね。」

「トップダウンで下さなければ間に合わないということが1つ。」

「もう1つは圧倒的にIOCが大きな力を、決定権を持っていますので、IOCが言えば従わざるを得ないっていうのが組織論の立場から言えばそうなんですね。」

「ところが、日本の社会はコミュニケーションを大事にして、みんなでゆっくり話し合いながら調整するっていうことで、ところが向こうのコーツさんもバッハさんも彼らは弁護士ですから、極めて合理的に法に則って対処するっていうことだったと思います。」

 

一方、増田さんは次のようにおっしゃっています。

「選手の健康を考えてくれているのはありがたいんですけども、タイミングが悪すぎるなっていうふうに思いますね。」

「だから、このタイミングでって。」

「でもこれから次のパリ(2024年)も、その次のロサンゼルス(2028年)も暑いじゃないですか。」

「だから、何か次につながるような、時期を変更するとか、そういうようなことを見直しとかにも発展してくれないと、あまりにもタイミングが悪すぎるなっていうのは感じます。」

 

最後に見ていきたいのは“曲がり角”のオリンピックについてです。

夏季五輪に立候補した都市の数は2004年の11から2024年の5まで減少傾向にあります。

2024年大会については、当初立候補したのは5都市でしたが、その後3都市が撤退し、残ったのはパリとロサンゼルスの2都市となり、結果として2024年パリに、そして2028年はロサンゼルスというように決まりました。

こうした状況について、友添教授は次のようにおっしゃっています。

「IOCは危機意識を持っていますので、アジェンダ2020という中長期計画を持って、改革をしていこうということで、大きくIOCは変わろうとしている時ですね。」

「だから本来なら、変わらなかっただろう東京の開催がバッハさんを含めて大きく選手を大事にしようということで選手の辞退も避けたいということで、持続可能性の観点から今回は対処したということで理解が出来ると思います。」

「(IOCが今一番改革しなければいけないのは持続可能性なのかという問いに対して、)そうですね、オリンピックって歴史的にみるといろんな問題を抱えて、それを乗り切って来たわけなんです。」

「戦争だとか、テロだとか、人種差別だとか、イデオロギー対立だとか、こういうのをうまく乗り切って来た、経済的にも乗り切って来たわけですね。」

「ところが、今またこういう問題が起こってくると、持続可能性で黄色点滅が起こってるということだと思います。」

「(それを乗り越えるためには今回のように柔軟な大会運営も必要だとの考えなのかという問いに対して、)大きく変わろうとしていますね。」

「一つは、私は恒久開催を考えていくべき時期じゃないか。」

「一つの都市で、ずっとオリンピックをそこで、アテネだったらアテネでずっとやるっていうのも一つの改革案だろうと思うんですね。」

「一番いいベストシーズンを選んで、例えば。」

「(古代オリンピックはずうっとアテネだったという指摘に対して、)そうですね。」

 

原口さんは次のようにおっしゃっています。

「今、友添さんおっしゃるように、やはり危機感覚えていますので、今アジェンダ2020の話がありましたけど、やはり既存の会場を有効出来るように、例えば国が代わっても、今までは都市で開催してたんですが、例えば違う国に行って、その会場を使ってもいいよ、国をまたいでもいいよっていう議論もありますし、バッハ会長は気候変動のこともやはり言いまして、持続可能性っていう言葉の中で、今の現状の7月、8月開催っていうことも変更する可能性も十分あり得るっていうことも今言及し始めています。」

「やはり柔軟さっていうのは確かに今見せているという印象です。」

「これはまさにオリンピックを長く続けていきたいという心の現れだと思います。」

「その一方で、今回の件に関して申しますと、開催都市が置き去りにされたということがあると思うんです。」

「やっぱりこの問題が残した開催都市の東京の不信感というものがあれば、もしかするとこれから先、オリンピックを開催したいという国、都市にとってはかなりマイナスの影響もあったんじゃないかと。」

「その点は、IOCはちゃんと考えておかなきゃいえないと思います。」

 

増田さんは次のようにおっしゃっています。

「(いずれにしても来年夏にはオリンピックがやってくるわけですけども、大会を成功させるためにはどういうことを大切にして欲しいかという問いに対して、)いろいろごちゃごちゃ言ってる場合じゃなくって、もう日本のオリンピックっていうことで、東京になっても札幌になっても何かみんなで盛り上がれるようにしていく、そして暑さ対策がもう一歩進んだなっていう方向性になればいいですね、これから。」

「(いずれにしても、大会を楽しんで成功させるためにも、しこりが残らないような解決策というのを、時間はあまりありませんけどやって欲しいとしう指摘に対して、)そうですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

なお、その後の報道では、東京か札幌か議論が続いていた東京オリンピックのマラソン・競歩の会場は、最終的に札幌に移されることになりました。

 

これらの一連の記事を通して、夏季のオリンピック・パラリンピックの開催時期に関する課題とその対応策について以下にまとめてみました。

勿論、その第一の狙いは選手の健康や最大限のやる気を引き出すアスリートファースト、そして観客の健康です。

 

(課題)

・開催期間の妥当性

・予想以上の地球温暖化の進行に伴う暑さ対策の必要性

・オリンピックの持続可能性

 

(対応策)

・オリンピック開催時期や開催場所の再検討

  気候など、開催国の環境を考慮して開催時期や開催場所を決定

・地球温暖化の進行に伴う暑さ対策

・持続可能なオリンピックへの取り組み

・オリンピック開催までの進捗管理にチェックポイントを追加

 

このようにまとめてみると、今回のIOCによるマラソン会場の札幌移転の決定プロセスにはいくつかの疑問が湧いてきます。

 

そもそもなぜわざわざ東京オリンピック・パラリンピックの開催時期を来年の7月24日から8月9日までという夏の暑い時期に決めたのでしょうか。

この答えについて、次のネット記事で以下のように記しています。(詳細はこちらを参照)

1964年に初めて東京で夏季五輪が開催された時期は、比較的涼しくて湿度も低い10月でした。

4年後のメキシコ五輪も同じく10月に行われました。

だが過去30年にわたり、ほとんどの夏季五輪は7、8月に開催されています。

テレビ局が大会を取材する上で理想的な時期と考えているからです。

IOCは、2020年夏季五輪の立候補都市に対し、7月15日から8月31日までの間に開催することを求め、東京は7月24日から8月9日を開催期間としました。

 

ということで、この記事から言えるのは、そもそもIOCがアスリートにとっては最高のパフォーマンスが発揮出来るような場を提供すること、すなわちアスリートファーストよりもテレビ局の事情を考慮してオリンピック・パラリンピックの開催時期を決めていることが今回の問題を引き起こしている根本原因なのです。

 

次に、東京都は暑さ対策としてマラソンコースを含む約136kmの道に「遮熱性舗装」を施すなど、巨額の費用を投じてきました。

東京都はこの対策による期待効果をどのように評価していたのでしょうか。

仮に期待効果が専門家の評価により、IOCの決めた基準を満たしているのであれば、少なくともアスリートファーストの条件はクリア出来るということになります。

しかし、期待効果が曖昧であったとすれば、今後の東京都の暑さ対策には寄与しても、東京オリンピックのマラソン大会の暑さ対策としては十分ではなかったということになります。

更に考慮すべきはマラソンコースの沿道を埋め尽くすと思われる観客への暑さ対策です。

仮に観客の中から熱中症で倒れる人が次々に出て来るようであれば、東京オリンピックは成功したとは言えなくなります。

 

次に、なぜ東京オリンピックの開催を翌年に控えた時期にIOCは今回の札幌移転を決定したのかについてです。

直接の理由はドーハの世界選手権でのいわゆるドーハショックです。

しかし、東京都が開催都市に決まった2013年の時点では、選手にとって理想的な気候だとアピールしていましたが、東京の暑さ指数を時間ごとに色分けして示した図(7月31日〜8月9日)ですが、既に昨年時点で今年ほどではないにしても地球温暖化などの影響で真夏の暑さが厳しくなっていることが分かっていたのです。

ですから、オリンピック開催時期の2年前をチェックポイントとして設定し、その時点でIOCの設定した基準に照らして開催時期に滞りなく開催出来るかどうかをチェックしていれば、その時点で更なる暑さ対策の必要性や札幌移転などの決断を下すことが出来たのです。

また、開催時期の2年前であれば、ある程度余裕を持っての対応も可能だったのです。

 

現在、東京オリンピック開催時期まで1年を切っています。

こうした状況において、開催地である札幌のオリンピック関係者、そして組織委員会は開催時期までにマラソンコースの決定など様々な準備を完了出来るのかが大きな問題となっています。

今回の決断はIOCによる独断ですが、東京オリンピック開催時期まで1年を切っている状況を考えるとやむを得ない面もあります。

しかし、これから来年のオリンピック開催までの札幌のオリンピック関係者の方々のご苦労はとても大変だと容易に想像さ出来ます。

こうしたことから、やはりオリンピック開催時期の2年前をチェックポイントとして設定することがとても重要だと思うのです。

 

そして最後はなぜオリンピック開催候補に手をあげる国が少なくなって来たのかということです。

2024年大会については、当初立候補したのは5都市でしたが、その後3都市が撤退したといいます。

ですから、残ったのはパリとロサンゼルスの2都市となり、結果として2024年はパリに、そして2028年はロサンゼルスというように決まりました。

こうした状況は、日本が立候補し、開催国として決定されるまでの国を挙げての大変な努力を考えると想像出来ません。

このままでは、オリンピック開催国として立候補する国が無くなってしまう可能性も出て来たのです。

こうした状況を受けて、IOCはアジェンダ2020という中長期計画を持って、改革をしていこうということですが、是非オリンピックの灯を消すことのないように取り組んでいただきたいと思います。

 

オリンピックは、アスリートたちの日頃の成果を発揮する最大の場としてだけでなく、平和の祭典、あるいは世界各国の国民の交流の場としても欠かせない、人類にとってとても大切な一大イベントだと言えます。

ですから、IOCの掲げる課題の一つ、“オリンピックの持続可能性”はとても重要だと思うのです。


 
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2019年11月15日
アイデアよもやま話 No.4487 ビジネスの世界でも活用されるVR!

前回は、仮想空間に立体的な作品を描くVRアートについてご紹介しましたが、今回は7月12日(金)放送の「鳥羽慎一モーニングショー」(テレビ朝日)を通して、ビジネスの世界でも活用されるVR(バーチャルリアリティ 仮想現実)についてご紹介します。

 

VRは近年アートの世界だけでなく、私たちの生活や医療の現場にも使われ始めているのです。

 

VRにより、不動産会社の店舗にいて、自分の探したい家などの部屋の奥行や日当たりなどが一目で分かる“内見”が出来るのです。

VRの映像を見ながら、クリックしていくと、まさに自分がその家に入って行って、キッチンなどいろいろな部屋の状況を確認することが出来るのです。

将来的には、自分の家にある家具などの配置をシミュレーションすることも出来るようになるのではないかといいます。

更に、テレビ朝日コメンテーターの玉川 徹さんは次のようにおっしゃっています。

「VRに関しては、便利というレベルで止まらないですよね。」

「今は(ゴーグルを使って)こうやって見ているし、(ヘッドセットを使って)耳で聴いているんですけど、(映像や音声を)脳に直接送れるようになる研究が進んでいますから、そうしたらVRが作った世界の中に実際にそこで生活するようなことすら出来るようになるんですよ。」

「脳に直接働きかけるような機械をつけるかたちになる。」

「だからヘッドセットみたいなものじゃないですか、つけるとしても。」

 

一方、医療現場でもVRは使われています。

実際に患者さんのCTスキャンの画像をCG(コンピューターグラフィックス)でVR化し、手術のシミュレーションを医師同士で出来るのです。

一方向しか見られない患部に対して、回転させたりすることが出来るので、患部の状態を正確に把握出来るのです。

ですから、VRの世界でまずシミュレーションして、それを実際の手術で適用させることが出来るのです。

玉川さんは次のようにおっしゃっています。

「AR、拡張現実(参照:No.4224 ちょっと一休み その681 『仮想技術が新たな産業革命をもたらす!?』)というのがあって、ポケモンGOみたいなもの。」

「実際の世界にポケモンがいるように見える。」

「だから、これは飽くまで事前シミュレーションですけど、実際の手術の時にゴーグルをつけて、ポケモンGOみたいなものが内臓のところに出てくるわけですよ。」

「だから、例えばこの血管のここからここまではがんですよとかね。」

「それから、ここはどれくらい切ったらいいというような情報が出て来たリとかね。」

「そうしたら、実際に手術をした時に役立つわけですね。」

 

若い医師が手術の現場を見たとしても、手術する医師は一人で、後ろから見てもどこを切っているのか分からないのですが、このシミュレーターだと鮮明に分かるのです。

こうした医療技術のへのVRの応用の伸びしろについて、玉川さんは次のようにおっしゃっています。

「今は飽くまで(若手医師の)練習じゃないですか。」

「実践にそれが投入されていくと、手術のメスをどんどん減らせていく。」

「ましてや、今度手でもやらないから、ダビンチ(参照:アイデアよもやま話 No.1511 今こそ求められるシステム思考型人材!」みたいなものでやるようになれば、もっと更に・・・」

 

VRが医療ロボットへなんていうかたちになっていく可能性もあるということです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して感じるのは、VR、あるいはARといったテクノロジーをうまく活用することによって、様々な業界の生産性を一挙に高めることが出来るということです。

大きく分けると、人材の育成と実務での活用です。

人材育成については、これまでの単なる講義やテストから、現実の実務を過去の事例に基づいた様々なシミュレーションをすることで実践的なスキルを効率的に習得出来ます。

また実務での活用については、アイデアよもやま話 No.4142 複合現実(MR)で働き方改革!?でお伝えしたような現場で作業マニュアルを確認したり、熟練作業者から遠隔でアドバイスを受けられたりするシステムがあります。

こうしたシステムの活用が進んでいくと、やがてAIとロボット、IoTなどの組み合わせにより、ほとんどの作業がAIやロボットに置き換わっていくことも夢ではないと思います。


 
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