2020年07月08日
アイデアよもやま話 No.4689 EVから電力供給する日本初のホテル!

3月26日(木)付けネットニュース(こちらを参照)でEV(電気自動車)から電力供給するホテルについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

神奈川県逗子市小坪にある「リビエラ逗子マリーナ」に「MALIBU HOTEL(マリブホテル)」、そして「MALIBU FARM(マリブファーム)」というレストランが3月26日にグランドオープンしました。

注目すべきは、電気自動車(EV)の充電施設をもつホテルは増えていますが、マリブホテルは日本で初めて「V2B(Vehicle to building)」というEVに蓄えた電気を施設内の電力として給電出来るシステムを採用したことです。

 

都心から約1時間 古都鎌倉からもほど近い位置にある「リビエラ逗子マリーナ」は、1971年に誕生した敷地面積16.3万屬離茱奪肇蓮璽弌爾任后

今回注目するのは、このマリブホテルが、災害時にEVからホテルの照明やコンセントに電力が供給出来るV2Bシステムを導入した日本初のホテルということです。

 

「V2B」だけでなく「ワークプレイスチャージング(事業所に設置した充電器で勤務中に従業員のEVの充電をすること)」にも活用し、CO2排出削減の意識向上、そしてエコロジーと防災にも配慮するといいます。

 

駐車場に6kWの中速タイプの充電器を3基、フォーアールエナジー株式会社(4R ENERGY)の12kWh容量の蓄電池を用意し、さらにホテルの屋上には太陽光パネルを設置しています。

これらをパワーコンディショニングシステムによって、充電器に接続したEVの充電の調整を行う「ワークプレイスチャージング」、ホテル全体の使用電力が過剰になって来た際に電力会社からの系統電力にプラスしてEVからの電力で補う「ピークカット」の管理を自動で行っていくこととなります。

また、非常時の待機場所として使用するホテルのロビーおよび一部のコンセントへの「BCP(事業継続計画)対策の電源供給」を行うことが出来るといいます。

 

EVを積極的に活用するエコロジーと防災にも配慮したホテルを目指すとしており、福利厚生の一つとして従業員へのEV購入時の補助金制度も社内で設けており、運営会社であるリビエラリゾートはSDGs(持続可能な開発目標)を今後より一層推進していくといいます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したリビエラリゾートのSDGsを積極的に推進するといった取り組みは他の企業においても徐々に進められております。

その基本的な取り組みの枠組みは以下の通りです。

・再生可能エネルギー(太陽光や風力など)発電の導入

・従業員も含めたEVの導入推進

・事業所内のバッテリー(蓄電池)の導入

・「V2B」の導入による、系統電力、再生可能エネルギー発電、事業者内バッテリー、EVのバッテリーの一元管理で最適な電力需給バランスを実現

・電力関連のBCPの整備

 

更に、こうした企業の各事業所、および一般家庭での同様のシステムの普及、そしてEVのバッテリーの充電・給電管理を行う「EVパワーステーション」のような装置の全国展開、およびこれらを全て統合的に管理するスマートグリッドを全国展開することにより、国レベルでのピークカットを可能にする電力の最適な需給管理を実現させることが出来るのです。

そして、こうした一つひとつの実現こそ火力発電や原発から再生可能エネルギーへのシフトをもたらすのです。


 
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2020年07月07日
アイデアよもやま話 No.4688 音を“着る”!?

3月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)音を“着る”未来の音楽体験について取り上げていたのでご紹介します。 

 

フード付きパーカーのフードの部分に折り曲げ自在の柔らかいスピーカーが入っています。

イヤフォンのように耳に触れないので、違和感がなく、快適といいます。

実は、この服は2018年10月19日放送のこの番組で取り上げていた「布製スピーカー」をもとに作られているのです。

産業技術総合研究所が、オーディオファンの間では有名な「薄型スピーカー」の技術を応用したものです。

当時はまだどんな製品になるのか、まだ決まっていませんでした。

デジタルハリウッド大学(東京・千代田区)の非常勤講師でファッションテックデザイナーのOlgaさんは次のようにおっしゃっています。

「新しい技術をいかに自然に製品に落とし込むかが難しくて、加工とか縫製方法は結構気を付けたりしましたね。」

 

使い方はイヤフォンと同じで手持ちの音楽プレイヤーやスマホにつなぐだけです。

パーカーの他にも、音の出る垂れ幕などにも応用出来ます。

広告効果はありそうですが、課題もあります。

Olgaさんは次のようにおっしゃっています。

「音質ですね。」

「音楽配信サービスをやっている会社さんと一緒にいろんなイベントでも開発でもやっていけたらいいなと思っています。」

 

商品名は「サウンド ファブリック オーケストラ」で発売は未定ですが、音を主体としたアートの展示会などに使ってもらいたいそうです。

また、このパーカーの洗濯も課題で、技術的にチャレンジはしているといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した音を“着る”ことの出来るフード付きパーカーは、まだ開発中といいますが、イヤフォンを着けなくてもどこでも気軽に音楽を楽しむことが出来るというのは魅力です。

また、折り曲げ自在の柔らかいスピーカーはパーカー以外にもいろいろな用途がありそうです。

しかし、一方で、音質レベルや周りに音がどの程度漏れるのかといった懸念が残ります。

 

それはさておき、番組を通して、アイデアをかたちにし、商品化するまでのプロセスのキーポイントについて、以下にまとめてみました。

・新しいアイデアをどのような製品やサービスに結び付けるかの検討

・ターゲットとする購買層の明確化

・そのための品質基準の設定

・品質基準を満たすための技術的な裏付けの検討

・ビジネスとして成立するかの検討

・開発、生産、および広告宣伝、販売などに必要なヒト・モノ・カネの調達

 

世の中には無限といっていいほどのアイデアが存在しています。

また、これからも新しいアイデアは無限に増えていきます。

しかし、アイデアを実用化し、ある程度の売り上げに結び付く商品やサービスはそうした中のごくごく一部でしかないのです。

そして、ごくごく一部の仲間入りを果たすためには、上記のキーポイントをしっかりと抑えることが求められると思うのです。


 
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2020年07月06日
アイデアよもやま話 No.4687 印刷して作る”アート作品”!

3月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で印刷して作る”アート作品”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

事務機器、光学機器などを製造するメーカー、株式会社リコーは凸凹のあるアートを本物そっくりに印刷する技術を開発しました。

そのプロセスは以下の通りです。

・作品のスキャン

  スキャンを数回行うことにより色彩や質感のデータを収集する

・特殊なプリンターでスキャンして収集したデータを印刷してかたちを生成

 1層につき、3〜4分かけて印刷し、これを60層印刷する

 何回も塗り重ねをすることで、絵の表面の凸凹や質感を忠実に再現する

 

実際に、番組で現代美術家、日比野 克彦さんの犬を描いた作品「BOW」の印刷を試みました。

そして、印刷開始から4時間ほどでようやく色付けが始まりました。

原画と同じようにいろいろな色が使われています。

印刷が終わり、その絵を原画と比べてもほとんど違いが分からないといいます。

実際に刷毛で塗ったような質感も忠実に再現されています。

しかし、断面を見ると印刷した方は白いインクが見えるので原画かどうか識別出来るといいます。

 

実は、この印刷技術でアートを本物そっくりに印刷するだけでなく、新しいアート、「UVインク立体版画」を作り出すことも出来るのです。

そして、このサービスは既に提供中といいます。

リコー IP事業本部の野村 敏宏さんは次のようにおっしゃっています。

「デジタルデータさえあれば、質感、色、凸凹などを自由に作って、新しいオリジナル作品を作っていきたいと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私は以前からハワイ在住の画家、クリスチャン・ラッセンの描く絵がとても好きで、何回か展示会に出向いたことがあります。

しかし、高額なので購入したことはありません。

でも今回ご紹介した印刷技術を用いれば、機械的に、かつ短期的に大量の贋作を作れてしまいます。

残念ながらこうした贋作業者が登場してくると思われますから要注意です。

 

しかし、一方で、正規のルートでこの印刷技術による本物そっくりや新規の“アート作品”が登場して来れば、それほど高くない価格で購入出来るようになります。

ということで、是非この印刷技術によりアート愛好家が本物そっくりの“アート作品”を自宅でも楽しめるようになって欲しいと思います。

 

一方で、絵画のようなアート作品を大量にコピーして販売するのは作者を冒涜するとんでもないと行為であるという批判もあると思います。

しかし、考えてみれば、映画やドラマ、あるいはクラシックコンサートなどはどんな評価の高いものであっても今や個人レベルでいくらでも手に入れて繰り返し楽しむことが出来ます。

ですから、絵画や彫刻などにおいても今回ご紹介したような技術により、妥当な価格で“コピー作品”として市販化されてもいいのではないかと思うのです。


 
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2020年07月05日
No.4686 ちょっと一休み その728 『世界各国の人口をきっかけに見えてくること』

No.4680 ちょっと一休み その727 『南米の小さな国の経済成長率が世界一!?』で人口約80万人のガイアナが油田の発掘により高度経済成長を遂げつつあるとお伝えしました。

その時に、人口約80万人の国があるということにちょっと驚いたのですが、次に世界で最も人口の少ない国の人口は何人くらいなのだろうという疑問が湧いてきました。

更にこれに関連して次々に新たな疑問が湧いてきました。

 

そこで、まず世界の人口 国別ランキング(詳細はこちらを参照)から見えてくることについてお伝えします。

世界で最も人口が少ない国は2つあり、バチカンとトケラウで、なんと1000人といいます。

ちなみに、バチカンはヨーロッパにある国家で、その領域はローマ市内にあり、国土面積は世界最小です。

また、トケラウは南太平洋にあるニュージーランド領の島嶼群及び自治領です。

人口1000人でも国として成り立つというのですから驚きです。

ならば、同じ理想を掲げる日本人、1000人ほどが太平洋上のどこかの島を買い取って、独立国家を誕生させることも出来るのではないかといった疑問が湧いてきました。

 

それはさておき、現在の世界人口は約77億人ですが、人口数で層別した国数の世界総数に対する割合を以下にまとめてみました。

 人口10万人以下の国の割合   :約15%

人口100万人以下の国の割合  :約32%

人口1000万人以下の国の割合 :約61%

人口1億人未満の国の割合    :約94%

人口1億人以上の国の割合    :約6%

 

ちなみに、世界第1位の中国と第2位のインドという2大人口大国の人口を合わせた数は、世界人口の約36%を占めています。

またアメリカは第3位です、

こうして見てみると、人口1000万人以下の国の割合は約60%、そして人口1億人未満の国がほとんどを占めていると言えます。

そして、我が国は人口1億人以上の国の割合が約6%の層に入っており、世界第11位で、人口大国の一つと言えます。

そこで、次に人口密度が気になって調べてみたら、インドは第25位、日本は第35位、中国は第74位、アメリカは第166位でした。(詳細はこちらを参照)

 

ついでにGDP(名目)についても調べてみると、アメリカは第1位、中国は第2位、日本は第3位、インドは第7位でした。(詳細はこちらを参照)

ちなみに、アメリカと中国の2ヵ国だけで世界のGDPの約40%を占めています。

そして、一人当たりGDPについても調べてみると、アメリカは第9位、日本は第26位、中国は第72位、インドは第144位でした。(詳細はこちらを参照)

 

また、世界の1人当たり労働生産性ついても調べてみると、第1位はルクセンブルグ、第2位はマカオ、第3位はブルネイ、アメリカは第12位、日本は第37位、中国は第99位、インドは116位でした。(詳細はこちらを参照)

ちなみに、第1位のルクセンブルグは人口約58万人で、事実上のタックスヘイブンとみなされ、第2位のマカオは人口約67万人で、経済は主にギャンブルを含む観光産業に依存しており、政府歳入の80%程度もギャンブルに依存しているといいます。

そして、ブルネイは人口約40万人で、石油天然ガス部門がGDPのほぼ半分、輸出のほぼ全てを占めており、それらに依存しているといいます。

ですから、ベスト3の国は、一般的な先進国とは異なる経済構造であるがゆえに、1人当たり労働生産性が高いと言えます。

 

更にエネルギー消費量について調べてみると、中国は第1位、アメリカは第2位、インドは第3位、日本は第5位でした。(詳細はこちらを参照)

また、一人当たりエネルギー消費量について調べてみると、アメリカは第11位、日本は第33位、中国は第56位、インドは第108位でした。(詳細はこちらを参照)

 

さて、日本に焦点を当ててみると、人口は世界第11位、人口密度は世界第35位、GDPは世界第3位、一人当たりGDPは第26位、世界の1人当たり労働生産性は第37位、エネルギー消費量は第5位、一人当たりエネルギー消費量は第33位という状況です。

 

これらの結果から以下のようなにまとめることが出来ます。

日本は相対的に人口が多いですが、その割に人口密度は少ないと言えます。

しかし、森林の面積は国土の約7割と広いのです。

また世界全体の森林面積の平均は3割程度といいますから、森林を除いた、人が住みやすい環境における人口密度で比較すれば、ほぼ世界平均と言えます。

 

また、GDPは世界第3位、一人当たりGDPは第26位、世界の1人当たり労働生産性は第37位、そして人口は世界第11位ということから、1人当たり労働生産性の低さを相対的な人口の多さでカバーしてGDP第3位の座を維持していると言えます。

それでも人口の多さから一人当たりGDPは第26位となっているわけです。

 

そして、一人当たりエネルギー消費量の割には国全体のエネルギー消費量の世界順位が高いということから、省エネへの取り組みは相対的に進んでいますが、人口の多さから絶対的なエネルギー消費量は多いと言えます。

ですから、地球温暖化が進行する中、日本のエネルギー関連技術をより進化させ、それを国内外で積極的に展開することにより、地球温暖化の阻止に貢献することが求められます。

 

以上、経済成長率が世界一の南米の小さな国、ガイアナをきっかけに、世界各国をいくつかの視点で世界ランキングして見てみると、世界各国の中での日本の位置付けや日本という国の特徴が多少なりとも浮き彫りになったと思います。


 
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2020年07月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.648 『進化する顔認証技術に求められるリスク管理!』

これまで顔認証技術についてはアイデアよもやま話 No.4648 最新ドローンと時代の壁などで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、2月17日(月)放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日)で最新の顔認証技術について取り上げていたのでご紹介します。 

 

昨年9月に発表されたセブン銀行の次世代ATMが注目を浴びました。

最大の特徴は顔認証機能です。

これで本人確認が可能となり、ATMで銀行口座もつくれるようになるのです。

ATMのカメラが人間の目となっているのです。

利用者の顔を読み取ったうえで、事前に登録された免許証の写真と照合し、本人かどうかを判別します。

 

このATMは将来的には、キャッシュカードが無くても、現金を出し入れ出来るサ−ビスの導入を目指します。

セブン銀行は、コンビニや商業施設などに約2万5000台のATMを設置していますが、5年後までに全てを新型機に取り換える方針です。

 

この顔認証技術はセブン銀行とNECが共同開発しました。

実は、顔認証の分野ではNECが世界をリードする存在になっています。

アメリカの国立標準技術研究所の調査によると、NECの技術力は中国やアメリカの企業を抑えて5回連続で世界1位でした。

年をとって顔が老け込んだり、マスクをしたりしていても顔を読み取れる技術を開発しています。

 

顔認証は今後空港や駅だけでなく、様々な店舗に急拡大していくと見られています。

ただ現在、世界の顔認証システムを席巻しているのは中国企業です。

中国政府からの強力な後押しもあり、売り上げを急ピッチで伸ばしています。

NECは最高の技術力を駆使し、中国勢に対抗する構えです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

クレジットカードやパソコン、スマホなどでの本人確認の主流はまだまだパスワードです。

中でもクレジットカードや銀行カードなどのカード類は合わせるととても枚数が多く、財布が厚みを増す元凶と言えます。

しかし、個々のサービスによってパスワードの最小桁数や特殊文字や大文字を含めることが要件であったりと、パスワード管理はとても大変です。

しかも、複数のサービスで同じパスワードを使用していると、パスワードが盗まれた場合の被害が大きくなってしまいます。

ですから、誰しもがパスワードに代わる本人確認が出来ればと望んでいると思います。

 

そうした中、NECが開発した顔認証技術による本人確認がセブン銀行の次世代ATMで導入されるようになり、ATMで銀行口座もつくれるようになるというのです。

更にこのATMは将来的には、キャッシュカードが無くても、現金を出し入れ出来るサ−ビスの導入を目指すというのです。

また、年をとって顔が老け込んだり、マスクをしたりしていても顔を読み取れる技術を開発しているといいますから、顔認証技術はまだまだ発展途上を言えます。

 

いずれにしても顔認証による本人確認があらゆるサービスにおいて導入されれば、クレジットカードや銀行カード、あるいはマイナンバーカードなどあらゆるカードを持ち歩く必要がなくなり、パスワード管理からも解放されます。

 

一方で、例えば3Dプリンター技術により、本人の顔をプリントして本人確認に臨んでも大丈夫なのか、など本人確認をすり抜けて悪用されるリスクはゼロなのかといった懸念が残ります。

 

ということで、顔認証による本人確認の本格的な普及に向けては、犯罪リスクの対応策、および犯罪が起きてしまった場合のコンティンジェンシープランを誰もが安心出来るレベルでしっかり構築することが必須です。

 

いずれにしても安心して顔認証による本人確認が出来る社会の到来がとても待ち遠しく思われます。

同時に、こうしたとても重要な技術は、国内企業が常に世界をリードし続けて欲しいと思います。


 
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2020年07月03日
アイデアよもやま話 No.4685 AIが“事故の責任割合”を推定!

3月17日(火)放送の「Nスタ」(TBSテレビ)でAIによる“事故の責任割合”の推定について取り上げていました。

そこで、関連するネット記事(こちらを参照)の内容と合わせてご紹介します。

 

東京海上日動火災保険と株式会社ALBERTは、ドライブレコーダーで取得した映像などからAIが事故状況を再現し、自動車事故の責任割合を自動算出する新機能を3月17日より導入します。

 

危険運転や高齢者事故の増加に伴い、ドライブレコーダーの需要が拡大する中、東京海上日動火災保険が提供するドライブレコーダーを活用した自動車保険の特約サービス(DAP/DA)も約36万5000件(2019年12月時点)と契約数を伸ばしています。

同社はこれまでも、ドライブレコーダーを活用した事故対応サービスを提供してきましたが、事故の当事者双方に責任が発生する事故の場合、示談交渉に向けた情報整理が必要になるため、契約者へのヒアリングや資料作成などに一定程度の時間を要していました。

 

今回、特約でレンタルされるドライブレコーダーでは、強い衝撃が検知された場合、自動的に映像が保険会社に送信される仕組みです。

新サービスでは、新機能「事故状況再現システム」により事故の前後の映像と位置情報などを元にAIが事故を分析し、これまで1週間かかっていた聞き取り調査や資料作成の作業が5分ほどで終わるということです。

また、過去の事例を参考にして、AIが“事故の責任割合”を推定するため、保険金がより早く受け取れるようになるといいます。

人手不足が続く中、AIによる事故分析の実用化は日本初で、今後保険各社でもAI導入動きが加速しそうです。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した新機能「事故状況再現システム」を活用したサービスのメリットについて、私も思うところも含めて以下にまとめてみました。

・特約でレンタルされるドライブレコーダーにより、強い衝撃が検知された場合、自動的に映像が保険会社に送信されること

・AIが事故を分析し、これまで1週間かかっていた聞き取り調査や資料作成の作業が5分ほどで完了出来ること

・こうしたAIによる事故分析の実用化により人手不足の解消にも役立つこと

・AIが“事故の責任割合”を推定するため、保険金がより早く受け取れるようになること

・事故に遭ったドライバーの事故後の処理の手間も大幅に削減出来ること

 

こうしてまとめてみると、事故後の保険会社の処理におけるドライブレコーダー、およびAIの活用は大きな進歩と言えます。

ですから、今後他の保険会社でも同様の動きが出てくるものと思われます。

 

さて、今回ご紹介した新サービスで気になったことがあります。

それは、使用するドライブレコーダーが特約でレンタルされるという点です。

例えば、他の自動車保険に加入していたクルマの所有者が東京海上日動火災保険のサービスに乗り換えた場合、それまで搭載していたドライブレコーダーは処分する必要が出てくるということです。

ですから、このサービスを受けるにあたって、このサービス用アプリをインストールしさえすれば、どのメーカーのドライブレコーダーでもサービスを受けられるようにして欲しいということです。

 

一方、新たに注意すべきことが出てきます。

それは、事故の際、自分の運転するクルマの状況、すなわち時速やコースが全てガラス張りになるということです。

ですから、無謀な運転中に事故が起きた場合には無条件で言い逃れ出来なくなるのです。

なので、必然的にこの新サービスを受けるドライバーには無謀な運転をしないように注意が必要になるのです。

ということで、隠れたメリットとして無謀な運転の抑止効果が挙げられます。

 

それにしても、AIが“事故の責任割合”を推定する時代到来とはすごい時代になったものです。

こうした延長線上で考えると、いずれAIが万引き犯などを逮捕する際の優れた助っ人になる時代もやってくると容易に想像出来ます。


 
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2020年07月02日
アイデアよもやま話 No.4684 駅そば ロボットが調理!

3月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で駅そばでのロボットによる調理について取り上げていたのでご紹介します。 

 

JR中央線の東小金井駅のそば店で、店員に代わってそばの調理をするロボットの実証実験が始まりました。

ロボットは同時に3玉の調理が可能で、そばを茹でて冷水で締めるまでを担当します。

店員一人の作業量と同じ、1時間当たり40食を提供出来るということで、JR東日本のグループ会社が人手不足を解消しようと企画しました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、長崎ちゃんぽんを展開しているリンガーハットのチェーン店を利用した時、大きな円筒形の容器の中に野菜を入れて自動で調理している光景を見かけたことを今でもよく覚えています。

今回ご紹介した調理ロボットもこうした調理の一部のプロセスを自動化したものと言えます。

こうした一つひとつのプロセスの自動化の積み重ねがいずれいろいろな調理の限りない全自動化へとつながっていくのです。

しかし、それでも微妙な味付けとか超一流の調理人の技も含めて全て自動化することは永遠の課題です。

それでも、そうした優れた技に近づけようとするチャレンジの積み重ねが自動化技術を進化させていくと思うのです。


 
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2020年07月01日
アイデアよもやま話 No.4683 これからはバーチャル株主総会が主流になる!?

前回は、VR(仮想現実)を活用したお墓参りについてお伝えしました。

今回は、3月14日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でバーチャル株主総会について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、株主が自宅からインターネットを通じて株主総会に出席する新たな動きが始まりました。

企業の株主総会は、法律であらかじめ会場を決めて株主に出席してもらう必要がありますが、国は今年2月にネットでも自決権の行使や経営陣への質問が出来る、いわゆる“バーチャル株主総会”の実施ガイドをまとめました。

これに基づいて3月13日、ソフトウェア開発を手掛ける富士ソフト株式会社が“バーチャル株主総会”を開きました。

株主はアプリを操作して総会の議案の賛否を表明していました。

富士ソフトの阪下 智保社長は次のようにおっしゃっています。

「将来的にはもっといい環境をつくれれば、本当にこういうかたちが普通になるっていうぐらいの総会の運営をイメージ出来るのではないかと思っていますけどね。」

 

株主総会の運営をアドバイスしている信託銀行には、ネットを活用した株主総会の相談が相次いでいるということです。

三菱UFJ信託銀行の中川 雅博次長は次のようにおっしゃっています。

「当日出席出来ない方に対して、当日の模様を配信する、見ていただくと、企業さんのニーズは結構あるかなというふうに思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

当然と言えば当然ですが、新型コロナウイルスは「3密」(密閉・密集・密接)を回避すべく、国による株主総会の実施ガイドまで変えてしまったのです。

そして、番組の放送後も、多くの企業が“バーチャル株主総会”を取り入れているようです。

しかし、考えてみれば、株主総会の開催にあたり、会社は開催場所を確保し、一定の要員を配置するなどいろいろな準備が必要になります。

一方、株主の中には総会で是非とも自分の意見を伝えたり、質問をするために遠路はるばると時間をかけて出席する方もいらっしゃいます。

しかし、“バーチャル株主総会”であれば、インターネットのつながる環境であれば、わざわざ時間とお金をかけて会場まで出向かなくてもどこからでも出席出来ます。

確かに、実際に会場に出向くと、生で経営者の発言を聴くことが出来たり、臨場感を味わうことが出来ます。

しかし、会場に出向く手間とオンラインでどこからでも出席出来る便利さを秤にかけると、多くの株主は何か特別の事情がなければ、後者を選ぶと思われます。

また、今年の株主総会は“バーチャル株主総会”として初めてなので、多少ぎこちない部分があると思われますが、来年以降は今年の反省を踏まえて、かなり整備されたかたちでの開催になると期待出来ます。

 

ということで、株主総会も“バーチャル株主総会”として“新たな生活様式”の一環として根付いていくと思われます。


 
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2020年06月30日
アイデアよもやま話 No.4682 VRでお墓参り!

VR(仮想現実)の活用については、アイデアよもやま話 No.4677 注目される”VR会議”で先日お伝えしました。

今回は3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でVRを活用したお墓参りについて取り上げていたのでご紹介します。

 

HITOWAライフパートナー株式会社(東京・港区)の関連会社、おそうじ本舗が提供するサービスは、依頼を受けてお墓の掃除やお参りをし、360度撮影出来る特殊なカメラでその様子を撮影するというものです。

そして依頼者は遠く離れたところから、ゴーグルを通してこの様子を見ることが出来るのです。

このサービスを始めたのは、有料老人ホーム「イリーゼ」のある入居者の次のような一言からです。

「「お寺に行きます」、「高島屋に行きます」なんて、そんな簡単にここ(介護施設)を出られないもん。」

 

実際に、番組ではこの一言を発した87歳の女性入居者によるこのサービス「VRお墓参り」の疑似体験を取材していました。

疑似体験後の感想は以下の通りです。

「(お花などが見えるかという問いに対して、)花見える。」

「(お墓参りしたなと思えるかという問いに対して、)なんか、そんなような感じするわな。」

 

「お墓参りに行きたいけど行けない」という入居者の声をスタッフが聞き、それをグループ会社であるおそうじ本舗に持ちかけたことでこのサービスは生まれたのです。

価格は、お墓の掃除、撮影、動画の提供を含め、3万8000円から(税別)です。

来年中の一般販売を目指しています。

HITOWAケアサービスの松村 萌和さんは次のようにおっしゃっています。

「行ったことのない場所、世界の観光地とかスキューバダイビングのようなことを体験を新たにしてみたいというようなお声も耳にしていますので、そういった展開を進めていきたいと考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

さて、これまでも以下のように様々なお墓参りのサービスについてご紹介してきました。

No.1752 ちょっと一休み その265 『近い将来はネットでお参り!?』

アイデアよもやま話 No.2966 自宅近くの納骨堂で気軽にお墓参り!

アイデアよもやま話 No.3885 お墓参りの新たなサービス!

 

要するに、高齢化や施設に入居中であったりといった理由から外出が困難であったり、先祖のお墓と今住んでいる場所との距離が遠く離れているなどの理由からお墓参りが出来ず、それでも何とかお墓参りがしたいという要望があり、それを満たすサービスがいろいろと出て来ているのです。

最近では、こうした動きとは逆に、今あるお墓を“墓じまい”し、自分の住んでいる近くにお墓を移すというパターンも見かけられます。

一方、こうしたお墓を新たに造るにはかなりのお金がかかりますので、共同墓地や樹木葬などといったパターンも普及しつつあります。

いずれにしても、日本の風習として、お盆や3回忌などの法事が残っていますので、たとえ遠く離れていても親族がその開催場所に一同に会するというのが一般的です。

 

さて、ここまで書いてきて思いつきました。

それは、新型コロナウイルスの影響で、今、「3密」(密閉、密集、密接)を避けるべく、葬儀などの法事があると、必要最小限の親族だけに絞って出席するパターンが多いと思います。

しかし、一方でVRの活用もゲームを中心にどんどん進んでいます。

そこで、今回ご紹介したようなVRの活用まで至らなくても“オンライン葬儀”などの新たな法事サービスが登場すれば、多少の縁のある多くの人たちが人数の制限なく出席出来るようになるのです。

 

ということで、“新しい生活様式”の一環として、近い将来、“オンライン葬儀”などの“オンライン法事”が普及していくと思われます。

 

なお、新型コロナウイルスの影響を受けて、在宅勤務やテレワーク、オンライン授業、更にオンライン株主総会などが導入されています。

同様に、ネット通販や宅配サービスも拡大しているといいます。

 

さて、これまで公私に関係なく、人に会いに、あるいは会議などのイベントに出席するために、時間をかけて交通機関を利用して移動してきました。

しかし、考えてみれば、インターネットの普及した現在、テレビ会議サービスを活用すれば世界中、どこの誰とでも簡単にコミュニケーションを取ることが出来るのです。

ですから、新型コロナウイルスは人類に大変な被害をもたらしている一方で、“食べず嫌い”とも言えた様々な“オンラインコミュニケーション”の便利さを私たちに目覚めさせてくれたとも言えるのではないかと思うのです。

そして、今回ご紹介したようにVRなどの技術を駆使した様々な“オンラインコミュニケーション”サービスが今後とも新たに登場し、より洗練されたかたちに進化していくものと期待出来ます。

また、こうした場所に囚われないで暮らすことの出来るライフスタイルは、プライベートタイムを増やし、交通機関の混雑を軽減することにもつながるのです。


 
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2020年06月29日
アイデアよもやま話 No.4681 紙パックに付く哺乳器!

3月14日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で紙パックに付く哺乳器について取り上げていたのでご紹介します。 

 

哺乳瓶に決められた量の粉ミルクを入れて、決められた量のお湯を入れます。

後は粉ミルクをよく溶かして、人肌になるまで水で冷まします。

最後に熱くないかと温度を確認したりとか、赤ん坊用のミルクづくりには結構手間がかかります。

 

そうした中、昨年日本でも解禁された乳児用液体ミルクですが、子どもに飲ませるためには哺乳瓶に移し替える手間が必要でした。

ところが、紙パックに付く哺乳器がジェクス株式会社により開発されました。

開発部の赤木 里紗さんは次のようにおっしゃっています。

「哺乳瓶を販売するメーカーとして、既存の飲み口を活用して、移し替えることなく、紙パック飲料を飲める方法を考えて開発しました。」

 

使い方は、まず紙パックの耳の部分の片方を起こします。

その耳にこの哺乳器を差し込んで、哺乳器のノズルをストロー口に差し込んで固定するだけです。

実際にこの紙パックに付く哺乳器を使ってみた、主婦のMさんは次のようにおっしゃっています。

「気軽にミルクやジュースをあげることが出来て、すごい便利だった。」

 

ミルクだけではなく、乳児用のお茶やジュースにも対応出来るのでお出かけにも便利です。

商品名は「チュチュ 紙パック用乳首」で価格は550円(税込み)です。

赤木さんは次のようにおっしゃっています。

「(これまでは)お湯が必須になってくるので、魔法瓶や哺乳瓶も必要になるので、その辺、かなり荷物がコンパクトになります。」

「あと飲料は外出先でも買うことが出来るので、赤ちゃんの飲みたい気持ちにすぐ対応出来ると思います。」

 

なお、Mさんが海外旅行に行った時、飛行機の中で赤ちゃんにミルクをあげる時に紙パックに付く哺乳器がすごく便利だったといいます。

また、赤ちゃんが夜泣きをした時に、そばでミルクを用意するのはとても大変ですが、枕元に紙パックを置いておいて、紙パックに付く哺乳器を使えば、すぐにミルクをあげることが出来るので、ミルクをあげる側にとっても赤ちゃんにとっても良いのです。

また、赤ちゃんがミルクを飲み終わった後の処理も飲み口の部分を洗うだけで済みます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を観ていて、自分の子どもが赤ん坊の時に、たまにですがミルクをあげた時のことを思い出しました。

確かにミルクを飲ませるまでの一連の作業は面倒さを感じました。

しかし、昨年日本でも乳児用液体ミルクが解禁され、紙パックに付く哺乳器も市販化されたことによりミルクを飲ませる手間は随分楽になったと思います。

 

こうした日常生活における一つひとつの行為を楽にしてくれる商品やサービスの登場が私たちの生活向上をもたらし、自由なプライベートタイムを増やし、同時に経済の活性化につながるとあらためて思いました。


 
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2020年06月28日
No.4680 ちょっと一休み その727 『南米の小さな国の経済成長率が世界一!?』

3月14日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で経済成長率が世界一の南米の小さな国について取り上げていたのでご紹介します。

 

ガイアナは本州ほどの面積で人口約80万人、かつてオランダやイギリスの植民地でした。

主な産業は酪農や農業などで、一人当たりGDP(国内総生産)は5000ドル程度と、南米ではボリビアに次いで貧しい国です。

中心部を離れると、電気も水道も通っていない住まいも少なくありません。

ある村の男性の住民は次のようにおっしゃっています。

「今の収入では生きていくのがやっとです。」

「お金はないし、定職もありません。」

 

国民の約半数が貧困層と言われるガイアナ、この国に今“大きな変化”が起きつつあります。

首都、ジョージタウンの中心部に昨年オープンした巨大なバーでは深夜になると羽振りのよい若者や外国人が次々と集まってきます。

飲み物や食べ物の値段は通常の倍以上しますが、お構いなしです。

朝まで客足が絶えることがありません。

 

ガイアナに変化をもたらしたもの、それは5年前に海底を3600m掘り進んだところから見つかった石油です。

昨年からは石油の産出も始まりました。

ここのところ原油価格は下がっていますが、政府は2025年までに日本円で5兆円以上の利益を見込んでいます。

これはガイアナの昨年のGDPを上回る額です。

ガイアナのマーク・パイノ エネルギー相は次のようにおっしゃっています。

「石油とガスによって、我々は経済を多用化出来るでしょう。」

 

首都、ジョージタウンでは、古い建物は壊され、新しい建物に建て替えられています。

町では建設ラッシュが起きています。

大規模なプロジェクトが相次ぎ、土地の価格が高騰、まさにバブルの様相です。

好景気に沸くガイアナに、国外に流出していた人材も戻ってくるようになりました。

弁護士のロデリック・エディンボロさんは、大学卒業後、2年前までは隣国で働いていました。

エディンボロさんは次のようにおっしゃっています。

「(10年前のガイアナには)大学を卒業した多くの人にとって希望通りの給料がもらえる仕事はあまりなく、見つけることがとても難しかったんです。」

 

その後、ガイアナで油田が見つかると、外資系の大手弁護士事務所が進出、エディンボロさんも母国に戻り、この弁護士事務所で働くことになりました。

今住んでいる家は、その時に日本円で約2000万円で購入しました。

エディンボロさんの年収は1500万円余り、食費などは会社側が全て負担し、税金もあまりかからないため、2年後にはローンを全額返済し終える予定です。

内装の豪華なインテリアなどが自慢です。

貴重な木材をふんだんに使い、家具もアメリカから輸入しました。

エディンボロさんは、経済成長に湧く母国に期待を膨らませています。

エディンボロさんは次のようにおっしゃっています。

「有能なガイアナ人の多くが戻ってくるでしょう。」

ガイアナには活躍出来るチャンスがあるからです。

 

南米の小国に突如やってきた石油バブル、その利益を国全体の成長につなげることが出来るのか、ガイアナは大きな節目を迎えています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してまず思ったのは、どこの国においても油田など天然資源の大規模な発掘場所が新たに見つかると、それだけで国の財政状況が一変し、国民が豊かに暮らせるようになるということです。

ましてやガイアナのような人口80万人ほどの小さな国においては国民一人当たりのGDPは一気に跳ね上がることになります。

このように、特に石油のような天然資源を産出出来るかどうかによって、国の財政状況が大きく変わるというのはある意味で理不尽さを感じます。

ただ、こうした国にも懸念材料はあります。

それは、国の財政が天然資源に大きく依存することによる、国家としての他の産業の発展、そして国民の働く意欲、あるいは生きるうえでの貪欲さの弱まりです。

一方、日本のような資源小国はこうした天然資源に依存出来ないので、様々な技術力やスキルを身に付け、それらを生かすことでしか国を発展させることが出来ないのです。

そして、実際に高度成長期の日本の経済力はアメリカをも凌駕しかねないほどの勢いを持っていました。

しかし、バブル崩壊後の日本にはかつての勢いはなくなっています。

その根本原因は、一度は坂を登りつめ、新たな目的を失ってしまったからだと思います。

ですから、再び国家として国民と共有出来る新たな目的を持てば、新たな発展に向けて勢いを取り戻すことが出来ると思うのです。

いずれにしても、日本には国家としてのこうした潜在能力があるので、そのことについては自信を持っていいと思います。

 

ということで、石油のような天然資源に恵まれていないことが、それを補おうとしていろいろなアイデアや貪欲さを生み出し、それらが経済発展をもたらすという点では何が幸いするか分からないのです。

 

さて、以前No.2412 ちょっと一休み その377 『国民である前に地球の住民である意識が必要な時代』でもお伝えしたように、今回ご紹介したガイアナの例のみならず、アメリカのシェールオイルやシェールガスのような新たな発掘により可採年数が延びるということです。

一方、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料の消費は大量のCO2を排出し、地球温暖化につながります。

ですから、ガイアナのような途上国も石油の産出に伴い、生活が豊かになるに従って今後CO2排出量も急激に増加していくと見込まれます。

一方、先進国を中心に“脱化石燃料”を目指して再生可能エネルギーへのシフトが進みつつありますが、トータルで世界各国の“脱化石燃料”が進まなければ地球温暖化はどんどん進んでしまいます。

 

とうことで、南米の小さな国、ガイアナの話から脱線してしまいましたが、人類共通の今後の大きな課題の一つは、“脱化石燃料”、および“脱原発”による“持続可能な社会”の実現を目指し、経済的な面からどの化石燃料や原発よりも低コストの再生可能エネルギーを開発し、それを世界展開することだと思うのです。


 
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2020年06月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.647 『巧妙化が進むサイバー攻撃!』

6月13日(土)付け読売新聞の朝刊記事で巧妙化が進むサイバー攻撃について取り上げていたのでご紹介します。 

 

身代金要求型ウイルス、ランサムウェアを使ったサイバー攻撃が、その手口を巧妙化させています。

従来の「ばらまき型」から特定企業を狙う「標的型」にシフトし、それとともに身代金の額も高額化。

海外では、データを暗号化して使用不能にするだけでなく、盗んだデータを暴露するとも脅す「二重の恐喝型」も登場しています。

専門家は「今後、国内でも増加する可能性が高い」と警告しています。

なお、こうした「二重の恐喝」型が目立ち始めたのは昨年12月から」との指摘があります。

 

ランサムウェアといえば、3年前に世界中に感染を広げた「WannaCry」で知られるように、データを暗号化して使えなくし、復旧の見返りに金銭を要求するパターンが一般的でした。

ところが、最近海外で目立つのは、まずシステム内部に侵入し、情報を根こそぎ盗み出した上で、データを暗号化する手法です。

1回目は暗号化の解除で支払いを求め、相手が払わなかった場合、あるいはたとえ払っても、今度は盗んだ情報を暴露すると脅すのです。

例えば、レディー・ガガやマドンナなど大物アーティストを顧客とする米国の法律事務所を脅して、既に一部の契約情報などを暴露しているのがウイルス「REvil」を使うグループです。

彼らの場合、盗んだデータのオークションサイトも運営しています。

入札金額が高騰すると身代金の要求金額もつり上げられ、支払いがあれば出品を取り下げる仕組みとみられています。

 

かつては自作のウイルスを売りたい作成者と、購入希望者のやりとりが目立ち、「攻撃者は単独で、手に入れたウイルスを無差別にばらまき、ひっかかった相手を脅すだけでした。

被害者は個人が多く、代金もパソコン1台200ドル程度でした。

ところが近年は、ウイルス作成者による「パートナー募集」の投稿が増えています。

「企業のネットワークに侵入するのが得意な人」「ウイルスを配布する手段をもつ人」「語学力があり企業と交渉できる人」など、「有能な人材」を集め、組織的な攻撃を展開している可能性が高いのです。

実際、特定組織に的を絞った、入念な下調べと高度な技術を要する攻撃が増えています。

 

国内では被害を受けても公表しない組織が多いため、ここ数年、ランサムウェアに関する報道は減っていますが、依然として「攻撃は高止まり状態」です。

 

最近では、新型コロナウイルスの影響で導入が進むテレワークに目を付けた攻撃も増えています。

社外のパソコンと社内ネットワークを安全につなぐ通信機器に脆弱性が見つかり、修正しないまま使い続けると、攻撃者が侵入する「穴」になってしまうのです。

セキュリティー会社「ラック」で緊急対応にあたる鷲尾 浩之・サイバー救急センター長は、以下のような、地味ですが基本的な対応を徹底することが重要だとしています。

基本ソフトウェア(OS)やソフトは最新の状態に保ち、脆弱性を放置しない

定期的にバックアップをとる

3 心当たりのないメールの添付ファイルやリンクは不用意に開かない

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組からはこれまでのサイバー攻撃の変遷をうかがい知ることが出来ます。

・「ばらまき型」 ⇒ 特定企業を狙う「標的型」(身代金額の高額化を伴う)

・データの暗号化による使用不能化 ⇒ 盗んだデータを暴露するとも脅す「二重の恐喝型」への進化

・単独の攻撃者 ⇒ 「有能な人材」チームによる組織的な攻撃

 

なお、最近、新型コロナウイルスの影響で導入が進むテレワークに目を付けた攻撃も増えているといいますが、東京商工会議所の会員の中小企業のテレワーク実施率が67%に急増しているといます。(詳細はこちらを参照)

ですから、今後とも大企業に比べてサイバー攻撃への対策が不十分と思われる中小企業の被害が懸念されます。

 

さて、前回ご紹介した、北朝鮮のサイバー強盗団による日本での外貨荒稼ぎ(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.646 『北朝鮮のサイバー強盗団による日本での外貨荒稼ぎ!』)などは、まさに国家レベルで集められた「有能な人材」チームによる組織的、かつ高度なサイバー攻撃と言えます。

しかも以前お伝えしたように、サイバー攻撃は1件当たりの被害額がとても高額で、摘発がとても困難なので非常に効率の高い犯罪行為なのです。

ですから、現在の捜査能力レベルでは今後ともサイバー攻撃を阻止することはほぼ不可能と思われます。

 

では、サイバー攻撃の究極のリスク対応策はどのようなものが考えられるでしょうか。

私は大きく3つあると思います。

1つ目は、世界各国からサイバー関連のエキスパート中のエキスパートをかき集めて組織化し、その組織(仮称:国際サイバー攻撃対策チーム)にサイバー攻撃を受けた場合の被害を最小限に食い止めるリスク対応策を継続的に検討・構築してもらうことです。

2つ目は、明らかにサイバー攻撃を行ったと見なせる場合、サイバー攻撃者を特定出来る技術を確立し、被害の有無に関係なく、サイバー攻撃者に高額の罰金を課すのです。

そして、その罰金を国際サイバー攻撃対策チームの活動資金源にするのです。

3つ目は、毎年、その年に特に大きな成果をあげた優秀なメンバーを報奨する制度を設け、報奨金、および名誉で報いるのです。

なお、報奨金については、サイバー攻撃組織のメンバーとして活動するよりも対策チームのメンバーとして活動する方がメリットがあると思わせるほど高額にすることが重要です。

 

なお、私の具体的なイメージでは、明らかなサイバー攻撃が発覚した場合、被害が実際に発生する前にすぐに攻撃者に警告を発し、同時に罰金を請求するという流れです。

ちなみに、以前からサイバー犯罪目的のメールが毎日のように私宛に届いております。

そして、ざっとでも一応内容を確認したり、迷惑メールとしての処理をしたり、あるいは削除したりと手間がかかっています。

また、企業がサイバー攻撃を受け、実際に被害を被ると、金銭面のみならず、その対応に少なからず手間がかかってしまいます。

また、大なり小なり企業イメージダウンをももたらします。

ですから、最強の国際サイバー攻撃対策チームを設けることはいろいろな面でメリットがあると思うのです。

 

さて、ここまで書いてきて一つ思いつきました。

それは国連などの国際組織主導で国際サイバー攻撃対策チームが立ち上がるまで待たなくても、どこかのセキュリティ関連企業がクラウドファンディングなどを利用して資金を集め、同様のチームを立ち上げてもいいのではないかということです。

要するに、継続的に利益が上げられるようなビジネスモデルが確立出来ればビジネスとして成り立つのです。

ただし、この場合の成功要件としては、こうしたサービスを利用する企業や個人から定期的に利用料金を受け取り、万一被害を被った場合の被害補償制度も完備することが求められます。

 

いずれにしても、先ほどお伝えしたように、明らかにサイバー攻撃を行ったと見なせる場合、被害の有無に関係なく、サイバー攻撃者に高額の罰金を課す制度を国際的に法制化することは必須です。

 

なお、他国の政府や企業の機密情報を入手することを目的としたサイバー攻撃は、自国の安全保障を高めるうえで、スパイ行為の一環として重視されています。

ですから、こうした国家自体によるサイバー攻撃と今回ご紹介したサイバー攻撃へのリスク対応策をどのように折り合いを付けていくかも大きな課題として残ります。


 
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2020年06月26日
アイデアよもやま話 No.4679 メガソーラーの光と影!

メガソーラーの弊害について、以前アイデアよもやま話 No.3437 メガソーラーが抱えるジレンマ!でお伝えしたことがあります。

そうした中、3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でメガソーラーの光と影について取り上げていたのでご紹介します。

 

東日本大震災から9年、原発、火力から再生可能エネルギーへと躍進を続ける現場の光と影を番組で取材しました。

 

津波と原発事故に襲われた福島県南相馬市の海岸線を進むと無数の太陽光パネルが見えてきました。

ここで稼働するのが、太陽光パネル30万枚を超える県内最大のメガソーラー、南相馬 真野右田海老 太陽光発電所です。

住友商事などが開発、2ヵ所で約3万世帯分の電力を賄うこの地は福島のシンボルと言われています。

目指すは2040年の再生可能エネルギー率100%です。

福島県庁企画調整部エネルギー課の竹内 正志主幹は次のようにおっしゃっています。

「復興計画の一つとして、再生可能エネルギーの飛躍的躍進と位置付けて、“再生可能エネルギー先駆けの地”の実現を目指す。」

 

現在、再生可能エネルギー率は目標の30%を超えました。

中でも太陽光発電は2011年から約23倍に急拡大しています。

この取り組みに県民のある女性は次のようにおっしゃっています。

「勿論、火力や原子力を使わないでやっていけるのが一番だとは思います。」

「自然エネルギーだけでやっていけるのが。」

 

また別の女性は次のようにおっしゃっています。

「子どもたちがこれから大きくなって、またその次の世代とかにつながっていけばいいなとは思います。」

 

福島県で急速に普及しているメガソーラー、その意外な場所がありました。

二本松市内にあるゴルフ場「サンフィールド二本松GC」は震災後の2012年に閉鎖しています。

震災後、県内の多くのゴルフ場が閉鎖、原発事故での土壌汚染が主な要因でした。

そして今、どうなったのか、クラブハウスから連なる大量の太陽光パネル、日照条件の良い県内9つのゴルフ場のコースが次々にメガソーラーに変わったのです。

 

しかし今、光とともに影の側面もあります。

いわき市で起きていたのが、メガソーラーの崩壊です。

大雨で斜面が崩れ、通学路に土砂が流れ込みました。

小学校のすぐ横でも土砂崩れが発生、保守点検業者は復旧工事を約束しましたが、こちらではその形跡はありません。

更にいわき市内の別の場所では、昨年10月にメガソーラーで初の違法案件となりました。

そこで今も暮らす住民は次のようにおっしゃっています。

「(自宅の家の外壁を指して、)ここまで来たんですよね、土砂が。」

「これ全部やられたまんまです。」

 

番組ではその企業に取材を依頼、メールで回答が来ました。

その分面には以下の記述がありました。

 

1日も早く是正工事を完了させ、皆様の不安を一日でも早く払拭できるよう誠心誠意努めてまいる所存です。

 

しかし、その企業の登記簿を調べると、メールの企業は2年前に所有権を手放し、別の企業に移転されていることが分かりました。

専門家はこうしたメガソーラーの転売がトラブルにつながっていると指摘します。

環境エネルギー政策研究所の山下 紀明主任研究員は次のようにおっしゃっています。

「(発電所を)建てて売る企業と自分では建てる気はなくて、売ってしまうと。」

「それはババ抜きのように問題があるところが売られて、またそこを誰かが見つけて買ったところを問題でまた売られる。」

 

太陽光発電の普及を加速させたのが2012年の、国による固定価格買取制度、FITでした。

高い買取価格に税の優遇、補助金制度も加わり、10%を超える利率の投資を加熱、“ソーラーバブル”と呼ばれました。

その後、買取価格が年々下がり、稼働を中止したケースも多発しました。

こうした状況について、山下さんは次のようにおっしゃっています。

「資本主義の社会の中で、再生可能(エネルギー)を増やすとなると、一定の利益が出ることは当然必要だと思うんですね。」

「ただ、それが非常に高い利幅の時期があって、それが投資案件に使われてしまったというところは非常に残念だなと思っていますし、トラブルの元になっていると思っています。」

 

こうした中、福島県に衝撃がありました。

以下の内容を含んだ“脱ソーラー宣言”をした自治体が現れたのです。

 

大規模太陽光発電施設の設置を望まないことをここに宣言する。

 

それがNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟している大玉村です。

それは村最大の資源を守るという苦渋の決断でした。

押山 利一村長は次のようにおっしゃっています。

「再生可能エネルギーに反対しているわけでもないし、太陽光発電についても当然進めるべきものだと認識はしてますけど、大規模太陽光発電が自然景観を著しく損なう心配が出て来た。」

 

その現場に行ってみると、大玉村役場の武田 栄輝さんは次のようにおっしゃっています。

「ここが村に何ヵ所か、広くパネルが設置してある場所の一ヵ所になります。」

「驚いたというよりも、なんでここを選んだのかというのが不思議な、違和感ですね。」

 

村の人たちも知らないうちにメガソーラーが相次いで造られたのです。

森を切り開き、斜面に造られたメガソーラー、実は森林の場合、農地のような規制する法律がなく、村や住民への事前説明も義務ではないというのです。

押山村長は次のようにおっしゃっています。

「私が国に求めたいのは、許可をする前にこういう事業者からこういう申請が出ているんだけど、村としての意見はどうなんだという、事前認可の前に村の方にそれを知らせて、村の意見を聞くと。」

「20年後に確実に廃棄の段階で撤去していただけるのかという心配ももう一つ大きな心配として持っているんですね。」

 

大玉村は昨年12月、条例で新規のメガソーラー建設を規制しました。

 

一方、常磐道沿いに広がるメガソーラーがあります。

福島第一原発のある大熊町、作られた電力は県外ではなく、全て地元のためのものです。

新たなエネルギーのサイクルが始まっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

“脱原発”、“脱化石燃料”を目指すうえで、太陽をはじめとする再生可能エネルギーによる発電へのシフトはとても重要です。

しかし、同時に森林保護など環境への配慮も欠かせません。

ところが、メガソーラーを設置するにあたり、森林の場合、農地のような規制する法律がなく、村や住民への事前説明も義務ではないというのです。

こうした事実にはビックリです。

 

福島第一原発事故の直後で、政府は環境よりも電力の確保を優先した結果の政策と思われますが、それにしても十分な規制がなく、村や住民への事前説明も義務化されない中で、FITの導入で高い買取価格に税の優遇、補助金制度も加わり、10%を超える利率の投資を呼び込んだのですから“ソーラーバブル”と呼ばれるほど投資が過熱したのは当然です。

また、番組を通して、メガソーラー関連業者の中には、利益優先で、集中豪雨などによる近隣住宅の被害やメガソーラーの撤去費用などを考慮していないところもあるのではないかという心配もあります。

また、FITにより当初のメガソーラーでは10%を超える利率が見込まれたというのも業者の利益を優先した偏った政府の政策と言えます。

そのために、一般家庭には毎月「再エネ発電賦課金」という名目で電力料金が上乗せされて電力会社より請求されているのです。

ちなみに、我が家での再エネ発電賦課金の4月分の金額(税込み)は1359円でした。

2年前の4月分は805円でしたから、さりげなくとでもいいますか、電力料金は2年で500円以上も値上がりしていたのです。

 

ということで、政府の進める政策は必ずといっていいくらい光と影、すなわちメリットとディメリットがあり、しかもそのための資金の原資は税金です。

ですから、政策決定に携わる政治家、中でも総理大臣は国全体を俯瞰する視点からバランスを考慮した政策決定をしていただきたいと思います。


 
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2020年06月25日
アイデアよもやま話 No.4677 産地直送を可能にするアプリ「食べチョク」!

3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で産地直送を可能にするアプリについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスという異常事態において、農業の注目を集める新サービスもあります。

千葉県我孫子市で農園を営む香取 岳彦さんは、主に飲食店に卸すほうれん草や人参などを育てています。

香取さんは次のようにおっしゃっています。

「(飲食店からの)予約のキャンセルも相次いでいて、半分以下のお客さんなので、野菜の消費量もやっぱり半分ということで、うちの売り上げも半分になりますね。」

 

そんな香取さんですが、出荷の準備をしています。

香取さんは次のようにおっしゃっています。

「これは「食べチョク」さん向けに採った野菜を袋詰めして出荷作業をしております。」

 

「食べチョク」とは、農家などが消費者に直接売ることが出来るサービスで、今新型コロナウイルスの影響で外出を控え、自炊する人が増える中、注文が伸びているといいます。

香取さんは次のようにおっしゃっています。

「「食べチョク」さんが(送料無料)キャンペーンをして、(「食べチョク」からの)受注数が1.5倍に増えた結果、非常に助かっています。」

 

こちらのサイトでは3月に入り、注文が2倍(前月比)のペースで増加、新型コロナウイルスによる人々の生活の変化が結果的にサービスの浸透につながっています。

「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンの秋元 里奈社長は次のようにおっしゃっています。

「これまでに買ってくれなかった人たちが買っている。」

「(消費者と生産者の)両者の需要が高まっているのかなと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルスの影響で、まだまだ不要不急の外出自粛の傾向が続いています。

ですから、当然の流れとしてファミレスなど外食産業の売り上げは激減していますが、一方で自宅への持ち帰り消費、あるいは巣ごもり消費、イエナカ消費と言われる消費(参照:アイデアよもやま話 No.4640 広がる”イエナカ消費”)がその分増えているのです。

 

ですから、ファミレスや居酒屋など、多くの外食産業がテイクアウトや宅配のような新サービスを展開するのは当然と言えます。

同様に、自宅にいながらにして買い物が出来るネット通販の売り上げ増は当然の帰結と言えます。

 

こうした流れの中で、今回ご紹介した「食べチョク」アプリは、これまでのお客だった飲食店の売り上げ減による影響で農家の売り上げも激減する中で、個々の農家が新たな顧客を獲得する手段としてとても有り難いサービスだと思います。

一方、消費者の立場からも、こうした農家のネット通販への参入は、食材の購入の際の選択肢が増えるわけですからメリットがあります。

 

ということで、新型コロナウイルスの影響で「食」に関する分野においても“新しい生活様式”が徐々に浸透しているように見えます。

ちなみに、私の使用しているスマホでは最近牛肉のネット通販関連のメールをよく見かけるようになりました。

そこで一度試しに購入してみたら、その価格はいつも利用しているスーパーで買うよりも安いし、味も悪くないのです。

ですから、その後何度か利用していますし、これからも利用したいと思っています。

 

ということで、「食べチョク」のようなアプリの登場によって、個々の農家は農協を通すだけでなく、新たな販売ルートを手に入れることが出来たのです。

ですから、こうしたアプリはやがて農協を脅かすような存在になるかもしれません。

まさに、“新しい生活様式”はこれまでのビジネス形態の再構築をももたらしつつあると言えるのです。


 
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2020年06月24日
アイデアよもやま話 No.4677 注目される”VR会議”

3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でVR会議について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスという異常事態において、あらためて注目される最新技術やサービスが増えています。

そうした中、通信大手、KDDI(東京・千代田区)の会議室では、VR(仮想現実)の世界を体験出来るゴーグルを着けた男性が社内会議に臨んでいました。

今後予定しているドローンを使ったイベントの会議で、別な場所にいる社員もこの会議に参加していました。

使っているのは最新のVRシステムです。

ドローンがくぐるための輪をその場で作ったり、文字を書いた後、その文字をつかんで好きな位置に移動することが出来ます。

この会議に参加した社員は次のようにおっしゃっています。

「すごく有意義だと思います。」

「これすごく対面に近いかたちで会話が出来るので、ブレスト(ブレーンストーミング)とかアイデア出しとかにすごく向いていると思います。」

 

KDDIは1年ほど前からこのVRシステムを利用、新型コロナウイルスの拡大を受けて、利用頻度が増えています。

KDDI ビジネスインキュベーション推進部の中馬 和彦部長は次のようにおっしゃっています。

「これは全員が同じ場所を共有しますので、リアクションや顔の向きなども含めてニュアンスが伝わるので、コラボレーションワーク(共同作業)に向いてますね。」

 

このVRシステム「NEUTRANS BIZ」を開発したのはベンチャー企業の株式会社シナモンです。

新型コロナウイルスの拡大で以前と比べて問い合わせは2倍近くに増えています。

シナモンの武井 勇樹さんは次のようにおっしゃっています。

「やりたかったことがコロナの影響で出来なくなってしまった会社がすごく増えているので、そういうものをVR技術を使うことで少しでも支えていけるといいんではないかと感じております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ケースにもよりますが、これまでのようにそれぞれ離れた事業所などから交通機関を使って移動し、関係者が一堂に会して会議を進めるよりも、参加者がそれぞれ離れた場所から参加していてもVRを活用して立体的なイメージを出席者全員が共有しての会議の方がはるかに効率的、かつ効果的だと思います。

ですから、この“VR会議”は特に企画などのアイデアをまとめるような会議にはとても有効だと期待出来ます。

また、こうした取り組みの積み重ねが競争力の増強をもたらすのです。

ただ、気になるのは、こうした会議の内容に即したVRの仕組みを前もって準備する手間がどれくらいかかるかです。

 

いずれにしても、前回、新型コロナウイルスの影響により“新しい生活様式”をベースにこれまでにないようなアイデアのビジネスモデルを展開するベンチャー企業にとっては千載一遇のチャンスでもあるとお伝えしましたが、今回ご紹介した“VR会議”を開発したシナモンはまさにその一つと言えます。


 
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2020年06月23日
アイデアよもやま話 No.4676 新型コロナウイルス関連で今思うこと!

前回は、日本版のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)、アメリカ疾病対策予防センターの必要性についてお伝えしました。

今回は4月15日(水)付けのネット記事(こちらを参照 「Voice」2020年5月号に掲載された内容)を通して、新型コロナウイルス関連について以下にCDC関連以外の内容をまとめてみました。

しかし、ざっとでも全文お読みになるのをお勧めします。

なお、この記事の執筆者はイギリス キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷 健司教授です。

・2019年12月31日に肺炎症状を合併した感染症が中国から始めてWHO(世界保健機関)に正式に報告された。実際には11月から散発例があったようだが、それは中国国内で封印されていた。この初動の遅れが響いたのか、中国が世界に公表したときには、すでに武漢では爆発的な流行期に入っていた。

・その後の中国政府の動きは凄まじかった。人口1100万人の武漢全体を文字通り封鎖したのだ。他の大きな都市でも迅速に都市封鎖を行ない、可能なかぎりの強権的な介入を行なった。

・SARSやH7N9インフルエンザの経験から蓄積されたノウハウがここで大いに生きた。サーベイランスネットワークを駆使し、検査体制を拡大させて、感染者はスマホアプリで追跡をした。医療対応も迅速だった。重症肺炎のための治療施設をフル稼働させ、感染者の隔離病棟を確保し、緊急医療チームを総動員した。さらに、多くの臨床試験を開始した。中国の科学者は、驚くべきスピードで『ランセット』『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』といった一流医学雑誌に次々と論文を掲載している。

・しかし、欧米の研究者たちはこの中国からの警告をなぜか無視し、2月後半から3月前半に欧米で感染が拡大するまで適切な手段を講じなかった。そして、それは世界のパンデミック対応の軸となるべきWHOへの国際的な対応も同様であった。

・パンデミック時にやるべきことはほぼ決まっている。まず、初期には少数の感染者を検査で探し出し、隔離によって感染の拡大を防ぐ。シンガポール、香港、そして台湾が封じ込めにいまのところ成功しているのは、徹底的にこの「検査と隔離」を行なったからである。この際に必要なことは、WHOのテドロス事務局長が力説したように「検査、検査、検査」である。どのくらい感染が広がっているかわからなければ、現在の感染フェーズの把握ができず対策も立てようがない。

・十分な集団免疫を持たないかぎり、新型コロナウイルスが終息することはない。一度封じ込めたとしても、パンデミックであるかぎり世界のどこからでも国内に入り込み、再度流行する可能性がある。封じ込めに成功した中国やシンガポール、香港なども第二波、第三波の流行を警戒している。十分な集団免疫を獲得するには、ワクチンあるいは自然感染で人口の70%程度が感染して抗体をもつ必要がある。ワクチンは既にいくつかのものが臨床試験へと進んでいるが、実用化には最低でも一年以上かかると考えられる。また、アフリカなどの開発途上国への蔓延の可能性、そして、自然感染による集団免疫の獲得にも数年かかると考えられるために、新型コロナウイルスの終息にはかなりの時間がかかるであろう。

・日本はグローバルヘルス分野には積極的に関わってきた。とくに2016年の伊勢志摩サミットにおいては安倍総理自らパンデミック対策を打ち出し、WHOの健康危機対策機能の強化、パンデミックのための保険制度、そして日本が創業メンバーとなりパンデミックワクチン開発を目的とした感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)への供出など、今回の新型コロナウイルス対策においても実際に活用されている国際的枠組みへの貢献をしてきたことは特筆すべきであろう。とくに、筆者も科学諮問委員として参画するCEPIでは、投資先のワクチンがわずか数カ月で最初の臨床試験に入った。これは異例のスピードである。

・パンデミックには国際的協調が欠かせない。なぜならば、グローバル化した世界ではウイルスから逃れることはできないからだ。一国が封じ込めに成功しても他の国が封じ込めに失敗したら、いつ何時、感染の再流行をもたらすかわからない。また、ワクチンや治療薬の開発はすべての国に裨益する。各国がエゴ丸出しの施策をし続けることは得策ではない。

・『ネイチャー』誌によると世界のリーダーと科学アドバイザーがいまやるべきことは、。廝硲呂離▲疋丱ぅ垢暴召Δ海函↓▲┘咼妊鵐垢力席顕修肇ープンな研究を推進すること、そして、9餾欟調、の三つだ。いまこそ、この基本を各国のリーダーたちは思い出してほしい。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

記事を通してまず最初に思ったことは、各国がそれぞれウイルス感染情報についてのアンテナを張り巡らせて、しかも日頃からウイルス感染対策を整備していれば、パンデミックに至らなかったのではないかということです。

No.4638 ちょっと一休み その720 『WHOは病気にかかっている!?』など新コロナウイルスに対するこれまでの中国に過度に配慮したと思われるWHO(世界保健機関)テドロス事務局長による発言やガバナンスに関する問題についてお伝えしました。

また、アメリカのトランプ大統領を始め、世界には、新型コロナウイルスの感染源である中国による情報提供の遅さを激しく非難している国々があります。

しかし、一方で台湾は中国と地理的に近く関係が深いにもかかわらず、新型コロナウイルスによる死者が5人にとどまって封じ込めに成功しており、陳建仁副総統によると、台湾は昨年12月31日、人から人への感染についてWHOに警告していたのです。

ですから、このタイミングで日本も含め、世界各国が台湾に直接状況を確認するなど自ら積極的に動いていれば、少なくともこうした国は感染を最小限に食い止めることが出来たのです。

 

確かに中国の対応やWHOのテドロス事務局長の発言には納得がいかないところはありましたが、だからと言って、トランプ大統領のように自国の対応のまずさを棚に上げてWHOや中国の対応のまずさばかりを非難するというのはどうかと思います。

まず各国が自国の新型コロナウイルスの感染拡大阻止に全力投球し、世界的に一段落したところでWHOを中心に各国が共同で再発防止策を検討すればいいと思うのです。

 

次にWHOのテドロス事務局長が力説したように「検査、検査、検査」、検査の必要性です。

どのくらい感染が広がっているかわからなければ、現在の感染フェーズの正確な把握が出来ず、対策も立てようがないからです。

しかし、アイデアよもやま話 No.4621 新型コロナウイルスとの闘い その1 日本がパンデミックにまでならない理由!で、日本は当初、PCR検査の数を控えて、クラスター(感染者集団)を見つけて、クラスターをつぶしていたことがオーバーシュート(爆発的な感染)を防いできたと見られていること、また新型コロナウイルスは80%の人には誰にも感染させていないとお伝えしました。

しかし、東京都では、それまで感染者数は1日当たり40人ほどの枠内に収まっていましたが、6月14日から2日続けて再び感染者数が40人を越えてきました。


その理由は、夜の繁華街で働く接客を伴う飲食店の関係者が集団検査を受けた結果だといいます。

このことから、一部で言われていたように、日本はPCR検査を受けた人数が少ないことから、実際の感染者数はこれまで公表されてきた数よりも非常に多いということが実証されたかたちになりました。

では、これまで公表されてきた感染者数の推移は一体何だったのかと思ってしまいます。

さて、ここで新たな疑問が湧いてきました。

アイデアよもやま話 No.4658 注目の”K値”で第2波を察知可能!?でお伝えした“K値”ですが、PCR検査を受ける対象者数を急に増やしたり、あるいは夜の繁華街のような特定の地域で急に集団検査をすると、“K値”による今後の感染者数の正確な察知予測は出来ないのではないかということです。

どんな素晴らしい目的を持った計算式でも、そこで使用されるデータの精度が悪ければ、有効性は期待出来ないのです。

ということで、まだまだ新型コロナウイルスへの取り組みは試行錯誤が続きそうです。

 

次にあらためて思ったのは、十分な集団感染を経て集団免疫を持たないかぎり、新型コロナウイルスが終息することはないということです。

また、十分な集団免疫を獲得するには、ワクチンあるいは自然感染で人口の70%程度が感染して抗体をもつ必要があるということです。

また、ワクチンは既にいくつかのものが臨床試験へと進んでいますが、実用化には最低でも一年以上かかると見込まれているということです。

更に、6月16日に報じられていたネットニュースは以下のように報じています。(詳細はこちらを参照)

 

新型コロナウイルスへの感染歴を調べる抗体検査について、厚生労働省は16日、陽性率が東京010%、大阪017%、宮城003%だったと発表した。専門家は、国内では多くの人が抗体をもっていないとみて、「第2波」に向けた対策の必要性を指摘している。

 

こうしたことから、集団免疫の獲得にも数年かかると考えられるために、新型コロナウイルスの終息にはかなりの時間がかかることを前提に物事を考えることが妥当と考えるべきなのです。

ですから、まさに“新しい生活様式”をベースに、個人の暮らしも企業による消費者に提供する商品やサービスも考えなければならないのです。

ということは、“幸いを転じて福と為す”のことわざにもあるように“新しい生活様式”をベースにこれまでにないようなアイデアのビジネスモデルを展開するベンチャー企業にとっては千載一遇のチャンスでもあるわけです。

 

次は、安倍総理は新型コロナウイルスへの取り組みでは対策の実施が遅いとか、アベノマスクに象徴されるように適切な対策が取られていないということで、内閣支持率も大幅にダウンしていますが、別な素晴らしい面もお持ちだということです。

日本はグローバルヘルス分野には積極的に関わってきて、2016年の伊勢志摩サミットにおいては安倍総理自らパンデミック対策を打ち出し、今回の新型コロナウイルス対策においても実際に活用されている国際的枠組みへの貢献をしてきたというのです。

 

マスコミは、往々にしてその時々で発生した良いこと、悪いことについて報道していますが、なぜそうしたことが起きたのか、そしてどのような影響があるのか、あるいは今後の展開はどのように予想されるのかなどといった、全体像を必ずしも報道しているとは限りません。

往々にして、それぞれのマスコミは個々の視点から実態を断片的に取り上げる傾向があります。

ですから、こうした報道の受け手である私たちは、こうした断片的な情報について、複数の情報源からより全体像の把握に近づけるような努力が求められるのです。

また、こうした努力を少なくするうえで、無視出来ないのは客観的な目を持ったジャーナリストの存在です。

ですから、ジャーナリストの存在は、私たちの情報源としてとても重要だと思うのです。

 

最後は、現在のようなグローバル化した世界では、ウイルスを含めてあらゆる面で否応なく各国間で大なり小なり影響を与えあっているということです。

ですから、パンデミック対応には国際的協調が欠かせないのです。

そして、特に影響力のある米中2大大国の意向はとても重要です。

ですから、トランプ大統領、習近平国家主席のお二人には、こうした役割を肝に銘じて責任を果たしていただきたいと思います。

経済や軍事などの面においても同様です。

また、『ネイチャー』誌が指摘しているように、世界のリーダーと科学アドバイザーが今やるべき3つのことは全くその通りだと思います。

ですから、WHOには一部の国の意向に偏らないような客観性を維持していただきたいと思います。


 
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2020年06月22日
アイデアよもやま話 No.4675 日本版CDCの必要性!

2月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本版CDCの必要性について取り上げていたのでご紹介します。 

 

日本医師会の横倉 義武会長が日本版のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)、アメリカ疾病対策予防センターが必要だと提唱されておられるということについて、番組コメンテーターで日本総研 チェアマンエメリタスの高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「このセンターには専門家がいて、文献だとか過去のデータだとか経験をちゃんと集めて、緊急時には経験をもとにして非常に適切な指導力を発揮するんですよね。」

「で、これを聞いて思い出したのは、実は大災害の時にもアメリカはFEMA(フィーマ:Federal Emergency Management Agency)、連邦緊急事態管理庁があって、役割を果たすんですよ。」

「なので、日本も異常時とか緊急時にはそういうセンターみたいなものを作った方がいいんじゃないかと思うんですけども。」

「私も提案したこともあるんですけども、日本はそういう新しい省庁をつくることをものすごく嫌がるんですけどね。」

「だけどやっぱり指導的な役割を果たす組織をつくった方が私はいいんじゃないかということをあらためて提案したいと思うんですけどね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

高橋さんの指摘について、もう少し詳しい情報が知りたくなり、ネット検索してみた結果を以下にCDCに焦点を当ててまとめてみました。

4月15日(水)付けのネット記事(こちらを参照 「Voice」2020年5月号に掲載された内容)でCDCも含めて新型コロナウイルス関連について伝えていたので以下にその一部をまとめてみましたが、ざっとでも全文お読みになるのをお勧めします。

なお、この記事の執筆者はイギリス キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷 健司教授です。

・日本版CDCが機能するためには、三つの条件がある。まず、自己完結した軍隊的組織であること。次に、ガバナンス的に独立したプロ集団であり、科学が政治に左右されることなく提言ができること。そして、インテリジェンスとロジスティックスにおいて圧倒的なリソースをもつこと、である。この三つを満たす組織は、日本には存在しない。

そのために、本物のCDCをめざすのは、政治的にも行政的にも極めてハードルが高い。軍事大国である米国や中国などを参考にするのではなく、韓国、台湾、イスラエルなどのように、インテリジェンス機能を重視した組織なども検討に値するのではないだろうか。筆者が一番恐れることは、厚労省の付属機関になり、役人の天下り組織になってしまうことである。組織で肝心なことはハコではなく、人である。

・また、政治と科学の分離も必要であろう。米国CDCは保健福祉省に属しているが、科学的提案のための意思決定は独立している。日本の場合、新型コロナウイルスの専門家会議は官邸につくられており、その機能は不明瞭だ。どのように科学的検討と政治を切り離すかはわが国の健康危機対応においては大きな課題である。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも日本版CDCは必要かと問われれば、必要だと思います。

ただし、私の考えるCDCの役割は以下の通りです。

・今回の新型コロナウイルスを含めた過去のウイルス感染の原因、感染経過、各国の対応策/被害状況のまとめ

・ICT(情報通信技術)の最大限の活用

  感染状況の数値化に必要な基準の統一

  感染状況の予測システムの確立

感染状況とそれに対する対応レベルとの紐づけ

  上記に照らしての感染状況の把握、およびタイムリーな公開

  国民や企業へのタイムリーな給付金や必需品の配布システムの確立

テレワークやオンライン授業などのインフラ整備

・感染拡大による人的被害と経済的な損失とのバランスを考慮した対応プロセスの最適化の検討

・最適なウイルス対策組織の検討

  政府、地方自治体、およびCDCの役割の明確化

  ウイルス関連の第一線研究者、および経済政策の専門家の参画

・新型コロナウイルス終息後の再発防止策の検討

・ウイルス対応のワクチン、および治療薬の開発状況の把握、および開発完了後の利用可否の検討、および国への報告/提言

・継続的なウイルス感染の世界的な状況の把握、および国へのタイムリーな報告/提言

 

特にICTの活用については、他の国々に比べて驚くほど遅れているように思います。

そのため、アベノマスクや給付金などの配布に人力投入と時間がかかっているのです。

こうした面での政府の新型コロナウイルスへの取り組みは、冗談ではなく40年ほど前の業務プロセスを思い起こさせます。

ICTの活用に対する安倍政権の不十分な取り組みこそマスコミやジャーナリストによりもっと追及して欲しかったと思います。

 

なお、こうした役割が曖昧のままCDCのような組織を新設してしまうと、記事の中でも指摘されているように、役人の天下り組織になってしまうリスクが出てきて、税金の無駄遣いになってしまいます。


 
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2020年06月21日
No.4674 ちょっと一休み その726 『新型コロナウイルスをペンキに例えたテレビ番組のご紹介』

新型コロナウイルスの感染予防策として、今や「3密」(密閉・密集・密接)という言葉が代名詞のような存在になっています。

そうした中、たまたま録画していた6月1日(月)放送の「未来スイッチ」(NHK総合テレビ)で「新型コロナ ”ウイルスはペンキと考えて”」をテーマに取り上げていました。

そこで、ネット検索したらこの番組の内容がNHK関連のサイト(こちらを参照)にそのまま掲載されていたので是非ご覧下さい。

 

今回は、そのごく一部をご紹介します。

 

長期化が予想される新型コロナウイルスの影響、見えないウイルスとどう向き合えばいいのか、内科医、眞鍋 葉子さんが提案した考え方が話題となっています。

なお、この記事は、ウイルスをペンキに例えることで、冷静な対応を呼びかけようと考えた眞鍋さんがフェイスブックに投稿した原稿が始まりといいます。

新型コロナウイルスをペンキに例えることで、子どもにも分かり易いような内容になっています。

 

まず、この番組のポイントを以下にまとめてみました。

家から一歩外へ出たら、そこは全て「ペンキぬりたての世界」だと思ってください。

・大事なことは、自分の手という危険物から、自分の肺への入り口である「鼻と口を守る」ことです。 目標は、鼻や口にペンキをつけないこと。

また、目から感染したと考えられるケースも報告されています。ペンキのついた手でうっかり目を触らないようにしましょう。

・最も危険な場所は、換気の悪い密室。そこは、ペンキのミスト噴霧器が設置された部屋だと思って下さい。鼻や口を触らなければいいというレベルではありません。換気の悪い密室は、今、「最も危険な場所」と言っても過言ではありません。

・さらに気をつけなければならないのが、マスクを外している、食事の時です。 自分の手にペンキがついていないかどうか確認しましょう。

・食べる前に、手を洗いましたか?せっかく手を洗っても、マスクを外す時に、マスクの外側を触ると、また手にペンキがつきます。 外す時は、ペンキのつきにくい、耳の後ろのゴムを持って外しましょう。

・ 家の中にペンキを持ち込まないために、次のことを心がけましょう。 カバンと上着は、玄関に置いておきます。風呂場に直行して、髪の毛や顔、手に付いたペンキを落としてしまいましょう。

・さらに、気を付けなければならないのが「スマホ」です。スマホも、アルコールなどで消毒するか、ファスナー付きの透明な袋に入れて使えば、安全です。

 

なお、テレビ番組では最後を次のように締めています。

 

最後にもう一度、一歩外に出れば、そこはペンキ塗りたての世界、新型コロナウイルスと隣り合わせの生活はこれからも続きそうです。

見えないウイルスをイメージして行動する、感染を防ぐために私たちが出来ることです。

 

さて、番組冒頭の「家から一歩外へ出たら、そこは全て「ペンキぬりたての世界」だと思ってください」という言い回しはある意味、とても衝撃的ですし、新型コロナウイルス感染の恐ろしさを表現していると思います。

また、この番組では「3密」という概念的な言葉を具体的にとても分かり易く説明していると思います。

そして、外の世界は全て「ペンキぬりたての世界」だと思うと、新型コロナウイルス感染の予防策としていかに不要不急の外出自粛が重要であるかを実感出来ます。

しかし一方で、私たちは今や心身ともにとても窮屈な世界に暮らしているという気がします。

それでも今のところ、新型コロナウイルスとうまく付き合っていくしか方法はないのです。

 

緊急事態宣言が解除されたとは言え、「3密」の回避を目的とした国や自治体からのガイドラインに則った暮らしは新型コロナウイルス以前の暮らしと比べてとても窮屈で、どうしてもストレスが残ってしまいがちです。

そこで「足るを知る」という言葉があるように、今与えられている生活に満足することもとても大切だと思います。

先日、あるテレビのニュース番組で、新型コロナウイルスに感染したある女性がその症状について、「肺のあちこちに針を刺されているような強烈な痛みで夜眠ることも出来ない」というようなことをおっしゃっていたのが忘れられません。

ですから、私は新型コロナウイルスに感染して、我慢出来ないような痛みに悩まされることに比べれば、ガイドラインを守って新型コロナウイルスに感染しないような暮らしはとてもましだと思うようにしています。


 
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2020年06月20日
プロジェクト管理と日常生活 No.646 『北朝鮮のサイバー強盗団による日本での外貨荒稼ぎ!』

2月5日(水)付けネットニュース(こちらを参照)で北朝鮮のサイバー強盗団による日本での外貨荒稼ぎについて取り上げていたのでご紹介します。

 

非核化を巡る交渉が停滞し、北朝鮮に対する米国主導の厳しい経済制裁が続く。だが対北強硬策をせせら笑うかのように、北朝鮮のサイバー部隊が各国の金融機関や仮想通貨交換会社のシステムを次々とハッキングし、外貨をせっせと盗み出している。こんな国家は世界中を見渡しても他にない。被害額は累計で最大2200億円と見積もられている。

 

 「強盗団まがいのサイバー部隊を創設したのはほかならぬ金正恩(キム・ジョンウン)委員長その人だ。日本で外貨を荒稼ぎしている」と暴露するのは、金興光(キム・フングァン)氏だ。(なお、サイバー部隊は1998年に当時の金正日(キム・ジョンイル)総書記が設立し、それを金正恩委員長が引き継ぎ、現在の組織に改編・拡大したという。)北朝鮮でサイバー部隊に入隊するエリート学生にコンピューター科学を教えていた元大学教員である。現在は韓国ソウルに逃れ、自分と同じように脱北した知識人で組織する非営利団体、NK知識人連帯の代表を務める。

 

 金興光氏は「裏切り者」として、北朝鮮が放つ刺客に狙われるリスクを背負って生きている。記者が訪問したソウルの事務所には、身辺警護を担う韓国警察の刑事1人が常駐していた。そんな物々しい雰囲気の中でインタビューは始まった。サイバー部隊が荒稼ぎした外貨で、核・ミサイル開発にまい進する独裁国家の内実が浮かび上がってきた。

 

なお、偵察総局の中には4つのサイバー部隊が存在します。人員が4500人と最も規模が大きいサイバー部隊が「121部隊」です。ハッキングによる情報の摂取と、システムの破壊工作を任務としています。1998年に当時の金正日(キム・ジョンイル)総書記が設立しました。これが北朝鮮におけるサイバー部隊の起源です。

 

 その後、121部隊から人員を500人ずつ引き抜く形で、最新のサイバー攻撃技術を研究・開発する「ラボ110」や、国力の向上につながる外国の科学技術情報や軍事情報を盗む「91号室」が作られました。そして金正日氏の息子の金正恩氏が創設したのが「180部隊」です。この部隊の任務は極めて特殊です。(外貨獲得が専門で、主要任務は金融機関や仮想通貨交換会社のシステムをハッキングして外貨を盗み出すこと)

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

なお、この記事のその他の内容について、以下にざっとまとめてみました。

・獲得した外貨の用途は、5種類(核爆弾、長距離ミサイル、潜水艦発射ミサイル(SLBM)、可搬型の超小型核爆弾、サイバー兵器)の強力な兵器の開発費に充てていること

・180部隊の隊員たちはIT分野の専門知識を生かして、外国企業からソフト開発を請け負っていること

・180部隊は日本でもソフト開発を受注しており、日本を主要市場に位置づけていること

・そのために180部隊は日本に立ち上げたソフト開発会社を受注窓口にしており、日本政府は経済制裁で北朝鮮に流れ込む資金を枯渇させようとしている中、その足元で納期厳守と低価格を武器に日本で次々と受注に成功し、180部隊が荒稼ぎしていること

・更に、180部隊の隊員たちは、日本から開発を受注したソフトに必ず細工を施していると見られていること

・具体的には、営業秘密を盗み出すプログラムを日本企業のシステムに組み込んでいるかもしれないし、有事に日本社会を混乱に陥れる目的で、発電所や工場などの産業機器に誤作動や火災を引き起こすプログラムを仕込んでいる可能性があること

 

このネット記事全体の内容を以下にまとめてみました。

・北朝鮮のサイバー部隊は各国の金融機関や仮想通貨交換会社のシステムを次々とハッキングし、外貨を盗み出していること

・その被害額は累計で最大2200億円と見積もられていること

・獲得した外貨の用途は、核爆弾、長距離ミサイル、潜水艦発射ミサイル(SLBM)、可搬型の超小型核爆弾、サイバー兵器の5種類の強力な兵器の開発費に充てていること

・180部隊の隊員たちはIT分野の専門知識を生かして、外国企業からのソフト開発も請け負っており、日本を主要市場に位置づけていること

・更に、180部隊の隊員たちは、有事の際に日本社会を混乱に陥れることを目的として、日本から開発を受注したソフトに細工を施していると見られていること

 

こうしてまとめてみると、北朝鮮は国を挙げてのサイバー犯罪国家と言えそうです。

また、外国企業からのソフト開発も請け負っており、こうして得た外貨の用途は強力な兵器の開発費に充てているというのです。

しかも、日本をソフト開発の主要市場に位置づけていることから、結果的に日本は北朝鮮の兵器開発に資金的に加担していることになります。

 

それだけでなく、日本から開発を受注したソフトに、有事の際には企業のみならず、社会インフラを混乱させるような細工が施されている可能性があるというのです。

 

ですから、日本は国家安全保障の観点から、こうした北朝鮮のサイバー部隊の動きに注意を払い、必要に応じてリスク対応策を検討する必要があります。

同時に、日本政府は世界各国に働きかけて、北朝鮮のサイバー部隊に限らず、サイバー犯罪組織による犯罪の有効なリスク対応策を検討する国際的組織を立ち上げるように提案すべきだと思います。


 
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2020年06月19日
アイデアよもやま話 No.4673 新型コロナウイルスの影響で検討される学校の9月入学、および企業の通年採用!

3月12日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスの影響で検討される企業の通年採用について取り上げていたのでご紹介します。 

 

今年は卒業式などの大切な行事が中止や延期になってしまっていますが、そうした中、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「今の時期は本当に人生の節目となる行事が立て込んでいる時期ですので、そこで大きな影響が出ているわけですけども、そこで今企業の通年採用を真剣に考えだす時期だと思うんです。」

「通年採用すれば、入社のタイミングが分散されますので、就職活動の時期も分散する。」

「で、そうなると出口の企業の状況が変わると、学校も変わる。」

「大学の秋入学が増えると、入試や卒入学のタイミングも分散されます。」

「で、大切な行事が分散されることは日本全体のリスクを低減することにつながると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

もう少し学校の9月入学関連について詳しく知りたくなりネット検索してみました。

ここでは以下の2つのニュースをご紹介します。

まず4月6日(月)付けネットニュース(こちらを参照)からです。

 

日本で入学シーズンといえば、一般的には4月です。

実は、桜の花が咲く4月の入学とは日本独自の習慣で、海外では4月に入学する国はほとんどないようです。

 

子どもたちの多くが寺子屋や私塾、藩校などといった学びの場に通うようになったのは、江戸時代にさかのぼるといわれています。

これらは特に入学の時期は定められておらず、いつでも入学することが出来ました。

 

明治時代の初めになると、西洋の教育が導入され、それに従って西洋と同じ9月入学が主流となりました。

しかしその後の1886年から暦上の1〜12月までの「一年」とは別に、4〜3月までを一区切りとする「年度」を政府が導入します。

これは正式には「会計年度」というもので、官公庁が予算を執行するための期間のこと。

 

当時の政府の税金収入源は農家の米だったため、秋に収穫した米を、農家が現金に換えて納税してから予算編成をしていくには、1月始まりでは間に合わなかったのです。

そのため、先進国の中心であったイギリスの会計年度の区切りに合わせて、日本でも4月1日〜翌年の3月31日を会計年度の期間に定めました。

 

この影響によって、小学校や師範学校の入学時期も4月となり、やがて大正時代には、高校や大学もすべて4月入学になったそうです。

 

しかし、世界の多くの国々では9月入学が主流となっているため、海外からの優秀な学生や研究者を日本の学校に迎え入れることが困難だといわれています。

今後、国際化を進め、教育や研究水準の向上を目指していく中で、もしかしたら日本の4月入学制度も変わっていくかもしれません。

 

以上、ネットニュースの内容の一部をご紹介してきました。

 

次は5月19日(火)付けネットニュース(こちらを参照)からです。

 

「9月入学」をめぐり、文部科学省は来年入学させる小学新1年生を9月時点で満6歳となっているすべての子どもたちとする場合と、そうでない場合の2つのパターンを例として、関係する各省庁の事務次官らが出席する会議に提示し、今後、具体的な課題を検討していくことになりました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の長期化で、学びの保障が課題となっていることから、政府は対応策の1つとして「9月入学」に移行した場合の社会的な影響などについて検討を行っています。

 

以上、ネットニュースの内容の一部をご紹介してきました。

 

以上、3つの情報源の内容を以下にまとめてみました。

・世界の多くの国々では9月入学が主流であること

・日本では、明治時代の初めになると西洋の教育が導入され、西洋と同じ9月入学が主流となったこと

・しかし、当時の政府の税金収入源は農家の米だったことや先進国の中心であったイギリスの会計年度の区切りに合わせて、日本でも4月1日〜翌年の3月31日を会計年度の期間に定め、この影響により大正時代には全て4月入学になったこと

・新型コロナウイルスの影響により、日本ではあらためて世界の多くの国々に合わせて9月入学への移行について検討が始まっていること

・同様に新型コロナウイルスの影響により、企業の通年採用も検討が進んでいること

・通年採用により、入社のタイミングが分散されるので、就職活動の時期も分散することが期待出来ること

 

ニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我さんは大学の春入学と秋入学の共存を許容しているように思えますが、国全体としてどちらかに統一した方がいいと思います。

そのうえで、新型コロナウイルスの影響を考慮した、あるべき学校の入学時期、および企業の採用時期について私の思うところを以下にまとめてみました。

世界の多くの国々に合わせて9月入学への移行を進めること(今は9月入学への移行に当たって、新型コロナウイルスの影響もあり、絶好のチャンスである)

・企業などは9月の定期新卒採用と別に通年採用を取り入れること

 

なお、世界の多くの国々に合わせた9月入学への移行には以下のようなメリットがあります。

・日本の学校を卒業後に海外留学をする際に留学先の学校との同期が取れること

・逆に、海外の学校を卒業後に日本留学をする際にも留学先の学校との同期が取れること

 

また、通年採用には以下のようなメリットがあります。

・急速なビジネス環境の変化やテクノロジーの進歩に応じて、企業はタイムリーに必要な人材を採用し易くなること

・一方、転職を考えている人にとってもタイムリーに転職し易くなること

 

ちなみに、既に新卒採用で通年採用をしている優良企業についてはこちらを参照下さい。


 
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2020年06月18日
アイデアよもやま話 No.4672 ”7割経済”に商機あり その2 星野リゾートの前向きな取り組み

5月28日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「”7割経済”に商機あり」をテーマに取り上げていました。

そこで2回にわたってご紹介します。

2回目は星野リゾートの前向きな取り組みについてです。

 

新型コロナウイルスの影響で移動の制約で市場が大幅に縮んだのが観光業です。

星野リゾートは4月と5月の売り上げは昨年に比べて8〜9割減っています。

真っ先に取り組んでいるのは「3密」(密閉・密集・密接)を回避する対策です。

通常であればお迎えから部屋への案内まで一人の従業員が担当しますが、「3密」を防ぐためにエレベーターには一緒に乗りません。

フロアごとに配置された従業員がリレー形式で案内し、4人がかりで部屋まで誘導します。

更に星野リゾートが力を入れているものがあります。

星野 佳路社長は次のようにおっしゃっています。

「まず近場の観光に比率が高まると思っていますし、そこに私たちはアピールしていくことが大事だと思っています。」

「これは私、「マイクロツーリズム」と呼んでいるんですけども、・・・」

 

「マイクロツーリズム」とは、自家用車などで30分から1時間程度で行ける近場の旅行を意味します。

外国人観光客(インバウンド)の客足が完全に戻るには1年半はかかると見ているためです。

星野社長は次のようにおっしゃっています。

「国内にある、日本人による日本国内観光市場、これがどの程度戻ってくるかが本当の勝負どころと思っています。」

 

実は、国内の旅行消費額のうち約80%は日本人による国内旅行が占めています。

ちなみに、昨年の旅行消費額は27.9兆円で、そのうち日本人による国内宿泊・日帰り旅行は21.9兆円(78.5%)、インバウンドは4.8兆円(17.2%)、その他が1.2兆円(4.3%)といいます。(出所:観光庁)

星のや東京でも1泊2食付きで、これまでより格安なプランを用意し、首都圏のお客に訴えます。(2名1室で5万5176円〜)

更に「マイクロツーリズム」を活性化させるため、新しいプロジェクトも進めていました。

5月28日、訪ねて来たのは投資会社、株式会社リサ・パートナーズの社員です。

星野リゾートの金谷 隆行さんは打合せの場で次のようにおっしゃっています。

「お客様から、旅館とかホテルの再生支援など、いろいろなかたちで出来ないかと相談を沢山いただいております。」

リサ・パートナーズの松本 兼助執行役員は次のようにおっしゃっています。

「スピードも求められていると考えておりますので、そういったところでもまず100億円・・・」

 

5月29日、星野リゾートが発表する「ホテル旅館ファンド(仮称)」について、最終段階の打合せです。

夏までに100億円規模の資金を集め、経営難の宿泊施設を支援するファンドを立ち上げます。

経営が厳しくなった地方のホテルや旅館を支援していく考えです。

星野リゾートの星野社長は次のようにおっしゃっています。

「少しでも多くの観光事業者に生き延びてもらって、少しでもコロナ期が終わった後に早く復活し、その地域の観光が経済に再び貢献出来るような体制にしていくためのファンドにしていきたいと考えています。」

 

こうした状況に、番組コメンテーターで立教大学ビジネススクールの田中 道和教授は次のようにおっしゃっています。

「(緊急事態宣言が解除されても全力で企業活動を進めるわけにはいかないということで、“7割経済”という言葉も出て来ている状況について、)“7割経済”だと厳しいですよね。」

「“7割経済”というのは、需要、供給、稼働率、売り上げが7割ということを示唆している言葉だと思うんですけど、これは恐らく2つの意味がありまして、1つは当面の間、どうしても短期的に迫られるということ、それから中長期的にもこれを機会に強靭な企業経営体質に切り替えていくという、そういう2つの意味があるのかなと思っております。」

「(強靭な企業経営体質に切り替えていくために必要なものは何かという問いに対して、)簡単にまとめさせていただいたんですけども、これは“7割経済”のための企業経営ということで、事業構造、収益構造、財務構造、これはやっぱり三位一体でまとめるところだと思うんですけども、事業構造というとこでは単一ではなく多重的、多層的な事業構造に変革していく。」

「収益構造というとこでは、損益分岐点のハードルを下げていく。」

「財務構造というとこでは、自己資本を拡充の財務構造への変革を求めていくということで、リストラというよりはトランスフォーメーションですよね。」

「ですから、具体的に言うと、スタートアップ企業のような企業DNAが非常にスピーディなものに刷新していくと、そういったトランスフォーメーションが大企業にも求められてくるんじゃないかと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して見られる星野リゾートの「3密」(密閉・密集・密接)回避への徹底した対策は他の観光業者や業界においてもとても参考になると思います。

また、私の知り合いの会社では、「3密」対策として、仕事上の移動に際し、公共機関の使用は一切使用禁止としているといいます。

このような状況ですから、他にも同様の対応策を講じている企業は沢山あると思います。

また、先日、神奈川県の黒岩知事も「政府や自治体からのガイドラインにきちんと従っていれば、緊急事態宣言の解除後には、業界に関係なく営業を再開出来る」というようなことをおっしゃっていることが報じられていました。

 

また、インバウンドの客足が完全に戻るには1年半はかかると見られる中、インバウンド依存の割合の多い観光業に携わっている業者は、当面インバウンドに期待しないビジネスモデルを模索する必要に迫られます。

 

そうした中、星野リゾートが目指す、「3密」回避策を徹底したうえでの近場の観光を目指す「マイクロツーリズム」、および経営難の宿泊施設を支援する再生支援ファンドは宿泊業界全体の新型コロナウイルス対策として、とても理に適っていると思います。

 

いずれにして、新型コロナウイルスの影響が続いている今はまだ「3密」回避、あるいは不要不急の外出自粛が求められています。

そうした中、多くの国民には外出出来ない、あるいは満足な買い物が出来ない、旅行が出来ないなどといったストレスが溜まっていると思います。

一方、多くの業界は売り上げ激減で大変な状況に陥っています。

ですから今、あらゆる業界に「3密」回避の徹底対応、およびその上でこれまでにない新たな楽しみ方を消費者に提供することが求められているのです。

こうした有効な対策の実現こそがあらゆる企業の“生き残り戦略”と言えるのではないでしょうか。

更に、こうした“生き残り戦略”による強靭な体質強化は新型コロナウイルスの終息後にも競争力のある企業として力を発揮出来ると期待出来るのです。


 
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2020年06月17日
アイデアよもやま話 No.4671 ”7割経済”に商機あり その1 “従業員シェア”

5月28日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「”7割経済”に商機あり」をテーマに取り上げていました。

そこで2回にわたってご紹介します。

1回目は“従業員シェア”についてです。 

 

新型コロナウイルスの感染で第2波への警戒が続いていますが、経済活動は少しずつ再開しています。

ただ様々な制約の中での経済活動となります。

消費や人出なども平時の7割程度に留まりそうだということで、こうした状況は“7割経済”とも言われています。

こうした中、企業はどう向き合おうとしているのでしょうか。

 

5月28日、夕方開かれた日産自動車の決算説明会で、内田 誠社長は「(中期経営計画で)世界の生産能力をこれまでの8割にあたる年間540万台体制にする」と明らかにしました。

同日、政府が発表した5月の月例経済報告でも、国内の景気は「急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」としています。

また、西村経済再生担当大臣は次のようにおっしゃっています。

「まさに過去に例を見ない厳しい状況が続いてきているんだろうと思います。」

「全体として我が国を取り巻く環境が非常に厳しい状況にあると。」

 

5月28日から首都圏でも専門店を含む全館で営業を再開したイオンモール幕張新都心(千葉・美浜市)では、オープンと同時に買い物に訪れる人の姿がありましたが、再開はしたものの様々な制約があります。

専門店街の営業時間を通常は午前10時から午後9時までのところ、午後7時までに短縮しました。

更に密室になるエレベーターでは、通常24人乗りですが、足元の床が区切られていて4人乗りになるようにしています。

フードコートでは、座席数を通常の半分に減らし、椅子は対面にならないようにL字型に配置しています。

イオンモール幕張新都心のゼネラルマネージャー、小林 純一さんは次のようにおっしゃっています。

「飽くまで感染防止対策を講じたうえでの“新しい生活様式”の防止対策に則った営業体制を恒常的に講じていくことがこれからは大事であろうというふうに思っています。」

 

制約がある中での経済再開は食卓にも影響を与えていました。

葉物野菜の代表格、キャベツです。

都内に展開しているスーパーチェーン、アキダイの秋葉 弘道社長は次のようにおっしゃっています。

「天候によりキャベツの価格は非常に左右されるというのはあるんですけども、今年は天候プラスコロナということもあって、私たちもあまりにも想像出来ないような価格帯になったりしましたね。」

「一番高かった時は、3月の中旬ぐらいですね。」

「都知事の方で週末の外出規制があって、仕入れ額で1個500円ぐらいまで上がったと。」

「(赤字での販売だが、)お店の価格でいうと350円、そこからある程度の高値が続いて、ここ最近では238円ぐらいになって、180円になったり、高値の中でちょっと乱高下している状態で・・・」

 

取材した5月28日のキャベツの値段は180円、昨年の2〜3倍の値段だといいます。

在宅勤務をする人や子どもの休校が増えて、家で食事をする機会が多くなったことも価格の急騰につながったといいますが、更なる問題も生じています。

群馬県の最も西側に位置する嬬恋村、国内屈指のキャベツの産地です。

キャベツ農家を訪ねると、価格が乱高下している理由が見えてきました。

松本農園の松本 裕也さんは次のようにおっしゃっています。

「(外国人技能)実習生が普段なら4月の頭(始め)に入って来る予定なんですけど、今年コロナの騒ぎで全く入って来ないという話になりまして、・・・」

「出荷量が多分すごい少ないと思うんですよ、全国的に見て。」

「で嬬恋のキャベツが出始めると、多分値段も落ち着いてくると思うんですけど。」

 

嬬恋村ではこの春受け入れ予定だった外国人技能実習生およそ320人のうち入国出来たのは100人ほど、深刻な労働力不足になっているといいます。

今、こうした人手不足が全国の農家に広がっていて、結果的にキャベツなどの価格を乱高下させる一因になっているようです。

 

そんなキャベツのピンチを救おうと、新たな試みが始まっていました。

5月から働き始めた望月 由香利さん(54歳)、村にあるリゾートホテルで働いていましたが、嬬恋村の観光施設も新型コロナウイルスの影響で観光客が激減、仕事がない状況が続いていたといいます。

そこで望月さんは地元農家の組合などが始めた“従業員シェア”に応募しました。

周辺のホテルや飲食店に勤める人に一時的に農家で働いてもらう仕組みです。

望月さんは次のようにおっしゃっています。

「毎日規則正しく(体を)動かしている方が、休業になったからって家に閉じこもっているよはいいですね。」

「この景色の中にいた方が。」

 

嬬恋村ではこの“従業員シェア”の仕組みで約50人が一時的に農家で働き始めていて、地域一丸で収穫の最盛期となる6月を迎えます。

観光業の回復が見通せない中で、この取り組みは農業と観光業の両方を救うと期待しています。

嬬恋キャベツ振興事業協同組合の橋詰 元良事務局長は次のようにおっしゃっています。

「今後、「農業」と「観光」の距離が少し近くなって、将来的に農業の嬬恋のいいかたちとして今後どんどん伸ばしていきたい。」

 

“従業員シェア”で縮んだ市場を乗り切ろうとする動きは別の業界でも見られます。

株式会社日の丸リムジン(東京・港区)には稼働していないタクシーがずらりと駐車しています。

富田 和宏社長は次のようにおっしゃっています。

「4月8日からクルマが動いていないという中で、ほこりが溜まってしまった状態になっております。」

 

日の丸リムジンは緊急事態宣言が出て以降、営業を休止、先週(放送時点)営業を再開しましたが、稼働率は1割以下で約190人いる従業員のほとんどが休業中です。

従業員には会社から休業手当が支払われますが、タクシードライバーの給与は走った距離に応じた歩合制のため、収入の減少は大きいといいます。

そこで取った対策について、富田社長は次のようにおっしゃっています。

「マイナスを補てん出来るようにということで、初めて会社の制度として「副業」を認めて・・・」

 

4月末から副業を承認、日の丸リムジンが頼ったのがチルド物流大手の株式会社ムロオ(埼玉・三郷市)です。

実は、物流会社は巣ごもり需要の影響で、スーパーなどへの食品の配送が増え、人手不足が深刻になっているのです。

ムロオの山下 一郎社長は次のようにおっしゃっています。

「仕事はあるけど、ドライバーが集まらないから仕事が出来ないということはコロナ前からもありました。」

「トラックドライバーというライセンスを持った方々が貴重な存在になってきているんです。」

 

今、ムロオの物流倉庫では日の丸リムジンの従業員11人がアルバイトとして働いています。

手際よくトラックに荷物を積み込む原田 義松さんもその一人で、次のようにおっしゃっています。

「(タクシーの乗客は減ったかという問いに対して、)急にですね、谷底に落ちるように。」

 

収入源を補うためにムロオで働くことを決めました。

原田さんは大型免許やフォークリフトの免許は取得済み、即戦力として働いています。

ムロオは他のタクシー会社にも声をかけていて、今後こうした取り組みを広げていく考えです。

山下社長は次のようにおっしゃっています。

「これをきっかけにドライバーという貴重な人材をうまくシェアしましょうと。」

「運転の仕事も物流の仕事も継続してやっていただけるような仕組みが出来るかなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、“7割経済”という言葉ですが、実際にテレビのニュース番組に接したり、知り合いのお店の方の話を伺っていると、今のところ最悪“1割経済”くらいのところもあるというのが実態なのではないかと感じます。

 

あらためて考えてみれば、日本は少子高齢化の先進国で今後とも経済発展を進めるうえで人手不足は大きな制約の一つです。

現実に、今は新型コロナウイルスの影響で物流や医療の業界を中心に人手不足が深刻で従業員は休む暇もないくらいといいます。

また、新型コロナウイルスの影響で期待していた外国人技能実習生の多くが入国出来ずに人手不足に陥っている農家もあります。

一方、急激に需要が落ち込んでやむなく従業員を休業させているタクシー業界や観光業界のようなところもあります。

要するに、今は極端に人手不足の業界と反対に休業にまで追い込まれている業界の2極化状態なのです。

そしてその両方ともそれぞれ異なる悩みを抱えているのです。

特に休業にまで追い込まれている企業はこのままの状態がいつまで続くのかとても不安だと思います。

既に廃業するかどうかを検討している企業もあるといいます。

 

そうした中、“従業員シェア”は2極化している両方の業界にとってとても理に適った取り組みだと思います。

そして、この取り組みが確立され、拡大していけば、新型コロナウイルスの収束後の人手不足対策としても機能すると期待出来ます。

勿論、こうした取り組みの前提として、各企業が従業員の副業を認めることが時限立法のようなかたちで必要となります。

 

さて、“従業員シェア”とは別なアイデアが思い浮かびました。

在宅勤務などで多少時間に余裕のある従業員の方々は多いと思います。

そうした方々がユーチューブやフェイスブックなどのSNSを活用して、趣味の延長として、あるいは今の仕事のスキルを生かした副業、あるいは創業のアイデアをかたちにするという方法です。

勿論、こうした副業を進めるにあたっては、会社の承認が必要になりますが、会社にとってもメリットが多少なりともあるのであれば、新規事業開発にもつながる可能性を秘めているので前向きに検討すべきだと思います。


 
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2020年06月16日
アイデアよもやま話 No.4670 新型コロナウイルスに伴う今後の日本の対応策とは・・・

新型コロナウイルスによる様々な影響はまだ収まらない状況ですが、前回は新型コロナウイルスの日本経済への影響についてご紹介しました。

そうした中、2月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で今後の日本経済の3つのシナリオについて取り上げていたのでご紹介します。

 

番組コメンテーターで日本総研 チェアマンエメリタスの高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「まず1〜3月はほぼ間違いなくマイナス成長だと思います。」

「問題はその後回復するかどうかです。」

「結局、新型コロナウイルス肺炎がいつ収束するかによって、回復するか、それとも悪いまま、どっちかだと思うんですが、私は実は第3のシナリオがあるかなと思っています。」

「それは収束したとしても景気が良くならないというシナリオです。」

「そうなる理由は3つぐらい考えられます。」

「1つは、個人消費が悪くなって、それが戻ってこないと。」

「例えば、今、個人消費が蒸発しちゃっていますけど、良くなったとしても、皆さん2倍買うわけじゃないですよね。」

「だから、個人消費が戻ってこないケースが一つ。」

「それから2つ目が、今企業は新年度で設備投資計画を立てているんですけども、不透明感が強いので、設備投資計画を後ろ倒ししちゃうと。」

「それから3つ目が、中国です。」

「中国がもし収束したとしても、ヒトとモノの動きが戻っても、今、中国の企業は過剰債務なので、これからバタバタと倒産するかもしれないです。」

「そうすると、中国経済が2番底になって、日本の輸出がまた落ちるということなので、こういうシナリオもあるかもしれない。」

「で、どうしたらいいかということですが、私の同僚によると、春闘で賃上げをちゃんとやることだと。」

「だから個人消費のマインドを落とさないためには、賃金が上がること、そうすれば輸出が悪くても内需が持ちますから、そうすると景気後退にならないで済むということなんじゃないかと思いますね。」

「(この環境で賃上げするのは企業にとっても勇気が必要かもしれないが、)それが経済のためになるということですよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

高橋さんの同僚による春闘の賃上げの勧めですが、新型コロナウイルスの影響で、今後の推移もどうなるか分からないような状況なので、結果にはあまり期待出来ないと思います。

 

次に4月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスに対する取るべき対応策について取り上げていたのでご紹介します。

 

番組コメンテーターで経営共創基盤CEOの冨山 和彦さんは次のようにおっしゃっています。

「(新型コロナウイルスにおける緊急事態宣言が全国に拡大されて、経済の影響も増々大きくなっている状況について、)これ経済か感染抑制かって思われがちなんですが、実はこれそんなことはなくて、むしろ早く感染拡大が終わらないと経済的なダメージが長引いて、返って経済が悪化するんですよね。」

「そういう意味で言っちゃうと、ここはもう腹をくくって徹底的にいろんな活動を抑制して、全国的にちゃんとやって早めにV字回復した方がいいです。」

「で、これ企業の再建でも同じで、こういうピンチとか危機の時に一番まずいのはダラダラといっちゃうことが良くないんですよね。」

「そういう意味でいうと、休業なども含めて、思いっきり谷は深く短くつくって、そこからガッとV字回復していくって、これはもう企業再建の原理原則なんで、これは政府も経営もここは腹をくくって、とにかく“谷は深く、短く、狭くつくる”、そういう感じで対応していくというのは正しいと思うんで、今回の(緊急事態宣言を)全国に広げたというのは、私は正しいと思っています。」

 

「(実際に谷を深く、短くして回復した例はあるのかという問いに対して、)20年前の金融危機の時のりそな銀行がそうですね。」

「確か、2兆円をいっぺんに引き当てて再生しました。」

「10年前の日立なんかも8千億円近い、多分これは事業会社で最大の赤字だったんですけど、これいっぺんにやってガッと回復したので、とにかく“谷は深く、短く、狭く”です。」

「(まずは覚悟を持つことが必要ということかという問いに対して、)はい、腹をくくってやりましょう。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

冨山さんのご指摘は、まさにその通りだと思います。

しかし、国内のバブル崩壊後、あるいはリーマンショック後と新型コロナウイルス問題への対応には異なるところがあります。

それは、前者の問題は大枠では元の状態に回復すれば良かったのですが、後者の問題解決は単に元の状態に回復するというよりも「3密」(密閉・密集・密接)に象徴される“新しい生活様式”に対応したかたちにしなければ根本的な解決にはならないところです。

ですから、資金の大量投入も必要ですが、それだけではなく“新しい生活様式”に対応したビジネスモデルを創造するアイデア力が求められるのです。

 

最後に4月17日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスによる『大封鎖』の経済的影響について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国が1−3月期の実質GDP成長率(前年比)がマイナス6.8%と、四半期ベースで統計の公表を開始した1992年以来初のマイナス成長となりました。

ただ、3月の小売売上高や工業生産のマイナス幅は縮小しているため、長期的には成長は続くと中国国家統計局は主張しています。

 

一方、アメリカでは、経済再開の条件として、新規感染者数が14日間減少していることや医療態勢の確保などを条件に、再開レベルを以下のように3段階に分けました。

こうした中、新型コロナウイルスによる世界経済への影響について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「世界経済は今、グレイトロックダウン、大封鎖という局面にあると思うんですね。」

「(下のデータを示しながら、)IMF(国際通貨基金)は、今年と来年の2年間で世界経済がそれまでの予想に比べて960兆円、これは日本とドイツを合わせた金額なんですが、そのぐらい落ち込んでしまう、収縮してしまうという予想を出しているんです。」

「今年がマイナス3%で、来年がプラス5.8%で、一見かなりのリカバー、回復に見えるんですけど、今年の落ち込みの反動に過ぎないと思うんですね。」

「しかも、予想の前提は今年の後半に新型コロナウイルスが収束することなんですけども、仮に封じ込めが失敗すると、今年、来年と2年間マイナス成長が続くという、とんでもないことになってしまうんです。」

「そうすると、失業率も相当上昇します。」

「そういう意味で、今は封じ込めに全力を尽くすべき時と言っていいんじゃないでしょうか。」

 

        2020年 2021年

今年後半に収束 −3.0% +5.8%

封じ込め失敗  −5.8% −1.5%

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルスの経済への今後の影響見通しですが、それを左右する要件について、私の思うところを以下にまとめてみました。

・ワクチン、あるいは治療薬の開発、および世界各国への展開

・一定の集団感染の拡大

・政府によるかつてのニューディール政策に類する政策

・政府による国民、および企業などへの資金的な支援

・企業による“新しい生活様式”に対応したビジネスモデルの確立

 

こうしてまとめてみると、一定の集団感染の拡大まで待って収束を迎える対応策は期間もコストもかかる最悪の対応策と言えます。

他の要件については、全て同時並行的に進めるべきですが、中でも「企業による“新しい生活様式”に対応したビジネスモデルの確立」はとても重要だと思います。

その理由は、大きく以下の3つです。

・今後の新型ウイルス感染拡大、あるいはパンデミック(世界的な大流行)に際しても影響を最小限に食い止めることが可能

・テレワークなどの普及による生産性の向上

・ワークライフバランスの向上

 

ということで、企業は新型コロナウイルスにより“新しい生活様式”の時代に変わったという認識を持ち、積極的に新しい時代に対応した、あるいは更にその先を見越した戦略を練り、前向きに取り組むことが求められるのです。

 

同時に、まだまだ政府による国民や企業への資金的な支援対策が求められるのです。

こうした状況なのですから、政府は、かつてのアメリカでのニューディール政策のように政府主導の財政政策による大胆な需要創造が求められていると思います。

“幸いを転じて福と為す”という言葉がありますが、今は“これからの日本のあるべき姿”、あるいは今抱えている大きな課題に対応する絶好のチャンスだと思うのです。

具体的には以下のような取り組みが思い浮かびます。

・あらゆる分野におけるTX(デジタルトランスフォーメーション こちらを参照)の推進

・電柱の地中化など既存の老朽化した社会インフラの改築・改造への投資

・新型ウイルス対応のワクチンや治療薬の普遍的な短期開発メソッドの開発

 

なお、新型ウイルスは今後ともいつ発生するか分かりません。

そうした中、最も重要なことは根本的な対応策と言える、新型ウイルス対応のワクチンや治療薬の普遍的な短期開発メソッドの開発です。

とても難しいとは思いますが、AIや最新医療技術などを駆使することによりいずれ可能な時代を迎えることが出来ると期待しております。


 
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2020年06月15日
アイデアよもやま話 No.4669 新型コロナウイルスの日本経済への影響!

新型コロナウイルスによる様々な影響はまだ収まらない状況ですが、大きく感染拡大の阻止と経済への影響という2つのバランスをどう保つかというのは大きな問題となっています。

そうした中、2月25日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスによる日本経済への影響について取り上げていたのでご紹介します。

 

番組コメンテーターで日本総研 チェアマンエメリタスの高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「(新型コロナウイルスの)感染がどのくらい長引くかによって変わってくると思うんですけども、ただ政府が今月の月例経済報告で影響を整理しているので、あらためて見てみたいと思うんですけどもね。」

 

そこで、日本経済への影響について以下のように示しています。

・インバウンドの落ち込み

・輸出の落ち込み

・サプライチェーンの滞り

・中国経済の減速が世界に波及、およびその日本への跳ね返り

・イベント、外出の自粛

 

そして、次のように補足されています。

「このうち、例えば輸出の落ち込み、サプライチェーンの滞り、それから世界経済への影響、この辺は製造業ですよね。」

「で、感染が長引くことによって、この辺の影響が強く出るかどうかっていうのが決まると思います。」

「一方で、インバウンドとイベント、外出の自粛は既に日本で起きているわけですね。」

「ここで、主として宿泊業が打撃を受けている。」

「で、日本は製造業は悪いけども、非製造業は今のところ頑張っていると言われて来たんですが、むしろ今回は非製造業が打たれていると。」

「で、政府が肺炎対策を強化すればするほど、イベント、外出の自粛への影響が強くなって来ると思うんです。」

「政府の経済対策としては、例えば財政とか金融政策の出動を普通考えるわけですけども、今回はヒトとモノが動かないので、多分効かないと思うんですね。」

「(とは言え、今、手元からお金が蒸発している企業は沢山あるという指摘に対して、)普通はこういう時には対処療法は効かないと言うんですが、今回はむしろ対処療法が必要で、例えば中小企業の資金ぐり対策なんかをきっちりやるっていうことが一番対策になるんじゃないかと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

既に番組放送から4ヵ月近く経過していますが、中国もアメリカも多くの専門家の予想を裏切るかたちで経済の回復基調に転じていました。

こうした状況を受けて、日本企業の株価も新型コロナウイルス問題以前の水準まで回復していました。

しかし、6月11日(木)付けネットニュース(こちらを参照)では、アメリカ・テキサス州など早期に経済活動の再開に踏み切った地域の一部では、感染者数が増加しつつあり、感染の「第2波」への懸念が強まっており、株価の大幅な下落が報じられています。

勿論、日本の株価への影響も避けられませんでした。

 

当然と言えば当然ですが、新型コロナウイルスの影響を収束させるには、感染者数がゼロになるまで、あるいはワクチンや治療薬の開発が済んで広く行き渡るまで気を抜くことは出来ないのです。

なぜならば、元々新型コロナウイルスも中国の湖北省武漢市の一人の感染者からパンデミック(世界的な大流行)に至っているからです。

 

さて、国内において、各企業も政府や自治体からの新型コロナウイルス対策ガイドをもとに「3密」(密閉・密集・密接)の回避対策を講じ始めています。

しかし、それでもやはり感染予防のために外出を控えたり、テレワークの増加などによりまだまだ消費額は新型コロナウイルス前の水準にはほど遠い状況です。

ですから、企業倒産の危機はまだまだ続いているのです。

しかも、第2波、第3波到来による更なる被害を想定しておかなければならないのです。

なぜならば、スペイン風邪(1918年に発生)では第3波まであり、第3波ではウイルスが突然変異したのか、毒性が高まり、死亡率が高まったという過去の事例もあるからです。(5月28日(木)放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日)より)

 

ということで、新型コロナウイルスの収束への流れを見越して株価は上昇してきましたが、乱高下が続き、日本経済への影響はまだまだ当分の間避けられそうもない状況が続くと思われます。

ですから、このような状況を前提として、企業はそれぞれの生き残り戦略を模索していくしかないのです。


 
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2020年06月14日
No.4668 ちょっと一休み その725 『(続々)WHOは病気にかかっている!?』

No.4638 ちょっと一休み その720 『WHOは病気にかかっている!?』、およびNo.4644 ちょっと一休み その721 『(続)WHOは病気にかかっている!?』WHO(世界保健機関)のガバナンスに関する問題についてお伝えしました。

今回はその第三弾です。

 

6月3日(水)付けネットニュース(こちらを参照)の内容の一部を以下にまとめました。

 

・新型コロナウイルスへの対応で、アメリカから中国寄りだと批判されるWHOについて、AP通信は6月2日、独自に入手したWHOの会議の録音など、内部資料や関係者への取材をもとに、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた、今年1月のWHO内の対応を報じた

・それによると、WHOで1月の第2週に開かれた複数の会議では、ウイルスがヒトとヒトとの間で感染する可能性などについて、中国政府の情報提供が不十分だと出席者から不満の声があがっていたという

・また、アメリカ人でWHOの技術責任者のバンケルコフ氏は「適切な対策を立てるには明らかに情報が不十分だ」と指摘していたほか、WHOの中国事務所の代表も「国営テレビで放送される15分前にしか情報が提供されない」と不満を漏らしていたという

・その一方でAP通信は、録音された会議の内容から、WHOは中国政府からより多くの情報を得るため、公の場では中国の対応を評価するような態度をとり、対応に苦慮していたことが伺える

・AP通信は「WHOと中国がより早く行動していれば、多くの命が救えたことは明らかだ」とする、専門家のコメントを紹介する一方、WHOが中国により厳しい姿勢をとっていたら、状況がさらに悪化していた可能性もあるという見方を伝えている

・AP通信が、新型コロナウイルスの感染拡大初期に行われたWHOの会議で、出席者から中国政府の情報提供が不十分だと不満の声が上がっていたなどと伝えたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、6月3日の記者会見で「報道は事実と合わないと、はっきり言える」と反論した

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

『WHOは病気にかかっている!?』をテーマとしたこれまでの3つのブログを通して以下のようなことが言えます。

・WHOは、新型コロナウイルスの感染源と見られている中国政府からより多くの情報を得るため、公の場では中国の対応を評価するような態度をとっている

・一方で、WHOはタイムリーな情報提供が不十分な中国政府に対して不満感を抱いている

・中国と台湾との関係といった政治的な思惑から、WHOは中国に配慮し、新型コロナウイルス対策で先行して優れた取り組みをしている台湾からの情報を軽視した

 

こうしてまとめてみると、『WHOは病気にかかっている!?』という言葉の真意が見えてきます。

その時々のWHOの事務局長の置かれた立場によって幅はありますが、基本的にWHOは少しでも早く新型ウイルスの感染拡大を収束させるために感染源と見られる国に対して気を使っているのが、感染源国への対応が甘すぎると他国から見られる傾向があるのです。

しかし、今回の新型コロナウイルス対応におけるテドロス事務局長の中国への取り組みは中国に偏り過ぎたように思えます。

 

本来、今回の新型コロナウイルスのようなウイルス感染がパンデミック(世界的な大流行)にまで至らず、早期に収束させることが人類共通のゴールなのです。

ところが残念ながら、このゴール達成を阻害する以下のような要因があるのです。

・感染源と見られる国は感染状況やそれに対してどう対応したかなど、自国の対応の不備をWHOや他国から指摘されないように、実情を隠したがる傾向がある

・WHOを中心に世界各国が様々な観点で協力して対処すべきなのに、こうした感染国の対応や中国と台湾の関係に象徴されるように政治的な思惑から重要な情報がタイムリーに共有されない

・米中の覇権争いに象徴されるように、ウイルス感染が大国の覇権争いの具になっており、収束に向けた世界各国のスムーズな取り組みを阻害している

 

では、今後とも新型ウイルスの発生に際し、WHOを中心に世界各国はどのような取り組みをすべきなのでしょうか。

以下に私の思うところをまとめてみました。

・「罪を憎んで人を憎まず」と言われるように、新型ウイルスの感染源国に対して過剰な非難をしないようにWHOは世界各国に要請する

・そのうえで、WHOは感染源国に対して、正確でタイムリーな感染状況のデータの提供を要請する

・WHOを中心に、世界各国は新型ウイルス対策としてワクチン、および治療薬の早期開発にあたり、情報共有などあらゆる面で協力して取り組む

・新型ウイルスへの対応をめぐり、米中2大大国の覇権争いの様相を呈した際に、その他の国々は自由主義陣営、共産主義陣営に関係なく、どちらの言い分が正当であるかによって加勢する

 

さて、いずれにしても私たち一人ひとりは宇宙船地球号の乗客なのです。

これまでNo.2760 ちょっと一休み その436 『宇宙船地球号 その17 目指すべきは心地よく暮らせる持続可能な社会!』などで主にエネルギー問題や地球環境問題に中心に宇宙船地球号という言葉を使って伝えしてきました。

しかし、今人類共通の問題となっている新型コロナウイルスのパンデミックも人類が一丸となって取り組むことが求められているのです。


 
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2020年06月13日
プロジェクト管理と日常生活 No.645 『スマホの”タップ音”で情報漏えい?』

今やパソコンやスマホの使用に際し、情報漏えいが大きなリスクになっています。

そうした中、2月5日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)でスマホの”タップ音”による情報漏えいについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今や生活に欠かせないスマホですが、便利になる一方で近年スマホで撮影した写真の映像から個人情報を特定されたり、盗まれてしまう事件が起きています。

昨年9月、アイドル活動をしている女性が東京・江戸川区の自宅で男に襲われた事件、犯人はSNSに投稿された女性の顔写真の瞳に映る景色から住む場所を特定し、犯行に及んでいました。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.622 『瞳に映った景色で住所を特定!』

 

そして、個人情報が盗まれる可能性があるのは写真や動画だけではありません。

実際にこんな事件も起きています。

奈良市内に住む女性(80代)の自宅に百貨店の店員や警察官などを名乗る男女から次のような内容の電話がありました。

「あなたのカードが使われている。」

「交換するので古いカードを受け取りに行く。」

 

騙された女性は犯人にクレジットカードを渡してしまい、現金約100万円を引き落とされてしまったといいます。

この事件、犯人は女性に電話した際、次のような指示をしていたといいます。

「カードの暗証番号を入力して欲しい。」

 

女性は暗証番号を電話機のボタンで入力、奈良県警はこの時に機械などで暗証番号を読み取られた可能性が高いとみています。

情報セキュリティについて研究している静岡大学の西垣 正勝教授は次のようにおっしゃっています。

「音というのも我々が普段から外にひけらかしてしまう情報の一つですから、そこを攻撃者が利用してくることは考えられなくはありません。」

 

西垣教授らは(番組放送日の)先週、“ある音”に関する研究を学会で発表、今注目を浴びています。

それがスマホを叩く際の“タップ音”です。

この“タップ音”をAIが聞き分けることでどの数字を入力したかが分かってしまう危険性(リスク)があるといいます。

西垣教授は次のようにおっしゃっています。

「制約(条件)が沢山ありますけども、全ての制約が満たされると90%以上の精度でどこのキーを押したか、タップしたかが分かってしまう。」

「暗証番号が分かってしまうことは将来的に十分考えられるリスクではあると思います。」

 

実際に番組スタッフのスマホで検証してみました。

まずスタッフが「0」から「9」を繰り返し順番に100回タップし、AIに“音の違い”を学習させます。

ちなみに「1」を入力した音と「9」を入力した音は同じように聞こえます。

しかし、スタッフが適当に9桁の数字を入力し、その音をAIに解析させてみると、9個のうち7個の数字を識別、残りも2択まで絞ることが出来ました。

西垣教授によれば、スマホは内部の部品の位置によって反響する音にわずかな違いがあるといいます。

AIはその違いからタップした位置を識別しているのです。

現時点では周囲の音の環境など、AIが答えを導き出すのには様々な条件があります。

しかし、今後技術の進歩によって簡単に使えるようになると犯罪に利用されてしまう恐れがあるといいます。

西垣教授は次のようにおっしゃっています。

「写真や動画だけではなく、スマホやパソコンを操作している時の音、こちらにも気を付けないといけない世の中になってきているんだと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してまず驚いたのは、スマホは内部の部品の位置によって反響する音にわずかな違いがあり、AIはその違いからタップした位置を識別出来てしまうということです。

こうした技術は普段の暮らしでは必要を感じませんが、他人の個人情報を盗もうとする人にはとても有効なツールになり得るのです。

そして、ほとんどの人はまさかスマホのタップ音から入力内容が漏れてしまうとは想像出来ないと思います。

 

しかし、西垣教授は今後技術の進歩によってこの機能が簡単に使えるようになると指摘しています。

ですから、近い将来、今は本人認証の方法として、暗証番号をスマホなどの電話、あるいは銀行のATMなどで安心して入力していますが、暗証番号の入力も漏えいリスクが高まり、従って犯罪に使われるリスクも高まって来ると思われます。

 

こうして考えてくると、やはりアイデアよもやま話 No.4594 究極の個人データ”顔認証”でご紹介したような生体認証が安全性、あるいはパスワード管理不要などの利便性の観点から究極の個人認証の方法だと思うのです。


 
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2020年06月12日
アイデアよもやま話 No.4667 俳優や声優の生活がピンチ!

4月3日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で俳優や声優の生活がピンチに陥っていることについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの感染拡大で演劇などの公演の中止が相次ぐ中、生活のために貯金を取り崩したり、借金をしたりする必要があるという俳優や声優が8割近くに上っていることが、日本俳優連合が行った緊急アンケート調査で分かりました。

 

日本俳優連合は、俳優や声優の活動や生活の状況について緊急のアンケート調査を実施しました。

中止になった公演の出演料などを尋ねたところ、以下の結果でした。

・「いずれの作品も支払われなかった」   75.7%

・「一部、または全ての作品で支払われた」 24.3%

 

また、現在の生活の状況について尋ねたところ、以下の結果でした。

・「貯蓄を取り崩している」            52.3%

・「蓄えを取り崩しても足りず、借金の必要がある」 26.3%

 

日本俳優連合は、理事長を務める西田 敏行さんが、3月、政府に緊急の支援要請を行っていますが、引き続き支援を求めていくことにしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一方、4月29日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスの生活支援策について取り上げていたのでご紹介します。

 

番組コメンテーターでモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「(新型コロナウイルスの生活支援策として、給付金が)1人当たり10万円というのはいいアイデアだと思いますけど、緊急事態宣言が延長になるということであれば、この10万円で足りるかというのは問題ですね。」

「そこで提案があります。」

「一つは、1回だけの10万円から毎月同じ10万円を支払うということですね。」

「で、これはマイナンバーで配れば、確実に届くべきところに届くということです。」

「ただ、それだけじゃなくて、やっぱりいつまでもというわけじゃないので、同時に出口戦略を発表することですね。」

「じゃあ、収まるってどういうことかと、新規感染者数が減少して安定すること、もう一つは治療方法が確立されることですね。」

「(出口戦略として)この2つがあれば、月10万円払うのを止めましょうと、そういう制度を前もって作っておけばいいんじゃないかなと思っていますね。」

「(毎月10万円支給ということは、しばらくの間ベーシックインカム、最低限の所得補償制度にしていこうというような考え方なのかという問いに対して、)とりあえずこれ(新型コロナウイルス)が収まるまでということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で演劇などの公演の中止が相次ぐ中、生活のために貯金を取り崩したり、借金をしたりする必要があるという俳優や声優が8割近くに上っているといいますが、こうした状況は他の業種で非正規社員として働いていて雇い止めになっている人たちも同様だと思います。

また、緊急事態宣言が解除になっても、すぐに元のような売り上げに戻ってくる業種はそれほど多くないですから、雇い止めから元のよう働ける状態に戻れるには時間がかかります。

また、第2波、第3波もいつ到来するか分かりません。

 

そもそも緊急事態宣言の期間中かどうかに関係なく、「3密」密閉・密集・密接)の回避は要請されていますから、平常時に比べて国民が外出する機会は減っています。

更に、現在、レストランや居酒屋、あるいはレジャー施設など多くの商業施設では「3密」を回避するために座席を半分に減らしています。

ですから、「3密」の回避だけでは元のような売り上げに戻すには限度があるのです。

そこで出口戦略の大きな柱ともいえる、ワクチン、および治療薬の早急な開発が急がれます。

実際に、現在、世界的にいくつかのメーカーが開発に躍起になっています。

 

こうした状況から考えると、フェルドマンさんも指摘されているように、業種に関係なく、少なくとも新型コロナウイルスが落ち着くまで政府はベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!)のような制度を導入すべきだと思うのです。

ちなみにベーシックインカムについてはこれまで何度かお伝えしてきています。


 
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2020年06月11日
アイデアよもやま話 No.4666 テレワークの普及で考慮すべきは・・・

3月2日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でテレワークの普及で考慮すべき点について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの影響で、今急速にテレワークが広がっていますが、やはりこれまでとは勝手が違います。

そこでどういったところに考慮すべきかについて、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「私は、デジタルと非デジタルをうまく組み合わせて生産性をあげていくことだと思います。」

「テレワークで出来る仕事であっても、上司は部下の顔色を見て健康状態は大丈夫なのかといったことも見ていくので、是非うまく組み合わせて効率を上げていく。」

「そして、平常時に戻った時に、この非デジタルのメリットも見ていくことが必要だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務によるテレワークが余儀なくされていますが、それでも緊急事態宣言解除後には、通勤時間帯の電車内の混雑状況は新型コロナウイルスの影響前に戻りつつあるようです。

しかし、こうした電車内の満員状態や居酒屋などの混雑で「3密」密閉・密集・密接)の回避が徹底されなければ、いつ第2波、第3波と感染者数の増加が起きるか分からないのです。

そうした中、テレワークによる在宅勤務や徹底した「3密」を社会全体に広げていくことがまず求められるのです。

 

しかし、テレワークばかりでの業務形態では久我さんも指摘されているように、上司が部下の顔色を見て心身の健康状態をきちんと把握することは難しいです。

ですから、週に一度とか定期的に実際に顔を合わせて面談する機会が必要となります。

また同様に、課やグループ単位での実際に顔を合わせたかたちでのミーティングも必要だと思います。

こうした際に、ラッシュアワーを避けた時差出勤をすることで、それだけ感染リスクを避けることが出来ます。

 

そして、大事なことは、久我さんも指摘されているように新型コロナウイルスという大変な状況をうまく利用して、これまでの平常時と現在のテレワークそれぞれのメリットを把握し、新型コロナウイルス後もより生産性の高い業務形態を継続させていくことです。

一方、テレワークを通して、これまで賃貸していた事業所の縮小を検討している企業がテレビ番組で報じられていました。

こうした取り組みで、固定費を大きく削減出来ることに気付いたのです。

 

ということで、今、企業に求められているのは、“幸いを転じて福と為す”というような前向きな行動、意識改革だと思うのです。

こうした意識で新型コロナウイルスにうまく対応するかどうかで、新型コロナウイルス後の社会で競争力の差に大きな開きが生じることは間違いありません。


 
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2020年06月10日
アイデアよもやま話 No.4665 中高年会社員の厳しい現実!

3月4日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中高年会社員の厳しい現実について取り上げていたのでご紹介します。 

 

およそ20年前と比較しますと、40代、50代の中高年世代が時代の流れに翻弄されていることが分かってきました。

番組取材で仕事終わりに集まってくれたのは、40歳前後の中年サラリーマン、薬品メーカーや大手電機メーカーに勤める会社員4人です。

「終身雇用」や「希望退職」など、働き方にまつわるワードから気になるものを選んでもらいました。

まずは「年功序列」です。

電機メーカー勤務の男性(38歳)は次のようにおっしゃっています。

「年功序列で年齢の高い人の給料が良くて、仕事の内容が見合っていない。」

「若くてすごく働いている人が安い給料で。」

「で、将来的に上がれば納得するかもしれないですけど、若い方はそれが嫌で辞めてっちゃうとかあるんで。」

 

また通信業勤務の男性(42歳)は次のようにおっしゃっています。

「往々にして意欲がない人が多いというか。」

「で、その人の下にいるせいで意欲がなくなるっていうのが伝染するみたいなイメージが(あります)。」

「いない方がいいって言われますよね。」

「その人が職場にいない方が士気が上がるってあるますよね、いっそのこと。」

 

日本企業特有の「年功序列」、給料に見合った働きが見られないことに不満を感じているようです。

 

更に中年世代が感じている不満は「役職がない」です。

薬品メーカー勤務の男性(46歳)は次のようにおっしゃっています。

「限られた部署の中で、部長、課長、係長とかってあるんですけど、上がつまっているので役職が上がらないと給料も上がらない。」

「で、会社は苦肉の策で“副”とか“代理”とか。」

「で、結局給料も多少しか上がらない。」

 

また機械設計業勤務の男性(46歳)は次のようにおっしゃっています。

「役職はなくて良いと思うくらいなんですよね。」

「あっても名ばかりで、世の中には不必要なものだと思っているんです。」

 

役職に就けない一つの原因となっているのが“バブル世代”の存在です。

バブル世代が大量採用された一方、バブル崩壊後に企業が採用人数を絞ったことで企業の今の高齢化につながっているのです。

会社にいる40代以上の割合は2000年の39%から2018年には49%まで上昇しています。

電機メーカー勤務の男性(38歳)は次のようにおっしゃっています。

「ちょうど僕の年代は、次は課長になるかどうかっていう。」

「で、今はかなり上の世代が大きなピラミッドになってきちゃって、なかなか課長に上がれないっていう状況に。」

 

不満は「終身雇用」にもあります。

薬品メーカー勤務の男性(46歳)は次のようにおっしゃっています。

「若い子は多分これ(終身雇用)は信じてないと思う。」

 

また通信業勤務の男性(42歳)は次のようにおっしゃっています。

「バブル世代の人は終身雇用を信じているから、甘えて向上心がなくなって使えないバブル世代がいっぱい上に出てきちゃって。」

 

また機械設計業勤務の男性(46歳)は次のようにおっしゃっています。

「スポーツ選手と一緒で、年間通じて成績を見てダメな人は落とすっていうような。」

 

また通信業勤務の男性(42歳)は次のようにおっしゃっています。

「子どもが私立学校に行けなくなるかもしれない。」

「ローン返せなくなっちゃうから。」

「で、会社が考えてあげて、ボーナスだけちょっと低くなるだけなんですよ。」

「で、低くなってもローン返せれば良いやって、朝から新聞読んで帰っちゃう。」

 

そして、中高年の会社員が直面しているのが伸びない給料です。

月給を年齢別に示したグラフですが、高い方から10%を上位、全体の平均値を中位、低い方から10%を下位と表示しています。(厚生労働省賃金構造基本統計調査より(大卒男性の場合))

55歳で比較しますと、全体の平均値にあたる中位は、2000年の62万円から2018年では54万円へと大きく減少していて、40代以降の月給年齢が高くなるほど大きく減っているという結果が出ています。

その要因の一つが出世です。

会社員の昇進に関するデータですが、1990年には40代で54%が課長以上に昇進していましたが、2000年には42%に減少しています。

そして2018年には32%にまで落ち込んでいます。(厚生労働省賃金構造基本統計調査より(大卒))

 

役職に就けない中高年世代の増加が日本の労働市場に変化をもたらそうとしています。

東京・神田にあるITベンチャー企業、株式会社サン アスタリスクではITを活用した新たなサービスを行っていて、社員の平均年齢は33歳です。

番組取材の日、企画会議に参加していたのは、昨年大手機械メーカーから転職したAさん(45歳)です。

Aさん、以前の会社では上の世代に人が多く、課長などの役職に就くことは出来ませんでした。

しかし、こちらの会社ではその人脈や経験が買われ、ソフトウェア開発部の副本部長として50人近くの社員をまとめています。

Aさんは次のようにおっしゃっています。

「リスクとかではなくて、まずやってしまおうというスタイルで動いている人たちが多いので、そこはすごく面白くて刺激を受けています。」

 

収入は以前と比べてほぼ変わっていませんが、それでも転職を決意した理由について、次のようにおっしゃっています。

「皆さん、退職した後に「何して良いか分からない」、そうはなりたくないと思いますし、自分でやはり楽しいと思えること、自分がやりたいと思えることを常に取り組めるようにしておきたい。」

「そのためには、もっと自分を成長する機会に置いておかないと駄目だなと。」

 

Aさんのように41歳以上で転職を希望する人が増える中、企業側も即戦力を求めていて、41歳以上の転職紹介件数(大手3社)は、今年度初めて1万人を越える見通しです。

エン・ジャパン ミドルの転職の事業部長、天野 博文さんは次のようにおっしゃっています。

「今、短期間だと大手企業に留まっていた方が良いかもしれない。」

「ただ、今の方ってこれから何十年働くって考えないといけないので、そうすると今目先の収入だけではなく、将来的な収入だとか、これからの仕事のやりがいだとか、そういうことを考えて転職に踏み切るケースは多くなっていますし、これからも増えると思います。」

 

こうした状況について、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「バブル世代の下の40代半ばぐらいから下の世代はそもそも就職氷河期世代ですので、正社員の給与の問題以前に非正規の問題があると思うんですね。」

「35〜45歳男性の非正規雇用者の割合を見ると、(1999年から)グッと上がってきているんですね。(総務省「労働力白書」より)」

「10年前(2011年)は7.5%、20年前(1999年)は2.7%と、今の35〜44歳は(2019年は9.3%、)と3倍以上に膨らんでいるのです。」

で、正規か非正規によって、年収は年齢とともにどんどん差が開いて聞きますので。」

「で、男性の40代ともなると、正規雇用者の方の平均年収は非正規雇用者の方の2倍くらいになっていくんでうね。」

「で、そうなると結婚するのかとか、子どもを持つのかとか、家庭の持ち方にも影響が出てしまうという状況になっています。」

「そこで昨年、政府の骨太の方針では就職氷河期の救済に焦点が当てられたのですが、その背景にはこういった状況があるんです。」

「で、安倍政権で雇用の量は増えているわけですけども、今雇用の質の問題へと移っていると思います。」

「(質の問題はどうすれば解決出来るかという問いに対して、)まずは正規、非正規で同一労働同一賃金の部分をきっちりやっていくことが重要だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも働く人たちを取り巻く環境は、終身雇用や年功序列という日本型経営の慣習以外にも以下のようにその時々で様々です。

・人手不足、あるいは人手過剰

・経済成長期、あるいは経済成熟期

・好景気、あるいは不景気

・バブル期、あるいはバブル崩壊

・成長産業と衰退産業の2極化

・国の政策(導入済の非正規雇用促進制度、あるいはベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!の今後の導入可能性など)

 

現在の企業を取り巻く環境下においては既に以下のような状況が生じてきています。

・急速な技術革新、あるいはICT(情報通信技術)化の時流に伴う、求められるスキルの変化への対応遅れ

・国際経済競争の激化によるコスト削減圧力による従業員の賃金増加抑制、および非正規雇用の促進

・正社員と非正規社員との賃金格差

・スキルや能力により本来支払われるべき成果報酬と実際の年功序列による報酬とのミスマッチの発生

 

では、本来、働く人たちの労働環境はどうあるべきかですが、私の思うところを以下にまとめてみました。

・年齢や社内の在籍年数に関係ない、能力主義による成果報酬

・同一労働同一賃金

・新しい技術取得のための学習機会の確保

・テレワークの拡大(在宅勤務に限らず、どこでも好きな時間に労働可能)

・少子高齢化対策の充実(子ども手当や児童保育など)

・限りなくオープンな労働市場

・定年制の廃止(個人のスキルや能力に応じて、働きたい人は年齢に関係なく働くことが出来る)

・ベーシックインカムの導入による生活保障(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!

 

いずれにしても、より多くの人たちが自分の望む業種で労働環境に十分満足出来て、与えられた業務にまい進出来るようになって欲しいと願います。

同時に、働きたくても働く機会を与えられていない人たちに常にベーシックインカム制度が適用され、より多くの働く機会が与えられる社会であって欲しいと願います。


 
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2020年06月09日
アイデアよもやま話 No.4664 クロマグロ減少に救世主!?

以前、アイデアよもやま話 No.1454 マグロの完全養殖で日本人の食生活を救う!で近畿大学によるマグロの完全養殖の成功についてお伝えしました。

そして、今や“近大マグロ”はブランド魚として確立され、大学直営の専門料理店を開店し、大盛況といいます。

そうした中、3月2日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でクロマグロ減少の救世主について取り上げていたのでご紹介します。 

 

日本が世界一消費しているのは高級魚のクロマグロですが、天然資源の減少で国際的な漁獲規制が敷かれています。

そんな中、味はクロマグロにも匹敵するという幻の魚に注目が集まっています。

都内の居酒屋チェーン店、魚盛の新宿三丁目店では今幻の魚を特別に食べられるキャンペーンを行っています。(番組放送時点)

それは肉厚で鮮やかなピンク色をした刺身です。

お造りが8切れで1499円(税別)です。

これを食べた男性客は次のようにおっしゃっています。

「マグロよりこっちの方がいいんじゃないですか。」

 

この魚の正体について、調理長の松村 直彦さんは次のようにおっしゃっています。

「これはスマという魚です。」

「(カツオと)そっくりなんですけども、違う種類なんです。」

「(腹に)斑点みたいのが少し出ているのがカツオと違うところですね。」

 

体長は約60cm、お腹の黒い斑点が特徴のスマ、マグロやサバと同じサバ科に分類されますが、水揚げ量は極めて少なく、市場にはめったに出回らないため、幻の魚と言われているのです。

知名度はないものの、その身は“全身トロ”と言われるほど上質な脂がのっていて、味もクロマグロと比べ遜色ないとされているのです。

長く幻の魚と言われてきたスマですが、このお店で使われていたのは天然ものではなく、愛媛県で生産された養殖もの、その名も”媛スマ”です。

店長の佐藤 理仁さんは次のようにおっしゃっています。

「養殖ものの方が安定して入ってくるのが我々としてはメリットで、値段は(マグロと)ほぼイコールなんですけども、鮮度が良く、しっかり回転していくので優秀な食材なのかなと思います。」

 

夜が明けた午前6時、愛媛県愛南町の沖合で、全国有数の養殖魚の産地として知られ、”媛スマ”もここのいけすにいるといいます。

宇和島海漁業生産組合の理事、尾崎 洋祐さんは次のようにおっしゃっています。

「この(いけすの)中に1500(匹)ぐらいおります。」

「エサはイワシ、サバ、アジとかいろいろですね。」

 

スマは稚魚を捕獲してから育てる一般的な養殖とは違います。

まず親のスマに卵を産ませて、それをふ化させてから育てる完全養殖というサイクルの中で産まれたスマなのです。

愛媛県と地元の愛媛大学、更に県水産研究センターがタッグを組み、2013年から研究を開始し、約4年かけて世界初の完全養殖に成功しました。

昨年11月、安定的に供給出来る仕組みが確立したことから、ブランド魚”媛スマ”として販売を始めました。

その扱い方も普通の養殖魚とは違います。

餌を付けた釣り針で魚体に傷を付けないように1匹ずつ釣り上げます。

すぐにえらの内側を切って血を抜き、塩分を含んだ粒の細かいマイナス1℃の特別な氷の中に入れ、鮮度を保ちます。

その日のうちに地元の水産業者に運び、体脂肪を計測、中にはマグロの中トロ並みに脂ののったスマもあります。

乾燥を防ぐ特殊なシートに包み、東京や大阪の飲食店に向けて出荷されます。

実はこの”媛スマ”、漁業関係者にとってもメリットがあります。

尾崎さんは次のようにおっしゃっています。

「成長は早いと思います。」

「だいたい5月に5〜10cmだった稚魚が半年で2kgぐらいにはなります。」

「(スマは)儲かると思いますね。」

 

ブリやマダイよりも成長が早いため、生産コストを抑えることが出来るのです。

そのうえ、価格は1kg当たり3000円台というマグロ並みの値が付くことから、収益を生む養殖魚として期待されています。

地元、愛媛県はスマのブランドを更に高めようと動き出しています。

2年後には稚魚の生産量を今の4倍の年間8万匹に増やし、”媛スマ”の販売を加速させるといいます。

愛媛県庁漁政課の課長、橋田 直久さんは次のようにおっしゃっています。

「我々はスマをマグロの代替品とは一切考えておりません。」

「新しい赤身の美味しい魚ということで、広く皆さんに食べていただきたい。」

 

幻の魚が幻ではなくなり、食卓に並ぶ日も遠くないかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

マグロのような高級魚は世界的に漁獲量が多く、天然資源の減少で国際的な漁獲規制が敷かれています。

ですから、このまま推移していくと、いずれ絶対的に漁獲出来る量が少なくなり、従って価格もグッと高くなり、ほとんどの日本人の口には入らなくなってしまいます。

そうした中、完全養殖魚として量がある程度確保出来るようになり、自然の魚とほぼ同等、あるいは自然の魚の価格以下にまで下がってくれば、消費者としてはとても有り難いと思います。

ですから、近畿大学や愛媛大学などの研究者には、今後とも是非安くて美味しい完全養殖魚を目指して研究を進めていただきたいと思います。

更に、完全養殖魚の量が輸出出来るほどまで増えれば、輸出産業の一画としても期待出来ます。

あるいは完全養殖魚の養殖システムそのものをそっくり輸出する方法も考えられます。

そうすれば、多くの国々により安く養殖魚を提供することが出来るようになります。

 

ということで、いつか機会があれば”媛スマ”と“近代マグロ”を食べ比べてみたいと思います。


 
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