2023年01月31日
アイデアよもやま話 No.5492 奇想天外な砂電池!
今回は奇想天外な砂電池(バッテリー)について、以下のネット記事を参考にその一部をご紹介します。
参考)
昨年 9月 1日(木)付けネット記事(こちらを参照)
昨年 9月19日(月)付けネット記事(こちらを参照)
昨年11月15日(火)付けネット記事(こちらを参照)

・気候変動や化石燃料の価格高騰により、いままで以上に注目されている再生可能エネルギー。
・環境への負荷を少しでも減らそうと、世界各国が再エネ移行に取り組んでいる。日本も、再エネの割合を2020年度の19.8%から、2030年には36〜38%にする目標を掲げている。
・一方で、再エネを主力エネルギーにするには課題も多い。なかでも太陽光や風力は天候に左右されるため、発電量が不安定なのがデメリットである。これを補うために、電気を貯めておける蓄電池が必要だと言われている。
・しかし、大規模な蓄電池の設置には物理的な土地と大きなコストがかかる。それに加え、畜電池のなかでも主流のリチウムイオンには、別の問題もある。原料となる鉱物の多くは、採掘のために人々が過酷な労働を強いられたり、なかには児童労働が行われていたりすることもあると指摘されているのだ。
・この課題を解決するアイデアがフィンランドで生まれた。
・エネルギー企業「ポーラー・ナイト・エネルギー(Polar Night Energy)」が、砂を主原料に熱エネルギーを蓄える装置を開発したのだ。
・砂を使ったエネルギー保存装置は、スチール製のコンテナに自動蓄熱システムを搭載し、その中に砂を入れるというシンプルな構造で、電気を熱エネルギーに変換して蓄える。
・具体的には、こたつやドライヤーに使われ、電気抵抗によって熱を発生させる抵抗加熱というしくみを利用して熱を発生させ、それをコンテナ内に循環させている。
・砂は熱を蓄えるのに優れた素材で、このエネルギー保存装置では500℃前後で数ヶ月間も蓄えることができるという。また、原料である砂は、可燃物質さえ取り除けば種類は問わないそう。
・砂電池は主に水を温めるボイラーとして使用する。
・世界初となる商用の砂を使ったエネルギー保存装置は、フィンランドの電力会社ヴァタヤンコスキ(Vatajankoski)社の発電所で稼働中だ。幅4m、高さ7mのスチール製コンテナに100tの砂が詰められており、最大出力は100kW、8MWhの容量を備えている。
・貯蔵した熱は必要なときに放出し、同地域の家庭やオフィス、市民プールを温めるために使用されている。現段階では問題なく稼働しているとのこと。夏の間にエネルギーを貯蔵し、寒さの厳しい冬に十分なエネルギーを供給することが期待されている。
・太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくられた電気を熱に変換して保存。この熱で温めた水を、配管を通じた地域熱供給システムに使えば家庭やオフィスなどを温めることができる。
・設置コストは、1kWhの容量あたり10ユーロ(約1,350円)。日本で買える一般的な家庭用蓄電装置で、容量1kWhあたり数万から数十万円することを考えると、かなりコストを抑えられる。
・砂電池の開発者は、砂に着目した理由について、「自然界に豊富にあって、どこにいても手に入るもの。それが砂だった」と述べている。
・日本の家庭用エネルギー消費は給湯が約30%を占めており、この冬は燃料価格の高騰が心配されていることから、低コストで環境にやさしい「砂電池」が普及するかもしれない。
・現在は貯めた熱から再度電気を作るにはガスタービンを使用するなどコストがかかる上に非効率だが、研究そのものはあることから将来は本当に砂から電気を作る「砂電池」が登場するかもしれない。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

これらの記事を通して、砂電池の特徴について以下にまとめてみました。
・砂電池は砂を主原料に熱エネルギーを蓄える装置である。
・原料の砂は自然界に豊富にあり、どこでも入手出来る
・畜電池の主流であるリチウムイオンに比べて、かなり低コストで環境にも優しい
・主に水を温めるボイラーとして使用する。
・将来的には砂から電気を作る「砂電池」が登場する可能性を秘めている

ということで、日本も現在、脱化石燃料を目指しており、一方でロシアによるウクライナ侵攻などにより原油や天然ガスの価格や供給量が不安定であることから、砂電池の実用化の可能性について検討する価値がありそうです。

 
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2023年01月30日
アイデアよもやま話 No.5491 あのロールスロイスもEVに参入!
昨年10月18日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でロールスロイスのEV参入について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

つい1時間ほど前にあの超高級車、ロールスロイスが手掛けた初めてのEVが公開されました。
超高級車メーカーがつくるEV、その全貌を取材しました。

ロンドンからクルマで2時間半、ウエスト・サセックス州にあるロールスロイス・モーターカーズ本社、発表会の冒頭で紹介されたのは、122年前に創業者、リャールズ・ロイスが残した言葉でした。
エトヴィッシュCEOは次のようにおっしゃっています。
「彼はこう言った。」
「電気自動車、EVは音もなく、クリーンだ。」
「臭いもなく、振動もない。」
「充電場所が整備されれば、とても便利なものになるだろう。」
「こうした予言がここに導いてくれた。」
「ロールスロイス「スペクター」(こちらを参照)だ。」

暗闇から姿を現したのが、ロールスロイス初の量産型EV「スペクター」、直訳すると「幽霊」や「亡霊」の意味ですが、「別世界の存在」、「短い時間に存在感を示すもの」という意味が込められています。
ロールスロイスらしい、幅の広いフロントグリルを残しつつ、車体は海を走るヨットから着想を得た流線形のデザイン、自社製品の中で空気抵抗が最も少ないものになっているといいます。
車内は、ドアや天井に細かいライトを組み込み、まるで夜空の中にいるような空間になっています。
現在、400年使用し続けることを想定した250万kmの走行試験中の途中です。
1回の充電での航続距離は520km、価格は6000万円台になる予定です。
ロールスロイスは2030年に全ての新車をEVにすると明言しています。
本当に達成出来るのでしょうか。
エトヴィッシュCEOは次のようにおっしゃっています。
「2030年の新車完全EV化をすると100%の自信で言える。」
「来年初めに「V12エンジン」モデルを出した後、「V12エンジン」は過去のものになる。」

ロールスロイスは昨年(2021年)、世界で5586台を売り上げて、過去最高を記録、今年(2022年)もこれを更新する勢いです。
エトヴィッシュCEOは次のようにおっしゃっています。
「高級品市場は全体として堅調で、強くなり続けている。」
「新型コロナの間にお金が貯まったようだ。」
「インフレという意味でもロールスロイスは良い投資にもなる。」
「そのため「今こそロールスロイスを買う時」と考える人が増えてるようだ。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、関連するネット記事をチェックしてみて、まず驚いたのは、あの高級車メーカー、ロールスロイスが今年後半にEVを市販化する予定であることです。(こちらを参照)
ロールスロイスは保守的なメーカーのイメージがあるので、せいぜい2025年頃にようやくEVの開発を発表するのではないかと勝手に想像していたからです。
しかも、2030年には全ての新車をEVにすると明言しています。
こうしたEVの開発に積極的な背景には創業者、リャールズ・ロイスの予言があったのです。
こうしてみると、創業者がどんな思いでものづくりに取り組もうとしていたのかは、その後を継ぐ経営者にとても影響を与えることが分かります。

さて、「スペクター」の気になる仕様(予定)を他の関連するネット記事も参考に以下にまとめてみました。
・1回の充電での航続距離:520km
・最大出力:585馬力
・最大トルク:91.8kgm
・加速性能:4.5秒(0〜100km/h)
・設計走行距離:400年使用し続けることを想定した250万km
・価格:6000万円台

なお、1回の充電での航続距離は実際には300km程度だと思いますが、このようにそれほど長くないのには、それなりの理由があるのです。(こちらを参照)
ロールス・ロイスの購入者は、ガレージに他の車を7〜10台所有している傾向があるため、多くの場合はロールス・ロイスには年間2000マイル(約3218km)程度しか乗らないので航続距離は優先されないというのです。
その代わり、内装は飛び切り豪華な仕様が施される予定です。

そして、驚くべきは400年使用し続けることを想定したクルマづくりです。
このような自動車メーカーは他にないと思います。
恐らく、ロールス・ロイスは単なる移動手段としてだけでなく、ビンテージカーとして、末永く、その価値を維持することを前提に「スペクター」を開発・製造に取り組んでいると思われます。

ということで、世界一、最も豪華なイメージのある自動車メーカーがEVを今年後半に市販化するということで、環境意識の高まる中で世界中の大富豪と言われる層の人たちが少なからず関心寄せるのではないかと見込まれます。

こうして見てくると、あらためてガソリン車からEVへのシフトの世界的な流れの大きさを実感します。
同時に、日本の自動車メーカー、三菱自動車や日産自動車が世界に先駆けて、いち早くEVの量産車の販売を始めましたが、世界シェアを広げることが出来ていないことがとても残念でなりません。

EVに限らず、なぜ日本のメーカーは技術で先行して、グローバルな販売競争で勝利することが出来ないのか、このことについて国や日本のメーカーはしっかりと要因分析して、“ジャパン・アズ・ナンバーワン”を目指していただきたいと思います。
こうした企業の競争力強化が経済の活性化、年収の増加、雇用の拡大、そして税収の増加につながり、国の少子化対策など様々な対策の自由度を高めるからなのです。

 
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2023年01月29日
No.5490 ちょっと一休み その861 『キーエンスにみる、業界最高水準の従業員の平均年収を可能にする企業の要件!』
前回は、富士通による新卒2年目での課長級抜擢についてご紹介しました。(参照:No.5484 ちょっと一休み その860 『富士通、新卒2年目で課長級抜擢!』
今回は、昨年12月22日(木)付けネット記事(こちらを参照)で平均年収2000万円以上の株式会社キーエンスのヒミツについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

(組織の構造によって社員全員が成果を上げられる)
・2022年6月の有価証券報告書によると、キーエンスの平均年収は2183万円だった。このため、入社2年目には年収1000万円を超えると言われている。
・キーエンスはそれだけの給与を支払う成果が出せるのか?
 その答えが、この「構造が成果を創る」という考え方の中にあります。
 つまり、営業の構造、商品企画・開発の構造、マーケティング・販売促進の構造、人事の構造など、キーエンス組織内における構造のすべてが、「お客様に付加価値を提供するための構造」になっており、社員の個人的な能力や努力だけではなく、構造によって社員全員が成果を上げられるようになっているのです。

(キーエンスを読み解く3つのキーワード)
1.マーケットイン型
キーエンスでは、マーケットイン型の新商品企画がなされています。なぜお客様が買うのか? 本当にその商品・機能は使われるのか? 使われたら本当に役に立つ(困り事・課題を解決する)のか? どんな役に立つのか? について商品の開発前に突き詰めることが徹底されています。もしかすると、「自社でもそれはやっている」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、追求度が他社とは異なります。
・ここで興味深いのが、キーエンスではその実現のために、「世界一の高度な技術が使われている」ことが重視されているわけではないことです。
・商品がどのようにお客様に使われるのか、その「『使われ方』までを追求した商品である」ことが重視されているのです。
・開発前にお客様のニーズがどこにあるのかを徹底的に突き詰めていくため、彼らは、お客様のニーズについて、お客様よりも詳しく知っています。
・彼らはお客様のニーズを捉えたら、商品企画に入る前に、社会全体の潮流や業界全体のトレンドを視野に入れ、現在自社が持っている技術的な強みを活かして、どんな商品を作れるのかという分析をし、さらに、同じような商品を作っている競合他社の調査・分析をします。
それらの綿密な分析を交えながら、それまでに掴んだお客様のニーズをベースに、「こういう商品を作ったらいいのでは」と仮説を立てて商品企画を行うのです。
・キーエンスが日本有数のマーケットイン型企業と言われる理由は、仮説を立てた後、商品開発する前に「その仮説が本当に合っているかを、さらに検証する」点にあります。
・キーエンスでは、このように自分たちの仮説が間違っていないことを確認したうえで、ようやく本格的に商品開発に入っていきます。これが、マーケットイン型企業キーエンスの考え方、やり方であり、他企業がなかなか真似できない点なのです。

2.高付加価値状態での商品の標準化
キーエンスでは、特注品ではなく「標準品」を作っています。にもかかわらず、作る前に現場に足を運んで直接お客様の潜在ニーズを見つけ出すという市場調査を行っています。この仕組みがあるため、最大公約数の仕様・機能を備えた高付加価値状態の標準品での対応を可能にしています。

・キーエンスにおける「高付加価値状態での商品の標準化」について言及する前に、理解しておいてほしい大切な考え方があります。
 それは、「市場原理、経済原則で考えることが大切である」という考え方です。
 これもキーエンスの経営理念の主軸として位置づけられている重要な考え方の一つです。
 「市場原理で考える」とは、「市場=お客様が何を買い、何をどう使って、いつ、どんなときに価値を感じるのか? その原理はどのようなことか? をしっかりと考えましょう」という意味です。
そして、「経済原則で考える」とは、「どうすると一番利益が出るのか? で、意思決定しましょう」という意味です。
・「経済原則で考える」だけを重視し、ただ利益を上げたい、という発想だけでビジネス展開していると、市場を敵に回してしまうこともあります。
 しかし、膨大な時間とお金をかけて、その会社でしか使えない特注品を作っても他では売れない、つまり儲からないので経済原則には沿っていません。
 キーエンスでは、この市場原理と経済原則の両方をうまく合致させたやり方で商品を作っています。
 キーエンスの人たちは、どの競合他社よりも多くの事例を知っていて、多くの企業が困っていることを熟知しているからです。
 そのため、お客様のニーズに応えつつ、標準化して展開できる商品を企画、開発できるのです。
 この仕様・機能をまとめて、標準型の商品にすることが、キーエンスにおける潜在ニーズの実現です。
 その結果、お客様が困っていることを解決でき、しかも特注品を作るほどのコストがかからず、たくさん売れて利益が上がる、という市場原理と経済原則の両方に合致した展開ができるのです。
・キーエンスではニーズから逆算して商品を作り、お客様に対する付加価値の提供と同時に、生産性と利益を上げることに成功しています。
 それがキーエンスの付加価値創造戦略の肝になっているのです。

3.世界初・業界初の商品
キーエンスでは、「お客様も気づいていない潜在ニーズ」を、徹底したコンサルティングセールスによって探り出し、「まだつくられていない付加価値(新創造価値)」を備えた商品=「世界初・業界初の商品」を生み出しています。

・驚くべきは、キーエンスの新商品の70%が世界初もしくは業界初であるということです。
 世界初・業界初というと、今までにない特許技術を駆使したような難しい商品と思われるかもしれませんが、世界一、業界一といった性能面(技術面)で高性能を備えたものではありません。
 お客様の使い方を知り尽くし、課題や問題点を深掘りすることで、今までになかった機能や仕様を実現し、未解決の課題を解決しているのです。
 トップ技術を使うというよりは、アイデアや機能の組み合わせなどを駆使し、お客様のアプリケーションに対してのソリューションを提供しているということです。
 顧客の潜在ニーズの中にある、まだ誰も叶えたことのないニーズを叶えるのが「世界初・業界初の商品」です。
・キーエンスは、お客様の潜在ニーズを知るため、この未知の部分にまで踏み込み、徹底的に探索します。
 このような努力を続けているからこそ、キーエンスは常に、高付加価値の商品を生み出すことができるのです。
・世界初・業界初の商品を生み出す意義は、お客様に高付加価値を提供できるだけではありません。
 同時に、他社商品との差別化を図ることができるのです。世界初・業界初の商品であれば、他社との比較のしようがないので、相見積もりをとられることは基本的にありません。
 つまり、キーエンスは世界初・業界初の商品を作り出すことによって、「付加価値戦略」と「差別化戦略」を両立しているのです。
・キーエンス社員がお客様に必ず伝えること
 大切なことは、「この商品はあなたの役に立ちます。そして、それはこの商品にしかできません!」と伝えられることです。そう伝えるとお客様は「これ、いくら?」と反応し、ここで初めて独自の価格がつくのです。
  キーエンスの営業だけでなく、トップセールス、トップマーケターたちは、この付加価値戦略と差別化戦略の両立が重要だということを認識し、お客様に提案するときは、この点を必ず伝えてアプローチしています。
 そうすることにより、「相見積もり」をとられにくくし、価格競争に巻き込まれることを抑制しているのです。
 世界初・業界初の商品を作ることによって、付加価値戦略と差別化戦略の両方を展開している。それが構造=仕組みとして確立されていて、ずっと変わることなく継続し続けている。それがキーエンスなのです。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今回ご紹介したキーエンスの事例を参考に、業界最高水準の従業員の平均年収を可能にする企業の要件を以下にまとめてみました。
・お客様満足度の向上
  徹底的なソリューション、および高付加価値の追求
  高品質・低コスト・短納期の追及
・全ての社員の意識が「お客様満足度の向上」に向けて徹底的に浸透していること
・全ての組織が「お客様満足度の向上」に向けて有機的に機能すること
  情報共有
  タイムリーな組織間の連携
・業界最高水準の従業員の平均年収
・業界最高水準の福利厚生
・取り扱う商品の選択基準
  長期的に世界的に多くの需要が期待出来ること
  高い利益率が期待出来ること
  世界初・業界初の商品
・上記の選択基準に照らして、最も高い利益が期待出来る商品の研究・開発に取り組むこと
・より多くの顧客の共通した付加価値を商品の機能に取り込むこと
・一方で、開発する商品の持つ機能について、他社との差別化を図ること
・仮説に基づいた商品企画、および仮説の検証後に本格的な商品開発を進めること

このようにまとめてみましたが、中でも特に重要なことは、他社が気付いていない、顧客の要望を満たす商品の提供です。
こうした差別化した商品は商談における競争力がとても強いからです。

更に、業界最高水準の従業員の平均年収、および福利厚生の企業であれば、常に良い意味でマスコミなどで取り上げられることが多く、従って国内外を問わず、優秀な人材が集まってきますから、増々企業競争力の強化が図られると期待出来るのです。

 
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2023年01月28日
プロジェクト管理と日常生活 No.802 『“アベノミクス”の成果と課題』
昨年9月27日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアベノミクスの成果と課題について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

2012年末に発足した第二次安倍政権、当時は為替は1ドル85円台と、今とは逆に円高に苦しんでいた時期で、物価も賃金も上がらないデフレが課題でした。
そこで打ち出したのが“3本の矢”からなる経済政策“アベノミクス”です。
円高やデフレから脱却するための第一の矢として大胆な金融政策を推進、日銀総裁に新たに黒田東彦(くろだはるひこ)さんが就任し、異次元緩和がスタートしました。
その結果、為替は一気に円安が進み125円台に、輸出企業の業績が回復したことなどから日経平均株価は2倍以上に上昇しました、
また円安はインバウンド消費も刺激、海外からの訪日客は急増し、2019年には3000万人を突破しました。
総理在任時に当番組に出演した安倍総理(当時)は次のようにおっしゃっています。
「この道しかないんです。」
「10年間ずっと駄目だったんですから。」
「ピクリとも動かなかった、いろいろな指数が動くようになったじゃないですか。」
「だから私たちはこの道を行くしかないと思いますね。」

この“アベノミクス”の指南役だったのがアメリカのエール大学の浜田宏一名誉教授で、次のようにおっしゃっています。
「(安倍元総理の強みについて、)自分の頭で考えて「円高を解消する場合には金融政策を使わないといけない」と、主体性を持って政策を執行されたところが安倍政治のプラスの面だと思います。」
「(浜田さんが考える“アベノミクス”の効果について、)金融政策で円高を解消して、ともかく“雇用”を増やすということで、雇用者はネット(正味)で500万人増えた。」
「東京ドームが5万人とすれば、それを100個作ったと。」
「これは大きな効果だったと思うんですね。」

2012年から2019年までの7年で雇用者数は500万人増加、失業率も4%台から2%台まで回復しました。
一方で、物価と賃金がともに上昇する「経済の好循環」はいまだに見えていません。
また安倍政権は2014年と2019年の2度にわたり、それぞれ5%から8%、8%から10へと消費税増税を実行、賃金が上がらない中での増税に国民からは反発も起きました。
更に企業への恩恵となっていた円安も1ドル140円を超え、輸入物価の高騰を招くという弊害が出てきています。
こうした課題にどう立ち向かえばいいのか、浜田さんはイノベーションを起こすための人材育成がカギだと言います。
「「何か自分で違ったことをやろう」という、経営者としても、創業者としても最も重要なところを日本の教育は教えていないんじゃないか。」
「出来る学生をちゃんと育てることが今後必要になってくる。」

今、振り返ってみて、“アベノミクス”は何だったのかについて、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
これが第二次安倍政権が成立する前の、10年前の日本を襲っていた、いわゆる“6重苦”の図なんですよね。」
「中でも一番大きかったのは超円高の問題だったと思うんですが、それを是正するために金融緩和を行って、実際に円高を是正したというのが最大の“アベノミクス”の成果だと思います。」
「(今は円安の副作用が大きな問題になっているが、第二次安倍政権が発足した)10年前は1ドル80円の超円高で、日本経済は沈没寸前だったんですよね。」
「1つ例を挙げましょう。」
「トヨタ自動車なんですが、2008年のリーマンショック以降、単独決算では4年連続で営業赤字だったんです。」
「その赤字の合計額は1兆4000億円に上ってたんですよね。」
「そうした背景にある超円高を是正して、企業の経営や雇用を回復軌道に乗せた。」
「そこが1番注目したいポイントだと思います。」
「(今は、日本企業は過去最高益となっていますが、儲けが出た分、投資や賃上げに回してこなかったと言われるが、)法人税を引き下げたり、日本主導でTPPをまとめるといった、経済の活性化策を打ち出してはいるんですけども、中々肝心の企業が動かなかったんですよね。」
「でも最近の円安について、ものは考えようなんですが、競争力が回復するという条件にもなる。」
「しかも、サプライチェーンの確保が重要性を増しているということで、ここへきてようやく日本国内の投資というのが見直され始めているというふうに思います。」
「(また労働市場問題もあり、女性や高齢者が働き手となることを後押ししてきた労働政策もあったが、)日本は人口減少の局面にある中で、日本経済が収縮せずに、一応拡大するように向かったっていうのは大きいと思うんですね。」
「やっぱり女性や高齢者、先ほど浜田さんがおっしゃっておられましたが、新規参入が500万人あったお陰ですよね。」
「ただし、課題が残っているんですね。」
「年収100万円を超えた辺りで、税や社会保障の負担がドーンと重くなるという問題がありまして、それが働く女性にとっての大きな壁になっているという指摘は確かです。」

ということで、大きな壁を取り払うのが岸田総理に残された課題とも言えそうです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

第二次安倍政権が発足した2012年末、当時は為替は1ドル85円台と、今とは逆に円高で物価も賃金も上がらないデフレが課題でした。
そこで安倍政権が打ち出したのが“3本の矢”からなる経済政策“アベノミクス”だったのです。
円高やデフレから脱却するための第一の矢として大胆な金融政策を推進、異次元緩和がスタートしました。
その結果、円高が是正され、以下のようなメリットをもたらしました。
・500万人の雇用の増加
・失業率が4%台から2%台まで回復

一方、安倍政権は2014年と2019年の2度にわたり、賃金が上がらない中で消費税増税を実行しました。
更に企業への恩恵となっていた円安も昨年10月には円の為替レートは1ドル150円ほどまで安くなり、現在も130円程度という状態で輸入物価の高騰を招くという弊害が出てきています。
こうした新たな課題の解決策として、“アベノミクス”の指南役だった浜田さんは、イノベーションを起こすための人材育成がカギだと指摘されております。

そもそも私たちの暮らしを豊かにしていく基本は経済の活性化、成長であり、それを実現するのは人材です。
そして、どんな先進的なテクノロジーも優れた人材から生まれてくるのです。
ですから優れた人材の確保は国策としてとても重要なのです。
そして、その対応策として以下のものが挙げられます。
・少子化対策の強化
・教育方針の変更
  暗記中心から自ら考える思考能力、あるいは独創性を高める内容に変更
・海外から優秀な人材を国内に招き入れるような政策の推進

ところが、第二次安倍政権で打ち出した3本の矢の一つ、成長戦略には社会人の創造性育成(リカレント教育)は含まれていますが、学校の教育方針や海外からの人材獲得については触れられていませんでした。

ともかく“アベノミクス”は円高是正という大きな課題は解決してくれましたが、金融緩和などにより行き過ぎた円安という副作用をもたらし、物価と賃金がともに上昇する「経済の好循環」という課題の解決はそのまま現政権まで持ち越しとなった状態が続いています。
そうした中、現在の岸田政権は人材関連で少子化やリスキリング(参照:アイデアよもやま話 No.5401 今、注目されているリスキリング!)に関する政策は打ち出していますが、最も肝心な教育方針については触れられていません。

人材の育成は「国家100年の計」であり、永遠の課題です。
そして優秀な人材の確保は国家のあらゆる政策のベースとなるものです。
ですから、現政権も含めて、これから引き継がれる政権には、人材の育成、および海外も含めた優秀な人材の確保、およびこうした人材の活躍の場を提供出来るような環境づくりに努めていただきたいと願います。

なお、人材の育成は国だけに依存するものではありません。
これまで「経済の好循環」が上手く回らなかった要因は企業側にもあったのです。
企業も従業員をコストと見なすのではなく、重要な資源と見なし、積極的にリスキリングに取り組むことが求められるのです。(参照:アイデアよもやま話 No.5452 人への投資で見劣りする日本企業!

 
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2023年01月27日
アイデアよもやま話 No.5489 コロナワクチン関連における習近平政権の横暴とその影響!
昨年10月3日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナワクチン関連における習近平政権の横暴とその影響について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今年のノーベル生理学・医学賞はDNA解析に基づく人類の進化の研究ということでスバンテ・ペーボ博士に授与されましたが、この分野でいいますと新型コロナウイルスのメッセンジャーRNAワクチン(参照:アイデアよもやま話 No.5303 世界を救った新型コロナワクチン研究の舞台裏!)が有力候補に上がります。
このことについて、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「もう、これはいつ受賞してもおかしくないし、授賞したら3年分ぐらいの価値がある研究成果だと思うんですよね。」
「ただ、このワクチンに関しては気になるニュースが最近あったんですよね。」
「それはフィナンシャルタイムズが報じてるんですけども、モデルナが開発したメッセンジャーRNA型のコロナワクチンについてなんですね。」
「コロナワクチンについて、中国での販売交渉が行われたんですけども、それが破断、要するにキャンセルになってしまったという経緯が明るみに出たわけです。」
「要するに中国が「その技術の中核的な技術を明け渡せ」と求めて、モデルナはそれを拒否したという舞台裏なんですね。」
「(モデルナが拒否した理由について、)それは当たり前のことですよね。」
「発明の努力とか、独創性というものは本当に重要なんですけども、それが侵害されかねなかったわけです。」
「まあ、無理強いのカンニングをやっているようなものですから、そういうやり方はいただけないばかりではなくて、肝心の技術を海外から導入することも阻んでしまうという意味で、今回のやり方は本当に良くないと思いますね。」
「(だからゼロコロナ政策を止められないというところにもつながってくるのかという問いに対して、)はい、その帰結だと思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、昨年10月3付けネット記事(こちらを参照)によれば、中国は現状で外国のコロナワクチンを一切承認していないといいます。

今回ご紹介した新型コロナウイルスワクチンについて、以下の通り、中国共産党政権は2つの面で大きな過ちを犯したと言えます。
中国は、2020年から21年にかけてモデルナとの間で新型コロナウイルスのメッセンジャーRNAワクチンにおける中国内での販売交渉に当たってきたが、前提条件としてモデルナに中核的な知的財産を中国に渡すよう求めた
このような横暴な要求は他の特許権を尊重する国ではあり得ない
モデルナが中核的な知的財産を中国に渡すことを拒否したため、中国当局は自らのメンツを重んじて、モデルナ製ワクチンを購入せず、効果の低い中国製ワクチンを中国国民に接種したため、その分、中国国民の新型コロナウイルスの被害が拡大した
更に一部の途上国にこの効果の低い中国製ワクチンを供与した

特に医療関係の製品開発には莫大な研究開発費がかかり、従って関連した発明は特許を取得することで、他社が同じ技術を使用した商品を無断で販売することは違法行為とされ、特許を取得した企業は利益を上げることが出来るのです。
こうした世界的な常識を中国は全く無視して、中国当局は中核的な技術を明け渡せと迫ったことが明るみに出たのです。
しかも、自らのメンツを重んじて、効果の高いモデルナ製ワクチンを購入しなかったのです。
こうした中国共産党政権の新型コロナウイルスに対する取り組みを中国国民はどう受け止めるでしょうか。
恐らく多くの中国国民は「国民の命よりも中国共産党のメンツの方が大事なのか」と思うのではないでしょうか。

ということで、これまで国際ルールを無視して、ひたすらアメリカを軍事・経済面で追い抜き、追い越せの覇権主義を展開してきた習近平国家主席率いる中国共産党政権の実情を今回の件で中国国民は重く受け止めるべきなのです。

なお、習近平国家主席による行き過ぎたゼロコロナ政策に対して、前代未聞とも言えるような国民の大規模な抗議デモが展開されました。(こちらを参照)
そして、中国政府はこうした多くの国民の声をきっかけに昨年12月7日、「新10条」と称される通知により、ゼロコロナ政策の転換を図りました。(こちらを参照)

こうした“まず中国共産党ありき”の習近平政権に対する国民の不満はマグマのように蓄積され、やがて大きなうねりが起きて、いずれ習近平国家主席も基本方針の転換を迫られるものと思われます。

一方、中国共産党政権によるゼロコロナ政策などの件で多くの中国進出企業は中国で展開するビジネスの危うさを再認識したのではないでしょうか。

 
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2023年01月26日
アイデアよもやま話 No.5488 商用EVが続々登場!
昨年10月3日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で続々登場する商用EVについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

わずか1%未満という普及率に止まる日本のEV、電気自動車市場で新たな動きです。
新興企業のASF株式会社は、物流業者などが使う商用軽EVの量産、第1号を公開しました。
生産を担当したのは、日本ではなく中国のEVメーカー、五菱(ウーリン)です。
補助金込みで約150万円という低価格を実現した背景を取材しました。

群馬県高崎市でとある試乗会を開いたのはASFとウーリンです。
ASFは工場を持たないで企画や設計などを手掛ける新興ファブレス企業です。
総合商社の双日などが出資しています。
そしてウーリンは中国南部・広西チワン族自治区に拠点を置く自動車メーカーでEVを生産しています。
今回の車両は佐川急便からASFが受注し、生産をウーリンが担いました。
2030年までに軽貨物車、約7200台を全てEVに置き換える計画です。
この佐川急便を含め、5年間で10万台の生産計画を掲げています。
番組スタッフが実際に乗ってみると、ハンドルがとても軽いです。
ASFの技術担当者は次のようにおっしゃっています。
「細かくハンドルを切られる、長時間運転をされるドライバーの方なので、細かな要望をお伺いしながら、今後も最終的な発売まで微調整をする。」

エチケット用品を置く収納ボックスや暗い場所でも伝票を見易くするために車内照明を明るくしました。
また、運転手がシフトレバーをパーキングに設定し忘れた場合にクルマが勝手に進み出すのを防ぐシステムを導入、これらは佐川急便のドライバー、7000人のアンケートなどをもとにしています。
積載量は350kg、フル充電での航続距離は230kmです。
「生産1号」となる車両の発表会見でASFの飯塚裕恭社長は次のようにおっしゃっています。
「日本は非常にEV化が遅れています。」
「単純に、基本的に中国のものを持ってきたわけではなく、我々は一から中国の方と一緒にそういうものを作り上げてきた車両でございますので・・・」

飯塚社長の前職は家電量販店大手、ヤマダ電機の元副社長、生活に密着した商品の販売現場を通じて消費者と向き合ってきました。
飯塚社長は次のようにおっしゃっています。
「ヤマダ電機に35年務めさせていただきまして、一番やはりお客様の満足度は価格を超えるものはなかったと実感しております。」
「やはり、なんだかんだきれいごとを言いますけど、最後は価格だと思っております。」
「逆に言って、そこが我々が勝負出来なくなったら我々の存在価値はない。」

バッテリーは中国の電池メーカー大手、CATL製を採用するなど、全て中国国内のサプライチェーンで調達した材料や部品を使っています。
バッテリーをはじめ、コストを大幅に低減、価格は補助金込みで150万円前後となり、日本車に比べて2割ほど安くなったといいます。

業界団体によると、軽貨物車の国内市場は約40万台で、現在ほぼ全てがガソリン車です。
今回、日本市場向けに初めて生産したウーリンの幹部は次のようにおっしゃっています。
「今回、日本に初めて来た街中で走っているEVはかなり少なかった。」
「日本は中国に比べて(安全面の)認証が圧倒的に厳しい。」

今後、ウーリンはASFの販売網などを通じ、日本市場でトラックなど車種を広げる方針です。
今回、中国メーカーに生産を委託したASFの飯塚社長、当初は日本メーカーも含めて生産の委託先を検討しましたが、期待に応えたのは中国メーカーだったといいます。
「全ての日本企業さんが恐らく意思決定が非常に遅いかと思います。」
「それに加えて、中国の企業さんはものすごく意思決定が早くて、我々みたいなベンチャー企業であっても「向く方向が同じであればやろう」という決断ですよね。」

国内大手メーカーも商用軽EVを相次ぎ投入する計画です。
ダイハツはトヨタやスズキなどと共同開発するモデルを2023年度に、ホンダも2024年に100万円台で発売することを目指しています。
そうした中、国内唯一の商用軽EV、「ミニキャブ・ミーブ」の販売を一度終了していた三菱自動車もこの秋、再び販売することに。
「ミニキャブ・ミーブ」は三菱自動車が世界で初めて発売した量産したEV、「アイ・ミーブ」と同じバッテリーやモーターと同じものを使い、2011年に発売したクルマです。
三菱自動車 軽EV推進室の五島賢司室長は次のようにおっしゃっています。
「販売いたしまして約10年が経過したと。」
「商品ライフサイクルの観点から一旦止めようと判断いたしました。」
「世界的に“脱炭素”の関心が高まっているということで、非常にこのクルマへの関心が高まっています。」
「問い合わせも非常に増えている状況でございましたので、もう一度、方針を変えて再販しようと。」

運送業者などからの強い予防を受け、一度販売を終えたモデルを再販するという異例の決断をしました。
各社が商用の軽EVを投入することについて、五島室長は次のようにおっしゃっています。
「我々としては10年間以上、ノウハウの蓄積、商品の耐久性、信頼性を向上してきました。」
「商用車なので、故障が一番良くないと思うんですよね。」
「万が一、そういうことが起こっても修理する体制を持っていますので、そういったことが強みかなと思っております。」

一方、EVの輸入販売を手掛けるベクトリクス(VECTRIX)ジャンパンは10月3日、国内初となる基幹店をオープンし、新たに開発した3輪EVのプロトタイプを公開しました。
配送業者など、法人向けに販売します。
車両はリース販売、バッテリーは月額数千円(1個当たり)ほどの定額サービス、サブスクリプション方式で販売します。
ベクトリクス ジャンパンの山岸史明社長は次のようにおっしゃっています。
「サブスクでの導入に関しては、出来るだけ安価な形態を取ることで繁忙期やバッテリーを予備で持ちたいお客様のニーズに対応し、自由度が広がる。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

わずか1%未満という普及率に止まる日本のEV市場ですが、その背景の一つは日本のガソリン車、あるいハイブリッド車の燃費の良さにあります。
そして、その燃費の良さが現在の火力発電の占める割合の多さから、電気を動力源とするEVに比べて、ライフサイクルを通してみれば、CO2排出量の多さに遜色ないと見られているのです。
ですから、EVへのシフトがCO2排出量の削減に大いに貢献出来る状態にするには、EVシフトと並行して火力発電から再生可能エネルギーによる発電へのシフトを進めることが必須なのです。

しかし、だからといって、再生可能エネルギーによる発電へのシフトの普及が進むまでEVの普及を待っていては海外勢のEVメーカーに後れを取ってしまい、経済的に大打撃を受けてしまいます。
しかも、世界的な”脱炭素”を実現する手段の一つとして、CO2排出権取引制度がEU(欧州連合)やアメリカのカリフォルニア州の例を参考に、「炭素税」などと組み合わせた「ポリシーミックス」による政策推進が世界から求められています。(こちらを参照)
いずれこうした制度は世界的に導入されることになれば、”脱炭素”の取り組みに消極的な企業は存続の危機に晒されてしまいます。
また、既にアップルのように、サプライチェーンに組み込まれている取引先の工場などで温暖化ガスを排出しないことを2030年に実現することを目標に掲げている企業も現れているのです。
ですから、アップルと取引のある日本の企業でも同様の目標を達成することが求められるのです。(参照:アイデアよもやま話 No.5338 パナソニックが世界初の再エネ100%工場の実証実験開始!

一方、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で化石燃料の価格が上昇しており、電気料金をはじめ、多くの商品の値上げが繰り返され、日本国民の暮らしが圧迫されています。
こうした背景もあって、政府が進めているエネルギーミックスの検討の対象に既存の原発の再稼働や新型の原発の開発も含まれてくるわけです。

こうした状況において、自家用車と違い、毎日のようにある程度の距離を走行する商用ガソリン車のEV化を進めることは”脱炭素”に向けた取り組みとして理に適っています。
なお、EVの普及において、充電施設の普及が進まないことが大きなネックという見方があります。
しかし、以前にもお伝えしたように、以下の観点からこの見方は必ずしも正しいと言えないのです。
・1日当たり150km前後の走行距離であれば、夜間に普通充電器で充電すればフル充電出来て、昼間の充電は一切必要ない(注:普通充電器は既存の駐車スペースに設置可能)
・夜間の電力需要は昼間のほぼ半分なので、電力供給量のピークに影響を及ぶことはない

さて、EVに限ったことではありませんが、日本のメーカーが特に中国に生産拠点を置く場合には以下の考慮点が挙げられます。
・素早い意思決定
・商品の価格設定など、顧客の要望への的確な対応
・中国政府の極端な政策変更を前提とした中国企業との係わり
・生産拠点の中国から他国へのシフト
・生産拠点の国内回帰

なお、ASFは現在は商用の軽EVの生産拠点を中国に置いていますが、当初は国内の企業に交渉したけれど、応えてもらえなかったといいます。
ですから、それぞれの日本企業には、DX(デジタルトランスフォーメーション)などへの取り組みを積極的に進め、少なくとも国内の需要には内製化だけでほぼ応えられるような強靭な経営体質を備えられるようになって欲しいと願います。
こうした取り組みの成果が日本国の経済安全保障につながるのです。

 
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2023年01月25日
アイデアよもやま話 No.5487 中国進出企業の相次ぐ撤退に見る今後の中国経済の危うさ!
昨年9月29日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国進出企業の相次ぐ撤退に見る今後の中国経済の危うさについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

中国東北部、大連、旧満州国の玄関口で日本と関係の深い街です。
ここで30年以上ビジネスを続けている日本の中小企業があります。
松井味噌(兵庫県明石市)です。
中国向けに開発したラーメンスープが人気を呼び、売り上げは中国進出時、1990年の2億円から2021年には80億円に拡大しました。

2021年8月、大連にオープンした「小京都」、東京ドーム13個分の敷地に京都の街並みを再現したという商業施設です。
松井味噌はここにカフェやカレー店など、3つの飲食店を出店、新たなビジネスとして中国での飲食店事業に乗り出しました。
オープン当初は大勢のお客で賑わいましたが、日本色を前面に押し出したのがネット上で炎上騒ぎになりました。
以下はその投稿の一つです。
「日本に侵略された場所にこんな街をつくるのか、過去の痛みを忘れたのか」

こうしてオープンからわずか1週間で「小京都」は営業停止に追い込まれました。
閉鎖から5ヵ月後、2022年2月に再びオープンしましたが、施設名には京都の文字はなく、金石という現地の地名を使った「金石萬港」に変更されていました。
施設も中国国旗や中国風の提灯が並び、広場には漢服を着た女性が伝統楽器を演奏するなど、日本色を排除したのです。

松井味噌は運営会社から中国色を強めるため、中華料理であるラーメン店にするように指示されました。
更に松井味噌の松井健一社長は次のようにおっしゃっています。
「(店名を)「松井拉麺(ラーメン)」にすると言ったら、「「松井」は日本人の典型的なイメージがあって、使わないでくれ」と、いろいろクレームがつくので「味噌拉麺」という店名にしています。」

日本の外食企業では、このところ、新型コロナの影響もあり、居酒屋の「和民」など、中国市場から撤退している企業も少なくありません。
先日は、丸亀製麺が中国にあった全ての店舗を閉鎖しました。
振り回される中国ビジネスですが、今後の事業展開について、松井社長は次のようにおっしゃっています。
「配当の大きさから考えて取るべきリスクだと思います。」
「(中国は)14億人の市場で、日系ではまだ(味噌の会社は)2〜3社残っている気がします。」
「中国市場は一番魅力的だと思います。」
「収益が出たら新しい工場をつくって攻めていきたい。」

日本企業は苦労しながらも頑張っているようですが、日中間に横たわっている“政治リスク”は常に念頭にあるようです。
この取材をした記者の発言を以下にまとめてみました。
・松井社長が最も大きいリスクとして挙げたのは台湾有事である
・事態が動けば、中国で続けられない可能性があると松井社長は深刻な表情で話していた
・国交正常化50年を迎え、中国でも催しは開かれたが、中国メディアの報道は少ない上、祝賀ムードもあまり感じられない
・むしろ、市内には中国の建国記念日にあたる国慶節を祝う巨大な花のモニュメントが目立つ
・習近平国家主席が3期目を目指すとされる中国の最重要行事、共産党大会を控え、国内行事の方が盛り上がっている印象である
・今後の日本との関係性について、中国側はこれ以上の関係悪化は望んでいないと思われる
・8月には日本の秋葉国家安全保障局長が中国の外交トップ、楊潔篪氏(番組放送時)と7時間にわたり会談した他、岸田総理が新型コロナに感染した際には習近平国家主席自ら見舞いの電報を送るなど、歩み寄りの兆しも見せている
・今後は11月にインドネシアで開かれるG20で、約3年ぶりとなる対面での首脳会談が関係改善の糸口となりそうである

日中国交正常化50周年の中で、中国はハイテクの成長が著しい期間がありましたが、こうした状況について立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「最後にまとめさせていただいたのが、米中巨大IT企業の時価総額(こちらを参照)で、米国はGAFA、中国はアリババ、テンセントということですけども、左の2019年4月の数字に着目していただきたいのが、アリババ、テンセントの時価総額はメタ、当時のフェイスブックを超えていたわけですね。」
「それが今や、GAFAの株価はメタ以外は上がりましたけども、アリババ、テンセントは大きく既存している。」
「やはり、背景は米中新冷戦、それから政府の統制強化ということで、やはり中国は政府の政策と意思しだいで全て変わってしまうということが言えるんじゃないでしょうかね。」
「(今、中国の景気減速が懸念されていますが、それも政府が自らしているということになるのではという指摘に対して、)そういうことになりますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組や関連ネット記事を参考に今後の中国経済の危うさについて以下にまとめてみました。

(融通の利かない政策)
・行き過ぎたゼロコロナ政策の継続(こちらを参照)
⇒ 経済活動の停滞(参照:アイデアよもやま話 No.5329 ゼロコロナ政策で中国経済に変調!
中国での需要鈍化や工場停止によるグローバルサプライチェーンの混乱
⇒ 中国進出企業の中国からの相次ぐ撤退
国民の大きな反発によるゼロコロナ政策の急な転換による社会の混乱
⇒ 多くの国民に反政府の意識を高めさせ、デモなどの示威行動の有効性を認識させた

(共産党政権を脅かす存在を許さない共産党第一主義)
・政府の政策と意思しだいで全てが急変するリスクが高い
・巨大化したIT企業、アリババ、テンセントへの統制強化
 ⇒ アリババ、テンセントの株価暴落

(習近平国家主席は“裸の王様”状態)
・習近平国家主席の3期続投が確定したが、最高指導部の顔ぶれはイエスマンばかり
 ⇒ 習近平国家主席の過ちを誰も指摘出来ないの大きな判断の過ちが見過ごされる

(覇権主義の世界展開)
・南シナ海での相次ぐ違法な人工島の建設(参照:アイデアよもやま話 No.5468今や無法地帯化している国際社会!
・アフリカ諸国や太平洋の島しょ国での覇権拡大(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.766 『中国が南の島しょ国での覇権拡大を進める真の狙いとは』
 ⇒ アメリカの対中脅威の意識を高め、中国への様々な制裁が実施された

(米中両陣営の結束の強化)
・アメリカを中心とする民主主義陣営の結束の強化
・中露陣営の結束の強化(参照:アイデアよもやま話 No.5474 上海協力機構の首脳会談にみる、あなどれない中露陣営の動き!
 ⇒ 米中の新冷戦構造が確立されつつある
グローバル経済から閉鎖経済へのシフトの流れが加速する

こうしてまとめてみると、習近平政権は、以下の観点から見ると、長期的には経済の危うさが高まると思われるのです。
・自らの誤りを認識しても、対外的に認めることが出来ず、状況の変化に速やかに対応出来ない
・覇権主義の世界展開により、民主主義陣営の中国に対する脅威の意識が高まり、民主主義陣営による様々な観点からの中国への制裁が続く
・政府の政策と意思しだいで全てが急変するリスクが高いことから、中国進出企業は生産拠点をインドや東南アジア諸国など他の国にシフトする可能性が高くなる
・同様に中国国内のIT関連を中心とした国際的な大企業も存分に事業に取り組むことが出来ない

残念ながら、習近平政権では習近平国家主席の“世界制覇”を志向する意思が強いので、国連のルール(人権の尊重など)の遵守も民主主義陣営への歩み寄りもほとんど期待出来ません。
ですから、次の政権誕生までは何とか習近平国家主席の暴走を食い止めるべく、民主主義陣営の国々が一丸となって経済的にも軍事的にも中国に優位に立てるかたちで習近平国家主席に対峙することが求められるのです。
そのためにも、ロシアによるウクライナ侵攻を何としてもウクライナに有利になるかたちで終息させることがとても重要なのです。
ですから、日本の現政権にも是非こうした観点からウクライナへの支援を積極的にしていただきたいと思うのです。

 
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2023年01月24日
アイデアよもやま話 No.5486 日中関係のこれからの50年!
前回は、日中国交化実現の陰の功労者であるANAの2代目社長、岡崎嘉平太さんについてお伝えしました。
今回は、日中関係のこれからの50年について、昨年9月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、その一部をご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

日本と中国のGDP、国内総生産を見ながら、この50年を振り返っていきます。
まず1972年、国交正常化された当時の日本のGDPは3180億ドル、中国は1136億ドルでした。
そして1978年、日中平和友好条約が結ばれますが、この時の日本と中国の関係が分かる映像があります。
中国の当時の副首相だった小平さんが来日し、日産の座間工場を訪れました。
工場の技術や設備について詳しくたずね、同じような工場を建設することを考えていたといいます。
そして1979年に日本は中国へのODA、政府開発援助をスタートし、その後円借款、無償協力など、合わせて3兆6000億円あまりを支援し、中国経済の成長を後押ししました。
そして、その後、2010年、中国のGDPは日本を逆転し、2021年時点で日本のGDP、4兆9374億ドルに対し、中国は17兆7341億ドルと、その差は大きく開いています。

今後、両国はどのように係わっていくべきなのでしょうか。
番組では中国とゆかりのある日本人の青年を取材しました。
慶応義塾大学の三田キャンパス(東京・港区)で開催された講演会、「1972年から2072年」と題したもので、「日中関係のこれからの50年」がテーマです。
スピーチするのは両国の交流に係わる20代の若者です。
主催した日中学生会議は、1986年設立の団体で、これまで延べ5000人以上の学生に交流の場を提供してきました。
そこで活動する大学生の勝隆一さんは最近になり、ある言葉に違和感を抱いたといいます。
「僕たちの活動の目的は、日本と中国の関係を良くしていくことです。」
「それは言い換えれば「日中友好」です。」
「友好を打ち出していこうということだったんですね。」
「実際に今年の初めの方にそれをやりました。」
「するとどうでしょう。」
「中々、これが受けないんです。」
「非常にコアな層には熱く共感してもらえるんですけども、中々、日中関係を改善していこうという輪が広がらなかったんですね。」
「「友好」のために「友好」と言い過ぎない方が良いんじゃないかな。」

同じく、このイベントに参加していたのが社会人でイーストベンチャーズ株式会社の夏目英男さん(27歳)です。
夏目さんはこの50年を区切りとして、日中関係を新たな段階に移す必要性を訴えます。
「これまでの50周年は日中国交正常化してから安定の時代だったと思うんですよね。」
「で、この50年を機に、今後僕たち若者が何をしていくべきかとなった時に競い合う「競争」より共に創り上げる「共創」、そしてそれを機に日中新時代をつくる必要性があるなと思っていまして、・・・」

実は夏目さん、中国で19年間暮らしていました。
1995年、日本で生まれた夏目さん、家族と共に5歳の時中国・北京に移住しました。
2019年、中国、最高峰の精華大学大学院を卒業し、日本に帰国、現在、スタートアップ企業などに投資するベンチャーキャピタルで働いています。
夏目さんは次のようにおっしゃっています。
「僕が中国にいた時期が経済的にも飛躍的に成長を遂げていた時でありつつ、デジタル面でもかなり中国がモバイルネットワークの時期から急成長を遂げていた時なので、日本のスタートアップさんの方々でしたり、「中国のサービスってどうなっているの?」とか「中国の市場ってどういう市場なの?」みたいな時には(中国に19年間過ごした)経験がかなり生きます。」

これからは日本と中国の人材が手を組み、新たなイノベーションを生み出す時代だといいます。
「僕があらためて、なぜ日中が「共創」、共に創り上げていくべきかというと、日本のすごく繊細でモノづくりに対する想いはそこにある一方で、中国はスケール感や市場規模の大きさから人々にサービスを届けていくかという意味での戦略づくりはすごくうまいと思うので、そこの相互の強みを生かして、より良いスタートアップをつくり上げていくのは次の50周年に向けて出来ることじゃないかなとすごく思っています。」

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「今、ありましたように、経済関係の担い手は企業であり、そして一人ひとりの個人ですよね。」
「で、ただ、民間人ではどうしようもないこともある。」
「政治的、あるいは軍事的な緊張ということですね。」
「ちょうど国交正常化の40年の2012年、日本の尖閣列島の国有化をきっかけにして、中国側は激怒して反日デモが吹き荒れた。」
「で、その対日強硬策を主導したのがその後に総書記になる習近平氏なんですね。」
「(習近平国家主席は来月、党大会で異例の3期目に入るが、日中関係への影響について、)外交姿勢に影響しそうなのが、中国の経済の不振なんですね。」
「“3重苦”、ゼロコロナ政策、不動産不況、ハイテク企業への締め付け、こういうものがあって、日本企業が出来れば更に国内に投資をして欲しいと中国側は思っていると思うんですね。」
「(日本の民間企業はこうしたチャイナリスクに備えないといけないので中国への投資はと難しいと思うが、そうした中で国交正常化50年の節目に日中首脳会談が行われるかどうかについて、)11月にG20とAPECがASEANであるので、その時に米中首脳会談が成立するかどうか、それがあれば日中首脳会談も可能性がかなり高いと思います。」
「ただ台湾問題が最大の障害になると思いますね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

確かに中国で19年間暮らしていた夏目さんのおっしゃる以下の指摘は、次の50周年に向けての日中の民間企業が志向すべき方向性として望ましいと思います。
・競い合う「競争」より共に創り上げる「共創」を目指す
・これからは日本と中国の人材が手を組み、新たなイノベーションを生み出す時代である
・日本の繊細なモノづくりと中国のスケール感のある戦略づくりという、相互の強みを生かした「共創」により、より良いスタートアップをつくり上げていくことが出来る

一方で、原田さんの指摘されているように、日中関係における政治的、あるいは軍事的な緊張の糸を解いていくには、両国の政治家、中でも岸田総理と習近平国家主席がまずお互いに信頼関係を持つことから始まって、飽くまでも武力に頼らず、知恵を絞って外交的に問題を解決するという決意で臨んでいただきたいと思います。
そして、その際のキーワードを“共存共栄”だと思います。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.779 『”共存共栄”こそが究極の戦争リスク対応策』

なお、日中首脳会談は昨年11月17日に開催されましたが、お互いに主張すべきことは伝え合い、信頼関係の構築に向けて、第一歩は踏み出せたようです。(こちらを参照)

 
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2023年01月23日
アイデアよもやま話 No.5485 日中国交化実現の陰の功労者!
昨年9月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日中国交化実現の陰の功労者について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

1972年9月29日、同時の田中角栄総理大臣と中国の周恩来首相が北京で日中共同声明に署名しました。
中国と正式に国交を結んでから明日で50年です。
現在も多くの課題が山積している両国ですが、この関係を支え続けたのは民間の力でした。
今後、両国はどのような関係を築いていくべきなのでしょうか。

中国の“ゼロコロナ政策“による都市のロックダウンなど、企業活動の継続に支障をきたすケースが後を絶ちません。
帝国データバンクの調査によると、中国に進出する企業は1万2706社で(6月時点)、過去10年で最も少ないといいます。
現在、逆風が吹く中国ビジネスですが、これまで両国の間では様々な歴史があります。
都内に住む、元運輸大臣の森田一さん(88歳)は今から50年前、外務大臣だった大平正芳さんの秘書官を務めていました。
1972年、森田さんは当時の田中総理と大平大臣とともに中国を訪問しました。
森田さんは、国交正常化の実務交渉を任された大平大臣が国交のない時期に活発化した民間の経済交流を高く評価していたと振り返ります。
「大平大臣の頭の中にあるのは、日中国交正常化について、表面に出るのは自分だけども、実際上の力は自分以外の民間の人たちの努力が大きいんだという認識だったですね。」
「自分(大平大臣)が関わっていない、いろいろな交渉で日中間で良いことをしていると大平大臣は評価してたんです。」

最も大きかったのは1962年に合意した長期総合貿易に関する覚書、いわゆる「LT貿易」です、
合意によって日中双方に貿易事務所が設けられ、両国の貿易が本格化するきっかけとなりました。
ANAホールディングス(東京・港区)の芝田浩二社長は大学時代、北京の日本大使館に勤め、入社後も中国事業に携わってきました。


その芝田社長が尊敬する人物がANAの2代目社長、岡崎嘉平太さん(1897年〜1989年)です。
「LT貿易」の仕組みづくりを主導した張本人です。
岡崎さんは、国交正常化前に日中の関係改善に尽力し、当時の周恩来首相と信頼関係を築き上げました。
周首相は岡崎さんにある言葉を贈ったといいます。
「水を飲む時には井戸を掘った人のことを忘れない。」
「間もなく田中総理が中国に来られ、国交が正常化するが、その井戸を掘ったのは岡崎さんです。」

100回を重ねた中国への訪問、なぜ岡崎さんは中国と熱心に係わったのか、学生時代から中国人留学生との交流を深めていた岡崎さんは戦後、中国のある軍人に次のような言葉をかけられたといいます。
「恨みを捨てて、仲良くしようではないか。」
「一緒にアジアを良くしようではないか。」

同時のことについて、後に岡崎さんは次のようにおっしゃっています。
「日本が今、連合軍に属して、列強の一つになった」と言って威張っているけれども、長い将来を考えると、アジア全体の国、特に中国とむしろ仲良くしてアジア全体の開放をやらなければ、日本の将来も安泰ではないという考えを私はずっと持ち続けたわけなんですよ。」

ANAの芝田社長は岡崎さんについて、次のようにおっしゃっています。
「人と人との間の絆を大切にする熱い想い、情熱はその後もずっと我々後輩にしっかり受け継がれてきている。」

1987年、ANAは中国路線に初就航、就航日に90歳の誕生日を迎えた岡崎さんも搭乗したといいます。
80年代は経団連で両国の交流が加速した時期で、中国では改革開放路線が取られ、日本側は中国へのODA(政府開発援助)を強化しました。
その後、領土や現役総理の靖国参拝などを巡る問題で政治面での関係は悪化したものの、経済分野は拡大、両国の関係は“政冷経熱”と呼ばれました。
中国本土でのビジネスや進出企業の増加に合わせ、ANAグループは中国路線を拡大、新型コロナ前には11都市、週378便に達し、中国便は国際線で最多となりました。

両国の貿易総額をみると、2021年時点で50年前の1972年の11億ドルに比べて300倍以上の3495億ドルになっています。
岡崎さんのDNAを受け継ぎ、日中の人的往来を支え続けたANA、習近平国家主席も2015年5月23日に日中友好交流会の場(北京)で岡崎さんの功績を次のように讃えています。
「岡崎嘉平太氏ら、有識者は積極的に奔走し、多くの活動をしました。」
「日中友好の基盤は民間にあり、日中関係の前途は両国人民の手に握られています。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して思ったのは経済も政治も全ては相互の人とのつながり、あるいは信頼関係がベースになっているということです。
具体的には以下の通りです。

・国交正常化前に日中の関係改善に尽力された岡崎嘉平太さんが中国と熱心に係わったきっかけは、戦後、中国のある軍人に「恨みを捨てて仲良くしよう、一緒にアジアを良くしよう」と声をかけられたことにあるという
・その岡崎さんは、当時の周恩来首相と信頼関係を築き上げ、周首相は井戸を掘った人を例に岡崎さんに感謝の意を示した
・習近平国家主席も2015年5月23日に日中友好交流会の場(北京)で岡崎さんの功績を讃えていた

そして現在、残念ながら日中関係は“政冷経熱”状態から“政冷経冷”状態へと大きく様変わりしつつあるようです。
その元凶は習近平国家主席の唱える、アメリカを凌ぐ経済力、および軍事力による世界支配戦略にあるように思います。

一方で、今や日本の貿易総額、そして訪日客数に占める割合もトップは中国であり、民間における中国との係わりは無視出来ない状況です。
日本、および中国、双方の国民は国交正常化をきっかけに、これまで経済的に計り知れないほどの恩恵を受けてきたのです。
そして、この国交正常化に尽力されたのが岡崎さんであり、岡崎さんの生き方を変えたきっかけを与えたのが中国のある軍人の言葉だったのです。
なお、習近平国家主席も少なくとも2015年には日中友好の基盤は民間にあると認識されていたのです。

考えてみれば、アイデアよもやま話 No.2277 日中の経済関係にみる両国の友好維持の必要性!でもお伝えしたように、日中関係はこれまで紆余曲折があり、関係悪化の都度、心ある民間人、あるいは政治家の尽力によりハードルを越えてきたのです。
実は、戦前にも中国革命を企図した孫文に多額の資金援助をし、辛亥革命(こちらを参照)の成就に寄与した人物がいたのです。
それは、実業家で、日活の創業者のひとりでもあった梅屋庄吉さんです。(こちらを参照)

ということで、特に習近平国家主席には、先人の知恵に見習い、覇権主義ではなく良識に基づいた戦略に大きく方向転換をしていただきたいと思います。
同時に日本の政治家や日中の民間人もかつての良識のある中国のある軍人、そして日中の関係改善に尽力された岡崎さんや梅屋さんのことを思い返し、粘り強く、再び日中の友好関係を築くことに取り組んでいただきたいと思います。

 
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2023年01月22日
No.5484 ちょっと一休み その860 『富士通、新卒2年目で課長級抜擢!』
昨年10月27日(木)付けネット記事(こちらを参照)で富士通による新卒2年目での課長級抜擢について取り上げていたので内容の一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・富士通は若手社員を期間限定で管理職級に登用する制度を導入した。
・任期を基本1年として公募し、新卒2年目の社員を課長級に抜擢(ばってき)した。
・事業転換に若手の柔軟な発想を活用するため、年功序列を見直す人事制度が広がってきた。
・9月に課長級の役職「デザインアドボケート」を新設した。新卒1年目からを対象に社内公募で希望者を集めて、新卒2年目の社員1人を選抜した。学生時代にイベント企画の経験を積み重ねてきたことなどを評価した。
・課長職級の間は同等の給与を支払う。成果次第で任期延長の可能性もある。
・大企業では若手社員は上司の指示を受けて業務に取り組むのが通常で、自らが主体的に重要な意思決定に関与することは少ない。IT(情報技術)を使いこなした発信には10〜20代の「Z世代」の社員が持つSNSの活用能力や変化への対応力を引き出すことが欠かせないと判断した。
・重要な役割を与えられる前に離職するといったことを回避する狙いもある。
・富士通は2020年に本体と国内グループの管理職、22年にほぼグループ全体で「ジョブ型雇用」を導入し、管理職を社内公募で選考する制度に切り替えた。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

そもそも企業に限らず、組織は、管理者層とその管理下のもとで指示に従って働く一般社員層とに大別されます。
そして、技術革新のスピードが緩やかな環境においては、業務内容もそれほど急激な変化はないので、年功序列、終身雇用といった組織風土で対応してもそれほど組織効率には問題が起きません。

一方、現在のように、インターネットやAI、ロボットといったようなテクノロジーの進歩が激しい時代には、こうした革新的な技術を活用したビジネスを展開するうえで、従来の知識では大きなビジネスチャンスの波に乗って新たな成長のチャンスをものにすることは出来ないのです。
中でも、インターネットの威力は凄まじいものがあります。
なぜならば、今やインターネットを通して、世界中の人たちが様々な情報を瞬時に入手出来るからです。
ですから、ネット上でビジネス展開をすれば、世界中の人たちの潜在需要に応えることが出来るのです。
従って、潜在需要の膨大なビジネスをネット上で展開すれば、大量に、しかも短期間で売り上げを伸ばすことが可能になったのです。
こうしたネットのメリットを生かして急成長を遂げた典型例がGAFA、あるいはマイクロソフトやテスラのようなベンチャー企業です。
更に今は“メタバース”というキーワードのビジネスのニューフロンティアが展開されつつあります。(参照:アイデアよもやま話 No.5354 メタバースが変える世界 ー ”実在しない土地の価格が急騰”!
そして今後ともこうしたニューテクノロジーによるビジネスのニューフロンティアが次々に生まれてくるのです。

こうしたビジネス環境においては、年功序列、終身雇用といった組織風土では十分な対応が出来ませんし、対応するスピードも遅くなってしまいます。
従って、大きなビジネスチャンスに乗り遅れてしまうというわけです。
今、必要な組織風土は、いかに最新のテクノロジーを生かしたビジネスモデルを創造し、タイムリーに実現し、素早く世界展開出来るといったような要件を満たすものなのです。
富士通ではこうした要件を満たすべく、事業転換に若手の柔軟な発想を活用するべく、時代に即した優秀な社員であれば、新卒2年目でも課長級に抜擢するというような昇進制度を導入したわけですが、現状においては理に適っているのです。

なお、企業によっては、従来通りの年功序列、終身雇用といった組織風土をベースに今後も事業に取り組むところもあると思いますが、こうしたテクノロジーの変化の激しい時代にはいずれ組織風土を変えざるを得ない状況に追い込まれるようになると思います。

どんな時代においても、まず“ビジネスありき”で、“ます組織ありき”ではないのです。
組織は飽くまでも“ビジネスをより効果的に、あるいは効率的に”展開するための手段なのです。

 
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2023年01月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.781 『進化する非常食の課題!』
非常食についてはこれまで以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.1582 25年間保存出来る缶詰!

アイデアよもやま話 No.2818 ロングライフ食品の元祖、保存食も進化している!

アイデアよもやま話 No.5055 常温、常温でも120日間保存出来る豆腐!
そうした中、昨年9月1日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で進化する非常食について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

突然起こる災害、いざという時の備えに欠かせないのが非常食です。

東京・港区にある尾西食品株式会社、長期保存が可能なアルファ米を開発した非常食の老舗メーカーです。
その尾西食品が今日(9月1日)発売した商品について、伊藤秀朗商品開発部長は次のようにおっしゃっています。
「災害に役立つようにセットになっておりまして、アルファ米が1つ、それからレトルトの汁物が1袋、それとどこでも食べられるようにスプーンが1本ついております。」

水を入れるだけで食べることが出来るアルファ米と汁物のセット、「一汁ご膳」(けんちん汁・豚汁)、想定価格734円(賞味期間:製造から5年6ヵ月)です。
野菜がたっぷり入っているのが特徴です。
伊藤さんは次のようにおっしゃっています。
「非常食というのは、パンやご飯など、炭水化物が中心なものが多いので野菜が不足しがちと言われています。」
「それを出来るだけ解消すべく、そういった商品を目指しています。」

汁物をアルファ米に直接注ぐことで手元に水がなくても食事をすることが出来ます。
常温だと1時間ほど待てば完成、しっかり味が染み込んでいるといいます。

年々増加する非常食の市場、2021年度は前年度より20%以上伸びたといいます。(矢野経済研究所調べ)
尾西食品では今後も非常食の市場が伸びていくとみて、商品の種類などを更に増やしていく考えです。
伊藤さんは次のようにおっしゃっています。
「これまで非常食は自治体さんが中心の市場だったと思うんですけど、ここのところ災害も多くなってきて、一般のお客さんの関心も増えてきています。」

非常食をより身近にするための取り組みも行われています。
横浜高島屋(横浜市西区)の加納淳平さんは次のようにおっしゃっています。
「こちらは備蓄食を使って今回アレンジしましたパンが集積しているコーナーになります。」

横浜高島屋では非常食を食材として使った商品のフェアを初めて開催(9月6日まで)、乾パンを使ったデザートなどを販売しています。
加納さんは次のようにおっしゃっています。
「ただ単に備蓄食材を販売するだけでいいいかという疑問点から今回、こういったフェアを思いついた。」

「おはぎパン」では、パンの中のあんとして長期保存可能な羊羹を使い、更にアルファ米をパンの生地で包むことでおはぎの食感を再現しています。
今回、横浜の学生ベンチャー、株式会社ストックベース(StockBase)と連携しました。
ストックベースは、保存期限が迫って廃棄が必要になった非常食などを企業から引き取り、子ども食堂など必要な場所に届ける活動をしていて、今回のフェアの商品の一部にも期限間近の非常食が使われています。
ストックベースの関芳実代表は次のようにおっしゃっています。
「慣れていない食べ物なので食べるのに抵抗感があったりとか、こういったフェアをすることで一般の方にも手に取っていただいて、備蓄食の魅力、美味しさを知っていただくきっかけにしたいなと。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

非常食における尾西食品の取り組みを以下にまとめてみました。
・9月1日、アルファ米、レトルトの汁物、スプーンのセットを販売した
  水を入れるだけで食べることが出来る
  野菜がたっぷり入っている
  常温だと1時間ほど待てば完成、しっかり味が染み込んでいる
  想定価格734円
  賞味期間:製造から5年6ヵ月
・災害の増加などで年々増加する非常食の市場において、商品の種類などを更に増やしていく考えである

また非常食をより身近にするための取り組みについても以下にまとめてみました。
・横浜高島屋は非常食を食材とした商品のフェアを初めて開催し、乾パンを使ったデザートなどを販売している
・今回、横浜の学生ベンチャー、ストックベースと連携した
・そのストックベースは、保存期限が迫って廃棄が必要になった非常食などを企業から引き取り、子ども食堂など必要な場所に届ける活動をしている

こうしてまとめてみると、あらためて非常食における課題が浮き彫りになってきます。
・出来るだけ賞味期間を長くすること
・出来るだけ普段食べている食品の味に近づけること
・食べれるまでの時間は5分程度まで短くすること
・賞味期間が近づいてきた非常食について、以下のような有効活用を図ること
  横浜高島屋のように、非常食を食材とした商品のフェアの開催などにより、非常食の美味しさを広めること  
  ストックベースのように、必要な場所に届ける活動に取り組むこと

なお、こうした優れた特徴のある非常食は世界中の多くの難民の方々、あるいは食料難に苦しむ方々への支援活動の一環として、大きな貢献の可能性を秘めているのです。
ですから、国はこうした支援活動に向けて、強力なリーダーシップを発揮して欲しいと思います。

 
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2023年01月20日
アイデアよもやま話 No.5483 アジア脱炭素を巡る「ロードマップ合戦」!
昨年9月26日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアジアの脱炭素を巡る「ロードマップ合戦」について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今日、都内で脱炭素に向けた国際会合が開かれ、日本をはじめ東南アジアなどの閣僚らが参加しました。
実は今、東南アジアの脱炭素化を巡っては世界各国が主導権を握ろうと水面下で激しい駆け引きをしているのです。

都内のホテルで22ヵ国と国際機関が参加するアジアの脱炭素を進める国際会議、「アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合」が開かれました。
主催したのは日本の経済産業省です、
西村経済産業大臣は以下のようにおっしゃっています。
「日本のCO2排出を削減するクリーン技術は、欧州各国からもあらためて期待と注目が寄せられています。」

再生可能エネルギーの導入が遅れるアジアの新興国、国際エネルギー機関の調査では、東南アジアは2050年時点でもエネルギーの7〜8割を化石燃料が占めると見られています。
そのアジアがこぞって脱炭素に移行する時、巨大なマネーが動きます。
それを手にするのは誰なのか、そんな水面下の駆け引きを間近に見つめる通産省の幹部、舞台裏で何が起こっているのかについて、経産省 資源エネルギー庁 石油・天然ガス課の早田豪課長は次のようにおっしゃっています。
「実は今、アジアでは「ロードマップ合戦」と言っていいほどに、先進国がアジアに入り込んで、自分たちの産業に都合のいいロードマップを相手国政府にある意味提示をすると。」

通産省幹部が語る「ロードマップ合戦」とは何なのか、複雑な地形と気候のアジアでは風力資源など再生可能エネルギーのポテンシャルがASEAN諸国それぞれで違うため、一国一国ごとに脱炭素化へのロードマップが異なるのです。
そこに目を付けた先進国が自分たちの産業に有利になるような脱炭素のロードマップをアジア各国に売り込んでいるというのです。
早田課長は次のようにおっしゃっています。
「日本としてカーボンニュートラルに向けたロードマップ作りのサポート支援を是非させていただきたいと考えております。」

実際に経産省がある国に提案した脱炭素のロードマップでは理想的なエネルギー構成などが示され、それに必要な技術を交渉で売り込むといいます。
ここで強調されていたのは水素とアンモニアです。
主に肥料として活用されてきたアンモニア、今、燃やしてもCO2を出さない脱炭素のエネルギー源として注目を集めています。
そのアンモニアをエネルギーに変える技術を持つのが三菱重工です。
液化したアンモニアだけを独自のガスタービンで燃やし、発電、CO2ゼロのエネルギーを作る技術を開発しています。
三菱重工は今回の会議に向け、アンモニアを使った脱炭素技術をシンガポールの政府企業に売り込み、発電事業を共同で進めることで合意、経産省のロードマップに基づいて官民連携で臨んだ成果だといいます。
三菱重工業の正田淳一郎シニアフェローは次のようにおっしゃっています。
「まず発電から入り、陸の脱炭素を実現していきますけども、弊社は船舶エンジンもやっておりますので船舶(燃料)のアンモニア化を進めて、海の方でも脱炭素をしていくと。」

日本政府は、独自の脱炭素ロードマップに基づき、インドネシアやタイなどと協議を継続しているということです。
早田課長は次のようにおっしゃっています。
「こういうエネルギーのゲームチェンジが大きく、その地殻構造が変わっていくと。」
「エネルギーの地殻変動が起こってくるというのがこれからの新しいエネルギーの世界でありまして、それに対するファイナンスの支援とか、人材育成の支援とか、知見の共有とか、こういったものを全部合わせ技で日本としては提案をしていきたいと思っています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

地球温暖化は世界各国共通の問題です。
従って、国際的に協力しあって対応すべきなのです。
そうした中、今回ご紹介したアジアという地域内での取り組みとして「アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合」という国際会議が経産省主催で開催されたのはとても理に適っています。
なぜならば、再生可能エネルギーの導入が遅れているアジアの新興国では大量のCO2が排出されており、国際的に「2050年にはCO2排出量を実質ゼロにする」という目標が掲げられていますが、東南アジアは2050年時点でもエネルギーの7〜8割を化石燃料が占めると見られているからです。
一方、西村大臣がおっしゃっているように、日本にはCO2排出量を削減する優れた技術が沢山あり、その技術をアジア域内で展開することにより国際的な2050年の目標を達成する可能性が高まるからです。

なお、アジアがこうした脱炭素に移行する時、再生可能エネルギーへの投資に伴い、当然巨大なマネーが動きます。
ですから、先進国を中心に東南アジアの脱炭素化を巡って世界各国が主導権を握ろうと水面下で激しい駆け引きをしているわけです。
そして、アジアでは「ロードマップ合戦」と言われるように、先進国がアジアに入り込んで、自分たちの産業に都合のいいロードマップを相手国政府に提示している状況は決して悪いことではありません。
ASEAN諸国はそれぞれ複雑な地形や気候が異なり、再生可能エネルギーのポテンシャルがそれぞれで違うため、一国一国ごとに脱炭素化へのロードマップが異なるのです。
ですから、それぞれの先進国がASEAN諸国の一国一国ごとに脱炭素化へのロードマップを提示し、より低価格で、より効果的で、より安全で、といったように結果的により優れた脱炭素対策がASEAN諸国で取れればいいわけです。

そうした中、実際に経産省がある国に提案した脱炭素のロードマップでは理想的なエネルギー構成などが示され、それに必要な技術を交渉で売り込むといいます。
番組では、三菱重工によるアンモニアをエネルギーに変える技術について伝えていましたが、官民連携で是非「ロードマップ合戦」に勝ち抜いていって欲しいと思います。
その際、まず日本国内でこうした先進技術を実用化して実際に成果をあげ、実績に基づいたロードマップの提案がより説得力を増します。
そういう意味では、こうした取り組みと並行して、日本国内でのCO2排出量削減の成果が問われると認識すべきなのです。
そのためにも2050年と言わず、1日も早く日本国内の「CO2排出量を実質ゼロにする」という目標により一層近づけることが求められるのです。

 
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2023年01月19日
アイデアよもやま話 No.5482 東大で「メタバース工学部」が開講!
昨年9月23日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で東大によるで「メタバース工学部」の開講について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

インターネット上の仮想空間、メタバースを活用して東京大学が新しい教育体験の提供に乗り出しました。
東京大学の本郷キャンパスで今日開かれたのは東京大学が10月に開校する「メタバース工学部」の設立記念式典です。
ソニーグループやリクルートなど6社の協力のもと、メタバース空間を使って、社会人向けにAIや5G通信などの専門知識が学べるオンライン講座を提供します。
東京大学工学部長の染谷隆夫教授は次のようにおっしゃっています。
「アバター(分身キャラ)で学ぶことによって、プライバシーに対する十分な配慮が出来る。」
「従来のオンライン授業よりも、より率直な意見交換、あるいはライブ感のある意見交換が可能になると。」

また、社会人向けだけでなく、中高生は原則無料で工学の基本知識を学べる講座も用意されています。
この「メタバース工学部」、設立の背景にあるのは「工学系人材」の不足です。
染谷教授は次のようにおっしゃっています。
「DX人材が不足しているのは日本にとっても大きな問題だと思っています。」
「女性人材、あるいは文系の素養があり、工学やテクノロジーに興味を持っていただける方、こういう人材をもっと増やしていく必要があると。」

一方、協力企業、リクルートの柏村美生執行役員は次のようにおっしゃっています。
「データ活用に関しては特に日々の業務に直結する学びだと思いますし、また、これからの新規事業開発にも本当に欠かせないスキルなんですよね。」
「世代を超えて、エリアを超えて、多様な人材が一つの場に、メタバースの世界に集まるのはとても魅力で、化学反応が起きると思うんです。」

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱりデジタル時代に即した教育の進化だと思うんですよね。」
「で、遠隔地に住んでいたり、金銭的な負担があったりで、今まで出来なかった人たちがこういう簡易なやり方で手軽に出来るというのは非常に大きいと思う。」
「で、もう一つは、理工系の人材の学部の数の定員が日本は少ないんですよね。」
「もう一つは女性、これ志望者が少ない。」
「更にもう一ついうと、日本は職場、あるいは学校と家庭、この2つの空間が非常に時間を占めるんですけど、どちらでもない自由に活動出来るサードプレイスというところで学びを広げるという、これが使われれば、学びの場が広がると思うんですよね。」
「(日本はコロナ禍でリモート授業も徐々に広がっており、時間や距離の壁を越えられるようになったのは大きいと思うが、まだ日本は遅れているかという問いに対して、)日本でも大学が無料で授業をオンラインで公開するという、日本最大のオンライン大学講座「JMOOC」が始まっているんです。」
「ただ、まだ知名度が低いですし、あまり規模もおおきくなっていない。」
「で、もともとアメリカで「MOOC」というものがあって、数千万人規模の人が受けてるんですね。」
「ですので、今回の東大の工学部の動きをきっかけに、いろんな大学でこの取り組みが加速するということを期待したいですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまでメタバースについてはNo.5478 ちょっと一休み その859 『 ユーミンの新曲発表はメタバース内だった!』などで何度かお伝えしてきました。
メタバースは今や産業界のニューフロンティアと言えるほど、様々なかたちで社会に浸透されつつあります。
そして、今後とも関連企業の急成長が期待出来ます。
なお、メタバースの本質は現実と仮想現実との融合にあり、これまでのビジネスプロセスを再構築する可能性を秘めています。
従って今後、メタバース関連を中心に「工学系人材」の需要が急増することが見込まれます。
そうした中、東京大学が新しい教育体験を提供すべく、「メタバース工学部」を開講したことはとても理に適っています。
その内容を以下にまとめてみました。
・社会人向けにAIや5G通信などの専門知識が学べるオンライン講座を提供する
・アバターで学ぶことによりプライバシーに十分な配慮が出来る
・従来のオンライン授業よりも、より率直な、あるいはライブ感のある意見交換が可能になる
・中高生は原則無料で工学の基本知識を学べる講座も用意されている
・従って、誰もがいつでもどこでも無料で、あるいは比較的低価格で学ぶことが出来る
・また、世代を超えて、エリアを超えて、多様な人材がメタバースの世界に集まることにより化学反応が起きると見込まれる

なお、日本最大のオンライン大学講座「JMOOC」が以前から開講されており、歴史、統計学、プログラミング、心理学など、多岐に渡るジャンルの講座を学ぶことが出来ます。
ですので、原田さんも指摘されているように、今回の東大の「メタバース工学部」の開講をきっかけに、いろんな大学でこうした取り組みが加速することがより広範囲で、より質の高い講座内容につながると期待出来ます。
こうした中で「工学系人材」のみならず、工学系の基礎知識を理解した人材が増えることにより、メタバースがより早く社会に浸透し、私たちの暮らしがより豊かになると期待出来るのです。

 
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2023年01月18日
アイデアよもやま話 No.5481 AIで”手書き”を量産!?
昨年9月21日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で手書き”を量産するAIについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

人の筆跡をAIが学習して代筆してくれるサービス「手書きくん」をエスパリアール合同会社(東京都渋谷区)が15日から始めました。
仕組みは、事前に書いた文字を写真に撮ってメールで送るだけです。
AIが自動的に筆跡を覚え、3分ほどでAIが筆跡を覚えて書いた文章が出来上がります。
番組のフィールドキャスターが実際に体験してみると、自分で書いた文章がしっかり再現されているというほどの出来具合です。
同じ「す」という文字でも上の行と下の行では微妙に違いが再現されています。
このAIを使えば、手紙を1回書けば、何回でも同じ手紙が作れます。
実際に書くので、コピーと派違う“手書き感”が出るのです。

このサービス、15日に正式にスタートしたもので、年間15万枚の販売を目指します。
代表の濱田純哉さんは次のようにおっしゃっています。
「ご高齢の方で筋力が弱まっている場合、「代筆しました」というふうに書くお客様がいるんですけども、筋力が弱くなった人のために書いたり、そういう社会的に意義のあるものにしていきたいなと思っています。」

この「手書きくん」は、開発者の濱田さんが会社の仕事として何度も手書きの手紙を書いている時に思いついたということです。
現状は、沢山手紙を出さなければいけないような法人の方々がメインのクライアントだということです。
そして今、手紙は全文を書いてエスパリアール送らないといけないので、今後は文字数を少なくして、少ない文字からその筆跡の特徴を捉えていろいろな文章が書けるような改良を加えていきたいということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今や、年賀状など、やり取りするはがきや手紙の文章のほとんどはパソコンやスマホで入力した文字によるのが一般的です。
そうした中、たまに手書きの文字で書かれた書面を見ると、その人の人柄やありがたみが感じられます。
こうした手書きの良さから、ビジネス関連などの書面のやり取りの中で手書きの文字に触れることがたまにあります。
しかし、そのために忙しい中で沢山の手書きの文面を書くための時間を確保するのは大変です。
こうした要望に「手書きくん」のサービスは応えてくれるというわけです。

番組でも触れていたように、少ない文字からその筆跡の特徴を捉えていろいろな文章が書けるように「手書きくん」が改良されれば、かなりの引き合いが期待出来そうです。

しかし、一方で、こうしたサービスは本人に代わって文章を送り付ける“なりすまし”を可能にしますから、犯罪に利用される可能性が出てきます。
ですから、こうしたサービスには防犯対策が組み込まれることが求められるのです。

それにしても、AIは今やあらゆるところでの活用が広がっているように感じます。

 
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2023年01月17日
アイデアよもやま話 No.5480 最新の遺伝子検査サービスから分かること!
唾液による検査については、これまでアイデアよもやま話 No.4790 10分で新型コロナウイルス感染を判定!などでお伝えしてきました。
そうした中、昨年9月20日(火)付けネット記事(こちらを参照)で最新の遺伝子検査サービスから分かることについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

・2014年1月、日本で初めて個人向け遺伝子検査・解析サービスを開始した株式会社ジーンクエスト、代表取締役の高橋祥子氏が東京大学大学院の在学中に立ち上げた企業で「自らの研究成果を社会に還元したい」との思いが根底にある。
・2017年にはバイオベンチャー、ユーグレナの子会社となり、現在はオフィスをともにしながら活動している。
・ジーンクエストのサービスは単純明快である。Webで遺伝子解析キットを注文後にマイページに会員登録すると、自宅にキットが送られてくる。届いたキットに唾液を採取して郵送で返送すると4〜6週間後にマイページで解析結果を確認できる流れだ。
・検査項目は300以上、解析結果からは“勤勉さ”の傾向まで分かる
・同社のミッションは「遺伝子の研究を推進し、正しい使い方を広め、人々の生活を豊かにすること」。この考えのもと、同社では高品質のDNAチップ(こちらを参照)を採用した技術により日本人の遺伝情報に特化した解析を行ない、科学的根拠に基づいた論文に照らし合わせて検査結果を提供している。
・同社 取締役副社長の岩田修氏は「コロナ禍で自身の健康を自宅で確認したいニーズが増えたこと、そしてPCR検査や抗原検査が普及したことで以前にも増して遺伝子検査は身近なものになった」と話す。事実、緊急事態宣言が出された2020年春以降は急激なユーザー数の伸びを実感したという。
・「もともとは健康意識の高いユーザーが多かったが、最近では病気に対する予防の一環として気軽に遺伝子検査を受ける人たちが増加。唾液を採取して検査する習慣が一般化したため、ハードルが低くなったことも要因として挙げられる」(岩田氏)
・フルパッケージの「ジーンクエスト ALL」(こちらを参照)は3万2780円(税込み)と決して安くはない。しかし、かかるコストは購入時の支払いのみで、およそ1カ月に一度アップデートされる追加項目の検査結果はすべて無償で閲覧できる。項目は健康リスクと体質に大別され、2022年9月10日現在、健康リスクは125項目、体質は223項目を用意する。さらに祖先のルーツまで分かるのが特徴だ。
・健康リスクでは2型糖尿病、高血圧症、がんなどの生活習慣病から、インフルエンザ感受性、花粉症アレルギー性鼻炎などピンポイントの項目までをそろえた。体質に関してはBMI(体格指数)、アルコールとニコチンの共依存、95歳以上まで生きる可能性などに加え、好奇心、協調性、勤勉性といった性格に関わるものまである。
・「健康リスクでは、各個人がどのような疾患にかかりやすいかを提供している。リスクの高い順にリスト化して表示しており、その上で各疾患の予防のためにできるアドバイスを見ていただく。これにより、各個人の健康管理に役立ててもらうのが狙いだ。
・体質で分かるのは生まれつきの傾向。例えばダイエットならば脂質の代謝が苦手かどうか分かる。性格に関してはエビデンスのある論文を参照し、そこに掲載されたアンケートやグループワークなどからの定性データをもとに結果をお返ししている。
ただし、遺伝要因によるリスクはあくまで平均で3割程度。残りの7割は環境要因であり、仮に大腸がんにかかりやすいとの結果が出たとしても、コントロールすればしっかりとケアできる。逆に結果に安心して暴飲暴食してしまえばリスクは高まってしまう。あくまで行動変容のきっかけであり、その裏付けとして本サービスを利用してほしい」(岩田氏)
・サービス開始から8年を経て、会員数は約10万人規模を実現。健康が気になる40〜50代がメインだが、年齢・性別を問わずに裾野が広がり、20代のユーザーも増えてきた。
「若い世代は自分の代謝傾向を知ることでダイエットに活用いただくケースが多い。また、お酒が強い、弱い傾向を若い頃から知ることも大事。無理して飲むと体内に毒が残りやすいので、結果的にがんになりやすい。いくつかタイプがあるものの、喫煙と飲酒量が増えた場合は食道がん、胃がんのリスクが100倍以上になるとの統計もある」(岩田氏)
・検査サービスと並行し、匿名化した会員の遺伝子情報やアンケート情報を企業やアカデミアとの共同研究に活用。これまでの共同研究先には、アステラス製薬、武田薬品工業、ライオン、伊藤園、東京大学、東北大学などがある。まだ速報版の段階だが、最近では健康リスクの項目に新型コロナワクチン副反応の傾向を追加した。これは東北大学研究チームとの共同研究成果を反映したものだ。
・また、2021年2月からは薬局連携サービスの実証実験がスタートした。解析結果を薬局に提供して、個人差が生じやすい効果や副作用の現れ方(薬物応答性)の判断に役立てるもので、ユーザーは無料のオプションサービスとして利用できる。「親会社のユーグレナには薬剤師の社員もいる。連携を深めてサービスを進めていく」と岩田氏は語る。
・「日本は世界に先駆けて高齢化が進む。超高齢社会に突入する2025年問題も目の前に来た。理想は遺伝子検査が定期健診に組み込まれて、国民の皆さんに受けていただくこと。そうすれば、若いうちからどんな病気になりやすいか、体質も含めて傾向がつかめるからだ。それによって健康寿命が延びれば、生活の質を落とさずに長く暮らすことができ、介護の負担軽減や医療費の削減などにも寄与する。これからも、社会全体の課題解決につながるようなアクションを起こしていきたい」(岩田氏)

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今回ご紹介したジーンクエストによる日本で初めての個人向け遺伝子検査・解析サービスですが、その内容について以下にまとめてみました。
・Webで遺伝子解析キットを注文後にマイページに会員登録すると、自宅にキットが送られてくる。
・届いたキットに唾液を採取して郵送で返送すると4〜6週間後にマイページで解析結果を確認出来る。
・検査項目は300以上、解析結果からは“勤勉さ”の傾向まで分かる
・フルパッケージの「ジーンクエスト ALL」は3万2780円(税込み)だが、かかるコストは購入時の支払いのみで、およそ1カ月に一度アップデートされる追加項目の検査結果はすべて無償で閲覧出来る。
・項目は健康リスクと体質に大別され、2022年9月10日現在、健康リスクは125項目、体質は223項目を用意する。さらに祖先のルーツまで分かるのが特徴だ。

自分の唾液を採取して郵送するだけで、これだけの検査が受けられるというサービスはまさに画期的と言えます。
また、その価格は3万2780円(税込み)といいますが、同社の公式ページには33%引きの2万1780円(税込み)と表示されています。(このブログの投稿時)

この価格だとすぐに自分をこのサービスを受けてみたいというわけにはいきません。
しかし、岩田さんがおっしゃっているように、遺伝子検査が定期健診に組み込まれて、国民全体がこのサービスを受けることが出来るようになれば、国民の健康管理は格段に向上します。
その結果、介護の負担軽減や医療費の削減などにも寄与します。

ということで、国にはジーンクエストに価格を1万円以内に抑えるように値下げ交渉をし、定期検診に組み込むことを検討していただきたいと思います。
一方で、ジーンクエストには是非多くの潜在需要が期待出来るこのサービスを世界展開していただきたいと思います。

ちなみに「ジーンクエスト ALL」はネット、および郵送を介するだけでサービスが完結します。
ですから、あらためて思うのはネット社会のコミュニケーションインフラとしての凄さです。
今や、私たちはネット通販を通して、いつでも、どこからでも世界中のどんな業者からでもモノやサービスを購入することが出来ますが、これはとても凄いことだと思います。

 
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2023年01月16日
アイデアよもやま話 No.5479 開発が進む海藻の育成技術!
昨年9月19日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で開発が進む海藻の育成技術について取り上げていたのでご紹介します。 

太平洋を望む神奈川県葉山町、そこにゼネコン大手、鹿島建設の技術研究所があります。
地球環境・バイオグループの林文慶上席研究員は次のようにおっしゃっています。
「これはカジメという海藻で、葉山に生息する海藻です。」
「今回はどの時期でもこういう海藻を生産出来る技術を開発しました。」

鹿島建設は国内で初めてという大型海藻の大量培養技術を確立しました。
なぜこうした研究を行っているのかについて、林さんは次のようにおっしゃっています。
「水温の上昇とか、それによって海の環境も大分変化しています。」
「保全していくためにも、あとは生物多様性ですね。」

海藻が無くなり、砂漠のようになる“磯焼け”が全国各地に広がり、生態系が崩壊するなど、大きな問題になっています。
その解決へ向け、研究開発を行っていました。
オスとメスの海藻の種を別々に管理、無菌状態にし、独自の温度管理をすることで長期保存が可能となりました。
特殊な交雑方法でいつでも大量に海藻を育てることが出来るといいます。

2021年11月、葉山町沿岸部で実証実験が行われ、小さな海藻を植え付けたユニットを海に入れました。
およそ半年後の6月、海の中では大きく成長した海藻の姿がありました。
3年をかけ、この技術を確立、実はこの技術に力を入れるもう一つの理由について、林さんは次のようにおっしゃっています。
「やはり陸上の森林だけではCO2の吸収に限界がありますので、こういった海藻はCO2の吸収とか、確認されていますので、ブルーカーボンというキーワードがありますけども、増々CO2の貯留としての役割が大きいと思います。」

森林など陸上で吸収するCO2をグリーンカーボンと呼ぶ一方で、海でも海藻などによりCO2はされていて、それをブルーカーボンと呼びます。
その吸収量は、グリーンカーボンが年間19億トンに対し、ブルーカーボンは25億トンにも上ると言われています。

このブルーカーボンに取り組む企業が他にもあります。
大手鉄鋼メーカーのJFEスチール(川崎市川崎区)、工場の敷地内には2万トンほどの鉄鋼スラグが積まれています。
鉄を作る過程で出来る副産物の鉄鋼スラグ、主に道路やセメントの材料などに使われています。
JFEスチールでは、これを加工し、海藻の育成に活用しているのです。
鉄鋼スラグの特徴について、JFEスチール スラグ事業推進センターの宮田康人主任部員は次のようにおっしゃっています。
「ちょっと表面がゴツゴツ、ザラザラしたところで、海藻の幼生が付着し易いと。」

更に鉄鋼スラグの鉄分も海藻の育成に良い影響を与える可能性があるとしています。
2021年11月、実証実験を行った静岡県南伊豆町の海、海底にあるのは鉄鋼スラグで出来たブロック、そこから海藻が育ち、環境が改善されました。
宮田さんは次のようにおっしゃっています。
「(日本は)海岸線が長いという特徴からブルーカーボンを進めていくのは非常に有益ではないかと考えております。」
「製造メーカーとして(カーボン)クレジットに寄与していくと。」

カーボンクレジットはCO2など温室効果ガスの排出削減効果を数値化し、取引出来るようにしたものです。
今後、海藻などを育てることによって、海に吸収されたCO2をクレジットとして取り引きすることも可能になるといいます。

実際に国内ではブルーカーボンクレジットが動き始めています。
ブルーカーボンのクレジットを認証・管理しているジャパンブルーエコノミー技術研究組合では2021年に実験的に4件のクレジットを発行し、取引が行われました。
ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の桑江朝比呂理事長は次のようにおっしゃっています。
「漁業協同組合、あるいは自治体とかが連携して地元の海での、例えば藻場の喪失(からの回復)とか、そういったことに関する認証でした。」
「それに対して、購入者側は大体30社ぐらいの購入がありました。」

大手海運会社や保険会社、商社などがクレジットを購入しました。
1トン当たり平均7万2000円で取引されました。
日本の温室効果ガスの排出量は2020年度で11.5億トン、政府は2050年に排出量実質ゼロを目指していて、今後、このブルーカーボンの市場は重要性を増していくといいます。
桑江さんは次のようにおっしゃっています。
「実際には(1トン当たり)5万円とかを目指したいし、5000万トンレベルでの吸収を理想として目指したい。」
「兆を超えるような市場規模になり得るっていうことになるんですね。」

このブルーカーボンクレジットについて、森林と比べて海の中のためCO2の吸収量を測定するのが難しいという課題があります。
将来的には、この測定技術が確立すれば、市場の拡大が期待出来るということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

環境問題を巡っては、地球温暖化に伴う干ばつや洪水などの被害が世界的に増大傾向にあります。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.777 『世界に広がる干ばつや洪水の被害とそのリスク対応策』
そうした中、海藻が無くなり、“磯焼け”が全国各地に広がり、生態系が崩壊するなども大きな問題になっているのです。
そこで、こうした問題の解決策として、鹿島建設は国内で初めてという大型海藻の大量培養技術を確立したのです。
その効果は以下の通りです。
・海藻がCO2を吸収するので、その分地球温暖化を阻止出来る
・生態系の崩壊を阻止出来る

一方、JFEスチールでも鉄を作る過程で出来る副産物の鉄鋼スラグを加工し、海藻の育成に活用する取り組みを進めています。
その効果は以下の通りです。
・海藻の幼生が付着し易い
・鉄鋼スラグの鉄分は海藻の育成に良い影響を与える可能性がある

なお、森林など陸上で吸収するCO2をグリーンカーボンと呼ぶ一方で、海藻などで吸収するCO2はブルーカーボンと呼ばれています。
そして、これまで主にグリーンカーボンに世界的に注目が集まっていました。
しかし、CO2の吸収量はグリーンカーボンに比べてブルーカーボンは1.3倍と多いのです。
ですから今回ご紹介した鹿島建設の取り組みはCO2排出量の削減に向けてとても重要なのです。

さて、カーボンクレジットはこのような取り組みを後押しする有効なシステムと言えます。
今後、海藻などを育てることによって、海に吸収されたCO2の量をクレジットとして取り引きするが可能になるからです。
更に政府は2050年にCO2などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロすることを目指していますから、今後、このブルーカーボンクレジットの市場は兆を超えるような市場規模になると見込まれています
こうした中、実際に国内ではブルーカーボンクレジットが動き始めています。

ここで一つ、思いついたことがあります。
それは、鹿島建設とJFEスチールによる海藻の育成を事業目的とした合弁会社の設立です。
両社の技術の組み合わせによって、より効率的に、かつ効果的に海藻の育成を図ることが可能になるからです。
そしてブルーカーボンクレジットの恩恵に被ることも出来ます。

ということで、ブルーカーボンクレジットにはCO2の吸収量の測定困難という課題がありますが、新たな市場の規模の大きさから、近い将来この測定技術は確立され、大きな市場の実現が期待出来ます。

 
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2023年01月15日
No.5478 ちょっと一休み その859 『 ユーミンの新曲発表はメタバース内だった!』
今や、いろいろな分野でメタバースによるコミュニケーションが登場してきています。
そうした中、昨年9月22日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でユーミンによるメタバース内での新曲発表について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

シンガーソングライターのユーミン、こと松任谷由実さんが新曲のミュージックビデオをNTTドコモが提供する仮想(バーチャル)空間、メタバース内で発表しました。

今年、デビュー50周年を迎えたユーミンがマイクを片手に声を吹き込んでいるのがメタバース内の分身となる、いわゆるアバターです。
大勢のファンたちもアバターとしてイベントに参加、ユーミンとの交流も行われました。
更にこの空間の奥の方へ進んでいくと、スクリーンに流れていたのは新曲ミュージックビデオ、50年前の荒井由実時代の声を最新のAIを使って再現し、新曲をデュエットするという、初めての試みです。
そして、メタバースでは本人同士の競演も。
初のメタバース内でのイベントを終えたユーミンは次のようにおっしゃっています。
「もどかしい部分はあったんですけれど、こうやってバーチャルな空間でコミュニケーションが取れるという実感はすごく持ちました。」
「ライブとしては(観客)数は無限ですし、全く違う楽しみ方が出来るんじゃないかなと思います。」

一方、イベントを仕掛けたアルバムの制作ディレクター、団野健さんは次のようにおっしゃっています。
「今でも若い子は(仮想空間が)当たり前だと思っているんじゃないですか。」
「若い子たちに常に聴いていただきたいですし、新陳代謝をしていくのがユーミンの楽曲のいつものテーマというか、メタバースはぴったりですよね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、ユーミンは昨年の大みそか恒例の紅白歌合戦でも新曲「Call me back」を披露し、史上初の本人同士の“共演”を果たしました。
私も紅白歌合戦でこの曲を聴きましたが、常にチャレンジ精神を持ち続けるユーミンのパワーをあらためて感じました。
また、バーチャル空間の若かりし頃の荒井由実の顔の表情は多少ぎこちなさを感じましたが、現在の声のユーミンとバーチャル空間の若かりし頃の声の荒井由実との共演は多くの国民に音楽界におけるバーチャル空間の活用の一端を知らしめることに貢献したと思います。

また、デビュー50周年の昨年はベストアルバム「ユーミン万歳!」を発売し、週間1位を獲得。1970年代から2020年代まで6つの年代全てで、音楽チャート1位を獲得する偉業を成し遂げるなど、ユーミン健在を力強く印象づけた年だったといいます。(こちらを参照)
このようにユーミンはシンガーソングライターとして、その時代、時代の人々の想いの一端を楽曲を通して映し出し、視聴者に共感を与える人物の一人だと思います。

なお、アイデアよもやま話 No.3385 今は亡きhideについて その1 テクノロジーの進歩により幻の楽曲が完成!でもお伝えしたように、今やテクノロジーの活用により、既に亡くなった人物でもバーチャル空間で生き返らせることさえ可能な時代に入っているのです。
ですから、メタバース空間、あるいはバーチャル空間と現実との組み合わせではまだまだ私たちの思いつかないような様々な取り組みが多くのベンチャー企業により次々に生まれてくると期待出来ます。

 
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2023年01月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.780 『エネルギー自給率と為替の関係から見えてくること!』
原発の再稼働について、これまでアイデアよもやま話 No.5374 原発再稼働をどう考える?プロジェクト管理と日常生活 No.773 『原発再稼働の課題とその対応策』でお伝えしてきました。
そうした中、昨年9月1日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でエネルギー自給率と為替の関係について取り上げていたのでご紹介します。

番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川眞一さんは次のようにおっしゃっています。
「(原発の新設が進まないとなると、原発の再稼働が現実的なのかという問いに対して、)原子力規制委員会が規制基準に適合していると判断した原子力発電所については順次再稼働していくと。」
「その中で建て替えや新設をどうするかということを国の方針としてもきっちり考えていく必要があると思いますね。」
「(ただエネルギーの少ない日本としては安定的にエネルギーを確保することがどれだけ大事かということをウクライナのことで分かりましたが、)新型コロナもありましたし、ウクライナの問題もあって、世界的にエネルギー価格が高騰している中で主要国の関係でみると(こちらを参照)、エネルギー自給率とロシアがウクライナに侵攻した2022年の2月24日からの為替の動きを各地域で見ると、エネルギー自給率の高い国は対ドルで価格変動が少なくなっているんですね。」
「ここには載せられなかったんですけども、例えばノルウェーはエネルギー自給率が727%なんですけども、対ドルでは12.5%、この間ノルウェー クローネは価格が上がっています。」
「(一方、)日本は自給率11%しかなくて、主要国の中で最も低いです。」
「その分、円は売られていると。」
「17.5%売られているんですね。」
「ですから、やはりエネルギー安全保障というのは単に経済だけでなくて国力にも大きく係わる問題になってきますので、エネルギーミックスをどうしていくのかについて、ここで更に検討をしっかりし、確かな方針を決めていかなければいけないと思いますね。」
「(安全に、安定して、そして採算もあうというようなところで国がどうエネルギー政策を立てるのかということではという指摘に対して、)そうですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

まず番組を通してあらためて感じるのは、日本のエネルギー自給率が主要国の中で最も低い11%ということです。
現在も進行中のロシアによるウクライナ侵攻や中国による台湾進攻に対する懸念など、世界情勢は不安定要因に欠きません。
従って、世界的に化石燃料のサプライチェーンが危うい状況であり、輸入依存度の高い日本はエネルギー安全保障の観点から、特に価格の上昇において私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしているのです。
更に供給量の確保といった面においても不安材料を抱えているのです。
更に、市川さんが指摘されているように、エネルギー自給率の低さは経済だけでなくて国力にも大きく係わる問題なのです。
ただし、為替の変動は日本の低金利政策による日米の大きな金利差がエネルギー自給率の低さより大きく影響するのも確かです。

ということでプロジェクト管理と日常生活 No.773 『原発再稼働の課題とその対応策』でもお伝えしたように原発再稼働、あるいは安全性の高い新型原発の開発、更には革新的な再生可能エネルギーの開発をどう進めるのか、エネルギーミックス、すなわち電源構成の最適化に沿った電力の安定的供給、および電気料金の安定化が喫緊の国家的に重要な課題なのです。

 
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2023年01月13日
No.5477 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その3 賑わいを見せる宇宙関連ビジネス!
今や、宇宙ビジネスが産業界のニューフロンティアとして注目を集めています。
そして、これまでアイデアよもやま話 No.4707 ロケットの洋上打ち上げで宇宙ビジネス拡大へ!などでご紹介してきました。
そこで、3回にわたって日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例についてご紹介します。
3回目は、昨年12月12日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、賑わいを見せる宇宙関連ビジネスについてです。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今、日本の企業が宇宙ビジネスに続々と参入していて、国も支援に本格的に乗り出しています。

昨日の日本時間、午後4時半過ぎ、アメリカのフロリダ州から打ち上げられた、独自に開発された月面着陸船、日本の宇宙ベンチャー、株式会社ispace(アイスペース)が月への着陸を目指すプロジェクトです。
民間企業としては世界で初めてとなる月面着陸を目指します。
打ち上げから約50分後には、打ち上げ用ロケットから着陸船の切り離しにも成功しました。
ispaceの袴田武史CEOは次のようにおっしゃっています。
「この我々の打ち上げが民間での月の探査をする、世界で初めてのミッションになっていきますので、素晴らしい打ち上げが実行出来て。本当にうれしく思っております。」

来年4月頃に月に到着する予定で、成功すれば民間企業としては世界初、見据えるのは地球から月への輸送ビジネスの実現です。
袴田CEOは次のようにおっしゃっています。
「宇宙に経済が出来ていって、産業としてしっかりと確立していくことが重要だと。」
「技術だけではなく、資本と経営をしっかりと両立をさせていくことが自分自身の非常に大きな関心でして、世界の宇宙の産業に貢献出来るような立ち位置にしていきたい。」

今回の打ち上げについては、自動車メーカーのスズキなど、複数の民間企業がサポート、中には三井住友海上火災保険による月保険もあります。
航空宇宙ユニット長の林洋史さんは次のようにおっしゃっています。
「今回の打ち上げに合わせて、世界で初めての月保険を開発いたしました。」

この月保険は、打ち上げから月面探査まで様々な段階で起きたトラブルに対応するというものです。
林さんは次のようにおっしゃっています。
「宇宙に挑戦する企業がどんどん増えてくるということであれば、それを支援する我々もビジネスチャンスといううえでも非常に大きな魅力を感じている。」

今、宇宙関連ビジネスが賑わいを見せています。
今日、都内で宇宙ビジネスに取り組む企業が技術を披露しあう展示会「NIHONBASHI SPACE WEEK2022」が開催され、参加団体は昨年よりも5割近く増えました。
中でも注目されていたのは、前回ご紹介した株式会社デジタルブラストで開発中の国内初の商業宇宙ステーションです。(参照:アイデアよもやま話 No.5476 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その2 日本初の独自宇宙ステーション建設!

現在、約30兆円規模の世界の宇宙産業の市場(こちらを参照)、2040年までには100兆円規模に成長すると見られています。
国も民間企業の支援に乗り出しています。
今日、行われていたのは経済産業省(経産省)とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が共同で開催したコンペ、1位の賞金は1000万円、懸賞金を出すのは政府が係わる事業としては初めてです。
条件には、経産省が開発したTellus(テルース)を使うこと、衛星で得られた様々なデータ(光学や気象、標高など)を高速処理し、無償で企業などに提供される衛星データのプラットフォームです。
株式会社Synspectiveが提案した内容について、同社の小串聡彦さんは次のようにおっしゃっています。
「船舶混雑、コンテナ混雑、トラック混雑の3つを通じて、想定顧客に売っていくと。」

悪天候で雲がかかっても気象を観測出来る独自の画像解析技術を使い、船舶やトラックなどの港湾における輸送の混雑状況を常に把握し、スムーズな物流をサポートします。
この企業は港湾部門で2位に選ばれ、500万円を獲得しました。
小串さんは次のようにおっしゃっています。
「これまで使われていなかった衛星データが今後使われるようになって、ソリューションもどんどん出てくると新しいサービスが出て、産業自体の構造が少しずつ変わっていく。」

株式会社SPACE SHIFT(スペースシフト)が発表したのが災害時に活用出来るシステムです。
大規模な洪水の時、衛星データを活用して浸水域をAIで自動解析、道路情報や工場、住宅、商業施設の情報を重ねることで、被害状況をリアルタイムに可視化して提供するというものです。
災害部門で、見事1位を獲得、衛星のデータ解析では日本は世界に後れをとっていない分野だといいます。
スペースシフト 事業開発部の川上勇治部長は次のようにおっしゃっています。
「SAR(こちらを参照)衛星、レーダー衛星は人の目で見ると中々解析は難しいというとこで、ここに特化して解析している会社はまだ世界でもそんなに多くないと思いますので、まだまだ優位性は世界で十分に戦える。」

宇宙ビジネスを巡っては、今、国同士の競争が激化しています。
日本政府も今後、発展が見込まれる宇宙ビジネスを国としてバックアップしていく考えです。
NEDOの久木田正次理事は次のようにおっしゃっています。
「(宇宙ビジネスに関して、)これまで中々安全保障として大きな声で実施してこなかったところなんですね。」
「これは何となく防衛とか内々でやってきた。」
「ただし、経済安全保障という意味で、これ(宇宙産業)は今から大きなうねりになるのではないかと思います。」

NEDOに注目している解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「予算ですよね。」
「研究機関であるNEDOなんですけど、これまで年間予算約1500億円だったわけでしょ。」
「それがここにきて基金という格好で約3兆円がドンとついてますよね。」
「要するにDX(デジタルトランスフォーメーション)でしょ。」
「半導体、そして経済安全保障といったような極めて重要な戦略分野にNEDOが位置付けられているということですよね。」
「その意味で、いろんな研究に対してコンペをやっていくのは今後の戦略性という意味で重要になってくるんじゃないでしょうかね。」
「(お金を有効に使っていくためにもコンペのような懸賞金型の工夫をしていくことの必要性について、)そうですね。」
「3兆円、宝くじに当たったような感覚じゃ困るので、有効に使ってもらいたいですね。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、個々の宇宙ベンチャー関連ビジネスについて以下にまとめてみました。
(ispace)
・地球から月への輸送
・月面探査による新たな資源の獲得
・新たな月保険の誕生

(Synspective)
・悪天候でも気象を観測出来る独自の画像解析技術を使い、船舶やトラックなどの港湾における輸送の混雑状況を常に把握し、スムーズな物流をサポート

(SPACE SHIFT)
・大規模な洪水の時、衛星データを活用して浸水域をAIで自動解析、道路情報や工場、住宅、商業施設の情報を重ねることで、被害状況をリアルタイムに可視化して提供

こうして3回にわたって宇宙ベンチャー関連ビジネスをみてくると、その内容は以下に大別出来ます。
・人工衛星
・衛星データの解析
・輸送ロケット
・宇宙ステーション
・月など他の惑星での資源開発
・火星など他の惑星への移住

まだ宇宙ビジネスへの取り組みは歴史が浅いですが、2040年までには100兆円規模に成長すると見られていますから、これからも宇宙ベンチャーは次々に登場してきて百科騒乱が見込まれます。

そうした中、日本政府もこうした状況に対応すべく、宇宙ビジネスに年間3兆円の予算を基金として準備するということは、その本気度がうかがえます。
滝田さんも指摘されているように、宇宙関連ビジネスにこの基金が有効に活用され、ビジネス全体の活性化につながっていって欲しいと思います。

 
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2023年01月12日
アイデアよもやま話 No.5476 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その2 日本初の独自宇宙ステーション建設!
今や、宇宙ビジネスが産業界のニューフロンティアとして注目を集めています。
そして、これまでアイデアよもやま話 No.4707 ロケットの洋上打ち上げで宇宙ビジネス拡大へ!などでご紹介してきました。
そこで、3回にわたって日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例についてご紹介します。
2回目は、昨年12月8日(木)付けネット記事(こちらを参照)を通して、日本のベンチャー企業による日本初の独自宇宙ステーション建設計画についてです。
なお、日付は全て記事掲載のものです。

・日本の宇宙ベンチャー「DigitalBlast(デジタルブラスト)」(東京都千代田区)が、独自の商用宇宙ステーション建設を計画していることがわかった。米国では民間企業数社が建設計画を公表しているが、日本企業による構想が明らかになるのは初めて。
・12日に東京都内で開催される宇宙関連イベントで同社が発表する。建設費用は総額3000億〜5000億円と見積もっており、協力企業などを募る。国際宇宙ステーション(ISS)は2030年で運用を終える見通しで、「ポストISS」を見据えて30年以降の完成を目指す。
 同社によると、新ステーションは地球低軌道(高度400〜500キロ)を周回。ISSの日本実験棟「きぼう」(長さ約11メートル、直径約4メートル)の7割程度の大きさの円筒形のモジュール(構成パーツ)を三つ組み合わせた設計にする。30年までに一つ目のモジュールを打ち上げる計画だ。
 三つのモジュールは、実験棟▽居住機能などを備えるコアモジュール▽エンターテインメント棟――とする。実験棟は官民が宇宙実験の場として有償利用できる。エンタメ棟は、宇宙と地上をつなぎ、定額で動画などの配信を地上で受けられるサブスクリプションサービスを展開する。
 運用経費は年間6000億円と試算しており、新ステーションを活用した事業から捻出する。将来的には小惑星探査機などの発着点として活用し、持ち帰った試料の貯蔵や実験場所としての利用も想定している。
 同社はこれまで、人工的に重力を発生させて宇宙で植物を栽培する実験装置の開発などに取り組んだ。11月には宇宙旅行事業などを手がける米宇宙ベンチャー「アクシオムスペース」と協力関係も築いた。
 デジタルブラストの堀口真吾・最高経営責任者(CEO)は「日本の民間会社が宇宙ステーションを建設することで、国内の宇宙利用の自由度が上がる。日本が保有している技術も生かせるはずだ」と意義を強調した。
 世界の宇宙ステーションはISSが中心だったが、老朽化が進んだことなどを理由に、米国は30年で運用を終える計画で、日本も追随した。一方、中国は11月に独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させた。米国でも「ブルーオリジン」など複数の宇宙企業が20年代後半に新たな商用宇宙ステーションを建設する予定だ。
 文部科学省の担当者は「日本でも民間企業が主導して宇宙ステーションを建設する動きが出たことを歓迎したい。宇宙利用が活性化されることを期待している」と話した。

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

また、昨年12月12日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもこの商業宇宙ステーションについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今日、都内で宇宙ビジネスに取り組む企業が技術を披露しあう展示会「NIHONBASHI SPACE WEEK2022」が開催され、参加団体は昨年よりも5割近く増えました。
中でも注目されていたのは株式会社デジタルブラストで開発中の国内初の商業宇宙ステーションです。
堀口真吾CEOは次のようにおっしゃっています。
「例えばですけども、宇宙でのスタジオであったりとか、(そこから)中継をしたり、宇宙と地上をVR(仮想現実)でつなぐような空間をこちらで再現する。」

今後、協力企業を募って資金を確保し、2028年までに最初のモジュールの打ち上げを目指します。
「これまで国際宇宙ステーションは国際的な規則に従っていたので、自由に使おうと思ってもNGが出てしまうということがあったんですね。」
「(民間主体ならば)自由な使い方が出来るというところで、ビジネスとして展開するうえで幅が広がると。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

なお、デジタルブラストの公式ページには以下の記述があります。

“宇宙に価値を”提供するため常に挑戦し、宇宙産業の変革を実現していきます。

そこで、日本企業による構想が明らかになるのは初めてという、デジタルブラストによる商用宇宙ステーションで展開予定のビジネスについて以下にまとめてみました。
・小惑星探査機などの発着点として活用する
・小惑星探査機などが持ち帰った試料の貯蔵や実験場所として利用する
・植物工場を建設する
・米宇宙ベンチャー「アクシオムスペース」と協力し、宇宙旅行事業などを手がける
・スタジオ中継をする
・宇宙と地上をVRでつなぐような空間を再現する

なお、世界の宇宙ステーションはISSが中心でしたが、老朽化が進んだことなどを理由に、2030年で運用を終える計画です。
一方、中国は昨年11月に独自の宇宙ステーション「天宮」を完成させました。
アメリカでも「ブルーオリジン」など複数の宇宙企業が2020年代後半に新たな商用宇宙ステーションを建設する予定です。
そうした中、デジタルブラストの堀口CEOがおっしゃるように、日本の民間会社が宇宙ステーションを建設することで、国内の宇宙利用の自由度が上がります。
その結果、新たにいろいろなビジネスチャンスが生まれます。
ですから、国はこうした宇宙ベンチャーに対して資金面での支援をする価値が大いにあると思います。

 
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2023年01月11日
アイデアよもやま話 No.5475 日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例 その1 「手のひらサイズ」の人工衛星!
今や、宇宙ビジネスが産業界のニューフロンティアとして注目を集めています。
そして、これまでアイデアよもやま話 No.4707 ロケットの洋上打ち上げで宇宙ビジネス拡大へ!などでご紹介してきました。
そこで、今回から3回にわたって日本の宇宙ベンチャーの取り組み事例についてご紹介します。
1回目は、昨年12月8日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、「手のひらサイズ」の人工衛星についてです。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

将来が期待されるベンチャー企業を表彰するジャパン・ベンチャー・アワード、今年応募があった166の企業の中から最高賞に選ばれたのは超小型衛星の開発を手掛ける宇宙ベンチャー、株式会社アクセルスペース(東京都中央区)です。
中村友哉代表は次のようにおっしゃっています。
「新しい時代が求めるものは何か、そこに提供出来る価値は何かということを常に探し求め続けてきた。」

中村さんは大学院在学中に「手のひらサイズ」の人工衛星を開発、その後、アクセルスペースを起業しました。
現在では打ち上げた人工衛星から送られてくる画像データを使って、防災や農業に活用する事業などを展開しています。
中村さんは次のようにおっしゃっています。
「この人工衛星をより安く、より早くつくれることによって、いろいろな業界で使い方が増えてくる。」
「近い将来、人工衛星が社会インフラとして様々な業界、分野で使われるようなものにしていくということを目指しています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、アクセルスペースの公式ページ(こちらを参照)には以下の記述があります。

アクセルスペースは約110名の社員が活躍する宇宙スタートアップ企業です。
メンバーの多様性も強みです。全社員の3割は外国人社員で、会話には日本語と英語が飛び交います。また、転職者の8割以上は宇宙業界未経験者。新しい発想が宇宙ビジネスに革新をもたらします。

宇宙は夢とロマンーそのような認識は、もはや過去のものになりつつあります。小型衛星が登場し、宇宙利用のハードルが大きく下がったために、民間企業によるビジネス活用が急速に広がっています。やがては、私たちの日常生活へも浸透していくことになるでしょう。宇宙が「普通」になるその日まで、私たちは前進を続けます。

技術の進歩とともに、小型衛星は社会にとって欠かせないインフラに成長しつつあります。アクセルスペースは小型衛星ビジネスのパイオニアとして、衛星の持つユニークな機能・データを活用したサービスをさまざまな産業のお客様に提供しています。

このように転職者の8割以上は異業種からであったり、全社員の3割は外国人社員であったりといった従業員で構成されています。
こうしたことから、社員から様々な角度からの突飛なアイデアが期待出来ます。

また、小型衛星は社会にとって欠かせないインフラに成長しつつある中で、アクセルスペースは小型衛星ビジネスのパイオニアとして取り組んでいるのです。
ですから、アクセルスペースには商用小型人工衛星ビジネスにおける世界的なトップランナーのような存在を目指して取り組んでいただきたいと思います。

 
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2023年01月10日
アイデアよもやま話 No.5474 上海協力機構の首脳会談にみる、あなどれない中露陣営の動き!
昨年9月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で上海協力機構の首脳会談にみる、あなどれない中露陣営の結束について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

ロシアや中国、インドなどが参加する上海協力機構(SCO こちらを参照)の首脳会議は、今日、全体会合を開き、アメリカを念頭に制裁や内政干渉に反対する首脳宣言を採択しました。

ウクライナ侵攻によって孤立を深めるロシアのプーチン大統領は中国に続いてインドとも首脳会談を行い、欧米各国に対抗しようとしています。

欧米によるウクライナによる軍事支援などを受け、一部の地域で撤退を余儀なくされたロシア、ウクライナ侵攻によって孤立を深める中、プーチン大統領が関係強化を目指しているのがアジアなど、「非」欧米諸国です。
サマルカンドで行われている中国とロシアが主導する国際的な枠組み、上海協力機構の首脳会議、加盟8ヵ国にオブザーバーのトルコを含む、合わせて14ヵ国が出席しました。
会談ではサマルカンド宣言を採択、欧米による対ロシア制裁を念頭に、「国連安全保障理事会(国連安保理)の認めていない、一方的な経済制裁は国際経済に悪影響を引き起こす」と強調しました。
会談の場で、プーチン大統領は次のようにおっしゃっています。
「我々が世界全体とともに協力するために開かれている連携は閉鎖的なものではない。」

また、習近平国家主席は次のようにおっしゃっています。
「外部勢力の扇動による革命を防ぎ、いかなる口実であれ、他国の内政干渉に共同で反対する。」

アメリカを軸とする西側諸国に対抗する姿勢を鮮明にしました。
プーチン大統領が首脳会議に合わせて行ったのが各国との会談です。
昨日行われた習近平国家主席との会談で、プーチン大統領はウクライナ情勢を巡って、中国側が抱く疑問や懸念について理解しているとしつつ、中国の台湾政策について支持する姿勢を表明、更にインドを加えた3ヵ国でも首脳会談も開催、ロシアの天然ガスをモンゴル経由で中国に運ぶパイプラインの建設計画を積極的に推進することで合意しました。
そして、今日行われたインドとの首脳会談で、インドのモディ首相は次のようにおっしゃっています。:
「今は戦争の時代ではない。」
「我々は可能な限り早く終結させたい。」

今月7日に開かれた国際経済フォーラムで、プーチン大統領は「アジア太平洋地域とのパートナーシップはロシアに新たな機会を開く」と強調し、アジアの将来性を称賛したプーチン大統領ですが、アジア重視の狙いについて、防衛研究所の兵頭慎治政策研究部長は次のようにおっしゃっています。
「苦境に立たされたロシアが中国やインドなどにエネルギー輸出を強めようとしているわけでありまして、それ以外の国にも輸出先を拡大していきたいと。」
「西側諸国の制裁によって経済的に苦境に立たされる中で、そこをいかに打開していくか、そのためにもアジア地域の国々との連携を図りながら、その抜け道を探りたいという思惑もあるのではないかと思います。」

ウクライナ侵攻から半年が過ぎ、外交攻勢を活発化させるロシア、来週にはラブロフ外相が出席する予定の国連総会があり、プーチン大統領も来月カザフスタンで行われる国際会議「アジア相互協力信頼醸成会議」(CICA)や11月にインドネシアで行われるG20、20の国と地域の首脳会議に出席する見通しです。
しかし、兵頭さんは、ロシアが描くアジア戦略は順調に行かないだろうと次のように指摘します。
「ロシアのこれまでの同盟国、友好国の間でも、少しロシアと距離と保とうとする国が出始めていると。」
「「アジア転換」を果たしながら、アジアで友好国を拡大していきたいというロシアの狙いも中々難しいところがあるのではないかと思います。」
「日本をけん制する動きを中国と軍事的な連携を深めながらロシアがこれから強めていく、そのあたりは日本としても十分に警戒していく必要があるのではないかと。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

民主主義陣営vs専制主義陣営(こちらを参照)という図式の中で国際社会でもめ事を解決しようとしても、双方とも自分の属する陣営の立場を少しでも有利にしようという考えをベースに屁理屈でも何でも並べて、相手の陣営を攻撃し、一方で自らの非は認めようとせず、自らの主張の正当性を強調する傾向があります。
同時に、どちらの陣営にも属さない国々に対して自らの陣営への取り込みを図ろうとします。
まさに陣取り合戦です。

今回ご紹介した上海協力機構は、中国とロシアを中心とする専制主義国家陣営の結束を固め、更にどちらの陣営にも属さない国々の取り込みを狙っているのです。
なお、中国による一帯一路政策やアフリカ諸国への経済的な支援、あるいは南の島しょ国での覇権拡大(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.766 『中国が南の島しょ国での覇権拡大を進める真の狙いとは』)などはその典型例です。
このように陣取り合戦では中国は民主主義陣営の一歩先を行くしたたかな戦略を進めています。

さて、今回の会談ではサマルカンド宣言を採択、これまで繰り返しお伝えしてきたように、中国とロシアは国連安保理の常任理事国の立場、すなわち拒否権を利用し、ロシアによるウクライナ侵攻による対ロシア制裁を念頭に「一方的な経済制裁は国際経済に悪影響を引き起こす」と強調しているのです。
また、今回の上海協力機構の首脳会議の場で、プーチン大統領は「我々(専制主義陣営)が世界全体とともに協力するために開かれている連携は閉鎖的なものではない。」と主張しているのです。
また、習近平国家主席も「外部勢力(民主主義陣営)の扇動による革命を防ぎ、いかなる口実であれ、他国の内政干渉に共同で反対する。」と主張しているのです。
ちなみに、習近平国家主席は折に触れ、自らの政策に異を唱える他国に対して内政干渉という一言で片づけています。(参照:No.4956 ちょっと一休み その774 『中国による“内政干渉”の一言で物事が進んでいいのか?』

ここで思い出されるのはアイデアよもやま話 No.5359 今や国連安保理は機能不全!でお伝えしたウクライナのゼレンスキー大統領の次の言葉です。
「平和の保障を担う国連が効果的に機能していないのは明らかだ。」
「侵略者であるロシアを戦争の元凶として(国連から)排除するか、もしくは平和のためにきちんと機能出来ることを示すか、どちらも出来ないと言うなら国連はもう解散するべきだ。」

民主主義陣営vs専制主義陣営という図式の中で、国際社会でのもめ事を解決することは、双方の利害が対立する場合においてはほとんど期待出来ないのです。
ですから、“法による支配”を前提とすべきなのです。
そして現実には国際連合(国連)という組織が存在し、国連憲章をはじめとする様々なルールが規定されています。
しかし、残念ながら国連安保理の常任理事国の5ヵ国、アメリカ、中国、ロシア、イギリス、フランスの中で、1ヵ国でも決議案件に対して拒否権を発動すれば、決議は否決されるのです。
ですから、この重大な国連安保理の欠陥について、ゼレンスキー大統領は先ほどのように国連に向けて訴えているのです。

時間はとてもかかると思いますが、国際平和や人権、あるいは自由といったものが尊重され、守られる社会を実現するためには、国連の再構築、そして“法による支配”を徹底することが求められるのです。

 
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2023年01月09日
アイデアよもやま話 No.5473 若者に広がるスマホ証券!
昨年9月15日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で若者に広がるスマホ証券について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

資産運用というと、ある程度の年齢を重ねた人が行うものというイメージを持つ人が多いかと思いますが、今、興味を持つ若者も増えています。
その時に使うのがスマホで、手軽さが受けているといいます。
証券各社は若者を狙い、このスマホを使ったサービスに相次いで参入しています。

都内で今日行われた証券サービスの説明会、ペイペイ証券の番所健児社長は次のようにおっしゃっています。
「貯めるとか、お金を増やすですとか、そういった基本的なものの価値観をサービスで置き換えていくとか、そういったことをやっていくと、」

ペイペイ証券は先月からペイペイ内のアプリで100円から投資が出来るサービスを開始、6種類のコースから選ぶことが出来、ペイペイの残高で金融商品を購入します。
メインとなるターゲット層はこれまで資産運用に馴染みのなかった20代や30代です。
番所社長は次のようにおっしゃっています。
「(スマホ)決済は常に手元にある、そういう意味では相性がいいようなものなのかなと思っています。」

こうしたスマホから投資が出来るサービスはここ数年で増えていて、複数のポイントから投資が出来るものや、1株から購入可能なものなど、どれもハードルの低さを特徴としています。(こちらを参照)
利用者が増えている傾向は更に若い世代にもあります。
ライン証券が行ったアンケートでは19歳以下の8割以上(84%)が投資を18歳から始めたいと回答、投資への意識が高まっています。
TORANOTEC株式会社(トラノテック 東京・港区)が提供するサービスでも10代の利用者が増加しています。
資産運用アプリ「トラノコ」を運用するトラノテック投信投資顧問の斎藤博隆さんは次のようにおっしゃっています。
「2021年は2020年に比べて「トラノコ」に対する申し込みが倍くらいの数字になっています。」

このサービスの特徴は、買い物の際のおつりや歩いたり、アンケートに答えたりするともらえるポイントも投資に回すことが出来ることです。
若者が投資をする目的について、斎藤さんは次のようにおっしゃっています。
「趣味・関心事に関するお金を積み立てる、もしくは旅行のためにお金を積み立てたいと思っているお客様が多いように思いますね。」

10代の利用者の7割以上が趣味や旅行に使うお金のためと答え、老後のためと答えた人も1割近くいたといいます。
投資をする若者はこれからも増えていくと見込んでいます。
斎藤さんは次のようにおっしゃっています。
「高校でも投資の教育が始まってくるというような状況の中で、投資に関する興味が湧いてくる場面が非常に多くなっているのかなと思いますね。」
「投資を始めてない方も含めて、多くの人に投資に参加していただきたいと。」

こうした状況について、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は次のようにおっしゃっています。
「こういった若者が資産形成をやるのはとてもいいことだと思うんですが、ただ一つ重要なポイントを強調したくて、資産形成というのは終身雇用とノットイコール、真逆の考えなんじゃないかと思うんですね。」
「私、アメリカの大学に就職したんですけど、一番最初に受けたレクチャーが投資信託の運用だったんです。」
「アメリカの会社って、就職すると一番最初に資産形成の研修を受けるんですね。」
「というのは、アメリカは終身雇用ではありませんから、いくらうちの会社で給料を稼いでも、いつかは辞めるかも知れないから、ちゃんと自分の力で最初から人生のための投資、資産形成をしておきなさいというレクチャーをするんですよ。」
「そう考えると、日本がなんで今まで若い方が投資しないかというと、終身雇用だったからなんですよね。」
「だから会社に守られてきたわけです。」
「ということは、資産形成を促したいのであれば、むしろこれからの時代は終身雇用の時代というよりは若い方が自らの力でキャリアを替えたり、選んでいくと。」
「そういうことがあるから資産形成が大事なんだよと、ここまで説明していくことが大事なんじゃないかなと思っています。」
「(そういう意味では、個人の意識を変えていくこと、それから会社も意識を変えていく時代だという指摘に対して、)そう思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、No.5460 ちょっと一休み その856 『総利益50億円のトップ個人投資家』でもお伝えしたように、若い世代の個人投資家の中には株式投資で何十億円という利益をあげている人がいるし、毎年一定金額の範囲内で購入した株式投資などの金融商品から得られる利益が非課税になる国の制度、NISAもこうした若い世代の投資意欲を高めます。

こうした若い世代を巡る株式投資について以下にまとめてみました。
・こうしたスマホから投資が出来るサービスはここ数年で増えており、どれもハードルの低さを特徴としている
・メインとなるターゲット層はこれまで資産運用に馴染みのなかった20代や30代である
・スマホ決済は常に手元にあるのでこうしたサービスと相性がいい
・このサービスの利用者は若い世代でも増加傾向にある
・このサービスの特徴は、買い物の際のおつりや歩いたり、アンケートに答えたりするともらえるポイントも投資に回すことが出来る
・10代の利用者の7割以上が趣味や旅行に使うお金のためと答え、老後のためと答えた人も1割近くいる(アンケート調査の結果)
・高校でも投資の教育が始まってくるというような状況である
・アメリカの会社では、就職すると一番最初に資産形成の研修を受ける
・その狙いは、終身雇用を前提としない状況における、自分の力で最初から人生のための投資、資産形成をしておくことの必要性の理解にある

確かに、スマホで、しかも100円単位などの小額投資が出来れば、株価下落による損失も少なくて済みます。
また、テクノロジーの変化のスピードの速いビジネス環境では、産業界のけん引役となる企業の入れ替わりは激しいものとなります。
ですから、必然的に終身雇用は概して縮小していくものと見込まれます。
そうした中、一流企業と言われる企業に就職しても10年単位で見れば、自分の先行きがどうなるか、予想が付きません。
そうした中、自分の人生を経済的に安定したものにするために、自らによる資産形成が求められるというわけです。

そういう意味で、スマホ証券は時代の要請を見込んで生まれたと言えます。
そして、こうした動きを後押しする国の支援策の一つがNISAと言えます。

 
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2023年01月08日
No.5472 ちょっと一休み その858 『子どもは社会の鏡』
昨年10月22日(土)放送の「NHK映像ファイル あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)で写真家の田沼武能(たけよし)さんについて取り上げていたので、その内容の一部をご紹介します。 

田沼武能さん(2022年 93歳没)は、戦後の日本をはじめ、世界の様々な状況に置かれた子どもたちを撮り続けました。
2019年、写真家として初めて文化勲章を受章しました。
また日本写真家協会の会長を務めるなど、後進の育成にも力を注ぎました。
田沼さんは昭和4年(1929年)、東京の浅草生まれ、幼い頃から父の営む写真館で様々な写真に親しんで育ちました。
1945年3月、16歳で体験した東京大空襲が写真家としての原点になりました。
この時の体験について、次のようにおっしゃっています。
「本当に地獄絵ですね。」
「電車通りのところにね、死体がゴロゴロしていたんです。」
「うちのお店の前にあった防火用水の中に何歳ぐらいかな、ちっちゃな子どもがね、焼死体であったんですよ。」
「それはね、黒焦げになっているんだけれども、お地蔵様そっくりなんですよね。」
「もう鮮明にそれは残っています。」
「やっぱりドキュメンタリーに入ろうと思ったのも戦争を経験してかもしれないですね。」

後に田沼さんは次のようにおっしゃっています。
「子ども自身の持っているものというのは無限ですからね。」
「いろんな行動にしてもね、遊びにしても。」
「喜怒哀楽っていう4字だけじゃね、表現出来ないいろんなものが子どもにあると思う。」

「写真家というのはやっぱり自分が撮らなきゃいけないっていうものを撮って、数多くの人に知ってもらいたい。」
「要するに私が受けた、まあ素敵な感動もあるし、悲しい感動もある。」
「そういうものを伝える役目が写真家の使命だというふうに思っておりますから。」

黒柳徹子さんと30年以上にわたり世界を旅した田沼さんは、「子どもは社会を映し出す鏡」だといいます。
「子どもっていうのはね、特別にこう隔離されて生活しているわけじゃないですね。」
「大人の中に入って、社会の中へ入って生きているわけです。」
「ですから社会がどういう状態であるかということは子どもに顕著に表れるんですよ。」
「それこそ難民キャンプの中だとかね。」
「ものがないとか、そういういろんな状態が子どものところにも降りかかってくるわけですね。」
「そういう悲惨な思いをさせちゃいけないというふうに私は思うんですけど、原因を作るのは大人なんですからね。」
「ですから原因を作る大人が考えなきゃいけないということが一番大切だと僕は思うんですね。」

田沼さんが足を運んだのは120ヵ国以上、晩年まで撮影を続けました。
そして次のようにおっしゃっています。
「人間の魅力っていうのはそんな簡単に終わらないです。」
「やはりね、人間というのはね、それぞれが真剣にドラマを演じているわけですよね。」
「だから、いろんなドラマがあるわけ。」
「それぞれに魅力を感じるわけですね。」
「ですから、これは終わりなき私の挑戦だというふうに思いますね。」

子どもの生き生きとした姿に魅せられた田沼さん、世界各地の子どもたちをカメラを通して見つめ続けた93年の生涯でした。
「子どもというのはね、社会の鏡だと思うんですね。」
「ですから社会が良くても悪くても子どもにそういう風がみんなのしかかってくる。」
「子どもを撮ることによって、その背景となっている社会が映し出せるんではないか。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

写真を通した、小沼さんの想いを以下にまとめてみました。
・写真家にとって、写真を撮ることは自己表現の一つである
・自分が感動したものを撮った写真を数多くの人に伝えることが写真家の使命である
・子どもは社会を映し出す鏡である
・社会がどういう状態であるかということは子どもに顕著に表れる
・子どもを撮ることによって、その背景となっている社会が映し出せる
・子どもに悲惨な思いをさせる原因は大人が作っている
・人間はそれぞれが真剣にドラマを演じている

世の中には写真家と言われる人たちは沢山いるわけですが、それぞれの写真家は自分の撮りたいものを撮っているわけです。
そして、田沼さんは世界中の子どもの写真を撮り続けることによって社会を見つめ続けているということだと思います。
そして、子どもの悲惨な姿を写真を通して世の中に伝えることを通して、大人の社会に反省を促し、より良い社会を目指すような流れを作りたいという田沼さんの強い意志を感じます。
そして、そのキーワードが子どもは社会を映し出す鏡であるということなのです。
確かに子どもを理解することによって、その家庭や社会の一端が見えてきます。
ですから、子どもを理解することの大切さは侮れないのです。

 
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2023年01月07日
プロジェクト管理と日常生活 No.779 『”共存共栄”こそが究極の戦争リスク対応策』
今回は今年初めての「プロジェクト管理と日常生活」がテーマの投稿となります。
そこで、今回は、以前から思っていたことについてお伝えしたいと思います。

これまで何回となく触れてきたように、今の国際社会は戦争や紛争の起きない平和の維持の観点から以下のように大きな問題やリスクを抱えています。
・ロシアによるウクライナ侵攻の継続
・中国による台湾進攻リスクの高まり
・途上国の一部での独裁政権の台頭

対応のスピードが遅ければ、人類はおろか地球滅亡の危機を迎えることになりかねません。
しかし、現実には、第二次世界大戦でのナチスによるユダヤ人大量虐殺やアメリカ軍による広島や長崎への原爆投下といったような戦争の悲惨な事実はあまり生かされているとは言えません。
なぜならば、大量の核爆弾が現実に存在しているし、プーチン大統領はウクライナ侵攻に際し、核兵器の使用を暗示しているからです。
一方で北朝鮮は核兵器関連の実験をどんどん続けており、それを国際社会は食い止めることも出来ないからです。
これらは全て人類の活動がもたらしているのです。
ですから、人類自らが解決する意志を固めれば、これら全てを解決することが出来るのです。

このように見てくると、やはりどの国のリーダー、そして国民も軍事的な手段で物事を解決させることは常にメリットよりディメリットの方がはるかに多いという国際社会を構築することだということに思いが至るのです。
このことこそが究極の戦争の再発防止策なのです。
では具体的にどのような対応策が考えられるかですが、3つあると思います。
1. 現在の国連を徹底した平和維持の観点から再構築すること
2.人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標、すなわちSDGsを達成し、その状態を継続させること(参照: No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』
3.世界中の国々の人たちが4つの目標、すなわち自由、平等、人権、平和の実現を目指して連帯することにより、どこかの国がこれらの目標に反する行動を起こそうとした時、あるいは起こした時には該当国のより多くの国民が団結して反対の意志を表明して行動に移し、他の国々のより多くの国民はその行動を様々な方法で支援すること

この3つのどれも実現までの道のりはとても遠いですが、実現出来るか出来ないかは各国のリーダー、あるいは国民の本気度にかかっているのです。

そして、実現出来なければ、間違いなくいずれ再び世界大戦に突入することになるのです。

なお、こうした観点とは別に、長期的には”共存共栄”という価値観の世界的な共有が戦争リスクの対応策としてとても重要です。
なぜならば、国にとっても個人にとっても得られるもの、あるいは失うもののアンバランスがやがて不満につながり、その蓄積がやがて争いにつながるからです。
一方、”共存共栄”が相手国に理解されれば、相手国との信頼関係を築くことが出来るのす。
ですから、平和国家、日本は率先して”共存共栄”を掲げてどの国とも接することが少なくともこれらの国々との間で争いに発展するリスクはほとんど無くなります。
そしてこうした”共存共栄”の輪が世界的に広がっていくことにより、単なる平和だけでなく、“豊かさ”の共有にもつながるのです。

ということで、”共存共栄”の共有こそが究極の戦争リスク対応策だと思うのです。

 
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2023年01月06日
アイデアよもやま話 No.5471 ロシアによるウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪を裁けるか!
昨年9月12日(月)放送の「ニュースウォッチ9」(NHK総合テレビ)でロシアによるウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪への取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。 

ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、ウクライナではロシア軍の指揮命令系統をたどり、上官などの責任を問おうとしています。
調査団体から情報提供を受けるウクライナ検察庁 戦争犯罪局では、国内法に則り、これまでに5件の裁判にこぎつけています。
ユーリ・ベローゾフ局長は次のようにおっしゃっています。
「ウクライナでこのような惨劇を犯している人々は明確に責任を負うべきだ。」
「まさに指揮命令系統を証明しなければならない。」
「罪を犯しているならば、人生の大半を我が国の刑務所で過ごす覚悟をさせるのだ。」
「このことは明らかに戦争犯罪の抑止効果になる。」

戦時下で行われる戦争犯罪の調査、そこには“裁判の証拠にする以外にも大きな意義”があると、国際調査団体「べリングキャット」のエリオット・ヒギンズさんは次のようにおっしゃっています。
「証拠は法的な説明責任としてだけでなく、戦争の歴史の記録でもある。」
「何が起きたのか、ロシアが何をしたのか、人々の記録に残すためでもある。」
「ロシアが負うべき責任を私たちは忘れない。」
「膨大な情報を有効に活用するためにはもっと時間と労力が必要だ。」

この戦争犯罪を巡っては、ロシアでもウクライナ兵の裁判が始まっています。
また、EUの5ヵ国はウクライナとの合同捜査を行うことを決めるなど、動きが活発化しています。
捜査の困難が多いようですが、そんな中でも事実を記録し、記憶することで戦争という過ちを再び繰り返させない、こうした断固とした姿勢が今求められていると感じました。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそも一般的な犯罪において、容疑者を特定する際には証拠を見つけることが必須です。
ですから戦争犯罪においても同様のプロセスが必要になるわけです。
しかし、戦場において、相手国のどの兵士がどのようなかたちで犯罪に参加したのか、それはどの上官の命令で行ったのかを指揮命令系統をたどり、証拠レベルで確認し、上官なども含めて責任を問おうとすることは戦争の規模が大きくなるほど大変な労力を伴います。
しかも、一つの戦争において全ての戦争犯罪に決着をつけるには何年かかるか分かりません。
そうしている間に証拠になるようなものはどんどん少なくなっていきます。

また、今回のロシアによるウクライナ侵攻では、侵攻直後において、兵士もその所属する軍組織も演習の一環と認識していたといいます。
このような兵士はウクライナ侵攻を決断したプーチン大統領の被害者と言えます。

確かにウクライナ検察庁 戦争犯罪局のベローゾフ局長がおっしゃっているように、戦争犯罪者を特定し、処罰することには戦争犯罪の抑止効果があります。
また、こうした戦争犯罪を記録し、一つの歴史上の事実として残すことも後世の人たちに 戦争という過ちを再び繰り返させないという意識を持たせるうえで効果があります。
それでもやはり戦争の規模が大きくなるに従って、戦争犯罪を裁くことには限界があります。
ですから、やはりいかに紛争や戦争のない平和な国際社会を築くかにより一層注力することが求められるのです。

 
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2023年01月05日
アイデアよもやま話 No.5470 高専生による事業モデルの評価額が「10億円」!
昨年9月6日(火)付けネット記事(こちらを参照)で評価額が10億円の高専生による事業モデルについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・ディープラーニング(深層学習)とものづくり技術を生かし、事業の完成度を競うコンテストで過去最高の企業評価額10億円、投資額5億円の評価を獲得し、注目されているアイデアがある。
・軽度認知障害(MCI)の早期発見と予防に活用できるシステム「D-Walk」で、一関工業高等専門学校(岩手県一関市)の学生3人によるチーム「Team MJ」が考案した。
・システム名のDはディープラーニングとディメンチア(認知症)の頭文字をとったもの。インソール(中敷き)型のセンサーを靴の中に入れ、腰にスマートフォンを着けて、歩き方や姿勢のデータを検出し、軽度認知障害かどうかを判定する。
・スマホで体の動き(3軸の加速度と各軸回りの角速度)を測定すると、85%の精度で軽度認知障害が判定できる。インソール型センサーを併用すると、精度はさらに向上する。現在、インソールメーカーと共同で小型化、低コスト化を進めている
・軽度認知障害を早期発見して治療すれば、40%の人が快復するというデータがある。
・同システムの関係者としてはD-Walk開発チームのほかに、保険会社、被保険者の3者がいる。同チームとしては、保険会社が1人当たり月に500円の利用料をD-Walk側に支払うサブスクリプションモデルを考えた。また保険会社は被保険者に対してD-Walkを使用することで保険料を毎月100円割り引く。
・この内容だと保険会社は1人当たり毎月600円損するように思える。しかし、D-Walkを利用することで軽度認知障害の予防につなげられれば、保険会社が被保険者に支払う一時金は減らせる。軽度認知障害から認知症になった場合、何百万円もの一時金が支払われるが、早期治療によって軽度認知障害から40%が快復すれば、一時金の支払いを減らせ、保険会社には大きなメリットが生まれることになるのだ。
・Team MJの3人は、最優秀賞で獲得した「起業資金100万円」を元手にして、年内に起業する予定だ。顧問に就任する未来創造工学科機械・知能系教授の鈴木明宏氏は「試作費などは私の研究費から出しますし、給料を払うわけでもないので、ノーリスクです。失敗を恐れずに、やるだけやった方がいい。こんないいチャンスはない」と話す。
・高専DCONからは起業資金100万円のほかに、「DCON Start Up 応援1億円基金」から100万円が寄付されるほか、設立された会社に対して普通株で100万円の出資を得られる。また日本ディープラーニング協会では法人登記の手続き、税金の処理などを格安で請け負ってくれたり、契約書の内容についてアドバイスしてくれたりするという。

・実行委員会委員長の松尾氏からは「考えていないで、とにかく走れ」と励まされたそうだ。松尾氏は専門のディープラーニングだけでなく起業についても詳しく、さまざまなアドバイスをしてくれるという。
・高専DCONの特別協賛である丸井グループからは企業賞をもらい、「協業したい」との言葉をかけられた。今後の保険会社との交渉、高齢者からのさらなるデータの取得など様々な場面での協業が期待される。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

AIやロボットなどテクノロジーの変化が激しい時代においては、年功序列、終身雇用といった組織風土では十分な対応が出来ませんし、対応するスピードも遅くなってしまいます。
従って、大きなビジネスチャンスに乗り遅れてしまうのです。
そうした中、若くても先進テクノロジーの知識に明るい若い世代が様々な分野でこうした知識をベースに従来の製品やサービスのあり方を見直すことによって新たな製品やサービスを生み出し、経済の活性化につながるのです。

今回ご紹介した、一関工業高等専門学校(岩手県一関市)の学生3人によるチーム「Team MJ」が考案した、軽度認知障害(MCI)の早期発見と予防に活用出来るシステム「D-Walk」、そして事業モデルの発見は、まさにこうした望ましい事例の典型と言えます。
しかも、こうした製品や事業モデルのビジネス化を進めるにあたって、年内に起業する予定で、その際、高専DCONなどからの支援金、あるいは日本ディープラーニング協会などによるアドバイスが得られるというのです。
ベンチャー企業の弱点である、資金調達などの経営力不足をこうした支援体制で補うというのとても望ましいかたちです。

ということで、様々な業界ごとに、あるいは業界を問わず、こうした若者の斬新なアイデアをかたちにするための場の提供、すなわちインフラの構築の重要性を感じます。
なお、こうした素晴らしいアイデアの発掘の際には、海外の若者のアイデアも取り込んだ方がより一層、多くの質の高いアイデアが集まってくると期待出来ます。
ですから、国としてもこうした国際的な観点から支援のあり方を検討すべきだと思います。

 
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2023年01月04日
アイデアよもやま話 No.5469 KDDIによる無人コンビニの取り組み!
昨年9月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でKDDIによる無人コンビニの取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

東京・渋谷に今日、ロボットを活用した次世代型の無人店舗がオープンしました。
開設したのはKDDIです。
なぜ通信事業者が日用品を販売するのでしょうか。

ロボットアームがつかんだのはローソンの人気スイーツ、このロボットが活躍しているのは東京・渋谷にあるAUショップに併設されたauミニッツストア渋谷店です、
フードデリバリーアプリ「menu」からこちらの店舗を選び、飲み物やデザート、コストコの日用品など約70種類の商品の中から買いたい商品を注文すると、店の裏側では注文された商品が入っている棚が自動で動き、ロボットアームが袋詰めまでやってくれます。
お客は都合の良い時間に商品を直接取りに行くか、デリバリー(配送料300円〜)を選ぶことが出来ます。
店舗を設置した狙いについて、KDDI ビジネス開発部の武田裕子さんは次のようにおっしゃっています。
「現在はスマホを中心としたデジタル上の接点に移ってきていると考えています。」
「で、このようなお客様のモバイルからのオーダーに応える実店舗側の仕掛けとして、ネットワークと連動したロボット店舗がお客様の選択肢の一つになるのではないか。」

今後は若者に人気のブランドや店舗の商品を500種類まで増やし、利用者を増やしたい考えで、武田さんは次のようにおっしゃっています。
「auの通信を契約していただいているお客様が普段の生活の中でもauとの接点を設けていただきたい。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで一般的にAIやロボットの活用は研究開発から商品の配送までのビジネスプロセスの一部で取り入れられてきました。
そうした中、通信事業者のKDDIがロボットを活用した次世代型の無人店舗がオープンしたというのです。
しかも、お客がスマホでフードデリバリーアプリ「menu」からこちらの店舗を選び、約70種類の商品の中から買いたい商品を注文すると、お客は都合の良い時間に商品を直接取りに行くか、デリバリー(配送料300円〜)を選ぶことが出来るというのです。

要するに、商品のサプライヤーの観点からすれば、AIやロボットの活用をベースにした無人店舗が展開出来るのです。
そしてデリバリーについては、Uber Eats(ウーバーイーツ)などのデリバリー代行サービス業者に依頼することが出来ますが、近い将来には自動運転車やドローンなどに取って代わられると見込まれます。
またユーザーにとっても注文しておけば、いつでも都合の良い時間に店舗に出向くか、有料ではありますが商品を自宅まで届けてくれるのです。
ですから、KDDIのような既存のIT企業、あるいは新規のベンチャー企業にとってもこのような無人店舗関連事業に進出するチャンスが到来したと言えます。

しかし、考えてみれば、アマゾンなどのネット通販業者では既にスマホやパソコンから商品を注文すれば、全国どこでも商品を届けてくれるサービスを展開しています。
ですから、アマゾンなどのネット通販業者が既存のコンビニと提携して無人店舗を展開すれば、短期間のうちにKDDIが取り組み始めたようなサービスをスタート出来るのです。
こうしてみると、ネット通販業者にとってもコンビニ業者にとっても、DX(参照:アイデアよもやま話 No.5387 DXに政府も重点的に投資する方針だが、・・・)の活用による双方の提携は事業の拡大につながると思えてきました。
ですから、小売業を巡る新たなビジネスモデルを巡って、既存のネット通販業者、コンビニ業者、そして既存のIT関連企業、あるいはベンチャー企業による覇権争いが今後展開されると思われます。

なお、ユーザーにとっては、コンビニの陳列棚を眺めるのも時にはささやかな楽しみの一つだと思います。
ですから、こうした需要を満たす余地は残しておくべきだと思います。

 
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2023年01月03日
アイデアよもやま話 No.5468今や無法地帯化している国際社会!
前回、アイデアよもやま話 No.5467 パナソニックHDが家事支援サービスを開始!でパナソニックHDが展開する、家族旅行の計画づくりや買い物の代行など、家事を支援するコンシェルジュサービスについてご紹介しました。
企業がこうした「物と心が共に豊かになる社会」の実現を目指す取り組みは本来の企業のあり方だと思います。

しかし、現在、こうした社会の実現を目指す動きがある一方で、世界的に大きな懸念材料があります。
それは国際社会の無法地帯化です。

国際社会はかたちのうえでは国際連邦(国連)という組織があり、加盟国は武力に依存しない平和的解決、あるいは人権の尊重などの内容が含まれた国連憲章(参照:No.4956 ちょっと一休み その774 『中国による“内政干渉”の一言で物事が進んでいいのか?』)を順守することが求められます。
ところが、今や国連の常任理事国であるロシアは武力統一を目指してウクライナ侵攻を続けています。
また同じく常任理事国である中国は香港や新疆ウイグル自治区で人権無視の政策を続け、南シナ海では勝手に領有権を主張し続けています。
更に、現在、台湾の武力統一も取りざたされています。
なお、2021年10月23日付けネット記事(こちらを参照)には以下の記述があります。

2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が重要な判決を下した。仲裁裁判所は、1994年に発効した「国連海洋法条約」に基づき、中国の南シナ海における主権主張を退ける判断を示したのである。

ところが中国は、仲裁裁判所の判決に従おうとしない。それどころか、判決を“紙くず”呼ばわりして無視したうえ、岩礁を埋め立ててつくった人工島に滑走路やレーダーなどを建設しはじめたのである。

中国はアメリカに睨まれても姿勢を変えることはなく、対立国への示威行動を続けた。2020年には中国の巡視船がベトナムの漁船に体当たりして沈没させたり、マレーシアの国営石油会社が資源開発する海域に自国の調査船を派遣するなど、挑発的な動きがますます目立つようになった。

2021年になってからも、中国の挑発行為は止まらない。フィリピンが南沙諸島で実効支配する島の軍事拠点化計画を進めていると、3月に200隻以上の中国船団が出現し、長期停泊を続けた。その船団のなかには中国海軍の軍艦も含まれていたという。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

本来、5ヵ国の常任理事国が自ら率先して国連憲章を順守し、国際社会をリードすべきなのです。
そして、国連憲章には以下の記述があります。(こちらを参照)

第6条
この憲章に掲げる原則に執ように違反した国際連合加盟国は、総会が、安全保障理事会の勧告に基いて、この機構から除名することができる。

ですから、常任理事国以外の国連加盟国が国連憲章に掲げる原則に執ように違反した場合は、国連から除名することが出来るのです。
ところが肝心の常任理事国であるロシア、中国の2ヵ国は国連憲章をことごとく無視した行動を取り続けているのです。
しかも、国連憲章第27条により、安保理常任理事国は手続き事項を除く全ての事項に関する安保理議案への拒否権を持っており、安保理常任理事国のうち1ヶ国でも反対すれば、議案は成立しないのです。
また同108条により、安保理常任理事国は国連憲章の改正に対しても拒否権を持つのです。(こちらを参照)

ですから、5ヵ国の常任理事国はそのいづれもが国連憲章に違反した行為を行っても、自らが拒否権を行使することによって議案を不成立にすることが出来るのです。
言わば、犯罪者が自ら犯した罪を無効にする権利を持っているようなものなのです。

さすがに、こうした状況については賛否両論があるといいます。
ウィキペディアには以下の記述があります。(こちらを参照)

拒否権は大国の反対によって安全保障理事会の決定の実効性が失われるのを防ぐ事を趣旨とする大国一致の原則に基づくものであるが、賛否両論がある。

拒否権支持派は、拒否権を国際的な安定の促進、軍事介入に対する牽制とみなしている。

他方、拒否権批判派は、拒否権について「国際連合の最も非民主的な要素であり、常任理事国とその同盟国に対する国際連合の行動を事実上妨げるため、戦争犯罪や人道に対する罪への国際連合の不作為の主な原因となる」としている。

このように拒否権について賛否両論はあるものの、国連加盟国が順守すべき国連憲章はあるのですが、常任理事国の特権で国連憲章をはじめ、主な国連のルールの改正が出来ないのです。
また常任理事国が国連憲章に違反した際の罰則も第6条により、事実上、常任理事国の特権で罰せられることがないのです。
こうした状況が核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用を3本柱とする「核不拡散条約」(NPT)の再検討会議にも影響を及ぼしているのです。(参照:アイデアよもやま話 No.5464 NPT会議、再び決裂!

そもそも国連は1945年10月に51ヵ国の加盟国で設立されましたが、現在、世界の国の数は196ヵ国で、そのうち加盟国は193ヵ国なので設立当初に比べて4倍近くまで増えていることになります。
こうした状況において、未だに設立当初のまま常任理事国が5ヵ国で、その大きな特権が維持されているという状況がロシアや中国の暴挙を許しているのです。
そして、こうした暴挙が北朝鮮による核兵器開発を許すことにつながっているのです。

なお、現在のこうした暴挙に対して、各国独自に、あるいは協力して以下のような対応策が取られています。
・輸入関税の引き上げ
・安全保障などの観点からの特定製品の禁輸
・資産の凍結

しかし、資源の豊富なロシアや中国に対しては国を揺るがすほどの実効性がなく、従っていまだにロシアによるウクライナ侵攻は続いています。
しかも休戦の目処さえ立っていません。

ということで、国連加盟国は、常任理事国の特権の見直しをはじめ、抜本的な国連の仕組みの見直しに真剣に取り組むことが求められるのです。
そうしなければ、今後ともロシアや中国による暴挙、あるいは北朝鮮の核兵器開発などを止めることが出来ないのです。
その結果、第三次世界大戦をもたらす可能性はどんどん高まっていくのです。

こうしてみると、現在、日本は国家安全保障の観点から、「敵基地攻撃能力」の保有に向けて膨大な予算をつけようとしていますが、一方で国連のあり方についても平和維持の観点から積極的に国連に働きかけるべきだと思うのです。
全てにおいて“平和的な解決”こそが最善の国家安全保障対策だからです。

 
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2023年01月02日
アイデアよもやま話 No.5467 パナソニックHDが家事支援サービスを開始!
昨年9月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパナソニックHDによる家事支援サービスについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。

パナソニックHDは9月13日、家族旅行の計画づくりや買い物の代行など、家事を支援するコンシェルジュサービスを9月15日から日本で始めると発表しました。
この新たなサービスを率いるのが執行役員の松岡陽子さんです。
アメリカのグーグルやアップルを渡り歩いた技術者でもあります。
なぜ
家電メーカーであるパナソニックで暮らしの支援サービスに取り組むのか、その狙いを聞きました。

9月13日、パナソニックHDが発表したのが次世代ファミリーコンシェルジュ「Yohana メンバーシップ」で、スマホのアプリを通じてコンシェルジュに相談出来る家事支援サービスです。
30代から40代の共働き世帯が主な顧客層で、月額1万8000円の定額制です。
水回りの手入れや週末の家族旅行の計画づくり、ディズニーランドの効率のよい回り方のプラン、更に子どもの誕生日会の企画づくりまで考えてくれます。

「Yohana メンバーシップ」は昨年9月にアメリカ・シアトルで開始したサービス、日本では9月15日から神奈川県で提供を開始する予定です。
このサービスを立ち上げたのが執行役員の松岡さんです。
アメリカでロボット工学やAIを研究、グーグルやアップルで幹部を務めた後、2019年にパナソニックに移籍しました。

「Yohana メンバーシップ」について、松岡さんは次のようにおっしゃっています。
「(ヨハナで対応出来る範囲について、)本当にすべてと思っていただいていいです。」
「例えば、私なんかは週末に1週間分、自分のカレンダーを見ながら、この日はミーティングがあって自分で作れないとか、ある日はこのレストランの予約はどうかと言ってくれて、いろんなことが出来ます。」
「このサービスの日本での展開について、)例えば「塾カルチャー」はアメリカにはないんですよね。」
「「どういうところがあるか探してください」だとか、そういうところはちゃんとハンドル出来るようにしようねとか。」
「(日本で何件まで広げたいなどの目標について、)勿論、全員に使っていただきたいですけど、最初は“共働きで忙しい家族”たちなどから入り出し、そこから“介護で忙しい方々”とか“自分で将来このまま健康でなるべく長くいたい方”とか、どんどん増やしていければいいなと思っていますね。」
「(これまでは「家事は自分でするもの」という意識だったが、その意識を変えることが出来るのかという問いに対して、)難しい質問ですよね。」
「私も実は初めの頃、教授でいた時に子どもが生まれて、全く他の人に(家事を)やってもらうというのは考えられなかったし、「研究ももっとやりたい」、「生徒もどんどん育てたい」、「でも子どもももっと見たい」となった時に「じゃあ自分で家の掃除は本当に自分の人生でしたいか」といった時に「しなくてもいいかな」と。」
「(ヨハナを)作った本当の目的に戻ると、(利用者には)「自分でなりたい人」になってもらいたい。」
「というので、まずそれを考えて欲しいなと思っていて、」

なお、家電など、ハードを中心に手掛けてきたパナソニックに入社し、家事支援というソフトのサービスを立ち上げる狙いついて、松岡さんは次のようにおっしゃっています。
「パナソニックとパートナーしたいと思った理由は、これだけ家の中、暮らしの中にいろんなタッチポイント(顧客との接点)がある、そういうハードを作っている会社はあまり見ないというところで、そういうところとつなげたい。」
「私が描きたい将来、パナソニックが描きたい将来が一緒に作れるなと思いましたね。」

このヨハナ、まずは個人向けにサービスを展開しますが、いずれ企業の福利個性のメニューに組み込んでもらうことも模索しているということでした。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

なお、「Yohana メンバーシップ」のサービスを展開する松岡陽子さんについて、どんな人物なのか、もっと知りたくなりネット検索したところ、元々計算機科学分野の研究者で、輝かしい経歴の持ち主であることが分かりました。(こちらを参照)
ちなみに出身は日本ですが、現在はアメリカ国籍です。

また、9月28日(水)付けのパナソニックHDの公式ページで「Yohana メンバーシップ」の内容、および松岡さんのこのサービス展開における想いなどについて詳細に伝えていたのでその一部をご紹介します。

・Yohanaの設立の意図を松岡はこう語る。
「Yohanaは、仕事と家庭を両立する親とその家族を対象に、家族全員の幸せを最優先し、お互いと向き合う時間を大切にするためのサポートに特化した企業です。様々な『こなさねばならない用事(タスク)』を抱えている働く親とその家族のくらしを、専門チームが外部のプロとも連携しながらサポートしていきます」。
・新型コロナウイルスによるパンデミックが発生。在宅ワークが大前提になる中で、松岡は家族との時間をやりくりすることの大変さを実感することとなる。
「それまでも、4児の母親、妻、高齢の親を持つ娘、そしてCEOとして日々忙しく生活する中で、子どもとの時間も大切にしながら、山ほどある仕事を何とかこなしていました。それがコロナ禍になって、在宅でオンライン会議をしようとしても、しょっちゅう子どもたちに話しかけられる状態に――私にとっては家族が何より大切ですが、同時に仕事のタスクも大量にこなさねばなりません。不可能な課題をいくつも背負い込んでいるような心境になりました。実際、何百万人もの働く親たちが同じような経験をしていることがわかりました」。
・コロナ禍によりバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る親の多さは社会問題となり、Yohana独自のグローバルを対象としたリサーチ結果からも、米国に限らず同様に苦しむ人々が多いことが見えてきた。
「国や地域が変わっても、現代の家族、特に働く親たちの抱える悩みに大きな差はない、ということがわかってきました。子育て、食事の支度、買い物や家のメンテナンス、お誕生日会の手配、週末の旅行のプラン……家族との時間を最優先したいのに、あまりにも忙しすぎるんですね。こなしきれないタスクに囲まれて悲鳴を上げている状態なのだけれど、家庭のことで誰かに頼るのはためらわれる――」。
そんな家族を支えるため、2021年9月にYohanaを設立。ワシントン州シアトルで「Yohanaメンバーシップ」のサービス開始に漕ぎつけた。サービス立ち上げ以来、シアトルでは1,000以上の家族が、のべ2万件の用件をYohanaに依頼。多くのメンバーとその家族に対し、週8〜10時間以上のゆとり時間を生み出す、という実績を得た。2022年6月からはカリフォルニア州ロサンゼルスにも対象地域を拡大。リサーチの結果、特に忙しい家族が多いことが確認された日本においても、満を持してのサービス開始となる。
・シリコンバレー発のノウハウを日本仕様にカスタマイズ
「Yohanaメンバーシップ」は、松岡のバックグラウンドでもあるAIを活用する一方で、その最大の特長は「人」であると彼女は語る。
「お客様には、個別に『ガイド』と呼ばれる担当者がつきます。その担当者と信頼感のある人間関係を長期的に築くことができる。これが、他のスマートアシスタントサービスや生産性向上アプリとは異なる特長です」。
・直感的で使いやすいYohana App(Yohana アプリ。モバイル/ウェブ)。米国版のソースを活かしながら、日本のユーザーにとって違和感のないものにカスタマイズされている。
・これからの「支え合いのスタイル」を創出する
Yohanaは、「今を生きる家族に、これからの支え合いのスタイルを」をビジョンとして掲げている。誰かの力を借りて、ゆとりを持つことは決して贅沢や怠慢ではなく、家族の幸せや自身のキャリアのために必要な自己投資だと言える。
「Yohanaに頼っていただくことで子どもと過ごす時間が増えれば、家族の笑顔がもっと増えるかもしれない、仕事に集中できてキャリアが伸ばせるかもしれない。Yohanaが新しい支え合いのスタイルを形成する一助となり、皆さんに『なりたい自分』になっていただきたいですね」。
・また松岡は「Yohanaメンバーシップ」は、常にユーザーファーストの価値を提供しながら、お客様の声を受け止め、つど改良していくと語る。
「『Yohanaメンバーシップ』はソフトウェアと人、両方で成り立つソリューション。ソフトウェアがアップデートしていくように、人の側もどんどんアップデートしていかないといけない。両輪で進化していきたいと思っています。
・現時点では子育てをされているお客様向けのサービスとして打ち出していますが、将来的には老若男女問わずあらゆる人々に頼りにされる存在になりたい。さらには、『Yohanaメンバーシップ』はあくまでもYohanaのプロダクトの第一弾であり、今後、また別の取り組みにも着手していきます」。
・パナソニックグループとしての「共創」を
Yohanaの取り組みは、お客様とそのくらしに寄り添い続け「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指す、パナソニックグループの経営理念にも通じる。
・Yohanaの日本ローンチをきっかけに、今後は日本のお客様とのタッチポイントの連携であったり、パナソニックグループの商品・サービスとのコラボレーションであったり、グループとのタッグに着手していくことになります。お互いに良い影響を及ぼしながら、現代の家族を支える仕組みの創出を目指します」。
・サービス概要
サービス名:Yohana メンバーシップ
開始時期:2022年9月15日(木)
サービス提供地域:神奈川県(今後拡大予定)
価格:月額18,000円(税込) *キャンペーン価格8,000円(税込)
*2022年9月15日(木)〜12月12日(月)のキャンペーン期間中にご登録いただいた方には、1年間月額8,000円(税込)の特別価格で提供します。
*「Yohana」チームによるTo-do整理、企画提案、調査、手配以外の実作業が発生する場合は、別途料金が発生します。

なお、「Yohana メンバーシップ」のサービス内容についてはこちらを参照下さい。

さて、こうして見てきて、まず驚いたのは松岡さんご自身が4児の母親、妻、高齢の親を持つ娘という状況において、「Yohana メンバーシップ」の展開にリーダーとして取り組まれていることです。
ですから、「Yohana メンバーシップ」の最初のユーザーは松岡さんご自身と言えます。
なぜならば、このサービスには松岡さんがこれまでいろいろと悩まれてきた問題の解決策が詰め込まれているはずだからです。
ですから、松岡さんのこうした活躍そのものが結婚して出産後も働きたい女性に勇気を与えることが出来、更にこのサービスが大いに役立つのではないかと期待出来ます。
更にこのサービスの範囲が拡大していくことにより、女性の社会進出がより一層し易くなり、少子高齢化による人手不足解消の対応策として貢献出来ます。
なお、こうしたサービスの利用を願っているのはこうした女性ばかりではありません。
年老いた両親の面倒を見ながら働く独身の男性や女性、あるいは子どもを抱えた、離婚した男性などもきっとこうしたサービスを利用したいと思っているはずです。
ですから、こうしたサービスの範囲の拡大は家族全体にとっての暮らし易さの向上につながります。
また、こうしたサービスの必要性は万国共通です。

私はこの番組を見て、はじめはパナソニックHDがなぜこのようなサービスを展開するのが、疑問を感じました。
しかし、このサービスが「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指す、パナソニックグループの経営理念にも通じることから納得出来ました。
そして、製品やサービスを提供する企業が単に製品やサービスを提供するだけでなく、「物と心が共に豊かになる社会」の実現を目指すという意識を持つことによって製品やサービスの幅が広がり、それが個々の製品やサービスの機能の拡大につながり、更に企業同士の連携が広がるのではないかと思いました。

こうして多くの企業の活動が活発になり、経済の活性化が進み、賃金が上がり、適度な物価上昇があり、経済的にも文化的にもゆとりのある社会、全ての国民が自分らしい生き方が出来る社会、こうした社会の実現に「Yohana メンバーシップ」は大きく寄与出来る可能性を秘めていると思うのです。
そして、「Yohana メンバーシップ」はこれまでにはないタイプの世界的なインフラとして、暮らしに役立つ存在になり得るのです。

 
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