2016年07月29日
アイデアよもやま話 No.3455 最先端技術の活用 その5 ポケモンGOにみるバーチャルリアリティ革命!

これまでNo.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』などで何度となくお伝えしてきたように、最近IoT(Internet Of Things)、AI(人工知能)、そしてスマートロボットに大変な注目が集まっています。

また、これらに関連してGPS(位置情報システム)やバーチャルリアリティ(仮想現実)の技術の進歩も欠かせません。

そうした中、こうしたテクノロジーの新たな活用方法、あるいは既に実現している情報に接したので5回にわたってご紹介します。

5回目は、ポケモンGOにみるバーチャルリアリティ革命についてです。

 

ご存知のように、ポケモンGOは位置情報を活用することにより、現実世界そのものを舞台として、 ポケモンを捕まえたり、交換したり、バトルしたりするといった体験をすることの出来るゲームです。

そして、日本でも7月22日(金)に配信が開始されましたが、日本上陸以前から海外でも世界的に一大センセーショナルを巻き起こしているようです。

 

さて、バーチャルリアリティについてはこれまで何度となくお伝えしてきましたが、ポケモンGOによって初めてバーチャルな世界(仮想世界)とリアリティな世界(現実世界)が癒合されたゲームが実現されたのです。

ですから、ゲームユーザーはポケモンGOによってこれまでゲームにはない楽しさと興奮を味わうことが出来るのです。

そういう意味で、ポケモンGOによりバーチャルリアリティ革命の扉が開かれたと言っても過言ではないと思います。

ここで縁の下の力持ち的な存在がGPSの技術だと思います。

なぜならば、スマホ・ユーザーの位置情報が正確だからこそポケモンGOはゲームとして成り立つからです。

 

ポケモンGOがきっかけで、ゲームの世界にとどまらず、ビジネスの分野においてもこれから様々なサービスが続々と登場してくると思われます。

その先がけがマクドナルドによるポケモンGOとのコラボレーションです。

今後サービス業を中心に様々な分野の多くの企業がポケモンGOとのコラボ、あるいはポケモンGOとは別なかたちで最先端のバーチャルリアリティ技術を活用したサービスを提供してくると思われます。

 

一方で、ポケモンGOのユーザーの年齢層やルートなどビッグデータの分析により、より的確なマーケティングにも活用の場は広がっていくと思われます。

 

そういう意味では、ポケモンGOはバーチャルリアリティ革命の担い手としてだけでなく、経済成長の新たな担い手として今後しばらくの間は注目の的であり続けると思います。

 

それにしても、ポケモンGOがあっという間に世界各国で配信され、ユーザー数が短期間に100万人を突破したという事実にも驚きます。

こうしたことを可能にしている最も重要な縁の下の力持ち的な存在こそインターネットだと思います。

100年単位でみれば、インターネット革命はまだまだこれから本番を迎えつつあるのかもしれません。


 
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2016年07月28日
アイデアよもやま話 No.3454 最先端技術の活用 その4 画期的なラジオに見る音を媒体としたネット接続!

これまでNo.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』などで何度となくお伝えしてきたように、最近IoT(Internet Of Things)、AI(人工知能)、そしてスマートロボットに大変な注目が集まっています。

また、これらに関連してGPS(位置情報システム)やバーチャルリアリティの技術の進歩も欠かせません。

そうした中、こうしたテクノロジーの新たな活用方法、あるいは既に実現している情報に接したので5回にわたってご紹介します。

4回目は、画期的なラジオに見る音を媒体としたネット接続についてです。

 

7月20日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で画期的なラジオについて取り上げていたのでご紹介します。

 

ラジオ局のニッポン放送では水筒のように見えるBLEラジオ(商品名「Hint」)を共同開発し、この日報道陣に公開しました。

ちなみに、BLEとはブルートゥースを使って情報発信出来るという技術です。

このラジオ「Hint」の新しいところは、ラジオの放送でディスクジョッキーが電話のダイヤル音で信号を送ると、「Hint」がこの信号をデータ変換して周りにあるスマホにURLを自動転送するというところです。

通販番組を聴いている時には欲しい商品のページ、また音楽番組を聴いている時には音楽配信ページに誘導されるという仕掛けなのです。

ニッポン放送のアナウンサーである吉田 尚記さんは、「Hint」を開発したきっかけについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

「2011年の東日本大震災の時に、輪番停電があって何時から何時までこの地域は停電しますよという情報とかを伝えなきゃいけないんですけども、音でURLを伝えられればこういうことが出来るんじゃないかとずっと思っていて・・・」

「まだラジオが自分たちが掘っていない可能性がいっぱいあるんじゃないかなと。」

「ラジオとインターネットを今までにないかたちで結びつけることをやってみたくて。」

 

聞き逃す可能性があった情報をネット情報に誘導して正確に伝えることが出来るとの想いが「Hint」の誕生に結びついたのです。

 

およそ100年のラジオの歴史で、ほとんど変化がない中で「Hint」は新しいステップに進める次世代型ラジオではないかと番組では見ています。

 

さて、このラジオ、以前アイデアよもやま話 No.2099 個人の夢をかなえるクラウドファンディング!などでご紹介したクラウドファンディングで資金を7月20日から集めていて、目標調達額は1300万円といいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、私が特に関心があるのは音を媒体としたネット接続技術です。

音を媒体として聞こえてくる曲がどんな曲なのか、あるいはその他様々な情報が入手出来るようになれば、これまでよりもずっと情報の入手が楽になるからです。

しかも番組でも伝えていたように聞き逃す心配がなくなります。

 

さて、入手する情報の対象には大きく2つの方法があります。

ひとつは自ら求める情報、そしてもう一つはニュースなどを通して外部から伝わってくる情報です。

そして、自ら求める情報の入手方法については、アイデもアよやま話 No.3451 最先端技術の活用 その1 AIを活用した未来のウィキペディアとは!でお伝えしたような方法が究極の方法と考えられます。

一方、外部から伝わってくる情報の中でも耳から伝わってくる関連情報については、今回ご紹介した「Hint」のような方法がとても便利だと考えられます。


 
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2016年07月27日
アイデアよもやま話 No.3453 最先端技術の活用 その3 ここまで来たロボット技術!

これまでNo.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』などで何度となくお伝えしてきたように、最近IoT(Internet Of Things)、AI(人工知能)、そしてスマートロボットに大変な注目が集まっています。

また、これらに関連してGPS(位置情報システム)やバーチャルリアリティの技術の進歩も欠かせません。

そうした中、こうしたテクノロジーの新たな活用方法、あるいは既に実現している情報に接したので5回にわたってご紹介します。

3回目は、ここまで来たロボット技術についてです。

 

先日のある講演会でビックリするようなロボットの動画を観ました。

早速、帰宅後にYouTubeで確認したら同じ動画を見つけたのでご紹介します。

こちらです。

計画されていればの話ですが、CGを使わなくてもそのままスターウォーズの次回作あたりに登場させてもおかしくないほどの完成度だと思います。

状況によって動きは多少遅いように感じられますが、改善にそれほど時間はかからないと思います。

また、現行のバッテリー容量の制約で今はそれほど長時間は動き回ることは出来ないと思いますが、これも時間の問題だと思います。

 

さて、アイデアよもやま話 No.3337 自動運転タクシーの実証実験開始!でもご紹介したように、2020年までにはドライバーが乗車しない完全自動運転によるロボットタクシーの実用化を目指す動きもあります。

また、その時には夜間にフル充電しておけば、翌日は1回も充電しなくても安心して走行出来るようにバッテリーも改善されていると思います。

 

近い将来、あちこちでこうしたロボットを見かける時代がやってくると思いますが、一方ではロボットを兵器として活用する動きもあるようです。

最先端技術を活用したロボット兵器に多くの敵兵士が殺戮される場面は想像したくありません。

戦争に良い戦争も悪い戦争もありませんが、ロボット部隊と人間だけの部隊との戦争を想像すると殺伐とした気持ちになります。

そういう意味で、ロボットやAIの進化をきっかけに、戦争の全面禁止を世界各国で合意するような時代を迎えて欲しいと思います。


 
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2016年07月26日
アイデアよもやま話 No.3452 最先端技術の活用 その2 IoTを活用した未来の駐車場とは!

これまでNo.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』などで何度となくお伝えしてきたように、最近IoT(Internet Of Things)、AI(人工知能)、そしてスマートロボットに大変な注目が集まっています。

また、これらに関連してGPS(位置情報システム)やバーチャルリアリティの技術の進歩も欠かせません。

そうした中、こうしたテクノロジーの新たな活用方法、あるいは既に実現している情報に接したので5回にわたってご紹介します。

2回目は、IoTを活用した未来の駐車場についてです。

 

先日、ある大きな病院に車で行った時、ちょっとビックリしました。

というのは、そこの駐車場の入り口に各階の空きスペースの台数が表示されているのです。

ということは、それぞれの駐車スペースにセンサーが取り付けられているわけです。

 

一方、6月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でスマートパーキングシステムについて取り上げていました。

NTTドコモが駐車場システム「ドコモ スマートパーキングシステム」の実証実験をスタートしたというのです。

この駐車場システムでは、車の出入りを感知するセンサーと通信機器を設置するだけで駐車場に出来るため、これまでの約3分の1の費用と最短1日の工事で駐車場を作れるといいます。

ドライバーはスマホと空いている駐車場を検索し、予約することで駐車出来ます。

センサーで駐車を感知する他、予約したスマホの位置情報と予約されたセンサーの位置情報の双方の一致で駐車を確認し、料金の精算が始まります。

スマホの位置情報が一致しない駐車や車以外のモノを感知した場合には異常を知らせ、スタッフが対応します。

 

NTTドコモでは、まずパーキング事業者に売り込み、その後自動運転車が自ら空いているスペースを探し、駐車するような仕組みに発展させたいとしています。

 

番組では料金の精算方法については触れていませんでしたが、クレジットカード決済が出来れば料金支払いの手間も省けます。

ですから、こうし駐車場が普及すれば、ドライバーにとっては駐車場の利用がとても楽になります。

また、この駐車場システムは駐車場のオーナーにとってはちょっとしたスペースを駐車場として収入源に出来るし、パーキング事業者にとっても低コストでしかも短期間に駐車場を新規に設置できるので引き合いが多いと思います。

 

ということで、IoTを活用した未来の駐車場はもうすぐ実現しそうな状況です。


 
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2016年07月25日
アイデもアよやま話 No.3451 最先端技術の活用 その1 AIを活用した未来のウィキペディアとは!

これまでNo.3156 ちょっと一休み その502 『IoT、AI、スマートロボットの3つが今後の成長分野!?』などで何度となくお伝えしてきたように、最近IoT(Internet Of Things)、AI(人工知能)、そしてスマートロボットに大変な注目が集まっています。

また、これらに関連してGPS(位置情報システム)やバーチャルリアリティの技術の進歩も欠かせません。

そうした中、こうしたテクノロジーの新たな活用方法、あるいは既に実現している情報に接したので5回にわたってご紹介します。

1回目は、AIを活用した未来のウィキペディアについてです。

 

例えば、AI関連の情報を知ろうとすると、その情報源としてテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ネット、書籍など沢山ありますが、それらの全ての情報を把握することはまず不可能です。

しかも、テレビのニュース番組やネット検索した結果から得たいくつかの情報も多くは他でも公開されている共通の情報です。

 

そこで、こうした多くの情報から自分の求める情報をいかに効率的に入手するかという以前から私が抱えている問題をいずれAIが解決してくれるのではないかと思ったのです。

具体的には、AIの活用によるウィキペディアの変革です。

ただし、ここには以下のような3つの条件があります。

1.IoT、すなわちテレビや新聞など全ての情報源であるビッグデータがネットにつながっていること

2.テレビなどの動画の音声も言葉として認識出来ること

3.特定分野の専門家や一般ユーザーなど、全ての人が不特定多数の人たちに伝えたいことを全てネット上で公開していること

 

このようなAIの活用による未来のウィキペディアが実現出来れば、情報検索の効率は今よりも格段に効率的になると期待出来ます。

ですからひょっとしたらどこかのベンチャー企業が既にウィキペディアに取って代わるようなAIを活用した情報検索サービスの開発に取りかかっているかもしれません。

しかも、今のウィキペディアは原則無料で利用出来ますが、未来のウィキペディア、あるいはそれに取って代わるサービスであれば、有料でも多くのユーザーが使うようになると思われます。


 
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2016年07月24日
No.3450 ちょっと一休み その550 『大量絶滅は2600万年周期で起きている!?』

地球上の大量絶滅については、どなたも興味を抱いていると思います。

そうした中、3月31日(木)放送の「コズミック フロント☆NEXT」(NHKBSプレミアム)のテーマは「謎の凶星“ネメシス”大量絶滅の真相に迫る」でした。

そこで、番組を通して大量絶滅の真相についてご紹介します。

 

およそ6500万年前には、恐竜をはじめ種の7割が姿を消しました。

1984年、この大量絶滅についてある論文が発表されました。

そこには更に恐ろしい歴史が綴られておりました。

多量絶滅は一定の周期で12回も起きていたというのです。

根拠となったのは、各地に残された化石が示す確かなデータでした。

ギリシア神話の復讐の女神“ネメシス”、その名が付けられた災いの星が12回もの大量絶滅の元凶だというのです。

しかも1300万年後には“ネメシス”が再び現れ、地球に悲劇をもたらすと専門家は予測しています。

 

さて、以下はこれまでに分かっていた古生代の絶滅年代です。

6550万年前  :恐竜が絶滅

 2億年前     :両生類の祖先が絶滅

 2億5000万年前:三葉虫が絶滅

 

ところが、アメリカのシンシナティ大学の二人の古生物学者、デビッド・ラウプさんとジャック・セプコスキさんはどんな種がいつ消えたのか、地道な分析から以下のような驚くべき事実が浮かび上がってきました。

9300万年前の原始的なサンゴや二枚貝の絶滅や1億2000万年前のアンモナイトの壊滅的なダメージなど、その他を合わせて12回もの大量絶滅が起こっていたことが明らかになりました。

しかも、この研究結果により、もう一つ驚くべき事実が明らかになりました。

12回の絶滅のピークはほぼ一定の間隔で、地質学上の誤差を計算に入れると、2600万年に一度、規則的に絶滅が起こっていたのです。

1984年、二人の論文が発表されると科学者の間で賛否両論の反響を呼びました。

 

2600万年周期で繰り返される絶滅はなぜ起きたのか、そこに一つの答えを示したのが、カリフォルニア大学バークレー校で長年加速器を使って素粒子を研究してきた物理学者のリチャード・ムラー博士で、大学を退職した今でも自宅で論文を執筆する現役の研究者です。

二人の論文が発表された頃、大量絶滅の検証を依頼された当時の指導教官であった物理学者のルイス・アルバレズさんはその論文を読んで、「馬鹿げている、こんなことはあり得ない」と漏らしました。

そして、いつものようにムラーさんに意見を求めました。

ムラーさんは、「説明が出来ない現象だからといって、それが起きないとは限らない。」と言いました。

すると、アルバレズさんは「説明出来ないものは起こらない。ならば、君が論理的な説明を考えろ。」と詰め寄ってきました。

 

ムラーさんも当初は信じがたい説だと思いましたが、詳しく読んでみると否定出来る材料も見当たりませんでした。

そこで、2600万年に一度何が起これば生物が絶滅するのか考えてみることにしました。

津波や火山の噴火など地球で起きる現象から原因を見つけ出すのは困難に思えました。

周期的に起こる理由がないからです。

そこで、ある大胆な仮説を考えました。

かつて恐竜を絶滅に追い込んだ巨大隕石の衝突、こうした天体の衝突が2600万年に一度起こっていたのではないかというのです。

私たちの銀河系には太陽のような恒星が数多く存在しています。

そして、現在確認されている恒星のおよそ半分は単独の星ではなく連星であることが分かっています。

両者のサイズに偏りがある場合、小さい方を伴星と呼び、大きい恒星から遠く離れたところを楕円を描きながら回っています。

そして、ムラーさんは太陽にも未知の伴星があると考えました。

伴星は非常に小さいため太陽から遠く離れたところを回っていて、およそ2600万年周期で一周すると計算から導き出したのです。

この伴星は2600万年に一度太陽系を覆うオールトの雲に接近します。

オールトの雲とは、太陽からおよそ1光年ほどの距離に氷の小天体が雲のように集まっている領域です。

小天体の数はおよそ10兆個にもなります。

そのうちのいくつかは惑星の重力によって彗星となって太陽の方へとやってきます。

オールトの雲に伴星が接近するとその重力で小天体の軌道に大きな影響を与えるといいます。

 

こうしたことからムラーさんが考える周期的な大量絶滅の仕組みは以下の通りです。

太陽の伴星は2600万年ごとにオールトの雲にある無数の小天体の中を通過していきます。

伴星の重力によって軌道を乱された小天体は太陽系の内部に引きずり込まれます。

すると今度はより重力の強い太陽に捉えられて彗星となり、太陽系の内部を飛び交います。

それが彗星のシャワーとなって地球に降り注ぎ、大量絶滅がもたらされるというのです。

 

ムラーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ギリシア神話には、“ネメシス”という女神がいます。」

「“ネメシス”は神を脅かすものを許さない存在です。」

「力を手に入れ、強大になり過ぎたものは“ネメシス”に滅ぼされる、そういった意味でこれは良い名前だと思い、星に“ネメシス”と名付けたのです。」

 

公転周期を2600万年として逆算すれば、“ネメシス”の軌道と質量を割り出せます。

その結果、公転軌道の直径は2.8光年、質量は太陽の10分の1と計算されました。

果たしてこの仮説は正しいのか、検証のためにムラーさんは科学者を集めて会議することを思いつきました。

自分たちの考えに間違いがないか見つけてもらうためです。

1984年3月3日、大量絶滅に関する新しい説について検討する会議、通称ネメシス会議が開かれました。

そこには物理学、地質学、古生物学、天文学など各分野のそうそうたる20名以上の科学者が参加しました。

 

会議の結果を受けて、1984年4月、ムラーさんをはじめ3人の科学者により科学誌「ネイチャー」上にネメシス論文が発表されました。

太陽に未発見の伴星があるという説は科学者の間で話題となりました。

更に数々の著名な雑誌の表紙を飾るなど世間の注目を集めるようになりました。

しかし、ネメシス説は同時にある不吉な未来をも示していました。

計算によると、ネメシスは現在太陽から最も遠い位置にあります。

そして1300万年後に再びやってくるとされたのです。

 

地球に再び大きな災いをもたらす可能性が出てきたネメシス、それを防ぐために重要なことはまずその姿を捉えることです。

アメリカ・カリフォルニア州バークレー、論文の発表後、ムラーさんは早速ネメシスの観測に乗り出しました。

しかし、そこには大きな難題が立ちはだかっていました。

望遠鏡を向けたくてもどの方向にネメシスがどの方角にあるのか全く分からないのです。

そこで、ムラーさんは全天をむらなく観測できる星の自動探索システムを使うことを思いつきました。

しかし、成果はありませんでした。

ネメシスは予想以上に暗い天体なのだとムラーさんは考えるようになり、ネメシスは赤色矮星ではないかと思い付きました。

そうした中、1984年のある日、思いがけない朗報が飛び込んできました。

NASAの探査衛星が新たな観測を行ったというのです。

赤外線天文衛星「IRAS」は可視光で捉えるのが難しい星を赤外線で探す当時最新鋭の探査機でした。

しかし、「IRAS」の観測でもネメシスらしき天体の発見には至りませんでした。

ムラーさんはその後もネメシスを探し続けてきましたが、その存在を明らかにすることは出来ませんでした。

そして、1980年代の終わり頃を最後にネメシスの観測も行われなくなってしまいました。

 

それからおよそ20年後、2000年代に入ると、にわかに新たなチャレンジが動き出しました。

ペンシルベニア州立大学で天文学を研究しているケビン・ルーマン教授が以前から興味のあったネメシス探しに乗り出したのです。

そのきっかけは2009年にNASAで打ち上げられた広域赤外線探査衛星「WISE」でした。

「IRAS」のセンサーの1000倍の感度を持つ最新鋭の赤外線センサーを搭載し、広い範囲をくまなく観測することが出来ます。

しかし、それでもネメシスを発見することは出来ませんでした。

 

そうした中、今私たちの前に突如謎の天体が出現しました。

ネメシスの姿を捉えることはなかなか出来ませんが、何かが近寄っていることは確かです。

それはオールトの雲に不思議な兆候が見られるからです。

最近の観測結果によると、オールトの雲の小天体は分布が均一ではなく、特に密集した領域があることが分かってきました。

つまり、そのような偏りを生じさせる何らかの重力源があると疑われているのです。

オールトの雲で何が起きているのか、その原因を直接見る方法は残念ながらありません。

 

さて、ネメシスの存在を指摘したムラーさんは別の説も検討していました。

その一つが太陽系振動説です。

銀河系の重力の影響で太陽系そのものが振動し、オールトの雲が偏るというのです。

銀河系は直径10万光年と円盤状のかたちをしています。

私たちの太陽系はこの銀河円盤の中を秒速217kmで公転しています。

この太陽系の公転は水平に動いているのではなく、メリーゴーランドのように上下していることが観測から分かっています。

つまり、一定の周期ごとに銀河円盤の水平面を通り抜けているのです。

この通過の際に円盤の重力でオールトの雲が乱され、多くの彗星が生まれるというのです。

しかし、ムラーさんが観測データをもとに再計算した結果、その説では説明出来ないことが分かりました。

観測から分かっている現在の太陽系はちょうど今、銀河円盤の水平面にあります。

銀河円盤の重力が原因ならば。現在は大量絶滅が起きる時代の真っただ中のはずですが、そのような兆候は見られません。

しかも、過去にさかのぼって銀河円盤を通過した年代を調べると、これまでの説の大量絶滅のピークとずれてしまいます。

 

では、オールトの雲を偏らせる原因は何なのか、もう一つの有力な説はネメシスとは別な軌道を回っている小さな惑星が原因だというものです。

研究者の間では、通称「惑星X説」と呼ばれています。

アーカンソー大学のダニエル・ウィットミア教授は、この惑星Xが周期的な大量絶滅をもたらしたと考えています。

惑星Xは、太陽系の惑星の公転面に対して垂直な軌道を取っていて、海王星よりもずっと外側を巡っています。

この軌道にいる限りはオールトの雲にある小天体に影響を及ぼすことはありません。

しかし、長い時間をかけて惑星の公転軌道自体が回転します。

そのため小天体の密集した部分を通過すると彗星が生まれて地球に向かいます。

公転軌道の回転により2600万年後、惑星Xは再び彗星をもたらします。

こうして、周期的な絶滅が引き起こされると考えたのです。

 

現在の観測技術をもってしても惑星Xは見つかっていません。

しかし、ウィットミアさんは惑星Xは存在しないのではなく、未だ発見されていないだけだと考えています。

その根拠が2003年に発見された小惑星、セドナです。

軌道の半径は816億kmという冥王星の3倍以上遠くを回っている天体です。

このような遠い領域に小惑星があるという事実は、科学者でさえ予想外のことでした。

かつて、セドナは太陽系の惑星と近い軌道を通っていました。

それを遠くに押しやったのは巨大惑星の重力だったのです。

しかし、大量絶滅を引き起こすにはセドナでは不十分です。

重力が小さすぎて他の小天体を動かすことが出来ないからです。

だとすれば、やはり惑星Xは存在するのでしょうか。

 

そうした中、2016年、セドナの動きから衝撃的な発見がもたらされました。

なんと太陽系に9番目の惑星がある可能性がカリフォルニア工科大学のコンスタンティン・バティギン准教授により示されたのです。

きっかけは、セドナとその周辺にある小惑星の軌道分析だったといいます。

最新の観測によって、セドナの周辺には他にも5つの小惑星が発見されています。

それらの軌道を描くと皆同じような楕円軌道を回っており、その方向や傾きまでよく似ています。

計算の結果、これら6つの軌道が偶然似る確率は0.007%、ほぼあり得ないことが分かったのです。

 

バティギンさんの研究グループが何度もシミュレーションを繰り返した結果、次のような軌道に惑星が存在すれば説明出来ることが分かりました。

想定される質量は地球の10倍、直径3倍にもなる巨大惑星でした。

現在、ハワイのスバル望遠鏡を使って第9惑星の観測を計画しています。

この空のどこかに全く知られていない惑星があるかもしれない、ならばどこかにネメシスや惑星Xがあっても不思議ではありません。

 

生物の大量絶滅から始まった大いなる謎、12回もの災いを乗り越え生命は生き延び、進化を続けてきました。

しかし今は大量絶滅の合間、つかの間の平穏の時期を過ごしているに過ぎないのかもしれません。

理論上では次の大量絶滅がやってくるのは1300万年後、はたしてその時地球の生命は再びネメシスの力を目撃することになるのでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、番組全体を通して、あらためて思ったことがあります。

それはニュートンの万有引力の法則です。

様々な惑星の軌道は、それぞれの引力により支配されており、それが様々な現象を引き起こしているわけです。

 

また、私たちの住む地球は自転しており、更に太陽の周りを公転していることは学校で習って知っていますが、その太陽系は銀河円盤の中を秒速217kmで公転しているという事実にも驚きです。

 

さて、大量絶滅は2600万年周期で起きており、理論上では次の大量絶滅がやってくるのは1300万年後ということですが、その時もし人類が更に進化していたらどんな姿をしており、どの程度知能が発達しているのかとても興味のあるところです。

そして、もし人類がまだ地球上で暮らしているとすれば、きっとその時代のテクノロジーで難なく宇宙のどこかに避難していくと思われます。

 

最後に、アイデアの観点からとても気になったことがあります。

それは、カリフォルニア大学バークレー校の物理学者、リチャード・ムラー博士の次の言葉です。

説明が出来ない現象だからといって、それが起きないとは限らない。

 

私たちは既存の常識や理論に照らして反するような考えや事象にはうさん臭さを感じたり、あるいは否定する傾向があります。

あるいは、“そんなことはあり得ない”の一言で片づけてしまいがちです。

ですが、そうした考え方がテクノロジーの進歩を遅めたり、あるいはそうした考えの人を抹殺してきた歴史があります。

 

私たちの社会全体がもっと柔軟にいろいろな考え方を受け入れたり、逆にIS(イスラム国)のようなテロなどに対しては毅然と立ち向かうような土壌を育てるようになって欲しいと思います。


 
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2016年07月23日
プロジェクト管理と日常生活 No.446 『日本は環境アセスメント後進国!?』

今や地球環境問題は世界的に関心が寄せられており、環境アセスメントについてこれまでアイデアよもやま話 No.3079 かつての日本は公害先進国だった!などでも触れてきました。

環境アセスメントは言わば環境に関するリスク管理におけるリスクアセスメントです。

そうした中、3月16日(水)放送の「視点・論点」(NHK総合テレビ)で日本における環境アセスメントの状況をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

なお、論者は千葉商科大学の原科 幸彦教授でした。

そもそも環境アセスメントとは、高速道路や飛行場、ダムなどの開発行為の意思決定にあたり、その開発が環境に何らかの影響を与える恐れがあれば、事前にその影響を予測・評価し、できるだけ影響の少ない計画に変えるなどして、影響緩和を図る手続きです。
これは、開発と環境保全、この2つを両立させるための重要な手段です。

しかし、日本国内の環境アセスメントは、世界の標準的なアセスメントとは違い、先進国のものとは言えない状況です。

迷走した新国立競技場建設問題を例にすると、昨年、2015年の半ばに国民の注目を浴びた新国立競技場計画の案が白紙撤回されました。

イギリスの建築家、ザハ・ハディッドさんのデザインをもとに作られたこの巨大な新国立競技場計画は2520億円もの費用が必要とされましたが、計画のプロセスが不透明だと批判され、昨年7月、白紙に戻されました。

8月末には、整備計画を決めましたが、費用上限を1550億円としました。

そして、年末には、この上限近く、1500億円ほどの費用の計画案が決まりました。

しかし、ロンドンの競技場は530億円で出来たといいますから、それより1000億円ほども高いという巨額です。

どうして、こんなことになったのでしょう。

これは、計画見直しのプロセスが再び不透明だったからです。

巨大なキールアーチをやめましたが、スペースは1割ほどしか減っていません。

まだ、ロンドン五輪の競技場の2倍ものスペースがあります。

7月以降の見直しの際、アスリートや一部有識者の意見は聞きましたが、立ち退き対象の都営アパートの住民や、この問題を提起してきたNGOの声は聞いていません。

そして、公開の場での議論がなく、巨大な規模のままとした根拠がわかりません。

このような問題を解決する世界共通の手段が環境アセスメント=環境アセスです。
諸外国では、このような公共施設の建設に当たっては、その計画段階で情報が公開され、アセスメントが行われ、意思決定過程の透明化が図られます。

しかし、日本では多くの人が懸念を持っていても、なかなかアセスメントの対象とはなりません。

例えば、この巨大な競技場計画でさえ、日本国内ではアセス対象にはならないのです。

なぜ、諸外国ならアセス対象になるのに、日本では駄目なのでしょう。

それはアセス対象を、ほんの一部の巨大事業に限定しているからです。

その結果、日本国内のアセス実施件数は極めて少なく、国の環境影響評価法のもとでは年平均20件にも達しません。

ところが、アメリカの連邦政府のアセス、NEPAアセスでは、年間3万〜5万件もが行われています。

まさに「月とすっぽん」です。

これは、アメリカでは規模が小さくても、環境への影響が懸念される場合は、まず簡単なアセスを行うからです。

詳細なアセスを行うかどうかを決めるため、まず簡単なアセス、すなわち簡易アセスを行います。

これは集団検診のようなもので、その結果、問題がなければ、詳細なアセスに進まなくて済みます。

NEPAアセスでは、99.5%は簡易アセスメントで終わっています。

簡易アセスは通常3〜4ヵ月程度で終了し、費用もあまりかかりません。

アセスメントは事業者と公衆との間のコミュニケーション手段です。

情報公開したうえで公衆の疑問や意見に答え、相互の信頼関係を築くことができます。

だから、アセスはやっかいだという日本の感覚とは随分違います。

ポイントは早期の情報公開と参加です。

英語ではpublic concernsといいます。

これは人々の懸念という意味ですが、これに正面から答えようとするのがアセスメントです。

これが世界標準の考え方ですが、日本のアセスにはこの理念が欠けています。

 

日本でアセス対象を限定してきた背景には、アセスメントは事業推進の障害になるとの考え方がありました。

 

世界のアセスメントの先駆けはアメリカで、NEPAアセスが1970年代初めから始まっています。

当時、日本でも米国に続いてアセスメント導入の検討が始まり、1972年、ストックホルムの国連人間環境会議で日本政府はアセス制度の導入を世界に表明しました。

ところが、翌年の1973年のオイルショック後、状況が大きく変わりました。

                              

電力会社や当時の通産省は、新たな発電源としての原子力発電所の建設の支障になると考え、発電所をアセス対象から外すよう求めました。

また、当時の建設省や運輸省、農林省などの事業所管官庁も消極的になり、アセスは極めて限定的な適用で良いとなってしまいました。

その後、紆余曲折を経て1997年にようやく成立した環境影響評価法でも、一部の巨大事業に限るという考え方は残りました。

 

対象が限定的で早期からの情報公開がないことが、多くの問題を引き起こしています。

アセスメントの考え方、つまり、人々の懸念に答えるというのは本来、周囲の人に気を使うという日本的な態度です。

簡単なチラシを配って説明し、周囲の人の声に答える、こういう感覚で行うのが簡易アセスで、早期の情報公開が信頼を生みます。

事業の意思決定過程の透明化に効果のある簡易アセスを日本にも早急に導入することが求められます。

例えば、新国立競技場計画も、最初の枠組み作りの段階で簡易アセスが行われていれば、風致地区である神宮外苑地区に70mもの巨大な建物を許すという設計条件は設けられなかったでしょう。

人々の常識が反映されたはずです。

2012年にザハ・ハディドさんが当初デザインした新国立競技場の当選案の形は悪くはありません。

でも、それは建てる場所によります。

この巨大さは、神宮外苑地区の環境には合わないことは、そのデザイン図をよく見ればわかります。

神宮外苑地区では、新国立競技場の建設予定地のすぐ近くに位置する絵画館は高さ約30mを上限として制限されてきました。

昨年解体されてしまった旧国立競技場も、このため高さを抑える工夫をしていました。

なんと地下に掘り込んでまで建物の高さを抑えていたのです。

 

高さ70mの見直し前の計画案と、高さ30mの旧国立競技場の比較を簡易アセスしてみれば、明らかに環境影響は無視できないこともわかります。
こういうコミュニケーションを可能にするのが、簡易アセスなのです。

新国立競技場計画も、検討のプロセスが非公開でなく、まず、簡易アセスにより公開の場で行われていれば、あのような迷走はなかったことでしょう。
簡易アセスは、日本を持続可能な社会にしてゆくうえで重要な意味を持ちます。

簡易アセスを導入して、人々の環境影響に関する懸念事項、public concerns、に答えることが普通になる社会に、日本を変えてゆくことが必要です。
簡易アセスメントは、言ってみれば持続可能社会における作法のようなものです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、番組内での図による説明部分は変更してお伝えしております。

 

千葉商科大学の原科教授のお話から見えてくるのは、環境アセスをする側である国の意図です。

国際的にも一応環境アセスは導入していると見せながら、実態は事業者側から見て少しでも大規模な建設や開発をスムーズに進めやすくしたいという魂胆です。

 

本来、環境アセスは早期に情報公開したうえで公衆の疑問や意見に答え、相互の信頼関係を築くことにより開発をより効果的に、そしてより効率的に進めることが狙いなのです。

ところが、残念ながら、日本における環境アセスはそうした真の狙いからかけ離れた枠の中で進められているのです。

 

ですから、新国立競技場計画のような問題が起きてしまうのです。

見直し案で発覚した聖火台の設置場所漏れなどはその最たるものと言えます。

更に、原科教授のお話で驚いたのは、1973年のオイルショック後に電力会社や当時の通産省は、新たな発電源としての原子力発電所の建設の支障になると考え、発電所をアセス対象から外すよう求め、結果としてアセスは極めて限定的な適用となったという事実です。

更に、1997年にようやく成立した環境影響評価法でも、一部の巨大事業に限るという考え方を残したということです。

 

もし、環境アセスが国内で本来の狙いに沿って厳格に運用されていれば、原発の建設や大規模開発の進め方も随分違ったかたちになっていたと思われます。

福島第一原発事故も防ぐことが出来ていたかもしれないのです。

あるいは、原発建設そのものが却下され、その代替手段として火力発電所の発電効率の向上や太陽光発電など再生可能エネルギーへのシフトが早期に進んでいたかもしれません。

 

あらためて思うのは、環境アセスは一種の保険のようなものだということです。

確かに、環境アセスの実施にはお金と時間がそれなりにかかります。

しかし、それによってリスク回避の可能性が高まるのです。

今回の新国立競技場計画の問題でも、環境アセスをきちんとしていなかったことにより、結果としてどれだけのお金と時間が無駄になったことでしょう。

 

現状のままでは、今後とも環境アセスの不備により、お金と時間の無駄が繰り返されるはずです。

ですから、今後の持続可能な社会に向けての取り組みのためにも、国には抜本的な環境アセスの見直しをしていただきたいと思います。

 

さて、こうした環境アセスを有効に活用出来るかどうかはアセスをする側の人たちの意識次第なのです。

しかし、残念ながら事業を推進する側の人たちは環境アセスは事業推進の障害になると考え、とうしても積極的に取り組もうという意識が低くなる傾向があります。

そうした時にとても大切なのは、アイデアよもやま話 No.3313公害先進国から環境保護への歩み その1 四日市から始まった公害問題などでもお伝えした事業の結果に影響を受ける一般国民の声なのです。

やはり、一般国民の声は“最後の砦”なのです。

 

大規模開発事業に限らず、どんな事業においても事業を推進する側と事業により影響を受ける側との2つの立場があります。

その双方による適切なコミュニケーションが事業を成功へと導く大きな要因であることを忘れてはならないのです。

その手段が環境アセスであり、一般的なリスクアセスメントであるわけです。

 

ということで、是非日本には早期に環境アセスメントの後進国から先進国へと転換して欲しいと願います。


 
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2016年07月22日
アイデアよもやま話 No.3449 いよいよ再生医療革命の到来間近 その2 数年後には脳梗塞の治療薬が登場!?

これまでiPS細胞を中心に再生医療について何度となくご紹介してきました。

そうした中、7月12日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)と7月13日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)、他に7月6日(水)付け配信の週刊朝日のネットニュースでも再生医療革命の到来について取り上げていたのでこの中から2回にわたってご紹介します。

2回目は、数年後には脳梗塞の治療薬が登場という朗報についてです。

             

前回は、2020年には脱毛症の悩みから解放されるという朗報についてご紹介しましたが、脳梗塞についても朗報があります。

以下に、7月6日(水)付け配信の週刊朝日のネットニュースの記事をご紹介します。

 

脳梗塞を起こすと、後遺症で要介護状態になることがあります。

麻痺などの後遺症が残ると、リハビリテーションしか有効な方法がなかったのが、再生医療で脳の細胞を再生する治療薬が数年後にも登場するというのです。

 

4月に東証マザーズに上場したバイオベンチャーのサンバイオと開発パートナーの大日本住友製薬は、2020年の米国での承認取得に向け、再生医療による慢性期の脳梗塞治療の臨床試験(治験)を米国で行っています。

 

2社などが開発を進めるのは、骨髄の中にある細胞を使い、脳梗塞で傷んだ脳の神経の再生をうながす「細胞医薬品」です。

 

既に終了した少人数の治験では効果は出ています。

慢性期の脳梗塞の患者の脳に投与したところ、日常生活に目に見える変化が出るほど体の動きがよくなったといいます。

 

脳梗塞後の後遺症に効く治療薬ができれば「北米だけで1千億円の市場がある」(大日本住友製薬の広報担当者)といい、ブロックバスター(大型新薬)になると期待されています。

 

私の家族や身近な友人の中でも脳梗塞になっている人がいます。

ですから、脳梗塞になると、その程度にもよりますが、本人は勿論周りの家族も大変な状況に置かれることになります。

また、ケースによってはいくらリハビリをしても回復には限界があるようです。

更には、脳梗塞で半身の不自由が原因で足腰の骨折を招いてしまい、それがきっかけでそのまま寝たきり状態になることもあります。

 

ということで、脳梗塞の治療薬が数年後に登場すれば、多くの人たちが不自由な暮らしから解放されることは間違いありません。

毛髪再生の実用化と同様にメーカーには是非低料金での提供をお願いしたいと思います。


 
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2016年07月21日
アイデアよもやま話 No.3448いよいよ再生医療革命の到来間近 その1 数年後には脱毛症の悩みから解放される!?

これまでiPS細胞を中心に再生医療について何度となくご紹介してきました。

そうした中、7月12日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)と7月13日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)、他に7月6日(水)付け配信の週刊朝日のネットニュースでも再生医療革命の到来について取り上げていたのでこの中から2回にわたってご紹介します。

1回目は、数年後には脱毛症の悩みから解放されるという朗報についてです。

 

ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんが開発したiPS細胞を使って昨年、世界初の臨床研究が日本で成功しました。

20兆円とされる再生医療の市場に多くの企業が続々と参入し、夢の治療実現に乗り出しています。

いよいよ再生医療革命の到来間近です。

 

全国で1800万人以上の患者がいると言われている脱毛症の悩みを再生医療で治療していこうという動きが起きています。

7月12日、京セラと理化学研究所などは再生医療技術を使った脱毛症の治療研究を共同で始めると発表しました。

具体的には毛髪を作る器官(毛包)を再生する技術の研究です。

この技術が確立されれば、脱毛症の治療に役立つとしていて、2020年の実用化を目指すといいます。

 

理化学研究所によると、この毛包から細胞を取り出し、培養して増やします。

その後、細胞を結合させ、毛包の種を作ります。

この種を薄毛の頭皮に注入し、毛髪を再生させるというのです。

一度注入すれば、一生髪の毛が生え替わり続けるというのです。

ヒトの毛包を組織ごと再生させるというのは世界初の試みといいます。

 

京セラがこの分野に乗り出すにはある理由があります。

京セラの昨年度の決算は携帯電話や太陽電池の販売が鈍化し、4年ぶりに減収となりました。

そこで、今後成長が見込まれる再生医療に期待を寄せます。

 

京セラが再生医療に応用しようとしているのが圧電技術です。

圧電技術とは、セラミックに電圧を加えて伸縮させるもので、発生した振動を利用して、例えば決められた位置に決められた量の液体を高速で吐き出すといった使い方をしています。

具体的には、プリンターのインクの吐き出し口や自動車の燃料を噴射する装置などに使われています。

京セラのプリンティングデバイス事業本部の松寺 拓さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「本格的に再生医療に応用展開していくのは初めての試みとなります。」

「細胞が含まれた液体を正確にある決まった量で決められた場所に置く技術が確立出来れば、産業として成り立つんじゃないかなと考えております。」

 

これまで培ってきた技術を再生医療に活かした京セラですが、一見して無関係に見える企業でも再生医療ビジネスに参入出来る余地はあるといいます。

日経BPの宮田 満特別編集委員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「再生医療は本当に総力戦なんですよ。」

「(企業が)自分で気が付いていないかもしれない、(再生医療とは)全く離れたところにそれを救うような技術がある。」

 

企業がこぞって参入する再生医療の市場規模は、現在およそ100億円ですが、2050年には2.5兆円まで急成長すると予想されています。(経済産業省調べ)

 

なお、再生医療に基づく毛髪再生の研究で先陣を切ったのは化粧品大手の資生堂です。

再生医療に特化した研究拠点を神戸市に開設し、この夏から東京医科大学主導で臨床研究を開始し、2年後の実用化を目指すといいます。

 

一方で、実用化の先には課題もあります。

日経BPの宮田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一部の重症の薄毛に関しては保険適用になると思いますけども、そうじゃないものに関しては薬価ゼロ、つまり自由診療となるのは一つのシナリオだと思います。」

「お医者さんが良い細胞を作っても問題はいくつもあります。」

「つまり、一定の品質の細胞を大量生産する技術、それから今の保健医療体制で持続可能なサービスを供給出来るようなコストを下げなくてはいけない。」

 

いろいろと課題はありそうですが、2020年には毛髪再生が実用化されれば、多くの薄毛や脱毛症の人たちはその悩みから解放されます。

毛髪再生の実用化は、医療技術の歴史においても画期的だと思います。

ですから、メーカーには是非低料金での提供をお願いしたいと思います。

 

また、こうした再生医療技術は新しい医療ビジネスを生み出しますので経済活性化にもつながります。

ですから、メーカーの方々にはこれまでの技術を再生医療に応用出来ないか検討していただきたいと思います。


 
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2016年07月20日
アイデアよもやま話 No.3447 ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさんに学ぶべきこと その3 人類の未来はどこに向かうべきか!

これまで何度となくお伝えしてきたように、私たち人類は自らの豊かさの飽くなき追求を目指してきており、特に産業革命以降は地球上の様々な資源を大量に消費し、環境破壊をしてきました。

また、近年IS(イスラム国)などによるテロ襲撃により、世界各国で罪のない多くの人たちの命が奪われています。

そうした中、ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさん(80歳)の4月の初来日に伴い、ホセ・ムヒカさんの考え方について様々に報道されていました。

そこで3回にわたってムヒカさんの考え方について、5月7日(土)付け読売新聞の夕刊記事を通してご紹介します。

3回目は、人類の未来はどこに向かうべきかについてです。

 

ムヒカさんの来日に合わせて行われた東京外国語大学での講演で、ムヒカさんは次のように訴えております。

「私の考え方が日本文化の根底に通じる部分があるのではないか。日本は優れた工業先進国であり、だからこそ日本に質問したい。人類は、世界の将来はどこに向かうのかと。」

 

ムヒカさんの問題提起されているように、今私たち人類に最も求められているのはこれからどこに向かうのか、あるいはどういう社会を目指すのかということです。

これまで何度となくお伝えしてきたように、そのキーワードは”持続可能な社会“の実現だと私は思います。

 

そして、”持続可能な社会“の阻害要因として以下の項目が挙げられます。

・化石燃料など多くの資源の大量消費による枯渇

・環境破壊

・地球温暖化

・格差拡大

・武力による問題解決に依存する国の存在

・核兵器など大量殺りく兵器の存在

 

テクノロジーの進歩は、私たちの暮らしを豊かにしてくれる一方、時としてこうした阻害要因を増大させてきました。

そして阻害要因を取り除くのかどうか、そしてどのように取り除くのかを決定するのは私たち人類なのです。

ですから、私たちはテクノロジーの進歩や経済成長にばかり目を奪われることなく、上記の阻害要因を取り除きつつ”持続可能な社会“をベースとした平和で心豊かな社会の実現に向けて取り組み続けると常に心がけるべきであると私は思うのです。

 

そうした中でとても救われるのは、人類はいろいろと大きな問題を抱えながらも国連を中心に”持続可能な社会“を目指して取り組みを進めていることです。


 
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2016年07月19日
アイデアよもやま話 No.3446 ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさんに学ぶべきこと その2 相次ぐISなどによるテロ攻撃!

これまで何度となくお伝えしてきたように、私たち人類は自らの豊かさの飽くなき追求を目指してきており、特に産業革命以降は地球上の様々な資源を大量に消費し、環境破壊をしてきました。

また、近年IS(イスラム国)などによるテロ襲撃により、世界各国で罪のない多くの人たちの命が奪われています。

そうした中、ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさん(80歳)の4月の初来日に伴い、ホセ・ムヒカさんの考え方について様々に報道されていました。

そこで3回にわたってムヒカさんの考え方について、5月7日(土)付け読売新聞の夕刊記事を通してご紹介します。

2回目は、相次ぐISなどによるテロ攻撃についてです。

 

相次ぐISなどによるテロ攻撃について、ムヒカさんは以下のように指摘されております。

「深刻な疫病で、狂信、熱狂から生まれている。宗教は議論するものではなく、心で感じるもの。理性とは別のところに存在するため、感情的な方向に走る。ヨーロッパでのイスラム教徒に対する恐怖が、仕事などでの差別につながり、差別を受けた若いイスラム教徒の中から、狂信的なグループに加わる者が出ている。」

 

そもそも日本国憲法でも信教の自由が保障されているように、誰がどんな宗教の信徒であってもそれによって何らかの差別を受けることがあってはなりません。

また、プロジェクト管理と日常生活 No.437 『人類が直面しつつある究極のリスク』などでこれまで何度となく繰り返しお伝えしてきたように、格差社会は社会不安の大きな原因になります。

 

ですから、宗教に限らず何らかの差別、あるいは極端な収入格差といったことが、差別を受けた人や貧困にあえぐ人たちの心をテロ活動へとかき立てる大きな要因となっていく危険性をはらんでいるのです。

そして、今や収入の格差は世界的に大きな潮流となっています。

 

ということで、ISなどによるテロ活動そのものに目を奪われるのではなく、信教の自由、あるいは格差社会の是正という根本的な社会問題を解決する方向で世界各国が協力して進むことが求められるのです。

このまま格差社会が進めば、いずれ世界的に格差を受ける側の人たちが格差是正に向けた行動を起こし、ISなどのテロとも連動して世界的な社会不安をもたらしかねません。


 
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2016年07月18日
アイデアよもやま話 No.3445 ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさんに学ぶべきこと その1 「ほどほど」精神の大切さ!

これまで何度となくお伝えしてきたように、私たち人類は自らの豊かさの飽くなき追求を目指してきており、特に産業革命以降は地球上の様々な資源を大量に消費し、環境破壊をしてきました。

また、近年IS(イスラム国)などによるテロ襲撃により、世界各国で罪のない多くの人たちの命が奪われています。

そうした中、ウルグアイの前大統領、ホセ・ムヒカさん(80歳)の4月の初来日に伴い、ホセ・ムヒカさんの考え方について様々に報道されていました。

そこで3回にわたってムヒカさんの考え方について、5月7日(土)付け読売新聞の夕刊記事を通してご紹介します。

1回目は、「ほどほど」精神の大切さについてです。

                          

「世界で一番貧しい大統領」として知られるホセ・ムヒカさんは、日本に滞在中の記者会見などを通して、際限のない欲望に振り回されず、「ほどほど」の精神を持つことの大切さを訴えています。

 

ムヒカさんが世界的に注目を集めたのは、2012年にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」での演説でした。

世界各国の代表を前に、「より便利で、より豊かで、私たちは幸せになったのか」などと問いかけ、大きな反響を呼びました。

 

また、ムヒカさんは、現代の人々は多くの矛盾をはらむ時代に生きていると考え、次のように発言されております。

「富が増え、技術が発展した時代は、寿命が延びるなど、ある側面では素晴らしいが、軍事費が増え、富めるものと貧しいものの格差が広がった。我々は皆が生きられる資源を持っているのに。」

 

文明が発展する原動力となった資本主義を「美しき悲劇」と評し、「常に何かを買わないと、全てが止まる。ギリシャの古き考えにある「ほどほど」とかけ離れている。自分のエゴを満足させるために世界を破壊するような文化であってはいけない。」と発言されております。

 

以上、記事の内容をご紹介してきましたが、今ほどムヒカさんのおっしゃるように「ほどほど」精神が求められている時代はありません。

私たちの欲望には際限がありません。

何か目の前の欲望が満たされれば、次々と新たな欲望が芽生え、その繰り返しには際限がないのです。

そして、その欲望を満たす原動力となってきた資本主義は継続的な利潤をもたらす消費が大前提です。

ところが、冒頭でもお伝えしたように、18世紀の産業革命以来、人類は地球上の様々な資源を大量に消費し、環境破壊をしてきました。

その結果、化石燃料などの資源の枯渇、および地球温暖化をもたらしつつあります。

ですから、今後とも人類が豊かな暮らしを追い求めていくうえで、これまでの考え方をあらためていくにあたり、「ほどほど」精神を大きな拠り所としていくことが求められるのです。


 
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2016年07月17日
No.3444 ちょっと一休み その551 『鳴き声の組み合わせで意思疎通』

3月21日(月)放送のニュース(NHK総合テレビ)で鳴き声の組み合わせで意思疎通する鳥について取り上げていたのでご紹介します。

 

人間以外の動物で文章で情報を伝える能力が世界で初めて明らかになりました。

総合研究大学院大学の鈴木 俊貴研究員らのグループが、シジュウカラの鳴き声と行動の関係を10年あまりにわたり観察・実験してきました。

その結果、仲間に危険を知らせる場合は甲高い声で「ピーツピ」と鳴き、仲間を集める場合は濁った音で「ヂヂヂヂ」と鳴くことが分かりました。

また、みんなで集まって天敵を追い払う場合は2つの鳴き声を組み合わせた「ピーツピ・ヂヂヂヂ」と鳴くことも分かりました。

更に、この鳴き声を逆にした「ヂヂヂヂ・ピーツピ」という鳴き声をスピーカーから再生して聞かせた場合は意味が伝わらず、鳴き声の組み合わせには文法があることも分かりました。

鈴木さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これまで170種類を超える鳴き声の組み合わせが見つかっています。」

「シジュウカラがどこまで複雑な情報をどこまで正確に伝えているのかは今後の面白い研究課題だと思っています。」

 

以前、犬の鳴き声から犬の気持ちを分析して表示する機器が話題になったことがありましたが、今回ご紹介したような研究が進めば、犬や猫などペットの鳴き声からペットの気持ちが分かるようになるはずです。

更に、飼い主の気持ちを鳴き声に変換してペットに伝えられるようになることも夢ではなくなると思います。

また、今クマに襲われる不幸な事件が相次いでいますが、こうした技術によりクマとのコミュニケーションが可能になれば防ぐことも期待出来そうです。


 
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2016年07月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.445 『舛添都知事の辞任から見えてくること その4 最後の砦は”国民の声”』

私は都民ではありませんが、アイデアよもやま話 No.3413 舛添都知事の政治資金支出にみる政治家のあり方!でもお伝えしたように今回の舛添都知事の辞任に関してはいろいろと考えさせられました。

そこで、プロジェクト管理の基本的な考え方を通して、私なりに舛添都知事の辞任から見えてきたことを4回にわたってご紹介します。

4回目は、最後の砦は”国民の声”であることについてです。

 

前回、有権者の観点からも立候補者の観点から政治活動の“見える化”が求められるとお伝えしました。

そして、マスコミ報道記事をきっかけに、都知事選には50億円ほどもかかるので猛省を促したうえでこのまま舛添さんに都知事を続投させた方が良いという意見も一部にありましたが、今回の舛添都知事の辞任を決定付けたのは多くの国民の厳しい声です。

 

しかし、以前にもお伝えしたようにそのマスコミもお客様である国民に迎合する傾向があります。

また、選挙のたびに立候補者やその支持政党は美辞麗句を並べて有権者に語りかけてきます。

ですから、どのような状況においても国民が軽々しく曖昧な情報に踊らされることなく対応していくこと、そして良識ある”国民の声”が最後の砦となることを国民一人一人がしっかりと自覚することが求められるのです。

 

民主国家、日本においては国会議員も地方自治体の首長や議員も全て国民の投票によって選ばれており、結果的に国の政治レベルはその国民の意識レベルを反映したものとなるのです。

ですから、今回の舛添さんの都知事辞任の責任の一端は東京都の有権者の皆さんにもあり、他人ごとではないのです。

 

ということで、都民の皆さんに限らず、国民は今回お伝えしたようなことを自覚していただきたいと思います。


同時に、マスコミ関係者の方々には、こうした国民の判断を誤らせないために、マスコミとしてどんな記事を提供するにしても読者への正確な情報提供だけは守っていただきたいと思います。


正確な情報、あるいはより正確な予想こそが全ての判断のベースとなるのです。

 


 
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2016年07月15日
アイデアよもやま話 No.3443 奇想天外な食堂!

5月7日(土)放送の「クロスドード」(テレビ東京)で奇想天外な食堂について取り上げていたのでご紹介します。

 

昨年9月、東京のオフィス街、東京の神保町にオープンした1軒の定食屋さん、その名は未来食堂です。

オフィス街だけに、お客さんのほとんどはサラリーマンや働く女性たちです。

お客さんが来店してわずか8秒ほどで料理が出てきます。

その訳は、メニューが毎日日替わりで1種類だけなのでお客さんが来店と同時に料理の盛り付けが出来るからなのです。

でもメニューは飽きが来ないように計算されています。

1食900円でお客さんに選択の余地はありませんが、それでも客足が絶えない繁盛店なのです。

この徹底した効率化で12席のカウンターをランチタイムに4回転させることもあります。

これは、一般の飲食店では考えられない数字です。

ちょっと気になる1種類だけのメニューですが、お客さんの声は次のように満足のようです。

・いつ来ても食べたいなというものが出てくる

・どの食事も美味しいので全く気にならない

・(料理が出てくるのが)早いのが良い

 

以外なのは、メニューは1種類だけのはずですが、なぜかわがままなリクエストにも対応します。

その仕組みは、その日の夕方、冷蔵庫にある食材をメニュー表に書き込んで、そのメニュー表に書かれた食材からお客さんが選んで好みのおかずをオーダーメード出来るという夜限定の「おあつらえ」システムです。

しかも、固定メニューと違い、その日の夜に残った食材だけで料理を作るので在庫を減らすというメリットもあります。

効率重視のようで、それだけとは思えない不思議な経営方針なのです。

 

この未来食堂を一人で切り盛りしているのが東工大卒でオーナーの小林せかいさん(31歳)です。

小林さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「1人で回しているこの未来食堂の忙しさはすごい難易度の高いテトリスのようなかたちで・・・」

 

ここ未来食堂には“リケ女”ならではの緻密な計算と斬新なアイデアがちりばめられています。

例えば、一度お客さんとして来てくれた人が50分間お店を手伝えば1食無料という「まかない制度」があります。

なお、志願者が特定の時間に集中しないようにホームページのカレンダーで空き状況を公開しています。

忙しい時間帯に1食分の原価(約300円)で労働力が確保出来るのです。

このシステムに参加する人たちには、自分でお店を持ちたいので一番短期間で学びたい

、あるいはデスクで仕事をしているのでいつもと違う仕事をしてリフレッシュしたい、など様々な動機があります。

小林さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「もう一期一会ですよ。」

「でも皆さん楽しんで帰ってくれるので、それは凄く気を付けていますね。」

「ファンになってもらわないと。」

 

また、お酒の持ち込みは自由ですが、その半分を周りのお客さんとシェアするのがルールです。

 

そして、次週のメニューはお客さんに決めてもらうのもルールといいます。

作ったことのない料理を提案されることも少なくありません。

そのため定休日には一流店に足を運んで味を吸収します。

お客さんに満足してもらえる合格ラインを探るために1日4軒回ることもあるといいます。

研究熱心な“リケ女”ならではの努力の積み重ねが味に花開くのです。

 

ある日、東京の離島、八丈島の生産者を訪ねる小林さんの姿がありました。

八丈島特産の島レモン、一般のレモンに比べて大振り、しかも皮まで食べられるのです。

実は、小林さんは東京都の地域活性団体と共同で、伊豆諸島・小笠原諸島の特産品を使った食材を活かして様々な料理を提供しています。

そして、そうした料理を食べた感想をお店に置いてあるノートに綴ってもらっているのです。

この日は、お客さんの生の声を生産者に届けに来ていたのです。

こうしたお客さんの生の声が生産者の方々の頑張る力になっているといいます。

 

未来食堂で“人と人とをつなぐ”、実はそれこそ今小林さんが目指していることなのです。

 

ある日、未来食堂に盛岡在住の吉田 光晴さんが岩手県の盛岡からやってきました。

吉田さんは、以前未来食堂を手伝った一人で、数週間後に盛岡でコミュニティカフェのオープンを控えていて、小林さんに相談に来たのです。

忙しい仕込みの手を止め、真剣に相談に乗る小林さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「お店で一度でも働いてくれたわけだから、そういう人が悲しんで欲しくないなと思うので、出来ることは応援したいなっていう感じですかね。」

 

1週間後、居ても立っても居られなくなった小林さんは、吉田さんのお店、つながる台所「Tane」に駆けつけました。

早速厨房をのぞいた小林さんは、作業スペースの狭さに唖然としました。

プレオープンの時刻が迫る中、未来食堂で培ったノウハウや知識を惜しみなく伝えていきました。

小林さんのアドバイスが効を奏し、プレオープンは無事に終えることが出来ました。

 

それにしても、なぜ吉田さんは盛岡に未来食堂のようなお店を作ろうと思ったのでしょうか。

吉田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「空間を楽しみに来るというか、そんな感じがするんですよね、未来食堂は。」

「そういう雰囲気をここでも作って行けたらいいなと思います。」

 

また、小林さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「どこかで頑張っている人がいるんだったらそれを応援したいな。」

「それが別に東京だからとか岩手で離れているからとかは全然関係無いと思います。」

 

陸奥に未来食堂のDNAを受け継ぐお店が誕生しました。

青春の日から十数年、小林さんにとって未来食堂とはどんな場所なのか、番組の最後に次のようにおっしゃっています。

「いろんなものを受け止める場所かな。」

「誰でもを受け入れるし、いろんな人のチャレンジとかいろんな人の想いを受け入れる場所でありたいなというふうにはいつも思っていますね。」

 

さて、驚くことに1984年に兵庫県の教育熱心な家庭に生まれた小林さんは小学校入学時には既に因数分解を理解していたといいます。

しかし、中高一貫の名門女子高へ進学した小林さんは、家にも学校にも居場所のなさを感じており、授業とかをよくサボり、15歳の時に初めて一人で近所の喫茶店に行きました。

当時のことについて、小林さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この空間が凄く心地よいというか衝撃を受けて、居づらいなと思っていたような場所から離れて、ここだとちょっと安心出来るというか、そういう感じの温かみをくれたという・・・」

 

息苦しさから解き放され、自分の居場所を見つけたという安心感、小林さんがお店を持とうと決めたのは、15歳のその時だったのです。

 

その後、小林さんは東京工業大学の理学部数学科を卒業し、大手企業のエンジニアとして働きました。

しかし、青春の日の想いは絶ちがたく、29歳で退職、その後1年半の間に大手外食チェーンをはじめ6店舗を渡り歩いてノウハウを吸収し、2015年9月に未来食堂をオープしたのです。

飲食業界の常識を覆すビジネスモデルとして様々なメディアにも取り上げられました。

 

そして今、なぜか小林さんは「貨幣」とは何かについて勉強しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、小林さんは、論理的に物事を考えるだけでなく、とても心優しい女性だと思います。

そればかりでなく、未来食堂は“人と人とをつなぐ”ことを目指しいているように、単なるビジネスのためにお店のオーナーになっているばかりでなく、未来食堂に関わる全ての人たち、すなわちお店に来てくれるお客さん、お店で働いてくれる人たち、食材を提供してくれる生産者、そして未来食堂を参考にして新たに自分のお店をオープンさせたい人たちなど皆に幸せになって欲しい、という強烈な意志、願いを小林さんは持っているように思います。

 

また、今回ご紹介した未来食堂の運営に際しての小林さんのアイデアにはとても感心させられました。

その基本的な考え方は、未来食堂のお客さんをはじめとする関係する方々全てのメリットと徹底した効率化を追求したシステムの構築だと思います。

そして、どんなビジネスにもその基本的な考え方は応用出来ると思うので以下にまとめてみました。

是非、参考にして下さい。

・メニューは日替わりの1種類

  お客にとってのメリット:

ランチタイムでも料理の待ち時間がない

  お店にとってのメリット:

料理する手間がかからない

・その日に残った食材の組み合わせでオーダーメード出来る夜限定の「おあつらえ」システム

  お客にとってのメリット:

食材の制限はあるものの、食べたい料理をオーダーメードで注文出来る

  お店にとってのメリット:

その日の食材の在庫処分が出来る

・50分間お店を手伝えば1食無料という「まかない制度」

  お客にとってのメリット:

自分の都合次第で、50分間働くだけで1食分(900円)無料になる(時給換算で1080円)

   自分でお店を持ちたいお客にとっては短期間で実践的に学べる

   気軽にいつもと違う仕事によりリフレッシュ出来る

   お店にとってのメリット:

忙しい時間帯に1食分の原価(約300円)で労働力を確保出来る

・お酒の持ち込みは自由だが、その半分を周りのお客さんとシェアするルール

  お客にとってのメリット:

自分の飲みたいお酒をリーズナブルに持ち込むことが出来る

   お客により持ち込まれたお酒をシェアすることによりお客同士のコミュニケーションのきっかけが出来る

   お金のない酒好きのお客は無料でお酒を飲めことが出来る

  お店にとってのメリット:

来店客を増やすプロモーションの一環になる

・次週のメニューはお客さんに決めてもらうシステム

  お客にとってのメリット:

次週、自分の食べたい料理をリクエスト出来る

  お店にとってのメリット:

お客の食べたい料理を提供することにより固定客や来客の増加が期待出来る

   新たな料理にチャレンジ出来るので提供する料理の幅が広がる

・伊豆諸島・小笠原諸島の特産品を使った食材を活かして様々な料理を提供している

  お客にとってのメリット:

   地方の特産品を使った美味しい料理を味わえる

  生産者にとってのメリット:

   お店が販売先となってくれるので売上向上に結びつく

  お店にとってのメリット:

   地方の特産品を使った美味しい料理を提供することによりお客さんの満足度を向上出来る

 

以上、まとめてみましたが、小林さんのいろいろな独創的なアイデアも、そのベースには美味しい料理へのこだわりがあることは言うまでもありません。

そこがまた小林さんの凄いところだと思います。


 
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2016年07月14日
アイデアよもやま話 No.3442 自転車用の電動アシスト”タイヤ”!

4月29日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で電動アシスト”タイヤ”について取り上げていたので関連ネット記事と合わせてご紹介します。

 

以前、EV(電気自動車)のインホイールモーターについてご紹介したことがありますが、

韓国のベンチャー企業、ハイコアが自転車用の電動アシスト”タイヤ”、すなわちインホイールモーターを開発しました。

2時間の充電で約2時間走行可能といいます。

バッテリーが小さくても走る秘密は、内蔵されている2つのモ−ターで、それぞれ低速と高速のギアにつながっています。

低速で走っている時は高速のモーターが休み、逆に高速で走っている時は低速のモーターが休むという構造が省エネ走行を可能にするといいます。

更に、この製品用にスマホのアプリも開発し、バッテリーの残量などを確認出来るようにしました。

 

ところが、韓国は公共交通機関の料金が日本の半分以下と安く、町で自転車に乗る人はほとんどいないといいます。

そこで、自転車大国の中国やヨーロッパ、アメリカ、そして隣国の日本を販売のターゲットにしています。

 

なお、この電動アシスト”タイヤ”は商品名「センチネル・ホイール」(注:後ろのタイヤ1本のみ)、価格約6万円で日本では6月から発売予定とされていますが、ネット検索結果ではどこで購入出来るか分かりませんでした。

ただし、この商品には、タイヤを付けたままドライバーで外して充電するので面倒という弱点があります。

 

ハイコアでは、個人への販売だけでなく、この技術を自転車メーカーにも売りたいとしています。

また、ハイコアには、将来的に自動車のタイヤにモーターを組み込んで技術革新を起こしたいという野望があるといいます。

 

さて、これまで乗っていた普通の自転車の後輪を「センチネル・ホイール」に代えるだけで電動自転車として利用出来るというのはこの商品の大きな特徴だと思います。

ですから、今乗っている自転車が大好きで、そのまま電動自転車にしたいと思っている方にとって、「センチネル・ホイール」はとてもありがいたい商品ではないかと思います。


 
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2016年07月13日
アイデアよもやま話 No.3441 アップルの陰りに見る企業の成長の限界!

前回、ダイソンに見るモノづくりの秘訣についてご紹介しましたが、7月5日付け日本経済新聞の電子版でこれに関連したとても興味深い記事を見かけましたのでご紹介します。

 

ご存知のように、アップルは音楽の楽しみ方を変え、スマホで人間の生活そのものを変えました。

その結果、部品やソフトのメーカーを潤し、世界経済を支えてもいます。

ところが、6月13日、サンフランシスコで開いた開発者向けイベントで、アップル最高経営責任者(CEO)のティム・クックさん(55歳)の説明は、基本ソフト刷新など既存プラットフォームの小幅改善に終始し、「過去の話が多くなり、かつての大胆さが消えた」と出席者に印象づけたといいます。

 

創業者のスティーブ・ジョブズさんが2011年に死去する前にCEOを引き継いだクックさんは5年で売上高を5割増やし、株価を2倍に引き上げました。

ジョブズさんが嫌った「iPhone」の大画面化に踏み出して需要を再び呼び戻し、「アップルウオッチ」も世に問いました。

 

後継者として業績を安定的に伸ばしてきた経営能力は内外で高く評価されるクックさんをしても抑えきれない異変が今、アップルを襲っているといいます。

 

1月に始まった「iPhone6s」の減産は前年比3割に及びました。

前作「iPhone6」とパネルサイズが同じで機能差も大きいといえず消費者に違いを打ち出せていないのです。

 

2007年に登場したiPhoneの草創期は生産台数が少なく、世界で集めた最先端の部品を惜しげもなく採用出来ました。

それが今、新作は1億台以上に必要な量の部品を用意しなければなりません。

ビジネスが大きくなって品質管理の担当者が増え、新技術の採用に保守的な態度も目立ってきまました。

 

消費者が抱く「飽き」も避けられません。

アップルは新しいライフスタイルを提案する製品を幾度も生み出してきました。

でも、iPhoneを超えるような製品は久しく生まれていません。

日常品化したスマホという土俵で戦い続ければ、どんなに完成度が高くても感激は薄れてきます。

そういう盛者必衰のサイクルをアップルは緩やかに迎えつつあるのです。

 

そうした中、「それなしで生きていけないと思うほどの機能が新モデルに加わる」、5月2日、テレビ番組に出演したクックさんは今秋発売の次期iPhoneについて語りました。

ところが部品メーカーに伝えている生産計画の数量は現行モデル並みで、驚きを求める消費者の期待に新製品で応える「アップルモデル」は行き詰まっています。

 

以上、記事の内容をざっとご紹介してきましたが、ここで思い出されることがあります。

それは、かつてのソニーの画期的かつ世界的大なヒット商品「ウォークマン」です。

従来のライフスタイルを変えてしまうほどの素晴らしい製品もやがて日常生活の中に埋没してしまい、ユーザーに与えた当初の感動もだんだん薄らいでいきます。

また、他社による競合商品も登場してきます。

更には、技術革新とともに同じ機能を満たす媒体もどんどん進化していきます。

そして、今やネットを通して膨大な量の楽曲をダウンロード出来るような環境になっています。

残念ながら、こうした技術革新を最大限に活用したビジネスモデルを構築するというライフスタイルを提供し、世界的に普及させるリーダーはソニーではなくアップルだったのです。

ですから、企業が継続的に成長していくためには以下のプロセスが求められるのです。

1.新しいライフスタイルの提唱

2.新しいライフスタイルを実現させるための最新技術による製品づくり、およびサービス、そしてビジネスモデルの実現

 

ところが、企業の新製品や新サービスも必ずヒットするという保障はありません。

ちなみに、今や伝説的なロックバンド、ビートルズも彼らの人気の絶頂期に、次に発表する新曲がヒットに結びつくかどうか大変不安を感じていたそうです。

 

ヒットの保障がない中で、それぞれの企業は自社の存続を賭けて新商品の研究開発に取り組んでいかなければなりません。

しかし、今回ご紹介したアップルもこれまでの大企業の例に漏れず、企業の成長の限界が表れて始めているといいます。

そうした中で、今回ご紹介した、企業が継続的に成長していくためのプロセス、および前回ご紹介したようなモノづくりの秘訣をいかに社内の組織風土として定着させ、維持出来るかがアップルに限らず、どの企業にも求められているのです。

 

更に言えば、今や世界的な関心事である地球環境問題やエネルギー問題を解決するための“持続可能な社会”の実現の方向性に沿った“モノづくり”を実現させることが世界中の多くの人たちから尊敬される企業、すなわち“絶対的に社会的に存続価値のある企業”となり得るのです。


 
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2016年07月12日
アイデアよもやま話 No.3440 ダイソンに見るモノづくりの秘訣!

4月27日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でダイソンの斬新な家電について取り上げていたのでご紹介します。

 

世界初のサイクロン掃除機など革新的な家電をヒットさせてきたイギリスのダイソンが開発した新型ドライヤーを4月27日に発表しました。

ちなみに、商品名は「ダイソン スーパーソニック ヘアードライヤー」で価格は4万8600円で4月28日より直営店で発売されるといいます。

 

この新型ドライヤーの革新のポイントは「風」です。

本体から風を吐き出す際、周りの空気を巻き込んで風量を3倍に増幅し、その分低めの温度で髪を乾かせるので、髪を傷めにくいといいます。

もう一つのポイントは「音」です。

パワーの割に騒音を抑えられた理由は独自に開発した羽根車です。

回転して風を取り込みます。

13枚の羽根、その角度とかたち、これによって風が生まれた時の音が人間に聞こえにくい超音波の音域となり、うるさく感じにくくなったといいます。

なお、この商品の開発には4年、そして開発費用はおよそ100億円をかけたといいます。

 

ダイソンの創業者、ジェームズ・ダイソンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「我々がやっているのは商品の開発、新しいものを開発し、商品化するのが仕事です。」

「技術者に求めているのは、好奇心やチャレンジ精神です。」

「「世界を変えたい」という気持ちだ。」

 

ダイソンといえば、世界初の紙パックを使わないサイクロン掃除機や羽根のない扇風機と、これまで斬新な商品を次々と生み出し、大ヒットさせてきました。

なぜ革新的な生み続けられるのでしょうか。

 

ロンドンから車で2時間半の田舎町、マルムズベリーにダイソンの本社があります。

建物の前にはなぜか戦闘機が展示されています。

滑走路無しで垂直に離着陸出来る世界初の戦闘機「ハリアー」です。

これが象徴するのはダイソンが目指す、“不可能”を“可能”にするモノづくりです。

なんとダイソンの技術者の平均年齢は26歳といいます。

ダイソンの技術者の一人、アレックスさん(24歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「会社はデザインや技術開発などの面で私たちに大きなチャンスをくれる。」

「早い段階から責任を持たせてもらえる。」

 

ただチャンスを与えるだけではありません、

若手の自由な発想を引き出す仕掛けも用意しています。

それが年に1回開く社内レース「チャレンジダイソン」です。

段ボールや掃除機をばらした部品などでクルマを作り、その速さを競うレースです。

その由来は、創業者、ジェームズ・ダイソンさんが試作した世界初の「サイクロン掃除機」です。

最初は段ボールで、自由な発想から生み出されていました。

 

そんなモノづくりの姿勢を若手技術者に伝え、世の中に無いモノを生み出す原動力にしているのです。

更に、シニア・エンジニアのステファン・コートニーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「我々は事前の市場調査にはあまり頼らない。」

「他社は消費者からどんな商品が欲しいか聞いてから商品を開発するが、実は消費者は自分が何が欲しいか分かっていない。」

 

例えば、アップルが消費者が思いつかないほど革新的な「iPhone」を自分たちで発明し、発信することで全く新しい市場を作り出しました。

ダイソンもこれに近い考えといいます。

つまり、消費者の声に頼らず、ゼロから商品を生み出すのです。

 

オリジナリティ溢れる商品を開発するためには何が必要かという問いに対して、ダイソンさんは次のようにおっしゃっています。

「お客の欲求を聞き、理解するのは勿論大切だが、それよりも大事にしているのは新しい技術の開発だ。」

「ダイソンにとって最も大切なのはあくまで製品だ。」

 

なお、事前の市場調査にはあまり頼らないということですが、何が不満かについては、エンジニアが1軒1軒聴いて回ることはしているといいます。

 

番組のコメンテーターで、エコノミストのロバート・フェルドマンさんは番組の最後に次のようにコメントされております。

「「必要は発明の母」とよく言われますけど、最近私が読んでいる本では違うと。」

「「発明の母はいらだち」です。」

「すなわち、これ嫌だ、これが不満、こういうモノあったらいいな、そういうような不満がポイントですね。」

「これ、実はダイソンさんだけじゃなくて、日本でも例えば松下幸之助が言っていたことですね。」

「もう一つ大事なのは、ダイソンさんの熱意を感じますね。」

「これ“オタク”ですね。」

「とにかくこれやるぞ、っていうようなことですね。」

「やっぱり売り上げに比べてものすごいお金を(研究開発に)使っていますね。」

「売り上げの15%くらい使っているということらしいんですけども、アメリカの平均5%、日本の平均4%という数字ですから、すごい研究開発に熱意を出しているということがもう一つの秘訣ですね。」

「(これは他の会社では出来ないことかという問いに対して、)出来ないわけではないですけども相当の覚悟でやらないといけないんですね。」

「もう一つ大事なのは、社会の変化ですね。」

「若い研究者が多いです。」

「今の若い人たちはとにかくライフスタイルを重視すると。」

「お金とライフスタイルのバランスということですけども、犬を連れて会社に来たい人が多いと、とにかくそういうライフスタイルが欲しい人たちを集めて“やろうよ”ということに熱意をあげる、これがもう一つの秘訣ではないでしょうか。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、ダイソンにヒントを得たこれからのモノづくりの秘訣には以下の5つがあると思います。

1.若者の“自由な発想”

2.“オタク”精神(とにかくやるぞ)

3.消費者の声に頼らずに開発

4.研究開発にお金をかける

5.技術者のライフスタイルを考慮した開発環境を用意すること

 

一通りのモノが揃っている消費社会においては、とりわけ“自由な発想”による革新的で魅力的なモノづくりが求められていると思います。

また、こうしたモノづくりこそが技術者魂を揺さぶり、技術者の生きがいをもたらし、期待以上の成果を生み出すと思うのです。


 
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2016年07月11日
アイデアよもやま話 No.3436 フル充電で560km走行可能な日産「リーフ」試作車に見るEVの明るい未来!

6月29日(水)に出かけた展示会、「再生可能エネルギー世界フェア2016」(パシフィコ横浜で開催)で、日産「リーフ」の試作車をたまたま見かけました。

その試作車にEV(電気自動車)の明るい未来を感じ取ったのでご紹介します。

 

この試作車、なんとフル充電での航続距離がおよそ560kmというのです。

説明員によると、現行の「リーフ」のバッテリースペースに60kwhという大容量のバッテリーを搭載しており、実際に高速道路を使って長距離ドライブをしたといいます。

また、次回のモデルチェンジでは、以前ご紹介したアメリカのEVメーカー、テスラモーターズの「モデル3」に対抗出来る「リーフ」を市場に投入するニュアンスのことを言われていました。

ですから、恐らく来年の2017年にはフルモデルチェンジの新型「リーフ」が発売されるのではないかと私は勝手に予想しています。

 

その根拠は以下のように3つあります。

・「リーフ」の初期モデル発売からほぼ7年を迎えること

・テスラモーターズの新型モデル「モデル3」の先行予約開始から24時間で20万台ほどの予約があったこと(フル充電での航続距離が340kmで低価格であることから、このような程度の内容のEVであれば、かなりの需要が期待出来ることが明らかになった)

・2017年にその「モデル3」の出荷が始まること

 

さて、冒頭でもお伝えしたように、フル充電での航続距離がおよそ560km、そして搭載するバッテリー容量が60kwhという試作車の仕様に私はEVの明るい未来を感じ取りっています。

現在、私の自宅は太陽光発電、およびオール電化を導入し、2011年に購入した「リーフ」の充電も半分以上は自宅の普通充電で行っています。

そして、7年ほど自宅での発電量や消費電力量のデータを毎月取っておりますが、1年のほとんどは1日当たり30kwh以下の消費電力量で収まっています。

また、1日当たりの走行距離も200kmであれば、私用のみならず一般的なビジネスでの使用にも耐えられるようになります。

ですから、一般的な家庭でこうした「リーフ」を購入した場合、毎晩、深夜時間帯にフル充電し、そのバッテリーの30kwh分を移動手段用として、また残りの30kwh分を昼間の家庭用電源として使用すれば、昼間の電力需要のピークを下げることに貢献出来ます。

 

ということで、仮に次のモデルチェンジで「リーフ」の仕様が今回展示されていた試作車と同様で、価格もいい意味で購入者の期待を裏切るほどの安さのタイプが投入されるようなことがあれば、移動手段として満足出来るだけでなく、昼間の家庭用電源としても利用出来るようになるので、EVの明るい未来が大いに期待出来そうです。

 

ちなみに、以前ご紹介したように、テスラモーターズの「モデルS」の既に市販化されている最上位機種のバッテリー容量は85kwhです。

ですから、「モデルS」は既に今回私のお伝えした要件を満たしているのです。

ところが残念なことに、聴くところによるとテスラモーターズではEVのバッテリーを家庭用電源として活用しようという動きは今のところなさそうです。

 

さて、こうした一方で、EVの普及拡大が進むと、多くのEVの昼間の急速充電により電力需要のピークを押し上げるリスクがあります。

しかし、これに対しては、以下の2つの対策を講じることにより解決が見込まれます。

1.EVの駐車スペースにEVの充電だけでなく、EVのバッテリーから系統電力への給電機能を持たせたスタンドを設置し、給電料金は深夜の充電料金より多少高く設定する

2.昼間の時間帯のEVへの充電料金を高く設定する

                     

なお、EVの普及拡大が進んだ時点では、ほとんどの駐車スペースはEVへの充電、およびEVからの給電の両方の機能を持たせたスタンドが標準的に設置されていることが望ましくなります。

要するに、将来的に明確に自動車は単なる移動手段としてだけでなく“動く電力需給調整装置”としての機能を持つようになるのです。


 
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2016年07月10日
No.3438 ちょっと一休み その550 『 高齢者に何もさせないのは親切ではない!』

ちょっと古い情報ですが、2月13日(土)放送の「サワコの朝」(TBSテレビ)のゲストは中尾ミエさんでした。

中尾さんは歌手として十代から活躍されており、その後活躍の場を女優やバラエティ番組などにも広げていきました。

デビューから50周年を迎えた今もなお、美しい歌声とその歯に衣着せぬトークで輝き続けています。

そして、70歳を迎える今年も新たなミュージカルを計画中だといいます。

 

さて、番組の中で最も印象に残ったのは中尾さんの次の言葉です。

「(高齢者に対して)何もしなくていいっていうのは親切じゃないんですよ。

「最後の最後までこき使わなきゃ。」

 

この言葉を裏付けるのは、映画「人生、いろどり」(2012年)です。

この映画は、葉っぱビジネスで大成功した高齢者たちが生きがいを取り戻していく実話を元にした作品です。

ちなみに、葉っぱビジネスについてはアイデアよもやま話 No.2057 参考にすべき高齢者の”葉っぱビジネス”でもお伝えしたことがあります。

 

中尾さんは、この映画に出演したことで老後への考え方が変わったといいます。

葉っぱで商売になるということが分かって、みんながやり始めたらなんと老人ホームに入っていたおじいちゃん、おばあちゃんも寝たきり老人だった人もベッドから離れて商売を始めたといいます。

その結果、老人ホームを廃止したというのです。

 

こうした状況について、中尾さんと司会の阿川佐和子さんの会話は次のように進んでいきます。

(中尾さん)

「だって、お金が儲かるんだもん。」

「それも半端なお金じゃないから。」

「何千万(円)とかって入ってきちゃうから、孫に家を建ててやるのにおじいちゃん、おばあちゃんがお金出してやったって言うから、いくらって言ったら1000万(円)とかって。」

「寝てる場合じゃないもの。」

「実際、そこで撮影やってたんでエキストラはみんな土地の人なの。」

「明るいのよ、はつらつとしているし、」

「で、人間ってこういう目的とか、自分が世の中の役に立っているっていう意識があれば元気になれるんだと思って、これちょっと考え方変えなきゃなあと思った。」

 

(阿川さん)

「私も報道の仕事をしている時に、老人の自殺の多い町に行ったんですよ。」

「なんで自殺したくなるかっていうのをいろいろリサーチしてみたら、もう自分を必要とされていないと自覚すると、ここにいると邪魔だろうと思って命を絶つんですよ。」

「だから、ずうっと例えば孫のお弁当を作っていたのがおばあちゃんの役割だったのに、「おばあちゃん、もうやんなくていい、そこでテレビ観ていればいいから」と言われちゃうとダメだと。」

 

(中尾さん)

「そうなの、それは親切じゃないのよ。」

「もうそれが苦痛なんですよ、やることがないっていうのは。」

「私の父親が93歳まで生きて、一緒に暮らしてたんですけど、元気だったんですよ。」

「だけど、何が辛いって、朝起きて今日一日何もやることがないっていうのが一番苦痛だって言ってましたね。」

 

(阿川さん)

「で、そういう人たちに今はデイケアシステムとかここでやることあるでしょって言うけど、男の人は特になじまないんですってね。」

「それまで部下なんかを使っていて社長とか言われていたのに、「はい、おじいちゃん、手をつないで下さい」みたいなことを言うとプライドが許さなくて行きたがらないって話を取材で聞いたことがある。」

 

(中尾さん)

「そうなんですよ。」

「だからね、「人生、いろどり」の映画を終えて、「ヘルパーズ」っていう(中尾さん演じる大物タレントが介護士を目指して奮闘する)ミュージカルをまず作ったんですよ。

「それはヘルパーになってみなさんの役に立つっていうね。」

「それで、いろんな老人ホームなんかに行くと、違うなあっていう、自分もそっちに向かってんだけど、いやいやちょっと(ここには入りたくない)とこばっかりなんですよ。」

「そしたら、今自分が元気なうちに自分の理想郷みたいなところを作りたいと思ったわけ。」

「それで、「ヘルパーズ」っていうのを6年間ぐらいやったんですけど、ある日はたと気がついて「ヘルパーズ」じゃないよ、高齢者のためにって思っていたのがいやいや私自分もそっちなんだと思ったわけ。

「それで、(ミュージカルの内容を変えて、デイサービスに通う高齢者たちを描いた中尾さん主演・プロデュースの)「ザ・デイサービス・ショウ It’s Only Rock’n Roll」(2015年)っていうのを作ろうということになって。」

「で、老人ホームなんかに行くと、唱歌とか歌ってるわけ。」

「でも、ちょっと待ってよって。」

「私たちの若い頃のあれ(歌)はビートルズやプレスリーの世代なんですよ。」

「それで育って来てるんだから、もう唱歌とかなんとか逆に知らない。」

「で、ロックバンドを作ったんですよ。」

「実際、演奏するんですよ、みんな(「かしまし娘」で活躍されていた庄司 花江さんなど高齢の出演者)で。」

「最初は仕事として企画したんだけど。これが本当に私がやりたかったデイサービスと思ったんですよ。」

 

「ヤング@ハートっていう、アメリカで75歳以上しか入れないっていう(平均年齢80歳の)コーラスグループあって、ロックなんですよ。」

「世界中公演して回ってるんですよ。」

「で、(公演から)帰ったらそういう施設なんかに戻ってとかって言うんだけど、それがちゃんと仕事になって。」

「だから、もう生きがいが全然違うじゃん。」

「で、来年また新しいミュージカルやろうと思ってるんです。」

「それは「レビュー」。」

「金井 克子さんと前田 美波里さんと。」

 

「だから、国にも言いたいんだけど、みんなね、若い頃に身に付けたものとかあるじゃないですか、それぞれが。」

「みんなまとめて収容するんじゃなくて、小さい区切りでここはこういうことが得意な人というふうにすればいいと思うのね。」

「あと、やっぱりビジネスを作ってあげないと。」

「だって、ビジネスしたら、お金儲かったら税金も払うのよ。」

「で、介護する人も手がかからないし、本人も楽しいし。」

 

「(今が一番人生で楽しいという噂について、)だってさあ、ここまで来れば誰も文句言わないじゃない、何やったって。」

「だから、今一番楽しいですよ。」

 

「(中尾流の老後の楽しみ方についての1番目は、)苦手だったこと、避けていたことにあえて挑戦すること。」

 

例えば、字が汚いから返事も書けないというので習字を習ったり、料理が出来なかったので普通に家庭料理を習っても今更誰もビックリしないので雑穀料理を習い始めたといいます。

 

「(二番目は、)話したい人には躊躇せずに話しかける。」

 

例えば、新幹線で隣に座っていた全く知らない人にも話かけるといいます。

実際に、たまたま乗り合わせた瀬戸内寂聴さんにも話しかけたといいます。

 

「(苦手なことに挑戦して何がどう変わったかという問いに対して、)一番版大きいのはいろんな人に会える。」

「十代からこの世界でしょ、(なので)全然違う世界の人と会うチャンスがない。」

「で、全く違う世界の人と出会って、いろんな人から聴くことで(脳の活性化になるような。)」

「だから、年取ったらまず一番は明るいことですね。」

「もう、少々のことじゃ何失言したって、「ばあさん、何言ってんだ」ってふりますから、ボケたふりしていいたいこと言う。」

 

「(番組の最後に、「ザ・デイサービス・ショウ It’s Only Rock’n Roll」での高齢の出演者の頑張りを引き合いに出して、)だから、本当に何もしなくていいっていうのは親切じゃないんですよ。」

「最後の最後までね、こき使わなきゃ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私も実家の親の件で、介護老人保健施設を何度か訪れることがありますが、番組でも紹介されているようにあまり元気のなさそうな高齢者の姿を目にします。

そして、この番組を観てから、老人ホームが廃止されるくらいに高齢者が趣味やビジネスで元気になれるような社会が実現したらどんなに素晴らしいかと思っています。

そして、実際に徳島県上勝町では“葉っぱビジネス”により高齢者が元気に暮らせる社会を実現しているのですから、決して夢ではないのです。

 

ここまでいかなくとも、せめて2世帯住宅などでも家事の分担でおじいちゃん、おばあちゃんにも一定の役割があったり、あるいは趣味やボランティア活動を通して自分が家族や社会から必要とされていると高齢者が実感出来るように暮らせるような社会であって欲しいと思います。

 

いずれにしても、高齢者に限らず、相手が本当に何を望んでいるのかを確認しつつ“思いやりの精神”で自分の望んでいることと折り合いを付けつつ、お互いに助け合い、あるいは補い合うことにより、お互いに少しでも暮らしやすい社会であって欲しいと思います。

 

単純に考えても、少子高齢化が進む中で、まだまだ元気な高齢者のパワーを活用しないのは高齢者にとっても社会にとってもとてももったいないと思うのです。

まさに、中尾さんのおっしゃるように高齢者に何もさせないのは親切ではないし、社会にとっても大きな損失なのです。


 
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2016年07月09日
プロジェクト管理と日常生活 No.444 『舛添都知事の辞任から見えてくること その2 政治活動の“見える化”の必要性』

私は都民ではありませんが、アイデアよもやま話 No.3413 舛添都知事の政治資金支出にみる政治家のあり方!でもお伝えしたように今回の舛添都知事の辞任に関してはいろいろと考えさせられました。

そこで、プロジェクト管理の基本的な考え方を通して、私なりに舛添都知事の辞任から見えてきたことを4回にわたってご紹介します。

3回目は、政治活動の“見える化”の必要性についてです。

 

前回、舛添都知事の辞任のような問題が起きないような対応策についてお伝えしました。

しかし、政治資金規正法の改定や都議会自らの仕組みの見直しなどはすぐには手が付けられそうもありません。

そこで、今回は“見える化”をキーワードに絞った具体的な対応策についてご紹介します。

 

これまでプロジェクト管理と日常生活 No.394 『国の政策にも求められる数値化目標による”見える化”の必要性』などで、様々な問題の解決やある目標を達成するプロセスにおける“見える化”の必要性についてお伝えしてきました。

“見える化”とは、具体的な数値化などによる状況把握です。

今回の東京都の舛添都知事の辞任報道に接して、あらためて一人一人の政治家の活動の“見える化”の必要性を感じました。

それぞれの政治活動が常に“見える化”されていれば、政治家の不正や不適切な活動の防止、およびより良い政治の維持が図られると思うのです。

政治家の良し悪しは弁舌さわやかなどによるイメージや人気で測られるのではなく、過去の政治活動の実績や選挙公約の内容、およびその実現可能性という具体的な内容で測られるという状況を定着させることが大切なのです。

また、こうした状況により、政治家は選挙区内での様々なイベントなどへの参加に労力を費やさず、政治家としての本来の活動に邁進することが出来るようになります。

 

さて、相次ぐ政治とカネの問題ですが、今政治資金をめぐる新たな取り組みに注目が集まっています。

以下は、6月11日(土)放送の「報道特集」(TBSテレビ)および関連ネット記事からの内容です。

学生をインターンシップとして国会議員らの事務所に派遣する東京のNPO法人「ドットジェイピー」が中心となった「政治と国民を近づける会」が専用サイト「ラポール・ジャパン」を6月3日に公開しました。

現職の国会議員が関係する約2000の政治団体の収支報告書に記載された情報をデータベース化(2014年分)したのです。

例えば、安倍総理の名前で検索すると、関連する政治団体の収入と支出がグラフで表示されます。

また、政治資金の用途を検索することも出来ます。

これまでインターネット上に公開されていなかった情報についても都道府県から収支報告書を直接取り寄せるなどして一括して検索出来るようにしたのです。

一人の政治家が関係する複数の政治団体が総務省と都道府県にバラバラに収支報告書を提出しており、これまで全体像が見えにくいという問題があったのです。

ところが、全てを電子データとして集め、情報を連結決算にしてより正しい情報を把握することが出来るようになるとNPO法人「ドットジェイピー」では期待しています。

 

政治家のカネの流れを可能なかぎり“見える化”しようとするこの取り組みをどのように活用出来るのかについて、日本大学法学部の岩井 奉信教授は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「もし舛添さんが国会議員をお辞めになって都知事になる時にこのサイトがあれば、国会議員時代の収支はどうだったかというのをクリック一つで見ることが出来るわけですね。」

「で、こんなモノをいろいろ買っているぞというのも出てくることになりますからですね、やはりこういったような問題がもっと早い段階で出てきた可能性もある。」

「逆に言えば、こういうサイトがあればあんなお金の使い方はしなかったんじゃないだろうか、そういう抑止力にもなったのではないかなあという感じもしますよね。」

 

今回ご紹介したようなサイトがあれば、少なくとも政治家の政治資金の支出の妥当性の判断が出来るようになります。

しかし、こうした作業も一般有権者が個々に行うのはとても難しいと思います。

そこで、マスコミやNPO法人などが、こうしたデータに加えて個々の政治家の過去の政治活動の実績や選挙公約の実現可能性などを分析し、ミシュランガイドのように第三者として客観的に5段階などでの評価した結果を公開すること、すなわち“見える化”することが求められます。

また、こうした“見える化”はマスコミなどによって評価結果が多少異なってもかまわないのです。

競争原理が働き、いずれより適切な“見える化”に集約されていくからです。

このような“見える化”により、有権者は単なるイメージではなく、候補者の実像を把握したうえで投票に臨むことが出来るようになります。

一方、政治家も緊張感を持って政治活動に邁進することが出来、しかも実績を積み上げれば正当に評価され、それが励みになるのです。

 

もし舛添さんが都知事繊に立候補した時にこうした“見える化”がなされていれば、恐らくその時点で舛添さんの弁説さわやかな演説と過去の実績とのギャップに有権者は舛添さんに信頼感が持てず、多くの有権者は舛添さんに投票していなかったと思います。

それ以前に、そもそも舛添さんは“見える化”されているご自身の過去の実績から立候補していなかったかもしれません。

あるいは、与党である自民党や公明党も舛添さんを推薦することもなかったかもしれません。

 

こうした“見える化”がなされないままでの選挙では、いつまで経っても私たち有権者はマスコミによる断片的な情報に頼るか、あるいは候補者の所属政党やイメージで投票する状況が続いてしまうことになるのです。


 
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2016年07月08日
アイデアよもやま話 No.3437 微生物で発電 その2 微生物燃料電池の問題と解決策!

これまでアイデアよもやま話 No.1238 世界の驚き発電!などで様々な発電装置についてご紹介してきました。

そうした中、4月24日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ)で「“発電菌”研究の最前線」をテーマに取り上げていましたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、微生物燃料電池の問題と解決策についてです。

 

1回目で微生物燃料電池についてご紹介しましたが、この微生物燃料電池にはある問題がありました。

“発電菌”に餌である有機物を与えると発電量が増えます。

ところが、時間が経つと有機物を増やしても“発電菌”を増やしても発電量は増えなくなります。

原因は電極に付くことが出来る“発電菌”の数が限られているためです。

つまり、せっかく発電しても電極から離れた場所にいる“発電菌”の電子を回収することが出来ないのです。

 

この問題を解決するため渡邉教授は“発電菌”の生態を一から見直すことにしました。

シュワネラ菌が発見された湖底の土には鉄が多く含まれていることに注目し、シュワネラ菌の生息環境に近い環境にしようと、微生物燃料電池に鉄を加えてみることにしました。

すると、発電量が5〜10倍に増えることが分かったのです。

これは鉄の粒子が電極の周囲に付着して離れた場所にいる“発電菌”の電子を電極まで届ける役割を果たしているためと考えられます。

更に、電極の素材やかたちにも工夫を加えました。

こうした改良を重ねることで発電量は研究開始当時に比べて50倍にまで増えたのです。

 

50倍にまで増えた発電量が実際にどのくらいなのかについて、渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「発電量は条件によってすごく変わってくるんですけども、シュワネラ菌にすごく適した条件で発電させたあげた場合に100mlの装置が一番発電したのが200〜300mWぐらいということになります。」

「その装置を大きくして1㎥の装置を作ったとして24時間フル稼働させると50kWhぐらいの発電量になります。」

「そうすると1軒が1日に使う電力が10kWhぐらいなので単純計算すれば、(計算上は)5軒分ぐらい(の発電量)ということになるんですかね。」

「ただし、それには例えばシュワネラ菌だったら乳酸を24時間ずっとこの装置に入れなければいけないということで、乳酸の値段というのは電気と比べてもかなり高いので、実際その発電が経済的に成り立つかというと、ちょっと話はそんな単純なことではないんですよね。」

「(今すぐに実現出来るというわけではないのかという問いに対して、)残念ながらそういうことですね。」

 

でもこの微生物燃料電池が今すぐ使えると言われている場所があるといいます。

それは下水処理場の廃水です。

私たちの生活排水には汚れとして有機物が沢山含まれているので、その有機物を“発電菌”の餌にしてあげれば発電が出来るということなのです。

 

実は、下水処理に“発電菌”を使うと発電だけでなく大幅な省エネ化にもつながると期待されています。

港北水再生センター(神奈川県横浜市)では微生物の力を使って下水を処理しています。

空気は微生物に呼吸をさせるために送風機で送り込んでいます。

現在、世界で最も普及している廃水処理は微生物を利用した活性汚泥法と呼ばれる方法です。

廃水には汚れの元となる有機物が入っています。

これを微生物に分解させることで水をきれいにするのです。

この時、微生物が酸素を取り込んで有機物をCO2と水に分解します。

そのため微生物が効率的に有機物を分解するにはタンクに大量の酸素を送る必要があるのです。

しかし、この方法には問題がありました。

酸素を供給するための装置は、非常にエネルギーを使うので電力を少しでも削減して省エネ型の処理法が待たれています。

 

下水処理場では消費する電力全体の約40%が酸素を送る送風機に使用されています。

そこで注目されているのが“発電菌”を使った廃水処理システムです。

“発電菌”は酸素を必要としないためタンクに酸素を送る必要がありません。

つまり、送風機を動かすための膨大な電力は一切必要がなくなります。

更に、廃水中の有機物を餌として取り込み、分解しながら電子を放出するので発電まで出来てしまうのです。

発電した電力はポンプなどを動かす電力として利用することが出来ます。

 

この未来型の廃水処理システムに国も大きな期待を寄せています。

2012年から国が中心となり、大学や民間企業と連携して研究が行われてきました。

廃水を使って実験を行ったところ、省エネや発電効果により消費電力を大幅に削減出来ることが確認されたのです。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の環境部・環境化学グループの永渕 弘人さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「通常の活性汚泥法とほぼ同等の処理能力が観測されております。」

「電力の消費で考えますと、8割削減を超えるようなデータが得られているということでございます。」

「期待以上の成果が得られているということです。」

 

ちなみに、下水処理場で使われる電力は年間約70億kWhで、これは国内で消費される電力の約0.7%にあたるといいます。

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今の話は生活廃水の下水処理の話だったんですけれども、廃水っていうのは工場からも沢山出て来ていて、その処理にもやはり活性汚泥法が主に使われているんですね。」

「そのために必要な電力量っていうのは下水よりも多いと言われています。」

「それを含めると1%から数%くらいの電気が産業廃水も含めた廃水処理に使われていると現在言われていますね。」

「(酸素を使わない微生物を廃水処理に使えないかという問いに対して、)酸素の代わりに何か別な化合物を入れなきゃいけないとか、結局コストがすごくかかってしまうということになりますね。」

「電極はそのまま置いておけば、永久に電子を排出して更にエネルギーも取れるということで微生物燃料電池が期待されているということになります。」

 

更に、微生物燃料電池を使うことである枯渇資源が回収出来るようになると期待されています。

それはリンで、化学肥料として広く使われていますが、日本ではほぼ全てを輸入に頼っています。

そんな中、岐阜大学が“発電菌”を使ってリンを回収することに世界で初めて成功したのです。

研究を行っているのが、岐阜大学 流域圏科学研究センターの廣岡 佳弥子准教授です。

養豚場で豚の尿や糞の入った廃水を使います。

これを微生物燃料電池に入れて発電を行うと、プラス極に粉のようなものが付着します。

これこそがリンを含んだリン酸マグネシウムアンモニウムという物質です。

実は、養豚廃水にはマグネシウムやアンモニア、そしてリンが大量に溶けています。

“発電菌”が発電を始めるとマイナス極の周辺が酸性に、そしてプラス極の周辺がアルカリ性になることが知られています。

リン酸マグネシウムアンモニウムはアルカリ性で結晶化する性質があるため、プラス極に出てきたのです。

廣岡准教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「新しいことを自分たちが発見出来たということが信じられないということもあって、本当に自分たちが見つけたんだというのがものすごくうれしかったです。」

 

微生物燃料電池を使うことでエネルギー問題と資源問題の両方を解決出来ると期待されているのです。

廃水処理して発電してリンまで回収するということは、まさに“一石三鳥”です。

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「岐阜大学のグループは実際の養豚廃水を使っているんですよね。」

「それでリンとかアンモニアとかマグネシウムの濃度が非常に高いものだったので、それが電極の裏で回収出来たということを発見して、非常に期待されている研究の一つになっていますね。」

「(微生物燃料電池は太陽光発電や風力発電と比べてどういうメリットがあるかという問いに対して、)微生物燃料電池の特徴は、廃水や廃棄物をエネルギーに変えることが出来るというもので、そういうものがある所にうまく集められれば、一定の発電量を出せたりとかあまり気候に影響しないとか。」

「特に国土が狭い日本は、その割に人口が多いわけじゃないですか。」

「そうすると廃棄物も沢山出てくるということで、廃棄物系のバイオマスの価値が結構高い国なんですね。」

「そういうところでは、微生物燃料電池は魅力のある新エネルギーと考えられるのではないかと考えています。」

「(私たちの家庭でも使えそうかという問いに対して、)家庭からですと、出てくる廃棄物系バイオマスで、例えば生ごみであるとかトイレの廃水であるとかその総燃料エネルギー量を計算したとして、多分家で使う電力の1割にもならないくらいということじゃないかと思いますね。」

「だから、例えばマンションであるとかそういう集合住宅で各家庭から生ごみとかを集めてその処理に微生物燃料電池を使って電気を作りましょうという方法にすると、例えば玄関であるとか街灯の電気をつけるとかそういう利用はあり得るんじゃないかと思いますね。」

「(微生物の世界はすごく奥が深そうであることに対して、)田んぼの土の中を例にいうと、我々が培養出来る種類の微生物というのは0.1%かそれ以下とか言われていて、そういうこともあった未だいろんな有用な微生物でまだまだ分かってない代謝をするような微生物が土の中には沢山いるし、そういうものを探すっていうのは微生物学者の一つのロマンっていうんですかね。」

「そういうことは今後もすごく興味がありますね。」

 

以上、番組を通して、微生物燃料電池の問題と解決策についてご紹介してきました。

 

“発電菌”の生態を一から見直すことから“発電菌”の抱える問題を解決したこと、そして養豚場で豚の尿や糞の入った廃水の利用について、あらためてアイデアは既存の要素の組み合わせであり、アイデアは見つけるものであるということを思い出しました。

エネルギー問題と資源問題の両方を解決出来ると期待されている微生物燃料電池ですが、未だいろんな有用な微生物でまだまだ分かってない代謝をするような微生物が沢山いるというのですから、これからも発見の連続が続くと思われます。

 

ということで、微生物燃料電池がこれからも発展を続け、エネルギー問題解決の大きな柱の一つに成長して欲しいと思います。


 
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2016年07月07日
アイデアよもやま話 No.3436 微生物で発電 その1 微生物燃料電池とは!

これまでアイデアよもやま話 No.1238 世界の驚き発電!などで様々な発電装置についてご紹介してきました。

そうした中、4月24日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ)で「“発電菌”研究の最前線」をテーマに取り上げていましたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、微生物燃料電池の仕組みについてです。

 

電気を生み出す目には見えないほどの小さな微生物がいるといいます。

それが今回ご紹介する“発電菌”です。

この“発電菌”を使った微生物燃料電池の研究が世界中で進められています。

なんとその“発電菌”がエネルギー問題の救世主になるかもしれないというのです。

発電だけではありません。

大きな省エネ効果も期待出来ることも分かり、国も注目しています。

 

“発電菌”は今世界中で注目されており、アメリカを中心に中国や韓国でも活発に研究が行われています。

アメリカではこの“発電菌”を使って携帯電話を充電するプロジェクトがあり、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさんが支援しているといいます。

日本でもおよそ9億円をかけたプロジェクトがあり、期待が高まっています。

 

今年4月から電力自由化が始まり、注目を集めている再生可能エネルギーですが、昨年電気事業者による発電量は、太陽光、地熱、風力など合わせておよそ50億kwhです。

なんと“発電菌”はこれ以上の効果をもたらしてくれるという国の期待もあるのです。

 

東京薬科大学(東京都八王子市)で微生物の研究を行っている生物科学部の渡邉 一哉教授は2004年から“発電菌”に注目し、“発電菌”が生み出す電気をエネルギーとして利用出来ないか研究を重ねてきました。

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ジオバスターという菌がいるんですけども、新エネルギーとしての期待が出てくるんじゃないかと思います。」

 

ジオバスター菌はわずか1000分の2ミリです。

このジオバスター菌が多く生息しているのは田んぼの土の中なのです。

そこで、渡邉教授は2007年から田んぼで発電する実験を行っています。

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「稲が光合成によって作った有機物の一部が根から出てくるんですね。」

「その有機物を微生物が食べて電気に変える。」

 

マイナスの電極を田んぼの土の中に、プラスの電極を水の中におきます。

稲が太陽の光を浴びて光合成を行うと根から酢酸などの有機物が出てきます。

土の中にいる“発電菌”はこの有機物を餌として体内に取り込みます。

そして、有機物を分解する際に体外に電子を放出するのです。

この電子はマイナス極で回収され、回路を通ってプラス極に移動します。

この時に発生する電流で電気を得るという仕組みです。

1崚たりの発電量は約50mw、携帯音楽プレイヤーを動かせるくらいの電力が得られるのです。

 

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(田んぼ発電の研究を始めたきっかけについて、)“発電菌”が発見されて、これは非常に今までの微生物と違って面白いと思って、しばらく研究していくうちに意外とどこでも“発電菌”はいるんだと。」

「例えば庭の土とか、田んぼの土の中にもいるんだっていうことが分かってきて、それだったら田んぼでも発電出来るんじゃないかと思ったんですね。」

「それで田んぼ発電という研究を始めたんです。」

 

「(光合成の有機物を使って発電する発電量は変動するのかという問いに対して、)稲が光合成をしている時は沢山有機物を作ってくれて、その一部を根から放出してくれるんですね。」

「その有機物を使って微生物が発電するので、昼間の光の当たっている時は発電量が上がってきます。」

「夜になると下がってくるという。」

 

「(“発電菌”はいつ発見されたのかという問いに対して、)シュワネラ菌というのが初めて発見された“発電菌”と言われているんですが、これは1980年代にアメリカのニューヨークのそばの湖底から発見されました。」

「ただその時は“発電菌”としてではなくて金属に電子を渡す菌として発見されたんですね。」

「ということは、発電装置に入れれば電極にも電気を渡せるかもしれないって、初めてやって発電出来るんだというのが見つかったのが2000年頃になります。」

 

「(その時の反響は大きかったのではという問いに対して、)微生物と発電するというのは中々つながらないですし、やっぱりそういうメカニズムを知りたいとか、すごく生物学的な反響が大きかったですね。」

「それと同時に、もし発電出来るんだったら我々の生活に役立てられるかもしれないって考える人も多くて、そういう開発にも火が点いたということになっています。」

 

では、どのように“発電菌”は電子を出しているのでしょうか。

人間を含む全ての生物が生きるために食糧を食べてエネルギーを取り込みます。

この時、食糧である有機物は体内で分解されます。

その過程で電子が発生し、その電子を対外に放出するサイクルを持っています。

人間などの酸素呼吸をする生物はこの電子を酸素と反応させ、水に変えて体外に放出させています。

 

一方、“発電菌”が発見されたのはアメリカ・ニューヨークにあるオナイダ湖の酸素がほとんどない湖底です。

この環境で“発電菌”はどのようにして電子を体外に放出しているのでしょうか。

実は“発電菌”は体外に電子を放出する独自の経路を持っているのです。

細胞膜に電子を通す特殊なタンパク質があり、細胞の中から外に電子を移動させることが出来るのです。

つまり有機物を食べて発生した電子をそのまま体外にある金属などに放出することが出来るのです。

この電子こそ“発電菌”が生み出す電気の源なのです。

 

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(“発電菌”は他にもあるのかという問いに対して、)シュワネラ菌は一つの代表菌ですが、ジオバクター菌とかだいたい今まで20種類くらい“発電菌”であるということで詳しく調べられているものがあります。」

「(“発電菌”はそのまま電子を体外に放出することについて、)何らかのかたちで有機物を分解してどこかに電子を出したいんですよね。」

「で、その出す先が我々は酸素しか使えない。」

「だから、酸素が無いと生きていけないんですが、“発電菌”は例えば細胞の外の鉄鉱石であるとか電極であるとかそういうところにも出せるので酸素が無い環境でも生きれるということになりますね。」

 

「(“発電菌”が電子を放出する能力をどのように身に付けたのかという問いに対して、)昔の地球は酸素が無い環境だったんですね。」

「で、そういう時にいろんな代謝能力を微生物が身に付けて、そういう中で一つ獲得した能力が細胞の部分に電子を出すということじゃないかというふうに考えますね。」

 

さて、今こうした“発電菌”を使って開発が進められているのが微生物に燃料を与えながら発電する微生物燃料電池です。

その仕組みは、シュワネラ菌が燃料とする乳酸菌を微生物燃料電池の中に入れるとシュワネラ菌は乳酸菌を分解して電子を出すのですが、電子を出すのがマイナス極のグラファイトです。

そして、プラス極では電子と酸素が反応して水が出来、全体として化学反応が成り立っているということです。

 

渡邉教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(“発電菌”の種類によって発電量は変わるのかという問いに対して、)発電量もそれなりに違いますが、大きな特徴は“発電菌”ごとに好む餌が違うっていうんですかね。」

「例えば、シュワネラ菌だったら乳酸をすごく好んで食べるんですね。」

「ジオバクター菌は酢酸を好んで食べるということで、菌によって好きな有機物が違うということはありますね。」

「もう一つ面白いのは、シュワネラ菌は乳酸を食べながら酢酸を作るんですね。」

「そうするとその酢酸を今度はジオバクター菌が食べられるので、2つ混ぜてあげると発電量が上がるんです。」

 

以上、番組を通して微生物燃料電池の仕組みについてご紹介してきました。

発電する菌の存在にも驚きですが、その“発電菌”がエネルギー問題の救世主になる可能性を秘めているだけでなく、しかも大きな省エネ効果も期待出来るというのです。

ところが、この微生物燃料電池にはある問題があるといいます。

そこで次回は、微生物燃料電池の問題とその解決策についてご紹介します。


 
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2016年07月06日
アイデアよもやま話 No.3435 パナマ文書から見えてきたこと その3 タックスヘイブン問題と解決への道筋!

つい最近までパナマ文書が世界的に大きな話題となっていました。

そこで、パナマ文書関連について、3つのテレビ番組を通して3回にわたってご紹介します。

3回目は、1回目、2回目の内容と一部重複しますが、タックスヘイブン問題と解決への道筋についてです。

 

4月27日(水)放送の「視点・論点」(NHK総合テレビ)で「タックスヘイブン問題と解決への道筋」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

なお、今回の論者は横浜市立大学の上村 雄彦教授です。

 

タックスヘイブン(租税回避地)とは、「そこにお金を持っていけば、税金を払わずに済み、名前なども公開されずに、好き勝手にお金の出し入れできる国や地域のこと」を指します。

 

タックスヘイブンにペーパーカンパニーを作り、そこにお金を移して本国で課税されるのを免れるわけですが、世界の銀行資産の半分以上がタックスヘイブンを経由して送金され、国際的な銀行業務や債券発行業務の約85%がタックスヘイブンで行われています。

タックスヘイブンの利用者は、「これは合法だし、節税対策だ」と主張します。

そこで、上村教授は、脱税、節税、租税回避の違いについて以下のように解説されています。

まず、脱税とは、本来納めるべき税金を納めないことで、勿論、違法です。

例えば、1億円の所得に対して5千万円の税金がかかったとします。

それを納めない、あるいはごまかして少なく申告するというようなことを指します。
それに対して節税は、住所や本社を他国に移し、本国では納税しないことで、合法です。

例えば、日本は税金が高いと考えて、税金の安い香港に住所や本社を移すとします。

もし香港での所得税が1千万円であれば、4千万円を節税することができます。

この場合、日本に税金を納めなくても、合法です。
さて、問題は租税回避です。

これは、住所や本社を「形だけ」他国に移し、本国では納税しない形だけ「合法」の行為を指します。

こうすることで、高額の所得や財産があっても、本国にも、どこにも納税しないで済むのです。

このように、タックスヘイブンは大きな問題を孕んでいますが、タックスヘイブンを利用するようなお金持ちや大企業が、そもそもなぜお金持ちになったり、会社を大きくできたのかという理由を考えてみましょう。
そもそも税は人類が編み出した一つの知恵で、みんながお金を出し合うことによって支え合う仕組みです。

政府は集められたお金を用いて医療、教育、福祉を整え、社会も安定し、モノやサービスを買ってくれる消費者が誕生します。

そして、彼らがモノやサービスを購入してくれたから、企業は発展し、お金持ちはお金持ちになることができたのです。

その大企業やお金持ちが租税回避するということは、彼らは社会からの恩恵を受けるだけ受けていながら、その義務や責任を回避し、自分たちが豊かになれた社会の土台そのものを掘り崩している、ということを意味します。
一方、ほとんどの庶民は、税は源泉徴収され、租税回避はできません。

ということは、富裕層や大企業が租税回避した「しわ寄せ」が庶民に降りかかることになります。

これが格差を拡大します。

人々が「こんなことは不公平で不公正だ」と声をあげるのも無理はありません。

タックスヘイブンの一番の特徴はその秘密性にあります。

これは、悪いことをして稼いだお金であっても、タックスヘイブンを通れば「きれいな」お金になって戻ってくるというマネーロンダリングの温床にもなっています。
さらに、タックスヘイブンに秘匿されている資金の大きさです。

タックス・ジャスティス・ネットワークによると、その額は実に2310兆円〜3520兆円です。

日本の国家予算はおよそ100兆円ですので、仮に3000兆円で計算すると、日本の国家予算の30倍のおカネが裏経済にまわされて実態が隠されているということになります。
この秘匿されている資金にきちんと課税すれば、年間21兆円〜31兆円の税収が上がると試算されています。

ちなみに、日本の企業によるケイマン諸島への投資残高は63兆円で、アメリカに次いで2番目の大きさです。

もしこれに消費税と同じ8%を課税すれば、5兆円の税収が得られ、それは消費税の2%相当します。

このタックスヘイブン問題ですが、解決策はあるのでしょうか?

もちろん簡単には解決できない難しい問題ではあるのですが、その中で今重要な対策として注目されているのが、グローバル・タックスです。

つまり、グローバル化した地球社会を一つの「国」とみなし、地球規模で税制を敷く政策です。

 

もう少し詳しく言うと、3つの話に分類できます。

まずは、「漏れを防ぐこと」、つまりタックスヘイブン対策で、情報の透明化が鍵になります。次に、タックスヘイブン税など実際に税金をかける議論です。

最後に、税をかけ、お金を集め、使うための仕組みを創る議論があります。
解決に向けてできることは、まず各国の税務当局が、タックスヘイブンにある口座情報を自動的に交換できるシステムを構築することです。

現在OECO(経済協力開発機構)と関連する国際機関が中心となって、その実現に向けて動いています。

次に、明らかになった情報に基づき、規制を行う、あるいは、その情報に基づき、課税を行うことです。

そのことにより、タックスヘイブンを利用する「旨み」を減らし、徐々に利用者を少なくしていくことで、長期的にタックスヘイブンをなくしていくことが可能となると考えられます。

更に、タックスヘイブンに移されたお金の多くはマネーゲームに回されています。

そこで、マネーゲームをすればするほど、つまり金融取引をすればするほど税金がかかる金融取引税を併せて実施すれば、投機を抑えつつ、税収を上げることができるようになります。
例えば、日本で金融取引税を実施すれば、最大3兆円の税収が上がるという試算を、グローバル連帯税推進協議会は行っています。

先ほどのタックスヘイブン課税と合わせると、8兆円の税収が得られる可能性があるのです。

しかも、課税されるのは私たちではなく、タックスヘイブンを使ってマネーゲームに興じているお金持ちと大企業です。
タックスヘイブンの闇を明らかにして、取るべきところから税を取り、税収を途上国や私たちの暮らしの向上のために使うことができます。

つまり、タックスヘイブンの問題は、遠い海外の問題ではなく、実は日本に暮らす私たちにも直結する重要な問題なのです。
パナマ文書をきっかけに、多くの方々がこの問題に関心を持ってくださることを期待します。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、以下に要約してみました。

・税は人類が編み出した一つの知恵で、みんながお金を出し合うことによって支え合う仕組みであること

・世界の銀行資産の半分以上がタックスヘイブンを経由して送金され、国際的な銀行業務や債券発行業務の約85%がタックスヘイブンで行われていること

・富裕層や大企業が租税回避した「しわ寄せ」が庶民に降りかかり、これが格差を拡大していること

・タックスヘイブンに秘匿されている資金は2310兆円〜3520兆円と見られていること(日本の国家予算およそ100兆円のざっと30倍ほどのおカネが裏経済にまわされている)
・この秘匿されている資金にきちんと課税すれば、年間21兆円〜31兆円の税収が上がると試算されていること

・日本の企業によるケイマン諸島への投資残高は63兆円で、アメリカに次いで2番目の大きさであること

・もしこれに消費税と同じ8%を課税すれば、5兆円の税収が得られ、それは消費税の2%に相当すること

 

そもそも税は人類が編み出した一つの知恵で、みんながお金を出し合うことによって支え合う仕組みなのですから、公平でなければならないのです。
ところが、タックスヘイブンはこの公平な税の仕組みに風穴を開けており、それが様々な問題を引き起こしているのです。

要するに、タックスヘイブンは、不正行為でなくとも公平な納税、あるいは公平なビジネス競争の観点から大変大きな問題なのです。

こうしたタックスヘイブン問題の解決策として、上村教授はグローバル・タックス(グローバル化した地球社会を一つの「国」とみなし、地球規模で税制を敷く政策)の導入を提唱されています。

そして、グローバル・タックスは以下の3つの要素に分けられます。

・情報の透明化

・タックスヘイブン税など実際の税金のかけ方

・税をかけ、お金を集め、使うための仕組み

 

ということで、消費税を上げなくて済むためにも早急に国際的な協力のもとにグローバル・タックスの仕組みを確立していただきたいと思います。


 
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2016年07月05日
アイデアよもやま話 No.3434 パナマ文書から見えてきたこと その2 パナマ文書の衝撃!

つい最近までパナマ文書が世界的に大きな話題となっていました。

そこで、パナマ文書関連について、3つのテレビ番組を通して3回にわたってご紹介します。

1回目は課税逃れの実態についてご紹介しました。

2回目は、1回目の内容と一部重複しますが、パナマ文書の衝撃についてです。

 

4月20日(水)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)で「パナマ文書の衝撃」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

 

わずか1%の人たちに世界の富の半分が集中する現代、富裕層が増々豊かになるその実態が浮かび上がってきました。

パナマ文書は世界の権力者やその家族が行ってきた資産運用の実態を明らかにしました。

世界の主要国で一般庶民の税負担が年々重くなっている中、一部の特権階級が租税回避地、いわゆるタックスヘイブンを利用して隠れた資産運用を行い、富を築いてきたことがパナマ文書によって明らかになりました。

 

今回、渦中のパナマの法律事務所、モサック・ファンセカの過去40年分の内部情報がパナマ文書として流出し、世界中からジャーナリストが殺到しています。

この法律事務所は、世界の富裕層の税金対策を手助けしてきました。

税金が極めて低いパナマや近隣の国や地域、タックスヘイブンに会社を設立、そこに富裕層の資産を移すことで税金を安く抑えます。

更に、資産の所有者を秘密にして欲しいという要望があれば、代理人を立て、名義を代えていました。

この40年でタックスヘイブンに設立した会社は21万社にのぼります。

 

法律事務所の創設者は、地元テレビに出演、自分たちの活動は飽くまで法律に則ったものだと主張しました。

モサック・ファンセカの共同代表であるラモン・フォンセカさんは、地元テレビ番組の中で次のようにおっしゃっています。

「国家元首であろうが貧しい人であろうが、タックスヘイブンに会社をつくる権利があります。」

「我々がつくった会社が悪用されたら残念ですが、我々の責任ではありません。」

 

パナマ文書を調査しているICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)には世界中から400人の記者が参加し、隠れた資産運用の実態を追求しています。

ICIJの記者、ウイル・フィッツギボンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「まだまだ新しい事実を見つけ出しているジャーナリストがいます。」

「今後、何ヵ月経ってもパナマ文書の記事は出続けるでしょう。」

 

ICIJの調査によって名前があがった一人がロシアのプーチン大統領です。

パナマ文書からプーチン大統領に近い人物の疑惑が次々と浮かび上がってきました。

著名なチェロ奏者、セイゲイ・ロルドゥーギンさんは、プーチン大統領とはで学生時代からの友人で、娘の名付け親になるほど親密な関係でした。

このロルドゥーギンさんのオフショア取引を指摘した疑惑について、プーチン大統領はアメリカ当局が関与した謀略だと主張しました。

しかし、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)によると、ロルドゥーギンさんは音楽家としては桁違いの2000億円にのぼる資産の運用に関わっていたといいます。

 

以下は、ICIJが明らかにした資産運用の実態です。

ロルドゥーギンさんはパナマの法律事務所を通じ、タックスヘイブンのバージン諸島などに複数のペーパーカンパニーを所有していました。

2007年、この会社はロシア最大の鉄鋼会社の社長を通じ600万ドル(約6億円)の借り入れを行いました。

しかし、求められた返済額はわずか1ドルでした。

他にも株を買う契約をした直後に相手が契約を破棄、違約金という名目で多額のお金を受け取っていたケースもありました。

こうした手口で2000億円の資金を運用していたとICIJは指摘しています。

これに対し、プーチン大統領は関わりを全面否定しています。

プーチン大統領の周辺には他にも疑惑の人物が浮かび上がっています。

子どもの頃から柔道仲間だった実業家です。

更に、プーチン大統領の古くからの友人である銀行家、彼らが設立したペーパーカンパニーには、国が運営に関わる銀行などから巨額の資金が流れ込んでいた疑惑がもたれています。

それを友人たちの間で頻繁に移動させ、どのような資金だったのか分からなくしていたのではないかと指摘されています。

 

ICIJの記者、ウイル・フィッツギボンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「パナマ文書は権力者たちが庶民に隠したい真実を明らかにしたのです。」

「お金や政治力があるからといって、これは許されるべきでしょうか。」

「それが問われなければならないのです。」

 

また、タックスヘイブンについての著述もあるジャーナリスト、池上 彰さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「本当に史上最大のリークと言ってもいいと思うんですよね。」

「よく世の中は1%の金持ちと99%に分かれているって言い方してますね。」

「でもその1%って言われている人の中に、本当にこういうかたちで税金を払おうとしていない人たちがいたんだっていうことが本当に証拠として突き付けられたわけですよね。」

「これは今までいろいろ言われてましたけど、本当にエビデンス(証拠)が出たわけですから、これは衝撃ですよね。」

「これまではみんなそこはかとなく格差社会だよねって思っていたわけですけど、それが本当なんだなっていうことが分かり、これは何らかの法律的な取り組みによって防ぐことが出来るんじゃないか、それをやるべきだっていうことが多分国際世論としてこれから出てくるでしょうし、それはこれからのサミットだったりG20だったり、そこで世界で話し合われることになっていくでしょうね。」

 

「(ICIJでの400人のジャーナリストの取り組みについて、)これはまさにグローバルでお金の流れって世界中に自由に動いているでしょ。」

「それによって世界経済が発展している部分もありますから、そのお金が国境を超えていくこと自体は防ぐことが出来ないし、それは活発にやっていいと思うんですね。」

「ところが悪意を持ったお金もまた国境を終えて動いていく。」

「それに対して、報道機関はやはりそれぞれの国境を超えることが出来なかったわけですね。」

「ところが、こうやって世界中の報道機関が協力してやるということは、つまりこれからは報道機関も国境を超えてグローバルな流れの中で様々な犯罪を見つけこれを報道していく、そういうことが可能なんだってことを私たちに示してくれたと思うんですね。」

 

また、租税法が専門の青山学院大学の学長、三木 義一さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(タックスヘイブンを使った隠れた資産運用は合法なのか違法なのかという問いに対して、)少なくとも直ちに違法とは言えませんよね。」

「タックスヘイブンそれ自体も悪でもないし、ただ税金が安い仕組みを作っている地域であるに過ぎないわけです。」

「ただ、おかしいのはなぜわざわざそういうところに法人を作り、また更にその上に法人を作り、また更に作り、というようなことをやっているわけです。」

「その一つ一つは違法とは言えないけど、どう考えても普通の人は出来ませんよね。」

「そういう普通の人は出来ない異常な行為を通じてどうも税負担を減らしているようですね。」

「そういうものを一般に租税回避って言うんですね。」

「それを政府の偉い人たちがおやりになっていたっていうことが今回明らかになったわけですね。」

「そうすると、私たちの社会がだいぶ危なくなってきているんですね。」

「私たちは民主主義の仕組みの中で税制についても選挙などでこういう税にしようよって決めますよね。」

「ところが決めて、さあ負担して下さいって言ったら、負担しなきゃいけない人たちが国境を利用して逃げちゃう。」

「そういうものが公然と行われ始めているわけですね、これが明らかになった。」

「すると、私たちが今生活している民主主義社会自体が非常に危うくなっているという状況になっていますね。」

 

「(今回はパナマの一事務所から文書が流出しただけでこれだけ世界で大きな影響が出ており、タックスヘイブンと呼ばれる場所はパナマ以外にも沢山あるが、隠れた資産運用の実態はどなっているのかという問いに対して、)それが分からないわけですよ。」

「一部だけがようやく出てきた。」

「しかもパナマという一つの国の第4位くらいの法律事務所のデータが出ただけで、これだけになっているわけです。」

「ですから、全世界的にどれだけのことが行われているか、これは分からないですね。」

 

「(今回のパナマ文書と日本の企業や個人との係わりはどうなっているのかという問いに対して、)」このパナマ文書ではまだ400程度しか明らかになっていません。」

「ただ法人などを使った場合、日本人がどのように関係しているかまだ分かりませんのでこれからいろいろ出てくると思います。」

「いずれにしても、パナマの一つの文書だけでこれだけ400もやっているわけですよね。」

「で、ケイマン諸島などには日本が既に61兆円くらいの投資があるわけですから、そういうのも考えると日本人もどの程度関係しているか、これは我々分かんないですね。」

 

さて、今回ICIJによると、パナマ文書のリーク元となったパナマの法律事務所にとっての最大の市場は中国でした。

パナマ文書によって中国でも最高権力者、習 近平国家主席の姉の夫がタックスヘイブンの企業のオーナーになっていることが明らかになりました。

腐敗の撲滅を掲げてきた習主席ですが、パナマ文書で名前があがった姉の夫は香港にある高級マンションの一室をその娘が設立した会社が所有しています。

習主席とのつながりはあるのか、中国の人々も高い関心を寄せていますが、厳しい情報統制が敷かれています。

中国の検索サイトで「パナマ文書」と入力しても閲覧出来ませんでした。

そんな中、人々はなんとか情報を引き出そうと「姉の夫」で検索、その回数は3日間で13万件に達しました。

しかしその後、「姉の夫」さえも規制されました。

こうした状況について、神田外国語大学の興梠 一郎教授は次のようにおっしゃっています。

「(習主席は)腐敗撲滅運動を先頭に立ってやっている人ですから、それはやっぱり徹底的に封鎖しないと彼の政権運営に関わりますしね。」

「これからもダンマリを通すっていうかね、議論させない、議論しない、これが終わるのを待つ。っていう。」

 

パナマ文書の報道をきっかけに、アイスランドでは首相が、そしてスペインでも閣僚が辞任に追い込まれるに至りました。

イギリスではこれまでタックスヘイブンなどの問題に対して厳しい姿勢を取ってきたキャメロン首相自身に疑惑が浮かび、国民の怒りが高まっています。

リーマンショック以降、社会保障が削減される一方で消費税が増税されています。

国民の不満はタックスヘイブンで利益を上げていた指導者に向かっているのです。

 

パナマ文書はロンドン中心部の不動産売買の実態を明らかにしました。

政治家や企業の資産隠しを告発してきた市民団体のジョージ・ターナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この辺りに見えるほとんどの建物は海外の会社に買われています。」

 

これまでこうした会社は実質的に誰のものなのかが分かりませんでしたが、パナマ文書で詳細が明らかになったのです。

ロンドン中心部の多くの不動産が世界各国の首脳や親族が係わるタックスヘイブンの会社によって購入されていたのです。

ICIJによると、アラブ首長国連邦のハリファ大統領が係わる会社がロンドンで購入した不動産は日本円で総額1兆8000億円に上ります。

一方、ロンドンの1部屋10億円の高級マンションは、パキスタンのシャリーフ首相の娘の会社が4つの部屋を所有していることが明らかになりました。

この辺りの住宅は夜になると人影はほとんどなく、家の明かりも点いていません。

住むためではなく、会社名義の不動産にして投資することが目的だと見られています。

ジョージ・ターナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「住居として使われていません。」

「夜が真っ暗なのも単なる金庫だからです。」

 

海外から大量の資金が流れ込んできた結果、ロンドンの不動産価格は高騰を続けています。

この10年でおよそ2倍に跳ね上がりました。

市民にとってロンドンで家を持つことは増々難しくなっています。

ロンドン市民は番組のインタビューでそれぞれ次のように答えています。

「この辺りにも新しいマンションが建てられていますが、最低でも1億5000万円で、近くで働いているけど買えません。」

 

「これまでロンドンに何世代も住んできた人たちも追い出されています。」

「私たちは今、不安で仕方ありません。」

 

さて、以下はNHKの松木 昭博ロンドン支局長による解説です。

タックスヘイブンで運用されていた富裕層の資金がロンドンに流れ込んで不動産の高騰の一因になっているという驚くべき実態がパナマ文書によって明らかになったのです。

この事実は、持つ者と持たざる者との格差や不公平感を拡大させています。

その流れに世界の首脳や親族が課税を逃れながら加担してきたというわけですから、怒りは収まりません。

海外からの活発な資金の流入はイギリス経済を支え、ロンドンを世界の金融センターにしてきました。

しかし、その発展の恩恵は必ずしも一般市民には還元されていません。

 

この問題が明らかになった後の世論調査では、キャメロン首相が首相に相応しいかという支持率は17ポイント下がって32%まで低下しました。

ただ、取引に違法性は確認されておらず、辞任にまで至る可能性は今のところ高くはないといいます。

キャメロン首相は失った信頼を取り戻そうと、タックスヘイブンの企業の情報開示を進めるなど課税逃れの対策を強化しようとしています。

世界の資金を吸い寄せてきたロンドンの不動産や金融取引の透明性をどこまで高められるのか、世界の金融をリードしてきたイギリスの国のあり方が問われています。

 

以上、松木ロンドン支局長による解説でした。

 

今回の問題を受けて、国連や世界銀行などの国際機関が連携して課税逃れへの対応の強化を打ち出しましたが、こうした状況について青山学院大学の学長、三木さんは次のようにおっしゃっています。

「こういう国際社会の対抗策っていうのは、これまでもOECDを中心にいろんな規制が行われてきたんです。」

「しかし、その都度新しいスキームが生み出されて、また逃げていく、でまたそれを規制する。」

「そういういたちごっこがずうっと続いてきているんですね。」

「ですから、今回の問題を受けていろいろ情報公開をもっと進めるとかいろんな提案が出ていますが、またそれを逃れる手がいろいろ出てくるだろうと思いますね。」

「ですから、そろそろいたちごっこよりももっと積極的に国際社会はこういう富裕者が行っている金融取引に課税をしていくような方向に行くべきだろうと思っています。」

「庶民が取引する消費税ではなくて、富裕者が行っている金融取引に課税するという発想に転換すべきではないかなあと個人的に思いますね。」

 

「(今、1%の人たちに世界の富の半分が集中していて、増々その格差が広がっている中で、今回パナマ文書がこれだけ衝撃を与えているが、あらためて突き付けていることは何かという問いに対して、)今、資本主義諸国はこぞって法人税率の引き下げをやっていますが、そんなことをやっている時期ではないんじゃないかと思いますね。」

「つまり、資本主義社会というのはどうしても格差が生み出されるんですよね。」

「それを税制を通じて縮小して安定した社会を築いていくのが資本主義社会における税制の役割なんですよ。」

「ところが、その税制が全く機能しなくなっている。」

「このままいくと、資本主義社会は大丈夫ですかっていうのが今問われ始めていると。」

 

以上、番組の内容を長々とご紹介してきましたが、私なりに要点を以下に整理してみました。

・世界には多くのタックスヘイブンと呼ばれる国々や地域が存在している

・その中で、今回はたまたまパナマ文書というかたちでタックスヘイブンの実態の一部が明らかになった

・タックスヘイブンを使った隠れた資産運用は違法ではない

・世界の富裕層によるタックスヘイブンを利用した資産運用により、富裕層は増々豊かになり、格差が拡大しており、その結果世界のわずか1%の人たちに世界の富の半分が集中している

・こうしたタックスヘイブンの利用者の中には国家元首など世界の権力者やその家族も含まれている

・こうした状況に、真面目に納税している人たちは税負担の不公平感を強く感じている

・ロンドンの不動産価格の上昇に見られるように、タックスヘイブンを利用して得られた資金の一部が世界的な投資に向けられ、その結果一般庶民の暮らしに影響を及ぼしている

・こうしたタックスヘイブン問題の対策は国際的に進められてきているが、その都度新しいスキームが生み出されていたちごっこ状態が続いている

・そこで、富裕者が行っている金融取引に課税するという発想に転換すべきという意見が出ている

・資本主義社会ではどうしても格差が生み出されるので、それを税制を通じて縮小して安定した社会を築いていくのが資本主義社会における税制の役割である

・ところが、タックスヘイブンの存在によりその税制が全く機能しなくなっている

・このままいくと、資本主義社会が崩壊する危険性をはらんでいる

 

それにしても、世界中のわずか1%の人たちに世界の富の半分が集中しているという現実は人類全体の暮らしのアンバランスを感じます。

ちなみに、別な統計によれば、OECD(経済協力開発機構)の2015年の調査によると。先進国で所得が多い上位1割の富裕層と、下位1割の貧困層の所得格差は10倍近くとなり、1980年代の7倍から拡大しています。(6月28日(火)付け読売新聞朝刊記事より)

ですから、先進国の中でも格差社会が進んでいるのです。

しかも、適切な対策が実施されなければ、この傾向は増々拡大していくことは明らかです。

 

さて、私が強く感じるのは、No.2400 ちょっと一休み その375 『資産家がお金を貯め込むだけでは罪!』でもお伝えしたようにお金は有効に使ってこそ価値があるのです。

庶民感覚からかけ離れた大金を投入したマネーゲームや大金を銀行に貯め込んでいるだけでは人道的な観点から罪だと思うのです。

 

こうした観点からも、タックスヘイブンは二重の意味で、不正ではなくても人類全体の幸福追求の方向性にはそぐわない排除されるべき対象だと思うのです。


 
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2016年07月04日
アイデアよもやま話 No.3433 パナマ文書から見えてきたこと その1 課税逃れの実態!

つい最近までパナマ文書が世界的に大きな話題となっていました。

そこで、パナマ文書関連について、3つのテレビ番組を通して3回にわたってご紹介します。

1回目は、課税逃れの実態についてです。

 

4月14日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパナマ文書を通して課税逃れの実態について取り上げていたのでご紹介します。

 

パナマの法律事務所から流出した課税逃れに関する内部文書、その量は2.6テラバイト、本にしてざっと2万6000冊分といいます。

史上最大の暴露ともいわれるこのパナマ文書、番組独自の取材から課税逃れの実態と闇の深さが見えてきました。

 

カリブ海の島国、パナマで4月12日、パナマ文書の流出先である法律事務所、モサック・フォンセカに現地当局の捜査のメスが入りました。

マネーロンダリングなど金融犯罪への関与が疑われています。

モサック・フォンセカは、ペーパーカンパニーの設立に特化した法律事務所で世界で5本の指に入る“ペーパーカンパニーの卸問屋”との異名を持っています。

 

パナマ文書によって、中国の習 近平国家主席やイギリスのキャメロン首相など各国の指導者やその周辺人物の税金逃れと思われる疑惑が次々と浮上してきました。

そして、ロシアのプーチン大統領は、友人のオフショア取引を指摘されています。

この他にも、アイスランドでは、グンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど、その波紋は世界に広がっています。

 

OECD(経済協力開発機構)は、4月13日にパリで緊急会合を開催し、世界における課税逃れの現状を把握したうえで今後の防止策を協議しました。

更に、5月に開催される伊勢志摩サミットでもパナマ文書に関する問題を議題に挙げる予定としました。

 

世界を揺るがすパナマ文書、その情報を発信したのが、アメリカ・ワシントンにあるジャーナリスト団体、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)です。

そこは以外にも小さなオフィスですが、その正体は世界65ヵ国のジャーナリストが加盟する精鋭集団です。

国境を超えた犯罪や汚職など公的な人物の違法行為を追求する調査報道を行っています。

パナマ文書に関する情報は、世界中の400人のジャーナリストが分析、5月上旬にもパナマ文書に関する完全な情報が公開されるとされました。

租税回避地(タックスヘイブン)に法人を設立した日本人の名前は400人ほどあると言われ、今後日本に関する課税逃れの実態が明らかになる可能性も高いといいます。

 

パナマ文書は一つの法律事務所のデータでしかないというICIJ、この問題はどこまで広がるのでしょうか。

世界のタックスヘイブンとして、ヨーロッパのモナコ、中東のバーレーン、アフリカのイギリス領ジブラルタル、そしてナウルやバヌアツといった南太平洋の国々、というように規模の小さい国や島国が多いのが分かります。

産業や資源の乏しい国が会社設立の手数料であったり、雇用の確保のために設定しているケースが多いと言われています。

 

そもそもタックスヘイブンの起源にはいろいろな説があるといいます。

中世のローマ教皇領、あるいはハンザ同盟の都市の一つだったとも言われています。

ただ現在のようなタックスヘイブンの始まりは1920年代〜1950年代といいます。

戦争で財政が厳しくなった国が相次いて自国の税率を引き上げる中で、主に富裕層が個人の資産を守るために使っていたと見られています。

 

パナマに今回のパナマ文書の発信元であるイギリス領バージン諸島があります。

世界中にあるタックスヘイブンの中で特に注目を集めているのがこのバージン諸島といいます。

今回のパナマ文書の発信元によると、先ほどご紹介したモサック・フォンセカによって設立された法人は約21万4000社、そのうち約11万4000社がバージン諸島に集中しているといいます。

 

タックスヘイブンに詳しい現地の弁護士、マーティン・ケニーさんはその実態について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(バージン諸島をタックスヘイブンとして選ぶ理由について、)バージン諸島は機密性が高い。」

「イギリスの法律で弁護士や会計士には守秘義務がある。」

「クライアントの秘密を暴露出来ない。」

「(どんな人物が租税回避を行っているかという問いに対して、)最近最も多いのは中国人だ。」

「モサック・フォンセカの40あるオフィスのうち10が中国にある。」

「売り上げの少なくとも25%が中国だ。」

「(モサック・フォンセカによる休眠企業(ペーパーカンパニー)の販売について、)古い企業ほど高い価格で売れる。」

「設立後1年経った企業の価値は昨日出来た新しい企業より高い。」

「5000ドルとか6000ドル(約55万〜65万円)が必要だ。」

「10年経った企業は1万ドル(約110万円)かかる。」

 

このような実態を重く見たアメリカのオバマ大統領は、アメリカや他の国主導で税の抜け道を塞がなければ阻止出来ないと各国の連携を呼びかけています。

ところが、そのオバマ大統領のおひざ元であるアメリカにもタックスヘイブンが存在しているというのです。

それはアメリカ東部のアメリカで2番目に小さい州、首都ワシントンから自動車でおよそ2時間の距離にあるデラウェア州の商業の中心地、ウィルミントン市です。

多くのアメリカの企業がウィルミントン市の普通の2階建てのオフィスビルに見える1209番地を会社の本拠地にしています。

大小28万社の企業が1つのビルを“会社の本拠地”としているというのです。

欧米メディアによると、ここを本拠地としているのはアップル、グーグルなど巨大IT企業の他、フォードやウォルマートなどアメリカを代表する企業が含まれています。

 

デラウェア州が課す法人税は、州内でビジネスを行っていなければ州法人税はゼロです。

勿論、国に支払う法人税はかかりますが、節税目的にいわゆるペーパーカンパニーを設立し、デラウェア州を本拠地とする企業は増加しています。

その数は110万社以上といい、デラウェア州の約94万人の人口を大きく上回っています。

行政もこうした流れを後押ししています。

州政府は企業部と名付けた専門部署を持っていて、世界一簡単な会社設立の手続きを売りにしています。

電話やオンラインでサービスを受けることができ、平日は深夜0時まで申請受付可能といいます。

そのために職員の勤務シフトまで変えました。

そして、会社設立に要する時間はたったの2時間ほどといいます。

この10年で95億ドル(約1兆円)もの節税を生み出したといわれるデラウェア州、ここを本拠地とする企業は今後も増えそうです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

パナマ文書の流出先である法律事務所、モサック・フォンセカの売り上げの少なくとも25%が中国であることに驚きです。

中国の共産党幹部、およびその関係者である富裕層の資産運用がその背景にあることは明らかです。

中国は共産党による一党独裁の国ですが、今後パナマ文書の内容がICIJにより詳細に分析され、その結果が公開された場合、現在の中国の体制の崩壊のきっかけになるのではないでしょうか。

 

また、タックスヘイブンが小国や島国だけでなくアメリカのデラウェア州にもあるということにも驚きです。

そして、ここを本拠地とする企業が110万社以上もあり、その中にはアップル、グーグルなどの巨大企業が含まれているというのです。

 

さて、今回のパナマ文書の暴露について、アイデアよもやま話 No.3413 舛添都知事の政治資金支出にみる政治家のあり方!でもお伝えしたようにマスコミ、あるいはジャーナリストの重要性をあらためて感じます。

もし、ICIJのような組織がなければ今回の件はこれほど世界的に大々的に報道されなかったのではないかと思うからです。


 
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2016年07月03日
No.3432 ちょっと一休み その549 『気になる超未来の地球とは その6 地球の究極の未来』

誰でも超未来の地球とはどんな状態になっているかとても気になると思います。

そうした中、3月17日(木)放送の「コズミック フロント☆NEXT」(NHKBSプレミアム)のテーマは「地球 超未来への旅」でしたので6回にわたってご紹介します。

6回目は、地球の究極の未来についてです。

 

2015年、ノーベル物理学賞を受賞した東京大学宇宙線研究所の梶田 隆章所長はニュートリノに質量があることを観測によって証明しました。

この発見のきっかけは別の実験を行っている時に得られました。

その別の実験の目的こそ地球の寿命の予測につながり得るものでした。

実験装置があるのは岐阜県飛騨市にある研究施設のトンネルの奥、地下1000mのところです。

ニュートリノを観測した巨大な装置、スーパーカミオカンデです。

スーパーカミオカンデの巨大水槽、壁には1万個の光センサーが取り付けられています。

ニュートリノが水の分子と衝突して発する光を捕え、大発見につなげました。

 

さて、当初予定していた目的ですが、その答えはスーパーカミオカンデの前身の施設、神岡地下観測所のパンフレットにありました。

タイトルには「陽子崩壊の観測」と書かれています。

陽子は原子を構成する粒子の一つです。

酸素には8個、水素には1個の陽子が含まれています。

陽子はとても安定しているため、通常変化することはありません。

ところが最新の理論では、陽子は自ら崩壊すると予測されています。

その結果、陽子は1個の陽電子と2個の光子に分かれるといいます。

これが陽子崩壊という現象です。

陽子崩壊が起こることは、元素の種類が変わることを意味します。

例えば、8個の陽子を持つ酸素が崩壊すると、7個の陽子を持つ窒素原子に変わります。

崩壊が進むと、最終的には陽子1個の水素原子に変化、更に最後の陽子が崩壊すると原子は消えてしまいます。

東京大学宇宙線研究所の塩澤 眞人教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「全ての陽子は素粒子に壊れてしまう。」

「後に残るのは、原子だったり光であったり、ずっと宇宙を漂っているというかたちになると思いますね。」

「我々人間でも地球でも銀河でもそうですね、永遠ではないということは帰結として出てきますね。」

「つまり、全ての陽子はいつかは壊れてなくなってしまうと。」

「そういったことで、全ての万物はいつかは消えてなくなってしまう。」

「だから宇宙には終わりがある、未来永劫安定ではないということは言えると思いますね。」

 

地球も無数の陽子から構成されているため、やがて陽子崩壊によって小さな粒子や光子に変わっていきます。

つまり、地球は長い時間をかけて萎んでいきます。

そして、最後の陽子が崩壊した時、物体としての地球は完全に消滅してしまうのです。

 

陽子崩壊の観測は新しい物理学の理論を証明することから多くの研究者が期待しています。

スーパーカミオカンデに対する期待の大きさを示すものがあります。

研究者たちが残した寄せ書きです。

そのうちのお一人、2008年にノーベル物理学賞を受賞した南部 陽一郎さん(1921〜2015)は1984年11月16日に次の英文メッセージを残されています。

 

Like the sleeping Beauty,I shall make up after a hundred years to see the Kamioka results on proton decay.

(和訳:カミオカンデにおける陽子崩壊の結果を見るために私は眠れる森の美女のごとく100年後にもう一度目覚めるだろう。)

 

スーパーカミオカンデでは24時間休みなく陽子が崩壊した時に発するかすかな光をモニターしています。

巨大水槽の中で陽子崩壊が起きると、崩壊によってできた光子と光子がリング状の青い光を発します。

リング状の青い光は同時に3つ、特定の角度で放出されます。

つまり、3つのリングがセンサーで確認出来れば、陽子崩壊が起きたことを意味します。

では、陽子崩壊はどのくらい時間が経つと起きるのでしょうか。

陽子を沢山集めれば短期間で寿命を求めることが出来るといいます。

物質の寿命は科学的には半減期と呼ばれています。

ある物質の半減期が1000年の場合、早く消滅するものや長く残るものもありますが、1000年後には半分になります。

減っていくペースを数学的に表すと、右下がりの放射線状になり、1年後には物質の数は全体の1000分の1減っていることになります。

つまり、1000個の物質を集めて1年後に1個減れば、半減期は1000年と計算出来ます。

半減期の長い陽子の場合、もっと多くが必要です。

スーパーカミオカンデにある水の陽子の数は10の33乗個、もし1年に1回陽子崩壊が起きれば、半減期は10の33乗年と割り出せます。

10年以上も観測を行っていますが、まだ陽子崩壊は起きていません。

そのため半減期は少なくとも10の34乗年以上あることがが分かりました。

 

10の34乗年はちょっと実感が湧かないほどの長い年数です。

アメリカ、ミシガン大学のフレッド・アダムス教授は、途方もない時間を実感するため、ある例えを考え出しました。

アダムスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「目で見て分かり易くするため、10億年を1cmで表してみます。」

「地球は誕生してから45億年なので長さにすると5cmほどです。」

「陽子崩壊の影響が現れるのは、今から10の34乗年以上経った時のことです。

「この時間はとてつもない長い時間です。」

「10億年を1cmに例えると、その距離は1000万光年になります。」

「地球から230万光年離れたアンドロメダ銀河の更に4倍以上の距離です。」

「1cmを10億年に置き換えると、陽子崩壊が起きる10の34乗年後は地球を飛び出し、太陽系を超えて、銀河系も超えてアンドロメダ銀河も超える1000万光年になります。

「今後、地球にはこれまでに経験したことのない様々な出来事が起こるでしょう。」

「宇宙はまだ幼少期にあります。」

「地球の進化もまだ始まったばかりなのです。」

 

このように、地球の一生は気の遠くなってしまうほど長いのです。

人類のスケールをはるかに超えた地球の超未来を知ることにどんな意味があるのでしょうか。

自分の専門分野を離れ、超未来の姿を思索する宇宙物理学者がいます。

自然科学研究機構の機構長、佐藤 勝彦さんです。

佐藤さんは1980年代に宇宙の最初に急膨張があったというインフレーション理論を提唱し、宇宙の誕生の解明に大きな役割を果たしてきました。

今、興味を抱いているのが宇宙と地球のはるかな未来です。

70歳を迎えた今も未来を知りたいという欲求が佐藤さんを突き動かしているのだといいます。

佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私はこれまで宇宙の創生とか進化の理論を研究した者なんですね。」

「しかしですね、未来ということは論文にならないんだけどもやはり将来を知りたい、自分はこれからどうなるんだろうか知りたいと、この気持ちは人間なら誰でも持つことだと思うんですよね。」

 

佐藤さんは、超未来の宇宙を短編のSF小説「ビッグクランチからの脱出」に表しました。

ビッグバンから1999億年後、人類の記憶を宿した未来の生命体がかつての地球付近を旅する物語です。

佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私たちは今何の役にも立たないような未来のことも知りたいんだと。」

「それが生命体として存在している我々の大きな理由じゃないかと思うんですね。」

「単なる人類の未来だけではなくって、更にこの世界そのものを知りたい、未来を知りたい。」

「そういうことで、私も1000億年後も1兆年後も生きたい、その運命を知りたい気持ちですよね。」

「やはり、想像することで更に自分の気持ちを広げていきたいと思っておりますね。」

 

100年以上前に地球の未来に思いを巡らせたH.G.ウェルズ(1866〜1946)が描いた未来は現代科学が予測するものととても似ていました。

現代の研究者たちもまた想像力と科学の知識で地球の遠い未来のことを考えています。

私たちはどこへ向かうのか、そして地球の未来は、人類の好奇心は果てしなく広がっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

誰もが地球の究極の未来について知りたいと思っていると思います。

そして、こうした人類の飽くなき“好奇心”が様々な発明に結びつき、あるいは芸術、文化を発展させてきたと思います。

また、天文学など様々な学問やテクノロジーを進化させてきたと思います。

ですから、“好奇心”は私たち人類の活動の原点、あるいは拠り所ではないかとあらためて思いました。

 

人類はどこまで進化し、どこまで生存しているか誰にも分かりません。

しかし、“宇宙の進化の生き証人”として、宇宙の寿命の尽きる時まで人類が存続してその時を見届けられたらとふと思いました。


 
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2016年07月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.443 『舛添都知事の辞任から見えてくること その2 再発防止策の必要性』

私は都民ではありませんが、アイデアよもやま話 No.3413 舛添都知事の政治資金支出にみる政治家のあり方!でもお伝えしたように今回の舛添都知事の辞任に関してはいろいろと考えさせられました。

そこで、プロジェクト管理の基本的な考え方を通して、私なりに舛添都知事の辞任から見えてきたことを4回にわたってご紹介します。

2回目は、再発防止策の必要性についてです。

                               

都知事が2代続けて政治とカネをめぐる問題で辞職するというのは異常な事態です。

しかも、今回の舛添都知事の辞任に伴う都知事選には50億円ほどの費用がかかるといいます。

前回の猪瀬都知事の辞任に伴う都知事選にかかった費用も合わせれば、東京都民は自分たちの収めた100億円ほどの税金を二人の知事のお金に絡む問題が原因で失ったことになります。

これだけの資金があれば、東京都の抱えるいくつかの問題や課題が解決されるはずです。

ちなみに、東京都の人口はざっと1300万人ですから、一人当たりでは約770円の損失ということになります。

ですから、本来であれば東京都議会は都民を代表して、猪瀬都知事が辞任された時にこうした都知事の不祥事に対する再発防止策に真剣に取り組むべきだったのです。

今回も舛添都知事の不祥事について、事実確認が曖昧なまま終わってしまえば、適切な再発防止策が取られず、同様の不祥事が再発することは避けられません。

 

さて、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が1946年から70年ぶりで6月17日に成立し、6月19日に施行されました。

そして、適用されるのは6月22日に公示された参議院選挙からです。

このことの是非はともかく、これまでの有権者と同様に若い都民の方々はこれから迎える都知事選において漠然と“お金にきれい候補者”、あるいは“誠実で信頼出来る候補者”に投票したいと考えていると思います。

しかし、そのよりどころについては曖昧です。

なぜならば、こうした判断基準がはっきりしないからです。

そこで、以下に舛添都知事の辞任から見えてくる再発防止策の必要性についてまとめてみました。

(問題分析)

・有権者はどの立候補者に投票していいか判断材料が少ない

・候補者に対する漠然としたイメージや人気により投票し易い

・当選者の力量不足や不祥事、あるいは不祥事に伴う辞任は税金の無駄遣いや政策の未達成というかたちで投票者に跳ね返ってくる

・国会議員の政治資金の支出を規制する政治資金規正法は1948年に制定された古い法律で、現行法では使い道についての規制がなくザル法とまで言われるほど不正を取り締まるうえでの実効性がない

・4年足らずの間に3回も都知事選挙が行われるような、政治家の短期間での交代は政策の継続性が失われ、目に見えないかたちで有権者へのサービスに悪影響を及ぼす

 

ところが、有権者一人一人が投票に際してどの候補者に投票すべきか、そのよりどころとなる過去の実績や掲げる政策の具体策などを把握することはとても難しいのが現状です。

そこで、以下に問題解決の対応策の要件についてまとめてみました。

(再発防止策の要件)

・候補者の過去の政治活動の実績の公開

・候補者の過去の政治資金の支出の公開

・候補者が公約として掲げる政策、およびそれを実現するための具体策の公開

・有権者の政治意識の向上

 

次に、こうした要件を満たす再発防止策についてまとめてみました。

(再発防止策)

・政治資金規正法の改定

・第三者機関(NPO法人やマスコミなど)による選挙時における上記の問題解決の対応策の要件を満たす情報の公開

・自治体自らによる各議員の公約に照らした活動経過報告の毎年年度末の公開

・第三者機関による上記活動経過報告の監査結果の公開

・第三者機関による有権者の政治意識の向上を目指した情報の提供

・有権者自らが常に感情に走らず理性による判断で行動することを意識するように努めること

・有権者は政治家の不正の責任の一端は、その政治家を当選させてしまった自分たちにもあると自覚すること

・政治家は、常に一般国民の模範となる行動が要求されていること、および法令順守のみならず良識ある行動が求められていることを常に自覚していること

・政治家は、常に自分の政治活動が監視の目にさらされ、自らの不正はいずれ有権者に知れ渡ることを覚悟しておくこと

 

以上、有権者、および個人としての政治家の視点からより良い政治を目指すうえでの再発防止策についてお伝えしてきました。

しかし、この基本的な考え方は、政党、あるいは政府レベルの視点においても同様のことが言えると思います。


 
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2016年07月01日
アイデアよもやま話 No.3437 メガソーラーが抱えるジレンマ!

先日、千葉県外房の実家に帰省し、ある用事で山間部の道路を車で走っていた時に突然片側の山林がはげ山状態になっている光景に出くわしました。

何だろうと思って、後で地元の知り合いに聞いたところ、ある業者が地主から土地を借りてメガソーラーを建設するために伐採しているということでした。

 

確かに再生可能エネルギー拡大の一環としてメガソーラーを普及させていくことは必要です。

しかし、そのために山林の伐採が進んでしまっては、地球環境の破壊に伴うCO2排出量の拡大につながってしまいます。

なのでとても複雑な心境になってしまいました。

 

これまで何度となく繰り返しお伝えしてきたように、人類共通の課題として、3E、すなわちエネルギー(Energy)、地球環境(Environment)、経済(Economy)のバランスを維持しながらこの3つの課題の対応策を進めていかなければならないのです。

ですから、森林の伐採を禁止するなど、メガソーラーや風力発電の普及には設置条件など適切な規制が求められるのです。


 
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2016年06月30日
アイデアよもやま話 No.3430 三菱自動車にみる内輪の改革の難しさ!

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.434 『三菱自動車の不正にみる第三者機関による性悪説に立ったレビューの必要性』で、三菱自動車の不正にみる適切なレビューの必要性についてお伝えしました。

そうした中、4月22日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で実際に三菱自動車で何が起きていたのかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

三菱自動車の社内で実際に何が起きていたのか、かつて2度のリコール隠しで経営危機に陥った三菱自動車で再建のキーマンと言われた人物が番組の取材に応じました。

2004年、事業再生ファンドの代表として破たん寸前の三菱自動車に乗り込み、事業再生を指揮したニューホライズンキャピタルの安東 泰志社長は、今回の問題の原因について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一言でいうと気の緩みなんですが、気の緩みは言い訳にならないですね。」

「(当時100人の若手社員とともに500項目に及ぶ改善計画を作成したことについて、

)当時、これだけ厳しく全ての項目がレビュー出来て、社内風土改革をしようと言い出せたかというと、我々のような外部の株主が入ってきて、厳しくガバナンスを見たから出来たことであって・・・」

「(その時の計画が実行されなかったことについて、)今の役員構成を見ても、仕方がないんですけども三菱グループの方々がかなりの部分を占めているというようなことからしてもですね。株主や顧客を向いた経営になりきれていないのではないかという気がします。」

「(2005年、三菱重工、三菱商事、東京三菱銀行のグループ3社が三菱自動車の再建に本格的に乗り出したことで安東社長は再建から手を引くことになったことについて、)内輪のロジックで経営していると、どこかでほころびが出てくるのではないか・・・」

 

今回の三菱自動車の不正に伴う経営の壊滅的な打撃もやはり過去の成功体験や組織のしがらみに裏打ちされた内輪の経営の限界を示しているのでしょうか。

かつて私が在籍していた外資系のIT企業でも、年間数千億円規模の赤字を出して危機的な状況に陥った時に、外部から経営者を迎い入れて大胆なリストラを行い、経営を立て直すことが出来ました。

また、かつての日産自動車も今のカルロス・ゴーン社長を迎い入れて根本的な経営の立て直しを行いました。

そして、今回の三菱自動車も同様に、三菱グループによる最終的な判断で日産自動車の傘下に下ることになったのです。

 

今回のことから言えることは、企業などどんな組織でもいかに素晴らしい仕組みを構築しても長年同じ価値観で組織が動いていると、やがて時代の流れや外部の環境に敏感に対応する動きよりも内向きな価値観の方が優先されてしまうという宿命を背負っているということです。

 

こうしたことは個人においても同様です。

私たちは個人として学校で様々な学科を学び、あるいは部活など通して、あるいは家族、友人。知人とのやり取りを通して社会性を学び、更には書籍や雑誌、テレビなどを通して様々な情報や知識を入手して、一人の人間として成長をしていくのです。

煎じ詰めれば、外部からの刺激を受けることにより自分の心が反応して自分なりの考え方が確立していくのです。

ですから、外部の刺激に私たちの精神構造は依存していると言えます。

もし、こうした外部との接触がなければ、知識はとても限られ、社会性も身に付けることが難しくなります。

同時に、私たちには自分の都合の悪いことには目を背ける傾向があります。

 

ですから、個人においても、企業などどんな組織においても、健全な成長を遂げていくうえでは、常に時代の流れや環境の変化を的確に把握し、それに適応していく柔軟性を持つことが求められるのです。

そして、そのためにどうするかというアイデアと実行力こそが生き残りを左右するのです。


 
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