2019年06月26日
アイデアよもやま話 No.4365 働き方改革の最前線 ー 駅ナカやサウナが仕事場に!?

2月19日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で働き方改革の最前線について取り上げていたのでご紹介します。 

 

働き方改革でテレワークなどの導入が進み、自宅やカフェで仕事をする人が最近増えています。

番組では、そんな働き方改革の最前線となっているかなり意外な場所を取材しました。

 

JR新宿駅、改札のすぐそばに設置されたブース「STATION BOOTH」の中を開けてみると一人用のワーキングスペースになっています。

実際の使い心地は、身体の大きめな人でもゆったりくつろげるといいます。

扉を閉めてみると、駅の騒めきが多少聞こえますが仕事をするには丁度いい静けさだといいます。

JR東日本の市原 康史さんは次のようにおっしゃっています。

「この裏側にアロマを設置させていただいております。」

「五感に訴えるようなこともさせていただいております。」

 

都内の3駅に計12台を設置し、昨年11月から実証実験を行ったところ、想定を超える5〜6割ほどの稼働率となりました。(実証実験は2月19日で終了)

 

一方、東京メトロは富士ゼロックスと共同で駅ナカ6ヵ所に「サテライトオフィスサービス」を設置し、三菱地所でも自社ビル内で「テレキューブ」を設置して実証実験をするなど、広がりを見せています。

 

JR東日本は今年夏ごろ「STATION BOOTH」を商用化する予定で、2020年度までに30拠点の設置を目指します。

市原さんは次のようにおっしゃっています。

「始めた背景には、働き方改革が進んできているという部分があります。」

「いつでもどこでも働けるというニーズは非常に多いと思いますし、利用者のご意見などを踏まえまして、出来るだけ多くの場所に早く設置をさせていただきたいと思います。」

 

横浜駅から徒歩3分のスカイビルにもちょっと変わった仕事場があります。

会議で煮詰まってアイデアが出ないという時に、気分転換にサウナに行くことが出来るという会議室です。

この会議室があるのは温浴施設「スカイスパ YOKOHAMA」の中です。

東京湾を見渡す大浴場に、一気に発生させた水蒸気をタオルであおぎ、発汗を促すアウフグースなど、本格的なサウナが楽しめます。

そのサウナ室をイメージした会議室、大浴場やサウナで頭をスッキリさせた後に、その雰囲気のまま自由闊達な意見が出し合えるための配慮です。

そして会議室の先にはコワーキングスペースとなっています。

パソコンを持ち込んで仕事で出来るように、それぞれのテーブルにはコンセントがついています。

ある不動産業の30代の男性客はこちらのメリットについて次のようにおっしゃっています。

「サウナで一汗かいてきて、さっぱりした後なので気持ちよく、雑念がなく仕事に臨めます。」

 

また別の建築関係の20代の男性客は次のようにおっしゃっています。

「やっぱりサウナがあるのが一番大きいですね。」

「バーと(仕事を)やって疲れたなと思った時に、もう1回リフレッシュのためにお風呂に入ってサウナにも入って出て来てまたゼロからという繰り返し出来るので・・・」

 

他にも集中して仕事が出来る「没入ブース」があります。

入浴料金、大人2370円(5時間まで)を払えば、コワーキングスペースのどれも追加料金無しで利用することが出来ます。

「スカイスパ YOKOHAMA」の大智 由美子さんは次のようにおっしゃっています。「お仕事をされる方の割合としては、全体の2〜3割ぐらいなんですけども、年齢層がお若い方が増えていますね。」

 

この施設、利用するのは個人や少人数のミーティングだけではありません。

広い部屋もあります。

大智さんは次のようにおっしゃっています。

「企業の方では、こちらで大きい会議をする時にご利用されますね。」

「あちらはホワイトボードにもなりまして、プロジェクターにもなる大きい画面がございまして、サウナ室の中は皆さん裸ですし、その後出られてこちらでお仕事される時も館内着でお仕事されますので、いい意味でリラックスして上下関係が無くなって社内コミュニケーションの活性化になるというようなお声をいただいております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や多くの場所がインターネットでつながっており、しかもパソコンも楽に持ち歩けるほど軽量化されています。

ですから、電車内やファミレスなどでパソコンを使っている人をよく見かけます。

そうした中、都内の3駅の構内に設置された一人用のワーキングスペースの実証実験での稼働率が5〜6割ほどという結果は、ちょっと空いた時間に落ち着いた環境の中で仕事をしたいという人が多いことを示しています。

こうした結果を受けて、JR東日本は今年夏ごろ「STATION BOOTH」を商用化する予定で、2020年度までに30拠点の設置を目指すというのはうなずけます。

 

一方、横浜駅から徒歩3分のスカイビルには、会議で煮詰まってアイデアが出ないという時に、気分転換にサウナに行くことが出来る会議室があるといいます。

また、その会議室の先にはコワーキングスペースがあるといいます。

 

今後、AIやロボットなどの導入が進むにつれて、ルーチンワークなどの単純労働はどんどんAIやロボットなどに置き換わり、労働者に求められる仕事の内容は変わっていきます。

中でも労働者に求められるのは、AIにはあまり期待出来ないような新規事業や業務の見直しなどのアイデアです。

そして、こうしたアイデアを考える際に大切なのは出来るだけフレッシュな精神状態、あるいは非日常的な環境です。

そこで以前から、社員研修では社員の考える力を身に付ける方法の一つとして、外部の施設を使って、いつもとは違う環境の中であるテーマを集団でディスカッションさせるというような研修がありました。

今回ご紹介したサウナは、こうした方法をもっと手軽に行おうという試みだと思います。

確かにサウナは気分をリフレッシュ出来ますし、割と身近な場所にあるのでよりよいアイデアを閃かせるために一度は試してみてもいいのではないかと思います。

またサウナであれば、仕事を抜きにしたコミュニケーションの場としての効用もあります。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月25日
アイデアよもやま話 No.4364 過疎の町でインド企業が町おこし!?

前回は、定額制で住み替え自由のサービスが“空き家”の削減や地域の活性化につながるとお伝えしました。

そうした中、2月18日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でインド企業による過疎の町の町おこしについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

日本のとある過疎の町で、地域の活性化にひと肌脱いだのは自治体でも地元企業でもなく、インドからやって来た世界的なIT企業でした。

そこには深い理由がありました。

 

静岡県中部にある山間の町、川根本町、一面に広がる茶畑ともう一つの売りが吊り橋です。

この橋の真ん中で願うと想いが適うと言われ、夢のつり橋と言われています。

ここ寸又温泉郷はかつては活気に溢れた温泉街ですが、今目立つのは廃業した旅館です。

近年は過疎化による苦しんでいます。

昨年10月、その川根本町にインド人の一行が訪れました。

向かった先はある古民家、元々は駐在所だった建物ですが、今ではインドのIT企業、ゾーホー(ZOHO)ジャパン株式会社の川根本町オフィスでコールセンターとして機能しています。

彼らは本社から視察に来た技術者たちでした。

 

ゾーホーの本社があるのはインド南部のチェンナイです。

主力の商品は、顧客管理などのクラウドサービス、従業員数は世界で7000人を超えます。

取引先にはアマゾンやネットフリックスなど世界的な企業が名を連ねます。

そのゾーホーが一昨年4月、川根本町を日本の本社のある横浜と結び、サテライトオフィスにしていたのです。

町が導入していた高速ブロードバンド網がオフィスの設置を後押ししました。

町の空き家を中心に規模を拡大、例えば元書店の建物は今ソフトの開発部門が利用しています。

こうした変貌ぶりに、地元のある女性は次のようにおっしゃっています。

「(ゾーホーの)川根本町愛がすごくて。」

「だから、こちらもゾーホー愛を前面に出していきますので。」

 

昼時、インド人の技術者たちがランチに向かったのは、イタリアンバー「ロンノバル」です。

しかし出て来たのは何とインドカレーで、そのインドスタイルにインド人の技術者たちはとても満足しているようです。

故郷の料理を食べられるようにと、オーナーがメニューに加えました。

その夜、インド人の技術者たちがある場所に向かいます。

そこでは地元の秋祭りの準備が行われていました。

地域住民と一緒に踊りの練習、地域のコミュニティに溶け込むのがゾーホー流なのです。

 

川根本町に来るのが3度目というゾーホーコーポレーションのシュリダー・ベンブCEOは次のようにおっしゃっています。

「この町に高いスキルのいい仕事を生み出す手助けがしたい。」

「それが我々のミッションです。」

「町が会社を支えてくれているので、我々も町の助けとなりたいのです。」

 

1月31日、そのサテライトオフィスに一人の女子高生の姿がありました。

瀧尾 かのこさん(18歳)はこの春地元の高校を卒業します。

緊張した面持ちである発表を待っていました。

実は瀧尾さんは昨年8月に2週間ゾーホーがインドに持つ社内大学に体験留学していました。

学費は無料で、専門的なプログラマーを育成する学校です。

ベンブCEOがこの教育システムに川根本町の若者を受け入れ、サテライトオフィスで働いてもらおうと考えたのです。

瀧尾さんたち、静岡県立川根高等学校の生徒4人が体験留学を終え、帰国しました。

昨年10月、帰国後高校で行われた報告会で、瀧尾さんは英語でスピーチしました。

自分の視野を広げるためにと留学に参加した瀧尾さん、帰国後入社の意思を固めました。

そして、1月末ゾーホーの採用面接を終えた瀧尾さん、面接の結果が伝えられましたが、見事合格でした。

オフィスの開設に続き、ゾーホージャパンの地元の高校生の採用、瀧尾さんはその第1号となりました。

 

川根本町企画調整室の北村 浩二室長は次のようにおっしゃっています。

「若い子はだいたい大学進学を機に都会に出て、そのまま都市部で就職してしまう。」

「働いてみたいとか、働きたい職場が一つでも増えていくことを望んでおりますので、・・・」

 

なぜゾーホーは日本の過疎地で人材育成に力を入れるのか、ベンブCEOは次のようにおっしゃっています。

「いい仕事があれば、有能な人材は出ていきません。」

「いい仕事をこの町につくることが人材の流出を防ぐのに重要です。」

「(川根本町で培ったビジネスモデルをどのように生かすのかという問いに対して、)とても重要な質問です。」

「世界的に、特に先進国では人口減少は深刻な問題です。」

「全ての国が日本のようになっていくでしょう。」

「なので、ここでこうした問題を学ぶことは世界にとって有益です。」

 

「日本中に川根本町のような町はあるが、なぜここだったのかという問いに対して、」運命だよ、相性が良かったんだ。」

「川根本町のような場所は、長期的に見れば重要です。」

「IT企業がこうした田舎に腰を据えることで、将来的に活気が出る。」

「それが日本人の田舎への考え方が変わることにつながる。」

「私たちはその役割が出来ることをうれしく思います。」

 

ベンブCEOは、少子高齢化をはじめ“課題先進国”の日本でこそ、今後世界で通用する解決策を生み出せるといいます。

 

なお、ベンブCEOは川根本町を選んだのは運命だとおっしゃっていますが、その真意は「自分たちが行った時に町の人が挨拶をちゃんとしてくれた」とか、そういうところも非常に重要だということです。

 

そして、“課題先進国”であるということが日本の強みかもしれないということですが、ゾーホーの川根本町の取り組み、成功のカギを握るのは企業内大学ではないかといいます。

日本のIT企業でも、都市部で会社を設けている必要はなく、地方の方がいいと思うけども、どうしても地方で人材を獲得出来ないので都市部から動けないということをよく聞きます。

ただ、ゾーホーの場合は自国に企業内大学があるので、地元の若者を採用して、そこに連れて行って教育が出来るという、これが強みのようです。

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は、こうした状況について次のようにおっしゃっています。

「実際、企業内大学というのは世界的にいろいろな企業が取り入れている研修の仕組みではあるのですが、ゾーホーは企業内大学の仕組みを非常に徹底化させているということで結構有名な会社でして、インドというのは大学を出られた方が超大手企業、大企業を好む傾向があるんですね。」

「ですから、インフォシスですとかタタグループですとか、ああいうところに行ってしまうんですね。」

「ですので、ゾーホーも今大きくなっていますが、まだまだ若い会社ですので人材確保に結構苦労しているんですね。」

「ですので、代わりにインドの地方部で大学を出ていない、まさに高卒の方なんかを早めに採用してゾーホーの企業内大学でプログラミングとか教えることで、一流のグローバル人材にしていくということで結構定評のある会社でして、それをまさに今回日本の地方に持って来たということなんですよね。」

「で、当然都市部より地方の方が人材獲得し易いですし、何より先ほどVTRの瀧尾さんもそうですけど、恐らくこれから日本とインドをどんどん往復することで、英語ですとかプログラミング言語ですとか数学ですとか、そういったものをどんどん学んでいくわけですよね。」

「この辺がこれからの時代、英語、数学、プログラミングが一番重要ですから、私が言うのもなんですが、日本のナンチャラ大学で勉強するよりもよっぽどいいんじゃないかというふうに思うんで、素晴らしいモデルだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してあらためて思うのは、コールセンターやソフトの開発拠点としての利用が過疎地など地方の活性化対策としてとても有効だということです。

ただし、その受け皿として高速ブロードバンド網など自治体や地域住民の好意的な受け入れ態勢が求められます。

同時に、利用する企業側の友好的な姿勢が求められます。

そういう意味で、ゾーホーの事業戦略は以下の点でとても優れていると思います。

・地域内でのオフィス開設による地域の活性化

・地域のコミュニティに積極的に溶け込むこと

・社内大学への体験留学制度

・地域の人材の積極的な雇用

 

そして、何よりも素晴らしいと思うのは、ゾーホーのCEO、ベンブさんの基本的な考え方です。

ベンブさんは、少子高齢化をはじめ“課題先進国”の日本でこそ、今後世界で通用する解決策を生み出せるといいます。

ですから、まず“課題先進国”の日本で今後世界で通用するビジネスモデルを確立し、その先では世界展開を目指しているのです。

こうしたビジネス展開はソーシャルビジネスの一つと言えます。

そしてそのキーポイントは企業内大学と言います。

世界中のどこの地域の若者でも優秀な人材を企業内大学に留学させれば、存分にその能力を開花させることが出来ます。

そして、その若者が暮らしていた地元にゾーホーのオフィスがあれば、そこで働くことが出来るのです。

こうしたサイクルが世界中で展開されれば、これから少子高齢化が進む中で、地域の過疎化を食い止めることが出来るのです。

そういう意味で、ゾーホーの取り組みは世界展開を図る日本企業の今後のあり方にもとても参考になりそうです。

 

ただ、企業内大学はかなり規模の大きい企業でないと自前で用意するのは厳しいです。

ですから、企業内大学の代わりとなる、ビジネススクールのようなサービスも今後需要が出てくると思われます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月24日
アイデアよもやま話 No.4363 1ヵ月4万円の定額制で住み替え自由のサービス!

以前、アイデアよもやま話 No.4333 ”多拠点生活”を支えるゲストハウス!で年間パスを購入すると、月額2万5000円でいつでも宿泊出来る都内の浅草橋にあるゲストハウスについてご紹介しました。

そうした中、2月18日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で1ヵ月4万円の定額制で住み替え自由のサービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

1ヵ月当たり4万円の定額制で登録されているいろいろな家に住み替えることが出来る会員制のサービスが始まります。

地方で深刻化している“空き家”などの新たな活用法として自治体からの注目も集まっています。

 

ベンチャー企業の株式会社アドレス(ADDress)が4月から開始するサービスについて、佐別当 隆志社長は次のようにおっしゃっています。

「月額4万円で住居も光熱費もWi-Fiも家具もアメニティも全部揃っていると。」

「身一つで4万円でどこでも住める、誰もがセカンドハウスのような家を持てる・・・」

 

月4万円でどこでも住み替え放題になる定額制のサービス、その仕組みは以下の通りです。

全国の空き家や別荘など、使われていない物件をアドレスが買ったり、借りたりした後にリノベーション(管理・運営)し、会員に貸し出します。

会員は月4万円を支払えば、空いている部屋に住むことが出来ます。

ただし、一つの部屋に連続で住めるのは1週間です。

4月からのサービス開始と同時に全国11のエリアで入居が出来ます。

例えば千葉県南房総市の海辺に建つ物件はかつて民宿として営業していました。

今後、内装をリフォームしたうえで、3部屋を貸し出します。

お風呂やキッチンは住民同士で共有します。

物件の貸し手側には月10万円の賃料収入が入ります。

物件の貸し手である能津 美紀さんは次のようにおっしゃっています。

「沢山使っていただけると私たちもお家も喜ぶと思うので、いい活用方法だと思います。」

 

こうした活用方法の背景にあるのは、全国で急増する“空き家”の問題です。

全国の住宅に占める空き家の割合は、2013年は13%でしたが、2033年には27%を越すと予想されています。

こうした状況について、佐別当社長は次のようにおっしゃっています。

「(空き家は)これから10年で2000万戸を超えると言われているんですね。」

「持っているだけで赤字なんです。」

「「使ってくれることで状態が綺麗になる、リノベーションもしてくれる」となったら、基本的にはすごく喜ばれると思います。」

 

空き家問題に悩む自治体も期待を寄せます。

滋賀県大津市は、市内の空き家や未使用の企業の保養所を利用して地域の活性化を図る狙いです。

4月から利用出来る会員の募集枠30人に対し、既に1100人から問い合わせが来ています。

IT企業に勤める男性(50歳)は次のようにおっしゃっています。

「関東なら1時間半〜2時間ほどであれば、(会社に)通えるので、1週間ごとにいろいろな拠点を周りながら、回遊していくような・・・」

 

また料理家の西村 隆ノ介さんは次のようにおっしゃっています。

「民泊は制限も多かったりとか、一度きりで終わってしまうということもあるので、何回も自分が通うことで、地方でのつながりを増やせたらいいなと思っています。」

 

西村さんは、自分の店は持たず、定休日などで使われていない飲食店を借りて、東京都内や鎌倉などで不定期にお店を出しています。

西村さんは次のようにおっしゃっています。

「地方の方が作ったものだったりとか、農産物だったりとか、そういうものを使って地元で消費出来るようなお店をやったりとか、ワークショップをやらせていただいたりとか、なじんだ場所が地方にあると、すごく自分としても行きやすくなるかなと思っています。」

 

西村さんは、その地方ならではの素材を使った料理教室を開催したいと考えています。

 

アドレスでは、今後栃木県日光市や宮崎県日南市などでも拠点を展開する予定です。

佐別当社長は次のようにおっしゃっています。

「働く場所は縛られなくなりましたし、新しいライフスタイルが生まれてきていると思うんですけど、都心と地方を行ったり来たり出来る環境は僕らが提供したいなと思っています。」

 

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は、次のようにおっしゃっています。

「(これから先、家に住むという概念自体変わってくるのではという問いに対して、)そうですね。」

「例えば、私の周りだと若い方が最近自動車に住みたくなったんですよ。」

「ですからキャンピングカーに人気が出たり、ミニバンなんかを改装してそこに住んで移動しながら住むことに憧れる方が出てくるんですね。」

「なので、これからの未来って、今日のVTRにあったように家を住み替えるか、自動車に乗って動きながら住むか、どっちかの未来が出てくるんじゃないかなと。」

「いずれにしても、今までの1戸の家に住むっていう概念は無くなっていくんだろうなと思いますね。」

「(ですから、」持ち物も身軽になるんだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでの一般的な暮らしは、戸建て住宅やマンションを購入して、その後は一生涯そこで過ごしたり、あるいは賃貸でアパートやマンション、戸建て住宅に住んで、何度か住み替えるというようなライフスタイルでした。

そして、ある程度以上の収入のある方の中には、別荘を持ったり、会員制のリゾートクラブに入会して、年に何度かそこを利用するというようなものでした。

 

ところが、今回ご紹介したような暮らしは、1ヵ月当たりの料金が定額制で登録されているいろいろな家に住み替えることが出来る会員制のサービスを使用するというライフスタイルです。

しかも、今回ご紹介したアドレスの提供するサービスは月額4万円と、従来のアパートなどの賃貸と比べて半額程度と、これまでの賃貸料金と比べて明らかに安いのです。

更に、こうしたサービスが今後全国的にどんどん広がっていけば、食事は自炊ながらも普段の暮らしと別荘や会員制のリゾートクラブとをミックスしたような暮らしが出来るのです。

 

更にこうしたライフスタイルを可能にするのは、特にITやデザイン、あるいは執筆などの職業に就いているケースのように、どこでも働くことが出来る人たちの存在です。

同時に、今や国内外を問わず、どこでもコミュニケーションが取れるネット社会というとても便利な環境です。

 

そして、こうしたサービスのユーザーは住む環境の変化により、年間を通してワクワク感のある刺激に満ちた時間を過ごせます。

また、いろいろな地域での新たな出会いがあります。

そこから新たな仕事に結びついたり、友人が出来たり、中には将来の配偶者との出会いもあり得ます。

 

一方、こうした物件の貸し手側には毎月賃料収入が入ります。

そして、こうした物件は一般的に“空き家”であり、その所有者は毎月大なり小なり維持管理費用が発生しています。

ですから、これまで維持管理費用が発生していたのが、逆に維持管理をしてくれて、しかも毎月賃料収入まで入るというようなサービスの誕生は願ったり適ったりです。

なので、アドレスの展開するようなサービスには、今後とも全国の多くの“空き家”の所有者が貸し物件として登録してくると思われます。

 

しかも、全国の住宅に占める空き家の割合は増加傾向にあります。

ですから、地方で深刻化している“空き家”などの新たな活用法として自治体からの注目が集まるのは当然です。

各自治体は、こうしたサービスを積極的に後押しすることが期待出来ます。

そして、自治体としても以下のようなメリットが期待出来ます。

・“空き家”や利用客の少ない民宿や旅館、企業の保養施設、別荘などの有効活用

・ユーザーによる地域内での消費

・その地域での暮らしを気に入ったユーザーの定住

・若い世代のユーザーの住居者の増加による地域の活性化

 

ということで、今回ご紹介した定額制での住み替え自由のサービスは、新しいライフスタイルを可能にするだけでなく、“空き家”対策、あるいは地域の活性化にもつながる、とても有意義な、そして期待の持てる新たなビジネスと言えます。

 

なお、番組でも取り上げていましたが、中にはクルマで季節の変化を楽しみながら全国を移動して暮らす人たちも現れています。

ですから、長い目で見ると、今はこれまでとは違うライフスタイルで“新たな豊かさ”を切り開こうとしている局面にあるのかもしれません。

 

なお、今はこうしたライフスタイルに向けて、子どもの教育など、多くの課題がありますが、徐々にこうした課題も解決されていくと期待出来ます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月23日
No.4362 ちょっと一休み その674 『三重県松阪駅前の商店街でのトラブルに見る法律の運用の考え方』

4月14日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で三重県松阪駅前の商店街でのトラブルについて取り上げていたのでご紹介します。

 

三重県の松阪駅前の商店街では4月14日、15日の2日間、半年に1度のバーゲンセールを行うのですが、今危機的状況に陥っているといいます。

書き入れ時を前に商店街が恐れているのが、歩道に出ている看板やのぼり旗は法律違反だと、商店街中を注意して回る、自称89歳の男性、人呼んで“正論おじいさん”です。

この男性は次のようにおっしゃっています。

「法律を守らなきゃ終わるよ、」

「日本は法治国家なんだから。」

 

なぜこの男性はトラブルになってまでも頑なに注意を続けるのでしょうか。

4月13日、番組のカメラの前で次のようにおっしゃっています。

「ここは点字ブロックだから、絶対に(モノを)置いちゃいけない。」

「(自分が片付けた後を見て、)これ見ると分かるでしょ。」

「キレイでしょ、ビューティフルですよ。」

 

「(境界線への独特の拘りについて、)普通の家だったら(私有地を)越境なんかしちゃいけないよ。」

「(誰かが)所有権を持ったら、そこに入っちゃいけない。」

「だから、今の北方四島だってそうでしょ。」

「日本が入っちゃったら、入っちゃいけないって言われちゃうじゃない、ソ連に。」

 

「(看板を壊すなどの自身の行動について、)私は思うんだけど、ゴミとしてやればいい。」

「(道に)あったらゴミだ、旗もゴミ、置いてあるのはみんなゴミ。」

 

「(自身が横断歩道でない所を横切っている動画について、)こっちの点からこっちの点を通ったって、別に悪いことはない。」

「それなら柵を作りなさいと。」

「(柵が)なければ、一向に(道路を横切っても)差し支えない、通ったって。」

 

更に都合のいい持論を展開します。

「(自分は)日本の最高官庁の役人だった。」

「相談しに来るのは、みんな弁護士ですよ。」

 

かつては官僚だったと語る男性、弁護士の相談を受けるなど、“法のプロフェッショナル”だったといいます。

商店街の人々とはこのまま折り合いをつけることが出来ないのでしょうか。

当然商店街の人々は話し合いでの解決を望んでいます。

商店街のある男性は次のようにおっしゃっています。

「何でこんなに市民同士がけんかしないとならんのかなといつも思いますね。」

 

また、別の女性は次のようにおっしゃっています。

「小さな町だから仲良くしたらいいのにね。」

 

「落ち着いて1回お話される機会があったら、(話し合いに)出てもらえるかと言ったら、出てもいいって。」

 

当の本人は次のようにおっしゃっています。

「そうよ、私だって逃げないもん。」

 

男性も話し合いには前向きです。

近々商店街の人々と解決に向けた話し合いの場が持たれる見込みだといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この男性の言い分は、全体としては屁理屈の連発だと思います。

ですが、1つだけあらためて法律のあり方を考えるきっかけを与えてくれています。

それは、商店街などでよく見かける、歩道に出ている看板やのぼり旗の扱いです。

確かに歩道に出ている看板などは、歩行者、中でも目の不自由な方にとってはとても迷惑になります。

そして、もし歩道に出ている看板などが原因で目の不自由な方や高齢者が転倒して怪我をされるようなことがあれば、それをきっかけにその周辺では一時的に看板などの置き方に注意を払うようにはなると思います。

また、歩道にゴミ袋が散らかっている状況は街の景観を損ないます。

しかし、一方で商店街の看板やぼり旗は街の賑わいを感じさせますし、自分の行きたいお店が遠くからでも分かり易くなります。

 

なお、この男性の援護をするわけではありませんが、ご存知のようにシンガポールではこうした街の景観についてとても厳しい罰金制度があります。(詳細はこちらを参照)

例えば、以下のようなものがあります。

MRT(電車)内での禁止事項(飲食など)

  最高1000ドル

•鳥へのエサやり

最高1000ドル

•ゴミのポイ捨て

初犯は最高1000ドル、再犯は最高2000ドル+清掃作業など

•喫煙場所以外での喫煙

  最高1000ドル

•ツバや痰を吐いた場合

  最高1000ドル

 

なぜシンガポールには罰金制度が多いのかですが、シンガポールは、英語・中国語・マレー語・タミル語と、公用語が4つも設定されている多民族国家です。

これらの多くの民族を統制するために多くの罰金制度が敷かれているといいます。

旅行者ももちろんルールを守らなければ罰金を払わなければなりません。

逆に言うと、罰金制度があるおかげで、シンガポールの街並みが綺麗に保たれているとも言えます。

 

さて、法律に関しては、こうした問題は他にもいろいろあります。

例えば、クルマの制限速度についてですが、以前あるテレビ番組で若い女性警察官が「1キロでも制限速度を超えていれば、スピード違反として取り締まります」とおっしゃっていたのをいまだに覚えています。

もし、この女性警察官の考えているように厳密に取り締まったら、ほとんど全てのドライバーはクルマに乗るたびにスピード違反で検挙されてしまいます。

そこで、一般的にスピード違反を取り締まる警察官は制限速度が時速60キロの道路を65キロ程度で走行しても違反として検挙することはありません。

せいぜい時速80キロ程度の走行での検挙となります。

もし、制限速度が時速60キロの道路を時速65キロ程度で走行していてスピード違反で検挙されるようなことがあれば、社会的に大変な議論を呼んでしまうと思われます。

 

ということで、街中の看板にしても、クルマの制限速度にしても、厳密に取り締まったらとてもギスギスした息苦しい社会になってしまいます。

しかし、だからと言って放置していたら街の景観を壊してしまったり、事故が発生し易くなってしまいます。

こうしたことから、法律の実運用にあたっては、単に厳密に法律に照らして取り締まるのではなく、社会通念、あるいは常識に基づいての運用が求められます。

例えば、商店街の歩道での看板設置については、商店街の組合などが自主的に看板の置き場所が歩行者の迷惑にならないかなどをチェックして、設置するようにすれば、少なくとも一般の方は不便を感じず、事故の発生にもつながらないと思います。

 

またクルマのスピード違反についてもごくたまにですが、明らかに時速150キロ以上は出しているのではないかというクルマを高速道路で見かけることがあまりますが、間違いなく事故のもとになります。

では、こうしたクルマをどのように無くすかですが、ネット検索していたら、イギリスでは

スピード違反は取り締りカメラで撮影後、罰金が科せられるといいます。(詳細はこちらを参照)

これも時速10キロ程度のオーバーで取り締まったら、ほとんど全てのクルマが検挙されてしまいます。

ですから、恐らく時速30キロとか40キロオーバー以上のクルマが取り締まり対象だと思われます。

 

いずれにしても、将来監視カメラが普及して、ほとんど国内全ての地域が監視されるようになれば、歩道に飛び出した看板や高速道路を猛スピードで走るクルマ、あるいは危険走行を繰り返すクルマを識別出来るようになります。

そうした看板やクルマについて注意を促すようなメッセージを該当するお店やクルマに発信するようになれば、それだけでも事故防止の対策としてとても有効だと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月22日
プロジェクト管理と日常生活 No.598 『急増する”非正規公務員”の元凶とは!』

2月10日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で急増する”非正規公務員”について取り上げていました。

そこで、プロジェクト管理の観点からこの状況についてご紹介します。 

 

今年の春闘では非正規労働者の賃金の引き上げや格差の是正が進むのか注目されていました。

一方で今、地方自治体でも臨時や非常勤で働く”非正規公務員”という人たちがいますが、その数が急激に増えています。

全国の市区町村の職員のうち非正規で働く人の数は約48万人、割合は約30%と、ともに年々増えており、今や3人に1人が非正規です。

なぜここまで”非正規公務員”が増えたのか、番組で取材を進めると地方自治体の厳しい現実が見えてきました。

 

人口1万3000人あまりの長崎県佐々町の役場や出先機関の職員、287人のうち約65%、186人は非正規の職員です。

高齢者の介護の相談窓口では11人のうち9人が非正規で働く人たちです。

町営の図書館では館長以下、運営に当たる12人全員が非正規の職員です。

 

なぜこれほど多いのでしょうか。

国の地方交付税が削減され、自治体の財政が厳しくなる一方、高齢化などに伴って福祉サービスなど自治体が担う業務が拡大、限られた予算で要員を増やさねばならず、非正規の職員が増えたのです。

佐々町総務課の山本 勝憲課長は次のようにおっしゃっています。

「行政改革の中で、特にうちの場合は保育所とか幼稚園を持っていましたので、その関係でどうしても非正規が増えた。」

「実際、現場では(非正規の職員が)いないと人が回らない。」

 

”非正規公務員”が支える自治体は今全国に広がっています。

職員の半数以上が非正規という市町村は10年あまりで7倍に急増しています。

一方、明るみになってきたのは正規の職員との待遇面の違いです。

佐々町の町営の保育所では保育士32人のうち25人が非正規の職員です。

勤務時間が短いためあえて非正規という働き方を選ぶ人も少なくありませんが、担任を受け持つなど、同じ業務や責任を担うことも多くなっています。

しかしその待遇は、正規の職員が昇給やボーナスなど各種の手当がありますが、非正規の場合、給与は年齢や経験に関係なく職種によって一律で、正規の職員の手当てに当たるものがありません。

 

こうした格差を無くそうと、役場ではこれまでも非正規職員の給与の引き上げなどに取り組んできました。

今回、処遇の向上を目指して、通勤手当やボーナスなどの手当ての支給を計画、その場合経費は最大で年間5500万円が必要となる見通しです。

限られた予算の中でどう確保していくのか、検討を重ねています。

山本課長は次のようにおっしゃっています。

「(5500万円が)経常経費で続いていきますので、その部分は確かに苦しいと思います。」

「ですから他の部分で、財政の部分で費用を削減していくという努力を今後も続けていかなきゃいけないかなと・・・・」

 

実は正規職員と非正規職員の格差は給与だけではありません。

例えば産休です。

2016年の総務省調査では、窓口業務などを行う臨時・非常勤の”非正規公務員”を雇っている自治体のうち3分の1で制度がありませんでした。

また子どもが病気をした際の看護休暇も半数以上、通勤交通費でさえも3分の1の自治体でありませんでした。

 

こうした状況について、制度設計が現状に合っていないことが問題だといいます。

総務省によると、以前、非正規職員は短時間で補助的な業務に係わることが前提でした。

しかし、正規職員と同じような仕事を担うようになってきたのに待遇面は以前のままというのが実態です。

こうした待遇の格差が深刻な事態をもたらすケースも出て来ています。

北九州市の常勤職員だった森下 佳奈さん(享年27歳)は児童虐待などを扱う相談員でしたが、うつ病と診断されて退職、その2年後自ら命を絶ちました。

当時、佳奈さんが母親などに送ったメールには次のような文言がありました。

「「給料分働いていない」と言われ、残業つけてもらえず。」

 

「また今日も2時間問い詰められ、泣かされました。」

 

母親の眞由美さんは、娘の死は上司のパワハラなどが原因だと考え、公務員の労災に当たる公務災害(労災)と認めるよう、北九州市に請求しました。

しかし、市の回答は思ってもみないものでした。

佳奈さんは非常勤職員なので公務災害を請求出来ないというのです。

市の条例にはその権利が定められていませんでした。

眞由美さんは次のようにおっしゃっています。

「同じ人なのに常勤と非常勤で命の重さに違いがあるって言われたとしか思えなくて・・・」

 

眞由美さんは、娘が亡くなったのは職場でのパワハラなどが原因で、公務災害の請求さえ出来ないのは問題だとして、市を相手に訴えを起こしました。

市は対応に問題はなかったと主張し、裁判が続けられています。

眞由美さんは次のようにおっしゃっています。

「納得がいかない。」

「娘が亡くなったということを納得出来ない。」

「一歩も前に進めていません。」

「娘のことだけを思って供養する穏やかな気持ちが私は欲しいけど、今の状況では無理だと思います。」

 

親としてはやり切れない気持ちですけども、佳奈さんのケースで公務災害を請求出来る余地について、北九州市は改善を求める国の通知を受け、昨年10月に規則を改正し、非常勤職員やその遺族も請求出来るようにしました。

更に改正以前の事案についても現在請求出来るように準備を進めています。

一方で市は、パワハラは確認出来ず、対応に違法性は無かったと主張し、今も裁判は続いています。

 

専門家は、多くの自治体で待遇の格差が依然として残っていて、このままでは私たちの生活にも影響が出かねないと主張しています。

地方自治体総合研究所の上林 陽治研究員は次のようにおっしゃっています。

「住民に最も近いところでサービスを提供する人たちは(多くが)非正規であるというのが現状なんですね。」

「ところが年収200万円前後の賃金で、雇用も1年ぐらいで、不安定な状態でやっていくということは将来に対する展望が見えないですよ。」

「その結果、かなりの数が離職してくるんです。」

「非正規公務員の処遇を低い状態のままにしていたら、なり手不足がもっと大きくなって、このままでは安心した住民公共サ−ビスが提供出来なくなる恐れがあると考えていますね。」

 

では、こうした問題を改善していくためにどうしたいいのでしょうか。

まず労災を申請する権利や産休など、働く人として認められるべき権利については速やかに制度を整備していくべきだと番組では考えます。

国も状況を重く見て、来年4月までに待遇を改善するよう各自治体に呼びかけています。

住民のニーズに応える行政サービスを維持しながら、限られた予算の中で非正規公務員の待遇をどう改善していくのか、サービスを受ける私たちも考えていかないといけないとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アイデアよもやま話 No.3207日本の資産家の人口に占める割合は世界一!?で日本全体の労働者の3人に1人以上が非正規労働者として働いているとお伝えしましたが、安定した就職先と見られている全国の市区町村においても職員のうち非正規で働く人の割合も今や3人に1人というのです。

更に、長崎県佐々町の役場や出先機関の職員の例では、高齢者の介護の相談窓口では11人のうち9人が非正規で働く人たち、町営の図書館では館長以下、運営に当たる12人全員が非正規の職員といいます。

しかも、”非正規公務員”が支える自治体は今全国に広がっており、職員の半数以上が非正規という市町村は10年あまりで7倍に急増しています。

 

ここで問題なのは、正規の職員との待遇面の違いです。

具体的には、全てとは言わないまでも昇給やボーナス、通勤交通費など各種の手当や産休がないこと、および給与は年齢や経験に関係なく職種によって一律であることです。

 

こうした状況について、制度設計が現状に合っていないことが問題だといいます。

総務省によると、以前、非正規職員は短時間で補助的な業務に係わることが前提でした。

しかし、正規職員と同じような仕事を担うようになってきたのに待遇面は以前のままというのが実態です。

 

私はこの制度設計が現状に合っていないことを国が放置してきたことこそ、“非正規労働者”の急増をもたらしている問題の最大の原因だと思います。

いつの時代も企業は利潤の追求を求め、国の定めた法律の範囲内でいかに売り上げを伸ばし、一方でコスト削減をするかに知恵を絞っています。

ですから、特に売り上げが伸び悩んだり、利益が急減したりすると、コスト削減に向かいます。

そして、時には法律を拡大解釈することもあります。

本来、“非正規労働者”は短時間で補助的な業務に係わることが前提でしたが、徐々に正規労働者と同じような仕事を担うようになってきたのに、それを国が放置し続けて現在のように正規労働者と“非正規労働者”の待遇の格差を生じ、格差拡大をもたらしたと言えます。

ということで、この問題に国もようやく重い腰を上げ始めたという状況なのです。

 

さて、プロジェクト管理において、最大限にプロジェクトを効率的に進めるために、個々の作業プロセスを標準化し、標準マニュアルとして文書化します。

そして、定期的に関連作業が全てこの標準マニュアルに遵守しているかをチェックし、逸脱行為がある場合は遵守するように指導します。

また、標準マニュアルを定期的に見直し、現状に合わない場合など、改善点があれば改善していきます。

このようなプロジェクト管理の標準マニュアルの管理に照らしてみると、国による“非正規労働者”関連法においてはきちんとした管理がなされていなかったと言わざるを得ません。

 

以前もお伝えしたように、日本の企業はこれまで何度となく大変な危機を乗り越えてきました。

ですから、もし“非正規労働者”関連法においてもきちんと規制が機能していれば、多くの企業は“非正規労働者”に様々なかたちで犠牲を強いることなく、別な方法で多くの危機を乗り越えて来たと私は楽観視しています。

厳しい環境だからこそ、競争力のある企業が育つのです。

もし、企業が当時の関連法に則り、“非正規労働者”に犠牲を強いることなく、働き方の抜本的な見直しをし、同時にテクノロジーを最大限に活用することにより生産性を向上させて活路を見出していれば、失われた20年などと言われるようなことはなく、バブル崩壊から新たな復興を取り戻していたと思われます。

そして“非正規労働者”の増加に伴う格差社会も生まれていなかったのです。

 

ということで、国にはプロジェクト管理における標準マニュアルの管理を参考に、あるべき法律を目指し、きちんとした管理をしていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月21日
アイデアよもやま話 No.4361 500円で株主に、しかも手数料ゼロ円!

2月15日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で証券会社による画期的なサービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

SMBC日興証券は、2月15日からほぼ全ての上場株式(約3700銘柄)を500円から購入出来るサービスを開始しました。

投資家向け情報サイトの記事の中で取り上げられる銘柄を直接購入することも可能で、手数料は100万円以下の購入であればゼロ円です。

SMBC日興証券の丸山 真志さんは次のようにおっしゃっています。

「100万円までは(手数料)ゼロ円という、これは破格の条件なんですけども、そういったところで投資を始めていただいて、いろんな単元株の取り引きですとか他の商品の取引とかにつながっていくためのサービスをさせていただいていると。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

日銀の超低金利政策により、銀行にお金を預けておいてもほとんど利子はありません。

そうした中、株式投資はリスクはあるものの、以下の観点から銀行預金よりもお金を増やす手段としてはメリットがあります。

・経済など世の中の動きに対する関心が高まること

・成長性のある企業の株式であれば、長い期間の保有を前提にすれば、途中で株価の浮き沈みはあるものの損失のリスクはとても低くなること

・株主優待制度

 

更に、今回ご紹介したSMBC日興証券の新たなサービスでは、100万円までは手数料がゼロ円で、しかも500円という少額から購入出来るのです。

ですから、株式投資に興味があってもこれまで経験のない方々にとっては、こうしたサービスは株式投資の入り口としてお勧めだと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月20日
アイデアよもやま話 No.4360 画期的な次世代型スマホレジ!

前回は電子タグによる食品ロスの削減についてご消化しましたが、今回は2月13日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して次世代型スマホレジについてご紹介します。 

 

自分のスマホがレジになるという次世代型スマホレジ、アプリを起動したら買い物スタートです。

カメラが起動して、スキャン可能な状態になります。

そして買いたい商品をスキャンしたら、そのまま買い物カゴに入れます。

バーコードをカメラにかざすと、レジを通したかのように金額が表示されます。

ラベルのないバラ売りのお惣菜などは値札のバーコードをスキャンして個数を設定します。

そして会計はアプリからQRコードを出してセルフレジで支払いします。

 

ただし、万引き対策として、スマホのカメラで買い物カゴの中を撮影してスキャンした商品が入っているかを確認出来るようにする予定といいます。

 

この次世代型スマホレジ「ショップアンドゴー(Shop&Go)」の開発者である株式会社寺岡精工 リテイル事業部の佐々木 和哉さんは次のようにおっしゃっています。

「買いたいモノをメモしておいて、10時の開店と同時に駆け込んで、最短経路でかき集めたら一目散にレジに駆け込んで会計する。」

「ですから、もっとゆっくり選びたいな、でも並びたくないよね。」

「ではどうすればいいのかなというので「ショップアンドゴー」を考え出しました。

 

自分のスマホでレジを済ませることで、レジ待ちの時間が短縮出来そうです。

通常、レジで行うバーコードのスキャンも買い物で商品を選んでいる時に組み込んでしまうことでレジでは支払いをするだけということになれば、レジで行列にはならないのではないかということです。

また、ついつい買い過ぎてしまうことがありますが、商品を買うごとに総額がアプリ上に表示されるので予算内に抑えられるというメリットもあります。

なお、「ショップアンドゴー」は3月18日よりサービス開始予定といいます。(詳細はこちらを参照、動画はこちらを参照)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

最近、スーパーに限らず普通のお店でもセルフレジの導入が徐々に普及しつつあります。

そうした中、今回ご紹介した「ショップアンドゴー」はスーパーでの買い物を速く済ますための取り組みとしてはとても画期的だと思います。

レジでは支払いをするだけになるので、レジをすぐに済ませることが出来ます。

 

しかし、課題が2つあると思います。

一つ目は、これまでスーパーのレジ係がやっていたバーコードのスキャンを買い物客が自らやるということです。

例えば、買うつもりで買い物かごに入れた商品をやっぱり買わないことにするなどを想定した場合、これまでならその商品を棚に戻すだけで済んだのに、スマホでそうした操作をする必要があります。

また買い物の途中でスマホの操作が分からなくなってしまった場合などを考えるとこうしたサービスの使用をちょっと躊躇してしまいます。

ですから、操作方法が分からなくなった場合のサポート体制を完備しておくことが必要です。

 

こうしたことから、「ショップアンドゴー」のような新しいサービスの普及に向けては、暫くの間は既存のレジ、あるいはセルフレジとの併用が必要です。

また、こうしたサービスはお店全体の生産性向上につながるのですから、「ショップアンドゴー」の利用者にはポイント還元などのメリットがあるようにすべきだと思います。

 

さて、何か月か前から、私がたまに行くパン屋さんでは、購入するパンを載せたトレイをセンサー付きカメラの下に置くと、個々の商品を識別し、支払い料金も自動で表示してくれます。

そして、買い物客はその隣にあるセルフレジで支払います。

このシステムに慣れるまではちょっと手惑いましたが、今ではすっかり慣れてしまいました。

こうしたサービスを考えると、2つ目の課題は個々の商品のバーコードのスキャン作業を自動化することです。

ちなみに、No.565 そろそろPOSにこんな機能があっても!でご紹介したようなレジがあれば、レジ係も買い物客も手を煩わす必要がなくなるので高齢者に限らず誰でもこうしたサービスはすぐにでも受け入れられるはずです。

 

ということで、スーパーなどでの買い物プロセスはまだまだ発展途上で、私たち買い物客が望むような、どこに買いたい商品があるかをすぐに分かったり、買い物を速く済ませるところまでの道のりは遠いように感じます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月19日
アイデアよもやま話 No.4359 電子タグで食品ロスを削減!

食品ロスについては、これまで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、2月12日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で電子タグによる食品ロスの削減について取り上げていたのでご紹介します。 

 

経済産業省は2月12日、食品ロスを減らすため、賞味期限や消費期限を電子タグで一括管理する実証実験を都内のドラッグストアなどで始めました。

 

消費期限などが迫ると、消費者に購入を促すため、値引きやポイント還元などについてスマホに通知する仕組みです。

また、電子タグを通じて在庫情報などを共有出来、効率的な商品管理につながるとしています。

経済産業省 消費・流通政策課の加藤 彰二係長は次のようにおっしゃっています。

「新しい技術を使うことによって、少しでも期限が短いものから消費される仕組みが作れたらいいなと考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

夕方、スーパーなどに買い物に行くと、“半額”や“30%引き”などの紙が貼られた食品を目にします。

そうした場合、その安さから購入することがよくあります。

こうした行為は食品ロスにもつながるのでとてもいいと思います。

ただ、どの商品が割引き対象なのかは、実際にその商品の置いてある棚に行ってみないと分かりません。

そこで、今回ご紹介したように値引きやポイント還元などについてスマホに通知する仕組みが出来れば便利になります。

 

しかし、まだまだ特に高齢者の中にはスマホを持っていない方も少なからずおります。

ですから、お店の入り口近くなどにスクリーンを用意して割引情報を表示する必要があると思います。

あるいは、こうしたスクリーンが用意されていれば、スマホへの通知は必要ないかもしれません。

ここで思い出されるのはデジタルサイネージです。(参照:アイデアよもやま話 No.1468 デジタルサイネージは広告革命!?

これを活用すれば、単に割引情報だけでなく、お勧めの商品などの宣伝も出来ます。

 

さて、店員が賞味期限や消費期限が近づいている一つひとつの食品に割引き対象を表す紙を貼っている光景をよく目にします。

こうした光景を目にする都度、以前からこうした作業は何とならないかと思っていました。

ですから、電子タグによる商品のIoT化、およびカメラやセンサーとの組み合わせでこうした店員の作業を無くせれば、在庫管理など効率的な商品管理と併せてお店全体の生産性向上に大きく貢献出来ると思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月18日
アイデアよもやま話 No.4358 堺屋 太一さんの語った「平成の次」!

2月11日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(テレビ東京)で堺屋 太一さん(享年83歳)の語った「平成の次」について取り上げていたのでご紹介します。 

 

大阪万博、団塊の世代、そして景気ウォチャー調査、これらを生み出したのが2月8日に多臓器不全で亡くなった堺屋 太一さんです。

世の中の流れに敏感で、常に時代の先を読んでいた堺屋さん、生前「平成の次」についても次のようにおっしゃっています。

「私が名付けた「団塊の世代」がだんだん年をとる、日本も経済成長がだんだん衰えるし、諸外国に追い抜かれるような状態になるんじゃないか。」

「まさにその通りになりました。」

 

WBSにもたびたび出演された堺屋さんは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まった時には次のようにおっしゃっています。

「これを機会に縮み思考から発展思考、日本はいい国になるんだ、楽しい国、面白い国になるんだ、これが家庭生活まで浸透して欲しいんです。」

「東京の沿岸部に縮こまった話じゃない。」

 

堺屋さんは東京大学を卒業後、当時の通産省に入省、1070年の大阪万博の企画を担当しました。

小渕内閣と森内閣では民間人閣僚として経済企画庁長官に抜擢されました。

組閣の日は、総理官邸にハイヤーではなくタクシーで乗り付けました。

そして次のようにおっしゃっています。

「この不況というのは、今日言って明日直るものではありません。」

「だから日本国民の方々も耐えていただくより仕方がない場面が・・・」

 

また景気情勢を小売店の販売員やタクシー運転手などに直接聴く、景気ウォッチャー調査も導入しました。

堺屋さんがおよそ20年前に執筆した小説「平成三十年」、ネット通販の普及やアジアからの労働者の流入など、現在の日本の姿を鋭く予想しています。

平成の未来像について、2005年に放送された、当時の小泉総理との議論の中で、この頃の日本の経済力の低下を指摘していました。

番組の中で次のようにおっしゃっています。

「67歳のための求人欄が出来て、上海に働きに行こうと。」

「今は貧しい中国から豊かな日本に来ているのが、逆に忙しい仕事のある中国に貧しい日本から中国に行くようになるんじゃないかと。」

 

常に時代の先を読み取って来た堺屋さんは、昨年、平成の次の時代への期待について次のようにおっしゃっています。

「現在の日本は「欲ない」、「夢ない」、「やる気ない」の“3無い社会”。」

「この低欲社会、欲望の落ちた日本をもう一度欲望に満ちた、やる気のある社会、面白い社会を目指さないといけない。」

 

解説キャスターの滝田 洋一さんは、稀代のアイデアマンであった堺屋さんについて次のようにおっしゃっています。

「堺屋さんというとやっぱり大阪万博ということになると思うんですけども、当時、通産省の若手官僚だったんですよね。」

「僕はそのアプローチは本当に面白いと思うのは、最初に佐藤総理の奥さん、総理夫人のところに話を持って行ったんですね。」

「それから総理に直談判をしてこのプロジェクトを実現させた、本当に面白い人です。」

 

「堺屋さんは今出て来た「平成三十年」という小説があるんですけども、実は昨年の段階で更なる三十年後について見据えた小説をお書きになろうとしてたんですね。」

「どんな小説だったか、ちょっと読んでみたかった感じがします。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

大阪万博という一大ビッグイベントが堺屋 太一さんという当時の通産省の若手官僚のアイデアから、更に総理への直談判により実現に向かわせたというアイデア力と実行力は、それだめでも多くの人たちに夢と希望を与えてくれます。

なぜならば、たった一人でもアイデア力と実行力次第で自分の夢を実現させることが出来ることを示しているからです。

 

昨年、堺屋さんは平成の次の時代への期待について、現在の日本は「欲ない」、「夢ない」、「やる気ない」の“3無い社会”で、日本をもう一度欲望に満ちた、やる気のある社会、面白い社会を目指さないといけないと指摘されていますが、全くその通りだと思います。

いつの世も活気に満ちた社会、心地よい社会、平和な社会が求められます。

それは待っていて実現するものではなく、その時代、時代を生きる一人ひとりの意識、アイデア、そして努力により実現出来るのです。

そして、堺屋さんに限らず、多くの歴史上の人物が教えてくれているように、一見実現不可能と思われるようなことでも、たった一人のアイデアと実行力が起爆剤となり、多くの人たちを巻き込んでその夢は実現出来るのです。

 

では今、若者に限らず誰もが夢のある、しかも世界的な規模で貢献出来るような対象はあるでしょうか。

以下のブログが多少なりとも参考になれば幸いです。

アイデアよもやま話 No.2963 目指すべきは明治維新を超える日本発の“スマートライフ革命”

アイデアよもやま話 No.4301 加速する地球温暖化にどう対応するか?

 

なお、堺屋さんは更なる三十年後について見据えた小説の執筆を計画されていたそうですが、それが実現されないままになってしまったのはとても残念に思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月17日
アイデアよもやま話 No.4357 農林水産物の輸出額が過去最高に!

2月8日(金)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で農林水産物の輸出額の増加について取り上げていたのでご紹介します。

 

昨年1年間の農林水産物や食品の輸出額が2月8日に発表され、9000億円を超えて過去最高となりました。

店頭に並んだ卵、北海道と表示されていますが、ここは香港のお店です。

今、日本の卵の人気が高まっています。

こちらのお店の経営者は次のようにおっしゃっています。

「周りのスーパーなどにも日本産の卵があり、よく売れている。」

 

背景にあるのは世界的に進む日本食の普及です。

世界各地で「日本の食」を紹介するイベントが開かれている他、日本食のレストランも増加しています。

更には日本を訪れる外国人観光客の増加で日本食に触れる機会が多くなっています。

その結果、昨年1年間の日本の農林水産物や食品の輸出額9068億円と過去最高になりました。

大きく伸びているのは牛肉(29.1%)やいちご(40.7%)、鶏の卵(49.4%)です。(カッコ内は前年からの伸び率)

特に最も高い伸び率の卵を最も多く輸入しているのが香港です。

そこには日本食ならではの食べ方が広がりつつあります。

例えば親子丼やラーメンの煮卵、生や半熟で卵が食べられるようにするには厳しい衛生管理が必要で、業界団体によると、そうした管理は日本以外ではほとんど行われていないということです。

広島県安差南区の鶏卵会社では香港に約20種類の商品を輸出しています。

開始した10年前に比べて大幅に伸びているということです。

こちらの鶏卵販売会社の國友 眞臣常務は次のようにおっしゃっています。

「安心であり、信用が出来るというところですね。」

「日本のブランドということを伸ばしていきたいなと。」

 

ある香港の女性は次のようにおっしゃっています。

「黄身が美味しくて清潔な感じがする。」

「少し高くても買ってしまう。」

 

増え続ける日本の農林水産物や食品の輸出、政府は今年の年間輸出量1兆円を目標としています。

EPAやTPPなど外国との経済連携協定の相次ぐ発効を追い風にして更なる輸出の拡大につなげられるでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してまず驚いたのは、私たちは普段何気なく生卵をご飯にかけて食べていますが、その裏には日本以外ではほとんど行われていない厳しい衛生管理があったのです。

そして、こうした厳しい衛生管理と飽くなき美味しさを追求する姿勢、そして日本食の文化が相まって、今日本食が世界的に認められつつあるのです。

 

最近、低価格の海外メーカーに押され、日本の家電製品は苦戦を強いられていますが、多少価格が高くても高機能で高品質など、商品の魅力があれば、世界的に受け入れられることを、今回ご紹介したように農林水産物の輸出額の急増は示しています。

 

一般的に日本の農業は世界的に競争力がないというイメージが定着していますが、現実はそうではないのです。

ですから、来年開催の東京オリンピック・パラリンピックを契機に、多くの訪日外国人に日本食、あるいは日本の食文化に触れていただき、全体として日本の文化に親しみを持っていただき、観光立国の一助とするとともに、日本の農作物、および日本食の海外展開を一層進めていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月16日
No.4356 ちょっと一休み その672 『”ハッカー”の持つ優れた技術力』

最近“ハッカー”という言葉をよく耳にしますが、そもそも“ハッカー”とは主にコンピューターや電気回路一般について常人より深い技術的知識を持ち、その知識を利用して技術的な課題をクリアする人々のことです。

また、コンピューターの「内側」を覗く人としても使用され、この内側を覗く行為が破壊行為あるいは不正アクセスを伴う場合は、ハッカーではなくクラッカーと言い換える事が提案されています。(Wikupedeiaより)

そうした中、3月9日(土)放送の「マツコ会議」(日本テレビ)で六本木にある“ハッカー”が集うハッカーズバー、「Bar A Day」との中継と通して“ハッカー”をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

なお、「マツコ会議」は毎回今話題のテーマについてテレビ局のスタジオとディープな場所との中継を結び 、知られざる場所を深掘りし、更に掘ってみたいことを VTRにする番組です。

 

「Bar A Day」では曜日ごとにそれぞれの分野に得意なハッカーが従業員として応対しています。

ハッカー兼オーナーの浜辺 将太さん(35歳)の前職は大手IT企業のエンジニアでした。

プログラムを書くのは人の100倍速いと言われる凄腕のハッカーといいます。

なのでアプリやサービスを作りたいけどもその方法が全然分からないようなお客やパソコンを買い替えてセットアップして欲しいお客も来店するといいます。

 

さて、店内の天井からつるされている大きなパネルには、オーナーがしゃべった言葉を解析して文字として流れています。

この「音声 自動テキスト化アプリ」は、動画を撮りながら音声をテキスト化してくれたら便利なのではということでオーナーが作成したものです。

 

そして二人組の若い一般女性はゲームの作成をオーナーに依頼しましたが、無料で1時間足らずで完成させたといいます。

そのゲームとはスマホの画面にある複数の顔を押していって、変な顔が出たら罰ゲームをするというものでした。

 

またこのお店に取材に行った番組リポーターの依頼でオーナーが作ったのは、もぐらの代わりにマツコ・デラックスさんや番組の複数のリポーターたちの顔を表示した「もぐらたたきゲーム」です。

こうした様々なゲームが来店客のいる間に作ってもらえます。

このお店では、時間があればチャージ料1000円とドリンク代800円だけでオリジナルのゲームを作ってくれるというサービスがあるのです。

 

さて、来店客の中には次のようなご夫婦もいらっしゃいます。

旦那さんは外国人で外資系のIT企業勤務のソフト開発者、奥様は日本人でギターや三線を弾きながら歌ったり作曲をしているミュージシャンですが、奥様のギターや三線が湿気と乾燥に敏感という悩みを抱えていました。

そうした中、旦那さんは奥様のために湿気をコントロールする器機を市販の部品のみで12時間ほどで作ったといいます。

しかも、IoTの時代なのでリアルタイムで自宅のミュージックルームの湿度がグラフで表示出来るようになっております。

ちなみにかかった費用は2500円ほどといいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも今話題の“ハッカー”をテーマにしたBarを立ち上げられた、ご自身もハッカーでいらっしゃる「Bar A Day」のオーナーの浜辺さんのアイデアに感心します。

こちらのBarは、“ハッカー”同士の情報交換の場であると同時に、アプリやサービスを作りたいけどもその方法が全然分からないようなお客やパソコンを買い替えてセットアップして欲しいお客も来店するといいます。

ですから、“ハッカー”関連に特化した、新しいタイプのBarと言えます。

そして、このBarでの出会いから将来有望なアプリやベンチャー企業の誕生も期待出来ます。

 

同時に驚いたのは、ちょっとしたアプリやITを活用した機器であれば、短時間のうちに開発出来てしまうというスピード感です。

このようなことは従来の技術では考えられませんでした。

それほど開発ツールが進歩しているのです。

ですから、今後ともAIやロボット、IoT関連の技術は一般的に考えられている以上のスピードで進み、それに伴い多様な商品やサービスが次々に誕生し、当分の間はこうした試行錯誤の時代が続くと見込まれます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月15日
プロジェクト管理と日常生活 No.597 『遅すぎる土地の相続登記の義務化!』

今や国内の空き家は増え続けていますが、その対策についてはアイデアよもやま話 No.2453 参考にすべき空き家の活用!などでお伝えしてきました。

そうした中、2月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で土地の相続登記の義務化について取り上げていました。

そこで、プロジェクト管理の観点からこの状況についてご紹介します。 

 

山下法務大臣は所有者の分からない土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直す考えを示しました。

その改正内容は以下のとおりで、制度改正を目指します。

・相続した土地の登記を義務付け、違反者に罰金を課す

・所有権の放棄を可能にする など

 

2月14日に行われる法制審議会総会で審議します。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、2月28日(木)付け日本経済新聞の夕刊記事によれば、法務省の研究会は2月28日、相続登記の義務化や所有権を放棄出来る制度の導入などを提言した報告書を公表しました。

一定期間内であれば相続登記時の戸籍謄本や除籍謄本などの書類提出を不要にするなど、手続きの簡略化を盛り込みました。

相続人の負担を減らして義務化の実効性を持たせ、所有者不明土地の発生を予防します。

 

そもそもこれまで相続した土地の登記の義務付けや所有権の放棄が法制化されていなかったことが問題だと思います。

このことが現在の空き家問題をより大きくしているのです。

例えば相続人が行方不明であったり、あるいは相続人が多数にまたがる場合などが原因でとても便利な空き地が放置された状態があるといいます。

ですから、このことだけを見てもいかに法整備が重要かを物語っています。

 

さて、プロジェクト管理においても何が管理の対象かを定め、それについてどのように管理するかを明確にして標準マニュアルとして文書化します。

そしてその標準マニュアルに沿って管理していきます。

 

このプロジェクト管理の考え方に則れば、最初に誰がその土地の所有者であるかを登記するだけでなく、その後誰がその土地を相続したかをきちんと管理しておくことが必要です。

しかし、長年にわたって土地の相続登記の管理が放置されてきたので、今大問題になっているのです。

 

ようやく国も空き家対策に本腰を入れ始めたようですが、法整備のポイントは空き家の有効利用です。

空き家があると、町の景観を悪くしたり、放火などによる火災発生のリスクもあります。

一方で、空き家が安く提供されれば、そこを事業で使いたい、あるいは住みたい人たちも沢山いるはずです。

 

少子高齢化が進むにつれて、空き家問題は増々大きくなっていきます。

ですから、国には早急に空き家問題を解決し、空き家の有効利用に向けて、様々な対策を検討していただきたいと思います。

同時に、土地の相続登記がきちんとされていることを確認するために、定期的な確認プロセスを明文化することも必要です。

でなければ、いずれ再び今と同じような問題が発生してしまうからです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月14日
アイデアよもやま話 No.4355 スペースXが切り開く新たな宇宙飛行の時代!

3月4日(月)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でスペースXが切り開く新たな宇宙飛行の時代について取り上げていたのでご紹介します。 

 

民間で初めて国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送るため、アメリカのベンチャー企業、スペースXが試験飛行で打ち上げた無人の宇宙船(本来は有人)が国際宇宙ステーションに到着しました。

 

スペースXが宇宙飛行士の新たな移動手段として開発した宇宙船「クルー・ドラゴン」は打ち上げから1日あまり経った日本時間の3月3日午後8時前に国際宇宙ステーションに到着し、ドッキングに成功しました。

日本時間の3月4日午前0時半過ぎ、国際宇宙ステーションに滞在しているNASAのアン・マクレイン飛行士が宇宙船に入ると、中にはセンサーを内蔵した宇宙飛行士の人形がありました。

マクレイン飛行士は次のようにおっしゃっています。

「今回の成功は私たちが難しいことでも成し遂げられることを示すものだ。」

「宇宙飛行の新時代にようこそ。」

 

「クルー・ドラゴン」には重さ約180kg分の物資や機器が搭載されており、国際宇宙ステーションに運搬された後、日本時間の3月8日夜に地球に帰還する予定です。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、3月11日(月)付けネットニュース(こちらを参照)によれば、「クルー・ドラゴン」は予定通り3月8日に地球に帰還し、フロリダの海岸線沖の大西洋、発射基地から370km地点に着水することとなりました。

4月にクルー・ドラゴンの緊急脱出装置のテストを行ない、それも成功すれば7月に二人の宇宙飛行士を乗せた有人飛行ミッション「Demo-2」へと移ります。

しかし、4月22日(月)付けネットニュース(こちらを参照)によると4月のクルー・ドラゴンの緊急脱出装置テストはテスト中に「異常」が発生して爆発し、残念ながら失敗に終わりました。

 

ということで、ロケット・宇宙船の開発・打ち上げといった宇宙 輸送(商業軌道輸送サービス)を業務とするスペースXによるテスト計画は必ずしも順調とは言えません。

しかし、今回の「クルー・ドラゴン」の成功は、以下の観点で新たな宇宙飛行の時代を切り開く快挙と言えます。

重さ約180kg分の物資や機器を搭載した無人の宇宙船が国際宇宙ステーションに到着したこと

・「クルー・ドラゴン」は再利用出来ること

 

スペースXは更に次々と宇宙開発に向けた計画を進めており、商用の宇宙開発における先駆者的な存在となっております。

なお、宇宙開発はスペースX以外にもアマゾンやグーグルなど世界的なIT企業が取り組んでいます。

ですから、今や宇宙開発は産業界のみならず様々な分野におけるニューフロンティアと言えます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月13日
アイデアよもやま話 No.4354 遠隔操作ロボットによる家事代行に見る人とロボットの住み分け!

2月7日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で遠隔操作ロボットによる家事代行について取り上げていたのでご紹介します。 

 

人材派遣大手のパソナグループは、2月7日ロボットベンチャーのMira Robotics株式会社と組んで新たな家事支援サービスを来年5月に始めると発表しました。

発表会で登場したのは、2本の腕を持つ家事支援ロボット「ugo」です。

デモンストレーションでは、主婦が家事の中で最も面倒だという洗濯を行いました。

パソナグループの森本 宏一副社長は次のようにおっしゃっています。

「鉄腕アトムから始まり、ガンダムに至るまで人類の夢が託されているような世界観、本当にわくわくして今のデモンストレーションを見ておりました。」

 

パソナが目を付けたのは“家政婦不足”です。

年々なり手が減っていて、そこにビジネスチャンスを見出したのです。

Mira Roboticsの松井 健CEOは次のようにおっしゃっています。

「(どのようにロボットを動かしているのかという問いに対して、)実は遠隔で操作しているロボットです。」

 

働く場の少ない地方の人材などをオペレーターに採用することを考えています。

須黒フィールドキャスターが体験してみると、ロボットが見た映像がパソコン画面に表示され、2本の指でタオルを挟むことが出来ました。

持てる重さは1〜2kg程度ですが、今後改良を重ねて来年5月のサービス開始を目指します。

 

ただ心配なのはセキュリティで、松井CEOは次のようにおっしゃっています。

「操作をする時にカメラの方はプライバシーのフィルターがかかっているので、作業に必要なものだけを認識して作業出来るようになっています。」

 

通常、家政婦を依頼すると、月に5万〜10万円かかるところが、「ugo」だと2万〜2万5千円に抑えられるといいます。

森本副社長は次のようにおっしゃっています。

「人手不足を解消し、あらゆる家庭にサービスを提供するためには、人とロボットを融合することによって時間や場所に依存しない新しい働き方を作ることで、人は沢山働くことが出来るようになると思います。」

 

家事代行の将来性について、番組コメンテーターで、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「頑張れと言いたいところですが、中々厳しいですね。」

「家事代行ロボットは、そもそもロボットの中でも最も難易度が高い部類だと思います。」

「掃除、洗濯、料理と実にバリエーションが多い作業を全部こなしてくれないと中々本当に代行として価値が出ない。」

「で、このロボットを完璧に作れたら多分何でも出来ると思います。」

「一方、ロボット開発に投資する立場で考えると、投資回収し易いのは高い時給の仕事を代替出来るようなロボットですよね。」

「だけど、家事代行の労働者の時給って1000円〜1500円と、どちらかというと安いんです。」

「なので開発の内容は高いけど、でもコスト削減効果は小さいと考えると、投資採算性はかなり厳しいんじゃないかなと思います。」

「で、そもそも家事を代行させようという時に、人のように作業する必要はなくて、例えば皿洗い機、洗濯機、電子レンジ、発明した時にこれはまさに家事代行じゃないですか。」

「こういう発想の転換の方が大事だなと。」

 

さて、「ugo」がヒト型ロボットである理由について、松井CEOは「家事をするスペースは人間に合わせて出来ているのでヒト型の方が動き易いのではないか」と考えたといいます。

また解説キャスターの山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「ここ数年、お風呂のお掃除ロボットを作ったら絶対ヒットするからと電機メーカーの首脳の方に言ってるんですけど、でも未だに本格的なものが出ないということは浴槽をはい回すのは相当難しいのでしょうね。」

「相当タフなことかも知れないけど、発想としては面白いと思っていて、最終的には自分が一家に1台持ちたいですよね。」

「働いている間に家事が出来るなんて、別の意味での逆転の発想のテレワークだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、家事に限らずロボットの普及要件が見えて来たので以下にまとめてみました。

・ロボットの導入による投資対効果が期待出来ること

・必ずしも全てをロボットに任せる必要はなく、ロボットだけの技術では困難な作業についてはヒトによる遠隔操作を取り入れること

・ある業務の作業全般を1体のロボットに全て任せるのはとても困難なケースについては、個々の作業を出来るマシーンでのサービスを検討すること

 

次にロボット普及のメリットについて以下にまとめてみました。

・人による遠隔操作をロボットと組み合わせることにより、働く場の少ない地方の人材や家庭の主婦など、時間や場所に制約のある人材にオペレーターという新たな働く場を提供出来ること

・人手不足の解消に貢献出来ること

 

ロボットの技術開発はまだまだ発展途上と言えます。

遠い将来、限りなく人に近いヒト型ロボット、すなわちアンドロイドが私たちの家族や友人、あるいは職場の同僚のような存在になる日を迎える時がやってくると思います。

しかし、当分の間は、遠隔操作などによりヒトとロボットとの作業分担の時代が続くと思われます。

そして、その住み分けのキーポイントは“ヒトとロボット、どっちに頼んだ方が得か”ということになると思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月12日
アイデアよもやま話 No.4353 ビール競争、勝負の決め手は“泡”!?

2月6日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新たなビール競争について取り上げていたのでご紹介します。

 

ビール各社の間で、今新たな競争が始まっています。

そのテーマは“泡”です。

2月6日、サントリービールが打ち出した新たな戦略は“泡”です。

山田 賢治社長は次のようにおっしゃっています。

「ビールの選択基準を“泡”に変えてまいります。」

 

“泡”で勝負するために投入するのが新型電動式の「神泡サーバー」です。

ボタンを押すと、1秒間に4万回振動する超音波が発生し、きめの細かい泡を生み出すといいます。

 

一方、アサヒビールの取り組みについて、業務用統括部の山崎 一生さんは次のようにおっしゃっています。

「ビアシェイクというビールの泡にリキュールを掛け合わせたカクテルになります。」

「ここまで振り切ったドリンクを企画させていただくことで、より多くのお客様にビールの泡をお楽しみいただけるというふうに思っております。」

「ビール全体の活性化につながるかなというふうに思っております。」

 

リキュールを少し入れたグラスに泡を注ぐと、泡が主役のビアシェイク(400円)になります。

今、飲食店を中心に展開を始めています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

確かにビールの泡のまろやかさによって、ビールの美味しさは大きく違ってきます。

ですから以前からこうした用途の家庭用機器は出回っていました。

そこで今回ご紹介した、サントリービールによる新型電動式の「神泡サーバー」はその進化形と言えます。

ちなみに、「神泡サーバー」の価格ですが、アマゾンでは2696円(消費税込み)でした。

 

一方、アサヒビールによるビアシェイクというビールの泡にリキュールを掛け合わせたカクテルは、まさにこれまで繰り返しお伝えして来た“アイデアは既存の要素の組み合わせである”の具現化と言えます。

 

ビール業界はこれまでも安い発泡酒や第三のビールを開発してきました。

しかし、特にアルコール度数ゼロのビールの開発は、当初は従来のビールの味とは異なり、違和感がありましたが今ではほとんど違和感を感じることはなく、宴会の席でも当然のごとく2種類のビールが出されるようになっています。

 

ということで、他の業界と同じくビール業界もマンネリ打破で常に新たな需要の開拓に余念がないのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月11日
アイデアよもやま話 No.4352 海底の泥から大量のマンガン・レアメタルを発見!

2月6日(水)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で海底の泥から大量のマンガン・レアメタルが発見されたことについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

海洋研究開発機構などの調査チームは、南太平洋の海底の泥を採取・分析した結果、マンガンやレアメタルなどの金属を含む小さな粒上の塊が大量に存在していることを発見しました。

見つかった粒上の塊が世界の海洋に存在すると仮定すると、その量はマンガンで最大7兆6000億トンに上ると推定され、これは年間の世界の生産量で約47万年分に相当する膨大な量だということです。

資源として利用するには、効率的に金属を回収する技術開発が必要だということですが、将来の資源開発の候補として期待されます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アメリカは新しい採掘技術を開発し、今やシェールオイルやシェールガスの大量生産国となりました。

一方、日本はこれまでこうした資源には恵まれない資源小国でした。

ですから日本も今回の発見を機に是非効率的に金属を回収する技術を開発し、マンガンやレアメタルなどの金属の資源大国を目指して欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月10日
アイデアよもやま話 No.4351 ”観光立国”を目指す日本 その達成要因とは・・・

2月3日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で“観光立国”を目指す日本の状況について取り上げていました。

そこで、番組を通してその達成要因についてご紹介します

 

訪日外国人を年間4000万人を目標に、“観光立国”を目指す日本、そのカギは何か、番組ではデータから徹底的に分析します。

 

外国人旅行客の数は年々増加しており、政府は2020年に年間4000万人を目標に“観光立国”を目指しています。

しかし、GDPに占める観光業収入の割合の世界ランキングでみると、日本は30位で1.9%に止まっています。

では日本に何が足りないかというと、11.1%で1位のスペインを見ていくとヒントが見えてきます。

それは滞在日数が長いことです。

スペインを訪れる人は平均8日間も滞在しています。(2018年8月 スペイン国家統計局)

その理由は、人気の観光地が各地にあるからなのです。

 

そこで日本の今年2月の中国や香港、台湾からの宿泊者数の2015年から2018年の3年間の伸び率を見ると3.2倍に伸びている地域があるのです。

徳島市からクルマで2時間、四国山地に囲まれ、過疎化が進む大歩危(おおぼけ)・祖谷(いや)地区、今この山間の地に年間およそ2万人もの外国人観光客が訪れているのです。(2017年の宿泊者数)

10年間で30倍に増えました。

お目当ては渓谷の川下りや古い吊り橋、SNSなどで“日本の原風景”と紹介されて人気が広がりました。

 

今、訪れる外国人の間で評判になっているのが、地元の人たちとのふれあいです。

番組で取材した日、ニュージーランドから日本に初めて訪れた旅行客に声をかけたのは地元で商店を営む山口 由紀子さん(76歳)です。

自分のお店に招いた山口さんは、地域で昔から作られてきたお茶を石臼で挽いてもらい、無料で振る舞いました。

 

地域の人たちのこうしたおもてなしにはこれまで試行錯誤がありました。

急激に増えた外国人にどう振る舞うか、郷土料理や伝統芸能を紹介するイベントを通じ、少しずつ“もてなす心”を育んできたといいます。

官民で観光振興に取り組む団体の出尾 宏二事務局長は次のようにおっしゃっています。

「昔は外国人を連れて行くと、祖谷のおじいちゃん、おばあちゃんは逃げてたんです。」

「今はだいぶ変わりましたね。」

「外国人を見ると、自分で握手してハグしに行きますから。」

「単にレジャーを提供するということではなく、来訪者と地域の人が上質な交流をちゃんと紡いでいっているというのが、この地域が魅力的な地域だと評価される一因だと私は思っています。」

 

今や自ら率先して外国人をもてなす山口さんはとても元気です。

言葉は通じなくても気持ちを込めれば伝わることが分かりました。

ニュージーランドから日本に初めて訪れた男性旅行客は次のようにおっしゃっています。

「ここに“本当の日本”を見に来たんだ。」

 

地元の人たちが長年培ってきた暮らしが何よりの観光資源だと気づいたといいます。

山口さんは次のようにおっしゃっています。

「なんか温かみを感じてくれるんかな。」

「ほっとするような感じ。」

「なんとも言えない笑顔で「ありがとう」って。」

 

こうした地元の人たちとのふれあいは旅の何よりの楽しみ、思い出になりますが、ただ観光立国を目指すうえで、もう一つ課題があります。

それはいかにお金を使ってもらえるかです。

政府が掲げている外国人旅行客の消費額の目標は、2020年に8兆円を達成することです。

しかし、昨年の実績は4.5兆円です。

まだ目標の半分程度に過ぎません。

そこでどうすればいいのか、緻密な戦略を立てて効果を上げている自治体があります。

それは青森県です。

続々と青森空港に降り立つ人たち、冬の閑散期とは思えない賑わいぶりです。

実は皆、中国からの旅行客で、次のような言葉が出てきます。

「青森、有名ですよ。」

「家族もみんな知っています。」

 

「りんごが有名です。」

 

日本人の客足が遠のいていたスキー場は今や大盛況です。

実はこの3年間で外国人宿泊者数の伸び率が6.7倍と最も高いのが青森県なのです。

急上昇の背景は、官民をあげ訪日客の獲得に取り組んだことです。

まず航空路線を次々と誘致、韓国や中国からの定期便は昨年の冬、2倍に増やしました。

SNSの発信にも力を入れ、今や7億人が登録する中国のSNS「ウェイボー」でも47都道府県で1位のフォロ−ワー数を誇ります。

評判を聞きつけ、訪れる人々の心をどうつかむか、今力を入れているのが青森ならではの体験です。

雪景色を見ながら石炭ストーブで温まる名物「ストーブ列車」、冬の青森でしか体験出来ないと大人気です。

 

青森体験を前面に打ち出し、人気を集める旅館もあります。

星野リゾート青森屋では、到着すると出迎えてくれるのは、雪ん子に扮した係員とポニー、“雪国らしさ”を演出します。

地下に足を踏み入れると、そこは夏祭りの“ねぶた”一色です。

浴衣に着替え、行った先は雪ん子の家、昔ながらの遊びを体験してもらいます。

この旅館、青森の文化を体験出来るイベントが至る所に仕掛けられているのです。

こちらの支配人、山形 徹さんは次のようにおっしゃっています。

「“めんそれ(=めいっぱい)青森”っていう、めいっぱい青森県を表現して、外国の方にももれなく、分かり易く提供している・・・」

 

実はこうしたイベントの数々、接客から清掃担当まで従業員総出で生み出しているのです。

付箋一つひとつにアイデアを書き込み、週に一度の会議で披露します。

言葉が通じなくても楽しんでもらえるものは何か、知恵を絞ります。

売店担当スタッフは次のようにおっしゃっています。

「青森らしくて素朴なものですとか、仕事しながら何かいいネタにかなっていうのは常に考えています。」

 

ねぶた祭りのショーで山車を引き回すなど、イベントを率先して盛り上げるのも従業員です。

こうした熱のこもった取り組みが評判を呼び、外国人宿泊者はこの5年で3.5倍に増えました。

外国人宿泊者からは次のような感想が出ています。

「ねぶたが会場を一周するのを見て感動しました。」

 

「別の季節にまた来て、違う体験をしてみたいです。」

 

支配人の山形さんは次のようにおっしゃっています。

「1泊じゃ足りなかったと。」

「今度は2泊3泊していろいろなものをもう一回体験しに来ようって、それが我々のある意味“戦略”・・・」

 

青森県ではこうした取り組みが功を奏して、消費額が2015年から2年で1.5倍に増えました。(出典:観光庁 訪日外国人消費動向調査)

地域の魅力をいかに体験に結び付けられるかがポイントなのかなと思いますが、でも何から始めたらいいか分からないという声もあると思います。

そこで、魅力的な体験を提供するうえで、カギとなるのは何かについて、全国各地を周って自治体などにアドバイスを行っている、日本総合研究所の主席研究員、藻谷 浩介さんは次のようにおっしゃっています。

「外国人が喜ぶような魅力はそれぞれ(の地域に)あるわけでして、それを来て嫌な顔をしない、分かってもらうように言葉が通じなくても真心を込めて、外国の方が来てくれてありがとうという雰囲気でサービスしているところが先にお客さんが増えるんです。」

「目先(の数)増やすことだけに注力して、肝心の喜んでもらうことがおろそかになっている地域は必ずこれから落ちることになります。」

「キーワード「今だけ、ここだけ、あなただけ」のものを1円でも高くお買い上げいただくということを努力した自治体だけが経済効果が出ます。」

 

「今だけ、ここだけ、あなただけ」というキーワードですが、「今だけ」というのは、その時期にしか体験出来ないもの、「ここだけ」とは、その地方でしか体験出来ないこと、「あなただけ」とは、押し付けではなくて訪日客それぞれのニーズに合った体験、サービスを提供すること、こうしたキーワードがそれぞれの地方がどう実践出来るかが観光立国のカギだというのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

政府は2020年に年間4000万人の訪日外国人を目標に“観光立国”を目指しています。

しかし、GDPに占める観光業収入の割合の世界ランキングでみると、日本は30位で1.9%に止まっています。

ですから、日本はまだまだ観光途上国と言えます。

しかし、それだけ伸びしろがあるということです。

 

そこで、番組を通して“観光立国”の達成要因を以下にまとめてみました。

・外国人旅行客の滞在日数を長くすること

・外国人旅行客の消費額を増やすこと

・外国人旅行客と地域の人との気持ちを込めた上質な交流(言葉の壁はネックにならない)

・地域の魅力をサービスや体験に結び付けること

・外国人旅行客を受け入れる地域の方々が外国人旅行客の満足度をより高くするために日々アイデアを考えること

 

そして、達成要因のキーワードは藻谷さんの指摘されているように「今だけ、ここだけ、あなただけ」だと思います。

更にこの標語の目指すところは、サービス業界全般に適用出来るのではないかと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月09日
No.4350 ちょっと一休み その672 『日本の経営者に足らない先進技術を活用した構想力』

No.4326 ちょっと一休み その697 『日本企業の凋落原因、および再興要因』で日本企業の問題点や課題についてお伝えしましたが、今回は何が根本的な課題なのかについて私の思うところをお伝えします。

 

GAFAと呼ばれるアメリカを代表するIT企業、 グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック( Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社、あるいは中国のアリババ、そして日本のソフトバンクなどのベンチャー企業は従来の企業に比べて圧倒的に短期間で成長を遂げています。

しかも、その収益力は既存の大企業を上回るほどの勢いです。

 

その共通点を以下にまとめてみました。

・創業者が若い世代のベンチャー企業であること

・非常に速いスピードで事業展開していること

・インターネットなどのITを最大限に生かした商品づくり、あるいはサービスを提供していること

 

しかもITにおいては、AIやロボット、IoTなどはまだまだ発展途上で今後ともどんどん進化していくと見込まれます。

 

これまでの歴史を振り返ってみても、ビジネス界のみならず、政界など他の分野においても、比較的若い世代が新しい時代を切り開いてきています。

また、一般的に新しいテクノロジーをいち早く理解出来るのは若い世代の特権です。

更に、こうしたテクノロジーの本質を理解してこそ、そのテクノロジーを最大限に生かした構想を練ることが出来るのです。

 

ということで、これからの日本を背負うことになる若い世代の中で、ベンチャー精神旺盛な若者たちが思う存分に活動し易い環境を国や地方自治体が整備し、同時にこうしたベンチャー企業に投資する投資家や投資機関とベンチャー企業との出会いの場が出来るだけ増えるような仕組み作りが今後の日本経済の活性化のカギになると思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月08日
プロジェクト管理と日常生活 No.596 『「ながらスマホ」による自動車事故のリスク対応策!』

2月7日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「ながらスマホ」による事故件数の推移について取り上げていました。

そこで、番組を通して「ながらスマホ」による自動車事故のリスク対応策についてご紹介します。

 

解説キャスターの山川 龍雄さんは、スマホのカーナビにおける重要な注意点について以下のような指摘をされています。

 

「ながらスマホ」による事故件数の推移ですが、クルマ(原付以上)の運転中の通話による事故件数はほぼ200件程度で減り気味(2013年〜2017年 警視庁調べ)なのです。

しかし画像を見ていることによる事故件数は約600件から約1000件へと増加傾向にあります。

しかしこれは氷山の一角なのです。

というのは、通話は通話記録が残りますが、画像を見ている時の事故は記録に残らないので,事故を起こした人は正直に言わないのです。

スマホの画面は小さいですし、運転中も操作出来てしまうのでこれについては安全対策を打っておかないと社会問題化すると思います。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

「ながらスマホ」による事故対策として、プロジェクト管理の観点から考えると大きく2つ考えられます。

それは、事故が起きないようにするリスク対応策と事故が起きてしまった後の対応策、すなわちコンティンジェンシープランです。

 

では、まずリスク対応策ですが、以下のような対応策が考えられます。

1つ目は、交通安全教育の強化です。

何といってもクルマはとても便利な移動手段であると同時に、走る凶器にもなり得るのです。

そして、交通事故を起こせば、被害者本人のみならずその家族にも大きな悲しみを与えてしまいます。

最悪のケースでは何人もの人たちの命を奪ってしまうのです。

また加害者の家族にも影響を及ぼします。

こうした事実を免許更新時などの際に定期的にきちんと教えることがまず基本です。

 

2つ目は、自動ブレーキなどの事故防止装置のクルマへの標準装備です。

この対応策は「ながら運転」のみならず、最近増えている高齢者による事故防止にも効果的です。

ですから、早急に国として新車における自動ブレーキなどの事故防止装置の標準装備の法制化が求められます。

同時に、既存のクルマへの自動ブレーキの後付けの方法を検討し、同様の法制化が求められます。

 

3つ目は、罰則の強化です。

これについてネット検索したしたところ、次のような記事がありました。(詳細はこちらを参照)

「ながら運転」の罰則強化を盛り込んだ道路交通法改正案が3月8日、閣議決定されました。

スマホの普及を背景に、「ながら運転」による交通事故が多発している状況を受けた対応で、今年中の施行を目指すといいます。

 

運転中にスマホや携帯電話を手に持ち、通話やメール、ネット通信、ゲームなどをする行為は禁止されています。

カーナビやテレビなどの画面を注視することも同様です。

「ながら運転」の罰則は現在5万円以下の罰金ですが、懲役刑を設け、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金に引き上げるとしています。

また、行政処分である反則金の限度額も大幅に引き上げ、政令で定める実際の反則金は普通車が6千円から1万8千円、大型車が7千円から2万5千円、二輪車が6千円から1万5千円、原付きバイクが5千円から1万2千円となります。

 

しかし、山川さんの指摘されているように、画像を見ていることによる事故の識別は記録として残らないのが課題です。

 

次に、コンティンジェンシープランについてですが、やはり罰則の強化です。

先ほどのネット記事によると、事故を起こすなど「交通の危険を生じさせた」場合の罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金から、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に引き上げるとしています。

 

このように原因はいろいろありますが、自動車事故のリスク対応策としては、まず交通安全教育、そして自動ブレーキなど技術的な安全対策、および罰則の強化という3本立てが考えられます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月07日
アイデアよもやま話 No.4349 パソナグループの新制度に見る新しいシニア人材の活用!

2月6日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパソナグループシニアによる新しいシニア人材の活用について取り上げていたのでご紹介します。 

 

人材派遣大手のパソナグループは2月6日、4月入社の採用説明会を行いました。

その対象は60歳以上の定年退職をした人たちです。

人生100年時代と言われる中で、定年後の働き方は変わるのでしょうか。

 

「人生に定年無し! 生涯現役を目指す」という看板を掲げ、人材派遣会社のパソナグループは4月入社の採用説明会を行い、南部 靖之代表は次のようにおっしゃっています。

「本当の働き方改革が誕生するのではないかなと思っております。」

 

説明会の参加者の多くは60歳以上の定年退職者で、約100人の参加予定に対して200人が集まりました。

参加した元翻訳サービス経営者(69歳)は次のようにおっしゃっています。

「おじさん、おばさんたちに対しては、こういう環境は私の知っている限り初めて、良い試みだと思います。」

 

また、元製造業営業職(61歳)は次のようにおっしゃっています。

「(前の会社で)再雇用してもらった時に年収が半減しました。」

「この年収レベルで私が社会に貢献出来ることが他にあるのではないかというふうに考えました。」

 

今回、パソナグループは独自のシニア採用制度「エルダーシャイン」制度を作りました。

応募者は、採用後、契約社員となり、フルタイムや短時間勤務、曜日を選んで働くなど、自分の条件に応じた雇用契約を結びます。

この採用では、地方創生サービス、財務・人事などの専門職、そしてベンチャー起業支援の3つのコースに分かれて合わせて80人程度の募集を行っています。

今後、この制度で採用した人をグループ全体の5%程度まで増やす方針です。

南部代表は次のようにおっしゃっています。

「ゼロからの新入社員の気持ちでやると、そう思ってパソナグループに入ってくれれば、僕はもうそれだけで将来パソナグループにとってみても新しい人材の活用にもなりますし、本人たちも社会へ参加出来るという意味で喜んでくれると思います。」

 

番組コメンテーターで、A.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「(再雇用の方も増えていますし、シニアの方の活躍も欠かせない社会になっている中、今考えておくべきことについて、)人事制度のあり方を抜本的に見直すタイミングだと思います。」

「一つ目がシニアの多様性、健康、経済、あるいは家族状況、これシニアになればなるほど個人差が大きくて、個々のニーズに合った多様な働き方の実現と同時に働きがいの実現、これが必要です。」

「しっかり働いても年金で損にならない仕組みも作る必要があります。」

「2つ目がモチベーション、再雇用で大幅に年収がダウンするケースが多くて、かつ面白味に欠ける仕事をやらされるというケースも多い。」

「で、仕事のアサインとか処遇の仕組みを少なくとも本当に能力のある人に対しては考え直す必要があると思います。」

「それから3つ目が働く人のスキル育成ですね。」

「人生100年時代で三毛作の時代ということになると、スムーズな転職のために若手、あるいは中堅の時から市場性の高いスキルをどれだけ身に付けさせることが出来るかというのが企業の競争力にもなってくるというふうに考えます。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

現在、一般的には60歳で定年退職になりますが、早期定年退職や会社の倒産、あるいは家庭の事情などでまだまだ働けるのに若くして職を失ったり、退職したりしてしまう人たちもおります。

一方で、現在、企業の方では特に中小企業においては後継者不足により存続を危ぶまれているところもあるといいます。

ちなみに、プロジェクト管理と日常生活 No.582 『中小企業の3分の1ほどが10年以内に廃業!?』でもお伝えしたように、日本には約380万社の企業がありますが、そのうち、およそ3分の1にあたる127万社ほどが後継者不足により今後10年以内に廃業する可能性があると言われています。

また5月7日(火)付けネットニュース(こちらを参照)によれば、経団連の中西 宏明会長(日立製作所会長)は、5月7日の定例会見で終身雇用について「制度疲労を起こしている。終身雇用を前提にすることが限界になっている」と改めて持論を展開し、「雇用維持のために事業を残すべきではない」と、経営者に対して新しいビジネスに注力するよう訴えております。

 

そうした中、番組コメンテーターの梅澤さんがおっしゃっている、少子高齢化時代のシニア人材の活用における以下の3つの要件は、全くその通りだと思います。

1.個々のニーズに合った多様な働き方の実現と同時に働きがいの実現

2.モチベーション

3.現在働いている人のスキル育成

 

そして今回ご紹介したパソナグループ独自のシニア採用制度「エルダーシャイン」制度は、上記の3つの要件のうち、1番目と2番目に合致します。

パソナグループの独自のシニア採用制度「エルダーシャイン」制度では、応募者は採用後、契約社員となり、フルタイムや短時間勤務、曜日を選んで働くなど、自分の条件に働くことが出来ます。

ですから本人の健康状態や家庭の事情などで働く日や時間帯を選択出来るのです。

しかも、今やインターネットにより在宅勤務も可能な時代ですし、AIやロボットなどの活用により労働の負担も従来の働き方に比べて軽減されつつあります。

 

ということで、より多くの企業が「エルダーシャイン」のような制度を導入することにより、これまでは働きたくとも働けなかった高齢者が働くことが出来るようになるのです。

 

なお、高齢になっても働いている人たちは一般的に働いていない人たちに比べて長生きすると言われています。

ですから、高齢者に限らず、これまで働きたくても働くことが出来なかった人たちがより多く働ける環境が整えば、経済のみならず健康面でもメリットのある社会になると大いに期待出来ます。

同時に、今は技術革新のスピードが速く、時代の流れについていけずに会社が倒産してしまうリスクもこれまでに比べて高いですから、現在働いている人たちも新技術に即したスキルの育成が欠かせません。

勿論、こうした状況に対応した国の制度の見直しも必要になります。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月06日
アイデアよもやま話 No.4348 ソフトバンクGに見る今後の日本企業のあり方!

前回まで3回にわたって”未来の覇権”を目指す中国をテーマに、技術、軍事、金融における米中の覇権争いについてお伝えしました。

そうした中、日本企業の今後のあり方の一つのヒントになる思う番組がありました。

2月6日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の決算会見について取り上げていたのでご紹介します。

 

ソフトバンクGは2018年4月から12月期の決算を発表しました。

その内容は“投資会社”としての性格を強く印象づけるものでした。

ソフトバンクGの孫 正義会長兼社長(以下、孫さん)は、2月6日の決算会見で次のようにおっしゃっています。

「いったいソフトバンクは何なのかと、ソフトバンクGの姿、かたちが複雑過ぎてよく分からないとおっしゃる方が沢山います。」

 

冒頭、孫さんのこの発言で始まった決算会見、ソフトバンクGのこの期の純利益は1年前に比べて52%増え、1兆5383円となりました。

その要因について、孫さんは次のようにおっしゃっています。

「ソフトバンクGはもはや通信事業会社ではなくて、純粋持ち株会社である。」

「一言でビジョン・ファンドが大きく伸びた。」

 

運用額が10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドの株式評価額などが利益を押し上げました。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、これまでイギリスの半導体設計大手、アーム・ホールディングスやアメリカの半導体メーカー、エヌビディアなどに出資、その多くはまだ上場していません。

上昇を続けていたエヌビディアですが、中国の景気悪化などを背景に急落、営業利益ベースで約4000億円のマイナス要因となりました。

しかし、孫さんは次のようにおっしゃっています。

「しっかりとほぼ全株、保険が打たれていた。」

「差し引きほとんど影響はなかった。」

 

ソフトバンクGは、金融派生商品を使い、エヌビディアの損失を相殺、大きなダメージは受けませんでした。

更にソフトバンクGは6000億円を上限とする自社株買いの実施を発表、これを受けて時間外取り引きで株価は一時8%上昇しました。

こうした中、世界では中国の通信機器大手、ファーウェイを排除する動きが広がっています。

ファーウェイの通信機器を使っている通信事業子会社、ソフトバンクへの影響を問われると、次のようにおっしゃっています。

「仮に(ファーウェイから)置き換えても50億円のワンタイムの費用だということですね。」

「ですからファーウェイの機器が経営の負担に大きくなるのではないかということはちょっと違うのではと。」

「大きな負担になるとは全く考えていない。」

 

この取材会見に出席していた、番組の解説キャスター、滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(この会見で注目すべきポイントについて、)キーポイントは21兆円と9兆円のギャップがポイントだと思うんですね。」

「まず21兆円というのは、投資会社っていう言葉が出て来たじゃないですか。」

「ソフトバンクGが投資している先の企業の値打ちを足し合わせたものが約21兆円になるんですね。」

「一方、ソフトバンクGは上場してますよね。」

「株式の時価総額は9兆円なんですね。」

「ということは21兆円と9兆円で倍以上のギャップがあるんですね。」

「そこのポイントなんですね。」

「で、なんでギャップが生じるのかっていうと、言わば投資先の企業というのは孫さん自身の先行きに対するビジョンが示されていると思うんです。」

「ところが、中々投資家がそれについていけていないというところがポイントなんですね。」

「で、孫さんとしても手を打ったんです。」

「それは何なのかというと、自社株を買い戻しますということで、投資家に言わば利益を還元しますということで、投資家に利益を還元する策に出たんです。」

「ただし、それをやったからと言ってギャップが埋まるかどうか微妙なんです。」

「一例を挙げます。」

「孫さんは2035年、ニューヨークの五番街をAIによる自動走行のクルマがどんどん行きかっている写真を示したんです。」

「それはいいんですけども、孫さんご自身61歳じゃないですか。」

「69歳まで社長を続けられると言っておられるんですけども、2035年の姿というのは、孫さんが社長を辞められた後の姿なんですね。」

「言わば時間軸のギャップというのも投資家が戸惑っている原因じゃないかと思うんですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してあらためて感じることを以下にまとめてみました。

・今はまさにAIやロボット、IoTなど技術革新の時代であること

・そうした技術革新の時代には、続々と新しいベンチャー企業が誕生し、既存の大企業にとって代わる存在になること

・そして、時代の一歩先を見通すことが出来、しかも最新技術を取り入れた商品やサービスをいち早く市場に投入した企業がやがて大きな成長を遂げることが出来ること

・一方、こうした技術革新のスピードに付いていけない企業は、大企業といえども次第に凋落していくこと

・こうした状況は株式時価総額など数値化されたかたちで具体的に表されること

 

以上、まとめてみましたが、実はこうした構図は今に始まったことではなく、古来からのもので、言わば人類の歴史の原理原則の一つではないかと思います。

 

さて、孫さんは現在の産業界における成功要因を備えた経営者を象徴する人物の代表的なお一人だと私は思っています。

それを象徴する事例を2つご紹介します。

1つ目は、ソフトバンクGがソフトバンクの社名であった頃の役員会議で、インターネットや携帯電話、あるいはロボットなど新規事業を立ち上げる際、孫さんが提案しても、他の全ての役員に反対されました。

しかし、最終的には孫さんの一存で事業は進められたといいます。

その結果が今のソフトバンクGの成長につながっているのです。

2つ目は、昨年10月4日にプレスリリースされたように(こちらを参照)、ソフトバンク株式会社とトヨタ自動車株式会社は、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、新会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)株式会社」(以下「MONET」)を設立したということです。

実は、この新会社設立については、別の報道によると、トヨタ自動車の豊田 章夫社長が孫さんの先見力を見込んでのトヨタ側からの提案によるものであるとされています。

さすがにこのトヨタからの提案には孫さんも驚かれたといいます。

 

さて、孫さんの持つ先見力を証明しているのは、世界的に見て他の企業がどこも気付かないうちに、これから成長しそうな、しかもいずれ業界のナンバーワンになると見定めたベンチャー企業を見つけ、そこに重点的に投資してきたことです。

その結果、番組でも取り上げていたように、投資による利益が全体の利益に占める割合が大きくなり、ソフトバンクGは今では“投資会社”としての性格を強く印象づける存在となっているのです。

この投資なのですが、その資金は今や10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドというかたちで、その投資先は主に先進テクノロジー関連の成長性の高いベンチャー企業といいます。

ですから、まさにハイリスク・ハイリターンなのです。

そして、最新の報道によれば、孫さんは更に同様の規模のファンドを新たに立ち上げるつもりのようでうす。

 

このようにみてくると、確かにソフトバンクGは“投資会社”指向のようですが、ベンチャー企業は一般的に開発資金が不足しており、また投資してもらえる投資家や投資機関を探すのは大変なのです。

ですから、ベンチャー企業にとってはソフトバンク・ビジョン・ファンドのような投資機関はとてもありがたい存在なのです。

そして、こうしたベンチャー企業は開発に加速がつき、やがてその中から産業界をリードする企業が誕生する可能性を秘めているのです。

 

ということで、ソフトバンク・ビジョン・ファンドはビジョンという言葉が入っているように、あるビジョンを達成するためのファンドですが、そのビジョンについて先進技術を最大限に活用して世界的にある分野で貢献出来る、世界的に競争力のあるベンチャー企業に資金的な支援をするファンドであると私は推測します。

そして、これからの企業にとって、こうしたビジョンを掲げ、そのビジョンを実現するためのプロデューサー的な事業に取り組むことこそ最も重要性を増すと思うのです。

こうしたプロデューサー的な事業により、単に一企業への投資ということではなく、相互に関連のある企業群の相乗効果を発揮することも出来るからです。

しかも、より広範囲での新しい労働市場を生み出すことが出来るのです。

ですから、こうした企業活動こそ、今後の日本企業のあり方の一つだと私は思うのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月05日
アイデアよもやま話 No.4347 ”未来の覇権”を目指す中国 その3 アメリカとの金融覇権争い!

1月19日(土)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)のテーマは「アメリカvs.中国 “未来の覇権”争いが始まった」でした。

そこで、この覇権争いについて3回にわたってご紹介します。

3回目は、アメリカとの金融覇権争いについてです。

 

アメリカとの貿易戦争で景気が減速する中、中国は巨大な経済圏“一帯一路”の構築を急いでいます。

中国はアジアやアフリカなど、アメリカが開拓しきれていない新興国へと市場を拡大しようとしているのです。

この“一帯一路”構想において、大きな役割を担うとされている人物がいます。

中国政府から経済発展に多大な貢献をしたとして表彰されたアリババグループのジャック・マー会長です。

今や世界最大のネット通販、アマゾンに匹敵するアリババ、年間の売り上げは約4兆3000億円、利用者数は6億人に上っています。

ネット通販を通じて、買い物履歴や購買者のプロフィールなど膨大な個人情報を集積し、ビジネスを拡大しています。

アリババはその巨大なネットワークを中国国外にも広げ始めています。

その強力なツールとなるのが昨年6月アリババグループが始めた新たなサービスです。

画期的な国際送金の仕組みを開発し、まず香港とフィルピンの間で実用化しました。

これまで銀行を介さなければ出来なかった国際送金をスマホだけで出来るようにしたサービスです。

アリペイ香港の陳 婉真CEOは次のようにおっしゃっています。

「まだ世界の多くの地域では銀行のサービスを利用することが出来ません。」

「私たちの送金サービスによってアリババのネット通販の利用も広がっていくのです。」

 

アリババが狙うのは、銀行口座を持たない新興国の人々です。

新たな送金サービスをまずフィリピンからの出稼ぎ労働者たちに広げようとしています。

香港で家政婦をしているフィリピン人のジョイ・トラクエナさんは早速サービスを使い始めました。

クリスマスを前にしたある日、ジョイさんは息子に仕送りをしようとしていました。

送金はスマホに金額を打ち込み、コンビニで現金を渡すだけですぐに完了します。

香港から約1500km、フィリピン東部のカタンドゥアネス島にあるジョイさんの故郷、送金の連絡を受けたジョイさんの母親は、アリババと提携する両替所ですぐに現金を引き出すことが出来ました。

 

送金サービスが始まってからこの島ではアリババのネット通販で買い物をする人が増えています。

アリババは送金サービスを入口に新興国の消費者を取り込み、マーケットを拡大しようとしています。

今後アジアを中心に新興国17億人の市場を視野に入れているのです。

陳CEOは次のようにおっしゃっています。

「今後、インドネシアから出稼ぎに来ている労働者を通じても市場を開拓していきます。」

「アリババグループのサービスが世界に影響を与えていくのです。」

 

中国の市場拡大を後押しするアリババの送金システム、それを実現させたのもハイテク技術でした。

仮想通貨で使われているブロックチェーン技術を応用したのです。

これまで国際送金はいくつもの銀行を経由して行われてきました。

銀行間をつなぐ専用のネットワークでなければ送金出来なかったのです。

ブロックチェーンを使えば直接スマホやパソコンで国際送金が出来るようになります。

高度な暗号化技術を使って極めて高いセキュリティレベルを実現したブロックチェーン、アリババはこの技術を使うことで銀行ネットワークとは別に新たな送金システムを作ったのです。

中国はこの技術によってアメリカが握るある覇権に風穴を開けようとしています。

ドルによる金融覇権です。

ドルは基軸通貨として世界に流通、貿易のおよそ5割はドルで行われています。

ドルで行われる金融取り引きの情報はアメリカに集まります。

他の国で行われた取り引きもアメリカの金融機関を経由します。

アメリカはドルの取り引き情報を通じてテロ組織や国際ルールを守らない国の資金の流れを把握することも出来るのです。

既存の銀行ネットワークを介さないブロックチェーン、この技術は中国にとってドルによる金融覇権の影響を受けない、新たなシステムになり得るのです。

 

中国は今、官民共同のブロックチェーン研究所を設立し、この研究と普及を推し進めています。

高い技術力を中国政府に認められ、ブロックチェーンの普及を担っているのがIT企業の太一クラウドです。

太一クラウドの鄭 迪(とうてき)CEOは中国政府の支援のもと、アジアや中東の国々にドルを介さない金融システムを作ろうとしています。

鄭CEOは次のようにおっしゃっています。

「アメリカはドルによる金融覇権と軍事覇権、そしてインターネットによる覇権で強くなりました。」

「しかし、ブロックチェーン技術を使うことでアメリカの金融覇権に大きな衝撃を与えることが出来るのです。」

 

中央アジアのカザフスタンは、中国の経済圏構想“一帯一路”における西への玄関口です。

鄭CEOは、カザフスタンにブロックチェーンを普及させようと考えており、次のようにおっしゃっています。

「カザフスタンは“一帯一路”の戦略上、重要な国です。」

「中国とは互いの強みを生かせる関係なのです。」

 

カザフスタンでは中国資本による開発が進み、中国との結びつきが強まっています。

NHKが取材をした日、鄭CEOは中国との貿易を進めている現地の大手開発業者のサウランバイエフ・イエラリCEOと会合を持ちました。

鄭CEOは、中国から輸入する資材の取り引きをブロックチェーンで行わないかと持ちかけました。

そして次のようにおっしゃっています。

「このブロックチェーンは大きく成長すると確信しています。」

「利益も十分得られるでしょう。」

 

カザフスタン側はドルを介さない取り引きに強い関心を示しました。

イエラリCEOは次のようにおっしゃっています。

「今一番頭を悩ませているのが通貨の問題です。」

「アメリカドルのせいで、みんな問題を抱えていますから。」

「ブロックチェーンでつながれば、中国との間でこれまでにないかたちで取り引き出来るようになります。」

「実現すれば“一帯一路”のプロジェクトを加速させていくでしょう。」

 

カザフスタンの不満の背景にあるのは、主力の輸出品である原油がドルで取り引きされていることです。

資源国であるカザフスタンの経済はドルの変動によって翻弄されてきました。

 

鄭CEOのもとには、アメリカの金融覇権に不満を持つ業者から商談が次々と舞い込んでいます。

資源開発業者のラーヒム・ガリモビッチさんは主に東ヨーロッパに原油などを輸出しています。

そしてガリモビッチさんは鄭CEOに次のようにおっしゃっています。

「ポーランドにあなたのための7階建てのビルを用意しましたよ。」

「ポーランド政府はブロックチェーンの計画に1年で40億円を支援してくれるだろう。」

「保証するよ、ポーランドの大統領が味方だ。」

 

ポーランドに貿易の拠点を作ろうと持ち掛けて来たのです。

こうした状況について、鄭CEOは次のようにおっしゃっています。

「新興国は資源を持っていますが、金融を握られているために資産を生かすことが出来ていません。」

「これは“一帯一路”に参加する国々が皆抱えている普遍的な問題です。」

「金融は人々を奴隷とする手段となってはいけないのです。」

 

金融覇権を握るアメリカは、こうした中国の動きを警戒し始めています。

元アメリカ国防総省の情報分析官、スティーブ・アーリックさんは、ドルを介さない金融システムが広がれば、中国に有利なかたちで利用されかねないと考え、次のようにおっしゃっています。

「中国政府がブロックチェーンによる金融システムを構築すれば、非常に多くの金融政策を自らの裁量で出来るようになります。」

「もし中国がブロックチェーンのスタンダードを作り上げ、それを広めることになれば、沢山の国や企業が中国の経済圏に組み込まれていくことになるでしょう。」

「そうなれば、中国によってルールが決められてしまうのです。」

 

ハイテク技術を握ることで、未来の覇権をつかもうとするアメリカと中国、これから世界はどこに向かうのでしょうか。

国際政治学者として世界が直面するリスクを予測して来たイアン・ブレマーさんは、ハイテク技術を巡る米中の攻防が世界を大きく変えると見ています。

そして、次のようにおっしゃっています。

「これは技術を巡る“新冷戦”です。」

「これまではアメリカが技術を主導してきた時代でした。」

「世界を席巻したインターネットがその象徴だったのです。」

「しかし、これから世界はアメリカと中国のハイテク技術によって分断されるでしょう。」

「一つは中国とその影響下にある企業が主導する世界、もう一つがアメリカと同盟国が主導する世界です。」

「ハイテク技術によって2つの世界が築かれ、グローバリズムの時代が終わるのです。」

 

時代の大きなうねりに直面している日本、トヨタ自動車は独自の自動運転技術を開発し、1月にアメリカで新しい実験車を披露しました。

アメリカから引き抜いたAI研究の権威、ギル・プラッドさんをトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI Toyota Research Institute)のCEOに据え、自動運転車を開発中です。

アメリカと中国のハイテク覇権争いで後れを取らないよう、自動運転の実用化を急いでいます。

その一方、トヨタは巨大市場、中国へのアピールも欠かしません。

日中首脳会談の後、トヨタの工場を訪れた李 克強首相に社長自ら開発中の自動運転車を説明、中国との太いパイプも持とうとしていました。

豊田 章夫社長は次のようにおっしゃっています。

「やはり中国の大市場と成長のスピードにどれだけついて行き、先方から選ばれる会社になっていくか・・・」

 

米中の攻防が激しさを増す中、日本はどう舵取りをするべきなのか、国際政治学者のイアン・ブレマーさんは次のようにおっしゃっています。

「中国は特定の分野では既に超大国になっています。」

「日本は安全保障の面ではアメリカと関係を維持したい。」

「その一方、経済では中国が大事です。」

「日本の立場は増々難しいものになっていくでしょう。」

 

アメリカと中国、2つの大国がしのぎを削る未来の覇権、その狭間で日本はどんな未来をつかむのか、難しい判断を迫られていきます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アメリカとの貿易戦争で景気が減速する中、中国は巨大な経済圏“一帯一路”の構築を急いでいるといいますが、そうした中で感心するのは習近平国家主席による官民共同で進める金融戦略です。

 

その一つがアリババの進める国際送金サービスです。

それは銀行口座を持たないアジアやアフリカなど新興国の人々でも送金などを利用出来るようになるブロックチェーン技術を応用したサービスを始めたことです。

その手始めがフィリピンから香港へとやって来た出稼ぎ労働者たちを対象とした香港とフィルピンの間の送金サービスです。

これまで銀行を介さなければ出来なかった国際送金をスマホだけで出来るようにしたのです。

こうしたサービスの延長線上で、アリババのネット通販の利用も広がっていき、あるいは中国の掲げる巨大な経済圏“一帯一路”での金融取引にもブロックチェーン技術の活用を見込んでいるはずです。

そして、今後アジアを中心に新興国17億人の市場を視野に入れているのです。

 

さて、銀行を介さずにスマホだけで国際送金出来るサービスはとても画期的なことです。

従来の銀行ネットワークとは別に新たな送金システムが出来るのですから、これまでドルによる金融覇権を握って来たアメリカにしてみればとんでもない話で放置しておくわけにはいきません。

 

なお、中国は今、官民共同のブロックチェーン研究所を設立し、この研究と普及を推し進めています。

そして、高い技術力を中国政府に認められ、ブロックチェーンの普及を担っているのがIT企業の太一クラウドであり、中国政府の支援のもと、アジアや中東の国々にドルを介さない金融システムを作ろうとしているのです。

そしてその手始めは、中国の経済圏構想“一帯一路”における西への玄関口である中央アジアのカザフスタンへのブロックチェーンの普及といいます。

一方、そのカザフスタンでは中国資本による開発が進み、中国との結びつきが強まっております。

そして、産油国であるカザフスタンの経済はドルの変動によって翻弄されてきたので、ドルを介さない取り引きに強い関心を示しています。

大なり小なり、他の新興国や途上国もアメリカによる金融覇権に不満を持っている国はあるはずです。

しかもブロックチェーン技術により、新たに銀行を建設しなくてもスマホさえあれば送金サービスのみならず様々な金融サービスが短期間のうちに利用出来るようになるのです。

ですから、今中国が展開しようとしている国際送金などの金融サ−ビスは、間違いなく新興国を中心に非常に速いスピードで普及していくと見込まれます。

 

こうした中国の動きに対して、元アメリカ国防総省の情報分析官、スティーブ・アーリックさんは、ドルを介さない金融システムが広がれば、中国に有利なかたちで利用されかねないと危惧しています。

また、国際政治学者のイアン・ブレマーさんは、こうした米中間の金融覇権争いを技術を巡る“新冷戦”と見ています。

 

ということで、現在はITを軸に、経済、軍事、金融と様々な分野で大変革が起こりつつあり、こうした分野を取り巻く環境が大きく変わり、どの国がその変化をいかにより速く、よりうまく取り込んでいくかによって今後の勢力図が大きく書き換わる状況にあるのです。

そしてアメリカと中国がその2大大国で、今のところ中国が官民一帯で先行しているように見えますが、問題は中国の志向する覇権主義です。

以前もお伝えしたように習近平国家主席には、覇権主義を唱えることなく、自国の繁栄とともに他国との共存共栄を目指していただきたいと思います。

中国から覇権主義の影が消えれば、トランプ大統領の中国に対する強硬路線も弱まり、同時に世界各国も中国に対して親しみを持って対応するようになると期待出来るからです。

逆に、あくまでも習近平国家主席が覇権主義を唱え続けるのであれば、自由主義圏の国々はトランプ大統領を先頭にいろいろな手段を使って、中国の動きを阻止せざるを得ないのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月04日
アイデアよもやま話 No.4346 ”未来の覇権”を目指す中国 その2 アメリカとの軍事覇権争い!

1月19日(土)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)のテーマは「アメリカvs.中国 “未来の覇権”争いが始まった」でした。

そこで、この覇権争いについて3回にわたってご紹介します。

2回目は、アメリカとの軍事覇権争いについてです。

 

グーグルやアップルなどの巨大IT企業を抱え、ハイテク分野で世界の覇権を握ってきたアメリカは、今急速に台頭する中国に焦りを募らせています。

シリコンバレーにあるアメリカ国防総省の研究施設、民間のハイテク技術の兵器への転用を進めています。

責任者を務めるのはマイケル・ブラウンさんです。

 

アメリカは既にAIやロボットの技術を軍事的に利用しています。

しかし今、中国の急速なハイテク技術の進展にアメリカは警戒感を露わにしています。

マイケルさんは次のようにおっしゃっています。

「これまで我々の軍事力は優れたテクノロジーに支えられてきました。」

「しかし将来、その優位性を失う恐れがあるのです。」

 

中国政府は民間の技術を軍事に活用する国家戦略、軍民融合を掲げています。

昨年12月には“中国版GPS”を全世界で運用開始、AIを駆使した軍事用ドローンの開発も進めています。

それに対し、アメリカ政府の危機感は強まっています。

マイケルさんは次のようにおっしゃっています。

「中国は我々よりもより広く民間技術を取り込み、軍事に転用しています。」

「このままでは競争に負けるかもしれない。」

「国を挙げて取り組むべきです。」

 

アメリカは今、中国の急速な発展の裏に“技術の盗用”があると見て、取り締まりを強化しています。

トランプ大統領は次のようにおっしゃっています。

「アメリカが持つ世界最高の技術を盗んで、真似させてはならない。」

 

FBIなどで専門チームをつくり、この2年間で少なくとも37人を産業スパイなどの疑いで摘発しました。

アップルの自動運転や大手メーカーの半導体技術などを狙ったという容疑です。

摘発された中には、中国の情報機関の幹部まで含まれていました。

捜査を担当した検察官は、これは氷山の一角に過ぎないといいます。

アメリカ司法省のベンジャミン・グラスマン検事は次のようにおっしゃっています。

「これは国家ぐるみで技術を違法に入手しようとした事件です。」

「このような産業スパイを野放しにしていたら、アメリカの繁栄は失われてしまうでしょう。」

 

しかし、拘留中の被告は無罪を主張、中国政府も否定しています。

中国外務省の陸 慷報道官は次のようにおっしゃっています。

「アメリカ側の指摘は全くのねつ造だ。」

 

こうした中、世界に衝撃を与えたのが中国の通信機器大手、ファーウェイの副会長の逮捕でした。

容疑は、アメリカが制裁を科すイランとの取り引きを巡る詐欺の疑いでした。

逮捕の背景にはアメリカ政府のファーウェイの技術に対する強い懸念があると見られています。

ファーウェイの上層部がNHKの取材に応じました。

海外メディアの対応にあたっている広報部門のジョー・ケリー副総裁は次のようにおっしゃっています。

「私たちの技術は世界の競合他社よりはるかに進んでいます。」

 

「私たちは安全保障の面で危険な存在にはなり得ません。」

「悪いことをしているかのように不当な疑いをかけられていますが、そんな証拠があるのなら出して欲しいです。」

 

ファーウェイが世界をリードしている通信方式、高速で大容量データをやり取り出来る「5G」は次世代の情報インフラになると見られています。

ファーウェイがインフラを握れば、機密情報までもが中国に漏えいするのではないかとアメリカから警戒されています。

 

ハイテク技術で台頭する中国、しかしアメリカ国内の危機感には温度差があります。

軍や民間企業の関係者が集まるシンポジウムで、国防総省のマイケル・ブラウンさんは技術流出を避けるよう警鐘を鳴らしました。

「中国はテクノロジーの分野でアメリカを脅かす力をつけてきています。」

「シリコンバレーをはじめ全米の企業の皆さんは注意して下さい。」

「これは国家の安全保障に関わる問題なのです。」

 

「アメリカでは、中国とハイテク覇権争いが起きているという共通認識がありません。」

「それを伝えることから始めなければならないのです。」

「貴重な技術を守るには警戒を強め、対策を取ることは必要です。」

 

しかし企業側の危機感は薄く、規制を強める政府への反発の声まで上がりました。

あるベンチャー企業の関係者からは次のよう声があります

「中国進出を考えているアメリカ企業はそこまで警戒していません。」

 

「むしろ今のアメリカ政府に反発する空気の方が私は強いと思います。」

 

政府の危機感をよそにハイテク技術を開発するアメリカの企業の一部は中国との結びつきを強めています。

中国の企業に雇われ、アメリカのベンチャー企業とのパイプづくりを行ってきたというショーン・フリンさんは、中国からの資金をもとにアメリカ企業を支援し、最終的に中国に誘致する仲介役を担ってきました。

フリンさんは次のようにおっしゃっています。

「中国側の狙いは、将来グーグルやウーバーのように価値を生み出す企業を中国へと誘致することです。」

 

ある日、中国側とアメリカのベンチャー企業との出会いの場にNHKの取材カメラが入りました。

AIやロボットを開発する企業の説明を聴き、投資するかどうかを検討する会合です。

招かれた投資家たちの半数は中国人や中国資本の企業に雇われたアメリカ人でした。

近年、アメリカのベンチャー企業に対する中国からの投資額は急増、特にAIの分野では5年間で20倍以上に増えています。

あるアメリカのベンチャー企業の関係者は次のようにおっしゃっています。

「会社を成長させるために資金が欲しいんです。」

「たとえ中国の投資会社であろうと、資金をもらえるなら喜んで受け取ります。」

 

潤沢な資金でアメリカのベンチャー企業を引き付ける中国、最終的には中国への移転なども持ち掛けるといいます。

フリンさんは次のようにおっしゃっています。

「優れたベンチャー企業には無料航空券を渡して中国ツアーに招待します。」

「そして政財界の人に会わせ、中国で事業を始めるよう説得するのです。」

「金を使って技術を奪っているという批判もありますが、それだって自由市場の原理じゃないでしょうか。」

 

ハイテク技術を巡って水面下で激しい攻防を続けるアメリカと中国、表舞台ではお互いに高い関税をかけ合う貿易戦争を繰り広げています。

トランプ大統領は次のようにおっしゃっています。

「もう我慢出来ない。」

「貿易赤字をなんとかしないといけない。」

 

一方、習近平国家主席は次のようにおっしゃっています。

「うぬぼれや独善的な考えは八方ふさがりになるだけだ。」

 

トランプ政権は中国福建省の半導体メーカーに対してアメリカからの部品の輸出などを制限する措置に踏み切りました。

高性能の半導体を作る技術をアメリカに頼って来た中国、その弱点を突いたと見られています。

この中国企業の半導体技術者は次のようにおっしゃっています。

「高い技術力なしに製品を作れない。」

「(半導体技術では)中国のレベルはまだ低い。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

とても残念なことですが、インターネットやAI、ロボットなどの先進技術は私たちの暮らしや産業にとってとても有益である一方、軍事技術として使用されれば効率良く、しかも殺傷能力の高い兵器となります。

ですから、軍事大国化を目指す国はこうした技術を開発したり、あるいは他国から関連技術を入手しようとしたり、購入しようとします。

今の中国はまさに世界最大の軍事大国、アメリカに匹敵するような軍事大国を目指しており、その主な技術の入手先がアメリカなのです。

しかも、中国政府は民間の技術を軍事に活用する国家戦略、軍民融合を掲げています。

そして、中国の急速なハイテク技術の進展にアメリカは警戒感を露わにしており、中国の急速な発展の裏に“技術の盗用”があると見て、取り締まりを強化しているというわけです。

 

しかし、アメリカ政府のこうした危機感や意向に反して、中には中国に軍事関連技術を売り渡す民間企業も出てきます。

 

こうした状況において、特に注目すべきは軍事面において、通信技術がとても重要な位置を占めているということです。

今や通信技術なしに軍隊や兵士の行動を統制することは出来ないからです。

そして、ファーウェイが世界をリードしている通信方式「5G」により世界の次世代の情報インフラを握れば、機密情報までもが中国に漏えいするのではないかとアメリカは警戒しているのです。

 

いずれにしても軍事覇権を目指す中国と何とか今の軍事的優位性を維持しようとするアメリカ、そして徐々にその差が縮んでいく中で、その行き着く先は両国、あるいは両陣営の同盟国を巻き込んだかたちでの軍拡競争、更には戦争勃発のリスクの高まりです。

 

ではこうした流れを食い止めるためにはどのような対応策が考えられるでしょうか。

以下に私の思うところをまとめてみました。

・世界的な平和主義の徹底

  国連などの組織を通して、飽くまでも戦争反対を貫くこと

・世界各国が過度な軍事技術の開発を進めることを阻止する条約の締結をすること

・この条約に反する行為を行った国に対しては、国際的な経済制裁を行うこと

・今はアメリカと最も緊密な関係にあり、中国との経済関係の深い日本の現職総理である安倍総理が率先して、両国の間に立って世界平和、および自由貿易の維持に向けて調整を行い、両国の緊張関係を解き、ソフトンディングに向けて取り組むこと


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月03日
アイデアよもやま話 No.4345 ”未来の覇権”を目指す中国 その1 アメリカとの技術覇権争い!

1月19日(土)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)のテーマは「アメリカvs.中国 “未来の覇権”争いが始まった」でした。

そこで、この覇権争いについて3回にわたってご紹介します。

1回目は、アメリカとの技術覇権争いについてです。

 

今、日本に中国のハイテク技術が急速に押し寄せています。

タクシーに搭載されているのは中国のAI、人工知能です。

クルマから送られてくる日本の膨大な交通データ、それを収集しているのが中国の巨大企業です。

 

世界430都市で5億人を超えるデータを収集、AIで都市全体をコントロールするプロジェクトを進めています。

中国のIT企業幹部は次のようにおっしゃっています。

「我々のAIとビッグデータで全世界の交通を変えたい。」

 

また、ファーウェイの「5G」PRビデオでは次のように伝えています。

「5Gは全ての業界に革命を起こす。」

 

次世代通信「5G」やAIを使った自動運転など、私たちの未来を大きく変える技術で躍進する中国は、これまで巨大IT企業を擁するアメリカが握って来た“ハイテク覇権“を揺るがし始めています。

中国の技術革新が進めば、やがてドルによる“金融覇権”、更には“軍事覇権”も脅かしかねないとアメリカは危機感を強めています。

 

アメリカ国防総省のマイケル・ブラウンさんは次のようにおっしゃっています。

「アメリカの技術的優位性は将来失われるかもしれません。」

 

中国の急速な発展の裏には“技術の盗用”があるとしてアメリカは取り締まりを強化しています。

覇権を握るアメリカと台頭する中国の対立は深まっています。

米中の狭間で日本も選択を迫られています。

国際政治学者のイアン・ブレマーさんは次のようにおっしゃっています。

「中国の力が増す中で、米中どちらかを選ぶのか突き付けられれば、日本は厳しい状況に追い込まれるでしょう。」

 

これは世界を二分する未来の覇権争いの始まりなのです。

番組は、アメリカと中国による攻防の最前線を追いました。

 

中国のハイテク企業が集積する巨大都市、深圳、ここで急成長を遂げ、世界の注目を集めている企業がNHKの取材に応じました。

自動運転の技術を開発しているROADSTAR.AIです。

クルマに搭載されたカメラやセンサーで外部の情報を収集し、AIがそれらの情報を分析し、クルマを動かしていきます。

実証実験の関係者は次のようにおっしゃっています。

「150m離れていても信号を識別出来ます。」

 

人に代わってハンドルやブレーキを操作するレベル4の技術をわずか1年で実現しました。

先行して来たグーグルやテスラを凌ぐ開発のスピードです。

創業者の1人、AIの開発を行う衡 量CEOは、レベル4を実現出来たのはクルマや人を高い精度で認識する独自のAIを開発したからだといいます。

「私たちのAI技術は世界最先端です。」

「自動運転車の見る世界は人間の見る世界とは異なるのです。」

「来年には世界のトップの企業と肩を並べたい。」

「目標は世界一です。」

 

これまで自動運転の開発をリードしてきたのは、グーグルやウーバーなどアメリカの巨大IT企業です。

昨年12月、グーグルのグループ会社が自動運転をいち早く実用化、配車サービスを始めました。

シリコンバレーを中心にカリフォルニア州では、ここに開発拠点を置く中国企業など60社以上が熾烈な競争を繰り広げています。

自動運転は従来の産業構造を一変させるハイテク技術です。

これまでクルマを作るメーカーがトップに君臨してきた自動車産業ですが、自動運転の時代が到来すれば、クルマの頭脳となるAIの技術を握った企業が優位に立ちます。

世界の名だたる自動車メーカーにAIを供給し、巨額の利益を得ることが出来ます。

しかも、それぞれのAIから膨大なデータを収集することも出来ます。

これが次世代の“ハイテク覇権”の姿です。

 

なぜ中国企業は驚異的なスピードでアメリカに迫ることが出来たのか、取材を進めるとその急成長の秘密が分かってきました。

わずか1年でレベル4に到達したROADSTAR.AIですが、開発の中核を担っていたのはアップルなどのIT企業で最先端の技術を学んできた若者たちでした。

アップルの元技術者は次のようにおっしゃっています。

「秘密保持契約で詳しくは言えませんが、前の会社で1、2年前にやったレベルのことに今取り組んでいます。」

「レーザーや画像を扱う技術は今の会社でも応用出来ています。」

 

海外の企業や大学で知識や技術を身に付けて帰国する人材は“海亀(ハイグェイ)”と呼ばれています。

衡CEOもテスラやグーグルで自動運転の技術を開発していた“海亀”の一人です。

衡CEOは、自分たちの技術は全て独自のものだと言います。

「(企業のノウハウや技術などを応用することに、以前勤めていた企業は怒らないかという問いに対して、)知的財産に係わるものを直接持ち出してはいません。」

「私たちが開発しているものは全て新しい技術です。」

「前にいた会社の技術を直接使うことは出来ません。」

「そこで得た経験は生かしていますけどね。」

 

取材の日、政府系の投資会社が訪れましたが、中国政府は起業した“海亀”たちに手厚い支援を行っています。

投資会社はこの企業のAIの技術に注目し、会社の発展に期待しているといいます。

 

中国政府は今ハイテク技術を成長の柱に据えた国家戦略を打ち出しています。

習近平国家主席は、人民大会堂で次のように演説されております。

「中国人民は不可能を可能にした。」

「豊かで強くなった我々は新たな一歩を踏み出した。」

 

【中国製造2025】、今後30年(建国100年を迎える2049年)を見据えて、AIや5Gなどの技術でアメリカに並び、世界トップとなることを最終目標としています。(詳細はこちらを参照)

この戦略を支える人材が“海亀”です。

中国政府は“海亀”が帰国後に起業する資金を補助するなど、手厚く支えてきました。

その数はこの5年間で200万人を超えています。

国の研究機関でハイテク技術の開発を推進してきた中国科学院自動化研究所の王 飛躍さんは、“海亀”こそが中国の成長を支える原動力だといいます。

そして次のようにおっしゃっています。

「海外で経験を積んだ“海亀”たちは中国の人たちのいい手本になっています。」

「彼らの学んだ通りにやれば、短期間で無駄なく目標を達成出来ます。」

「“海亀”は中国にとって非常に重要な役割を果たしているのです。」

 

中国のハイテク技術の波は、今日本でも押し寄せています。

大阪で10社以上のタクシー会社に広がっているAIを使った配車サービス、中国のIT企業、滴滴(ディーディー)が開発した最先端のAIがスマホを使った利用者と1万台近いクルマを瞬時にマッチングします。

このサービスを利用している、あるタクシー運転手は次のようにおっしゃっています。

「待ち時間が減って効率がよくなりますね。」

 

中国の滴滴本社の担当者が利用実績の確認に訪れました。

そして、そのサービスを利用しているタクシー会社の担当者に次のように説明しています。

「(クルマの需要は)梅田と難波に分かれている。」

「特に深夜はこの2つのエリアに集まっている。」

 

乗客の利用傾向やクルマの移動情報を独自に開発したAIで分析しており、近く東京にも進出する計画です。

収集した膨大なデータは、中国の北京にある滴滴の本社に集積されています。

滴滴は創業7年で世界トップを走るアメリカのウーバーに肩を並べました。

430の都市を走るタクシーなどのクルマから情報を一手に集めています。

町中を走る車から送られていたのはリアルタイムの位置情報です。

利用者は5億人以上、1日3000万件の乗車データを処理し続けるAIは独自の進化を遂げています。

時間や場所、雨などの気象データを分析し、利用者の動きを予測、クルマが足りないことを示す赤いエリアに自動でクルマを誘導しています。

滴滴の張 博CTOは次のようにおっしゃっています。

「私たちが把握しているのは、今この瞬間のことだけではありません。」

「15分後の未来のことまで予測出来るのです。」

 

更に滴滴はAIで都市全体をコントロールするプロジェクトも進めています。

その名も交通大脳です。

クルマや利用者のデータに加え、中国政府の協力を得て、電車やバスなど、都市のあらゆる交通データを掌握し、AIが信号やクルマに信号を送ることで渋滞を解消するなど、“限りなく効率的な都市”を作り上げようとするものです。

張CTOは次のようにおっしゃっています。

「私たちのAIをあらゆる都市に置くことが理想です。」

「世界中の都市と連携して、私たちのAIとビッグデータで全世界の交通を変えたいのです。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず驚くのは、中国のベンチャー企業、ROADSTAR.AIが人に代わってハンドルやブレーキを操作するレベル4の技術をわずか1年で実現したという事実です。(自動運転レベル1〜5については、アイデアよもやま話 No.4169 自動運転車の実用化に向けた哲学的命題!を参照)

これは先行して来たグーグルやテスラを凌ぐ開発のスピードといいます。

また滴滴は創業7年で世界トップを走るアメリカのウーバーに肩を並べました。

そして、番組を通して見て取れる、こうした成果を達成した背景には以下の3つがあります。

・中国政府は【中国製造2025】戦略により、今後30年でAIや5Gなどの技術で世界トップとなることを最終目標として掲げていること

・海外の企業や大学で知識や技術を身に付けて帰国する人材“海亀”による独自の技術開発力

・中国政府によるベンチャー企業への手厚い支援

 

このように見てくると、こうした現在の中国の状況はかつての日本の高度経済成長期の日本の政府、および企業の動向を見る思いがします。

同様に、中国企業の急成長に対するアメリカ政府の危機感、そして中国企業の更なる成長を抑え込もうとする取り組みもかつての日本に対するアメリカの対応を思い起こさせます。

具体例の一つとして、中国の通信機器大手、ファーウェイの副会長の逮捕は、日米間の熾烈なコンピューターの開発競争のさなか、1982年に起きたIBM産業スパイ事件があります。

 

さて、かつての日本の高度成長、および現在の中国の【中国製造2025】戦略を並べてみると、国家における一つの成長要因が見えてきます。

それは、政府が明確な国家目標を掲げ、それが国民の共感を得て、官民共同でこの国家目標の達成にまい進するという構図です。

そして同時に、こうした取り組みが成功すればするほど、既得権を握る国からの反発や妨害を招くという構図も見えてきます。

今の米中の覇権争いはまさにこうした構図を表しているのです。

 

そして、こうした覇権争いはエスカレートすると、やがて両国、あるいは両陣営を巻き込んだかたちで戦争勃発のリスクをはらむようになります。

考えてみれば、日本の明治維新以降から太平洋戦争までの歴史をみても、こうした構図が当てはまります。

ですから、“歴史は繰り返す”というのは宿命なのかも知れません。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月02日
No.4344 ちょっと一休み その671 『あるアマチュアバンドのフェスティバルに行ってみた感想』

5月19日(日)、千葉県の勝浦市芸術文化交流センター(キュステ)で全国初のテリーサウンドフェスティバルが青少年健全育成音楽振興実行委員会により第11回ミュージックフェスタとして開催されました。

ちなみにテリーとは寺内タケシさんのことです。

寺内タケシさんは、ご存知の方も多いと思いますが、1962年に「寺内タケシとブルージーンズ」を結成し、「エレキの神様」、あるいは「テリー」の愛称でも親しまれている日本の代表的なギタリストです。

 

さて、このイベントについては、1ヵ月近く前から私の実家のある勝浦市内の村の掲示板でも案内が出ていました。

私はほぼ毎週家庭の事情により実家に帰省しており、この日は実家におりましたので、久しぶりに昔のエレキサウンドを聴けると楽しみにしてこのイベントに出かけました。

イベントは12時〜16時までの4時間と長く、関東圏を中心に全国から4つのアマチュアのコピーバンドが集まり、それぞれ1時間近くを演奏していました。

「寺内タケシとブルージーンズ」のコピーバンドということで、それぞれのバンドメンバーの平均年齢は50代くらいではないかと感じました。

なお、入場者数はせいぜい200人程度でしたが、こうした贅沢とも言えるようなイベントでしたので、もっと多くのエレキファンの人たちに聴いて欲しかったと思います。

 

私も今年69歳になりましたが、いまだにマチュアロックバンドでギターを担当しており、毎月1回のペースでバンド練習を続けています。

しかし、自分でもそれほど上手くはないと自覚しております。

勿論、エレキギターを始めたきっかけは1960年代のエレキブームです。

その私からみて、4つのバンドの演奏レベルはそれぞれとても高く、演奏に魅了され、4時間はあっという間に過ぎたという感じでした。

また、久しぶりに当時のエレキサウンドに生で浸ることが出来ました。

そして、それぞれのバンドメンバーがいかに寺内タケシさんのサウンドを愛しているか、そして敬意を持っておられるのかをひしひしと感じました。

 

音楽だけではありませんが、音楽には人を感動させる力があります。

そして、寺内タケシさんは1500校を超えようとしている「ハイスクールコンサート」をこれまで続けてこられましたが、現在は体調不良といいます。

ですから、今回演奏されたようなアマチュアバンドの皆さんがこうした寺内タケシさんの意思を継がれて「ハイスクールコンサート」のような取り組みをされたらいいのではないかと思いました。

 

なお、このブログを書くにあたり、Wikipediaで寺内タケシさんについて検索したところ、これまでの活動にビックリしました。

1966年、日本公演中のベンチャーズのドン・ウイルソンが、息子の落馬死亡事故で帰国したため、寺内タケシさんが代役でリズム・ギターを務めたといいます。

またこの頃、アメリカの音楽雑誌「ミュージック・ブレーカー」で、チェット・アトキンス、レス・ポールと並んで「世界三大ギタリスト」に選ばれたことがあることを知りました。

ですから、寺内タケシさんは、まさに世界的なギタリストなのです。

なお、Wikipediaにはこの他にも寺内タケシさんに関する沢山の逸話が書かれていますので、是非目を通してみて下さい。

NHK総合テレビの朝ドラの題材としてもとても面白い内容になると思います。

ですから、もしNHK総合テレビの関係者がこのブログをご覧になっていたら、是非検討していただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年06月01日
プロジェクト管理と日常生活 No.595 『”50年に一度の大雨”に見舞われた屋久島町の被害から得られる教訓』

5月19日(日)放送の「ニュース7!」(NHK総合テレビ)で”50年に一度の大雨”に見舞われた屋久島町の被害状況について取り上げていたのでご紹介します。

 

5月18日、記録的な大雨が降った鹿児島県屋久島町で一夜を明かした300人を超える登山者などが次々と下山しました。

下山した女性の一人は、命の危険を感じたと語りました。

 

5月18日、屋久島町では50年に一度の記録的な大雨になりました。

行く手を遮るように斜面から滝のように流れ落ちる大量の水、ツイッターには登山をしていたと見られる人が撮影した動画が投稿されています。

大雨により県道では土砂崩れが発生し、登山者など314人が下山出来ずに孤立しました。

1993年に日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島、標高1000mを超える山中にある縄文杉などを目当てに年間およそ30万人が訪れています。

観光客を惹きつける一方、全国でも有数の雨が多い屋久島、山の中で何が起きていたのでしょうか。

 

10年以上ガイドを続けているという男性は次のようにおっしゃっています。

「朝から確かに(雨が)降ってはいたんですけど、天気予報では悪いことを言ってたんだけど、雨雲レーダーでは言うほどでもない状態で、・・・」

 

歩き始めて一度は目が止んだ状態で、縄文杉に到着、急いで引き返しますが、その後の雨の強さは想定外だったといいます。

ガイドの男性は次のようにおっしゃっています。

「まさかここまで降って、ここまで崩れるとかっていう状態にはなっていましたね。」

「そこまで無理したつもりはないんですけど、今回のこと自体が教訓になるのかなとは思いますけどね。」

 

ロープをつかみながら、滝のような流れの下を進む人たち、下山は困難を極めました。

がけ崩れが起きた現場では、自衛隊と警察が脚立と板で仮設の橋を造ったということです。

多くの登山者がバスや山小屋で一夜を明かしました。

町によると、孤立し、一夜を明かした登山者や送迎バスの運転手など、314人は5月19日の夕方までに全員の下山が確認されたといいます。

町によると、これまでに3人が低体温症のような症状を示した他、1人がねんざをして病院で手当てを受けているということです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

さて、別なテレビニュース番組によると、屋久島のある高度以上の場所には気象予報の判断材料になるデータを取れる装置が設置されていないというのです。

ですから、屋久島における気象庁による天気予報は、屋久島のある高度以上の場所の気象状況が反映されていないといいます。

なので今回、大雨で滝のような雨が降り始める正確な予報が屋久杉のあるような高度のある地域については出来なかったのです。

こうした状況から、ガイドの中には天気予報とは別に天候状態から独自に判断して途中で下山して被害に遭わなかった集団もあったといいます。

 

ここで思い起こすのは、これまで何度となくお伝えしてきたビッグデータに関する課題です。

今や過去の気象データやリアルタイムの気象データなどのビッグデータを元に天気予報がなされていますが、いくら多くのデータを集めてもある観点でのデータが漏れていたり、ほとんど含まれていなければ、その観点での正確な分析は望めないのです。

ですから、ビッグデータを最大限に活用するためには、量的にも質的にもより多くのデータを収集する必要があるのです。

同時に、天気予報や景気動向などを伝える側は、それぞれの予測の前提条件をきちんと伝え、一方で活用する側は前提条件を理解したうえで参考にする必要があるのです。

 

ですから、今回の屋久島での”50年に一度の大雨”においても、屋久杉のある標高1000mを超える場所でも観測地点があれば、より高い精度の天気予報が発表され、被害もほとんどなかったかも知れないのです。

あるいは、こうした観測データがなくても、登山ガイドが天気予報の限界を把握していれば、より正確な判断が下せ、被害に遭わずに済んだと思うのです。

 

さて、プロジェクト管理においても、その最初の作業は現状把握です。

要件定義や外部設計など、その後の作業は全てこの現状把握をベースに進められるのですから、現状把握が現実からかけ離れていては、プロジェクトの成功はほとんど期待出来ません。

 

ということで、今後ビッグデータをもとにAIがデータ分析をして私たちに様々な情報を提示してくれるようになりますが、ビッグデータの精度が悪ければ、AIの活用も期待するほどの成果には結びつかないのです。

単にビッグデータを元にしたAIの分析結果を鵜呑みにしては危ういのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年05月31日
アイデアよもやま話 No.4343 ゴミからおしゃれバッグ!

1月31日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でゴミで作ったおしゃれバッグについて取り上げていたのでご紹介します。

 

リボーンデザインラボ合弁会社の狩野 衣代表は次のようにおっしゃっています。

「(色鮮やかなバッグを指して、何を使っているのかという問いに対して、)実はLANケーブルのバリ廃材で作っているバッグなんです。

 

ケーブルなどを作る時に、バリといって余分な廃材が出るのです。

ある産業廃棄物を扱う業者では、年間に約3トンものLANケーブルの廃材を扱っているといいます。

その廃材を使って出来たのが今回取り上げているバッグなのです。

狩野代表は次のようにおっしゃっています。

「(どのようにこのバッグの素材にしているのかという問いに対して、)この機械を使って熱でプレスしてシート状にします。」

 

まずこの機械に廃材をセットして広げ、焦げ付かないように紙を上に載せて、その上からプレスするだけです。

すると畳いわしのような板状の廃材が出来上がります。

こうして薄くしたケーブルの廃材を加工することでおしゃれバッグに変身させていたのです。

狩野代表は次のようにおっしゃっています。

「単なるリサイクルとは違って、もとある素材を加工して、付加価値を高めて製品を作っていくっていうことをアップサイクルって言うんです。」(参照:アイデアよもやま話 No.2223 広がるリサイクルからアップサイクルへの動き!

 

このバッグは水はけがいいので、お風呂ですとかプール、海での利用を想定しています。

ゴミが価値ある製品に変身です。

またカラーバリエーションも豊富といいます。

なお、商品名は「ランブル」で価格は2800円からです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たちが普段使用している様々なモノは、前回もお伝えしたように多くの場合、その全てがいずれ廃棄物として処分されるのが現状です

そうした中、プロジェクト管理と日常生活No.396 『省エネのキーワードは3Rから5Rに!?』でもお伝えしたように省エネへの取り組みがとても大切です。

今回ご紹介した、LANケーブルの廃材をもとにカラーバリエーションの豊富なおしゃれバッグを作って販売するという取り組みは、アップサイクルの好例と言えます。

 

そもそも廃棄処分にはそれなりの処分費用がかかります。

しかし、廃棄処分されるはずのモノを原料に使えば、ほとんど原料費はかからずに入手出来るのです。

ですから今、廃棄処分されているモノを洗い出し、それぞれを原料にして何が作れるかというアイデアを考えていけば、少ない資金で開業出来るいろいろなソーシャルビジネスの誕生に結び付いていくと期待出来ます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年05月30日
アイデアよもやま話 No.4342 衣服廃棄問題の切り札!

1月29日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で衣服廃棄問題の切り札について取り上げていたのでご紹介します。 

 

日本で1年間に売れる衣服の数は約13億着と1990年以降ほぼ横ばいです。

ところが供給量は2倍以上の約28億着に増えています。

その差、約15億着が余剰在庫、つまり売れ残りということになり、ブランドイメージを保つために廃棄処分されるものも少なくありません。

こうした状況を食い止めようと、“改名”をキーワードに新しい取り組みを始めた企業があります。

 

のどかな奈良市の郊外、その一画にある工場の中には洋服がズラリと並んでいます。

実は、ここにある洋服は様々なアパレルメーカーの売れ残り品を買い取ったものなのです。

この事業に取り組んでいる株式会社FINE(ファイン)の津田 一志COOは次のようにおっしゃっています。

「まさに洗濯ネームの付け替え作業をやっておりますね。」

「会社さんの名前が分かってしまうとどこのブランドか分かってしまうケースもありますので、うちの会社名に変更しております。」

「在庫を販売した先で大幅に値下げされると元々のブランドイメージに良くない影響が出てしまうと思うんですよね。」

「やっぱりそういったものをいかに防ぎながら在庫を有効活用するか・・・」

 

ブランド名や企業名が書いてあるタグを切り外し、別のタグに付け替えていました。

もとのブランドが分からない状態にして「リネーム」というブランドに“改名”して販売するのです。

例えば人気のショップで取り扱っているイタリア製のワンピースは正規の価格が約1万4000円を約4割値引きの約8000円で販売します。

また、百貨店でも展開するブランドのニットは正規の価格が約1万2000円を7割以上の値引きの約3000円とかなりお買い得で販売します。

仕入れた量やサイズなどで価格は変わりますが、多くは定価の3割〜7割の価格で販売しているといいます。

衣料品の在庫を買い取り、様々なルートで販売するビジネスをきっかけに2016年に「リネーム」はスタートしました。

わずか2年ほどで約25万点を販売し、ブランドは急成長しています。

津田COOは次のようにおっしゃっています。

「元々は企業さんの在庫の問題を解決したいというところから始まって、廃棄をしているという現状も知りましたので、廃棄をしているということが世の中に出てしまった場合に、それ自体がブランド毀損になってしまう、そういった考えも増えてきていると思います。」

 

ブランド名がなくなることによって高品質の商品を安く購入出来ること以外のメリットについて、津田COOは次のようにおっしゃっています。

「若い子向けのブランドは、年上の方は手に取らないと思うんですけども、その中でも年上の方が着ても似合うものであったりとか、気に入るものって絶対にあると思いますので、そういった機会は作れているのかなと思っていますね。」

 

今後も商品ラインアップや販路を拡大し、消費者に知ってもらう機会を増やしたい考えです。

津田COOは次のようにおっしゃっています。

「適切に消費者の方がものを選ぶということになっていかないと、中々在庫の問題とか解決していかないかなと。」

「少しでも伝わるような活動をしていけたらなと思っております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず驚くのは、日本で1年間に売れる衣服の数は1990年以降ほぼ横ばいですが、供給量は2倍以上の約28億着に増えており、その差、約15億着はブランドイメージを保つために廃棄処分されるものも少なくないという事実です。

しかし、衣服の需要を正確に予測することはまず不可能ですから、売れ残りが出てくるのは仕方ありません。

また、ファッションデザイナーの仕事も芸術家などと同様に自由な発想、あるいは独創性が求められますから、必ずしも万人受けする売れ筋商品ばかりが販売されるとは限りません。

 

しかし、問題は売れ残り商品の扱いです。

地球環境問題や省エネに世間の関心が高まりつつある中、またSDGs(参照:アイデアよもやま話 No.3729 これからの企業存続の重要要件、SDGsとは・・・)という概念が浸透しつつある中、これまでは当然のごとく廃棄処分をしていたことが見直されるようになってきたのです。

 

そうした中、株式会社FINEの取り組みは、ブランド名や企業名が書いてあるタグを切り外し、別のタグに付け替えるというアイデアの実践で、まさに衣服廃棄問題の切り札と言えます。

この事業は、元々のブランドイメージを傷付けることなく、購入者はブランド品を安く手に入れることが出来、更にこれまでの廃棄処分による資源の無駄を削減出来るのですから、まさに“三方良し”(参照:アイデアよもやま話 No.843 近江商人の教え! )です。

ただ、いずれにしても最後は廃棄処分になる場合があるのですが、この問題についても更なるリサイク技術の進化により新しい資源としての用途が求められます。

 

なお、これまで何度となく繰り返しお伝えして来た食品ロス(参照:アイデアよもやま話 No.3494 世界的な課題、食品ロスの削減!)についても、最近はコンビニ業界で売れ残り商品の割引やポイント還元など様々な取り組みに積極的になってきました。

 

今、私たち人類が目指すべきはあらゆる面での“持続可能な社会”の実現です。

ようやく日本においてもこの必要性が徐々に広がり、企業も積極的な取り組みを本格的に始め出したようですが、こうした傾向はとても望ましいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年05月29日
アイデアよもやま話 No.4341 網膜投影による画期的なメガネ!

1月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で網膜投影による画期的なメガネについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

昨年11月、都内で開かれた視覚障碍者向け展示会「Sight World」で、文字を大きく見せる拡大読書器など、視覚を補助する器機が展示される中、人気を集めていたのがこれまでにない画期的なメガネのブースです。

このメガネをかけたある男性はメガネで矯正しても視力が0.04といいますが、目の前のサッカーの画面を見て識別出来ています。

別な男性はこれまでは視力が弱いため、テレビから遠ざかっていたといいますが、予想以上によかったと言います。

 

このメガネを製造しているのは株式会社QDレーザ(QD LASER)(神奈川県川崎市)で、レーザーで網膜に画像を書き込む新しいメガネを作っています。

 

従来のスマートグラスでは、メガネに小さなディスプレイが付いていました。

一方、QDレーザーは、見えるのはレーザーの点だけです。

この光がレーザー光線で、レーザーの点を覗きこんでみると、そこには映像が映し出されています。

レーザーを目の中の網膜に直接投影することで、映像を見せることが出来るのです。

ですから、コンタクトレンズを外しても全く同じ映像が見えるのです。

菅原 充社長は次のようにおっしゃっています。

「それが網膜投影です。」

「網膜が健全で病気になっていなければ、同じ画像を見ることが出来ます。」

 

網膜に直接投影するため、瞳のピント調整機能が要らないのです。

こんなことを可能にした技術ですが、その製造現場に入ると、仰々しい装置について菅原社長は次のようにおっしゃっています。

「中は宇宙空間並みの高真空になっていて、そこに半導体の材料を吹き付けることで、半導体レーザーの結晶を作っています。」

 

超精密技術で作り上げたのが、シャープペンシルの芯と比べても小さい粒の一つひとつがレーザー光を出す部品、半導体レーザーです。

この半導体レーザーの上には電極が付いていて、その電極に電流を流すと、レーザー光が出てきます。

半導体レーザーは、赤・青・緑の光を出し、それらを組み合わることで映像を作り出せるのです。

菅原社長は、かつて半導体物理の分野の研究者で、富士通研究所でこの技術の基礎となる研究を行っていました。

しかし、2001年のITバブルの崩壊で富士通は半導体レーザーの事業化を断念したのです。

そこで2006年に独立し、QDレーザを設立しました。

緑色の光を出す半導体レーザーを安価に量産化することに成功しました。

当時から持っている野望について、菅原社長は次のようにおっしゃっています。

「“半導体レーザー分野のインテルのような会社”になりたいと思っています。」

 

そして、半導体レーザーの技術を使って、あのメガネの基となる超小型プロジェクターを作る計画が浮上したのです。

しかし、立ちはだかったのは光の強さを制限する規制の壁でした。

菅原社長の研究は暗礁に乗り上げました。

打開策が見えず、暗闇にさ迷っていました。

そんな時、敢えて弱い光にして網膜に当てるという逆転の発想でした。

 

そして今、QDレーザは新たな使い方を模索し始めました。

奈良先端科学技術大学院大学の清川 清教授は最先端のAR、拡張現実を研究していますが、その研究室にあったのは、バドミントンのシャトルが飛んで行く未来の軌道を映し出すシステムです。

QDレーザの手嶋 伸貴さんはこのシステムを試しているうちにあることに気付き、次のようにおっしゃっています。

「シャトルを追いかけていると、画面を見るのとシャトルを見るのはピントの移動があるので・・・」

 

今までのARグラスでは、目のピントを「現実」と「グラスに映る映像」の間で移動させ続ける必要があります。

しかし映像を直接網膜に投影するQDレーザの技術ならピントの調節は要りません。

ARに活用すれば、目の不自由な人だけでなく多くの人の役に立つと考えています。

菅原社長は次のようにおっしゃっています。

「グーグルマップを目の前で網膜で見たりとか、料理をしているところでマニュアルやレシピを見たりとかですね、スマホが登場してイノベーションが起こったように網膜投影もそういったイノベーションを起こしたいと思っています。」

 

半導体レーザーの技術は富士通の中では事業化することを断念したものですが、このまま無かったことにするのはもったいないということで、会社の外に出て起業することによって、技術を生き残らせることを出来たし、進化させることも出来たということです。

今後、大企業から独立したかたちのベンチャーの活躍はもっと目立ってくるかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して感じるのは、レーザーで網膜に画像を書き込む新しいメガネ、QDレーザーの革新的な技術です。

その特徴を以下にまとめてみました。

・網膜が健全でさえあれば、誰でも同じ画像を見ることが出来ること

・網膜に直接投影するため、瞳のピント調整機能が要らないこと

・従って、従来のARグラスのように目のピントを「現実」と「グラスに映る映像」の間で移動させ続ける必要がないこと

 

ということで、QDレーザーは視力のない人たちだけでなく、視力のある人たちもARグラスとして使用する際に瞳のピント調整機能が要らないことからとても使い易くなるのです。

そして、ARグラスは、ゲームの世界だけでなく、様々な業務や日常生活においてもその用途はいろいろあります。

ですから、QDレーザーはまさに「メガネ革命」をもたらすと言っても過言ではないと思います。

 

さて、このQDレーザーの誕生についてですが、菅原社長は、かつて富士通研究所でこの技術の基礎となる研究を行っていましたが、2001年のITバブルの崩壊で富士通は半導体レーザーの事業化を断念したので2006年に独立し、QDレーザを設立したといいます。

 

当然のことながら、企業は業績が悪くなると、企業を存続させるために“選択と集中”の観点からどうしても断念せざるを得ない事業分野が出てきます。

そうすると、将来性があってもそのままお蔵入りになってしまう技術も出てきます。

しかし、当時の研究者、菅原さんは導体レーザーの将来性を諦めきれずに自らQDレーザを設立したのです。

 

これは何を意味しているでしょうか。

革新的な技術は、常に経営者とか技術者とか、特定の個人の独創的なアイデアと熱意、そして成功するまで諦めない粘り強さによってかたちになるのです。

 

菅原社長は、“半導体レーザー分野のインテルのような会社”を目指しているといいますが、このままQDレーザーの技術を進化させていけば、いずれ実現すると思います。

その理由は、QDレーザーの技術が今後の様々な分野におけるARグラスの普及にとって無くてはならない技術だからです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2019年05月28日
アイデアよもやま話 No.4340 商店街の活性化につながるストリートピアノ!

1月27日(日)放送の「テレメンタリー2019」(テレビ朝日)で商店街のピアノについて取り上げていたのでご紹介します。

 

北海道小樽市アーケード商店街の片隅に置かれた1台の古いピアノが布団をかぶっていました。

布団がはずされたのは昼過ぎ、「自由に弾いて下さい」と4年前に置かれました。

誰でも自由に弾けるので様々な人がピアノを弾き、数々出会いが生まれました。

恋人に歌を捧げる人、熱中し過ぎて順番待ちに全然気付かない人。

家にピアノがなおのでまとめて5曲練習していった女子高校生。

買物帰りのじょせいの演奏を絶賛する通行人の男性。

生まれて初めてピアノに触った2歳の男の子。

ストリートミュージシャンにプロのピアニスト、外国人観光客も次々に鍵盤に向かいました。

演奏を聴き、足を止める人たち。

一期一会が生まれていました。

そして商店街も変わりました。

 

以上、番組の内容をざっとご紹介してきました。

 

こうしたピアノのこれまでにない利用については最近よくテレビのニュース番組で見かけるようになりました。

そこでその成り立ちについて興味が湧き、ネット検索したところ、あるサイト(こちらを参照)にたどり着いたのでご紹介します。

 

通りがかった人がピアノで何かを弾き、それをまた通りがかった人が聴き、足を止め、会話が生まれ、コミュニティが生まれる、このストリート・ピアノ・プロジェクトは、2008年3月にイギリスのバーミンガムで15台のピアノで始められました。

 

では日本初のストリートピアノはと言うと、ピアノの第2の生き方を商店街・地域の活性化にひと頑張りしてもらう、そんな試みを「鹿児島の食と文化の情報発信交流拠点」を目指す一番街商店街が2011年に日本で初めて取り組み、今では全国50ヵ所以上に設置されています。

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

 

考えてみれば、以前からストリートミュージシャンと言われる個人やバンドを街のあちこちで見かけるようになり、中には男性二人組の音楽グループ、ゆずのように横浜 ・伊勢佐木町での路上ライブからスタートし、現在も第一線で活動中のミュージシャンもいます。

しかし、ストリートミュージシャンの場合は、あくまでもたまたま通りかかった人たちがその演奏を聴くというスタイルでした。

ところが、ストリートピアノの場合は、ピアノが商店街など街中に置かれており、ピアノを弾ける人は誰でも演奏することが出来るのです。

ですから、プロ、アマ、あるいは外国人旅行客など、いつ誰がどんな曲を演奏するか分からないのです。

中には、音大生や音楽教室に通っている子どもが度胸試しの場にしているといいます。

そのため、音楽好きの暇な常連客や通りがかりの家族、あるいは買い物ついでに聴く人など聴衆は様々です。

また、聴衆は次はどんな曲を聴けるのか、あるいは同じ人の演奏を何度か聴いた人は上達度合いを肌で感じることが出来ます。

 

こうしたことから、ストリートピアノは間違いなく商店街のみならず街全体の活性化につながると思います。

ですから、ストリートピアノが置かれている場所ではストリートミュージシャンも自由に演奏出来るようなスペースを設けて、様々な楽器の演奏を楽しめるようにしたら、音楽をより一層身近なものとして定着出来るのではないかと思います。

ちなみに、音楽には聴衆の心を和ます効果があるといいます。

更に、演奏する側もそうした聴衆の感動する様子に音楽の素晴らしさを感じ、より一層練習に励むという相乗効果があるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
4962件中(1件〜30件を表示しています)   前   |