2017年06月24日
プロジェクト管理と日常生活 No.494 『政治の混乱に見る不十分な行政文書管理』

No.3726 ちょっと一休み その598 『民主政治を危うくする最近の安倍政権の対応!』でもお伝えしたように、加計(かけ)学園の獣医学部新設を巡る問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、文部科学省の現役職員の証言など新たなデータが次々に明らかになっているにも係わらず、政府はその出所が分からないとその存在をなかなか認めていませんでした。

私はなぜこうしたギャップが起きるのか不思議でなりませんでした。

そうした中、6月7日(水)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)で「公文書や記録は誰のものか」をテーマに取り上げていました。

そこで、この番組を通して、文書管理の重要性についてお伝えします。

なお、今回の論者は清永 聡解説委員でした。

 

行政文書が短い期間で捨てられる、あるはずだという記録が見つからないと言われる、国の公文書や記録を巡って今、次々と問題が指摘されています。

南スーダンに派遣された自衛隊の活動報告書を去年、請求したものや森友学園を巡る交渉記録を、財務省と近畿財務局に求めたのですが、いずれも文書不存在とされ、 文書の保有が確認出来なかったなどとなっています。

 陸上自衛隊の日報は、後に見つかりましたが、財務省は文書を廃棄したと説明しています。

加計学園を巡り、内閣府と文部科学省のやり取りを記したとされる文書は、19人の職員にメールで送信され、今も個人のパソコンなどで保管されていることが、NHKの取材で明らかになっています。

しかし、文部科学省は今も確認出来ないとしています。(6月7日現在)

なぜ、こうしたことが起きるのでしょう。

 

日本で情報公開制度を求める声が強まったのは、ロッキード事件がきっかけといわれています。

 政府の情報を知るすべがないことに国民の不満が高まりました。

しかし、法律はなかなか出来ず、国よりも先に一部の自治体が情報公開の条例を作ります。

またオンブズマンなどが、各地で情報公開を求める裁判や運動を起こします。

さらに、薬害エイズ事件で文書ファイルが問題となり、2001年、情報公開法が施行されました。

さらに公文書管理法も2011年に施行されます。

このように、公開と管理という2つの法律は、長い時間をかけ、市民の活動や数々の事件を教訓に整備されました。

 今の制度では、 行政文書は、各行政機関が内容に応じて保存期間を30年などの期間に分けていきます。

そしてファイルを作り、管理簿にまとめます。

この管理簿はネットでも公開されています。

その後、歴史的な文書と判断されれば、国立公文書館に移されます。

また廃棄する時は、総理大臣の同意など、厳しい条件が付いています。

ところが、これにはいわば例外があります。

 各省庁は、規則や細則で、保存期間1年未満という、もう一つのルールを作っています。

 短期で目的を終えるものなどが対象とされています。

ここに大きな問題があります。

 公開の対象になる行政文書なのに、管理簿にも載せられず、公文書館にも移されず、審査を受けずに廃棄出来ます。

つまり、いつ、どういう文書が作られ、捨てられたのか、仕組み上、記録は残らないことになります。

 南スーダンに派遣された陸上自衛隊の日報の文書も、森友学園との国有地の交渉記録も、この1年未満という扱いでした。

そもそも、これらの文書が1年未満でよいのでしょうか。

さらに問題は、判断の妥当性も検証出来ないことです。

 1年未満の文書がどのくらいあるかも分からず、情報公開請求をしても、廃棄したと言われてしまいます。

 国有地を巡っては、会計検査院も経緯を調べています。

しかし、検査院も、財務省に文書がないと言われれば、強制的に調べることは出来ません。

 市民団体情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、この状態をブラックボックスと呼んでいます。

そしてこのままでは、国有財産の売却経緯はすべての省庁が1年未満になりかねないと、裁判を起こしました。

さらに、日弁連も公文書管理の徹底を求める会長声明を出しています。

 一方、政府は、その後の決済文書が保存されているから問題はないなどと説明しています。

しかし、細かな経緯が後から重要になることもあるはずです。

また例外が広がれば、制度は骨抜きにされてしまいます。

 1年未満という保存期間を、原則として廃止することや、少なくとも基準をもっと厳格にすることが必要ではないでしょうか。

もう一つ、今、問題になっているのが、加計学園を巡る文書です。

 文書は今も職員の業務で使われる個人のパソコンの中などで保管されていることがNHKの取材で明らかになっています。

しかし、文部科学省は、担当課の共有フォルダーなどを調査した結果、確認できなかったと説明しています。

 一方で文部科学省は、個人のパソコンは調べていません。

その背景には、行政文書は共有フォルダーに入っている、個人のパソコンに公開対象になる文書はないという考えがあるのではないでしょうか。

 確かに、個人のメモをすべて公表の対象にしてしまえば、文書が膨大になります。

また公務員がメモを作りにくくなり、活動への支障も指摘されます。

ただ今回のケースはどうでしょう。

 行政文書は、職員が職務上、作成し、組織的に用いるもので、行政機関が保有などと定義されています。

 一方で、今回の文書は、説明資料として作成された、メールで19人に送信されたなどとされています。

このため、複数の専門家は、行政文書に当たる可能性が高いと指摘しています。

 仮に、行政文書だが、開示できない理由があったとする場合は、今度は適切な管理だったのかが問われることになります。

 文部科学省は出所不明の文書だとして、再調査を行わない方針です。(6月7日現在)

しかし、本当に出所が不明なのかどうか、そして、公開対象の行政文書かどうかをはっきりさせるためにも、改めて調査を行うべきではないでしょうか。

 公文書管理法は、公文書を、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置づけています。

その民主主義が損なわれていないか、国民の疑問を取り除くことが、まず求められるはずです。

 

 最後に、公文書にはもう一つ、大きな役割があることを指摘したいと思います。

 私は一昨年まで3年間、国立公文書館で、戦後に開かれた戦争裁判の記録、特にBC級戦犯の裁判記録を閲覧してきました。

こうした文書も、かつて法務省が収集し、移管したものです。

 残っているのは公的な文書だけではありません。

 被告が法廷で記した個人のメモや、弁護士の走り書きなども含まれています。

こうした詳しい記録があるからこそ、現在の私たちは、当時の戦争裁判の問題点や、被告とされた人たちの苦悩、そして戦争の悲惨な歴史を知ることができるのだと思います。

 公文書は、歴史の過程を次の世代に伝える役割も担っています。

つまり、公文書は今の私たちのものだけではなく、未来の国民への財産でもあるはずです。

 歴史を正しく伝え、法の理念を生かすためにも、制度を改善していくことがこれからも求められます。

そして担当者もどうか自分の利害だけにとらわれず、いつか歴史の検証を受けるという謙虚な気持ちで、文書の保存と公開に取り組んでもらいたいと思います。

時論公論、今夜は、公文書管理で指摘されている問題点と、知る権利や歴史の検証という、今後のあるべき姿を考えました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも公文書管理法は、番組で解説されていたように、公文書を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置づけています。

その狙いに照らしてみると、どの文書を公文書管理の対象とし、保管期間を何年にするかなど、公文書管理規定が不十分と思わざるを得ません。

少なくとも以下の要件を満たすものは全て公文書として扱うべきだと思います。

・複数の関係者による会議の議事録

・何らかの決定に関連するメールなどのやり取り

 

更に、こうした文書については出席者を送付先に指定するだけでなく、それ以外の関係者全員に写しを入れておけば、その後の内閣府と文部科学省との調査結果の食い違いなど生じなくて済んだのです。

ここにも縦割り行政の弊害が見て取れます。

 

特に重要な決定事項については、誰がいつどのような過程を経て、あるいはどのような根拠で決定したかが分かるよう情報は全て公的文書として残すべきなのです。

ところが、文部科学省は、加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、公的文書の対象外としていたのです。

ですから、政府はこうした根拠を盾に、当初からその出所が分からないとその存在をなかなか認めていませんでした。

 

文部科学省は、公的文書における自身の曖昧な管理ルールを棚に上げて、公的文書としては存在しないとつい先日まで言い続けてきたのです。

更に、官邸も文部科学省の言い分をそのまま受けて、同様の主張をしてきたのです。

送付元も送付先も明らかなメール文書の存在が明らかであるにも係わらず、公的文書でないからといって、その存在は認められないという言い分は、世間の常識からあまりにかけ離れていると言わざるを得ません。

 

要するに、少なくとも文部科学省は公文書管理法に則った適切な管理ルールを作らず、国民への説明責任よりも自分たちにとって都合のいい管理ルールにしていたと指摘されても仕方ないのです。

なお、その後の報道によれば、内閣府においても同様の状態のようです。

また、内閣府と文部科学省とで同じ文書において、言い分が異なるという状況も明らかになっています。

このような状況は、一般企業ではあり得ないと思います。

 

今回の問題を契機に、是非政府全体として公文書管理の見直しをしていただきたいと思います。

こうした再発防止策を講じなければ、今後とも同様の問題が起きてしまうことは間違いありません。

また、再発防止策として、きちんとルール通りに各省庁が文書管理をしているかどうかを定期的にチェックする第三者機関を政府内に設けることが必要になります。

そうでなければ、文書管理全般の徹底は図れないのです。

 

そもそも、問題の文書が公的文書として管理されていれば、ここまで政治の混乱を巻き起こすことはなく、早期に収拾出来たはずなのです。

 

ドキュメント(文書)管理は、プロジェクト管理においてもとても重要です。

そもそもプロジェクト終了後も、開発されたシステムはシステムが稼働している限りは担当者により様々な面で保守されていきます。

そして、システム担当者は何年かで交替されるのが常です。

そうした時に、ドキュメントがきちんと整備されていなければ、まともなシステムの保守など出来ないのです。

例えば、ユーザー要件や設計書などがきちんと管理・保管されていなければ、システム稼働後の変更をきちんとシステムに反映することが出来なくなってしまいます。


 
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2017年06月23日
アイデアよもやま話 No.3737 “環境に優しい”ライブ!

5月30日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で環境に優しいライブについて取り上げていたのでご紹介します。

 

水素と酸素によって発電し、CO2を発生しない、環境に優しい次世代のエネルギーとして注目されている燃料電池の普及を目指そうというライブが5月29日に武道館で行われました。

ライブを行ったのは、ロックバンドの「LUNA SEA」です。

電源の一部に燃料電池を取り入れ、環境に優しいエネルギーの大切さをアピールしました。

 

武道館の外に置かれた燃料電池車が水素を使って発電した電気をケーブルによりステージ脇の電源装置に送ったのです。

このライブは、環境問題に高い関心のある「LUNA SEA」のギタリスト、SUGIZOさんの発案で実現しました。

今回は2時間半のライブ全編にわたり、燃料電池車からSUGIZOさんが弾く全ての楽器に電気が供給されました。

SUGIZOさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「バンド全員の音、ゆくゆくは照明も映像を含めたステージパフォーマンスにおける全ての電気を水素、または再生可能エネルギーで担うことが出来たら、それこそ本当にステージ表現とエネルギー文化においての新しい一歩になるのではないかと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

いろいろな人たちが集まるライブの場で、一部の楽器でも燃料電池車が水素を使って発電した電気を使用したライブを行おうとするミュージシャンが出てきたという状況は、地球環境問題により多くの人たちに関心を持っていただくうえでとても素晴らしいことだと思います。

 

ただ、気になることがあります。

というのは、番組では燃料電池車の水素がどのように作られたかには触れられていませんでした。

もし、火力発電で発電した電気で水素を作って、その燃料タンクを載せた燃料電池車で発電した電気を使用していたのであれば、再生可能エネルギーを使用したとは言えません。

ですから、今回のライブを契機に、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を大容量のバッテリーに蓄電し、その電気を使用するといったかたちでのライブをより多くのライブ関係者が目指すような流れが出来れば、持続可能な社会の実現に向けて、とても望ましい動きになると思います。


 
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2017年06月22日
アイデアよもやま話 No.3736 “味覚センサー”で食の未来を変える その2 “味覚センサー”の開発秘話と食の未来を切り拓く可能性!

“味覚センサー”については、アイデアよもやま話 No.2798 人を幸せにする味覚センサー!などで何度かお伝えしてきました。

そうした中、4月1日(土)放送の「ミライダネ」(テレビ東京)で食の未来を変える“味覚センサー”について取り上げていたのであらためて2回にわたってご紹介します。

2回目は、“味覚センサー”の開発秘話と食の未来を切り拓く可能性についてです。

 

世界初の画期的な“味覚センサー”を開発したのは大手計測器メーカー、アンリツ(神奈川県厚木市)の敷地に間借りしているベンチャー企業の株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー(略称:インセント)です。

“味覚センサー”を商品化した社長の池崎 秀和さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人工の舌で味を分析するんですね。」

 

その仕組みは以下の通りです。

まず機械にミキサーなどで液状にした食品をセット、そして上下に動く部分に“味覚センサー”(人工の舌)があるのです。

うま味、塩味、酸味、苦味、甘味といった人間の舌が感じる5つの味覚を5本のセンサーで感知することが出来るのです。

センサーで感知した味の情報はコンピューターが解析、そして目に見えるかたちで数値化していきます。

例えば、ある美味しいどら焼きをセンサーにかけると、5つの味覚はグラフで表示され、もし違う原料で作ったどら焼きがあれば、味の違いが正確にわかるので、足りない部分の味を加えれば本物と同じ味のどら焼きを作ることが出来るのです。

 

番組では“味覚センサー”の実力を実際に実験してみました。

まずコーンクリームスープを“味覚センサー”で分析すると、5つの味覚が五角形で表示されます。

この五角形と同じ味を再現出来る食品の組み合わせがあるのです。

それは、牛乳とたくわんの組み合わせです。

更に、牛乳に砂糖と麦茶を加えるとコーヒー牛乳が再現出来るのです。

 

そんな“味覚センサー”の生みの親は九州大学(福岡市西区)の都甲潔(トコウ キヨシ)教授です。

世界で初めて味を数値化した人なのです。

実は、“味覚センサー”は都甲教授とインセントの池崎社長が二人三脚で生み出したものなのです。

お二人は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

都甲教授:

「“味覚センサー”を必要と思わなかった人が二十数年前はほとんどだった。」

「その中で若干の数名が“味覚センサー”があった方がいいと思っとった。」

池崎社長:

「同士という気がしてね、そういう人が一緒にいなければ多分僕は途中で止めていたと思うんですよね。」

 

都甲教授は、科学者の間では知らない人はいない、ちょっと有名人でこれまで数々の賞を手にしてきました。

都甲教授最大の功績は実現不可能と言われてきた味を測る技術を世界で初めて生み出したことです。

“味覚センサー”の開発を志したのは、生物物理学の研究をしていた30年ほど前でした。

きっかけは、奥さんが作ってくれた特性のハンバーグでした。

この時のことについて、都甲教授は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「嫁さんが、僕はニンジン嫌いだから、ニンジンを摩り下ろしてハンバーグに入れて、僕が三十数年前に食べたら、「今日のハンバーグ違うね、美味しいね」と言ったら、うちの嫁さんが笑いながら「あなたの嫌いなニンジンを摩り下ろして入れたのよ」と言われて、「なんて味は不思議なんだ、人間の感覚は曖昧だ、よし、味の物差しを、“味覚センサー”を作ろう」と。」

 

以来、味覚の研究に没頭、味の数値化という壮大な挑戦が始まりました。

味覚は味を感じる人間がいて初めて存在するもので、数値化などは不可能だというのが当時主流の考え、それでも都甲教授は試行錯誤を繰り返し、遂に“味覚センサー”の核といえる薄い膜の開発に成功したのです。

この薄い膜が人間の舌の役割を果たしているのです。

人間の舌の表面には味細胞と呼ばれる味を感知する無数の細胞が埋め込まれています。

この味細胞は生体膜で覆われていて、その膜に食べ物が触れることで細胞内で電圧が変化し、電気信号となって脳へ味を伝えるのです。

都甲教授はこの味細胞と生体膜を人工的に作り出し、味を信号に変えることで成功したのです。

都甲教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「僕らも食品を口にすると、生体膜の電圧が変わる。」

「この電圧が味神経に伝わって脳に行って、どんな味か、酸味か苦味かを認識する。」

「これ(人工的な膜)も味物質が来ると両側の電圧が変化する。」

「これをコンピューターで味の分析をする。」

「人間は脳で味を解析する。」

 

味を電気信号に変える技術を確立したのは都甲教授が世界で初めて、その頃に知り合ったのが当時測定器メーカーに勤めていた池崎社長でした。

池崎社長は都甲教授の技術を“味覚センサー”として商品化し、インセントを創業したのです。

 

さて、都甲教授は、調味料メーカーの富士食品工業(横浜市港北区)からの依頼を受けました。

富士食品工業では、ニーズが高まっている減塩商品に力を入れています。

減塩商品を作るためには塩分をカットして塩味を感じさせる別の物質を加えます。

ところが、今の“味覚センサー”ではこの物質を測ることが出来ません。

そのため塩味がどこまで再現出来ているのか数値化出来ないのです。

都甲教授の研究者魂に火が付きました。

高齢化が進んでも、誰もが美味しいと思えるものを生み出し、役に立ちたい、広がる“味覚センサー”のニーズに応えるべく新たな膜の開発が始まりました。

 

番組の最後に、都甲教授は次のようにおっしゃっています。

「健康で長生き出来る社会を“味覚センサー”がつくる。」

「(都甲教授の考える10年後の未来について、)小麦アレルギーやそばアレルギーの人がいれば、別の食材なんだけども同じ味が“味覚センサー”なら作れますと。」

「全世界の人があまねく幸せになる、食に関して。」

「人類が幸せになる、それを可能にするのが“味覚センサー”。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、久しぶりに発明誕生のプロセスについてざっと以下にまとめてみました。

そもそも“味覚センサー”開発のきっかけが都甲教授の奥様のハンバーグ作りにあったということから、新しい技術誕生のきっかけはほんのちょっとしたことにあります。

次にこうしたちょっとしたことに対する発明者の感受性、あるいは旺盛な好奇心です。

どんな状況に対してもこうした気持ちがなければ、見逃してしまうからです。

なお、発明には大きく問題解決型と課題解決型の2つがあります。

問題解決型の発明とは、困っていることを解決するための発明です。

そして、課題解決型の発明とは、こんなものがあったら役に立つというようなアイデアをかたちにする発明です。

次に、発明者と開発協力者の出会いです。

番組の中でも言われていたように、発明の内容が奇抜であればあるほど、より多くの人たちはその素晴らしさや可能性を理解出来ず、従って協力者が現れる可能性はとても少なくなります。

わずかにしかいない発明の理解者との運命的な出会いがなければ、どんなに素晴らしい発明もお蔵入りのままで終わってしまう運命にあるのです。

ですから、都甲教授とインセントの池崎社長との出会いがなければ、“味覚センサー”は理論だけに終わり、未だに製品化には結びついていないかもしれなかったのです。

 

さて、“味覚センサー”の持つ将来的な可能性として、次のようなことが思い浮かびます。

それは、味と食材を切り離した料理作りです。

“味覚センサー”によって、個々の人の好みの味と様々な栄養価を持つ食材を組み合わせた食べ物を人工的に作ることが出来るようになるのです。

ですから、番組で紹介されていた、アレルギーを持った人向けに別な食材で同じ味付けの食べ物を作れるだけでなく、将来的には様々な美味しい味とそれに対応した様々な栄養価の食材の味の数値データをデータベース化することにより、私たちは好みの味で好みの、あるいは望ましい栄養価を持った食べ物を食べられる時代を迎えることが出来るようになると大いに期待出来ます。


 
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2017年06月21日
アイデアよもやま話 No.3735 “味覚センサー”で食の未来を変える その1 食品メーカーの間で急速に普及する“味覚センサー”!

“味覚センサー”については、アイデアよもやま話 No.2798 人を幸せにする味覚センサー!などで何度かお伝えしてきました。

そうした中、4月1日(土)放送の「ミライダネ」(テレビ東京)で食の未来を変える“味覚センサー”について取り上げていたのであらためて2回にわたってご紹介します。

1回目は、食品メーカーの間で急速に普及する“味覚センサー”についてです。                                                         

 

今、コンビニなどで人気ラーメン店の味を再現した「名店カップ麺」がかなりの人気といいます。

中でも2008年の発売以来ロングセラーとなっているのが「蒙古タンメン中本」(税込み204円)です。

辛くて美味い、“辛美味”が癖になると評判です。

 

創業およそ50年の蒙古タンメン中本の上板橋本店で大勢のお客を魅了し続けてきたのが蒙古タンメン(税込み800円)です。

秘伝の美味辛味(うまから)噌で味付けした野菜と肉は特性の太麺との相性が抜群です。

実際に、こちらの2代目店長、白根 誠さんに開発に協力したカップ麺を久しぶりに食べてもらいましたが、良く出来ているとカップ麺の味を認めています。

 

しかし、開発までにはメーカーに度重なるダメ出しをしていました。

味を再現する難しさを痛快したといいます。

白根店長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「味っていうのは算数じゃないですもん。」

「誰がやっても1+1は2になるわけじゃないんだ。」

「大変だった、これを作るのは。」

 

料理のプロも四苦八苦する味の再現、これを魔法のようにやってのける2人がおります。

そこには驚きの未来をつくる種がありました。

 

全国に480店舗を展開するお菓子メーカー、シャトレーゼの港北東急SC店(横浜市都築区)では、幅広い品揃えの洋菓子に和菓子も充実、売れ筋のどら焼きは北海道産のあずきを使った贅沢な味わいが楽しめると大人気です。

今売れに売れていると女性たちや糖尿病の方に大人気なのは糖質70%以上カットシリーズです。

 

そんな大人気のどら焼きの開発にはある秘密兵器、すなわち“味覚センサー”の存在がありました。

この“味覚センサー”が食の未来を大きく変えようとしているのです。

シャトレーゼ中道工場(山梨県甲府市)では、糖質の少ない食物繊維などでどら焼きの生地だけでなくあんこまで作っているのです。

今までとは全く異なる材料からどら焼きの味を再現する、そんな困難なミッションを可能にしたのが“味覚センサー”という味を測定する機械なのです。

この“味覚センサー”を使えば、あらゆる食品の味を数値化出来るので、そのデータをもとに本物のどら焼きの味を違った材料で再現出来るのです。

 

この“味覚センサー”は削り節にも使われています。

メーカーのマルトモの本社工場(愛媛県伊予市)では様々な魚で削り節を作っています。

マルトモでは数種類の削り節をブレンドすることで、カツオだけでは出せないうま味豊かな商品を開発しているのです。

その開発の立役者が“味覚センサー”なのです。

マルトモ 開発本部の土居 幹治本部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「センサーでいろいろブレンドを変えて、データでどのブレンドで一番良いポジションにいるかを検証出来て、最高の配合を組むことが出来ます。」

「“味覚センサー”なくては商品開発は成り立たない。」

 

様々なブレンドを“味覚センサー”で計測、その中からうま味とコクが従来品をはるかに上回るブレンドを選び、「マルトモ だしの力」として商品化したのです。

 

こうして味の味覚を数値化出来る“味覚センサー”は今日本中の食品メーカーに急速に広まり、販売台数は400を超えました。

 

島根県奥出雲町で“味覚センサー”がある悩みを解決していました。

老舗の森田醤油店では、国産の大豆にこだわり、昔ながらの製法で醤油を作り続けています。

“味覚センサー”により味を“見える化”出来、自社の商品の特徴を分かり易くアピールすることが出来るようになりました。

その結果、営業のツールとして非常に役立っているといいます。

 

島根県商工会連合会では「島根のおいしさ再発見!」という冊子を作成し、県内のメーカーが製造する60種類の商品を“味覚センサー”で分析し、その特徴を分かり易くまとめました。

この取り組みのきっかけについて、島根県商工会連合会の主事、齊藤 和博さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「とにかく一口食べていただけるためにこういったもの(“味覚センサー”)を使いながら進めていくと。」

「使い方によっては秘密兵器になると思っていますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

“味覚センサー”は今や食品メーカーにとって、美味しい味を本来とは別な食材で再現したり、新たな商品開発をするうえでなくてはならない存在になるつつあるようです。

また、味を数値化出来ることによって、“味の見える化”が可能になり、商品の味を購入者に訴えるうえでの説得力ある強力なツールとしての利用も始まっています。

このように“味覚センサー”は、食の新しい世界の扉を開いた世界に誇る日本発の画期的な技術だと思います。

 

次回は、“味覚センサー”の開発秘話と食の未来を切り拓く可能性についてお伝えします。


 
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2017年06月20日
アイデアよもやま話 No.3734 ”農泊“ビジネスは地方活性化の起爆剤になる!?

3月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“農泊”ビジネスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

2月23日、カナダから来日したピエール夫妻の目的は、日本の昔ながらの暮らしの体験でした。

ピエール夫妻が向かったのは、和歌山県田辺市で農泊体験が出来る「未来農園」でした。

こちらでは、和歌山県の特産物、ミカンの収穫体験が出来ます。

更に、自分たちで耕してミカンの苗を植えました。

初めて日本の農作業を体験したピエールさん夫妻、体験はこれだけではなりません。

漁船に乗ること15分、日本の漁業も体験出来ます。

釣った鯛は「未来農園」のオーナー、高垣 幸司さん自らが調理し、ピエール夫妻用の食事のおかずとして出します。

 

ピエールさんは「STAY JAPAN」というホームページを見て来日、外国人観光客が日本で体験出来る“農泊”先を探すことが出来ます。

「未来農園」の料金は1泊2食付き(農業・漁業の体験料込み)で1人1万3150円です。

年間300人以上が宿泊し、その半分は外国人観光客です。

しかし、体験、宿泊、食事をオーナー夫婦、二人だけで手掛けることは負担に感じることもあるといい、高垣さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「年末からお正月にかけてはすごく忙しいので、人に手伝ってもらえないので大変、死ぬ思いでやっています。」

 

人気が高まる“農泊”、こうした中、1家庭の負担を軽減しようとする動きも出て来ています。

徳島県美馬市、山に囲まれたこの地域は高齢化が進んでいます。

お茶を栽培するなど、農業が盛んな地域です。

そんな美馬市で、“農泊”で外国人を呼び込む話し合いが行われました。

そこに仕掛け人として立ち上がったのが、「STAY JAPAN」を運営している株式会社百戦錬磨の上山 康博社長です。

今回、従来の常識を変える提案をしました。

これまでの“農泊”は、「体験」、「食事」、「宿泊」を1家庭で手掛けてきました。

そこで、百戦錬磨はこうした負担を軽減するため、「体験」、「食事」、あるいは「宿泊」だけというかたちでそれぞれの家庭の得意分野に特化するというように、地域全体で分担することを提案したのです。

 

「体験」は地域の特産物である茶摘みを始めとする農業体験、「食事」は地域に新たにレストランを建設し、地元の食材を使った料理を提供する予定です。

そして、「宿泊」は地元の昔ながらの民家を使用し、外国人に楽しんでもらうため囲炉裏のあるリビングに改装しています。

 

地域全体で“農泊”するというアイデアに県もバックアップに動き出しました。

美馬市にある古民家を外国人観光客などの民泊用に整備する考えです。

徳島県の飯泉 嘉門知事は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本の原風景といわれる純和風、日本的な街並みを活用しない手はないだろうと。」

 

“農泊”は地域経済を活性化させる起爆剤になるといいます。

上山社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「地方に海外の方がたくさん来て、海外の方々に日本の地域の良さを理解し、体験していただきたい。」

「地域をいかに活性化させるというのは、インバウンド(海外からの観光客)が大きなカギを握っていると思います。」

 

政府は2020年までに訪日客4000万人を目指しています。

こうした中、観光立国の旗振り役である菅官房長官は、番組の単独インタビューで“農泊”を手掛ける企業を積極的に支援していく考えを示し、次のようにおっしゃっています。

「“農泊”に力を入れている人がたくさんいらっしゃいます。」

「そういう専門家集団を支援して、全国に展開出来るように是非応援していきたい。」

「その中で主な方に来ていただいて、プロジェクトを政府として作って支援していくと。」

「そういうことは是非やっていきたいと思います。」

 

また、“農泊”を海外に積極的に発信して、訪日客の拡大につなげたいと次のように強調しました。

「東南アジアの国の有名な俳優、タレントの人たちが日本に来て、日本の農村、漁村を訪れた、そういうもの(プロモーションビデオ)も制作することも大事だと思っています。」

 

こうした状況について、番組コメンテーターでレオス・キャピタルワークス社長の藤野 英人さんは、次のようにコメントされております。

「これ(“農泊”)は夢のある話だと思います。」

「価値がないと思われるところに価値が出てくるわけですよね。」

「農家レストランだとか、駆けつけサービスとか、水漏れ、鍵開け、ハウスクリーニング、その他ホームセンターであったり、家電量販店といったいろんなところに波及効果があると思いますね。」

「意外に(関連する産業の)すそ野が広いと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前から、安倍政権は地方創生政策に力を入れてきました。

その一環として、今回ご紹介した“農泊”ビジネスは、以下のようにいくつかのメリットがあります。

・地方経済の活性化

・海外からの観光客に日本の地方の暮らし、更には日本の良さを知ってもらういい機会であること

・これから本格的な少子高齢化時代を迎える中で、日本で暮らしたい、あるいは日本で働きたいと思う外国人を増やすいい機会であること

 

こうしてみてくると、今の国の地方創生政策は単に地方の活性化を目指していますが、少子高齢化に伴う労働者不足を補いために海外からの労働者を積極的に求めるという枠まで広げた政策に転換することを提案したいと思います。

こうした政策転換により、地方創生政策により一層力が入り、地元で働きたくても働く場のない人たちの悩みを解消することに拍車がかかり、少子高齢化の弊害も多少なりとも緩和されると期待出来ます。


 
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2017年06月19日
アイデアよもやま話 No.3733 少子高齢化時代における大学の生き残り戦略!

3月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で少子高齢化時代における大学の生き残り戦略について取り上げていたのでご紹介します。

 

少子化が進む日本、2016年の出生数は98万1000人(推計)で、統計開始以来初めて100万人を割り込みました。

既に小学校や中学校では統廃合が進んでいますが、大学もこれから押し寄せる少子化の波の影響から逃れることが出来ません。

大学の数も2012年の783校をピークに少しずつ減少に転じています。

 

一方で、ここに来て大型投資で施設を充実させて学生の囲い込みを目指す大学が増えています。

東洋大学が120億円以上を投じて開設する新たな赤羽台キャンパス(東京・北区)を教育研究の拠点とするのは新設される情報連携学部(通称INIAD)です。

ちなみに、建築家、 研吾さんのデザインで、外壁の木目調の装飾が特徴です。

 

新年度のスタートに先駆け、報道陣向けの内覧会が開かれました。

その場で、情報連携学部の学部長、坂村 健さんは次のようにおっしゃっています。

「最近IoTとかが注目を浴びていますし、更には人工知能やビッグデータ解析とかオープンデータとかそういうことを専門を問わず教えるというのがこの学部の非常に重要なものですね。」

 

校内には様々な仕掛けがあります。

例えば、ロッカーにはどこにも誰のロッカーとは書いてありませんが、扉にはカードセンサーが付いているのでスマホでも開けられるし、カードをかざしても開けられます。

また、スマホを使ってエレベーターを呼び出すことも出来ます。

更に、「照明を消して下さい」と言うと証明が消える仕組みになっています。

 

モノとインターネットがつながったIoTのスマートキャンパス、その使い方を考えるのはこれから入学してくる学生自身です。

このキャンパスを手掛けたのが30年以上前からどこでもコンピューター「ユビキタスコンピューディング環境」を提唱してきた坂村さんです。

東洋大学は文部科学省が指定する「スーパーグローバル大学」に選定されたことから、海外で活躍する人材の育成にも力を入れています。

その構想はキャンパスだけに止まりません。

坂村さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「特色のない大学はみんな消えちゃうと思いますね。」

「ここはかなり強い特色を出して、これからの少子高齢化時代の大学とはこうあるべきだというようなことを私はやりたい。」

「よく大学は「地域経済を活性化する」といろんなところで言われているんですけど、現実に本当にそういう効果が出たというようなことを達成するのはなかなか難しいですよね。」

「ですから、そういうことにチャレンジしたいと私たち思っていまして、地域の会社の方と一緒に共同研究してとか、お助けして新しいビジネスを活性化することを助けるとか・・・」

 

なお、少子高齢化の中で生き残るために、東洋大学では情報連携学部は学生の割合を社会人を半分くらいにしたいといいます。

 

特徴ある施設で学生を集める、その原点と言えるものが金沢工業大学(石川県野々村市)にあります。

その施設では春休み中というのに、多くの学生が集まっていました。

学生たちが口にする“夢考房”は、1993年に金沢工業大学が学生の夢をかたちにする空間としてスタートし、今年11億円かけて施設を新築しました。

こうした工作機械を使って学生たちが作っているのがソーラーカーやロボット、あるいは人力飛行機です。

事務局長の谷 正史さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(夢を)かたちにするのに必要な機械はおおよそそろえてあります。」

「学校の授業ではなくて、学生さんの自主・主体的な活動になっております。」

 

学生たちが立ち上げるプロジェクトを学校側が場所や工作機械を提供することで支援、それに応えるように学生たちは様々な大会に出場し、優秀な成績を上げています。

それが新たな入学志望者を集めるきっかけになっているのです。

地方の大学には珍しく、県外から進学する学生が7割を超えています。

ある学生は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ただ勉強を学ぶだけでなく実際に実践出来るので、その実践が将来に向かっても役に立つということがかなり大きいですね。」

 

大学側も特徴ある一つの施設がもたらす効果は想像を超える大きなものだといいます。

谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「学生が集うキャンパスとしてつくったものが、副次的に学習・勉強にも一生懸命取り組む。」

「その結果として就職にも良い効果が20年ちょっとで表れてきた。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

当然のことながら、少子化が進むということは大学においても入学者数、すなわち需要の減少をもたらします。

ですから、大学間の競争が激化し、生き残り戦略でつまずいた大学はつぶれる運命にあります。

そうした中において、番組から見て取れる大学の取るべき生き残り戦略には大きく以下の6つがあると思います。

1.独自の特色を持った学部の新設

  ・製造業でいうところの多品種少量生産のように、入学者数は従来に比べて少ないが、確実に入学者数を確保出来るだけの需要の見込める魅力的な学部を新設すること

2.常に時代の変化を読んだ魅力的な授業内容を取り入れること

3.独自の特色を持った大学運営

  ・ネットを活用した通信教育など、誰でも好きな時間に何処でも授業を受けられるような環境にすること

  ・例えば、番組でも取り上げられていたように学生が自由に研究出来るような場所や機材を提供すること

4.世界最先端の専門研究者を教授陣に加えること

  ・ただ独自の内容の授業を受けられるというだけでなく、世界最先端の研究者の授業を受けられるようにすること

5.入学者数の増加

  ・入学対象者を高校卒業者に限らず、社会人、退職後の高齢者、あるいは外国からの留学生なども対象とした魅力的な大学づくりを図ること

6.魅力的な大学環境

  ・校舎や校内のゆったりした環境、あるいは美味しい食堂など、学生はこうした環境の中で学びたいと思わせるような環境づくりを図ること

 

要するに、質、量という両面からの生き残り戦略がこれからの大学には求められるのです。

質的には、学生が「是非あの大学で学んでみたい」と思わせるような授業内容、そして量的には年齢を問わず、あるいは国際的な視野からの新たな学生の掘り起こしです。

 

こうした生き残り戦略が個々の大学において効を奏してこそ、少子高齢化時代においても大学は存続することが出来、更には優秀な留学生がそのまま国内企業に就職してくれれば、少子化を補う貴重な人材となってくれるのです。

そのためには、大学のみならず日本全体が海外の人たちから見て、”是非一度日本に住んでみたい”と思わせるような”魅力的な国”にならなければなりません。

そういう意味で、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックはこうした様々な取り組みを進めるうえで、またとないきっかけ、あるいは目標の期限だと思うのです。

 

更には、今後ともAIやロボットなどテクノロジーの進化のスピードはとても速いですから、それにつれて新しい製品やサービスが普及していき、人々の暮らしも変化していきます。

ですから、働く人たちに求められる能力やスキルも変化していきます。

そうした状況において、働く人たちは新たな能力やスキルを学べる場を求めるようになります。

そうした受け皿を提供する場としての役割がこれからの大学には求められているということを大学の首脳陣は自覚する必要があると思います。

同時に、これからの人たちにはテクノロジーの進歩とともに、求められる能力やスキルを身に付けるうえでの変化への適応力が求められるという意識がとても大切になると思います。


 
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2017年06月18日
No.3732 ちょっと一休み その599 『2030年までにEVの販売のみを目指すインド』

6月4日(日)配信のネットニュース(こちらを参照)でンド政府の電気自動車(EV)への取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

インド政府は6月4日までに、国内で販売する自動車を2030年までに全てEVに限定するとの野心的な政策を明らかにしました。

 

 同国のエネルギー省は、インド上空の大気を清浄化するためガソリン使用の車両の販売を中止させる大胆な目標を据えたとブログで報告しました。

 

ピューシュ・ゴヤル・エネルギー相は最近、EVの開発努力を助長するため今後数年間、補助金を供与するとの方針を表明しました。

この政策が進めば、EVのコストは採算が取れるようになるとも予測しました。

 

インド経済は急成長を遂げていますが、新たな産業の台頭や通勤客の増加で大気汚染も急速に悪化しています。

世界で大気汚染が最も深刻な国の1つともされ、年間120万人の死因になっていると推定する報告書もあります。

首都ニューデリーでの呼吸は1日当たりたばこ10本の喫煙に等しいと見る医者グループもいるといいます。

 

インド政府による今回の計画を受け、米国の電気自動車メーカー「テスラ」のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は6月1日、これを歓迎する考えをツイッター上で表明しました。

同社はまだインド市場に進出していませんが、同CEOは過去に再三、インドでの店舗開設計画に言及しています。

 

インドは他のクリーンエネルギーの開発計画も積極的に進めています。

太陽光エネルギーの利用を増やす大規模計画にも取り組んでいます。

モディ首相はトランプ米大統領が地球温暖化対策のパリ協定からの離脱を宣言した後、同協定を順守する努力を倍増するとの決意も表明しました。

 

以上、ネットニュースの内容をご紹介してきました。

 

2030年までにEVの販売のみを目指すというインド政府の決断、そして実行力はエネルギー問題、および地球環境問題の解決に向けた素晴らしい取り組みだと思います。

安倍政権にもインド政府のように思い切った政策を打ち出して欲しいと思います。

 

以前お伝えしたように、日産自動車は今年中に航続距離が550kmの「リーフ」次期モデルを販売開始するという情報(参照: アイデアよもやま話 No.3703 自動車をめぐる新たな動き(2) その1 日産「リーフ」の次期モデルは9月公開で航続距離が550kmに!?)もあるように、EVにはこれまでフル充電での航続距離の短さがEVの普及に向けて大きなネックになっていましたが、そのネックがはずれます。

 

しかも、「リーフ」の次期上位モデルのバッテリー容量は60kwhといいますから、半分の30kwhくらいは家庭用電源として使用しても普段の生活にはほとんど問題ありません。

ですから、昼間自宅で駐車している間は家庭用電源として使用すれば、国内全体の昼間の消費電力量のピークカットに貢献出来るのです。

 

一方、アイデアよもやま話 No.3705 自動車をめぐる新たな動き(2) その3 テスラモーターズがいよいよエネルギー業界に本格参入!でもお伝えしたように、アメリカのEV関連ベンチャー企業、テスラ(現在はテスラモーターズから社名変更)はEVのみならずエネルギー業界にも本格参入をしています。

ですから、これまで高いと言われてきたEV用バッテリーも大量生産に伴い、バッテリーに蓄えられる電気容量の高密度化、およびバッテリーの低価格化が期待出来ます。

 

こうした状況から、安倍政権にはこうしたEV関連の動きを睨みながら、EVの普及に向けてEVの所有者を優遇する次のような政策を打ち出していただきたいと思います。

・税金面で優遇する

・高速道路通行料金を格安にする

・EV用急速充電器を更に全国的に設置する

・こうした費用は、原則として全てEV以外の税金や高速道路通行料金を増やすことによって賄う

 

今回ご紹介したインドのみならず、中国や他の途上国においてもガソリン車の普及に伴う大気汚染問題は早急に解決すべき優先順位の高い問題となっています。

ですから、低価格で航続距離の長いEVの潜在的な需要はとても大きいと見込まれます。

 

ということで、安倍政権には、上記に掲げたような政策を年度ごとの達成目標を明確にするなどして、世界的視野でのEVの普及を念頭に置いての実行に移して欲しいと願います。


 
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2017年06月17日
プロジェクト管理と日常生活 No.493 『ネット時代の犯罪リスク その2 企業に求められるリスク対応策』

5月22日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でネット時代の犯罪リスクについて取り上げていました。

そこで、リスク管理の観点から2回にわたってご紹介します。

1回目では、犯罪の温床とも言える“闇のサイト”、ダークウェブにおけるリスク対応策についてお伝えしました。

2回目は、企業に求められるリスク対応策についてです。

 

ダークウェブで主に企業に被害を及ぼすものとしては以下のようなものが売買されているといいます。

・日立製作所をサイバー攻撃したものと同じタイプの「身代金要求型」ウイルス、ランサムウェア

・今回悪用されたウイルスの元の技術と言われているアメリカのNSA(国家安全保障局)から盗難されたツール

・大手企業の内部会議用資料

                   

なお、大手企業の内部会議用資料のような機密情報は悪意のあるハッカーが企業のシステムに侵入して盗み出したものと見られています。

こうした状況について、セキュリティ会社、株式会社スプラウトの高野 聖玄社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(ダークウェブ上に)出てしまうとそれを戻すのはほぼ不可能。」

「インターネットと一緒ですよね。」

「インターネット上に何か出ると、それを消すということはほとんど出来ないですから。」

 

企業をどのように守るか、スプラウトは昨年ハッカーに対抗するためにハッカーの利用を始めました。

スプラウトと契約したハッカーの原田さん(仮名)、日中は都内の大手企業に勤めています。

仕事から帰宅するとすぐにパソコンの電源を入れ、ある企業のウェブページを開きました。

そしてウェブページの弱点を探し始めました。

見つけることが出来れば、ページを乗っ取り、データを盗むことも出来ます。

しかし、原田さんはバグ(脆弱性)を見つけて、それを報告し、報奨金をもらっているのです。

 

スプラウトが始めたのは、ハッカーに企業のウェブページの“脆弱性”を探し出させるサービスです。

“脆弱性”を見つけたハッカーには最大50万円を支払います。

スプラウトは原田さんのような通称「ホワイトハッカー」約550人と契約しています。

高野社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本だとハッカーは「怖い」、「何かされる」みたいなところがいろいろありまして、広まってきてないんですけど、最近はたくさん攻撃が増えていますから、我々セキュリティ会社としては推し進めている。」

 

さて、企業のリスクはこうしたハッキングだけではありません。

あることをきっかけにして、企業に対しての批判がウェブページやSNSに集中する“炎上”というリスクもあります。

この炎上の発生件数は2010年からの5年間でおよそ10倍に急増しています。(エルテス調べ)

一度炎上してしまいますと、以下のようなダメージを受けてしまいます。

1.ブランドイメージに傷がつく

2.従業員の採用が難しくなる

3.株価の下落

 

更に、ある企業では炎上後の対応費用が3000万円かかったというケースまであります。

この炎上リスクに合わせて新しい対策が始まっています。

セキュリティ会社、ソルナ株式会社(東京・六本木)では炎上につながるようなネガティブな投稿がないか、インターネットの掲示板や動画サイトなどを細かくチェックしています。

ソルナの三澤 和則社長はある方法を導入したことでネガティブな投稿を発見するスピードが劇的に上がったといいます。

三澤社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「例えばアルファベットで「BBA」というものがあるんですけど、これは「ババア」という意味で、こういった隠語を使うことそのものは何か問題となる文章と結びついていくので・・・」

 

ソルナは、炎上につながるようなネガティブなワードを独自に選出し、企業名がこれらと共に投稿された場合、自動で検出する仕組みを作りました。

しかし、炎上が急激に増える中、監視だけでは限界があると、新しい対策を始めました。

実は企業に対するネットの聞き込みで最も多いのが退職者による悪口、そこで書き込みを未然に防ぐために退職者を探し出して“本音”を聴くサービスを始めました。

1時間の面談後、謝礼として5000円程度を渡します。

面談の内容は個人が特定されないかたちでレポートにまとめ、会社側に提出されます。

三澤社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「どれだけ会社を経営しているキーマンと言われる方々が辞めた社員の本音をちゃんと拾い上げているか、書き込みを根本的に減らしていくものにもなると思います。」

 

情報漏えいやウイルスなど次々に新しい手法が出てきますから対応は大変ですが、セキュリティ会社が心配しているのは、例えば企業に対して「お宅の情報が盗まれていますよ」とか「ハッキングされていますよ」とか知らせても信用してもらえないケースが多いく、初動対策が遅れてしまうといいます。

ですから、企業には危機感や反射神経を持つことが問われているといいます。

危機感を持ったうえでどのような対策を打つべきかについて、番組コメンテーターであるモルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミストのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「やはり新しい技術を一番早く使うのは犯罪者ですね。」

「日本人は性善説の方が多いですので特に被害が多いと思いますけども、主に3点あると思いますね。」

「一つは企業、まず調査能力を身に付けることですね。」

「ホワイトハッカーを身に付けるとかいうこともありますけど、これは保険ですね。」

「もう一つは当局ですけど、当局も捜査能力を増やすことですね。」

「(アメリカで)今FPIがかなりネットの捜査能力を上げているということですね。」

「3点目ですけど、ハッキング、あるいは炎上の動機を取り除くことですね。」

「“やりたくない”っていうふうになることが一番いいですね。」

「やはり自分で自分の身を守るというのが最大のポイントだと思いますね。」

「(そのためにある程度コストがかかるということも企業は覚悟する必要があるのではという指摘に対して、)そうですね、ネットはいいところが沢山ありますから、これくらいやりましょうということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組の内容から、ネット時代の企業におけるリスク対応策として大きく以下の2つの対象があることが分かります。

1.重要な内部情報の流

2.ネット上の“炎上”

 

そして、この2つの対象には以下のようなリスク対応策が考えられます。

1.重要な内部情報の流出

  ・従業員向けのセキュリティ研修

  ・社会セキュリティシステムの充実

  ・「ホワイトハッカー」と言われるようなセキュリティ会社とのサービス契約

2.ネット上の“炎上”

  ・労働環境や賃金、社内コミュニケーション、およびパワハラなどの面での従業員満足度向上に努めること

ネット上の“炎上”の自社に与える悪影響などについての従業員研修を定期的に実施すること

 

なお、ネット上の“炎上”対策として、従業員満足度を高めれば、従業員によるブログなどを通して“炎上”とは逆の自社のイメージアップ向上につながります。

ですから、従業員の満足度向上はネット上の“炎上”対策としてのみならず、従業員のやる気の向上や新卒学生や中途入社など自社への入社希望者の増加にもつながるのです。


 
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2017年06月16日
アイデアよもやま話 No.3731 アクティブ・ラーニングで教育が変わる!?

3月15日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアクティブ・ラーニングについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、学校教育の現場で大きな変革が始まっています。

それがアクティブ・ラーニングという考え方の導入です。

これは生徒が自ら課題を見出して、仲間と相談しながら主体的にその課題を解決することで、より深い理解を得ることを期待するものですが、この教育に役立つツールとして注目されているのがデジタル教材です。

企業も熱い視線を送る教育の変革の現場、静岡県の浜松市立三ヶ日西小学校では授業にアクティブ・ラーニングを取り入れています。

生徒がグループに分かれて取り組んでいるのがオリジナルの歌の作曲、使うのはタブレットだけです。

ヤマハが教材として開発した作曲ソフトが搭載されています。

まず、生徒たちが自ら作った歌詞を入力します。

一文字ずつ音階に貼り付けていきます。

ヤマハの歌声合成ソフト「ボーカロイド」の教育版で再生したメロディを聴くことが出来ます。

そして、文字を張り付けたマスを伸ばすと、簡単に音を伸ばすことも出来ます。

楽譜を読めなくても直感的に曲を作ることが出来るのです。

この小学校の菊池 寛教諭は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「音楽の出来、不出来に関係なく、どの子も同じように学習出来て、しかも楽しみながら出来るのがいいかなと思っています。」

 

生徒たちの取り組みを見守るのは、ヤマハ新規事業開発部・営業企画担当の塩谷 由佳子さんで、このような教材ソフトの需要は今後増々高まると期待しています。

塩谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アクティブ・ラーニングにはうってつけのソフトなんじゃないかなと考えています。」

「音を「こうした方がいい」とか試行錯誤する中で、自主的な学びとか深い学びにつながっていくと思っておりますので・・・」

 

このヤマハのソフトの存在を聞きつけ、同じ市内にある井伊谷小学校の生徒も動きました。

こちらのある女子生徒は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(三ヶ日西小学校が)学級歌を作ったという新聞記事を見て、自分たちの学校でもやりたいと思って始めました。」

 

生徒は2ヵ月かけて先生を説得したといいます。

生徒の熱意に負けてソフトを導入、生徒たちは5ヵ月かけて学年の歌を作りました。

この学校の高林 圭吾先生は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「タブレット1台使って、簡単に曲が出来ていく様子を見たりとか、子どもたちが作っていく中で、どんどん想像を膨らませていったのが一番見ていて取り入れてよかったなと思っています。」

 

一方、横浜市立白幡小学校でもアクティブ・ラーニングを積極的に導入しています。

6年生の体育の授業では、2月からチームに分かれてワンキャッチ・バレーボールに取り組んでいます。

ある日のテーマは、「勝つためにゲーム記録を生かして作戦を立てて沢山得点しよう」でした。

授業は基本的に生徒が自ら進めます。

ワンバウンドまでにレシーブ、トスは投げてあげるという独自のルールです。

それぞれのチームにはタブレットを手にした記録係がいます。

アタックが決まったら赤、決まらなかったら黒と、毎回アタックのコースを記録していきます。

これが生かされるのが試合後です。

タブレットに残した記録を見て反省会をするのです。

データを簡単に記録出来、その場で見られることでみんなが課題を共有出来るのです。

このソフトの導入を決めた玉置 哲也先生は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「子どもが課題を発見して、自分たちで課題解決の方法を選択しながら学習を進めていくことを大切にしたいと思っているので・・・」

 

当初、市販のソフトも試しましたが、子どもの使い易いものはなかったといいます。

そこで玉置先生は、教材ソフトの制作をベンチャー企業のエレファンキューブ(東京都文京区)に依頼しました。

この会社には各地の教師から教材の制作依頼が舞い込み、2016年度は前年度の4倍に達しています。

社長の支倉 常明さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今、どんどん教育の現場に求められることとかやり方とかが変わってきているので、そこにうまく乗っていきたいなと思っています。」

 

この会社では教育現場のニーズに細かく対応しながら、より使い易い教材ソフトの開発につなげたい考えです。

白幡小学校の関谷 道代校長は、タブレットなどを使用したアクティブ・ラーニングを今後も推進していく方針で、次のようにおっしゃっています。

「与えられたものを聞いていて理解するよりも、自分が説明することで確実に自分の理解が深まっているし、それが確かなものになっていくのを実感しています。」

 

既に全学年の全教科にアクティブ・ラーニングを導入している白幡小学校は、全国学力テスト(6年生・4教科)も上昇し、2016年度の全国平均を10〜13ポイント上回っています。

そのアクティブ・ラーニングに使われる出来たる教材・コンテンツ市場規模は、2020年度には約150億円(2014年度比2.5倍)に成長すると予測されています。(富士キメラ総研調べ)

 

番組コメンテーターの大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「(アクティブ・ラーニングのようなものも登場する中で、今後教育の現場にはどういうことが求められるかという問いに対して、)これからAI(人工知能)が発達してくると、人間に求められる能力がだいぶ変わってくると思うんですね。」

「具体的には、2つ重要な点があって、一つは問題発見して目標を設定する能力。」

「例えば、学校の試験などだと既に問題が与えられているわけですが、社会にいくと問題を発見することこそが重要である。」

「それから、AIは目標を自分で作ることは出来ないわけですね。」

「例えば、囲碁だとか将棋などルールが決まって、目的が決まっていれば強いわけですが、目標自体を設定することは出来ない。」

 

「もう一つはコミュニケーションの能力。」

「例えば、AIが発達した時に医者という職業は無くなるかもしれないが、看護婦という職業は残るだろうと言われている。」

「要するに、コミュニケーションが非常に重要なわけですね。」

「今のVTRを見ていると、この2つを育てる意味でデジタル教材が非常にうまく機能しているという印象があるということですね。」

「ですから、かなり有効なツールであると。」

「ただ、他方でこれに頼り過ぎてはいけないというのがあって、例えば使い過ぎると文章力が落ちてしまったりだとかですね。」

「そもそも人間というのは不自由なところから、そこで努力することによって人間の能力が上がっていくわけですよね。」

「ですから、その意味では入り口としてはデジタル教材でいいわけですが、最後はもうちょっと深い思索だとか、少し辛いことをしていかないといけないと思いますよね。」

「(そういったバランスを考えること、それからどんな学ばせ方をするか、そこが先生のプロデュース能力ではないかという指摘に対して、)先生の力量が相当問われる時代に入ってくると思いますね。」

「(それこそ人にしか出来ないことではという指摘に対して、)その職業の一つになると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今後、AIやロボットなどが普及していくにつれて、私たち人間とコンピューターや機械との間でやるべきことの住み分けが公私を問わずどんどん変わっていきます。

そうした中で、アクティブ・ラーニングの狙いとする、自ら課題を見出して、仲間と相談しながら主体的にその課題を解決する能力を高めていくことが社会に出ると今後増々要求されてくると容易に想像出来ます。

ですから、子どものうちからそうした能力を身に付けておくうえで、アクティブ・ラーニングはとても理に適っていると思います。

そして、実際に番組でも取り上げていたように、既に全学年の全教科にアクティブ・ラーニングを導入している白幡小学校では、全国学力テストで成果が出ているといいます。

 

一方、番組でも指摘していたようにアクティブ・ラーニングを進めるにあたっては教師の力量がとても重要になります。

ですから、アクティブ・ラーニングをうまく進めるための教師の育成が欠かせないのです。

 

また、こうした教育を進めていくうえで便利なのがデジタル教材なのです。

ですから、今後ともアクティブ・ラーニングとデジタル教材の関係はキャッチボールのようなもので、相互のやり取りの中でどんどん進化していくと思われます。

そして、アクティブ・ラーニングは、学校での活用に留まらず、企業などにおいても人材育成の強力なツールとしてのみならず実際の業務を進めるうえでのツールとしても大いに期待出来ます。

 

さて、楽譜を書けなくても、あるいはピアノやギターなどの楽器を使わなくても、誰でも簡単に直感的にタブレットのアプリだけで作曲出来てしまうというツールの登場で、誰もが曲作りが簡単に出来てしまいます。

既に、メロディの一部を入力すると作曲を完成してしまうアプリは登場しています。

一方、メロディはいろいろと浮かんでも歌詞を考えるのが苦手という人もいます。

ですから、気に入った歌詞の一部を入力するとそこから連想されるいろいろな歌詞を表示してくれるアプリがあれば、作詞も作曲もし易くなります。

ですから、こうした要件を全て兼ね備えたアプリが登場して来れば、誰でもオリジナルの曲づくりを出来るようになります。

そうすれば、学校でのアクティブ・ラーニングの教材としてだけでなく、広く一般の人たちが音楽を楽しめるような状況になると大いに期待出来ます。

勿論、私もこうしたアプリが登場すれば、それを使って曲作りに励みたいと思います。


 
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2017年06月15日
アイデアよもやま話 No.3728 みんなで楽しめる”泣き出すボール”!

3月9日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でみんなで楽しめる”泣き出すボール”について取り上げていたのでご紹介します。

 

スポーツや町づくりに関する展示会、「日経メッセ」(東京ビッグサイトで開催)で「世界ゆるスポーツ協会」が展示していたのがバスケットボールのようなかたちをした柔らかいボールです。

このボールは、「ベビーバスケボール(ベビーバスケ)」という新しいスポーツのボールなのです。

「ベビーバスケボール」は、赤ちゃんに見立てたボールをそっとパスしながらゴールに入れる競技なのです。

ボールの中には専用アプリにつながったスマホが入っていて、衝撃を感知すると赤ちゃんの泣き声が聞こえるという仕組みです。

ですから、このスポーツで大事なのは衝撃を吸収する膝の動きで、意外といい運動になるといいます。

ちなみに、難易度は3段階に設定出来ます。

また、「ベビーバスケボール」は現在レンタルのみで、2個で1日3万円ですが、今後は発売も視野に入れているということです。

「世界ゆるスポーツ協会」の事務局長、萩原 拓也さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今までスポーツというと強さ、速さ、技術とかということだったのですが、この「ベビーバスケ」は世界で初めて優しさが一番重要視されるスポーツ、これが魅力なんじゃないかなと思いますね。」

 

なお、「ベビーバスケボール」はドリブルをすると泣いてしまうので駄目で、優しくキャッチしてゆりかごのゴールに入れるというもので、泣かせてしまったら相手側のボールになるというルールです。

ちなみに、スポーツメーカーのミズノと共同開発したといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一般的なスポーツは、強さや速さを競い合うものが多いですが、そうした中にあって今回ご紹介した「ベビーバスケボール」ですが、優しさが最も重視されるスポーツというコンセプトがとても面白いと思います。

機会があれば、是非一度やってみたいと思いますが、イメージできるのはとてもスローで柔らかな動きです。

ここで連想されるのは、私の日頃やっている太極拳のゆったりとした動きです。

太極拳は見かけによらず、かなり筋力を使います。

ですから、「ベビーバスケボール」は男女を問わず高齢者にも無理なく出来るスポーツとして期待出来ると思います。

また、赤ちゃんの泣き声が聞こえたら相手側のボールになるというルールもユーモラスで親しみやすいと思います。


 
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2017年06月14日
アイデアよもやま話 No.3729 これからの企業存続の重要要件、SDGsとは・・・

前回、前々回とアメリカのトランプ政権によるパリ協定離脱に関連した状況についてご紹介してきました。

そうした中、3月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“SDGs”という持続可能な社会実現のキーワードについて取り上げていたのでご紹介します。

 

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、国連で採択された2030年に向けた経済成長や環境保全などに関する17項目の世界的な目標のことです。

このSDGsは、企業が成長するために欠かせないキーワードとなっています。

今、社会や環境にどう取り組んでいるかが、投資指標の一つとして考慮され始めているといいます。

 

イギリスでは、80以上の有力企業がSDGs達成のための枠組みづくりをメイ首相に求めました。

また、アメリカでもSDGsへの取り組みが盛んで、例えばスターバックスでは4月に退任予定のハワード・シュルツCEOがSDGsへの継続的な取り組みを強く求めたといいます。

本国、アメリカでの姿勢は日本のスターバックスにも影響しています。

店舗で多く使用する紙のカップは、SDGsを強く意識しています。

紙のカップに書かれているのは、「FSC」認証マークです。

FSC認証とは、違法な森林伐採ではないと証明する制度で、環境に考慮した紙や木材に耐えられます。

カップ以外にも紙袋など多くの紙製品で「FSC」認証を受けた素材を使っています。

更に、使用した牛乳パックは一瞬で洗浄出来るような装置を使い、洗浄した牛乳パックは自然乾燥した後、折り畳んで空いたパックに詰め込みます。

こうして、スターバックス目黒店では、1日に約100本の牛乳パックを手間暇かけてリサイクルしているのです。

全国の飲食店がリサイクルする紙パックの回収量は約2000トンで、スターバックスの回収量はその半分の約1000トンを占めています。(全国牛乳容器循環協議会による2015年度調べ)

回収されたスターバックスの牛乳パックの約2割は店舗で使われる紙ナプキンなどの材料として再利用されます。

紙ナプキンは、牛乳パックの再生パルプを7割、そしてFSC認証のパルプを3割使用しています。

 

こうした一連の対応がSDGsの作る責任や使う責任、そして陸の豊かさを守ろうといった目標につながります。

なぜ、SDGsにここまで力を入れているのかについて、スターバックス コーヒージャパンの広報部長、足立 紀生さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やらざるを得ない。」

「企業を選ぶ選択肢の一つとして、サステナブル(持続可能)なSDGsのような取り組みをやっているかどうかは、お客様の選択肢の中に入ってくるようになる。」

「選ばれる企業としての尺度の一つに今後なっていくのではないかと思っています。」

 

SDGsへの取り組みは日本の企業でも広がりつつあります。

住宅設備の大手、リクシルはSDGsにつながる部署、ソーシャルトイレット部を新たに立ち上げました。

途上国のトイレ事業の専門部署です。

オフィスの空席が目立つのは、海外で活動するメンバーが多いためです。

現地に赴き、調査や研究開発を行っているのです。

 

現在、世界で約24億人が衛生的で安全なトイレを使用出来ない状況です。

不衛生な環境が病気などを招くこともあり、その経済損失はおよそ22兆円に上るとも言われています。

リクシルでは、この問題を解決し、SDGsの項目の一つ、「安全な水とトイレを世界中に」という目標の達成を目指します。

 

今、事業化に向け動き出しているのが途上国向け簡易トイレ「SATO」のプロジェクトです。

「SATO」開発責任者のジム・マクヘイルさんは、途上国を回りながら新しいトイレの研究開発を行っています。

貧しい国の人でも手に入れられるようにコストを極力抑えたことで、約2ドルでの製造を可能にしました。

設置やメインテナンスも行い、2020年までに1億人の衛生環境の改善を目指します。

ジムさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「「SATO」の目標は、衛生的な上下水道を持たない人たちにもトイレや浴室など全ての設備を提供することです。」

 

更に、リクシルでは、4月から日本でシャワートイレを1台購入すると、途上国に「SATO」1台が寄付されるプロジェクトを開始します。

この活動の背景には、企業としてSDGsに取り組む姿勢をアピールする狙いもあります。

リクシルの瀬戸 欣哉社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ビジネスというのは常にショートカットだけを求めていくと持続可能じゃないと思いますね。」

「遠回りなことも愚直にやることが持続可能な企業をつくるコツだと思います。」

 

国内にはスターバックスやリクシル以外にも、SDGsに力を入れている企業があります。

例えば、サントリーでは天然水の水源となる森林の保全に力を入れています。

また、テイジンでは鉄に代わる軽い素材を自動車に使用することでCO2排出量の削減や燃費性能の向上につなげています。

 

こうした環境に関する取り組みだけではありません。

味の素では離乳食の栄養バランスを強化するアミノ酸入りのサプリメントを開発し、ガーナで子どもの栄養の改善に取り組んでおります。

また、富士ゼロックスでは教育格差がある新興国向けに自社のプリンターで印刷した教材の提供を行っております。

 

しかし、まだまだSDGsという概念は日本国内では知られていないようです。

番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミストの熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「欧米だと、例えばダボス会議などでも(SDGsという)言葉が一般的に使われているんですけども、日本はまだまだというのがあってですね。」

「ドイツの財団がG7諸国の中でSDGs達成状況ランキングを出しているんですが、やはりヨーロッパのドイツがトップで日本は5位に甘んじている。(ちなみに、2位はイギリス、3位はフランス、4位はカナダ)」

「アメリカ(6位)とイタリア(7位)の上というぐらいですから非常にランキングが低くて、取り組みがまだまだということがありますね。」

「ただ、日本政府は昨年この本部を作って、安倍総理が本部長になって、全体でかなり加速するということで、そういう方向性は出しているという状況です。」

「(これからSDGsに取り組まなければ資金調達もしにくくなるのではという問いに対して、)例えば海外の年金だとか日本でGPIFという年金を運用している大きな機関がありますが、そういうところはSDGsをちゃんとやらないと投資資金を入れないというような方向性が世界の潮流としてあるわけですね。」

「ですから、その意味では日本の企業は今までは後ろ向きのコストだと考えてきたわけですけども、前向きの投資であって、これをやらないと企業が存続することすら難しいと。」

「この資金調達のためには絶対必要であると、そういう状況ですね。」

「そこ(企業の社会貢献)よりもはるかに広い概念、企業が持続するために必要であるということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たち、日本人は当たり前のように衛生的な水洗トイレを使用しています。

しかし、その一方で今も世界で約24億人、すなわち3人に1人以上が衛生的で安全なトイレを使用出来ない状況には驚きです。

不衛生な環境が病気などを招くこともあり、その経済損失はおよそ22兆円に上るという状況も無視出来ません。

ちなみに、世界で7億4800万人、すなわち10人に1人ほどが安全な飲み水を利用出来ずにいるといいます。

また、確実な電気の供給を受けずに生活している人が、世界にはまだ14億人、すなわち5人に1人もいるといいます。

 

日本国内ではまだまだSDGsという言葉は普及していないようですが、機関投資家も企業によるSDGsへの取り組みの程度を投資判断の尺度として使用する動きが既に始まっているといいますから、今後企業はSDGsを無視することが出来なくなります。

また、持続可能な社会の実現は、個々の持続可能な企業や一般家庭によって支えられる面が少なからずあります。

ですから、持続可能な社会の実現は他人ごとではなく、私たち一人一人、あるいは個々の企業の活動などによって実現出来るという自覚を持つことが私たち一人一人に求められるのです。

 

さて、SDGsは飽くまでも2030年に向けた経済成長や環境保全などに関する世界的な目標です。

ですから、これで終わることなく、エネルギー問題や地球環境問題が全て解決出来て持続可能な社会が実現出来るまでSDGsのような目標を掲げてこうした活動を継続させていくこと必要なのです。

更に、持続可能な社会が実現出来た後も、それを維持していくための活動が求められます。

ですから、こうした活動は永遠に継続することが求められるのです。

 

そして、忘れてならないことは、こうした活動によって私たち一人一人が物心両面において大きな負担を感じることなく、心の豊かさを得られるようでなければならないということです。

更には、今、世界的に大きな問題となっているIS(イスラム国)などの過激派組織によるテロ、あるいは宗教的な対立をすることなく、宗教、あるいは宗派の違いを乗り越えてお互いに尊重し合うという大原則を貫くことがとても大切だと思います。

他の宗教や宗派を否定しようとするような排他的な考えの宗教は本来の宗教とは言えないと思います。

宗教に限らず、どのような思想もお互いに相手を尊重し合わなければ、必ず争いが起きてしまいます。

 

ということで、持続可能な社会の実現はとても大切ですが、同時に私たち一人一人の豊かさ、あるいはお互いに相手の立場を尊重し合うを実現することも忘れてはならないのです。


 
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2017年06月13日
アイデアよもやま話 No.3728 アメリカ国民の約6割はパリ協定離脱に反対!

前回、アメリカのパリ協定離脱で増々求められる究極の発電装置についてお伝えしました。

しかし、究極の発電装置は飽くまでも究極に目指すべきもので短期的な現実的対応とは言えません。

今、出来る範囲で少しでも地球温暖化を阻止する対策が求められます。

そうした中、6月6日付けネット記事(こちらを参照)によると、米紙ワシントン・ポストとABCテレビが6月5日に発表した世論調査では、トランプ大統領が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を決定したことについて「反対」が約6割に達しました。

離脱反対は59%。賛成は28%にとどまり、42%が離脱は「米経済を損なう」と答え、「米経済を支える」との見方(32%)を上回りました。

そして、「米国の指導力を傷つける」との回答は55%に達しています。

 

そして、6月8日付けネット記事(こちらを参照)によると、ハワイ州がトランプ政権に反旗を翻し、パリ協定を維持する独自の新法を法制化したといいます。

ハワイ州は6月7日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で掲げられた温室効果ガスの排出削減目標を州政府として独自に維持する法案にイゲ知事が署名したと発表しました。

 

イゲ知事は6日、署名式典に臨み「島から成る州として、われわれは特に自然環境の限界を意識しなければならない」と強調しました。

これまでお伝えしてきたように、温暖化が原因とされる海面上昇の被害は、マーシャル諸島やツバルなど太平洋の島々で危機感を訴える声が強いのです。

 

アメリカ国内では、政権の方針に反してパリ協定支持を表明する自治体が続出しているといいます。

ただ、協定の順守を法制化したのはハワイ州が初めてで、同様の動きは他の州にも広がる見通しといいます。

                                                      

以上、アメリカのパリ協定離脱に伴うアメリカ国内の動きをご紹介しました。

 

世界的に科学的見地から多くの専門家は地球温暖化の進行はほぼ確実であるという見解を示しています。

しかし、トランプ大統領は最近ではそうした見解に理解を示しつつも、雇用の拡大を優先し、パリ協定離脱を明言されました。

これに対して国際社会にはこうしたトランプ大統領の決断を翻すように促す動きがあります。

アメリカ国内においても、アメリカ国民の約6割はパリ協定離脱に反対しており、42%が離脱は「米経済を損なう」と答えているということは、トランプ大統領とアメリカ国民の意向には大きな隔たりがあります。

そうした中、ハワイではパリ協定を維持する独自の新法を法制化しました。

また、同様の動きは他の州にも広がる見通しといいます。

更には、これまでトランプ政権に協力してきた著名人の中には、今回のトランプ大統領の決断報道を受けて、ベンチャー企業、テスラの創業者であるイーロン・マスクさんなど距離を置くようになった方も出て来ているといいます。

 

要するに、国の指導者がどのような政策の決断をしようとも、独裁政権国家でない限り、地方自治体や個人レベルで独自の政策の実施、あるいは行動を起こすことによって、いかなる誤った政策にも左右されずに本来進むべき方向に進むことが出来るのです。


 
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2017年06月12日
アイデアよもやま話 No.3727 アメリカのパリ協定離脱で増々求められる究極の発電装置!

6月1日、アメリカのトランプ政権が気候変動対策の国際的枠組み、「パリ協定」から離脱すると発表したと報じられていました。

そこで、今回は6月2日(金)放送の「時論公論」、およびニュース(NHK総合テレビ)の内容からこれまでの経緯、影響、および対策についてご紹介します。

 

「パリ協定」は2015年にパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されました。

深刻化する地球温暖化を食い止めるため、先進国、途上国の全てが参加して行動を起こそうとするものです。

「パリ協定」以前は、「京都議定書」(1997年開催の地球温暖化防止京都会議、COP3で採択)によって一部の先進国が対策をしてきましたが、地球温暖化の規模があまりにも大きく速く進行するため、途上国も含め全ての国が協力して当たらなければならないと叫ばれるようになったからです。

 

こうした中、今回のアメリカの「パリ協定」は世界に対して大きな衝撃を与えます。

というのは、アメリカは地球温暖化に影響を与えているCO2排出量は中国に次いで世界第2位で、全体の16%(2014年)を占めているからです。

また、途上国への資金援助「緑の気候基金」の拠出表明額は世界第1位で、全体の30%を占めているのです。

これらに対する対策が行われなければ、世界に対して大きな影響を与えます。

 

さて、地球の平均気温は今も上がり続けており、このまま対策を講じなければ、平均気温は2100年には最大で4.8℃上昇し、大規模な被害が世界中で起こると予測されています。

現在の「パリ協定」の目標は、地球の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満、出来れば1.5℃に抑えるというものです。

 

しかし、残念ながらアメリカも含め各国が提示している現在の2050年の削減目標を全て達成しても2℃目標には届かず、3℃前後にまで上昇してしまうということが分かっています。

このため「パリ協定」では5年ごとに各国の温室効果ガスの削減量を更に深堀りし、提案することを求めています。

ですから、現在掲げられている目標が後退すること自体あってはならないもので、トランプ大統領の発言がいかに問題かが分かります。

 

もう一つ気になることがあります。

実はこの15年ほど世界の平均気温は高止まりを続け、最近急に上がり始めていることです。

地球温暖化による大気温の上昇は、そのエネルギーの一部が海に吸収され、海水の循環によって海の深いところまで取り込まれるということが知られています。

この循環が最近弱まり、その結果大気温が上昇し始めているのではないかと指摘されています。

もしこの傾向が続けば、更に地球温暖化が加速されることになります。

 

これらの科学的事実をみると、地球温暖化に対して私たちは今後対策を強めこそすれ、後退することは許されないということが分かります。

地球温暖化は広く複雑に進んでいきます。

この状況を正確に把握し、行動するためには持続的な科学的研究が欠かせません。

その意味で、トランプ大統領の科学研究予算削減の動きも大きな問題を含んでいると言えます。

 

さて、今回のアメリカの「パリ協定」からの脱退表明は、日本にとっても他人ごとではありません。

地球温暖化の原因となる温室効果ガスのCO2の濃度は上昇を続けています。

昨年、国内に3ヵ所ある気象庁の観測点の全てで400ppmを超え、これまでで最も高い値を以下のように観測しました。

 大船渡 :407.2ppm

 与那国島:407.1ppm

 南鳥島 :404.9ppm

 

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、今世紀末の気温上昇を2℃未満に抑えるための目安を世界の平均で420ppm程度としていますが、国内の観測点では毎年2ppm前後の上昇が続いており、この傾向が続くと10年前後先には目安に達する可能性があります。

こうした結果、地球温暖化の影響は日本でも様々な分野に及ぶと予測されています。

2015年に環境省がまとめた報告書では、影響が特に大きく緊急性が高い事例として、今世紀末には洪水を引き起こす恐れがある大雨の頻度が増えると予測しています。

また、熱中症など暑さの影響で死亡するリスクが2090年代には最大で3.7倍に、そしてデング熱のウイルスを媒介する蚊の生息する地域が今世紀末には北海道の一部にまで広がるとしています。

更に、品質の高い一等米の比率が減り、特に九州では今世紀末には40%減少するという予測があると指摘しています。

 

日本は持ち前の科学力と環境技術を更に進め、世界に貢献しながら低炭素社会を目指すべき国です。

そして、アメリカに地球温暖化対策の必要性を粘り強く説明し、共に進む呼びかけをする責任があります。

日本のCO2排出量は世界第5位、それにふさわしい振舞とリーダーシップがいまこそ求められているのではないでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

あらためて思うことは、エネルギー問題や地球温暖化問題について世界中の多くの人たちが関心を示しており、実際に太平洋の島国の中には海面上昇による被害に遭うなどの影響が出ている一方で、その対応策を進めるうえでネックになるのが対応コストです。

 

しかし、これまで何度となくお伝えしてきたように、もしアイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・の要件を満たす発電装置が実用化されれば、エネルギー問題、および地球温暖化問題を解決出来るだけでなく、経済効果も計り知れません。

当然、損得勘定にシビアなトランプ大統領もアメリカのシェアガスやシェアオイル開発に依存するような雇用の創出から撤退せざるを得なくなり、この発電装置関連事業に向かわざるを得なくなります。

ですから、世界中のベンチャー企業の中から、こうした画期的な発電装置の開発に挑戦する企業が出て来て欲しいと思います。


 
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2017年06月11日
No.3726 ちょっと一休み その598 『民主政治を危うくする最近の安倍政権の対応!』

最近相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計学園の問題が噴出しても、「安倍1強」と言われる安倍政権は大きく崩れず、5割前後の支持率が続き、戦後第3位の長期政権になっています。

国内ではアベノミクスで掲げる政策の実現や少子高齢化問題など様々な問題を抱え、一方で世界情勢が目まぐるしく変わる中での“日本丸”のかじ取りなど、政権の安定そのものはとても重要だと思います。

 

しかし、最近とても気になることが起きています。

それは、加計(かけ)学園の獣医学部新設を巡る問題です。

いろいろと報道されていますが、ここでは、6月7日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)の内容を中心に以下にご紹介します。

 

国家戦略特区の獣医学部新設を巡る与野党の駆け引きが続いています。

加計学園の獣医学部新設問題で、「官邸の最高レベルが言っている」などと記された文書について、その出所が分からないとその存在を認めない政府、一方で文部科学省の現役職員の証言など新たなデータが次々に明らかになっています。

 

文部科学省は、加計学園の獣医学部新設に関連して作成されたとされる文書について、職員への聞き取りや共有フォルダーを調べた結果、5月19日に“存在は確認出来ない”と発表しました。

しかし、この直後に複数の職員が“文書は今も省内のパソコンに保管されている”と複数の審議官以上の幹部に報告していたことがNHKの取材で分かりました。

職員の証言によると、“報告を受けた幹部は「分かった」と応じた”ということですが、文部科学省はその後も国会などの場で“文書の存在は確認出来ない”という説明をしています。

また、説明責任を問われた菅義偉官房長官は6月6日、「文科省の判断」と繰り返しました。

 

なお、JNNの世論調査では、加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で、政府側の説明に納得出来ないという人が実に7割を超えました。

安倍内閣の支持率も9ポイント近く下がっています。  

 

以上、番組の内容を中心にご紹介してきました。

 

そもそも、なぜ国家戦略特区の獣医学部新設を巡るメールについて、発信者も送付先も実在の関係者である実際のメールが公開されているにも関わらず、政府はこれまでその存在を認めてこなかったのでしょうか。

 

私なりにいくつかのニュースや関連記事を調べた結果、以下のようなことが分かりました。

キーワードは“行政文書”です。

政府は、どんな内容であれ“行政文書”として認められないものは“存在しない”という解釈なのです。

 

一般常識として、例えば犯罪捜査においては、“行政文書”であろうが、なかろうが、残されたメモであったり、あるいは文書として残されていなくても複数の証言で明らかに誰かが犯罪を犯していることが分かれば罰せられます。

あるいは、一般企業においても、少なくとも会議の議事録などに記述された重要事項は、出席者のみならず必要に応じて上司や関係部門にも写しとして送付され、それに基づいて物事は進められていきます。

「官邸の最高レベルが言っている」ということは、所轄省庁にとっては、まさに重要事項です。

ですから、必要であれば、しかるべき立場の責任者から直接官邸に問い合わせて本当かどうかの確認が求められます。

また、こうしたメールは一般的に1年以上は保管の対象になります。

ですから、今回の政府の対応は、警察や一般企業においてはあり得ないのです。

ところが、この一般常識からかけ離れた政府の解釈こそが、国会審議を無駄に長引かせているのです。

こうした一般常識からかけ離れた今回の政府の対応に対して、国会答弁での政府側の説明に納得出来ないという人が7割を超えているのです。

 

では、政府がどのような対応をすべきだったのでしょうか。

官邸の最高レベル、すなわち安倍総理、および菅官房長官が、今回の件を否定するのであれば、今からでも「官邸の最高レベルが言っている」と文部科学省に伝えた本人を探し出して問いただし、国民にきちんと説明すべきなのです。

それを、“行政文書”ではないという文部科学省の言い分をそのまま受けた“官邸の最高レベル”による答弁は、到底多くの国民の理解を得られるものではありません。

 

今回の問題をこのまま幕引きにしてしまっては、事実を事実として受け入れない政権運営がまかり通ってしまう政治風土が出来上がってしまいます。

このことは、民主政治を危うくしてしまい、これまでの安倍政権の成果を帳消ししてしまうほどの国民への裏切り行為となってしまいます。

そればかりではありません。

事実を事実として認めない現政権への文部科学省の官僚の現政権に対する不信感、あるいは忠誠心の喪失といった影響を考えると影響の大きさは計り知れません。

 

少なくとも森友学園や加計学園関連の問題が出てくるまで、安倍政権は比較的安定した政権運営をされてきました。

是非とも、安倍政権には今からでも一般常識に則った対応をしていただきたいと切に願います。

                                                   

さて、ここまで書いてきた後、少しほっとする報道が出てきました。

遅ればせながらですが、松野 博一文部科学相は6月9日の閣議後の会見で、「総理のご意向」などと記載された文書について「国民から『追加調査を行う必要がある』という声が多く寄せられている」として追加調査する方針を表明したといいます。

是非、多くの国民の納得いくかたちでこの問題を収束させて欲しいと思います。


 
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2017年06月10日
プロジェクト管理と日常生活 No.492 『ネット時代の犯罪リスク その1 犯罪の温床“闇のサイト”!』

5月22日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でネット時代の犯罪リスクについて取り上げていました。

そこで、リスク管理の観点から2回にわたってご紹介します。

1回目は、犯罪の温床、“闇のサイト”(ダークサイト)についてです。

 

先日、世界150ヵ国を大規模なサイバー攻撃が襲いました。

日立製作所など様々な企業のパソコンがウイルスに感染して、金銭を要求する警告が表示されるなどの被害に遭いました。

近年、このように様々なサイバー攻撃が見られますが、その背景にある闇のサイトの存在があることが分かりました。

 

世界を襲った「身代金要求型」ウイルス、こうした企業を攻撃するウイルスが蔓延する背景にあると言われる闇のサイトの正体を番組は取材しました。

セキュリティ会社、株式会社スプラウトの高野 聖玄社長はダークウェブと呼ばれる闇のサイトの集まりを常にウォッチしているといいます。

なお、こうしたサイトにはユーザーの評価点数もあります。

 

ダークウェブとは、ある特殊なソフトを使った匿名性の高いウェブサイトの総称です。

検索サイトで探しても見つけることが出来ません。

アドレスを知っていて、更に匿名性を保つ専用のソフトを持っている人だけがアクセスすることが出来ます。

ダークウェブは利用者の特定が難しいため違法な商品が取引されている無法地帯なのです。

例えば、最高級の印刷技術で作った偽ユーロという宣伝文句の偽札も売られています。

更に、ウイルスソフトも売られているのです。

日立製作所をサイバー攻撃したものと同じタイプの「身代金要求型」ウイルス、ランサムウェアも売りに出されていました。

それだけではありません。

今回悪用されたウイルスの元の技術を言われているアメリカのNSA(国家安全保障局)から盗難されたとみられるツールも売られています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも利用者の特定が難しいため違法な商品が取引されている無法地帯、ダークウェブの存在は国際的な大問題です。

番組によれば、ダークウェブでは以下のようなものが売買されているといいます。

・麻薬

・わずか5ドルの拳銃

・およそ7ドルの爆弾の設計図

・最高級の印刷技術で作った偽札(偽ユーロ)

・ウイルスソフト

 

上記のような犯罪やテロにつながるものが商品として低価格で売買されてのですから、“闇のサイト”、ダークウェブは言わば犯罪の温床です。

なお、6月5日付け毎日新聞のネットニュース(こちらを参照)によると、他人のパソコンをロックして金銭などを要求する身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」を作成したとして、神奈川県警サイバー犯罪対策課などは中学3年の男子生徒(14歳)が不正指令電磁的記録(ウイルス)作成容疑などで逮捕されました。

逮捕容疑は今年1月、自宅のパソコンでランサムウエアを作成したとしています。

この少年はSNS上に投稿し、閲覧した人に少なくとも100回以上ダウンロードされた可能性があるといいます。

しかし、幸いなことにこれまでに少年の作ったランサムウエアによる感染や金銭被害は確認されていないといいます。

県警のサイバーパトロールで発覚したといいます。

ちなみに、6月6日付け読売新聞の朝刊記事によると、この少年は“闇のサイト”からかどうか分かりませんが海外のサイトを通じて攻撃先のデータを暗号化するウイルスの作製用ソフトをダウンロードし、金銭を要求するポッアップ画面が表示されるようにプログラムを作り上げたとみられています。

 

このように、一旦誰かがランサムウェアなどのウイルスソフトをダークウェブなどを通して入手し、SNS上などに投稿すると、ウイルスソフトは際限なく拡散してしまい、収拾がつかなくなってしまうのです。

ですから、こうしたサイトの防犯対策としては、以下のようなリスク対応策が求められます。

リスク対応策として、サイバー犯罪防止を目的とした国際的な監視機関を設置します。

また、この機関には世界中の最先端の技術を持った「ホワイトナイト」を集め、セキュリティ会社などと協業してダークウェブを発見しだい、すぐにサイト管理者と連絡を取り合い、ネット上から該当のサイトを削除出来る権限を与えます。

 

更に、コンティンジェンシープランとして、こうしたサイトの売買により、実際に犯罪行為が行われた場合には、長い刑期や高額の罰金を科すなど、割に合わないような重い罰則に基づいて対応するのです


 
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2017年06月09日
アイデアよもやま話 No.3725 進化するGPSの活用 その3 日本版GPS衛星「みちびき」が切り拓く未来!

3月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、および6月1日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)で進化するGPSの活用について取り上げていました。そこで、1回目と2回目は「ワールドビジネスサテライト」から、そして3回目はNHKテレビニュースからと、3回にわたってご紹介します。

2回目は宇宙産業の負の連鎖を断ち切る対策についてお伝えしましたが、3回目はその具体的な対策の一つとして、日本版GPS衛星「みちびき」が切り拓く未来についてです。

 

6月1日、鹿児島県種子島からの打ち上げが成功したH2Aロケット34号機、搭載されたのは日本版GPS衛星「みちびき」です。

この衛星により地上の位置を特定する精度が飛躍的に高まり、私たちの暮らしを大きく変えるかもしれません。

 

GPS(衛星利用測位システム)はもともとアメリカが軍事用に開発したシステムで、地球全体を31機の衛星でカバーしています。

衛星から届いた電波をもとに位置を特定しますが、高い建物に電波が遮られたり、大気の層の影響で電波が乱れたりしておよそ10mの誤差が出ます。

カーナビで道路から外れた場所を走っているように表示されたことがある人も多いのではないでしょうか。

「みちびき」は、一つの機体が1日当たり8時間程度、日本付近の上空に留まる特殊な軌道を飛行するため、電波を受けやすくなります。

GPS衛星と「みちびき」を組み合わせて利用すれば、誤差はわずか数センチ程度になります。

 

「みちびき」から得られるデータを活用しようという取り組みが既に始まっています。

その一つが道案内です。

従来のGPSでは誤差が大きく、敵わなかった目の不自由な人のための歩行者用ナビゲーションが進んでいます。

曲がるタイミングをピンポイントで教えてくれます。

物流の分野では「みちびき」を利用してドローンを自動飛行させる研究が進められています。

熊本県の天草諸島では約6.5km離れた場所への輸送に成功、船を運行しなくても輸送出来る手段として期待されています。

建設業界も期待を寄せています。

ある建設現場のショベルカーはアメリカのGPS衛星を利用し、操作の一部を自動化しています。

データと図面を組み合わせてオペレーターは基準に合わせた設計どおりの作業が出来るようになっています。

GPSを利用することで作業が軽減され、工期の短縮にもつながっているといいます。

しかし、課題もあります。

アメリカのGPS衛星だけでは誤差が大きく、正確な位置情報に補正するため、現場周辺に電波の発信機を設ける必要があり、コストがかかります。

「みちびき」が実用化されれば、こうした設備が必要なくなると期待されています。

 

位置情報を得られる衛星は、中国やインドなどでも開発が進められています。

特に中国は「北斗」という名前の衛星をこれまでに20機打ち上げました。

中国は2020年までに35基体制にすることを目指していて、アジア各国でサービスを普及させようとしています。

 

日本版GPS衛星の「みちびき」は、7年前に試験的に1機(参照:アイデアよもやま話 No.1627 G空間EXPO 2010に行って来ました!)、そして6月1日に1機が打ち上げられました。

そして今年中にあと2機が打ち上げられる計画で、これらは日本からオーストラリア上空にかけて周回し、4機体制が整えば、常に1機以上が日本付近の上空を飛行するようになり、電波を受けやすくなります。

更に、大気の層の影響を修正する機能もあるため、より正確な位置情報を得ることが出来るのです。

来年の春以降に実用化する予定で、活用に向けて企業などの動きが活発になっています。

 

なお、この「みちびき」のために投じられる予算の総額はおよそ2800億円、まさに国家プロジェクトです。

「みちびき」を運用する内閣府は、2020年には経済効果が1年で2兆円に上ると試算しています。

内閣府の守山 宏道参事官は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「無人化や省力化を進めていくことを通じて新しい産業創出の起爆剤になるんじゃないかと。」

「加えて、「みちびき」はアジア太平洋地域を飛んでいますので、こういった地域における新サービスの創出につなげていくことが出来ますし、重要な取り組みだと考えています。」

 

しかし、こうしたサービスに向けた課題もあります。

トラクターなどの自動運転で求められる誤差数センチという精度を出すためには、受信機の価格がまだ100万円を超えているといいます。

これをどれだけコストダウン出来るかが普及のカギを握っているといいます。

 

また、「みちびき」は日本国内のみならずアジアやオセアニアでの活用も検討されていますが、GPSの国際展開を巡っては日本はやや出遅れているといいます。

最大のライバルは中国です。

先ほどもお伝えしたように、中国はアジアでのサービスの普及のため国を挙げて取り組んでいるのです。

野村総合研空所の八亀 章吾さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「中国も独自の衛星測位網を日本よりも速いスピードで構築していて、ただ単に衛星を打ち上げるだけじゃなくて、重要になってくる地上のインフラの部分も彼らの国費を使いながら、新興国に対して整備を進めていると。」

「場合によっては東南アジアなど新興国の学生を中国の大学に入れて、測位衛星の技術を学ばせて彼らを自国にまた戻してというような人材育成にも力を入れていると。」

「ここら辺の差というのを今後日本がどう埋めていくのかというのが大きな課題になるのかなと思っております。」

 

位置情報の精度は日本の方が高いのですが、中国は各国への取り組み方がとても戦略的だといいます。

最近盛んな宇宙ビジネス全体に言えることですが、打ち上げの成功はあくまでもスタート地点で、肝心なのはその後だと番組では指摘しています。

国内外でサービスをどう広めていくのか、また巨額の予算をつぎ込んだ「みちびき」の可能性をどう引き出していくのか、今後の戦略が重要になっていくといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

「みちびき」により、誤差数センチの精度で位置が特定出来るのですから、ドローンの自動運転など明らかに新たなビジネス分野が開拓され、私たちの暮らしを便利にしてくれます。

一方、トラクターなどの自動運転で求められる誤差数センチという精度を出すためには、受信機の価格がまだ100万円を超えているといいますが、これについてはアイデアよもやま話 No.3723 進化するGPSの活用 その1 現在位置を誤差数cmで把握出来る低価格のGPSシステムの登場!でもご紹介したように既にコストダウンが実現されています。

 

また、番組でも指摘されている課題として、中国とのビジネスの各国への取り組みの違いがありますが、残念ながら中国の戦略的な取り組みの方が優れているように思います。

個々の技術の進化を追い求めるのではなく、国内外を問わずどのような暮らしを提供するのか、そしてその暮らしをどのようなプロセスで実現させるのかを戦略的に、あるいはシステムとして明確に描いたかたちでビジネスを展開することが日本政府、あるいは個々の企業に求められているのです。

 

一方、誤差数センチの精度で位置が特定出来る技術は、軍事面への応用も当然考えられます。

ですから、こうした技術に対しての軍事的利用の制限を国際的に加えることも求められるのです。

いつの世にあっても、便利な技術は私たちの暮らしを豊かにしてくれる一方で、私たちの暮らしを脅かす存在となり得ることを忘れてはならないのです。


 
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2017年06月08日
アイデアよもやま話 No.3724 進化するGPSの活用 その2 宇宙産業の負の連鎖を断ち切れ!

3月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、および6月1日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)で進化するGPSの活用について取り上げていました。そこで、1回目と2回目は「ワールドビジネスサテライト」から、そして3回目はNHKテレビニュースからと、3回にわたってご紹介します。

2回目は、宇宙産業の負の連鎖を断ち切る対策についてです。

 

宇宙で取ったデータ、そして地上で取ったデータを組み合わせたビジネスモデルがどんどん出て来ている状況の将来性について、番組コメンテーターで日本総研理事長の高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「将来性はすごくあると思いますね。」

「宇宙ビジネスというとGPSが典型ですが、それ以外に衛星放送、衛星通信があって、最近は例えばGPSではなくて宇宙から観測して植物の生育状況をを見て、それを田んぼごとに分けて見るとか、それで生育の悪いところだけ肥料ををあげるとかですね。」

「それから、漁業で例えば養殖で使うとかいろんな使い方が出来るようになってきて、宇宙関連ビジネスってすごく広がっていくだろう。」

「それに伴って、例えばロケットを打ち上げるとか衛星を沢山飛ばすとかということ自体もビジネスとして拡大していくだろうと。」

「ものすごく今、世界でも期待されているんですね。」

「ところが、実は私は政府の宇宙産業振興小委員会の座長をやってましてね、そこで見ていると日本の宇宙産業って必ずしもそんな順調に育って行かないぞと言わざると得ないんです。」

「まず日本の宇宙産業ってJAXAだとかいろいろ出てきますけど、基本的には大きな衛星を大きなロケットで打ち上げるっていうビジネスなんですが、日本政府はもうお金がないこともあって所詮小さなマーケットなんですよ。」

「みんな政府だけに頼っていた宇宙ビジネスなんですね。」

「高々3千数百億円のマーケットなので非常にコストが高いし、コストが高いので(競争力がなく、)海外でビジネスをすることも出来ないんですね。」

「それからマーケットが小さいのでそもそも民間企業も入ってこないと。」

「宇宙ムラだけで閉じていたマーケットだったんです。」

「ところが、今いろいろ言われているビジネスは、実は民間企業が出て来ていろんなサービスをしようってことなんですよ。」

「だけど、負の連鎖があってそもそも民間企業の投資もしないような状況なので、負の連鎖が断ち切れない限りはなかなかここ(民間企業の投資や市場開拓)が育っていかないですね。」

「(どこから負の連鎖を断ち切ることが出来るかという問いに対して、)政府のお金って増えないですから、ここ(官需)を期待しても駄目なんですよ。」

「そうすると海外需要を開拓するか、あるいは日本の中でマーケットをつくる、例えば最近ですと小さな衛星を小さなロケットで打ち上げて、それを何十個、何百個も打ち上げてそこからビジネスをするっていうモデルが今出来始めているんですね。」

「そこだと日本も民間企業が参入出来るかもしれない。」

「実際にさっきGPSでいろいろあったようなのは、民間企業の中でそういうマーケットを育ててみようという人が出てきた。」

「もう一つは、小型の衛星とかは日本でも育てられないといけないですね。」

「キャノンがですね、大きな企業がこのマーケットに参入しようかなと言っているんですよ。」

「ですから、私はそういうところを期待したいんですよ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前お伝えしたように、特に先進国においては、“資本主義の終焉”(参照:アイデアよもやま話 No.3565 マイナス金利政策に見る資本主義からの脱却の必要性!)と一部の専門家が指摘しているように、需要の飽和状態に陥っています。

 

ですから、今、宇宙はマーケットの新たなフロンティアとして注目されているのです。

私が注目するのは、宇宙産業の中でも人類が宇宙空間、あるいは他の惑星での継続的な生存につながるビジネスです。

具体的には月旅行などへの宇宙旅行です。

そこまでいかなくても、宇宙エレベーター(参照:アイデアよもやま話 No.2077 いよいよ2050年には宇宙エレベーターが実現!?)などは宇宙空間から地球を眺めることが出来るというこれまでにない画期的な観光事業になります。

 

以前ご紹介したように、既にアメリカでは火星移住計画(参照:アイデアよもやま話 No.3020 人間のフロンティアはどこまで広がるのか その1 火星移住計画!)が民間企業により着々と進められています。

 

遠い将来、惑星衝突、あるいは何らかの地球の異変により人類が地球上で生存出来なくなる可能性があります。

ですから、宇宙ビジネスは単なるビジネスというだけでなく、人類の存続もかかっている重要な意味合いもあるのです。


 
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2017年06月07日
アイデアよもやま話 No.3723 進化するGPSの活用 その1 現在位置を誤差数cmで把握出来る低価格のGPSシステムの登場!

3月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)、および6月1日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)で進化するGPSの活用について取り上げていました。そこで、1回目と2回目は「ワールドビジネスサテライト」から、そして3回目はNHKテレビニュースからと、3回にわたってご紹介します。

1回目は、現在位置を誤差数cmで把握出来る低価格のGPSシステムの登場についてです。

 

現在、複数のメーカーが自動運転のトラクターを開発中で、実用化も目前と言われています。

その自動運転のカギとなるのがGPS衛星です。

スマホやカーナビでおなじみのGPS技術は複数の衛星から出た電波を使って現在位置を知るという仕組みです。

 

今、このGPS技術を活用して様々な既存産業を変える挑戦が始まっています。

東京を巡る観光バス、はとバス、バスに乗った外国人観光客が耳に付けているのは観光スポットを紹介する音声案内がGPSと連動して自動で流れるガイドシステム、英語や中国語など8ヵ国に対応しています。

バスが東京タワーに近づくと東京タワーに関するガイドが自動で流れます。

バスにはGPSの受信装置と音声案内が収録された端末、すなわちGPS付きガイドシステム「TOMODACHI」が設置されています。

事前に案内を流す場所を設定しておき、バスがその場所まで来るとGPSが認識し、音声が流れる仕組みです。

GPSはバスの進行方向を認識出来るため、左右の景色に沿ったきめ細やかなガイドが出来ます。

 

はとバスに技術協力をしたのは音声認識技術を開発する株式会社フュートレックです。

GPSによる最大のメリットが交通渋滞に対応したガイドが出来ることです。

フュートレックの事業推進本部の藤井 則次さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(バスが)スムーズに進行した場合には短くガイドをします。」

「それから、渋滞がある時にはガイドを長めにするというような機能が付いているんですね。」

 

はとバスはGPS付き自動ガイドシステム「TOMODACHI」を導入するツアーを今後増やす予定です。

はとバスエージェンシーの商事事業課の小野寺 直治さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やはりガイドさん、ドライバーさんの手間をかけずに外国人客にガイドを出来るのは大きなメリットになっていると思います。」

 

今、このGPSの活用を様々な分野に広げる取り組みが進んでいます。

2月末、横浜市内で開かれたのは、日本初の民間による宇宙ビジネスのシンポジウム「SPACETIDE 2017」です。

今回のイベントは、内閣府・経済産業省・文部科学省・JAXAなど国が全面的にバックアップしています。

この日、GPSの活用を更に広げる技術を開発したがマゼランシステムズジャパン株式会社(兵庫県尼崎市)の小西 覚さんが登壇し、次のようにおっしゃいました。

「衛星測位、高精度測位を使って自動運転や無人運転しようという量産化の段階に入ってますので・・・」

 

社員20人ほどのマゼランシステムズジャパン株式会社は、トラクターなどの現在位置を誤差数cmで把握出来るGPS受信装置を開発しました。

精度の高い装置は他社も開発していますが、注目すべきは10分の1以下という価格の安さです。

普通のGPSは複数の人工衛星から送られる信号を受信装置で捉えて場所を特定しますが、大気や建物などの影響を受け、数mから10mほどのズレが生じやすくなります。

そこで、マゼランシステムズジャパンが考えたのが近くに簡易的な基準局を設置する方法です。

基準局からも信号を出し、位置を補正することでズレは数cm以内に収まるといいます。

この技術を応用すれば、農業以外にも道路工事などの建設分野やフォークリフトといった物流分野などに活用出来る可能性もあるのです。

 

しかし、高い精度をなぜ安く提供出来るのでしょうか。

実は、受信装置の部品には民生品を使っています。

その分精度が落ちる欠点がありますが、それを補うソフトウエアを独自に開発したのです。

GPS受信装置の基盤の価格は10万円ほどで従来品の10分の1以下といいます。

 

GPSと連動して自動運転する実験用小型車は京都大学と共同で検証を進めています。

実は、こうした車両を自動で真っすぐ走らせるのは難しいといいます。

路面が凸凹だと真っすぐ走らないのです。

そこで、ジャイロセンサーや加速度センサーを使って車両の姿勢などを自動で修正する装置を開発しました。

こうして受信装置やアンテナなどと合わせて数十万円程度の価格を実現しました。

マゼランシステムズジャパンの岸本 信弘社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「非常に多岐に渡る作業が無人化出来る。」

「量産ベースでは恐らく今年が元年。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

はとバスの例にもあるように、GPSによりバスの走行位置が特定出来るようになり、ガイドもその位置に合わせて柔軟に内容を変えていくという自動化が既に図られているのです。

このサービスは、以下の観点から今後とも更に内容の充実が期待出来ます。

・どのはとバスに乗っても、乗客は十分に内容の練られたガイドを聴くことが出来る

・乗客は、交通渋滞などに対応してよりきめ細かなガイドを楽しむことが出来る

・複数の外国語対応により、海外からの観光客も十分にガイドを楽しめる

・自動音声によるガイドによって、これまでのようにガイドさんが多くの観光コースのガイドの内容を憶えなくてもよくなる

 

しかし、一方でこうした自動ガイドにより、既存のガイドさんは職を奪われることになります。

でもこうした流れは、今に始まったことではなく、テクノロジーの進化によりヒトと機械やAI(人工知能)、あるいはロボットとの業務の住み分けが変わっていくのが世の常なのです。

それでも、その分、これまで出来なかったような観光バスの通る道筋のよりきめ細やかなガイドの内容を検討することが出来ると言ったように、これまで出来なかった業務が出来るようになるのです。

 

さて、一般的なGPSは数mから10mほどのズレが生じやすくなるといいますが、現在位置を誤差数cmで把握出来る低価格のGPSシステムが登場してきました。

技術革新がGPSの既存の機能を進化させ、しかも低価格で利用出来るようになり、その結果、新たに様々なビジネスの誕生を可能にするのです。

 

ここで注目すべきは、通常こうした革新的な製品やサービスの誕生はベンチャー企業から生まれ易いのです。

ですから、ベンチャー企業が活動しやすい環境づくり、あるいはベンチャー企業への様々な支援がとても重要なのです。


 
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2017年06月06日
アイデアよもやま話 No.3722 無人レジを巡る動き その2 アマゾンが進める“レジ無しショップ”の社内実験!

最近、ドライバー不要の自動運転車に大きな関心が寄せられています。

そうした中、”無人コンビニ”に関する2つの情報に触れたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、アマゾンが進めるレジ無しショップの社内実験についてです。

 

5月10日、「Japan IT Week 2017」(東京ビッグサイトで開催)に出かけました。

今回ご紹介するのは、アマゾン ウェブ サービス ジャパンの長崎 忠雄社長による基調講演の内容のごく一部です。

 

ご存知のように、アマゾンは今やインターネット、あるいはクラウドを活用した様々な分野に事業展開をされております。

そうした中、私が特に注目したのは基調講演で説明された“Amazon Go”という現在開発中の新たなサービスです。

 

これまで アイデアよもやま話 No.3638 進むレジの無人化 レジロボ!などでレジの無人化についてお伝えしてきましたが、講演ではアマゾンとして新しいかたちの店舗のスタイルを以下のように具体的なかたちで進めていると伝えていました。

・レジのないコンビニ

・シアトルにてテスト出店

・各種認証技術の活用

 

一般的にレジの無人化を考える場合、すぐに思い浮かぶのは各商品にICタグを取り付け、それらを読み込んで清算するというものです。

ところが、こうした方法にはとても手間がかかってしまうという弱点があります。

アマゾンではこうした欠点を解決する方法を考えました。

具体的な仕組みについてもう少し知りたくなり、講演後にアマゾンの展示ブースに立ち寄って説明員の話を聴くことにしました。

すると、商品の置かれている棚全体を秤として位置付け、商品を手にした前後の重さの差から、あるいはその他にセンサーを使うなどして、どの商品をいくつ買い物かごに入れたかが分かるようにしたということでした。

なお、誰が購入者かの識別については、顔認証技術を使用しているとのことでした。

ですから、店内に入ってきた時に、誰が入ってきたかが識別出来、買い物を済ませてお店を出ていった時に誰がどの商品をいくつ買ったかが分かり、あらかじめ会員登録時に、顔と同時にクレジットカードや銀行口座などの情報をもとに決済することが出来るというわけです。

 

こうしたレジ無しの細かな仕組みについては、説明員の方も知らされていないということでしたが、個々の商品にICタグを付けなくてもレジ無しで買い物が出来るというサービスは買い物客のみならずお店にとっても大いにメリットがあります。

 

しかし、アマゾンの進めるレジ無しショップには以下のような考慮点があります。

・探している商品の有無や商品棚など買い物客からの問い合わせ対応

・賞味期限切れ間近の商品の割引に対する対応

・商品の窃盗防止対策

 

こうした考慮点への対応について、アマゾン本社では当然検討中と思われますが、買い物客の一人として、全てを解決し、出来るだけ早くレジ無しショップを実現させていただきたいと思います。


 
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2017年06月05日
アイデアよもやま話 No.3721 無人レジを巡る動き その1 静脈認証で決済する世界初”無人コンビニ”が韓国で登場!

最近、ドライバー不要の自動運転車に大きな関心が寄せられています。

そうした中、”無人コンビニ”に関する2つの情報に触れたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、静脈認証で決済する世界初の”無人コンビニ”についてです。

 

5月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」で世界初の”無人コンビニ”について取り上げていたのでご紹介します。

スーパーマーケットやレンタルビデオショップなどではセルフレジが見られるようになってきましたが、韓国では世界初という”無人コンビニ”が登場しました。

 

5月16日、韓国のロッテグループ系の運営会社が”無人コンビニ”、セブンーイレブンシグネチャーをソウルにオープンしました。

”無人コンビニ”に入るためにはクレジットカードと手の静脈の登録が必要です。

そして、店のゲートに手をかざすと3秒ほどで静脈を読み取り、ゲートが開きます。

商品を置いている棚などは普通のコンビニと変わらないのですが、飲み物の棚に近づくと自動でガラス扉が開きます。

商品を買い物かごに入れ、レジに向かうと無人のレジ、そこで商品をベルトコンベアのような装置に通すと360度から読み取れるセンサーがバーコードを読み取り、請求金額を表示します。

そして、静脈読み取り装置に手をかざすと、決済完了です。

運営企業によると、静脈認証で決済する”無人コンビニ”は世界初といいます。

 

もし、静脈登録していないお客が”無人コンビニ”に入ると、すぐに警備会社に通報されるシステムで、AI(人工知能)付き防犯カメラも付いています。

このカメラの映像と静脈登録した情報から万引き犯の追跡が可能だといいます。

 

この”無人コンビニ”を導入する狙いについて、コリアセブンの企画部門長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「単純なレジ業務を減らし、商品陳列など他の業務に時間を使えて、労働の質が高まる。」

「一般の店舗ではなく、オフィスビル内の店舗で”無人コンビニ”を検討している。」

 

店側が人件費を圧縮するために、お店の無人化は選択肢の一つになるといいます。

しかし、課題もあります。

この”無人コンビニ”は高層ビルの31階にあり、利用者は基本的にビル街のオフィスの関係者に限られます。

出店場所は限定されそうだというのです。

 

”無人コンビニ”は人件費圧縮の切り札になるのでしょうか。

”無人コンビニ”の可能性について、番組コメンテーターで、レオス・キャピタルワークス社長の藤野 英人さんは次のようにおっしゃっています。

「日本で地方を回ると、多くの経営者から相談を受けるんですよね。」

「仕事は十分にあるのに、若者が不足していると。」

「それによって、仕事をこなせないという話があります。」

「だから結果的に労働力の不足している地方ほど韓国でやっているような”無人コンビニ”のニーズがあると思います。」

「この巨大な無人販売機を動かすためには、“自動レジ”とかICタグとかAIとか防犯カメラとか沢山の技術が必要です。」

「でもそれは結果的に需要を促進し、関連テクノロジーとか産業のすそ野も大きいんじゃないかなと思います。」

「これはかなり未来に広がる技術、産業じゃないかなと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一般的なコンビニのプロセスと今回ご紹介した”無人コンビニ”で対応する技術との関連を以下にまとめてみました。

・商品の特定:商品ごとにバーコードの取り付け

・購入者の特定:クレジットカードと手の静脈の事前登録

・万引き対策:AI付き防犯カメラの設置と警備会社との連携システムの導入

・入店時のチェック:静脈認証

探している商品の有無など買い物客からの問い合わせ対応:(番組からは不明)

・レジでの購入商品の清算:360度から読み取れるセンサーが商品のバーコードを読み取り、請求金額を表示

・決済:静脈認証と事前登録済のクレジットカード番号と紐付け

・不審者の発見・通報:事前登録していないお客が”無人コンビニ”に入ると、すぐに警備会社に通報

・万引き犯の追跡:AI付き防犯カメラの映像と静脈登録した情報から万引き犯を特定して追跡

 

どのような”無人コンビニ”も上記のようなプロセスが必要です。

ですから、それぞれのプロセスに対応した技術の進化により、店舗の生産性の向上、および購入者の手間や買い物時間の短縮が図られると期待出来ます。


 
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2017年06月04日
No.3720 ちょっと一休み その597 『食事から見た高齢男性の死亡率の比較!』

3月31日(金)放送の「深層NEWS」(BS日テレ)で食事から見た高齢男性の死亡率の比較について取り上げていたのでご紹介します。

 

同居する家族と一緒に食事をしないと、死亡リスクが1.5倍になるという調査結果が3月27日に発表されました。

東京医科歯科大学などの研究チームが全国の65歳以上の男女およそ7万人を対象に調査を行いました。

その結果、家族と暮らしていて、家族と一緒に食事をしている男性の死亡リスクを1とすると、一人暮らしで一人で食事をする男性の死亡リスクは1.18となりました。

更に、家族と暮らしていながら何らかの理由で一人で食事をする男性の死亡リスクは1.47という結果になりました。

比較対象のために、もう一つの調査があります。

それは、一人暮らしで友人などと食事をする男性の死亡リスクで、驚くことに0.84という結果でした。

 

なぜ、家族と同居で一人で食事をする男性の死亡リスクが最も大きいのか、その理由について、今回の調査チームのメンバーである東京医科歯科大学の谷 友香子研究員は次の2つの要因があると考えています。

1.栄養面

 一人暮らしの男性が一人で食事すると出来合いの食品になりがちになるので栄養が偏り易い

2.精神面

 家族と暮らしているのに、食事の時だけ一人という寂しさがストレスとなって死亡リスクが高まる

 

なお、女性の場合、一人で食事をしても死亡リスクには大きな差はないと結果になっています。

その要因について、谷さんは次のように考えています。

・自炊ができ、栄養が偏らない

・食事以外で友人と集まる機会が多い

 

こうしたことから、谷さんは次のような提案をしています。

・家族や近隣の人と一緒に食事をすることを勧める

・自治体などが会食を催すことで、高齢者の健康維持につながる効果もある

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組の内容から長寿要因として以下の要因が分かります。

・栄養バランスの取れた食事

・家族や友人、知人とのコミュニケーション

 

そして、家族と同居の高齢男性が食事の時だけ一人との場合が1.47と最も高い死亡リスクで、一方一人暮らしで友人などと食事をする男性の死亡リスクが0.84という結果から、栄養バランスの有無よりも友人、知人とのコミュニケーションの多さの方が長寿要因としての比重が重いと考えられます。

 

ところが、女性にはこうした死亡リスクに大きな差が見られないといいます。

では、なぜ女性はおしゃべりなのかということですが、ネット検索したら以下のような記述を見つけました。(こちらを参照)

・女子の脳は、その仕組み上、おしゃべりせずにはいられない作りになっていること

・女子の脳をスキャンしてみると、男性の脳に比べて話す事や言語に関する部分が、非常に活発に動いている

・この違いは、すでに幼児期のうちからハッキリと現れている

 

しかし、男女になぜこうした違いが生じてきたのか、その根本的な理由はよく分かりませんでした。


 
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2017年06月03日
プロジェクト管理と日常生活 No.491 『表層地盤上の木造住宅に求められる耐震設計の見直し!』

4月9日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)で表層地盤上の木造住宅のリスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

近い将来、発生が懸念される首都直下地震、そうした中で地震による木造住宅への影響について新たな事実が明らかになりました。

家などが建つ地表からおよそ100mまでの表層地盤について、国の研究機関が初めて関東地方について詳しく分析しました。

すると、木造住宅に大きな影響を与える揺れが局所的に表層地盤で増幅され、これまでの想定の1.5倍以上に強まる可能性のある地域が5000ヵ所あまりに上ることが分かりました。

 

昨年4月14日に発生した熊本地震で震度7を2度観測した益城町では住宅の3割近くが全壊しました。

表層地盤によって局所的に揺れが強まって大きな被害につながったと見られています。

表層地盤が揺れにどう影響するのかについて、軟らかい地盤が薄いと揺れはそれほど増幅されずに地表に達し易く、逆に軟らかい地盤が厚いところでは周期の長いゆっくりとした揺れが増幅され易くなります。

益城町では、軟らかい地盤の厚さ10mくらいの地域で木造住宅に影響を与える揺れが特に強まったと見られます。

建物ごとに揺れや周期が異なり、木造住宅では周期1秒前後の揺れが大きな影響を与えるとされ、益城町では局所的に2倍以上に強まったと見られています。

 

では近い将来、首都直下地震の発生が懸念される関東地方の地盤はどうなっているのでしょうか。

現在公開されている、揺れ易さを示した国の地図では、表層地盤については主に地形をもとに推定しているため、より細かな地域ごとの揺れの増幅の影響が十分に反映されていない可能性があるということです。

 

そこで、防災科学技術研究所の研究グループは、関東地方の1万ヵ所以上で行った高性能の地震計による調査やおよそ28万件のボーリング調査のデータから表層地盤を詳しく調査しました。

その結果、250mごとに分析した結果、関東の平野部のおよそ4分の1の地域で木造住宅に影響の大きいと考えられる周期の揺れがこれまでの想定より強まる結果となりました。

更に、5000ヵ所あまりでこれまでの想定より1.5倍強まる可能性のあることが分かりました。

 

東京都台東区内の住宅街では、これまでと比べて揺れは2.7倍になり、都内で最も大きくなっています。

一方、商業ビルや住宅が立ち並ぶ東京都港区内の地域でも、場所によってこれまでの2.6倍に揺れが強まる結果となっています。

かつて川が流れていた場所で、軟らかい粘土質の土が堆積していると見られるためと分析しています。

 

分析した、防災科学技術研究所の先名 重樹主幹研究員は、従来の被害想定の見直しが必要だと指摘しており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(こうした地域では)震度が1段階変わる、6強が7になる可能性もあります。」

 

「(国や自治体は)適切な揺れ易さの検討を行い、被害想定などを作り直す必要があるかと。」

「リスクは防げると思いますので補強をするとか壁を入れるとか、そういったことをした方がいいと考えられます。」

 

新たに明らかになった地盤の影響、防災科学技術研究所では年内にも揺れ易さの地図を作り、公開したいとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで漠然と建物の地震対策をしてきましたが、昨年4月14日に発生した熊本地震で震度7を2度観測した益城町の大きな被害をきっかけに、表層地盤によって局所的に揺れが強まって大きな被害をもたらすことが分かりました。

そして、防災科学技術研究所の研究グループによる関東地方での表層地盤の詳細な調査の結果、関東の平野部のおよそ4分の1の地域で木造住宅に影響の大きいと考えられる周期の揺れがこれまでの想定より強まる結果となりました。

 

こうした調査結果から、首都直下地震の発生が懸念される関東地方に限らず、国内各地での表層地盤の深さとの関連から想定される最大震度に対応する耐震構造の住宅建築が大地震のリスク対応策として求められるようになったのです。  

ですから、防災科学技術研究所により作られる国内各地の表層地盤との関連で揺れ易さの地図を公開し、それに対応した住宅建築の建築基準を設定し、それに適合した住宅建築が大地震のリスク対応策として進められなければならないのです。


 
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2017年06月02日
アイデアよもやま話 No.3719 求められる人手不足と雇用のミスマッチ対策!

3月9日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で人手不足と雇用のミスマッチについて取り上げていたのでご紹介します。

 

景気ウォッチャーによるアンケート調査には以下のようなコメントが寄せられています。

1.求人出しても人が来ない

2.より良い条件を求める求職、転職が多い

3.派遣から直接採用へ、正社員化

4.景気は普通だが、求人は増加

5.好条件だが、スキルが合わない

 

上記について、番組コメンテーターで日本総研の理事長、高橋 進さんは、次のようにおっしゃっています。

「景気ウォッチャー調査って、景気だけでなくいろんなことをアンケート調査しているんですが、その中に雇用のアンケート調査もあるんですよ。」

「で、雇用のところを見たんですけど、結構面白いこと出てくるんですよ。」

「(人手不足について、)例えば求人出しても人が来ない、実はこの続きがあって、だから求人止めたっていうんですけどね。」

「(上記の1、3、4は)構造的な人手不足を裏付けていまよおね。」

「ところが一方で、2と5を見ていただきたいんですが、いわゆる人手不足とはちょっと違う別の構造要因が見え始めているなって気がするんですね。」

「これって、ミスマッチですよね。」

「需要と供給があって、だから仕事が増えていくってよく言うんですが、どんどん求人はでるんだけれども、中々職に就けないミスマッチの問題、それから転職やスキルのことを考えると、もっと教育とか職業訓練を受けられるような体制になっていれば、もっとスムーズにマッチングが出来るんだろうと思うんですね。」

「(日本では社会に出た後に職業訓練をする機会が中々ないのではという問いに対して、)欧米だと大学が非常に重要な役割を果たしていて、新卒を送り出すだけではなくて、社会人をまた受け入れてリカレント教育(学校を終え就職した後も、必要に応じて教育を受けること)をしたり、いろんな教育をしてあげて、更にマッチングまでやってるところもあるんですね。」

「日本の大学って、これから生き残るのが厳しいって言われていますけども、大学のあり方をもっと根本的に変えて、社会人がどんどん大学に行って、学び直しをして、そこからまた新しい職に就いていくとかっていう機能を持たせたら随分変わると思うんですけどね。」

「よく労働市場の流動化っていいますけど、流動性を高めるためにも、やっぱりマッチング機能と職業訓練の機能ってすごく重要ではないかなと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも少子高齢化で今後とも拡大していく人手不足が経済成長の足かせになるという労働力における量的な問題、一方でAI(人工知能)などのIT関連を中心とした急速な技術革新に必要な人材の必要性という質的な問題の解決が急務となっています。

そうした中、番組コメンテーターの高橋さんのおっしゃるように、職業訓練とマッチングの機能を充実させていくことはとても重要だと思います。

具体的には、既存の大学や職業訓練校のみならず、企業が自社に必要な人材を有料で育成することを目的とした新たな組織を立ち上げることも考えられます。

並行して、AIやロボットの活用も求められます。

これは、単に人手不足の補完のみならず、こうした活用によって労働者に求められるスキルも変わって来ますから、大学などの教育機関はそうした状況も踏まえた教育内容に移行することも検討する必要性が今後高まって来ると思います。


 
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2017年06月01日
アイデアよもやま話 No.3718 夢の海中都市 その2 深海資源の活用!

3月4日(土)放送の「夢の扉」(BS−TBS)で夢の海中都市について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目の技術的に既に実現可能な海中都市に次いで、2回目は深海資源の活用についてです。

 

海中都市の実現に向け、技術を結集させる大手建設会社の清水建設(東京都中央区)の竹内真幸さん、深海は陸上にはない資源が眠る可能性が満ち溢れた場所だと考え、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「深海ということでものすごいポテンシャルがあります。」

「深いということを活かして電気も作れますし、真水も作れますし、資源やCO2の固定などいろいろなことが出来ます。」

 

では具体的にどのように深海を利用するのでしょうか。

例えば発電では、海面近くと深海の水温の差を利用します。

日本では既に海洋温度差発電実証プラントが沖縄・久米島で稼働しています。

その仕組みは、深海の冷たい水と海面近くの温かい水をくみ上げます。

そしてカギを握るのが液体フロンです。

わずか30℃の低温で沸騰します。

温かい海水で液体フロンを沸騰させ、発生した蒸気でタービンを回して発電するのです。

その後、冷たい海水で蒸気を冷やして液体に戻して再利用、半永久的に発電出来る海洋温度差発電というシステムです。

海中都市、オーシャンスパイラルは深海の力を利用した循環型エネルギー社会なのです。

 

更に、海底に眠る“宝”ともいわれる手付かずの資源を取り出す新たな技術の開発が進んでいます。

海底の資源を取り出す新技術をその目で確かめようと竹内さんがやって来たのは高知県にある国の研究機関、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の高知コア研究所です。

地球深部探査船「ちきゅう」に乗り、水深1000mの更に数百m下の土を採取しています。

人類が初めて手にする海底の土、そこには驚くべき生物が存在していたのです。

46万年前の地層に生息している緑色の微生物です。

こちらの研究所の研究所長代理の稲垣 史生さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この微生物は基本的には埋没した有機物を食べて、いろんな分解でみんな仲良くご飯を食べて最終的にはメタンを出す。」

「そのメタンはメタンハイドレートになっています。」

 

メタンガスと水が凍ったメタンハイドレートは“燃える氷”とも呼ばれ、次世代のエネルギー資源として期待されています。

太古の昔、海の底に生き物の死骸が堆積し、それらを微生物たちが分解、するとそこにメタンガスが発生します。

低温と圧力により、長い年月を経て固まったのがメタンハイドレートなのです。

稲垣さんたちが見つけたこの微生物、実はCO2だけでもメタンを生み出すことが出来るのです。

 

そこで竹内さんは考えました。

工場などから出る煙からCO2を取り出し、海底に送ります。

そこの微生物たちにCO2を与え、メタンガスを作らせ、エネルギーとして利用するのです。

CO2による地球温暖化を止め、石油の枯渇問題も解決出来るといいます。

早くも実現に向けて動き出しました。

竹下さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「CO2を取ってくる時、誰も文句を言わないわけです。」

「みんなCO2はいらないと思っているからね。」

「それで、深海はいっぱいあるし、深海にあるバクテリアも「それ私が使います」と言って、ずるいという人も誰もいないわけです、山ほどいますからね。」

「みんながいらないというものと、山ほどあるものを使って、こんな循環が出来るっていうところがすごくいいところなんですよね。」

 

そして、稲垣さんも次のようにおっしゃっています。

「それが地球にも人間社会にも優しいシステムであるというところがミソですよね。」

「で、よくよく考えると、それは地球本来の持っているシステムの延長上であったということなんだと思いますね。」

「一つのこういうビジョンを提示することで、それが大きなドライビングフォース(推進力)になるっていうことで人間社会に役立ちましたら、地球環境にも役立つし、すごくワクワクしますね。」

 

竹内さんの考えた海中都市は、地道に研究を進めている人々にとって一つの指針になると稲垣さんはおっしゃいます。

夢が研究や技術を前進させていきます。

 

ある日、竹内さんの勤める事業所にカリフォルニア州立工科大学の建築学科の学生たちがやって来ました。

日本の技術力で造られる海中都市に目を輝かせていました。

 

エネルギー、資源、環境、直面する課題に立ち向かうオーシャンスパイラルは未来を切り拓く希望と技術の集大成なのです。

この星に住み続けていくためにいったい何が出来るのか、それを絶えず考え続け、必要な技術を作り出すことが大切だと竹内さんは考えます。

番組の最後に、竹内さんは次のようにおっしゃっています。

「例えば東京を宇宙から見たとすると、地球ってちっぽけな一つの宇宙船、あるいは船に見えるってことですよね。」

「で、その中では光合成などで自活していかなければいけないと。」

「ところが、人間は賢くなると段々エネルギーをいっぱい使うし、廃棄物も出すし。」

「そうすると、また別の新しい発見が・・・」

「まだまだこの船の中で出来ることはいっぱいあるという感じなんですよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以下に番組で紹介された深海資源の活用についてまとめてみました。

・海洋温度差発電

・深海に眠るメタンハイドレートを次世代のエネルギー資源として活用

・工場などから排出されるCO2の有効活用

  CO2を消費することによる地球温暖化の進行の阻止

CO2を深海の微生物に与えてメタンを作成し、次世代のエネルギー資源として活用

 

なお、工場で排出されるCO2の有効活用については、アイデアよもやま話 No.3709 佐賀県で進む画期的な取り組み その1 日本初の清掃工場で発生するCO2を回収・活用する取り組み!、およびアイデアよもやま話 No.3710 佐賀県で進む画期的な取り組み その2 CO2を活用した佐賀市の町おこし!でもご紹介しました。

 

いずれにしても地球温暖化問題、あるいは化石燃料の枯渇問題は避けて通れないのです。

ですから、企業や国、地方自治体には様々な発電方法、あるいはCO2の有効活用法についての取り組みを試行錯誤しながらより優れた方法を目指して欲しいと思います。


 
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2017年05月31日
アイデアよもやま話 No.3717 夢の海中都市 その1 技術的に既に実現可能な海中都市!

3月4日(土)放送の「夢の扉」(BS−TBS)で夢の海中都市について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、技術的に既に実現可能な海中都市についてです。

 

広大な海、地球の面積の7割は海です。

その海の中に人が暮らす新たな都市をつくるというSF映画のようなプロジェクトが進んでいます。

地球温暖化による海面上昇、その危機から人類を救えるかもしれません。

清水建設の海洋未来都市プロジェクトリーダーの竹内 真幸さん(59歳)は海中都市を本気でつくろうとしています。

プロジェクトのもう一つの狙いは、海底に眠る手付かずのエネルギーです。

夢の実現に向け、日本の最新技術が集まりました。

 

大手建設会社の清水建設(東京都中央区)、人類の新たな移住先に海を選んだプロジェクトのリーダーを務めているのが竹内さんです。

温暖化による海面上昇の危機、住む場所を追われる人々を救うため、竹内さんはある構想をまとめました。

それがグリーンフロート構想、水や食料、エネルギーを自給自足しながら10万人が住める海上都市です。(参照:アイデアよもやま話 No.1634 日本を元気にする「グリーンフロート構想」!

 

太平洋に浮かぶキリバス共和国、およそ30年後には水没の恐れのあるこの国を2013年に竹内さんは訪れました。

竹内さんは自らのグリーンフロート構想を現地で伝え歩きました。

そしてアノテ・トン大統領(当時)が強い関心を持ち、実現に向けて動き出しました。

 

夢とは実現させる目標、それが竹内さんのモットーです。

更に竹内さんは海を舞台にした新たな構想を打ち立てました。

海中の未来都市、オーシャンスパイラルです。

海上に少し浮き出た海中都市の入り口、中に入ると海中都市の最上階、直径500mの球体です。

その下にあるのが私たちの暮らす場所です。

オフィスや研究機関も入っています。

直径500mの球体に5000人が居住出来ます。

そして、この球体の海中都市はらせん状の海中トンネルで海底とつながっています。

これは言わばライフラインです。

更に海底の施設では資源の掘削も行われます。

 

ところで、この海中都市は本当に造れるのでしょうか。

実は技術的には既に可能なところまで近づいています。

まず居住空間となる直径500mの球体を海辺のドックで組み立ています。

それを建設場所まで船で曳いていきます。

建設場所に球体を浮かせ、そこから重りをケーブルで下していきます。

海底に到達後、浮力のある球体を沈めるため海底からケーブルを引っ張ります。

これで球体を固定出来るといいます。

構造設計の中島 秀雄さんによれば、100年に1回ぐらいの巨大な台風の時でも震度2ぐらいの揺れに収まるので居住的には問題ないといいます。

 

では、どんなもので造るのでしょうか。

常に海水にさらされる海中都市、普通のコンクリートでは中の鉄筋が簡単に錆びてしまうため使えません。

でも竹内さんは鉄筋を使わず、普通のコンクリートよりも強度のある特殊なコンクリートを見つけました。

それが樹脂コンクリートです。

見た目はいたって普通ですが、作り方が全く違います。

樹脂コンクリートは水の代わりにある樹脂を混ぜて作ります。

それは不飽和ポリエステル樹脂で、使用済ペットボトルを再利用して出来るのです。

この樹脂コンクリートは普通のコンクリートに比べ耐火性が劣るため、これまで建材には不向きとされてきました。

しかし、海の中なら影響はないと竹内さんは考えたのです。

気になるのはその強度ですが、加重テストを行ってみると曲げ強度は普通のコンクリートの5倍以上、鉄筋がなくても強いのです。

更に酸性の温泉に漬けた実験で樹脂コンクリートは劣化しないことが証明されています。

こうして、最適な建材が見つかりました。

 

次なる課題は水圧に耐えられる強度を持つ窓です。

竹内さんは、沖縄美ら海水族館の巨大水槽を見て閃きました。

その水槽はアクリル製でした。

既に試作品が完成、厚さはなんと3m、この厚さが水深500mの水圧にも耐えられるといいます。

それでもクッキリとした透明度ではっきりと見えます。

 

実現に向け、着々と準備が整いつつある海中都市、ところが出来上がった後に深刻な問題が懸念されていました。

どう保守・メンテナンスするかが大きな問題になってきますが、その一つがフジツボといいます。

フジツボは小さな生き物のイメージですが、環境によってはかなり大きくなります。

もし海中都市でフジツボが繁殖したらトラブルを招く危険があります。

それを解決する手段を求め、竹内さんは兵庫県姫路市に向かいました。

株式会社セシルリサーチの社長、山下 桂司さんは35年前からフジツボの生態を研究、そしてその被害を減らす新たな方法を発見したのです。

 

フジツボの幼生は岩などに手の先で付着して、ここは住み易いとなったら本格的に変態が始まります。

ところが、フジツボが付着したところに藍色の波長の光を当てると、微生物、藻類、フジツボ類、そして貝類までほとんど付かないということが分かったのです。

そこで、海中に設置した板に藍色の光を照射すること2ヵ月、すると藍色の光が届いた箇所にはフジツボが付いていません。

実験を繰り返した山下さんはフジツボが特に嫌がる光の波長を特定し、その波長だけを出すLEDを使い、独自の“フジツボ撃退機”を開発しました。

こうしてフジツボから海中都市を守る技術も見つかりました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前ご紹介したグリーンフロート構想による太平洋上の海上都市、そして今回ご紹介した海中都市はいずれも今すぐに実現しなければ人類の存続に影響を与えるものではないと思います。

しかし、地球温暖化が進み、何十年後かに地球上の多くの地域が人類が住みにくい状況になった場合を想定すると、その対応策の有力候補の一つとして海中都市は現実味を帯びてきます。

そして、今回ご紹介したように技術的には既に実現可能になっているということにはほっとします。

 

更には、遠い将来、地球そのものが人類が住めないような状況になった場合を想定すると、海上都市、あるいは海中都市に限らず、持続可能な住環境を今のうちに構築しておけば、地球外、すなわち宇宙空間、あるいは月や火星など他の天体への移住をスムーズに出来るようになるのです。

そういう意味で、竹内さんたちの進めているプロジェクトは、ちょっと大げさにいえば人類の存続にとってとても重要な位置を占めているのです


 
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2017年05月30日
アイデアよもやま話 No.3716 難聴者も聞きやすい“曲面スピーカー”!

3月3日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で難聴者も聞きやすいスピーカーについて取り上げていたのでご紹介します。

 

2013年10月創業の株式会社サウンドファン(東京・浅草橋)が開発したのは難聴者の方も聞きやすい、そして健常者の方の場合も離れた距離でも明瞭度の高いのが特徴のスピーカーです。

その秘密はスピーカーの曲面にあるといいます。

この曲げる技術を応用したスピーカーが白と黒の「ミライスピーカー・カーヴィー」(商品名)です。

なお、WEB個人向け価格は22万円(税別)です。

 

さて、このスピーカーの原理について説明出来る方はまだいないといいます。

しかし、難聴の方およそ500人の8割の方が良く聞こえると答えた実証実験の結果が出ています。

結果が原理よりも先に出ているスピーカーなのです。

更に曲げる技術を応用して薄いフィルムで作ったスピーカーや遠くまで声が届くハンディメガホンなど、次々に開発を進めています。

サウンドファンの技術者、坂本 良雄さん(71歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「あんまりいい音じゃないんだけれども難聴者の方にはよく聞こえる。」

「なんでかという説明のつかないところが面白いっていう。」

 

なお、坂本さんは大手のオーディオメーカーで退職するまでスピーカー一筋で高音質を追求してこられました。

しかし、難聴者の方に“曲面スピーカー”を聞いてもらったところ、高音質とは言えないけれどもこの方がよく聞こえるということでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、3月18日(土)放送の「夢の鍵」(BS−TBS)でも同様のテーマを取り上げていたので以下に補足します。

従来のスピーカーは一点の振動版で音を出しますが、“曲面スピーカー”は曲面全体で音を出すのです。

ですから、オルゴールを曲げた紙や円筒状のゴミ箱に当てると音が大きく聞こえるようになるのです。

ある程度硬くて軽ければ何でもいいといいます。

 

なお、この“曲面スピーカー”は羽田空港で既に使われています。

混雑で騒がしい中、アナウンスが聞き取りにくい状況でも乗り遅れないように、日本航空の出発ロビーでは“曲面スピーカー”で最終案内をしているのです。

 

また、りそな銀行の東京中央支店でも窓口カウンターに“曲面スピーカー”が置かれています。

受付番号の呼び出しに使われているのです。

というのは、窓口の呼びかけが聞こえず、困っているお年寄りが多かったからです。

 

さて、誰でもどこでも聞こえやすい画期的なスピーカーを開発したサウンドファンの社長、佐藤 和則さん(60歳)ですが、音響の仕事は今回が初めてといいます。

でも、音楽は大好き、高校でドラムを始め、今も週に一度行きつけのお店で演奏しています。

とは言え、これまでの仕事はスピーカー開発とは何の接点もありませんでした。

大手メーカーの営業マンとして働き、その後独立し、企業コンサルタントに転身、転機となったのは4年前に聞いた驚くべき話でした。

名古屋学院大学の増田 喜治教授から、「古い蓄音機の方がお年寄りには聞こえやすいんだよ」と言われたのです。

開発のヒントとなったのは蓄音機の巨大なラッパの曲がりでした。

このことが不思議なスピーカーを生むきっかけになったのです。

 

佐藤さんはアイデアをかたちにしようと、音響のプロである元JVCケンウッドの宮原 信弘さん(71歳)に相談しました。

ベテラン技術者、宮原さんはCDプレーヤーやスピーカーなどの音響機器を開発、長年質の高い音を追い求めてきました。

ところが、佐藤さんの話を聞き、考えが変わったといいます。

佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「難聴者って今まで視野になかったところが、こういうところで発想を変えられたっていうところかね。」

「電気的なところからもっと人間の感覚に素直に届くようなスピーカーっていうのはあってもいいんじゃないかなと。」

 

こうして蓄音機の曲面を取り入れ、難聴者でも聞きやすいスピーカーの開発が始まったのです。

 

どうしても完成させたい、佐藤さんには開発を急ぐ理由がありました。

父親の次男さん(86歳)が脳梗塞の影響で思うように身体を動かせないことに加え、老人性の難聴で耳が遠く、ふさぎ込むようになっていたのです。

父親と同じような耳の不自由な高齢者に音を届けたい、これが佐藤さんの原動力なのです。

開発を始めて3ヵ月、試作機が完成、父親の耳にそれまで聞こえなかった音が届きました。

これで自信を深めた佐藤さんは、製品化を目指して2013年10月に会社を設立したというわけです。

ところが、そこに“原理が分からない”という壁が立はだかったのです。

そこで佐藤さんが取った秘策は、ちゃんとした実験データを取るために、浅草でおばあちゃんをナンパしたこともあったといいます。

文献がないなら自らデータを取る、そう決めた佐藤さんは怪しまれないように白衣を着て浅草に出没、お年寄りに声をかけ続けました。

更に、大学などにも協力を求め、500人にも及ぶ難聴者のデータを収集、その結果およそ8割の人が聞こえやすいと答えたのです。

地道な努力が実り、2015年ミライスピーカーという商品名で製品化されました。

今、老人福祉施設「福栄会」でも使われています。

よく音が聞こえる、とこちらの施設の入所者の評判も上々のようです。

 

こうして、“曲面スピーカー”は革新的技術と評価され、ビジネス・イノベーション・アワード2015など次々と賞を受賞しています。

佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「難聴者も健常者も分け隔てなく今まで以上に聞こえやすい環境を公共の場所に作りたいっていうのが今の夢ですね。」

 

誰もが聞こえやすい社会にしたい、その夢に向け、3月3日、耳の日に佐藤さんはより聞きやすく改良を加えた新機種を発表しました。

 

以上、最初にご紹介した番組の内容を補足してきました。

 

スピーカーは平面であるというのが従来の常識でした。

そうした中、なぜ“曲面スピーカー”を思い付いたのかとても興味がありましたが、そのきっかけが蓄音機の巨大なラッパの曲がりにあったという事実は意外でした。

そもそも名古屋学院大学の増田教授が、古い蓄音機の方がお年寄りには聞こえやすいと気付かなければ、そして佐藤さんがこの話を聞くことがなければ、“曲面スピーカー”の誕生にはつながらなかったのです。

物事に対する好奇心や感受性、そして人との出会いの重要性をあらためて感じます。

 

また、“曲面スピーカー”がなぜ難聴者の方にも聴きやすいのかその原理が解明されないというのもとても面白いと思います。

何事においても原理が解明されていないものは信用出来ない、あるいは従来の科学の常識に反した現象はあり得ないというような先入観を持つことは新しい発見の大きな妨げになります。

今回ご紹介した“曲面スピーカー”のように、世の中には理屈では説明出来なくても有用なモノは沢山あるのです。

ですから、従来の常識に囚われず、素直に現実を受け入れるという素直な気持ちになること、そして既存の常識に囚われている周りの人たちの反対にめげない強い気持ちを持つことが新たな発明にとってとても大切なのです。


 
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2017年05月29日
アイデアよもやま話 No.3715 教えなくても作業するロボット!

2月22日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で教えなくても作業するロボットについて取り上げていたのでご紹介します。

 

画期的なロボットを開発した東京大学の石川 正俊教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人間がちゃんと教えて同じ動きを何回もするというのが普通のロボットなんですけど、(自分の開発した)このロボットは教えなくてもいいんです。」

 

規則正しく動く産業ロボットですが、その動きをさせるためにやること全てをミリ単位以下で教え込ませる必要があります。

ところが、このロボットはその必要が無いというのです。

例えば、線の上で溶接するという指示を出せば、どんなかたちの線でも位置を確認して動いてくれるといいます。

 

その秘密はカメラにあります。

カメラが線の動きを高速で捉えて同じ動きをします。

カメラがコンピューターと一体化しており、画像処理の演算機能を全て備えているのです。

従来の高速画像処理はかなりの大きさを必要としましたが、ソニーと共同開発したことで小型化出来たのです。

消費電力もわずか0.4ワットと小型になったことで、工場の産業用ロボット以外にも実用化が期待出来ます。

例えば、防犯カメラにこの技術を応用すると、人がいない時にはデータを送らないで人がいる時だけ送るという判断をしてくれるのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

最近IoT(モノのインターネット)という言葉をあちこちで見たり聞いたりするようになりました。

これもシステム的に見れば、センサー、インターネット、AI(人工知能)、そしてロボットの組み合わせそのものです。

ですから、これまでセンサーなど単品としての機能に制約されていたものがIoTにより、こうした組み合わせによる複合効果で今回ご紹介した教えなくても作業するロボットなど、様々な用途に合った製品やサービスが可能になるのです。

実際に、自動運転車やドローンなどの開発はどんどん進んでいます。

 

一方、IoTの普及に伴い、多くの電力が使われるようになります。

ですから、地球温暖化阻止のためのCO2排出量の削減、あるいは化石燃料の枯渇問題の観点から省エネ、あるいは再生可能エネルギーの普及への配慮がこれまで以上に求められるのです


 
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2017年05月28日
No.3708 ちょっと一休み その593 『「社会に満足」過去最高66%!』

4月1日(土)付け配信の時事通信のネットニュース(こちらを参照)で『「社会に満足」過去最高66%』という記事に目が留まりましたのでご紹介します。

 

内閣府は4月1日、「社会意識に関する世論調査」を公表しました。

「現在の社会に全体として満足しているか」との質問に「満足している」と答えた人が前回調査比3.9ポイント増の65.9%に上り、2009年の設問開始以来最高を2年連続で更新しました。

「満足していない」は同3.9ポイント減の33.3%で過去最低でした。

 

実生活では、北朝鮮による核兵器開発の脅威や経済的なゆとりと見通しが持てない、あるいは子育てがしにくいなどの悩みを抱えている人が多いようですが、行き届いた健康保険制度や国民生活の最低保障など良質な生活環境が整っている状況がこうした調査結果につながっていると思われます。

 

しかし、何と言っても“国民生活の最低保障”、および“永久に戦争を放棄する平和国家”という国家の理念が最も国民に安心感を与えていると思います。

 

特にIS(イスラム国)のような過激派組織の台頭や北朝鮮の核兵器開発、中国による領土拡大の動きを見ていると、“戦争放棄”という理念の大切さ、重みを痛切に感じます。

 

単純に世界各国が日本と同様に“永久に戦争放棄する”という文言を憲法の条文に加え、その上でそれでも他国に侵入する国が出てきたらどうするかについて世界各国が検討を進めれば、世界中から戦争がなくなることも夢ではなくなるのです。

そういう意味で、現行の日本国憲法から“永久に戦争放棄する”という文言は全体にはずすことは出来ないのです。

同時に、日本は世界に向けて日本国憲法の持つ価値についての啓蒙活動を積極的に推し進めるべきだと思うのです


 
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2017年05月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.490 『プロジェクト計画における適材適所の重要性!』

ここのところプロジェクト管理の中でも最も重要なリスク管理に関する内容を多くお伝えしてきましたが、今週はプロジェクト計画における適材適所の人材配置の重要性に触れる内容のアイデアよもやま話があったのでこうした観点に焦点を当ててご紹介します。

                      

まず一つ目は、アイデアよもやま話 No.3709 佐賀県で進む画期的な取り組み その1 日本初の清掃工場で発生するCO2を回収・活用する取り組み!、およびアイデアよもやま話 No.3710 佐賀県で進む画期的な取り組み その2 CO2を活用した佐賀市の町おこし!からです。

佐賀市のCO2を回収・活用する画期的な取り組みは秀島市長の素晴らしい発案がきっかけですが、それを実現させるためには誰をその任に充てるかがとても重要でした。

なぜならば、このプロジェクトは他の都道府県でも先例がなかったので全て一から考えなければならなかったからです。

そこで、秀島市長よりこのプロジェクトをまかされた部長の竹下さんは、誰をこのプロジェクトのリーダーにするかの人選にあたり、ある日の朝会の時の挨拶で言った部下の竹下さんの言葉、「生き残れる人は強い人でも賢い人でもない。変化出来る人だ。」を思い出して竹下さんに任せることにしました。

 

一口に“仕事の出来る人”と言っても、大きく2つのタイプがあります。

佐賀市のプロジェクトのように、前例がなく一から考えなければならないような業務をこなせる人と、もう一つは前例やルールに則りきっちりとソツなくこなせる人です。

もし、竹下部長が単にあの人は仕事が出来るからと、2つ目のタイプの仕事の出来る人にこのプロジェクトを任せていたら、きっと失敗していたはずです。

部下の竹下さんは、任されたプロジェクトを成功させるために、前例がなくてもいろいろと試行錯誤を繰り返しながら関係部門への説明による意思統一などを経て、見事にプロジェクトを成功に導きました。  

 

さて、2つ目はアイデアよもやま話 No.3713 花粉や臭い対策の新物質!からです。

新製品の誕生プロセスには、以下の2つ流れがあると考えられるとお伝えしました。

1.需要が期待出来る新製品開発の目標設定 ⇒ 目標達成に必要な素材探し

  1. 様々な素材の特徴の分析 ⇒ 新製品開発の可能性の追求

 

特に需要が飽和状態になっているような先進国においては、今後需要が期待出来るような新たな“ブルーオーシャン”(競争のない未開拓市場)を開拓出来るようなアイデア力が求められます。

一方で、すぐに役に立つかどうか分からないけれども、様々な素材の分析を通じてその可能性を探る研究者も求められます。

そして、こうしたアイデア力とそれを実現させるための素材を探す研究力が相まって、新たな“ブルーオーシャン”が開拓出来、需要の喚起につながるのです。

ですから、こうした両者の力をマッチングする仕組みもとても重要になります。

 

ということで、特に前例のないプロジェクトを推進していくうえでは、以下の能力を持った人材が求められ、そのための仕組みづくりが企業にとってとても重要になるのです。

・“ブルーオーシャン”の開拓

・新素材の研究開発

・上記の2つをマッチングさせる情報力、および調整力


 
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2017年05月26日
アイデアよもやま話 No.3713 花粉や臭い対策の新物質!

2月22日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で花粉や臭い対策の新物質について取り上げていたのでご紹介します。

 

花粉やハウスダクト対策に役立つという新しい物質が登場し、既に12の企業がこの物質を使って新製品を開発しているということが分かりました。

マスクやタオルなど日常的に使う身近な商品に多いというのが特徴です。

 

2月22日、「ハイドロ銀チタンで未来をつくるプロジェクト」の記者発表会が行われました。

この場で、DR.C医薬株式会社の岡崎 成実社長は次のようにおっしゃっています。

「いかに日本が先進国の中で一番多いと言われているアレルギーを3〜5年かけてどこまでつぶせるかをやってみたいなと。」

 

ハイドロ銀チタンと呼ばれる触媒を開発したDR.C医薬が呼びかけ、大手スポーツ用品メーカーのミズノやアパレルメーカーのはるやまホールディングスなど総勢12社が集結しました。

各社が今製品化に力を入れているこのハイドロ銀チタン、花粉やカビ、ハウスダクトなどのタンパク質を吸着し、分解することで水分へと変化させるといいます。

3月1日から発売されている「花粉を水に変えるマスク」(税抜き600円)は、繊維状に吸着した花粉を2〜3時間で分解し、吸い込む花粉の量を減らす仕組みといいます。

これにより花粉症の症状の軽減などが期待されています。

更に、ハイドロ銀チタンは人の汗や皮脂などのタンパク質も分解するため、衛生面や臭いの気になるタオルや衣料品などにも活用していこうというのです。

 

ハイドロ銀チタンをいち早く取り入れたのはタオルメーカーです。

タオル専門店、タオル美術館の店頭に2月22日から商品が並びました。

価格は通常のタオルの2倍近くです。

配合するハイドロ銀チタンの濃度を高くし、花粉対策を謳うものは、価格が更に高くなります。

外出先から帰宅した時に、服に付いた花粉や臭いなどをふき取る使い方も提案しています。

なお、タオルの場合、100回ほど洗っても効果が持続するということです。

 

こうしたハイドロ銀チタンの効果に、「ハイドロ銀チタンで未来をつくるプロジェクト」の参加企業やタオル専門店の訪問客は大きな期待を寄せています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した花粉や臭い対策の新物質、ハイドロ銀チタンですが、この新物質発見のプロセスは、問題解決するにあたりとても参考になります。

そのヒントは、番組で触れているハイドロ銀チタンの以下の特徴にあります。

・花粉やカビ、ハウスダクトなどのタンパク質を吸着し、分解することで水分へと変化させる

・人の汗や皮脂などのタンパク質も分解する

 

ハイドロ銀チタンの持つ特徴からヒントを得て、その特徴を生かした製品開発につながっているのです。

タンパク質を吸着・分解するという特徴と花粉症対策、および衛生面や臭い対策との結びつきから新製品を生み出しているのです。

こうしたことから、新製品の誕生プロセスには、以下の2つ流れがあると考えられます。

1.需要が期待出来る新製品開発の目標設定 ⇒ 目標達成に必要な素材探し

2.様々な素材の特徴の分析 ⇒ 新製品開発の可能性の追求

 

上記の1のパターンが一般的ですが、2のパターンには思わぬような新製品誕生につながる可能性が秘められています。

ただし、2のパターンは資金力に余裕がなければ実効性がありません。

             

一方で、特に先進国においては、“資本主義の終焉”(参照:アイデアよもやま話 No.3565 マイナス金利政策に見る資本主義からの脱却の必要性!)と一部の専門家が指摘しているように、需要の飽和状態に陥っています。

ですから、特に資金力のある大企業においては、ただ過去の成功体験に裏打ちされた既存製品の延長線上で今後のビジネスを見据えるのではなく、2のパターンによる新製品、あるいはサービスの開発に積極的に取り組んでいただきたいと思います。


 
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