2018年05月22日
アイデアよもやま話 No.4022 始動する次世代のイノベーターを生み出す取り組み!

2月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で始動する次世代のイノベーターを生み出す取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今までにない革新的なものを生み出す人をイノベーターと呼びますが、日本はこのイノベーションの火種はあるけれども火を起こすところまでには至っていないということが言われます。

そこで、日本政府は世界に通じる次世代のイノベーターを生み出すためのプロジェクトを進めています。

なぜ日本にはイノベーターが育ってこなかったのでしょうか。

 

経済産業省が主催する「始動Next Innovator 2017」成果報告会が都内で2月16日に開催されました。

200を超える応募者の中から選ばれた20人がシリコンバレーで2週間のプログラムを体験し、SNSなどのデータからAIで人材を選び出し、企業とマッチングさせるベンチャーや、救急病院でより多くの患者を受け入れられるよう、AIでオペレーションを効率化するサービスを提供しているベンチャーが参加しました。

主催した経済産業省にはある危機感がありました。

経済産業省の福本 拓也新規産業室長は次のようにおっしゃっています。

「どんどん新しい事業をつくっていかないと、もう滅びるんじゃないかなと。」

「とにかくイノベーターを日本から生み出さないといけない。」

 

実際にシリコンバレーに行った参加者は何を感じたのでしょうか。

ベンチャー企業、ドクターズプライムの田 真茂代表は次のようにおっしゃっています。

「どんどん失敗をしていってサービスを良くしていこうというような文化、失敗を推奨する文化がある。」

「失敗を許容する組織の体制も社員にとって重要かなと思います。」

 

このプロジェクトに参加したのはベンチャー企業だけではありません。

東芝のグループ企業、東芝デジタルソリューションズの金子 裕紀さんが開発しているのはスマホのアプリで、簡単に自分の声を登録出来て、使えるような世界を作ろうとしています。(このアプリの具体的な内容については次回ご紹介します。)

 

世界初のアプリを目指す金子さん、プロジェクトに参加して感じたことについて、次のようにおっしゃっています。

「例えば決裁者が10人いて、10人全員がゴーとならないと進まないとなると、新しいものが何も出来ないと思っていて、10人中3人くらいが面白いねというのが本当はちょうどいいはずなんですけど、それだと中々大企業だと突破出来ないので、その辺りをこれから文化として変えていかないといけない。」

 

この取材を担当した番組サブキャスターの大浜 平太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「確かに大企業はこういったイノベーションの分野は苦手だって言われてるんですけど、ただ話を聞いてみると役割がありますよと。」

「例えば、先ほどの音声のビジネスでいうと、当然悪用されないためのセキュリティ対策も重要になってくるんですよね。」

「そういったものをバッチリつくるのは大企業が得意なんだと。」

「また、音声の権利、勝手に使われると怖いですよね。」

「で、声の権利はあるんだけども、これって厳密にいうと声じゃなくて、声の元の音素と言うらしいんですけど、その音素をどうやって権利化するかということも考えなくちゃいけなくて、そういうの大企業が得意なんだそうですよ。」

「よく言われますけど、大企業とベンチャー企業の補完関係をどうやってつくっていくのかが大事なんでしょうね。」

 

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「(こうした取り組みがあれば、日本でもイノベーションが増えていくのではという問いに対して、)私は非常に期待しています。」

「従来の、欧米で言われているイノベーションは、大企業の中にはイノベーションの種はないんだと、だから外のベンチャーに出資をして彼らとコラボレーションして彼らの知を取っていくというオープンイノベーションの考え方なんですね。」

「それに対して、経済産業省と「WiL(ウィル)」(国内最大規模のベンチャー投資ファンド)が主導しているプログラムの考え方は、イノベーションの種は日本の場合はまだ大企業の中にあるんだ。」

「ただまだそれが息苦しい大企業の中だと、ちょっと言い方が悪いですけど、ちょっと腐ってきていると。」

「ですから、大企業の人材を外に出して、シリコンバレーのようなところの空気を吸わせて、イノベーティブになってもらって、大企業に還流してもらうという考え方なんですね。」

「ですから、非常に日本型のイノベーションだと考えられますので、私は非常に期待しています。」

「(出先で当然いろんな知り合いも増えて帰って来るのではという問いに対して、)そうですね。」

「(また戻って来た時に再び腐らないようにすることも大切ではという問いに対して、)そうですね、その辺りの仕掛けも期待したいところですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

これまで何度となく繰り返しお伝えしてきたように、現在はインターネットをベースとした、AIやロボット、IoTなどの技術を活用したイノベーション、すなわち新しい産業革新の時代の真っただ中に私たちは生きていると思います。

そして、個々の技術革新は5年、10年というようなサイクルでとても速いスピードで進んでいます。

 

こうした時代においては、ゆったりとしたスピードの従来の技術革新時代とは明らかに異なる研究開発の進め方が求められます。

要するに、従来の日本企業が大成功を収めて来た、時間をかけて高機能・高品質の製品を作り上げることから、機能や品質に多少難があっても短期間で製品を市場に投入するという進め方です。

同時に、そもそもイノベーションには試行錯誤や失敗がつきものなのですから、こうした状況に対応した組織や体制へのシフトです。

今回ご紹介した経済産業省が主催する「始動Next Innovator 2017」プロジェクトは、まさにこうした政府の危機感から生まれたものと言えます。

 

そして、こうしたイノベーションへの企業としての対応ですが、番組でも指摘されていましたが、まとめると次のようなことが言えると思います。

・大企業の研究開発担当者をシリコンバレーのように外部の空気に触れさせて、社内にイノベーターとしての人材を育成すること

・大企業とベンチャー企業が協業して研究開発を進めること

 

そして、一般的な傾向として、日本では前者の方法が、欧米では後者の方法が取られているといいますが、こうした傾向に囚われずに臨機応変に必要に応じて、国内外を問わず、大企業とベンチャー企業の協業による研究開発が進められるべきだと思います。

実際に、国内外を問わず、技術革新の進歩に応じてこうした取り組みをしている企業が多く見受けられます。

 

こうして見てくると、日本もシリコンバレーなどに負けないように、最先端技術開発を進めているより多くのベンチャー企業が日本で活動してみたいと思わせるような環境づくりを政府が積極的に進めることが国内企業に刺激を与え、協業の機会を提供するなどのメリットをもたらすのではないかと思えます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月21日
アイデアよもやま話 No.4021 中国で大人気、日本発のスマホゲーム「旅かえる」!

2月17日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で中国で大人気の日本発のスマホゲーム「旅かえる」について取り上げていたのでご紹介します。

 

日本発のスマホゲーム「旅かえる」 、主人公はかえるです。

食事や持ち物など、旅支度をしてあげると、自由、気ままな旅に出かけます。

行先は温泉地など、日本の観光名所で、旅先から写真が送られてきます。

特産のお土産も持ち帰ってくれます。

昨年11月の登場以来、ダウンロード数は3500万を超え、その9割以上を中国が占めているといいます。

日本語版しかないにもかかわらず、異例の大ヒットとなっており、その人気ぶりに中国語版の偽物まで登場しました。

シミュレーションゲームの枠を超えて、中国では社会現象になっています。

 

なぜかえるは中国で若者の心をつかんでいるのでしょうか。

陳 俊彦さん(29歳)は、競争の激しい金融業界で働いています。

週末に仕事が入ることも多く、この1年以上個人で旅行する余裕もありません。

友達と過ごす時間もなく、寂しさも募る中、かえるの存在に癒されているといいます。

陳さんは次のようにおっしゃっています。

「かえるは自分の代わりに旅行に行っている感じで、このゲームはとてもリラックス出来るんだ。」

「これは名古屋城の写真、機会があれば名古屋で写真を撮ってかえるの写真と並べてみたい。」

 

ゲームを通じてこれまで訪れたことのなかった日本へ旅行してみたいと思うようになりました。

ある中国の旅行会社には、かえるが訪れた場所へ行きたいという問い合わせが相次いでいます。

中国のある旅行サイトによると、このゲームに登場する名古屋城への旅行希望者が3倍に増えているということでした。

こちらの旅行会社の広報担当の羅 碧琳さんは次のようにおっしゃっています。

「かえるが遊びに行った所を見て、自分も行ってみたいと思うようになって、日本の文化や観光地を理解したいという関心が高まっています。」

「かえるは有名な観光地だけでなく、地方の小さな街にも行っています。」

「そういった場所も観光ルートに加えたいと思っています。」

 

かえるが訪れる場所の中には、例えば秋田の入道崎や京都の天橋立など、中国ではまだあまり知られていない所が含まれていて、この旅行会社では新たな需要を掘り起こせると考えています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組を見てまず感じたのは、海外からの日本への旅行客、すなわちインバウンドの誘致用宣伝として、今回ご紹介したスマホゲーム「旅かえる」は行政機関などが行うありきたりの宣伝よりも遥かに効果を発揮しているということです。

日本語版にも係わらず、ダウンロード数は3500万を超え、その9割以上を中国が占めているといい、しかも中国語版の偽物まで登場しているというのですから驚きです。

 

このスマホゲームの大ヒットで思うのは、こうしたシミュレーションゲームをうまく活用することは、これまでの一般的な宣伝方法に比べて遥かに人の心の中に入っていけるということです。

ですから、「旅かえる」のようなシミュレーションゲームの世界各国版を作成して展開すれば、国内外の人たちの海外旅行ブームを巻き起こして、世界的な経済効果をもたらすと大いに期待出来ます。

更に「旅かえる」をより進化させることにより、世界規模でゲーマーに各国の文化など様々な姿を理解してもらうツールとしてとても有効だと思います。

なお、この基本的な考え方は歴史の教材などにも適用したらいいのではないかと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月20日
No.4020 ちょっと一休み その647 『揺らぐ世界 その7 世界が直面する“行き詰まり”!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

7回目は今は“引き潮”の時代ではないかということについてです。

 

長い歴史を経た今、世界が直面する“行き詰まり”を私たちはどう受け止めたらいいのでしょうか。

困難な壁が幾重にも立ちふさがる時代、この時代を人間全体の問題として考えるとどんなことが言えるのでしょうか。

社会心理学者で早稲田大学名誉教授の加藤 締三さんは次のようにおっしゃっています。

「今の時代っていうのは、生命力でいうと“生の引き潮の時代”だと思うんですね。」

「つまり、どういうことかっていうと“生の満ち潮”の時はいろいろな問題が出ても次々に解決して乗り越えていける、満ち潮ですからエネルギーがありますから。」

「“引き潮”(の時)は全くエネルギーがないですから、問題が出ると解決するエネルギーがないということですよね。」

「その“満ち潮”の時は岩(問題)は見えないけれども、“引き潮”になると岩が見えちゃうというのと同じことで。」

「(なぜ世界はエネルギーを失ってしまったのかについて、)ものすごい科学技術の進歩で、社会の構造が変わった。」

「だけど人間の意識はそういうスピードで変わる訳ではないですから。」

「今これだけみんなが“行き詰った”と思っているのは、なぜかというと心がもう疲れ果てている。」

「生の“引き潮”になってきているんです。」

「人間、エネルギーがなくなると、どうしてもその場の満足が欲しいですよね。」

「行く先が分からなければ、どうしたって今の利益が大切になりますよね。」

「(そういう人たちにとって、)何が最高の価値かというと、やっぱり“安定”とか“秩序”なんですよ。」

「移民が入ってきて、自分たちの今までの秩序が変わってくるのは大変なことですよね。」

「そうすると、“アメリカファースト”がやっぱり選挙で勝つわけですね。」

「“ファースト”ということは、内容は“セルフィッシュ=利己主義”っていうことです。」

 

一方、哲学者の内山 節さんは次のようにおっしゃっています。

「ものづくりを軸にしている時代というのは、ものづくりは一人だけでは出来ないんですね。」

「素材を作る人、部品を作る人、いろいろな人たちが絡んでいる。」

「だから、どうしても全体がうまくいってこそ、私の経済になります。」

「絶えず“共にある世界”をつくった。」

 

かつて人々はモノをつくるという営みを通じて様々な人と交流して助け合い、“社会”や“共同体”をつくり、お互いがうまくコトを運ぶための仕組みやルールをつくってきたという内山さんですが、ではこれから世界はどういう方向へ進んでいくのでしょうか。

 

内山さんは、江戸時代の社会を例に挙げて次のようにおっしゃっています。

「江戸時代の日本も穏やかには経済成長をし続けていたんですよね。」

「だけど江戸期の社会というのは経済成長を目標にした社会ではなかった。」

「ただみんながそれなりに工夫をしたり、真面目に働いたりしていたらば、結果としては緩やかではあるけれど経済成長していた。」

「気が付いたら経済成長していたというのは別に何ら否定されることではないっていうことですね。」

「ただ経済成長するために無理をしていくという、でこれはもう違うのではないかという。」

「むしろ、みんながどんなふうに働いて、どんなふうに時に分かち合ってやっていくと、もっと幸せな働き方、暮らし方が出来るのか、それを追求していったらば、結果として結構成長していたという、むしろ考えるとしたら、そっちの方だと思うんですね。」

 

更に、早稲田大学(社会心理学)の加藤 締三名誉教授は次のようにおっしゃっています。

「経済的繁栄や政治的民主主義とかではなく、人間性の理解が根本なんです。」

「問題の核心は“人間が変わる”ということなんだなと。」

 

近い将来に向け、期待が高まる科学技術の飛躍的な進歩、その一方で“行き詰まり”を示す様々な動きが世界のあちこちで起きています。

大きな変わり目を迎えた今、来るべき次の時代を実り多きものにするためにも積み上がった多くの課題を世界はどう解決していくのか、今問われています。

番組パネリストの一人、寺島 実郎さんは次のようにおっしゃっています。

「(変えるべきは何なんだろうかという)この問題、構造を変えていく政策科学がいるっていうか、やっぱり分配の公正化だとか、あるいは金融資本主義を制御するためにも金融という世界の責任ですね。」

「つまり金融取引税の導入とか、世界の問題を解決するための財源をそういうところから確保していくという政策科学に我々はもっと視点を置いて、しっかり解決策を求めるという根性を失っちゃいけないっていうのがこの段階で僕が発言したいことです。」

 

同じく番組パネリストの一人で、造園家であり、東京都市大学教授の涌井 雅之さんは次のようにおっしゃっています。

「全て地球環境を含めて、我々は今未知の領域にいるんだということをしっかり自覚しなきゃいけないと思うんですね。」

「その時にイノベーションが働くわけですね。」

「それは一つはテクノロジーですが、これで多くの問題を解決すると思いますが、解決出来ない問題があります。」

「それは何かというと心の問題ですね。」

「このクリエーションとイノベーション、この違いを我々よっぽどしっかり認識する必要がある。」

「で、更にそこに知的格差と情報格差が生まれてくる。」

「これが実は三重苦になってくる。」

「そこでどうポジティブに考えていくのかということだと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今は世界的に何となく活動エネルギー不足状態なので、社会心理学者の加藤さんのおっしゃるように、生命の“引き潮の時代”と言えなくもありません。

そして、人間はエネルギーがなくなると、“安定”とか“秩序”を求めるようになるのも理解出来ます。

そうした流れで捉えると、アメリカのトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、あるいは中国の習近平国家主席というように3つの国の多くの国民が国のリーダーにその身をゆだねるのも理解出来ます。

 

しかし、一方では、インターネットをベースとしたAIやロボット、そしてIoTと言ったテクノロジーや再生医療、あるいはDNAの組み換えなどのテクノロジーによるイノベーションが開花しつつります。

これまでの歴史を振り返ると、イノベーションの時代と“行き詰まり”の時代とが繰り返されているように、今は“行き詰まり”の時代からイノベーションの時代への転換期のように私には思えます。

 

さて、造園家の涌井さんの指摘されている心の問題と知的格差、情報格差という三重苦に経済格差を加えた4つの大きな問題に私たち人類は直面していると思います。

心の問題については、確かにテクノロジーの変化のスピードに自分が取り残されないだろうか、あるいは自分の仕事がAIやロボットに置き換わってしまうのではないか、といった不安がつきまとう可能性は今後とも大きくなります。

 

また、知的格差、あるいは情報格差が経済格差をもたらす大きな要因になっていると思います。

そして、AIをうまく活用出来るかどうかが知的格差、あるいは情報格差の大きな要因になってくると思います。

 

さて、哲学者の内山さんは、江戸時代の社会を例に挙げて、「ただみんながそれなりに工夫をしたり、真面目に働いたりしていたらば、結果としては緩やかではあるけれど経済成長していた」とおっしゃっていますが、これはプロジェクト管理におけるプロセス管理の狙いと相通じる内容だと思います。

ひたすら成果を追い求めるよりも、日々の暮らしの中でやりたいことや与えられた業務を一つひとつきちんとこなしていくことが成果につながっていくのです。

こうした江戸時代の庶民の穏やかな暮らしは、4つの大きな問題、中でも心の問題に向き合っていくうえでとても参考になると思います。

どんなにテクノロジーが進歩しても、あるいは物質的に豊かになっても、心の問題がクリア出来なければ心豊かな人生を送ることは出来ないのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月19日
プロジェクト管理と日常生活 No.541 『長時間労働対策の第一歩は“労働時間の視覚化”』

3月17日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で長時間労働対策として 労働時間の視覚化について取り上げていたのでご紹介します。

 

長時間労働による過労死を防ぐため、厚生労働省は今国会に提出する方針の働き方改革関連法案で、企業が労働者の労働時間を客観的に把握するよう、初めて法律に盛り込む方針を固めました。

 

働き方改革関連法案では、裁量労働制を巡って厚生労働省の労働時間調査に誤りと見られるケースが見つかり、適用業務の拡大の削除が決まりましたが、与党から裁量労働制で働く人たちの健康確保の対策を図るべきだという意見が出されていました。

これを受けて、厚生労働省は長時間労働により労働者が健康を害することを防ぎ、医師との面談などの対策につなげるため、働き方改革関連法案で企業が労働者の労働時間を客観的に把握するよう、初めて法律に盛り込む方針を固めました。

厚生労働省は昨年ガイドラインを策定し、企業が労働時間を適正に把握する責務を明記しましたが、その後も適切な労務管理が行われていないケースも少なくないということで、今後は省令でパソコンの使用履歴といった、把握のための具体的な方法についても定めるということです。

対象となる労働者は、一般労働者、裁量労働制で働く人、それに法律上労働時間の制限がない管理職なども含む予定で、厚生労働省は与党内の調整を進めることにしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、裁量労働制を巡って厚生労働省の労働時間調査に誤りがあったことがこの法案を国会で検討するうえでの大きな阻害要因となりました。

3月22日付け日本経済新聞のネットニュース(こちらを参照)によれば、厚生労働省の「2013年度労働時間等総合実態調査」で、裁量労働制で働く人の方が一般労働者より労働時間が短いとしていましたが、不適切なデータが相次ぎ発覚しました。

その結果、政府が今国会の提出をめざす働き方改革関連法案から、裁量労働制の関連部分を全面削除する事態になったのです。

 

プロジェクト管理に限らず、物事の検討を進める上で現状を把握することが出発点です。

現状を誤認すれば、その後の検討は誤った結果につながっていくのです。

しかも、常識的に考えればすぐにおかしいと思われるようなデータを厚生労働省が国会に提出したことは法案を通すための意図的なものだったと思われても仕方ありません。

 

さて、本題ですが、そもそも働き方改革の狙いは何でしょうか。

私は以下の2つと考えます。

・あらゆる働く人たちのワークライフバランス、および健康維持を促進すること

・あらゆる働く人たちがより生産性を上げることが出来るような労働環境を整備すること

 

そこで、今回のテーマである労働時間に絞ってみると、そもそも人はロボットや機械のように24時間、365日働き続けるようなことは出来ません。

また、最低限、食事や睡眠に費やす時間が必要です。

更に疲労の蓄積は精神的な病気や過労死につながる可能性を大きくします。

そして、働き方改革の狙いの一つであるワークライフバランスが確保出来なければ、豊かな暮らしを手に入れることは出来ないのです。

そこで、唯一の例外は趣味と仕事がたまたま完全に一致している人たちですが、それでも家族との団らんなどのコミュニケーションが不足すれば、家庭崩壊をもたらしかねません。

 

このように考えを進めていくと、自ずと長時間労働対策をどうすべきかが見えてきます。

労働時間把握の対象者は、政府が予定しているように、一般労働者、裁量労働制で働く人、それに法律上労働時間の制限がない管理職なども含むべきなのです。

労働者の保護というと、一般的に経営層は含まないで議論が進められがちですが、経営層においても労働時間をきちんと把握し、過労に至らないように管理されてこそ、心身ともに充実した状態でベストな判断が下せると期待出来るのです。

また、AIやロボットなどの技術革新のスピードが速いビジネス環境における企業のかじ取りを担う経営層の役割の重要性はこれまで以上に高まると予想されるので、経営層の健康維持は不可欠なのです。

そのためにも経営層の労働時間管理を手薄にすべきではないのです。

ですから、原則として全従業員の労働時間を視覚化して、正しく管理することは働き方改革を進めるうえでの第一歩なのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月18日
アイデアよもやま話 No.4019 IoTが孤独死を救う!?

高齢化社会が進行する中、最近一人暮らしをする高齢者が増えており、“孤独死”という言葉をよく耳にするようになりました。

その結果、独り暮らしの方が自宅で亡くなられても何日も発見されないというような事態が起こっています。

 

こうした状況を受けて、警備会社では、毎日必ず使用する空間である居間やトイレなどにセンサーを取り付け、24時間反応がないとそのお宅に電話連絡し、電話に出ないと緊急出動するというようなサービスを提供しています。

 

一方、宅配サービスでも一人暮らしのお宅への配達の際に、様子を伺うといったような付帯サービスを行っているところもあるようです。

しかし、こうしたサービスでは一人暮らしの方が動けなくなったり亡くなられても、暫くしてからでなくては発見されないことがあり得ます。

 

そこで思い付いたのがIoTの活用です。

例えば、トイレやお風呂などにセンサーを取り付け、入ってから一定の時間が経過しても出てこなかったら、あらかじめ登録済の緊急連絡先に自動で連絡するといったようなサービスです。

あるいは、GPSを搭載したスマホなど小さな機器を一人暮らしの方に肌身離さず持っていただいて、どこにいても身体に異常をきたした際に、ボタンを押せば、緊急連絡先とつながって会話が出来たり、自分の位置情報を相手に伝えることが出来るようなサービスです。

ちなみに、このようなサービスについては、自宅内という限られた空間では既に一部の警備会社により提供されております。

 

このように、一人暮らしの方の安否確認方法、および急を要する対応策については、日々の暮らしの住環境におけるセンサーの取り付け、および本人にGPS機能のある機器を持ってもらうことによる2つの情報源がベースになると思います。

ですが、将来的にはこうした情報源をベースとした、より進化した方法で多くの孤独死が救われるようになると思います。

 

実は現在、私の父も実家で独り暮らしの不安を抱えながら暮らしております。

そして、本人は長年住み慣れた実家で自分のペースでゆったりと暮らせるメリットと独り暮らしの不安とのジレンマの中で、遠く離れた息子の家に移り住んだり、施設への入所よりも実家暮らしを選択しているのです。

そこで、息子の立場から、独り暮らしの不安を少しでも解消するための方策をあれこれ考えてきました。

そこで大きく2つの不安解消策に行き着きました。

1つ目は、毎週定期的に息子たちが実家に行って買い物や話し相手になることです。

2つ目は、お風呂場やトイレなどで倒れても、短時間のうちに緊急連絡先に連絡出来るようにすることです。

1つ目については、既に実施中ですが、2つ目についてはあれこれ探していました。

そうした中、目に付いたのは4月4日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でご紹介したパナソニック βの活動の最初の成果「HomeX ZERO」です。

カラフルなセンサーと白いハブがポイントです。

例えばセンサーを冷蔵庫に入れると、人が扉の開け閉めをしたり、モノを取り出した、などの情報を検知します。

ゆくゆくはセンサーで人の行動と家電の状態を把握し、ハブを通じてデータベースで分析、家電が状況に合った機能やサ−ビスを提供するということを想定しています。

 

このような機能を持つ「HomeX ZERO」は私の抱えている父の不安解消策として簡単に応用出来るはずですので、出来るだけ早く製品化をお願いしたいと思いました。

そこで、早速パナソニック本体のお客様相談センターにその旨、依頼をしましたが、あてになるかどうかは分かりません。

しかし、商品化されればかなりの引き合いが期待出来そうなので、どこかのメーカーがいずれ商品化することは間違いなさそうです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月17日
アイデアよもやま話 No.4018 パナソニックがシリコンバレーに秘密拠点!

4月4日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパナソニックの秘密拠点について取り上げていたのでご紹介します。

 

日本を代表する家電メーカーのパナソニックは今年100周年を迎えました。

その創業者は世界的な家電メーカーを育てた“経営の神様”と呼ばれる松下 幸之助さんです。

しかし、現状では日本メーカーはあまり元気がなく、アップルやサムスンなどに押されて苦境が続いている状況です。

そうした中、100年前の創業の時の想い、活気を取り戻そうとしていて、一つの実験場を作る、その場所がアメリカのシリコンバレーです。

 

イノベーションの発信地、シリコンバレーにひと際目立つリング状の建物があります。

昨年完成したアップルの新本社です。

その場所と道を隔ててパナソニックのオフィスがあります。

この中に、イノベーションを生み出すための新しい秘密基地であるPanasonic β(パナソニック ベータ)という会社があります。

ここは昨年設立した研究開発拠点で、これまでの家電開発のやり方ではなく、今までにない発想でイノベーションを起こす仕組みを作ろうというのです。

スタッフは、パナソニックの各部署やカンパニーから選ばれた若手の精鋭、およそ30人です。

パナソニック βの目指す開発の大テーマは、人々の生活や行動と家電をどう連動させるかです。

普段の生活と同じ空間で発想するため、オフィスにはキッチンや道具が揃い、実際に料理することもあります。

また、くつろげるリビングもあり、こうした雰囲気の中でアイデアを考えるのです。

日々、そこかしこで自然発生的にミーティングが始まります。

どんなアイデアでもOKです。

パナソニック βの馬場 渉社長は昨年パナソニックに移籍、それまではヨーロッパの大手IT企業、SAPでイノベーションを生む方法を実践してきました。

その手腕を買われたのです。

そんな馬場さんが大事にしているのが、創業者、松下 幸之助さんの言葉です。

馬場さんは「松下電器は人を作っている会社で、併せて電気製品も作っています」という有名な言葉に魅せられてパナソニックへの入社を決めたといいます。

 

パナソニック βがつくるのはイノベーション人材で、様々な部署や職種の人を横断的に集めているのがポイントです。

キーワードは横のパナソニック、“横パナ”です。

馬場さんは次のようにおっしゃっています。

「“横パナ”っていうのは、クロスバリューイノベーション(事業の枠を超えた革新)を実現する一つのキーワードで、全体の既存のやり方をガラッと変えるまで、非常に長いステップになると思いますけど、そこまでやろうと。」

 

ここではアイデアを出しっぱなしにせず、その場ですぐにかたちにするのが流儀です。

部屋のセットのアイデアも1日足らずの間にかたちにされました。

完璧でなくてもいいから、いち早くかたちにして検討することが何より大事だといいます。

馬場さんは次のようにおっしゃっています。

「とにかく一番安く、一番早く、一番単純な方法でまずモノを作る。」

「可能性を発見するためのプロトタイプ(試作品)なので、品質は最終製品に近い必要は全くなく、「それいいね」となったら、品質を上げていって、「それいいね」となったらまた品質を上げていって、その繰り返しをするので・・・」

 

ユーザーの潜在的なニーズを吸い取り、素早くかたちにして、不完全でもいいから世に出す。

そして、その反応を見ながら、モノやサービスをブラッシュアップしていく、これはデザイン思考という考え方です。

シリコンバレーの多くの企業が実践しています。

従来の家電メーカーが完璧を目指して新製品を出すまで何年もかけるのとは対照的です。

パナソニック βの社員からはこうした仕事の進め方について、次のような感想があります。

「刺激的な毎日です。」

 

「ここにいると、日本とかなり違うのが、意思決定のプロセスとかが全然違っていて、(日本だと)関係部署と始めに調整してから作る流れになり易いんですけど、それがこっちだと全然違うので、やっぱりスピードも速いし、・・・」

 

シリコンバレーの街に象徴的なお店があります。

ここは世界中のベンチャー企業が作った新製品を集めた店「b8ta(ベータ)」です。

その名前の由来となったβ(ベータ)とは、そもそもソフトウェアの世界で正式版を出す前のテスト版のことです。

このお店に展示されているのは、大量生産の製品ではなく、少量でもいいからまずは世に出して反応を見ようというものがほとんどです。

こちらの店員は次のようにおっしゃっています。

「天井にある複数のカメラで、お客が製品を見ている様子をモニターし、その情報をベンチャー企業に提供する。」

「彼らはそれをもとに製品を改善していくんだ。」

 

一方、シリコンバレーに今年開校した公立高校、デザインテック・ハイスクールがあります。

ここでは高校生向けに、デザイン思考を本格的に教えるカリキュラムを組んでいます。

ユーザーのニーズを分析し、何を作るべきかの議論に始まり、アイデアがまとまれば3Dプリンターなどで即座にかたちにします。

この高校を支援するのがアメリカの大手IT企業でシリコンバレーに本社を置くオラクルです。

校舎の建設や学校運営にも協力しています。

シリコンバレーでは、企業だけでなく教育の現場にもデザイン思考が浸透していました。

 

そんなデザイン思考でイノベーションを産もうというパナソニック βですが、馬場さんは次のようにおっしゃっています。

「イノベーションを生み出すための「型」をなんとかここで作って、それをモデル工場として世界中に展開すると。」

 

「シリコンバレーでこういった技術的なことをやっていると、人間のリアルな生活とはかけ離れたテクノロジーのことをやっているかに思われるかもしれませんけど、全く我々はその逆で、どうやったら住空間を人間性のある空間に取り戻せるかと。」

「そのためにやはりデジタルが貢献出来ることが確かにあるはずです。」

 

「(パナソニックにとって今は特別なタイミングで松下 幸之助さんが創業して今年で100周年ですが、そこへの回帰なのか、それとも否定なのかという問いに対して、)回帰ですね。」

「あえて言うとすれば、現代風のアレンジをした回帰でしょうけど、僕が嬉しいなと思ったのは、社長の津賀(パナソニックの津賀 一宏社長)ですとか、若い連中に対して「あんたたちはパナソニックは大企業で硬直的でスローだと思ってるかも知らんけど、俺が入った時は違うかったんやで」と言うんです。」

「目指すのはそこだと思います。」

 

番組コメンテーターで日本総研の理事長、高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「(日本企業に今必要な変化とは何かという問いに対して、)日本企業と言えどもこれまでのやり方ではイノベーションを起こせないと思うんですね。」

 

そこで、高橋さんがまとめたイノベーションの起こし方は以下の3つです。

1.スモール

  大企業と言えども組織を分解して、ベンチャーの塊にするとか、中小企業を中に作るとかいうような組織改革をすること

2.オープン

技術を囲い込むのではなく、どんどん試作品を外に出して、人の意見や反応を見ること

3.コラボレーション

  自前主義ではなく、脱自前主義でいろんな人と組んでやっていくこと


続けて、高橋さんは次のようにおっしゃっています。

「この3つが揃うとスピードが上がって、イノベーションが起こせるんじゃないかと思うんですね。」

「日本でこれを起こせれば、それに越したことはないですよ。」

「でも日本では残念ながら大企業がどんなに頑張ってもこういうことを起こせる相手がいないので、しょうがなくて海外に行って、いろんな大学とか研究機関と組んでいるというのが実態だと思うんですね。」

「(日本でこれが起こるにはどうしたらいいかという問いに対して、)いろんなことを変えていかなくちゃいけないんですけど、全部突き詰めいていくと、大学に行き着くんじゃないかと。」

「例えば大学発のベンチャーとか、オープンを起こせるような人材だとか、それからコラボレーションて産学連携そのものですよね。」

「大企業も問題なんだけど、実は日本のイノベーションを考えると大学改革をやんなくちゃいかんということに行き着くんじゃないのかなと思います。」

 

これについて、今回のシリコンバレーの取材を担当された日経ビジネスの編集委員である山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「まさにこれをやるための教育システムがシリコンバレーにあるんですよ。」

「さっき高校が出て来たじゃないですか。」

「日本の中でスポーツでいうと、野球だけはなんとかアメリカの大リーグに行って通用するでしょ。」

「それは高校野球があるからです。」

「ですから、そこから基盤があってこの3つというのを訓練を積む、そのシステムがあるっていうところが今回取材してきて一番面白かったところですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や様々な分野での技術の進化に伴い、インターネットやコンピューターを中心とする、近来稀に見るイノベーションを起こし易い環境が整っています。

具体的にこうした環境をフルに生かして成功している国際的なベンチャー企業としてはマイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾン、ユーチューブ、あるいはフェイスブックなどが挙げられます。

ちなみに、これらの創業者の中にはNo.3978 ちょっと一休み その640『揺らぐ世界 その1 世界のたった8人の大富豪の資産の合計が下位50%の人々の資産とほぼ同じ!』でもお伝えしたように世界の大富豪に入っている方もおられます。

これらは全てアメリカ発ですが、こうした動きは日本や中国など他国のベンチャー企業にも大きな刺激を与えています。

こうしたベンチャー企業の凄さは、既存の世界的な大企業がこれまで何十年もかけて達成した売り上げや利益、あるいは株式総額を10年足らずのうちに達成していることを見ても明らかです。

更に、こうした企業の提供するサービスによって、私たちの暮らしや社会は様変わりしつつあります。

 

こうした動きの中で、遅ればせながら既存の大企業の中にもベンチャー企業の良さを取り入れる動きが起きており、その一つが今回ご紹介したパナソニックというわけです。

そのパナソニックも創業時にはとても小さなベンチャー企業だったのです。

ですから、既存の大企業にとっては、今風にアレンジした原点回帰の時代だとも言えます。

 

さて、これまで何度かお伝えしたように、これからの時代はAIやロボット、IoTなどの技術革新によって従来人手に依存していた業務はどんどんAIやロボットに移行していくというのが一般的な見解です。

こうした動きに呼応するように、次々に生まれる技術革新を活用してビジネスにつなげようとするベンチャー企業が次々に誕生してくることも、これまでの動きを見れば明らかです。

ですから、これからの時代のビジネスを制するのは、既存の大企業や中小企業、あるいはベンチャー企業を問わず、素早く最新技術を活用したイノベーションを起こす企業群だと思います。

 

そこで、今回ご紹介した番組を通して、イノベーションを起こしやすいトータルシステムの枠組みについて、私の思うところを以下にまとめてみました。

・イノベーションに適した創造力、あるいはデザイン思考を育むカリキュラムを小学教育から取り入れること

・ベンチャー企業が活動し易い環境をヒト・モノ・カネ、あるいは法律などの制度の観点から整備すること

・ベンチャー企業に限らず、大企業と言えども、高橋さんの提言する3つのイノベーションの起こし方をベースとした取り組みを研究・開発に取り入れること


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月16日
アイデアよもやま話 No.4015 アイデア方程式 病気×?=曲がるストロー!

飲み易い曲がるストローは今やかなり普及しています。

そうした中、2月15日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)で曲がるストローについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

曲がるストローの誕生は今から50年以上前といいます。

ある発明家が病院を訪れたことがきっかけでした。

そこで目にしたのは、飲みにくそうにストローで水を飲む患者の姿でした。

この発明家は、病人は水を飲むのも一苦労だと感じ、「もしストローが曲がったら便利だ、寝たままでも飲み易くなるに違いない」と閃きました。

 

しかし、試作品を作ってみると、どうしても裂け目が出来て、水がこぼれてしまいました。

困り果てた発明家に浮かんだ閃き、それは折り紙でした。

折り紙のように、最初に折り目を入れてしまえば、綺麗に曲がって、しかも好きな角度で止まってくれるはずだと考えたのです。

ストローの曲がる部分に折り目を切れ、じゃばら状にしたのです。

これが世界中で愛される小さなメイドインジャパンを生み出しました。

 

些細な苦労を見逃さない観察力が生んだ曲がるストローですが、ロングセラー誕生の秘密は折り紙を生かしたアイデアにあったのです。

 

ということで、今回のアイデア方程式は病気×折り紙=曲がるストローでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

折り紙と言えば、日本の文化を象徴するような存在ですが、芸術の域に達するようなとても精巧な作品を目にしたことがあります。

今回ご紹介した曲がるストローもこの折り紙がヒントだったのです。

実際に、私の母が入院していた時も、寝ながら水を飲む時に曲がるストローを使っていました。

ですから、数えきれないほどの患者さんや寝たきりの方々にとっては、曲がるストローは無くてはならない存在です。

そして、今や宇宙空間における発電装置として太陽光発電のパネルにも折り紙のアイデアが取り入れられているのです。

地上から運びやすくするために太陽光発電のパネルを折りたたみ式にし、宇宙空間ではそのパネルをパッと開かせて発電するというのです。

 

そこで、その起源についてネット検索してみました。

Wikipwdiaによれば、上級武家が和紙で物を包むために用いていた折形、折形礼法から礼法部分がなくなり、庶民へ遊戯用に広く発展・普及したもので、日本を代表する文化であるとされています。

また、古文書によれば、その原型は鎌倉時代に誕生したといいます。

なお、折り紙の起源は韓国であるという説もあるようです。

 

いずれにしても、折り紙は子どものみならず大人の遊具としてだけでなく、日々の暮らしの実用品や更に宇宙開発など、様々な用途のアイデアのベースになっている稀有な存在と言えます


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月15日
アイデアよもやま話 No.4015 不登校の子どもにネットで支援!

2月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で不登校の子どもへのネットによる支援活動について取り上げていたのでご紹介します。

 

将来の人材不足が懸念される今、専門性の高い人材を社会に送り出そうという試みが始まります。

教育やネット関連の大手企業や自治体などが小中学生の学習を支援するプロジェクトの立ち上げに向けて動き出しました。

都内で開かれた、不登校の小中学生を支援する「クラスジャパンプロジェクト」の立ち上げイベントで、一般財団法人クラスジャパン教育機構の柴山 健太郎専務理事で次のようにおっしゃっています。

「長期欠席者は20万7006人、そして13万4398人の不登校者がいると。」

「この子たちに対して、何か出来ないかと。」

 

現在の日本の全体人口はおよそ1億2000万人ですが、100年後には3分の1の4000万人にまで減少するとの予測があります。

「(こうした人口減少に伴う様々な弊害として、)人材不足、年金問題、所得格差、様々な問題が待った無しでやってくると。」

「それを教育で何とか出来ないかと。」

 

協力する企業として、リクルートや学研、DeNAなど有力企業が名を連ねています。

ネットを使って自宅で学習出来るeラーニングシステムを導入する他、授業内容もプログラミングなどを学べるゲームやVR(仮想現実)を利用した職業体験など専門分野を伸ばす狙いがあります。

 

ベースとなったのは2016年に角川が設立したネット通信制高校「N高等学校」です。

授業を全てインターネットで好きな時間に受け、高校卒業資格を得ることが出来るのです。

今回のプロジェクトは通信制の導入されていない、義務教育の小中学校に向けたもののため、まずは賛同する自治体にサービスを提供するかたちで始めます。

現在、このプロジェクトに賛同する自治体は東京・大田区や奈良市など5自治体が参加を検討しています。

島根県から訪れた益田市教育委員会の柳井 秀雄教育長は次のようにおっしゃっています。

「民間に(不登校者を)復学させる力があるなら、そこを借りるのも必要な場合もあるんじゃないかなと思っています。」

 

N高校の設立者で、一般財団法人クラスジャパン教育機構の中島 代表理事は次のようにおっしゃっています。

「(不登校者にも)ある一部の能力が非常に高く、社会に出たら凄く活躍出来る人は沢山社会の中で一つでもいいから能力のある人間を見つけるような、そんな教育・人材育成をやっていきたい、それが出来ると思っています。」

 

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「今回のVTRは不登校に焦点を当てていましたけど、これは恐らく一般の高校や学校にも当てはまりまして、VTRにも少しありましたが、スタディサプリというサービスがリクルートから出ていますよね、インターネット教育サービスですけど、今あれが普通教育の補修などに使われるようになっているようなんですね。」

「インターネットの授業のいいところは、何度でも繰り返し見れるわけです。」

「普通の授業だと、「ここ大事だから覚えておけよ」と先生が言っても、それっきりじゃないですか。」

「だけど、何度も見れるので、結果的に非常によい復習になって、教育の効果を上げているようなんですね。」

「(そうすると先生の役割も変わってくるのではという問いに対して、)そうだと思いますね。」

「ですから、授業を教えることは実はインターネットがやってくれるので、先生の役割は例えばその中でどの授業をあてがえばいいのかとか、あるいは「がんばれ」って生徒に言う。」

「これはインターネットには出来ませんから。」

「そういったメンターみたいな役割にどんどん変容していくだろうというふうに思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や、インターネットの活用はあらゆる分野に広がっています。

教育界も例外ではありません。

例えば、インターネットを活用した英会話スクールなどは、これまでのように物理的なスクールに通う必要がなく、しかも自分の習いたい時間を指定することが出来ます。

また、教師の方も同様に教えるのにスクールまで出向く必要がなく、場所を問わず自宅のパソコンなどを通して教えることが出来ます。

こうしたことから、当然生徒にとってはこれまでよりも低料金で習うことが出来、一方スクールの方もこれまでよりも運営コストが少なくなるので、少ない資金で運営出来る、というように生徒、教師、運営者の3者にとってメリットがあります。

 

また、英会話に限らず、教材をいつでも見ることが出来れば、自分の望む時間に勉強することが出来ます。

更に、優れた教師の作成した教材で勉強出来れば、学習効率は格段に上がります。

私の経験でも高校時代に数学教師の授業ではよく理解出来なかった内容が、予備校時代の教師の授業ではとてもすんなりと頭の中に入ってきました。

この時に、教師の教え方によってこれほど理解度が違うものなのかととても驚きました。

 

ということで、学習する際の効率は、教師に直接受ける授業よりも、教え方の優れた教師の教材を元に学習することの方が学習効率が高いと今でも思っています。

ですから、国レベルで不登校の子どものみならず全ての子どもの学力を最大限に効率的に上げようとするならば、より教え方の優れた複数の教師による教材を録画して、教わる子どもはその中で最も教え方が自分に合った教材を元に学習するという方法を採用することが望ましいと思います。

 

では、従来の教師は不要になるかと言えば、そんなことはありません。

ただし、教師にはこれまでとは違う視点の役割が求められます。

それは、番組でも指摘されているように学ぶ意欲を高めたり、質問に答えたり、あるいは集団生活に必要な知識や道徳を教えることであったり部活の指導などだと思います。

中でも学ぶ意欲を高めることを最も重視すべきです。

なぜならば、昔から言われているように、馬を水辺に連れて行くことは出来ても、その気のない馬に水を飲ませることは出来ないからです。

ですから、子どもの学ぶ意欲さえ高めれば、優れた教材を使って自ら積極的に学び続けていけるのです。

 

考えてみれば、このようなことが子どもに限らず、仕事を持つ大人にとっても同様です。

仕事に興味を持てば、自発的にいろいろと学ぶようになりますが、仕事を単に給料をもらうための手段としてこなしていれば、自ら学ぶ意欲はほとんど期待出来ません。

今、政府主導による“働き方改革”が進められていますが、その原点はこのようなところにあるのではないかと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月14日
アイデアよもやま話 No.4013 世界が熱狂、eスポーツ!

eスポーツとは、まだ耳慣れない言葉ですが、2月17日(土)放送の「週刊ニュース深読み」(NHK総合テレビ)によれば、新たなスポーツ、eスポーツの競技人口は既に世界で1億人以上で、億単位という高額な賞金の大会も開催されるなど、人気スポーツの一つとして位置付けられるまでになっています。

そうした中、2月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもeスポーツについて取り上げていたのでご紹介します。

 

eスポーツとは、競技としてコンピューターゲームの腕を競い合うというものです。

オリンピックへの正式種目への採用を目指す動きもあるほどですが、そうした中、日本初の公認プロが誕生しました。

2月10日〜11日に千葉県幕張メッセで開催された日本最大級のゲームのイベント、注目は利用者数4000万人以上の人気スマホゲーム、モンスターストライクの対戦です。

これもeスポーツなのです。

大会ルールとして、4人1組で対戦し、トーナメントを勝ち抜いた優勝チームが日本初のプロの選手として認定されるのです。

プロの認定をしているのは、2月に設立されたばかりの新団体、日本eスポーツ連合「JeSU」です。

より多くの人に分かり易い本物のプロを作ろうと、今回初のプロ認定大会を実施したのです。

「JeSU」の浜村 弘一副会長は次のようにおっしゃっています。

「eスポーツを普及させるためには、選手が輝かなければファンが出来ないですよ。」

「ファンをつくるためには、選手が活躍する場が沢山ないといけない。」

 

これまで日本は、法規制で高額賞金が出しづらいことから、選手の活躍の場が限られていたといいます。

しかし今回、公的な団体が選手の技術の高さを評価し、プロとして認定することで、メーカーが報酬として賞金を出せるようになったといいます。

他にも、格闘ゲームの「ストリートファイターV アーケードエディション」、「鉄拳7」、「ウイニングイレブン 2018」など6タイトルからプロが認定されました。

 

一方では、来場者からは、選定されるタイトルには違和感があるという意見も出ています。

世界で戦わなければいけないのに、国内でしか流行っていないタイトルが選定されるのは妙な感じがするというのです。

プロ認定タイトルについて、「JeSU」ではタイトルの運用機関や利用者数、また継続的に大会が実施出来る体力がメーカーにあるかなどを総合的に判断して決定していくといいます。

「JeSU」の浜村副会長は次のようにおっしゃっています。

「最初から完璧なものが出来ていると思わないので、特に選手の方々とお話しながら、そこはより収れんさせていきたいと思います。」

 

eスポーツのプロ制度はゲームを開発する企業にとっても大きな可能性を秘めています。

モンスターストライクを運営するミクシィの田村 征也さんは次のようにおっしゃっています。

「選手の方が有名になってスポンサーが付く、でその方々が出られる大会も認知度が上がって興行収入が入ったり、グッズの販売も可能だと思いますので、既存のスポーツがやられているようなビジネス、そういった広がりをeスポーツでもつくっていければいいなと考えています。」

 

日本のeスポーツ市場、プロの誕生で発展は加速するのでしょうか。

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「(eスポーツはこの先どんな広がりを見せるかという問いに対して、)一つの面白い可能性は、eスポーツとリアルな身体を使うスポーツがもっともっと融合していくだろうと。」

「このeスポーツは意外と身体を使うと言われているんですね。」

「まず動体視力を使いますし、筋肉を使うわけです。」

「海外のeスポーツのプレイヤーは結構筋トレとかをして身体を鍛えているんですね。」

「一方のリアルスポーツの方は、最近バーチャルリアリティ(仮想現実)ですとか、AR(拡張現実)の技術が入ってきていますので、実際に今スポーツジムでそういうの入って来ていますよね。」

「ですからeスポーツの方はより身体を鍛え、身体を鍛えるはずのスポーツの方はバーチャルリアリティを使ってゲームになっていく。」

「両方の境界線が無くなっていくわけですね。」

「その辺が大きなマーケットになっていくだろうと考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

AIやロボットなど技術の進歩により、私たち人間の働く場はどんどん奪われていくというような悲観的な見方が一部でされていますが、確かに労働市場全体としては縮小していくと思われます。

しかし、一方では今回ご紹介したeスポーツのように新たなビジネスも生まれてくるのです。

確かに世界的な競技種目として普及、定着させていくためには、どのゲームを対象とするかなど、いろいろな課題がありますが、入山さんのおっしゃるように既存のスポーツとeスポーツとの融合という流れからeスポーツがどんなスポーツとして収れんしていくのかとても興味のあるところです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月13日
No.4014 ちょっと一休み その646 『揺らぐ世界 その6 インドで評価されるヒトラー!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

6回目はインドで評価されるヒトラーについてです。

 

ドイツでは今メルケル首相への求心力が低下し、極右勢力が台頭し始めています。

こうした感情の受け皿となり、支持を急激に広げた政党があります。

極右政党AfD「ドイツのための選択肢」です。

難民の受け入れ反対を掲げ、昨年9月の連邦議会選挙で94議席を獲得し、第3党にまで躍進しました。

AfDのイェルク・モイテン共同党首は、従来のイメージに反して、難民に寛容な姿勢を示していますが、それは巧妙な戦略だという指摘もあります。

政治学の専門家で、ドイツ自由大学の名誉教授、シュトラーテンシュルテさんは次のようにおっしゃっています。

「AfDの真の主張はモスクの建設やイスラム教を禁じ、厳しく対応するということ、つまり(イスラム教に関しての)全てを阻止するというものなのです。」

「(寛容な発言は)戦略なのです。」

 

差別的な発言を自粛し、更に支持を広げる構えのAfDですが、政権を伺う野望も見え隠れします。

 

そんなAfDに対して、人々の間では極右でレイシスト(差別主義者)のナチだとか、新しい極右、ネオナチという声が上がっています。

実はAfDの幹部の一人で州議会議員のビョルン・ヘッケさんは次のようにおっしゃっています。

「ヒトラーは絶対悪ではない。」

 

というように、ヒトラーを肯定する発言まで出ているのです。

ドイツ政治の底流に息づくヒトラーの影、それは今意外な場所でも見られています。

アジアの経済大国、インド、首都ニューデーリーの書店を覗いてみると、ヒトラーの自伝「我が闘争」が置いてあり、しかもベストセラーの一つだといいます。

こちらの書店員は次のようにおっしゃっています。

「買う人はほとんどが若者です。」

「彼らはヒトラーのことが知りたいのです。」

 

今、若者の間で静かにヒトラーへの関心が広まっているというインド、高校の歴史の教科書には何と26ページにもわたりヒトラーに関する記述があるのです。

 

ヒトラーの情熱と言葉は人々の心を動かした。

ヒトラーは強い国家を築くことでドイツ国民の尊厳を取り戻した。

 

番組による若者への街頭インタビュー結果には次の答えがありました。

「ヒトラーの考え方には人々が学ぶべき部分もある。」

 

「独裁は必ずしも悪いことばかりではない。」

 

インドで蘇り始めたヒトラーの影、しかしなぜ今インドでヒトラーが評価されているのでしょうか。

現地のジャーナリスト、ヴィヌサ・マリアさんは次のようにおっしゃっています。

「リーダーシップとリーダーの精神論について学ぼうとする傾向があります。」

「ナチの政治手法は優れていて、人々をまとめあげる手法は優れていたと・・・」

 

強いリーダーを求める人々の心が一部でヒトラーの肯定につながっているというインド、こうした空気の中、およそ4年前、強いリーダーとしてヒンドゥー原理主義を掲げるモディさんが首相に就任、それ以降圧倒的多数を占めるヒンドゥー教徒が少数派のイスラム教徒を迫害する事件が急増していると言われています。

 

今、世界各地に広がる対立と分断の空気、困難な課題を多く抱える世界に暮らす今、私たちに解決策はあるのでしょうか。

 

極端に言ってしまうと“世界の右傾化”という一つの波があるようですが、その他にも世界が抱える課題には次のようなものがあります。

まずテロです。

昨年、1年間だけでも世界で107件を超えるテロが起きており、テロによる死者は3000人以上いました。

また世界の難民の数も6560万人以上と増え続けており、ロヒンギャ難民は63万人を突破しました。

 

また、イギリスのEU離脱の問題やスペインのカタルーニャなどの分離独立の動きも活発化しています。

そして、北朝鮮では核実験やミサイルで世界を挑発しています。

そして、繰り返されているのが紛争や内戦です。

中東やアフリカの一部の国々では今も争いが絶えません。

 

一方、アメリカではトランプ大統領の発言が世界に大きな衝撃を与えました。

エルサレムを首都として認める、また地球温暖化防止に関するパリ協定からの離脱、こうした発言が更なる混乱を生んでいます。

 

このような差別、分断、対立、格差、テロ、核拡散、あるいは地球環境といった問題を抱え、私たちの多くは何となく不安を感じていますが、その根底にあるのは何かが行きづまっているのではないかと番組は指摘しています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して感じるのは、やはり世界的な“行き詰まり感”、あるいは“閉塞感”です。

5回目で世界的な格差社会化の進行についてお伝えしましたが、格差社会化がその最も大きな要因と思われます。

その他にも先進国における経済の低成長や難民問題、あるいは番組でも指摘されているように核拡散や地球環境の問題があります。

 

そしてこうした状況においては、これまでの歴史が示しているように“世界の右傾化”、あるいはとりあえず短期間に目の前の問題を回避してくれそうな指導者に国の行く末を委ねる動きが出てきます。

その象徴的な動きが今回ご紹介したインドで評価されるヒトラーやアメリカのトランプ大統領の誕生なのです。

そして、注目すべきは、こうした動きを促す根源は国民にあるということです。

例えば、トランプ大統領が中国をはじめ日本やEU諸国などに対する関税引き上げを打ち出した後のアメリカの最新世論調査では、トランプ大統領の支持率が上がったといいます。

本来であれば、自由経済世界のリーダー国であるアメリカは自由貿易を推進する立場であるべきなのに、トランプ大統領はそれに逆行した政策を打ち出し、ほぼ固定した半数近くのアメリカ国民がそれを後押ししているのです。

以前、No.3966 ちょっと一休み その638 『トランプ大統領の本質は”アメリカファースト”ではなく”トランプファースト”!?』でトランプ大統領は“アメリカファースト”ではなく、“トランプファースト”を目指しているとお伝えしましたが、こうしてみてくると、トランプ大統領はかつてのヒトラーと同様に、政権を維持するための手段としてうまく国民の声を吸い上げて政策に反映する、極めて現実的でありますが、国の方向性を誤る可能性の高い、危うい政治指導者のように思えてきます。

考えてみれば、中国の習近平国家主席もかつての毛沢東主席のような半永久的な独裁政治を目指しているようです。

しかし、習近平政権においてもアメリカ同様にしっかりした支持基盤があると報じられています。

また、習近平国家主席は中華民族の偉大な復興や領土拡大などの大いなる野望の達成を目指す一方で、共産党政権の安定化を維持するために、国民の声に応えるための取り組みも怠っていないようです。

 

では、こうした世界情勢の中で、少しでも平和で豊かな国際社会を維持・継続させていくために各国の国民にはどのような行動が求められるでしょうか。

私は大きく4つあると思います。

一つ目は、情報のオープン化です。

どこの国の政権においても、政権に都合の悪い情報を隠したがる習性があるのは明らかです。

北朝鮮や中国における国家的な情報統制はその最たるものです。

そして、こうした情報統制は国家が一旦誤った方向へと突き進めば、いずれ破たんしてしまいます。

ですから、こうしたリスクを少しでも少なくするためには、どこの国の政権にとっても例え悪い情報でも全てオープンになるような情報環境の構築が必要なのです。

二つ目は、そのうえで各国の国民は“自国ファースト”ではなく、常に“世界的な共存共栄”をベースとした考え方に立って自国の行く末を考えつつ、積極的に選挙や世論調査において自分の意見を反映させるということです。

三つ目は、こうした各国の国民が国際的につながるような環境、あるいは仕組みの構築です。

各国の国民のゆるやかな絆により、理不尽な各国の政権の動きに対して協力して対応し、国民の意思をしっかりと政権に伝えることにより、政権の政策を軌道修正させるのです。

そして4つ目は、各国国民の間の交流です。

具体的には、スポーツや文化、あるいは芸術、留学などがありますが、最も気軽なのは海外旅行です。

海外旅行を通してテレビニュースなどで間接的な外国人のイメージを理解するのではなく、自分で直接見聞することです。

どこの国の人も家族があり、その家族を大切にしているはずです。

そして、豊かさを求め、戦争で自分の家族を失うことは決して望んでいないはずです。

また、意気投合すれば、国境を越えて大切な友人になることもあり得ます。

こうした絆が出来れば出来るほど、何か問題が生じればお互いに助け合い、あるいは戦争につながるような動きを阻止しようという意思が働くようになるはずです。

以前にもお伝えしましたが、世界で唯一の原爆被爆国である日本の広島と長崎には原爆資料館があります。

こうした施設を世界中のより多くの人たちが訪問すれば、いかに原爆が恐ろしい兵器であるかを実感出来るのです。

そして、一旦戦争になり、もし自分の家族が核兵器の犠牲になったらと想像するだけで、多くの人たちは核兵器廃絶の必要性を実感出来ると大いに期待出来ます。

 

歴史的な大原則として、どのような独裁政権、あるいは独裁国家も国民の声を無視し続けて存続し続けることは不可能なのです。

ですから、逆に言えば、国家のレベルは国民の意識レベルを反映しているとも言えるのです。

 

私たち国民一人ひとりはこの大原則をベースに、より平和でより豊かな国際社会を築くために、自分は何を通して貢献出来るかを考えることがとても大切だと思うのです。

何も講じることなく、平和で豊かな国際社会を手に入れることはあり得ないのです。

決して忘れてならないのは、グルーバル化の進んだ現在、“自国ファースト”ではなく、“共存共栄”の理念の世界的な浸透こそがこうした国際社会の実現にとってとても重要なのです。

 

こうした観点に立つと、戦争を放棄した平和憲法を有する日本国こそ、より積極的に世界に貢献出来る可能性を最も秘めていることを私たち日本人の一人ひとりは自覚すべきではないでしょうか。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月12日
プロジェクト管理と日常生活 No.540 『公衆無線LANのリスク!』

3月16日(金)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で公衆無線LANのリスクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

公衆無線LANは、FREE WIFIなどの名称で通信料金を気にせずインターネットに接続出来、ホテルや飲食店などを中心に普及が進んでいます。

外出先でスマホやパソコンからネットに接続出来るということでとても便利ですが、リスクもあります。

 

NHKが情報セキュリティ会社と共同で調べたところ、都内の主な繁華街では暗号化されていない公衆無線LANが多く見られることが分かりました。

例えば、スマホで買い物をする時に使ったクレジットカードなどの重要な情報が盗み見られたり、サイバー攻撃に悪用されたりする恐れもあるといいます。

 

東京・渋谷のハチ公前で公衆無線LANの設定をオンにすると、多くのポイントが出てきます。

中には公衆無線LANもあります。

NHKは情報セキュリティ会社と共同で公衆無線LANの実態について利用者の多い都内4ヵ所の街頭で安全性を検証しました。

渋谷のハチ公前広場ではセキュリティレベルの低いアクセスポイントが沢山立ち上がっているのが見受けられました。

そして、暗号化されていないアクセスポイントが29ヵ所ありました。

調査の結果、受信したアクセスポイント1700ヵ所あまりのうち、暗号化されていない公衆無線LANは14%あまり、そのほとんどで第三者に通信内容を盗み見られたり、サイバー攻撃に悪用されたりする恐れがあることが分かりました。

 

暗号化されていない公衆無線LANのリスクを確かめるため、研究室に模擬的な環境でNHK記者のスマホを使用した実験を番組で行いました。

スマホから会員制のサービスにログインすると、入力したIDやパスワードが通信傍受した別のパソコンに表示されてしまいました。

NHKと共同調査したPWCサイバーサービス サイバーセキュリティ研究所の神薗雅紀所長は次のようにおっしゃっています。

「クレジットカードの番号、個人情報などをやり取りした場合も捉えることがございますし、業務情報やメールの中身なども見られる場合がございます。」

「暗号化が施されていないものは、中身を見られてしまうと理解したうえで使うことが重要となります。」

「自己防衛という観点で、機微な情報をオープンネットワークを使っている場合は入力しないとか、そういった意識を付けていただくことが重要だと言えます。」

 

安全に使うためにはどうするかですが、安全な公衆無線LANかどうかを見分けるポイントの一つは鍵のマークです。

スマホやパソコンの中には暗号化された無線LANのアクセスポイントに“鍵のマーク”を表示する機能のものがあります。

 

また、総務省は3月16日に利用者が公衆無線LANを使う際に暗号化されたものを選べるように、サービスを提供する側が選択肢を増やすことなどを提言する報告書をまとめました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

携帯電話やスマホの普及は私たちの日常生活の様々な面で便利さを提供してくれています。

ですから、今や無くてはならない必需品の代表格です。

しかし、どんなものにも便利さの反面リスクがあります。

携帯電話やスマホもその例外ではありません。

また、リスクにもほとんど実害のない低いレベルから生命に係わる高いレベルまでいろいろあります。

今回ご紹介した公衆無線LANの暗号化されていないアクセスポイントは、個人情報など重要な情報の漏えいのリスクをもたらすので無視出来ません。

 

では、公衆無線LANの情報漏えいリスク対応策ですが、最もユーザーの手間を省く対応策としては、プロバイダーの提供するセキュリティ対策アプリが考えられます。

すなわち、公衆無線LANにつなげる際に、安全性のあるものだけに対象を絞ってプロバイダーが提供するというサービスです。

 

今や、携帯電話のプロバイダーにより、送信されてくる迷惑メールについては既に対応策がなされていますが、今回ご紹介しているようにこちらから送信するデータについてのリスク対応策については私自身よく理解していません出でした。

そこで、あらためて私がスマホを契約しているAUにこの件で問い合わせたところ、既に安全なアクセスポイントにのみ接続出来るような設定になっていることが確認出来ましたので一安心です。

ちなみに、こうした設定方法について、アンドロイドとアイホンという2つの機種のタイプによって異なることも分かりました。

 

ということで、既に携帯電話やスマホのプロバイダーによって公衆無線LANのリスクは技術的には対応可能ですので、ユーザーが購入時にきちんとその旨を店員に伝えて設定してもらえれば、個人情報など重要データの漏えいは防げるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月11日
アイデアよもやま話 No.4013 空飛ぶマシーン「イージーフライ」!

以前、アイデアよもやま話 No.3484 大空への最新チャレンジ その2 進化したフライボード!で自由に空を飛べる「フライボードエア」についてご紹介しました。

そうした中、2月11日(日)放送の「サンデー・ジャポン」(TBSテレビ)でフライボードエア」の改良版について取り上げていたのでご紹介します。

 

ジェットエンジン搭載で時速100km以上で飛行出来る、空飛ぶマシーンフライボードエアですが、乗りこなすには高度な技術が必要なため、未だ一般向けには発売されていません。

 

そんな中、昨年10月に動画サイトでフライボードエアの改良版「イージーフライ」がお披露目されました。

これまでの足を固定するタイプからハンドル付きに変更され、安定して飛ぶことが出来ます。

最高時速は130km、高さ3000mまで上昇出来るといいます。

まだ開発段階で実用化は未定ですが、新たな移動手段として期待されています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ご紹介した動画を見ただけでとてもワクワクしてきました。

なので、安全性が高く、誰でも簡単に操作出来るような「イージーフライ」が市販化されたら、1日でも早く乗ってみたいと思います。

しかし、技術的には可能であっても、制度上はいろいろと規制があると思われます。

ですから、今話題の自動運転車も同様ですが、こうした新しい乗り物に対応した規制を出来るだけ早く完成させるように、行政には前向きに取り組んでいただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月10日
アイデアよもやま話 No.4012 アイデア方程式 薬剤師×?=マスカラ!

2月8日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でマスカラについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

鏡に向かう女性が美しくなっていく姿は男性から見ても実に魅力的なものです。

このマスカラ、起源は諸説ありますが、一番有力なのが今夜の方程式です。

ヒントは兄の優しさです。

目元パッチリ、大きな瞳を叶えるマスカラ、その誕生は意外なものでした。

 

1913年、アメリカのメンフィス、薬剤師をしていたある男性は妹から相談を受けました。

それは彼女の片想い、目が小さなことが悩みだった妹は積極的になれずにいました。

妹の恋を実らせたい、目を大きく見せれば自信が持てるのではないか、そんな兄に意外なアイデアが閃きました。

「そうだ!まつ毛を強調しよう!」。

「まつ毛を太く濃くカールさせれば、目が大きく見えるかもしれない!」。

 

薬剤師は当時考えられる材料、ワセリンと石炭の粉を混ぜ、妹のまつ毛に塗ってみました。

すると目元がパッチリ、兄の秘策で自信を得た妹は男性のハートを射止め、結婚しました。

その後、1915年にマスカラを商品化して発売、全ては妹の恋と兄の優しさから始まったのです。

 

自分の美しさに自信を持てなかった妹に、「お前は本当は美しいんだ」と兄がかけた魔法、それがマスカラだったのです。

 

ということで、今回のアイデア方程式は薬剤師×妹の恋=マスカラでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かに、普段接している女性が特別なイベントに出かける際などにマスカラをしているのを見ると、ギョッとするほど美しく感じることがあります。

このようなことは、マスカラだけでなくお化粧やヘアのかたち、あるいはファッションなど全体の相乗効果により一層美しさを引き立てます。

しかも、こうしたファッション全体により、女性が生き生きとして前向きな気持ちになれることは、周りの男性にとってもとても心地いいものです。

 

こうした中で、マスカラの起源が目が小さなことが悩みだった妹のためにその兄が思い付いたという説はとても微笑ましく感じます。

どんなものでも、私たち人間が作り出すものには必ずそれなりの理由があるとあらためて感じました。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月09日
アイデアよもやま話 No.4011 3000円で1ヵ月飲み放題の居酒屋!

2月5日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で3000円で1ヵ月飲み放題の居酒屋について取り上げていたのでご紹介します。 

 

月に一定の金額を支払えば、あるサービスが1ヵ月使い放題となる、といった定額制のサービスが広がっています。

2月5日、ある居酒屋が業界初の1ヵ月3000円で飲み放題の定額制サービスを始めました。

東京・秋葉原にある居酒屋、柚柚(YUYU)で午後5時から始まった新たなサービス、ビールから焼酎、カクテルまで250種類のアルコールが1ヵ月飲み放題、30日で3000円という安さにお客の反響も上々のようです。

このサービスを運用するのは、全国347店舗の飲食店を展開するアンドモアで、そのうち30店舗の居酒屋で2月5日から「定額制飲み放題」を始めました。

 

ではなぜ、このようなサービスを始めたのでしょうか。

柚柚の秋葉原駅前店店長の村岡 雄介さんは次のようにおっしゃっています。

「もっと気軽に足を運んでいただいて、リピーターとして次にまたご来店いただくという・・・」

 

ファミリーレストランやファーストフードなど外食産業全体の売り上げは3年連続で前年を上回る中、居酒屋だけは前年を下回っている現状があるのです。

ちなみに、2017年外食産業市場動向調査の結果は以下の通りです。

全体売上高 :103.1%(前年比)

居酒屋売上高: 98.1%(前年比)

 

その危機的状況を打ち破ろうとして始めた今回の企画ですが、はたして利益は出るのでしょうか。

導入するにあたって、昨年10月に実証実験を行うと驚きの結果でした。

アンドモアの森本 重久執行役員は次のようにおっしゃっています。

「実際、飲み放題というのが無料になっているので、お客様としては普段頼めないもの、中々出ずらい高単価な商品も出るようになってきたので、・・・」

「飲み放題を引いたとしても、客単価としては変わらないという実績が取れたので、これはいけると。」

 

例えば、一品目は299円の枝豆から699円のマグロとアボカドのユッケに、二品目は499円のから揚げから1029円の厚切り牛タンに、メインの鍋も1人前1199円の鶏すき鍋から1599円の本ズワイガニの海鮮寄せ鍋と、お客の注文は単価の高い料理に変化、客単価も60円のマイナスにしかならないという結果が出ました。

 

飲み代が無料になることで、お得感を感じるお客は自然と料理を高い方へとシフトするといいます。

こうした状況について、森本執行役員は次のようにおっしゃっています。

「こういうきっかけがあることで、「景気は気から」というところにつなげたいなと思っているんですが、そのお客様が「もっと飲みにケーションしようよ」とか、飲みに行って「おいしいものを食べよう」というようなところで、居酒屋業界全体が活性化されればいいなとは思っております。」

 

この居酒屋の狙いについて、番組コメンテーターで野村不動産のチーフ・マーケット・エコノミストの木下 智夫さんは次のようにおっしゃっています。

「顧客データをこのプランで集めて活用していくというのも一つの方向だと思うんですが、やはり消費を刺激するというところが大きいと思いますね。」

「このところ日本の消費者はかなり給料が上がって、全体としては購買力が付いている状態だと思います。」

「で、そういう状況ですから消費者の意欲をうまく突いてあげれば、それなりに消費は出てくるはずで、そうした試みとして注目出来るんじゃないかなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した、3000円で1ヵ月飲み放題の居酒屋のサービスは、居酒屋でお酒を飲むことを好む人たちにとってはお得感のあるとても魅力的なサービスに思えます。

しかも、飲み代が無料になることで、お得感を感じるお客は自然と料理を高い方へとシフトするというのですから、まさにお客にとっても居酒屋にとってもメリットがあるのです。

 

私たち一般消費者は、モノを購入する際に50%引きなどの宣伝文句につられて買い物をし、結果として普段よりも多くの出費をしてしまうことがありますが、こうした商売の背景には、今回ご紹介した居酒屋と同様の計算が働いているわけです。

 

ですから、いかにお客にお得感を感じさせながら、継続的に商売として続けていけるかというのが永遠のビジネスの課題だとあらためて思います。

しかも、今回ご紹介したような商売のアイデアは知的財産として保護されるようなことはないので、すぐに他店に真似されてしまう可能性があります。

ですから、その究極のかたちは、価格競争に振り回されないような独創的で魅力に溢れた商品やサービス、すなわちブランドの確立だと思うのです。

このような究極のかたちこそ継続的な“千客万来”につながるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月08日
アイデアよもやま話 No.4010 変化の波に乗り遅れそうな銀行業界!

2月4日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で変化の波に乗り遅れそうな銀行業界について取り上げていたのでご紹介します。 

 

1月は580億円相当という巨額の仮想通貨が流出し、ここ最近注目が集まっている仮想通貨を巡って安全性の問題が明らかになりました。

一方、現実の通貨を巡っても私たちの生活に身近な銀行が今その姿を大きく変えようとしています。

 

メガバンクが相次いで経営の効率化を発表しています。

例えば、みずほフィナンシャル・グループは1万9000人、三菱東京UFJ銀行は6000人、そして三井住友銀行は4000人の人員削減を打ち出しています。

日本の銀行業界でいったい何が起きているのか、私たちにとって“お金”の姿はどう変わるのでしょうか。

 

メガバンクがこれだけの人員削減に踏み切るのはなぜでしょうか。

その最大の理由は歴史的な低金利にあると言われています。

歴史的な低金利の背景はデフレ脱却を目指した日銀の大規模な金融緩和です。

銀行が預金を預かって、それを融資に回して“利ざや”で稼ぐ、その“利ざや”が非常に少なくなってしまうということなのです。

 

そして、もう一つはIT技術の進化ですが、スマホやパソコンで簡単に送金や支払いが出来るような時代になって、今後店舗の利用者やATMの利用者が減っていってしまうと、維持コストが大変な負担になってくる可能性が出ています。

 

一方、世界的に現金離れ、キャッスレス化の動きが加速しています。

例えば、中国の場合は「アリペイ」と呼ばれるスマホ決済サービスには5億人の人が登録しています。

また、北欧のスウェーデンでも現金の流出量がGDPの1.3%というように急減しています。

 

一方、日本は現金志向が高く、政府は利用者の利便性にもつなげようとキャッスレス化の動きを後押ししております。

こうした国内でのキャッスレス化の動きに対して、各銀行は知恵を絞っています。

例えば、銀行の支店については、駅前の一等地にこだわるのは止めて、数を減らしたり、一方で資産運用などの相談業務に特化するような小型の店舗を作ったりといったことが検討されています。

また、ATMについては、コンビニのATMに任せてしまって、自前のATMはゼロにしてしまっている銀行も出て来ています。

そして、口座や通帳については、今は銀行側がコストを負担して誰でも無料で使えますが、将来的には口座維持手数料を取った方がいいのではないかという議論も出ています。

 

このように銀行の姿は今後大きく変わっていくように見えますが、もしIT事業者に新しい決済サービスを奪われてしまうことになると、既存の銀行にとっては口座などを一生懸命維持していくだけの、言わば“装置産業”のようになってしまいかねません。

 

そこで銀行も新しいサービスを模索しております。

例えば、みずほ銀行がソフトバンクと組んだ、新しい個人向けの融資サービスでは、スマホなどで利用者が質問に答えていくとAIが返済能力を判断してくれます。

返済能力が高いと判断されると、比較的安い金利でお金を借りることが出来ます。

また、銀行にとっても審査にかかるコストを抑えられるといったことを狙ったサービスなのです。

 

さて、店舗が減っていくと不便さを感じる利用者も多くなりますが、こうした状況に対して、金融庁は新たな法改正をして、今までは土日や年末年始にしか認めていなかった銀行の休日を平日にも認めるようにしようと検討を進めています。

この法改正によって、例えば、ある銀行のA町支店では月水金、B町支店では火木というように営業日を分けて、同じ銀行員が支店を変えて働くことが出来ますので、銀行は効率化が出来ます。

利用者のとっても、完全に支店がなくなってしまうことは避けられるのです。

 

IT技術などを使うことによって、銀行の姿は大きく変わりそうですが、これから銀行に求められる役割について、今メガバンクが取り組もうとしている効率化も、ただ人を減らそうというのではなく、AIなどに事務作業など任せられるものは任せて、その分浮いた人材をどう活用していくのか、その点が一番大きいといいます。

そういう中で、将来性のある企業をどう発掘して、そこにお金を融資していくのか、また地域の金融サービスをどう維持していくのか、この稼ぐ力を取り戻しながら、銀行の社会的役割も果たしていく、この点をどう実現出来るかが問われてくることになると番組では指摘しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

銀行を取り巻く環境が厳しくなり、リストラの必要性が取りざたされていますが、かつて銀行業界は最も安定した職業の一つと世間から見られていたことを思うと、時代の流れとともに花形産業は変わっていくことをあらためて実感します。

同時に、ネット社会の進行とともに、ネット関連ビジネスが非常に短期間の間に成長し、既存の企業が何十年もかけて達成した売上高をいとも簡単に達成してしまったネット関連企業を見て、あらためてネット社会のビジネスに与える影響の凄さも実感します。

 

では時代の流れとは具体的にどのようなものかといえば、大きく2つあると思われます。

一つ目はこれまで何度かお伝えしてきたように、資本主義経済の停滞です。

銀行のドル箱は預金を原資に企業や個人に融資した時の金利です。

ところが、先進国を中心に、経済が成熟し、成長率はせいぜい2、3%台が続いています。

こうした環境ではかつての経済成長期に比べて融資先、そしてその融資額が減少し、その結果金利が低くなってしまうのです。

本来であれば、企業は金利が低い時に積極的に様々な投資をするところですが、将来的に投資に見合うような需要が期待出来ないために銀行から資金を借りることにつながらないのです。

こうした状況下において、国内では日銀が金利2%を目標に“異次元の金融政策”に数年来取り組んできましたが、大きな効果は未だに出てきません。

金融政策には限度があり、金利を上げるうえでの決定打は飽くまでも将来的な、かつ継続的な需要の創出なのです。

 

二つ目は世界的な現金離れ、キャッスレス化です。

これを支えているのは、インターネットをインフラとするITです。

今や、インターネットを通じて世界的にキャッスレス化は短期間のうちにものすごいスピードで普及しています。

キャッスレス化は、具体的なコインやお札を必要とせず、仮想通貨やクレジットカードの番号というデータでのやり取りなのですから、銀行の出先機関である支店は必要ありません。

しかも、スーパーなどの小売店など、私たち購入者との接点である業種はキャッスレス化により、閉店後の計算業務などから解放されます。

同様に購入者も現金の持ち歩きから解放されます。

ですから、世界的なキャッシュレス化の動きは当然なのです。

 

こうした中で、今や日本はキャッシュレス化後進国となっているのです。

ですから、日本においては、銀行業界のみならず、国の仕組み全体をキャッシュレス化に限らずIT化の波に合わせて大きく変貌させるという大きな課題に直面しているのです。

そのポイントは、大きく2つあると思います。

一つ目はあらゆる既存業務の見直し、およびITの活用による効率化です。

二つ目はITを活用した新たなサービスの創造です。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月07日
アイデアよもやま話 No.4009 アイデア方程式 塗料×?=燃費のいい船!

2月1日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)で燃費のいい船について取り上げていたのでご紹介します。

 

近頃奇抜な発明が注目されています。

それは船の燃費を良くする塗料です。

そこで今夜の方程式は燃費のいい船です。

 

船に塗るだけで燃費が良くなる、そんな夢のような塗料が船舶業界で注目されています。

環境問題が叫ばれる今、CO2削減は船の塗装会社に勤める開発者にとっても他人ごとではありませんでした。

水の抵抗を減らせる塗料があれば船の燃費も良くなり、結果的にCO2削減につながるはずと考え、開発者は速く泳げる海の生き物を片っ端から調べました。

すると塗料のヒントになる生き物がいました。

それはマグロでした。

時速100km近く、その速さの秘密は、体の表面を覆う粘液の中のヒドロゲルと呼ばれる粘液成分にあることを突き止めました。

それをヒントに、2007年、水の抵抗を少なくする塗料を開発しました。

更に6年後の2013年には摩擦抵抗を約12%減らし、燃費も向上しました。

採用実績は、国内外2200隻以上、燃費を良くする塗料はマグロから生まれていたのです。

この塗料、今ではマグロの延縄漁船にも使われているそうです。

 

ということで、今回のアイデア方程式は塗料×マグロ=燃費のいい船でした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで繰り返しお伝えしてきたように、自然界のあらゆる生き物が生き抜くために持っている優れた知恵を私たちの生活に生かす研究、すなわちネイチャー・テクノロジー(Nature Technology)は様々な場面で利用されています。

動物や植物はそれぞれの種によって、自然界で生き抜いていくためのDNAを持っているわけです。

そして、その具体的な戦略は様々なかたちで私たちの暮らしに役立っているのです。

 

そこで、今回思い付いたことがあります。

それは、これまでご紹介してきたアイデア方程式と逆の方向の考え方です。

すなわち、自然界の様々な種の生き方戦略は何かを理解し、それは具体的にどのような用途に役立つかを整理する学問の必要性です。

こうしたことを整理・体系化することによって、問題解決の際に必要に応じてすぐに利用出来るようになります。

こうした研究はすでにどこかの大学や研究機関により研究されているかどうか分かりませんが、もしないのであればどこかで研究を始めることは価値があると思うのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月06日
No.4008 ちょっと一休み その645 『揺らぐ世界 その5 世界的な格差社会化の進行!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

5回目は世界的な格差社会化の進行についてです。

 

4回目で資本主義経済の矛盾についてお伝えしました。

その矛盾の一つは世界的な格差社会です。

こうして生み出された極端な格差への怒りと不満が世界を揺るがしているというのです。

大きな富を生み続けながら、幾度も壁を乗り越えてきた資本主義の歩み、今直面する行き詰まりを解決する道はあるのでしょうか。

 

番組パネリストの一人、古田 大輔さんは次のようにおっしゃっています。

「原因と結果をちょっと逆に考えたいんですけど、資本主義が行き詰ったから格差や分断が広がるというわけではないと思うんですよね。」

「格差や分断が広がってしまったら、資本主義が行き詰るんじゃないかと思うんですよ。」

「じゃあ、資本主義を他のものに代えますかって、でも他のものってないと思うんですよね。」

「資本主義を他の何かに代えましょうということには中々いかないと思うんですよ、経済活動を考えると。」

「そうすると、格差や分断が進み過ぎないようにしましょうよというのが適切な対処の仕方かなと思います。」

「で、格差に対して一つ指摘したいのは、VTRの中で上位8人が下位50%分の富を持っていると、富が集中してしまっていると。」

「これ自然な流れだと思うんですよね。」

「どういう意味かというと、今、世界がグローバル化して、世界中の人がファイスブックを使うわけですよね。」

「で、世界中の人がアマゾンを使うと。」

「そういう時代がこの10年で訪れた。」

「そうするとアマゾンとか、僕ネットフリックス見ますけど、世界中の人たちが共通サービスを使うようになったら、そこが無茶苦茶儲かるのは当たり前の話なんですよね。」

「これは今後も絶対続いていくわけです。」

「だから、そこに富が集中することは良い悪いではなく、それが時代の必然であると。」

「でその中で、一方で確実に問題はあるんだから、そこをどう手当てしていくか。」

「で、一番最大の問題を発生させてはいけないのは戦争ですよね。」

「戦争の原因ていうのは、これは2500年前から変わらなくて、今、塩野 七生さんの「ギリシア人の物語」って話題になっていますけれども、2500年前のペロポネソス戦争の時に言われたのは、戦争というものは名誉か、恐怖心か、それとも利益を得たいという心から生じるというのは2500年前から変わらないので、そういうものをみんなで意識しながら、そこには行き着かないようにしましょうねと気を付けるしかないのかなと思います。」

 

また、番組パネリストの一人、寺島 実郎さんは次のようにおっしゃっています。

「今アメリカで議論していると“FAGA”っていう言葉がよく使われるんですよ。」

「それはFacebookの“F”とAppleAmazonの“A”とGoogleの“G”を挟んで、これらの企業が世界で浸透し、儲かっているんだから、その創業者が富を得るのは当然じゃないっていってる考え方があるのも事実なんです。」

「でも、実際どうやってこの8人の人たちが富を作ったかと言ったら、これはマネーゲームっていうか、IPO(新規公開株)だとか、その後の株価の値上がりだとか、マネーゲームによるマネーゲームのために肥大化して富を作ったという部分も加わっているっていうわけですよ。」

「ですから、極端な金融資本主義の肥大化っていうものが富を拡大した、富の分散を拡大した、格差を拡大したことは確かなんですよ。」

「で、我々今年について忘れていけないことは、(2008年に起きた)リーマンショックからちょうど10年目だということなんですよ。」

「でリーマンショックの教訓が生きているのか。」

「あの時もまさにマネーゲームの肥大化がもたらした歪みが世界にああいうショックを起こしたんだっていうことだったんだけど、10年経ったけど教訓は全く生きていないどころか、もっと手の込んだ金融資本主義のあざとい、いわゆる変革という名のもとに肥大化が起こっている。」

「例えば、我々21世紀に入って、それまで金融の世界で聞いたこともなかったような言葉を勉強しなきゃいけなかった。」

「ジャックボンドって言っていた、これがいつの間にかハイイールド債って名前を変えて我々の目の前に現れた。」

「それからヘッジファンドの肥大化、これ今、世界で約2兆ドルの規模になっていますね。」

「それから最近フィンテックなんて言葉もよく聞きますよね。」

「それから更に、おっとなるようなビットコインの時代なんて言われ始めている。」

「こうやって手を変え、品を変えして、金融という分野で付加価値を肥大化させていく。」

「我々は今から議論しなきゃいけないことは、健全な資本主義ってのは何なんだと、公正な分配っていうのは何なんだと。」

「あざとい資本主義に「しょうがないよね」って言っている場合じゃないっていうのがこの段階で僕が言いたいことですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組では、資本主義経済の矛盾の一つとして世界的な格差社会を指摘していますが、富の集中は必然だと私も思います。

前回、No.4002 ちょっと一休み その644 『揺らぐ世界 その4 資本主義経済の抱える矛盾!』でもお伝えしたように、そもそも資本主義経済は常に更なる利潤を追求していくために新たな市場、すなわちフロンティアを探し求めています。

そうした中、インターネットの普及により世界中の多くの人たちはネット経由でいつでもどこでも欲しいものを手に入れることが出来るようになっています。

更にテクノロジーの進歩により、フィンテックと呼ばれる金融とテクノロジーの融合により、金融資本主義の肥大化をもたらしつつあります。

更に、IoTという新たな動きは、あらゆるモノやサービスをネットでつなぎ、地球上の利潤追求のフロンティアの究極の状況を作り出そうとしています。

勿論、こうした成果は、私たちに便利さや豊かさをもたらしてくれる側面もありますが、こうした一連の経済活動は、インターネットがインフラであるがゆえに、“FAGA”に代表されるように、様々なプロバイダーの集約、集中をもたらしています。

その結果、国や企業、あるいは私たち一般人という社会の全ての階層において“格差”という弊害をもたらしているのです。

こうした格差は現状を放置していれば、今後ともテクノロジーの進歩に伴い増々拡がっていきます。

そして、格差が極端に広がっていけば、社会不安が高まり、これまでの歴史が示しているように紛争や戦争の原因となります。

 

そして、寺島さんの指摘されているように、リーマンショックの教訓は未だに生かされていないといいますから、今後とも価値の変動の激しい仮想通貨など新たなフロンティアの持つリスクが顕在化する可能性は残ります。

 

このような格差拡大による社会不安や不満、あるいはリーマンショックのような資本主義の本来的に持つリスクは、国家による十分な対応策なしには繰り返し顕在化するのです。

 

ということで、世界中の国家、中でも先進国においては、経済の専門家とともに知恵を絞って健全な資本主義を維持し続けるための対応策を検討していただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月05日
プロジェクト管理と日常生活 No.539 『アメリカの核戦略が大きく転換』

アイデアよもやま話 No.4000 ベトナム戦争から半世紀、”枯葉剤被害”は今も!でも多少触れましたが、2月3日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でアメリカの核戦略の大きな転換について取り上げていたのでご紹介します。

 

アメリカのトランプ政権は核の体制を見直し、“低出力核”と呼ばれる威力を抑えた核兵器の増強など、核戦略の強化を打ち出しました。

専門家からは、核兵器使用のハードルを下げる危険があるなど、強い懸念の声が上がっています。

トランプ大統領は、昨年2月のインタビューで次のようにおっしゃっています。

「他国が核兵器を保有するなら、我が国はその中で一番になる。」

 

核戦力の強化に意欲を示してきたトランプ大統領は、1月30日の一般教書演説でも次のようにおっしゃっています。

「核戦力を近代化し、再建しなければならない。」

 

そして、2月3日(日本時間)、トランプ政権は新たな核戦略を発表しました。

シャナハン国防副長官は、次のような声明を出しました。

「困難な安全保障環境のもと、抑止力強化に向け、しっかりした行動が求められている。」

 

核兵器のうちICBM、大陸間弾道ミサイルなどで発射され、壊滅的な破壊力を持つものは“戦略核”と呼ばれますが、増強が示されたのは威力を抑えた核弾頭“低出力核”です。

開発中の“低出力核”は“スマート核兵器”とも呼ばれ、戦闘機から投下されます。

目標に合わせて、爆発の規模を調節出来、一番小さい場合、広島に投下された原爆の50分の1の規模になります。

 

新たな戦略ではこのような“低出力核”を搭載したSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を導入するとしています。

また、オバマ前政権が退役させた、艦艇や潜水艦から発射可能な核巡航ミサイルの再開発にも着手するとしています。

 

アメリカが目指す核戦力の強化は、ロシアや中国の核戦力強化などに対抗するためだとしています。

2月3日(日本時間)、シャナハン国防副長官は、次のような声明を出しました。

「我々は核兵器を使いたくない。」

「アメリカと同盟国・友好国の安全を確保するため、効果的な抑止力を維持したいのだ。」

 

こうした状況について、NHKワシントン支局の石川 健吉特派員は、次のようにおっしゃっています。

「(戦闘機や艦船から発射出来る“核”を強化することは、核兵器を使い易くする恐れはないのかという問いに対して、)確かに核使用のハードルを下げる危険があるという指摘は根強くあります。」

「これに対して、国防総省は核兵器を使い易くすることが目的ではなく、相手に攻撃を思い止まらせる抑止力を強化することが狙いだと主張しています。」

「(では、なぜ“低出力核”を強化するのかという問いに対して、)ロシアの核戦力に見合った反撃力を持つためだとしています。」

「トランプ政権は北朝鮮の核問題を喫緊の課題と位置付けていますが、中長期的にはロシアの脅威の方がより深刻だと見ているからです。」

「アメリカは冷戦後の軍縮で局地的な攻撃に使用する、いわゆる“戦術核”を減らして、現在の保有数は300発とされていますが、ロシアは逆に増強を図って2000発近くを保有していると分析されています。」

「この差を埋める抑止力として“低出力核”の増強を図るというわけなのです。」

 

ハーベイ元国防次官補代理は、次のようにおっしゃっています。

「ロシアは紛争時に核の限定的な使用で有利な結果を得られると考えている。」

「アメリカはロシアに核使用は恐ろしい結果を引き起こし、目的は達成出来ないと納得させなければならない。」

 

これに対して、石川特派員は、次のようにおっしゃっています。

「(相手が強化するなら、こちらも強化するとなると、歯止めがかからないのではという問いに対して、)その危険性はあります。」

「軍縮派の専門家からは強い警笛を鳴らしています。」

 

カントリーマン元国防次官補は次のようにおっしゃっています。

「“ロシアの全ての能力に対抗しなければ危険”というのは、闘争本能から来る幻想だ。」

「かつて米ソを危険で愚かな軍拡競争へ導いた考え方そのものだ。」

 

これについて、石川特派員は次のようにおっしゃっています。

「こうした大国間の争いが世界を再び冷戦時代の緊張状態に逆戻りさせる可能性は否定出来ません。」

「唯一の被爆国である日本を始めとした国際社会全体がその行方を目を凝らして見ていく必要があると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

トランプ大統領が昨年2月のインタビューで「他国が核兵器を保有するなら、我が国はその中で一番になる」とおっしゃっていたのは、大統領という立場でアメリカの防衛をより確実にするという観点からは一見筋が通っているように見えます。

しかし、各国の指導者がこうした想いで大量の資金をつぎ込んで軍拡競争に走れば、その分各国の税金などが防衛費に使われ、福祉など国民の豊かさにつながる方面には投入出来なくなってしまいます。

 

トランプ大統領は、“低出力核”は戦争勃発の抑止力として必要だと考えておりますが、ロシアのプーチン大統領は、クリミアに核爆撃機の配備を検討するなど軍拡路線をひた走っていると報じられています。

また、中国においても、アメリカの軍事力に追いつき、追い越せの状態で、将来的にはアメリカを追い抜く構えだと言われています。

 

こうした米中露という世界の三大軍事大国による軍拡競争は、国家間の弱肉強食時代に逆戻りしてしまうことになります。

何といっても、強大な軍事力、あるいは経済力は無言の圧力を他国に与え、時にはその力を背景に、国際的な取り決めを無視して、自国の我を通すことも最近散見されます。

 

更に、一旦国同士の戦争が始まれば、その軍事同盟国も有無を言わさず参戦することになります。

ですから、特に三大軍事大国のいずれかが戦争を始めれば、その影響は計り知れません。

また、“低出力核”と言えども、核兵器には違いなく、万一実際に使用されるようなことがあれば、広島や長崎の悲劇の再来となります。

 

こうした状況において、やはり平和国家である日本には、アメリカ一辺倒ではなく、愚かな軍拡競争の歯止めとなり、あるいは核兵器や化学兵器の廃絶を進めるべく、国際社会に強く、かつ継続的に訴えることが求められていると思います。

 

いずれにしても、私たち一人ひとりは、兵器の性能が格段に進化している今日、かつての世界大戦規模の戦争が勃発すれば、間違いなく人類そのものの生存危機を迎えるということを常に肝に銘じておくことがとても大切なのです。

人類悠久の歴史の中で、培われて来た文明や文化、そして豊かさが一瞬にして破壊されてしまうのですから。

 

ということで、世界規模の戦争勃発リスクは、人類共通の最大のリスクであり、常に私たちはその対応策を模索し続けることが求められているのです。

そして、平和国家、日本はその憲法の根幹からして、最もこのリスク対応策を推進していくうえで最も重要な立場にあるべきなのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月04日
アイデアよもやま話 No.4007 野球のユニフォームの素材から作られるスーツ!

1月31日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で野球のユニフォームの資材から作られるスーツについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

総合スポーツメーカーのミズノが開発したのは、野球ユニフォーム素材のビジネススーツです。

野球のユニフォームと同じ素材ということなので、勿論キャッチボールをしたり、走ったり、バッティングしても問題ありません。

また、伸縮性や通気性に優れており、丈夫でシワにもなりにくいです。

そして更に驚くことがあります。

ミズノ グローバルアパレルプロダクト本部の林 保宏さんは次のようにおっしゃっています。

「スポーツのシーンで使えますので、必ずご家庭で洗えるのが一番大事なポイントになってきますね。」

 

このスーツの商品名は「ムーブスーツ」で価格3万1104円(税込み)で3月16日発売予定といいます。

 

このスーツ、特に肩周りの伸びがよく、開放感があるといいます。

また、自転車で出社したり、一駅分歩くといった方々には特にお勧めといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したスーツは、野球のユニフォームの素材から作られているので着心地が良く、オールシーズン着用出来るということで、とても興味が湧きました。

しかも、糸一本一本に防汚クリーン樹脂を皮膜しているため汚れが染み込まず、洗濯時に汚れが落ちやすいのも魅力です。

そこで、気になったアイロンがけの必要性について、直接メーカーのミズノに問い合わせたところ、やはり必要だということでした。

 

年も年なので、スーツを購入する機会はほとんどなくなりましたが、購入の際には是非このスーツも候補にしたいと思います。

出来ればその時までに、アイロンがけ不要という機能も兼ね備えておいていただければと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月03日
アイデアよもやま話 No.4006 そもそも憲法とは何なのか?

今日は憲法記念日ですが、ふだん私も含めて一般の方々は憲法についてあまり深く考えることはないと思います。

そうした中、1月27日(土)放送の「報道特集」(TBSテレビ)で憲法改正の是非について取り上げていました。

今年の国会で最大のテーマは憲法改正ですが、その焦点は憲法9条です。

なぜ自衛隊を明記するのか、明記すると何が変わるのかが問われていますが、今回はそもそも憲法とは何なのか、および憲法9条改正についての専門家の見解に焦点を当ててご紹介します。

 

憲法学者で首都大学東京の木村 草太教授は次のようにおっしゃっています。

「憲法は過去に国家権力がやってきた失敗を繰り返さないように、それを禁じるルールを作っておこうということで作られる法です。」

「例えば、戦争しないとか、人権侵害をしない、権力の独裁を許さない、といった過去の失敗を踏まえてのルール作りをしたもので、国の理想を書いたものではなくて、過去の失敗を繰り返さないように国家権力を制限するためのものというふうに説明するわけですね。」

 

なお、憲法9条に自衛隊を明記する案について、木村教授は集団的自衛権の行使容認と安保法制の成立(2015年9月)を踏まえた議論の必要性を指摘しています。

「まず自衛隊を置いてよいと書くだけでは何を自衛隊がやっていいのか分かりませんから、まず個別的自衛権、日本が武力攻撃を受けた時に武力行使が出来るということをきちんと作用として自衛隊が出来る業務の範囲を書かなくちゃいけないですね。」

「また、日本が武力攻撃を受けた時だけでなく、他の国へ武力攻撃があった場合も、それが存立危機事態にあれば集団的自衛権を行使して武力行使が出来るということも書き込んでおかないと、例えば個別的自衛権・集団的自衛権は違憲かという議論は残ってしまいますから、まず任務の範囲を書かなくてはいけないことになります。」

「「自衛隊を明記するだけですよ」と言われれば、「そうか」というふうに納得される国民の方もかなり多いと思いますけども、しかし中身には必ず集団的自衛権が入って来るということなので、これは非常に言い方をごまかしているというふうに思います。」

「ですから、誠実に「集団的自衛権の明記をしたいんです」と言わないと誠実ではない。」

 

木村教授は、現在の改憲論議には政策目標や根拠となる出来事がないと話します。

「憲法改正というのは、歴史的な出来事があって、それを受けてというパターンで、例えば日本の場合の憲法9条というのは誰もが第二次世界大戦を思い浮かべます。」

「あるいは、アメリカ合衆国憲法の第13条、奴隷制の禁止条項を見れば、誰もが南北戦争と奴隷制の歴史を思い浮かべます。」

「私たちの世代が、もしこのまま憲法改正された時に、「なんで(憲法改正)したの?」と言われれば、オリンピックがあったからとしか答えられない、非常に不幸な憲法改正になってしまうわけですね。」

「なので、憲法改正というのは大きな歴史的出来事だったり、きちんとした政策目標があって、後の世代にきちんと説明出来るものでないと非常に恥ずかしいものになるということです。」

 

なお、木村教授にインタビューしたジャーナリストの金平 茂紀さんは、次のように補足しています。

「そもそも9条に自衛隊を明記する理由については、安倍総理は自衛隊違憲論を無くすためだという趣旨のことを言ってましたけども、木村さんは「これまでずっと自衛隊は合憲だと言ってきた自民党のトップが、自衛隊は違憲かもしれない、少なくとも憲法を改正してまでそれを説得しなきゃいけないと言うぐらいに疑いがあるということを公式に認めてしまったことになるわけで、これは極めて不適切じゃないかと指摘しましたですね。」

「それからもう1点、自衛隊が軍隊じゃなくて行政組織の一つだということをこれまで政府は説明してきたわけですけども、ならば自衛隊については9条に書き込むのではなくて、もし書き込むとしても行政の機能について記している72条とか73条の行政の章に位置付けるべきではないのかとおっしゃっていました。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも憲法とは何かについて、私はこの番組を見るまで大きな誤解をしていました。

憲法とは、国の理想を掲げ、その基本原理を記述したものと誤解していたのです。

しかし、少なくとも民主主義国家においては、憲法の主体はあくまでも国民であり、非常に現実的かつ実践的な内容なのです。

国民の立場からみて、少しでも国家権力が誤った方向にいかないようなリスク対応策として、あるいは不幸にして起きてしまった失敗を二度と繰り返さないための国家レベルの再発防止策として憲法は位置付けられているということなのです。

ですから、憲法は国民にとって、本来国民として自らの身を守るための根源的な手段であるとも言えるのです。

 

また、憲法は国際情勢や社会情勢の大きな流れの変化の中で必要に応じて見直されるべきものであり、従って永久不変ではないのです。

しかも、あらゆる観点から漏れや誤解を生じさせることのないように、改正にあたっては細心の注意が求められるのです。

 

こうした中で、現在憲法9条の改正議論が進められていますが、木村教授の指摘されているように、改正の可否はともかく、平和国家を大前提に政策目標を明確にし、かつ矛盾のないような分かり易い内容での改正に向けた議論を進めていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月02日
アイデアよもやま話 No.4005 KDDIの新たなIoT戦略!

1月31日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でKDDIの新たなIoT戦略について取り上げていたのでご紹介します。 

 

格安スマホの普及などで大手携帯電話キャリアの契約者数が減少しています。

こうした中、KDDIは新たな収益基盤とするべく、国内初の携帯網を活用したIoTサービスを事業の柱に据えようとしています。

今年を勝負の1年と位置付けるその戦略について番組は取材しました。

 

KDDI傘下の格安スマホ、UQモバイルを除くAUの契約数はこの数年で緩やかに減少を続けています。

こうした中、KDDIが新たな事業の柱として力を入れようとしているのが、IoT事業です。

KDDIの田中 考司社長は次のようにおっしゃっています。

「IoTの通信部分は非常にデータ量が少ないので収入が少ないですけども、他の産業と一緒に新たな価値を生み出せれば大きな産業、事業に育て上げることが出来るのではないかと。」

 

KDDIのIoT事業とは何か、通信事業者として初めて国の認可を得てある事業を始めていました。

KDDIが取り組むのはLPWA(Low Power Wide Area)です。

単三電池2本で10年持つという、消費電力の低さと長距離通信が出来るのが特徴です。

LPWAでは、データを継続して送り続けます。

電波が悪い場所でも徐々にデータを受け取れるため、より広い範囲での通信が可能になるのです。

建物の陰など、電波が悪い場所に多いガスメーターですが、LPWAを使えばIoT製品として利用出来るのです。

東洋計器株式会社はLPWAでガスメーターをIoT化し、使用状況を監視することで検視員不足の解消などに期待しています。

東洋計器の横沢 正彦企画開発部長は次のようにおっしゃっています。

「機械で出来るものは機械に任せてですね。」

 

しかし、KDDIの通信収入はわずか1ヵ月40円(1回線当たり)です。

KDDI ビジネスIoT営業部の落合 孝之部長は次のようにおっしゃっています。

「先行有利は当然出てくると思いますので、いろんなパートナー様と知恵を出し合ってビジネス開拓に思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どのような事業も成長期を経て、成熟し、やがて衰退していく運命にあります。

KDDIの携帯電話事業もその例外ではありません。

そこでKDDIは新たな成長分野としてIoT事業に取り組み始めたわけですが、IoTの分野こそまさにこれからの成長分野の一つとして期待されています。

そして、IoTはどの企業においても大なり小なり関係があります。

なにしろどんなモノでもインターネットにつなげようとするのですから。

今回ご紹介したように、ガスメーターという一つのモノがインターネットでつながるだけでもメリットは出てきますが、全ての家電製品がつながり、やがてあらゆるモノがつながれば、更に新たな多くのサービスの可能性が出てきます。

KDDIもまさにこうした可能性に賭けているわけです。

 

当分、KDDIのような取り組みはいろいろな企業によって始められますが、やがてAIやロボットとの相乗効果で一つの大きな流れとなって、これまでとは別次元の便利さ、豊かさを私たちに提供してくれると私は密かに期待しています。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年05月01日
アイデアよもやま話 No.4004 ”スキルシェア”時代に求められる新たなシステム!

前回、自分が得意とする“特技”や“知識”を有料でシェアするサービス、すなわち“スキルシェア”についてご紹介しましたが、今、国内では少子高齢化が進行中で、地方の企業の中には募集しても従業員が集まらなかったり、後継者不足だったりで止む無く事業から撤退せざるを得ない企業が増えているといいます。

こうした厳しい状況において、“スキルシェア”がうまく機能すれば、とても有効な解決策となります。

そして、こうした流れは徐々に大きくなり、やがて”スキルシェア”が働く場を求めるうえでの大きな柱の一つとなる時代が到来すると私は見込んでいます。

 

そこで、今回は”スキルシェア”をより促進するために求められる新たなシステムについて、私の思うところをご紹介します。

 

そもそもどんな企業のどんな事業においても、そのプロセスを分解していけば、一つひとつの業務に分解されます。

そして業務全体は業務フローというかたちで表現出来ます。

そこで、この業務一つひとつの内容をあらためて明確にし、そのスキルレベルを定義します。

そして、業務間のつながりも明確になれば、どの業務は自社のある特定の従業員に任す必要があり、どの業務は”スキルシェア”を含む外製化が必要であるかが明確になります。

そこで、こうした業務全般をコントロールするシステムが必要になります。

しかし、こうしたシステムを構築するためには、専門のコンサルタントに依頼するのが一般的です。

しかし、特に零細企業のように、業務全般が比較的単純な場合はコンサルタントに依頼するにしてもそれほど料金はかからないはずです。

そもそもコンサルタントの“スキルシェア”に依頼することも可能です。

 

このように“スキルシェア”を依頼する側が、自社の業務プロセスを明確にして、どの業務を外製化出来るかを明確にし、提供する側が依頼する側の要求を満たすスキルレベルを満たす人が必要なだけ“スキルシェア”のサイトに登録されていれば、“スキルシェア”は全体としてうまく機能するはずです。

 

ということで、“スキルシェア”など外製化の可能性の視点から、業務全般を見直してシステム化を追求することが企業の生産性向上に大きく貢献し、一方で“スキルシェア”を通して何らかの目的のためにスキルを提供したい多くの人たちにとっても働く場を得ることにつながるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月30日
アイデアよもやま話 No.4003 話題の“スキルシェア”!

1月29日(月)放送の「ビビット」(TBSテレビ)で“スキルシェア”について取り上げていたのでご紹介します。

 

自分が得意とする“特技”や“知識”を有料でシェアするサービス、すなわち“スキルシェア”ですが、その市場規模は今や750億円以上といいます。

昨年、大手家具メーカーのIKEAが参入したり、この春にはフリーマーケットアプリで知られるmercari(メルカリ)がサービスを始めたりするなど、今注目されています。

“スキルシェア”をしている主婦の一人は次のようにおっしゃっています。

「(多い月は)5万円くらいの時があります。」

「楽しんで得るお金としては高い方だと。」

 

また別の主婦は次のようにおっしゃっています。

「時給にするといいです。」

 

番組では、なぜ“スキルシェア”が人気なのか、またどのような“特技”が売られているのかを取材しました。

愛知県に住む39歳の主婦、Nさんは二人の子どもを育てる傍ら、自分の“特技”のデザインで稼いでいます。

大阪のインディーズシンガーの着ているTシャツにプリントされたロゴを2時間ほどでデザインしました。

こうしたロゴの他にもLINEスタンプやキャラクターなどの制作も行っていて、1件5000円から販売しています。

多い時には1ヵ月で5万円の収入になった時もあるといいます。

ちなみに、稼いだお金の使い道は、自分の好きなものをご褒美として買ったり、旅行に使ったり、ランチに使ったりしているといいます。

“特技”を売り始めたきっかけについて、Nさんは次のようにおっしゃっています。

「出産して子育てだと、本当に外と遮断されてしまうので繋がりたいというのもありましたね。」

「繋がりが・・・、孤独なので。」

 

9年前、出産を機に仕事を退職したNさんは、その後現役時代との生活の変化にストレスを感じ、“気分転換”のために始めたのが趣味を生かした“イラスト”の仕事でした。

Nさんは次のようにおっしゃっています。

「(子育ては)褒められないですし、自分の能力あるんだぞっていうのも認めてもらいたかったので。」

「これですと感想とかも言ってもらえるので、「素晴らしかったです」と言われると、認められている気がして嬉しいです。」

 

Nさんが趣味だった絵を仕事にすることが出来たのは、あるサイトがきっかけでした。

ネット上でスキルを売買するcoconala(ココナラ)で、特技を販売したい人と利用したい人を紹介するオンラインマーケットサービスです。

特技を販売したい人は時間や場所に囚われずに仕事が出来るうえ、500円から取引出来る手軽さから、主婦の間で人気が高まっているのです。

 

こうした特技や知識を有料でシェアすることを“スキルシェア”と呼び、ビジネスモデルとしても注目されています。

昨年秋には家具メーカーのIKEAが家事代行に特化した“スキルシェア”を始めたり、昨年12月にはフリーマーケットアプリのメルカリが語学や習い事関連のサービスを発表したりするなど、様々な企業が参入しています。

 

2月に開店予定の食パン専門店の一本堂 宇都宮江曽島店で、店主の大澤 敏也さんは“スキルシェア”でサービスを買った一人です。

大澤さんがお願いしたのは、お店を宣伝するためのショップカードや名刺のデザインの作成です。

大澤さんは次のようにおっしゃっています。

「(名刺に描かれた地図について、)手書き風に仕上げていただいて、非常に満足しています。」

「温かみがあるというか、手作り感があってすごくいいですよね。」

「(今回初めて“スキルシェア”を利用した理由について、)厨房器具とか買っていくと、どうしてもお金がかかってしまうので、コストを抑えたいところは抑えるというふうにしていかないと、中々オープンした後も大変かなと思いまして。」

「高いところだと、デザイン頼むと数万円するってのは聞いてたんで、そこまでお金はかけられないなとは思ってたんで。」

 

開店費用はおよそ1000万円、宣伝費を少しでも安く抑えるため“スキルシェア”を利用し、プロの業者よりも4分の1ほど安くすることが出来ました。

 

このショップカードのデザインを任されたのは主婦のFさん(52歳)です。

愛知県名古屋市で夫婦で喫茶店を営んでいます。

Fさんは次のようにおっしゃっています。

「本来の喫茶店の仕事をして、家で主婦の仕事をして、でもたまにスポンって抜ける時間がある時に、じゃあ気楽に受けられるかなっていうところがいいところ・・・」

 

毎日のようにお店の看板に有名人の似顔絵を描いていたことが自信につながり、今では絵やイラストを作る特技を2000円から販売しています。

 

こうした“スキルシェア”の安さに対し、デザインを生業としている一部の業者からはこんな声も上がっています。

「下請けの地獄みたいになっている。」

「価格崩壊起こし過ぎてて・・・」

 

「困ったことにここ(スキルシェア)の価格が相場だと思っているお客さんも割といます。」

 

こうした声について、Fさんは次のようにおっしゃっています。

「確かに安く受けてしまいますし、それは私はプロじゃないので、それで食べてるわけではないから、そのレベルで良ければっていう前提で受けてるつもりなんですけど・・・」

 

“スキルシェア”には、他にも元体操選手による倒立の仕方を教えるサービスやお笑いイベント出場経験者による一発芸の販売など、幅広い特技が売られているのです。

主婦のMさん(25歳)の場合は、育児の傍らでの特技を売るサービスです。

Nさんはこのサービスについて次のようにおっしゃっています。

「スマホで傾聴するサービスです。」

「話し相手が欲しい人とか、悩みがある方とか、そういった方のお話を聞くサービスです。」

「(稼いだお金の使い道について、)子どもの服とかオムツ代とかにしています。」

 

Nさんが妊娠中に始めたのは、ネット上でチャット機能を使い、2日間悩みを抱える人の話を聞く「傾聴サービス」(500円)です。

 

なお、「ココナラ」では、直接会ったり、郵送を必要とするモノは禁止しており、「ココナラ」のサイト上でメッセージのやり取りなどをしてデータでの受け渡しのみを可能にしています。

なので、住所や電話番号、メールアドレスなどの個人情報を交換することはありません。

 

さて、「ココナラ」の仕組みですが、サービスの買い手が「ココナラ」を通して要望を出すと、売り手がそれに応えるというものです。

気になる価格は500円から20万円までで様々なサービスが売り出されています。

実績のある方は少しずつサービス料金を上げていくことが出来ます。

中には結婚式のVTRを作るサービスもあるといいます。

また、買い手が受けたサービスが値段以上だったと感じた場合に、“おひねり”制度もあるといいます。

 

こうした“スキルシェア”について、企業の経営リスクに詳しい浅見 隆行弁護士は次のように注意を促しています。

(出品者)

・宣伝文句を誇張しない

・既存のイラストやロゴを盗作しない

(買う側)

・高いレベルを求めない

・口コミの評価を確認する

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも人は誰でも最低限食べていくためには一定の収入が必要です。

そして、何とか食べていけるような状況が確保出来れば、主婦や学生などの場合は自分で稼いだお金で自由に買いたいモノを買いたい、自分のスキルを活かしたい、あるいは社会と繋がりたいという欲求が出てきます。

一方、雇う側では、特に零細企業の場合は少しでも安い料金で仕事を依頼したいという要望があります。

こうした仕事を求める“スキルシェア”にとって、受け皿となる雇う側の需要もあり、メルカリなどの提供するサイトは両者の要望をマッチングさせる場としてとても有効です。

ですから、“スキルシェア”の市場規模はまだまだこれからも伸びる余地があると思います。

 

しかし、課題もあります。

以前から話題になっている“同一労働同一賃金”の観点からは、“スキルシェア”を提供する側のスキルはかなり高くても、信用や実績の不足感から一般企業に比べてどうしても料金が割安になってしまう傾向が強くなります。

しかし、こうした課題は信頼性も料金の一部と見ればある程度やむを得ないところがあります。

それでも、評価の高い実績が増えるにつれて、徐々に料金が高くなる可能性は十分にあります。

 

また、一方では、AIやロボットの活用も今後台頭してくると見込まれます。

ソフトバンクの開発したロボット、ペッパーなどは既にあちこちの飲食店で見かけるようになってきました。

人とAIやロボット、どちらが主流になるか、その境界はズバリ、品質と料金の兼ね合いでどちらがユーザーにとってメリットがあるかにかかっています。

今のところ、全体としてどちらに軍配が上がるかは分かりませんが、いずれ実績の評価などから境界がはっきりしてくるはずです。

しかし、ここで言えることは、全体として両者のどちらに軍配が上がるかではなく、個別の実績評価に基づいて、優れている方が生き残っていくということです。

そして、こうした状況は必然的に価格破壊を起こし、既存の企業の従業員の収入にも悪影響を及ぼすと思われます。

ですから、長い目で見ると、技術の進歩の速い中で、人が自分の仕事の場を確保し続けるうえでは常に新たなスキルを吸収する必要性が求められるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月29日
No.4002 ちょっと一休み その644 『揺らぐ世界 その4 資本主義経済の抱える矛盾!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

4回目は資本主義経済の抱える矛盾についてです。

 

3回目で、東西冷戦後のソ連の解体により、世界はアメリカを中心にした資本主義、民主主義を基本とする体制でまとまっていくかに見えたとお伝えしました。

ところが、今このシステムが様々な矛盾を生み出し、厳しく問われ始めたのです。

どうしてこのようなことが起きたのでしょうか。

世界のいたるところで突き上げている怒りと不安の声、この根底には経済状況の変化が影響しているという指摘もあります。

経済学者の法政大学教授、水野 和夫さんは次のようにおっしゃっています。

「1980年代くらいから先進国が至る所に投資をして、外に出ていくということで、常に利益、資本を増やすことが出来たんですけども、21世紀になってモノを作ったり、サービスを提供したりするという投資空間が消滅した。」

 

武力を使って植民地を拡大するのではなく、巨額の資金を海外に投資して、安い原料や労働力を確保、製品を売りさばく市場を広げ、利益を上げてきた戦後の資本主義経済ですが、オイルショックによる石油価格の高騰で利益が減少しました。

また、グローバル化で多くの先進国で生活に必要な製品が行き渡り、需要が伸びなくなったことから、更なる成長が望めなくなったというのです。

 

一方、アメリカの同時多発テロをきっかけに始まったテロとの戦いは国際的な政情不安を生み出し、経済活動を委縮させました。

こうして行き詰ったモノづくりによる資本主義に代わるものとして勢いを増したのが金融資本主義です。

金融市場で巨額の資金を目まぐるしく回転させ、大きな利益を生み出す手法は、まさにカネがカネを生む仕組みです。

しかし、その金融資本主義も今大きな矛盾を生んでいます。

哲学者の内山 節さんは次のようにおっしゃっています。

「それ(金融資本主義)が今金融とかサービスを軸にした社会へと・・・」

「基本的には、自分だけ儲かればいいという世界を作っているわけで、むしろ金融というのは全員がうまく儲かるなんてあり得ない世界なんで、むしろどう出し抜いたらいいかみたいに変動してしまったということですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した番組を観て、アイデアよもやま話 No.3565 マイナス金利政策に見る資本主義からの脱却の必要性!の中でお伝えした「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野 和夫 著)を思い出しました。

資本主義の原理は、常に利潤を追求し、新たな対象、すなわちフロンティアを探し続けることにあります。

ですから、経済のグローバル化、あるいは金融資本主義の具現化の一つであるフィンテック、更には宇宙開発というような耳障りの良い言葉もその本質は全て利潤の対象となるフロンティア探しの一つなのです。

そして、こうした利潤追求の側面を持った活動が私たちの豊かな暮らしにつながる限りにおいて、多くの人たちはそれなりに満足出来るわけです。

 

ところが、このフロンティアにはいろいろな弊害があります。

最大の弊害の一つが戦争です。

いざ戦争が始まれば、多くの犠牲者が出る一方で、高価な兵器の大きな需要が生まれるので経済的な側面では兵器産業は大いに潤います。

こうした状況は“戦争特需”と言われています。

かつての日本の戦後の高度経済成長のきっかけとしては朝鮮戦争による特需が大きく貢献したと言われています。

日本はこの戦闘には直接係わりはありませんでしたが、この戦争で日本経済は大いに潤ったのです。

その後のベトナム戦争も然りです。

今も兵器産業は健在で、こうした関連企業は実際に戦争が起きないまでも、戦争のリスクが高まれば大きな需要が生まれるのです。

実際に、北朝鮮による核兵器開発は日本がそれに対応するために高額なスカッドミサイルのアメリカからの購入につながっています。

 

また、かつてのリーマンショックは数学理論を悪用した利潤追求の暴走の果てにアメリカのみならず世界経済を長期間にわたって混乱に陥りさせています。

そして今、仮想通貨という新たなフロンティアが登場してきました。

最近話題になっているビットコインなどの仮想通貨もキャッシュレス化によるメリットがある反面、価値の暴落リスクを常にはらんでいます。

そして、仮想通貨の普及が世界的に進むにつれて、こうしたリスクが顕在化した場合の影響も大きくなるのです。

このように、資本主義経済は、常にこうした矛盾をはらんでいるのです。

 

考えてみれば、資本主義経済はこれまでいろいろな危機に直面してきましたが、その時々に打開策を探してきました。

ですから今後も資本主義経済においては、利潤の追求が常に求められますが、その対象の追求がごく一部の人たちだけでなく多くの人たちの豊かな暮らしに結び付くのかどうかを常にチェックし、軌道修正することが求められるのです。

同時に、資本主義経済に代わる新たな経済活動の枠組みを模索することの必要性が出て来ているように思われます。

No.3978 ちょっと一休み その640『揺らぐ世界 その1 世界のたった8人の大富豪の資産の合計が下位50%の人々の資産とほぼ同じ!』でお伝えしたように、極端に富の集中した今の社会はとても健全とは言えないのです。

一方で、グローバル化の進展、およびAIやロボットなどのITの進歩ととともに今後増々“富の集中”は進む傾向にあります。

ですから、“富の再配分”は健全な社会を取り戻すための最も大きな課題の一つと言えます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月28日
プロジェクト管理と日常生活 No.538 『パワハラの素養は誰にもある!?』

3月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパワハラの素養は誰にもあることについて取り上げていたのでご紹介します。

 

3月16日、厚生労働省はパワハラ防止対策の検討会を開いて、パワハラを判断する際の新しい基準を示しました。

仕事上の一般的な注意との線引きが難しいパワハラですが、厚生労働省は今まで例として以下の6つの事例を挙げていました。

  1. 身体的な攻撃

  2. 精神的な攻撃

  3. 人間関係からの切り離し

  4. 過大な要求

  5. 過小な要求

  6. 個の侵害 

しかし、こうした具体例はあったものの、その定義は曖昧だったのです。

そこで、今回示したパワハラの定義(案)は以下の3つです。

  1. 優越的な関係に基づく

  2. 業務の適正な範囲を超える

  3. 身体的・精神的な苦痛を与える 

厚生労働省によると、職場でのいじめや嫌がらせなど(パワハラ)の相談件数はうなぎ上りで2015年には年間6万6000件を超えています。

ただ同じハラスメントでもセクハラや妊娠・出産に係わるマタハラは男女雇用機会均等法で定義され、企業には防止策が義務付けられています。

これを違反すると企業名が公表されますが、パワハラは法律による規制もありませんでした。

今回検討会で出された新たな基準案では、上司による指導との線引きが難しいパワハラの定義について上記3つの全ての条件を満たしたことで大筋了承されました。

ただパワハラの防止策を法律で企業に義務付けるかどうかは企業の経営者側から反対意見が出され、結論を見送りました。

 

こうした中、パワハラ予防を目指した新たなサービスが有限会社グローイング(東京都港区)により始まっています。

それは自分にどれだけパワハラをするリスクがあるかを気付かせる分析サービスです。

日々の行動の中でどちらを大事にしているか、36の設問に答えていく方式です。

なお、質問項目は企業秘密だといいます。

元々採用適正検査などで使っているものをもとに開発したといいます。

パワハラを起こすリスクを10点満点で評価するのです。

 

グローイングの社長、平井 俊宏さんはこのリスク評価について次のようにおっしゃっています。

「(パワハラを)やっている人ほど、自分はやっていると思っていない。」

「自分の中のパワハラの芽に気付いていただくと。」

「で、チームマネジメントの指針にしていただければなと。」

 

グローイングのパワハラ検査を導入したのがアドセック株式会社(東京都渋谷区)です。

携帯電話販売店のディスプレーの製作などを手掛けています。

管理職が若手との接し方を見直すため、2月に社員全員でパワハラ検査を受けたといいます。

アドセックの常務、村松 吉則さんは次のようにおっしゃっています。

「それぞれのマネージャーがハラスメントの知識がなく、あらためて習得してみたいという現場からの要望があったというのが背景ですね。」

 

「パワハラがきっかけで社員が退職するのは企業にとって大きな損害でもありますし、そういったものを事前に防ぐことが非常に企業の成長にとってはプラスにつながる・・・」

 

社員が分析結果の指摘に納得させられることが多かったといいます。

更に、アドセックでは検査結果を部署ごとに共有し、社員がお互いの特徴を知ることで、更なるパワハラの予防へつなげるのが狙いだといいます。

 

実際にこのパワハラ検査を受けた番組のサブキャスター、大浜 平太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「パワハラリスクチェックは結果的に想像以上に参考になりました。」

「パワハラの素養は、実はみんな多かれ少なかれあると。」

「で、そのタイプを知ることが大事なんですね。」

「例えばパワハラまで行かないにしても、自分は良かれと思ってやっていても、結果として周りの人から見ると迷惑だったりすることあるという意味では、これは受ける価値ありますよ。」

「このパワハラに関しては厚生労働省は今月中に報告書をまとめて、制度化に向けて本格化していくということです。」

 

また、番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「私はせっかくやるのであれば、単なるガイドラインではなくて、法制化まで踏み込むべきと考えます。」

「先ほどビデオにあったようなケースは露骨にパワハラなんですけど、現実世界はグレイなケースが多くて、どうしても徒弟制度的な職場でちょっとシゴキの文化があるようなところ、これがグレイなケースが多いですよね。」

「なんですけど、論点の一つはそのシゴキって指導として効果的ですかという話。」

「例えば千本ノックしろ、あるいは黙って俺の背中から盗め、みたいな指導、これってどう考えても盗める人と盗めない人がいるし、一人前になるまで時間がかかる。」

「そうじゃなくて、身に付けて欲しいスキルをもう少し可視化をして、例えばそれをマニュアルとかにまとめて、なぜそれが必要なのか、具体的に何をやるのか、って効率的に指導していった方が遥かに人材育成の効率も高い。」

「それから2つ目の論点は組織の持続性ですね。」

「仕事がこの人は本当によく出来るよね、って言われている人もよく見てみると、部下をすり潰しながら自分の業績を上げているようなケースもあって。」

「で、今までの日本企業だと、そういう上司の方を大事にしてしまうケースも少なからずあったんですけど、組織の持続性を考えると、やっぱり部下を潰す人はNGだよねと。」

「ちゃんと部下を育てながらチームの業績を出せる人を大事にしようよねという組織にならないと、組織として持続的に成長していかない。」

「そう考えると、人材不足の今だからこそそういうブラック企業は撲滅をし、ちゃんと人材を育てられるような企業の後押しをすることが大事だし、それから社員の意識改革を一気に進めるという上でもこの法制化は強いメッセージになるからいいなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

プロジェクト管理の項目の一つとして作業の標準マニュアル化があります。

その狙いは、作業を標準化、およびマニュアル化することにより、経験年数に関係なく、経験の浅い従業員でも一定のレベルの作業をこなすことが出来るようにすることにあります。

そして、この標準マニュアルは大きく2つに大別されます。

一つは、誰もが守るべき標準です。

2つ目は必ずしも守る必要はありませんが、従うことが望ましいというガイドラインです。

そして、こうした標準マニュアルを組織内で遵守させるために必要なのが研修です。

いくら作業標準をマニュアル化しても、従業員がその標準をきちんと理解して守らなければ意味がないからです。

 

さて、こうしたプロジェクト管理の観点に照らしてみると、番組によれば、パワハラに関してはガイドラインの位置づけなので、一般企業が遵守しなくても特に罰則規定はないということになります。

しかし、パワハラによって、多くの人材が精神的に追い込まれて休職したり退職したりすることは本人にとっても企業にとってもマイナスになります。

なので、梅澤さんも指摘されているように、私も罰則規定を設けて法制化すべきだと思います。

 

なお、番組によれば、セクハラやマタハラは男女雇用機会均等法で定義され、企業には防止策が義務付けられ、これを違反すると企業名が公表されるといいます。

こうした中で最近、話題を呼んでいる財務省の現職の事務次官によるパワハラ問題では、ご本人はご自分のパワハラ行為を認めておりませんが、一連の報道をみる限り、パワハラ行為はほぼ真実に思えます。

財務省の指揮を執るべき立場にある現職の事務次官がパワハラ行為をしたとすれば、省内、あるいは一般企業にとっても示しがつきません。

恐らく財務省のほとんどの官僚の方々は真摯に与えられた業務に取り組んでおられると思います。

そうした方々にとっては、トップのこうした行為はとても無念で耐え難いと想像されます。

 

ということで、省庁のトップの方々には、パワハラやセクハラなどにおいても、標準マニュアルの見直しなどの再発防止策を検討し、研修などを通じて実効性のある防止策を実施していただきたいと思います。

 

本来、パワハラやセクハラなどにおいては、道徳的観念からすれば、常識的な判断で解決出来ると期待してもよいレベルなのかもしれません。

しかし、残念ながら、標準マニュアル化、あるいは法制化して罰則規定を設けなければ防止出来ないという現実はとても寂しい想いがします。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月27日
アイデアよもやま話 No.4001 旅行大手のHISによる新たな“変なカフェ”の展開!

以前、アイデアよもやま話 No.3869 期間限定のロボットカフェ!でロボットによる期間限定のカフェについてご紹介しました。

そうした中、1月30日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で旅行大手のHISによる新たな“変なカフェ”の展開について取り上げていたのでご紹介します。

 

旅行大手のHISは、2月1日からロボットがコーヒーを入れる“変なカフェ”を東京・渋谷にオープンします。

HISの店舗の一画に設けられたカフェには、人の腕のように動くロボットと複数のコーヒーを入れられるバリスタマシンが配置されています。

メインテナンスなどを除けば、ほとんど無人で運営することが出来ます。

店内の券売機で購入したチケットを読み取り機にかざすと、ロボットが動き出します。

注文を受けたロボットはコーヒー豆をセット、お湯を注ぐと4分ほどでコーヒーが出来上がります。

一杯320円の本格ドリップコーヒーやカフェラテなど7種類が味わえます。

HISは、ロボットが接客する“変なホテル”の展開も進めていて、ロボットの活用が生産性の向上につながることを期待しています。

HISの澤田 秀夫会長兼社長は次のようにおっしゃっています。

「今は特に飲食業は人材不足と言われていますから、将来飲食業のお手伝いが出来るロボットの開発とかをしたい・・・」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

“変なホテル”についてはアイデアよもやま話 No.3160 世界初のロボットが働くホテル!などでお伝えしてきましたが、HISは“変なカフェ”の展開も始めたのです。

こうした事業展開の流れから、澤田さんが今後とも目指す事業の方向性が垣間見えてきます。

それは、ホテルやカフェなどの枠に囚われない、サービス業全般でのほとんどロボットのみによる接客です。

そして、様々な試みを通してロボット活用の世界的な先駆者を目指そうとされているのだと思われます。

ですから、今後“変な映画館”や“変な本屋さん”など“変な・・・”が続々と生まれてくるかもしれません。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月26日
アイデアよもやま話 No.4000 ベトナム戦争から半世紀、”枯葉剤被害”は今も!

1月26日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でベトナム戦争から半世紀経っても続く”枯葉剤被害”について取り上げていたのでご紹介します。

 

半世紀前のベトナム戦争、猛毒のダイオキシンを含む「枯れ葉剤」がアメリカ軍によって大量に蒔かれました。

汚染された土地で健康被害を受けたのはおよそ300万人に上ると言われています。

ベトナムでは枯れ葉剤の影響と見られる障害がある子どもたちが今もなお次々と生まれています。

 

そうした中、枯れ葉剤の被害を40年以上にわたって記録し続けてきた写真家の中村 梧郎さん(77歳)が1981年に撮った、下半身がつながって生まれた双子のベトちゃん、ドクちゃんの写真は兄弟の存在を日本中に広めるきっかけになりました。

 

今なお続くこうした被害をマラソンを通じて多くの人に知ってもらい、支援につなげたいと考え、中村さんチャリティマラソン大会を企画し、ベトナムのホーチミンで1月14日に第1回大会が開催されました。

なお、この収益の一部は被害者支援に充てられるといいます。

中村さんは次のようにおっしゃっています。

「マラソンに参加することで知らない間に支援になるかたちをつくるのが一番いいと思いまして始めたんですけど、上手くいきそうな感じはありますね。」

「延々と続く悲劇もあるんだと、それを手を差し伸べることも出来るんだというかたちをキャンペーンして(働きかけて)いくことが大事だなと思いましたね。」

 

また、この大会を支援して参加した、オリンピック金メダリストの高橋 尚子さんは次のようにおっしゃっています。

「戦争後も被害の大きさがこれだけ長く続くんだなというのを現場に来て深く感じました。」

「オレンジ=枯れ葉剤といった深い意味も込められていることをみんなで知って、一歩一歩かみしめながらマラソンを楽しめる大会になって欲しいなと思います。」

 

経済発展が続くベトナムでは、その一方で枯れ葉剤の影響は今も影を落としています。

およそ半世紀前のベトナム戦争最大の激戦地の一つ、クチで、アメリカは集中的に枯れ葉剤作戦を展開、森や田畑は徹底的に破壊されました。

その枯れ葉剤の影響と見られる健康被害は、“第3世代”と呼ばれる今の子どもたちにも続いているのです。

グエン・ホアイ・トゥオンさんという9歳の女の子は、生まれつき両手足の先がありません。

母親のジャンさんは結婚前にこの地域に移り住みました。

娘を出産後、家の周囲が枯れ葉剤で汚染されていたことを聞かされたといいます。

ジャンさんは次のようにおっしゃっています。

「運悪くここで生活し、飲食をしていたので、知らないうちに被害を受けて障害がある子が生まれたのです。」

「もし子どもの体を取り替えることが出来るなら、すぐに替えてあげたいです。」

 

娘の面倒を看ようと、仕事を辞めたジャンさん、家計は苦しく、親戚から借金をして何とか暮らす日々です。

 

最近の調査で、障害の確認された子どもは15万人にのぼるとも言われています。

中村さんは次のようにおっしゃっています。

「こういうふうに汚染が残って被害も続いて新たな被害が生じると考えると、戦争は終わっていない。」

「手の届かないところで苦しんでいる子どもたちを抱えている家族に対して、支援が成り立てばいいなと感じますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組を観てあらためて思うのは、長期にわたる戦争の悲惨さです。

番組の中の両手足の先のない9歳の女の子の純真でいたいけな表情を見ていて、この子の将来を想像して、思わず目頭が熱くなりました。

同時にこの子の母親の無念さを痛感しました。

この親子は共に生涯を通して、“枯れ葉剤被害”に向き合っていかなければならないのです。

戦争の悲惨さは、こうした直接戦争に係わりのない多くの人たちにも犠牲を強いることだと思います。

そして、兵器の進化とともに、その破壊力はどんどん強化されていくのです。

 

毎日のように報道される世界各地での紛争記事では、兵士のみならず一般人である死亡者や負傷者の人数が伝えられますが、こうした犠牲に遭うのは報道されている人数に数えられる人たちだけではありません。

その家族や友人、あるいは勤務先の企業など、いろいろと関係のある人たちが何らかの影響を受けます。

更には、化学兵器や核兵器のように被害の程度が酷ければ、多くの犠牲者の生涯を通して、更にはその子どもの代にまで影響を及ぼすことになります。

 

さて、北朝鮮は核兵器のみならず化学兵器も大量に保持していると報じられています。

しかも、北朝鮮は経済的に苦しい状況もあり、武器輸出も国家の収入源の大きな柱の一つとしているといいます。

 

一方、世界的には核兵器廃絶の方向に向かっていますが、トランプ大統領は小型核兵器の実戦配備に取り組んでいると報じられています。

4月15日早朝に、シリアのアサド政権による反政府軍への化学兵器を使用した攻撃の報復措置として、米英仏による化学兵器関連施設へのミサイル攻撃がなされました。

万一、米軍が北朝鮮などに小型核兵器を使用した場合、トランプ大統領は世界に向けてどのような説明をするつもりなのでしょうか。

 

いずれにしても、核兵器や化学兵器に限らず、国際的に放置していれば際限なく、より破壊力の大きい兵器の開発競争は続いてしまいます。

ですから、破壊力をあるレベルに抑える方向での軍縮に向けた国際的な取り組みが求められるのです。

こうした状況下において、世界で唯一の核被爆国であり、福島第一原発事故でも今も多大な犠牲を払っている日本こそがその先頭に立ってリーダーシップを発揮するべきだと思うのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月25日
アイデアよもやま話 No.3999 アイデア方程式 ヨーグルトのフタ×?=くっつかないフタ!

これまでアイデアよもやま話 No.1726 ネイチャー・テクノロジーで究極のエコ社会が実現!?アイデアよもやま話 No.3929 アイデア方程式 タイル×?=汚れにくい外壁!で自然界の生き物が生き抜くために持っている優れた知恵を私たちの生活に生かす研究、すなわちネイチャー・テクノロジー(Nature Technology)についてご紹介してきました。

そうした中、1月25日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でくっつかないフタについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

ヨーグルトのフタをはがしてみると、裏側にヨーグルトがべったりついていることがほとんどです。

ところがくっつかないフタが発明されたのです。

 

フタの裏に付き易いヨーグルト、当たり前だったこの光景が劇的に変わったのです。

斬新なアイデアで生まれた新技術によって、運んでいる途中に何度揺れたとしてもフタにヨーグルトがくっつかないのです。

長年、乳製品メーカーにとって悩みの種だったヨーグルトのフタ問題、開発者のこの悩みを解決するヒントは意外な植物にありました。

それはハスの葉でした。

水をはじく秘密、それは葉の表面の小さな凹凸、これが水や汚れを付きにくくしていたのです。

その構造を応用したのがとろみの液体でもはじく、くっつかないフタです。

ナノテクノロジーでハスの葉の再現に成功したのです。

 

小さな不便も見逃さない、これぞジャパンクオリティです。

今後様々なモノへの応用も期待される新素材はハスの葉から生まれていたのです。

不便を解消したい、そんな一途な想いがハスの葉の“気付き”を生み出したのです。

この開発者はその源泉であるハスの葉を今でも机のそばに置いているそうです。

 

ということで、今回のアイデア方程式はヨーグルトのフタ×ハスの葉=くっつかないフタでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

考えてみれば、植物に限らず動物など他の生物も種類によってかたちや大きさ、あるいは生息する地域など様々です。

そうした中において、少しでも生存し易いように今回ご紹介したハスの葉のようにそれぞれ独自に進化しているのです。

ですから、これまで何度かご紹介してきたように、様々な生物の持つ優れた知恵を私たち人類は応用することによってより多くの便利さを手に入れることが出来るのです。

 

さて、ヨーグルトのフタに限らず、液状のものを入れた瓶のフタには内容物がくっついていることがよくあります。

そこで、今回ご紹介した“くっつかないフタ”があれば、こうしたささやかなロスをなくすことが出来ます。

更に、瓶そのものも同様にハスの葉の知恵を応用すれば、無駄なくきれいに食べることが出来ます。

そればかりでなく、食べた後の片付けもとても楽になります。

 

そこで、他にどんなところに応用出来るかを考えてみたら、以下のようなものを思い付きました。

・建物の外装

・自動車などのガラスやボディ

 

こうしたところに応用出来れば、いつも綺麗な状態に出来、汚れを落とす手間も不要になるので、是非実用化していただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月24日
アイデアよもやま話 No.3998 飛んで光るLEDホタル!

1月24日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で飛んで光るLEDホタルについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

まるでホタルのようにふわふあと飛びながら光る小さなLEDを東京大学の高宮 真准教授が開発しました。

なぜ浮くのか、その秘密は四角いフレーム状の装置の上下に敷いてある黒いマットにあります。

ここから超音波を出して浮かせているのです。

高宮さんは次のようにおっしゃっています。

「ICチップを作ることによりまして、小さく軽い、空中に浮くLEDが出来ました。」

 

高宮さんはものすごく軽いICチップを独自に開発したのです。

このICチップは電子回路を積んでも直径4ミリ、重さ0.01グラムに抑えました。

このICチップで中央のコイルから電力を受けて、光りながら宙に浮かぶホタルのようなLEDが出来たのです。

更にこのLEDは超音波を操作することで、自由に動かすことも出来ます。

ちなみに、このLEDは「Luciola(ルシオラ)」と命名されました。

高宮さんは次のようにおっしゃっています。

「一つの粒を浮かせて光らせるだけですが、将来的には個数を10個、100個に増やして空間に映像を表示するような“空中ディスプレー”に使いたいと思っています。」

 

例えば、このLEDにセンサーを付けると、無数に飛んでる中で手を近づけると一斉に飛散していったり、かたちを変えたりするような“空中ディスプレー”が出来ると期待されています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たちは沢山のホタルが飛んでいる光景を目にすると、とても幻想的な雰囲気に浸ることが出来ますが、ホタルの飛ぶ時期は6月頃と季節のうえでは限定されます。

しかし、今回ご紹介したようなLEDを使った照明は、装置さえあればどこでも同じような雰囲気を味わうことが出来ます。

更にLEDはいろいろな色を発するようにコントロールすることも出来ます。

ですから、高宮さんのおっしゃるようにこの小さなLEDを複数浮かせていろいろな動きをさせれば“空中ディスプレー”として活用出来ます。

従来の照明では、“空中ディスプレー”のような使い方は出来ませんでしたが、LEDにはこうした活用方法もあるのです。

しかも、これまでよりもはるかに省エネですので、やはりLEDは“照明革命”をもたらしたと言えそうです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2018年04月23日
アイデアよもやま話 No.3997 今だかからこそ”不便益”!?

1月24日(水)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で耳慣れない言葉、”不便益”について取り上げていたので、関連するネット情報と併せてご紹介します。

 

夕方から雨が降りそうなので乾燥までした方がいいのでは、とアドバイスまでしてくれる洗濯機、お客さんを案内するロボット、こうして便利になるのはいいのですが、私たちは本当に豊かになっているのでしょうか。

そんな疑問を持った研究者たちが京都に集まりました。

彼らが打ち出したのは”不便益”、不便にすることでメリットが生まれるという考え方です。

京都大学デザイン学ユニット特定教授の川上 浩司さんは次のようにおっしゃっています。

「何でも便利にすればいいじゃダメだと。」

 

NHKではインターネット会員の皆さんに便利過ぎて逆に不便になることをアンケート調査しました。

その結果の主なものは以下の通りです。

・スマホを忘れると、電話番号を思い出せず電話出来ない

・家電の機能が多すぎて使いこなせない

・子どもが通信販売で何でも買うため、宅配便がよく来てかえって面倒

・タブレットに入力するのに余計に時間がかかる

 

こうした中で登場してきたのがあえて不便にすることでメリットを生み出すという”不便益”のなです。

今この”不便益”が様々な現場で実験され始めています。

今や、街を歩けばスマホだらけです。

しかし、株式会社岩田製作所(岐阜県関市)では社員の半分近くがガラケーです。

スマホを持っていないと月に5千円の奨励金がもらえます。

この会社は従業員107人の機械部品メーカーです。

このちょっと変わった制度を始めたのは、岩田 修造社長(67歳)です。

きっかけは社員同士の会話が少なくなったことだといいます。

以前、ほとんどの社員は仕事が空いた時間にスマホばかり見ていました。

顔を合わせた会話が少なくなって、社員同士の関係が希薄になっていったのです。

そこに危機感を覚えた岩田社長は次のようにおっしゃっています。

「デジタルの時代だからこそ、アナログ的な能力をどう維持するか、それを真剣に考えなければいけない時代ではないかと。」

「これを何とかしたいと。」

 

この制度のお蔭で、今では昼休みにスマホを見ずにみんなでおしゃべり、社内の情報交換や日常会話など社員同士のコミュニケーションも活発になりました。

研究のアイデアなどが次々と生まれるようになり、会社の業績もアップしました。

こうしたメリットについて、岩田社長は次のようにおっしゃっています。

「アナログ的な能力も大事だよ。」

「うちの社員がそういう能力を失わなかったら、これは絶対に競争力になると。」

 

一方、ジュエリーを販売するフェスタリアビジュソフィア銀座本店では、手間がかかる不便な方法でお客さんの心をつかんでいます。

店員さんが接客の合間に取り出したのは、自分で選んで買ってきた便箋です。

来店してくれたお客さんには手紙を書いています。

お客さんのことを思い浮かべながらお店に来てくれた感謝の気持ちなどを一文字一文字丁寧に綴っていきます。

15分かけてようやく完成、心を込めた言葉にイラストや絵文字を添えて華やかなものになっています。

お客さんからも大好評で、お客さんからの手書きの感謝の手紙も届いています。

時間をかけて手紙を書くことがお客さんの獲得につながっています。

こちらの店員の石川 茜さんは次のようにおっしゃっています。

「一生懸命書いていれば、それが伝わると思うんですよね。」

「「あなたが勧めるならそれにするわ」と言っていただいたりとか、その効果はあると思います。」

 

介護の現場でも“不便益”の考え方が取り入れられています。

介護施設はバリアフリーが普通ですが、夢のみずうみ村(山口県)の藤原 茂代表は次のようにおっしゃっています。

「うちの施設は“バリアアリー”です。」

 

こちらは介護施設なのに廊下に手すりがありません。

この施設ではお年寄りたちが手すりに頼らずに歩いています。

更に2階に行くには急な階段、あえて不便にすることで、日々の生活の中でリハビリになるようにしているのです。

でも症状が重い人はスタッフがサポートしてくれるので心配ありません。

ある男性は脳梗塞になり、その後遺症で車椅子でしたけど、今では自分の足で歩けるまで回復しました。

 

とっても不便な“バリアアリー”ですが、身体の機能が回復するお年寄りも出て来て全国的に注目を集めているといいます。

藤原代表は次のようにおっしゃっています。

「不便だったら不便なように克服していく方法を自分なりに体験して、気が付いたら知らず知らずのうちに克服出来ている。」

 

不便は手間ですが役に立っているのです。

 

人と人とのコミュニケーションなど、大切なものが失われていくことがないように、本当に便利になっていくことだけでいいのかなと今一度ここで立ち止まってみるタイミングに今あるのかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

仕事でもスポーツでも何でも、人は完全に自分一人だけで成し遂げることはまず不可能です。

仕事であれば同僚や上司、あるいはお客様、そしてスポーツであればチームメイト、あるいは監督やコーチなど、必ず自分以外の誰かとの係わりのある中で自分の望みを成し遂げられるのです。

 

こうした観点から考えると、スマホはとても便利なツールではありますが、あまりこれに集中し過ぎると本来やるべきことやこれまで他の人とのコミュニケーションに費やしてきた時間が削がれてしまいます。

 

一方、自動車や電車は移動手段としてとても便利ですが、これに頼り切っていると運動不足に陥ってしまいます。

中にはちょっと近くに買い物に行くにもクルマを使うという人もおります。

 

このように便利さばかりを追求し過ぎると弊害が生じてしまうというというのが現実なのです。

ではどのように対処すべきかですが、昔から言われているように“何事もほどほどに”という考え方があります。

あえて不便にすることでメリットを生み出すという”不便益”はこうした考え方に通じると思います。

例えば、あえてエスカレーターを使わずに階段を上ったり、電車やバスを使わずに歩いたりというのは一見不便ですが、健康維持のためにはとても良いことです。

 

また、人ならではの心のこもったコミュニケーションは今のAIやロボットには出来ないものです。

ですから、多少時間をかけても手書きによる感謝の手紙はお客さんの心を少なからず動かすことが出来るのです。

何でもかんでもパソコンやスマホなどツールにだけ依存するのは得策とは言えないのです。

また、介護施設の“バリアアリー”の方針も実はとても理に適っているのです。

 

“不便益”の本質は、一見すると不便に思われるような行動が本来の目的を達成するためには、より効果的、効率的な手段である場合があり、時にはあえて不便な方法を選択することが望ましいということにあるのです。

ですから、何かを達成するための手段として、テクノロジーに過大に依存するのではなく、人に依存することも検討の対象にすることはとても重要なのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
4562件中(1件〜30件を表示しています)   前   |