2017年02月27日
アイデアよもやま話 No.3637 夏目漱石のアンドロイドに見る将来のアンドロイド!

昨年12月8日(木)放送の「NEWS23」(TBSテレビ)、および12月9日(金)

放送のニュース(NHK総合テレビ)で夏目漱石のアンドロイドについて取り上げていたので2つの番組を通してご紹介します。

 

没後100年の昨年、明治の文豪、夏目漱石が現代にアンドロイドというかたちで復活しました。

まるで本物の人間のような瞬きや目の動き、時には笑みを浮かべます。

身に付けているものまで漱石の生きていた時代を徹底的に模写しました。

このアンドロイドは、かつて漱石も学んだ二松學舎大学と大阪大学大学院基礎工学研究科の石黒 浩教授が共同で発表したものです。

 

石黒教授は、これまでにマツコ・デラックスさんなどのアンドロイドも製作したロボット工学の第一人者です。(参照:アイデアよもやま話 No.3159 世界初の人とアンドロイドによる漫才実験!

しかし、現代にいない夏目漱石をどうやって表現したのでしょうか。

そのことについて、石黒教授は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一番頼りになるデスマスクが肉が削ぎ落されていてイメージが変わっているので、どのあたりに目標を持っていくのかが難しかったんじゃないかなと・・・」

 

漱石が亡くなった際に取られたデスマスクを3Dスキャン、肌の色はAIで再現しました。

200万枚のカラー写真と、そのカラー写真を白黒にした写真を読み込ませ、AIにどんな時に何色になるかを学習させます。

こうして、漱石の白黒写真に色を付けたのです。

 

しかし、難題は他にもありました。

アンドロイドが話す声です。

漱石の声を聞いた親族はいませんでした。

声を蝋に刻み込んだ「蝋管レコード」に漱石の声は残っていたものの劣化が進み、再生出来なかったのです。

そこで頼りにしたのが背格好が漱石に近い、漱石の孫にあたる大学教授、夏目 房之助さんの声を分析しました。

 

最も力を入れたのは、表情の追求です。

中でも笑い顔の表現は難航しました。

気難しいイメージがある漱石、実は落語や講談を愛するユーモア溢れる人物だったと伝えられていますが、笑った写真や映像は一つも残されていません。

そこで頼りにしたのが漱石を身近で見ていた弟子たちの証言をまとめた文献です。

こうして100年の時を経て夏目漱石がアンドロイドとして蘇りました。

 

学校法人 二松學舎の西畑 一哉常任理事は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私の夢は、例えば10年先、20年先に漱石の人格を持ったAIが出来て、それに「明暗」っていう小説、途中で切れていますから、あれの続編を書いてもらいたい。」

 

このアンドロイドには漱石の作品を朗読などが出来るプログラムが搭載されていて、まずは高校や大学などの教育現場で夏目漱石の研究に生かされることになります。

 

なお、外見はかなり完成度が高いように見えますが、中身は完成度を高めていく余地がまだあるといいます。

会話が出来ているように聞こえますが、まだあらかじめ録音されたものを話しているのが現状です。

ただ、応答の内容は勝手に作ったものではなくて、漱石が実際に書いたり、あるいは話したりしたことを元にもし漱石が話したならと考えて作られたものなのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、椅子に座った夏目漱石のアンドロイドを番組で見た感想です。

夏目漱石が現代に生き返ったのではないかというのがぱっと見た感じです。

一方で様々な顔の表情や手の動きにはまだ多少ぎこちなさを感じました。

しかし、こうした動きは急速な技術の進歩によってどんどん改良されていくと思われます。

 

さて、番組では、夏目漱石の書籍「夢十夜」を読み上げていましたが、ほとんど違和感を感じませんでした。

やはり自分で本を読んだり、声だけで本の内容を聴くよりもアンドロイド、しかも著者である夏目漱石のアンドロイドが身振り手振りで自分の目の前で読み聞かせてくれれば、臨場感もひとしおで小説の世界に入り込めると思います。

 

また、アンドロイドとAI(人工知能)やビッグデータ、あるいは脳科学との組み合わせにより将来的には亡き人の記憶を引き継ぎ、しかも身振り手振りや歩き方なども本人にそっくりのアンドロイドが永遠に生き続けるという可能性すら出て来ているのです。

こうした時代になれば、西畑さんのおっしゃっているように、亡くなった小説家がアンドロイドとして生前のように話したり、小説を書いたりということが当たり前になっているかもしれません。

そうなると、人の寿命の定義も曖昧になってきます。

また、小説の著作権など様々な課題が出てくると思われます。

更には、アンドロイドだけが出演するドラマや映画も登場してくるかもしれません。

現実に、主にロボットが従業員のホテル、「変なホテル」(参照:アイデアよもやま話 No.3160 世界初のロボットが働くホテル!)も既に登場しているのですから遅くとも今世紀中にはこうした夢物語が実現してもおかしくありません。


 
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2017年02月26日
No.3636 ちょっと一休み その583 『独裁者 ヒトラーの支持率は一時90%だった!』

ネット検索していてたまたま目に留まった記事では以下のような内容を伝えていました。

・今となっては意外に思われるかもしれないが、初期のヒトラーは当時のドイツ国民から圧倒的な信頼と支持を受けていた。

・実際、ヒトラーはクーデターとか非合法的に世論を完全無視する形でドイツを“乗っ取った”のではなく、いちおう合法的民主的手続きを経て首相に就任し、政権の座についたのである(1933年1月30日)。

・1934年8月、ヒトラーは大統領と首相を統合した「総統」職を新設して、自らそのポストにつき、国民投票で是非を問うた。賛成票は90%にのぼった。

・ヒトラーは就任わずか4年で、夢も希望もない不況下にあったドイツ経済を、活気満ち溢れた景況に一変させてしまった。

・他のヨーロッパ諸国では、数多くの失業者たちが1個のパンを求めてうめいていたとき、全ドイツ国民にパンと仕事と生き甲斐を提供したのである。

・ドイツ国内の失業者は影をひそめ、1940年にはその総生産力は世界の総生産力の11%に相当するまでに至った。ナチス・ドイツはアメリカに次いで世界第2位の経済大国にのしあがったのである。

 

ちなみに、1936年夏にベルリンで開催された「第11回オリンピック大会」が、今では当たり前となっている開会式の「聖火リレー」など、ヒトラーによって初めて行なわれたものであり、まさに現代オリンピックの原型となったといいます。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

こうしてみてくると、残虐な独裁者というイメージの強いヒトラーですが、その反面さまざまな独創的な政策、およびその実行力においてとても優れた政治家だったという実像が浮かび上がってきます。

そして、無視出来ないのは国民の支持率の高さです。

国民の圧倒的な支持があったからこそ、ヒトラーは独裁者になり得たのです。

 

そこで、私たち国民に求められるのは、国の指導者が最終的に何を目指しているのか、あるいは一つ一つの政策に対する是非を見極めることの出来るような能力を身に付けることです。

特に経済政策に優れた実績を示した政治家には私たち国民の目は甘くなりがちですが、だからといって他の政策一つ一つも望ましいとは限らないのです。

そういう意味で、新聞やテレビ、あるいはネット上の情報の正確さ、あるいは分析の妥当性はとても重要になります。

誤った情報を元にしては、その是非を正しく見極めることは出来ないからです。

ですから、特にネット上の情報についてはその内容の信頼性の有無がとても重要になります。

 

さて、アメリカのトランプ大統領はかつてのヒトラーほどの国民からの支持率を得ていませんが、それでも半数前後の有権者の支持を得ており、「アメリカ第一主義」を掲げ、雇用最優先の政策を進めようとしています。

たとえ雇用政策が成功を収めたとしても、アメリカ国民には他の政策の是非をしっかりと見極め、おかしな政策に対してはしっかりと異議を唱えて欲しいと思います。


 
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2017年02月25日
プロジェクト管理と日常生活 No.477 『このままトランプ政権が突き進めば世界終末時計は限りなく短くなっていく!』

世界終末時計については今までに何度か耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。

世界終末時計とは、核戦争などによる人類、あるいは地球の絶滅(終末)を午前0時になぞらえ、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」というかたちで象徴的に示す時計です。

この世界終末時計はこれまで核兵器開発や戦争の危機を迎えるたびに世界的に注目の対象となってきました。

そうした中、1月27日(金)放送のニュース(NHK総合テレビ)で世界終末時計について取り上げていましたのでご紹介します。

 

アメリカの科学雑誌「Bulletin of the Atomic Scientists : 直訳すれば「原子力科学者会報」」は1月26日、アメリカ・ワシントンで記者会見を開き、今年は世界終末時計の針を30秒進め、「残り2分半」にしたと発表しました。

科学雑誌は、その理由について以下のように述べています。

・核兵器の90%以上を持つアメリカとロシアがシリア情勢などを巡って対立

・北朝鮮により繰り返される核実験

・アメリカのトランプ新大統領が核兵器使用の可能性を排除しない考えであること

・アメリカのトランプ新大統領が地球温暖化対策に消極的な姿勢を明確にしていること

 

なお、世界終末時計はこれまで1953年にアメリカと旧ソビエトの水爆実験を受け、「残り2分」まで進められましたが、冷戦終結時には「残り17分」まで戻されました。

しかしその後、核兵器の削減が進まないなどから、一昨年からは「残り3分」となっていました。

科学雑誌は、今回更に針を進めた一方で、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領と

核兵器の削減に向けて協力していくことに期待を示しました。

 

この他にも他の報道記事によれば、トランプ政権誕生に伴い、新たに戦争勃発のリスクが発生しています。

国連は1947年に、エルサレムを国際管理地に指定し、特定の国に属さないことを決議しました。

そこで、各国の大使館もエルサレムには置かれていません。

ところが、トランプ大統領はそのエルサレムに現在テルアビブにあるアメリカ大使館を移転させるという選挙公約を掲げて当選しました。

そして、大統領就任後には早速公約を実現させるために検討に入ったといいます。

もし、この公約が実現すれば、エルサレムが紛争の火種になると多くの専門家が懸念を示しています。

 

更には、トランプ政権の“影の大統領”と言われる、最側近のスティーブン・バノンさんは、「我々は5〜10年以内に南シナ海で戦争するだろう」と昨年3月に放送の「ブライトバード・ニュース」で発言していました。

 

このように物騒な話がいくつも報道されてくると、誰しも平和な世の中が続くのか不安な思いが募ってきます。

そうした時に世界終末時計は、こうした状況を象徴する意味で単純に分かり易く表現してくれる存在、すなわち平和の程度、あるいは戦争勃発のリスクの“見える化”的な存在だと思います。

勿論、この世界終末時計は定量的なデータに基づくものではありません。

しかし、定性的であっても人類あるいは地球に影響を及ぼし得るいろいろが現象を見定めて時計というかたちで数値化して世界の終末の程度を表現するという手法はとても分かり易くて良いと思います。

 

ということで、世界各国の指導者には、世界終末時計の針はせいぜい「残り30分」以上の維持を継続して欲しいと思います。


 
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2017年02月24日
アイデアよもやま話 No.3635 ”和”の職人技に世界が注目 その2 切れ味のよさと安全性を兼ね備えたステーキナイフ!

昨年12月18日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で世界が注目する”和”の職人技について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、切れ味のよさと安全性を兼ね備えたステーキナイフについてです。

 

1回目では、魚の調理法を極めた魚屋さんについてご紹介しました。

一方、和食で使われてきた道具を、海外に売り出す動きも出ています。

700年の伝統を持つ、刃物の産地として知られる福井県越前市です。

越前打刃物と呼ばれる伝統の和包丁は抜群の切れ味を誇ります。

この5年間で売り上げが倍増した打刃物メーカー、株式会社龍泉刃物があります。

社長の増谷 浩司さんは、伝統の技に新たな工夫を加えて海外市場を開拓してきました。

海外での成功の鍵となったのがステーキナイフです。

伝統を受け継いだ鋭い切れ味と、波紋のような美しい模様が特徴です。

このステーキナイフに使われているのは、市内にある金属加工メーカーが作った鋼材です。

性質が違う金属を特殊な技術で重ね合わせて加工しています。

厚さ数ミリの板を拡大してみると、およそ70層の金属が重なり合っているのが分かります。

その金属を再び熱して柔らかくし、職人が打つ場所を細かく変えながらナイフのかたちに整えていきます。

そして、今度は目や指先で何度も確認しながら刃を研ぎ澄ませていきます。

熟練の職人ならではの技です。

生産できるのは、1日に僅か2本程度。

ようやくナイフに美しい模様が浮かび上がりました。

完成したナイフを使ってみると、押すだけでは切れませんが、ほとんど力を入れなくても引くだけですっと切れます。

その秘密は何か。

刃の部分を顕微鏡で拡大すると、200ミクロンの細かいぎざぎざが出来ていました。

硬さが違う70層に重なり合う金属の削れ具合の差によって生み出されていたのです。

ただ、子どもも使うステーキナイフには、切れ味のよさと相反する安全性も必要となります。

増谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「握り手の近い所は全く刃が付いていない。」

「お客様がけがをしないように、切れないような状態になっています。」

 

100種類以上の試作を重ねてきた増谷さん、刃先に丸みを持たせ、持ち手に近い部分は切れないかたちにして、ステーキナイフを完成させました。

 

今、評判を聞きつけた海外のレストランから注文が殺到しています。

オランダにあるレストランでは、ステーキなどの肉料理にこのナイフが使われています。

人気のステーキナイフについて、このレストランのお客さんは次のようにおっしゃっています。

「(ある女性客は)とても切り易いわ。」

 

「(ある男性客は)手に馴染みやすい良いナイフだね。」

「切れ味も良いし、食事も楽しくなるよ。」

 

この人気のステーキナイフ、注文から4年以上待つ製品もあるといいます。

ステーキナイフで会社の知名度が上がった効果は、本業の和包丁にもつながっています。

オランダの包丁店では、増谷さんの会社の和包丁が店の中心にずらりと並んでいました。

この包丁店の店主は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「とても質の高い包丁です。」

「料理人だけでなく、いろいろな所から引き合いがあるよ。」

 

増谷さんは昨年12月、食の都、パリにも販売拠点を設けました。

国内市場が伸び悩む中、さらに海外に販路を広げようとしています。

増谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「職人が昔ながらの技術を上手に取り込んで、新しいものづくりをしていくと。」

「日本に留まらず世界に発信して、その国に受け入れられるようなものづくりをしていきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

切れ味のよさと相反する安全性、更には波紋のような美しい模様を兼ね備えたステーキナイフ、ほとんど力を入れなくても引くだけですっと切れるということなので、機会があれば是非自らその切れ味を試してみたいと思います。

 

この素晴らしいステーキナイフに使われているのは、市内(福井県越前市)にある金属加工メーカーが作った特殊な鋼材といいます。

こうした素材メーカーと刃物メーカーという企業同士の組み合わせでお互いの素晴らしい技術を持ち寄ることによって世界に誇れる素晴らしい商品が生まれたのです。

まさに、アイデアは既存の要素(企業)の組み合わせなのです。

全て自社だけで完結して商品づくりをしなくても、技術を補完し合えるような企業同士の協業により、より優れた商品をより短期間のうちに完成させることが出来るのです。

ですから、どの企業がどのような独自の技術を持っているのかを容易に把握出来るような環境の整備がとても重要ということになります。


 
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2017年02月23日
アイデアよもやま話 No.3634 ”和”の職人技に世界が注目 その1 魚の調理法を極めた魚屋さん!

昨年12月18日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で世界が注目する”和”の職人技について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、魚の調理法を極めた魚屋さんについてです。

 

2013年に、ユネスコの無形文化遺産に登録された和食、 海外での人気はますます高まっています。

海外の日本食レストランの数は、この10年余りで4倍近くに増えました。

こうした中、和食文化を担ってきた職人の技に、海外から注目が集まり、新たなビジネスの動きが広がろうとしています。

世界がほれ込んだ和の職人技とは、どんなものでしょうか。

 

世界の高級料理店が集まる香港、 激戦区で唯一、ミシュランの3つ星を獲得しているすし店に魚が届きました。

この魚が水揚げされたのは、静岡県焼津市、 江戸時代初期から漁業で栄えてきた港町です。

香港に魚を送ったのは前田 尚毅さんです。

前田さんのもとには今、香港のほか、シンガポールやニューヨークなどの高級店から注文が舞い込んでいます。

すべてのレストランのメニューを把握しているという前田さん、その調理方法に合うように、一匹ずつ魚をさばいて各国に送ります。

しかし、輸送時間が長い海外へそのまま送ったのでは鮮度が落ちてしまいます。

ここで前田さんの技がさえ渡ります。

前田さん、魚に塩を振りました。

すると、いきなり魚の身が動き始めました。

塩で水分が抜け、身が収縮するのです。

この脱水締めと呼ばれる技、腐敗につながる水分を抜いて、長持ちさせるとともに、うまみを封じ込めるのです。

魚の状態や料理の種類によって、塩の振り加減を微妙に変えます。

魚の切り身に塩を塗すと塩分で水分が抜け、魚の味が体内に封じ込められるのと同時に、細胞が痙攣を起こし、ヒクヒクとあたかも生きているがごとくに動くのです。

こうした効果が最も働くためのまな板の角度まで研究を重ねてきました。

まな板の角度にまで気を配り、抜き出す水分を自在に操ります。

7年の歳月をかけて、伝統的な塩の締め方を独自に進化させた前田さんですが、まだもの足りないといいます。

前田さんは、魚の目利きにも妥協を許しません。

ある日、数十匹のハナダイの中から、ある1匹に目を付けました。

なんと1匹のために、ほかの魚と一緒に箱ごと競り落としました。

さばいた魚は空輸され、翌日香港に。

前田さんの魚にほれ込んでいる料理長、 魚へのこだわりを進んでお客に伝えます。

前田さんは今、地元の料理人たちに自らの技を伝え、静岡の魚を世界のブランドにしたいと考えています。

前田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「記憶に残る魚にしたいですね。」

「日本の鈴岡というところからから来た魚がおいしかったっていう海外の方から印象に残る、記憶に残る魚を伝えていきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、魚の切り身に塩を塗すだけで、魚の味が体内に封じ込められること、そしてまな板の角度にまで気を配り、抜き出す水分を自在に操ることが出来る前田さんの技に驚かされます。

しかも、伝統的な塩の締め方を独自に進化させた前田さんはまだもの足りないといいます。

こうした前田さんの魚の調理にかける熱い想いには、こうした方こそプロフェショナルなのだと感じてしまいます。

 

機会があれば、是非前田さんの調理した魚を味わってその美味しさを実感してみたいと思います。


 
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2017年02月22日
アイデアよもやま話 No.3633 アディダスの全自動工場「スピードファクトリー」から見えてくる将来の工場!

こちらのネットニュース(昨年12月8日配信)でアディダスの全自動工場「スピードファクトリー」について取り上げていました。

そこで、この記事を通して将来の工場について考えてみたいと思います。

 

ドイツのバイエルン州に本社を置くスポーツ用品メーカーでグローバル企業であるアディダスがドイツ本社近くに建設した「スピードファクトリー」では、全ての製造工程をロボットが担当しています。

ロボットの導入によって人件費が高いドイツでも製造が可能になり、アジア地域で製造した商品を船便で輸送する必要がなくなりました。

そのため、1年半かかっていた製造プロセスが数週間にまで短縮し、さらに将来的には数日・数時間での製造を目指しています。

なお、スピードファクトリーを実現するコアの技術は、「ARAMIS(アラミス)」と呼ばれる3次元モデル技術です。

靴の素材や足の形に関する極めて詳細な情報をもとにして、靴にかかる圧力や変形の度合いなどを計算し、適切な靴のデザインを決定します。

この3次元モデルをもとに、スピードファクトリーのロボットが製造を担当します。

極めて細かい単位での設計が可能なので、同じモデルの大量生産にとどまらず、ユーザーごとのカスタマイズが容易になるのがメリットです。

低コストな大量生産の仕組みを維持しながら、ユーザーの要望に応じた個別生産を組み合わせる生産方式は、デジタル情報をやり取りして製造プロセスを高度化する、ドイツが産官学一体で推進する第4次産業革命「インダストリー4.0」の代表例の好例として注目が集まっています。

 

ちなみに、18世紀にあった蒸気機関による機械化が第1次産業革命「インダストリー1.0」、米フォードに代表される生産ラインでの大量生産が実現された20世紀の第2次産業革命「インダストリー2.0」に対し、20世紀後半からトヨタが推進したジャストインタイム生産は第3次産業革命「インダストリー3.0」と呼ばれます。

 

なお、2016年9月にはスピードファクトリーで製造された初の製品「Futurecraft(フューチャークラフト)」が発表されました。

2016年第4四半期では500足の製造に留まりますが、2017年からはより本格的な製造が計画されています。

 

アディダスでは2018年にはアメリカ、2020年には日本でもスピードファクトリーの建設が予定されており、消費地に近い拠点で全自動工場を導入する流れが進んでいます。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

そもそも今ファッションの流行の陳腐化が非常に速くなっているといいます。

ですから、海外工場で生産してから自国に輸送するよりも国内生産の方が本来いいわけです。

ところが、これまでは自国内よりも途上国での生産の方が低賃金で済むことから途上国に生産拠点を移転するというのが世界的な潮流でした。

そうした中で、アディダスによるドイツ国内での全自動工場の稼働は画期的といえます。

全自動工場であれば、人件費はほとんどかからず、生産から店頭に届けるまでのリードタイムもこれまでよりも大幅に短縮されます。

ですから、人件費には関係なく最適と思われる場所にどこでも全自動工場は建設することが出来るのです。

更に、「ARAMIS(アラミス)」と呼ばれる3次元モデル技術によりユーザーごとのカスタマイズまで可能にしているのです。

この技術によってユーザーの要求の多様化にも応えることが出来ます。

こうした高度化した製造プロセスを「インダストリー4.0」と言うそうですが、AI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)の進化とともに製造業における全自動工場へのシフトの動きは今後加速化していくと見込まれます。

 

一方、こうした状況が進むにつれて、先進国においても途上国においても労働者は働く場が失われていきます。

勿論、AIなど新技術の分野においては人材の需要増は続きますが、それでも産業全体としては働く場は少なくなっていると見込まれます。

そうした時に思い浮かぶのは1日当たりの労働時間の短縮、および休日の増加です。

いずれ週休3日制、あるいは週休4日制が一般的になるのではないかと思います。

こうした制度を法的に施行していくことによって、これまで通りに多くの労働者が働く場を得ることが出来るのです。

是非、こうした流れに沿って「インダストリー4.0」が進んで欲しいです。

そうでなければ、増々格差社会が進んでしまいます。


 
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2017年02月21日
アイデアよもやま話 No.3632 失業率に見る定義によって変わる現実!

日頃、私たちは失業率という言葉を耳にしています。

しかし、失業率の詳細な定義について気にする人はあまりいないと思います。

そうした中、2月3日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアメリカの失業率について伝えていました。

そこで、番組を通して失業率の定義についてご紹介します。

 

マーケットが注目するアメリカの雇用統計がこの日発表されましたが、トランプ政権が発足して初めてとなる1月の雇用者数は市場予想を大きく上回る強い数字でした。

新政権への期待で景況感が改善したことが背景にあります。

1月の非農業部門の雇用者数は前月から22万7000人の大幅増加となり、市場予想の17万5000人を大きく上回りました。

ほぼ完全雇用に達して、20万人の大台に乗ることはないと見られていただけに、ポジティブ・サプライズと言えます。

そして、1月の失業率は前月より0.1%ほど増えて4.8%となりました。

しかし、賃金はあまり伸びていないといいます。

 

さて、トランプ政権になって雇用統計が少し変わるかもしれないという話があります。

実は、トランプ大統領はアメリカの失業率はもっと高いはずだと主張していて、選挙期間中には次のような驚きの発言をしておりました。

「失業率が4.9%とか5%なんて数字はうそっぱちだ、信じちゃいけない。」

「本当は42%だという話さえ聞いた。」

 

つまり、現在の失業率はアメリカ経済の深刻な実態を示していないと主張しているわけです。

ただ、こうした論争は以前からあるもので、最大の争点はどのような人を“失業者”と見なすかです。

アメリカの労働省は、公式の失業率データでは「過去4週間職を探したが見つかっていない16歳以上」を失業者と見なしています。

ですから、例えば職探しを諦めてしまった人たちは含まれていません。

トランプ政権はこうした人も含めた失業率を採用するかもしれないと言われていて、今日(放送日)の発表を見ると5.8%となっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

トランプ大統領は「本当(の失業率)は42%だという話さえ聞いた」という過激な表現をしていますが、職探しを諦めてしまった人たちを含めた場合の失業率も無視出来ないと思います。

なぜならば、こうした見えないかたちの失業者が現状打破を期待して先の大統領選でトランプさんに投票したと思われるからです。

 

格差社会の問題解決を図るうえでは、職探しを諦めてしまった人たちを含めた場合の失業率を把握したうえでの取り組みが必要です。

そういう意味で、トランプ大統領の問題意識は当たっていると思います。

ただ、その解決策として、製造業の国内回帰、あるいは海外の輸出メーカーへのアメリカへの呼び込みという単純な図式では、本来のグローバル化の狙いから外れてしまいます。

 

ですから、トランプ大統領には「アメリカ第一主義」を掲げて短期的な成果を追い求めるだけでなく、経済のグローバル化を前提にしたうえでの失業率の低下、および格差社会の改善に取り組んでいただきたいと思います。

そういう意味で、暴走するトランプ大統領にうまく軌道修正を提言する閣僚の力量に期待がかかります。

 

なお、今回ご紹介した失業率の扱いについては、日本においても検討課題だと思います。


 
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2017年02月20日
アイデアよもやま話 No.3631 電通の労働環境改革に見る本気度!

広告大手の電通に勤めていた高橋まつりさん(当時24歳)が2015年12月クリスマスの日に長時間労働を苦に投身自殺したことに関しては、アイデアよもやま話 No.3527 広告大手の若手女子社員自殺報道に接して!あるいはプロジェクト管理と日常生活 No.471 『電通社長の辞任表明を企業の働き方改革の起爆剤に!』でお伝えしました。

そうした中、2月14日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で電通の労働環境改革について取り上げていたのでご紹介します。

 

新入社員の過労自殺問題で書類送検された電通は、2月14日に決算会見を開きました。

先月就任された電通の新社長、山本 敏弘さんは決算会見の場で次のようにおっしゃっています。

「労働環境の改革が私の最重要課題と認識しております。」

「弊社が抱えております労働環境に関する問題が極めて多岐にわたり、複雑である。」

「機械化した方が良いもの、してはいけないものを具体的に切り分けている最中であります。」

 

「(改革への投資で2017年期の国内事業は減収減益を見込んでおり、)2017年の(国内事業の)減収は、「仕事量を無理に追いかけない」という意味だとお考えいただければと思います。」

 

社員の労働時間の削減などを進める電通は、社員の労働環境を改善するため新たに70億円の投資をすると明らかにしました。

200人の臨時雇用などを計画し、仕事の機械化も進めるといいます。

そして電通は4月までに労働改革案を打ち出す方針です。

 

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は、次のようにおっしゃっています。

「(電通も)今回は本気で改革をしようとしていますね。」

「実際に、夜10時になると皆さん帰られて電気消えます。」

「一方で、電通というのはいっぱい働いてお客さんにつぎ込んでそれで今まで儲けてきた。」

「それがある意味強みだった部分もあって、その強みがこの対策で弱まるんじゃないかという懸念を持っていらっしゃるのも事実なんですね。」

「(働き方を変えたうえで、今までの文化とは違う新たな電通文化を作っていかなければいけないのでは、という問いに対して、)そういうことになると思いますね。」

「実際にそういう方も電通の中に出て来ていまして、私はポイントは生産性をいかに上げるかということだと思うんですね。」

「労働時間を短くすることが目的だけではなくて、それを通じて生産性全体を上げていくということが重要なわけです。」

「日本経済は実はあまり生産性が高くなくて、(2015年の日本の労働生産性は)OECD35ヵ国の中でも22位なんですね。」

「実はギリシャやスペインより生産性が低いんです。」

「これだけ素晴らしい技術があってこれだけ勤勉な国民がいて、生産性がOECDの中で22位っていうのはどこかに無駄があるんですね。」

「例えば、身近なところでは会議が長いとか、パワーポイントの資料をいっぱい作り込んじゃうとか。」

「だからそういうところから含めて変えていかなければいけないんですが、ただそう言っても中々変わりませんので、まずはこういう労働時間に枠を設けて、社員一人一人にどうやったら無駄をなくすかということを気付いてもらうと。」

「それで、結果として日本全体の生産性の底上げを図っていくっていうことが重要なんだと思いますね。」

「(いろいろな企業でまだ短い時間で良い成果を出す術を確立されていないのではという指摘に対して、)そうですね、電通の社員の中でも(その術を)気付いていない方が多いですし、パナソニックが週10時間という(残業時間の)制限を徹底的に設けましたけど、あれも社員に気付いてもらうという環境作りだと理解した方がいいと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

電通の新社長、山本 敏弘さんが決算会見の場でおっしゃった「労働環境の改革が私の最重要課題と認識しております」という言葉には並々ならぬ決意が感じられます。

実際に社員の労働環境を改善するため新たに70億円の投資をすると明らかにしております。

そして電通は4月までに労働改革案を打ち出す方針といいます。

しかし、ただ単に労働時間を制限するというのでは、実態を変えることはあまり期待出来ません。

自宅に仕事を持ち込むなど、隠れたかたちの残業となってしまいます。

 

そこで、労働改革案を打ち出すポイントについて、私の思うところを以下にまとめてみました。

・まず、1日当たり、および1ヵ月当たりの労働時間の制限、および生産性向上の目標を設定する

・あらゆる現状の業務プロセスをまとめる

・その結果から、あるべきプロセスを検討する

・そのプロセスを機械化した方が良いもの、してはいけないものに切り分ける

・機械化した方が良いものについては、AI(人工知能)、ビッグデータなどの活用の可能性を検討する

・機械化してはいけないものについては、難易度により業務を切り分ける

・難易度の低い業務については、パートや契約社員の活用でカバーする

・このような業務プロセスの見直しにより、労働時間の制限、および生産性向上の目標が達成出来るかどうかを検証する

・もし、達成出来なければ、達成できるまで業務プロセスの見直しを繰り返す

・こうして完成した業務プロセスを実際に特定の業務部門で一定期間試行する

・その結果、問題点を改善したうえで全社展開をする

・その後も、目標対実績を把握し、1年ごとなど定期的に業務プロセスを見直し、更なる改善を継続する

 

いかがでしょうか。

 

さて、2015年の日本の労働生産性はOECD35ヵ国の中でも22位という低さです。

ですから、電通には是非、日本全体の生産性の底上げを図っていくうえでのリーダーを目指すくらいの意気込みで労働環境の改革に取り組んでいただきたいと思います。

その結果、多くの社員がワークライフバランスの観点から満足出来るような労働環境が確立出来れば、自ら命を絶った高橋まつりさん(当時24歳)の供養にもあると思います。


 
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2017年02月19日
No.3630 ちょっと一休み その582 『賢い子どもを作るための4つの条件』

こちらのネットニュース(1月18日配信)で脳を活性化させる方法について取り上げていました。

そこで、今回はその中から賢い子どもを作るための4つの条件を中心にご紹介します。

 

世界中の面白い記事を凝縮したウェブメディア「クーリエ・ジャポン」では、新年から脳を進化させる技術というのを特集でやっております。

以下はその記事の一部のご紹介です。

 

アメリカの天才児5000人を集めて、その人たちを1971年から45年間にわたり、ずっと追跡した研究の結果、賢い子どもは作れるということが分かりました。

「クーリエ・ジャポン」では賢い子どもを作るための8つの条件を出していますが、その中から記事で紹介されたのが大人にも参考になる以下の4つの条件です。

  1. 多種多様な経験

  2. 努力を奨励

  3. 知的リスクを歓迎、失敗から学ぶ

  4. 「レッテル貼り」に気を付ける

 

なお、記事では上記4つの条件に加え、以下の2つも重要といいます。

  1. 空間認識能力

    物質同士の空間内の関係性を理解してそれを記憶すること

    物に限らず、いろんなことに関して空間認識能力が高かった子どもはクリエイティブな仕事、イノベーティブな仕事でかなりいい業績を残していることが分かっている

  2. 外国語を学ぶこと

    外国語を学ぶと、言語・非言語の知能が高くなったり、マルチタスクの能力が高まったり、という脳の潜在能力が高まる

    また、脳の健康維持にも役立つ

    バイリンガルの人はアルツハイマー病の発症が5年ほど遅くなるとか、脳卒中などで認知機能に問題が起きたときにそれの回復も2倍になるというようなデータもある

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

どの条件もなるほどと思わせられますが、私が特に気になったのは4つの条件以外の2つです。

確かに空間認識能力は、物事の関係性を把握するためにとても重要な能力だと思います。

ですから、これから増々要求されてくるクリエイティブな仕事や、イノベーティブな仕事に必要な空間認識能力を子どもの時にいろいろな遊びを通して身に付けることはとても大切だと思います。

 

また、外国語を学ぶことについては、AI(人工知能)の進化とともにいずれ自動翻訳や自動通訳が実用化されるはずですのでそもそも外国語を学ぶ必要がなくなるのではないかと私は考えていました。

しかし、脳の潜在能力を高めたり、脳の健康維持にも役立つ効果があるとは意外でした。

ですから、例え自動翻訳や自動通訳が実用化される時代になっても、より的確な通訳を目指して、あるいは趣味で外国語を学ぶことは脳の能力や脳の健康維持に役立つのです。

あるいは、外国語を学ぶ必要がなくなってもその代わりとなる手段を探す必要がありそうです。


 
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2017年02月18日
プロジェクト管理と日常生活 No.476 『SDGs達成のための”見える化”案』

アメリカのトランプ新大統領は、地球温暖化はでっち上げと訴えておりますが、今や地球温暖化問題への世界的な対応は急を要するような状況です。

このままこの問題を放置しておけば、取り返しのつかない状況に追いやられるというのが、専門家の一般的な見解なのです。

 

そうした中、「横浜発世界へ。持続可能な開発を考える。〜『SDGs』から考える社会イノベーション〜」をテーマにした講演会(1月17日開催)に参加しました。

その際、SDGsという耳慣れない言葉に接しました。

SDGsとはSustainable Development Goalsの略語で持続可能な開発目標を意味します。

 

2015年の9月25日−27日、ニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。

そのアジェンダこそが17の目標と169のターゲットからなるSDGsなのです。

国連に加盟する全ての国は、2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標、すなわちSDGsを達成すべく力を尽くことが決定されたのです。

 

そして、このSDGs達成に向けて各国ごとに現在取り組みを進めているのです。

この中で、地球温暖化に関連した項目について実際に取り組むのはそれぞれの自治体であったり、企業であったり、一般家庭であるわけです。

 

そこで提案があります。

それは、2030年達成を目標とした年度ごとの目標値、および実績値を各自治体で管理し、その結果を環境省が国としてまとめて目標達成支援するという仕組みの構築です。

具体的なプロセスは以下の通りです。

1.環境省、および各自治体にSDGs達成プロジェクト事務局を設ける

2.環境省で設定したSDGsに対応した各自治体のSDGsを設定する

3.2030年まで四半期ごと、あるいは半年ごとに実績値を各自治体は環境省の事務局に報告する

4.環境省の事務局は、自治体別達成率ランキングを公開し、各自治体に取り組みの有効性の度合いについて知らしめることにより、国全体の取り組みの強化を図る

5.2030年まで環境省の事務局は、実績値がSDGsに達していない場合の対応策を自治体に要請する

6.2030年に目標達成した自治体、およびTOP3などには何らかの特典を与えることとする

 

この仕組みのキーポイントは、目標の数値化、および“見える化”です。

自治体ごとのランキングが公開されることにより、企業や一般家庭にも自分たちの取り組みについて自覚を促します。

また、お互いに競争意識が芽生え、取り組みに対するやる気を促します。

 

現在、多くの人たちは地球温暖化問題に関心を寄せていると思います。

でも、それぞれの暮らしがどのくらい地球温暖化に影響を与えているのかについてはあまり関心がないと思います。

そこで、例えば自治体ごとにそれぞれの状況に応じて、「目標達成率xx%なので目標達成するためにはxxxのような対応が必要なのでお願いいたします」というような情報発信をすることにより自治体としての一体感を持って取り組みを進めることが出来ると思うのです。

                                                     

プロジェクト管理においても、目標達成の意義、目標の定量化、見える化、および定期的な進捗管理により目標達成をより確実にすることが期待出来るのです。


 
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2017年02月17日
アイデアよもやま話 No.3629 個人間の仕事をマッチングする「エニタイムズ」!

シェアリングエコノミーについてはこれまで何度かご紹介してきました。

そうした中、昨年12月10日(土)放送の「クロスロード」(テレビ東京)で個人間の仕事をマッチングするコミュニティサービス「エニタイムズ(ANYTIMES)」について取り上げていたのでご紹介します。

 

「エニタイムズ」の歌い文句は「あなたの近所で「得意」を売り買いしましょう」で、犬の散歩やサンタクロース代行までどんな「得意」でもお小遣い稼ぎが出来る日本最大級のスキルサービスといいます。

例えプロでも副業なので価格はリーズナブルです。

運営するのは創業4年目、社員数11名(番組放送時)のベンチャー企業で、代表はこの仕組みを考案した角田 千佳さん(31歳)です。

パソコン相手の業務なのでWi−Fiさえあれば席を決めずとも仕事が出来るので、角田さんも含めて社員の席は自由です。

これには何かあった時に気軽に相談出来るといったメリットも角田さんは期待しています。

 

「エニタイムズ」は創業から4年目で会員数は増え続け2016年11月末時点で2万人に迫る勢いです。

その分ニーズもどんどん膨らみ新たな種類の依頼も増えています。

 

そのシステムは、英会話やメイクアップなど得意なスキルをサイト上で販売、これを買う人がいれば契約成立となります。

一方、家事代行やぺットの世話など仕事を頼みたい人は金額を設定してお願いします。

 

意外だったのは、プロのメイクアップアーティストが依頼者としてメイクと撮影をセットにした新たなサービスを始めるに当たり、格安でそのモニター募集に「エニタイムズ」を使っているのです。

その仕事を請け負う人がいれば契約が成立します。

そして、「エニタイムズ」には15%の手数料が入る仕組みです。

サイトにはこれまでの仕事の総合評価なども掲載されているのでリスクは最小限に抑えられます。

 

こうしたサービスは今注目を集めているシェアリングエコノミーの一つです。

場所、乗り物、モノ、人、お金など使っていない資産をシェアして有効活用する新しいビジネスのかたちなのです。

 

ちょっとビックリしたのは、経営者の角田さんご自身も週に1,2回は依頼者として、あるいはサポーター(依頼者からの仕事を請け負う人)としての仕事をしているのです。

こうしたことについて、角田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自分自身が使う立場になるユーザー自身というのは、こういうサービスを作っていくうえで非常に重要で、その気持ちにならないと出てこないアイデアだったりとか改善点とか分からないと思うんですよね。」

 

さて、角田さんは1985年に東京都杉並区に生まれました。

小学生の頃、日本人初の国連難民高等弁務官として世界をつなぎ、国際貢献を果たした緒方貞子さんに影響を受けました。

このことについて、角田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自分もやっぱり開発援助とか人道支援の仕事がしたいな。」

「こういう世界に影響を与えるような(人のためになる)事業をしたいなと思うようになって・・・」

 

いつか人の役に立つ事業を起こしたい、ビジネスの仕組みを学ぶために大学卒業後に大手証券会社に入社しました。

その後IT企業に転職、その時一人暮らしをしていて、あることに気付いたのです。

このことが「エニタイムズ」創業のきっかけとなったのです。

角田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「便利屋さんとか頼んだりすることがあって。」

「私の周りの友人でも家政婦の方に来てもらっていて、個人の方だと会社に頼むのと違ってだいぶ安く頼めているを見ていたんですね。」

「その時思ったのが、もっと家政婦さんだったりとか、家具の組み立てとか出来る人って近所には沢山いるだろう。」

「そこを依頼したい人と空き時間で何か得意なことを活かして仕事をしたい人を合わせるようなマッチングするようなそういう仕組みって出来ないかと考えて・・・」

 

そこでお2013年、人と人とをつなげる新たなビジネスを展開すべく自己資金100万円で「エニタイムズ」を起業したのです。

創業から4年目、「エニタイムズ」のビジネスは注目を集め、大手IT企業やファンドなども出資、今や資本金は約3億2000万円にまで増えました。

 

また、東京中心ではなく地方にも「エニタイムズ」を広げたいと思っていた矢先に、市をあげてシェアリングエコノミーに取り組んでいる宮崎県日南市の市長から声がかかり、2016年8月1日に宮崎県日南市とお手伝いサービス協定を結んでいました。

「エニタイムズ」のサイトに日南市のページを作り、子育ての支援やシルバー人材活用のお手伝いをしていたのです。

既にいくつか実績も出ています。

地方への拡大、これが戦略です。

 

しかし、現実はそう簡単に動くものではありません。

「エニタイムズ」の拡大を目指し、ある日、角田さんは北原国際病院(東京都八王子市)を訪れました。

この病院は断らない救急医療や休日簡易ドッグなど患者目線の医療改革で今話題の病院です。

今回は就労支援、すなわち退院した患者さんの仕事を探すのに「エニタイムズ」を活用出来ないかと打ち合わせに来たのです。

「エニタイムズ」についての一通りの説明を聴いた後、北原 茂実理事長から思わぬコメントが出てきました。

「でも現場に入らなきゃだめなんだよ。」

「なぜかというとね、基本的に我々医療の人間には見えていることがあるんだよ。」

「あなたが考えていることは、本質的には幸せな人が考えていることなんだよ。」

「それで現実に何が起こっているか理解しなきゃいけなくてね。」

 

医療の現場を見て欲しい、もっと患者の身になって考えて欲しいと理事長から厳しい指摘がありました。

 

3日後、再び病院を訪ねた角田さんは、就労支援のボランティア活動の現場を初めて訪れました。

そして、自らも脳梗塞を患っている男性の話を聴くのでした。

この男性は、「エニタイムズ」の内容を一通り聴いた後、次のようにおっしゃっています。

「まず書けない、言葉は出ません。」

「この状態で出来ることを探すしかない。」

「(これからやりたい仕事はあるかという問いには、)ないです。」

「(それでも辛抱強く話を続けていくと、)これ集団でならいいの、個人じゃなくてグループでやりますよっていう。」

「もっと活動範囲を広げられる、こんな良い事はない。」

「これお金が発生する。」

 

こうして角田さんは、一人では無理でも仲間と一緒ならいろいろと出来るという前向きな提案を聴くことが出来ました。

このことについて、角田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今まで本当に困っている人たちのことは、正直何か想像でしか出来てなかったんだなと今日感じて、実際に希望を持てないと一番最初に言われて驚いて言葉が出なくなっちゃうぐらい結構ショックで。」

「でもだんだん話を聴いていけばいくほど、本当に希望を持っていないわけではなくて、こういう人たちを「エニタイムズ」のサービスを浸透させることによってどんどん希望を持ってもらったりとか、浸透させていきたいなと本当に思いました。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これから日本は高齢化社会が本格化していきます。

また、母子家庭や一人暮らしも増えているといいます。

こうした中にあって、ちょっとしたことを気軽に低下価格で依頼出来るようなサービスがあればとてもありがたいと思います。

一方で、失業中で何とかお金を稼ぎたい人、非正規で働いており足りない分を何とか稼ぎたい人、あるいは正規の仕事に就いていても小遣い稼ぎをしたいと思っている人というような方々もいらっしゃいます。

そうした中にあって、「エニタイムズ」のようなシェアリングエコノミーの場は、何かを求めている側と気軽に収入を得たい側とを容易に結びつけるとても便利なサービスを提供していると思います。

ですから、シェアリングエコノミーは今後とも様々なかたちで普及していくと思われます。


 
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2017年02月16日
アイデアよもやま話 No.3628 今こそ求められる”人類憲法”!

前々回、あるゼロ戦乗りの遺言を通して戦争の悲惨さと平和の大切さ、そして戦争勃発の懸念についてお伝えしました。

そして前回、保護主義的な政策を掲げるアメリカのトランプ大統領誕生を契機に世界的に広がる“保護主義”へのジャック・アタリさんの警告についてご紹介しました。

 

今の世界情勢は、欧米を中心に“保護主義”、そして“反グローバル化”の方向に急速に傾きつつあります。

既にグローバル化の進んだ国際社会において、こうした動きは時代に逆行しています。

そして、どのような道をたどるべきかについて考える時、私たち一人一人は国民である前に

哺乳類の霊長目に属する動物であり、地球上に暮らす生物の一種であるという想いに至りました。

また、今アメリカのトランプ大統領により矢継ぎ早に国際的な視点からみて納得のいかない大統領令が発せられ、各国は右往左往の状態です。

しかし、これまで何度かお伝えしてきたように、トランプ大統領と言えども、あるいは他の国々の首脳も国民の声を完全に無視することは出来ません。

 

そこで、この想いに沿って以下に一国の国民としてではなく、あるいはどんな宗教を信仰しているかに係わらず、人類一人一人が普遍的に順守すべき“人類憲法”の必要性を強く想い、以下にまとめてみました。

(人類憲法)

・人類の一人一人は自立し、国や民族、文化、宗教などの違いを超えてお互いに尊重し合うこと

・人類は格差のない社会を維持・継続させること

・人類はあらゆる問題解決において、武力に頼らず平和を大前提にした手段を選択すること

・人類はお互いに共存共栄(WinWinの関係)を図ること

・同様に、人類は他の生物との間で共存共栄を図ること

・人類の一人一人は地球上の住民としての自覚を持ち、地球環境の保全・維持に努めること

 

現実には、誰もが人それぞれにその都度問題を抱え、悩みつつ暮らしています。

そして、問題によっては一人で解決することが出来ますが、多くの問題は家族、友人、知人からの支援、あるいは国や地方自治体の制度、更には海外から輸入されるモノやサービスによって解決されます。

 

ですから、どこの国でどんな指導者が登場しようとも、各国の国民が今回ご紹介した“人類憲法”に照らして行動したり、あるいは投票することによって人類の存続が可能になるのです。

 

こうした時に、大切なのは真実の情報を提供すべきマスコミの力です。

間違った情報を基に物事を判断すれば、間違った判断につながるからです。

ですから、マスコミの方々にはこうした責務を強く持ちながら取材に取り組んでいただきたいと思います。


 
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2017年02月15日
アイデアよもやま話 No.3627 世界的に広がる“保護主義”へのジャック・アタリの警告!

トランプ政権誕生と共に「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ大統領の強引な政策に早くも世界的に波紋が広がっています。

そうした中、1月30日(月)放送の「国際報道2017」(NHKBS1)で「緊急提言 欧州随一の知性が語る トランプと世界の今後」をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して世界的に広がる“保護主義”へのジャック・アタリさんの警告についてご紹介します。

ちなみに、ジャック・アタリさんについては、これまでプロジェクト管理と日常生活 No.441 『ヨーロッパを代表する知性の指摘する課題・リスクとその対応策 その4 強くあるためには懸念材料を持つことが唯一の方法』などで何度かご紹介したことがあります。

 

保護主義的な政策を掲げるトランプ大統領のアメリカ、EUからの離脱を決め、単一市場からの撤退を表明したイギリス、そして反EUを掲げる極右政党が躍進を続けるフランスなど、今世界各国で内向きともいえる姿勢、すなわち“反グローバル化”の動きが強まっています。

 

こうした動きに警鐘を鳴らすのは“ヨーロッパの知性”と呼ばれているジャック・アタリさんで、このままでは世界は再び戦争に突き進む可能性があると指摘します。

なお、アタリさんは、ヨーロッパ復興開発銀行の初代総裁、そしてEU設立の立役者でもあるフランスの思想家です。

 

ヨーロッパ、そして世界はどこに向かうのか、番組はアタリさんにインタビューしました。

アタリさんは、インタビューの中で次のようにおっしゃっています。

「(アメリカやヨーロッパで広がる保護主義的な動きについて、)今世界は岐路に立たされています。」

「グローバル化に反発する動きが多くの国々で広がっていますが、それは自己防衛であり、アイデンティティを守る方法でもあるのです。」

「市場のグローバル化と民主主義の間で戦いが起きているのです。」

 

「(今フランスでも保護主義的な動きが広がりを見せていることについて、)フランス国民は“静かな革命”を望んでいます。」

「国民は既存の政治家を追放し、新たな政治家の登場を望んでいるのです。」

「アメリカやイギリスのように保護主義の道を選ぶ人が多ければ、ルペン氏が選ばれるでしょう。」

 

ちなみに、ルペンさんは今年4月から5月にかけて行われる大統領選挙で“反EU 反移民”を掲げる極右政党、国民戦線の党首です。

最新の世論調査では25%の支持を集め首位に立っています。

 

更にこうした動きがヨーロッパで今後も広がれば、最悪のシナリオが想定されるとアタリさんは語ります。

「(“反EU 反グローバル化”を掲げる新興政党「五つ星運動」が躍進しているイタリアで、今年中に行われる可能性がある議会選挙で「五つ星運動」が勝利し、)「五つ星運動」の政権がユーロ(ヨーロッパの共通通貨)離脱を問う国民投票を実施すれば、勝利する可能性があります。」

「イタリアがユーロ圏から離脱すれば、ユーロが崩壊しかねません。」

 

アタリさんは、このまま保護主義的な動きが世界に広がれば戦争につながる恐れすらあると警鐘を鳴らします。

「これは非常に危険な状態です。」

「1世紀前、人類は保護主義が戦争につながっていくのを目の当たりにしました。」

「時に国家は“自殺”を図ります。」

「20世紀はじめ国家が“自殺”を図りました。」

「第一次世界大戦は絶対に不必要でした。」

「無知が戦争や危機を招きました。」

「私たちは今(当時と)同じ状況に置かれているのです。」

 

保護主義的な動きが世界に広がる背景にあるのが格差の拡大です。

グローバル化に伴って、これまで経済を支えてきた中間層の雇用が減り、不満を募らせているとアタリさんは指摘します。

「(最悪のシナリオを回避するにはどうすればいいのかについて、)中間層に広がる貧困はこれまで常に独裁政治を招いてきました。」

「中間層に広がる貧困への対策を見い出せなければ“戦争”につながる可能性すらあります。」

「各国政府が中間層に広がる貧困に対処することが出来るのかがカギになるのです。」

 

アタリさんは各国で保護主義や孤立主義への動きが強まれば、国内に溜まった不満が外に向かい、それが暴力的な行動を引き起こす可能性があると語りました。

トランプ大統領が率いるアメリカが軍事面でも影響力を増す中国を敵対勢力と見なせば、アメリカと中国の間の緊張が高まる可能性があり、国際情勢全体が不安定化すると強い懸念を示しました。

そのうえでアメリカと中国の対立が激しくなった場合には、日本、中国、韓国、北朝鮮と複雑に各国の利害が絡み合う東アジアで部分的な軍事衝突が起きる恐れも否定できないと指摘しています。

 

このように保護主義や孤立主義が加速している現状に対して、現在のヨーロッパ各国のリーダーたちが保護主義に代わる代替案を示すことが出来ず、アタリさん自身も国民全体から支持が得られる代替案を示すのは容易ではないと認めています。

注目のフランス大統領選挙では、国民戦線のルペン党首がグローバリズムかそれとも愛国心かの選択だと主張して支持率でトップとなっています。

その一方で、世論調査で依然3分の2近くの人がルペン党首の保護主義的な政策は受け入れがたいと答えています。

フランス国民の意見は大きく分かれ、また日々揺れ動いているのが現状といいます。

大西洋を挟んで保護主義的な動きが共鳴し、ヨーロッパの枠組みを更に揺るがすことになるのか、それとも保護主義の誘惑に陥らず第三の道筋を描くことが出来るのか、今年ヨーロッパ各国で行われる選挙で問われることになると番組では解説しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組の内容を以下に要約してみました。

・グローバル化に伴い、中間層の雇用が減り、格差が拡大している

・中間層は不満を募らせ、保護主義的な動きが世界に広がっている

・中間層に広がる貧困はこれまで常に独裁政治を招いてきた

・市場のグローバル化と民主主義の間で戦いが起きている

・各国政府が中間層に広がる貧困への対策を見い出せなければ“戦争”につながる可能性すらある

・1世紀前、人類は保護主義が戦争につながっていくのを目の当たりにした

・これまで無知が戦争や危機を招いてきた

・私たちは今第一次世界大戦前と同じ状況に置かれている

 

このようにまとめてみると、私たちはどのような道をたどるべきかがうっすらと見えてきます。

その心は、私たち一人一人は国民である前に霊長目のヒト(類人類)上科のヒト科に属する動物であり、地球上に暮らす生物の一種であるということです。

 

なお、前回、あるゼロ戦乗りの遺言を通して戦争の悲惨さと平和の大切さ、そして戦争勃発の懸念についてお伝えしましたが、“ヨーロッパの知性”と呼ばれているアタリさんもこのままでは世界は再び戦争に突き進む可能性があると指摘していることを私たちは無視してはならないのです。

ここ最近から戦争勃発の懸念が出て来ているのではなく、じわりじわりとこうした潮流が世界的に進行しているということです。


 
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2017年02月14日
アイデアよもやま話 No.3626 あるゼロ戦乗りの遺言!

アメリカのトランプ大統領誕生に伴い、その極端な政策が世界各国に不安をもたらしています。

そればかりでなく国際平和に対する懸念ももたらしています。

そうした中、昨年12月12日(月)放送の「NNNドキュメント」(日本テレビ)で「ゼロ戦乗りの遺言 〜真珠湾出撃 原田要の肖像〜」をテーマにしていました。

そこで、今回は番組による一人のゼロ戦パイロットへのインタビューを通して番組の一部をご紹介します。

 

原田 要さんはおじいちゃん先生と呼ばれ、駆け寄って来る子どもたちを見守ってきた、長野市ひかり幼稚園の元園長です。

今から約75年前の1941年12月8日、旧日本軍はハワイの真珠湾を攻撃しました。

原田さんは当時25歳、ゼロ戦に乗って憧れていた戦場へと向かいました。

当時を振り返り、原田さんは次のようにおっしゃっています。

「私もハワイに行った以上ハワイ群島を空襲したいから是非俺にもやらせてくれと。」

「戦争の中に巻き込まれれば、好むと好まざるとに係わらず相手を殺さなきゃならないんです。」

「相手を殺さなきゃ自分が殺されてしまうんだから、これはしょうがないんですよ。」

 

終戦から半世紀近く過ぎた頃、原田さんはあることをきっかけにそれまで硬く心に閉ざしていた戦争の記憶を語り始めました。

そして、ある講演会で次のようにおっしゃっています。

「尊い人命を私くらい殺めた人間は恐らく今この平和な時代にはいないんではないか。」

 

「今、日本はこういう平和憲法で、しかも世界に向かって軍隊は持ちません、戦争はしません、これを次(の世代)に伝えるためには自分の死ぬまで一生懸命で、自分の見た戦争というものの罪深いことをしゃべることが私に与えられた最後の仕事ではないか。」

 

戦争とは殺し合い、原田さんの故郷に作った幼稚園では小さな子どもたちに命の尊さを説いてきました。

 

原田さんの総飛行時間はおよそ8000時間、真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争では19機を撃墜しました。

少年時代に憧れていた戦闘機乗り、原田さんは、1933年、17歳の時に横須賀海兵団に入団しました。

その後、戦闘機の搭乗員を養成する霞ヶ浦航空隊に入隊し、首席で卒業しました。

そして1941年12月8日、ハワイ真珠湾攻撃によりアメリカなど連合国軍との戦争が始まりました。

原田さんは空母「蒼龍(そうりゅう)」で真珠湾に向かい、ゼロ戦で出撃しました。

この時のことについて、原田さんは次のようにおっしゃっています。

「これに参加するということは日本の国民であり、特に軍人であって、しかもゼロ戦というパイロットの自分が立場にいる以上はこう行って戦って向こうをつぶすということが男冥利に尽きるんです。」

「もうこんな名誉なことはないし、自分の命なんかもうみんな差し出して戦うと。」

 

ところが、上官から命じられたのは真珠湾への攻撃ではなく、空母「蒼龍」を上空で守る任務でした。

このことについて、原田さんは次のようにおっしゃっています。

「(攻撃から)帰ってきた連中は鼻高々で、戦艦を沈めた、格納庫を爆破した、巡洋艦を追っかけまわした、そんな話でみんな、船の人たちも「やあ、ご苦労、ご苦労」でしょ。」

「我々一日中飛んでいた人間は小さくなって聴いている。」

「やだなあ、こんないやな思いはもうしたくないと思っていたところが・・・」

 

その4ヵ月後の1942年4月、待ちわびていたセイロン島沖海戦の空中戦に参加、イギリス空軍5機を打ち落としました。

この時のことについて、原田さんは次のようにおっしゃっています。

「一番頭に最初にくるのは、自分が殺されなくてよかったと。」

「どっちか殺されるんですからね、戦争ってやつは。」

「だから、相手を殺したから自分は殺されなくて済んだ。」

「その安堵感ていうんですか、よかったなあということ。」

「その次、相手に接近してどうやら落とした。」

「じゃあ、俺の方が良かったのかなあというちょっとした優越感。」

「(空中戦では敵機の背後に回り込み、10m、5mまで接近して打ち落とす、この時の状況について、敵機のパイロットは)いや辛そうな顔をするわけ。」

「誰だってそうですよ。」

「撃たれて火ダマになったり。」

「だから、恨めしそうな顔をして酷いなあというふうなことを私の方でははっきり見えるでしょ。」

「そうすると自分の境遇をすぐそれに置き換えちゃう。」

「彼も死にたくなかったんだろう。」

「それから家族もあったんだろう。」

「かわいそうだなあ。」

 

この時、原田さんには結婚したばかりの妻、そして生まれて間もない長男がいました。

 

真珠湾攻撃の半年後、1942年6月に始まったミッドウェー海戦、原田さんはゼロ戦で戦闘に加わりました。

ところが、アメリカ軍の猛攻を受け、日本の空母4隻が沈没、帰還する空母を失った原田さんのゼロ戦は海に不時着、4時間にわたり漂流しました。

そして、一度は漂流している兵士を置いて逃げた駆逐艦が夜中に助けに来てくれて一命を取り留めました。

しかし、そこで目の当たりにしたのは、戦争の現実でした。

「もうそれこそ地獄みたい。」

「狭い駆逐艦だけども、折り重なるように負傷した兵隊を満載しているんですよ。」

「焼けただれて手のない人、足のない人、顔が分かんない人、しかもそれがみんな生きててね。」

「「苦しい」、「助けてくれ」、「水くれ」、「早く殺してくれ」、とかいろんなこと言ってるんですよ。」

 

ミッドウェー海戦の後、一旦日本に戻った原田さんは妻子とのつかの間の再会を果たしてすぐ、激戦地ガダルカナル島へ向かいました。

敵の基地を目前にアメリカ軍の戦闘機と交戦、そして機体の破片と見られる金属が左腕を貫通、原田さんのゼロ戦はヤシの木をなぎ倒しながら不時着しました。

意識が朦朧(もうろう)とする中、脳裏に浮かんだことについて、次のようにおっしゃっています。

「自分の家内はどうなるんだろう、子どもはどうなるんだろう、それから自分の家庭はどうなるかなあ。」

 

さ迷い歩いたジャングルで撃墜された艦上攻撃機の搭乗員と出くわしました。

これが最後かなと思っていましたが、翌日、味方に発見され基地に収容されました。

帰国後は航空隊の教官に、そして29歳の時に終戦を迎えました。

 

原田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「兵舎を爆撃している、飛行場の格納庫を爆撃、銃撃をしている、人の命をどのくらいとっているか分かんない。」

「何千人の命を撃ったか分からない人間がですね、今こうして生きているということに対する罪悪感、それが身を切られるように辛いんです。」

「でもそれは戦争だから仕方がない。」

「だから私は戦争くらい罪深いことはない。」

 

復員後は職を転々としながら家族を養いました。

そして、あることをきっかけに戦争をつぶさに語り始めました。

終戦から20年が過ぎた頃、当時自治会長だった原田さんは子供を預ける場所を作って欲しいと近所の母親たちから頼まれ、幼稚園を開園しました。

幼稚園では一貫して命の尊さを説いてきました。

そんな原田さんは、終戦から50年近く戦争の話をしませんでした。

しかし、湾岸戦争(1991年)が74歳の原田さんを変えました。

湾岸戦争をテレビニュースで見た若い方が漏らした「まるでテレビゲームのようだ」、「花火みたいだ」という感想に衝撃を受けたのです。

それまで誰にも話すことが無かったゼロ戦搭乗員という過去を明かし、戦争体験を語るようになったのもこれがきっかけでした。

 

原田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「最初、私はもう戦争の話をするとね、こういう仕事ですからなんかあの男は元軍人だとか交戦支援者だとかそういうふうに見られると辛いから、なるべくそういうことを一切口にしなかったんですけども・・・」

「駆逐艦の地獄のようなことを知らないからテレビを見ても感じない。」

「じゃあ、我々戦争を見て一番感じた人間がそれを伝えなければいけない。」

「それから私は一生懸命しゃべるようになったんです。」

 

人を殺し合う罪の深さと自責の念、戦争の証言者として全国各地で100回以上講演を重ねてきました。

民間の船を爆撃したことも包み隠さず話しました。

講演では、数時間立ったままで話続けることもありました。

原田さんの次男は、講演の後は当時を思い出して苦しくなり、夜は苦しいと原田さんから聞かされていました。

 

終戦から70年目の一昨年8月11日、原田さんは99歳の誕生日(白寿)を迎えました。

番組の最後に原田さんは次のようにおっしゃっています。

「今どうやら日本を取り巻く世界が和やかな空気のように見えます。」

「ただし、私はこれは本当の平和の空気とは若干違うように自分の身体が覚えているから、それを何とか現実に再びああいういやな思いをさせない世界のために最後まで自分の信念を貫き通す発言をしなさいと・・・」

「今は日本は平和憲法で世界に向かって「軍隊は持ちません」、「戦争はしません」、次の世代の人たちがそういう嫌な思いをしないで済むような世の中になってもらいたいというのが私の最終的な祈りなんです。」

 

2016年5月3日、原田さんは永眠されました。(享年99歳)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、あらためて長年にわたって講演会を通して戦争の悲惨さ、そして平和の大切さを説かれてきた原田さんのご冥福をお祈りいたしたいと思います。

 

さて、番組を通して実際に太平洋戦争にゼロ戦パイロットとして多くの敵国の人たちの命を奪った経験のある原田さんのお話からあらためて戦争の悲惨さを感じ取れました。

個人個人のレベルで言えば、戦争には勝者も敗者もないのです。

勝者と言えども多くの命を失ったり、多くの負傷者を生んだり、そればかりでなく終戦後も戦争で敵兵を殺した人ほど罪の意識に苛まされる、あるいは戦死した兵の家族が大変な思いで暮らしていかなければならないというのが現実なのです。

 

そういう意味で、「今日本を取り巻く世界は和やかな空気のように見えるが、これは本当の平和の空気とは若干違うように思える」と原田さんが生前に感じていたことを私たちは重く受け止めて、再び日本が戦争に巻き込まれないようにしなければならないのです。

本格的な戦争に参加するようなことがあれば、今や先の大戦に比べて技術的に進化している兵器が使用されるのですからどれだけの被害が出るか分かったものではないのです。


 
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2017年02月13日
アイデアよもやま話 No.3625 地球温暖化を”でっち上げ”と無視するトランプ大統領への対応策!

今や連日のようにアメリカのトランプ大統領の発言に世界中が右往左往しているような状況です。

そうした中、1月19日(木)放送の「クローズアップ現代+」(NHK総合テレビ)で連日のツイッターによるトランプ大統領の“過激発言”の真意について取り上げていました。

今回は、その中から地球温暖化問題に焦点を当ててご紹介します。

 

トランプ大統領は大統領選前の2016年7月30日付けのツイッターで「エネルギー政策を転換して大規模な雇用を生み出す」と発信していました。

こうした発言に対して今、アメリカのエネルギー産業は雇用拡大への期待が高まっています。

 

原油や天然ガスの採掘が盛んなニューメキシコ州のあるエネルギー関連企業では、環境保護を重視したオバマ政権が採掘に規制を課したこともあり、井戸の数を3割減らしました。

この会社の役員であるジョージ・シャープさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「規制が厳しくなっていて大変です。」

 

しかし、トランプ大統領がその規制を緩和しようとしていることを受けて、新たな井戸の採掘に乗り出そうとしています。

シャープさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「エネルギー産業に理解があるトランプ新大統領に期待しています。」

「もっと原油や天然ガスを採掘する井戸を増やし、ビジネスを拡大出来ると思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

次に、ネット検索した関連情報を以下にご紹介します。

トランプ大統領は大統領選期間中の別なツイッターでは地球温暖化を「でっち上げ(hoax)」と斬り捨てていました。

そして、既に締結済みのパリ協定に対しては離脱の意向を示しています。

しかし、トランプ大統領の任期に当たる4年間はパリ協定から離脱出来ません。

パリ協定はひとたび発効すると、3年間、締結国は脱退を国連に通告出来ず、通告後も1年脱退できない規定だからです。

 

いずれにしても、オバマ政権が進めた、石炭火力を狙い撃ちする既存火力発電所のCO2排出規制「クリーンパワープラン」とは真っ向から対立します。

そうなれば、CO2の削減も危うくなり、オバマ政権が国際公約した2025年に温室効果ガス排出量を2005年比で26〜28%削減する目標は棚上げになると見込まれます。

 

以上、ネット検索した関連情報をご紹介してきました。

 

トランプ政権はオバマ政権時代の理念ベースの政策から実益重視の政策へと大きく舵を切ったと言えます。

トランプ大統領は、反グローバル化、保護主義を掲げて世界経済を縮小に向かわせるだけでなく、地球温暖化問題においても「でっち上げ」と切り捨ててCO2排出量の削減よりもエネルギー産業における雇用拡大を優先させようとしているのです。

 

このようなトランプ政権による政策転換は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を中心とした多くの専門家によるこれまでの取り組みやパリ協定の成果など、これまでの国際的な地球温暖化問題への取り組みに反するような政策を政権誕生とともに公約通り早速打ち出しました。

 

ここで問題と感じるのは、トランプさんはアメリカの有権者のほぼ半数の支持により大統領選に勝利したということです。

要するに、多くのアメリカ国民は地球温暖化問題への取り組みよりも経済優先、雇用優先を望んでいるということです。

ですから、トランプ大統領はこうしたアメリカ国民の声にうまく応える政策を選挙公約に掲げて当選したのです。

別な言い方をすれば、1月30日から5回にわたってお伝えしたようにそれほどアメリカは国民の不満が爆発するほど格差社会化が進んでいるということです。

 

そして、気になるのはこうしたトランプ政権によるオバマ政権からの政策転換の流れがヨーロッパ諸国にも伝搬しつつあるという状況です。

 

では、こうした状況を正常な方向に軌道修正するためにはどんな対応策が必要でしょうか。

以下に私の考える地球温暖化を”でっち上げ”と無視するトランプ大統領への対応策をまとめてみました。

・地球温暖化問題におけるアメリカ国内の専門家は、これまで以上に啓もう活動を積極的に進めること

・地球温暖化問題に関心のあるアメリカの国民や企業などが一致団結してトランプ政権の政策への反対を表明し、それぞれの立場でこれまで以上に取り組むこと

・世界各国は、地球温暖化をもたらしているCO2排出量の削減をこれまで以上に加速させるために、化石燃料よりも低価格の再生可能エネルギーの開発に真剣に取り組み、早急に“脱化石燃料”へのシフトを測ること

 

煎じ詰めれば、経済合理性に敏感なトランプ大統領に経済合理性を前面に出して有無を言わさずに本来の方向へと転換させる戦略です。

ですから、今世界的に漂っている危機感を逆手に取って世界中の潜在的なパワーを集中的に投入して低価格の再生可能エネルギーの実用化こそ今最も必要なのです。

現状のように、CO2排出量で中国に次いで世界第二位のアメリカがCO2排出量削減に取り組まなければ地球温暖化の解決は出来ないのです。


 
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2017年02月12日
No.3624 ちょっと一休み その581 『“超睡眠不足時代”の「快眠の極意」』

不眠症やストレスなどで夜なかなか寝付けない方々もいらっしゃると思います。

そうした中、1月4日(水)放送の「あさイチ」(NHK総合テレビ)で睡眠をテーマに取り上げていました。

そこで、今回はその中から「快眠の極意」を中心にご紹介します。

 

まず、耳慣れない言葉「睡眠負債」についてご紹介します。

睡眠不足が重なり、身体が悲鳴を上げている状態を「睡眠負債」といいます。

「睡眠負債」は特に女性がため込みやすいといいます。

産婦人科医の廣瀬 一裕さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「女性は知らず知らずのうちに睡眠不足に悩むと。」

「ホルモンの周期的な大きな変動と、それに伴う精神的なプレッシャーということもありまして、睡眠がだんだん悪くなるのが続くというのを認識して欲しい。」

 

2016年11月の調査でも、「睡眠時間6時間以下」の人が過去最多の4割もいることが判明、今はまさに“超睡眠不足時代”なのです。

 

そこで番組では、日本睡眠改善協議会・理事長で睡眠研究の第一人者、白川 修一郎さんによる監修のもとに、「快眠の極意」として以下の10箇条を挙げていました。

・午前中に日の光を浴びよ

・食事の時間を一定にせよ

・運動は夕方に 散歩もよし

・カフェインは寝る3時間前まで

・酒は寝る3時間前まで

・寝る2時間前より強い光を避けよ

・風呂は寝る30分前に

・寝室は18〜26℃に保つべし

・布団でのスマホ・ゲームはご法度

・寝なきゃとあせるべからず

 

これらの項目のほとんどは快眠のための常識として既に定着していると思いますが、「運動は夕方に 散歩もよし」という項目は意外でした。

白川さんは、この項目について次のように解説されております。

「夜、睡眠中に体温が下がらないと良い睡眠は取れないですよね。」

「それで体温のメリハリは夕方一番高いんです。」

「だから夕方運動すると強調するので、メリハリがはっきりして夜の体温が下がり易いんです。」

「朝の運動もいいんですけど、激しい運動は危険なんですよね。」

「実は突然死のピークは朝方です。」

「血圧が急激に上がる。」

「血圧の高い人とか、それから心臓に何らかの障害のある人は止めた方がいいですね。」

「それから身体を少し温めてから運動した方がいいんです。」

 

ちなみに、厚生労働省による指針では、6時間以上8時間未満の睡眠を勧めているといいます。

また、寝だめは出来ないといいます。

長く寝るのは睡眠不足の解消であって、長く寝過ぎると夜が寝れないので悪循環になってしまうのです。

ですから、昼寝も長すぎると夜中の快眠にとっては良くないということになります。


 
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2017年02月11日
プロジェクト管理と日常生活 No.475 『急拡大するIoTを標的にしたサイバー攻撃!』

あらゆるモノがインターネットにつながるIoTについてこれまで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、昨年11月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で急拡大するIoTを標的にしたサイバー攻撃について取り上げていたのでご紹介します。

 

今、IoTが急拡大しており、テレビや冷蔵庫など家電だけではなく、自動車や医療機器の分野にも広がりつつあります。

こうして便利になっていく一方で、今IoTを標的にしたサイバー攻撃が急増しています。

パソコンの周辺機器を販売する老舗企業、株式会社アイ・オー・データ機器(石川県金沢市)では、ある日緊急会議が開かれました。

2013年に発売したWi−Fiストレージ「ポケドラ」は、Wi−Fiを使い、カメラやスマホにあるデータを近くの友人などと交換出来るほか、インターネットのルーターとしても使えます。

この「ポケドラ」にセキュリティの脆弱性が見つかり、ハッカーに中のデータを抜き取られる可能性があることが分かったのです。

この事態を受け、合計で1000台近くの商品の回収を決めました。

アイ・オー・データ機器ではその後、ユーザーに対して脆弱性をなくす対策ファームウェア(修正プログラム)を配布しました。

 

世界中のIoT機器の数は増大の一途で、総務省は2020年には今の2倍になると試算しています。

昨年11月18日、都内のホテルでセキュリティ対策ソフト大手のトレンドマイクロの主催によるセミナーが開催されました。

トレンドマイクロのエバ・チェン社長は、このセミナーで次のようにおっしゃっています。

「IoTのセキュリティは今考えなければいけない喫緊の課題です。」

「赤ちゃんを見守るカメラもハッキングされました。」

 

また、ネットに接続したテレビがハッカーに侵入され、金銭を脅し取られる例もあるといいます。

会場では、あるデモンストレーションが行われました。

それはネットにつながった自動車へのハッキングです。

実際に売られているカーナビにハッカーが侵入、するとライトやクラクションを操り始めます。

チェン社長は、次のように解説します。

「見ましたか。」

「誰も触っていないのに勝手に動きましたよね。」

「ハッカーはカーナビに侵入することであなたの車をコントロール出来ます。」

 

自動運転の開発が進む中、その車がハッカーに乗っ取られると人命に係わる惨事も起こり得ます。

トレンドマイクロの高橋 昌也さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「そもそも(自動車や家電は)インターネットに接続されないことが前提でセキュリティが設計されていますので、インターネットに接続されることになった瞬間にセキュリティの設計の隙を突いて攻撃されてしまうリスクがあります。」

 

IoTへの攻撃はどれほどあるのでしょうか。

世界中で蔓延するIoTへのサーバー攻撃の実態を把握するため横浜国立大学(神奈川県保土谷市)の吉岡 克成准教授は、その観測を試みています。

吉岡さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「サイバー攻撃の観測のために仕掛けている“おとりシステム”をあえて攻撃にさらし、量や中身を観測し、攻撃一つ一つの日時や相手のIPアドレスが分かります。」

「今は(IoT機器への)サイバー攻撃が非常に増えていまして、絶え間なく攻撃の通信が届く状況です。」

「不正に機器にログインしてウイルスを送り込んでくる・・・」

「IoT機器は数も多いですし、またセキュリティも弱いものも非常に多いので非常に狙いやすい、簡単に操れる。」

「(ハッカーは)そちらを集中的に狙う状況になっていると思います。」

 

こうした攻撃は2015年に比べて2016年は約10倍に増えています。

そして今急拡大しているのは“MIRAI”というウィルスです。

攻撃を見るとほとんどが“MIRAI”です。

この“MIRAI”の製作者が昨年8月に設計図をネット上に公開したため、爆発的に広がっています。

感染するとハッカーが勝手に機器を操作、ハッカーの指示で無数のIoT機器が特定のウェブサイトに一斉にアクセスし、ダウンさせます。

これがサービス妨害攻撃(DDoS)です。

昨年10月にはIoTを使った史上最大のDDoS攻撃が発生、アマゾンやツイッターなどがサービス停止に陥りました。

 

遅れるIoT機器のセキュリティ対策ですが、解決に動き出した企業もあります。

パナソニックは今IoT製品の開発に力を入れています。

しかし、IoT機器の処理能力はパソコンより処理能力が低く、従来型のセキュリティソフトが搭載出来ないことが課題でした。

そこで、パナソニックはセキュリティソフトの設計を見直し、処理能力が低いIoT機器でも使えるものを開発し、昨年(2016年)からその新型セキュリティソフトを自社製品に搭載し、更に今年は他社メーカーにも販売するといいます。

パナソニックのIoTサイバーセキュリティ事業推進室の松尾 正克室長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「セキュリティは点ではなく面で抑えないといけないというのがありますので、一つでも弱いところがあるとそこを攻撃者は突いてきますのでそれを面でどう抑えるか計画的にやらないといけない。」

「そこ(IoT機器)が今非常に弱いのでそこを止めないとシステム全体が崩壊するということですね。」

 

知らぬ間に急拡大していたIoTを狙ったサイバー攻撃、その対抗策がようやく動き始めました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

例えばナイフは果物などの皮をむく際には便利ですが、人に危害を加える凶器にもなります。

あるいは、自動車は移動手段としてとても便利ですが、衝突事故のリスクを伴います。

このようにどんなに便利なものにはリスクは付き物です。

 

同様に、IoTにも日々の暮らしの中で家電や自動車などに利便性を持たします。

しかしその一方で、サイバー攻撃により自分の知らないうちに個人情報を奪われたり、DDoSに加担してしまったり、あるいは走行中の自動車の操作機能を奪われてしまったりというリスクを伴います。

特に自動車のサイバー攻撃は人命に係わるような大事故につながりかねません。

ですから、メーカーには多少価格が高くなってもIoT機器にはセキュリティ対策を標準装備して提供していただきたいと思います。


 
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2017年02月10日
アイデアよもやま話 No.3623 EVに求められる寿命になったバッテリーの下取り交換!

エネルギー効率、あるいは地球環境への影響の観点からするとEV(電気自動車)はガソリン車より優れているというのが一般的見解です。

しかし、製造から廃車までのライフサイクルでみると、ちょっと疑問が湧いてきます。

というのは、ガソリン車にエンジンの寿命があるように、EVのバッテリーにも寿命がありますが、現行のEVの場合せいぜい8年くらいで寿命を迎えてしまうのです。

ですから、現行のガソリン車では15年くらいは乗り続けることが出来ますが、EVではその半分ほどしか乗り続けることが出来ないのです。

例えば日産「リーフ」の場合、いくらパーツのリサイクル率が100%近くといっても、走行寿命はガソリン車のほぼ半分であることからライフサイクルを通したエネルギー効率の優位性はそれほど期待出来ないのです。

 

次にこのような状況におけるEVの当面の対応策を以下にまとめてみました。

一言で言えば寿命になったEVのバッテリーの下取り・交換です。

現在は、どのEVメーカーもこうしたサービスを表立っては提供していないようですが、最新のテクノロジーを駆使したバッテリーへの交換を想定した設計方針を取り入れれば出来るのです。

言ってみれば、古い機種のパソコンのウィンドウズのバージョンアップ対応と同様の対応をEVに導入するということです。

勿論、何世代ものフルモデルチェンジにわたってのこうした対応を望むわけではありません。

せめて、次のバッテリーのフルモデルチェンジの時には前のモデルのバッテリーからの下取り交換が出来るようにしていただければと各EVメーカーにお願いしたいと思います。


 
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2017年02月09日
アイデアよもやま話 No.3622 中国独自のEV戦略!

1月21日(土)放送の「経済フロントライン」(NHKBS1テレビ)で中国のEV(電気自動車)事情について取り上げていたのでご紹介します。

 

今、中国でEVの販売が急増しています。

世界最大の自動車市場、中国の昨年の新車販売台数はおよそ2800万台で日本の5倍以上に上ります。

北京など大都市で深刻化する大気汚染、その対策の一環として中国政府が打ち出したのが排ガスが出ないEVの普及です。

 

中国の大手自動車メーカーのある販売店で展示されている自動車は全てEVです。

連日大勢のお客が訪れ、この店だけで1ヵ月に100台以上売れています。

背景にあるのは、政府の思い切った政策です。

1台につき、最大70万円あまりの国からの補助金が出ます。

更に、他の補助金も合わせると北京の場合、400万円のEVがおよそ200万円で購入出来るのです。

 

去年11月にこのお店でEVを購入したある男性は、補助金で購入価格が手ごろになったことに加え、ガソリン車より便利なことがあるといいます。

大気汚染の警報が出ると、ガソリン車の使用は一部規制され、市内中心部に自由に乗り入れることが出来なくなります。

通勤と子どもの送迎に自動車が欠かせないため、EVを買うことにしたのです。

この男性のような子育て世代にEVは人気があるといいます。

この男性は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(EVは)使用制限もなく、便利で維持費も安く済みます。」

 

昨年11月に中国の広州で開催されたモーターショーでは中国の自動車メーカーが開発したEVが数多く並びました。

 

中国政府には更に将来を見据えた戦略があります。

国内メーカーの育成を図り、技術で先行する日本や欧米のメーカーに追い付き、追い越そうというのです。

 

こうしたEVシフトで中国独自のモデルが全土に広がる可能性も生まれています。

中国のバッテリー・メーカー、SKIO ENERGYではEVのバッテリーをわずか2分で交換するシステムを開発しました。

バッテリーは専用のシステムで一斉に充電し、充電したいEVがやって来ると、使い切ったバッテリーと入れ替えるだけです。

普通に充電すると長い時間がかかるというEVの欠点を解消するビジネスです。

この会社のCEO、陳 峰さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「3年かけて中国全土で10万台以上のEVにこのシステムを広めたい。」

 

こうした状況に厳しい対応を迫られているのが日本の自動車メーカーです。

トヨタ自動車はEVよりも航続距離が長いハイブリッド車の販売に力を入れてきました。

しかし、ハイブリッド車は新たな制度では優遇の対象から外れる可能性が強くなっているのです。

こうした中、昨年11月に中国でのEVの販売を検討すると発表しました。

一方、ホンダは昨年12月に湖北省でEVも生産出来る工場の建設を始めました。

 

こうした状況について、三井住友銀行中国のコーポレートビジネス推進部長、曽根 淳史さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「全て中国の主導権というか中国の流れによって事が決まってくると。」

「ここでどういうかたちで5年、10年後のEVに向けて、日本企業として対応していくかが勝ち組に残る一つの大きな条件だと考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どうも中国では大気汚染対策の一つとしてEVの普及に国を挙げて取り組んでいるようです。

ですから、当面日本より速いスピードでのEVの普及が進むと見込まれます。

 

また、気になるのはSKIO ENERGYで進められているバッテリー交換システムです。

このシステムが万一中国国内でデファクトスタンダードになるようなことがあれば、日本や欧米の自動車メーカーは中国国内でのEVの販売に際し、対応を迫られることになります。

ちなみに、アイデアよもやま話 No.1202 電気自動車普及の鍵 - スタンドでバッテリー交換!などでベンチャー企業、ベタープレイスによるバッテリー交換システムについてお伝えしたことがあります。

しかし、プロジェクト管理と日常生活 No.302 『ベタープレイスの破産にみる”依存関係”の考慮不足!』でもお伝えした通り、バッテリーの形状の標準化などがネックとなって普及半ばでベタープレイスは倒産してしまいました。

 

しかし、中国の事情は異なります。

共産党による一党独裁の中国では、こうした標準化は習近平主席の一声で決定されます。

また、一旦このようなバッテリー交換システムが中国国内の各地に設置されれば、確かに充電インフラとしては便利になりますから、このシステムに慣れたEVユーザーはこのシステムに対応していない海外自動車メーカーのEV購入には抵抗を感じるようになってしまいます。

しかし一方で、世界的にバッテリー交換システムの標準化を進めることは各メーカーの思惑もありかなり難しそうです。

ですから、こうした中国製のEVを輸出する際には逆のハードルになってしまいます。

ということで、中国政府がバッテリー交換システムに対してどのような判断を下すのかには注視する必要がありそうです。

 

いずれにしてもまだまだ当分の間、世界的なEVの普及に向けては航続距離を伸ばすためのバッテリー容量の増加、バッテリーの充電時間の短縮、およびEV本体の低価格化が大きな課題です。


 
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2017年02月08日
アイデアよもやま話 No.3621 侮れない株式投資のロボアドバイザー!

昨年11月29日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で株式投資のロボアドバイザーについて取り上げていたのでご紹介します。

 

簡単な質問に答えるだけで自分に最適な資産運用を提案してくれるロボアドバイザーと呼ばれるサービスが広がっています。

2016年にイギリスのEU離脱やアメリカの大統領選挙など、相場が急激に変動する出来事がいくつかありました。

そうした中、株式会社お金のデザイン(東京都港区)では、質問に答えるだけでコンピューターが最適な資産運用を提案してくれるロボアドバイザーと呼ばれるサービス「THEO(テオ)」を2016年2月に始めました。

現在(番組放送時)、お金を預けている利用者は1万1000人を超えています。

北澤 直COOは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(利用者のうち)20代から30代がほぼ6割を占めています。」

「若い世代に支持されているサービスだと言えます。」

 

イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙でのトランプ候補の当選など、予想外の出来事が市場を大きく揺らした2016年、「THEO(テオ)」に運用を任せた場合の成績について、北澤COOは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やはり一瞬株と現物資産(の価格が)ガンと下がるんですね。」

「ただこのタイミングで債権(の価格)は逆に上がるんですね。」

「1週間もたたないうちに株も戻っているんですね。」

 

「THEO(テオ)」は値動きや過去のデータに基づいて割安と判断した資産を買い増します。

そのため市場が混乱して一時的に資産を減らしても短期間で元の水準に回復出来たといいます。

投資を判断するプログラムは、金融とデータ分析のプロが常に更新し、改善を続けています。

株価上昇の恩恵も受け、足元の利回りは年率換算で10%を超えました。

ただ、利用者には短期の利益を狙うよりも地道な長期投資を勧めていく考えです。

北澤COOは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「市場平均よりも少し上のリターン、年率に直すとだいたい3%〜5%ぐらいを毎年稼いていくと。」

「地道に着実にユーザーの資産が積み上がっていくと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今や資産運用の世界においてもAI(人工知能)の活用は広がっています。

しかし、ご紹介した「THEO(テオ)」においても投資を判断するプログラムは、金融とデータ分析のプロが常に更新し、改善を続けているというように、AIに100%お任せではないのです。

やはりAI時代を迎えても、プロのスキルや経験との組み合わせによってより効率的かつ安全な資産運用が期待出来るのです。

これまで繰り返し、アイデアは既存の要素の組み合わせであるとお伝えしてきましたが、人とAIとの組み合わせによりこれまでにないよう効果が期待出来るのです。

 

それにしても、年率で3%〜5%ぐらいのリターンが期待出来るのであれば、低金利時代の資産運用として検討に値すると思います。


 
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2017年02月07日
アイデアよもやま話 No.3620 最新のアルバイト採用事情 その2 面接では分からない適性が分かる最新の診断テスト!

昨年11月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で最新のアルバイト採用事情について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、面接では分からない適性が分かる最新の診断テストについてです。

 

前回、いつでもどこでも素早く出来るスマホによる面接サービスについてお伝えしましたが、一方でもう一つの課題になっているのがアルバイト店員の“離職問題”です。

仕事内容への不満や職場との相性などが原因で企業側の大きな負担となっています。

 

この問題をある最新技術を導入することで解消を目指す会社が京都市にあります。

市内に7店舗構える自転車販売店、「きゅうべえ」では5万円以上するスポーツ自転車を主力商品としています。

二条店の松本 健一店長は、アルバイト店員の採用面接では応募者のある能力に注目しています。

松本店長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「昨今インターネットで情報を皆さん簡単にお調べになりますので、(自転車の)幅広い知識がないといけませんし、・・・」

 

しかし、1時間程度の面接でそうした能力を見極めるのは難しいといいます。

また、採用したアルバイト店員も販売の厳しさに直面し、すぐに辞めてしまうことがあったといいます。

昨年4月に採用された男性アルバイト店員は、ロードバイクで旅をするのが趣味で日本縦断をしたり、四国を一周した経験があります。

その知識や経験を生かしてお客に商品の説明をします。

そして、多い時には1日に高額の自転車を4台も売り上げるといいます。

松本店長が期待を寄せるこの男性アルバイト店員ですが、面接の時にはここまで成長するとは想像出来なかったといいます。

この店員は面接の時に非常に緊張していて、スムーズに会話をするのが難しい状態だったので、松本店長は採用に少し不安を感じたのです。

 

そこで力を発揮したのが、企業と求職者の相性を分析するシステム「mitsukari(ミツカリ)」です。

この分析結果で、以下のことが分かったのです。

・採用された男性アルバイト店員は、松本店長よりも外交的であること

・この店員と松本店長とのマッチング(相性)が評価されたこと

 

面接だけでは分からなかった個人の能力をシステムで分析し、採用に生かす、これが現在の男性アルバイト店員の活躍につながっているのです。

 

この「mitsukari」を運営するのが株式会社ミライセルフ(2015年に創立)です。

人事採用でうまくいかなかった経験からこのサービスを開発したといいます。

表 孝憲社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「面接で“すごくいい”と思った人が「合わない」という理由でいっぱい辞めて・・・」

「(どのように企業と求職者をマッチングさせているのかについて、)産業心理学に基づいて、人の特徴や価値観を良い悪いじゃなくてどっち側のタイプなんですかみたいなことを聞く・・・」

 

求職者は人との係わり方やリスクの捉え方などおそよ70問の質問に答えます。

このテストは採用側の社員も同じように行います。

そうすることで、企業はマッチングレベルを“A+”から“C−”で見ることが出来るのです。

表社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「合わない可能性があるポイントを先に潰しておくことで。」

「合わない会社に入るのはすごく不幸じゃないですか。」

 

面接の前に採用する会社と合わなそうな部分を先に把握出来ることが大きなポイントだといいます。

表社長はAI(人工知能)を使い更なるサービスの拡大を狙っており、次のようにおっしゃっています。

「働いた後にどれくらいのパフォーマンスでしたかとか、誰と(の相性が)合っていましたかという情報がどんどん出てくる。」

「それがどんどん蓄積されていくと、“こう答えた人はこの部に配属出来る”とかいうことを機械(AI)が教えてくれる。」

 

こうした動きについて、番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「HRテックという言葉があります。」

「人材マネジメントをAIなどのテクノロジーを使って最適化する、あるいは自動化する。」

「例えば採用の一次選考でグーグルが自社開発したAIを使っていたり、人事やポテンシャル評価をするAIを活用したサービスがあったり、それから組織の活性度を診断するような、これはビッグデータとAIを使ったサービスがあったり、いろんなものが既に市場に出ています。」

「AIに人事評価や職場替えを決められるのと人に決められるのとどっちがいいかという問いに対する答えは、組織の中での信頼感や組織の健全度の一つのリトマス試験紙じゃないのかなと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かに面接だけでは、面接担当者の主観や好みなどにより、どうしても採用基準多少のバラつきが出てしまいますが、今回ご紹介したような診断テストであれば、産業心理学に基づいていろいろな観点から客観的に求職者を採用すべきかどうかの判断材料を提供してくれます。

ですから、採用の最終決定は人が行うにしても、こうした診断テストの結果は大いに参考になるはずです。

 

また、特に大企業の場合、梅澤さんもおっしゃっているように既にこうした診断テストを導入されているところが多いと思います。

しまし、求職者と自社の組織風土との相性、あるいは人事異動やプロジェクト編成時のメンバー構成などを検討する際に、こうしたツールをうまく活用することにより組織力の向上につながると思います。

 

人は機械やロボットと違い感情の生き物ですから、組織風土や他の従業員との相性次第で大なり小なり労働生産性を左右されることを忘れてはならないのです。


 
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2017年02月06日
アイデアよもやま話 No.3619 最新のアルバイト採用事情 その1 いつでもどこでもスマホで面接!

昨年11月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で最新のアルバイト採用事情について取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、スマホによる面接についてです。

 

アルバイトやパートの人手不足が深刻化し、今採用競争が激しさを増しており、賃上げや柔軟なシフト調整などで企業は人材の獲得に力を入れています。

そうした中、採用を支援する新サービスが相次いで登場しています。

 

求人サイトを運営するビズリーチ(東京都渋谷区)ではアルバイト人材獲得の新たなサービスを始めました。

それは、どこにいてもすぐに動画で面接出来るサービスで、応募から面接まで企業はアルバイトの採用をスマホだけで完結出来るのが特徴です。

例えば、カフェで働きたいと思っている人が専用アプリを開き、カフェと入力、するとその人のいる地域にあるカフェが複数表示されます。

気になるカフェを選ぶとその店の募集要項が表示されます。

そして「応募」を押すと企業側にメッセージが届き、チャットでやり取りすること1分、「ビデオ面接」を押すと、面接を始めることが出来るのです。

“いつでもどこでも”がこのサービスの特徴です。

 

実はアルバイトの応募をする際、複数の企業を同時に掛け持ちする人が40%以上いることから人材獲得のためにはスピードが重要なのです。

ビスリーチの竹内 真取締役は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「他社様が実際にお会いするまで長い時間がかかっているところを当日中に面談するスピード感にすることでもっと採用力をその会社様に与えられるのではないかなと。」

 

リラクゼーションスペースを運営するリラクの教育・採用グループの緑川 圭祐マネージャーは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「年末などの忙しいシーズンになると沢山の人手を求めている部分もありまして、少しでも早く面接をし、少しでも早くお店で活躍してもらいたい。」

 

こちらでは、採用から現場に出るまで最短でも2週間はかかります。

そこで人事担当者は早速ビズリーチの担当者を呼び、動画面接機能の説明を受けました。

 

ビスリーチの棚橋 寛文さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「求職者の方にこの間アンケートを取ったんですけども、その中でも実に4割の求職者の方が「応募したその当日に連絡が欲しい」と言ってるんですね。」

「いかに素早く次のアクションを取るといったところがすごく重要になってくると思っていて・・・」

 

応募から面接まで時間をかけてしまうとキャンセルされるケースも少なくなかったというリラクではビズリーチの新サービスによる早期のアルバイト獲得に期待を寄せます。

先ほどの緑川さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「セラピストというお仕事についてはまだまだお知りになられている方が少ないというのが現状かと思っております。」

「やはりよく分からないお仕事について面接に行くという始めの一歩が僕たち(リラク)にとってすごく果てしなく遠い一歩になってしまうんですよ。」

「何よりも早く面接が出来ること、また私たちの魅力もお伝えしたいという気持ちも沢山ありますので、そういったことをいち早く伝えられるのは(このサービスの)最大のメリットだと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したビズリーチによる新しい面接システムはまさにスマホというテクノロジーの詰め込まれたツールを活用した、採用側にとっても応募側にとっても利用し易いとても便利なサービスだと思います。

また、こうしたサービスであれば、広告費などもかからないので小さな企業でも活用出来ると思います。


 
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2017年02月05日
No.3618 ちょっと一休み その580 『藤村俊二さんの心に残る言葉!』

ご存知のように俳優、声優、タレント、振付師としてご活躍された藤村 俊二さんが1月25日に亡くなられました。(享年82歳)

そして、いろいろとマスコミで取り上げられておりましたが、そうした中、2月2日(木)放送の「とくダネ!」(フジテレビ)をたまたま見ていて藤村俊二さんの心に残る言葉に出会いましたのでご紹介します。

 

藤村さんは生前のインタビューで次の言葉を残されています。

「「元気」というのと「勇気」というのと「陽気」というのは、その3つがあれば何でも出来ると思うんですよ。」

「でもそれでも出来ないことはいっぱいあるしね。」

「そういう時には「時」という「気」がもう一つあるから、そんなに慌てない。」

「その方が自分が楽だから。」

 

「元気」でなければ何事においても思い切り取り組めません。

そして、「勇気」があればこそ新しいことに挑戦出来るのです。

また、「陽気」であればこそ、どんな状況においても自分自身を鼓舞することが出来るだけでなく、周りの人たちにも明るい雰囲気をもたらし、「元気」を振りまくことが出来るのです。

 

さて、ここまでは自分自身でコンロトールすることが出来ますが、チャンスに恵まれなければ事を成すことは出来ません。

チャンスに備えることは出来ますが、チャンスを自ら呼び込むことには限界があるのです。

ですから藤村さんのおっしゃるように、慌てずにひたすらチャンス到来に備えてひたすら「その時」を待つ我慢強さが必要なのです。

ここまで書いてきて、中国の古くからの諺「人事を尽くして天命を待つ」が思い浮かんできました。


 
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2017年02月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.474 『世界が理性よりも感情により左右される危うさ!』

1月30日から5回にわたって「格差社会アメリカの実態」をテーマにお伝えし、その中でもトランプ大統領の反グローバル化、保護主義政策がこれまで営々と築いてきた外交、あるいは自由貿易の歴史の針を大きく揺り戻そうとしています。

 

歴史的にみて、自由貿易が世界各国の経済を成長させ、人々の暮らしを豊かにしてきたことは明らかです。

お互いの国が自国にない商品を他国から輸入し、あるいは自国よりも安い部品を輸入して商品の低コスト化を図り、より安い商品として消費者に提供することが出来ます。

ところが、残念ながらトランプ大統領は“アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用する”政策を唱え、強硬に推し進めようとしています。

ですから、中長期的にみれば、アメリカ国民はこの政策によりこれまでよりも高い価格の商品を購入することになるのです。

しかも、こうしたアメリカの政策への対抗上、他の国もアメリカに対して同様の措置を打ち出すようになります。

まさに貿易戦争です。

その結果は明らかです。

こうした状態になってから、多くのアメリカ国民がその政策の誤りに気付いても後の祭りです。

こうした簡単な論理をトランプ大統領が理解していないはずはありません。

ですから、トランプ大統領はポピュリズム(大衆迎合主義)をベースに、短期的な人気取り政策の連続で政権運営をしていると思われます。

しかし一方で、トランプ政権の支持率は誕生時でさえ50%を割っています。

ですから、ポピュリズムをベースにしたはずの政権ですが、トランプ政権は発足当初から半数以上の国民の支持を得られていないのです。

ところがこのトランプ政権の誕生はヨーロッパ各国にも影響を与え、トランプ政権と同様の政策を唱える政治団体が台頭しつつあります。

 

一方、一連の報道によると、最近、韓国・釜山の日本総領事館前に新たな慰安婦像が設置され、大きな波紋を呼んでいます。

日韓両政府は一昨年末の合意で慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認した」との認識で一致しました。

そして日本側はこの合意に基づき昨年、元慰安婦支援などに10億円を拠出するといった合意内容を着実に履行しました。

ところが、日韓両政府によるこの合意から1年となった昨年12月28日、地元の市民団体によって釜山の大通り沿いの歩道に少女像が設置されました。

しかし地元の釜山市東区が設置を許可せず、いったんは撤去されました。

ところが区には抗議の電話やメールが殺到し、区側はこれに屈し、わずか2日後に設置を許可し、30日午後、像は再び設置されました。

そして、翌31日、大みそかの夜には、日本総領事館の前で像の除幕式が派手に行われました。

 

韓国政府はソウルの日本大使館前の少女像は「地方自治体の責任」などと主張し、撤去に動かなかったどころか、釜山の日本総領事館前に2つ目の慰安婦像が設置されたことを容認したのでした。

こうした韓国側の一連の行為や対応は、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約を無視する立派な国際法違反に当たります。

ですから、当然ながら日本政府は駐韓大使を一時帰国させるといった対抗措置に出たのです。

要するに、韓国政府は一部の市民団体による強硬な少女像設置の声に負けて設置を阻止することが出来なかったのです。

韓国政府は今回の件で世界各国からの信頼を失ったはずです。

 

では、客観的に見ておかしい今回ご紹介したトランプ政権の保護主義政策、および韓国による日韓両政府の一昨年末の合意を無視した少女像設置の背景には何があるのでしょうか。

それは、一言で言えば、世界が理性よりも感情に大きく左右されるような状況を迎えつつあるということで、まさに時代の逆行です。

今回ご紹介した内容は、それを象徴していると思います。

こうした状況は世界的な社会不安、更には国家間の紛争のリスクを高めます。

リスクにもいろいろありますが、こうしたリスクは極めて世界的な影響が大きく、放置しておくことは出来ません。

社会不安が非常に高まり、国民の不満が爆発しそうになると、その不安を最大限に生かして国外に敵を見つけて国民の目をそちらに向けさせるというのは政治家の常とう手段だからです。

しかも、一旦こうした流れが出来てしまうと、今度は逆に国民感情による大きな力が働き、政治家やマスコミも国もこうした流れに逆らえなくなったしまうということをこれまでの歴史が示しています。

 

そこで、こうしたリスクの対応策を以下に挙げてみました。

・国民は常に感情に流されずに、データなどによる事実に基づいて様々な情報に対する妥当性を判断すること

・マスコミはポピュリズムに流されて国民の声に迎合することなく、常に事実に基づいた報道をするという社旗的使命を果たすこと

・国の指導者もマスコミ同様にポピュリズムに流されることなく、また短期的ではなく中長期的視点に立ち、かつ国際的な視点から政権運営を遂行すること

 

いずれにしても、国民、マスコミ、および政治家が常に感情に押し流されずに理性を保つことが社会の安定、あるいは世界平和の根底にあるということを忘れてはならないと思うのです。

中でも特に各国の国民の意識が重要です。

なぜならば、ポピュリズムという言葉があるように、マスコミにとっても政治家にとっても国民はお客様であり、国民の声に応えようとする習性があるからです。

そういう意味では、トランプ政権の誕生は多くのアメリカ国民の声を反映した結果であり、民主主義、あるいは自由主義のリーダーと目されてきた大国から保護主義を唱える政権が誕生したことにはチョッピリ残念で悲しい気持ちになってしまいます。


 
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2017年02月03日
アイデアよもやま話 No.3617 格差社会アメリカの実態 その5 世界一影響力のある国、アメリカ、そして日本の進むべき道とは!

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

5回目は、世界一影響力のある国、アメリカ、そして日本の進むべき道についてです。

 

これまで格差社会アメリカの実態について以下のように4回にわたりご紹介してきました。

1回目 もはや“アメリカはチャンスの国”ではない!

2回目 アメリカは格差社会先進国!

3回目 今やアメリカの政治は富裕層にコントロールされている!

4回目 富裕層への富の集中による弊害!

 

こうした流れの中で今回のトランプ政権の誕生を見てみると、以下のような背景が浮き彫りになって来ます。

・アメリカ国民の半数近くが格差社会に対する強烈な不満を抱いている

・今回の大統領選では、二人の候補のどちらに対しても総体的にみて積極的な支持が得られていなかった

・その結果、トランプ候補は問題発言が多く、人格的にも大国アメリカの大統領として問題視されていたにもかかわらず、ポピュリズム(大衆迎合主義)を選挙戦でうまく利用したトランプ候補が接戦の末に勝利を手にした

 

私なりの解釈では、今回のトランプ大統領誕生は、アメリカの格差社会における持たざる人たちによる大統領選を通した“静かなる革命”(Silent Revolution)だと思います。

別な言い方をすれば、これまで富裕層によりコントロールされてきたアメリカの政治が持たざる人たちの意向を汲んだトランプ政権へと移行したのです。

ですから、もしトランプ政権が実際に政策を進める中で富裕層の立場を優先し、持たざる人たちの意向に背くようなことがあれば、裏切られた有権者によりそれこそ大変な事態に発展しかねないと思われます。

いずれにしても、世界的に格差社会化が進む中で、トランプ政権が具体的にどのような政策を遂行し、どのようか結果をもたらすかには世界的に注目が集まると思われます。

 

では、これからトランプ政権が本格的に動き出した時に、世界一影響力のある国、アメリカの進むべき道とはどのようなものなのでしょうか。

 

トランプ大統領には、まず経営者の延長線上で“勝ち”、“負け”にこだわらず、世界一の大国の大統領らしくひたすら“アメリカ第一主義”を掲げるのではなく“共存共栄”精神を持って取り組んでいただきたいと思います。

その上でビジネスマンらしく、従来の大統領にはない合理的な精神で政策運営をしていただきたいと思います。

また、特に中国との関係においては軍事衝突が起こらないように、過激な発言は控え、ポピュリズムに流されないようにしていただきたいと思います。

万一、米中間で戦争が勃発するようなことがあれば、日米安全保障条約を締結している日本も巻き込まれることは必定です。

そればかりか、第三次世界大戦まで拡大する恐れすら出てきます。

そのような事態になれば、地球温暖化問題も吹き飛ぶくらいに地球環境への悪影響も出てくるかもしれません。

そういう意味では、安倍総理にはこのような状況を回避するために万全の対応をお願いしたいと思います。

 

さて、アメリカのみならず先進国の多くが直面している経済的な課題として、以下の2つがあります。

・グローバル化による生産施設の海外移転に伴う国内の雇用機会の減少

・AIやロボットなどの技術革新によるオートメ化に伴う雇用機会の減少

 

ところがトランプ大統領は、先の大統領選の選挙期間中から“アメリカ第一主義”を掲げ、大統領就任演説ではグローバル化に背を向けて“アメリカの製品を買い、アメリカ人を雇用する”と唱えておりました。

歴史の針が逆戻りしてこうした保護主義が世界中に蔓延していけば、世界の経済規模は縮小し、貿易戦争、更には世界恐慌につながります。

その結果、世界的に社会不安が増大し、ちょっとしたきっかけで戦争勃発のリスクが高まってしまいます。

 

また、トランプ大統領がいくらアメリカ国内への生産シフトをメーカーに働きかけても、中長期的にみればAIやロボットなどの技術革新によるオートメ化が今後とも進むことは避けられません。

ですから、長期的にはオートメ化の進行を前提にした雇用拡大が求められるのです。

 

ということで、トランプ大統領が最重要課題としているアメリカ国内での雇用の拡大が一定の成果を上げることが出来れば、日本や中国など対外的な風当たりはそれほど強くならずに済むと期待出来ます。

 

こうしてみてくると、経済的な視点からの日本の進むべき道も自ずと見えてきます。

それは、以下の2つです。

・国内の雇用維持を図ったうえでのグローバル化の推進、および技術革新

・上記の成果の世界的な展開、および支援


 
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2017年02月02日
アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

4回目は、富裕層への富の集中による弊害についてです。

 

教育が出世のカギだということは誰もが認めるでしょう。

社会の底辺から始める人たちにとって大学の学位があれば、出世出来る可能性は4倍に増えるといいます。

しかし、大学は彼らから遠ざかるばかりです。

1980年に比べて、学費は5倍以上に跳ね上がっています。

勿論学位がなければ就職の機会は減るばかりです。

高卒の7割がフルタイムで働くことが出来ません。

皮肉なことにアメリカ経済は製造業、ハイテク産業などで高い技術を持つ人材を必要としていますが、その条件に合う人材は不足しています。

1200万人が仕事が無いというのに、職業訓練や教育プログラムはカットされています。

富裕層の減税を優先しているからとの見方があります。

現在、7人に1人のアメリカ人が食料配給券をもらい、その4割が働き手のいる家庭で暮らしています。

例え仕事があってもアメリカ人は貧困から抜け出すことが出来ないでいるのです。

 

困っているのは低所得者だけではありません。

ウィスコンシン州では、かつては中流だった住民たちは必需品さえ満足に買えないでいます。

豊かなはずのワウケシャ郡でも6000人以上が毎月食糧配給を受けています。

高学歴の人、専門教育を受けている人やその家族が増えているといいます。

ライアン議員は食料配給券の予算を10年間で1340億ドル削減するといいますが、これで800万人のセイフティネットが壊れてしまうと見込まれています。

ライアン議員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この国は転換期に来ています。」

「もし政府が拡大を続ければ、アメリカの良き時代は過去のものになってしまいます。」

「このままではセイフティネットは快適過ぎるハンモックになってしまいます。」

 

これに対して、貧困研究所のティム・スミーディング所長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ライアンの言うハンモックとやらだが、去年のウィスコンシン州の平均給付額は4人でわずか月350ドルなんだ(1日一人当たり2.9ドル)。」

「たったこれだけで“ハンモックでくつろごう”なんたって配給券がもらえたからなと言えるか。」

「この国は人々を食べさせることが出来るし、そうすべきだ。」

「何がハンモックだ。」

 

また、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「政府の財源は逼迫しています。」

「GDP比でみると、現在の税収は近代史上最低です。(2011年で15%)」

「最も基本的な公共サービスにさえ資金が回らないのです。」

「学校は機能しなくなっているし、道路も老朽化しています。」

「税金は文化的な生活のために各自が払うべきものであり、もし払わないならそれは手に入らない、実に簡単なことです。」

 

過去20年で富裕層への税率は4分の1以上下がっています。

更に一握りの大富豪たち(TOP400人)の場合、税率は半分になってしまいました。

この大きな原因は、ブッシュ元大統領が署名した減税法案です。

彼は投資で得られるキャピタルゲインの課税率を15%に引き下げたのです。

これはレーガン大統領時代の半分に当たります。

ブッシュ元大統領の減税によって国債は2兆9千ドルに増加、更にライアン議員の減税案では4兆6千億ドル増加することになります。

なぜ金持ちへの減税を執拗に推し進めるのか、彼らは比べものにならないほど財産を持っているのに。

 

1965年、重役たちは平均的な労働者と比べ20倍の収入を得ていました。

それが2011年には少なく見積もっても231倍です。

これほどまでに彼らの収入が増えるのは、その資格があるからなのでしょうか。

 

次に番組が紹介するパーク・アベニュー740番地の住人は、ジョン・セインさんです。

セインさんはニューヨーク証券取引所の重役を務めた後、投資銀行メリルリンチの会長になりました。

2008年、(リーマンショックにより)会社の損失が膨れ上がったり、株価が急落した時、彼は120万ドルをかけたオフィスの改装にかまけていました。

彼がインテリアを選んでいた頃、メリルリンチは世界経済の危機に係わっていました。

ウォール街に税金が投入され、ほぼ無利子の資金貸し付けも行われました。

一方、何百万もの中流世帯が担保にしていた家を差し押さえられましたが、彼らへの救済はほんのわずかな額に過ぎませんでした。

結局、メリルリンチは270億ドルを超える損失を出し、売却されました。

にもかかわらず、セインさんは重役たちに36億ドルのボーナスを支払っていました。

「740番地」の著者、マイケル・グロスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「周囲の人間がみんな巨額のカネを追いかけているような世界で暮らしていると、彼らの行動はもっともっと金持ちになるには何が必要なのかという基準で決められるようになります。」

「自分の行いを抑制する道徳観を失ってしまうんです。」

 

「金持ちだからって頭がいいとは限らないし、教養があるとも上品だとも限らない。」

「金持ちはただの金持ちでしかありません。」

「そして一部は腐った奴らだ。」

 

また、カリフォルニア大学の社会心理学者、ポール・ピフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「思うに人はカネを持つほど優越感を感じ、自分は価値があると思い込むんです。」

「その地位が脅かされそうな時に辛辣な態度に出すのはそういう気持ちからでしょう。」

 

レーガン・ブッシュ政権の経済政策顧問だったブルース・バートレットさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「共和党は、民主党が階級闘争をしていると非難します。」

「でもそれは彼ら自身も同じなのです。」

「例えば納税申告を自分でやる連中の半分は所得税を払わなくていいんだろなどとすぐに言い出すのです。」

 

また、今のアメリカのシステムでは国民の45%が所得税を払っていないという声がある中で、貧困研究所のティム・スミーディング所長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「所得税を払っていない人たちは確かにいる。」

「1人暮らしの年配の女性で年金をもらっているのに申告していない人、収入のない障害者も含まれている。」

「だが彼らもみんな税金を払っているんだ。」

「給与税、消費税、財産税、低所得者が税金を払っていないというのは、ばかげた言いぐさだ。」

 

ニューヨーカー誌のジェーン・メイヤーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「中間層の恨みの矛先を低所得者層に向けているのです。」

「増々裕福になるのに高い課税を免れているトップの1%を攻める代わりに。」

「そうすれば政治的に成功出来るからです。」

 

さて、「アルフレッド・E・スミス記念基金ディナー」という慈善パーティは金持ちが恵まれない人々に富を分け与える場です。

ウォール街の超大物、スティーブ・シュワルツマンさんは、奨学金基金に10年で700万ドルを寄付しており、ある日のこの慈善パーティの場で次のように演説しています。

「アメリカンドリームが消える大きな危機に直面しています。」

「私の心配は、アメリカの社会が苦しむ人の弱みに付け込む人間に故意に破壊されていることです。」

 

シュワルツマンさんは貧しい人々に同情的なことを言っていますが、この国で指折りの資産家である彼にはよく分かっていないようです。

モノポリーのようなゲームとは違い、現実の資本主義は真剣勝負です。

勝者の陰には沢山の敗者がいます。

富は作られるものですが、それは貧困も同じです。

そこに民主主義がなければ全ての利益は頂点に吸い上げられるだけなのです。

ディバインライト食糧配給所のコリン・ダンクリーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「金持ちになるのが悪いのではありません。」

「しかし他人を顧みない金持ちにはなるべきではないのです。」

 

コロンビア大学の経済学教授、ジェフリー・サックスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「彼らはより多くのカネを欲しがってします。」

「そして政治をゆがめてそれを手に入れているのです。」

「アメリカは何でもカネで買える国になってしまいました。」

 

大富豪たちはアメリカの可能性を体現した人々として、誰でも成功出来るのだともてはやされます。

しかしこの国にはまだ豊かな明日にかかる橋は存在しているのでしょうか。

パーク・アベニューを分けるハーレム川は全ての人の繁栄につながる水路でしょうか。

それとも貧しい人々には超えることが出来ない障壁でしょうか。

政治家が富豪のカネの力で選挙に勝ち、議員に居座り続ける限り、金持ちのためだけの法案はなくなりません。

そしてこの川は埋めることの出来ない深い溝となってしまうでしょう。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

富裕層への富の集中による弊害について以下に要点をまとめてみました。

・過去20年で富裕層への税率は4分の1以上下がっている

  ブッシュ元大統領が署名した減税法案により、キャピタルゲインの課税率を15%に引き下げた

・一方で政府の財源は逼迫している

GDP比でみると、現在の税収は近代史上最低である

・その結果、最も基本的な公共サービスにさえ資金が回らない

学校は機能しなくなっているし、道路も老朽化している

1980年に比べて、学費は5倍以上に跳ね上がっている

職業訓練や教育プログラムの予算がカットされている

例え仕事があっても貧困から抜け出すことが出来ないでいる

かつては中流だった住民たちが必需品さえ満足に買えないでいる

・政治家が富豪のカネの力で選挙に勝ち、議員に居座り続ける限り、金持ちのためだけの法案はなくならない

 

また、番組では触れられておりませんでしたが、メキシコからの多くの不法移民が問題視されています。

こうした状況に対する多くの国民の不満が今回のトランプ政権誕生につながったと思われます。


 
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2017年02月01日
アイデアよもやま話 No.3615 格差社会アメリカの実態 その3 今やアメリカの政治は富裕層にコントロールされている!

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

3回目は、今やアメリカの政治は富裕層にコントロールされている状況についてです。

 

前回ご紹介したパーク・アベニュー740番地の中で、一番豪華な部屋に住んでいるスティーブ・シュワルツマンさんは、リーマンブラザーズの常務取締役を務め、投資会社ブラックストーンを設立しました。

金持ちに有利な税制を作らせるため、熱心にロビー活動をしていることで有名です。

 

エール大学の政治学者で「勝者が政治を動かす」の著者、ジェイコブ・ハッカーさんは、大富豪たちが膨大な資産を築いたのは地道な努力だけでなく政治を動かし自分たちに有利になるような規則を作らせているからだといい、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「富める者を強化するサイクルが出来上がっているのです。」

「多額のカネで自分たちに役立つ政策に投資し、更に収入を得、そしてまた政治にカネをつぎ込む。」

 

元ロビイストで腐敗政治のシンボルであり、雑誌「TIME」でも“ワシントンを買った男”として取り上げられたジャック・アブラモフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロビー活動をしていたあの頃に悟りを開けばよかったんだが、残念ながら違った。」

「(汚職事件の容疑を認め、)全てを失うまで気付かなかったよ。」

「ようやく過去の行いを真摯に見直そうと思った。」

「そして物事の全体像を眺めてみたら、制度自体がひどく荒廃していることに気付いたんだ。」

「いろんな市民グループから話を聴いて議員が法案を書くなんてまずないと言っていいだろう。」

「議員もスタッフも忙しいしねぇ。」

「だから今も昔も頻繁に専門のサービスを利用しているよ。」

「ロビイストに電話して、彼らに法案を書かせているんだ。」

「ロビイストは書きたいことを原稿に書いて来る。」

「彼らにとって必要なことがきちんと法律になるようにね。」

「(議員に自分が書いた法案を支持してもらうにはどうするのかという問いに対して、)ロビイストは意思決定をする議員やスタッフたちを捕まえないといけない。」

「それには残念ながら経済的配慮(つまり“カネ”)が必要だ。」

 

「(議員が)何百万ドルもかかるキャンペーンをすると、それにカネを出す連中は見返りを欲しがる。」

「結果を期待してカネを払うことが問題だ。」

「僕もそうしていた。」

「全てを承知でね。」

 

また、ワシントンポスト上級特派員のボブ・カイザーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今のワシントンの隠しておきたい小さな秘密だが、下院議員も上院議員も選挙期間だけでなく1年中資金集めの電話をしている。」

「それも物乞いのように。」

「悲しい光景だね。」

 

では、いつから巨額のカネがワシントンを支配するようになったのでしょうか。

エール大学の政治学者、ジェイコブ・ハッカーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「1970年代半ばに起こったラルフ・ネーダーたちの消費者運動の影響で企業は自己防衛に走ったのです。」

 

当時の消費者運動のリーダーだったラルフ・ネーダーさんは、環境汚染、自動車、高速道路の安全性など改善の余地はまだまだあるが、必要なことにお金が使われていないと訴えており、企業から死ぬほど恐れられていたといいます。

 

ハッカーさんは、続けて次のようにおっしゃっています。

「企業は後に最高裁判事となったルイス・パウウェルの指示に従ったのです。」

「彼は商工会議所に企業は一致団結しろと強いメッセージを送りました。」

 

当時たばこ産業界の顧問弁護士だったルイス・パウウェルさんは1972年にニクソン大統領によって最高裁判事に任命されました。

彼はその就任前にラルフ・ネーダーさんを企業の最大の敵とみなした極秘メモをアメリカ商工会議所に送っていました。

そこには国の機関を操るための作戦が記されていました。

大企業に政治と司法にもっと積極的に介入するよう呼びかけていたのです。

それに応えて1970年代に企業のロビー活動は急激に力を付けて伸びたのです。

企業は政治のために多額のカネをつぎ込み、次々に手を打ちました。

ニューヨークからワシントンに移り、重役と政治家との間に個人的なパイプを作ったのです。

その結果、中間層と貧困層のための政策が金持ち優遇策に変わっていきました。

今では一業界当たりのロビー活動の予算は30年前の10倍といいます。

コロンビア大学の経済学部教授、ジェフリー・サックスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今のワシントンは企業に所有され、運営されていると言ってもいいでしょう。」

「部屋はロビイストで溢れていて、今この瞬間も彼らが規則や法律を書いているのです。」

「政治キャンペーンのために高額の資金が用意されていて、買収された政治家も大勢います。」

 

一握りの億万長者がどれだけ政府に対する影響力を持つのかを示す格好の例が成功報酬税法と呼ばれるものです。

ヘッジファンドや未公開株で稼ぐ人々の所得税率を15%に抑える法律です。

エール大学の政治学者、ジェイコブ・ハッカーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世界一稼ぎのいい金融会社の重役の課税率がママがスーパーで払う消費税より低いなんて冗談じゃないと普通は思います。」

「でもそれが税制で定められているのは、金融業界のロビー活動が驚くほど効果的だからです。」

「2006年以降、民主党のリーダーたちは皆オバマ大統領も含めこの税制を無くすと言っています。」

「ところがこの税制は生き残りました。」

「議会がもう時間が無い、また次回に話し合おうと閉会してしまったのです。」

 

民主党は議会で過半数を占めていたのに税率の引き上げが成立しなかったはなぜでしょうか。

下院は二度も通過したのに上院にヘッジファンドの仲間、チャールズ・シューマー議員がいたのです。

彼は最も力のあるニューヨーク州の上院議員であるどの民主党の議員よりも多額の資金を金融業界から集めていたのです。

2007年6月、成功報酬税率を引き上げる法案の可決が見えてきた頃、彼のもとに突如として資金が集まり始めました。

ブラックストーンのような金融会社から100万ドル以上が集まったのです。

そしてこの法案は上院で議論されることもなく闇に消えていきました。

これについて、シューマー議員は自分の選挙区の有権者、つまり銀行家たちを代弁しているだけだといいます。

では警察官、看護師、消防士はどうなのでしょうか、彼らも同じ有権者なのに。

しかし議員はベテラン消防士の税率が金持ちの2倍だということを不公平とは思っていないのです。

ハッカーさんは、続けて次のようにおっしゃっています。

「シューマー議員は民主党と彼自身の成功のためウォール街の意向を聞き入れなければならないと思っているのです。」

「この考え方こそがカネがものを言う今のアメリカの政治を如実に表しています。」

 

そして、誰よりもカネにものを言わせているのが推定資産250億ドルのデイビッド・コークさんです。

パーク・アベニューで一番の金持ちです。

兄のチャールズさんと世界最大の非上場企業の一つ、コーク・インダストリーを経営しています。

紙コップ、キッチンペーパー、化学繊維などを生産していますが、中でも最も利益を上げているのが石油と天然ガス事業で、年間1000億ドル以上の利益をもたらしています。

この兄弟は政治への影響力を保つため誰よりも多額の資金をつぎ込んでいます。

ニューヨーカー誌のジェーン・メイヤーさんは、この兄弟は政治に対してこれまでの他の人たちとは全く違う次元の影響力を持っているといいます。

ちなみに、下院・上院議員の半分以上にコークの資金が流れたといいます。

 

デイビッドさんは、1980年に自由主義経済を掲げて立候補しました。

結果は散々で1%の票しか集められませんでした。

これで彼が学んだのは政治的な影響力を持つには他のやり方を探さなければいけないということでした。

コーク兄弟は政治家たちに気前よく寄付し、更に反政府の考えを広めてくれそうなグループに投資することにしました。

右派のシンクタンクにカネをつぎ込む一方でチャールズさんは自らケイト研究所を立ち上げました。

更に大学に多額の寄付をし、規制緩和や自由市場を進めるプログラムを支援しました。

特に環境規制はコークの利益を脅かすもので、何百万ガロンという大量の原油が垂れ流されており、彼らは環境保護局から何度も罰金を科せられています。

コーク・インダストリーは2000年に石油を300回以上流出した罪で3000万ドルの罰金を払わされました。

これは当時最も高額な制裁金でした。

コークの財団「繁栄のためのアメリカ人会」は保守派のティー・パーティ運動に巨額の資金を提供しており、集会やデモを開き、有名人を呼ぶなどして支援しています。

そして大量のCMです。

ニューヨーカー誌のジェーン・メイヤーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ティー・パーティは自然発生的に盛り上がった市民の草の根運動だと思われています。」

「でも実際は自由主義の億万長者たちが作りだしたものなのです。」

「彼ら(億万長者)は自由主義市場でお金を稼ぐことが自由だというイデオロギーを掲げていますが、ティー・パーティの話をよく聞くと全く同じことを言っています。」

 

しかし、彼らが言うのはどんな自由なのでしょうか。

みんなの自由、それとも億万長者たちが税から逃れ、公害を垂れ流し、そして社会全体に対する責任から逃れるための自由でしょうか。

 

番組がその答えを探しに彼らの集会に行くと、その昔悪評を買ったものの最近新たなファンをつかんだ哲学者であり作家だったアイン・ランド(ロシア系アメリカ人)という名前が目につきました。

アイン・ランドさん(1905-1982)は、生前テレビ番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私は支配的なもの全てに反対よ。」

「自由で規制のない経済を支持するわ。」

 

「私が嫌うのは弱い世界よ。」

「邪悪だわ。」

 

「政府に課税する権利はない。」

「道路も郵便局も学校もみんな民間経営であるべきよ。」

 

アイン・ランドさんの小説「肩をすくめるアトラス」(1957年発行)は、今や共和党の政治家たちの試金石になっているといいます。

映画にもなったこの小説は、ビジネスが規制されているアメリカを描いています。

富裕層は課税され、政府は中間層と貧困層を支援する、言い換えれば“世も末”といった筋書きです。

アイン・ランドさんの世界では、わずかな支援が必要な人は“たかり屋”、他人を助けたがる人は“悪者”、自分勝手な振る舞いをする人が“ヒーロー”なのです。

企業の重役たちは政府の下で生きることに疲れ、要求に応えるのを止めてストライキを決め込みます。

彼らは山奥に行き、政府のない新しい社会を創る、コークのような大富豪たちが私たちを養ってくれなくなったらどうなるかという悪夢として「肩をすくめるアトラス」は恐ろしい話として語られています。

 

コークの財団「繁栄のためのアメリカ人会」会長のティム・フィリップさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「我々はこの映画を支持しています。」

「試写会も各地で行いました。」

「この本の基本的な考え方や価値観の多くを我々は強く信じ、分かち合っています。」

「資本主義が持つ原理・原則なのです。」

 

ポール・ライアンさんは最もコーク兄弟から資金を受けている下院議員(現在、下院議長)です。

アイン・ランド哲学を公に信望する大物政治家でもあります。

小さな政府を訴え続けたことでこのウィスコンシン州出身の共和党議員はティー・パーティに気に入られました。

議会でも力をつけ副大統領候補にもなりました。

ライアン議員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アイン・ランドの考えに立ち返り、我々の根本にある信念を見直すべきです。」

「アイン・ランドに回帰しなくてはなりません。」

「我々の計画はワシントンから権力を取り上げ、個人に戻すことなのです。」

 

ライアン議員は、“繁栄への道”と呼ぶ計画でアイン・ランドさんの哲学を実現しました。

低所得者のための支援を大幅にカットし、富裕層の更なる減税を行うという予算案です。

こうして“繁栄への道”は、2012年3月に可決されました。

これは今や共和党の経済哲学の核となったようです。

 

こうした考え方に対して、以下のような理由から多くの反対意見があります。

・10兆ドルの減税が財政赤字の削減プランの一部というなら、道路、教育、エネルギーなどの事業の歳出をそれ以上減らさなければならない

・昔はどんな保守派もライアン議員のようなことは言わなかった

例えば、経済学者のミルトン・フリードマンは税を還元することで低所得者の収入を保障するとした

また、経済学者のフリードリヒ・ハイエクは社会が最低限の生活と医療保険を保障する必要性を説いていた

・ライアン議員などの言っていることの大部分はお金を稼ぐ機会を誰にでも平等に与えるということだが、貧し過ぎればきちんとした教育を受けられず競争する機会さえ与えられないという可能性は認めていない

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アメリカの政治が企業にコントロールされている背景について以下に要点をまとめてみました。

・国会議員には政治活動のための資金が必要である

・大富豪たちが膨大な資産を築いたのは地道な努力だけでなく政治を動かし自分たちに有利になるような規則を作らせているからである

・多額のカネで自分たちに役立つ政策に投資し、更に収入を得、そしてまた政治にカネをつぎ込むという、富める者を強化するサイクルが出来上がっている

・その結果、中間層と貧困層のための政策が金持ち優遇策に変わっていった

 

こうしてみると、富裕層がアメリカの政治を支配している構図、および格差社会の背景がよく理解出来ます。

また、企業家としても成功しているトランプ新大統領が雇用拡大については声を大にして唱えても、格差是正については言及しないことも理解出来ます。


 
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2017年01月31日
アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

2回目は、アメリカは格差社会先進国についてです。

 

先進国における流動性(ジニ係数)の主な比較は以下の通りです。

1位 デンマーク 0.15

9位 日本    0.34

12位 スイス   0.46

13位 アメリカ  0.47

 

(補足)

ジニ係数とは社会における所得分配の不平等さを測る指標であり、「不平等の尺度」で0から1の間の小数値になり、0ならば完全な所得平等を示し、1に近づくほど格差が顕在している社会で、社会騒乱多発の警戒ラインは、0.4であると言われています。

なお、アメリカと日本のジニ計数の推移(こちらを参照)をみると、両国とも明らかに増加トレンドにあることが見て取れます。


コロンビア大学の経済学部教授、ジェフリー・サックスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私が育った頃は、アメリカは中流家庭が大半を占める国とされていました。」

「勿論少数の大富豪と貧しい人はいましたが、大半の中流家庭によって国の健全性が保たれていると考えられていたし、それが国の誇りでした。」

「しかし、もはやそういう社会ではありません。」

 

大富豪とそれ以外の人々との間に経済格差は常に存在していました。

しかし過去30年間で何かが変わってしまいました。

その差が天と地ほどに開いたのです。

レーガン・ブッシュ政権の経済政策顧問だったブルース・バートレットさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「低所得者層の収入が伸び悩んだ一方、富裕層では急激な所得の増加が見られました。」

 

戦後の数十年、アメリカの所得の増加分は全ての階層に分配され、大半は平均的な庶民に渡っていました。

所得増加分の階層別分布(1947〜1977)は以下の通りです。

富裕層上位  1%

 富裕層   10%

 残り    90%

 

しかし1970年代後半から90%の人々の取り分は上位1%の超富裕層に完全に吸い上げられるようになりました。

ちなみに、この超富裕層とは数千人しかいないのです。

更に、2010年にはたった400人の億万長者(超富裕層)が下から数えて半分の1億5000万人分の一般層の合計額以上の富を得ているのです。

「740番地」の著者、マイケル・グロスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「富豪中の富豪という人たちがいます。」

「トップ1%の更に1%の大富豪です。」

「彼らは本当に限られた数ヵ所にしかいません。」

 

そして、パーク・アベニュー740番地にはアメリカの他のどのビルよりも多くの超富豪たちが住んでいます。

ちなみに、現在のここの住民の多くは今一番お金を持っているヘッジファンドの人たちで、1930年代の石油業界の人たちに匹敵するといいます。

パーク・アベニュー740番地の中で、一番豪華な部屋に住んでいるのがスティーブ・シュワルツマンさんです。

37部屋もあり、豪華絢爛な内装で広さは1800岼幣紊發△蠅泙后

彼は3千万ドルでここを購入しましたが、資産50億ドルのウォール街の超大物には小遣い程度の金額です。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

それにしても、2010年にはアメリカ国内でたった400人の超富裕層が下から数えて半分の1億5000万人分の一般層の合計額以上の富を得ているという現実は驚きです。

 

ちなみに世界規模でみると、世界人口の半分36億人分の総資産と同額の富が8人の富豪に集中しているといいます。(貧困撲滅を掲げるイギリス非政府組織(NGO)「オックスファム(Oxfam)」が2017年1月16日に発表)

 

ですから、アメリカは先進国の中でも格差社会先進国であり、世界規模でみてもとんでもなく格差社会が進行しているのです。

 

次回は、なぜアメリカで格差社会が進んでしまったのかその背景についてご紹介します。


 
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2017年01月30日
アイデアよもやま話 No.3613 格差社会アメリカの実態 その1 もはや“アメリカはチャンスの国”ではない!

今、世界各国で格差社会が進行し、世界的に問題視されています。

日本もその例外ではなく、非正規社員の割合の増加により格差社会が広がっています。

そうした中、昨年11月3日(水)放送の「BS世界のドキュメンタリー選」のテーマは「パーク・アベニュー 格差社会アメリカ」でした。(2012年11月30日放送の再放送)

そこで、ちょっと内容は古いですが、番組を通して格差社会アメリカの実態について5回にわたってご紹介します。

1回目は、もはや“アメリカはチャンスの国”ではないという状況についてです。

 

ニューヨークの南北を走るパーク・アベニューの道沿いにはニューヨークで最も裕福な人々が暮らしています。

それは社会の頂点に立つ人々、上流階級の大富豪たちです。

しかし、パーク・アベニューは富だけでなく政治の力をも象徴しています。

ここの住民たちは高級車や自家用ジェットだけでなく、ゲームを有利に動かすためにお金をつぎ込んでいるのです。

社会制度を思うままに動かす力を持つことで彼らはこの30年の間に巨額の富を手に入れたと番組では考えています。

ここから北へ10分ほど車を走らせると、この通りはハーレム川で遮られます。

その向こう側にはパーク・アベニューの別の顔があります。

サウスブロンクスはアメリカで最も貧しい地域です。

人口70万人のうち4割が1日あたり40ドル以下の収入しかありません。

この地域の30年はハーレム川の向こう側の30年とは全く違っています。

こちらの人々の給料は下がり、生活必需品は大きく値上がりしました。

向こう側に住む銀行家たちの引き起こした不景気(リーマンショック)のせいで職を失い、昔より更に悪い状況に陥っているのです。

それでもアメリカはチャンスのある国なのか、番組では疑問を投げかけています。

 

専門家は、一般的に貧しい人々にはチャンスが与えられていないと指摘しています。

サウスブロンクスには失業率が19%にのぼる地域があります。

満足に食べられない家庭も多いです。

「グレート・ディヴァージェンス」の著者、ティム・ノアさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アメリカで極度の貧困から抜け出すのは至難の業です。」

「ほとんど不可能と言っていい。」

「これは人々がアメリカに対して長年抱いてきた“アメリカはチャンスの国”という概念とは真逆の現実です。」

「アメリカで上の階層に行ける確率は他の先進諸国に比べてずっと低いのです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たちが一般的にイメージしているアメリカのキーワードは、“アメリカはチャンスの国”、あるいは”アメリカンドリーム“だと思います。

ところが、今やアメリカの現実は、富裕層は自らの努力に加え、国会議員への献金により社会制度を思うままに動かす力を持つことで巨額の富を手に入れている一方で、貧しい人々にはチャンスが与えられていないのです。


 
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2017年01月29日
No.3612 ちょっと一休み その579 『こんなレコーダーがあればとても便利』

No.3606 ちょっと一休み その578 『高齢者から見たテレビに欲しい機能』で高齢者がテレビの音声を聴き易くするためにあったら便利と思う機能についてご紹介しました。

その後、高齢者のみならず耳の不自由な方や仕事上でも便利なレコーダーの機能について思い付いたのでご紹介します。

それは、現行のレコーダーでは単に音声を記録するだけですが、それを文書として記録・保管するというものです。

 

ここで問題なのは、会話や会議の中では必ずしも一人の人だけが話しているとは限りません。

ある人が話している時に他の人が途中で話し出すということがよくあります。

ですから、こうした状況も想定した上で文書化するというのはとても難しいと思います。

しかし、こうした時にこそAI(人工知能)の出番だと思います。

今のAIの技術レベルからすれば、こうした音声の文書化もそれほど難しくはないと思います

もし、こうしたレコーダーが実用化されれば、プライベートでの使用の他にも会議の議事録作成の際にもとても便利だと思います。

更に、こうして文書化した内容をもとに前後の文脈から要約が作成されれば、議事録の作成の手間は大幅に削減されます。

その他にも、最近たまに目にしますが、講演会で講演の内容をスクリーンに映し出していますが、こうした作業も人手を介さずに済むようになります。

 

ということで、高齢者がテレビの音声を聴き易くするための機能に端を発して、音声だけでなく文書化も出来るレコーダーのアイデアに行き着いたのです。

関連メーカーには是非こうした機能を持ったレコーダーを開発していただきたいと思います。


 
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