2017年10月17日
アイデアよもやま話 No.3836 世界的に広がる物価上昇の停滞!

7月20日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界的に広がる物価上昇の停滞について取り上げていたのでご紹介します。

 

7月20日、日銀(日本銀行)で金融政策決定会合が開かれ、物価の年2%目標の達成年度を1年先延ばしして2019年度頃としました。

目標達成時期の先延ばしは今回で6度目ということになります。

黒田総裁は2013年に就任しまして、当初はそこから2年後の2015年度中2%目標を実現させると意気込んでいたのですが、その実現が難しくなると2016年度前半までと半年ほど先延ばししました。

そして、その後も1年から半年の先延ばしを繰り返してきました。

黒田総裁の任期は来年の4月ですから、任期中に達成することを断念することになります。

6度にわたる先延ばしをしなければならないほど物価の上昇を妨げている要因は何なのでしょうか。

 

今回の経済物価の情勢を示した「展望レポート」では、消費者物価指数見通しを以下のように下方修正しました。

 2017年度 1.4% ⇒ 1.1%

 2018年度 1.7% ⇒ 1.5%

 

一方で、景気を表す実質GDPの成長率見通しは以下のように上方修正しました。

 2017年度 1.6% ⇒ 1.8%

 2018年度 1.3% ⇒ 1.4%

 

なぜ景気が上向いても物価は上がらないのか、日銀は携帯電話本体や通信料の値下げなどを物価が上がらない一時的な要因としてあげました。

 

こうした状況は日本に限ったことではなく、今世界的に物価の動きはあやしくなっています。

アメリカの場合、日本と同様で、FRBのイエレン議長は、足元の動きは通信料や携帯端末の値引きが主な要因で一時的と言っています。

一方、EUにおいてはエネルギー価格の下落だと説明しています。

 

さて、最近シェアリングエコノミーが世界的に拡大してきていますが、これが世界的な価格競争を引き起こしたり、産業のグローバル化で工場の海外移転や国内に残る工場でも機械化が進んでいることなどから、以前に比べて世界的に賃金が上がりにくくなっています。

結果として、物価も上がらないという恒常的な問題が世界的に広がっているのです。

しかも日本は欧米よりも非常に強いデフレマインドが根付いていて、これが中長期的な物価動向に大きく影響しているのです。

物価が上がることに消費者が敏感であるだけでなく、企業の姿勢も慎重なのです。

こうした状況について、黒田総裁は会見の場で次のようにおっしゃっています。

「欧米と比べますと、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に根強く残っていると。」

「俗にデフレマインドといわれるものかも知れませんが、非製造業、サービス業において、賃金が上がっても価格に転嫁しないでサービスの中身を見直すとかビジネスプロセスを変えていくと。」

 

日本企業に根付いたデフレマインドが賃金の引き上げや価格の上昇を妨げているというのです。

こうした状況について、番組コメンテーターで日本総研理事長の高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「金融緩和とか財政出動だけの問題じゃなくて、私はやはり構造改革だと思うんですね。」

「例えば社会保障だとかそういうものの構造改革が遅れているので、だから日本は良くならないと。」

「良くならないのであれば消費もしたくない、企業も投資をしたくない。」

「(物価目標の2%を掲げ続けていることについて、)欧米も2%いかない状況になっていますよね。」

「そこで、日本の場合だけは2%にいかないとデフレ脱却しないって言っているわけですけど、でもこれだけ経済と物価の関係が変わってきているので2%いかないからデフレ脱却なんだという固定観念でいいのかなと。」

「2%いかなくても物価が下がらないという状況になったら、もうデフレ脱却って言えないかも知れないですけど、経済と物価の関係が変わってきているということをもう少しきちんと検証して、そのうえで金融政策と財政出動と構造改革をどういうふうに組み合わせるのが一番効果的なのかということをもうちょっと議論してもいいように思いますけどね。」

「(アベノミクス、3本の矢の構造改革のフェーズであることをあらためて強く訴えていく時だと言うことなのかという問いに対して、)私はそう思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私は、以前から日銀が目標として掲げる“物価上昇率2%”が腑に落ちませんでした。

その背景は以下の通りです。

・非正規社員の割合の増加により所得格差が広がり、消費者は全体的に少しでも安い商品を求めていること

・企業は、こうした消費者の求めに応じて、あるいは企業間の競争により少しでも安い商品を提供しようとしていること

・シェアリングエコノミーが普及しつつあり、物価押し上げの妨げになっていること

 

では、“物価上昇率2%”は全くの夢物語かというと、そうではありません。

DGPを大幅に押し上げるほどの財政出動、あるいは大きな需要を創造するような革命的な商品が登場すれば、従業員の収入が増え、そして消費が増え、その結果物価上昇につながると思います。

しかし、財政出動も予算の制約により限度がありますし、こうした商品もいつ登場して来るか分かりません。

そこで、視点を変えた施策が求められるのです。

それは、国や地方自治体、消費者、および企業の視点からの取り組みです。

具体的には国や地方自治体などの構造改革、格差是正による中間層の所得増、およびあらゆる規制の見直しによる緩和・撤廃などです。

 

さて、第48回衆議院議員総選挙は今週末の10月22日(日)に投票が予定されています。

今、選挙運動真っ盛りですが、各政党には、今後の日本の進むべき方向性、そしてその道を目指すために具体的にどのような政策を打ち出しているのかを明確に示していただきたいと思います。

そして、有権者の方々には、こうした方向性と政策の実現可能性を見極めたうえで投票していただきたいと思います。

私も有権者の一人ですが、“言うは易く行うは難し”で実際に見極めるのは中々難しいものです。

しかし、民主主義国においては有権者のレベルが国政のレベルを決定するのです。

ですから、国民一人一人がスポンサーであるという意識で投票に臨んで欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月16日
アイデアよもやま話 No.3835 IoTで建設工事を効率化!

7月19日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でIoT(モノのインターネット)で建設工事を効率化する取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

世界の建設現場を変えるきっかけとなる動きがありました。

コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムなどの4社はあらゆるモノをつなぐIoTを活用して建設工事を効率化する新プラットフォーム「ランドログ」を協同で企画・運用すると発表しました。

10月に合弁会社を設立し、建設業者などにサービを提供します。

「ランドログ」は建設現場の機械や人などの情報をリアルタイムで把握し、データとして蓄積、このデータをもとにAI(人工知能)などを使うことで、あらゆる建設現場でより生産性を上げることが可能になるといいます。

コマツの大橋 徹二社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「建設現場が建設業者以外の方々もそれ(「ランドログ」)を見て、新しいビジネスが生まれてくるでしょうし、国や地方公共団体は防災とかいろんなことが出来ます。」

「多分、大きく世界が変わるんじゃないかと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どんなことでも、目的、あるいは目標と効果的、かつ効率的に達成するためには、まず置かれた状況など現実を知ることが大前提です。

そうした中で、IoTはセンサー、およびインターネットの組み合わせにより実現出来るようになったのです。

その延長線上でAIやロボットを活用することにより生産性の向上が図られるのです。

そういう意味で、今あらゆる業界でIoT化が進みつつあると言えます。

今回ご紹介した建設業界の動きもその一旦なのです。

 

IoT、AI、ロボットの3セットは現在における産業界の“3種の神器”と言えます。

この“3種の神器”の活用によるコスト削減は、単純作業のみならずかなり高度な技術までもこれまでの人手による作業に取って代わると大いに期待出来ます。

ですから、これまで何十年来、コスト削減を目指して、先進国から途上国へと工場などの移転の動きがありましたが、やがてその必要は無くなると思われます。

現代の“3種の神器”を中心とした技術が地産地消を可能にしてくれるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月15日
3828 ちょっと一休み その615 『空手はスポーツか武道か?』

8月26日(土)放送の「アスリートの魂」(NHKBS1)では日本空手界のエース、宮原 美穂選手を取り上げていました。

今回は、番組を通して宮原選手の原点についてご紹介します。

 

宮原選手は、“空手は武道”だと言いきります。

宮原選手は、1996年9月福岡市に生まれました。

4歳上の姉と2歳上の兄がいました。

大好きな兄が空手道場に通うのを見て、「お兄ちゃんと一緒に空手がしたい」と言いました。

すぐに空手の虜になり、空手はメキメキ上達しました。

上達したのは空手ばかりではありませんでした。

礼儀作法や謙虚な気持ち、あるいは感謝の気持ちを学んだのです。

空手が宮原選手を育ててくれたのです。

 

宮原選手が空手の道を歩み始めたのは、お寺でした。

秋吉 俊雄師範はこのお寺の住職を務める傍らで、近所の小中学生に空手を教えています。

稽古場は、境内に敷き詰められた砂利の上でした。

宮原選手は小学校1年からおよそ8年間ここで稽古に励みました。

そして、武道とは何かを少しずつ感じ取っていきました。

武道の心得について、秋吉師範は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「彼女自身が繰り出す突き技、蹴り技、それは常に“一撃一殺”を考えながら繰り出していっていると思います。」

「武士道ですから、真剣勝負ですから倒れる者と立っている者の差がはっきりするのが真剣勝負だと思いますので。」

「ですから、お互いにそういった気持ちで勝負に挑むわけですから、終わった後に人前で喜ぶ姿を見せるものではないし、終わったらきちっとお互いに敬いの気持ちを持って、一礼をもって始まり、一礼をもって終わると。」

「それが武道ではないかなと思います。」

「そこのところは彼女なりに理解をして、そういった言葉(“空手は武道”)を今言ってるんじゃないでしょうか。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

柔道にも“礼に始まり礼に終わる”という言葉があります。

また、ボクシングでも戦いの最初にお互いのグローブを触れて、戦い終わった後には抱き合ってお互いの健闘を讃え合う光景をよく目にします。

ですから、どんなスポーツにおいても武道の精神に重なる部分があると思います。

ただ、秋吉師範がおっしゃる武道の精神、すなわち“(勝負が)終わった後に人前で喜ぶ姿を見せるものではない”という言葉はほとんど忘れ去られているように思います。

 

どんなスポーツにおいても、試合ではお互いにその日のために一生懸命練習を重ねてきています。

ですが、試合では引き分けもありますが、ほとんどの場合、どちらかが勝者となり、一方は敗者になります。

ですから、勝者の立場からすれば、自分の方が練習量が多く、あるいは技量が優れていたから、あるいは実力はほぼ同等でたまたま勝つことが出来たということなのです。

特に、死ぬほどの苦しみの練習の末に勝利を勝ち取った場合には、思わず飛び跳ねてしまうくらい、あるいは大声で叫んでしまうくらい喜びの頂点に達してしまいます。

一方、敗者の立場からは、一生懸命練習したのに報われなかったという悔しい想いがあるのです。

 

こうした試合後の両者の立場を客観的に捉えると、秋吉師範の言葉が重く響いてきます。

どんなスポーツにおいても、お互いに敬いの気持ちを持つということはとても大切だと思います。

そして、こうした気持ちが世界中の多くの人たちに深く共有されれば、異なる民族、宗教の間で、あるいは国家間の争いもなくなると思うのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.510 『北朝鮮の核・ミサイル実験に見る核兵器廃絶の必要性 その4 日本のリスク対応策!』

最近の北朝鮮による強硬に進める核・ミサイル実験の報道に接して、なぜ北朝鮮はこうした動きをするのか、そして世界や日本はこうした動きについてどのように対応すべきなのかなど、いろいろと疑問が湧いてきました。

そこで、リスク管理の観点から6回にわたってこうしたことについてお伝えしていきます。

前回はアメリカのリスク対応策についてお伝えしましたが、4回目は日本のリスク対応策についてです。

 

以下に、いくつかの番組を通して、北朝鮮による核・ミサイル開発問題が引き起こす、アメリカとの戦争勃発など様々な事態の発生を防ぐための日本によるリスク対応策の関連情報についてご紹介します。

 

9月16日(土)放送の「上田 伸也のサタデージャーナル」(TBSテレビ)の内容の一部を以下にご紹介します。

 

9月15日(金)の北朝鮮による弾道ミサイルの発射に際し、北朝鮮外務省アメリカ州局のチェ・ガンイル副局長は、取材に対して次のようにおっしゃっています。

「それは我々の核抑止力強化の正常な一環だ。」

「日本は身の程を知るべきだ。」

「日本は制裁の先頭に立つべきではない。」

「いくら制裁しても通じないのだから。」

 

なお、発射の前日にも北朝鮮のテレビでは次のように伝えています。

「取るに足りない日本列島4島を核爆弾で海の中に押し込むべきだ。」

 

繰り返し行われる兆発で、北朝鮮のミサイルは日本にとっても大きな脅威となってきました。

 

9月12日(日本時間)の安保理では、アメリカの提示した採択案に大幅な修正がなされた妥協案になったものの15ヵ国による全会一致の採択にこぎ着けました。

これに対し、北朝鮮は安保理決議を「極悪非道な挑発行為の産物」、「アメリカという侵略者を撲滅する時だ 忍耐力には限界がある」と非難しました。

更にその矛先は日本にも向いています。

安保理の制裁決議の3日前、9月14日(金)放送の朝鮮中央テレビは次のように伝えています。

「日本上空を飛び越える我々の大陸間弾道ロケットを見ながら、未だに意地悪く振る舞う日本の奴らにはっきりと気概を示すべきだ。」

「アメリカの「制裁」の笛に踊りながら憎らしく振る舞う奸悪な日本の奴らをそのまま放っておけない。」

 

そして、その言葉通り、3日後にミサイルは発射されたのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

日米安全保障条約を取り交わし、日本国内に複数の米軍基地のある日本は、北朝鮮から見れば、アメリカの同盟国と見なされ、いざアメリカと交戦状態になれば、有無を言わさず攻撃対象となります。

 

また、1回目でもお伝えしたように、そもそも1910年、当時の大韓帝国との間で韓国併合条約を締結し、朝鮮半島を日本の植民地化した後に、日本がアジア諸国との共存共栄を図っていれば、太平洋戦争に突入することなく、従って敗戦後の米ソによる朝鮮半島の分断にもつながらなかったわけです。

ですから、歴史的にみれば、現在の北朝鮮による核・ミサイル開発に至る原因の一端は日本にもあると言えると思うのです。

 

こうした意味も含めて、日本は自国の平和維持およびコンティンジェンシープラン、並びに朝鮮半島の平和的な統一の支援に取り組む必要があると思います。

なお、自国の平和維持には、何と言ってもアメリカと北朝鮮とが戦闘状態にならないようにすることです。

そのためには、アメリカと北朝鮮との妥協点を見出し、両国の仲裁などあらゆる手段を使って平和裏に北朝鮮が核兵器の使用をしないように仕向けることです。

また、アメリカを始め先進主要国と協力し、北朝鮮からIS(イスラム国)を始めとする過激派組織に核兵器そのものや開発技術が流出しないような仕組みを構築することです。

ちなみに、核兵器が拡散していくのを防ぐために、NPT(核兵器不拡散条約)、すなわちアメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国以外への核兵器の拡散を防止する条約があります。

 

しかし、そもそも限られた国のみが核兵器を持つことを許されていること自体が既得権の行使であり、客観的にみておかしいのです。

また、核兵器は今やとてつもない殺傷能力を持つに至っており、人類の滅亡にすらつながりかねない兵器なのです。

ですから、日本は唯一の被爆国として、核兵器廃絶を世界的な最終ゴールとして、主体的にリーダーシップを発揮することが途上国を中心に多くの国々から期待されているのです。

日本政府はこの期待に応えることが日本の平和のみならず、世界平和の実現に貢献出来ることを忘れてはならないのです。

 

なお、万一アメリカと北朝鮮が交戦状態になった場合のコンティンジェンシープランとしては、核シェルターや地下防空壕などが考えられますが、すぐに米軍基地周辺を中心に全国的な設置展開をすることは適いません。

 

それよりも重要なことは原子力発電所(原発)へのミサイル攻撃です。

万一、原発がミサイル攻撃を受ければ、どれだけ広範囲に甚大な被害が及ぶか計り知れません。

複数個所の原発がミサイル攻撃を受ければ、膨大な数の被害者が出るばかりでなく、復興に10年単位の年月を要することになると思われます。

言わば日本沈没です。

ですから、万一の戦争勃発を想定した場合の被害を最小限に食い止めるリスク対応策として、“脱原発”は日本のように原発が住宅の密集地域に近い場所に建設された国の場合、特に重要になると思います。

 

一方、コンティンジェンシープランの一環として、日本でもニュークリア・シェアリングについて注目が集まりつつあります。

ニュークリア・シェアリングとは、非核保有国が戦争時に核保有国と核を共有する概念です。

9月10日(日)放送の「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日)の中で、政策研究大学院大学の岩間 陽子教授は、次のようにおっしゃっています。

「非核保有国がアメリカとの間で始めた制度です。」

「同盟国側は戦闘機や核を搭載出来る兵器の運用訓練をしているわけですね。」

「平時には核は渡さない。」

「だけど、戦時になったら核兵器をアメリカが渡して、それをドイツ軍なり、オランダ軍なりが使って戦争する。」

「(例えばドイツの場合、)平時にはドイツは核をもらっていないということで、ドイツはあくまでも非核保有国の立場を崩していない。」

 

アメリカと核を共有することで非核保有国が核を使用出来る仕組みなのです。

 

ニュークリア・シェアリングを導入しているのは、欧米29ヵ国が加盟するNATO(北大西洋条約機構)のうち、ドイツ、イタリアなど5ヵ国で、アメリカの核兵器をシェアしているといいます。

なお、この仕組みが導入されたのは、1950年代後半、ソ連による核攻撃の脅威に核兵器を持っていないドイツなどが不安を解消する目的で導入したといいます。

 

ということで、北朝鮮による核・ミサイル実験の進む中、ニュークリア・シェアリングは世界的な核兵器廃絶という最終ゴールに至る過程の中間的なコンティンジェンシープランと位置付けられますが、交戦国に核兵器を使わせない抑止力、すなわちリスク対応策としても有効なのです。

 

どんなに政治家が理屈を並べても、実際に日本の国土が核兵器による攻撃を受ければ、日本の存続そのものがとても危うくなります。

ですから、政治家の皆さんには、ニュークリア・シェアリングの導入も含めて、北朝鮮による核・ミサイル攻撃の脅威に対する超現実的な対応策を検討していただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月13日
アイデアよもやま話 No.3833 ネット通販の弱点を突いたニュービジネス!

7月19日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でネット通販の弱点を突いたニュービジネスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

新宿のはずれにあるセレクトショップstore a、2年前に開業し、国内のブランドを中心に生地や製法にこだわった商品を取りそろえています。

店長の一明 徹さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「基本的に個人でやっているセレクトショップって結局やってる内容って駄菓子屋と同じレベルのビジネスでしかないので、同じことを待っててもお客さんは来ないですし、集客が一番困ってますね。」

 

そこで、一明さんは集客のためにとインスタグラムなどのSNSを活用していますが、出店に費用がかかる大手のネット通販は導入していません。

一明さんが使っているのは「STYLER(スタイラー)」というアプリです。

お客の曖昧な要望に対し、様々なお店の店員が商品の提案をするというものです。

お客はある提案が気に入ったら、ネット上ではなく、そのお店に行って商品を購入します。

 

この「スタイラー」というアプリを開発した会社は、その名もスタイラー(STYLER)株式会社、2年前に創業したばかりです。

代表の小関 翼さんは、これまでアマゾンで事業開発を担当していました。

そこである弱点に気が付いたといい、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ミネラルウォーターとか自分の好きな漫画の単行本を買いたい時は、正直検索をする画面設計の方がすぐモノが探せると思うんですよね。」

「一方で、ファッションのアイテムとか抽象的なニーズ、例えばオフィスに履いていくようなスニーカーで長時間履いていても疲れないんだけどもちょっと都会的でかっこいいものが欲しいっていうようなニーズを探そうとすると途端にちょっと弱くなってしまうんですね。」

 

これまでのような大手ネット通販の検索方法ではお客の曖昧な要望には応えられないといいます。

「スタイラー」ではこうしたお客の曖昧な投稿にお店が応えることで、お客を掴みに行くことが出来るといいます。

また、例え投稿しなくてもタイムラインを眺めるだけで話題の情報を得ることが出来ます。

 

こうしたメリットについて、小関さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「いかに購買体験を向上させて来店客数を増やすとか、来店客1人当たりの売り上げを増やすことに取り組むべきと考えていて、我々のサービスはそこを可能にしているところが結構面白いのかなと考えています。」

 

まだ試験段階だというこのアプリ、現在はお店に無料で使ってもらっています。

大手セレクトショップでも「スタイラー」の導入が相次いでいます。

国内で6店舗を展開するアメリカン ラグ シー(AMERICAN RAG CIE)の名古屋店では、平日客足もまばらになった時に「スタイラー」の投稿をチェックしています。

店員の林 由花さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「休憩中ですとか通勤の時間帯に空いた時間を見つけてリプライ(返信)しています。」

 

「スタイラー」を使うことで、効率的な集客につながっているといいます。

広告などに頼らなくてもお店の外でも店員の力でお客を集めることが出来るのがメリットです。

 

「スタイラー」を利用しているKazueさん、「スタイラー」で購入したレザーのリュックサックについて、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「本当にだいぶ予算オーバーだったんですけど、上品なルックってなかなか無いじゃないですか。」

「それに対しての提案として、これ以上ないぐらいのものだったので、予算の2〜3倍くらい、それでも行って、その場で買っちゃいました。」

 

番組取材の日も、Kazueさんはお目当ての服を探します。

「今すぐ着られる白Tを探しています。個性的な白が欲しいです。」

このKazueさんの投稿に対して、お店からの提案は8件でした。

Kazueさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「正直、私の知らないお店ばっかりでした、投稿いただけるお店さんが。」

 

Kazueさんは、気になる一軒のお店を訪ねることにしました。

向かった先は冒頭でご紹介したstore aでした。

Kazueさんは、そこで試着した白いTシャツばかりでなく、スキニーパンツまで予算オーバーしてしまいましたが購入していました。

このように、お店に来てもらうことで、お店としては当初の予定以上の購入を促すことも出来ます。

一明さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(「スタイラー」は)」売り上げにもつながっているんですけど、知ってもらうことと来ていただけることに関して効果があったと言えますね。」

 

小さなお店でも「スタイラー」を使うことによって、価格ではなく商品や提案の力で集客が出来ると期待しています。

ネットを活用したお店とお客をつなぐ取り組み、集客の新たなカギとなるのでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私も季節の変わり目には、ユニクロやアウトレットなどに出かけることがあります。

そうした時に、自分の好みに合うようなシャツやジーパンを探しても中々見当たることがありません。

ですから、予算のこともあり、適当なところで妥協して購入するというのがパターンです。

また、「スタイラー」を立ち上げた小関さんのおっしゃるように、大手ネット通販の検索方法ではお客の曖昧な要望には応えられません。

そうした中、「スタイラー」はこうしたお客の曖昧な投稿にお店が応えることで、お客を掴みに行くことが出来るのです。

要するに、ネットを窓口にして実店舗に誘導することにより、お客に実際にお店に来てもらい、お客のきめ細かな要望に応えることが出来るという、大手ネット通販のみならずユニクロなどの量販店にはないサービスの差別化を行っているのです。

 

勿論、こうしたお客は、ファッションにこだわりの強い一部の限られた客層ですが、対応するお店もどちらかといえばユニークなデザインの商品を使う小さな店舗がメインですから十分採算が合うと見込まれるのです。

また、「スタイラー」に登録したショップ間の競争も厳しいので本当に顧客に受け入れられるようなユニークな商品を扱うショップ間、あるいは個々のショップとお客とのファッションを巡る真剣勝負の場と言えます。

 

ですから、今回ご紹介したアプリ「スタイラー」のようなサービスがあれば、ファッションにとてもこだわりのある人たちは予算オーバーしてもとても満足感の得られる買い物が出来ると思います。

同時に、こうしたお客の声に応えるお店にとってもお客の潜在的な要望を把握出来る貴重な場となるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月12日
アイデアよもやま話 No.3831 都内で進む電柱のない街づくり!

7月19日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で都内で進む電柱のない街づくりについて取り上げていたのでご紹介します。

 

東京都の小池知事が進める電柱のない街への取り組み、すなわち“無電柱化”が本格化しています。

“無電柱化”とは、電線などを地中に埋めて、道路から電柱を無くそうという取り組みです。

都内には約75万本の電柱があるのですが、電柱を無くす狙いは以下の3つです。

  1. 震災時の電柱倒壊の予防

    電柱が倒れて道路をふさいでしまい、救急車や消防車などの救急車両が通れなくなることのないようにする

  2. 東京オリンピック/パラリンピック

    東京を訪れる外人観光客に電柱や電線のない綺麗な東京を観て欲しい

  3. 狭い歩道の通行路を確保

    電柱を無くせば、歩行者や自転車が電柱を避けようとして車道に出てくる危険性を防げる

 

しかし、都内にある全ての電柱を無くすことは現実的ではありません。

そこで、東京都はまず人が集中している千代田区などの中心部、および東京オリンピック/パラリンピックの会場のあるエリアで優先的に取り組むことにしています。

 

東京都は、今年6月に都道府県レベルでは初めて電柱の新設を原則禁止する条例を制定しました。

東京都は30年にわたり“無電柱化”を進めてきましたが、東京23区ではたった7%しか整備を終えていません。

ネックとなっているのはコスト、1km当たり平均約5億3000万円もかかるというのです。

 

こうした中、推進のカギとなるのが各企業による技術開発です。

古川電工が開発したのは、工事費用を安く抑えられるというケーブルです。

電線を地中化するには、電線を通すための配管などが必要です。

しかし、このケーブルを使うと、そういった工事が必要なくなるのです。

古川電工グループ サンザックの石橋 智裕さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「金属で覆って強度を兼ね備えているので、直接埋設が出来る。」

「直接埋設出来るということで、トータルの作業が短く出来るんですね。」

「なので、最終的にはコストが安くなる。」

「試算ですけど3分の1ぐらいにはなるんじゃないかなと。」

 

一方、イトーヨーギョーの井上 了介さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「道路の側溝と電線を入れる部分を一つにまとめてしまった。」

「既存の側溝を入れ替えてその下に電線を入れてしまう。」

 

この設備は上の水路を廃水などが流れ、その下のスペースを電線の地中化のために活用するというものです。

実は、道路の下には水道管やガス管、電力管、汚水管、通信管など様々なものが埋められています。

そのため、狭い道路には空いたスペースが少なく、既に埋められているものを動かすことも必要となってしまうのです。

東京都は、こうした企業の最新技術を活用しながら、スピード感を持って“無電柱化”に取り組みたい考えです。

 

ちなみに、世界の“無電柱化”率は以下の通りです。

 ロンドン   100% (国土交通省調べ)

 パリ     100 

 香港     100

 台北      95

 シンガポール  93

 ソウル     46

 ジャカルタ   35

 東京       7

 大阪       5

 京都       2

 

こうした結果について、番組コメンテーターで日本総研理事長の高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「ネックはやっぱりコストなんですよ。」

「1km当たり5億3000万円ていいましたけど、これは地上の電柱の20倍コストがかかるんですね。」

「ですから、やっぱりそこがネックなんですけども、新しい技術でどんどんコストを下げていくということをやんなくちゃいけない。」

「ただそれでも東京都だけで“無電柱化”させようとすると7000億円以上かかる。」

「で、7割くらいが東京都の負担になると思うので、いくら東京都が財政的に豊かとは言え、コストを削減するための工夫、技術だけじゃなくて、例えば国交省(国土交通省)が提案してますけどもPPP/PFI、言い換えると民間の事業者に共同溝を作ってもらって、それを道路管理者、国や自治体が使用料を払っていくというようなかたちで、民間を利用するようなかたち、あるいはこれから(電柱を)地中化しちゃうと維持管理がすごいコストがかかるんですよね。」

「従って、例えばセンサーをつけるとか新しい技術を駆使して維持管理コスト、ランニングコストを下げていくということをやってもいいと思うんですけどね。」

「とにかく小池知事は自民党の時代から“無電柱化”をずっとおっしゃっていたので、やはりコストの面でも何か新機軸を打ち出してもらいたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組を観ていて、かつてエネルギー関連の質問をするために東京電力本社を訪れた時に応対していただいた方のお話を思い出しました。

東日本大震災前でしたが、「東京電力は電柱の地中化も進めていきます」とおっしゃっていました。

なので、その時は素晴らしい取り組みだと感心しておりました。

ところが、福島第一原発が起きたことにより、莫大な賠償費用などが発生してしまったのでそれどころではなくなってしまったのです。

ですから、とても残念に思います。

 

さて、“無電柱化”を進めるに当たり、先ほどご紹介したようにいろいろな企業がコスト削減のための技術開発に取り組んでおります。

ですから、こうした技術の中からより優れたものを選び出し、あるいは組み合わせることにより、現行の見積額よりもかなり維持費まで含めたトータルコストが削減出来ると期待出来ます。

“観光大国日本”を目指すうえでも是非、全国的な“無電柱化”を推し進めていただきたいと思います。

 

それにしても、世界の主要都市での“無電柱化”率についてですが、ロンドン、パリ、香港が100%という数字には驚きました。

やはり、その国の政府や地方自治体、あるいは国民が“こういう都市をつくりたい”という強い想いを持つことによって、たとえコストがかかろうともいろいろなアイデアにより実現出来るのだとあらためて思いました。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月11日
アイデアよもやま話 No.3831 害獣対策の最終兵器、“オオカミ型ロボット”!

7月17日(月)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で害獣対策の最終兵器、“オオカミ型ロボット”について取り上げていたのでご紹介します。

 

イノシシやシカなどによる農作物の被害は全国で年間約176億円にも上ります。(2015年度・農水省HPより)

害獣被害に悩んでいる木更津市では、罠の設置や猟友会による駆除を行っていますが、追いつかず、農業被害額はこの5年間で4倍にも増加したといいます。

ある地元農家は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この周辺で食べる物がないから、こんなもん(育つ前の農作物)でも食べちゃうんです。」

「憎らしいですよね。」

                                

最近、特に増えているのがイノシシです。

トウモロコシ畑では育つ前の身までも食い荒らされていました。

そこで、7月始めにJA(農業協同組合)が導入したのが最終兵器、太陽光電池を動力にしたオオカミ型ロボット、”スーパーモンスターウルフ“です。

半径20m以内に動物が近づくとセンサーがその体温を感知します。

そして、1km先まで届く鳴き声で周辺の動物を全て追い払うといいます。

野生動物が音に慣れないよう、声のバリエーションも18種類用意されています。

 

北海道で実証実験を重ね、完成したというオオカミ型ロボットですが、その原型ともいえる1号機は“モンスタービーム”という機械でした。

この1号機の効果に自信を深め、オオカミの姿に進化させた2号機“モンスターウルフ”を作ったといいます。

開発者で株式会社太田精器の太田 裕治社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「オオカミが野生動物の天敵であったということ、現在の野生動物にとってもDNAというのが引き継がれていると思ったので、そういう形(オオカミ型)にさせていただきました。」

 

北海道ではシカの他クマにも絶大な効果を発揮しています。

しかし、今回、木更津市では北海道にはいないイノシシが相手、そこで2号機の“モンスターウルフ”に更に改良を加えた3号機“スーパーモンスターウルフ”を送り込んだのです。

2号機との違いは首の動きです。

太田社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「動くことによってより生きているというかたちになりますのでリアリティが増すと思うんですよね。」

 

実際にその効果を確かめるため田んぼで張り込みをしていると、イノシシの姿は見当たりません。

翌朝、田んぼの持ち主と確認しに行くと、イノシシの形跡は見られませんでした。

以前、毎日のように現れていたというイノシシですが、設置してから約1週間農作物への被害は出ていないということです。

この“スーパーモンスターウルフ”、日本の田畑を守る救世主となるのでしょうか。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組の中で地元農家の方のおっしゃった「この周辺で食べる物がないから、こんなもん(育つ前の農作物)でも食べちゃうんです」という言葉がとても印象的でした。

人類と野生動物の間には、かつて里山を挟んで住み分けが出来ていましたが、人類の追求する飽くなき豊かさに対する欲望と技術革新が相まってどんどん野生動物の生活圏を侵食していった結果が野生動物による田畑の被害につながっているのです。

 

ですから、こうした被害に対する短期的な対応策として今回ご紹介した“オオカミ型ロボット”は効果的ですが、根本的な対応策は野生動物との共生を前提とした解決を図るべきなのです。

また、森林保護の観点からも人類は“地球の住民”であるという意識を強く持つことが求められるのです。

このまま人類による環境破壊が進めば、行き着く先は環境破壊が進んで野生動物などが絶滅し、荒れ果てた地球と人類の無機質な暮らしがあるのみの地球になってしまいます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月10日
アイデアよもやま話 No.3830 日本の科学研究が失速!?

今年はイギリス国籍の日系人、カズオ・イシグロさんがノーベル文学賞を受賞されました。

そうした中、9月23日(土)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で日本の科学研究の失速について取り上げていたのでご紹介します。

 

世界が注目するノーベル賞、昨年は大隅 良典さんが医学・生理学賞を受賞しました。

今年も日本人が受賞すると初の4年連続となりますが、残念ながら受賞者はおりませんでした。

日本はこれまでアメリカ国籍を取得した人も含め、自然科学の分野で20人以上がノーベル賞を受賞してきました。

 

しかし、受賞者たちは警鐘を鳴らしています。

大隅さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「このまま行ったら(日本は)ノーベル賞学者は本当に出ない国になる。」

 

また、物理学賞を受賞した梶田 隆章さんは次のようにおっしゃっています。

「残念ながら、日本が科学技術で優れた国であるというのはもはや言えないのではないかと。」

 

ノーベル賞受賞者が危機感を訴える日本の科学研究ですが、世界的な科学雑誌「ネイチャー(nature)」も今年3月に「日本の科学研究が失速し、このままではエリートの座を追われかねない」と指摘しました。

2015年までの15年間の研究論文の数を比較すると、アメリカ、中国、イギリス、韓国などがいずれも増えているのに、日本だけが伸び悩んでいます。

背景として、ノーベル賞受賞者が強く指摘しているのが、日本の大学で研究者たちが置かれている状況です。

 

東京大学の高山 あかり助教は、物質表面の性質について研究しています。

学生時代に所属する大学の総長優秀学生賞など数々の賞を受賞し、28歳の若さで東大の助教になりました。

しかし、教職員になると研究以外のことに大半を割かれるようになりました。

NHKで取材した日、高山さんは実験機器の管理のためのテープ貼りや学生の指導、資料のコピーなどの作業に追われていました。

この他、大学の運営業務などもあり、自分の研究時間は職務時間の1割にも満たないといいます。

高山さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自分で実験してデータが取りたくて研究者になったはずだったんですけど、実際に(研究者に)なってみるとそんなに時間はなくて、理想はもうちょっとやりたい。」

 

文部科学省科学技術・学術政策研究所が6000人近くの大学教職員を対象とした、職務時間に占める研究時間の調査では、2002年では46.5%だったのが2013年には35%と、ほぼ10%も落ち込みました。

研究所では、国立大学の法人化以降、教員が大学の運営に係わるようになり、業務が増えていることや、専門性の高い実験の補助や書類の作成などを行う研究支援者の数が海外と比べて少ないことを挙げています。

また、研究費についても指摘されています。

アメリカや中国などが研究開発への支出を増やす中、日本は2001年以降横ばいのままです。

 

こうした状況について、大隅さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「こんなことをしていたら、多分中国に若者(研究者)がどんどん流れるという事態が生まれる可能性がありますね。」

「本当に危機的だと思っています。」

 

また、ノーベル物理学賞を受賞した梶田 隆章さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「大学の基礎体力をここ十数年ものすごく奪われてきたので、まずはその基礎体力をしっかり回復させる方向に舵を切る。」

「次世代を担う若い人がきちんと育つような環境を作っていく必要があると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

それにしても、東京大学の優秀な研究者が、自分の研究時間は職務時間の1割にも満たないという現実には驚かされます。

こうした状況では、優秀な研究者はどんどん海外に流れていってしまいます。

資源少国、日本においては、豊かな国を維持していくうえで技術立国を目指す他に生きる道はありません。

それが、職務時間に占める研究時間が落ち込んでいたり、あるいはアメリカや中国などが研究開発への支出を増やす中、日本は2001年以降横ばいのままという状況は、いかに日本政府が日本の進むべき方向について、長期的な戦略に重大な欠陥があると言わざるを得ません。

確かに、研究者の研究時間を増やしたり、研究費を増やすことは、その分他の予算をカットしなければならないという痛みを伴います。

国民の痛みを伴ってでも、その必要性をきちんと国民に説明すれば、国民は納得するはずです。

研究者の質の低下は、間違いなく将来の国益を損なう重大な問題となります。

そのことを、日本政府は重く受け止めていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月09日
アイデアよもやま話 No.3829 イグ・ノーベル賞と科学研究!

9月15日(金)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)で「イグ・ノーベル賞と科学研究」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

なお、今回の論者はNHK解説委員の中村 幸司さんでした。

 

9月15日、イグ・ノーベル賞の発表があり、日本の研究者が生物学賞を受賞しました。

日本人の受賞は11年連続です。

イグ・ノーベル賞は、ノーベル賞のパロディーともいわれています。

確かにこれまでの受賞を見てみると、カラオケを発明した日本人や、食べ物を床に落としても5秒以内に拾ったら大丈夫という、いわゆる5秒ルールは本当なのかを検証した研究があります。

この研究ではアメリカの女子高校生が受賞しています。

なんとなくふざけているように感じられるかもしれません。

 

今年のイグ・ノーベル賞は10の部門に贈られました。

このうち、生物学賞には、北海道大学の准教授、吉澤和徳さんと、慶応大学の准教授、上村佳孝さんらが受賞しました。

研究は、ブラジルの洞窟で見つかった昆虫に関するものです。

雌に雄のような生殖器があることを発見しました。

雌の生殖器が雄のおなかの部分に差し込まれるようになっています。

雄と雌の違いとはなんなのか、考えさせられる研究でもあります。

 

イグ・ノーベル賞は、品がないという意味のイグノーブルと、ノーベル賞を合わせた造語です。

アメリカの科学雑誌の編集長らが、1991年に作りました。

選考基準は、人を笑わせ、考えさせる研究や、業績となっています。

選考委員には、ノーベル賞の受賞者もいます。

賞金はなく、授賞式に出席する際の旅費も宿泊費も、自分持ちです。

日本人はどれぐらい受賞しているのでしょうか。

受賞者は、アメリカが最も多く、イギリスと日本が続いています。

1992年に、足のにおいの原因物質を特定した、化粧品会社の研究者が受賞して以来、日本人はおよそ60人に上ります。

そして、2007年からは11年連続の受賞です。

なぜ日本人の受賞が多いのか、主催者は、日本が世界が必要としている電気製品や自動車のように、イグ・ノーベル賞受賞者を生み出す方法を見つけ出したのではないかと話しています。

 

さて、日本人の受賞者に研究をした理由を聞くと、大変興味深い返事が返ってきます。

去年は立命館大学特任教授の東山篤規さんらが、股から上下逆さまの景色を見る、股のぞきの研究で知覚賞を受賞しました。

なぜこのような研究をしたのか。

東山さんの答えは、研究をせざるをえなかったというものでした。

ヒトは、横より縦を長く感じるのだそうです。

高さと幅が同じ建物を見ると、このような正方形ではなく、縦長に感じるということなんです。

東山さんは、この錯覚のような現象を解明するため、頭を横に90度傾けたらどう見えるかを研究しました。

90度傾ければ、当然、その延長として180度傾ける、つまり股のぞきをしたらどう見えるかを研究することになる、すなわち、せざるをえなかったというわけです。

股のぞきをすると、モノは小さく、奥行きがなくなるように見えることを明らかにしました。

なんの役に立つのかと尋ねると、分かりません。

なんの役にも立たないかもしれません。

ただ誰もやらないし、楽しいでしょうというのが、東山さんの答えです。

 

北海道大学電子科学研究所の所長、中垣俊之さんは粘菌という、単細胞生物を使った実験で2回受賞しています。

粘菌はふだんは小さくて見えませんが、大きくなると、畳ほどに広がる不思議な生物です。

2008年の研究は、まず迷路の通路に黄色い粘菌を広げます。

そして入り口と出口に当たる2か所に餌を置きます。

すると、粘菌の体は、餌の部分に集まるのと同時に、必要ない所からは撤退します。

そして最後には、2か所の餌の部分と体を一つにつなぐための線のような部分になり、その線が迷路の最短距離を示しています。

粘菌が迷路を解いたように見えます。

中垣さんは、粘菌の研究を30年余り進めていますが、好奇心に突き動かされてきたと話しています。

生き物の不思議や行動に現れる賢さを見つけて研究を進めると、また驚き、不思議なことが起きる。

生き物に対する見方が変わる。

思いがけないことと出会うので、科学は面白いと話していました。

私は、2人の言葉に、研究者が忘れてはならないものを感じます。

 

今の日本の科学研究を取り巻く環境には、さまざまな問題が指摘されています。

研究費の確保が難しい、あるいは自分の今後のポストに対する不安ということが背景にあるからなのか、研究者はすぐに具体的な成果を出せる研究ばかりに進んでしまう。

さらには、基礎研究の重要性、その認識が薄くなってきているのではないかというものです。

研究者は、この現状に危機感を抱いています。

去年、オートファジーの研究で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した、東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんも、その一人です。

大隅さんに取材した際、なぜオートファジーの研究を始めたのか聞いたところ、その頃は、たんぱく質の合成、つまりいろいろなたんぱく質をくっつける研究が注目されていたといいます。

であれば、みんながやっていない合成の逆、たんぱく質の分解の研究をしてみようと考えたということです。

これがオートファジーにつながりました。

大隅さんは、チャレンジすることが科学の精神だと、基礎研究の重要性を訴えています。

結果が分からないことこそ研究の魅力で、それに吸い込まれるように突き進むこと。

表現は違っても、研究者の言葉には、科学研究にどう向き合うか、そのことのヒントがあるように思います。

 

イグ・ノーベル賞の受賞者の中に、ノーベル賞も受賞した研究者がいます。

イギリスのマンチェスター大学の教授、物理学者のアンドレ・ガイムさんです。

イグ・ノーベル賞は、磁石の力を利用して、カエルを空中に浮かせるという実験で受賞しました。

ガイムさんは、中心になって進めている専門の研究とは別に、金曜日の夜の実験と呼んでいる研究を行っています。

金曜日に行うというわけではありませんが、時に冗談交じりに思いついた実験に取り組む時間を、毎週数時間、作っています。

カエルの浮遊は、その実験の中で行ったものでした。

一方、ノーベル賞を受賞した研究は、極めて薄い炭素で出来た膜を取り出すことに成功したというものです。

薄いのに強く、電気をよく通すことから、高速コンピューターなどへの応用も期待されています。

このノーベル賞の研究、実はこちらも、日頃から行っている専門の研究ではなく、金曜日の夜の実験から出来たものだったのです。

何か成果を出さなければいけないということではなく、自由な発想で面白いと思うこと、なぜだろうという好奇心から取り組んだ、それが独創的で革新的なそれぞれの研究成果に結び付いたのではないでしょうか。

この金曜日の夜の実験にこそ、研究の原点があるように思います。

今の日本で、こうした研究環境を作るのは難しいかもしれませんが、科学研究が常に大切にしなければならないことだと思います。

誰も知らない未知の領域を解明する喜び、それは研究者しか出会うことのできない、いわば特権です。

研究者には、そのことを胸に研究を進めてほしいと思います。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

NHK解説委員の中村さんの指摘している、独創的な成果を上げるうえでの科学者に必要なキーワードを以下にまとめてみました。

誰もやったことがない

楽しい、面白い

好奇心

チャレンジ精神

 

研究開発には相応の資金が必要です。

しかし、どんなに研究開発費があっても、研究者に先ほどのキーワードにあるような“研究者魂”がなければ、独創的な発見に結びつくことはないと思うのです。

 

なお、今の日本の科学研究を取り巻く環境における問題については、次回に触れたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月08日
No.3828 ちょっと一休み その615 『自分を生かすうえで参考になる指原莉乃さんの考え方』

8月25日(金)放送の「あさイチ」(NHK総合テレビ)のゲストはAKB48の指原 莉乃さんでした。

番組を通して、自分を生かすうえでとても参考になる指原さんの考え方についてご紹介します。

 

まず、指原さんの人柄が感じられる視聴者とのやり取りをご紹介します。

「さっしー(指原さん)はまあまあ可愛くて、歌もまあまあ上手くて、踊りもまあまあなのに、いつも1位になれるのはどうしてですか」という10代の女性の視聴者からの質問に対して、指原さんは次のように答えていらっしゃいました。

「ファンの方との絆がメンバーの中でも強い方だと思いますね。」

「やっぱり、自分が総選挙じゃないとセンターになれないので、総選挙以外ではあまりセンターに立つことはないので、どうしても(センターに)立たせてあげたいという気持ちと感謝の気持ちは他のメンバーより強い感じはしますね。」

「ファンの方の年齢層も高くて、おじさんとか、60代の方とか・・・」

 

指原さん(さっしー)の故郷は九州の大分県で、もともとはアイドルが大好きなおとなしい少女でした。

14歳の時、AKBのオーディションを受けたのはなじめない学校生活から抜け出すためでした。

しかし、合格したものの他のメンバーと比べて、歌、踊り、ルックス、どれもいまいちと感じていました。

そこで、指原さんが編み出したのが独自の生き残り術でした。

 

相手の土俵で戦わない

自分だけの武器を見つける

ピンチこそチャンス

 

さっしー流の処世術は、友人関係や進路で悩む子どもたちや学生の皆さんの参考になるはずです。

「(相手の土俵で戦わないことについて、)自分がグループに入ってから、すっごい可愛い子ばっかりで、ダンスを出来るわけじゃない、歌も出来るわけじゃない、どうしようと思った時に、人が得意としている土俵で戦っても一生勝てないなと思って。」

「でも、自分がMCをすごい好きだったので、だったら誰もあまりやっていないMCで頑張っていこうって決めてやってたので。」

「(好きなMCを伸ばそうと思っても、やらなきゃいけない方もある程度伸びていかなければならないことの大変さについて、)人数が多いので何とかついていくのに必死で、今でも結構必死だったりしますね。」

「今でも得意じゃないですね。」

「(MCで行こうと思ってもいきなり行けない中で、具体的にどのような手順を追っていったのかという問いに対して、)当時はいじられキャラでやっていて、それを「私って駄目だな、いじられてばっかりで」と思うんじゃなくて、それを受け入れて、っていうところから最初は始めました。」

 

以上、番組の一部をご紹介してきました。

 

指原さんの考える、“相手の土俵で戦わない”、あるいは“自分だけの武器を見つける”という考え方は、自分の有利になる最大限の方法で戦うというものです。

そういう意味で、若いアイドルにとっては一般的ではないですが、おじさん、あるいは60代の方までファンとして自分の味方に付けるというのは多くのアイドルが真似の出来ない独自の戦略だと思います。

 

また、“ピンチこそチャンス“についてはこれまで沢山の人たちが同様のことをおっしゃっているように、既成の社会、あるいは組織が大きく変わるきっかけ、あるいは新参者が入り込む最大にチャンスはピンチなのです。

ですから、ピンチを困った困ったと後ろ向きに捉えるか、絶好のチャンスだと前向きに捉えるかは大きな運命の分かれ道と言えるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月07日
プロジェクト管理と日常生活 No.509 『北朝鮮の核・ミサイル実験に見る核兵器廃絶の必要性 その3 アメリカのリスク対応策!』

最近の北朝鮮による強硬に進める核・ミサイル実験の報道に接して、なぜ北朝鮮はこうした動きをするのか、そして世界や日本はこうした動きについてどのように対応すべきなのかなど、いろいろと疑問が湧いてきました。

そこで、リスク管理の観点から6回にわたってこうしたことについてお伝えしていきます。

3回目は、アメリカのリスク対応策についてです。

 

以下に、いくつかの番組を通して、北朝鮮による核・ミサイル開発問題が引き起こす、アメリカとの戦争勃発など様々な事態の発生を防ぐためのアメリカによるリスク対応策の関連情報についてご紹介します。

 

9月3日(日)、および9月10日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)の「風をよむ」のコーナーで北朝鮮による核・ミサイル実験の動きについて取り上げていたので、アメリカのリスク対応策の観点からご紹介します。

 

前回、北朝鮮による核・ミサイル実験の行方についてお伝えしました。

では、それに対してアメリカはどう対応しようとしているのでしょうか。

核兵器保有を背景にアメリカの追い出しを目論んでいるという北朝鮮、それに対してアメリカのトランプ大統領はツイッターで「対話は解決策ではない」と呟いています。

ツイッターで強気な姿勢を誇示し続けるトランプ大統領、その一方でマティス米国防長官は「外交的な解決策が尽きたわけでは決してない」と公言し、トランプ大統領の発言を修正しています。

アメリカは硬軟両方の立場を使い分け、平和的解決の道を模索しているように見えます。

 

しかし、対話による平和的解決の道は容易に見えてきません。

その理由を防衛省の研究所などで長年朝鮮半島問題を研究してきた拓殖大学海外事情研究所の武貞 秀士特任教授は、米朝対話の進め方にあるといいます。

「国連安保理(国連安全保障理事会)で(北朝鮮への)制裁をいくつも出してきたけれども、その結果事態が改善したかというと、そうではないですよね。」

「核兵器放棄ということを「入り口」にして交渉を始めようとする限り、にっちもさっちもいかないわけだから、「核兵器放棄出口論」を取れば良いと思います。」

「「核兵器を拡散しない」、「技術を拡散しない」とか話し合いを繰り返しながら最後には核兵器放棄というところに行き着く努力をする。」

「「対話の道」しかないと私は思います。」

 

決して北朝鮮の核兵器保有を認めるのではなく、交渉の出口で核兵器を放棄させるというのです。

東アジアの一画にある国が国際社会を振り回す時代、私たちは北朝鮮問題にどう向き合えばいいのでしょう。

 

また、番組コメンテーターの一人、中央大学の目加田 説子教授は次のようにおっしゃっています。

「今回の北朝鮮の核を巡る対立ってキューバ危機に例えられているんですよね。」

「55年前に、一番核戦争に近づいた瞬間ていうふうに言われているわけですけども、その当時国防長官だったロバート・マクナマラさんという方がおられて、20年くらい前に来日された時にお話を伺う機会があったんですけども、キューバ危機が回避出来たのは幸運によるものだったんだと。」

「つまり計算尽された核抑止がうまくいったのではなくて、単にラッキーだっていうことをおっしゃったんですよね。」

「その時のことを思い出すと、今回も最大の教訓というのは、我々が学ばなければいけないというのは計算通りにはいかないってことですよね。」

「つまり、核抑止がうまく機能して戦争で核による衝突が回避出来るという保証はどこにもないということだと思うんですよね。」

「そこをやはり忘れてはいけないし、絶対に起きてはならない状態をいかにするかということを最優先に考えなければいけないと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

一方、9月16日(土)放送の「上田 伸也のサタデージャーナル」(TBSテレビ)によれば、9月15日(金)の北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受け、アメリカ政府はティラーソン国務長官による次のような声明を出しました。

「相次ぐ挑発行動は、北朝鮮の外交的経済的孤立を深めるだけだ。」

 

また、番組では8月に行われた米韓軍事演習でのアメリカ太平洋軍ハリス司令官の次の発言を取り上げています。

「最も重要な出発点は外交から始めるということだ。」

「強力な外交を強力な軍事力で支えることが鍵。」

「軍事力が外交を支えるべきであって、その逆であってはならない。」

 

ちなみに、プロジェクト管理と日常生活 No.293 『プロジェクト管理の観点からみた戦争と平和の関係!』でも外交と戦争の関係についてお伝えしたことがあります。

 

また、9月12日(日本時間)の安保理では、アメリカの提示した採択案に大幅な修正がなされた妥協案になったものの15ヵ国による全会一致の採択にこぎ着けました。

採択後、アメリカのヘイリー国連大使は、次のように北朝鮮にくぎを刺しました。

「北朝鮮が挑発を続けるというのなら、我々は今後も圧力をかけていく。」

「決めるのは北朝鮮だ。」

 

これに対し、北朝鮮は安保理決議を「極悪非道な挑発行為の産物」、「アメリカという侵略者を撲滅する時だ 忍耐力には限界がある」と非難しました。

そして、3日後の9月15日にミサイルは発射されたのです。

 

こうした北朝鮮の動きに対して、アメリカは中国とロシアに対し、北朝鮮への国連制裁を確実に実行するようあらためて求めた他、国連安保理は日米韓3ヵ国の要請を受けて9月16日に緊急会合を招集しました。

更なる“圧力”とそれに対する北朝鮮の“反発”、どこかに着地点はあるのでしょうか。

 

また、9月16日(土)放送の「プライムニュースSUPER」(BSフジ)では、北朝鮮による核・ミサイル問題に関して元国連大使でオバマ政権時の大統領補佐官(国家安全保障担当)のスーザン・ライスさんが8月10日付けニューヨークタイムズに寄稿した記事の一部を以下のように紹介していました。

 

アメリカは実利的な戦略として、北朝鮮の核武装を受け入れ、伝統的な抑止力でそれを抑え、アメリカ自身の防衛力を強めるべきだ。

 

また、9月27日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)では、緊張の度合いを増している北朝鮮情勢について取り上げていたのでご紹介します。

 

トランプ大統領は、9月26日の記者会見で「軍事的な選択肢の準備は完全に整っており、もし我々がその選択肢をとれば北朝鮮にとって壊滅的なものになる」とあらためて警告し、そのうえで非核化に向けて北朝鮮を孤立させるため圧力を強めるよう全ての国に呼びかけました。

これに対して、北朝鮮のリ・ヨンホ外相は、トランプ大統領の批判を“明確な宣戦布告だ”と非難しました

 

一方、アメリカ議会上院では、アメリカ軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長は「北朝鮮が近い将来アメリカ本土に到達する核ミサイルの運用能力を獲得する」という認識を明らかにしました。

そのうえで、北朝鮮にはICBM(大陸間弾道ミサイル)を使う意志もあると想定し対処すべきだとして、アメリカのミサイル防衛能力の強化を急ぐ考えを示しました。

また、米朝間で言葉の応酬が続いていることに関連して「政治の世界は緊張しているが、北朝鮮軍の展開状況の変化は把握していない」と発言し、現時点で北朝鮮の軍事動向に特段の変化は見られないという見解を明らかにしました。

 

また、アメリカ政府は北朝鮮の核・ミサイル開発につながる資金を絶つため以下の制裁対象の追加を発表しました。

・北朝鮮の8つの銀行

・中国やロシアなどを拠点に北朝鮮の金融業務に携わってきた26人

 

今回の制裁は北朝鮮の銀行と個人に限定しています。

トランプ大統領は中国の銀行などにも制裁を課す構えを見せる一方で、中国の中央銀行が北朝鮮との取り引きを止めるよう指示したとして評価する考えを示しています。

 

以上、いくつかの番組を通して、アメリカのリスク対応策を断片的にご紹介してきました。

 

こうした断片的な情報の中で、私が特に強く感じたのは、中央大学の目加田 説子教授のおっしゃった、“キューバ危機が回避出来たのは幸運によるものだった”という言葉です。

核兵器を保持している国が戦争を始めて、戦局が非常に厳しい状況に追い込まれれば、核兵器の使用を検討するリスクが高まります。

ですから、長い目で見れば、世界各国はやはりどんなに困難であっても核兵器廃絶の道を歩むべきだと思います。

 

さて、1回目でお伝えしたように、北朝鮮はあくまでも悲願である南北統一を実現させるためのアメリカとの交渉の手段として核兵器開発を進めているので、どんなに世界各国が核・ミサイル実験を止めようとしても止める気配はありません。

ですから、拓殖大学海外事情研究所の武貞特任教授やアメリカの元国連大使のスーザン・ライスさんのおっしゃるように、アメリカは力づくではなく、核兵器放棄ということを「入り口」にせず、「核兵器放棄出口論」を取れば良いと思います。

ここで強調したいのは、単に北朝鮮を対象にするのではなく、全ての国を対象にするということです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月06日
アイデアよもやま話 No.3827 水陸両用EVの最新事情!

以前、アイデアよもやま話 No.3221 来年には水陸両用のEVが市販化される!?株式会社FOMMが開発した水陸両用の電気自動車(EV)についてご紹介しました。

そうした中、9月12日(火)付け読売新聞の朝刊でその最新事情を報じていたのであらためてご紹介します。

 

まず前回ご紹介した内容からの変更点について以下にまとめてみました。

・タイで2018年から量産を開始し、同年の9月頃に同国で発売する計画である

・初年度に1万台、2年目以降から年間1万6000台の販売を目指す

・価格は未定である

・航続距離は1回の充電で160kmである

バッテリーは着脱可能なカセット式リチウムイオン電池なので、提携するタイ国内のガソリンスタンドをスマホのアプリで検索し、取り換える仕組みである

 

FOMMの鶴巻 日出夫社長は、記事の中で「東日本大震災をきっかけに、洪水の多い東南アジアで車が緊急避難場所になれば」と考案したといいます。

また、経営理念の一つに、貧困の根絶を掲げており、鶴巻社長は「将来は50万円で販売出来る小型EVを新興国で乗る人たちが自ら組み立てて収入を得る仕組みを構築し、子どもが当たり前に学校や病院に行き、夢を抱ける社会にしたい」とおっしゃっています。

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

前回、将来的な販路として東南アジア諸国の次はヨーロッパに広げる考えだとお伝えしましたが、今回の記事でも日本への逆輸入については触れていませんでした。

今夏は日本各地でも記録的な豪雨に見舞われ、多くの住民が避難勧告を受けるだけでなく、多くの自動車もその被害に遭っていました。

そして、こうした記録的な豪雨の発生回数は地球温暖化の進行とともに今後とも増々増え、その規模も大きくなると見込まれます。

一方で、1回の充電で航続距離が160kmの水陸両用のEVが100万円程度で購入出来るのであれば、日本でもかなりの引き合いが期待出来ます。

また、日本国内にも生産拠点を設ければ、その分雇用機会が増えます。

 

ですから、水害対策の一環としてだけでなく地球温暖化対策としても、まず政府には4人乗りの超小型モビリティは公道を走れないという規制を見直し、規制撤廃の方向で動いていただきたいと思います。

 

さて、もう一つ思ったことがあります。

将来的にEVのバッテリーの小型化が進めば、やがて着脱可能なカセット式の標準化されたバッテリーの可能性が出てきます。

そうなれば、以前ご紹介したベタープレイスが目指していたようバッテリー交換スタンドでの短時間でのバッテリー交換が出来るようになります。

 

ということで、長い目で見ればEVの本格的な普及に向けての動きはまだまだ始まったばかりで、これからどんどんEVのモーターやバッテリーなどの進化、あるいはインフラの整備、更にはEVバッテリーの一般家庭用電源としての活用など、様々な取り組みが行われていくものと思われます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月05日
アイデアよもやま話 No.3826 電子顕微鏡観察に革命をもたらしたきっかけはショウジョウバエの幼虫!?

7月16日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で電子顕微鏡観察の革命について取り上げていたのでご紹介します。

 

前回まで3回にわたって生物と機械の融合の研究最前線を見てきましたが、生物にはまだ機械では及ばない未知の能力があります。

その未知の能力を更に解明する新しい技術が今注目されています。

それは生物を生きたまま分子レベルで観察する電気顕微鏡に関する技術です。

電子顕微鏡は真空状態で電子線を当てるので、通常は生物は死んで干からびてしまうのです。

そこで生物の電子顕微鏡観察に革命をもたらしたのはショウジョウバエの幼虫です。

きっかけとなったのはショウジョウバエの幼虫だけが電子顕微鏡内部の真空状態でも生き続けることが分かったことです。

この現象を発見したのは浜松医科大学医学部生物学部門の針山 孝彦教授です。

針山さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ショウジョウバエの幼虫がなんで生きていたかっていうのは、生物学者にとっては発見ではあった。」

 

詳しく調べてみると、幼虫は粘性の高い薄膜で覆われていることが分かりました。

この膜が幼虫を守るガードの役割を果たしていたのです。

針山さんは、この膜構造に近い物質を探しました。

その結果、洗剤などに含まれる界面活性剤の一種に同じような構造があることを突き止めました。

この物質を他の生物に付けてみたところ、薄膜で守られ、真空化でも生き続けることが分かってきたのです。

この技術はナノスーツと名付けられました。

ナノスーツの観測によって、オオタバコガが微細な突起構造で光の反射を抑えていることが初めて発見されました。

この構造は、反射の少ないフィルムの開発に応用されています。

 

更に、ナノスーツは医療への応用も期待されています。

今年、改良されたナノスーツを使って、これまで薄く切った断面を見るしかなかったがん組織が立体的に観察出来るようになりました。

その結果、がん組織の構造や正常組織との違いが詳細に分かるようになりました。

針山さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「医学的な応用をして病気をいかに治すか、あるいは病気をどのように診断していくのかという、医療福祉に役立つことが出来るようにしていきたいと思います。」

 

大阪大学大学院工学研究科の森島 圭祐教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(ナノスーツの技術は、)画期的ですね。」

「(ナノスーツにより)生物に対する興味が湧いてきますし、まず見てみようっていう、生きたまま見れるということで、もっともっといろんなアイデア、発想がつながることで、これまで出来なかった工学的なデバイスとかシステムがどんどん増えてくるんじゃないかと。」

「(今後この研究はどのように進んでいくのかという問いに対して、)生物と機械の違いというのは、機械は電気を使って働く、生物はATPを使って化学エネルギーで動く、その違いが最終的に融合する点で難しさがあるんじゃないかと。」

「ただ、今日ご紹介した細胞レベルですね。」

「嗅覚受容体や筋肉の脂肪、ATPを使ってエネルギーを出す細胞、そういったデバイスレベルで半導体や小さい機械と組み合わせることで、今まで出来なかったような製品やシステムが一番近い応用分野じゃないかな。」

「私たちはそこに向けて、基礎研究、応用研究を慎重に進めていく。」

「かつ、興味を持って進めていくっていうことが重要じゃないかなと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

電子顕微鏡は真空状態で電子線を当てるので、通常は生物は死んで干からびてしまうということは知りませんでした。

ところが、ショウジョウバエの幼虫が真空状態でも生きていることが分かったこと、そして詳しく調べてみると、幼虫は粘性の高い薄膜で覆われていることが分かったこと、更にこの膜が幼虫を守るガードの役割を果たしていたこと、このような一連の発見のプロセスはそれだけでも謎解きゲームのようにワクワクした気分になってきます。

そして、針山さんは、この膜構造に近い物質を探し、洗剤などに含まれる界面活性剤の一種に同じような構造があることを突き止め、この物質を他の生物に付けてみたところ、薄膜で守られ、真空化でも生き続けることが分かってきたというわけです。

 

これまで電子顕微鏡は真空状態で観察するものという既成概念がたまたま真空中でもショウジョウバエの幼虫が生きていたことをきっかけに崩されたのです。

しかし、このことも針山さんの日頃の問題意識の高さがあったからこそだと思われます。

やはり、問題意識や好奇心、あるいは面白がる心、こうした心の持ち方がたまたま何かを見たり聞いたりすることで新しい何かの発見につながるのです。

 

それはともかく、生物を生きたまま電子気顕微鏡で観察出来るようになったことにより、これまで見えなかったことが見えるようになったのですから、そこからいろいろと新たな発見が生まれてくると期待出来ます。

そういう意味で、針山さんの発見は、電子顕微鏡に革命をもたらしたと言えると思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月04日
アイデアよもやま話 No.3825 生物×機械に見る融合研究最前線 その3 ATPがエネルギー問題解決のヒントを与えてくれる!?

7月16日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で生物×機械に見る融合研究最前線について取り上げていたので3回にわたってご紹介します。

生物と機械を融合する重要な分野として、センサー、アクチュエーター、エネルギーの3つがあるといいます。

そこで、1回目、2回目でセンサー、アクチュエーターと見てきた生物の優れた能力ですが、3回目はエネルギー問題解決のヒントを与えてくれるATPについてです。

 

大阪大学大学院工学研究科の森島 圭祐教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(エネルギーとはどういうことなのかという問いに対して、)機械を動かすためには電気が必要ですね。」

「ところが、生物というのは、皆さん食べ物を食べますよね、そこには糖が含まれている、その糖からできるATPという化学エネルギーを使う。」

「ATPは全ての生物が持っている化学エネルギーで、非常に重要な物質です。」

「それが生物の大きな特徴です。」

 

実は、このATPのエネルギーを効率よく電気に変換する生物がいます。

その効率のいいエネルギーシステムを使えば、人類にとってとても有用なのです。

植物、動物、微生物まであらゆる生物は体内で作られる化学物質、ATPのエネルギーを使って生きています。

もし無尽蔵に存在するATPエネルギーを使って効率的な発電が出来れば、環境・エネルギー問題の大きな解決策となります。

 

そんなエネルギー問題解決のヒントを与えてくれる生物、それはシビレエイです。

シビレエイなど体内のエネルギーを電気に変換する魚は「強電魚」と呼ばれ、発電効率がとても高い生物として知られています。

ATPエネルギーの消費量と発電したエネルギーを計算すると、発電効率はほぼ100%です。

そんなシビレエイの能力に注目したのが理化学研究所生命システム研究センターの田中 陽ユニットリーダーです。

田中さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ATPを使うという発想の発電機は今までなくて、技術的にも難しいですし、シビレエイという特殊な生き物が持っている機能を使うことで実現出来ると考えた。」

 

発電の秘密を探るため、まずはシビレエイの発電力を測ってみます。

電気を通す布でシビレエイを挟むと、すぐさま電気が流れました。

この実験では、電圧はおよそ9ボルト、単三電池6個分です。

この電気はどのようにして生み出されるのでしょうか。

シビレエイの頭部にある8センチほどある器官、これこそが電気の発生源です。

層が積み重なり、更にその層の中に数百もの細胞が重なっています。

この一つ一つが発電細胞です。

細胞の表面にはイオンチャンネルと呼ばれる構造があります。

イオンチャンネルは神経伝達物質の刺激によって開く仕組みになっています。

シビレエイはATPエネルギーを使って、細胞の外側にナトリウムイオンを集めます。

そして、神経伝達物質によってイオンチャンネルが開くとナトリウムイオンが一気に細胞内に流れ込みます。

この時、電流が発生します。

田中さんは、シビレエイの発電器官を使えば、新しい発電システムが出来ると考えました。

発電器官に神経伝達物質を注入すると、50ミリボルトの電圧が確認出来ました。

神経伝達物質の注入だけで生物の機関から電力の発生が確認されたのは、世界で初めてのことです。

更に、発電器官を直列に並べて大きな電力が取り出せる可能性も確認出来ました。

ATPエネルギーを利用しての発電機の第一歩です。

田中さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「バイオ的なエネルギーだけで発電出来れば、環境問題、エネルギー問題の非常に大きな解決策を与えることになるんじゃないかと思っています。」

 

また、森島さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(ATPエネルギー利用の実用化の可能性について、)確かにもっと大きな電力を得るためには、沢山の研究が必要ですけども、ATPから電気を作り出す、非常にこれまでの常識を覆すような発電機が出来るんじゃないかと。」

「(生物と機械の融合について、どこまで生物に頼っていいのかというのは難しい問題ではないかという指摘に対して、)私たち研究者もそういった生物と機械の融合ということを考えた時に、非常に研究としては重要な分野なんですけども、一方で生物を扱うということなので、ガイドラインや社会の合意形成が今後重要になっていくと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。 

 

シビレエイはATPエネルギーを使って、ほぼ100%の発電効率で発電するということですが、これは太陽光発電などと比べたら驚異的に高い効率です。

生物が進化の過程で手に入れた能力の凄さには驚くばかりです。

しかも、田中さんのおっしゃるように、このバイオ的なATPエネルギーだけで発電出来れば、環境問題、エネルギー問題が解決出来てしまいます。

現段階では、まだまだ実用化への道は遠いと思いますが、是非ATPエネルギーの実用化に向けた研究を進めていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月03日
アイデアよもやま話 No.3824 生物×機械に見る融合研究最前線 その2 バイオアクチュエーターで実現するマイクロマシン!

7月16日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で生物×機械に見る融合研究最前線について取り上げていたので3回にわたってご紹介します。

2回目は、バイオアクチュエーターで実現するマイクロマシン!についてです。

 

1回目では生物と機械を融合する重要な分野としてセンサーを見てきました。

ところがあと2つ重要な分野があります。

それはアクチュエーターとエネルギーです。

大阪大学大学院工学研究科の森島 圭祐教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「センサー、アクチュエーター、エネルギーというのは、いずれも生物において非常に優れた機能を持っているということで、これを人工的に作り込むことはこれまであまり出来ていない。」

「(アクチュエーターとは何かという問いに対して、)アクチュエーターというのはエネルギーを運動に変える動力源です。」

「例えば、モーターはロボットとか機械を動かすのに必要な動力源です。」

「生物というのは、電気エネルギーを全く使わずに運動エネルギーに変える、そういった素晴らしいアクチュエーターを持っている。」

「それが筋肉というバイオアクチュエーターです。」

 

森島さんが注目したのはガの幼虫(ミツモンキンウワバ)です。

その心臓の筋肉をロボットに使い、筋肉の収縮を前後の運動に変換するのです。

そこに心臓の筋肉を組み合わせて動かしていると、これが電源を一切必要としない4ミリ程度の小さな生物ロボットになるのです。

培養液に入れておくだけで、3ヵ月間動き続けるといいます。

森島さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「このように小さい体でも大きな力を出す。」

「今回、私が注目したのは、心臓に相当する肺脈管と呼ばれる筋肉、それを使うことで自律的に動く。」

「普通、ロボットは電池が必要ですね、動かすために。」

「今回の心臓の筋肉を使ったロボットというのは、全くそういった電気を使わずにケーブルもつながっていない。」

「そういった小さいロボットを作ることが出来る。」

「(他にどんなものがあるかという問いに対して、)ショウジョウバエの筋肉を使っています。」

「光を使ってオン・オフ制御が出来ることで、動かしたい時にその筋肉をある方向に動かす。」

「先端にグリッパーという、モノをつかむ機構を付けています。」

「(こうしたロボットはどういう分野で使われるのかという問いに対して、)人が入り込めないようなところに行って探査するロボット、そういったマイクロマシンを作りたい。」

「それから、医療分野ですと、最終的には体の中に入って手術をするようなロボット、例えばカテーテルとか内視鏡の先端にこういった細胞のバイオアクチュエーターからできたツールを付けて、そういったデバイスにも使える。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

あらゆる生物が活動するうえで、筋肉がアクチュエーターの機能を果たしているという見方はとても新鮮に感じられます。

あらためて、生物といえども、その移動のメカニズムは基本的にロボットなどと同様であることを思い起こされます。

前回ご紹介した昆虫の驚異的な嗅覚を利用したセンサーとバイオアクチュエーターを組み合わせたマイクロマシンが実現出来れば、森島さんのおっしゃるように探査ロボットや医療分野での応用が考えられます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月02日
アイデアよもやま話 No.3823 生物×機械に見る融合研究最前線 その1 昆虫の驚異的な嗅覚を利用したセンサー!

7月16日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で生物×機械に見る融合研究最前線について取り上げていたので3回にわたってご紹介します。

1回目は、昆虫の驚異的な嗅覚を利用したセンサーについてです。

 

生物が進化の過程で獲得した驚くべき能力の数々、人類はその能力から学んでモノづくりへと応用してきました。

しかし、生物には人工的には再現出来ない能力がまだまだ沢山あります。

そこで優れた能力を持つ生物の細胞と機械とを融合させる研究が今次々と誕生しています。

 

昆虫の持つ驚異的な嗅覚の遺伝子をマイクロチップに組み込んだにおいセンサーは、昆虫の種類によって異なる特定のにおいに反応する超高感度なセンサーとして爆発物を見つけたり、災害現場での人命救助に役立つと期待されています。

更に、真空状態でも生き抜く生物の細胞膜をヒントに電子顕微鏡の世界に革命が起きています。

生きたままのがん組織が見られるなど、医療現場で応用が進んできます。

生物の優れた能力を取り込み、機械と融合する新たなアプローチ、その最先端に番組は迫ります。

 

実は、生物の優れた特徴を模倣して人工物を作る、バイオミメティクス(生物模様)という研究が進められていますが、生物の能力が凄すぎて模倣出来ない場合があります。

そこで、現在新しいアプローチが始まっています。

それは、生物の凄い能力をそのまま機械に取り込んでしまおうという研究なのです。

 

アメリカのハーバード大学のチームが作った全長1.6cmのエイのようなかたちをしたロボットは中心部に骨格があって、周りの透明な部分は高分子素材で出来ています。

この透明な部分にネズミの心臓の筋肉細胞が20万個取り込まれています。

このロボットは、筋肉細胞が動くと筋肉細胞を収縮させて、本物のエイのように前へ進む仕組みだと言います。

なお、この心臓の筋肉細胞は耐久性があって、しかも省エネで長く動き続ける、非常に優れているのですが、人工的には作ることが出来ないのです。

そこで、ネズミの心臓の筋肉を取り込んで、生物に近い動きを実現しているのです。

 

このように生物の機能を取り込んだ研究が今次々と誕生しています。

生物の50%以上の種を占める昆虫、進化の中で高度な能力を獲得してきました。

特に嗅覚は昆虫が進化させた最も重要な感覚です。

人間よりも優れた感度を持っています。

東京大学光先端科学技術研究センターの光野 秀文助教は、この昆虫の嗅覚を生かした新らしい研究をしています。

光野さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「昆虫の嗅覚機能を使うことで、既存のセンサーを超えるようなセンサーが出来るのではないかという考えのもと、センサー作りを行ってきています。」

 

昆虫の優れた嗅覚は、触覚にその秘密があります。

カギとなるのが触覚の細胞内にある嗅覚受容体と呼ばれる部分です。

ここに特定のにおい物質が結合すると電気信号が脳に流れ、においを感じる仕組みです。

光野さんが注目するのは、キイロショウジョウバエです。

成虫の遺伝子には嗅覚受容体が32種類存在することが知られています。

その中には、カビの成分をかぎ分ける嗅覚受容体などセンサーとしての利用が期待されているものもあります。

例えば、大量のオレンジの中に一つでもカビが生えたものが混ざっていれば、カビが一気に蔓延すく危険があります。

ショウジョウバエの嗅覚受容体があれば、カビの存在を感知出来るというわけです。

 

光野さんは、ショウジョウバエの嗅覚を生かしたセンサーを作れないかと考えました。

嗅覚受容体を遺伝子から作り出そうというのです。

まず、センサーのもととなる培養細胞を作りました。

この培養細胞にショウジョウバエの嗅覚の遺伝子を組み込むことで嗅覚受容体を作り出すことが出来ます。

更に、におい物質を嗅覚受容体が感知した時に光を発するように特殊な操作を行いました。

こうしてカビのにおいに反応する嗅覚受容体を培養細胞に作り、センサーチップの中央にある大きさ1.5ミリの部分に搭載しました。

実際に、カビのにおいにセンサーチップを反応させると見事に光の反応が確かめられたのです。

更に数を増やしていくことによって、環境中に存在する様々なにおい物資を蛍光パターンとして取得出来るようなにおいセンサーチップが構築出来てくるのではないかと光野さんは考えています。

 

また、大阪大学大学院工学研究科の森島 圭祐教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「昆虫の嗅覚受容体というのは大気中の様々なにおい物質の中から特定のにおい分子だけをかぎ分ける優れた機能を持っている。」

「それを使いたいっていうのが発想です。」

「(嗅覚受容体は人工的に作れないかという問いに対して、)これまでの技術では嗅覚受容体とそっくりそのまま作るというのは非常に難しい。」

「そこで、生物そのものを使おう、細胞の中にある嗅覚受容体を取り込んで、それをデバイスとして使おう、そういう発想です。」

 

なお、昆虫は種類によって得意とするにおいが違うといいます。

例えば、ミツバチは爆発物のにおいに反応します。

なので、ミツバチの嗅覚があれば、テロなど犯罪現場での爆発物の発見に役立ちます。

一方、ハマダラカは人の汗物質に対応した嗅覚受容体を持っているので、災害救助現場で人を探すのに役立ちます。

こうした状況について、森島さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「昆虫の嗅覚受容体とにおいの組み合わせは、世界中の研究者たちによって100種類以上発見されています。」

「これを1枚のマイクロチップ搭載すれば、様々なにおい物質がかぎ分けられる、こういう優れたスーパーセンサーが作れます。」

 

さて、昆虫の嗅覚を生かす研究は更に進化しています。

実際の環境ではにおい成分は空気中に拡散しています。

しかし、たとえ数km離れた場所であっても昆虫たちはにおいをかぎ分け、その発生源までたどり着きます。

この機能を機械に取り込めないか、東京大学光先端科学技術研究センターの安藤 規泰特任講師は、昆虫の脳のメカニズムに注目しています。

においに反応した後、脳内で神経がどのように働いてにおいの発生源に向かう信号を出しているのか、安藤さんの所属する研究グループは20年前脳の中から運動制御する神経を突き止めました。

その神経の働きをコンピュータープログラムに再現、カイコガの触覚以外は全て機械に置き換えたロボットを開発しました。

触覚がにおいを感知すると、プログラムにとってにおいの発生源までロボットが移動します。

画期的なシステムでしたが、課題も残りました。

安藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「実験室のような非常に制御された環境であればいい成績を残すことが出来るんですけども、実際に生き物が暮らしている世界は非常に複雑で様々な環境情報が入ってきますし、時々刻々と変介していきます。」

「そういう環境においては、まさに生物の持つセンサーと情報処理の仕組みが恐らく生かされるのではないか。」

 

そこで、脳と運動の複雑な制御の仕組みを詳しく調べるため、スーパーコンピューター「京」を使って解析を始めました。

カイコガの脳内にある10万本以上の脳神経、全ての働きを読み解こうというのです。

現在、およそ3万6000本の脳神経の機能が解明されつつあります。

においを感知した後、運動を制御する際にどの神経がどの程度働くのかが明らかになってきました。

 

これをコンピュータープログラムに応用すれば、数キロ先のにおいの発生源まで自らをコントロールしながら飛んで行くようなロボットの開発が見えてきます。

こうした状況について、森島さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「将来的に昆虫の脳のメカニズムが分かってくると、それをロボットに搭載する。」

「そういった非常に優れたにおいセンサーを持ったロボットの研究が進んでいくと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

それにして、数km離れた場所であっても昆虫たちがにおいをかぎ分け、その発生源までたどり着くというその能力にはビックリです。

このように、生物には人工的には再現出来ない能力がまだまだ沢山あるということですが、優れた能力を持つ生物の細胞と機械とを融合させる研究が今次々と誕生しています。

まさに、人類は生物の仕組みの解明にいよいよ近づいてきたと感じられます。

 

将来的に、様々なにおいに反応するスーパーセンサーを搭載したロボットが実用化されれば、救命活動や犯罪捜査など多くの分野で活用出来ると大いに期待出来ます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年10月01日
No.3822 ちょっと一休み その614 『日本初のラーメンは○○時代だった!』

7月14日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本初のラーメンはいつの時代だったかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

日本の食を代表する庶民の味“ラーメン”、その歴史を覆す文献が見つかりました。

歴史を覆す新発見を発表したのは、新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区)です。

これまでラーメンは、江戸時代に水戸黄門で有名な徳川光圀公が食べたのが最も古い記録とされていました。

しかし、遡ること200年以上前の室町時代、ある僧侶の日記に“経帯麺”という料理を作ったと書かれていたというのです。

僧侶が参考にしたという“経帯麺”のレシピの載った文献には、小麦粉(白麺)、炭酸ソーダ(減)、そして塩で作るとあります。

 

中華麺の定義では、“かん水”と小麦粉を使用するとされていて、“かん水”は炭酸ソーダに当ります。

当時のレシピを再現したラーメンの味について、番組レポーターの井上 舞花さんは次のようにおっしゃっています。

「少し弾力があって、ただ麺自体はあまり味がしないですね。」

「ラーメンというよりは、うどんに近い食感です。」

 

この“経帯麺”がまさにラーメンの元祖ということで、水戸黄門が食べたとされる歴史を200年以上遡ることになったのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した“経帯麺”がラーメンの元祖ではないかということですが、中国が発祥の中華麺との関係が知りたくなり、ウィキペディアで調べてみました。

そうしたところ、以下のような記述がありました。

 

興味ある中国史の陰に今より数百年前一寒村に住む一農民の生活史がある。 ある日農民は山より湧き出でる水を使用して麺作りを行った処、井戸水を使用した何時もの麺とは異なった麺が出来た。農民はこの山の土質にアルカリ性物質が大量に含まれていて、この物質がこの水に溶解している事を知る由もなかったのであるが、この麺こそ中華麺に他ならぬものであり、中華麺誕生の由来である。以来この地方の農民はその山水を煮詰め又、固形化(石かんすい)とし各地に移出し、中華麺は中国全土に広まって行ったのである。

 

このように、中国でもほぼ同じ時代に中華麺が誕生し、中華麺は中国全土に広まって行ったことから、“経帯麺”はこの中華麺の製法が何らかのかたちで日本に伝わったのではないかと推測されます。

 

さて、今や日本のラーメンには札幌ラーメンや豚骨ラーメン、あるいは喜多方ラーメンなど、様々なバリエーションがあります。

更に、ご存知のように日本発のインスタントラーメンは世界中に普及しています。

そして、インスタントラーメンもどんどん進化しています。

ですから、例えラーメン発祥の地は中国であっても、日本人はその製造技術を発展させて、独自のラーメン文化を築き、日本人のみならず世界中の多くの人たちの食文化に貢献しているのです。

このように、技術の発祥の地がどこであっても、その技術を応用して世界中の人たちの豊かな暮らしに貢献することこそが世界中の技術者に求められていることだと思います。

そういう意味で、今世界的に大問題を引き起こしている北朝鮮の核・ミサイル開発に係わっている技術者のみならず、世界中の大量破壊兵器を開発している技術者は反面教師と言わざるを得ません。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月30日
プロジェクト管理と日常生活 No.508 『北朝鮮の核・ミサイル実験に見る核兵器廃絶の必要性 その2 『北朝鮮による核・ミサイル実験の行方!』

最近の北朝鮮による強硬に進める核・ミサイル実験の報道に接して、なぜ北朝鮮はこうした動きをするのか、そして世界や日本はこうした動きについてどのように対応すべきなのかなど、いろいろと疑問が湧いてきました。

そこで、リスク管理の観点から6回にわたってこうしたことについてお伝えしていきます。

2回目は、北朝鮮による核・ミサイル実験の行方についてです。

 

9月4日(月)放送の「クローズアップ現代+」(NHK総合テレビ)で「北朝鮮による“水爆実験”の衝撃 危機の行方は」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

 

北朝鮮は9月3日に過去最大の大揺れを観測した6回目の核実験が強行されました。

この結果について、朝鮮中央テレビでは次のように伝えています。

「大陸間弾道ミサイル搭載用水爆実験を成功裏に断行しました。」

「ICBMに搭載する水爆の実験に完全に成功しました。」

 

北朝鮮が初めて核実験を行ったのは2006年10月、爆発規模は回を重ねるごとに大きくなり、次第に広島、長崎型の原爆レベルに近づいてきました。

2016年に行われた5回目の実験では最大で12キロトン程度、この時はまだ多くの専門家が水爆に達するレベルではないとしていました。

ところが、6回目の実験の爆発規模は過去最大の160キロトン(*)(番組では70キロトンと伝えたが後に防衛省で修正)、水爆に限りなく近い爆発力が観測されたのです。


* 広島に投下された原爆15キロトンの10倍以上の威力

 

更に、9月15日(金)放送の「深層NEWS」(BS日テレ)でもその後の北朝鮮の動きについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

国連安保理(国連安全保障理事会)の新しい制裁決議のわずか3日後の9月15日(金)(日本時間)に弾道ミサイル1発を発射、8月に続いてミサイルは北海道の上空を通過し、太平洋上に落下しました。

今回の発射で大きな意味があるのは飛行距離が前回の約2700kmから約3700km以上に伸びたことです。

この距離はアメリカの軍事基地のあるグアムまでの距離3357kmを超えるものです。

今回の弾道ミサイルは、距離では北朝鮮が標的としたグアムを射程に収めます。

韓国国防省の関係者は、今回実際にグアムを攻撃する能力があることを誇示する狙いがあったと分析しています。

こうした中、北朝鮮に融和的とされてきた韓国の文大統領が強硬姿勢に舵を切り、次のように表明しています。

「このような状況では対話も不可能だ。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

また、9月17日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)では、16日(土)の朝鮮中央テレビでの北朝鮮の金正恩党委員長の次の言葉を伝えていました。

「核戦力完成の目標をいかに達成するかをはっきりと見せつけなければならない。」

「今やその終着点にほとんど到達した。」

 

国連安保理の制裁決議のわずか3日後に北朝鮮がミサイル実験を強硬したことに対し、さすがの文大統領も対話による解決は不可能と判断しました。

一方、北朝鮮の最終目的はアメリカ本土に届くようなアメリカ東部に到達可能な長距離弾道ミサイル(ICMB)と核兵器の開発ですから、今後とも目的達成まで実験の手を緩めることはないはずです。

 

更に、アメリカも戦争を含めたあらゆる選択肢があると表明しています。

 

こうした状況から、北朝鮮の最終目的の達成の時期を焦点に、アメリカと北朝鮮の両国、および国連安保理の対応次第で両国は戦争へと突き進むリスクが高まっています。

しかも、6回目の実験の爆発規模は過去最大の160キロトンで、広島に投下された原爆の10倍以上の威力といいます。

更に、トランプ大統領と金正恩党委員長との激しい言葉の応酬が続く中、増々緊張が高まっています。

そうした中、その後の報道によれば、9月21日に北朝鮮の李容浩(リ ヨンホ)外相は、次に起こる挑発行為について、次のようにおっしゃっています。

「私の考えでは、おそらく史上最大の水爆実験を太平洋上でやることになるのではないかと思う。」

 

こうした緊迫した状況ですから、複数の米軍基地のある日本としては、何としても平和裏に北朝鮮による核・ミサイル開発問題を解決する道を見つけて両国、あるいは国連安保理に働きかけなければならないのです。

これは、まさに日本国としての国家安全保障の究極のリスク対応策と言えます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月29日
アイデアよもやま話 No.3821 大企業×ベンチャーの”失敗方程式”!

7月14日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で大企業×ベンチャーの”失敗方程式”について取り上げていたのでご紹介します。

 

大企業が将来の可能性を秘めたベンチャー企業と手を組むケースが増えてきています。

野村証券などの野村ホールディングス(野村HD)は、7月14日、ベンチャー企業と協業し、サービスの開発を行うプログラム、「野村アクセラレータープログラム」の成果を発表しました。

シニア世代の心を豊かにするサービスなど社会問題を解決するための5つのテーマを設定、グループ会社がそれぞれ5つのベンチャー企業と協力してビジネスプランを練ります。

協業がうまくいくように、各ベンチャー企業に3ヵ月半にわたって野村の社員を送り、二人三脚でビジネスモデルの開発にあたってきました。

野村HD・金融イノベーション推進室長の八木 忠三郎さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「想定よりも相当早くテストマーケティングに入ったチームがありまして、そこはかなり我々としても成果と言えるのではないか。」

 

今後、野村HDはベンチャー企業と更にビジネスモデルを磨き、優秀な企業への出資や提携も検討することにしています。

 

一方、ANAホールディングスが組んだのは、宇宙ビジネスのベンチャー企業、株式会社アストロスケールです。

来年にも衛星を宇宙に打ち上げる予定です。

設立して4年のアストロスケールは、ロケットの破片などの“宇宙ゴミ”を衛星でキャッチし、除去する事業を目指しています。

このベンチャー企業にANAホールディングスは約3億3600万円を出資しました。

その目的について、ANAホールディングスの長峯 豊之副社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「培ってきた航空機を安全・安心にオペレーションするノウハウが今後拡大していく宇宙事業に何らかのかたちで生かせるのではないか。」

 

ベンチャー企業と組むことで、ビジネスのフィールドが宇宙にも広がる可能性を秘めています。

 

一方、日本では大企業とベンチャー企業が一緒になってうまくやっていくのがあまり上手でないと言われてきました。

そこで、失敗しないために気を付けることがいくつかあると早稲田大学ビジネススクール准教授の入山 章栄さんは考えており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アメリカですと大企業とベンチャーは非常に連携が進んでいて、実は結構失敗しているんですよね。」

「で、理由がいろいろ分析されていまして、我々経営学者がよく言うのが、像とネズミがダンスが出来るかという言い方をするんです。」

「で、例えばなんですが、ネズミ、小さなベンチャーというのは自分たちのビジョンを実現したい“ビジョン重視”なんです。」

「ところが、大企業っていうのはとにかく目先で成果を出しちゃいたい、早く結果を出したいっていう(“目先の成果重視”)、そこが違う動物なんですよね。」

「それから、ベンチャーは“失敗して当たり前”だと、失敗してもどんどんトライしていくんだという考え方なんですが、大企業は(“成功を前提”で)どうしてもまず成功したいと。」

「そして、ベンチャーは意思決定が早くて、いろいろ失敗してもどんどんどんどん変更していくわけで、ちょろちょろちょろちょろ動くわけですね。(”意思決定が早く、変更が前提“)」

「ところが、象である大企業は非常に意志決定が遅くて、手続き重視でいわゆる稟議書ですよね。」

「稟議書をもたもた待っている間に、ベンチャーはしびれを切らしちゃうわけです。」

「そして、ベンチャーって新しいことをやっているんで人間関係を重視したいんですね。」

「“信頼重視”なんだけど、象である大企業はローテーション人事があって、せっかく信頼関係つくったのに2年くらいで担当者がいなくなっちゃうんですよ。」

「で、次に来た担当者も企業の方ばかり見てしまうとことで、中々信頼関係がつくれないんですね。」

「といった違う動物なんだっていうことをお互いに理解した上で歩み寄るということが何より重要だということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

入山さんのおっしゃる大企業とベンチャー企業が協業する際の“失敗の方程式”について以下にまとめてみました。 

(大企業)         (ベンチャー企業)

目先の成果重視       ビジョン重視

意思決定が遅く手続き重視  意思決定が早く変更が前提

ローテーション人事     信頼重視

 

こうしてまとめてみると、大企業、ベンチャー企業にはそれぞれの良さがあります。

しかし、今は技術の進歩が速いので大企業と言えどもこの変化についていけなければ、いつ行き詰まってしまうか分かりません。

一方、いくら素晴らしいビジョンを掲げて事業を進めても資金不足に陥ってしまえば、経営が危うくなります。

ですから、短期的な利益獲得とビジョンの実現という2つのバランスを考えた経営が求められます。

また、1社では出来ない事業でも、複数の企業が協業すれば出来るようになる事業は沢山あるはずです。

 

ということで、今回ご紹介したように、大企業の組織運営とベンチャー企業の持つ革新的な技術力という両者の良さをうまく引き出すような協業を目指して、ビジョンの達成、あるいはユーザーの潜在需要に応えるような商品、あるいはサービスを提供していただくように各企業にお願いしたいと思います。

その際には、くれぐれも“失敗の方程式”を反面教師にしていただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月28日
アイデアよもやま話 No.3820 世界初”全て無料”のスーパー!

これまで「食品ロス」について何度かお伝えしてきました。

そうした中、7月8日(土)付けネットニュースで世界初の全て無料のスーパーについて取り上げていたのでご紹介します。(詳細はこちらを参照)

 

オーストラリアのシドニーに「すべて無料」のスーパーがオープンしました。

賞味期限切れ前でも処分されてしまうような食品を大手スーパーなどから譲り受けて提供するのです。

まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」問題に対する意識を高めてもらい、生活に困っている人々の支援も狙います。

 

お客は選んだ商品への支払いは求められず、自分の意思で寄付が出来ます。

専用の箱には「1豪ドル(約83円)の寄付で2人分の食事が届けられます」とあります。

 

この無料のスーパーは、シドニー南部の「オズハーベストマーケット」で、約200平方メートルの店内に果物や野菜、パンやコーンフレーク、ビスケットなどが並びます。

値札はなく、レジもありません。

お客は買い物かご一つまで品物を手に出来ます。

 

開店時間は平日の午前10時から午後2時までで、毎日150人ほどが来店し、約2千点の品物の大半はなくなります。

小売業者などから譲り受けた食品を売るスーパーはデンマークにもありますが、「無料」なのは「世界初」といいます。

 

運営するのは、2004年以来、国内各地で支援が必要な人に計6500万食を提供してきた市民団体「オズハーベスト」です。

スーパーのお客には代わりに寄付をお願いしており、開店から5週間で2万豪ドル(約170万円)が集まりました。

なお、寄付は団体の食事提供事業の費用に充てられます。

 

以上、ネットニュースの内容をご紹介してきました。

 

一般的なスーパーでも賞味期限間近の商品は、「xx%引き」の紙を貼って販売されています。

こうした商品を無償で提供するスーパーやコンビニなどと今回ご紹介したような“無料スーパー”が提携すれば、毎日の食費にも困っている人たちにとってはとてもありがたい存在となります。

また、こうした取り組みは「食品ロス」の削減にもつながり、省エネや“もったいない”精神の大切さをつたえる上でとても素晴らしい社会貢献になります。

そして、注目すべきは、商品を“全て無料”にしたことです。

これにより、値札を貼る作業だけでなくレジ係も不要になります。

ですから、低コストでのサービスが可能になるのです。

 

さて、運営費は全てお客の寄付により賄われているといいます。

ですから資金的には一見不安定な事業と思われがちですが、そこはお客に対する事業運営への理解を求める活動、あるいは協賛企業による寄付など、アイデア次第で継続的な運営は可能と期待出来ます。

 

ということで、“全て無料スーパー”においては、作業プロセスのシステム化などでより効率化を図り、どこの国でも共通化したかたちで、是非こうした取り組みは世界的に展開していただきたいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月27日
アイデアよもやま話 No.3819 技術力で医療サービス向上の事例 その2 IoTを活用した医療機器管理システム!

7月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で技術力で医療サービス向上の事例を2つ取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、IoT(モノのインターネット)を活用した医療機器管理システムについてです。

 

技術の力で医療のサービス向上につなげる動きは、聖路加国際病院(東京都中央区)でも見られます。

こちらの病院の臨床工学室(地下2階)では点滴用ポンプなど小型の医療機器およそ2000台を保守管理しています。

こうした機器は複数の診療科をまたいで使われていて、課題がありました。

こちらの臨床工学室の秋葉 博元さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「漠然といろいろな所に放ったらかしになっていたりとか、病棟によっては専用のストック棚を設けて置かれている所もあったりだとか、その管理はまたまちでしたね。」

 

そこで、この病院が導入したのが素材メーカー、帝人が開発した医療機器管理システム「レコピック」です。

電波を発するシートを保管棚に置き、医療機器に電波を受信するICタグを貼ることで、どの課にどのような医療機器があるかをパソコン画面で把握出来ます。

例えば、内科で保管していた機器が急きょ足りなくなった場合、これまで看護師が地下2階の臨床工学室まで取りに行っていました。

システム導入後は、必要とする機器の場所がパソコンで分かるため、近くの課から機器を持ってくることが出来るようになりました。

秋葉さんは、次のようにおっしゃっています。

「(聖路加国際病院は)地上10階、ここ(臨床工学室)は地下2階ですので、実質12階ありますので、長い時に往復20分もかかるケースもあるので、その時間をいかに短縮するかは大事だなと考えています。」

 

システム導入から1年、看護師が臨床工学室に移動する回数はおよそ85%削減されました。

これにより、看護師による患者への対応が拡充したといいます。

更に、短い時間で機械を準備することが出来て、結果的に患者さんの安全につながるようになりました。

また、こうした効率的な運用で、今後2000万円相当の医療機器を削減することも出来るといいます。

最新技術で無駄を省きながら医療サ−ビスの向上につなげる動きは今後も加速しそうです。

 

今後、国では在宅診療を増やす方針ですが、医師の数の問題や質を落とさずに効率をどのようにアップするかが大事な要素になってきます。

そこで今までと発想の違う新しい医療機器が求められます。

これは医療メーカーにとっても新しいビジネスチャンス、あるいはマーケットになると番組では指摘していました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した医療機器管理システム「レコピック」の事例もIoTの活用事例と言えます。

電波を発するシートを保管棚に置き、医療機器に電波を受信するICタグを貼ることで、どの課にどのような医療機器があるかをパソコン画面で把握出来ます。

こうした“見える化”により、これまで出来なかったような効率的な作業が可能になったのです。

 

考えてみれば、これまでも様々な作業がコンピューターにより機械化されて効率化が図られてきました。

それがIoTにより、これまでは不可能だったレベルの作業の効率化が可能になったのです。

そして更に、AI(人工知能)やロボット技術との組み合わせにより、今や全自動に限りなく近い作業プロセスが実現出来る可能性が出てきたのです。

 

高齢化社会の進行により、医療費は今後とも更なる上昇が見込まれます。

そうした状況下において、2回にわたってご紹介してきた医療サービス向上の事例は、医療費削減対応策の大きなヒントになると思われます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月26日
アイデアよもやま話 No.3818 技術力で医療サービス向上の事例 その1 ポケットサイズで心臓診断!

7月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で技術力で医療サービス向上の事例を2つ取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

1回目は、ポケットサイズの機器で出来る心臓診断についてです。

 

オンライン医師相談サービスのアスクドクターズ(AskDoctors)の協力でおよそ1000人を対象に番組独自で調査した結果、実に約6割の人が病院の待ち時間に不満を持っているということです。

更に、実際に通院している病院でどれくらい待つのかを聞いたところ、30分〜1時間以内という人がおよそ7割もいるのです。

また、診察時間が5分以内だったという人が全体の約7割を占めています。

これが日本の医療の現実なのです。

 

この問題の原因となっているのが医師の数なのです。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、人口1000人当たりの日本の医師数は2.4人で、調査出来たOECD加盟国32ヵ国の中で28番目という結果なのです。

一方、医師の数は簡単には増やせません。

 

こうした医療の問題を技術の力で解決しようという企業があります。

7月6日に開催されたGEヘルスケア・ジャパンの新型医療機器の発表会で、多田 荘一郎社長がポケットから取り出したのはスマホではなく、ポケットサイズの超音波診断装置「Vscan Extend」(価格98万円(税別))、いわゆるエコー装置です。

その証拠に端末から伸びたケーブルの先にはプローブと呼ばれる肌に触れる部分があります。

この診断装置はWi-Fiにも対応していて、画像データを離れた場所にいる医師に送ることが出来ます。

東京ベイ・浦安市川医療センターの渡辺 弘之ハートセンター長は、この診断装置の使い方について、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「心臓は胸の真ん中からよる見ることが出来ますので、そこに(プローブを)当てますと、それだけで心臓の構造を見ることが出来ます。」

「学生でもナースでも使えます、スイッチ入れるだけですから。」

 

「初期診断として、病気の有無をある程度推定するには十分です。」

「例えば、心電図では心臓の動きは分からないんです。」

「診察には限界があります。」

「(超音波診断装置を)当てるだけで動きが良いか悪いかが分かりますので。」

「何よりも、この画像を見ることで患者さんに安心していただけるんじゃないかと思います。」

 

この診断装置を使えば、心臓の超音波映像により弁が開閉する様子もはっきりと捉えることが出来ます。

更に、赤は心臓に戻る血液、青は心臓から出る血液というように、血液の流れを色で表すことも出来ます。

 

早期診断につながり、医師不足にも一役買いそうなこの新型装置、災害時にも活用出来るといいます。

多田社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「災害地における被災された所で行われる医療は限られたわけですけども、エコノミークラス症候群などの病状についても、エコーがあればある程度看ることが出来ますし、今まで看ることが出来なかった所で使うことが出来る。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

冒頭でお伝えしたように、病気やケガで通院する際、病院までの移動時間は別にしても、病院で診察を受けるまで待たされる時間、そして会計を済ませるまでの時間、更に薬局に処方箋を渡して薬を受け取るまでの時間、こうした時間に比べて、診察時間は5分もかからないケースがとても多いように感じます。

 

そこで、今回ご紹介したポケットサイズの超音波診断装置のように、簡易的な診断装置があり、看護師の方、あるいは患者自らが操作して診断出来るようになり、その結果を見て、医師が初期診断出来るようになれば、とてもスムーズに診察が進むと期待出来ます。

ですから、医師による診断作業を支援するような簡易的な装置が今後とも開発されることにより、診断内容が一定の品質基準をクリア出来るうえ、診察時間が短縮されると期待出来ます。

 

更に、診察結果から会計処理、そして薬の処方箋の受け取り、薬局での薬の受け取りという一連の流れをシステム化すれば、現在の通院に係わる様々なプロセスは簡素化され、患者にとっても病院にとっても、そして薬局にとっても大きなメリットがあり、更には医療費の削減にもつながると期待出来るのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月25日
アイデアよもやま話 No.3817 動き出す”救命アプリ”!

7月3日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で動き出す”救命アプリ”について取り上げていたのでご紹介します。

 

街で倒れている人に遭遇した時、すぐに対応出来るでしょうか。

日本では1日に約200人の人が心臓突然死で亡くなっているといいます。

1秒でも早い対応が必要ですが、都内で救急車が到着するまでの時間は出動件数が急増している影響もあって平均で10.8分といい、これは日本で最も遅いといいます。

こうした中、救命率を少しでも上げようとあるスマホのアプリが動き出そうとしています。

 

「コエイド119」というアプリを開発したコエイド株式会社の玄正 慎社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(このアプリを開発した理由について、)救急車の到着時間が年々遅れています。」

「AEDは非常に沢山設置されているんですけども、中々その活用が難しい。」

「そういったAEDが必要な時を知ることが出来なかったり、場所が分からない、こういった問題を情報共有で解決したいと考えています。」

「(「コエイド119」について、)このアプリは、119番通報をしながら、周りの医療知識のある方、AEDの設置施設にも連絡がいって、自動で電話がかかってAEDを届けていただくといったことを実現するためのアプリです。」

 

スマホ上の「コエイド119」の画面の赤いボタンを押すと、現在地が表示され、SOSが発信出来ます。

119番通報と同時に、周囲のAEDを設置している施設やアプリを登録している人にSOSを発信、すると発見者のもとに続々と助けが来るというものです。

これで、救急車が来る前に素早く対応出来るのです。

 

救急車が到着するまでの救命率を上げるためには、より多くの人にこのアプリを登録してもらうことが重要です。

そこで、玄正社長はアプリの普及に協力してもらうため大企業を巻き込もうとしており、玄正社長は、第一生命保険 池袋総合支社(東京都豊島区)に売り込みに訪れました。

そして、こちらの営業職員が「コエイド119」に登録し、更に顧客にもアプリを紹介することになりました。

角谷 順一朗支社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「営業職員自体がお客様のところに定期的に訪問して、見守り活動はしていますので、アプリをしっかりとご案内していくというところからのスタートかなと。」

 

このアプリを広めることは生命保険会社側にも将来的にメリットがある考え、玄正社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「このアプリが普及することによって、心筋梗塞で亡くなるような方が減るということになれば、実際に生命保険会社さんにとっては保険金を支払うケースが少なくなると考えられます。」

 

なお、コエイドでは半年間で医療従事者など700人、一般人で1万4000人の登録を目指しています。

 

さて、先日、神奈川県横須賀市にある大規模マンション、ソフィアステイシアで住民向けに「コエイド119」の説明会が開かれました。

実は、心臓停止の発生場所の約7割は住宅だといいます。

玄正社長は、マンションでこそアプリが威力を発揮すると考えています。

なので、説明会では次のようにおっしゃっています。

「マンションは、オートロックなどがあり、不審者対策や安全管理のために外部の人を簡単に入れないようにしていると。」

「それによって、実は緊急時に助けに行っても入れないわけです。」

「なので、この中だけで機能する仕組みを作る必要がある。」

 

マンション用のシステムは、外部の人には連絡がいかず、119番通報と同時に管理人や登録者全員に通知がいきます。

連絡を受けた人は、素早く現場に向かうという仕組みです。

しかし、住民の反応では、使い勝手などまだまだ改善の余地があるということですが、玄正社長はこうしたマンション用のシステムにビジネスチャンスがあると見ており、次のようにおっしゃっています。

「こういった社会課題解決の仕組みは、受益者からお金を取るのが難しいという問題があります。」

「そこをこういった専用のシステムを導入いただくことで受益者が明確になり、対価をいただけるモデルに昇華出来ると考えております。」

 

さて、「コエイド119」は7月中に配信開始予定といいますが、このアプリが命を救う救世主になる日はそう遠くないかもしれません。

なお、「コエイド119」普及のための実際の動きですが、まずは東京都豊島区と組んで実際の運用を始め、徐々に広げていくということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した「コエイド119」は、IoT(モノのインターネット)の活用の好事例と言えます。

「コエイド119」に登録することによって、119番通報をしながら、周りの医療知識のある方、AEDの設置施設にも連絡がいって、自動で電話がかかってAEDを届けるというように、心肺停止で困っている人を軸に、その人の居場所や救命措置の支援に関係する人や組織がインターネットでつながることによって、より救命効果を高めることが出来るようになるからです。

 

こうした基本的な考え方は、心肺停止で困っている人だけでなく、いろいろな状況を想定して、効率的、かつ効果的な解決策を提供するうえでとても有効だと思います。

インターネットを通じて、人も含めてあらゆるモノがつながることによって、目的に応じて様々な解決策の実施につなげることが可能になるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月24日
No.3816 ちょっと一休み その613 『日本の神社はダイバーシティ!』

6月7日(水)放送の「探検バクモン」(NHK総合テレビ)で明治神宮をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

 

明治神宮があるのは、まさに東京のど真ん中、およそ3km圏内に渋谷、新宿、六本木といった都会の喧騒があります。

明治神宮は言わば東京のオアシスなのです。

今、この明治神宮が外国の観光客に大人気で、訪れる外国人は去年の調査で5年前の4.6倍以上に増えているといいます。

 

明治神宮は、大正9年(1920年)に明治天皇と昭憲皇太后を祭るために建立されました。

現在、参拝者数は全国一、初詣だけで毎年300万人以上が訪れています。

七五三や結婚式の会場としても人気が高く、日本人になじみの深い場所です。

 

一方、外国人はこの場所に意外な魅力を感じているといいます。

明治神宮では誰でも手を洗えるのです。

ヨーロッパでは教会があると、水は祈る人だけが使っています。

それに対して、日本の手水は宗教も国籍も関係ありません。

 

また、イスラム教では身を清める時の決まりごとが複雑で数が多いといいます。

カトリック教では、司祭が作る特別な水、すなわち聖水を使うことが一般的です。

一方、手水は簡素な決まりがあるだけで、どんな人でも気軽に行うことが出来るのです。

多くの人にとって、ここは他の国ではそう簡単に許されない宗教的な体験が出来るスポットなのです。

 

また、祈ることは海外では頭の中か心の中なので、書くのはあまりやっていないといいます。

絵馬に願い事を書けば、心の中を人前にさらすことになります。

ですから、これを外国人は新鮮だといいます。

そこで、明治神宮には英語だけでなく、フランス語やタイ語、アラビア文字などの絵馬が見かけられます。

このように、どの言語でも受け入れてもらえるので、神社はダイバーシティ(多様)な場所なのです。

ちなみに、江戸時代に絵師や庶民が絵柄に願いを込めて描いたのが絵馬の起源と言われています。

 

さて、明治神宮を訪れる外国人は4年で4.6倍になりましたが(2016年調べ)、その立役者となったのは参道にある酒樽です。

それほど珍しいものではありませんが、人気の秘密は漢字と酒の組み合わせがまさに日本とのことです。

写真に撮ったらすぐに投稿サイトへ、明治神宮に関する投稿10万件のうちおよそ5枚に1枚は酒樽といいます。

こうした新しいかたちの情報発信が更なる観光客を次々と呼び込んでいるのです。

 

手水や絵馬、酒樽はどこの神社でも見かける光景ですが、明治神宮ならではの魅力があります。

参道の落ち葉は木々の養分にするために森に返されます。

また、森には人の手をほとんど加えないのです。

97年前、明治神宮が建立された時にこのやり方は始まりました。

目指したのは“永遠の森”です。

人の手を加えなくても木々が自分の力で気候や土壌に合わせていくに違いないと考えたのです。

この森は自然への敬意の森でもあるのです。

また、参道の落ち葉を掃く時に電動の道具は使わないのです。

掃き“清める”という作業なので、基本的に電動は使えないというのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して感じたことが2つあります。

一つは、日本の神社の誰でも国籍や宗教に関係なく受け入れるダイバーシティ(多様性)です。

2つ目は、明治神宮の目指す、極力人の手を加えない“永遠の森”、“自然への敬意の森”です。

 

お互いを受け入れる多様性、自然への敬意の2つの視点は、人類が今後とも真っ当に存続していく上での国際関係のあり方、自然との向きい方においてとても重要なポイントだと思うのです。

世界各国が、あるいは個々人がお互いの考えを受け入れてお互いに尊重すれば、争い事はなくなります。

また、人類が自然に敬意を払えば、地球環境問題は解決出来るのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月23日
プロジェクト管理と日常生活 No.507 『北朝鮮の核・ミサイル実験に見る核兵器廃絶の必要性 その1 なぜ北朝鮮は実験を強硬に進めるのか!』

最近の北朝鮮による強硬に進める核・ミサイル実験の報道に接して、なぜ北朝鮮はこうした動きをするのか、そして世界や日本はこうした動きについてどのように対応すべきなのかなど、いろいろと疑問が湧いてきました。

そこで、リスク管理の観点から6回にわたってこうしたことについてお伝えしていきます。

1回目は、なぜ北朝鮮は核・ミサイル実験を強硬にするのかについてです。

 

まず驚いたのは北朝鮮の憲法です。

9月9日(土)放送の「上田 伸也のサタデージャーナル」(TBSテレビ)の内容の一部を以下にご紹介します。

 

北朝鮮が核保有国となることは金正恩党委員長が自ら憲法に加えた国是だったというのです。

北朝鮮の憲法の序文には以下のような記述があります。

 

金正日同志は・・・先軍政治で、金日成同志の高貴な遺産である社会主義戦取物を光栄に守護し、我が祖国を不敗の政治思想強国、核保有国、無敵の軍事強国に転変させ、強盛国家建設の輝かしい大通路を開かれた

 

要するに、北朝鮮は憲法で核保有による軍事強国化を規定しているのですから、いくら国際社会から核の保有は止めろと指摘されても止めるわけにはいかないのです。

 

ではなぜ北朝鮮は国家としてこのような方向性を打ち出したのでしょうか。

そうした中、9月3日(日)、および9月10日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)の「風をよむ」のコーナーで北朝鮮による核・ミサイル実験の動きについて取り上げていました。

そこで、番組を通して、なぜ北朝鮮は核・ミサイル実験を強硬に進めるのかに焦点を当ててご紹介します。

 

8月29日、日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射した北朝鮮、今年に入ってからでも13回目の発射実験です。

朝鮮中央テレビでは、この模様について次のように伝えています。

「アメリカには言葉ではなく、行動で示すべきだということが今回の教訓だ。」

「我々はアメリカの言動を注視し、それに応じて今後の行動を決定する。」

 

北朝鮮が見せるアメリカへの激しい敵意、それを生み出しているものは何なのでしょうか。

世界中で大国による植民地主義が吹き荒れた20世紀初頭、日清・日露の両戦争に勝利した日本は朝鮮半島に進出しました。

1910年、当時の大韓帝国との間で韓国併合条約を締結、朝鮮半島は日本の植民地になったのです。

それから35年、日本は太平洋戦争に敗北、朝鮮半島は日本支配から解放され、新たな歴史を刻み始めました。

日本の敗戦とともに朝鮮半島が解放されると、半島の南部はアメリカ軍、北部にはソ連軍が進駐しました。

そして、1947年、国連の監視のもと、南北総選挙を実施して統一政府を樹立する動きもありましたが、米ソ両大国の思惑で、その動きは頓挫しました。

結局、その翌年の1948年、南と北、別々で選挙が実施され、韓国が李承晩大統領を、北朝鮮は金日成首相を選出し、分断を抱えたままそれぞれが独立を宣言したのです。

 

しかし、1950年6月、“南北統一”を目指す北朝鮮はソ連から武器を、中国から兵力の支援を受け、韓国に侵攻しました。

同じ朝鮮民族が敵味方に分かれて戦う朝鮮戦争です。

韓国の首都、ソウルを占領するなど当初戦況は北朝鮮有利で進みました。

しかし、国連安保理(国連安全保障理事会)はアメリカ軍を中心とした国連軍を創設しました。

そして、韓国が作戦を指揮する権利を日本を占領していた連合国軍総司令官のダグラス・マッカーサーに委ねたことで局面は一変、北朝鮮は押し返され、その後一進一退の膠着状態になったのです。

 

防衛省の研究所などで長年朝鮮半島問題を研究してきた拓殖大学海外事情研究所の武貞 秀士特任教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「マッカーサーが指揮して38度線の北に押し戻した。」

「その過程で「必要であれば核兵器を使うぞ」とアメリカが発言したんですね。」

「北朝鮮は震え上がったんです。」

「(そこで北朝鮮は、)「核兵器が戦局を決定付ける」ことを考えたわけですね。」

「言い換えれば、(将来)北朝鮮が核兵器を持てば、アメリカの軍事介入を阻止出来るのではないかというヒントも金日成は学んだわけですね。」

 

こうしたアメリカの動きもあり、1953年7月、板門店で「休戦協定」が成立しました。

しかし、これは飽くまでも休戦であって停戦ではなく、現在も38度線を挟んで北朝鮮とアメリカ、韓国は軍事的緊張をはらんだままです。

また、その後も戦時の際に作戦を指揮する権利は韓国には戻らず、アメリカ軍に残されたままです。

つまり、いざ有事の際には韓国軍はアメリカ軍の指揮下に入ることになるのです。

こうした状況から脱して、自主防衛出来る国を目指した文政権ですが、北朝鮮に対する防衛が韓国軍だけでは十分な働きが出来ないので、アメリカに一定程度頼らざるを得ないというジレンマを抱えているのです。

 

こうした歴史が現在の北朝鮮の振る舞いにつながっているといい、武貞さんは次のようにおっしゃっています。

「北朝鮮の最終目標は「北朝鮮が主導で朝鮮半島を統一すること」であって、統一するためにはアメリカの軍事介入を阻止しなければならない。」

「具体的に何を意味するかと言えば、「在韓米軍出て行って下さい」ということですよ。」

「「再び米軍を送り込むようなことをしないという約束の協定を結んで下さい」ということですよね。」

「アメリカと軍事衝突を避けるための決定的な兵器が「核兵器」なんだと。」

 

アメリカ東部に到達可能な長距離弾道ミサイル(ICMB)の開発や核実験など、傍若無人とも見える動きは行き当たりばったりなものではなく、「北朝鮮による南北統一」というシナリオに沿った動きだというのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

このように朝鮮半島を巡る過去の歴史を遡って見てくると、これまでの北朝鮮の動きが多少なりとも理解出来てきます。

また、同時に国際的な国家間の関係からいろいろなことが見えてきます。

それを以下にまとめてみました。

・日本が韓国併合の際、植民地支配ではなく本当の意味で両国の共存共栄政策を打ち出していれば、朝鮮半島の分断は生じなかった

・更に日本が大東亜共栄圏という考え方をもとに、中国などアジア諸国への侵略を展開していなければ、太平洋戦争は起きなかった

・日本の敗戦時に、大国であるアメリカとソ連の思惑による現在の北朝鮮と韓国という分断支配がなければ、現在のような朝鮮半島の悲劇にはつながらなかった

・日本の敗戦の決定的要因となったアメリカによる原爆投下は、朝鮮戦争の際にもアメリカが原爆の投入をちらつかせたことが戦局を左右する大きな要因となった

・このことが、現在の北朝鮮による国を挙げての核保有化を目指す動きにつながっている

・北朝鮮は武力による世界制覇を目指しているのではなく、あくまでも悲願である南北統一を実現させるためのアメリカとの交渉の強力な手段として核兵器開発を進めている

・核拡散防止条約に基づいて、世界各国はこうした北朝鮮の核開発の動きを阻止しようとしている

 

一方で、世界平和の維持という切り口から北朝鮮による核保有化の動きを見てみると次のようなことが言えます。

・北朝鮮の核保有を許すことは他の国々の核開発をも許すことになり、世界的な核兵器の拡散につながることになる

・そこまで行かなくとも、北朝鮮は核・ミサイル開発に必要な外貨獲得のために核やミサイルを他国やISなどの過激派組織に売り込むリスクがある

・そうした場合、核によるテロ組織の脅迫が日常化するリスクが生じてくる

・アメリカは、自国の領土防衛という観点に重きを置いて北朝鮮による核・ミサイル開発を阻止しようとしている

・従って、北朝鮮との交渉条件として、日本や韓国にとっては受け入れがたい核の保有だけは認めるリスクがある

・万一、北朝鮮とアメリカが交戦状態になれば、アメリカの同盟国である韓国や日本も戦争に巻き込まれ、最悪の場合、核兵器の投入により両陣営に甚大な被害をもたらすリスクが生じる

・更に、万一北朝鮮を支援している中国やロシアが参戦するようなことになれば、第三次世界大戦にまで発展し、人類存続の危機を迎えることになる


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月22日
アイデアよもやま話 No.3815 世界とつながる私たちの消費!

7月10日(月)放送の「視点・論点」(NHK総合テレビ)で「世界とつながる私たちの消費」をテーマに取り上げていたのでご紹介します。

なお、今回の論者はNGO難民を助ける会 理事長 長 有紀枝さんでした。

 

昨年7月、バングラデシュの首都ダッカで、外国人が多く集まるレストランを武装集団が襲撃、日本人の援助関係者7人を含む、22人が殺害されるという大変痛ましい、テロ事件が発生しました。

同じくバングラデシュのダッカ近郊でその3年前、2013年4月に発生した8階建てのビルの倒壊事故はいかがでしょうか?(詳細はアイデアよもやま話 No.2644 バングラディッシュの縫製工場にみる世界的な最低賃金規制の必要性! を参照)

縫製工場が多く入った商業ビルで、3000人を超える女性や少女が劣悪な環境下で、働いていました。

事故の前からビルの壁には亀裂が入り、大型発電機と何千台というミシンの振動とがビルの崩壊を招いたと言われています。

この事故で1000人を超える人々が犠牲になりました。

衣料産業で働くのは10代から30代の女性たち。賃金もインドや中国の3分の1程度といわれます。

 

いかなる理由であれ、テロを正当化することはできません。

しかし、その背後にある人権侵害や貧富の格差、貧困から私たちは目をそらすことができません。

なぜなら、そうした安全や労働環境に配慮せず、賃金を不当に安くおさえることで可能になる、低価格の衣類、ファスト・フードになぞらえ、ファスト・ファッションとも呼ばれる、世界的に大量に生産され、販売される衣類が、私たちの身近にあふれているからです。

 

大切なお金を無駄にしないこと、安い品物を買うことは一見、大変道徳的で倫理的な行為です。

しかし安いことの背景に、こうした人権侵害があり、私たちが消費者として、知らず知らずにその構造や仕組みを肯定し、加担しているとしたら、私たちは堅実な消費者として胸を張れるでしょうか。

 

今から3年前の2014年、パキスタンの少女、マララ・ユスフザイさんにノーベル平和賞が贈られました。

同時に受賞したカイラシュ・サティヤルティさんは、児童労働に反対するインドの活動家です。

児童労働根絶に向けた世界的なネットワーク作りにも尽力し、織物業界で、細かな織りのじゅうたんなどの製品が児童労働によって作られていないことを認定する「グッド・ウィーブ」というNPOを設立しています。

チョコレートを食べたことのない子どもたちが、カカオ豆の栽培にも携わっているなど、消費者としての私たちと世界の貧困や児童労働は深くつながっているのです。

だからこそ、「フェア・トレード」商品、文字通り「公平・公正な貿易」の意味ですが、途上国の生産者に不当な扱いや不利益を強いることのない取り引きによって輸入された製品をできるかぎり選ぶ、あるいは、人権や環境、社会問題に配慮して素材を選び、生産された商品を販売している「エシカル・ファッション」を選択する。

エシカルとは倫理的という意味ですが、まさにそうした選択や行動が、人権や貧困問題に私たちが向き合う一つのヒントを提示してくれています。

 

私たちに身近な携帯電話やスマホも紛争とは無縁ではありません。

携帯電話の心臓に当たる電流を制御する超小型コンデンサーの製造には、耐熱性に優れた金属元素、タンタルが欠かせません。

そのタンタルの原鉱石コルタンをめぐって、また携帯電話の小型電池に使われるコバルトをめぐって、コンゴ民主共和国では採掘にかかわる強制労働や資源の配分を要因とする紛争に拍車がかかっています。

環境や人権に配慮した衣服や食材は選べても、携帯の部品やパーツまでは選べないと思われるかもしれません。

しかし、オランダの社会的企業「FairPhone・フェアフォン(公正な電話)」は、鉱物調達のみならず、製造に関わる労働者の権利を守り、製造から廃棄まで包括的に環境への負荷を減らすことを目的としたスマホを発売し、大きな話題を呼んでいます。

エシカル・ファッション同様、エシカル・携帯、エシカル・スマホも夢物語ではないのです。

 

私たちが消費者として関わるという点については、兵器も同様です。

1990年代後半から2000年代にかけて、非人道的な2つの通常兵器の使用や生産を禁止する条約が作られました。

対人地雷禁止条約とクラスター爆弾禁止条約です。

クラスター爆弾は親爆弾に数十から数百の子爆弾が詰められた非常に破壊力の強い兵器です。

地上からロケットで打ち上げられたり、航空機から投下されたりした親爆弾が空中で割れ、子爆弾が広い範囲に飛散します。

親爆弾を投下する航空機の高度や子爆弾の落下の角度、地表の状態、不良品の混入などにより、不発率が高いのも特徴です。

その不発弾が地雷と同じ働きをすることから、「第二の地雷」「事実上の地雷」とも呼ばれています。

第二次世界大戦で初めて登場し、ベトナム戦争でも米国がラオスで大量に使用しました。ラオスでは、現在もその被害が深刻です。

さらにその後も、コソボやアフガニスタン、イラク、レバノン、そしてシリアでも使用されています。 

被害者の圧倒的多数は、紛争とは無関係の民間人です。

 

90年代、対人地雷の禁止キャンペーンでは、各国政府に条約への参加を呼びかけるとともに、製造企業や部品を納入している企業に生産中止を働きかける取り組みが行われました。

さらに進んでクラスター爆弾の禁止運動では、投資を行う金融機関や年金基金に対して、クラスター爆弾をはじめとする、武器製造企業への投資を禁止するよう求めています。

先日、クラスター爆弾の製造企業に対し、世界の金融機関166社が過去4年で310億ドル(約3兆4千億円)を投融資したとする調査結果をオランダのNGO「PAX・パックス(平和)」が発表しました。

5月にはこの調査の担当者が来日し、「戦争に加担する投融資が行われないように、日本政府にも取り組みを呼びかけたい」と語りました。

なぜ日本なのか。それは、現在、クラスター爆弾禁止条約には119ヵ国が署名、うち101ヵ国が批准していますが、2013年6月から2017年3月にかけて、PAXがクラスター爆弾を作る米中韓の主要企業6社の取引を調査したところ、投融資した金融機関数は米国が圧倒的に多く85社、続く中国が30社、韓国が27社、台湾が5社でしたが、これらはいずれもクラスター爆弾禁止条約の未加入国です。

その次に続いたのが、4社と数は少ないものの締約国の日本だったのです。

 

SRI、「社会的責任投資」という考え方があります。

これまで、投資というと、その企業の業績や財務状況から投資先を判断するのが一般的でした。

しかし、こうした従来の基準に加えて、その企業が、人権や環境、紛争、社会問題にどのように配慮し、倫理的にどのような社会的責任を果たしているのか、そうした観点から投資先を選ぶ行動のことです。

 

日本では、世界の紛争や平和、武器の問題について考える際、(水爆実験による被害は別として)、「唯一の被爆国日本」として、被害者としての視点から、核兵器の非人道性を訴えることに重きが置かれることが多かったように思います。

これは非常に大切な取り組みですが、同時に、先進国の消費者である日本人として、世界の紛争や貧困の問題に積極的にかかわる視点を、エシカル・ファッションや、こうしたNGOの取り組みは教えてくれているように思います。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、アイデアよもやま話 No.843 近江商人の教え! でもお伝えしたように、そもそも商品の製造販売、あるいはサービスの提供に際して、投資家、メーカー、販売会社、およびその従業員、あるいは消費者など、一部の立場の人たちだけが大きな利益を得たり、あるいは今回ご紹介したように一部の途上国の人たちの犠牲の上にビジネスが成立しているというような状況は好ましくありません。

まさに近江商人の唱えていた「三方良し」という考え方が基本であり、それぞれの立場の人たちがお互いにバランスの取れた利益を享受出来る方向を目指すべきなのです。

 

更に、児童労働問題や人権侵害、そして地球環境問題のような社会的問題、あるいは大量破壊兵器のような兵器開発に加担するような投資家、あるいはメーカーの取り組みを阻止することは人類共通の目標でなければなりません。

 

こうした目標達成には、以下のような取り組みがあると思います。

・啓蒙活動

・上記のような人類共通の目標達成に貢献している企業の国際的な認証制度

・上記のような人類共通の目標達成に背くような取り組みをしている投資家、企業の“見える化”

 

一方で、私たち一般消費者としては、上記のような人類共通の目標達成に背くような取り組みをしている企業の商品や購入を控え、少々高くても真面目に取り組んでいるメーカーの商品を購入するといった道徳心が求められるのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月21日
アイデアよもやま話 No.3814 幻想的な光る花の誕生!

7月7日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で光る花について取り上げていたのでご紹介します。

 

結婚式などで彩を添える花ですが、今回ご紹介する花を使えば新しい演出が生まれるかもしれません。

 

ガーデニングなどでよく見るペチュニアという白い花が、暗くすると蛍光色の不思議な光を放つのです。

その秘密について、この花を開発したNECソリューションイノベーターの白鳥 行大さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「富山湾の深海に住む光る海洋プランクトンの蛍光タンパクの遺伝子を組み込んでいます。」

「(こうした光る花を作ろうとした動機について、)匂いとか花のかたちとかで、いろいろな花があるんですけど、単純にこれまでにない“光る”という花の属性がなかったので開発を進めました。」

 

紫外線の光を出すブラックライトを当てることで、それを吸収してクラゲのように光るのです。

光る花と照明を組み合わせることで、結婚式やディスプレーなどで変わった演出が出来るようになるといいます。

 

しかし、白鳥さんは、この光の持つリスクについて、以下のようにおっしゃっています。

「遺伝子組み換え花があることによって、例えば花粉を介して他の花が光ってしまうような環境への影響とかというのを試験で一つ一つ明らかにしていかなければいけません。」

 

現在は、実証実験を重ねており、この“光るペチュニア”が市場に出るのは早くても数年後だということです。

 

なお、遺伝子組み換えには法律があり、生物多様性を図るために遺伝子組み換えによる生物を用いる際に規制措置があり、それをクリアするためにはまだまだ実証実験などの課題が沢山あるといいます。

また、商品化するためには協業する業者を探す必要もあるということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

遺伝子組み換えまでして、人の欲望を満たすために“光る花”を開発するのはいかがなものかと考える人もいると思います。

また、生物多様性への影響があっては良くありません。

しかし、考えてみれば、人類は長い歴史の中で様々な工夫をこらして、少しでも美しい花、あるいは少しでも美味しい食べ物としての植物を人工的に開発してきました。

ですから、遺伝子組み換え技術はその延長線上にあると言えます。

 

さて、遺伝子組み換え技術が人に応用されるとなると話は別です。

誰しも自分の子どもは少しでも病気になりにくく健康的で、頭が良い遺伝子を持って生まれて欲しいと願うものです。

そして、遺伝子組み換え技術を持ってすれば、こうしたことはいずれ出来るようになるはずです。

ですが、だからといって生まれてくる子どもがみんな遺伝子組み換え技術を使用されることを考えれば、疑問を持たざるを得ません。

 

ということで、遺伝子組み換え技術については、その使用に際して既に規制措置があるということですが、生物多様性という観点から慎重に考えつつ、私たちの暮らしを豊かにするために開発を進めて欲しいと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月20日
アイデアよもやま話 No.3813 風を強める扇風機カバー!

6月28日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)で風を強める扇風機カバーについて取り上げていたのでご紹介します。

 

小さな子どもがいるので、扇風機の音が気になってしまう、しかし“弱”に切り替えて風を弱めるとなんだか物足りない、こうした家庭は少なからずあると思います。

こうした悩みに応えるのが、磁石が付くタイプの扇風機に取り付ける装置です。

広がる扇風機の風を9枚の羽根が一つにまとめて真っ直ぐにしてくれるので、弱い風でもより強くしてくれるのです。

番組に登場したこの装置のユーザーの男性、Aさんは、次のようにおっしゃっています。

「扇風機の設定は“弱”にした状態で、静かな音だけど十分な風を受けることが出来るのが快適。」

 

なお、この装置、“弱”に設定した扇風機でも強い風になるので電気代も多少節約出来ます。

また、Aさんのお宅では、洗濯物の室内干しをする時にも弱い風でも早く乾かせるので気に入っているということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

気になるこの装置、ネット検索したら株式会社山善より2種類の商品が販売されていることが分かりました。

一つは、「快風!強マリーナ」(税込み1980円)で装着すると送風力が強まる扇風機アタッチメントです。

もう一つは、「そよ風!広ガリーナ」(税込み1980円)で、装着すると風が優しく広がる扇風機アタッチメントです。

 

今回ご紹介した装置も前回ご紹介したいろんな歯ブラシを電動化出来る装置と同様に、あったらいいなというユーザーの潜在需要を取り込んだアイデアだと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月19日
アイデアよもやま話 No.3812 いろんな歯ブラシが電動になる装置!

6月28日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)でいろんな歯ブラシが電動になる装置について取り上げていたのでご紹介します。

 

番組に登場した女性、Aさんは、次のようにおっしゃっています。

「歯医者さんに紹介された歯ブラシが気に入って使っているんですけども、手磨きだと力が入ってしまって歯茎を痛めたりとか・・・」

 

そこで使い始めたのが、普段使っている歯ブラシに取り付けてスイッチを入れると、1分間に2万4000回振動する電動歯ブラシになるんです。

長さや太さの異なる歯ブラシでも使えるのが特徴で、ダイヤルを回せばしっかり固定出来ます。

防水加工しているので、水にぬれても大丈夫です。

大人用でも子ども用でも手軽に電動歯ブラシにすることが出来ます。

 

生活用品を扱う会社が6年かけて開発したこのアイデア、Aさんは舌を磨くブラシにも取り付けて使っているそうです。

Aさんは、次のようにおっしゃっています。

「今使っている、毛先が細くてすごく気に入っている歯ブラシをそのまま取り付けられるところがすごくいいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ちなみに、気になるこの装置、ネット検索したら大作商事株式会社より商品名「SONIC ALL」(定価:税込み3456円)で販売されていることが分かりました。

 

私も以前から普段自分が使っている歯ブラシをそのまま電動歯ブラシとして使えたらいいなと思っていたので、早速ネット通販で購入しました。

実際に使用してみると、確かに使い勝手は悪くないので毎日使っています。

 

さて、電動歯ブラシはいろいろな種類のものが販売されていますが、今回ご紹介した装置は、あったらいいなという歯ブラシのユーザーの潜在需要を取り込んだ優れたアイデアだと思います。

ユーザーの立場からは、何よりも自分に合った歯ブラシをそのまま電動歯ブラシとして使用出来るところが購入動機を誘われます。

 

こうした“あったらいいな”というユーザーの要求とそれに応えるメーカーを結びつけるサイトは既にネット上にいくつかあるようですが、こうしたサイトは新しい製品やサービスの誕生を促す場としてとっても有効だと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
2017年09月18日
アイデアよもやま話 No.3811 敏感肌の人にお勧めの小豆の皮の入った石けん!

敏感肌で悩んでいる方もいらっしゃると思います。

そうした中、6月27日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で敏感肌の人にお勧めの小豆の皮の入った石けんについて取り上げていたのでネット上の関連情報も合わせてご紹介します。(詳細はこちらを参照)

 

小豆の皮の入った石けんを考えたのは、北海道十勝地方にある和菓子メーカーです。

小豆であんこを作るスタッフの肌が綺麗なことに注目しました。

調べてみると、小豆には抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれていることが分かりました。

そこで、化粧品メーカーと共同でこしあんを作る時に出る小豆の皮を入れた石けんを開発しました。

この石けんを使って分かったのは、たっぷりフワフワの泡が立つことでした。

これは、小豆にサポリンという界面活性剤の役割を果たす天然成分が含まれているからでした。

石けんの中にある小豆の皮は泡立てている間に擦れて無くなるそうです。

 

なお、この石けんは商品名「あんここ」(内容量85g)で1296円(税込み)です。(詳細はこちらを参照)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

小豆は羊羹やタイ焼き、アイスキャンデー、かき氷などいろいろな食材として使われており、私たちに食の楽しみを提供してくれます。

その小豆の皮が、今回ご紹介したように敏感肌の人にも優しい、しかもフワフワの泡の立つ石けんの原料としても使われるということには、あらためて植物が私たち人間に与えてくれるメリットについて思い起こさせてくれます。

植物は、食材としてだけでなく、古くから薬草としても重宝されてきました。

一方では、毒薬として暗殺など物騒な手段としても使われてきました。

 

ということは、人類の立場からすれば、人類の誕生以来、日々の暮らしの中で生存に直結する食糧を中心に、薬草や住居、あるいは道具の材料として植物は欠かせない存在でした。

また、植物の中には庭園や生け花などとして私たちに楽しみを与えてくれるものもあります。

更に、人類の生存にとって欠かせない酸素を発生するものとして森林はとても大切な存在であり続けてきました。

 

ということで、話が飛躍してしましましたが、植物は人類の生存にとっていろいろな観点で欠かすことの出来ない存在なのです。

こうしたことから、私たちは時には植物に対して感謝の念を抱いてもいいのではないかと思った次第です。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています
4345件中(1件〜30件を表示しています)   前   |