2017年12月13日
アイデアよもやま話 No.3885 お墓参りの新たなサービス!

9月27日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)でお墓参りの新たなサービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

スマホにお墓の場所を登録することで、お墓参りの際に亡くなった人の生前の映像が画面に出てきて、まるで亡くなった人に会いに来たような気持ちになれるスマホを利用した新たなサービス、それが「スポットメッセージ」です。

 

お墓参りの新たなサービスはお寺でもあります。

金剛宝寺(大分県九重町)で今年から始まったのが、住職が墓参りを代行し、その映像をスマホに生中継で配信するサービス「どこでもお墓参(おぼーさん)」です。

こちらの井上 仁勝住職は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「少子高齢化で年配の方々が実際にお墓の管理でものすごく苦労をしてらっしゃる。」

「相談もよく受けるものですから、現代の技術を使って私たちがお手伝い出来ることはないだろうかと。」

 

このサービスは、お寺の檀家が対象で、お墓参り代行とライブ配信を合わせて料金は1万5000円(税込み)です。

 

更に今年12月に導入されるのがドライブスルーで焼香が出来る「車上焼香システム」です。

自動車に乗ったまま葬儀に参列し、焼香も出来るため、高齢者や車いすを利用する人にとっても負担が少ないといいます。

このサービスを始めた冠婚葬祭 愛知グループの萩原 政雄社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今まで(体が不自由で)焼香をためらっていた人が一人でも多く来ていただきたいということで導入しました。」

 

最新技術を利用した供養のかたちは今後も広がっていきそうです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでもお墓参りやお墓の掃除などの代行サービスはありましたが、いろいろなテクノロジーの詰まったスマホの普及に伴い、高齢者やお墓から遠く離れた場所に住んでいる方々を対象とした、こうしたテクノロジーを活用したお墓参りの新たなサービスが今後とも登場してくると思われます。

 

一方、前回お伝えしたように(参照:アイデアよもやま話 No.3884 景気回復は”いざなぎ景気“を超えたと言われるが・・・)、低所得者層の増加とともに葬儀にお金をかけない”家族葬“やお墓の購入が難しい方々を対象にした”お墓のマンション“や”樹木葬“などが更にスマホなどを活用した低コストのデジタルサービスの登場を促す流れが当分続くと思われます。


 
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2017年12月12日
アイデアよもやま話 No.3884 景気回復は”いざなぎ景気“を超えたと言われるが・・・

9月26日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で“いざなぎ景気”を超えた景気回復について取り上げていたのでご紹介します。 

 

9月25日、政府は今の景気回復は戦後2番目の長さだった“いざなぎ景気”を超えた可能性が高いという認識を示しました。

ただ今回の景気回復は実感が伴っていないという指摘も出ています。

東京オリンピックの翌年、1965年から始まった“いざなぎ景気”では、新三種の神器と呼ばれた自動車、カラーテレビ、クーラーが庶民の憧れの的でした。

時は高度経済成長の真っただ中、“いざなぎ景気”は4年9ヵ月に及びました。

 

一方、今回の景気回復は第二次安倍政権の発足とともに始まりました。

企業の儲けが4年連続で過去最高を更新、株価も2万円台を回復しました。

有効求人倍率も43年ぶりの水準に改善し、政府は今回の景気回復が4年10ヵ月におよび、長さでは“いざなぎ景気”を超えた可能性が高いという認識を示しました。

茂木経済再生担当大臣は、会見で次のように述べております。

「今回の景気回復では4年半にわたりますアベノミクスの推進によりまして、雇用・所得環境が改善し、経済の好循環が実現しつつあると考えております。」

 

戦後2番目になったと見られる今回の景気回復ですが、番組での街中インタビューでは実感がないという声がありました。

景気の回復が長く続いているのに、どうして実感が持てないのか、その答えは収入です。

世帯年収の分布でちょうど真ん中の世帯を示す中央値が、1995年には550万円だったのが2015年は428万円と122万円も低くなっているのです。(厚生労働省調べ)

この2つの年で世帯年収の分布がどう変わったのか、詳しく見てみると、1995年に比べて2015年の分布はより低い年収の世帯が増えているのです。

かつて中流と言われた中間層の年収が年々減っています。

年収400万円の新たな中間層が増えている今、消費の現場では節約志向が強まっています。

 

節約志向の高まりに企業も対応を始めています。

大手スーパーの西友は、8月末から一部の商品を6〜10%値下げしました。

税抜き218円の食用油を195円に値下げしたところ、売り上げが10倍に増えたといいます。

また、お酒のコーナーでは、ストロング系と呼ばれるアルコール度数の高い缶酎ハイの売り上げが伸びています。

お金をかけず、少ない量でほろ酔い気分が楽しめるといいます。

西友商品本部の長田 勝之グロサリー部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「節約志向が強くなっているふうには感じます。」

「以前よりは激しくなってきているのが実感です。」

 

年収400万円の中間層をタ-ゲットに動き始めた企業もあります。

食品卸大手の三菱食品です。

年収400万円未満の世帯は、3年後の2020年には60%近くになると予想、こうした世帯が価格でも品質でも満足出来る商品を開発しようと模索しています。

分厚いカツを挟んだカツサンド、ボリューム満点の焼肉のようですが、実は肉は一切使っていません。

肉より安い高野豆腐やおふを使った“なんちゃって料理”です。

三菱食品の原 正弘マーケティング本部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世帯年収が400万円未満の世帯の構成比がボリュームゾーンとして非常に大きな存在になってくるということに気が付きまして、ニュースタンダードだという認識をしていろいろなマーケティング戦略やアプローチ策を考えていく必要があるのではないかなと思います。」

 

景気の回復が続く一方で中間層の収入が落ちた日本、専門家は今後も節約志向が続くと見ています。

みずほ総合研究所の高田 創チーフエコノミストは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「消費が前ほど盛り上がらないというか、そういう動きが生じやすくなるかもしれませんね。」

「労働側、それから経営側、場合によっては国も後押しして(賃金を)上げていくことも必要になってくるということだと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私は経済の専門家ではありませんが、日本のかつての高度経済成長期と今との景気におけるサイクルの相違を以下に簡単にまとめてみました。

(高度経済成長期)

経済成長 ⇒ 所得増 ⇒ 消費増 ⇒ 新たな経済成長

(現在)

景気回復 ⇒ 企業の内部留保増、所得の微増 ⇒ 消費の微増 ⇒ 低成長

 

そもそも一般的に言われているように、安定した経済成長は中間層の消費者(ボリュームゾーン)による消費が源泉なのです。

ですから、中間層の消費者の消費が増えない限り、安定した経済成長はあり得ないのです。

では現在、なぜ中間層の消費者の消費が増えないのか、その主な理由は契約社員やパート従業員など非正社員の割合の増加です。

かつての高度経済成長期には、法律で非正社員として働ける業種が法律で定められていたのでとても少なく、一般的に従業員は正社員だったのです。

ところが、法律改正に伴い、徐々に非正社員として働く業種が広がり、現在では非正社員がほとんどの業種に就けるようになったのです。

同時にアウトソーシング(外部委託)の導入も徐々に普及してきました。

こうした流れの最大の狙いは、一言で言えば企業のコスト削減です。

“失われた20年”と言われるこうした現在の日本経済の背景には、バブル崩壊(1991年3月から1993年10月までの景気後退期)、およびアメリカ発のリーマンショック(2008年)、そして中国を中心とした低賃金の新興国の追い上げと言った経済環境を揺るがすような状況が企業の生き残りを賭けた防衛策として人件費などのコスト削減につながったと思います。

 

ですから、今回の景気回復は”いざなぎ景気“を超えたと言われますが、これまでの毎年の経済成長率はごくわずかで”いざなぎ景気“とは比較にならないのです。

今後ともこのような経済構造が続く限り、中間層の賃金がかつての高度経済成長期のように上がることは期待出来ません。

一方、アメリカなど他の先進国においても中間層の所得の伸び悩み、および“格差社会”の進行が進んでいるといいます。

ですから、中間層の所得の伸び悩みや“格差社会”の進行は今や世界的に共通の問題なのです。

 

こうした状況において、仮に日本だけが格差是正策として中間層の賃金を上げるような政策を打ち出せば、相対的に企業の国際競争力が落ちてしまいます。

ですから、企業の国際競争をフェアにしたうえで“格差社会”の是正に取り組むためには、以下のような国際的なルールを構築することが必要だと思うのです。

・正社員、非正社員に限らず“同一労働同一賃金”

・企業の利益に占める従業員給与の割合の最低限度設定

・役員も含めた従業員給与における最高所得の最低所得に対する倍数の上限の設定


 
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2017年12月11日
アイデアよもやま話 No.3883 新型量子コンピューターの国産機登場!

以前、アイデアよもやま話 No.2997 人工知能のもたらす未来像 その3 2045年にはプライバシーという概念がなくなる!?などで量子コンピューターについてお伝えしました。

そうした中、9月22日(金)、および11月20日(月)放送のニュース番組(NHK総合テレビ)で最新の量子コンピューターについて取り上げていたのでご紹介します。

 

夢の超高速コンピューターと言われる量子コンピューターの開発を巡って、東京大学の研究チームが新型の量子コンピューターの基本原理の開発に成功したと発表しました。

量子テレポーテーションと呼ばれる、情報が瞬間移動する現象を利用したもので、スーパーコンピューターをはるかに凌ぐ究極の量子コンピューターを生み出せるとしています。

 

開発に成功したのは、東京大学の古澤 明教授の研究チームです。

古澤教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やっぱり日本の独自の切り口でやりたいというのが一番ありまして、欧米の後追いではなくて日本で生まれた日本方式で良い量子コンピューターを作りたいと思います。」

 

では、日本方式の量子コンピューターとはどんなものでしょうか。

光の粒を人工的に2つに分け、“量子もつれ”という状態にすると、情報が光の速度で瞬間移動します。

“量子もつれ”が、アインシュタインが奇妙な遠隔作用と呼んだもので、古澤教授はこれを利用し、量子の瞬間移動、すなわち量子テレポーテーションに世界で初めて成功したのです。

この現象を利用し、例えば光の粒の一方に7、もう一方に+3という情報を与えます。

そして“量子もつれ”を起こせば瞬時に10という答えが導き出されるのです。

研究チームでは、この光の粒を100万個同時に作り出すことに成功したのです。

この光の粒をループ状の回路の中で回し、超高速計算を繰り返し行える基本原理を開発したとしています。

こうした一連の研究成果はノーベル賞級とも呼ばれています。

 

膨大なデータを瞬時に処理出来る量子コンピューターは、経済的にも大きな利益をもたらす可能性を秘め、欧米各国でも大手企業が研究開発にしのぎを削っています。

例えば大都市の渋滞を解消する研究では、量子コンピューターを使うと400台あまりの自動車が一斉に空港まで行く際の最適なルートをわずか数秒で示すことが出来ます。

一方、カナダのベンチャー企業が2011年に発売した量子コンピューターでは、同じ結果を出すのに30分かかりました。

 

この他、新薬の開発や肥料の生産、人工知能(AI)への応用など、幅広い分野で期待されています。

グーグル量子人工知能研究所のハルトムト・ネーヴェン博士は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「量子コンピューターを使うことで、AIは劇的に改善することが出来る。」

 

一方、アメリカが進める量子コンピューターの国家プロジェクトに参加している、東京工業大学の西森 秀稔教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「古澤先生のアプローチは非常にユニークで、10年スケールで取り組むべき方法。」

「生活の上の便利さというか、いろんな意味での経済的な波及効果が次第に出てくると。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

量子テレポーテーションと呼ばれる技術によりスーパーコンピューターをはるかに凌ぐ究極の量子コンピューターの基本原理の開発に成功したという事実は、まさにAIやロボット、あるいはIoTなどこれからの時代をけん引する技術のインフラとして欠かせないものです。

なぜならば、AIなどがこれから増々大量のデータを扱い、しかも速い処理速度が求められる中で、これまでとは異次元の処理能力のあるコンピューターの誕生が必須要件だからです。

なお、古澤教授の率いる研究チームは光の粒を100万個同時に作り出すことに成功したといいますが、いずれより多くの光の粒を同時に作り出すことが出来ると期待出来ます。

ですから、近い将来とてつもなく速い処理速度の量子コンピューターの誕生が期待出来そうです。

そして、こうした量子コンピューターとAIやロボット、あるいはIoTの技術が相まって私たちにより豊かな暮らしを提供して欲しいと思います。

一方、くれぐれもこうした技術がより殺傷能力の高い兵器の開発に利用されて欲しくないと思います。

また、古澤教授のおっしゃるように、資源が少ない中で技術立国を目指す日本は欧米の後追いではなくて日本独自の画期的な技術開発で常に世界をリードするような意気込みと技術力を維持し続けるようでありたいと思います。


 
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2017年12月10日
No.3882 ちょっと一休み その624 『新・世界チャンピオン、村田 諒太さんの参考にすべき言葉!』

10月29日(日)放送の「情熱大陸」(TBSテレビ)では31歳のプロボクサー、村田 諒太さんについて取り上げていました。

番組では、初の世界タイトル戦での“不可解な判定負け”から、勝てば世界王者になれるが、負ければ一転「引退」という重圧の中で挑んだ因縁の再戦までを取材していました。

村田さんは大変な重圧の中、今回の再戦に勝利を収め、チャンピオンの座を手にしましたが、今回はこうした中で特に印象に残った村田さんの言葉をご紹介します。

 

村田さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「最近思うんですけど、経営者とか成功している人は、何をもって成功か分かんないですけど、僕共通点を見つけたんですけど、勝手してますね、みんな。」

「勝手って、横柄とかじゃないんですよ。」

「思うままにちゃんとやっている。」

「(村田さんは勝手が出来てないのかという問いに対して、)結構世間を生きてるな、人と人の間を生きてるわ。」

「本当にもう人目気にして。」

 

実はこの言葉は、今回の再戦前の番組取材でのものです。

そして、実際の再戦を私はテレビで観戦しましたが、村田さんはリングに向かって歩いている間中笑みを浮かべていました。

更に、試合が始まった当初も笑みを浮かべていました。

この笑みに、始め私は何でだろうと不可解に思っていましたが、村田さんは心身ともにご自身の悩みを克服され、確かな自信を持って試合に臨まれているのだと確信しました。

村田さんは、試合が始まる前から勝利を確信して今回の再戦を楽しんでいたのだと思います。

そして、見事新・世界チャンピオンになったのです。

 

さて、冒頭の村田さんの言葉ですが、村田さんは“勝手”という表現を使われていましたが、その真意を私は以下のように解釈しました。

経営者など成功している人は、以下のような要件を備えていることです。

・目標達成まで決して諦めない

・目標達成のためには、常識や過去のやり方にこだわらないであらゆる手段を講じる

・目標達成のためには、世間体など一切気にせず、周りの人から何を言われようとも、多少迷惑をかけようとも、あるいは憎まれようとも全く意に介さない


 
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2017年12月09日
プロジェクト管理と日常生活 No.517 『世界的に求められる「殺人ロボット兵器」の規制!』

11月14日(火)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)、11月19日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)、そして11月20日(月)放送の「時論口論」(NHK総合テレビ)で「殺人ロボット兵器」について取り上げていました。

そこで、これらの3つの番組の内容のご紹介とともに、人類存続のリスク対応策として、世界的に求められる「殺人ロボット兵器」の規制についてお伝えします。

 

近年、人工知能(AI)の発展などにより飛躍的に進化するロボットですが、一方で軍事的に利用される懸念が高まっています。

番組では開発が進む殺人ロボット兵器の現状を紹介しています。

 

山の中や悪路をものともせず、なめらかに進んでいくアメリカ・ボストンダイナミクス社製の4足歩行ロボット(動画はこちらを参照)は元々は軍事目的で開発されたものです。

米軍の物資を運搬するためのものですが、最新版は小型化され、家の中で家事などをこなすタイプにも進化しています。

 

一方、ロンドンに本社がある世界有数の軍事企業が最近作成した未来の戦場のイメージ図では、前線に並んでいるのはAIを搭載した無人兵器です。

敵のドローンや戦車を識別して攻撃している様子が描かれています。

これに対して、人間の兵士は後ろに控えています。

AI兵器が戦場の中心になるとアピールしたい軍事企業の狙いが盛り込まれています。

イメージ図に描かれていた軍用車両は内部にAIが搭載され、砂漠や建物のがれきが散乱している市街地のような戦場でもセンサーを駆使して動き回れるとしています。

カメラを搭載すれば、偵察の任務にも使えます。

しかし、武器を搭載すれば、敵を識別して攻撃させることも出来るといいます。

しかし、AI兵器は暴走した場合、取り返しがつかない被害が出る恐れがあり、大きな論争を呼んでいます。

 

近年、AIの発展によって飛躍的に進化するロボットですが、一方でその発展に懸念の声が上がっています。

世界的な物理学者、スティーブン・ホーキング博士は、2016年10月に次のようにおっしゃっています。

「将来、AIは自立し、我々と対立するだろう。」

 

また、アメリカの電気自動車(EV)大手、テスラのイーロン・マスクCEOも、今年9月4日に次のようにツイッターで警告しています。

「国家レベルでAIの技術競争をしている国が第三次世界大戦を引き起こす恐れがある。」

 

イーロンCEOは、今年8月に世界の100人以上の起業家らとともにAIを使ったロボット兵器を禁止するよう国連に書簡を提出しました。

こうした動きを受け、11月13日、スイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部で始まった国連の専門家会議「特定通常兵器禁止制限条約の政府専門家会合 CCW」で初めて「殺人ロボット兵器」の規制の是非について議論が交わされることになりました。

この会合は、非人道的な兵器を国際的に規制するか議論するもので、AI兵器がこれに当たるのではないかとして、3年前から非公式なかたちで専門家の意見交換が行われていました。

今回初めて政府レベルに引き上げられ、日本を含むおよそ90ヵ国が代表団を派遣しました。

最大の焦点は、人間を殺傷する攻撃を行う判断の主体をAIに委ねることが許されるのかという点です。

現在、既にあるロボット兵器のうち、代表的なものとしてドローンがあります。

アメリカ軍がアフガニスタンやパキスタンの上空に飛ばし、地上にいる敵にミサイルを撃ち込むために投入しているものです。

ドローンを巡っては、誤爆などが大きな問題になっています。

それでも人間が操縦し、ミサイルを発射するかどうかの引き金を握っています。

これに対して、ジュネーブで議論の対象となったのは、AIが敵を識別して敵に攻撃を仕掛けるものを想定しています。

つまり、人間が判断に係わらなくなります。

こうした兵器は現状では戦場に投入されておらず、未来の兵器だとされています。

先ほどの軍用車両を開発したイギリスの企業も武力行使の判断をAI任せにしないと強調しています。

しかし、開発の責任者はAIにどこまで判断させるかは事実上の課題ではなく、この点を巡る論争の行方次第だと話しているように、技術的には既に可能だと見られています。

 

では、AIが攻撃の判断を行うことになれば、どのような問題が起きる恐れがあるのでしょうか。

以下に「殺人ロボット兵器」の推進派、反対派の論争からそのリスクについて考えます。

推進派は、スピードと正確性が利点だと主張します。

AIならば、人間の兵士よりも速く判断が出来る他、ストレスで疲弊したり、体調に左右されたりすることもなく、常に正確に攻撃出来ると主張します。

また、人間の兵士を危険な任務から外すことで兵士の被害や負担を減らせるといいます。

更に、AI兵器は人間の兵士よりも倫理的だという主張もあります。

AIには感情がないため、恐怖を感じたり、気が動転したりして攻撃をするようなことはしないといいます。

また、仲間に対する攻撃への怒りから報復することもしないとしています。

 

これに対して、反対派は、スピードと正確性についてはバグが起きて暴走するなど、想定外のリスクがあると反論します。

国際人道法は、戦時に民間人を攻撃することを戦争犯罪だと定めていますが、AI兵器によって民間人が殺害された場合の責任の所在が曖昧になると批判しています。

司令官が意図的に民間人を殺傷するために投入した場合でもない限り、誤認やバグによって民間人が死傷しても責任を問うことは難しいと言われています。

また、兵士の被害や負担を減らせるという主張に対しては、自国民の兵士の犠牲が出ないとなれば、政治指導者が戦争を始めることを安易に決める恐れがあると反論します。

そして、倫理的だという主張に対しては、人間の生殺与奪の権を命への敬意を感じないAIが握ることこそが倫理的でないと反論しています。

また、テロリストの手に渡れば、市民の殺傷に悪用さあれる恐れがある他、独裁者が自国民に差し向けても、人間の兵士ならば感じると思われる自国民に銃口を向けることへのためらいもないではないかといいます。

 

このように数多くの問題がある中、国際社会はこの兵器にどのように向き合うべきでしょうか。

しかし、冒頭でお伝えした、今回の専門家会議では規制を巡る具体的な議論は進みませんでした。

途上国がAI兵器を幅広く定義して開発の段階から厳しく禁じるべきだと訴える一方で、アメリカやロシアは技術がどのように進歩するか予測出来ない中で現時点で予防的な規制を拙速に作るべきではないとしています。

日本はこうした兵器を開発しないとしています。

その上で、民生用のロボットやAIの研究や開発に過剰な規制が及ぶことがないように冷静な議論を呼びかけました。

結局、各国の立場は埋まらず、来年以降も議論を継続するという報告書を採択し、閉幕しました。

しかし、残された時間は多くありません。

世界の著名な科学者たちは、今年8月にAIの軍事利用に対する共同声明を発表し、AI兵器がひとたび戦場に投入されれば、パンドラの箱が開き、閉じることが出来なくなると危機感を表明し、議論を急ぐよう呼びかけました。

 

確かにAIは人間より速く正確に識別が出来るかもしれません。

しかし、想定外の複雑な事態が次から次に起きるのが戦争の現場だということを決して忘れてはなりません。

そこでの対応の過ちは、兵士のみならず、そこに暮らす民間人の命を奪うことに直結しかねません。

 “火薬”、“核兵器”に続き、人類は更に破壊力の大きい兵器を持ってしまうのか、戦場の姿を根本的に変える危険をはらんだままその開発競争は国際的な歯止めがないまま進んでいます。

国際社会は、スピード感をもってそのリスクと課題に向き合う必要があります。

 

軍事ジャーナリストの黒井 文太郎さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アメリカだけでなく、イギリス、フランス、ロシア、中国といった国がかなり力を入れて(「殺人ロボット兵器」を)開発しています。」

 

開発が進む自立型致死兵器システムとも呼ばれる「殺人ロボット兵器」は、人間の判断を介さずに、自らの判断で人を殺傷出来るAIを持った無人兵器のことです。

まだ実用化はされていませんが、アメリカでは機関銃などを装備し、全方位の監視・攻撃が可能なロボットの開発が進んでいるといいます。

 

また、韓国では北朝鮮との軍事境界線に無人ロボット兵器「SGR−A1」を既に配備しており、攻撃命令は人間の手によって行われますが、相手の熱や動きを感知し、目標を捉え、攻撃する能力があるとされています。

兵士をロボットに置き換えることで、人間の被害を無くすことが出来る一方、ロボットにAIが搭載されることの危険性もはらんでいます。

黒井さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「機械が自分で考えて行動するというような世界に入ってきているんですね。」

「それを人間がきちんとコントロール出来るのか、あるいは機械に任せてしまって、人間の手が届かないところで暴走するようなことは起こらないのか本当に、というところが議論になってきます。」

 

人類に反乱を起こしたAIが近未来から現代に「殺人ロボット」を送り込むというストーリーで大ヒットした映画「ターミネーター」、SF映画で描かれた世界が現実のものになるのでしょうか。

 

香港で開発されたAIを搭載した「ソフィア」というロボットは人間そっくりの外見ですが、頭部には電線が見えます。

人間の皮膚とほぼ同じ質感の肌を持ち、60種類以上の感情を顔で表現することが出来るこのロボットは、サウジアラビアから正式に市民権を与えられ、注目を集めましたが、ある発言が物議をかもしました。

それは、「私は人類を滅ぼします。」

 

一方、ロシアのカラシニコフ社が7月に公開した無人銃撃システムは、AIが過去の事例から学び、自立的に標的を特定し、攻撃の判断が可能といいます。

 

安全や便利のために作られた技術でも、一歩間違えれば脅威に変わることがあると専門家は指摘します。

黒井さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「かなり有効な将来性のある分野なんですけども、そこに何かミスがあった時に、誰の判断でどう止めるか、AIが自分で判断してきちんと止められるのかどうか、そこまできちんと制御出来るのか(が今後の課題です)。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそもどんな文明の利器にもメリットばかりでなく、リスクを伴うことが一般的です。

例えば自動車は移動手段としてとても便利ですが、衝突事故を引き起こしたりなどして人に怪我をさせたり、死に至らせたりするリスクがあります。

更に、今や自動運転車の実用が目の前に迫っています。

その背景には、AIやロボット、あるいはIoTの大変な技術進歩があります。

当然こうした技術の軍事転用を目指す国が出てきます。

というよりも、そもそもAIやロボットの技術は軍事兵器としての活用を目指したのが始まりかもしれません。

 

さて、AIやロボット、あるいはIoTの技術を活用したロボット兵器をイメージすると、それぞれのロボットは自主的に兵士として活動すると同時にこうした複数のロボットを統制する隊長としての役割を果たすロボットも登場してきます。

要するに、このまま開発が進めば完全に自立したロボット兵器部隊が登場してくることは目に見えてきます。

しかも、こうしたロボット兵器部隊は、陸海空、あるいは宇宙空間も含めて実現可能です。

このようなロボット兵器部隊の戦争への投入は、生身の人の兵隊が直接戦闘に参加することがほとんどなくなるのですから、対戦国の生身の人間の兵士や民間人がどんな悲惨な目に遭ってもゲーム感覚でほとんど対戦国の被害に対して心の痛みを感じることがなくなってしまうと思われます。

しかも、ロボット兵器部隊はほぼ24時間、365日戦い続けることが出来るのですから、こうした戦争はこれまでとは異次元の戦争と言えます。

 

更に、番組でも指摘されているように、こうしたロボット兵器も所詮は人がプログラム開発した成果物なのですから、不具合が必ずどこかで発生します。

そうした時に、何が起きるか分かりません。

最悪の事態は番組でも指摘されているように、ロボット兵器が味方の兵士や国民を、あるいは人類を滅ぼすような動きをすることです。

 

このように見てくると、人類存続のリスク対応策として、やはり人間の判断を介さずに、自らの判断で人を殺傷出来るAIを持ったロボット兵器の使用を禁止する国際条約の締結を早急に進めることが求められます。


 
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2017年12月08日
アイデアよもやま話 No.3881 風船だけで空を飛んだ男!

子どもの頃、風船が空に飛んでいく様子を見ていて、沢山の風船があれば空を飛ぶことが出来るのではないか、そうしたら空からいろいろな風景を見ることが出来るな、と想像したことがあります。

ところが先日、あるニュース番組を見ていて、たまたま風船だけで空を飛んでいる人の光景を見ました。

そこでネット検索したら、10月25日(水)付けネット記事(こちらを参照)で風船だけで空を飛んだ男性について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

BBCによると、このチャレンジをしたのは38歳のトム・モーガンさんです。

10月23日、ヘリウムガスでつくった風船100個をくくりつけた椅子に揺られて大地から約2.5kmの上空まで2時間、25kmに渡る空の旅を楽しんだといいます。

 

以上、ネット記事の内容をご紹介してきました。

 

そもそも実際に風船だけで空を飛ぼうというアイデアを実現させたことにビックリです。

また、風船だけで空を飛ぶのですから、それほどお金がかかっていないと思います。

しかし、実際に風船だけで空を飛ぶとなると、飛んでいる間に風船が割れてしまったり、あるいは再び地上に降りてくる場合にどのように風船をコントロールするのかなど、いろいろと不安材料があります。

ですから、こうした試みは冒険心に溢れたとても夢のあるチャレンジだと思います。


 
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2017年12月07日
アイデアよもやま話 No.3880 フォトトロピンが農業革命をもたらす!?

9月17日(日)放送の「未来の起源(TBSテレビ)で植物が低温を感じる仕組みについて取り上げていたのでご紹介します。

 

宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターでこれまでに知られていない植物の謎に取り組んでいる児玉 豊准教授(38歳)は、植物が低温を感じる仕組みを見つけました。

注目したのは、光合成を行う葉緑体です。

葉緑体は低温に反応して細胞内の位置を変えます。

この現象を制御しているのがフォトトロピンというたんぱく質です。

児玉さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「フォトトロピンは酵素活性を持っているんですけど、酵素は温度が上がると活性が上がっていくんですけど、フォトトロピンの場合は低温になると酵素活性が上がるという現象を持っていて、これは温度を感じているんじゃないかということに気付きました。」

 

フォトトロピンの性質を特定出来たことで、温度を感じるメカニズムを変化させれば気温の急変に強い作物を作ることが出来、冬の時期でも安定した農作物の収穫量が期待出来ます。

 

さて、研究の原動力について、児玉さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「知りたいということですかね。」

「僕らは顕微鏡で観察することが多いんですけど、見たこともない、教科書にも書かれていないことがいっぱい起こるんですよ。」

「学生さんとか共同研究の人たちが非常に助けてくれるので、彼らの協力が一つの原動力かもしれないです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

光合成を行う葉緑体は低温に反応して細胞内の位置を変える、そしてこの現象を制御しているのがフォトトロピンであり、低温になると酵素活性が上がるという特性を持っているというのです。

ですから、この温度を感じるメカニズムを変化させれば、冬の時期でも安定した農作物の収穫量が期待出来るというわけです。

この研究が進み、将来的に季節を問わず安定的に農作物の収穫が出来るようになれば、場所を問わず地球上のどこでも農業を行うことが可能になると期待出来ます。

本当にこの研究が実用化に結び付けば農業革命と言っていいくらいに農業のあり方を大きく変えることが出来ます。

ですから、研究体制を拡充させて、是非研究を進めていただきたいと思います。


 
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2017年12月06日
アイデアよもやま話 No.3879 今、世界の自動車業界で流行っているキーワードとは!

前回、前々回と電気自動車(EV)関連についてお伝えしてきました。

そうした中、10月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の中で、番組コメンテーターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんが自動車業界で流行っているキーワードについておっしゃっていたのでご紹介します。

 

今、世界の自動車業界で“CASE”という言葉が流行っているといいます。

この言葉は、ドイツのメルセデスのCEOが最初に語った言葉で、以下の通りです。

C:Connected(つながるクルマ IoT)

A:Autonomous(自動運転)

S:Sharing(共有) 

E:Electric(電動化)

 

これについて、山川さんは、もう一つ付け加えるべきだと考え、以下のようにおっしゃっています。

「(それは、)H:Humanity(人間らしさ)です。」

「先ほど、トヨタの事例なんか典型的ですよね。」

「非常に今回は、ソフトウェアを使って、乗っている人たちに快適さを与えるだとか、あるいはリラクゼーションを与えるだとか、そういう提案が非常に目立ちました。」

「多かったんですね。」

「いかにクルマが電気自動車(EV)になっても無機質なものではなくて、人に寄り添うものだという提案が非常に目立った。」

「そして、HをCASEにくっ付けたらどういう言葉になると思いますか?」

「CHASE(追撃する)なんですよ。」

「つまり、ここに私は日本の自動車メーカーに少し電動化で遅れているなんて一部で言われていますけども、対抗策があるんじゃないかなと思います。」

「今日、日産やトヨタの新しいバッテリーを見ていると、もう航続距離などでフラストレーションが溜まる時代はやがて解消すると思います。」

「そうすると、モノよりもコト、ソフトウェア、つまりH(人間らしさ)というところが勝敗を決めるようになるんじゃないかと予想します。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

山川さんのおっしゃったH(人間らしさ)に触発されて、私なりに更にもう一つのキーワードが思い浮かびました。

それはS、すなわちEVは充電するものという考え方だけでなく、電気を供給(Supply)する手段としても位置づけるというものです。

すると、“CHASE”は更に“CHASES”というキーワードになります。

 

EVの世界的な普及とともにEV用のバッテリーは、今後どんどん低価格化、小型化、および充電容量の増加が期待出来ます。

すると、個々のEVが充電されるだけでは、長時間駐車中のEVは電気という“宝の持ち腐れ”に陥り、一方で発電所の電力供給不足をもたらすリスクが高まります。

こうしたリスクを防ぐうえで、個々のEVが駐車中に電力供給装置、すなわちミニ発電所のような機能を備えるようになれば、EVは電力供給における言わばダムのような役割を果たすことが出来るのです。

こうしてみると、このような機能も電力におけるIoTの一環と言えなくもありません。

 

そればかりではありません。

EVの普及が進めば、災害時などによる停電の場合の緊急用電源としてもEVのバッテリーは欠かせない存在となります。

更に、世界中にはまだ電気がつながっていない地域が沢山あるといいます。

こうした地域に、このような機能を持たせたEV、および電力供給装置を普及させれば、再生可能エネルギーによる発電設備や最小限の既存の火力発電所の建設とEVの普及により、途上国の電力問題を早期に解決することが出来るのです。

 

ということで、EVには世界的な電力事情を大きく変える起爆剤としての側面があるのです。

ですから、これからの自動車業界のキーワードは“CHASES”がいいと思うのです。


 
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2017年12月05日
アイデアよもやま話 No.3878 加速するEVシフト!

9月24日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で加速するEV(電気自動車)シフトについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、EVシフトが一気に進もうとしています。

世界の自動車業界ではガソリン車などに代わりEVの普及に向けた動きが広がっています。

日本のメーカーはハイブリッド車を主力として、エコカーの分野で世界をリードしてきましたが、世界はEVに向かおうとしています。

こうした中、これまで日本が培ってきたクルマづくりや産業構造が大きく変わってしまうという指摘も出ています。

 

ドイツのフランクフルトで開催されたモーターショー、重厚な高級車で知られるイギリスのメーカー、ジャガーが今年の顔にしたのはEVです。

ドイツのフォルクスワーゲンでは、2025年までに50車種をEVにすると発表、BMVも最高時速200km、1回の充電で航続距離600kmのEVの最新モデルをアピール、各社からEVシフトの流れが鮮明に打ち出されました。

BMWのロバートソン取締役は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「EVシフトはヨーロッパ、アメリカ、アジアで勢いづいている。」

「企業が次々にEVを市場に出しており、流れは更に加速している。」

 

ガソリン車からEVへのシフト、一体なぜ急速に進んでいるのでしょうか。

EVシフトのカギを握っているのが中国です。

中国の自動車市場は今や世界一の規模となっています。

中国のあるディーラーは、以前韓国からの輸入車販売店でしたが、昨年からEV専門店に鞍替えしました。

扱うのは全て中国のメーカーのEVです。

こちらの販売担当者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「EVは1ヵ月に数百台売れます。」

「中国では輸入車は売れません。」

「新エネルギー車(EV)の先行きは明るいです。」

 

中国でEVシフトが急速に進む背景には中国政府による大きな後押しがあります。

7月に発売された最新モデルの価格は日本円で約370万円ですが、政府から100万円あまりの補助があり、260万円ほどで購入出来ます。

 

中国政府によるEVの優遇は、深刻な大気汚染対策を進める中で強力に推し進められています。

北京では交通量を制限するため、ガソリン車などについては曜日ごとに運転出来ない車が決められています。

しかし、EVはこうした規制の対象外なのでいつでも走ることが出来ます。

更にナンバーの取得でもEVは優遇されます。

ガソリン車の場合は競争率150倍といわれる抽選がありますが、EVにはそうした抽選はありません。

EVを購入したある女性は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(ガソリン車では)3年当選しなかったけど、EVは1ヵ月でナンバーが取れた。」

 

中国政府は9月にガソリン車やディーゼル車などの生産や販売の禁止に向けて、具体的なスケジュールの検討を開始することを明らかにしました。

世界最大の自動車市場、中国でEVシフトは決定的となっています。

今や、中国はEVの主戦場と言える市場なのです。

世界のどのメーカーもその動向から目が離せない状況です。

 

世界の新車登録・車販売台数(2016年)は以下の通りですが、中国は断トツの1位で、今後も市場は更に拡大すると見込まれています。

中国   2800万台

アメリカ 1700万台

EU諸国 1400万台

日本    500万台

 

その中国がEVにカジを切ったということで、ヨーロッパのメーカーだけでなく、これまでEVの開発に慎重だった日本のメーカーもEVに乗り出さざるを得なくなっているのです。

 

そうした中で、気になるのが次のエコカーの本命がEVなのかそれともFCV(燃料電池車)なのかというところです。

FCVは水素というクリーンなエネルギーを使うことから究極のエコカーとも言われているのですが、非常に高度な技術が必要で、今のところ価格も非常に高くなっています。

ちなみに、3年前にトヨタが発売した「MIRAI」の価格は723万円です。

生産能力は1日9台で累計の販売台数も1800台あまりに留まっています。

 

一方、EVは価格が下がってきて中国車で販売されているEVは300万円台で、更に安いものもあります。

今のところ、価格面ではEVが次のエコカーとして有力な状況になっています。

 

さて、EVシフトを主導する中国の狙いは、その本音は大気汚染対策ではなく“ゲームチェンジ”にあるといいます。

現在の自動車市場はガソリン車が主役となっています。

特に自動車の心臓部といわれるエンジンの性能で競い合っているという土俵で勝負しており、日本や欧米のメーカーが強みを発揮している状況です。

中国市場でも海外メーカーが占めています。

この状況を変えたいというのが中国の本音なのです。

EVの競争はまだ始まったばかりで、“ゲームチェンジ”をすることでEVという新しい土俵で勝負し、そこで主導権を握りたいという思惑があるのです。

 

では、この“ゲームチェンジ”で日本のメーカーが優位を保ってきた土俵が他の土俵に変わってしまい、日本のメーカーにどんな影響が出てくるのでしょうか。

EVに本格的にシフトすることになると、まず懸念されるのが部品メーカーへの影響です。

エンジンを始め、変速機やマフラー、燃料ポンプなど、ガソリン車を構成する3割ほどの部品が不要になるという指摘も専門家から出ています。

これは500万人の雇用を抱える自動車産業にとっては大きなインパクトになり得ます。

もう一つの懸念は、技術がありきたりのものになって価格だけの競争になってしまう状態、すなわち“コモディティー化”です。

EVは電池とモーターを組み立てるというのが比較的シンプルな構造と言われており、中国では新興のメーカーが次々と参入して低価格のEVを発売し、売り上げを伸ばしています。

 

さて、この“コモディティー化”については過去にも日本の電機メーカーを揺るがしたという苦い経験がありました。

液晶テレビは、日本の電機メーカーが当初は世界のトップに立っていましたが、テレビのパネルなどの技術が普及してアジアのメーカーが次々と参入し、安値競争に巻き込まれて日本のメーカーは苦戦を強いられたという経験があるのです。

ただ、自動車は人の命が係わる製品で液晶テレビと同列に扱うことは出来ません。

しかし、価格だけの競争に巻き込まれることは避けなければなりません。

つまり、品質や機能で差別化をどう図っていくかが課題になります。

 

では、日本の自動車業界はどう戦いっていけばいいのでしょうか。

カギを握るのは自動運転で、特に安全技術です。

EVは電気で制御する自動運転との相性がいいと言われています。

日産が9月に発表したEVの新型「リーフ」は、自動ブレーキの他に自動駐車機能も搭載されています。

そこで付加価値を付けて、他のEVとの違いを出そうとしているのです。

ただ、この自動運転の分野は、ヨーロッパのメーカーが先行しているとも言われています。

更に、グーグルやアップルなど、IT企業も続々と参入しています。

言わば、クルマのIT化が進むと言われていますが、これは日本のメーカーが得意としてきた精緻な技術のすり合わせといったものとは一線を画するものです。

主導権を握る保証があるわけではないとも言え、10年後、20年後を見据えた戦略が求められていると思います。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず驚かされるのは、中国の自動車市場の大きさです。

ざっと世界市場の3分の1以上を占めているのではないでしょうか。

その中国とEU諸国がEVシフトに大きく舵を切ったのです。

その市場規模はざっと世界の半分以上を占めるほどの大きさです。

そして、ガソリン車からの“ゲームチェンジ”を目指す中国の狙いは、EVという新しい土俵で勝負し、そこで主導権を握ることにあるといいます。

恐らくEU諸国の狙いも同様だと思われます。

しかし、中国やEU諸国の目指す“ゲームチェンジ”には、同時に地球温暖化対策、あるいは大気汚染対策といった言わば“錦の御旗”があります。

ですから、この流れを止めることは出来ません。

というよりもこの流れは世界的に望ましく、積極的に推し進めるべきなのです。

 

一方、この“ゲームチェンジ”により、これまで優位を保ってきた500万人の雇用を抱える日本の自動車産業界は大打撃を受けることになります。

更に、価格だけの競争になってしまう“コモディティー化”のリスクもあります。

こうしたリスクに対して、日本の自動車メーカーはこれまでハイブリッド車において世界の自動車産業をリードしてきており、次世代のエコカーと注目を浴びてきた燃料電池車の開発に力を注いできたトヨタもEVシフトに大きく舵を切ろうとしているようです。

また、個々の部品メーカーの中にはEVの時代を見据えた対応策を検討し始めているところも出てきています。

 

また、番組でも指摘しているように、日本のメーカーは過去に液晶テレビで苦い経験をしてきました。

 

ですから、日本の自動車産業界には、以下の観点からEVシフトを積極的に受け入れて、EVの世界においてもこれまで以上に世界的に自動車産業界をけん引していって欲しいと願います。

そのポイントを以下にまとめてみました。

・低価格化

・航続距離の向上

・安全性の向上

・短時間での充電を可能にする充電インフラ

・低価格のEVへの充電、あるいはEVからの給電を可能にする装置

・自動運転などによる利便性の向上

・スマート社会を見据えた自動車のあるべき姿の追求


 
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2017年12月04日
アイデアよもやま話 No.3877 自動車の歴史に見るEVの逆襲!

9月22日(金)付け読売新聞の朝刊で自動車産業を巡る主な動きの中でガソリン車や電気自動車(EV)の今後について取り上げていました。

そこで、今回は主にこの記事についてEVに焦点を当ててご紹介します。

 

1830〜40年頃 世界初のEVが製造される

1880年     ドイツのカール・ベンツが世界初のガソリン車を製造

1899年     EVがガソリン車に先駆けて時速100kmの壁を突破

1908年     フォード・モーターが「T型フォード」を発売

1997年     トヨタが世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」を発売

2008年     テスラが「テスラロードスター」を発売

2009年     三菱自動車が世界初の量産EV「アイ・ミーブ」を発売

2010年     日産自動車が量産EV「リーフ」を発売

2014年     トヨタが世界初の量産燃料電池車「ミライ」を発売

2017年7月   仏英が2040年までにガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を表明

2017年9月   中国政府が、ガソリン車などの生産・販売禁止を検討中であることが明らかに

 

まず、1830〜40年頃という日本の江戸時代末期に世界初のEVが製造されたという事実には驚きです。

更に、1899年にはEVが時速100kmの壁を突破したという事実については、どのようなバッテリーが搭載されていたのか、あるいはフル充電での航続距離はどのくらいだったのかにとても興味が湧いてきます。

 

さて、世界初の自動車はEVでしたが、航続距離が長く、価格面でも優位にあったガソリン車が次第に自動車の主流になっていったのは当然の結果と言えます。

しかし、今年になって地球温暖化問題、あるいは大気汚染問題など、地球環境問題の対応策の一環としても、CO2排出量ゼロであるEVへのシフトが世界的に大変注目されるようになりました。

更に、最近はEVと相性のいい自動運転にも注目が集まっております。

この自動運転は、格段に利便性を高める新たな移動手段として自動車革命をもたらすと思われます。

こうした流れの中で、当然長い航続距離を可能にするバッテリーの開発や充電インフラの整備が進みます。

すると、EVの生産量の増加とともにEVの低価格化が進み、やがてガソリン車と比べて価格面でも航続距離でも引けを取らない状況を迎えるようになるはずです。

ですから、これからの数十年はEVにとっては絶好のチャンス到来で、ガソリン車への逆襲の期間と言えなくもないのです。

そして、こうした流れはこれからの世界的な自動車産業の発展に伴う地球環境問題のリスク軽減のためにも望ましいのです。


 
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2017年12月03日
No.3876 ちょっと一休み その623 『医師、日野原 重明さんの残された貴重な言葉 その3 命とは何か!』

ご存知のように聖路加国際病院名誉院長で100歳を超えても現役の医師として現場に立ち続けられた日野原 重明さんが7月18日に105歳でお亡くなりになりました。

日野原さんの生前の活動については、これまでいろいろと報道されてきましたが、9月23日(土)放送の「あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)でも日野原さんについて取り上げていました。

そこで番組を通して日野原さんの残された貴重な言葉について3回にわたってご紹介します。

3回目は、命とは何かについてです。

 

日野原さんは99歳当時も忙しい合間をぬってボランティア活動で年間100日以上にわたり全国各地を飛び回っていました。

そして、日本全国200校以上を訪れ、子どもたちに命とは何かを以下のように問いかけました。

「命を守るということは意地悪をなくすこと、いじめをなくすこと、みんな仲良くすること、戦争をしないこと、命を大切にすることをやりましょうということに賛成する人は両手を挙げて下さい。」

 

日野原さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「命というものはどういうものかというふうに自分で考えてみると、命というのはとにかく与えられたもので、自分で作ったものではない。」

「与えられたものを命と言ってるんですから、私はその大切な命を子どもたちに伝えたいんです。」

 

「今与えられている時間をどう使うかということが非常に大切な気がしますが、それにもエンドがある。」

「そのエンドの時に私の長寿を与えられたことを神様に感謝しますという感謝の言葉がね、苦しい苦しいと言って死ぬのではなくてね、感謝の言葉が捧げられるようになりたいということが私の最大の希望ですね、私の祈りでもあるわけですね。」

 

生涯現役の医師であり続けた日野原さん、限りある命をどう使うのか自らの生き方で示しました。

“命ほど尊いものはない”、伝え続けた105年の人生でした。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を見た後、私もあらためて命について考えてみました。

日野原さんもおっしゃるように、そもそも命は与えられたもので自ら作ったものではありません。

その与えられた命は、自分の両親が結婚し、精子と卵子の出会いからとても少ない確率の中で生まれたのです。

更に過去に遡っていけば、何万年、あるいは何十万年という悠久の人類の長い歴史の中で何世代にも渡って受け継がれてきたの命なのです。

ですから、今を生きている私たち一人一人は、気の遠くなるほどの少ない確率の中で生まれた、とても貴重な存在と言うことが出来ます。

まさに私たち一人一人は“奇跡の存在”なのです。

このように考えていくと、どこの国に生まれたか、あるいはどんな人種であっても関係なく、個々で見れば“奇跡の存在”なのです。

こうした“奇跡の存在”であるにも係わらず、他人を悩ませたり、暴力を振るったり、あるいは戦争によりその命を大量に粗末にすることはとても許されることではないという想いに至ります。

ですから、私たち一人一人が延命治療(参照:No.3870 ちょっと一休み その622 『医師、日野原 重明さんの残された貴重な言葉 その2 延命治療に対する考え方!』)なども含めて命についてじっくり考えてみることは、冒頭でご紹介した、日野原さんのおっしゃる“命の大切さ”に結びついていくと思われます。

 

さて、この“命の大切さ”は人類だけのことではありません。

植物も動物も、人類と種は異なりますが、やはり私たち一人一人と同じように個々には“奇跡の存在”なのです。

そして、以前No.2298 ちょっと一休み その358 『人類も食物連鎖の一構成要素』などでもお伝えした食物連鎖の例にもあるように、私たち人類が生きていくうえで、こうした植物や動物を私たちは食べなければ生きていけません。

このように考えると、宗教心などからではなく、朝昼晩と食事をするたびに、単純に“食べ物を食べることによって自分は生きることが出来るのだ”という想いから食べ物に対して感謝の気持ちが自然に湧いてくるのです。

 

そこまでいかなくとも、現実の暮らしにおいて、私たちは家族や友人、あるいは学校や職場などで毎日のように誰かと係わっており、お互いに助け合ったり、影響し合っています。

ですから、こうした相互のコミュニケーションにより、お互いに少しでも命の質を高め合うことが望ましいと思うのです。


 
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2017年12月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.517 『世界的に急務の地球温暖化対策!』

11月14日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で世界的に求められる高潮対策について取り上げていたのでご紹介します。

 

ドイツで開かれている地球温暖化対策の国連会議、COP23で高潮や洪水の被害を受けている島しょ国などの発展途上国が対策を進めるには先進国からの資金支援が更に必要だと主張しています。

背景には、アメリカが「パリ協定」からの脱退を表明したことへの懸念があると見られています。

COP23では、2020年以降の地球温暖化防止の枠組み、「パリ協定」の具体的なルールづくりの交渉が進められています。

この中で、島しょ国などの途上国は、防潮堤やダムの整備といった高潮や洪水など、温暖化に伴う自然災害の被害を軽減する対策を進めるには、先進国からの支援が更に必要だと主張しています。

一方、先進国は、「緑の機構基金」という資金支援の仕組みが既にあり、これまでに合わせて1兆円以上を拠出すると表明していて、更なる仕組みは必要ないと主張しています。

しかし、この基金に最も多く資金を拠出することになっていたアメリカが「パリ協定」からの脱退を表明し、拠出を止める方針を示しています。

途上国の主張の背景には、アメリカが抜けることで先進国からの資金支援が十分に行われなくなるのではないかという懸念があると見られます。

 

途上国が懸念する高潮などの対策への資金支援ですが、高潮の被害は途上国だけの問題ではありません。

温暖化によって世界各地で深刻化する恐れがあるのです。

アメリカ・ニューヨークでは、2012年にハリケーン「サンディ」で高潮の被害を受けました。

広域で停電が発生し、地下鉄も浸水するなど、数日間都市機能がマヒしました。

コロンビア大学のカイル・マンドリ助教は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ニューヨークでは、今後世界的にも類を見ない海面上昇が観測されるかも知れない。」

「(対策が取られないと、)将来的には毎月のように洪水が起き、建物やインフラに被害が出る恐れもある。」

 

日本でも10月に台風21号による高潮と高波で神奈川県の沿岸などに被害が出ました。

江の島ではおよそ7mの防潮堤を波が乗り越えました。

一方、横須賀市の佐島では、波が防潮堤を超え、しぶきが近くのマンションの4階の高さにまで達していました。

 

こうした被害は、このまま地球温暖化が進んだ場合、深刻化する恐れが指摘されています。

 

国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書では、世界の平均海面は21世紀末には2005年までの19年間の平均と比べて最大で82cm上昇する可能性が高いとしています。

海水が膨張したり、氷河が溶けたりするためです。

更に、研究機関の最新の解析では日本の南の太平洋で猛烈な台風の発生や通過が増えると予想され、沿岸部では高潮の危険性が高まるとしています。

その対策に欠かせないのが防潮堤です。

国土交通省によりますと、都道府県などが全国に整備した防潮堤の延長は2016年3月末現在でおよそ9000kmといいます。

しかし、温暖化で予想される最大クラスの高潮は想定していません。

また、高潮などの際に広範囲が浸水する恐れがある海抜ゼロメートル地帯は、人口が集中する東京、大阪、名古屋の3大都市圏に面していますが、多くの住民をどこにどう避難させるかなどの課題があります。

調査を行った早稲田大学の柴山 知也教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(行政・住民は、)より強大な高潮に対して、対応していく方法を考える必要があります。」

「もう少し個人のレベルで自分はどう対処するのかを考えていただきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも地球温暖化の進行は、IPCCによると人類による化石燃料の消費が大きな原因とされています。

ですから、私たち一人一人の化石燃料の消費の積み重ね次第で地球温暖化の進行を止めることが出来るし、早めることにもなるのです。

そうした中で、アメリカのトランプ大統領による「パリ協定」からの脱退の決断は、時代に逆行しているとしか思えません。

 

最近の世界的な記録的な超大型台風、高波、集中豪雨、あるいは洪水などは地球温暖化の進行とともに今後ともその規模、および頻度の増大が予想されます。

それに伴い、被害の規模も増大していきます。

国内だけでも全国に整備した防潮堤は温暖化で予想される最大クラスの高潮が発生すれば、大変な被害をもたらすと予想されます。

また、海抜ゼロメートル地帯は、これまでにない集中豪雨や洪水が発生すれば、多くの人たちが避難しなければなりません。

 

そこで、こうした状況に対して、リスク管理の観点から以下に整理してみました。

まず、地球温暖化に伴る自然災害が出来るだけ起こらないようにするためにリスク対応策としては、世界規模でCO2などの温室効果ガスの排出量を削減することが挙げられます。

具体的には、まず中国に次いで世界第2位のCO2排出国であるアメリカを「パリ協定」に引き戻すことが求められます。

他の国々が一生懸命にCO2排出量の削減に取り組んでも、一方でアメリカがCO2の垂れ流しでは片手落ちになってしまいます。

並行して求められるのは、化石燃料による火力発電から太陽や風力などの再生可能エネルギーによる発電へのシフト、および様々な省エネです。

また、そうは言っても、地球温暖化は今も進行しているので、リスク対応策と並行してコンティンジェンシープランの実施が必要です。

それは、例えば、想定される最大規模の高潮などに耐えられるような防潮堤の建設や洪水に耐えられるような都市インフラの整備などです。

また、個人レベルでは、様々な自然災害を想定した時の避難経路の確認や定期的な避難訓練などが挙げられます。


 
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2017年12月01日
アイデアよもやま話 No.3875 農業女子が食べられるバラで年商2500万円に!

8月22日(火)放送の「ビビット」(TBSテレビ)で食べられるバラについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、農業の世界で大成功を収めた24歳の女性社長が話題になっています。

田中 綾香さん、24歳、農業女子として2年前から社長に就任、するとたった1年で年商を150万円から2500万円まで上げ、大成功を収めました。

その大成功の理由は、観賞用のバラではなく“食用のバラ”の栽培です。

 

そんな食べられるバラですが、実は食べると女性にうれしい効果が盛り沢山で、最近注目を集めつつある食材なのです。

その一つが美容効果です。

花びらには赤ワインの約10倍のポリフェノールが含まれ、肌や唇を若々しく保つ効果や更年期障害の症状改善などに期待出来るといいます。

そして、美白や美肌効果があると言われるビタミンCはレモンとほぼ同じといいます。

更に、血液サラサラ効果が期待出来るケルセチンは玉ねぎの約2倍といいます。

そんな美容効果たっぷりのバラですが、その味は柑橘系の風味とほんのりした甘さがあるといいます。

元大関、琴欧州さんの出身地ブルガリアでは、食用としてバラが親しまれ、美容効果があるローズオイルが注目を集めたこともありました。

そして、美容以外に更なる効果があります。

ドイツの研究チームによれば、食べるだけでなく女性だけでなく男性にもうれしい加齢臭予防の効果もあるそうです。

バラを食べると、バラに含まれるゲラにオールという香り成分が体臭をバラの匂いに変化、加齢臭予防になるといいます。

田中さんの栽培するバラもそんな加齢臭予防が期待出来るといいます。

そんな栄養効果があるバラの加工品もヒットしました。

田中さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「花びらを飲食店にしか卸していなかったんですけど、これを加工商品にしてジャムとかハーブティーとか販売することが出来たので変わりました。」

 

恵比寿で行われている市場、「YEBISUマルシェ」では田中さんのバラで作った商品、ジャムやクッキー、花びらのお茶などの加工品がズラリと並んでいます。

最もバラの栄養分が生かされているのがジャム(160グラムで税込み2700円 )です。

バラの花びらを煮詰めて作るジャムは美容効果が期待出来るといいます。

都内の洋菓子店「ラヴィアンレーヴ」でも田中さんの栽培したバラをケーキのトッピングとして仕入れるほどになっています。

 

そんなバラですが、食用栽培には条件がありました。

バラは匂いが強く、虫が寄り付き易いため農薬無しに育てるのが困難だといいます。

田中さんも初めて育てた時に大失敗してしまい、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「バラの数でいうと、約1万株くらいダメになっちゃいました。」

「正直、農業を甘く見ていたんだなと思って、すごく反省したし、恥ずかしかったです。」

 

そこで、栽培方法を見直すため、バラ農家や農業大学に行き、バラについて学び直したといいます。

そして発見したのが、酢やクエン酸など人体に影響のないもので作った虫よけです。

こうして田中さんは無農薬のバラ栽培に成功しました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、田中さんのような20代の若い女性が農業女子として活躍していることは、少子高齢化とともに後継ぎの少なくなる時代を迎える状況において、とても救いになると思います。

 

また、バラといえば一般的に観賞用としてのイメージが定着していますが、番組を通してバラには以下のような商品価値があることが分かりました。

・美白や美肌などの美容効果

・血液サラサラ効果

・加齢臭予防

・柑橘系の風味とほんのりした甘さのある味

・ジャムやクッキー、あるいは花びらのお茶などの加工品

 

田中さんのこれまでの成功には、その裏にはこうした“食用のバラ”という目の付け所が大きかったと思います。

このように、農業分野で田中さんのように既存の農作物に新たな商品価値を見出して、第二、第三の田中さんのような“農業女子”の更なる登場を期待したいと思います。


 
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2017年11月30日
アイデアよもやま話 No.3874 臨場感あふれる複合現実ライブ!

9月13日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)で複合現実(MR Mixed Reality)の技術を利用したライブについて取り上げていたのでご紹介します。

 

9月13日、iPhoneの新型でスクリーン上の実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示する拡張現実(AR Augmented Reality)という機能が追加されましたが、現実の光景に仮想の世界を重ね合わせる技術、複合現実(MR Mixed Reality)があります。

このMRの技術を使ったアイドルグループのライブが開かれました。

東京・渋谷の会場に映し出されているのは、ここから離れた場所で行われているライブの生の映像です。

ここまでは普通の映像のようですが、スクリーンが消え、ステージに現れたのはアイドルたちです。

一見、本人がいるように見えますが、MRの技術を使い、別の会場でライブに出演しているアイドルの姿を立体的に映し出しています。

専用のゴーグルなどを使わず、その場にいる人は誰もが見ることが出来ます。

人物の影まで正確に映し出されていて、目の前でライブが行われているかのような臨場感を味わえます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

3D映像については、以前No.3228 ちょっと一休み その515 『DMM VR Theaterに行って来ました!』で元X JAPANのメンバー、hideさんの公演コンテンツについてご紹介しましたが、この映像技術はとても手の込んだものでした。

しかし、今回ご紹介したMRの技術はリアルタイムで別の場所の光景と同じ光景を3D映像で見ることが出来るのですから大変な技術の進歩だと思います。

こうした技術が更に進歩していくと、将来的にはわざわざライブ会場などに行かなくても自宅でMRの映像によってリアルタイムでライブなどを楽しむことが出来る時代が迎えられると期待出来ます。

なお、昨年2016年に世界で一大ブームを巻き起こしたスマホ用ゲーム「ポケモンGO」も、そのヒットの要素として、「ARモード」が重要な役割を果たしたと考えられています。


 
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2017年11月29日
アイデアよもやま話 No.3873 広がるIoTの活用!

IoTについては、アイデアよもやま話 No.3289 IOT,センサー、GPS,AI、ロボット・・・の組み合わせから見えてくる新たな世界 その1 暮らしの変化!などでこれまで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、9月8日(金)放送の「おやよう日本」(NHK総合テレビ)で広がるIoTの活用について取り上げていたのでご紹介します。 

 

あらゆるモノがインターネットでつながるIoT(Internet Of Things)は、家電製品のみならず公共的なシステムにまで利用が広がっています。

ドイツのベルリンで毎年開かれる世界有数の「ベルリン家電ショー」に今年は約1800社が参加し、最新の製品を披露しました。

世界中のメーカーが一斉に発表した新しい家電製品、インターネットにつながることは今や当たり前になっています。

各メーカーは、IoT技術をどう製品に生かすか工夫を競います。

 

サムスンの冷蔵庫はタッチパネル付きで、インターネットとつないで料理のレシピなどを調べることが出来ます。

一方、パナソニックが発表したのは未来の洗濯乾燥システムです。

洗濯物を入れると、素材が何かやどの程度汚れているかをセンサーで確認します。

そして、インターネットを経由して蓄積したデータにアクセス、それをもとに素材に最適な方法で洗濯します。

また、オランダのフィリップスが展示したのは赤ちゃんに係わる製品です。

こちらの哺乳瓶はミルクをいつどれだけの量を何分かけて飲んだかを計測します。

体温計でその時々の体温や測った時間を記録します。

これらのデータはスマホで一括管理し、医師と情報共有することも出来ます。

 

IoTを使ったシステムの有用性は公共サービスの分野でも注目されています。

ロンドン近郊に拠点を置くアーバンコントロール社では、街灯を管理するシステムを開発し、自治体への導入が進んでいます。

その仕組みは、街灯の一つ一つにセンサーを付け、電球が切れると自動で通知されます。

また、これらの情報はアブレット端末で確認出来るので管理が容易になります。

更に街灯の明るさを周囲の通行量に応じて調整することも出来るといいます。

 

あらゆるモノがインターネットにつながる現代、暮らしや社会をより豊かにする可能性を秘めています。

 

IoTというとインターネットにモノがつながるというイメージですが、その本質は人を介さずにモノの情報をやり取りすることにあると、番組では伝えています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ます、番組でも伝えていたように、IoTの本質、あるいは目指すところは単に全てのモノがインターネットにつながることではなく、全てのモノの情報がやり取り出来て、その情報をもとにいかに個々人や企業、国や地方自治体などにサービスを提供出来るかにあると思います。

なお、この点については、先日のある講演会で坂村 健さんはIoS(Interenet Of Service)という言葉で表現されております。

 

具体的なイメージについて、私の思うところを以下に2つ挙げてみます。

まず1つ目は、番組でも取り上げていた冷蔵庫の事例です。

一般的に、冷蔵庫の中にいつどの食品を買って、その消費期限がいつであるかを全て把握している家庭はほとんどないと思います。

そうした状況において、もしそれぞれの食品にICタグがついていて、それぞれの賞味期限や消費期限が簡単にスマホなどで把握出来れば、次の食事はどの食材を使って料理しようか、あるいはどの食品を食べようかなどの判断が出来ます。

また、あらかじめ登録していた食材が残り少なくなってきたら、そろろそ補充が必要だとか、ネットなどを介して自動的に注文されれば、これも便利だと思います。

更には、こうした前提で使い得る食材の組み合わせの料理のレシピが表示されれば、家庭の主婦などユーザーにとってはとてもありがたい情報になります。

 

2つ目は、一人一人の健康状態や病歴などの管理です。

既にマイナンバー制度が導入されていますが、現在の健康状態や病歴、あるいはかかりつけの病院などの情報が一元化されて管理され、それらの情報がマイナンバーと紐づけされ、そうした情報を本人がいつでも見ることが出来、担当医、あるいは薬局が必要に応じて見ることが出来れば、診断したり、薬の調剤などにとても役立ちます。

更に、AIを活用して病状に照らして最適な薬の調合が出来れば、現在のような病院とは別に存在する薬局が不要になり、その分医療費が安くなります。

更に、病気予防の観点からも、AIを活用した病気の予防に適する食材などの提案なども出来ます。

 

このような日々の暮らしに即したサービスにつながってこそIoT、あるいはIoSなのです。

ただ、こうしたサービスは限られた業種の企業だけでの実現は期待出来ません。

日々の暮らしの中で実際に行われている作業プロセスに即したサービスの実現に必要なIT技術を持ち合わせた企業が共同で技術開発することによって速やかに実現出来るのです。

また、とても大切なことは、このような一つ一つのインターフェースのプロトコルの標準化です。

もし、こうした標準化がなされなければ、ユーザーの視点からは、とても使いづらいサービスとなってしまいます。

なぜならば、メーカーごとの製品の囲い込みにより、操作方法が大きく異なるなどの弊害が起きてしまうからです。


 
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2017年11月28日
アイデアよもやま話 No.3872 テレワークのメリットと課題!

9月6日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でテレワークのメリットと課題について取り上げていたのでご紹介します。

 

働き方改革で注目されるテレワークはオフィスに行かず、自宅などで仕事をするというものですが、7月には国などが主導してデレワーク・デイが開催され、600社以上が参加しました。

しかし、まだ課題も多いというのが現状です。

そうした中、驚きのテレワークを実践している企業があります。

 

仕事の紹介サイトを運営する株式会社クラウドワークス(Crowd Works)(東京都渋谷区)は、先ほどお伝えしたテレワーク・デイに参加しました。

当日は100以上がテレワークで働き、オフィスは人がまばらになりました。

テレワークを利用した女性社員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「通勤がないということが一番大きなメリットかなと思っていまして、子どもと朝食を一緒に食べられるのが結構良かったですね。」

 

社内アンケートでは、約6割の社員がテレワークにより仕事の効率や生産性が上がったと回答しました。

クラウドワークスは、昨年からテレワーク制度を導入、勤務の場所や時間が自由になりますが、メリットだけではないといいます。

テレワークを利用した男性社員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「テレワークをやってる方が、仕事を続けてしまいがちという社員の声は聞きます。」

 

しかも、テレワークの回数制限や事前申請の手続きがあるせいか、これまで多くの社員がテレワークを利用していませんでした。

クラウドワークスの佐々木 翔平取締役は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「原則として社員を信じて任せてやっているルールではあるものの、そこの最低限の線引きはまだ必要だと現時点では考えています。」

 

しかし、テレワークを前提として一歩踏み込んだ働き方を実践している企業があります。

シックス・アパート株式会社の古賀 早社長は、誰でも利用可能な共同のワーキングスペース、bit&innovation(東京都新宿区 TIS株式会社により運営)で作業をしています。

古賀社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「全員リモートワーク(テレワーク)を始めたんですけども、私自身も自宅に限らず、コワーキングスペースやシェアオフィスを使わせていただいております。」

 

「会社に来て、仕事をしている姿で評価されるわけではなくて、実際にやった実績で社員の仕事の評価は決まる。」

 

シックス・アパートのオフィス(東京都千代田区)の執務スペースは社員30名に対して10席ほどを用意しています。

ホームページの管理サービスなどを手掛けるシックス・アパート、番組が取材した日にこのオフィスにいた社員は2人だけでした。

テレワークの回数制限や事前申請はなく、社員はいつどこで働くのも自由です。

決められているのは、最低でも月1回オフィスに出勤することです。

 

昨年、親会社から独立したのを機に、全社員テレワークを開始しました。

オフィスは3分の1の広さの場所に移転しました。

その結果、家賃や電気代などが大幅に減り、年間4000万円以上のコスト削減が出来たといいます。

社員が毎日出社することはないため、通勤にかかる定期代の支給も取りやめ、その代わりに毎月一律1万5000円の“テレワーク手当”を支給しています。

なお、この使い方は完全に自由といいます。

 

こうしたテレワークについて、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクール准教授の入山 章栄さんは、次のようにおっしゃっています。

「私はこの流れは間違いなく進むと思っています。」

「ただ、例えばアメリカなんかですと意外とこの逆の流れというのも出ていまして、例えば何年か前にヤフーが在宅勤務を全部禁止にしてしまったんですね。」

「それから、今年に入ってIBMもテレワークを禁止にしまして。」

「それから、グーグルもそれほど在宅勤務には積極的じゃないと言われているんですね。」

「(一度試した企業が止める方向で動いている理由について、テレワークと通常のオフィスワークには)双方に別なメリットがありまして、テレワークは働き易さ、効率性というものがメリットなわけです。」

「ただ、一方で同じ会社の人が同じ職場に集まることでしか得られないメリットも多くあると言われていまして、例えば心理的な効果ですよね。」

「同じ場所にいるからこそ、信頼関係が作れていろいろな情報を交換出来ると。」

「それから、同じ空間、場所にいるからこそ伝わる知識や情報、例えば暗黙知のようなものがあると言われているわけです。」

「更に、私はこれが非常に重要だと思っているんですが、職場での偶然の出会いですね。」

「どうしてもテレワークですと、特定の仕事に紐づいた人しか会わないわけですよ。」

「ですけど、職場にいろんな人が集まれば、そこで普段は関係ない人たちと「あなた、今そんな仕事やってるの」とか、そういう情報交換が行われることが実は企業の強さになっていると。」

「実は、このあたりは経営学でもそういった主張がされていて。」

「ですから、どちらがより重要かっていうバランスを探っていくということがこれから企業に求められるのだと思いますね。」

「(場合によってはこの組み合わせが必要なのではという問いに対して、)はい。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

入山さんのおっしゃるように、テレワークにはメリットと課題があります。

ですから、それぞれの業種や従業員個人個人の抱える事情に応じた“働き易さ”の追求がその企業の生産性向上につながると思います。

個人の生き方としても、仕事は全て会社で全力投球し、就業時間後は仕事のことは忘れて趣味を楽しむというような考え方の人もいます。

一方、育児で忙しい夫婦共働きの場合は、子育てに必要な時間の確保を前提とした働き方が出来ることが継続的に働くことの出来る大前提になります。

 

ですから、安倍政権の進める“働き方改革”においては、国、あるいは地方自治体などとして、以下の観点を忘れずに進めていただきたいと思います。

・従業員の望む多様な働き方の支援

・テクノロジーの急速な進歩に応える社会人の新たなスキルの養成支援

・正社員、非正社員に区別のない収入格差の是正

 

一方、各企業に求められるのは、それぞれの業種に応じた働き方の多様性です。

最初からテレワークを導入しないまでも、フレックスタイムの導入をするだけでもかなり従業員の負担が軽減されると思います。

いずれにしても、テレワークまで含めた範囲でそれぞれの企業が試行錯誤を重ねる中で、よりよい職場環境が実現し、生産性向上、会社の業績、ひいてはお客様へのサービス向上につながると思います。


 
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2017年11月27日
アイデアよもやま話 No.3871 低価格化の進む”終活”ビジネス!

8月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で低価格化の進む”終活“ビジネスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

高齢化が進む中、自らの死後について備える終わりのための活動と書く“終活”が注目されています。

1993年には約400万円だった葬儀費用が2015年には約210万円と半分ほどに減っているのです。

この“終活”市場では、お金のかけ方に対する意識が変わってきており、それに合わせて商品やサービスも様変わりしています。

 

8月23日から3日間にわたって開催された「エンディング産業展 2017」(東京ビッグサイト)では、葬儀や埋葬などいわゆる“終活”に関する企業が300社以上集まり、日本最大の展示会で会場には今の時代に合わせた最新の商品が並びます。

これまで大量に使っていたドライアイスを使用せず、電気で遺体を冷却・保管する装置や一粒一粒、故人の遺骨から作るという真珠、更にはお経を読むペッパーまであります。

更にはお墓の引っ越しが出来る新しいお墓まであります。

こちらは株式会社愛心による「のうこつぼ」と名付けられたコンパクトな集合型のお墓です。

この「のうこつぼ」は全国40ヵ所以上の寺院に設置されており、引っ越しの際は遺骨のみ移動させることが出来るため、残された家族の負担が少ないといいます。

愛心の櫻井 祐貴社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今はほとんど“お墓じまい”といってお墓をつくる人が大変少ないんですね。」

「それに対して、(従来のお墓と比べて)低価格、49万8000円。」

 

最近はこのように遺族の負担が極力少なく済むことが“終活”の大きなポイントになっているのです。

 

同じく、遺族の負担が少ないことから、ここ数年人気が高まっているのが樹木葬です。

株式会社アンカレッジの伊藤 照夫社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「2012年に東京都が樹林墓地を都営墓地で始めたことをきっかけに、当時は23区内では私たちともう1ヵ所くらいしかなかったんですが、今は数えられないくらい(増えています)。」

 

この樹木葬について、浄土宗 來迎山道往寺の柏 昌宏住職は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「お骨が2つまで入るんですけども、主に夫婦や母娘の二人で入るためのお墓になっています。」

 

そこにあったのは、草木や花に囲まれた墓石でした。

好きな言葉やイラストを残すことが出来ます。

こうした自由さと自然を感じられる環境に加えてこちらの樹木葬が特に好評な理由があるといいます。

柏住職は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ここのタイプは永代供養墓になるわけですね。」

「で永代供養墓はお墓を引き継がなくてもいい。」

「ご結婚なさってない方とか、女のお子さんしかいらっしゃらない方が多いですから、こういうタイプのお墓をお寺で用意するということで、今人気があるんじゃないかなと。」

 

「子どもに迷惑をかけたくないと皆さんおっしゃるんですね。」

「だんだん子どもが少なくなってきているし、一人っ子が多かったりですね、そういう中で代々引き継がなくていいお墓のニーズがあるんじゃないでしょうか。」

 

こちらの樹木葬は、13年間の埋葬期間を終えると合葬される、永代供養を組み合わせてあるのです。

お墓の引き継ぎや戒名する必要がない上、費用も1区画90万円からと比較的安く済みます。

こうした利点からこのお寺では利用の申し込みや問い合わせが相次いでいるといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

考えて見れば、国内では一般的に人が亡くなれば、その家を継ぐ家族の場合、代々のお墓のあるお寺の住職に戒名を付けていただき、お通夜、葬儀、四十九日、新盆、一周忌、三回忌などの法事が続き、それぞれに大なり小なりお金がかかります。

更に、家を継がない人の場合には新たにお墓を購入することが求められます。

これには最低でも100万円近くのお金がかかります。

 

一方で、今は収入の安定した正社員ではないアルバイトや契約社員の割合が増えています。

こうした収入が安定せず、しかも正社員に比べて収入の少ない一人暮らし、あるいは家族にとって、従来の宗教的なしきたりに則った一連の法事を一通りやりたくても資金的な事情で出来ない方々が出てくるのは止むを得ません。

こうした事情を抱える方々に応える受け皿として、「のうこつぼ」などのコンパクトな集合型のお墓や樹木葬、あるいは代々引き継がなくていい永代供養墓、更にはこれらの組み合わせはとても助けになります。

また、家を継いだ方にとっても、様々な事情により代々のお墓のあるお寺から遠く離れた地域に居を構えた場合、“お墓じまい”をして現在住んでいるところから近い場所に新たにお墓を購入するという話も聞きます。

あるいは、高齢を迎え、自らお墓参りをすることが出来なくなった場合の受け皿として、本人に代わってお墓詣りするサービスもあるといいます。

 

少なくとも若者が地方から都会に出て働くようになった都市化が進むまでは、それぞれの地域で、お互いに協力し合って様々な法事をこなしてきました。

ですから、法事にかかる費用もそれほど負担にならなかったのです。

しかし、いつの頃からか、地域住民の負担も減ることから、一連の法事のほとんどは葬儀会社に依頼することにより、その結果、葬儀費用がグンと増えてしまいました。

一方で、格差社会を迎え、そして宗教との係わりが本来の信仰心からかけ離れ、一連の法事が単なる行事として定着してきたこと、更には人々の価値観の多様化が先ほどの「のうこつぼ」などの一連のビジネスにつながっていると思います。

 

さて、私もやがて長男として家代々のお墓を継ぐ身にありますが、最近お墓の行く末をいろいろと考えてしまいます。

というのは、私の場合、男の子の孫もいるので、その孫の代までは何とかお墓を守ってもらえると期待出来ます。

しかし、その先の代ではいずれお墓を守ろうと思っても、様々な事情で守れない人が必ず出てきます。

そうした時に、代々のお墓はどうなってしまうのかという不安です。

せめて、今のお寺で永代供養墓や“お墓じまい”でもどこか他の地域に骨壺が移されて永代供養墓にしてくれれば、と思います。

そのためには、それなりのお金が必要です。

このように考えていくと、こうした要求に応える保険ビジネスもやがて登場してくるのではないかと思ってしまいます。

 

一方で、価値観の多様化によりアイデアよもやま話 No.3469 宇宙葬で人生最後の旅は宇宙!でもお伝えしたようにお金に余裕のある方向けに宇宙に自分の遺灰の一部を送ってくれるビジネスまで登場しています。

ですから、あの世においても、手持ちのお金による格差が出てくるのです。

 

いずれにしても、あの世のことは誰にも分かりませんが、気分的にはお墓に入っても自分の居場所は先祖代々の遺骨とともに今あるお寺の場所にいたいというのが私の今の想いです。


 
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2017年11月26日
No.3870 ちょっと一休み その622 『医師、日野原 重明さんの残された貴重な言葉 その2 延命治療に対する考え方!』

ご存知のように聖路加国際病院名誉院長で100歳を超えても現役の医師として現場に立ち続けられた日野原 重明さんが7月18日に105歳でお亡くなりになりました。

日野原さんの生前の活動については、これまでいろいろと報道されてきましたが、9月23日(土)放送の「あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)でも日野原さんについて取り上げていました。

そこで番組を通して日野原さんの残された貴重な言葉について3回にわたってご紹介します。

2回目は、延命治療に対する考え方についてです。

 

日野原さんは、生前番組の中で次のようにおっしゃっています。

「医師は命を延命させることが医師の義務だというふうに多くの人が思い込んでいた。」

「延命させること、強心剤で延命、そうじゃなくて今許されている命の深さ、質を濃くすることこそ延命医療に必要だということが当時は十分に分からなかったということに私はちょっと気が付いた。」

「長さではない、深さである。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した日野原さんの延命治療に対する考え方は、一言で言えば「命の大切さは長さではなく、質である」ということだと思います。

ですから、やたらと延命治療を施すべきではないとおっしゃっているのです。

 

ここで思い出されるのは、私の母が今年亡くなる前の4ヵ月ほど延命治療を施されたのですが、その間、一日中母は両手両足をベッドに締り付けられ、胃ろうのため食べる楽しみを味わうことも出来ませんでした。

また、タンが肺に入り込んで誤嚥性肺炎になることを防ぐためにのどに管が通され、話すことも出来ませんでした。

ですから、母は私たち家族に伝えたいことをほとんど伝えることが出来ませんでした。

 

このような母の入院中の体験を思い出すと、果たして延命治療が母本人にとって良かったのかと今でも考えてしまうことが時折あります。

延命治療をするかどうかについては、患者本人の希望と家族の希望があります。

家族の立場からは、少しでも長生きして欲しい、あるいは世間体もあることから延命治療を選択してしまうことがとても多いのではないかと思います。

しかし、私の母の例からしても、果たして本人は本当に延命治療を望んでいたのか今でも疑問が残ります。

やはり、優先すべきは本人の希望だと思います。

また、医師や家族の観点からも大切なのは、単に長生きして欲しいという観点ではなく、“質の高い残された時間”の確保だと思うのです。

 

ということで、以前アイデアよもやま話 No.3667 母の死に際して その6 本人が延命治療拒否を出来るような制度の必要性!でもお伝えしたような仕組みが必要だと思います。


 
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2017年11月25日
プロジェクト管理と日常生活 No.5016 『ウイルス攻撃が100%防御可能に!?』

11月3日(金)放送の「日経プラス10」(BSジャパン)でウイルス攻撃が100%防御可能になるセキュリティソフトについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、コンピューターへのサイバー攻撃が世界的に問題になっております。

例えば、大企業からの情報漏えいがあったり、先のアメリカ大統領選挙でもサイバー攻撃があったり、ワナクライという身代金を要求するウイルスが問題になったりしていました。

こうしたサイバー攻撃はウイルス対策ソフトを入れておけば一時的に対応出来るのですが、すぐにまた新しいウイルスが出てきて、またそれに対応するというように100%防ぐことは難しいというのが現状です。

ところが、今回、そういったサイバー攻撃を封じ込める新しいシステムが出来たというのです。

 

社員数わずか十数人の株式会社ブループラネットワークスBlue Planet-Works)(東京都渋谷区)は、全く新しい概念のセキュリティソフトを手掛けており、この会社には全日空、JTB、第一生命、電通など日本の名だたる企業が出資しています。

また、連日、様々な企業からセキュリティ講習会に参加しています。

ブループラネットワークスの代表取締役、中多 広志さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(このセキュリティソフトは、)長い年月をかけてアメリカの政府機関が作りました。」

「それが採用されて、(効果が)立証されてきたということですね。」

「今回、民間に出るということになりまして、私どもがそのソースコードからIP(intellectual property 知的財産)まで全て手にすることが出来たということです。」

 

今までのセキュリティソフトは、ウイルスによる攻撃を入口でブロックするという発想だったのです。

ですから、ビルに例えれば入口のところでウイルスの侵入を食い止めるというものでした。

ところが、1日に100万個ものウイルスが出来てくるので、そのたびに対応するセキュリティソフトを作ってもいたちごっこ状態なのです。

ところが、ブループラネットワークスのセキュリティソフトは、ビルの1階のロビーまでは自由に入ることが出来てしまいます。

しかし、エレベーターに乗って役員室まで上がるような不審な動きをするとその動きを止めてしまうのです。

ですから、いたちごっこではなく、どんなウイルスであっても、不審な動きをしたらその場ですぐにプログラムを駆除してシャットアウトするという全く新しい発想のセキュリティソフトなのです。

これは使えるということで、日本の名だたる大企業が注目しているのです。

 

さて、「変なメールが届いたらクリックするな」とよく言われていますが、ある大手旅行代理店で実際にあった例として、大手の航空会社のメールアドレスでメールが送られてきました。

つまり、メールアドレスを乗っ取られてウイルス付きのメールが届けば、クリックしてしまいます。

ところが、今回ご紹介したセキュリティソフトだと、クリックしてしまってもそのウイルスが不審な動きをした時点で、その動きを止めてしまうのです。

 

更に、このセキュリティソフトは非常に軽量なので、今後スマホなどのウイルス対策としても使えると見込まれています。

これから2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたって、こうしたウイルス対策の議論が進められている中で、非常に有効な対策の一つになるのではないかと見られています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

冒頭でもお伝えしたように、現在、コンピューターへのサイバー攻撃が世界的に問題になっており、その被害総額やパソコンの修復の手間などから考えると、影響の大きさは計り知れません。

そうした中、今回ご紹介したウイルス攻撃が100%防御可能になるという画期的なセキュリティソフトは、セキュリティリスクの究極の対応策として大いに期待出来ます。

しかも、軽量なのでスマホなどへの適用も出来るといいます。

実際の市販化時期や料金は未定のようですが、是非1日も早く市販化出来るように開発を急いていただきたいと思います。

 

一方で、こうした画期的な商品の登場は、これまでのセキュリティ会社にとっては死活問題となります。

ビジネスの世界は、こうした非情な側面がありますが、広い視野で見れば、いつの時代もユーザーにとってよりメリットのある商品へのシフトが“世の常”なのです。


 
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2017年11月24日
アイデアよもやま話 No.3869 期間限定のロボットカフェ!

11月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で期間限定のロボットカフェについて取り上げていたのでご紹介します。

 

ネスカフェ 原宿(東京都渋谷区)の店内の中央には3台のロボットが設置されています。

11月16日(木)から26日(日)までの期間限定でオープンしたこちらの“おもてなし無人カフェ”(1品注文でコーヒー無料)では、カフェ店員の衣装を着たソフトバンクロボティクスのペッパー(Pepper)とネスレの最新IoT接続型のコーヒーメーカー、ネスカフェ ゴールドブレンド 50、そして普段は工場などで作業を行っている川崎重工の工業用ロボット、デュアロ(duAro)が連携してお客にコーヒーを提供します。

 

お客は接客係のペッパーとのやり取りで好みの量と濃さのコーヒーを注文出来ます。

こうしてペッパーがお客から注文を取ると、それに反応して他の2台も動き始めます。

3台のロボットが掛け合いながら、注文したチョコレートとともにコーヒーが出てくるまでおよそ4分、少し待ち時間はかかります。

しかし、ペッパーには顔認証機能が付いていて、顔と名前を登録すると、2回目に注文する時には「お疲れ様です、xxさん」とペッパーがお客の顔を認証してお客に声をかけてくれます。

しかも、「いつものでよろしいですか」と1回目に設定した好みの量と濃さがペッパーの胸の部分の画面に表示されます。

ですから、お客は2回目以降にはボタンを押すだけでいつものコーヒーを飲めるようになるのです。

 

現在、アメリカなどでは完全無人化されたコーヒースタンドも登場、待ち時間の短縮だけでなく、人件費の削減によりコーヒー1杯当たりの値段を抑えた販売が実現しています。

一方、今回の取り組みはそうした効率化を見据えるのではなく、ロボットと人とのコミュニケーションも意識したといいます。

ネスレ日本・飲料事業部の島川 基さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「完全に無人化になってしまうと、例えば自動販売機でもいいじゃないか(というようになってしまいますが)、一方向のコミュニケーションとか決まったことを言うわけではなく、お客様に対して反応してくれる仕組みはどんどん発展させていくと、それが一つの接客業に成り代わってやってくれるということは十分に可能性があるんじゃないかなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、アイデアよもやま話 No.3160 世界初のロボットが働くホテル!でご紹介したように、テーマパーク、ハウステンボス(長崎県佐世保市)では既にホテルでの本格的なロボット導入に取り組まれております。

今回ご紹介したのは、ホテルよりもっと身近な存在であるカフェでの実験的な取り組みです。

恐らく、ネスレ日本では今回の試行をもとに、いろいろな工夫を重ねて本格的なロボットカフェの展開を進めるものと思われます。

既にペッパーは街のあちこちで見かけるようになりました。

ですから、今後とも量産効果とともに、低価格化、および機能の充実が図られていくと思われます。

同時に、あちこちのペッパーで得られたお客とのやり取りなどのデータがクラウド上に集められ、ビッグデータとして機能の充実に大きく貢献さてれていくと見込まれます。

ですから、近い将来、ロボットカフェやロボットホテルというよりも、もっとサービス全般の充実を意識したスマートホテルやスマートカフェ、あるいはスマートスーパーなど、様々な業態のAI(人工知能)やロボット、IoT(モノのインターネット)を活用したサービスが普及していくものと期待出来ます。


 
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2017年11月23日
アイデアよもやま話 No.3868 5分100円の御用聞き!

8月21日(月)放送の「Nスタ」(TBSテレビ)で5分100円の御用聞きについて取り上げていたのでご紹介します。

 

粗大ごみの移動、家具の移動、家電・PC(パソコン)サポート、お片付け、掃除など専門的な技術が必要なサービスを5分300円からという料金で提供している「たすかるサービス」があります。

一方、水やり、生活ごみ処理、フタ開け、郵便物回収、電球交換、宛名書き、日常の掃除などちょっとした困りごとを5分100円で解決する御用聞き「100円家事代行」があります。

なお、料金にはこの他に出張費(1人分)200円がかかります。

 

このサービスを始めた株式会社御用聞きの社長、古市 盛久さんは6年前に「買い物代行サービス」の事業に失敗、迷惑をかけた会員に謝罪して回る中、ある高齢女性のお宅を訪ねた際に、「おばあさん、なんでインターホン鳴んなかったの」と聞いたら、「こわれちゃってる、頼み先が無くて」と言われました。

そこでインターホンの電池を交換したところ、鳴った瞬間におばあさんが手を合わせて号泣されて、拝み倒すみたいに感謝の意思表示をされたのです。

その時の代金としてもらったのが古銭でした。

今でもお守りとして持ち歩いているといいます。

 

現在、御用聞きのサービス提供エリアは団地の多い板橋区や練馬区を中心におよそ7つの地域です。

中でも最も注文が多いのが高島平団地です。

かつては入居の応募が殺到し、“東洋一のマンモス団地”と呼ばれました。

総戸数は1万戸、およそ3万5000人が暮らしていました。

しかし、現在入居者の半数以上は65歳以上の中高年だといいます。

そこで住民たちの救世主となってくれているのが、“ちょっとした困った”を解決してくれる御用聞きなのです。

古市さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「“生活のささくれ”って言ってるんですけど、業界のサービスのはざまに落ちているような、ほんのささいなことを特化してやっていこうというのがコンセプトですね。」

 

月に平均100件の依頼内容の主なものは、電球の交換、瓶のふた開け、宛名書きなど些細なものが多いといいます。

中でも、特に多いのは重いモノを運ぶ依頼だといいます。

エレベーターが無い5階建ての団地に住む人にとってはありがたいサービスだといいます。

更に意外な依頼もあります。

ある日の夜、小学生の女の子がやって来て、100円玉をテーブルに置いて、「お父さんとお母さんのケンカを止めて下さい」と言われました。

古市さんはビックリして、「お父さん、お母さんの目を見て「ケンカを止めて」と言って、それでもダメだったら、もう1回おじさんの所においで」と言ったら、走って行って、その後その女の子は来ませんでした。

 

夏の団地ならではの依頼もあります。

団地の掃除当番から「廊下に落ちているセミを取って」というものです。

8月は毎朝この依頼が続くそうです。

 

そして、最近中高年に増えている依頼がスマホの操作です。

社会に置いていかれたくない、だからスマホを使いこなしたい、そう思う人も最近は増えているといいます。

ある60代の女性は、留守番電話機能の設定やお気に入りの保存方法、あるいは音声入力機能を使いこなせるようになりたいという要望が御用聞きのサービスにより適いました。

古市さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「そのご家庭、その方の悩み相談、何でも1回は受け止めるという。」

「これだけの社会課題がまだあることにどう対応していくかが大事。」

 

「“暮らしに寄り添う”と言ってるんですけど、住んでいる人の問題を解決することが最初だと思ってるんです。」

「自分たちのミッションですね。」

 

近所づき合いが少なくなってきている中で、御用聞きの皆さんは「まず会話をすること、会話で生活を豊かにしたい」とおっしゃっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

古市さんのおっしゃる“暮らしに寄り添う”という言葉は、とても温かみのある優しさに溢れた言葉だと思います。

そして、今回ご紹介した“御用聞き”は、まさに“暮らしに寄り添う”サービスだと思います。

このサービスが5分100円からというリーズナブルな料金で提供されるのですから、高齢化社会の本格化とともに特に独り住まいの高齢者からの依頼が今後増えていくと思います。

また、このサービスには目に見えないメリットがあります。

それは会話です。

以前、独り住まいの高齢者の中には1週間くらい誰とも話す機会のない方もいらっしゃるという状況が報道されていました。

会話することは脳のトレーニングになりますから、認知症などの予防にも効果的だと思います。

また、こうした“御用聞き”ビジネスが全国的に展開されれば、多少なりとも高齢者の“暮らしに寄り添う”ことが出来るだけでなく、雇用の創出にもつながると思います。

 

ということで、是非古市さんには“御用聞き”ビジネスの全国展開、更には世界進出を図っていただきたいと思います。


 
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2017年11月22日
アイデアよもやま話 No.3867 黒潮を利用した海流発電!

8月20日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)で黒潮を利用した海流発電について取り上げていたのでご紹介します。

 

今までにない新しいエネルギー源になる可能性のある実験に成功しました。

それは、黒潮、日本の近海の海流が新たなエネルギー源になるのではないかというのです。

専門家は国内の全電力の5%分、現在の水力発電の約70%に匹敵する発電を行うことも可能ではないかと試算しています。

 

この黒潮を利用する発電の世界初の本格的な実証実験が8月に鹿児島県のトカラ列島沖で行われ、発電に成功しました。

この海流発電の実験機は国立の研究機関や大手機械メーカーなどで作るグループが開発しました。

これを実際の黒潮の流れに入れて発電出来るか挑戦する実験が8月に鹿児島県の沖合で行われました。

 

なぜ海流での発電に挑戦するのか、それは安定して発電を続けられる可能性があるからです。

東日本大震災以降、大きな関心が集まった再生可能エネルギーですが、太陽光や風力は日が沈んだり、風が止んだりすれば発電が止まり、安定した発電が出来ないことが普及を進めるうえでの課題となっています。

 

そこで、目が向けられたのが黒潮です。

流れの向きや速さが一定で安定して電力を生み出すと期待されています。

海流発電は、実験機を海中で凧揚げのように浮遊させて発電します。

しかし、速い水の流れの中では機体がバランスを崩しやすくなります。

そこで、グループでは実験機の真ん中にもう1本空気を入れた筒を取り付けました。

この筒が浮き輪の役割を果たし、機体がバランスを保てるようにしています。

なお、実験機の開発には6年を要しました。

 

こうして8月の世界初の黒潮を利用した本格的な実証実験には成功しましたが、一方で課題も浮かびました。

今回発電出来たのは30kwと、発電能力のおよそ3分の1に止まりました。

発電機を入れた海域の潮の流れが時速2kmほどと比較的遅かったことが原因と見られています。

グループでは今後さらに実験を重ねてどの海域に投入すればより多くの発電量を得られるか、研究していきたいとしています。

今回の発電機を発明した東京大学大学院の高木 健教授は、黒潮のエネルギーをうまく活用すれば、国内の全電力量の約5%を発電出来ると試算しています。

高木教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海にはいろんなものがあるぞと。」

「利用されていないものがあると。」

「それを利用していくということが日本の一つの生き方かなと思っています。」

 

期待が高まる海流発電、研究グループでは3年後の2020年には実用化を目指しています。

今回の実験機には実験費用なども含め、およそ40億円かかっていますが、グループでは今後の普及につなげるために、1機当たりの発電力を今の20倍ほどに高めたうえで費用をおよそ10億円に下げることを目標にしているということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

東日本大震災に伴う福島第一原発事故以来、太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーによる発電へのシフト、すなわち“脱原発”を目指す動きが注目されるようになりました。

今回ご紹介した海流発電もその一環と言えます。

 

さて、こうした再生可能エネルギーによる発電は持続可能ですが、石炭や石油などの化石燃料による火力発電は持続可能ではありません。

なぜならば、化石燃料はいずれ枯渇してしまうからです。

ところが、現在はまだまだ化石燃料による火力発電が大きな比重を占めています。

そこで望むべきは、アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・の要件を満たすような発電装置の実用化ですが、残念ながら今のところこうした発電装置は“夢物語”のようです。

ですから、個々の化石燃料の枯渇時期をにらみながら、太陽光、風力、海流、あるいは地熱などの再生可能エネルギーを組み合わせた発電で全ての電力を賄うという計画を進めることが求められるのです。


 
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2017年11月21日
アイデアよもやま話 No.3866 紙も燃えなくする”魔法の塗料”!

8月18日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で紙も燃えなくする”魔法の塗料”について取り上げていました。

そこで関連ネット記事(こちらを参照)と合わせてご紹介します。

 

大日技研工業株式会社(東京都中央区)は、帝人株式会社(大阪市北区)および大丸興業株式会社(大阪市中央区)と共同で、リン系難燃剤「FCX−210」を使用した水性透明難燃塗料「ランデックスコート 難燃クリア」を開発しました。

 

番組では実際に普通の新聞紙を使った実験を行っていました。

新聞紙の右半分だけにこの”魔法の塗料”、すなわち「ランデックスコート 難燃クリア」を塗り、新聞紙に火を点けてみると、左半分のみが燃えてしまうという結果になりました。

大日技研工業の佐藤 康弘さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「塗料を塗ることによって、燃焼に必要な可燃物と酸素の結びつきを抑えることから得られます。」

 

「集合住宅などで大火事があった際に、逃げる時間を稼げる。」

「もしくは火を食い止められる。」

「そういったことで、人命が少しでも助かれば幸いに思います。」

 

更に、塗料の膜が出来るので、水が染み込むということもありません。

また、においもしないといいます。

 

同製品は、世界で初めてノンハロゲンアクリル系 水性透明難燃塗料として、紙だけでなく、木材、繊維、ゴム、プラスチックなど幅広い可燃物の表面に塗布するだけで、自然の風合いを維持しながら、高い透明性と高い難燃性の両立を実現しました。

なお、大丸興業株式会社は防災の日の9月1日より総代理店となって販売を開始しています。

ちなみに、価格は1kg当たり8000円(税別)です。

 

このように燃えにくく透明性が高いので、古民家や文化財などで火災を防止するためにこの”魔法の塗料”を塗ることも出来るといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した“魔法の塗料”を全てのモノに塗れば、火災はなくなるはずです。

しかし、そのためにはそれ相応のコストがかかります。

では、コストとの兼ね合いでどのようなモノをこの塗料で塗ればいいかというと、古民家や文化財など以外に住宅の壁紙や絶対に燃えて欲しくないモノが候補として挙げられます。

 

ということで、もし今回ご紹介した“魔法の塗料”の価格が火災保険料よりも安くなり、しかも法律でこのような塗料の使用を義務付ければ、火災による被害を最小限に止めることが出来ると思われます。

ですから、メーカーには是非“魔法の塗料”のコスト削減に取り組んでいただきたいと思います。


 
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2017年11月20日
アイデアよもやま話 No.3861 現代版ヒッチハイク!

ドライブをしていて、ごくたまにサービスエリアなどでヒッチハイクの人を見かけることがあります。

そうした中、8月15日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で現代版ヒッチハイクについて取り上げていたのでご紹介します。

 

自動車を使った新しい移動のかたちが始まっています。

それが次世代型ヒッチハイクです。

8月15日、茨城県取手市の駅に1台の自動車がロータリーに停まっていました。

そこへ大きな荷物を運ぶ男性が来て、この自動車に荷物を積み込むと、挨拶もそこそこに出発しました。

ドライバーのSさんはひな人形の販売をしていて、この日は茨城から東京・渋谷へ向かいます。

一方、この自動車に乗り込んだMさんはタイで働いています。

SさんとMさんは話がかみ合いませんが、実はこの二人は初対面なのです。

 

初対面の二人が同じ自動車に乗っていた理由は「ノリーナ(nori−na)」というアプリです。

ある目的地に行くドライバーと同じ方向に行きたい人をアプリ上でマッチングさせます。

さながら現代版のヒッチハイクです。

先ほどのヒッチハイカーのMさんが日本へ帰省中で渋谷へ向かうために「ノリーナ」を使ったのです。

Mさんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「荷物が多くて大変だと思って、都内まで行こうと思うと乗り換えもかなり多いので・・・」

 

一方ドライバーのSさんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一人で行ってしまうと眠たくなってしまいますけど、二人で行ってしまえば会話が出来るし、隣に人が乗ってる緊張感で眠たくなることもないです。」

 

Sさんが運転して渋谷を目指す途中の料金所では、Sさんが高速代を支払います。

同乗者のMさんは支払うそぶりを見せません。

実はMさんは事前にガソリン代と高速代を割り勘した1721円を「ノリーナ」を通して支払い済なのです。

茨城県にある藤代駅から目的地の東京・渋谷駅まで電車では906円、一方タクシーの場合は約2万円(高速代を含む)かかります。

およそ1時間半で渋谷へ到着しました。

電車と比べると時間はかかりましたが、タクシーと比べると大幅にお金を節約することが出来ました。

Mさんは、渋谷に到着後次のようにおっしゃっています。

「ストレスもなくスムーズに行けて非常に快適でしたね。」

「特に荷物も沢山あるので非常に楽して来れたなっていう感じですね。」

 

一方、Sさんは次のようにおっしゃっています。

「楽しいし、金銭的な面も半分になるんで喜ぶっていうか。」

 

さて、「ノリーナ」を開発したのは横浜市にある株式会社ゼロトゥワン(ZERO TO ONE)社長の河野 映彦さんで、本業は自動車の中古部品をインターネットで販売することです。

河野社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「車が大好きなユーザーを非常に抱えておりますので、そういった方々の車に乗ってもらう機会を提供することで新しい車好きユーザーを増やせるのではないかということで始めたのが「ノリーナ」というアプリになります。」

 

「(ユーザーの傾向について)、やはり共通の目的に行く人が多いのかなと思っておりまして、同じスポーツを観戦に行くとか、観戦した後で帰る時に使われるとかというのが多いかなと思っています。」

「スポーツのイベントホルダーや(音楽などの)コンテンツホルダーと提携関係を結ぶことによって、そういったイベントにどんどん集客することで(ユーザーの)人数を増やしていきたいと考えております。」

 

そこで「ノリーナ」のアプリのトップには自動車レースや音楽フェスティバルの予定を表示、まずは同じイベントを好む人どうしの交通手段として定着させる戦略です。

 

こうして去年、2016年10月に「ノリーナ」のサービスを開始、今年7月には約800件の相乗りが成立するまでに成長しました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

従来のヒッチハイクは、いつ自分の行きたい場所に行く自動車が来るか、ひたすら待つというものでした。

しかし、「ノリーナ」を使うことによって、事前に予約することが出来るようになったので、あてもなく待つ必要はありません。

しかも、目的地に到着するまでにかかるガソリン代などの料金もあらかじめ分かっているので両者でもめることもありません。

また、特定のコンサートなどに行くことを目的としたドライバーとヒッチハイカーが往復で「ノリーナ」を利用した場合には、同じミュージシャンのファンとしてドライブの途中の話も盛り上がると思います。

更に、こうした縁で友達つき合いに発展することもあると思います。

ですから、河野社長の考える、まずは同じイベントを好む人どうしの交通手段として定着させる戦略はとても理に適っていると思います。

しかし一方で、こうしたサービスは見ず知らずの人どうしがドライブすることになるので、犯罪に結びつくリスクがあることも忘れてはならないと思います。


 
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2017年11月19日
No.3864 ちょっと一休み その620 『医師、日野原 重明さんの残された貴重な言葉 その1 日野原さんは現実的な人でもあった!』

ご存知のように聖路加国際病院名誉院長で100歳を超えても現役の医師として現場に立ち続けられた日野原 重明さんが7月18日に105歳でお亡くなりになりました。

日野原さんの生前の活動については、これまでいろいろと報道されてきましたが、9月23日(土)放送の「あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)でも日野原さんについて取り上げていました。

そこで番組を通して日野原さんの残された貴重な言葉について3回にわたってご紹介します。

1回目は、日野原さんは現実的な人でもあったことについてです。

 

日野原さんは1911年(明治44年)、牧師だった父親の次男として生まれました。

医師を志したのは10歳の時、倒れた母を救ってくれた医師の熱意に感動したことがきっかけでした。

医師になって間もなく太平洋戦争が始まり、おびただしい人々の死を目の当たりにした日野原さん、終戦後はアメリカで最新の医学を学び、世界に遅れていた日本の医療の改革に取り組みました。

40歳代の若さで病院の運営を担うようになると、医療現場に競争やコスト管理の概念を導入、民間の病院では初めての人間ドックも取り入れました。

日野原さんは当時について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「健康を商品として考えたらどうかということを最近思うようになった。」

「そうすると予防医療をやる、これを商品とする、人間ドックを商品にすると、あそこは相当お金が高いんだけれどもその割に内容的にはいいといえば、高くても(患者は)入るでしょ。」

「商品を売るような気持ちになるとサービス精神が出てくるんじゃないかと思うんですね。」

「だからヒューマニズムだけではやはり弱いというところがあってね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

どんな物事を進めるにあたっても、持続可能性の条件を満たさなければ物事を進め続けることは出来ません。

ですから、どんなにヒューマニズムに溢れる事業といえども、事業を進めるうえで必要な

ヒト・モノ・カネが調達出来なければ継続させることは出来ないのです。

日野原さんは、この原理・原則を十分にご理解されていたのだと思います。

そして、日野原さんの素晴らしいところは、健康を商品として捉えたところです。

健康を商品として捉えることにより、健康を売るためには、健康を買う人たちが得られるメリットと支払う料金を天秤にかけて買うかどうかを判断します。

ですから、提供する病院側としては、少しでも魅力的な商品づくり、より多くのコスト削減に取り組むような意識改革、そして組織の活性化が図られるのです。

 

ということで、日野原さんはヒューマニズムに溢れた一面、とても現実的な考え方をお持ちの方だったのです。

こうした考え方が日野原さんが105歳まで現役の医師であるのみならず、子ども向けのミュージカルの演出までこなすバイタリティの源泉だったと思うのです。

これから日本は本格的な高齢化時代を迎えますが、日野原さんの生き方は健康で元気な人生を全うするうえでとても参考になるはずです。


 
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2017年11月18日
プロジェクト管理と日常生活 No.515 『社外取締役がいても企業の不正は防げない!?』

前々回、プロジェクト管理と日常生活 No.513 『日産自動車の不正な完成検査から見えてくること』で第三者による監査の必要性についてお伝えしました。

そうした中、10月20日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で社外取締役は不正防止に機能しているのかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

毎日のように報道されている日本企業の不正ですが、2015年からみてみると以下の通りです。

2015年 3月 東洋ゴム(製品データ偽装)

 4月 東芝(不適切会計)

     10月 旭化成建材(杭打ちデータ改ざん)

2016年 4月 三菱自動車(燃費データ不正)

 5月 スズキ(燃費データ不正)

 6月 神戸製鋼所(強度試験値改ざん)

2017年 4月 フジフィルムHD(不適切会計)

      9月 日産自動車(無資格検査)

     10月 神戸製鋼所(製品データ改ざん)

 

こうしてみると、日本を代表する企業の不祥事が後を絶ちません。

今、こうした問題は、日本のものづくりに対する信頼を大きく揺るがしています。

 

なぜこうした不祥事は絶えないのか、番組では神戸製鋼所の問題から考えていきます。

10月20日に開いた会見の中で、以下の新たな不正が明らかにされました。

・会社が問題を把握した後の自主点検に対して、管理職を含む従業員が不正の隠ぺいを図っていたこと

・JIS(日本工業規格)の法令違反に相当すると認められる銅管製品のデータ改ざんがあったこと

 

しかし、会見を開いたものの、事実確認が出来ていないことがほとんどでした。

 

不正が行われた現場の一つ、真岡製造所(栃木県真岡市)で番組がインタビューした結果では、多くの従業員が今回の不正を知らされておらず、今回の報道で初めて知ったという声も多いのです。

しかし、社員による匿名の口コミサイトでは以下のような声があります。

「非常に体育会系であり、基本は上の人の言うことには逆らえない風土がある。」(回答日 2016年12月12日)

「製品に問題が起こりやすく、技術レベルは過去に比べて低迷しているものと思われる。」(回答日 2017年1月5日)

「何か問題が起こっても、見て見ぬふりをしてしまう風習がある。」(回答日 2017年2月6日)

 

現場の声からは、不正を招いた要因も垣間見えます。

 

また、10月20日に神戸にある本社の目と鼻の先ではOB会が開かれていました。

今回のような不正が十数年前から続いていたとされる点について番組が聞いてみると、皆一様に「昔は不正はなかった」という答えでした。

 

今回の不正の背景には、高い商品規格のプレッシャーがあったのではないかという指摘もあります。

あるOBは次のようにおっしゃっています。

「JIS規格があります。」

「で、その上にまた“ユーザー規格”があるわけですね。」

「“ユーザー規格”が一番厳しい。」

「一つ(の商品)がダメだと、他が仕様を満たしていても全部ダメになる。」

「高品質のものをジャスト・イン・タイムで(納品するのは)ものすごくハードルがあるわけですね。」

「だから、そういうことが背景にあって、あんなことが起こったかなと。」

 

神戸製鋼所の会見を受け、経済産業省も緊急記者会見を開きました。

会見では、神戸製鋼所の自主点検に隠ぺい工作があったことについて、信頼性を損なうものだと厳しく非難しました。

その上で、神戸製鋼所に対し、2週間程度で安全性の検証をし、その結果を公表することや、外部の専門家で構成される調査委員会を速やかに立ち上げ、事実調査、原因究明、再発防止を行うことを指示したと述べました。

 

神戸製鋼所だけではなく、冒頭にお伝えしたように日本の大企業の不祥事が後を絶ちません。

こうした不祥事が起きないように、2015年から適用開始されたのが「企業統治の指針(コーポレートガバナンス・コード)」です。

この指針により、社内の取締役だけで経営の全てを決めるのは止めて、社内外の多くの視点を入れて、企業経営の規律を高めていこうということです。

では、具体的にどのような目が必要なのかというと以下のようなものです。

・従業員

・社外取締役

・株主

・債権者

・取引先

・顧客

 

社内の従業員については、内部告発が出来る体制を整えるべきであるとしています。

最も重要なのが、企業に厳しい意見を言える独立した社外取締役を最低2人置くこととしています。

神戸製鋼所の場合、社外取締役の一人が企業統治の指針の旗振り役でもあった経済産業省の元次官だったのです。

神戸製鋼所のように不正が発覚した時に一番の責めを負うのは言うまでもなく経営陣ということになりますが、目を光らせるはずの社外取締役がなぜうまく機能することが出来ないのでしょうか。

その実態を番組で取材しました。

 

神戸製鋼所の川崎 博也会長兼社長は、10月13日の会見で以下のようにおっしゃっていました。

「取締役会でも取り上げられ、当社のコンプライアンス委員会でもご報告された案件でございます。」

「隠していたわけではございません。」

 

13日の記者会見でこう語った川崎社長ですが、前日には「不正はない」と断言していた鉄鋼製品でも不正が明らかになりました。

問題を把握しながら再発を防止出来なかったことに対して、取締役会は機能していたのかという懐疑的な声も上がっています。

 

こうした事態に、世耕経産大臣は、次のように会見で述べています。

「企業のガバナンスに問題があるのか、あるいは経営陣の現場の掌握に問題があるのか、そういったことを一つ一つ明らかにしていって、こういったことが二度と起こらないように取り組むことが重要だと思っています。」

 

では、実際に取締役会で社外取締役は不正行為の防止として機能しているのか、東芝の元副社長で、これまで国外合わせて10社以上で社外取締役を務めてきた川西 剛さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本の場合は、取締役会というのはかたちなんですよ。」

「実際の運営は常務会や他のいろんな会議で根回しが終わっちゃっているんですよ。」

「反対意見を言う人もいるんだけども、中々言いづらいと。」

 

「(社外取締役の役割は、)企業の人がいろいろと隠そうとしても、それを明るみに出すというのが仕事の一つですので。」

 

ただ、現状では多くの社外取締役がその仕事を全う出来ていないという専門家もおります。

プロネッドの酒井 功社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今の多くの社外取締役は、お忙しいというのが一番の理由ですけども、主体的に、積極的に役割を果たすところまでいってない方が多いと思います。」

「特に、4社、5社と兼任している方も結構いらっしゃいますので、そういった方ですと、ほとんど取締役会に出ることが出来ない。」

 

実際に、東証一部の2021社で、社外取締役の兼任状況を調べると、およそ7人に1人が2社以上を兼任、4社以上を兼任するという社外取締役も62人います。

酒井社長は、社外取締役が現場と係わることが不祥事の早期発見につながると、次のようにおっしゃっています。

「長年にわたって不祥事がずっと起きているっていう、これが何十年もやっていて最近発覚したという事例についていうと、恐らくどこかに端緒があったはずなんですね。」

「で、そういった端緒については社外取締役、あるいは社外監査役が取締役会以外の場で現場と係わる。」

「こういったもの(機会)をつくっておけば、もっと早い時期に端緒がつかめたということはあるかもしれません。」

 

さて、東芝も今同じような問題意識を持っています。

東芝が10月20日に公表した、2015年に発覚した不適切会計以降のガバナンス体制の改善策をまとめた報告書があります。

この中には、いろんな項目が載っていますが、社外取締役に関して触れられている部分もあります。

その内容は以下の通りです。

 

従来の取締役会は、過半数を大幅に上回る社内取締役と少数の社外取締役で構成され、会長が議長となって議事を進行しており、社外取締役に対する十分な情報提供も行われていませんでした。従って、社内取締役による議論が中心となり、社外取締役による議論が活発に行われている状況ではありませんでした。

また、社外取締役の選任において専門性の観点から多様化されておらず、経営トップに対して批判的・忌憚のない意見を述べられる人物を積極的に選定しようとする姿勢がありませんでした。

 

さて、番組コメンテーターで2社の社外取締役でもあるA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは、その経験も踏まえて、社外取締役に大切なポイントについて以下のようにおっしゃっています。

「社外取締役の質がこれから問われてくると思うんですけど、事業の経営を経験したことがある人、同業・類似業種のある人ならなおさら良しと。」

「今まではどちらかというと、学者とか官僚とか、あるいは取引先の金融機関から派遣されて来た社外取締役が割と多かったんですけど、こういう人たちがいるとよりリアルな経営方針の議論が進むのかなと思います。」

 

「それからもう一つが空気を読まない人、あるいはKY(空気を読まない人)の振りをしてズバッと切り込める人、やはりこういう人がいないと社外取締役の数だけそろっても中々社長の顔色を見ながら、遠くから少しずつ議論しているみたいな話になりがち。」

「(梅澤さんも空気を読んでないのかという問いに対して、)読んでないですね。」

 

「それからもう一つ、取締役会で何をそもそも議論するかで、これも多くの会社で起こっていることは、各本部が業績の推移と来年の計画を持ってきて、それに基づいて質問を受けて、議論をするみたいな、割と現状延長の話が起こりがちなんですが、本当に大事なのはこの会社の中長期の経営を考えた時に、何を未来の中核事業にして、そのためにそれを一気に育てるためにどのくらい資源を配分するのか、あるいはM&Aをしないとダメなんじゃないか、みたいな突っ込んだ中長期の議論をちゃんとやることが大事だと思います。」

「で、こういう耳に痛いことを言えるような人を揃えて突っ込んだ議論をしてもらうためには、何といっても経営トップが社外取締役を使う本気度が前提条件になります。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して得られた情報をもとに、企業を取り巻く現状、問題点、不正の発生リスク、リスク対応策について、社外取締役も含めた社内組織全般の枠内で以下にまとめてみました。

 

現状:

・業界の競争激化

 

問題点:

・品質よりも納期、効率、収益を重視

・上の人の言うことには逆らえない風土

・見て見ぬふりをしてしまう風習

・不十分な社内の情報共有

・問題発生時の事実確認の遅さ

・取締役会の形骸化

・技術レベルの低迷

 

不正の発生リスク:

・管理職も含めた組織的な不正

・個人の単発的な不正

 

リスク対応策:

・経営トップの意識改革

  どのような不正も中長期的にみて企業経営を危うくするという認識を持つこと

・社内の情報共有の徹底

・不正防止のための定期的な社内研修

・実効性の期待出来る社外取締役の選択

・第三者による内部監査の導入

・誰が何を言っても許されるような組織風土

・実効性のある内部告発制度

内部告発者への報奨金、および人事考課のポイントアップなど

 

以上、まとめてみましたが、不正の起きない健全な経営にとって何よりも重要なのは経営トップの健全な経営への高い意欲だと思います。

どんなに素晴らしい制度を構築しても、その制度に関係する全ての組織や個人が本来の目的を果たすという意識が希薄では“宝の持ち腐れ”で、逆にやることだけが増えて生産性が落ちてしまい、不正が起きるリスクはなくならないのです。


 
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2017年11月17日
アイデアよもやま話 No.3863 中東ドバイが「未来都市」に変貌中 その5 国全体を「未来技術の博物館」に!

8月14日(月)付けネット記事(こちらを参照)で「未来都市」に変貌中の中東のドバイについて取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

 

アラブ首長国連邦(UAE)の商都ドバイでSFの世界のような驚きのプロジェクトが進行中です。

世界のスタートアップ企業からアイデアを募り、そのパイロット事業をドバイで実施することでイノベーションを加速する狙いです。

輸送、建設、医療など7つの分野で将来のビジョンを描き、ポスト石油時代の「未来都市」を他国に先駆けて実現しようとしているのです。

そこで5回目にご紹介するのは国全体を「未来技術の博物館」として目指すドバイについてです。

 

ドバイ政府は2016年7月に立ち上げた未来プロジェクト支援プログラムの対象にこれまでご紹介した「ハイパーループ」や「ネクスト」を選んでいます。

「ドバイ・フューチャー・アクセラレーター(DFA)」というプログラムで、世界中のスタートアップ企業から最先端のアイデアを募集して、ドバイで支援し技術の実用化を目指します。

一般的に「アクセラレーター」とはスタートアップ企業に経営指導をしたり、アイデアのコンペなどを通じて事業計画を洗練したりするプログラムです。

企業に少額出資してベンチャーキャピタル的な役割も担います。

DFAは経営指導もアイデア・コンペもしません。

「都市スケールの課題」を解決するため、世界で最も革新的な企業と政府機関を結びつけるという内容で、プロトタイプをドバイに導入・設置することを前提としています。

投資額も向こう5年間で10億ディルハム(約300億円)と規模が大きいです。

DFAが支援するのは輸送、医療、教育などの7分野で、RTAのほか保健庁、知識人材開発庁など7機関が政府側のパートナーとなります。

第一弾は9月から3ヶ月間実施され、世界73ヵ国から2千を超える応募があったといいます。

選抜されたのは30社で、更に19社がドバイでの実証実験やプロトタイプ開発のステージに移行し、総額3300万ドルの支援を受けることが決まりました。

2月からは通信会社2社や外務省など5つの機関が新たに参加し第2弾が始まりました。DFAはドバイという都市国家をまるごと未来技術の実験場、展示場にしてしまう考え方で、政府調達によるイノベーション支援の一種とも言えます。

DFAを運営するのは「ドバイ・フューチャー・ファウンデーション(未来財団)」と呼ばれる組織です。

ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首長(UAE副大統領も兼務)の指示で、2015年に設立された組織で、政府の主要機関のトップが理事会のメンバーとなっています。

未来財団は2018年12月開業を目指して「未来の博物館)」という施設も建設中です。

 

さて、ドバイでは具体的なプロジェクトを進めると同時に未来がどうなるかといったビジョンについても語ります。

それが2017年1月、スイス・ダボスの「世界経済フォーラム」で発表した「ステイト・オブ・フューチャー(未来の状態)」レポートです。

向こう40年先までの未来について、エネルギー、輸送、医療、教育など7つの分野に分けて予測したものです。

マサチューセッツ工科大学(MIT)、米航空宇宙局(NASA)などの21人の専門家が112の予測をしました。

未来財団のイニシアティブの一つである教育機関「ドバイ・フューチャー・アカデミー」が取りまとめました。

DFAが推進する7分野にはない「宇宙」といった分野もありますが、概ねDFAが目指す方向性と一致します。

例えば「2020年、ハイパーループが初めて実用化」「2025年、米国で個人による自動車所有がなくなる」「2027年、石油の需要がピークに達する」「2030年、脳がクラウドに接続して記憶を保存」「2035年、道路は工場で製造されるようになる」「2035年、電気自動車が市場の9割を占め、道路自体が(振動エネルギーを使って)電力を供給し始める」「2036年、あらゆる人が(パーソナル・アシスタントとして)ロボットを保有する」「2040年、心臓血管系の病気が消滅する」といった具合です。

 

ドバイは大英帝国の貿易中継地として栄え、シンガポールと立ち位置が似ており、ドバイの面積は4千平方kmでシンガポールの約6倍です。

その中に同国の約半分の280万人の人が住んでいます。

石油の発見を機に発達しましたが、アブダビなどに比べると埋蔵量が少なく、物流や金融サービスを中心に経済成長をしてきました。

石油価格が高騰した時期には周辺国の石油マネーを集め、世界一高い高層ビル「ブルジュ・ハリファ」やヤシの木のような形状の人工リゾート島「パール・アイランド」の建設が進められ、観光地としても人気が高まりました。

しかしリーマン・ショック後、不動産バブルがはじけ、政府系投資会社ドバイワールドが債務の支払い猶予を発表したことから世界的な信用不安「ドバイ・ショック」を引き起こしました。

しかし、それもUAEの潤沢な石油マネーで救われ、再び経済成長路線に回帰しています。

「未来は可能性や数字の上に作られるのではない。ビジョンの明確さ、計画、行動、そして実行の上に作られるのだ」とムハンマド・ドバイ首長は語っています。

ドバイは2020年10月に万国博覧会を開催する予定で、国全体で未来の姿を提示してくれるはずです。

ドバイから目が離せません。

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

これまで5回にわたって「未来都市」に変貌中の中東のドバイについてご紹介してきましたが、そのパワーの源泉はムハンマド・ドバイ首長の語っている次の言葉に尽きます。

 

「未来は可能性や数字の上に作られるのではない。ビジョンの明確さ、計画、行動、そして実行の上に作られるのだ」

 

個人にしても企業や国にしても、こうありたいというビジョンによってそれぞれの活動の核組が規定されます。

ですから、国の定めるビジョンがその国の未来の姿を決定付けるのです。

しかもいかにビジョンが素晴らしくても、そのビジョンを実現するまでの実行計画や進捗管理などのプロセスがしっかりしていなければ、ビジョンを実現することはおぼつかないのです。

 

こうした観点からすると、ドバイは原産国としてオイルマネーという資金力に恵まれるメリットを生かすだけでなく、ビジョンを実現するために世界中のスタートアップ企業からアイデアを募り、世界最高水準の人・モノを結集しています。

そして、その成果を国全体に展開し、「未来技術の博物館」として位置付けることを目指しているのです。

こうしたドバイの取り組みは具体的で誰にでも分かり易く、従って国民の共感を得やすいです。

そればかりでなく、参加する企業にとってもとてもやりがいを感じ、素晴らしい成果を達成させる可能性が高まります。


 
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2017年11月16日
アイデアよもやま話 No.3862 中東ドバイが「未来都市」に変貌中 その4 目指すは3Dプリンティング産業の中心地!

8月14日(月)付けネット記事(こちらを参照)で「未来都市」に変貌中の中東のドバイについて取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

 

アラブ首長国連邦(UAE)の商都ドバイでSFの世界のような驚きのプロジェクトが進行中です。

世界のスタートアップ企業からアイデアを募り、そのパイロット事業をドバイで実施することでイノベーションを加速する狙いです。

輸送、建設、医療など7つの分野で将来のビジョンを描き、ポスト石油時代の「未来都市」を他国に先駆けて実現しようとしているのです。

そこで4回目にご紹介するのは3Dプリンティング産業の中心地を目指すドバイについてです。

 

次回、詳しくご紹介しますが、ドバイ政府は2016年7月に未来プロジェクト支援プログラム、「ドバイ・フューチャー・アクセラレーター(DFA)」を立ち上げました。

そのDFAを運営するのは「ドバイ・フューチャー・ファウンデーション(未来財団)」と呼ばれる組織です。

 

この未来財団が入居するのは、なんと世界で初めて3Dプリンターを使って建設されたオフィスです。

1階立て250屬糧型のオフィスで、壁面などの部材はセメント・プリンターを使って工場で作り、それらを現地で組み立てました。

部材のプリントに17日、組み立てに2日、内装などに3ヵ月を要し、2016年5月にオープンしました。

同様の広さのオフィスを従来の手法で建設するよりも労働コストが半分以下になるとしています。

 

ドバイは「3Dプリンティング戦略」を打ち出し、2030年までにドバイを3Dプリンティング産業の中心地にする構想を抱いています。

2019年にはドバイの新規建設案件の2%を3Dプリンターを使って建設し、その割合を徐々に引き上げ2025年には25%にするといいます。

3Dプリンティングの対象は建設だけではなく、人工骨・歯などの医療、生活用品などの一般消費財も含みます。

各セクターで人員を7割、費用を9割、時間を8割削減することを狙っています。

3Dプリンティング市場は2030年までに3千億ドルに達すると政府は予測しています。

 

DFAでもドバイ政庁が3Dプリンター向けジオポリマーセメントを製造するロシア系レンカと提携しました。

ジオポリマーは石炭火力発電所や製鉄所などから出る産業廃棄物を原料としており、従来のセメントよりも安価に製造出来ます。

しかも添加物を入れなくても、3Dプリンター用に使える流動性が得られるといいます。ドバイ保険庁は米メダティフと、人体の臓器などのレプリカを3Dプリンターで作り、手術の練習などを効率よく出来るようにするプロジェクトを進めるといいます。

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

まず、2016年に実際のオフィスを3Dプリンターで建設してしまったという事実にビックリです。

安全性や耐用年数などが気になりますが、こうした課題は実績を積み重ねていくことによりいずれ解消されると思います。

また、3Dプリンティングの対象は建設だけではなく、人工骨・歯などの医療、生活用品などの一般消費財も含んでおり、各セクターで人員を7割、費用を9割、時間を8割削減することを狙っているといいます。

結果として、3Dプリンティング市場は2030年までに3千億ドルに達すると予測されています。

ですから、この3Dプリンティング計画が狙い通りに実現されれば、私たちの暮らしや経済活動は驚くほどの短期間のうちに大変な変化に遭遇することになります。

そして、こうした大きな変革において、ドバイは2030年までにドバイを3Dプリンティング産業の中心地にする構想を抱いているのです。

まさに、“ドバイ恐るべし”で今後のドバイの動きから目が離せません。


 
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2017年11月15日
アイデアよもやま話 No.3861 中東ドバイが「未来都市」に変貌中 その3 自動運転EVによる次世代交通システム!

8月14日(月)付けネット記事(こちらを参照)で「未来都市」に変貌中の中東のドバイについて取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

 

アラブ首長国連邦(UAE)の商都ドバイでSFの世界のような驚きのプロジェクトが進行中です。

世界のスタートアップ企業からアイデアを募り、そのパイロット事業をドバイで実施することでイノベーションを加速する狙いです。

輸送、建設、医療など7つの分野で将来のビジョンを描き、ポスト石油時代の「未来都市」を他国に先駆けて実現しようとしているのです。

そこで3回目にご紹介するのは自動運転電気自動車「ネクスト」という次世代交通システムについてです。

 

イタリアのネクスト・フューチャー・トランスポーテーションが提案する構想で、ミニバスのような6〜10人乗れる四角い車両(ポッド)を利用者がスマホで呼び、目的地に向けて走行中に、別の車両と連結して走ることで交通渋滞を緩和します。

連結すると大型バスのようになり、車両間を人が移動することも可能です。

カフェ車両やレストラン車両などもあり、移動の時間を効率よく楽しめるようにします。

バッテリーを運ぶ車両と連結することで、移動中に停車することなく電源の交換も出来ます。

 

なお、アメリカのハイパーループ・ワンもドバイのシステムを紹介した映像で、似たような移動ポッドを提案しています。

会議室そのものが移動ポッドとなりターミナルに向かい、そこで他のポッドと連結して真空チューブの中を高速で別の都市に向かいます。

目的の都市に着くと連結していたポッドが分離し、それぞれ別の最終目的地に向かう仕組みです。

未来では一度、移動ポッドに乗ったら乗り換えの心配をすることもなく、会議をしながら、お茶をしながら目的地に到達出来るというわけです。

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

まず、今回ご紹介した自動運転EVによる次世代交通システムの基本コンセプトの素晴らしさに驚きました。

少人数のポッドを最小単位に、必要に応じてカフェ車両やレストラン車両、あるいは会議車両、更には充電車両などと連結することによって、楽しみながら、あるいは会議をしながら乗り換えなしに目的地に行くことが出来るというのは、まさに究極の交通システムと言えるのではないでしょうか。

当然、こうした交通システムは2回目でご紹介した「ハイパーループ」と結びついてくると思われます。


 
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2017年11月14日
アイデアよもやま話 No.3860 中東ドバイが「未来都市」に変貌中 その2 最高時速が新幹線の4倍の「ハイパーループ」!

8月14日(月)付けネット記事(こちらを参照)で「未来都市」に変貌中の中東のドバイについて取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

 

アラブ首長国連邦(UAE)の商都ドバイでSFの世界のような驚きのプロジェクトが進行中です。

世界のスタートアップ企業からアイデアを募り、そのパイロット事業をドバイで実施することでイノベーションを加速する狙いです。

輸送、建設、医療など7つの分野で将来のビジョンを描き、ポスト石油時代の「未来都市」を他国に先駆けて実現しようとしているのです。

そこで2回目にご紹介するのは最高時速が新幹線の4倍の「ハイパーループ」についてです。

 

ドバイが進める次世代交通システムは「空飛ぶタクシー」だけではありません。

「ハイパーループ」という高速大量輸送プロジェクトにも取り組んでいます。

列車が鉄のレールの上ではなく、真空にした鉄管の中を移動する仕組みです。

列車を磁気で浮上させ、空気抵抗のない状態で動かすため、旅客機以上の速度、時速1200kmが出せるといいます。

新幹線の4倍、リニアモーターカーの2.4倍のスピードです。

しかも建設費は既存の高速鉄道の10分の1に抑えられるとしています。

車で2時間かかるドバイ〜アブダビ間が12分で結べるといいます。

 

なお、「ハイパーループ」は電気自動車メーカー、テスラの最高経営責任者(CEO)で、宇宙輸送システムを手がけるスペースXの創業者でもあるイーロン・マスクさんが2013年に構想を打ち出し、注目されました。

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

1回目でお伝えしたように「空飛ぶタクシー」の実際の導入には安全上のさまざまな規制という高いハードルがあります。

しかし、今回ご紹介した「ハイパーループ」は地下のトンネル内を走行するので安全上の課題や規制などのハードルはそれほど高くないと思われます。

また、そのスピードはリニアモーターカーの2.4倍のスピードといいますから、実現すれば世界最高の超高速大量輸送システムとなります。

しかも、地下であれば既存の鉄道網やリニアモーターカーのように用地買収などの手間がかからないので建設期間が大幅に短縮出来ます。

ということで、「ハイパーループ」は未来の大量輸送交通網の一つとして大いに期待出来そうです。

ちなみに、「ハイパーループ」の研究・開発は着々と進んでいるようです。(詳細はこちらを参照)


 
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