2016年08月28日
No.3480 ちょっと一休み その557 『宇宙人の高度文明 その5 最新の宇宙モデルとは!』

4月7日(木)放送の「コズミックフロント」(NHKBSプレミアム)のテーマは「ついに発見!?宇宙人の高度文明」でした。

とても興味のある内容でしたので5回にわたってご紹介します。

5回目は、最新の宇宙モデルについてです。

 

地球外文明の進化の尺度を提案したロシア科学アカデミーの天文宇宙研究センター(モスクワ)のニコライ・カルダショフ所長は、ご自身で考える最新の宇宙モデルについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ワームホールでつながった多くの宇宙で構成されています。」

「それぞれの宇宙にそれぞれ異なる生物がいます。」

「文明のレベルは様々です。」

「時には他の生物が別の宇宙からやってきたりもします。」

「文明の進化は無限かもしれません。」

「あまり進んでいない文明の目的はより進んだ文明を探し出して、大切なことを学ぶことです。」

「そして、お互いに協力し合って更に進んだ文明を作り出すのです。」

「知性を獲得した我々のような文明が目指すのは、より進んだレベルへと進化することです。」

「その繰り返しなのかもしれません。」

 

様々な知的生命がお互いに協力しながら自分たちの宇宙を生きていくというワクワクするようなモデルです。

 

前回、高度な文明を築き上げることの困難さについてご紹介しましたが、今回ご紹介したのは人類がこうした問題を克服した延長線上の未来の宇宙の最新モデルです。

今の段階で語るのはまさに空想の世界に過ぎませんが、もし将来の人類が地球外の多くの高度文明と接触し、交流するようなことがあった時を想定すると、平和的に交流を進めていくためには、今のようなレベルの国際社会の現状ではとてもおぼつきません。

国の大小に係わらず、国際ルールに則り平和的に物事が解決され、お互いに尊重し合い、格差のない、こうした社会を実現することが出来れば、遥か先の未来に他の宇宙人の高度文明と遭遇した場合に自信と誇りを持って交流することが出来るはずです。

 

ということで、世界各国の指導者にはこうした壮大な目的を胸に秘めて、あるべき社会の実現に取り組んでいただきたいと思います。

勿論、他の惑星からの侵略者に対しては、人類存続のために防衛しなければなりませんが、くれぐれも他の星の生物を征服するようなことはないようにして欲しいと思います。


 
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2016年08月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.451 『求められるAIによる迷惑メ−ル対策!』

最近、毎日のように迷惑メールが届くようになりました。

そして、中にはそれらしい件名や差出人のメールがあり、添付ファイルを開くとウィルス感染してしまう被害に遭っていることが報道されています。

また、こうした迷惑メールと判断出来るものが次々に差出人やドメインを変えて送られてきます。

そして、こうした迷惑メールの対応にはそれなりの時間が取られます。

更に、最悪の場合は迷惑メールと気付かずに添付ファイルを開いてしまい、報道で取り上げられているようにウィルス感染をしてしまいます。

 

そこで、セキュリティソフト提供企業に求められるのがAI(人工知能)を活用した迷惑メ−ル対策です。

具体的には、個人に送られてくる全てのメールを添付ファイルの中身も含めて事前にウイルスチェックし、個人がメールソフトを開いた時には受信メールの対象として表示させないという機能です。

こうした対策が確実に行われれば、ユーザーは安心してメールを開くことが出来ます。

 

これは、まさにプロジェクト管理におけるリスク対応策です。

しかし、迷惑メールを送信する側もこうした対策を見越して更なる進化を遂げた方法を考えて対抗してくることは容易に想像されます。

そこで、以前お伝えしたように、プロジェクト管理ではリスク対応策を実施してもリスクが発生してしまう場合があることを想定して、特に重要なリスクについてはコンティンジェンシープランをあらかじめ検討しておくことを思い出して下さい。

こうした迷惑メールによる被害が発生してしまった場合も、何らかのコンティンジェンシープランまで検討されており、被害が最小限に抑えられるか、被害ゼロに抑えられるようになっていれば、リスク対応策として完璧と言えます。

そして、AIを活用すればこうしたリスク対応策は不可能ではないと思います。

 

ということで、是非セキュリティソフト提供企業にはこうしたセキュリティソフトを実用化し、私たちユーザーを迷惑メールから保護して欲しいと思います。

 

同時に、明らかに迷惑メールと判断出来るものについては、実際に被害がなくても不正行為として罰せられるように法律改正していただきたいと思います。

こうした法律があるだけでも迷惑メールの抑制効果があるからです。

 

迷惑メールは、文字通り受信者はその対応に時間が割かれるのですから、まさに迷惑行為なのです。


 
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2016年08月26日
アイデアよもやま話 No.3479 生活習慣病防止策として期待出来る穏やかな糖質制限「ロカボ」!

前回、健康なほどメリットのある医療保険についてご紹介しました。

そうした中、6月17日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で健康に良い穏やかな糖質制限「ロカボ」について取り上げていたのでご紹介します。

 

太り過ぎなど健康面を考えて、食事のたびにカロリーを気にする方も多いと思いますが、今それに代わる考え方が注目されています。

それが「ロカボ」(Low Carbohydrate 低炭水化物)です。

糖質の多い白米やパンなどの主食を減らして、その代わりに糖質の少ない肉や野菜などのおかずを多く食べましょう、という概念なのです。

 

食品メーカーでは「ロカボ」ブームが今後本格的に到来すると見込んで、糖質を抑えた食品を続々と投入しています。

6月17日、「ロカボ」マークに関する発表会が都内で開かれました。

これは低糖質、糖質ゼロなど糖質を抑えた商品が一目で分かるようにした新たなマークです。

「ロカボ」を推奨している北里大学北里研究所病院の山田 悟医師は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「糖質と糖類の違いが分かっていない、本来避ける必要のないものを避けて、生活の質を落としていたりすると、美味しいものを食べながら健康になっていく道筋をつけるためにこのマークが必要になったわけであります。」

 

「(「ロカボ」の効果について、」確実な証明になるところとしては、血糖値、肥満の人の体重の減少効果、そして中性脂肪や善玉コレステロール、脂質異常症の改善・・・」

 

このマークで「ロカボ」商品の更なる普及を狙います。

 

「ロカボ」には、生活習慣病などの予防効果が期待される他、タンパク質や脂質の摂取制限がないという特徴があります。

気軽に健康改善が出来ることから、若い女性や中高年層に支持されています。

こうした消費者の糖質制限への意識の高まりもあり、「糖質オフ・ゼロ」の食品市場は年々拡大しています。

 

こうした中、江崎グリコでは糖質を抑えた冷凍めんの商品化に成功しました。

そもそも小麦粉を主原料にした麺類は糖質を多く含み、低糖質の開発はきわめて難しいといいます。

糖質オフにすると、緬の食感にざらつきやぱさつきがあるので小麦粉100%の緬に近づけるように改良したといいます。

緬の糖質を減らすには食物繊維などを入れて小麦粉の量を少なくします。

こうして、江崎グリコでは、試作を繰り返した結果、今年2月に糖質を40%カットした「野菜たっぷり緬」を発売しました。

江崎グリコでは、2003年から糖質を抑えたアイスを展開していました。

今後、麺類の他に菓子などにもロカボ商品を投入予定といいます。

 

一方、「ロカボ」を社員の健康管理に役立てている会社もあります。

タクシー会社、日の丸交通ではメタボ気味や血糖値が高いドライバー、40人に3ヵ月「ロカボ」を推奨しています。

週に一度、血糖値を測り、実際に取った食事を「ロカボ」普及に取り組む山田医師に報告します。

そして、一人一人に適切なアドバイスがされます。

日の丸交通が昨年から始めたこの取り組み、前回は糖尿病と関係の深い「ヘモグロビンA1c」の値がドライバー15人の平均で0.9ポイント低下し、インシュリン注射と同等の効果がありました。

富田 和孝社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドライバーからは「眠気が軽減した」とか、「集中力、判断力が増した」というような声が出てきていましたので、もう1年更新していこうという体制になったと。」

 

なお、世界的にも「ロカボ」商品は注目され始めていますが、その完成度は日本食がとても高いということで輸出産業にもなるのではないかといいます。

番組コメンテーターの大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「今、世界の成人の中で11人に1人が糖尿病なんですね。」

「で、この関連医療費は年間70兆円くらいかかっていると。」

「糖尿病の原因というのは、5%程度が遺伝によるもので95%は生活習慣だと言われていますから、そういう意味では今回の「ロカボ」は非常に有効な処方箋なんですね。」

「例えばですね、糖尿病を予防したり重症化を防止することが出来ると、産業として言えば1兆円規模の産業に育つ可能性があると思います。」

「それから、医療費の抑制ということでみても年間2000億円抑制出来るわけですから、成長戦略であると同時に財政再建という意味でも大きな効果があるということです。」

「(企業にとってのメリットについて、)保険財政が改善しますし、労働生産性が上がれば収益が上がってきますので、国にとっても従業員にとっても企業にとっても全てにメリットがあるということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

考えてみれば、古来から日本人はお米を主食としてきました。

しかし、かなり以前からカロリーの取り過ぎによる生活習慣病が指摘されてきました。

それは、お米以外にもいろいろなおかずやおやつを食べるようになったから、あるいはお米の代わりにファーストフードなどでカロリーの高い食べ物を食べるようになったからと言われています。

しかし、食べることは人が生きていく上での本能ですから、食欲を制限されることはストレスになります。

そうした中で、今回ご紹介した「ロカボ」商品は生活習慣病などの予防効果が期待出来る他にタンパク質や脂質の摂取制限がないという特徴がとても理に適っていると思います。

 

また、熊谷さんのおっしゃっているいるように、「ロカボ」商品は成長戦略であると同時に財政再建という意味でも大きな効果が期待出来るのですから、関連企業のみならず国の政策としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。


 
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2016年08月25日
アイデアよもやま話 No.3478 健康なほどメリットのある医療保険!

6月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で健康なほどメリットのある医療保険について取り上げていたのでご紹介します。

 

自動車を運転する距離が短いほど安くなるという自動車保険は一般的ですが、健康になればなるほど安くなるという今までにない医療保険が国内初で6月16日に登場しました。

この日、都内で開かれた保険の発表会で発表されたのは、健康年齢少額短期保険株式会社による社名と同名の健康年齢少額短期保です。

がんや脳卒中など指定された5つの病気で入院したら80万円の保険金が受け取れるという保険です。

最大の特徴は、健康年齢という独自の指標を使う点です。

個人の健康状態を年齢で示すもので、これが何歳かによって保険料が決まります。

その健康年齢を割り出すのに使うのが職場などで受ける健康診断の結果です。

 

この健康年齢を算出するのはグループ会社の株式会社日本医療データセンターです。

健康診断の結果のうち、血圧や脂肪、肝機能などに関する12項目の数値を入力すると健康年齢が算出されます。

ちなみに、悪影響を及ぼした数値を改善すれば、健康年齢を下げることが出来ます。

今回の保険では、健康年齢は毎年見直すので、改善すれば保険料を安く出来るのです。

 

なお、入力された12項目の数値をもとにした健康年齢算出の仕組みは以下の通りです。

  1.どんな病気にかかる可能性があるか?

  2.医療費はいくらかかるか?

  3.その予測した医療費を年齢ごとにかかることが多い医療費と照らし合わせ、金額の近い年齢を健康年齢として割り出す

 

健康年齢少額短期保険の大橋 宏次社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「生命保険や医療保険の大手からも大きな興味をいただいておりまして、協業とか同じようなコンセプトの商品を作れないかという相談は多くいただいております。」

 

日本医療データセンターにこのような分析が出来るのは、300万人分の健康診断や診察におけるビッグデータを蓄積しているからです。

およそ100の健康保険組合からデータを取得、その規模は国内最大級だといいます。

 

この分野の成長性について、大橋社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「運動用品を買うだけで割引やキャッシュバックが付くといったように、様々な健康産業全体に影響を与えていくと思っております。」

「これから増々多くの産業がからんだ成長性の高い分野になっていくと思います。」

 

さて、健康になることにインセンティブを働かせる保険は、アメリカでは既に人気となっています。

今、加入者数12万5000人(2016年1月)と急速に加入者を増やしている、ネット上で保険サービスを手掛ける医療保険ベンチャー、オスカー社では、健康になると得をする仕組みを昨年導入しました。

保険加入者にウエアラブル端末を無料で提供し、専用スマホアプリと連動させて歩数を計測します。

そして、1万歩歩くといったような健康改善につながる運動をこの端末で記録し、目標を達成するとアマゾンのギフトカードで還元してくれるといいます。

1日の歩数目標(2000〜1万歩)を達成するごとに1ドル、20ドル貯まるとアマゾンの商品券と交換出来る仕組みです。

 

他にも、ディスカバリー社による、健康改善に取り組むことでスポーツ用品や旅行が安くなる特典が獲得でき、世界で600万人の加入者を集めた保険プログラムもあります。

 

健康なら得をする商品やサービスは今や世界の潮流で、今後様々な可能性が広がりそうです。

 

さて、これだけはっきりと健康年齢が出てしまうと、実年齢よりもかなり高いと保険に入れない人が増えるのではないかと心配になりますが、その逆で今まで健康状態が悪くて通常の保険に入れなかった人がその健康年齢に応じた保険料を払えば入ることが出来るようになるといいます。

そして、加入して1年後に健康年齢をチェックして改善していれば保険料を下げることが出来るようになるのです。

 

では、この健康年齢を意識することによってどういうところに変化が起こるのかについて、番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「日本の場合は、医療費の2025年問題というのがあって、2025年になると団塊の世代が全て75歳以上になること、75歳以上になるとだいたい一人当たり年間90万円ぐらい医療費を使っていて、国民の平均と比べると3倍くらい使っているかなり深刻な問題があるわけです。」

「その意味では、糖尿病だとか高血圧とか生活習慣病を予防したり、重症化を防止するのに非常に効果があって、一つは産業ということで言えば年間4兆円近い市場に育つ可能性がある。」

「もう一つは医療費の削減ということで言えば、1年間で1.2兆円ぐらいの削減効果が期待出来ると。」

「その意味では、(健康年齢の有効利用は)経済成長と財政再建、これを一石二鳥で実現出来るというようなかなり有効な方策だと思いますね。」

                       

以上、番組の内容をご紹介してきました。

何よりも私たち一人一人が単なる長生きではなく、健康で暮らせる健康寿命を出来るだけ延ばすことが大切なのです。

そういう意味で、健康年齢や日々の運動など、より健康であることにメリットがある医療保険のあり方はとても理に適っていると思います。

ですから、医療保険に限らず、様々な観点から健康になることにインセンティブを働かせる商品やサービスの登場を今後とも期待したいと思います。


 
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2016年08月24日
アイデアよもやま話 No.3477 新たながん検査法で期待される早期発見!

6月14日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新たながん検査法について取り上げていたのでご紹介します。

 

今、がん検査の分野が新たな広がりを見せています。

6月14日に発表されたのはマンモグラフィーなどの検査をしなくても尿検査だけで乳がんなどを発見出来るという方法です。

 

日立製作所と住友商事グループは、健常者、乳がん患者、大腸がん患者の尿に含まれる糖や皮質などの老廃物を細かく分析、そして健常者と乳がん、大腸がんの患者とではその成分量が異なることを発見しました。

尿から様々ながんを見つけ出せる可能性が出てきたのです。

日立製作所研究開発グループの坂入 実さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「乳がん、大腸がんで代謝物を用いて検査出来る可能性があることについては世界初・・・」

「今の段階では100%(の発見率)。」

「(乳がんは)若い時から発症するといっても、(病院は)非常に精神的なバリアーが高いのでちょっと行きにくいんですね。」

「それが尿に代わると劇的に緩和出来るんですよ。」

「これから日本にとって重要なのは、経済的に繁栄・伸長することに加えて、社会課題を解決する、この両面が必要になっています。」

 

今回の研究は若いうちから発症し、女性の死因として高い乳がんと大腸がんを優先して進められています。

 

現在の日本の乳がん検診の受診率は36%、欧米と比べるとかなり低い数字です。

この受診率の低さの原因と言われているのが、病院で受けるマンモグラフィー検診などへの抵抗感です。

坂入さんは、自分で採った尿を検査機関に送るだけのシステムを数年以内に実用化し、乳がん検診率8割を目指しています。

 

今、がん検査の分野に電気や精密機器メーカーが次々と参入しています。

コニカミノルタ東京サイト日野(東京・日野市)では、コピー機のトナー製造技術などを応用し、新たにがんの種類を見分ける方法を開発しました。

使うのは発光する蛍光材料です。

製薬会社などから送られてきたがん細胞の検体に蛍光材料を垂らすと、がん細胞が放出している悪いタンパク質を光らせるのです。

光の強さをコンピューターで解析し、従来の方法では分からなかった小さながん細胞も発見することが出来ます。

また、色の違う蛍光材料を使うことで2種類のがん細胞を同時に発見することも出来ます。

がんは効く薬が違うため、種類を見分けることがとても重要なのです。

実用化されれば、患者に合った治療薬をピンポイントで見つけ、患者の負担や治療費を大幅に削減することにつながると期待されています。

コニカミノルタの腰塚 國博常務取締役は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「分子を見ることによって、この方はこのタンパク質が沢山出ているのでこの薬が効くんだという薬効診断が出来るようになって、薬を無駄に飲まない時代が来ると信じてます。」

 

今回は尿、そして蛍光材料を使った2種類のがん検査法をご紹介しました。

今後ともいろいろな検査法が開発されると思いますが、検査を受ける立場からは、より低料金で検査を受けやすく、より早期の段階で正確に発見出来るような検査法を開発していただきたいと思います。

より早期の段階でがんが発見されれば、がん患者の治療費の負担を軽く出来、保険費用も削減出来ます。

そして、より多くのがん患者の命を救うことが出来ます。

ですから、無料で誰でも定期検査が受けられるようにして、がんによる死亡率ゼロを目指して欲しいと思います。


 
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2016年08月23日
アイデアよもやま話 No.3471 火星有人探査が2024年に実現!?

以前、アイデアよもやま話 No.3021 人間のフロンティアはどこまで広がるのか その2 火星での暮らし!で2025年を目指して進められている火星移住計画(マーズワン計画)についてご紹介しました。

また、7月31日のNo.3456 ちょっと一休み その553 『宇宙人の高度文明 その1 宇宙人の巨大建造物仮説!』から5回にわたって毎週日曜日に宇宙人の高度文明についてご紹介しています。

そうした中、6月2日(木)放送の「日経プラス10」(BSジャパン)で火星有人探査計画について取り上げていたのでご紹介します。

 

アメリカの宇宙開発ベンチャー、スペースXのイーロン・マスクCEOは2024年にも火星に有人宇宙船を送る方針を明らかにしました。

有人探査の具体的な時期を示したのは初めてで、実現すれば他の惑星に宇宙船を送り込む初の民間企業となります。

なお、この有人宇宙船が火星に到着するまでに半年かかるので実際に火星に到着するのは2025年ということになります。

 

ちなみに、イーロン・マスクさんについてはこれまで何度かご紹介してきましたが、夢想家だとか言われています。

例えば、火星に8万人が移住出来るコロニーを建設するとか、世界中の自動車をEV(電気自動車)にするとかおっしゃっています。

火星への移住計画については、学生の時から言っていて、地球は今後どうにかなるかもしれないから火星に人類が住める環境を作るんだと言って、その時は周りの学生が皆笑っていたといいます。

また、世界中の自動車をEVにするとおっしゃった時にも周りから笑われたのですが、以前

ご紹介したように、テスラモーターズのCEOとして常識を覆すような航続可能距離の長いEVを開発して短期間のうちに販売台数を増やそうとしています。

 

なお、イーロン・マスクさんは決断の速さがすごく有名で、大きな決断をする時には10秒間ほど目を閉じて、目を見開いたら「これは自分たちの会社がやるべき案件だ」と決断してしまうというエピソードがあるといいます。

成功するかどうかを判断するのですが、それ以上に「これは世界にとって、地球にとっていいことかどうか」、そして「自分たちがやるべきかどうか」ということをじっと考えて決断し、一旦決断を下したら無一文になってもやり遂げるという強い意志の持ち主と言われています。

 

いよいよ火星有人探査、そして人類による他の惑星への移住計画が現実味を帯びてきたのです。

他の惑星を間近に見てみたい、あるいは実際に行ってみたいという想いは、私たち人類が本能的に持っている欲望、あるいは好奇心の現れの一つだと思います。

また火星移住計画には、イーロン・マスクさんもおっしゃっているように将来地球が人類が住めないような環境になった場合の一つの対応策として、人類の存続にとってとても重要な意味を持っているのです。

 

ということで、特に若い人たちにはイーロン・マスクさんのように単に出来るか出来ないかで物事を判断するのではなく、人類や地球にとって貢献出来るかどうかという高いレベルで自分のやるべきことを思い描いて欲しいと思います。

幸いにして、現在はAI(人工知能)やロボットなどのテクノロジーの飛躍的な進歩の時代の真っただ中にあります。

ですから、これまでは不可能だったことの多くが可能になりつつある時代を迎えているのです。

まさに、アイデアをかたちにし易い時代が到来しているのです。

若い人たちには存分にこうした最新のテクノロジーを活かして、人類の豊かさや地球環境の維持に貢献出来るような自分の夢の実現に邁進して欲しいと思います。


 
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2016年08月22日
アイデアよもやま話 No.3475 公共交通機関としても期待される自動運転車!

今、一般ドライバーやタクシー向けの自動運転車に注目が集まっています。

そうした中、6月2日(木)放送のニュース(NHK総合テレビ)で小型バスなどの公共交通機関としての自動運転車の実証実験を取り上げていたのでご紹介します。

 

石川県珠洲市では、昨年から金沢大学の研究チームが独自に開発した自動運転システムを乗用車に搭載して走行試験を続けてきました。

その結果、同じシステムを大きな車体に乗せても市街地を安全に走行出来る目途が立ったということで、早ければ来年自動運転の小型バスなどを市役所や病院などの間で定期的に走らせ、住民を乗せる実証実験が始まることになりました。

安全に万全を期すため、運転席には担当者が座った状態で走行させるということです。

 

高齢者が多い珠洲市ではバスが重要な移動手段ですが、運行本数が限られていて、自動運転車が代わりの交通手段になるか検証することにしています。

内閣府によると、自動運転車に一般の人を乗せて定期的に走行させる例は全国でも珍しいということです。

金沢大学の菅沼 直樹准教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一般の方々に公共交通機関のような使い方をしていただいて、実際に自動運転車が地方の足として使えるのか、どういった効果があるのか確かめていきたいと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

私の実家のある千葉県の外房の町でも小型バスの定期運行サービスがありますが、本数がとても限られています。

そして、利用者の多くは高齢者ですから、行った先で用事を済ませてから帰りのバスに乗るまでの待ち時間を考えると、特に真夏や真冬にはかなりの負担を強いられていると思います。

こうした状況は全国的に大なり小なり同じではないかと思われます。

そうした中で、今回ご紹介した金沢大学による実証実験は、とても意義があると思います。

 

現在、政府主導で地方創生政策が進められておりますが、都会に比べて公共交通機関や病院など公共施設の社会インフラのサービスレベルの低さが地方での暮らしの大きな阻害要因になっていると思われます。

そうした中で、自動運転バスは阻害要因の一つを突破出来る大きな柱の一つになると期待出来ます。

自動運転バスが運行されるようになれば、極端に言えば24時間サービスが可能になります。

また、定期運行ではなくオンデマンドでの運行にすれば、省エネ効果も期待出来ます。

                                                    

こうした背景にはやはりAI(人工知能)やロボットなどのテクノロジーの進歩があります。

AIとロボットの活用により、知的労働や肉体労働を人に代わって出来るようになれば、

究極的には地域格差なくあらゆるサービスを提供出来るようになるのです。


 
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2016年08月21日
No.3474 ちょっと一休み その556 『宇宙人の高度文明 その4 知的生命が高度な文明を築き上げることの困難さ!』

4月7日(木)放送の「コズミックフロント」(NHKBSプレミアム)のテーマは「ついに発見!?宇宙人の高度文明」でした。

とても興味のある内容でしたので5回にわたってご紹介します。

4回目は、知的生命が高度な文明を築き上げることの困難さについてです。

 

半世紀前から地球外文明の研究を続けてきたロシア科学アカデミーの天文宇宙研究センター(モスクワ)のニコライ・カルダショフ所長が研究を通じて感じたのは、知的生命が高度な文明を築き上げることの困難さです。

カルダショフ・スケールを発表した当時、世界は冷戦の真っただ中でした。

自ら作りだした核兵器によって、人類が滅亡の瀬戸際まで追いつめられるのを目の当たりにしました。

半世紀経った今、文明の進化には科学技術の発展だけでなく社会の成熟も必要だと考えています。

カルダショフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「大切なのは、より進歩した科学技術を用いてどのように社会をより良くしていくのかを子どもたちに教えていくことです。」

「今の時代は他人と協力し合うことよりも、他人と競争し、抜きん出ることを教えています。」

「そんなことでは社会がより成熟し、文明が次の段階に進化する前に自ら滅びてしまうでしょう。」

「テロや戦争、貧困など現在世界で起きている悲惨なことがここまで世界中に広まることなど誰にも予想出来ませんでした。」

「より進んだ文明に進化するためには、他人を尊重し、協力して問題を解決する術を私たちは学ばなければなりません。」

 

電波による地球外生命の探査に研究人生を捧げてきたカリフォルニア大学バークレー校SETIセンターの所長、アンドリュー・スィミオン博士は、宇宙人の信号を電波望遠鏡で捉えるプロジェクト「SETI:Seach Extra Terrestrial Intelligence」が私たちの文明のあり方についても問いを投げかけているといいます。

半世紀前に提案されたドレイク方程式(銀河系で電波を使っている文明の数を様々な条件を付けて導き出す方程式)の”L”は文明が存続する年数を示しています。

例え高度な文明があったとしても、すぐに滅んでしまえば見つけられません。

スィミオンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「地球外文明の探査を通して私たち自身が遠い未来まで生き残るためには、この限りある惑星で何をしなければならないのかを考える必要があります。」

「今のところ人類にとっての状況はあまり良いとは言えません。」

「対立する代わりにもっと協力し合い、遠い未来にまで生き残ることの大切さを地球外文明の探査は教えてくれるのです。」

 

天の川銀河の片隅で起きた奇妙な現象、そこから地球外文明探しの物語は始まりました。

私たちはこの宇宙で独りぼっちなのか、その答えを見つけ出せるかどうかは私たち自身にかかっているのかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

カルダショフさんのおっしゃるように、まず大切なことは、より進歩した科学技術を用いてどのように社会をより良くしていくのかということです。

自動車にアクセルとブレーキがあるように、文明の進化には科学技術の発展だけでなく、他人を尊重し、協力して問題を解決するというような社会の成熟も必要なのです。                                       

 

今、私たちはAI(人工知能)やロボット、あるいはIoT(Internet Of Things)などテクノロジーのすさまじい速さの変化の中にいます。

しかし、これらの活用によって、どのような社会を築いていくのかという観点については、IS(イスラム国)によるテロが世界各地で立て続けに発生したり、ウクライナ・クリミア半島併合をめぐり危うくロシアが核兵器を使用しそうになったり、あるいは南シナ海の領有権問題をめぐり国際司法裁判所の判断を中国が無視したり、というように世界情勢は不安定な状態のレベルが高まっているように思われます。

 

このような情勢下でAIなどのテクノロジーだけがどんどん進化していけば、いずれ紛争などの場でこれらのテクノロジーを駆使した兵器が投入されることは明らかです。

ですから、こうしたことの起きないようなブレーキの機能として社会の成熟がとても重要なのです。

テクノロジーの進化と同様に国際社会の成熟についても世界中の英知を結集して何をなすべきかを真剣に検討することが求められているのです。

そういう意味で、今回の中国による国際司法裁判所の判断の無視は、大国の武力や経済力を背景とした暴走をいかに食い止めるかという観点でとてもいい検討の対象になると思います。

 

ということで次回は、こうした問題を解決した延長線上の未来の宇宙の最新モデルについてご紹介します。


 
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2016年08月20日
プロジェクト管理と日常生活 No.450 『北朝鮮の核実験にみる高まる核テロのリスク』

今回は、2つのテレビ番組を通して北朝鮮の核実験にみる高まる核テロのリスクについてご紹介します。

 

まず、6月5日(日)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)でも「北朝鮮“機密ファイル” 知られざる国家の内幕」をテーマに取り上げていました。

ここでは番組を通して、なぜ北朝鮮は核開発にこだわっているのかに焦点を当てて以下にご紹介します。

 

番組では、北朝鮮軍の中枢から流出した1本のUSBメモリー、その中に北朝鮮の内幕を記した1万2000ページに及ぶ国家の“機密ファイル”が入っていました。

番組ではこのフィルを独自に入手し、それをもとに世界の専門家や元北朝鮮軍の関係者らとともに徹底分析を行いました。

 

このファイルには核開発に関する知られざる思惑についての文書も見つかりました。

その一部には以下のような記述があります。

「核の保有は、軍事費を抑え少ない費用で経済発展と国防強化が出来る最も現実的な路線である。」

 

事実上の長距離弾道ミサイル発射や核実験で国際社会を揺さぶり続ける金正恩体制、36年ぶりの党大会では核保有国としての地位を内外に喧伝しました。

金正恩委員長は、この党大会で以下のように演説しています。

「(我々は)核抑止力を持つことで米国の戦争挑発策動を粉砕し、朝鮮半島の平和と安全を守護している。」

 

これまで北朝鮮の核開発は、アメリカを交渉の場に引き出すための外交カードとしての側面が注目されてきました。

しかし、“機密ファイル”にはもう一つの目的が以下のように記されていました。

「我が国の核の力を強化し、軍の思想教育を強化すれば、全ての軍人が高い緊張状態を保ち、民族最大の念願である祖国統一を成し遂げられる。」

 

核開発には、揺らぐ国内の統治のために必要な手段という側面もあったのです。

ソ連時代から外交官として平壌に駐在し、北朝鮮側と太いパイプを持つモスクワ国際関係大学教授のゲオルギー・トロラヤさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「外交交渉を求めても、アメリカのオバマ大統領は振り向かないし、韓国の朴槿恵大統領も相手にしない。」

「そのことを北朝鮮側はよく分かっています。」

「核開発は金正恩の実績を示す国内向けのプロパガンダでもあるのです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

次に、7月13日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)の内容をご紹介します。

北朝鮮が再び核実験の動きを見せています。

そうした中、韓国国内で北朝鮮と過激派組織のIS(イスラム国)が手を結んでいるという話が浮上しています。

7月12日、アメリカの研究機関が北朝鮮の核実験施設で活動が活発化していると発表しました。

先週、アメリカは北朝鮮の金正恩委員長などを制裁対象に指定しました。

また、7月11日、米韓は迎撃ミサイルシステム「THAAD」を韓国に配備することを決定しました。

こうした動きに対して、北朝鮮は物理的な対応措置を取ると猛反発していました。

そんな中、韓国でとても不気味な話が浮上しています。

6月下旬、韓国の情報機関はISが韓国人と在韓米軍基地2ヵ所をテロ対象にしていることを突き止めたのです。

更に、韓国の朴槿恵大統領は、ISが北朝鮮と手を結び、韓国を標的にしている可能性があると示唆したのです。

こうした動きについて、元外務省主任分析官の佐藤 優さんは、月間雑誌「SAPIO」の7月号のコラムで北朝鮮とISが連携している可能性について以下のように指摘していました。

「北朝鮮の工作員がISの自称首都、ラッカに出没しているという情報がインテリジェンス関係者の間で流れている。」

 

「北朝鮮は地下秘密基地を造る土木能力に秀でているので、米軍の偵察衛星、無人飛行機やロシア軍の空爆から逃れる本格的な施設をISは必要としているのであろう。」

 

実は、北朝鮮と中東の一部の国とは長く関係が続いています。

例えば、北朝鮮はおよそ40年前の1980年代、リビアの故カダフィ大佐が身を隠していた地下施設を建設していました。

北朝鮮には、核実験施設など無数の地下施設があるとされ、南北を分ける非武装地帯では北朝鮮が掘ったトンネルがいくつも発見されました。

1時間に1万人の兵隊が韓国へ移動出来る規模だといいます。

その技術を当時のリビアは利用したのです。

元朝鮮日報記者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「中東国家には反米感情があり、北朝鮮と国家同士の連帯を続けてきました。」

 

韓国に亡命した北朝鮮の元工作員は、中東地域の戦闘員が北朝鮮の工作機関で軍事訓練を行っていたと証言しています。

また、反米という共通点でつながっていた北朝鮮と中東の一部の国々、また北朝鮮はISとつながっていたアルカイダとも関係があったとも証言しています。

こうした動きについて、佐藤さんは以下のように指摘されております。

「ISと北朝鮮はイデオロギーは異なるが、米国とその同盟国に対する敵対行為については利益を共有している。」

「また、北朝鮮の工作員がISのテロリストを偽装して日本や韓国でテロ活動を行う危険に備えなくてはならない。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

2つの番組を通して見えてくることを以下にまとめてみました。

・北朝鮮の核開発の目的は以下の2つである

  アメリカを交渉の場に引き出すための外交カードとして利用すること

  金正恩委員長の実績を示す国内向けのプロパガンダとして利用すること

・北朝鮮と中東の一部の国々やISは、米国とその同盟国への敵対行為について利益を共有しており、それに伴う協力関係が以下のようなリスクを生み出していること

  北朝鮮の工作員がISのテロリストを偽装して日本や韓国でテロ活動を行うこと

  北朝鮮がISなどの軍事施設の建設や戦闘員の戦闘訓練などに関与すること

  北朝鮮がISなどに核兵器を提供し、実戦で使われること

 

こうしてまとめてみると、特に北朝鮮によって開発される核兵器のISなどへの拡散のリスクは、最も重要なものとして受け止めなければなりません。

また、注目すべきは、北朝鮮の核開発の目的の一つは国内向けのプロパガンダであるということです。

これは、独裁者と言えども国民の不平・不満を無視出来ないということを意味しています。

要するに、世界各国の指導者の統治上の課題の共通点は、諸外国との外交や協力関係、あるいは時として武力を背景に自国の国際的な立場をより有利にすること、そして国内統治の2つということです。

考えてみれば、中国の南シナ海における一連の強硬的な活動も各種報道記事によれば、その狙いはこうした2つの課題達成に見事に符合しています。

 

このように見てくると、国際平和の実現に向けての課題がおぼろげながら見えてきます。

・世界平和維持のためのルールの構築、およびその遵守

  世界平和を乱すような行為に対しては、そうした行為が経済を中心にその国の世界的な立場を不利にさせる結果をもたらすようなルールを確立すること

  そして、ルールが無視された場合には、罰則規定を忠実に実行すること

・世界各国の国民の意識向上

  世界平和の重要性についての教育を世界各国に義務付けること

  インターネットなどを介して、世界各国の国民が出来るだけ世界情勢などの情報を入手出来るようにすること

 

私のまとめた考えが的を射ているかどうかは別として、物事に対する考えを進めていく上で、プロジェクト管理の基本的な考え方はとても有効だと思います。

今回は、北朝鮮の核実験を通して、そこにはどのようなリスクがあるのか、また世界平和を維持していく上で何をすべきか、すなわち課題についてお伝えしました。


 
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2016年08月19日
アイデアよもやま話 No.3473 21世紀はサイバー戦争の世紀 その4 サイバー戦争の時代は既に始まっている!

一昔前までSFの世界と思われていたことが今どんどん現実になりつつあります。

そうした中、5月14日(土)放送の最先端テクノロジーの驚異と、それがもたらす課題や未来に迫る番組、「SFリアル」(NHK総合テレビ)で「サイバー戦争」を取り上げていましたので4回にわたってご紹介します。

4回目は、サイバー戦争の時代は既に始まっていることについてです。

 

前回、イランの核開発施設へのサイバー攻撃を行った謎のマルウェア、すなわちスタックスネットについてご紹介しました。

このサイバー戦争の扉を開いてしまったスタックスネット、これから世界はどこに向かうのでしょうか。

スタックスネットに係わったと言われているのがアメリカの国家安全保障局(National Security Agency)、通称NSAです。

長い間、秘密のベールに包まれていた諜報機関です。

慶応義塾大学の土屋 大洋教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「政府のごく一部の限られた人しか知らなかった、一般の人たちは全く知らなかった、そういう組織なんです。」

 

その状況が一変したのが、2013年、エドワード・スノーデンさんがNSAの内部文書を持ち出した事件でした。

かつてNSAで働いていた彼が暴露した文書は世界に衝撃を与えました。

インタ−ネットの発達によって、NSAは世界中のネットワークに侵入し、情報を盗み取っていたのです。

そして、攻撃の準備を始めているというのです。

スノーデンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この10年、NSAが従来の仕事から逸脱していくのを見てきました。」

「NSAは国家ハッキング局になってしまったんです。」

 

それは世界が新たな戦争の時代に入ったことを意味していました。

増え続けるサイバー攻撃、標的は世界中にあります。

勿論日本にもです。

標的となり得る施設や情報を多く持つ日本、政府機関や企業を狙ったサイバー攻撃は年々増え続けています。

 

サイバー・セキュリティを担う大手の民間企業、株式会社ラックではおよそ850の政府機関や企業のインターネットを監視しています。

彼らは、外部のインターネットと顧客の間を出入りする全ての通信をチェック、いわば関所のような役割を果たしています。

捕える不正な通信は1日8億件、中にはインフラの破壊を狙ったようなマルウェアも送られてくるといいます。

ラックの岩崎 勝部長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「社会を揺るがすような非常に危険な攻撃、日本にもそれが来ていると。」

 

こうしたマルウェアによる攻撃を行うには、相手が使っているコンピューター・プログラムの種類などあらゆる情報を得なければなりません。

その情報を得るためのサイバー攻撃は予備調査と呼ばれています。

日本の政府機関に対しても、広く行われているといいます。

 

昨年明らかになった日本年金機構へのサイバー攻撃では、少なくとも125万件の個人情報が流出しました。

実は、これも予備調査の一環だったことが疑われています。

土屋教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「あの時に日本政府、あるいはその周りにある組織全体に大きな規模のサイバー攻撃がしかけられていたわけです。」

「本来の攻撃者たちの目的というのは首相官邸なり中央官庁なり、日本政府の中枢に忍び込むこと、そこから情報を取ることだったと思うんです。」

 

こうした予備調査をもとに今後スタックスネットが行ったようなインフラの破壊も起きるかもしれません。

ラックのグループ企業、ネットエージェント株式会社の杉浦 隆幸会長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「オリンピックなどもありまして、予備調査を実際の攻撃に移すっていうことは十分考えられる内容と思っております。」

 

更に今後起こり得ると考えられているのがサイバー攻撃と通常兵器の組み合わせです。

土屋教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「例えば他国が日本に対してミサイルを撃つ可能性がある、でそのミサイルが飛んできた時に、今日本はそれを迎え撃つためのシステムを作っているわけですね。」

「ところが迎撃するためのシステムというのが事前にサイバー攻撃を受けて動かなくなっている、いざ迎撃のための措置をとろうとした瞬間に何も動かない、でミサイルがそのまま日本に着弾する、そういう可能性も起きてしまうわけですね。」

 

これらに対抗するために2013年、経済産業省は20億円をかけてサイバーセキュリティの実験施設、技術研究組合 制御システムセキュリティセンター(CSSC)を建設しました。

実際にインフラなどで使われている機械を設置、様々なサイバー攻撃を想定し、セキュリティの検証実験を行っています。

例えば攻撃者は機械を不正に操作して警報音を鳴らなくさせてしてしまうかもしれません。

実証実感を行っている被害者側の関係者からは次のような声が上がっています。

「アラームを操作されるっていうのが結構こたえますよね。」

 

「現場が混乱しますね。」

 

「裏で急にその辺の設定値が変えられるって想定してないからね。」

 

しかし、現状では対策は十分ではないといいます。

土屋教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世界各国の軍隊はサイバー攻撃を視野に入れて間違いなくやっていると思います。」

「もうこれはかなり増えていると思いますね。」

 

また、CSSC事務局長の村瀬 一郎さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「完璧にサイバー攻撃を防御するということはもう出来ないと思います。」

「ですので、我々が今出来る範囲内のことを少しずつ積み重ねていく、この積み重ねが重要だと思っています。」

 

サイバー攻撃は世界を危険に満ちたものにしようとしているのでしょうか。

将来、サイバー空間を飛び出し、実際の戦争に発展する可能性もあるのでしょうか。

ITジャーナリストのキム・ゼッターさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「送電網を破壊されたらミサイルを撃ち返す、そう言った政府関係者もいました。」

 

また、2013年、NSAの内部文書を持ち出した事件で有名になった元NSA職員のエドワード・スノーデンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「むやみに危険をあおりたくはありません。」

「しかし、深刻なリスクがあるというのは確かなんです。」

 

サイバー兵器で武装している国は既に数十ヵ国、新たな道を見つけなければサイバー戦争は現実になるかもしれません。

 

1980年代にコンピューターのハッキングをきっかけに核戦争が始まる危険性を描いた映画「ウォー・ゲーム」では、映画の終盤に暴走したコンピューターは核戦争に勝つ方法をシミュレーションし始めました。

人々はこれを止めようと奔走します。

そして、コンピューターが最後に出した結論、それは「ウォー・ゲームに勝つ唯一の方法はゲームを始めないことです それよりチェスをやりませんか?」でした。

 

SFリアル、未来は私たちに委ねられています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、あらためてサイバー戦争の時代は既に始まっていると実感させられました。

今後とも物理的な兵器の開発はどんどん進められていくと思います。

しかし、一方で味方の被害の全く伴わない”目に見えない兵器“として、スタックスネットのようなゼロデイの開発にもそれ以上の開発資金が投入されていくと想像されます。

ちなみに、ゼロデイとは前回ご紹介したように、まだ世間に知られていないプログラムの弱点を突いた高度なマルウェアのことです。

そして、注目すべきはゼロデイの与える攻撃対象の損失の程度が把握出来ないことです。

”目に見えない兵器“ですから、攻撃を受けた側は攻撃の対象範囲や被害の程度をすぐには把握することが出来ません。

一方、当然のことながら、ゼロデイはサイバー攻撃の抑止力として、敵国からのサイバー攻撃を受けた場合の対応兵器としても開発されます。

そして、サイバー戦争になった場合、対戦国はお互いに相手の戦力を把握することがほとんど分からないのです。

ですから、ゼロデイのような究極のサイバー兵器は、戦争の行われるは範囲、すなわち戦争空間にこれまでの物理的な空間に加えて新たにサイバー空間を誕生させてしまったのです。

ということは、核兵器など物理的にいくら高度な兵器で武装しても、高度に進んだサイバー兵器次第で戦力としての機能を果たせられなくなってしまうような状況になりつつあるのです。

要するに、“サイバー戦争を制する者が世界を制する”時代の到来なのです。

ですから、専守防衛を掲げる平和憲法下の日本にとっては、防衛政策としてサイバー兵器の開発はとても理に適っていると思われます。

 

こうして考えていくと、ゼロデイという”目に見えない兵器“がどんどん進化していくとやがてその存在自体が戦争の抑止力につながる可能性を秘めているのではないかという思いに至りました。


 
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2016年08月18日
アイデアよもやま話 No.3471 21世紀はサイバー戦争の世紀 その3 新たな戦争の幕開けとなったマルウェアによるサイバー攻撃!

一昔前までSFの世界と思われていたことが今どんどん現実になりつつあります。

そうした中、5月14日(土)放送の最先端テクノロジーの驚異と、それがもたらす課題や未来に迫る番組、「SFリアル」(NHK総合テレビ)で「サイバー戦争」を取り上げていましたので4回にわたってご紹介します。

3回目は、新たな戦争の幕開けとなったマルウェアによるサイバー攻撃についてです。

 

物理的な破壊をも引き起こすサイバー攻撃、2010年、世界は初めてサイバー戦争の脅威を目にすることになり、世界中に衝撃が走りました。

新たなコンピューター・ウイルスによってイランの施設が破壊されたのです。

サイバー攻撃を行った謎のマルウェア、それはやがてスタックスネット(STUXNET)と呼ばれ、広く知られるようになりました。

ITジャーナリストのキム・ゼッターさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「スタックスネットは、初めて確認されたデジタル兵器であり、最初のサイバー戦争行為でした。」

 

中東地域からインターネットが通じて世界中に広がったスタックスネット、その存在を捕えたのは、セキュリティソフト・メーカーのシマンテック社でした。

年に数百万ものマルウェアを解析しているセキュリティの専門家たち、彼らがまず驚いたのはスタックスネットの複雑な構造でした。

セキュリティ専門家のエリック・チャンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「こんなに複雑なマルウェアは見たことがありません。」

「プログラムのサイズが通常の20倍はあったんです。」

 

また、同じくセキュリティ専門家のリアム・オマーチェさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「普通、マルウェアの解析は5分から1週間で終わります。」

「でもスタックスネットは6ヵ月もかかりました。」

 

マルウェアはアルファベットと数字の組み合わせで構成されています。

コードと呼ばれ、通常は100行〜1000行ほどです。

しかし、スタックスネットのコードは1万5000行もありました。

桁違いに複雑な命令が書き込まれていたのです。

中でも、専門家たちを驚かせたのはスタックスネットがそれまで全く知られていないコンピューターの弱点を利用していたことです。

それが“ゼロデイ”です。

キム・ゼッターさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ゼロデイとは、まだ世間に知られていないプログラムの弱点のことです。」

「知られていないので、対策を施すことも出来ませんし、セキュリティ会社も見つけることすら出来ません。」

             

つまり、ゼロデイを利用すれば、確実にハッキング出来るというわけです。

闇市場では1つのゼロデイが1000万円を超える値段で取引されるといいます。

スタックスネットはこのゼロデイを5つも利用していました。

極めて高度で大金がつぎ込まれたマルウェアだったのです。

エリック・チャンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「このマルウェアは一体何をするためのものなのか、半年かかってその真の目的がようやく分かってきました。」

 

リアム・オマーチェさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「手掛かりはスタックスネットのコードに書かれたある単語でした。」

「コードを調べていたらドイツの産業用制御機器メーカーの名前が見えたんです。」

「「シーメンス」と書いてありました。」

 

シーメンス社は、工場で使われる制御機器を作っています。

スタックスネットにはシーメンス社の製品名が書かれていました。

それがPLCです。

エリック・チャンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「PLCが何なのかネットで調べなければなりませんでした。」

「全く何も知らなかったんです。」

「だからオークションサイトでその装置を1つ注文しました。」

「冷蔵庫くらいの大きさのものがくると思っていたんですが、実際に届いたのは小さなものでした。」

「中にはミニコンピューターが入っていて、車の製造工場などの機器を制御するためのものだったんです。」

 

PLC(Programmable Logic Contoroller 産業用制御システム)、パソコンと機械の中間にあって機械をコントロールするコンピューターの一種です。

パソコンからPLCにプログラムをインストールすると、そのプログラムに従って機械が動くという仕組みです。

工場は勿論エレベーターを動かしたり、あるいは給水場の制御機器に使われたり、ナスダックの取引システムにも使われていて、私たちの生活に密接に結びついています。

 

ではスタックスネットがPLCを乗っ取ると、一体何が起きるのでしょうか。

ある実験でPLCが制御するのは空気ポンプです。

スイッチを入れると、ポンプが3秒間作動して風船が膨らみ、風船が破裂する前に止まるようにプログラムされています。

ここでパソコンにスタックスネットに似たマルウェアを感染させると、マルウェアがPLCに悪意のある命令を送り込みます。

すると風船が膨らみ続け、破裂してしまいます。

これがパイプラインや発電所だったらどうなるか想像が付きます。

それがサイバー攻撃です。

 

ではPLCを標的としたスタックスネットの目的は何だったのか、その答えを見つけたドイツのセキュリティ専門家、ラルフ・ラングナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「スタックスネットには本当にビックリさせられました。」

「一目で非常に高度なものだと分かりましたから。」

 

「たった一つの標的を攻撃するためだけに誰かがこんな高度なマルウェアを作ったっていうのか?」

「それはもうよほど重要な標的に違いないと思いました。」

 

ラングナーさんは、スタックスネットが全てのPLCを狙ったわけではないことに気付きました。

ある特定のPLCだけを攻撃するように設定されていたのです。

ラングナーさんは、スタックスネットが最初に発見された場所、イランが重要な手がかりになると考えました。

ラングナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「イランには重要な産業施設はそれほど多くはありません。」

「つまり、これだけ複雑なプログラムを作って狙う価値のある標的となると候補は絞られてきます。」

「それはイランの核開発計画です。」

 

イランのナタンズにある各施設、ここは厳重に防御された地下施設でウランを濃縮するための遠心分離機が数千台稼働していました。

濃縮を進めることで核兵器の製造にも使われるウラン、この施設は高濃縮ウランを作ろうとしていると疑われていたのです。

そして、この遠心分離機を制御していたのがシーメンスのPLCだったのです。

ラングナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「2010年末には完ぺきな証拠を見つけることが出来ました。」

「スタックスネットのコードの中にナタンズで使われている機械の設定と完全に一致する部分があったんです。」

 

スタックスネットは軍事的標的を破壊するために放たれた最初のサイバー兵器だったのです。

USBメモリーを通じて施設内部のネットワークに入ったとされるスタックスネット、入り込むと遠心分離器を制御しているPLCを探します。

そしてPLCのプログラムを書き換え、不正に操作し始めます。

遠心分離機を基準値を超えて加速させたり、あるいは減速させたりしたのです。

これによりおよそ1000台の遠心分離機が不具合を起こし、イランの核開発は大幅に遅れたと言われています。

 

その後、スタックスネットは世界に拡散、サイバー攻撃の危険性が世に知られることになりました。

オマーチェさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「目の前にあるコードがイランで何かを爆発させる力がある、本当に怖いと思いました。」

「(一体誰が作ったものだったのかについて、)それぞれ異なる専門知識を持った複数のチームの合作ですよ。」

 

また、チャンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「明らかに国家レベルのものでした。」

 

そして、ラングナーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(イランの核施設に対してそんなことをする動機があるのは誰かについて、)思い付くのはまずアメリカでしょう。」

 

2012年、ニューヨークタイムズは、スタックスネットはイランの核施設を阻止するためのアメリカとイスラエルの諜報機関が作ったものだったと報じました。

 

SFリアル、かつてSFで描かれたサイバー攻撃はスタックスネットによってリアルになったのです。

アフマディネジャド前イラン大統領は、当時報道陣に向けて次のようにおっしゃっています。

「我が国に対して重大な破壊行為があった。」

「幸いにも大事に至らなかったが、極めて悪質で不道徳な攻撃だった。」

 

その後、アメリカが出資する石油会社がサイバー攻撃を受けました。

3万台のコンピューターのデータが破壊されたのです。

その後もアメリカの企業への攻撃が続きました。

シティバンク、J.P.モルガンなど、銀行のウェブページが次々にダウンしました。

更に、ニューヨーク州のダム管理システムもサイバー攻撃を受け、水門の制御が乗っ取られていたことが明らかになりました。

これらは全てイランのハッカーの仕業だったと報じられています。

攻撃とそれに対する反撃、これは新たな時代の始まりなのかもしれません。

 

元NASA長官のマイケル・ヘイデンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これは人類史上信じられないほど大きな出来事です。」

「1945年8月のような匂いがします。」

「全く新しい種類の破壊兵器を使ってしまったんです。」

 

キム・ゼッターさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「スタックスネットがこうした攻撃が可能であることを実証してしまったんです。」

「それは新たな戦争の扉を開くことでした。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、特に私が興味を持ったのはゼロデイ、すなわちまだ世間に知られていないプログラムの弱点のことです。

 

ちなみに、ゼロデイについてウィキペディアでは以下のように記されています。

脆弱性を解消する手段がない状態で脅威にさらされる状況 をいう。

脆弱性が発見されて修正プログラムが提供される日(One day)より前にその脆弱性を攻略する攻撃は、ゼロデイ攻撃と呼ばれている。

 

知られていないので、セキュリティ会社ですらすぐに対策を施すことも出来ませんし、対応には何ヵ月もかかってしまうのです。

つまり、ゼロデイを利用すれば、確実にハッキング出来るし、しかも対応までにかなりの時間を要するのです。

このように非常に高度なマルウェアですから、当然開発コストが高額になり、その分値段も高くなります。

ですから、闇市場では1つのゼロデイは1000万円を超える値段で取引されるといいます。

スタックスネットはこのゼロデイを5つも利用していたというのですから、少なくとも5000万円以上で取引されていたと想像されます。

スタックスネットはこのように極めて高度で大金がつぎ込まれたマルウェアだったのです。

 

今後、スタックスネットのようなゼロデイと呼ばれる高度のマルウェアが次々に生まれてくることは容易に想像出来ます。

ゼロデイが新たな可能性を秘めた兵器だからです。

”目に見えない兵器“として、目立たないかたちでしかも誰からの攻撃か非常に分かりにくいかたちで効果的に重要な社会インフラや兵器を使用出来ないようにすることが出来るからです。

しかも、物理的な兵士の介入は不要ですから攻撃に伴う味方の物理的な被害は全く発生しません。


 
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2016年08月17日
アイデアよもやま話 No.3471 21世紀はサイバー戦争の世紀 その2 社会インフラに対するマルウェアの脅威!

一昔前までSFの世界と思われていたことが今どんどん現実になりつつあります。

そうした中、5月14日(土)放送の最先端テクノロジーの驚異と、それがもたらす課題や未来に迫る番組、「SFリアル」(NHK総合テレビ)で「サイバー戦争」を取り上げていましたので4回にわたってご紹介します。

2回目は、社会インフラに対するマルウェアの脅威についてです。

 

コンピューターに不正な動きをさせるサイバー攻撃、今やインフラを物理的に破壊することも出来るといいます。

現在では重要なインフラもコンピューターによって制御されています。

それがサイバー攻撃を受けるとどうなるのでしょうか。

 

2007年、アメリカで送電施設を対象にしたある実験が行われました。

元アメリカ国土安全保障省のペリー・ペダーセンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「当時、私は『オーロラ・プロジェクト』と呼ばれる国家計画を進めていました。」

 

アメリカ政府が中心となったオーロラ・プロジェクト、インフラに対するサイバー攻撃を検証したもので、2014年、詳細な報告書が公表されました。

まず実験施設に巨大な発電機を設置し、送電網に接続する、この発電機にサイバー攻撃をしかけるとどうなるのか実験したのです。

狙ったのは発電機につながれたコンピューター、発電機から送電網に流す電流を制御しています。

ここにマルウェアを侵入させ、ブレーカーのスイッチを乗っ取り、電流の遮断と接続を繰り返すのです。

最初の攻撃で、電流を遮断し、すぐに再接続すると、発電機が揺れているのが分かります。

遮断と再接続だけで予想を超える負荷が発電機にかかったのです。

ペダーセンさんたちの狙いは、まず機械を壊さないように軽い衝撃を与えることでした。

そこでデータを収集して発電機が受けたダメージを見ようと思っていたのです。

ところが、2回目の攻撃で、発電機は煙を吹きました。

そして3回目の攻撃で発電機は完全に停止しました。

 

SFリアル、マルウェアによってインフラが物理的に破壊されることが明らかになったのです。

ペダーセンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これはとても頑丈な発電機で、過酷な条件でも耐えるように設計されていました。」

「もし本気で攻撃しようと思えば、様子を見るために途中で間を空けたりはしません。」

「壊れるまで繰り返し攻撃し続けるだけです。」

 

この実験結果は、恐ろしい現実を突きつけました。

ITジャーナリストのキム・ゼッターさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「例えば、9つほどの変電所を攻撃するだけでアメリカのほぼ全域で数ヵ月も続くような大停電を引き起こすことも可能なんです。」

 

しかし、発電所のような重要なインフラでさえサイバー攻撃への対策は十分ではありません。

セキュリティが緩いまま放置されているのが現状です。

ある発電所の幹部は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ある技術者がスマホで複数の発電所を同時に制御出来るように設定していました。」

「彼は「気を付けて下さい、そのボタンで全部コントロール出来ちゃいますので」と言いました。」

「私は驚いて「セキュリティは大丈夫なのか」と聞くと、彼は「このスマホが盗まれないようにしています」と答えたのです。」

 

かつては、手動で行っていた機械の管理を全てオンラインにしたために安全対策に大きな穴が開いているのです。

元アメリカ大統領補佐官のリチャード・クラークさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一般の人たちは、政府、すなわちサイバー軍や警察などにはサイバー攻撃から発電所などのインフラや銀行を守る能力があると信じています。」

「しかし、実際には政府にはそんな能力はありませんし、そんな計画もありません。」

「そもそもそんな権限もないんです。」

 

2015年12月、この恐れが遂に現実となりました。

ウクライナでサイバー攻撃による停電が起き、140万世帯が停電し、多くの住民が暗闇に取り残されました。

複数の変電所がブラック・エナジーと呼ばれるマルウェアで攻撃されたと見られています。

電力供給システムに係る4000ものファイルを次々に削除、電力の制御だけでなく、復旧のためのシステムもダウンさせました。

このマルウェアはロシアで作られたと報じられました。

こうした攻撃は、今やいつ起きてもおかしくない状況なのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組では発電所という社会インフラへのマルウェアの脅威について伝えていましたが、前回もお伝えしたように、アプリに対する利便性の機能強化に比べて危険性への対応が軽視されているのです。

そうした弱点を突いて、ハッカーがサイバー攻撃を仕掛けてくるわけです。

今後ともアプリの活用により私たちの暮らしの利便性を高めていくためには、安心してアプリを利用出来るように、アプリの危険性を最小限にする食い止めるためのマルウェア対策がとても重要になるのです。


 
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2016年08月16日
アイデアよもやま話 No.3470 21世紀はサイバー戦争の世紀 その1 個人に対するマルウェアの脅威!

一昔前までSFの世界と思われていたことが今どんどん現実になりつつあります。

そうした中、5月14日(土)放送の最先端テクノロジーの驚異と、それがもたらす課題や未来に迫る番組、「SFリアル」(NHK総合テレビ)で「サイバー戦争」を取り上げていましたので4回にわたってご紹介します。

1回目は、個人に対するマルウェアの脅威についてです。

 

1983年に公開されたアメリカのSF映画「ウォー・ゲーム」、少年が軍のコンピューターをハッキング、このサイバー攻撃がきっかけとなり、ソ連との核戦争が始まってしまう危険性を描きました。

今、こうしたサイバー攻撃が現実になろうとしています。

 

インターネットは世界を変えました。

しかし、そこには新たな危険も生まれています。

500億個のコンピューター、その数だけ攻撃先があるといわれるように、標的はいたるところにあります。

コンピューターは私たちの生活に浸透しています。

リスクはどこにでもあります。

スマホの中身を盗み見ることも出来ます。

自動車を乗っ取ることも可能です。

そして、今やサイバー攻撃でインフラを物理的に破壊出来るまでになっています。

対象はダムや発電所、そして工場、パイプラインなどです。

そして遂にイランの核施設が狙われる事態も起きました。

私たちの生活に欠かせないインターネット空間、そこは今危険な戦場になろうとしているのです。

 

サイバー攻撃の恐怖は私たちの身の回りにも及んでいます。

まずはスマホです。

現在、携帯電話の数は70億個を超え、世界の人口をも上回っています。

中でも爆発的に広まっているのがスマホ(スマートフォン)です。

このスマホにとって欠かせないのがアプリと呼ばれるソフトウェア、インストールすると地図や動画を見ることが出来、とても便利です。

しかし、サイバー攻撃のきっかけとなるのもまたこのアプリなのです。

 

例えばアプリを悪意を持って使われるとどうなるのか、実験してみました。

まず、被害者役の女性があるアプリをインストールします。

本来はスマホが盗難された時にそれを探すためのもので、海外でも人気のアプリです。

すると、連絡先や位置情報など、個人情報のアクセスを求める画面が現れます。

実はこの多くの許可を与えることが危険につながるのです。

例えば、アプリが求めてくるがままに許可を与えると、そのアプリは許可を与えられたあらゆる情報にアクセスすることが可能になります。

ここで攻撃者は何らかの方法で被害者が設定したIDとパスワードを入手、実際には身近な人が被害者のスマホに密かにアプリをインストールし、IDとパスワードを設定してしまうことが多いといいます。

すると、攻撃者はパソコンからスマホを遠隔操作出来ます。

そして、被害者がどこにいるのかすぐに分かります。

GPS情報を取得し、スマホがある場所を特定、本来は盗まれたスマホを探すための機能なのですが、こうして悪用することが出来てしまうのです。

それだけではありません。

通話記録や送受信したメール記録などあらゆる個人情報を自由に見ることが出来てしまうのです。

更に攻撃者はカメラを遠隔操作して写真を撮ることも出来ます。

元々はスマホを盗んだ犯人を特定するための機能なのです。

フラッシュは光りますが音はしないので気付きません。

勿論動画も撮れます。

こうした遠隔操作が出来るアプリは世界に数十種類、今も増え続けています。

 

ネットワークセキュリティ製品の開発・コンサルティング業務を主目的としているネットエージェント株式会社(東京都江東区)の会長、杉浦 隆幸さんは、こうした状況について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「電波の届く範囲であれば、隠れることは出来ないと思っていただきたいと思いますね。」

「しかし、これは元々悪用するために作られたものではありませんでして、使う人によっては有用なものが悪用することも簡単だということです。」

 

私たちの身の回りに迫るサイバー攻撃、危険なのはスマホだけではありません。

今、私たちの周りには無線ラン、いわゆるWi-Fiが溢れています。

アメリカ・ワシントン大学の特任准教授でセキュリティ研究者、タダヨシ・コウノさんは、学生たちとWi-Fiの危険性を検証しています。

選んだ場所は、無料のWi-Fiが提供されている街のカフェです。

被害者役の自宅にはホームオートメーションと呼ばれるシステムがあります。

家の中のモノがインターネットにつながれていて、照明のスイッチ、冷暖房、警報やカギの開け閉めまで遠隔操作が出来ます。

なお、アメリカではこのシステム(ホームオートメーションシステム)がどんどん普及しているといいます。

 

被害者役の学生が無料のWi-Fiにアクセスしようとします。

そこに二人の学生が攻撃を仕掛けます。

他人の家をどうやって乗っ取るのか、実験開始です。

まず攻撃者は独自のWi-Fiをセット、カフェのWi-Fiに見えるように名前を偽装します。

この方法は邪悪な双子のネットワークと呼ばれています。

被害者はカフェのWi-Fiと思い込んで邪悪な双子に接続、これで攻撃者は被害者のパソコンに出入りする全ての情報を監視出来るようになります。

彼らは被害者がホームオートメーションシステムに接続するところを見守ります。

気付かれずに被害者のIDとパスワードを入手し、これらを使ってホームオートメーションシステムに侵入、被害者の家をつきとめることが出来るのです。

パソコンから玄関の鍵を開け、家の中に入ってしまいます。

 

多くのコンピューターは機能を単純化させています。

その中で、セキュリティの部分まで削ぎ落とされてしまうのです。

コウノさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「機能向上への飽くなき追求がされ、あっと驚くような新技術が生まれています。」

「でもこれらが悪用された場合のことを考える人は多くはないのです。」

 

大切なのは便利さと安全のバランスなのです。

 

今、私たちの身の周りにはコンピューターが溢れています。

発電所からペースメーカーまであらゆる機器に使われているのです。

SFリアル、かつてSFで描かれたサイバー攻撃が今マルウェアによってリアルになったのです。

マルウェアとは、コンピューターウイルスなどの悪意のあるプログラムの総称です。

攻撃者はこのマルウェアを送り込んでコンピューターを不正に操作するのです。

 

例えば、現代の自動車には100個ものコンピューターが使われています。

コウノさんは、マルウェアで車にどんな攻撃が出来るのか実験してみました。

学生たちと車のコントロールを奪う方法を検証するのです。

今回の対象は車載電話のような通信システムを備えた車です。

車に電話をかけてネットワークに入り込み、マルウェアを侵入させ、車のコントロールを奪います。

例えばドアのロック、そしてライト、実験ではブレーキを乗っ取りました。

ハッキングされる恐れはハンドルやエアバッグ、アクセルにもあります。

 

今後、インターネットに接続される車が増えると、攻撃の機会も増えます。

しかし、セキュリティは後回しになっているとコウノさんは考えています。

コウノさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「例えば子どものおもちゃや照明器具のスイッチ、これらにコンピューター機能を加えると、そのコンピューターを操作出来る誰かが本来とは違う不正な動きをさせることも可能になります。」

「それがサイバー攻撃への第一歩になるのです。」

 

インターネットでつながれる電子機器、利便性と危険性は表裏一体なのです。

アメリカの外交専門誌編集者、デイビッド・ロスコフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「500億個の組み込み型コンピューターがインターネットに接続している世界、それはつまり500億の攻撃先があるということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今やIoT(Internet Of Things)と言われていますが、既に500億個の組み込み型コンピューターがインターネットに接続しているのです。

そして、IoTのメリットを最大限に生かす方向でこの数は今後とも飛躍的に増えていくと見込まれます。

同時に、それだけマルウェアによる脅威が高まっていきます。

番組でも伝えられているように、インターネット関連技術の利便性と危険性は表裏一体なのです。

ところが、残念ながら今のところ、利便性に比べて危険性に対するアプリの対応が遅れているといいます。

ですから、私たち一般ユーザーにとって、こうした危険性に対するアプリの強化、およびサイバー犯罪の抑制における国の法整備が進められることが求められます。

そうでなければ、いずれ大きな社会問題へと発展し、せっかくの利便性が損なわれてしまうことになってしまいます。

是非、スマホだけでの自宅内の家電器具一式のコントロールや、自動運転車が移動するマイルームやマイオフィスとして使えることが安心して出来るように、マルウェアによる不正を最小限に食い止めて欲しいと思います。


 
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2016年08月15日
アイデアよもやま話 No.3469 宇宙葬で人生最後の旅は宇宙!

今日は月遅れのお盆だからというわけではありませんが、5月30日(月)放送の「はやドキ!」(TBSテレビ)で宇宙葬について取り上げていたのでご紹介します。

 

宇宙葬が民間の宇宙開発によって誕生しました。

株式会社銀河スペース(大阪市西区)の常務取締役、出口 裕久さんは宇宙葬を手掛けるようになった理由について次のようにおっしゃっています。

「今、お墓を購入するのも大変ですし、管理していくのも大変な時代ですから、そういうお墓以外の供養するかたちということで宇宙葬という夢のあるかたちを紹介したいと思って始めました。」

 

墓地不足や後継者不在による墓じまいなど昨今のお墓事情もあり企画したのです。

先例はアメリカの企業にあり、業務提携をしているのです。

ちなみに、遺灰を収めるのは直径1cmほどの小さなカプセルで、世界中から集まった遺灰をロケットに搭載します。

そして、宇宙葬も以下のように何種類かあります。

(プラン) (内容)    (価格)  (打ち上げ時期)

1.宇宙飛行 宇宙空間へ   48万6千円 1年に一度

2.人工衛星 地球を周回  102万6千円 1年に一度

3.月旅行  月面まで飛行 270万円   5年に一度 

4.宇宙探検 宇宙の果てへ 270万円   5年に一度

 

中でも人工衛星に乗せて飛ばすプランでは最長240年間も地球を周回します。

更に、アプリで遺灰の位置を確認することが可能なので、空を見上げればいつでも大切な方をしのぶことが出来ます。

これまで300人以上が宇宙葬を行いました。

宇宙葬は生前に申し込むことも可能といいます。

 

実際にこの宇宙葬を決断した50代のある男性は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「うちの田舎のお墓が、年寄りがいなくなると子どもたちや孫がちゃんとみてくれるのかどうか、やっぱり負担をかけるんじゃないかというのがちょっと心配でして・・・」

 

今後、宇宙葬が日本の葬儀事情解決の一翼を担うようになるかもしれません。

それにしても人生最後の旅は宇宙と思えば、宇宙葬がとてもロマンチックに思えてきます。

 

しかし、宇宙葬にしてしまうと、お墓はありませんからたまに残された家族や親戚の方などがお墓参りをしたくても出来なくなってしまいます。

また、多くの人たちはどんなかたちであれ自分のお墓を望んでいるのではないでしょうか。

このように考えていくと、宇宙葬を申し込む多くの方々は従来通りお墓に遺骨を入れ、それに加えて宇宙旅行もしたいという方々ではないかと思われます。

また、費用面で問題がなくとも独身のまま生涯を終える方々の中にも生前予約で宇宙葬を望む方々がいらっしゃると思います。

 

一方、お墓を購入するのも管理していくのも大変と思われる方々にとっては、宇宙葬よりも遺体や遺灰を海や山などの自然に還す自然葬の方を検討された方がいいと思います。

その理由は、宇宙葬は最低で50万円近くかかりますが、5万円たらずで海洋散骨を代行してもらえるからです。

 

いずれにしても、今のまま格差社会が改善されず、貧困層が増えていくと費用面で否応なく自然葬が増えていくように思えます。


 
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2016年08月14日
No.3468 ちょっと一休み その555 『宇宙人の高度文明 その3 人類を遥かに凌ぐ高度文明とは!』

4月7日(木)放送の「コズミックフロント」(NHKBSプレミアム)のテーマは「ついに発見!?宇宙人の高度文明」でした。

とても興味のある内容でしたので5回にわたってご紹介します。

 

2回目でご紹介したように、ロシア科学アカデミーの天文宇宙研究センター(モスクワ)のニコライ・カルダショフ所長は、地球外文明の進化の度合いを分類する、カルダショフ・スケールと名付けられた方法を考えました。

前回の繰り返しになりますが、尺度は文明が必要とするエネルギーの量で、それを3段階に分けます。

第一段階は、タイプ1の惑星文明、すなわち惑星レベルのエネルギー量で成り立つ文明です。

第二段階は、タイプ2の恒星文明、すなわち恒星規模のエネルギーを必要とする文明です。

そして、最終段階がタイプ3の銀河文明、すなわち銀河一つ分のエネルギーを丸ごと利用する高度な技術力を持った文明です。

そこで3回目は、人類を遥かに凌ぐタイプ2の人類を遥かに凌ぐ高度な文明についてのご紹介です。

 

超巨大なコロニーが現れました。

文明の主は故郷の惑星を離れ、宇宙空間で生活しています。

推進力はイオンエンジンのような電気推進システムです。

化石燃料などの天然資源は既に枯渇しているからです。

彼らが住んでいた惑星は今巨大な機械工場と化しています。

故郷の惑星から打ち上げられた小型衛星が向かうのは無数のパネルが並んでいる一画、光を吸収するパネルはそれぞれ互いの間隔を自動制御しています。

建造物は恒星を取り囲む巨大な規模のものになります。

パネルは光エネルギーを電気に変換、レーザービームでコロニーに送信します。

電力はコロニー内部の照明や食料の生産などあらゆることに利用されます。

このリングが謎の星の奇妙な現象を引き起こしている、科学者たちはその可能性を指摘していたのです。

 

宇宙空間で発電する技術は既に地球でも開発が進められています。

アメリカ海軍実験研究所(アメリカ・ワシントンD.C.)で開発担当のポール・ジャフィー博士は、宇宙太陽光発電システムの試作モデルを開発しました。

この装置は、主に2つに分かれています。

中央の太陽光パネルが上の照明の光で発電、それをマイクロ波に変換して下方向に送信します。

この装置はマイナス150℃の真空でも効率的に発電出来ることが実証されています。

現在、宇宙空間でのテストに向け準備が進められています。

理論では、宇宙空間でも24時間、365日休みなく発電します、

マイクロ波は雲を通り抜けるため、地球上のどこにでも電気を送ることが可能です。

しかし、技術的な問題を含め、課題は山積みです。

実用化の目途はまだたっていないのが現状です。

太陽をすっぽり覆うダイソン球となると、建設材料も全く足りません。

ジャフィーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ダイソン球のような壮大な建造物を作るなど想像すら出来ません。」

「巨大な太陽を取り囲むにはとてつもない原材料となるでしょう。」

「地球の物質全てをかき集めたとしてもほんの一部にしかならないはずです。」

「太陽系の全ての惑星を使ったとしても分かりません。」

「ですから、人類がタイプ2の技術を獲得するのは遥か未来、数千年は先のことになるでしょう。」

 

恒星の光を遮る巨大建造物として示されたダイソン球仮説、それは星の光エネルギーを丸ごと利用するために作られたというものでした。

現在、この仮説を検証するため世界中の望遠鏡が謎の星に向けられています。

この恒星の光を遮るものは何か、次はその正体を確かめる観測の最前線に迫ります。

 

一時的に極端に暗くなる謎の星、白鳥座のKIC 8462852、2015年12月、スピッツァー宇宙望遠鏡でこの謎の恒星を分析した結果が公表されました。

観測データを分析したアイオワ州立大学天文物理学科のマッシモ・マレンゴ教授が注目したのは謎の恒星の周囲の赤外線です。

マレンゴさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「天体を様々な波長で観測すると、その天体の温度が分かります。」

「恒星の周りに物体があれば温度が比較的低いため、強い赤外線を放射します。」

「それを捉えれば、可視光線では見えなくてもそこに物体があることが分かります。」

 

物質が恒星からの光に当たると熱を吸収し、物質自体の温度が上がると同時に熱が放射されます。

それが赤外線として現れるのです。

もし、原始惑星の残骸や小惑星があるのなら、温められた熱が赤外線としてデータに現れるはずです。

実は、スピッツァー宇宙望遠鏡は謎の恒星が極端に暗くなった時、たまたまこの星がある領域を観測していました。

恒星の周りは赤外線で明るくなっていません。

塵や岩石などが周囲に無いことを示しています。

マレンゴさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「通常を超えるレベルの赤外線が観測されなかったので、原始惑星の衝突や巨大な小惑星帯が原因である可能性は極めて低くなりました。」

「もし、それらが原因であるならば、赤外線で確認出来るはずです。」

 

人工建造物の場合も同じです。

赤外線で何も映っていないということは、熱を発する物質が無いということを意味するからです。

では、いったい恒星の光を遮ったものは何なんでしょうか。

マレンゴさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「有力なのは彗星です。」

「楕円軌道なので恒星の近くに来るとスピードを上げてすぐに遥か彼方へと遠ざかって行きます。」

「恒星の周囲に赤外線の痕跡を残さず、光を遮ることが出来るのです。」

 

彗星の場合、すぐに恒星から遠ざかるのでその痕跡が赤外線に現れることはありません。

更に、主に氷でできているため温度が低く、放出された塵もすぐに拡散してしまうため赤外線を放射することもありません。

 

一方で矛盾もあります。

恒星の光が20%以上も暗くなるには大量の彗星が前を通ることになります。

それは現実に起こり得ることなのでしょうか。

マレンゴさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私の提案した彗星説も徹底的な検証が必要です。」

「様々な観測データと一致するかどうか、今検証作業を進めているところです。」

 

更にその後、彗星説と矛盾する観測データが公表されました、

ハーバードカレッジ天文台の過去の観測データによると、謎の恒星は100年間で15%以上も暗くなっていたというのです。

同じ軌道を周期的に回る彗星ではうまく説明がつきません。

マレンゴさんは高度文明が建造したダイソン球という可能性も完全に否定されたわけではないと考えています。

マレンゴさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「出来ることは、私たちの知っているレベルの科学の枠組みで物事を考えることです。」

「ダイソン球を作るような我々の科学技術を遥かに凌ぐ文明なら、赤外線を出さずに恒星のエネルギーを利用する方法を編み出しているかもしれません。」

「だとしたら、今の私たちの科学では残念ながら観測不能です。」

 

マレンゴさんとは別な方法で奇妙な現象の正体を確かめようとしている研究者がいます。

カリフォルニア大学バークレー校SETIセンターの所長、アンドリュー・スィミオン博士です。

スィミオンさんは、連邦議会の公聴会で地球外知的生命について発言した研究者です。

スィミオンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「もし、恒星を取り囲む巨大構造物があるとすれば、そのようなものを建造出来る高度な文明を持つ知的生命がいることを示しています。」

「ですから、問題の恒星を電波望遠鏡で追跡調査し、巨大構造物とは別に文明が存在する証拠を直接見つけるのです。」

「高度な文明があるなら、他の惑星を植民地化しているでしょうし、他の惑星にいる仲間と連絡を取るために通信技術が発達していることも十分考えられます。」

「その文明が使っている電波信号を伝統的なSETIの技術を使って捉えるのです。」

 

グリーンバンク天文台にある電波望遠鏡で謎の星を追跡観測する予定です。

解析技術の進歩でドレイクさんの時より広い周波数を短期間で分析することが出来ます。

スィミオンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これまで観測されたものとは違う、何か説明がつかない異常な現象が見つかった時、私たち天文学者はそれがいったい何なのかをとことん理解しようとします。」

「我々はこれから電波望遠鏡を使って徹底的に調べ上げようと考えています。」

「しかし、それはあくまでも沢山ある手段の一つに過ぎません。」

「謎の星の奇妙な現象は地球外文明が築き上げた人工物が原因なのか、あらゆる方法を駆使して謎の正体に迫るのが科学の神髄です。」

 

謎の恒星の奇妙な現象が発見されてから3年あまり、なぜこれほど多くの研究者たちが真剣に議論を重ねているのでしょうか。

巨大建造物の可能性を最初に発表したペンシルバニア州立大学天文学科で形骸惑星を研究するジェイソン・ライト准教授は、結局地球外文明が確認されなかったとしても、天文学は一歩前進することになると考えています。

高度文明の存在を証明することではなく、謎の現象の原因を科学的に解明することが真の目的だからです。

ライトさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この謎の正体が稀に起こる自然現象であることが解明されたとすれば、私を含め研究者はほっとするでしょう。」

 

かつて同じような事例がありました。

1967年、イギリスの天文学者が宇宙からやって来た電波を受信しました。

この電波は常に同じ方角から同じタイミングでパルスを刻んでいました。

当時の研究者たちは宇宙人が発した信号なのではないかと考えました。

その後、様々な方法で電波の発生源を調査しましたがその結果、それまで理論でしか確認されていなかった中性子星が規則的に電波を発していたことが明らかになったのです。

ライトさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「謎があることは科学にとってとても良いことです。」

「それを解明しようと努力することを通して、多くのことを学ぶことが出来るからです。」

「この謎の恒星も中性子星のように詳しく研究すれば新しく科学的な知見を得ることが出来ると考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

結局、恒星の光を遮るものは何か、その正体についての解明は、それぞれの仮説に一長一短があり、道半ばのようです。

しかし、ライトさんのおっしゃるように、こうした謎の解明の研究を通して科学は進歩していくのです。

天文学に限らず、こうした人類の好奇心こそが文明の進化の強力な推進力となっていると思います。

しかし、残念ながら好奇心の向かうところは必ずしも人類に豊かさをもたらすばかりでなく、核兵器開発のように人類を滅亡へと追いやる可能性も秘めているのです。

 

ということで次回は、知的生命が高度な文明を築き上げることの困難さについてご紹介します。


 
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2016年08月13日
プロジェクト管理と日常生活 No.449 『東京湾の魚の6〜8割がマイクロプラスチックを保有している!?』

5月31日(火)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で海水中に残留するマイクロプラスチックの脅威について取り上げていたのでご紹介します。

 

東京農工大学環境資源科学科の高田 秀重教授は、東京湾の海水中に浮いているマイクロプラスチック(微細プラスチック)を採取し、人体への影響を調査しています。

東京湾多摩川河口で調査を開始、網を投入し、海の中にある異物を採取します。

およそ20分後、網を引き揚げてビーカーに移して見てみると、明らかに天然と違う白色や緑色のものがマイクロプラスチックで魚が間違えて食べてしまうといいます。

これまでの調査で東京湾の魚の6〜8割がマイクロプラスチックを保有していると推察されています。

 

もしマイクロプラスチックを含んだ魚を食べると人体に影響はあるのかについて、高田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「プラスチック自体は人間の体に溜まるわけじゃないんで、やがて排出されてしまいますので、それ自体を問題にする必要はないと考えています。」

「(しかし、プラスチックは海の中の有害物質を吸着しやすいため、魚が食べてしまうと有害物質が魚の脂肪に溜まると考えられていることに対して、)現状では量的には少ないんですけど、将来プラスチックの量が増えた場合には、人への影響も考慮する必要があると考えています。」

「免疫力が低下して、風邪をひきやすくなるとかいろいろな感染症にかかりやすくなるとか、そういうようなことが起こり得ることとして考えられます。」

 

今のところ微量なので人体に影響が出るということはありませんが、今後マイクロプラスチックの量が増加すると、人にも影響が出る可能性があるといいます。

 

更に、九州大学の研究によると、日本近海には世界平均の27倍の量のマイクロプラスチックがあると見られています。

マイクロプラスチックが日本近海に多い理由について、一つは海や川に捨てられたプラスチックごみの影響、このごみが海に流されるうちに細かくなり、マイクロプラスチックへと変わっていくのです。

 

そしてもう一つは、中国などから流れてくるごみです。

去年発表されたデータによると、海洋に流出されたプラスチックごみの量(2010年の1年間)は以下の通りです。(アメリカ・科学誌「サイエンス」2015年2月発表より)

1位 中国     132万〜353万トン

2位 インドネシア  48万〜129万トン

3位 フィリピン   28万〜 75万トン

 

こうしたプラスチックごみが中国や東南アジアから流れている海流に乗って日本を覆い込むように流れてきているというのです。

押し寄せるプラスチックごみ、半永久的に海に残り回収も難しいため、海に増え続ける一方です。

 

この対策について、高田さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「削減(Reduce)、再利用(Reuse)、リサイクル(Recycle)、この3Rを進めることが海のプラスチックごみの削減にもつながる有効な手段だというふうに考えられます。」

 

世界の海には5兆個のマイクロプラスチックが漂っていると言われ、今世界的な課題となっています。

こうした中、マイクロプラスチックの一種で、一部の洗顔フォームや歯磨き粉などに配合されているマイクロビーズ(直径0.001〜0.5ミリ)を世界各国で規制する動きが見られ、昨年12月にはアメリカで製造・販売を禁じる法案が可決されました。

オーストラリア、イギリス、カナダなどでも同じような法案が今検討されているといいます。

当然、日本でも真剣に検討していくべき課題です。

そこでネット検索したところ、今年3月に日本化粧品連合会が洗い流しのスクラブ製品におけるマイクロビーズの使用禁止に向け自主規制を開始したといいます。

 

以上、番組の内容を中心にご紹介してきました。

今のところマイクロプラスチックは人に無害のようです。

しかし、マイクロプラスチックは半永久的に海に残り回収も難しいため、海に増え続ける一方だといいます。

ということは、今のうちに適切な対策を実施しないでいると何十年後か何百年後には世界中の海で有害物質が脂肪に溜まる魚が蔓延し、私たちはこうした魚を食べることが出来なくなってしまいます。

同時に、魚をよく食べている人たちの中には体に異変を感じる人が出てくるかもしれません。

こうした事態が現れてしまっては後の祭りで、元の状態に戻すまでにとれだけの期間がかかるか分かりません。

もしかしたら、対策が効を奏すよりも先に沢山の魚が絶滅状態になってしまうかもしれません。

魚が食生活にしっかりと根付いている日本人にとってはこうした事態はたまらなく悲しいことです。

 

ここで思い出されるのは、以前アイデアよもやま話 No.3079 かつての日本は公害先進国だった!でもご紹介した公害病の水俣病やイタイイタイ病、そして光化学スモッグのことでした。

水俣病やイタイイタイ病は特定の企業が垂れ流した有害物質が原因で発生しました、

ですから、特定の企業が対策を講じれば解決出来ます。

しかし、光化学スモッグは運送業のトラックやタクシーだけでなく不特定多数の一般ドライバーが運転する自動車の有害な排気ガスが原因で発生していたのです。

この光化学スモッグと同様に、海中のマイクロプラスチックの増加は私たちが普段の暮らしの中で垂れ流している一部の洗顔フォームや歯磨き粉など、あるいは海や川に捨てられたプラスチックごみが原因なのです。

ですから、私たちは無関係ではいられないのです。

 

では、海中のマイクロプラスチックの増加問題に対して、私たちにはどのような対策が打てるでしょうか。

それは、高田さんのおっしゃるように、削減(Reduce)、再利用(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3Rを進めることだと思います。

更に、根本的な対策としては、プラスチックメーカーが今のように半永久的に海に残り回収も難しいプラスチックではなく、海中に限らずどこに存在してもいずれ分解されて無害な状態になるようなプラスチックを製造することです。

また、プラスチックの代替製品の開発という手段もあります。

そうした方向性の下に、政府はこうしたプラスチック、あるいは代替製品の研究開発の支援や従来のプラスチックの使用禁止法の制定が求められるのです。

 

私たちの多くはふだんプロジェクト管理の考え方など意識して暮らしていないと思います。

しかし、海中のマイクロプラスチックの増加に伴い、将来魚が食べられなくなるリスクに対しては多くの日本人は無視していられないと思います。

将来にわたって世界中の人たちが魚を食べ続けられるように、私たちはふだんから3Rを実行することがこのリスク対応策となるのです


 
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2016年08月12日
アイデアよもやま話 No.3467資本主義のルールが変わる時 その5 欲望の果てに!

地球環境問題や化石燃料などの資源の枯渇問題に関心を持ち始めるようになってから、消費が成長エンジンである資本主義のあり方に疑問を感じるようになりました。

そうした中、5月28日(土)放送の番組(NHK総合テレビ)で「欲望の資本主義 〜ルールが変わる時〜」をテーマに取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

5回目は、欲望の果てについてです。

 

アダム・スミスは、知る由もなかった現代、技術が更なる欲望を駆り立てています。

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(今、技術のイノベーションがシェアエコノミーの基盤を変えようとしているが、テクノロジーがなければUber(ウーバー)など新しい市場は生まれなかったはずであるという指摘について、)新しい技術が多くの分野で社会に影響を与えてきたのは明らかだ。」

「実際、とても大きな利益も生まれているだろう。」

「しかし、そこで気を付けねばならないのは、利益が大きく、取引が拡大したからと言って社会にも価値があると考えるのは危険だ。」

「心配なのは働く人々の扱いだ。」

「そうした新しいプラットフォームが労働者の組織力を害してしまったとしても、仕事が減るだけでなく、長い目で見ると賃金も下がり続けていくだろう。」

「まさに市場を独占するからだ。」

「今はそれほどでもないが、労働市場にもルールを適用したい欲望は強大だ。」

 

投資銀行の元ゴールドマン・サックス社員で、2013年にベンチャー投資銀行、シェルバ・キャピタルを設立し、そのCEOであるスコット・スタンフォードさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「型通りな言い方だが、今回は今までとは違う。」

「単に経済に衝撃を与えるに留まらない。」

「僕らクレイジーな奴らは本当に思っているよ。」

「今僕らが目指している変化は人類という種の進化の瞬間だと。」

「自動運転技術はここでもすごく話題だ。」

「イーロン・マスク(シリコンバレーの起業家)が言ったこんなことも想像出来るんじゃないかな。」

「「自分で運転することが違法になる日が生きている間にやって来るだろう」って。」

「(人が運転するのは)安全じゃないから。」

「人の脳は多くのことを考え過ぎるからエラーが起きちゃうよね。」

「イーロン・マスクが正しかったと仮定して話を進めると、そんな未来の高速道路では「おい、人間が運転するならこの車線には入るな!」なんてね。」

「道に駐車する車なんてなくなるよ。」

「自動運転車は常に走り回るからね。」

「Uber的な効率化よりも更に進んだ自動化が導入されたら労働コストがなくなって、サービスは正当な価格になるだろうね。」

 

これに対して、ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「シリコンバレーでのイノベーションの価値を測るのは本当に難しい。」

「彼らは社会の転換を促すものだと言うが、マクロ経済学の統計を見ても、生産性の向上は認められないんだ。」

「つまり、「我々の測定方法が間違っている」か「誇大広告」かどちらかだろう。」

 

また、スタンフォードさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(新たなテクノロジーによって資本主義は変わっていくのかという問いに対して、)今、資本主義経済が大変化に直面しているのは疑いようがない。」

「労働を基本としたシステムから高度に自動化されたシステムへの移行だ。」

「僕らは昔ながらの経済指標に足止めされるわけにはいかない。」

「雇用率や生産性など、成功の証しとされているものだ。」

「いつの日か、失業率は30〜40%にもなるだろうが、そんなに悲観することでもないかもしれない。」

「もし人口の半分が働かなくてよくなったら、今とは別の社会システムが必要だ。」

「なぜなら資本主義は学生と退職者以外は人の労働に基づくシステムだからね。」

「でも二人に一人が働かなくなったら、答えは分からない。」

「社会主義ではないだろうけどね。」

「過去に様々な社会システムの事件があったけど、それらがハイブリッドされた新しいシステムが誕生するかもしれない。」

「(資本主義が自動化された新しいシステムに変わっていくのではという指摘に対して、)そう、歴史を振り返って、モデルAとモデルBとどちらがいいか?なんていう議論は止めにしたい。」

「ものの見方を変えたら、新しい景色が見えるんじゃないかな。」

 

「何に満足を感じるかは人それぞれだよね。」

「お金はその一つだろうけど、名声を得ることが生き甲斐の人も多い。」

「人からの「いいね」を沢山欲しがるのは自然なこと。」

「だからFacebookやInstagramが「好かれたい」欲望をお金に換え大成功している。」

「社会へのインパクトを測るような新しい“通貨”が生まれたら面白いだろうね。」

「夢見がちでクレイジーに聞こえるかもしれないけど、そんな風に人々の“声援”を集めた人が報われるような社会になれば、自己満足に終わるのではなく、人間ってそういうものなんじゃないかな。」

「人々を動機づけるクリエイティブな方法が生まれればいいと思うよ。」

 

経済学の父、アダム・スミスは「国富論」の前に1冊重要な書を表しています。

「道徳感情論」(1759年)の中で、次のように唱えています。

「人間がどんなに利己的だとしても、その本性の中には何か別の原理がある。」

 

彼は利己的な競争の他に社会にはもう一つのルールがあることを気付いていたのです。

チェコの経済学者、トーマス・セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アダム・スミスの書には困惑させられる。」

「「国富論」では、“社会を接着するのに必要な「糊」は自己利益、それだけで十分だ”と言っている。」

「しかし、もう一冊では全く反対のことを言っている。」

「「道徳感情論」の一行目でこう言う。」

「“人は何も得しなくても他人に対して善行を施す性質を持っている”、完全に分裂している。」

「社会の「糊」は「共感」というわけだ。」

「確かに私たちは赤の他人に対しても苦しんで欲しいとは思わない。」

「挨拶は“どうぞ良い1日を”だよね。」

「人はお互いの幸せを望み合うっていうことの証しだ。」

「まさか“どうぞ悪い日を”とは言わないよね。」

「ここにこそアダム・スミスに対する誤解がある。」

「アダム・スミスは「社会には2本の足がある」と言ってるんだ。」

「一つは「利己主義」、もう一つは「共感」だ。」

「もし片足だけで立とうとすれば、何か大事なものを失うことになるだろう。」

 

「アダムとイブが禁断の果実を口にした後、彼らは葉っぱで体を覆ったという。」

「それは人類の最初の所有だった。」

「それがなぜ必要だったのか?」

「寒かったからか?」

「そうじゃない、「恥ずかしかったから」だ。」

「消費・所有は心理学とつながっている。」

「アダム・スミスは「経済学は数字を用いる物語」だと気付いていた。」

「数字によって説得力が増したりもするが、あくまでも「物語」なのだ。」

「欲望は満たされ得ないもの、私たちはそれに気が付かなくてはいけない。」

 

人口約2.5億人で世界4位のインドネシアで、日本やシリコンバレーから巨額の出資を受けるインドネシア最大のマーケットプレイス、トコペディアを運営するCEOのウィリアム・トラヌジャヤさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「スマトラ島北部の小さな町で生まれ育った。」

「誰にでも貧しい人にもチャンスがある。」

「インターネットは事業を大きく成長させるとてもパワフルなテクノロジーだ。」

「いい車を、いい家を、素敵な服、美味しい食事、・・・」

「経済が成長すれば、消費への欲望が増すのは自然なことです。」

 

欲望の資本主義、楽園を追放された人々は欲望なくして生きられない、次なる禁断の果実は何か、ルールは密かに書き換えられていきます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

私たちの欲望には限りがありません。

どんなに豊かになってもやがてその生活に慣れてしまい、新たな欲望が生まれ、それを欲しがるようになります。

これは人間の本性ではないでしょうか。

そして、こうした飽くなき欲望の対象はモノだけに限りません。

人はある目標を達成すると、更にその上の目標に向かって取り組んだり、別な何かをに新たな目標にして取り組み始めます。

こうした物的、あるいは精神的な対象に飽くことなく挑戦し続けることがテクノロジーや文化、芸術などの発展につながってきたし、これからも人類が存続する限り続くのです。

 

さて、ステイグリッツさんのおっしゃるように、テクノロジーの進歩がUberなど新しい市場を創造するのですが、利益が大きく、取引が拡大したからと言って社会にも価値があると考えるのは危険です。

AIやロボットなどがあらゆる産業に投入されることにより、こうしたテクノロジーと人との仕事の奪い合いが行われていきます。

要するに、企業はコストの安い方を採用するという経済原原理が働き、働く機会、および賃金の両面でAIやロボットなどにより人は知的にも肉体的にも雇用面で失業のリスクにさらされていくのです。

 

そこで、アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!でもお伝えしたように、資本主義はこれまで新たな問題が起きるたびに修正が加えられ、進化してきました。

ですから、スタンフォードさんのおっしゃるように、もし人口の半分が働かなくてよくなったら、今とは別の社会システムが創出されてくるはずです。

例えば、現在でも機械化がほとんど普及されていない開発途上国では、多くの子どもたちが畑仕事など家事の手伝いをさせられて学校に通うことが出来ないといいます。

しかし、産業が発達し、親が工場などで務められるようになったり、あるいは農機具を使うことが出来るようになって農作業の生産性が向上してくれば、子どもの手を借りる必要がなくなり、登校出来るようになるわけです。

同様に、もし人口の半分が働かなくてよくなったら、これまでの人類の対応からすると一日の労働時間を3,4時間以内に規制して働く機会の均等を図った、これまでの資本主義や社会主義といった枠に縛られない新たな社会システムを構築したり、あるいは最先端のテクノロジーを活用した新たなサービス業を考え出して新たに働く場を作り出したりなどするはずです。

 

また、経済原理は地球温暖化や環境破壊、あるいはエネルギーの枯渇などにも影響を与えます。

卑近な例では、原油価格が安くなれば自動車を使う機会が増えてガソリンの消費量が増え、その分CO2の排出量が増えます。

それが地球温暖化に悪影響を及ぼすわけです。

逆に、原油価格が高くなったり、あるいは景気が悪くなればガソリンの消費量が減り、その分CO2の排出量が減ります。

それが地球温暖化に良い影響を及ぼすわけです。

 

では、私たちの飽くなき欲望を追求するための諸々の活動に伴う資源の消費と、地球温暖化問題、環境破壊問題、および化石燃料を中心とした資源の枯渇問題を同時に解決する方策はあるのでしょうか。

あります。                                                               

それは、地球温暖化問題、環境破壊問題、および化石燃料を中心とした資源の枯渇問題への影響を最小限にする、すなわち“持続可能な社会の維持”という大前提で私たちの飽くなき欲望を追求するということに尽きると思います。

ただし、この大前提の個々については不変ではありません。

省エネや再生可能エネルギー、あるいは化石燃料を代替する再生可能な資源の発明などのテクノロジーの進歩とともにその制約を軽くしていくことは可能なのです。

ですから、人類が本能的に持っている飽くなき欲望の追求を自らうまくコントロールして“持続可能な社会“を実現させることこそが、完全に解放された欲望の飽くなき追求を存分に可能にする状況を作り出せることにつながるはずなのです。

 

さて、ここで付け加えることがあります。

“持続可能な社会“とは、モノが枯渇しないことや地球環境の維持に限らず、人々の暮らしの安定した社会の維持も含まれます。

そのためには、世界的に平和であることや格差のない社会であることが求められます。

いくらモノや地球環境面で“持続可能な社会“が実現出来ても、核戦争が勃発してしまっては一巻の終わりです。

また、収入の格差が大きくなり過ぎれば、いずれ暴動や革命が勃発して社会不安をもたらすからです。

 

こうした方策を実現させるためのルールこそが資本主義の新たなルールであり、遅ればせながら今が新たなルールに変える時なのです。


 
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2016年08月11日
アイデアよもやま話 No.3466資本主義のルールが変わる時 その4 幻想が幻想を生む!

地球環境問題や化石燃料などの資源の枯渇問題に関心を持ち始めるようになってから、消費が成長エンジンである資本主義のあり方に疑問を感じるようになりました。

そうした中、5月28日(土)放送の番組(NHK総合テレビ)で「欲望の資本主義 〜ルールが変わる時〜」をテーマに取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

4回目は、幻想が幻想を生むことについてです。

 

思想、そして技術が欲望を解放し、資本主義は成長が欠かせないシステムへと変貌しました。

チェコのCSOB銀行のマクロ経済チーフストラテジストであるトーマス・セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ここ(東京証券取引所)は「何処でもない国」のようだ。」

「ある意味、ここで日本経済の価値が決まっている。」

「市場関係者の「アゴラ」(広場)はもう移動したんだ。」

「「見えざる」デジタル空間にね。」

「ここには何もないが、全てが「ある」。」

「株式市場は実在する。」

「だが、お金はもはやモノのかたちをしていない。」

「今や、お金は精神的な同意事項なのだ。」

「この劇場の役者と役者をつなぐ・・・」

「そもそも僕らの欲望はバーチャルなものなのだ。」

「ピカソの絵が欲しいって?」

「高額な理由は、ピカソの絵そのものにはない。」

「信頼出来る専門家がそれがピカソの絵だと認証するから高額なんだ。」

「つまり、人々の同意の問題なんだ。」

あるモノの価値が宿るところは、投じられた労働や物質ではない。」

「それを買いたいという「欲望」にこそ価値は宿る。」

 

需要と供給の交わりで市場は動く、そんな世界は幻想だったのでしょうか、

人々の欲望が渦巻く中、増幅される社会のねじれ、20世紀、大衆の時代に大胆な経済理論を打ち出した男がいました。

稀代の経済学者、ジョン・メイナード・ケインズ(1883〜1946)です。

彼は、次のような一風変わった美人コンテストを例に引き、大衆心理の本質を言い当てました。

「最も美人だと思う人に投票して下さい。」

「ただし、賞金は最も票を集めた女性に投票した方々に差し上げます。」

 

この時、何が起きるのでしょうか。

セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自分は他の人の投票先を予想しているんだが、他の誰かが予想していて、また別の誰かが・・・」

「これは一種の「無限ゲーム」で、自分の好みを選んでいない。」

「僕は他人の好みを予想しているのだ。」

「ここには多くの・・・」

「本当に多くの意味が含まれている。」

「一つ目は、ズバリ「株式市場」の本質を言い当てていること、私が「投票」する会社は自分が好きな会社ではなく、沢山の人が「好きであろう」会社だ。」

「次は、よくあることだね。」

「誰の好みでもない女の子が優勝する。」

「そして、投票する人は“固定観念”を用いる。」

「最も有利な戦略は、女性ではなく審判員たちの顔を見ることだからね。」

「固定観念は未来にわたってずっとこだましていく。」

「誰の好みでもない女性が選ばれても、もう誰も止められない。」

 

「(これはサブプライムローンのことも言い当てているのではないかという指摘に対して、)そうだね。」

「悪質なローンを組み合わせて作った乗り物だったね。」

「みんなシステムを信頼していたけど、機能しなかった。」

「ある意味、どんなに神話的で観念的かが分かるだろう。」

「一見、数学的で分析的だと見える経済の分野がナンセンスで無根拠な虚空のようだね。」

 

自分の欲しいモノではなく、他人が欲しいモノを予想し、模倣し合う、欲望が行き着いた錯綜する世界なのです。

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(経済学者はバブルなど市場危機を避けることに貢献出来るかという問いに対して、)まず言いたいのは「悪事は働くな」、「害をばらまくな」ということだ。」

「2008年のリーマンショック以前、経済学者たちは莫大な損害をもたらした。」

「多くの経済学者・・・」

「“他の”多くの経済学者がと言っておこうか、自由放任市場が万能だと売りまくっていた。」

「「市場は自己調節機能があるから、バブルなんて心配するな、市場を信じよ」ってね。」

「「自己利益の追求」・・・」

「経済学者が「インセンティブ」と呼ぶものは、現代の市場経済では確かに中心にある考え方かもしれない。」

「しかし、アダム・スミスは間違っていたことが分かった。」

「「自己利益の追求」・・・、時には「強欲」が「見えざる手」によって社会全体の幸福を導くと言うが、「見えざる手」はいつも見えない、そんなものは存在しないからだ。」

 

2012年のノーベル経済学賞受賞者で、スタンフォード大学教授のアルヴィン・ロスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「「見えざる手」は単なる概念だ。」

「“市場の魔法”は魔法では起こらない。」

「市場には必ずルールがある。」

「そのルールは誰か一人が決めたわけではなく、歴史の中で磨かれてきたものだ。」

「「自由」市場は、ルールからの「自由」を意味しない。」

「競争、協力、取引・・・、「自由」に市場を使いたいなら、ルールがそこにあるはずだ。」

「経済学者たちもいかに市場を有効に使うか、分かり始めたばかりなんだ。」

「特に誤りを正しながら、更に良きルールを見つける手助けも出来るだろう。」

 

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「21世紀の現在と18世紀では経済の様子は全く違う。」

「あまりにも多くの経済学者が「経済学の父」アダム・スミスに頼り過ぎている。」

「自己利益の追求が「見えざる手」に導かれ、社会全体の幸をもたらすという理論・・・」

「彼がそのことを書いていたのは、資本主義が本格的に走り出す前の話だ。」

「確かに彼は素晴らしいアイデアをくれたが、巨大企業など生まれる以前の話だ。」

「東インド会社など、いくつかの大企業はあったが、それは貿易会社であって、今あるような製造業は一つもなかった。」

「アダム・スミスが経済の行く末まで理解していたと思ってはいけない。」

「彼に現代の資本主義の姿など分かったはずもないのだから。」

「アダム・スミスが利益の追求という人間の欲望を見抜いた洞察はすごいが、私たちが現代の資本主義を理解しようとするならば、イノベーションが経済に果たす役割こそ考えねばならない。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

アダム・スミスがその著書「国富論」の中で唱えた「見えざる手」はあまりにも有名ですが、

その「見えざる手」は幻想に過ぎないと言わざるを得ない状況が続いています。

古くは1929年の大恐慌、そして2008年のリーマンショックは、世界的に壊滅的な打撃を与えました。

そして、リーマンショックの後遺症はいまだに残っております。

また、日本国内でも食品に関わる様々な不正や自動車の燃費不正問題などが後を絶ちません。

 

本来、「見えざる手」が有効に働いていれば、大恐慌やリーマンショックなどは起きなかったはずなのです。

ステイグリッツさんは、「見えざる手」が現在有効に機能しない背景として、資本主義が本格的に走り出す前の状況を前提にしており、21世紀には当てはまらないとおっしゃっています。

それに加えて、アダム・スミスが「見えざる手」を唱えた前提条件として、個々の事業に取り組む経済人は性善説に立って行動するという前提で論理を展開していたのではないかと思います。

一方では、イノベーションが経済発展の大きな推進力になっています。

ですから、イノベーションが起きやすい環境づくり、およびリーマンショックのような不正を事前に抑えられるようなルールづくりが求められるのです。

そして、こうした対策は経済環境などの変化に合わせて継続的に取られなければならないのです。

 

ということで、次回は、欲望の果てについてご紹介します。


 
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2016年08月10日
アイデアよもやま話 No.3463資本主義のルールが変わる時 その3 魔術の誕生!

地球環境問題や化石燃料などの資源の枯渇問題に関心を持ち始めるようになってから、消費が成長エンジンである資本主義のあり方に疑問を感じるようになりました。

そうした中、5月28日(土)放送の番組(NHK総合テレビ)で「欲望の資本主義 〜ルールが変わる時〜」をテーマに取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

3回目は、資本主義の魔術の誕生についてです。

 

お金は時を超え、時がお金を生む、この錬金術をなぜ人は欲望したのでしょうか。

チェコのCSOB銀行のマクロ経済チーフストラテジストであるトーマス・セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「西洋の古い書物を読んでみると、実に皮肉で興味深いんだが、必ず利子について論じられている。」

「聖書、ヴェーダ(ヒンズー教の経典)、コーラン、アリストテレス、否定的な感情とともに(利子について論じている)ね、なぜかは分からない。」

「歴史を振り返ると、利子は“禁断の果実”だった。」

「富をもたらす一方で、問題を引き起こしてきた。」

 

利子、それは未来の利潤のため休むことなく人を働かせます。

これも“禁断の果実”なのです。

そこには、ある男の欲望がありました。

14世紀、イタリアのフィレンツェで、メディチ家の始祖、ジョバンニ・メディチはある商人からロンドンで商売をする資金として100フィオリーニという大金を貸して欲しいという申し出を受けました。

教会が目を光らせているので利子を取るわけにもいかず、悩みましたがあるアイデアが閃きました。

フィレンツェとロンドンの為替レートの違いを利用すればいいというのです。

商人に100フィオリーニ貸して、ロンドンの通貨である4000ペンスに両替させる、そしてその後ロンドン支店で4000ペンスを返済させ、両替すれば111フィオリーニを得ることになる、この種の取引を重ねて莫大な利益を得たのです。

 

お金は時だけでなく、空間の差を利用して無限に増殖していくことになります。

アリストテレスは、かつて次のように指摘しています。

「貨幣は元々交換のための手段であるが、次第にそれを貯めること自体が目的化した。」

 

昨日より今日、今日より明日、増え続ける欲望、その欲望を正当化し、免罪符を与えた男がいます。

経済学の父、アダム・スミス(1723〜1790)です。

それぞれが自らの利益を求めれば、“見えざる手”によって社会全体も富み栄える、その理論は人々の欲望を肯定したのです。

 

2012年のノーベル経済学賞受賞者で、スタンフォード大学教授のアルヴィン・ロスさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(そもそも資本主義の推進力は何かという問いに対して、)市場の最大の機能は、誰が何を欲しがっていて、誰が何を持っているか全ての情報を集めることだ。」

「供給と需要が一致することで、魔法のように価格が決まる。」

「その難しさは、情報を得て計画することなど、誰にも出来ないことにある。」

「なぜなら、情報は多くの人々に拡散するものだからだ。」

「そしてまた、情報が市場に集まることで最適な結果が生まれる。」

「(世界の利子率は下がり続けてマイナス金利の国もあり、資本主義の終わりの兆しを語る人もいる状況について、)資本主義の死を宣言するのは早計だ。」

「資本はリターンを得続けているよ。」

「シリコンバレーに住んでいるんだが、多くのビジネスが集まっているのは今も新しい会社が利益を上げているからだ。」

「もしマイナス金利が続いたとしても、新しいかたちの金融取引が発展し、金融機関の資本はリターンを得られ続けるだろう。」

 

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「市場とは、ある日誕生したのではなく、進化し続けてきたものだ。」

「何千年も前の市場経済は、とてもシンプルなものだっただろう。」

「私が思う大変化は産業革命だった。」

「資本主義は科学と技術を両輪としている。」

 

「このダイナミズムによって人々が農作物を市場で買ったり、女性が家で編み物をしていたような原始的な市場経済からより大規模な会社ほど有利で経済規模を拡大出来ることになった。」

「そして、イノベーションが駆動する経済だ。」

 

投資銀行の元ゴールドマン・サックス社員で、2013年にベンチャー投資銀行、シェルバ・キャピタルを設立し、そのCEOであるスコット・スタンフォードさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私たちはより効率化する方法を常に探しているんだ。」

「経済学でいうところの生産性だね。」

「労働力が変わらないのに成果物は増える。」

「そして、利潤、成長、波及、創造的破壊を追求する。」

「いかにして効率的な進化がなされない古い産業を駆逐するか、市場を取れ、需要と供給が働き合って、加速して規模の効果が働いて新旧交代が起こる、それがイノベーションだ。」

「そして、消費者をハッピーにするんだ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

資本主義は、利子という概念の創造による貯蓄、および貯蓄された資金の貸し付けにより利潤を生み出すビジネス、あるいは為替の変動を利用したビジネスを生み出してきました。

そして、このようなダイナムズム、およびこうして得られた多額の資金を元手にテクノロジーや革新的なアイデアを駆使したイノベーションの結果、企業の新旧交代が図られ、経済が活性化され、富の増大につながっていくわけです。

 

ということで、次回は、幻想が幻想を生むことについてご紹介します。


 
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2016年08月09日
アイデアよもやま話 No.3463 資本主義のルールが変わる時 その2 成長は至上命題なのか!

地球環境問題や化石燃料などの資源の枯渇問題に関心を持ち始めるようになってから、消費が成長エンジンである資本主義のあり方に疑問を感じるようになりました。

そうした中、5月28日(土)放送の番組(NHK総合テレビ)で「欲望の資本主義 〜ルールが変わる時〜」をテーマに取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

2回目は、成長は至上命題なのかについてです。

 

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「経済成長について話す時は、「成長」の意味をはっきりさせないといけない。」

「GDPは経済力を測るにはいい指標とは言えない。」

「環境汚染、資源乱用を考慮に入れていないし、富の分配も社会の持続性も考慮されていない。」

「問題だらけだ。」

「経済における成長の本質をこの先変えていくべきだと強く思っている。」

「既に明らかなのは、物質主義的経済、天然資源をじゃぶじゃぶ使ってCO2を大量に排出するようなことは持続不可能ということだ。」

「もうそのような成長は成し得ない。」

「他のかたちの成長がある。」

「まだまだ繁栄は出来るし、新たなイノベーションを生み出せるはずだ。」

「(その変化を起こすには何が重要かという問いに対して、)政府の政策が必要だ。」

「テクノロジーやインフラや教育にもっと投資をしないといけない。」

「地球の気温を2℃も上昇させてしまったことで、多くの投資が必要になっている。」

「経済を整え、新エネルギーに移行し、都市構造を変える、」

「私たちには巨大なニーズがあるはずだ。」

 

投資銀行の元ゴールドマン・サックス社員で、2013年にベンチャー投資銀行、シェルバ・キャピタルを設立し、そのCEOであるスコット・スタンフォードさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「Uber(アイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!参照)への投資がきっかけで、今の会社の共同創業者と出会った。」

「立ち上げのかなり早い段階で投資をした。」

「ごく小さい会社だったが、アイデアに魅力を感じた。」

「テクノロジーは経済を活性化するか、雇用を奪うだけか、そういうことは考えていない。」

「そういう心配をするのは僕たちの仕事じゃない。」

「僕たちは5億ドルを運用している。」

「そのお金は僕たちのお金ではなくて出資するパートナーたちのものだ。」

「彼らは自らの資本を僕らの投資に委ねてくれている。」

「僕らに収入があるのは、投資がリターンを生んだ時だけだ。」

「資本金をコントロールするボスがいるのさ。」

「(ゴールドマン・サックスに勤務していた時と比べて、投資の戦略や考え方で違いはあるかという問いに対して、)面白い質問だね、考えたこともなかった。」

「はっきり言えることは、全ての仕事は資本主義システムの中にあるんだよ。」

「そもそもゴールドマン・サックスでも今の会社、シェルパ・キャピタルでも目的は同じだ。」

「短期間でお金を稼ぐこと。」

「ただ、今は常に新たなビジネスのアイデアを考えている。」

「誰かの起業を手助けするだけでなく、時には自分たちで新しい会社を立ち上げる。」

 

投資すれば増えて返ってくる、そんな資本主義のセオリーですが、いつでも通用するわけではありません。

ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(利子率は増々低くなってきており、もう投資も成長も見込めないという見方についての問いに対して、)ケインズを始め、多くの近代経済学者たちは利子率の役割、調整機能を強調し過ぎた。」

「利子率より重要なのは、借り入れのための“信用”だ。」

「低い利子率は不況を招いている政策の結果に過ぎない。」

「テクノロジー、インフラ、温暖化対策に投資すれば利子率なんてすぐ上がるさ。」

 

また、チェコのCSOB銀行のマクロ経済チーフストラテジストであるトーマス・セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「クルーグマン(経済学者)の主張で同意出来ないことがあるんだが、彼の主張は「低い利子率で借金すれば、経済が好転して借金が返せるようになる」、真ん中の分を抜いたらどうなると思う?」

「違う意味が見えてくるよ。」

「低い利子率で借金すれば、借金を返せるようになる。」

「これは銀行員だったら警報ものだよね。」

「危険過ぎる。」

「火で火を消そうとするようなものだよ。」

「ナイフや火のようなものだ。」

「コントロール出来る代物じゃないんだ。」

「利子率っていうのは、どう扱っていいものか本当に分からないものだ。」

「どんなにいい投資でも、高速道路、大学、研究機関とかを作ったとしても、お金は必ず返さないといけない。」

「教育レベルが高くて、優秀な経済学者が沢山いて、大きな潜在力を持っている日本のような国でも借金を返せずに苦労している。」

「文明社会は“安定”を売り払ってしまった。」

「そして、無理に“成長”を買っている。」

「僕らはいつもではなくとも時々成長をもたらす経済を作り出したが、今は崩れかかっている。」

 

「(人々の成長への期待が膨らみ、利子という概念が広まったことは成長資本主義のそもそもの起源であり、人々の考えを変えたのかもしれないという指摘に対して、)その通りだと思う。」

「利子率は少しアルコールに似ている。」

「どちらもエネルギーをタイムトラベルさせることが出来るから。」

「金曜日の夜にお酒を飲んでいると、突然歌い出したり。」

「ほら、この国(日本)は「カラオケ」好きの国だろう?」

「お酒が入っていると歌いやすいよね。」

「「この溢れるほどのエネルギーはお酒が与えてくれたものだ」って思うかもしれないが、ノーだ。」

「それは間違いだ。」

「お酒がエネルギーをくれるわけじゃない。」

「お酒がしたのは、土曜の朝のエネルギーを金曜日の夜に移動させただけだ。」

「二日酔いは間違いなく翌日に来るが、お金は40年も50年も時を超えることが出来る。」

「こんな風に危機につながったりするんだ。」

「エネルギーが消えてしまうのだ、本当に必要な時に・・・」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

かつては、より効率よく、より短期間でお金を稼ぐ資本主義経済システムの論理は、人々の豊かさを追求するうえでとても有効に機能してきました。

しかし今や、より効率よく、より短期間でお金を稼ぐ資本主義経済システムの論理だけでは社会システムそのものがいずれ破綻してしまうことは明らかになってきました。

成長こそが至上命題とは言えない状況なのです。

 

では、どのような要件を満たしつつ、経済成長を目指すべきなのでしょうか。

番組の内容を参考にしつつ、私の考える要件について以下にまとめてみました。

・地球環境やエネルギーの問題解決とバランスを取った経済成長を目指すことにより、持続可能な社会を維持すること

・格差社会を抑制するための富の分配システムを整備すること

・後の世代に経済的に過度な負担をかけないようにすること

・こうした要件を満たすために、政府は政策や法令などにより環境整備を図ること

 

ということで、次回は、資本主義における魔術の誕生についてご紹介します。


 
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2016年08月08日
アイデアよもやま話 No.3463資本主義のルールが変わる時 その1 資本主義の現状!

地球環境問題や化石燃料などの資源の枯渇問題に関心を持ち始めるようになってから、消費が成長エンジンである資本主義のあり方に疑問を感じるようになりました。

そうした中、5月28日(土)放送の番組(NHK総合テレビ)で「欲望の資本主義 〜ルールが変わる時〜」をテーマに取り上げていました。

そこで、5回にわたってご紹介します。

1回目は、資本主義の現状についてです。

 

ヒトとモノの間をお金が行きかい、際限なく膨張してきた資本主義経済システム、より速く、より遠くへより良いモノを、飽くなき欲望が加速する世界、市場の論理に全てが覆われ、一瞬先が予測不能なこの世界、消費、成長、富への欲望、私たちはどこへ向かうのでしょうか。

 

資本主義、それはお金、資本を際限なく投じ、増殖を求めるシステムです。

2001年のノーベル経済学賞受賞者で、コロンビア大学教授のジョセフ・ステイグリッツさんは、経済学の父と言われるアダム・スミスは間違っていたと指摘し、もう一度ルールを書き換えるべきであると唱えております。

ステイグリッツさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(今、多くの国が低成長に苦しんでいるが、それでも世界経済は成長し続けられるのか、あるいは成長し続けていくべきなのかという問いに対して、)今問題なのは、世界の総需要が不足していることだ。」

「そのせいで世界経済が減速している。」

「それにはいくつかの原因がある。」

「まず中国の減速、“量の成長”から“質の成長”へと変化し、世界に大きな影響を与えている。」

「もう一つはユーロ圏だ。」

「数々の問題を抱えている。」

「ユーロでは通貨の統合が成長を妨げてきた。」

「ただ全体としては別の要因が潜んでいる。」

「不平等の増大だ。」

「貧困層から富裕層へと富は吸い上げられ、富裕層は貧困層に比べてお金を使わない。」

「これが全体の需要を押し下げ、成長にブレーキをかけているのだ。」

 

「低成長は避けられる。」

「もしもアメリカ、ヨーロッパ各国で考え方を変えることが出来れば成長は可能だ。」

「(資本主義はこれからも持続可能かという問いに対して、)市場経済はずっと続いていくだろう。」

「市場経済のあり方には政治が大きく影響する。」

「30年ほど前にアメリカを始め各国で市場経済のルールの書き換えが始まった。」

「増々不平等を生むようなルールに書き換えられたのだ。」

「それだけでなく市場経済の効率性が下がり、生産性の下落を招いたのだ。」

「目先のことだけに人々が夢中になってしまうようなルールの変更だ。」

「長期の投資ニーズがあり、長期の貯金をしている人々がいる。」

「だが、金融市場は目先のことだけで機能不全に陥っている。」

「私たちの市場経済が招いた決定的な変化の一つだ。」

「だから、今再びルールを書き換えないといけない。」

「これからのルールは繁栄を分かち合い、より成長し、より公平な分配を促すものでないといけない。」

「実現出来ると思うし、実行可能な目標だと思う。」

 

また、チェコのCSOB銀行のマクロ経済チーフストラテジストであるトーマス・セドラチェクさんは、日本が成長を追い求め過ぎれば、「KAROUSHI」という名の資本主義の「死」を迎えるだろうと警鐘を鳴らしております。

セドラチェクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「僕らが生きている世界は資本主義か、それとも“成長”資本主義か、僕は“成長”資本主義だと思っている。」

「みんな成長のことばかり気にしている。」

「成長出来なかったら「もう終わり」ってね。」

「おかしいだろう。」

「どこに書いてある?」

「聖書に? 空に? 数学モデルに? 過去に証明されたのか?」

「ノーだ。」

「資本主義が必ず成長するというのはナイーブな思い込みだ。」

「成長に反対なわけじゃない。」

「いい天気が嫌なはずがないだろう。」

「問題は、社会、年金、銀行・・・、全て成長が前提になっていることだ。」

「まるで毎日快晴だと決めつけて船を造るようなものだね。」

「そんな船は駄目だ。」

「凪でも嵐でも航海出来るのがいい船だろう。」

「そりゃ天気がいいに越したことはない。」

「でもそれを前提にして船を造ってはいけない。」

 

「共産主義だった国から来た身としては、共産主義を捨てて、資本主義をインストールしていた頃、民主主義国家での資本主義は何よりも自由のためのものだと信じていた。」

「成長は良いものかもしれないけれど、例えるなら自動車の“最高速度”だ。」

「それは大事なことか? そうだ。」

「一番大事かことか? いいえだ。」

「確かに資本主義は“成長”のための豊かな土壌だ。」

「しかし、この20年間で二つの関係がひっくり返って、私たちは成長を資本主義の“絶対必要条件”だと信じ込んでいる。」

 

「自由とは、かつて「モノからの自由」を意味していた。」

「今や自由といえば「消費する自由」だ。」

「消費出来るほど自由を感じる。」

「消費出来ないと自由じゃないと思ってしまう。」

「だから毎日働かないといけない・・・」

「映画「マトリックス」でもあったろう。」

「いらないモノを買うためにしたくもない仕事をする。」

「エデンの園の呪いだね。」

 

「「CUBE」っていう映画を知ってるかい?」

「「CUBE」はカフカの不条理劇にも通じるんだが、気が付くと四角い空間に閉じ込められていて、物語の終盤、実は自分たちが「CUBE」を作っていたことに気が付くことになる。」

「専門化した社会では、自分のしていることが分からなくなる。」

「フランスの哲学者、ラカンは「「分かっているけど止められない」と言った。」

「私たちの問題は、分かってさえもいないことだ。」

「どんなに働いても欲望を満たすだけのものは作れない。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

資本主義経済により、これまで人類、中でも先進国の人たちは物質的な豊かさを手に入れてきました。

ところが、地球温暖化、および環境破壊の問題、あるいは地球資源の枯渇リスクという極めて大きな問題やリスクに直面するようになってきました。

それでも今のところ、経済成長という身近な問題に最も力を注いでおります。

ところが、先進国での超低金利状態が示しているように、経済成長も危うくなってきつつあります。

まさに、資本主義経済の危機です。

それでも、先進国では何とか少しでも経済成長をさせるべく取り組んでおります。

 

ということで、次回は、成長は至上命題なのかについてご紹介します。


 
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2016年08月07日
No.3462 ちょっと一休み その554 『宇宙人の高度文明 その2 高度文明の巨大建造物の目的とは!』

4月7日(木)放送の「コズミックフロント」(NHKBSプレミアム)のテーマは「ついに発見!?宇宙人の高度文明」でした。

とても興味のある内容でしたので5回にわたってご紹介します。

1回目では宇宙人の巨大建造物仮説についてご紹介しましたが、2回目はその高度文明の巨大建造物の目的についてです。

 

ケプラー望遠鏡が見つけた奇妙な現象が本当に宇宙人の巨大建造物だとしたら、その建造物とはいったいどんなかたちで、そもそもどんな目的で作られたのでしょうか。

実は、この宇宙人の巨大建造物という仮説は半世紀も前に科学者たちが考えていたことでした。

 

米ソの熾烈な宇宙開発競争が始まった1960年代初頭、両国の科学者たちはお互いをライバルとしながらも地球外文明の可能性について真剣な議論を行っていました。

議論の口火を切ったのは、地球外知的生命研究所(アメリカ・カリフォルニア州)の研究者でした。

フランク・ドレイク博士は85歳の今も現役の研究者として地球外知的生命探査の必要性を訴え続けています。

ドレイクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この広い宇宙のどこかに知的生命が存在していることは間違いありません。」

「私たち人類がその証拠です。」

「人類のような知的生命を探し出すためには、地球のような惑星がある恒星系を探し出して詳しく調査すればよいのです。」

 

1960年代、ドレイクさんは世界最大級の電波望遠鏡があるグリーンバンク天文台で研究をしていました。

ある日、人類が使っている電波がどこまで届いているかを計算したところ、太陽系を遥かに超えていることが分かりました。

知的生命がいるのなら、人類と同じように電波で通信しているに違いない、ドレイクさんは宇宙人の信号を電波望遠鏡で捉えるプロジェクト「SETI:Seach Extra Terrestrial Intelligence」を始めました。

 

更にその後、ドレイクさんはある野心的なモデルを提示しました。

銀河系で電波を使っている文明の数を様々な条件を付けて導き出す方程式です。

ドレイク方程式と呼ばれています。

地球外文明の数は、1年に誕生する星の数、惑星を持つ割合、地球型惑星の数、生命を持つ割合、知的生命に進化する割合、高度な文明を持つ割合、文明の持続年数、これらを掛け合わせた値に等しいという方程式で、観測事実や仮説から導き出された値を入れます。

実際に数値を入れて、地球外文明の数を割り出した結果、銀河系に存在する地球外文明の数は約2万でした。

ドレイクさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「2万もの数の地球外文明といえば多く聞こえるかもしれませんが、決してそんなことはありません。」

「銀河系の中では1000万分の1の割合です。」

「一つ一つの恒星を様々な周波数を使って丹念に調べるため時間はかかりますが、決して不可能なことではありません。」

 

アメリカで発表されたドレイク方程式は当時のソ連の科学者たちにも大きな影響を与えました。

ロシア科学アカデミーの天文宇宙研究センター(モスクワ)のニコライ・カルダショフ所長は当時から地球外知的生命探査をリードしてきました。

カルダショフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドレイク方程式のような情報がアメリカから伝わって来て、地球外知的生命に対する好奇心を大いにかき立てられました。」

「宇宙開発よりももっとすごいことが出来る気がして、今にも地球外文明を発見出来るのではという機運が高まっていったのです。」

 

カルダショフさんは、地球外文明の進化の度合いを分類する方法を考えました。

尺度は、文明が必要とするエネルギーの量、それを3段階に分けます。

カルダショフ・スケールと名付けられました。

第一段階は、タイプ1の惑星文明、すなわち惑星レベルのエネルギー量で成り立つ文明です。

地球の場合は、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料、ウランなどの原子力が主なエネルギー源です。

 

しかし、惑星から採取する天然資源はいずれ枯渇、次の段階へと進まざるを得なくなります。

第二段階は、タイプ2の恒星文明、すなわち恒星規模のエネルギーを必要とする文明です。

資源の乏しくなった故郷の惑星を離れ、宇宙空間に人工的な生活空間を作り、移住している可能性が高くなります。

 

そして、最終段階がタイプ3の銀河文明、すなわち銀河一つ分のエネルギーを丸ごと利用する高度な技術力を持った文明です。

沢山の恒星のエネルギーだけでなく、銀河の中心にある巨大ブラックホールのエネルギーも利用している可能性があります。

平均的な銀河の大きさは数万光年なので、エネルギーを求めて旅するには光速を超えて移動する必要があります。

時空を歪めて瞬間的に移動するワームコープ、もしくは私たちが考えもしない何らかの方法で移動する技術を獲得しているはずです。

カルダショフさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「文明が消費するエネルギーの量は、その文明の能力レベルを評価するのに最も適切な指標だと思います。」

「より進んだ文明を築き上げるためには、新しいテクノロジーを創造することが必要になります。」

「そのためには、より多くのエネルギーやスペース、原材料が必要ですからエネルギー消費量の増大は不可欠なのです。」

 

アメリカの研究者たちもカルダショフ・スケールに大きな刺激を受けました。

天文学者で作家のカール・セーガンさん(1934〜1996)もカルダショフ・スケールを基に文明レベルを測る計算式を開発しました。

現在の地球が消費しているエネルギー量は石油に換算すると年間およそ130億トン、それを基に計算すると0.73という文明レベルがはじき出されました。

地球はタイプ1の中でも未熟な文明に分類されるというのです。

ちなみに、もう少し詳しく知ろうとネット検索した結果は以下の通りです。

セーガンさんは指数が増加するたびに0.1ずつ増加させて 文明の段階を細分化しました。

例えば、エネルギーの消費量が100ペタワットの文明は1段階、1エクサワットを消費する文明は2段階に分類する方法です。

これによると現在の文明は先ほどの0.73段階になります。

数字だけ見ればタイプ1の段階にかなり接近したものですが、この定義によるとエネルギー消費量が今よりも1000倍多くならなければタイプ1の段階の文明に到達することが出来ないといいます。

 

巨大建造物のかたちや目的も当時活躍した研究者たちのアイデアから生まれていました。

半世紀前、巨大建造物の具体的なかたちを示した研究者がいます。

プリンストン高等研究所(アメリカ・ニュージャージー州プリンストン)、アインシュタインやオッペンハイマー、湯川秀樹などが籍を置いた世界トップクラスの研究所です。

この研究所の名誉教授、フリーマン・ダイソン博士です。

電子や光子の振る舞いを理論としてまとめ上げるのに貢献した世界的な物理学者です。

タイプ2の文明は、どれほど高度なものなのか、巨大な建造物は何を目的として作られるのか、ダイソンさんは具体的なモデルを示しました。

ダイソンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「恒星の放射エネルギーを丸ごと活用するには、星全体を何らかの巨大構造物で覆う必要があります。」

「そのためには、恒星の周囲に大量の人工物を配置します。」

「それで光のエネルギーを吸収し、電気のように利用出来るエネルギーに変換するのです。」

 

恒星は360度全方位にエネルギーを放射していますが、そのほとんどは宇宙空間に消えてしまいます。

惑星が受け止めることが出来るのは全体のほんの一部です。

エネルギーを全て利用するには、恒星全体を覆うように光を吸収する装置を配置する必要があります。

以下はその具体的な方法です。

最初に光を吸収するパネルをリング状に配置、そのリングをどんどん増やしていきます。

最終的に恒星全体を覆うようにすれば完成です。

ダイソンさんの名を取って、ダイソン球と名付けられました。

ダイソンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「人々がダイソン球と呼んでいる巨大構造物はカルダショフ・スケールのタイプ2の文明の具体的なかたちです。」

「恒星の周りを覆うことでエネルギーを調達し、余った熱を廃棄しています。」

「その熱の痕跡を探せば、高度文明を見つけることが出来ます。」

「物理学者だから考え付いたわけではありません。」

「夜空を見上げて、この広い宇宙には何があるのか、他に文明はないのか、不思議に思っただけです。」

「これは物理学の問題ではなく、人類共通の問題です。」

「宇宙人はいるのか、あなただってその答えを知りたいでしょ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

まず、ドレイク方程式に基づくと銀河系に存在する地球外文明の数は約2万という仮説ですが、具体的にそれぞれの文明がどのようなものなのかにとても興味が湧いてきます。

また、カルダショフ・スケール、およびそれを基にセーガンさんが開発した文明レベルを測る計算式にあてはめると、私たち人類の文明はまだまだタイプ1の段階の文明に到達していないのです。

しかし、恒星の光を吸収するパネルをリング状に配置するダイソン球は超巨大で、以前ご紹介した現在開発中の宇宙太陽光発電とはまるで比較になりませんが、それでも宇宙太陽光発電の延長線上に位置します。

ですから、人類の文明は間違いなくタイプ1の段階の文明を目指していることになります。

 

ということで次回は、人類を遥かに凌ぐ高度文明についてご紹介します。


 
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2016年08月06日
プロジェクト管理と日常生活 No.448 『ミス撲滅の要諦 ― ミスが報告されても決して叱らない』

私たちは日々の暮らしの中で、あるいは仕事の中でいろいろと失敗を繰り返し、その中からいろいろと学んでいきます。

そうした中、5月25日(水)放送の「深層NEWS」(BS日テレ)のテーマは「成功のカギは失敗にあり!」でした。

番組ではいくつかの企業の取り組みを取り上げておりましたが、今回は、番組とネット検索の結果を参考に、各地で高級感ある温泉旅館やリゾートホテルを運営している星野リゾートの失敗への取り組みに焦点を当ててご紹介します。

 

ミスを減らすことを目的に立ち上げた「ミス撲滅委員会」は、星野リゾートの軽井沢・ホテルブレストンコートで始まった取り組みです。

「ミス撲滅委員会」では、「ミスを憎んで、人を憎まず」というキャッチフレーズのもと、以下の3つのルールを定めています。

(1)ミスを報告する人は、「実際にミスをした人」「他の人がしたミスについて知っている人」のどちらでもよい。

(2)ミスをした人を絶対に叱らない。

(3)ミスを報告してくれたことについてしっかり褒める。

 

このルールを定めた結果、ミスの報告を怠ることは減り、当事者がミスに気づかない「隠れたミス」の報告も集まるようになったといいます。

こうして集めた現場レベルの情報をもとに、ミス再発防止の仕組みづくりができるだけでなく、「真実の瞬間」の対応力までも上がってくるといいます。

 

人はミスを犯すと、出来るだけ隠せるものなら隠そうとする傾向があります。

ですから、上記の3つのルールの中でも特に(2)の「ミスをした人を絶対に叱らない」ことはとても重要です。

叱らないだけでなく、(3)の「しっかり褒める」ことにより、安心してミスを報告することが出来るのです。

更に、こうした取り組みをする上で、最も重要なことは経営層の本気度です。

経営層が本気で取り組むことにより、こうした取り組みは生きてきます。

しかし、かたちだけの取り組みになってしまうと、単なる生産性の低下に陥ってしまうので要注意です。

 

さて、こうした取り組みの延長線上で、既に星野リゾートでは実施済みと思われますが、私の提案を以下にまとめてみました。

(1)「ミス報告書」には、ミスの原因分析、および再発防止策の項目が含まれていること

(2)「ミス報告書」の分析結果を定期的にまとめ、全社員に公開すること

(3)「ミス報告書」だけでなく「成功事例報告書」も提出するように義務付けること

 

こうした失敗事例と成功事例を社員間で共有することにより、個人レベルではなく全社レベルでのサービス向上が図られることが期待出来るのです。

 

最近、大企業による不祥事が立て続けに起きていましたが、そうした企業においても大なり小なり何らかのこうした取り組みはなされていたと思います。

しかし、形骸化していたがために、不祥事につながってしまったのです。

ですから、こうした取り組みは経営層をはじめ会社全体の意識のあり方次第で効果のレベルは全く異なってくるのです。

 

ミスではありませんが、とても残念な事例の一つとして挙げるのは、8月2日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で取り上げられた三菱自動車の燃費不正問題への対応です。

 

番組によると、燃費不正問題で、外部の弁護士からなる特別調査委員会が不正の経緯や原因に関する調査報告書を8月2日に発表しました。

調査では、5年前の2011年に行った全社員を対象にした無記名のアンケートで、虚偽報告が存在する、品質記録の改ざんなど、不正に関する複数の指摘があり、これらは経営陣に報告されたにも係わらず、燃費不正の当事者だった性能実験部の部長が「問題なし」と報告、不正は見過ごされていたことが明らかになりました。

 

なお、特別調査委員会では今後の再発防止策については具体的に提案していないといいます。

その理由は、これまでも三菱自動車はしっかりとした再発防止策を何度も策定してきたが、それを実行してこなかったことを挙げています。

要するに、再発防止策は既にしっかりしたものがあるので、後は“実行あるのみ”で、それは三菱自動車自身の問題であるという見方です。

要するに、危機意識を全社的に共有していない社風を変えなければ、燃費不正問題はこれからも起こり得るというわけです。

 

さて、星野リゾートでは、No.468 ルールの少ないのが成熟した社会!でご紹介したリッツ・カールトンホテルと同様に、個々の社員の判断でお客様へのサービスに取り組む方向でサービス向上を目指されているようです。

 

さて、プロジェクト管理においても、何らかの問題が起きた場合には必ず再発防止策を検討・実施することが求められます。

こうした取り組みの積み重ねによって、ミスの減少が図られるのです。

また同時に、継続的な改善活動も重要です。

継続的な改善を通して、プロセスの耐えざる改善が継続され、管理レベルが向上し、ひいては生産性の向上図られ、お客様へのサービスレベルが向上が期待出来るからです。

ただし、そのための大前提として、組織全体として、目的意識が共有されていることが求められるのです。


 
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2016年08月05日
アイデアよもやま話 No.3461 失敗の上手な生かし方 ー 失敗したらお祝いしましょう!

誰でも大失敗をしでかした時には落ち込んでしまい、しばらくは立ち直れない状態が続いてしまうことがあると思います。

そうした中、5月25日(水)放送の「深層NEWS」(BS日テレ)で、番組ゲストの早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授が企業や個人の失敗の生かし方についていろいろとお話されていました。

そこで今回は、個人の人生において失敗を上手に生かす方法に的を絞ってご紹介します。

 

入山さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私がよく申し上げているのは、「失敗したらお祝いしましょう」と言っています。」

「ポイントは、失敗を考える時に、認知への影響と感情への影響と分けて考えているんですね。」

「認知への影響というのは、失敗というのは自分の視野を広げてくれる学習のチャンスなんだということなんです。」

「ですから、長期的には学習のきっかけになるのでいいことなんですよ。」

「だけど一方で、感情的には当然失敗したら人間は落ち込むわけです。」

「ですので、学習のチャンスなんだけど、同時に落ち込むところを和らげてあげて、そして長い目で見て、自分の失敗を見つめて学習し、成長するってことが大事なんですね。」

「でも、(失敗したら)人間は最初落ち込むので、だったら最初は失敗したと思ったらルールを作って、例えば私は実際にやっているんですけど、失敗したら酒を飲むというルールを作るんです。」

「失敗したと思ったら、じゃあ今日は酒が飲めると思うわけです。」

「別にお酒じゃなくてもいいんですよ。」

「女性だったらスイーツいっぱい食べるとか、徹夜でカラオケするとか何でもいいんです。」

「そうすると、落ち込むところを抑えられますよね。」

「それで、しばらく落ち込む部分を抑えてあげて、ちょっと何日かして感情が収まってから、あの時失敗したけどなんで失敗したんだろうと振り返って学習する。」

「(失敗という)学習のチャンスのお祝いを最初からルールとして作っておいてあげる。」

「(周りで失敗を責め立てる人たちがいる場合の対応策として、)仲のいい友達とかサポートしてくれる人が周りにいて、そういう人と落ち込む時に一緒に落ち込んでもらうとかですね、そういうのも大事ですよね。」

「こうした積み重ねで意外と失敗からどのくらい得られるか、長い人生で結構変わってくるんじゃないかなと。」

 

入山さんのお話のポイントを以下にまとめてみました。

・失敗は、認知と感情に影響を与える

・認知への影響とは、自分の視野を広げてくれる学習のチャンスを与えてくれることである

・感情への影響とは、精神的に落ち込むことである

・失敗した時の精神的な落ち込みを抑える手段として、学習のチャンスのお祝いのやり方をルールとして作っておくことが有効である

落ち込んだ時に仲のいい友達などサポートしてくれる人も一緒に落ち込んでもらうことも大事である

・お祝いをして、しばらく落ち込む部分を抑えてあげて、感情が収まってから、失敗を振り返って学習する

学習のチャンスとして失敗の積み重ねをうまく生かすことによって、長い人生の結果が結構変わってくる

 

考えてみれば、昔から何か大きな悩み事が出来たり、失敗した時には“やけ酒”を飲んで憂さ晴らしをするということはありました。

今回ご紹介した“失敗した時のお祝い”としてお酒を飲むことと“やけ酒”とは本質的に変わりはないと思います。

異なるのは、心の持ち方です。

“やけ酒”は受け身で後ろ向きな気持ちがベースですが、“失敗した時のお祝い”のお酒は積極的で前向きな気持ちがベースになっています。

 

また、気持ちが不安定な状態で考え事や決断をしてもロクな結果を生まない、と昔から言われてきたように、落ち着いた状態でじっくり考え事をすることはとても大切です。

 

要は、失敗もその対処如何によって、将来の成功への糧としてとても大切であるということなのです。

ということで、失敗は自分の視野を広げてくれる学習の絶好のチャンスである、という前向きな気持ちで失敗を恐れずにいろいろなチャレンジをしていくことをお勧めいたします。


 
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2016年08月04日
アイデアよもやま話 No.3460 その2 “ひとりメーカー”方式が日本の製造業を救う その2 大手企業で導入が進む“ひとりメーカー”方式!

5月22日(日)放送の「サキどり↑」(NHK総合テレビ)で躍進する“ひとりメーカー”について取り上げていました。

そこで、番組を通して2回にわたって“ひとりメーカー”方式についてご紹介します。

2回目は、大手企業で導入が進む“ひとりメーカー”方式についてです。

 

前回、一人で商品の企画・設計・製造・販売までを行う“ひとりメーカー”の躍進についてご紹介しましたが、大手メーカーもこの方式を取り入れ始めているといいます。

大手電機メーカー、オムロンの社内(滋賀県草津市)に昨年新たなスペースが誕生しました。

3Dプリンターをはじめ、最新のモノづくりツールが並ぶファブ施設、社員なら誰でも利用出来、アイデアをすぐにかたちに出来る場所です。

 

大手メーカーであるオムロンがこうしたファブ施設を作った背景について、オムロンものづくりクリエイトラボ長の吉本 和也さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今まで通りのやり方だと今まで通りのモノしか出来ないよねと。」

「このラボと起点として活動した結果、新しい商品が出ることになるとうれしいですね。」

 

今、大手製造業で“ひとりメーカー”のやり方でモノづくりをする動きが広がっています。

創業70年を迎えたソニーでも新たな試みが始まりました。

この春出荷された新製品(年内の一般販売を予定)、見た目はアナログな腕時計、実はベルト部分に、電話やメールの通知機能から電子マネー機能、消費カロリーなどを記録するログ機能までハイテク技術が詰まっているのです。

この事業を率いるのは入社3年目の對馬 哲平さん(26歳)は、企画から販売まで全てに関わる“ひとりメーカー”方式でこの腕時計を作り上げました。

 

終戦直後、東京・日本橋に社員およそ20人で創業したソニーは、これまでステレオカセットプレーヤーなど独創的な商品を次々と世に送り出してきました。

会社が成長し、社員数13万人のマンモス企業となった今、画期的な商品を生み出せずにいます。

こうした状況について、ソニー新規事業創出部部長の小田島 伸至さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「安定してくると、当然ながらベンチャースピリッツみたいなものは段々と薄れていくのが世の常だと思うんですが、ただ新しいモノを作るには必ずベンチャースピリッツは必要。」

 

実は、創業当時の経営方針に高らかに謳われていたのは以下の文言で、ベンチャースピリッツそのものでした。

「大経営企業の進ミ得サル分野ニ技術ノ進路ト経営活動ヲ期スル。」

 

この原点に立ち戻ろうと2年前本社(東京・品川)にファブ施設を設置、社員が独自のアイデアを膨らませる土壌を作りました。

更に、そのアイデアを拾い上げる仕組みも整えたのです。

それが社内オーディションです。

3ヵ月に一度開かれ、社員が独自のアイデアをプレゼンテーション、審査に合格すれば製品化への道が開けます。

これまでに5種類の香りを持ち運べるアロマディフューザーや複数の家電を操作出来る多機能リモコンなどが誕生しました。

 

腕時計を開発した對馬さんもこのオーディションを勝ち抜きました。

大学院を卒業し、就職した對馬さんにはある夢がありました。

それは、いくつも腕に巻くほど大好きなデジタル機能を一つにまとめた腕時計を作ることでした。

しかし、入社1年目、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

あのアップルが腕時計型の情報端末を開発中だというのです。

一刻も早く夢を実現したいとオーディションに挑戦した對馬さんは見事合格、念願のモノづくりを社内の各部署に散らばるエキスパートを巻き込みながら進めていきました。

少数精鋭のメンバーが一部屋に集う、これまでにないやり方で開発を行いました。

参加メンバーからは次のようなコメントが寄せられています。

・機械設計担当

  何かを試せるぞ

・コミュニケーションデザイン担当

  普段はすごく遠く(の部署)から、設計さんからマネジメントを通して私に来るっていう、それが隣とかにいるんでそれがすごく大きい

・営業・経営管理担当

  同じ方向を皆が向いているというところがいいし、それはひとりが何役もやれるからプロジェクトに対して愛着が湧く

 

こうして、通常は数年かかる製品化をわずか1年で実現、こだわりの腕時計を世の中へ送り出しました。

對馬さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「やっぱり小さい人数で勝負しないと小回りも利かないですし、早く意思決定も出来ないので(このやり方は)非常に魅力的ではあります。」

「そうしないとダメだと思いますね。」

 

小田島さんも、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「大企業ならではの手法でチャレンジャーと有識者を掛け合わせてスタートアップ(ベンチャー)をどんどん生んでいって、その結果としてイノベーションを生んでいく。」

「まず何よりも未来を作るような事業を生みたいと。」

 

4年前にこの番組で紹介された元祖“ひとりメーカー”、八木 啓太さんは、次のようにコメントされております。

「大企業というと既存事業が沢山あると思いますので、それを壊さないように大事にしていくことが逆にイノベーションを阻害していくっていうところがあると思うんですけども、一方で仕組み的に小さなチームを切り離して、ある意味自己否定をしながら新しいイノベーションを起こしていくような仕組みがこういうふうに実現しているというのは非常に興味深い。」

 

「(大手メーカーの勤務時代を振り返って、)組織間の壁が非常に分厚くてですね、自分の担当はその製品の一部でしかないので、その周辺がどうなっているのかというのは十分に情報がなかったりすると、自分が作っているという実感もあまりなかったですとか。」

「なので、“ひとりメーカー”としては、そこを一気通貫で上流から下流まで全て自分たちの想いを込めて作ることが出来ることが結果的にはお客さんの感情にも響いて共感を得られるのかなと思いますね。」

 

「(“ひとりメーカー”が日本のモノづくりの環境を今後どのように面白く変えていくのかという問いに対して、)大手メーカーでは非常に自立しづらかったような斬新な製品とか、もしくは斬新な開発スタイルというのを生み出していくことで、結果的にはそれが大手企業にもフィードバックされて、産業全体を活性化していくっていうポテンシャルを持っていると思いますね。」

 

また、専修大学経営学部准教授でメーカー300社を取材・研究されている三宅 秀道さんは、次のようにコメントされております。

「こうやって公認の場で治外法権のスペースを作って、ここでやることはOKよという場を作ることが非常に希望につながるんだと思います。」

 

「大手は、技術の種は本来いいものをいっぱい持っていると。」

「だけど、それが寝ちゃっていると。」

「それを起こす刺激を与える時に、大手メーカー内に“疑似ひとりメーカー方式”が非常に有効な手段だと思います。」

 

他にも、JTでは今年1月に社内に「ファブスペース」を設置し、若手中心に運用中といいます。

また、富士通は今年4月に六本木に一般の人も使える「ファブ施設」をオープンさせました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どんな大企業と言えども、創業時には少人数からスタートしていたはずです。

ところが、ソニーの小田島さんが番組の中でおっしゃっているように、企業が安定してくると、創業時には満ち満ちていたベンチャースピリッツが段々と薄れていくのが世の常なのです。

ところが、今はかつてのようなスローペースの製品開発では国際的なビジネスの競争の場では勝ち残り続けることは出来ません。

 

そういう中で、新しいモノを作るには必ずベンチャースピリッツが必要なのです。

そういう意味で、大企業が“ひとりメーカー”方式を取り入れることは、大きな組織内にベンチャースピリッツの遺伝子を残し続けていくうえでとても有効だと思います。

また、商品開発の期間短縮のうえでも効果が期待出来ます。


 
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2016年08月03日
アイデアよもやま話 No.3459 “ひとりメーカー”方式が日本の製造業を救う その1 躍進する“ひとりメーカー”!

5月22日(日)放送の「サキどり↑」(NHK総合テレビ)で躍進する“ひとりメーカー”について取り上げていました。

そこで、番組を通して2回にわたって“ひとりメーカー”方式についてご紹介します。

1回目は、躍進する“ひとりメーカー”についてです。

 

一人で商品の企画・設計・製造・販売までを行う“ひとりメーカー”が躍進中といいます。

彼らの実績が停滞する日本のモノづくりに風穴を開けようとしているのです。

 

4年前にこの番組で紹介された元祖“ひとりメーカー”、八木 啓太さんは、当時作ったLEDスタンドライトが大ヒットしました。

八木さんは、企画・設計から組み立て、出荷までを自宅で一人で行っていました。

八木さんに続けとばかりに、今“ひとりメーカー”が躍進中といいます。

更に、停滞する国内製造業界が“ひとりメーカー”の活躍に注目しています。

最新ツールを並べた施設を作り、“ひとりメーカー”方式で新しいモノづくりを始めています。

 

今回、番組ゲストとして招かれた八木さんの会社は社員5名まで増えており、海外にも出荷するなど少しずつ規模を伸ばしているといいます。

八木さんは当時を振り返って、当初は“ひとりメーカー”というアプローチ自体も認知されていなかったので、メーカーにお願いしても十中八九は断られたといいます。

少なくとも千台、1万台のオーダーを求められる状態から少しずつ関係を築いていくことが必要だったのです。

“ひとりメーカー”はこうした量産の壁に阻まれていましたが、今この壁を突破出来る方法が広がっています。

 

ある塗装工場(神奈川県横浜市)に間借りしている桐原 正憲さんはインテリア雑貨を手掛ける“ひとりメーカー”です。

桐原さんの代表作はスマホ用のスタンド型の充電器です。

アルミ、木、樹脂と3つの異なる素材を組み合わせた個性的なデザインです。

海外のセレクトショップを中心に人気を集めています。

そして今、桐原さんが取り組んでいるのは新作の植物のツルをイメージしたアルミ製の持ち手が付いたグラスの試作品作りです。

 

桐原さんは大学を卒業後、仕事の傍らハンドメイドの家具やインテリア雑貨を販売してきました。

そんな中、4年前に転機が訪れました。

生活雑貨の国際見本市、「シカゴ・ホーム&ハウスウェア・ショー」にスマホ用の充電器を出品したところ大きな話題となり、海外のバイヤーから大口の注文が殺到したのです。

しかし、それまでのハンドメイドでは注文に応えることが出来ません。

 

桐原さんは工場での量産を決意、しかしようやく見つかった中国の工場から送られてきた試作品を見て愕然としました。

桐原さんに立ちはだかる量産の壁、そんな中で出会ったのが“ひとりメーカー”の量産化を支援する西野 充浩さんです。

西野さんは3年前から“ひとりメーカー”と工場との橋渡しをするビジネスを行っています。

アイデアをかたちにするための設計から生産までをサポートします。

これまで手掛けた量産の支援は10社以上に上ります。

 

桐原さんから依頼を受けた西野さん、ハンドメイドの作品を工場で量産するには大きな困難がありました。

桐原さんじゃない能力の人が、普通の作業員の人が作れるようなレベルの工程に落とし込んでいかなければならなかったのです。

西野さんが選んだのは、ベトナム・ロンアンにある金型部品工場でした。

現地に進出した日系企業が経営する従業員100人の工場です。

 

量産のためにまず見直したのがアルミフレーム、一体成型にすることで曲げと接着の工程を省きました。

また、日本製の染料を100分の1グラム単位で調合し、こだわりの色を実現しました。

こうして桐原さんの充電器は3000個生産されました。

なお、番組ではこの他にもひとり文具メーカーなどが紹介されていました。

 

こうした状況について、元祖“ひとりメーカー”の八木さんは、次のようにコメントされております。

「試作品を作るための加工機械をレンタル出来るような施設が普及してきたりですとか、いざ量産したものをインターネットを通して簡単に販売出来るような環境も整ってきたということで、アイデアをかたちにしてそれを量産して販売するという一連のプロセスのサポート環境が整ってきたということが“ひとりメーカー”を後押ししている側面も非常にあるのかなと。」

 

さて、“ひとりメーカー”はアイデア勝負ですが、アイデアをかたちにするうえで八木さんは番組の中で次のようにアドバイスされております。

「生活の中で面倒くさいなとか、不満だなと思うことを些細なことでもストックしておくんですよね。」

「で、一方で魅力的な技術をストックしていまして、それとそれ(生活の中の不満と技術)がある時結びついて、この技術を使えばこの不満を一気に解決出来るじゃん、みたいなそこが私たちの製品開発のアイデアの源泉になるというところを考えていますね。」

 

さて、“ひとりメーカー”には以下のようなメリットがあるといいます。

・独創的なアイデア

大手メーカーのように量産化を意識しなくて済むので、自分が欲しいと思うモノを徹底的にこだわりを持って作ることが出来、少量でも売れればビジネスとして成り立つ

・スピード感

少量生産なので、取りあえず作って売ってみようということでアイデアが閃いてから短期間で販売に至ることが出来る

更に、商品の改良も素早く出来る

 

一方、専修大学経営学部准教授でメーカー300社を取材・研究されている三宅 秀道さんは、次のようにコメントされております。

「今は言ってみれば幕末みたいな乱世の状態で、例えばいきなり大メーカーに勤めて先行き不透明で自分が作りたいモノを作れないみたいな人が脱藩して自分で立ち上げるみたいな状態になったんだと思います。」

「で、それを支えるのは例えば町工場の側も昔だったら下請けで縛られていたのが仕事量が減ってラインが遊んでいる時に、遊んでいるラインだったら“ひとりメーカー”とちゃんと向き合って仕事をした方がいいというふうに感覚が変わってきたところがあると思います。」

 

実際に、工場側が“ひとりメーカー”からの注文を積極的に受け入れている事例があります。

新潟県燕三条地場産業振興センターでは、異なる技術を持ったモノづくりの中小企業がネットワークを組んで“ひとりメーカー”からの注文に対応しています。

 

過去の事例の中には、猫のトイレを作りたいという注文がありました。

“ひとりメーカー”は振興センターの窓口に相談しました。

すると、このトイレの場合、金属を曲げたり整えたりする精密板金の企業、そして色付けする塗装の企業の橋渡しをしてくれました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

“ひとりメーカー”は独創的なアイデアとスピード感が競争力の大きな支えですが、一方で人的、あるいは資金力では大手企業と競争になりません。

更に、特許申請や自前で手当て出来ないほどの開発費がからんでくると、その資金手当てに悩まされます。

ですから、“ひとりメーカー”が存分にその良さを発揮して活躍出来るような環境整備が国を挙げて求められます。

そして、多くの“ひとりメーカー”が存分に活躍出来るような環境になれば、必ずその中から新しい産業の柱となる製品やサービスが登場してくるはずです。

かつてのソニーの活躍がそれを証明してくれているのですから。

 

また、“ひとりメーカー”の躍進は、技術力のある下請け企業のビジネスの幅を広げるうえでも大いにメリットがあります。

ですから、“ひとりメーカー”と下請け企業とはWinWinの関係にあるのです。

そういう意味で、新潟県燕三条地場産業振興センターのように各自治体でも積極的に“ひとりメーカー”の受け皿としての体制を整えておくことが必要だと思います。


 
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2016年08月02日
アイデアよもやま話 No.3452 和食も楽しめる「民泊」の提案!

5月13日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でニューヨークで人気の和食の焼き魚について取り上げていました。

そこで、今回は番組を通して「民泊」と和食の組み合わせについて私の思うところをお伝えします。

 

アメリカのニューヨーク州ブルックリンに午前10時の開店前からお客が並び、週末には2時間待ちというお店「OKONOMI」があります。

カウンターとテーブルを合わせても12席しかない小さなお店ですが、お客に人気の秘密は“焼き魚”定食にあります。

このお店のオーナー兼シェフの原口 雄次さんがお店を構えたのは2年前、寿司や刺身以外にも日本流の魚の食べ方を知ってもらいたいと始めました。

メニューは魚の塩焼きをメインにご飯やおかず、漬物に味噌汁が付いた一汁三菜が基本で魚は数種類の日替わりです。

ちなみに、料金は焼き魚定食で19ドルからです。

 

お客を魅了する魚の美味しさには秘密があります。

築地に次いで世界第2位の規模を誇るニューヨーク市内にあるフルトン魚市場には様々な魚が集まります。

実は、原口さんはアメリカで魚の卸売りに長年携わってきた“魚の目利き”なのです。

アメリカで圧倒的に人気なのはサーモンやマグロ、しかも消費される魚の約9割は輸入ものなのです。

原口さんはあえて地元産の新鮮な魚を選ぶ、それが「OKONOMI」の強みなのです。

そして、人気の秘密はもう一つ、ラーメンです。

夜は魚を使ったラーメン屋に早変わりするのです。

普通のラーメンと違い、海鮮が入っているのでお客に好評なのです。

昼と夜で業態を変えることで違った魚の食べ方をお客に知ってもらえるというわけです。

原口さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ニューヨークのレストラン自体の魚のメニュー数は日本の10分の1くらいだと思うんですよ。」

「すぐそこにいるのにみんな魚に目を向けていない、それはすごいもったいないなと思って魚の懸け橋になれたら・・・」

 

アメリカの食文化を変えたい、そんな原口さんの想いが行列を作り出しているのです。

 

さて、政府は一般住宅に旅行者らを有料で宿泊させる「民泊」の全面解禁に向け、旅館業法上の許可なしで誰でも部屋を貸し出せる制度案をまとめました。

5月末に閣議決定する政府の規制改革実施計画に盛り込むといいます。

マンションなどを所有する貸主がネットを通じて都道府県に必要な書類を提出すれば、誰でも「民泊」に参入出来るようになります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、アメリカのニューヨークでこれほど和食の魚料理に人気があるとは驚きです。

一方で今、国は2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックで海外からの旅行者の宿泊受け入れ施設不足の対応策として「民泊」を進めようとしています。

 

私は幼い頃の「民宿」を思い出しました。

1050年代〜1970代にかけては、まだまだレジャーブームの到来と宿泊施設不足のギャップを埋めるために私の住んでいた千葉県外房の海岸近くの村のあちこちに「民宿」がありました。

そして、夏のピーク時にはどの「民宿」も満員で泊まることが出来ずに帰る海水浴客が続出するほどでした。

なので、現政権が進めている地方創生にも合致する海外旅行者が安く泊まれ、しかも焼き魚などの和食も楽しめる「民宿」を「民泊」の一環と位置付けて検討したら良いのではないかと思いました。


 
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2016年08月01日
アイデアよもやま話 No.3457 最貧困層 過去25年で半減の一方で・・・

今や世界的な格差社会の進行が大きな問題になっています

そうした中、5月9日(水)付け読売新聞の朝刊で「最貧困層 過去25年で半減」という一面記事を目にしたのでその一部をご紹介します。

なお、この記事の執筆者は東京大学の山中 明彦教授です。

 

世界的にみた貧困人口は減少しているといいます、

国際的には、1日1.25ドル未満で暮らす人々が極度の貧困状態にあると言われていますが、この極度の貧困層は1990年には全世界で19億人に上っていました。

ところが、昨年には8億3600万人にまで減少したというのです。

この間、世界人口は約53億人から約73億人に増加しているので、極度の貧困人口の比率は相当低下したことが分かります。

以前は世界中の3人に1人以上が極度の貧困だったのに対して、現在は9人に1人程度に減少しています。

 

かつて、富める国々は増々富み、貧しい国々は増々貧しくなり、南北問題にはなかなか解決の目処が立たないと言われていました。

そうした中、21世紀を契機に国連でミレニアム開発目標(MDGS)が設定されました。

8つの目標と21のターゲット項目が設定され、2015年を目標達成年としました。

第一のターゲットは、まさに極度の貧困人口の割合の減少でしたが、これは2010年には達成され、過去25年で半減したのです。

 

こうした成果により、国際社会として更なる取り組みをしようという機運が盛り上がりました。

その結果、昨年9月、今後15年間で途上国のみならず先進国も含めた国際社会全体として達成すべき開発目標として「持続可能な開発目標」(SDGS)が、国連総会で全会一致で合意されました。

 

ところが、残念ながら昨年12月28日(日)放送の「NHKスペシャル」(タイトル:子どもの未来を救え)によると日本の現状は以下の通りです。

・子どもの相対的貧困率(*)(OECD(経済協力開発機構)の基準による)は16.3%(2012年)で年々悪化傾向にあり、OECDに加盟する20ヵ国の中でも4番目に高い

  * 相対的貧困率:標準的な所得の50%未満の世帯の割合

・国は、子どもの6人に1人がOECDが基準とする貧困ライン(*)を下回る暮らしであるとしている

 * 貧困ライン:3人世帯で211万円(1人世帯で122万円)

・貧困ラインを下回る家庭では、学ぶ・遊ぶ・医療を受けるなど、子どもにとって当たり前の生活が難しくなると言われている

 

ということで、国際社会としては国連を中心に貧困対策のみならず様々な面での問題解決が図られつつあり、その効果も出ているようです。

しかし、日本国内では貧困問題が年々悪化傾向にあるようです。

ですから、現政権には、経済成長のみならず、貧困問題や格差問題についても具体的な目標を掲げ、格差社会の是正に取り組んでいただきたいと思います。


 
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2016年07月31日
No.3456 ちょっと一休み その553 『宇宙人の高度文明 その1 宇宙人の巨大建造物仮説!』

4月7日(木)放送の「コズミックフロント」(NHKBSプレミアム)のテーマは「ついに発見!?宇宙人の高度文明」でした。

とても興味のある内容でしたので5回にわたってご紹介します。

1回目は、宇宙人の巨大建造物仮説についてです。

 

1500光年の彼方に地球より進化した文明が存在している、そんなSFのような話が今アメリカで真剣に議論されています。

きっかけは、2015年9月29日、「今後10年間の地球外生命探査と宇宙生物学」を議題としたアメリカ連邦議会の下院、科学・宇宙・技術委員会でアメリカを代表する天文学者たちが集まり、委員たちと意見交換しました。

そこの場で天文学者の一人が次のように発言しました。

「高度な文明を築き上げた知的生命の存在を巨大なエネルギー消費の痕跡などから間接的に確認することが可能です。」

 

学者たちの発言は、ある奇妙な天体の発見を受けてのものでした。

白鳥座の一角にある恒星、KIC 8462852、この星が今までの科学の常識を破る不可解な現象を起こしていました。

高度に発達した地球外文明の巨大建造物が存在している、そう考える科学者が現れたのです。

この仮説はテレビや新聞でも取り上げられ、大騒ぎに発展しました。

 

銀河系に存在する2000億もの星々、その中の一つに宇宙人の存在を示す星があるといいます。

騒動の発端となった奇妙な現象を発見したのは、アマチュア天文愛好家のダリル・ラコースさんです。

2012年、ある星が不自然に明るさを変えていることに気付きました。

ラコースさんが分析していたのはケプラー宇宙望遠鏡のデータです。

太陽系の外の惑星を見つけるのが主な任務です。

白鳥座の一角の15万もの星の明るさを観測しました。

恒星の光は惑星が前を通り過ぎるとわずかに暗くなります。

そのわずかな変化を感知することで惑星を見つけるのです。

ラコースさんが見つけた奇妙な星とは、地球から1470光年の彼方、KIC 8462852と呼ばれる恒星です。

ちなみに、この恒星の質量は太陽の1.5倍程度、表面温度はおよそ7000℃、年齢は太陽と同じく中年期にさしかかっていることが分かっています。

この星が2011年3月、1週間だけ15%も暗くなっていたことを観測データは示していました。

このことは一体何を表しているのでしょうか。

体積が地球のおよそ1300倍の木星ですら太陽と比べると1000分の1に過ぎません。

木星規模の惑星でも恒星の前を通った時に暗くなる割合はせいぜい1%です。

ラコースさんが注目したこの奇妙な恒星が15%も暗くなったということは木星よりはるかに巨大な天体が前を横切ったことを意味しています。

更に、この恒星が極端に暗くなる現象は2年後の2013年にも起こりました。

しかも、光が減ったことを示す曲線はなんと20%以上も暗くなっていたのです。

20%ほども暗くなるには恒星の半径ほどの巨大な何かが前を横切った計算になります。

いったいどんな天体が恒星の前を通り過ぎたのか、ラコースさんには全く想像もつきませんでした。

ラコースさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ケプラーのミッションで観測した15万の星とは全く異なる何か特殊なことが起こっていたことは明らかです。」

「私はプロジェクトの科学者チームに報告しました。」

「そして、何が原因でこんなことが起きたのか徹底的に調べてみることになりました。」

 

ラコースさんの報告に強い関心を持ったのは、イェール大学(アメリカ・コネチカット州)天文学科で分析ボランティアを取りまとめているタベサ・ボヤジアン博士です。

恒星が暗くなった原因は何か、ボヤジアンさんは変光星である可能性を検討しました。

光の成分を調べてみると、ある程度成熟し、安定した状態にあることが分かりました。

そこで、ボヤジアンさんはラコースさんたちといくつかの仮説を考えました。

一つは、天体衝突による残骸が原因だとする衝突による残骸説です。

このような現象は、誕生間もない恒星の周りでよく起ります。

しかし、安定した状態の恒星ではほとんど起きることはありません。

 

これとは別に、巨大な彗星の群れが前を通り過ぎたという巨大彗星群説も出てきました。

しかし、彗星にしても恒星の光を20%も遮る規模のものは太陽系の常識では考えられません。

ボヤジアンさんたちはこの他にも数多くの仮説を検討しました。

しかし、どれも一つの条件では説明出来ても別の条件では矛盾を引き起こしました。

どの仮説もそれぞれ一長一短あって、この奇妙な現象をうまく説明出来ないのです。

 

アイデアに行き詰まってしまったボヤジアンさんは結局外の天文学者にアドバイスを求めることにしました。

ペンシルバニア州立大学天文学科で形骸惑星を研究するジェイソン・ライト准教授は、ボヤジアンさんから送られたデータを見て、すぐにあることを思い付きました。

ライトさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これは惑星の影響ではありません。」

「丸くはない何かが光を遮って起こる現象です。」

「丸くはなく、公転周期もバラバラ、宇宙人の巨大建造物であれば説明がつきます。」

 

ライトさんが注目したのは、明るさを示す曲線がギザギザしていたことです。

惑星の場合、恒星の前にさしかかると明るさを示す曲線は右下がりのカーブを描きます。

横切っている間、明るさは変わりませんが、通り過ぎると元の明るさに戻ります。

惑星のような球体の場合、曲線は台形になります。

もし、人工的なもの、例えば梯子のようなかたちであれば、曲線は複雑なものになります。

謎の恒星の場合はかたちがギザギザしているうえに、谷も沢山あります。

惑星のような丸いものではなく、かたちのいびつな何かが、それも複数前を横切ったことを示しています。

ライトさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「この奇妙な曲線グラフを初めて見た時、とても興奮したことを覚えています。」

「高度な文明の巨大な建造物が光を遮ったとすれば、まさにこのような複雑な曲線になるはずです。」

「私は直ちに論文にして発表しました。」

 

ライトさんが発表した宇宙人の巨大建造物仮説は一般のメディアを巻き込んで大騒ぎになりました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今のところ、恒星の光が一時的に暗くなり、それが宇宙人の巨大建造物が恒星の前を横切るよるものであるというのは仮説に過ぎません。

 しかし、このように想像を絶するような巨大建造物を作れるほど進化した宇宙人の文明とはどのようなものなのか想像するととてもワクワクしてきます。

一方では、もしこのように人類よりもはるかに進歩した宇宙人と人類が遭遇した場合にどのようなことが起こるのか想像すると恐怖心が湧いてきます。

 

ということで次回は、高度文明の巨大建造物の目的とは何かについてご紹介します。


 
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2016年07月30日
プロジェクト管理と日常生活 No.447 『AIの抱える大きなリスク』

AI(人工知能)については、自動運転車など人々の暮らしを豊かにしてくれるメリットと人々の働く機会を奪うなどのディメリットの両面で関心が寄せられています。 

 

そこで、今回は3月17日付けの日本経済聞の配信記事を参考にアイデアよもやま話 No.3344 人工知能が囲碁トップ棋士に勝利!でもお伝えした世界最強と称される韓国のプロ棋士五番勝負で勝利したAlphaGo」(アルファ碁のケースを前提にAIの抱える無視出来ないほど大きなリスクについてご紹介します。 

 

本題に入る前に、まずヒトに比べて圧倒的なAIの強みについて以下にまとめてみました。 

・例えば、囲碁のルールなどが組み込まれていなくてもディープラーニング(深層学習)と言われる過去の棋譜をニューラルネットに入力する「教師あり学習」と勝利を報酬にAI同士を対局させて鍛える「強化学習(教師なし学習)」により短期間でプロ棋士に勝利するレベルまで成長する 

・「AlphaGo」は2015年10月の時点で3000万局もの自己対局をこなしたという。地球上にプロ棋士が1000人いるとして、毎日対局したとしても1年当たり約20万局という。少なくとも、未知の定石や打ち筋といったイノベーションを生むスピードで言えば、コンピューターは囲碁の領域で「シンギュラリティ(技術的特異点)」に達した 

 

以前お伝えしたようにシンギュラリティ全人類の能力を超える処理能力のの出現すると見込まれる年、すなわち2045年を指していますが、現実には囲碁など一部の分野では既にシンギュラリティを迎えているのです。 

それほどテクノロジーの進化の速さは目覚ましいのです。 

 

さて、本題のAIの抱える無視出来ないほど大きなリスクについて以下にご紹介します。 

先ほどの囲碁の五番勝負は、ディープラーニングの強みに加えて、ディープラーニングを実社会に応用する上での二つの弱点を露呈させました。 

一つは、AIが明らかに誤りと思える判断を出力した場合にも、その原因の解析が極めて困難であることです。 

イ・セドルさんが勝利した第四局では、AlphaGoは明らかな悪手を繰り返した後に敗北しましたが、その原因は当の開発会社DeepMindのメンバーにも分からなかったといいます 

通常のプログラムであればコードを追跡してデバッグ(修正)出来ますが、ディープラーニングには人間が読める論理コードはなく、あるのは各ニューラルネットの接続の強さを表すパラメーターだけなのです 

アルゴリズムは人間にとってブラックボックスになっているというのです 

もう一つは、高度に訓練されたAIは、例え結果的に正しい判断であっても、人間にはまったく理解出来ない行動を取る場合があることです 

特にAlphaGoが勝利した第二局では、プロ棋士の解説者は「なぜAlphaGoの奇妙な打ち手が勝利につながったのか、理解出来ない」といった言葉を繰り返したというのです 

 

以上、記事の内容をご紹介してきましたが、AIのアルゴリズムはブラックボックスでありデバッグ(修正)出来ないこと、そしてAIの下した判断に対して専門家でさえも理解出来ないケースがあること、この2つは無視出来ないほど大きなリスクと言えます。 

このリスクは自動運転車に例えてみれば、ドライバーが手動で運転したくても出来ないし、AIが選んだルートの理由が分からないという状況です。 

こうした状況では乗車している人たちは安心して乗っていることが出来ません。 

 

そこで、こうした状況のリスク対応策として、AIのアルゴリズム、およびAIによる決定に至思考プロセスを人間が理解出来るレベルで表現出来ること求められます 

ところが、実際にこのリスク対応策を実現させることは難しいし、人間が理解するのに時間がかかるようでは実用的ではありません。 

ですから、AIの活用においては、十分な実証実験を終えたうえで、不具合が起こる可能性が限りなくゼロに近いほど低いことを確認したうえで、こうしたリスクのあることを了解したうえで使用するというスタンスが現実的だと思います。

考えてみれば、私たちは自動車に乗るにしても、飛行機に乗るにしても、暗黙のうちに絶対に安全とは言い切れないと了解して利用しております。

文明の利器と言われるものは利用に際し、常にリスクを伴うものなのです。



 
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