2022年07月04日
アイデアよもやま話 No.5311 画期的な撮影技術”バーチャルプロダクション”!
これまでNo.4224 ちょっと一休み その681 『仮想技術が新たな産業革命をもたらす!?』などで仮想技術についてお伝えしてきました。
こうした中、3月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で画期的な撮影技術”バーチャルプロダクション”について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

ソニーは3月28日、”バーチャルプロダクション”という新しい撮影技術を利用出来る常設スタジオを公開しました。
この”バーチャルプロダクション”は近い将来、映画の制作スタイルを一変させるかもしれません。

自然の中を走行しているように見えますが、実はこのクルマ、全く動いていません。
巨大なLEDディスプレーにCGでつくった仮想の背景を映し出し、実物の被写体と合成させる撮影技術、”バーチャルプロダクション”を使うと、まるでクルマが仮想の世界で実際に走っているかのような映像を作り出せます。
更に”バーチャルプロダクション”の技術を使えば、まるで宇宙空間で踊っているような映像に、背景を変えるだけで様々なシチュエーションをつくることが出来るため、映画1本丸々撮影することも可能だといいます。
映像の臨場感を出す大きなポイントは、カメラの動きに合わせて背景も動くという技術です。
カメラに取り付けられた位置を把握する装置がスタジオの天井の丸いマーカーとの距離や角度をリアルタイムで読み取って映像に反映させているのです。
天井のマーカーを座標軸にしてカメラの位置を特定、それに合うように背景が動くようになっているのです。

国内初という常設の”バーチャルプロダクション”スタジオ、設置の狙いついて、ソニーPCL クリエイティブ部門の小林大輔統括部長は次のようにおっしゃっています。
「実際にロケに行きづらくなっている、コロナ禍で関してもそうですし、人の動きが非常に難しくなっている状況で、映像を作るニーズはありますので、そこはどうやって解決していくかといううち(ソニー)の一つの選択肢になったのかな。」

「ソニーは大型LEDやカメラも開発しています。」
「それを組み合わせて使っていただくことで常設スタジオがある方がサービスが安定しますし、クオリティも上がっていき易い。」

室内での撮影のため天候に左右されず、スケジュール管理がし易い点やロケ地の撮影許可の手間が省ける点も”バーチャルプロダクション”の利点です。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通してソニーが開発した”バーチャルプロダクション”という新しい撮影技術について以下にまとめてみました。
・巨大なLEDディスプレーにCGでつくった仮想の背景を映し出し、実物の被写体と合成させることにより、まるでクルマが仮想の世界で実際に走っているかのような映像を作り出すことが出来る
・更に背景を変えるだけで様々なシチュエーションをつくることが出来るので映画1本丸々撮影することも出来る
・映像の臨場感を出す大きなポイントは、カメラの動きに合わせて背景も動くという技術である
・こうした常設の”バーチャルプロダクション”スタジオを設置することによって、実際にロケに行きづらくなっているコロナ禍においても映画などの撮影が出来る
・更に室内での撮影のため天候に左右されず、スケジュール管理がし易く、ロケ地の撮影許可の手間が省けるので大幅に映画やドラマなどの製作費を大幅に削減出来る

ということで、”バーチャルプロダクション”スタジオでの撮影が近い将来、映画やドラマなどの制作の主流になるかもしれません。
そして、これまで困難だったと思われる監督のイメージ通りの映画をも製作出来るようになるのです。
しかも短期間、低コストでです。

 
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2022年07月04日
【画期的な発電装置の試作機作りのボランティア募集】

当ブログを発信しております弊社(株式会社BMC)では現在、ある発電装置の開発を進めておりますが、試作機作りの段階で技術力不足により難航しております。

しかし、この発電装置の実用化の暁には再生可能エネルギー発電の一翼を担えると確信しております。
なお、この発電装置は既に国内特許、および国際特許を取得済みです。

 

つきましては、電子回路関連業務の経験、あるいは知識をお持ちで、試作機づくり、およびデータ検証作業にご協力いただける方をボランティアとして募集いたします。

なお、年齢、性別は一切問いません。

新しいものづくりに対するチャレンジ精神が旺盛で、時間に多少なりとも余裕のある方は是非ご応募いただきたいと存じます。

定年退職された方や学生の方など、エネルギーを持て余しておられる方は大歓迎です。

特に大学や専門学校などで電気工学を専攻されている方には卒業論文のテーマ候補としてご検討いただければ幸いです。

ただし、日本国籍を取得し、日本語の読み書きが十分に出来る方と限定させていただきます。

応募される方は、info@e-an.co.jp までメールでご連絡下さい。

なお、試作機の製作に際して、必要なパーツにかかる費用は弊社にて負担させていただきます。

 

以上、よろしくお願いいたします。

                         (株)BMC社長 屋代 雅邦              


 
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2022年07月03日
No.5310 ちょっと一休み その832 『ロシアの情報統制が機能しなくなった!?』
以前、ロシアで強まる報道規制についてお伝えしてきました。(参照:No.5298 ちょっと一休み その830 『ロシアで強まる報道統制』
しかし、一方で6月15日(水)付けネット記事(こちらを参照)でロシアの情報統制が機能しなくなったことについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

・ロシアが得意としてきた情報統制が、日を追うごとに機能しなくなっている。ロシア軍内部の兵士や司令官がアプリを通じ、厳しい戦闘の実情をロシア国民に直接発信するようになったためだ。
・情報漏洩(ろうえい)の主な舞台となっているのは、暗号化メッセージアプリの「Telegram(テレグラム)」(こちらを参照)だ。軍上層部を信頼しない兵士や司令官、そして退役軍人や独立系メディアなどが、それぞれ独自の視点で生の情報を発信し続けている。ある司令官はTelegramに投稿した動画を通じ、ひどい食糧不足により部隊全体が飢えていると訴えた。プーチンはロシア兵を虐殺している、との猛批判だ。
・生々しい戦場をその目でみたロシア兵の多くは、もはや政府発表の情報を信頼していない。
・興味深いことに、Telegram上で飛び交う現場の声はロシア軍の作戦立案にも反映されているという。
・このようなアプリを通じた情報公開は、以前の戦争であれば考えられなかった。状況を特異だとみる欧州政策分析センター(CEPA)は、「戦争から3カ月で、まったくもって前代未聞の事態が巻き起こった。ロシア軍内部に、検閲がなく、防衛省の管理も届かない議論の場が出現したのだ」と驚きをあらわにしている。
・Telegramのメッセージは携帯端末から送出する段階で暗号化されるため、通信経路の途中で政府の検閲を受ける心配がない。
・CEPAはロシアにおいてTelegramが、単一のアプリとしては「不相応なほどにまで重要な役割」を担っており、「同国において最も人気のあるマスメディア」になっていると指摘する。オープンな議論が限られた現地で、政府の不当な監視の及ばない貴重な場となっている。
・ソ連時代から情報統制をお家芸としてきたこの大国は、現代の情報化に対応できておらず、旧態然とした隠蔽(いんぺい)国策を続けている。ところが、たった1つのアプリ(Telegram)を経由して前線でのあらゆる出来事が筒抜けとなる始末だ。
・ITを積極活用するウクライナとは、好対照といえるだろう。ウクライナはかねて進めてきた電子政府化により、戦時下でも政府機能を維持している。ほか、スターリンク衛星通信を軍と市民生活の双方で積極活用するなど、近代技術を柔軟に取り入れている。(参照:アイデアよもやま話 No.5306 ITを最大限活用してロシアの侵攻に立ち向かうウクライナ!
・情報公開もむしろ積極的に進めており、英ミラー紙などが報じている死亡情報開示もその一例だ。ロシア兵の安否を気遣う家族向けに、確認されたロシア兵の死亡情報をTelegram上で確認できる枠組みを立ち上げた。同紙によると登録者数は100万人を超えたとのことで、ロシア兵の家族たちがロシア政府とウクライナのどちらを信用しているかは明らかだ。
・戦時の情報隠蔽は、ゆっくりと過去の戦略になりつつあるのだろう。CEPAは、ロシアが行っている報道規制について、「この完全隠蔽システムは平時であればうまく機能するかもしれないが、全面戦争という現実が立ちはだかったなら、存続は不可能だ」と指摘する。
・プーチンとしては戦時中にこそ、戦意高揚のため不都合な事実を隠蔽したいところだろう。だが、まさにその戦時中、前線に動員された司令官や兵たち自身がありのままの真実を発信している。肝心のときに限ってプロパガンダが機能しないという皮肉に、プーチンはいつの日か気づくのだろうか。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

以前お伝えしたように、健全な社会にとって、自由や人権の尊重とともに“情報の見える化”もとても重要です。
教育なども含めて入手する情報が時の政府にとって都合のいい情報ばかりになると、多くの人たちは歪んだ情報をもとに価値観が出来上がり、従って歪んだ判断しか出来なくなってしまい、健全な社会とはかけ離れた環境になってしまうからです。
そういう意味で、今のロシアや中国など独裁国家は健全な社会とは言えません。

さて、こうしたロシアの情報統制がTelegramというアプリによって機能しなくなりつつあるというのです。
ということは、いかに現実をありのままに知ること、すなわち“情報の見える化”が重要であり、Telegramのようなアプリがその手段として有効であるかを示しているのです。
しかし、こうしたアプリにも課題があります。
それは、フェイクニュース(偽情報)もこうしたアプリに存在し得るからです。
勿論、フェイクニュースは時間とともに真実が明らかになり消滅していきますが、それでも一時的な混乱を防ぐためにはAIの活用などにより素早くフェイクニュースを区別し、アプリのユーザーにフェイクニュースを識別出来るような機能が求められるのです。

それにしてもTelegramがロシア人技術者により開発されたという事実はプーチン大統領にとってはなんとも皮肉だと思います。

 
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2022年07月02日
プロジェクト管理と日常生活 No.752 『経済の新たな指標「日本の空気感指数」』
4月8日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で経済の新たな指標について取り上げていたのでご紹介します。 

日経平均株価やGDP、国内総生産といった沢山の景気指標が存在する中、今、新たに生活者や社会の雰囲気、いわゆる空気感を表す指標が開発されました。
それがSNS上のデータを分析して作られるという「日本の空気感指数」で、株価とも相関性があるといいます。
様々なニュースについての意見が飛び交うSNS、そんなSNSのデータを活用して野村総合研究所(野村総研)が開発したのです。
野村総研 データサイエンスラボの田村光太郎さんは次のようにおっしゃっています。
「我々が開発した「日本の空気感指数」と呼ばれるものでして、SNS情報からテキスト情報を抽出しまして、それをもとに“日本の空気感”を“活気、混乱、落ち込み、怒り、緊張、疲れ”という観点から指数化したものになります。」

その名も「日本の空気感指数」、ツイッターに日々投稿されるツイートから元気や緊張といった人々の心理状態が見える言葉を抽出し、数値化したものだといいます。
田村さんは次のようにおっしゃっています。
「新型コロナ禍においては、様々なニュースに対して空気感が変動していることが分かります。」
「緊急事態宣言も一度目の緊急事態宣言はその発令の遅さから少し怒りの指標が高まっている傾向があるんですけれども、その宣言の解除とともに活気が高まり始めています。」

国の政策に対して、国民の心理がどう変化したかが分かるため、政策を評価する指標になるといいます。

一方で「日本の空気感指数」は景気指標としての活用も考えられています。
田村さんは次のようにおっしゃっています。
「“活気”の指標については日経平均株価との連動があることが分かりました。」
「「日本の空気感指数」はマクロな日本の社会の空気感も測ることが出来ますし、個別の事象に関して解析していくことにも機能する。」
「マーケティング施策の評価にも使っていけると考えております。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

生活者や社会の雰囲気を表す新たな指標、「日本の空気感指数」について以下にまとめてみました。
・SNS情報からテキスト情報を抽出し、それをもとに“日本の空気感”を“活気、混乱、落ち込み、怒り、緊張、疲れ”という観点から指数化したものである
・以下のようにマクロな日本の社会の空気感を測ることが出来るし、個別の事象に関して解析していくことにも機能する
  国の政策に対して、国民の心理がどう変化したかが分かるため、政策を評価する指標になる
  景気指標として活用出来る
 “活気”の指標については日経平均株価との連動があることが分かっている
  マーケティング施策の評価に使える

「日本の空気感指数」はこれまで不可能とされてきた不特定多数の国民の声を数値的に集約したものです。
そしてそれを可能にしたのが誰でも自由に自分の言いたいことを文字に表し、不特定多数の人に見てもらえる場を提供しているSNSなのです。
ですから、SNSはインターネットを活用したコミュニケーション革命をもたらしたと言えます。
そういう意味で、以前にもお伝えしたように、こうした情報を提供するサービスを可能にしたインターネットはこうしたサービスのインフラとして、歴史的な大発明と言えます。

それはさておき、今後「日本の空気感指数」のような指数はどんどん増えていくと思われます。
そして、こうした指標の数の増加、およびAIを活用した分析手法の進化に伴って政治、経済などあらゆる活動分野において、様々な予測やそれらの結果分析などで非常に役立つツールへと成長していくと期待出来ます。
更に近い将来「世界の空気感指数」も扱われるようになるはずです。
その際、株価や為替の変動予測など、お金に関するものから普及していくはずです。

なお、こうした手法はプロジェクト管理における定量的な分析にも当然活用されるようになると期待出来ます。

 
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2022年07月01日
アイデアよもやま話 No.5309 21世紀型モノづくりの主役として期待される3Dプリンター!
これまで3Dプリンターについては何度となくお伝えしていきました。
そうした中、3月22日(火)付けネット記事(こちらを参照)で21世紀型モノづくりの主役として期待される3Dプリンターについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

・試作品製造など個人主体の「デジタルファブリケーション」から台頭した3Dプリンターだが、この数年は大型化によってその可能性が一段と大きくなっている。
・米国では3Dプリントの街づくりが始まり、国内でも建築業界や自動車業界が注目している。さらにドローンと組み合わせればロボットアームの制約からも解き放たれる。「21世紀型ものづくり」とも言える動きだ。
・日本では近年大地震や豪雨などの災害が続くが、被災者向けのトイレやベッド、椅子などを避難所で製造出来れば早期復旧や事業継続計画(BCP)に役立つ。

(3Dプリンターのユーザー、會澤高圧コンクリート株式会社の事例)
・會澤高圧コンクリートが導入したオランダのスタートアップ企業「CyBe Construction(サイビ・コンストラクション)」製の3Dプリンターは積層しながら壁を作っていくイメージで、従来の構造物の制限にとらわれない柔軟なデザインを短時間で造形できる。
・インド向けのプロトタイプは排泄層にはおがくずを使用し、微生物が固形物を分解するバイオマストイレを採用。さらに空気中の湿気から水を生成する装置を備え、上下水道と連結しない自己完結型のオフグリッド仕様とした。これは清潔な水道インフラが整備されていないインドの状況を加味したためである。装置のコストや電気の供給など、まだハードルはあるものの安全で持続的に使い続けられるトイレのひな形になっている

なお、3Dプリンター事業を推進する入社10年目の若きリーダー、東大智さんは次のようにおっしゃっています。
「3Dプリンター技術は、間違いなく工期全体の短縮につながります。型枠を作って外す作業がなくなりますから。いまでは木材も手に入りにくく、職人が減ってきている問題もあります。我々の方法なら、3次元データとロボットがあればボタンを押すだけで型枠を出力できてしまう。曲線を生かせるなどの自由度が高いので、表現の幅が格段に広がる点は大きなメリットです。」

(3Dプリンターのメーカー、株式会社エクストラボールドの事例)
・2017年12月に設立した同社は、工業用グレードの純国産大型3Dプリンターを開発・販売するベンチャーだ。
・2021年9月には量産機となる「EXF-12」の販売を開始。自動車をはじめ、建築、製造、家具など幅広い業界での活用を見込む。
・EXF-12は最大で幅1.7メートル、高さ1メートル、奥行き1.3メートルの部材を製造できる。工作機械の安定性を基本とし、造形時間の長さ、サイズの小ささ、製造業用途に不向き、材料の選択肢の少なさといった3Dプリンターの課題を克服した点が特徴である。
・技術的には、射出成形スクリューを応用した独自開発の3Dプリントヘッドの存在が目を引く。これにより、1時間あたり最大15kgの高速造形を実現した。高剛性フレームとボールねじ、FAロボットのファナックの技術による制御を用いた安定動作、樹脂の収縮を抑える専用設計の厳密な温度コントロールにも配慮している。
・足腰の強さに加え、汎用の樹脂ペレット材やリサイクル樹脂ペレット材が利用できるのも特筆すべき点だ。3Dプリンターの材料は専用のフィラメントを使うのが一般的だが、EXF-12であれば工場から出る廃プラスチックを原料として製造が可能になる。このことは、SDGsの観点からも大きな意味を持つ。

なお、原雄司社長は次のようにおっしゃっています。
「(「EXF-12」をコンテナサイズにした理由について、)モビリティ(可動性)を意識したからです。12は12フィートの意味で、JRの標準貨物コンテナにすっぽりと入るサイズです。私はもともとコンテナの概念がすごく好きで、将来的にはコンテナタイプの3Dプリンター、切削機、塗装ブースなどをユニット単位で組み合わせてマイクロファクトリーを構築するのが夢です。」
「これが現実のものとなれば、災害時にも移動できるので今まで不可能だったことが可能になってきます。以前、ボランティアで被災地の瓦礫除去に参加したことがありますが、踏み抜き防止の靴を履かないと危険です。でも皆が持ってきているとは限らないじゃないですか。そこにEXF-12を運べば、万能サイズの踏み抜き防止サンダルを1足10分程度で作れるようになります。 」
「また、被災地で活用できる災害時仮設モジュールも試作済みです。ベッド、ソファー、椅子などをその場で1時間ほどの短時間の間に量産できます。2020年には大阪大学のプロジェクトに協力して、フェイスシールドのフレームを1時間で40個出力することに成功しました。」
「いずれにせよ、21世紀にビジネスを展開する上で、社会課題を解決するテーマは最優先だと思っています。今は大量生産・大量消費の社会から脱却している過渡期であり、適材適所のプロダクトが生まれつつあります。中央集権型ではないものづくりが求められる時代にあって、エクストラボールドは最適な提案やソリューション構築ができると自負しています。」

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

この記事を通して、将来のモノづくりのあり方がイメージ出来ましたので以下にまとめてみました。
・3Dプリンター、切削機、塗装ブースなどをユニット単位で組み合わせたマイクロファクトリーを構成する機器の生産工程、およびマイクロファクトリーによるモノづくりは全てCO2排出量ゼロである
・マイクロファクトリーによるモノづくりは地産地消である

また、昨年12月12日(水)付けネット記事(こちらを参照)で従来の製造技術の限界を超える金属3Dプリンターについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・Velo3Dはサンフランシスコ・ベイエリアに拠点を置く、金属3Dプリンターの市場で急激に業績を伸ばすスタートアップだ。金属粉末を敷き詰め、熱源となるレーザや電子ビームで造形する部分を溶融・凝固させるPowder Bed Fusion方式というテクノロジーを利用し、複雑な金属物体を3Dプリントする。支持構造を使うことなく幾何的な立体を作成できるので、複雑な形状の部品を精度高く製造できるのが特徴だ。
・同社のソリューションは、宇宙開発、航空、発電、エネルギー、半導体といった先端テクノロジー分野で、設計の自由度を広げ、技術革新を可能にした。
・2018年に最初のシステムを納入以来、スペースX、Honeywell、ホンダ、Chromalloy、Lam Researchなどのイノベーターと戦略的パートナーを結んだ。
・約30年前に発明されたDfAM(Design for Additive Manufacturing)と呼ばれる金属3Dプリント技術は、技術的な制約があって、特定のニッチな分野にしか使用ができなかった。
・Velo3Dは、この金属制限を克服し、これまでの3Dプリンターでできなかった、内部構造が複雑な部品も作れるようにしたのだ。素材はニッケル超合金、チタン合金、アルミニウム合金や鉄などに対応し、強度についても一般的な鋳造部品よりも同等かさらに高いという。
・Velo3Dの技術は、航空、宇宙、ガス、石油、半導体など高い製造技術が必要とされる分野ほど需要が高い。具体的な成功事例として、Velo3D創業者のBenny Buller氏は2社を紹介した。
・その一つ、スペースXでは、ロケットエンジンをVelo3Dの技術をベースに再設計した。非常に高い効率でエネルギー密度を持つため、エンジンの重量と効率が改善され、ロケットの打ち上げコストが劇的に向上した。
・最先端部品に挑戦することによって、Velo3Dの技術はさらに磨かれ、半導体装置ほか、3Dプリンターメーカーとの競争優位性を保っている。
・ほかにもVelo3Dが積層造形/3Dプリントの競合他社と比べて優れている点がある。それは、当社のソリューションが本当にエンド・ツー・エンドのソリューションとなっている点だろう。競合他社のソリューションでは、プリントされる部品を専門家がわざわざ設計する必要があるが、Velo3DのSapphireソリューションには、標準的な設計用CADファイルをアップロードするだけで、自動的に3Dプリント用に最適化するソフトウェアや「Flow」や品質管理のシステム「Assure」も含まれているのだ。
・2020年から2021年(2650万ドル)は41%の成長をしたが、2022年には3倍以上(8900万ドル)の売上となる見込みだ。この背景には、生産性が5倍に向上し、製造コストを3倍に削減できる新しいシステムがあるという。そして、2021年9月、Baron Capitalなどから1億5500万ドルを調達して上場を果たした。
・現在、社員数は154名でアメリカが中心だが、ヨーロッパやアジアにも進出したいとしている。日本では大陽日酸と販売契約を結んでおり、山梨研究所に、3Dプリンティングの専任技術者を配置。Velo3D社製品のデモンストレーションや技術サポートをしており、すでにいくつかの日本企業に対して提供をしている。
・なお、自動車分野など、大量生産品の部品の場合はコスト的に見合わないため現在は参入していない。しかし、熱交換器など、多くの部品で構成される機器を1つのパーツで実現するなどで、コストに見あってなおかつ自動車の効率を高める部品の製造は考えられる。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

なお、アイデアよもやま話 No.3471 火星有人探査が2024年に実現!?でもお伝えしたように、スペースXは2024年には火星移住計画を実行に移すといいます。
そして、この計画にVelo3Dの3Dプリンターは無くてはならないものなのです。
なぜならば、従来のロケットエンジンは多くのパーツから構成されており、とても重いので燃焼効率が悪く、火星に到達することは不可能だったのです。
ところが、Velo3Dの3Dプリンターはこうした多くのパーツを不要にし、更に再設計によりエンジンの軽量化、および燃焼効率を格段に高めたことにより火星への到達が可能になったのです。
更に、火星に到達後の暮らしにおいても3Dプリンターはモノづくりにおいて欠かせない存在になるはずです。

要するに、どこかに位置する大きな工場で大量生産された製品が購入者のもとに輸送されるのではなく、地球上のみならず、宇宙空間での暮らし、あるいは月や火星など他の惑星への人類の移住に際し、いずれ3Dプリンターにより必要な場所で必要なだけモノづくりが出来るようになると期待出来るのです。
まさしく、3Dプリンターにより新たな産業革命がもたらされると言えます。

ちなみに、数年前に行った展示会で多くの3Dプリンター関連のブースに立ち寄りましたが、説明員によれば、当時はまだまだいろいろと課題山積で本格的な普及は当分先という感じでした。
それが短期間のうちにこれほどまで3Dプリンター関連の技術が進化したという状況はいかに3Dプリンターの将来性が世界的に注目されていたことを物語っていると思うのです。

 
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2022年06月30日
アイデアよもやま話 No.5308 ロシア情勢の悪化でリサイクル市場が拡大!
3月11日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でロシア情勢の悪化によるリサイクル市場の拡大について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

ステンレス、リチウムイオン電池、そして50円硬貨、これら全てに使われているのがレアメタルの一種であるニッケルです。
実はこのニッケル、ロシアへの経済制裁の影響で価格が一気に高騰しているのです。
ニッケルの高騰は私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

コロナ禍の供給不足でニッケルや鉄などの原料価格が上昇したことでステンレス製品の仕入れ値が高騰、更にロシア情勢を受け、今後も値上がりしていく可能性があるといいます。
東京・台東区のかっぱ橋にある調理器具の専門店、高橋総本店 調理道具部の國府田麻理菜店長は次のようにおっしゃっています。
「海外情勢が悪化いたしますと、半年後や1年後に(商品の)価格の上昇になってしまう可能性はございます。」
「既に過去最高、見たことがないくらい上がっておりますので、昨年に対しては(販売価格が)全体を通して2倍近くになる商品も出てくるのかなと。」

加工用のステンレスを製造する大同特殊鋼 渋川工場(群馬県渋川市)を訪ねると、世界有数の特殊な設備でステンレスなどの合金を生産しています。
その原料の一つ、ニッケルがありました。
大同特殊鋼では2月、ニッケルを含むステンレスの価格を4月契約分から10%値上げすると発表しました。
大同特殊鋼の清水哲也取締役は次のようにおっしゃっています。
「ニッケルは2年前と比べると2倍の価格、2月時点で1トンあたり約2万4000ドルになっています。」
「今、ロシアがウクライナに侵攻したことに伴ってニッケルの価格が高騰しまして2万4000ドルの倍ぐらいの価格になってしまっていると。」

世界第3位の生産量を誇るロシアからの供給不安でニッケル価格は急上昇、その影響でロンドン金属取引所は3月8日からニッケルの取引の停止になったため、大同特殊鋼ではニッケル製品の注文を受けても見積りが出せない状況になっているといいます。
清水取締役は次のようにおっしゃっています。
「全くこれは異常な事態だという認識ですね。」
「見積りが出せないということは当社にとっても全く記憶にないですから、原料・市況の価格に応じて値上げは適正な価格をお願いしていかなきゃいけないと思っております。」

こうした中、需要が高まっているのがステンレスのリサイクルです。
静岡県富士宮市にあるエンビプロ・ホールディングスのリサイクル工場では月に2000〜2500台の自動車が持ち込まれ、約30トンのステンレスを取り出しています。
エンビプロ・ホールディングスの佐野文勝専務は次のようにおっしゃっています。
「今はロシアとウクライナの問題でステンレスに使われているニッケルの価格が急騰しているということで、そのような需要もあるんですけども、過去にはなかったEVのマーケットからニッケルが引っ張られているんで、(市場)価格が急騰していると思います。」

こちらではEVやノートパソコンに使われるリチウムイオン電池のリサイクルにも取り組んでいます。
佐野専務は次のようにおっしゃっています。
「(分解した電池から取り出す)「ブラックマス」と我々呼んでいますけども、ニッケルも多いものではこの中に30%含まれているものもありますし、この中からそういう希少金属を回収するという意味では「宝の山」。」

需要の高まりからリチウムイオン電池リサイクル事業の売り上げはこの1年で3倍に増加しました。
世界でのEV拡大に伴って、電池が不足すると専門家は指摘します。
伊藤忠総研の上席主任研究員の深尾三四郎さんは次のようにおっしゃっています。
「半導体も電池も同じなんですけども、材料の争奪戦になっていると。」
「国レベルの争奪戦になっていると。」
「経済安全保障の観点でリサイクル技術の強化と回収の仕組みを強化するのは国家戦略上非常に重要になってきていると。」

またロシア情勢の悪化で原油高、ガソリン高などになっていることからEV化が加速すると予想、リサイクル市場が更に拡大すると深尾さんは見ています。
「既に日本の企業はリユースですとかリサイクルの技術は高いものがありますので、日本の自動車産業はモノづくりだけでなく、海外に強固な販売流通網を持っていますので中古のEVと使用済みのバッテリーを回収する仕組みを作ることによって、EV車載電池は「都市鉱山」そのものなので、それを囲い込む戦略が非常に重要になってくると思っています。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、ロシアへの経済制裁の影響が私たちの生活にどのような影響を及ぼしているのか以下にまとめてみました。
・コロナ禍による供給不足の中、更にレアメタルの一種であるニッケルなどが供給不足になり、ニッケルは2年前と比べると2倍の価格に急上昇するなど、見積りが出せない程原料価格が高騰している
・こうした中、ステンレスやリチウムイオン電池のリサイクル需要が高まっている
・世界的なEVの拡大に伴ってリチウムイオン電池の世界的な需要の高まりにより国レベルの争奪戦になっている
・経済安全保障の観点でリサイクル技術の強化と回収の仕組みを強化するのは国家戦略上非常に重要になってきている
・ロシア情勢の悪化による原油高、ガソリン高でEV化が加速すると見込まれ、リサイクル市場は更に拡大する
・日本の企業はリユースやリサイクルの技術が高く、日本の自動車産業はモノづくりだけでなく、海外に強固な販売流通網を持っている中、EV車載電池は「都市鉱山」(参照:アイデアよもやま話 No.5132 日本は資源大国になり得る!?)そのものなので、それを囲い込む戦略が非常に重要になってくる

こうしてみてくると、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻はいろいろな原材料の供給不足による価格高騰を招いており、経済安全保障の観点から大変な状況にあると言えます。
しかし、見方を変えれば、こうした世界的な供給不足はリユースやリサイクルを拡大させる千載一遇のチャンスと捉えることが出来ます。
しかも、資源小国、日本にはこうした技術の蓄積があります。
ですから、こうした関連企業においては、このチャンスを捉えて是非リユースやリサイクル関連技術を更に高めて「都市鉱山」の開拓に取り組んでいただきたいと思います。
また、こうした一連の取り組みはSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)の達成、すなわち持続可能な社会の実現につながるのです。

 
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2022年06月29日
アイデアよもやま話 No.5307 日本発「空中バイク」、世界へ!
空中を走行するホバーバイクについては以前アイデアよもやま話 No.4395 空飛ぶバイク「Speeder」!でお伝えしましたが、6月5日(日)付けネット記事(こちらを参照)でその近況について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

・ドローン開発などを手掛けるベンチャー企業「A.L.I.(エー・エル・アイ)テクノロジーズ」(東京)が、空中を走行するホバーバイクの受注を海外で始めることが6月4日、明らかになった。
・昨年秋に国内で予約を受け付けたのに続いて中東や米国の富裕層らに「空中バイク」を売り込み、販売を本格化させる。6月8日にモナコで開幕する展示イベントで発表する。
・同社が開発したホバーバイク「XTURISMO(エックストゥーリスモ)」は、プロペラで機体を浮かせて地上数メートルの高さを走行する。「次世代型モビリティー(移動手段)」として注目され、レジャーはもちろん、災害現場での救助活動といった幅広い利用法が想定される。
・ただ、日本では法律上、私有地での走行に限られ、今のところ受注台数はわずかにとどまる。
・一方、中東諸国では走行規制が緩く、既に政府や企業、富裕層から問い合わせが数多く寄せられているという。砂漠の上を走行するのにも適しており、国境警備などに活用できる。
・米国では映画やレースイベントなどの分野で引き合いが強く、エー・エル・アイは海外でより大きな需要を見込めると判断した。
・価格は1台77万7000ドル(約1億円)。6月9日に予約受付を始め、来年初めの納車を見込む。同社の小松周平会長は「中東を最初のターゲットにしたい」と意気込みを語った。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

なお、A.L.I.テクノロジーズ設立の経緯や今後の取り組み、そして「XTURISMO」の動画についてはこちらを参照下さい。
この動画を見ると、まさにホバーバイクは映画「スターウォーズ」から飛び出してきたような近未来の乗り物です。

今回ご紹介したホバーバイクのような新しい乗り物について、日本も含め、世界の大半の国で公道での走行は出来ないのが現状です。
ですから、特に規制の厳しい国内においてホバーバイクに乗れるのはレジャー施設のような場所に限られてしまいます。
それでもこうした乗り物に乗ってみたいと思う人たちは多いと思うので早ければ来年あたりにはどこかで体験出来るかもしれません。
勿論、私も是非試乗してみたいと思っています。

一方、こうした乗り物に対して規制の緩い海外からかなりの引き合いがあるというのはうなずけます。
ただし、以下のような課題があるのも事実ですが、新しい乗り物について乗り越えなければならない課題の山積は当然です。
・短い航続距離
・走行中の騒音
・高価格
・完全電動化
・具体的なビジネスモデル
・法整備

いずれにしても実用化に向けては、レジャー施設での導入や従来のモビリティでは移動が困難とされてきたエリアでの利用からスタートすると思われます。

なお、特に若い技術者の方々にはこうした新しい乗り物や持続可能な社会の実現に欠かせないような、ワクワクした気持ちで没頭出来、しかも社会貢献に直結するようなビジネスにチャンレンジしていただきたいと思います。
こうしたチャレンジの連続により、自ずと経済の活性化は図られるのです。

 
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2022年06月28日
アイデアよもやま話 No.5306 ITを最大限活用してロシアの侵攻に立ち向かうウクライナ!
3月14日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でITを最大限活用してロシアの侵攻に立ち向かうウクライナについて取り上げていたのでご紹介します。

今回のロシアによるウクライナ侵攻ではSNSで“戦場の今”が瞬時に世界に向けて発信され、民間企業にもSNSを通じて様々な協力が求められています。
またサイバー攻撃も活発に行われています。
こうしたことから今起きているのは人類初めての「デジタル戦争」と言われています。
テレビ東京はウクライナ側のデジタル戦略を指揮するキーパーソンに単独インタビューし、「デジタル戦争」の最前線で何が行われているのか聞きました。
ウクライナ側でデジタル戦争の指揮をとるのが2年半前に創設されたデジタル庁です。
そのトップは副首相で起業家でもあるフェドロフ大臣(31歳)です。
そして副大臣に就くのが同じく起業家出身のボルニャコフさん(40歳)です。

今回、テレビ東京はボルニャコフ副大臣の単独インタビューに成功しました。
「侵攻前日までロシア軍が全力でウクライナ全土に侵攻してくるとは思っていませんでした。」
「翌朝6時に爆発音で目が覚めました。」
「それがこの戦争の始まりです。」
「あれ以来、ウクライナに週末はありません。」
「至急やらなければならないことが無数にあります。」

今はキエフ(ウクライナ語に沿った表記はキーウ)を離れ、非公開の場所で身を潜めながら「デジタル戦争」の指揮にあたっています。
「(最初にしたことは、)データを失わないようにサーバーなどを移動し、一部はクラウドに移管しました。」
「また初日に“IT軍”を創設することを決めました。」

ウクライナの“IT軍”のSNSサイトには毎日いろいろな指示が書き込まれています。
このグループには約30万人が参加しています。
“IT軍”の掲示板の内容は誰でも見ることが出来ます。
そこには「明日のターゲットはロシアのニュースサイト、クラッシュさせよう」、「ありがとう、昨日の目標は全て達成しました」といった内容があります。
そこでは政府機関や企業、メディアなどにサイバー攻撃を仕掛ける指示が書き込まれています。
サイバー攻撃に詳しい専門家、トレンドマイクロの岡本勝之さんは次のようにおっしゃっています。
「通信を1ヵ所に集めてサービスを止めさせるといった攻撃がほとんど。」
「(登録している)30万人全員がサイバー攻撃を行うというところではないと思うんですけども、もし30万人全員がサイバー攻撃を行ったとしたら、かなり大きな戦力ではあるかなと思います。」

一方、ロシアからのサイバー攻撃に対して、ボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「戦争は2週間前ではなく、(クリミア侵攻の)8年前に始まりました。」
「サイバー攻撃からの防衛ノウハウを蓄積出来ています。」

また2月26日のテレグラムでウクライナのゼレンスキー大統領は次のようにおっしゃっています。
「我々の独立を守っている。」
「我々の国をこれからも守り続ける。」

デジタル戦争の最大の特徴が大統領から市民にいたるまで戦場の今をリアルタイムでSNSに投稿し、世界に拡散させていることです。
デジタル庁のボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「SNSはとても重要です。」
「国民に安全と勝利への自信を与えることが出来ます。」
「また政府の動きも届けることが出来ます。」
「SNSなしではとても難しいでしょう。」

それは今、民間企業も巻き込んでいます。
デジタル庁のフェドロフ大臣は次のようにおっしゃっています。
「インテル、平和のための技術ですよね。」
「ロシアに製品を売るのは止めて下さい。」

「マイクロソフト、もう少し出来ることがあるはずです。」

フェドロフ大臣が中心となり、既に300を超える民間企業に協力を求め、SNSでメッセージを送信しました。
ボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「(なぜ誰でも見られるSNSを使うのかという問いに対して、)それは一番インパクトがあるからです。」
「メールでは企業は「見ていない」と言えます。」
「SNSだと瞬時に何百万の人が見て、企業も反応せざるを得なくなります。」
「注目を集めることが重要なのです。」

開戦直後にスペースXの創業者、イーロン・マスクさんに求めたものがフェドロフ大臣による「スターリンクを貸して欲しい」というものでした。
それの要望に対して、「使えるようにしてすぐに届ける」というのがイーロン・マスクさんからの返事でした。
スターリンクとは、スペースXが開発中の人工衛星を使ったインターネット接続サービスです。
ボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「1000以上のスターリンクが届けられ、軍や重要な公共インフラに配布されています。」
「ロシアが通信を妨害しようとしても、スターリンクは衛星からインターネットにつながるので助けられています。」

そしてデジタル庁は支援をした国や企業に感謝を述べる動画をすぐさまSNSに投稿します。

今、ウクライナは暗号資産を使って世界から資金を直接集めています。
デジタル庁のボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「既に70億円以上集まっています。」
「本当に予想以上です。」
「防弾チョッキ・食料・ヘルメット・医薬品など、軍の支援物資の購入に使っています。」

当初は、ロシアが侵攻すれば数日以内に首都が陥落すると見られていたウクライナ、想定以上に食い止められている背景にはこのデジタル戦争がうまくいっているからだと主張します。
ボルニャコフ副大臣は次のようにおっしゃっています。
「(デジタル戦略が)この戦争で重要な役割を果たしています。」
「ロシアのインフラを妨害して彼らの動きを遅くしています。」
「(企業に呼びかけ、)ロシア経済にダメージを与えることで軍資金を減らせています。」
「世論調査では92〜93%のウクライナ人がこの戦争に勝つと自信を持っています。」


人類史上初のデジタル戦争、日本の備えは十分なのか、小野寺元防衛大臣に聴きました。
「サイバー攻撃に向う分野は、政府の情報もあれば、防衛分野もあれば、民間の分野もある。」
「まだまだやるべき課題は沢山あると思います。」
「(これから足りない部分をどう補なっていくのかという問いに対して、)まず圧倒的に一番は人材です。」
「サイバーに詳しい人材育成、特に若い感覚で早く柔軟な対応をしなきゃいけない。」
「自衛隊でもしっかり育成するために例えば自衛隊の高校があいます。」
「民間には、日本は情報通信の先進国ですから多くの人材もおります。」
「軍という組織ではなくてオールジャパンでサイバーを防衛する。」

日本もNATOと一緒にサイバー対策を非常に研究しているということでした。
そして、今回、ウクライナの戦い方でSNSが強力な武器になるということがよく分かりました。
戦況に大きな影響を与えていることも間違いなさそうだということですが、SNSで呼びかけられて、政府だけではなくて民間企業もスタンスを明確にする必要が出てきていることも今回の大きな特徴です。
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「初期段階ではロシアのハイブリッド戦略(サイバー戦や情報戦といった非軍事的手段の活用)が注目されたわけですけども、ウクライナは市民を巻き込んだ格好で反撃に出ているというところで非常に注目される動きですね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、今起きている人類初めての「デジタル戦争」について以下にまとめてみました。
・ウクライナはデータを失わないようにサーバーなどを移動し、一部はクラウドに移管し、初日に“IT軍”の創設を決めた
・“IT軍”のSNSサイトには毎日いろいろな指示が書き込まれており、このグループには約30万人が参加していて、掲示板の内容は誰でも見ることが出来る
・ロシアとの戦争はクリミア侵攻の8年前に始まり、ロシアによるサイバー攻撃からの防衛ノウハウが蓄積出来ている
・ウクライナは暗号資産を使って世界から必要とする戦費を直接集めている
・デジタル戦争の最大の特徴が大統領から市民にいたるまで戦場の今をリアルタイムでSNSに投稿し、世界に拡散させていることである
・ゼレンスキー大統領は毎日、ウクライナ侵攻の状況をSNSに投稿し、世界各国にウクライナ支援を求めている
・一方、デジタル庁ではSNSを通じてインテルやマイクロソフト、スペースXなど多くの世界中の民間企業に支援を求めており、開戦直後にスペースXの創業者、イーロン・マスクさんに貸与を求めたスターリンクは軍や重要な公共インフラに配布されており、ロシアによる通信妨害対策として役立っており、またロシアのインフラを妨害して彼らの動きを遅くしている
・暗号資産を使って世界から予想以上の資金を直接集めている
・当初は、ロシアが侵攻すれば数日以内に首都が陥落すると見られていたウクライナだが、想定以上に食い止められている背景にはこうしたデジタル戦争がうまくいっていることがある

こうしたウクライナによるITを最大限に活用した人類初めての「デジタル戦争」が功を奏して、以下の成果をもたらしているのです。
・当初は、ロシアが侵攻すれば数日以内に首都が陥落すると見られていたウクライナが想定以上に食い止められている
・世論調査では92〜93%のウクライナ人がこの戦争に勝つと自信を持っている

なお、ウクライナによる「デジタル戦争」の中でもSNSの活用は以下の点で特筆すべきだと思います。
・“IT軍”のSNSサイトの掲示板の内容は時々刻々と毎日更新され、リアルタイムで世界中の誰もが見ることが出来る
・従って世界中の多くの人たちの共感を継続して得ることが出来る
・また協力を求められた国や企業は何らかの反応せざるを得ない
・更に個々の戦闘地域での市民による動画アップなどがウクライナ軍の重要な戦況把握手段となり、有効な戦術のデータとして活用されている

ということで、ロシアによるウクライナ侵攻におけるウクライナの戦い方は日本も含めて世界中の多くの国々に対して今後の効率的、かつ効果的な戦い方の事例として大いに参考になると思われます。

 
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2022年06月27日
アイデアよもやま話 No.5305 クライナ危機の根源はミンスク合意!?
2月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でクライナ危機の根源と見られるミンスク合意について取り上げていたのでご紹介します。 

ロシアのプーチン大統領は2月22日の会見で、ウクライナへのロシア軍の派遣という自らの主張を正当化しました。
「もはや「ミンスク合意」(こちらを参照)は存在しない。」
「我々が(親ロシア派の)独立を認めたのに、なぜ従う必要があるのか。」

ウクライナ東部の紛争の和平解決を目指し、当事者らで交わされたミンスク合意(2014〜2015年)、合意ではウクライナが親ロシア派に自治権を与える代わりに親ロシア派側は外国部隊を撤退させる取り決めでしたが、ロシアはウクライナ側が先に合意を破ったと主張、ロシアからウクライナへの軍の派遣を正当化しました。
更にプーチン大統領は独立を認める新ロシア派の領土について、現在実効支配する地域だけではなく、ドネツク州とルガンスク州の全体が対象になり得ると発言、親ロシア派が支配していない地域にもロシア軍を派遣する可能性を示唆したのです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また2月22日(火)付けネット記事(こちらを参照)でも同様のテーマについて取り上げていました。

私たちはバイデン大統領が「ロシアがウクライナ侵攻を実行に移す可能性が高い」という報道からロシアによるウクライナ侵攻について知るようになったと思います。
しかし、今回ご紹介したテレビ番組やネット記事を通して見ると、必ずしもロシアのプーチン大統領が一方的にとんでもない決断をしたとは言えないところがあります。
ロシアによるウクライナ侵攻のきっかけと言われるミンスク合意前からウクライナ侵攻の直前までの状況について以下にまとめてみました。
・ロシアとウクライナの関係が悪化した発端は、2014年にウクライナに親欧米政権が誕生したことにある。
・「新政権がロシア語話者(親ロシア系住民)を迫害する」との警戒から、親ロシア系住民が多数を占めるドンバス地域(ドネツク州とルガンスク州)で分離独立の気運が高まり、ドンバス地域の一部に半ば独立状態が生まれた。
・ドンバス地域では当初、ウクライナ政府軍と分離派武装勢力との間で激しい戦闘状態になったため、ドイツとフランスが仲介に乗り出し、2015年2月に現在の停戦協定であるミンスク合意を成立させた。
・ミンスク合意は単なる停戦協定ではない。「ウクライナ政府がドンバス地域の一部に強い自治権を認めるなどの内容を盛り込んだ憲法を改正する」という高度な政治的取り決めも含まれている。
・2019年に就任したゼレンスキー大統領は、不利な戦局の中で結ばれたミンスク合意の修正を求めたが、ロシアはこれに応じなかったことから、昨年1月「ミンスク合意を履行しない」と宣言した。
・これに対し、ロシアは「ウクライナがミンスク合意を破棄して武力解決を試みようとしている」と警戒、昨年3月からウクライナ国境沿いに軍を増派して圧力をかけた。
・この動きに敏感に反応したのが本来の調停者であるドイツやフランスではなく、部外者である米国だった。バイデン政権の対ロ強硬派がこれを奇貨としてロシアの脅威を煽ったことから、焦点がミンスク合意からNATOの東方拡大にすり替わってしまった感が強い。
・フランスのマクロン大統領は2月7日にロシアを訪問、その直後にウクライナのゼレンスキー大統領と会談して「ミンスク合意に基づき憲法改正を実施する」ことを約束させたといわれている。2月15日にロシアを訪問したドイツのショルツ首相もミンスク合意に言及したことで、「問題の本質はミンスク合意だ」との認識に戻りつつある。
・「ミンスク合意の遵守に絞って協議が続けば、ウクライナをめぐる事態はいずれ鎮静化する」と筆者は考えているが、ミンスク合意に関するロシアとウクライナの溝は深く、2月11日に行われた協議でも進展はまったく見られなかった。
・ウクライナ東部では2月17日から戦闘が激化し、双方が「責任は相手側にある」と非難する事態になっている。分離派武装勢力が劣勢となり、親ロシア派住民の安全が脅かされるようになれば、ロシアがウクライナ領内に軍を投入せざるを得なくなるかもしれない。
・繰り返しになるが、ウクライナ危機の根源はNATOの東方拡大ではなくミンスク合意である。最悪の事態を回避するために、日本を含め国際社会はウクライナ東部の停戦を早期に実現させるための最大限の努力をすべきなのではないだろうか。

こうしてまとめてみると、プーチン大統領がウクライナ侵攻を決断した背景には、不利な戦局の中で結ばれたとは言え、ミンスク合意(2015年2月)をゼレンスキー大統領が昨年1月に「ミンスク合意を履行しない」と宣言したことにあると言えます。
ですから、上記ネット記事の筆者、経済産業研究所コンサルティングフェロー、藤和彦さんは「ウクライナ危機の根源はNATOの東方拡大ではなくミンスク合意である」と指摘されているわけです。

なお、2月7日にマクロン大統領はゼレンスキー大統領と会談して「ミンスク合意に基づき憲法改正を実施する」ことを約束させたと言われています。
ですから、もし、この時点で即座にゼレンスキー大統領がプーチン大統領にミンスク合意についての協議を強力に働きかけていれば、ロシアによるウクライナ侵攻を未然に防げた可能性があるのです。
ですからウクライナとロシアとの国家間の合意である「ミンスク合意」をゼレンスキー大統領が昨年1月に一方的に「履行しない」と宣言したことは大失態と言えます。
従ってロシアによるウクライナ侵攻はプーチン大統領に一方的に責任があるという見方は間違いだと思うのです。

いずれにしてもロシアによるウクライナ侵攻はまだ続いており、いつまで続くのか全く分からない状況ですが、このような状況はウクライナ、およびロシアの国民に限らず、世界各国の経済状況に大きな被害をもたらしているのですから、一刻も早く停戦に持ち込むことが求められるのです。

 
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2022年06月26日
No.5304 ちょっと一休み その813 『ロシアは意外としぶとい』
3月9日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で経済制裁されても意外としぶといロシアについて取り上げていたのでご紹介します。 

ウクライナ侵攻によりEUやアメリカ、日本などから経済制裁を受けているロシアですが、こうした状況について、ロシア経済に詳しいN&Rアソシエイツ代表の西谷公明さんは次のようにおっしゃっています。
「ロシアという国は意外としぶとい。」
「エネルギーと食料を自給出来る経済、国産化がかなりこの数年で進んできているので、ロシア経済は私たちが考える以上に強靭な体質改善が進んできているんだろうと。」

ただ、国民の生活に大きな影響を与えるものもあるといいます。
「ロシアの人たちが当たり前のように使ってきた欧米の商品文化から完全に孤立させられると制裁そのものよりもむしろロシア社会に対するインパクトが大きいんだろうと思っています。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

また6月11日(土)付けネット記事(こちらを参照)でロシアはあと1年は「現在のペース」で戦争継続可能であると報じていたのでその一部をご紹介します。

ウクライナ国防省情報総局は6月11日までに、ロシアはあと1年は「現在のペースで」戦争を継続できるとの見方を示し、前線のウクライナ軍が火力で大きく劣勢に立たされている状況に警鐘を鳴らした。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

そして6月14日(火)付けネット記事(こちらを参照)でロシアの化石燃料収入について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

フィンランドの研究機関「エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)」は13日、ロシアの化石燃料の輸出に伴う収入がウクライナに侵攻した2月下旬からの100日間で、930億ユーロ(約13兆円)に上るとの推計を発表した。欧米などが対ロ制裁を進める中、こうした収入が「ロシアの軍備強化と侵攻の重要な支えになっている」と指摘した。
輸出先は中国の126億ユーロが最大で、ドイツが121億ユーロ、イタリアが78億ユーロと続いた。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

これらの内容を以下にまとめてみました。
・ロシアはエネルギーと食料を自給出来るので、ロシア経済は私たちが考える以上に強靭な体質である
・一方で、ロシア人が欧米の商品文化から完全に孤立させられると制裁そのものよりもむしろロシア社会に対するインパクトが大きい
・ウクライナ国防省情報総局は、ロシアはあと1年は「現在のペースで」戦争を継続出来るとの見方を示している
・欧米などが対ロ制裁を進める中、ロシアの化石燃料の中国などへの輸出に伴う収入がロシアの軍備強化と侵攻の重要な支えになっている

また、アイデアよもやま話 No.5219 驚くべきウクライナ侵攻のロシアの1日当たりの戦費!でお伝えしたようにロシア軍では1日当たり約2.3兆円戦費がかかっているという試算があります。

いずれにしても、ロシアはウクライナ侵攻を続ける上で莫大な戦費がかかっているのですが、今のところプーチン大統領はウクライナとの間で休戦の意思はないといいます。
また、ロシアはエネルギーと食料を自給出来るのでロシア国民は最低限の暮らしを続けることは出来るようです。
なのでロシア経済は意外としぶといというわけです。
一方で、ロシア人が欧米の商品文化から完全に孤立させられると、制裁以上にロシア社会に対するインパクトが大きいとの見方があります。
ですから当面、ロシアによるウクライナ侵攻は続くと思われますが、若い世代を中心にロシア国民の暮らしの楽しみを奪われた我慢の限界がロシアの内部崩壊をもたらすことによりウクライナ侵攻が終結することを期待したいと思います。

 
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2022年06月25日
プロジェクト管理と日常生活 No.751 『 経済指標で日韓の逆転が始まっている!』
3月7日(月)付けネット記事(こちらを参照)で日本経済は既に韓国に追い抜かれていることについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て記事掲載時のものです。

・日本経済研究センターが2027年には韓国が名目GDPで日本を上回りし、台湾も同年に上回ると予測したとき、大きなニュースとなった。しかし、国際通貨基金(IMF)によると、韓国はすでに2018年に日本を追い抜き、台湾は2009年に追い抜いている。
・さらに、韓国は2026年までに日本より12%リードするとみられている。 IMFは、購買力平価(PPP)と呼ばれる基準を用いており、これは、実際の生活水準を比較するために、価格と為替レートの変動を均衡するものだ。
・しかも、韓国は日本とは異なり、その成長成果を労働者に与えてきた。1990年から2020年までの30年間、平均的な日本の労働者は年間実質賃金(付加給付を除く)の上昇を享受しなかったが、韓国の労働者の賃金は2倍になっている。現在、韓国の労働者は日本の労働者よりも高い実質賃金を得ている。
・この「逆転」は、韓国よりも日本について多くを語る。健全な新興工業国は、経済的に裕福な国の技術レベルに追いつくペースが早く、経済的にも富裕国より早く成長する。日本と韓国も同様に先進国の技術に追いつき、経済成長を果たしてきた(そして日本については、奇跡の成長が終わった後も、技術的な進化は続いた)。
・1970年には日本の時間あたりの労働生産性は、アメリカのそれの40%に満たなかったが、1995年までに71%にまで上昇した。が、その後、失われた10年の間に日本が後退したことで、この数字は63%にまで低下している。
・一方、韓国はアメリカに追いつき続けた。1970年の時間あたりの労働生産性はアメリカの10%に過ぎなかったが、2020年までに58%に急上昇。まもなく、韓国はこの指標でも日本を追い抜くだろう。
・いずれにしても、日本と韓国における1人当たりのGDPは、アメリカやヨーロッパを大きく下回っており、韓国は追いつきつつある一方で、日本はこれに後れをとっている、というのが今の構図だ。しかも韓国は構図的欠陥の少なくとも一部を改善するため、より多くの取り組みを行っている。逆に言えば、日本は韓国から学ぶところがある、というわけだ。
・経済がきちんと成長するためには、高い潜在的成長を実現するための生産性向上を実現しなければいけない。同時に、経済がフル稼働するには、需要側の安定性が必要である。
・この点で、韓国は日本よりうまく需要側をコントロールしてきた。前述の通り、韓国では労働者の賃金がGDPと並行して上昇している。その結果、韓国の世帯は自国が生産したものを買う余裕がある。正常な経済では、民間需要の不足を補うために、慢性的な政府による支出と、必要以上に大きな貿易黒字は必要ないのだ。
・賃金格差については、韓国のほうが日本より状況が悪いが、韓国はこの改善にも取り組んでいる。例えば、最低賃金は中央値は62%に引き上げられており、これはOECDで3番目に高い比率になっている。日本はいまだ45%にとどまっている。
・韓国の対GDPにおける輸出額は日本の2倍だが、内需が強いことから、韓国は世界的な危機に対して日本より耐性がある。2008〜2009年の金融危機時、日本のGPDが7%減少した一方、韓国のGDPは4%増加した。また、過去2年のコロナ禍において日本のGDPは3%低下したのに対して、韓国のGDPは3%上昇した。一般的にマクロ経済危機の影響を受けにくい国は、長期的に平均成長率が高くなる。
・生産性の面では、経済成長に必要な第一要素は最新設備への投資である。1980年当時、韓国の各労働者は日本の労働者の23%の資本しか持っていなかったが、2020年までに韓国の労働者は日本の労働者より12%多く持つようになった。
・2つ目の大きな要素は、教育と訓練である。「人的資本」は、1人ひとりがどれだけ学校教育を受け、さらなる追加の学歴が各国の成長に貢献するものだが、1960年、韓国は日本と比べて70%の人的資本しか享受していなかった。これが2019年までに5%増加し、韓国の人的資本は先進国31カ国中5位となり、日本は13位になった。
・多くの日本人が大学を卒業しているにもかかわらず、日本はなぜ後れをとっているのだろうか。2020年には、24〜34歳の年齢層では韓国人の70%が大卒で、日本は62%と先進国トップレベルにある。ここからわかるのは、日本企業がこうした高い学歴を持つ人を最大限に活用する訓練やテクノロジーを導入できていない、ということだ。
・問題は訓練費用だけではない。大学以前の教育に投資する費用(GDP比)で見ても、韓国がOECD26カ国中15位なのに対して、日本は下からなんと2番目。大学教育に関して言えば、日本は公的資金に最もお金をかけていない。 経済的負担は家族に課せられる。その結果、裕福でない家庭の優秀な日本人学生は大学に進学できず、個人にとっても国にとっても損失となっている。
・ある国の経済が発展していくうえで最も重要な要素はインフラ、近代産業、および教育にどれだけ投資するかである。しかし、国がある程度経済的に成熟すると、より重要なのは国がどれだけ投資するかではなく、どれだけ賢明に投資するか、つまり、企業が投資した1円や1ウォンからどれだけの利益を得られるか、である。
・この点で見ると、サムスン電子はより優れた製品や、賢い労働者を持つからではなく、優れた戦略を実行したことからソニーに取って代わったと言える。
・国が物的資本と人的資本の両方からどれだけの利益を得るかを測る尺度は、全要素生産性(TFP)と呼ばれる。 資本と労働の投入量が2%増加し、GDPの生産量が3%増加する場合、その1%の差はTFPである。長期的には、TFPの堅調な成長は、1人当たりGDPの成長を最も確実に保証するものだ。 2014年から2019年にかけて、韓国はOECD 23カ国の中で1位となり、TFPは年間1.5%の成長を遂げた。対照的に、日本は0.6%でわずか10位だった。
・TFP成長の一部は、アーク式電気炉を備えた製鉄所など、より最新の技術に投資することによってもたらされる。しかし、先進国はどこも同じような技術を利用している。こうした中、TFPの差を生む要因の1つは、その技術をどれだけうまく利用しているか、である。
・試しにデジタル技術を見てみよう。日本と韓国はともに、大企業と中小企業間の大きなデジタルデバイドに悩まされているが、情報通信技術(ICT)に投資している韓国企業は、これをより効率的に活用する取り組みをしている。
・例えば企業は、ICTを事務作業や工場作業の自動化など、すでに実行している作業のコストを削減するために使うのか、それとも新製品や改良製品を生産するために使うのか、的確に顧客を狙うために使うのがいいのかという選択に迫られる。日本経営開発研究所は、デジタル分野におけるこのような「ビジネスアジリティ」で国をランク付けしているが、2021年に64カ国中、韓国は5位だったのに対し、日本は53位と完全に後れを取っている。
・企業は、従業員がICTをうまく使うスキルを持っていない限り、ICTを最大限に活用できない。 世界経済フォーラムが労働力のデジタルスキルで141カ国をランク付けしたとき、韓国は25位だったが、日本は驚くほど低い58位だった。
・韓国は新興企業や起業家育成にも力を入れている。特に研究開発分野への投資は国が生み出す高成長中小企業の数に大きな違いをもたらす。日本では従業員250人未満の企業に対する政府の財政援助は、研究開発分野での政府援助の12%と、OECDで最も少ない。対して韓国では研究開発への政府支援の半分は中小企業に充てられる。これが、韓国のビジネス研究開発全体の22%が中小企業によって行われている理由の1つである(日本ではたった4%である)。
・こうしたさまざまな取り組みの結果、2017年時点で韓国には8000を超える高成長企業(従業員が10人以上で、3年間連続で年間20%以上成長した企業)があった。先進国12カ国の中で、韓国は労働者100万人当たりの高成長企業数で5位にランクインしている。残念ながら、日本は起業家の成功に関する重要指標を測定したことがない。これは国が何を重要視しているのかを如実に語るものだ。
・さまざまな数字は日本にとって悪いニュースかもしれないが、これはいいニュースでもある。韓国の経験を踏まえて、正しい構造改革を行えば、日本にも明るい未来が待っている可能性を示しているのだから。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

こうしてみてくると、いかにかつての経済大国、日本は経済的に停滞しており、かつての面影はなくなっております。
そして経済指標の多くの面で韓国に追い抜かれていることが分かります。
今や、日本は韓国の経済政策を見習う立場になってしまったと言えます。
そうした中、岸田政権は新たな経済政策「新しい資本主義」を掲げております。
勿論、国の経済政策においてどのような目標を掲げるか、その内容はとても重要です。
しかし、目標を達成するうえで、プロジェクト管理の観点から目標設定の数値化も重要です。
そして、今回ご紹介したネット記事で示されている経済指標で見ると明らかにその数値は悪化している、もしくは停滞しているのです。
ですから、国の経済政策の成果が国民に理解し易いように、最終目標、およびそれを達成するための個々の目標を数値化、すなわち“見える化”して目標を達成して欲しいと願います。
その際、個々の目標において、世界ランキングも明示すべきです。
それによって、世界的に見て日本の経済政策の良さの程度が分かるからです。
そして、長期的には全ての経済指標で世界トップを目指して欲しいと願います。

なお、これまでの日本の経済が長期的に見て停滞していた背景には大きく2つあると思います。
1つ目は、国も国民も日本の経済状況を世界的な視点から数値的に直視してこなかったことによる危機感の欠如です。
2つ目は、デジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗り遅れてしまったことです。

 
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2022年06月24日
アイデアよもやま話 No.5303 世界を救った新型コロナワクチン研究の舞台裏!
6月12日(日)放送の「深層報道バンキシャ」(日本テレビ)で世界を救ったワクチン研究の舞台裏について取り上げていたのでご紹介します。

新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向にありますが、そのコロナワクチンの迅速な開発に大きく貢献し、世界を救ったとも言われる研究者に番組がインタビューしました。

新型コロナワクチン開発の立役者、カタリン・カリコさん(67歳)は世界で新型コロナウイルスがまん延する中、カリコさんが研究した遺伝物質の技術は通常数年かかるワクチン開発をわずか1年で成功に導きました。
現在はドイツの医薬品メーカー、ビオンテックの上級副社長を務めています。
今回、科学技術の進歩に大きく貢献した研究者に与えられる日本国際賞「ジャパン プライズ賞」を受賞し、来日しました。
“パンデミックから人々を救った”と言われ、ノーベル賞受賞の呼び声も高いカリコさん、しかし、その研究生活は困難と挫折の連続でした。
カリコさんはインタビューで次のようにおっしゃっています。
「(研究を最初にしていた頃は今みたいな日が来ることは見えていなかったのかという問いに対して、)そうなんです。」
「でも研究している時は、この研究がいかに重要か、いつの日か役に立つと信じていました。」
「ワクチン開発の役に立つとは想像していませんでした。」
「ワクチンを作ろうとしていたわけではなかったのです。」

昨年8月、カリコさんの壁画が描かれたのは東欧、ハンガリーの首都、ブタペスト、ハンガリー出身のカリコさんの功績を称えたものです。
ハンガリーの小さな町で精肉店で働く父と会計士の母親に育てられたカリコさん、ハンガリーでの遺伝物質の研究時代の1980年、ハンガリーは社会主義体制下で経済が停滞、カリコさんの研究費は打ち切られ、研究を続けられなくなりました。
世界各地の研究機関に連絡し、採用が決まったのはアメリカの大学、この時、30歳、知り合いが一人もいない異国に夫と当時2歳の娘と移住する決断をしました。
当時、ハンガリーからの渡航には大きな制限があったといいます。
「ハンガリー政府はアメリカに移住する時、私たち3人で100ドルしか持ち出しを認めてくれませんでした。」
「100ドルだと1ヵ月も生活出来ません。」
「(ふと目に留まったのは子どもが持っていたあるもの、)テディベアにお金を入れて縫い直して娘に渡したんです。」
「娘に1000ドルくらいのお金をこっそり持ち出させたんです。」
「そのお陰でアメリカに到着した後、最初の給料がもらえるまでの1ヵ月間食べ物を買えて生活することが出来ました。」

こうして研究者の職を再び得ることは出来ました。
しかし、信念を持って続ける遺伝物質の研究の意義が理解されず、大学を転々としたり、研究チームのリーダーを降ろされるなど、不遇の時は続きました。
しかし、カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「その経験がなければ、今ここにはいないと思います。」
「それぞれの職場で困難に直面しましたが、「なぜ私が仕事を失ったんだろう」と考えるのではなく、「次に何をすべきか」を考えることに集中したんです。」

幼い子どもを抱え、研究に没頭するカリコさんを支えたのはエンジニアの仕事をしていた夫でした。
「夫はいつも私を助けてくれました。」
「私が土曜日や日曜日に研究室に行ったとしても、文句一つ言わなかったんです。」
「私が料理を作らなければいけない時、「OK、行っておいで」と言ってくれたのです。」
「私は自分の夢を応援してくれる良い夫に出会えた女性です。」

日の目を見ない時期が続いた研究開始から約35年、遂に転機が訪れました。
ドイツの医薬品会社の目に留まったのです。
この時、58歳、研究した遺伝物質を使い、「がん治療薬」を作れないか、会社があるドイツに拠点を移し、研究を続けました。

そして新型コロナウイルスの感染が広がりました。
その中で、会社はカリコさんが開発した遺伝物質、メッセンジャーRNA(参照:アイデアよもやま話 No.5173 注目のmRNAに日本人が貢献!)の技術を使い、新型コロナウイルスワクチンの開発を決定しました。

ワクチンの仕組みは以下の通りです。
メッセンジャーRNAとは、遺伝情報の一部を細胞に運ぶもので、メッセンジャーRNAに新型コロナウイルスの遺伝情報をコピーし、ワクチン接種で体内に入れます。
するとウイルスの一部であるスパイクタンパク質が作られます。
このタンパク質に毒性はないが、体はウイルスが入ってきたと勘違いして抗体を作ります。
その抗体が本当にウイルスが入ってきた時にウイルスを攻撃し、ブロックするのです。
ワクチンの実現を可能にしたのがカリコさんが開発していた技術なのです。

これまで人工的にメッセンジャーRNAを体内に取り込むと激しい炎症反応が起きていました。
カリコさんはRNAを合成する物質を一部変更することで炎症を抑える方法を発見、これが今の新型コロナワクチンに活かされているのです。
カリコさんががんなどの治療薬のために研究してきた技術はワクチンの開発に大きく貢献したのです。
通常数年かかるワクチン開発を異例の短期間で成功させた裏にはカリコさんのこれまでの研究成果があったのです。
カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「(ワクチンが成功した時に自分に与えたご褒美について、)ピーナツにチョコレートがかかっているお菓子で名前は「グーバーズ」、ワクチンが大成功だと知った時、丸々一箱食べたんです。」
「夫に「全部食べちゃうわよ」と言って食べたんですよ。」

世界中の多くの人々の命を救ったというメッセンジャーRNAワクチン、ウイルスの変異にもすぐ対応出来るといいます。
カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「今あるワクチンが効かない、新しい変異ウイルスが出てきても6週間で新しいワクチンを作ることが出来ます。」
「例えば何百万回もの大量のワクチンを作るには2〜3ヵ月は必要になりますが、ものすごく早くなったんです。」

その技術の可能性はこれだけではありません。
私たちに身近なもう一つのワクチンへの活用も期待されているのです。
カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「(日本では毎年冬にインフルエンザウイルスのワクチンを打つが、RNAワクチンが適用でいるようになるかという問いに対して、)まさにその研究が最も進んでいます。」
「ビオンテックとファイザーは2018年にRNAをベースとしたインフルエンザ用ワクチンを開発することに署名しました。」

更にモデルナは新型コロナとインフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンを開発中だといいます。

人類史上初めて使われたメッセンジャーRNAワクチン、かつてないスピードでの開発故に不安の声もあります。
カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「(メッセンジャーRNAという社会に浸透していない言葉が出たことによって、不安に思ったり、抵抗を感じる方が多かったと思いますが、)科学者の私も報道関係者もここまでいい仕事が出来ていないということです。」
「私たちが人々にしっかり説明しんかったからだと思っています。」
「メッセンジャーRNAは人工的なものではなく、もともと私たちの体の中にあるものです。」
「そしてワクチンは1年で完成したわけではなく、何十年も研究して作られたものだと私たちは伝えるべきでした。」

ワクチンに使うメッセンジャーRNAはもともと体内に存在するものを応用したもので、長年の研究の蓄積があるとカリコさんは安全性を訴えました。

波乱に満ちた長い研究生活、その間にカリコさんとともにあのテディベアを手にアメリカに渡った娘さん、実はボート競技のアメリカ代表選手となり、北京とロンドンオリンピックで金メダリストになったのです。

自らの研究生活を重ね、カリコさんは次のようにおっしゃっています。
「私は、ボートと科学は似ているとよく言っています。」
「漕ぎ手はずっと後ろを向いて漕いでいるのでフィニッシュラインが見えませんよね。」
「科学も同じでフィニッシュラインがどこかは見えません。」
「でも必死で漕いでいくんです。」

番組の最後に番組MCの桝太一さんは次のようにおっしゃっています。
「笑顔でおっしゃっていますが、カリコさんがボートを漕いできた期間は30年以上です。」
「恐らく今の日本にも10年20年先に花が咲くと信じて種をまいている研究者の方が沢山いらっしゃると思います。」
「私たちはそういうことを知って、伝えていくべきではないかと個人的には思いました。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・世界で新型コロナウイルスがまん延する中、現在はドイツの医薬品メーカー、ビオンテックの上級副社長であるカリコさんが研究した遺伝物質の技術は通常数年かかるワクチン開発をわずか1年で成功に導いた
・しかし、その研究生活は困難と挫折の連続だった
・ハンガリーでの遺伝物質の研究時代の1980年、カリコさんの研究費は打ち切られ、研究を続けられなくなったが、この研究がいかに重要かを信じていた
・しかし、当時、カリコさんはこの研究がワクチン開発の役に立つとは想像していなかった
・世界各地の研究機関に連絡し、採用が決まったのはアメリカの大学、この時、30歳、知り合いが一人もいない異国に夫と当時2歳の娘と移住する決断をし、研究者の職を再び得ることが出来た
・しかし、信念を持って続ける遺伝物質の研究の意義が理解されず、不遇の時は続いた
・それでもカリコさんは「なぜ私が仕事を失ったんだろう」と考えるのではなく、「次に何をすべきか」を考えることに集中した
・幼い子どもを抱え、研究に没頭するカリコさんを支えたのはエンジニアの仕事をしていた夫だった
・日の目を見ない時期が続いた研究開始から約35年、この時、58歳、ドイツの医薬品会社の目に留まり、研究した遺伝物質を使い、「がん治療薬」を作れないか、ドイツに拠点を移し、研究を続けた
・新型コロナウイルスの感染拡大の中、会社はカリコさんが開発した遺伝物質、メッセンジャーRNAの技術を使い、新型コロナウイルスワクチンの開発を決定した
・ワクチンの実現を可能にしたのがカリコさんががんなどの治療薬のために研究してきたメッセンジャーRNAの技術なのである
・通常数年かかるワクチン開発を異例の短期間で成功させた裏にはカリコさんのこれまでの研究成果があった
・世界中の多くの人々の命を救ったメッセンジャーRNAワクチンはウイルスの変異にも6週間で対応出来るという
・更に現在、モデルナではメッセンジャーRNAをベースとした新型コロナとインフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンを開発中という
・人類史上初めて使われたメッセンジャーRNAワクチンに不安の声もあるが、ワクチンに使うメッセンジャーRNAはもともと体内に存在するものを応用したもので、長年の研究の蓄積があるとカリコさんは安全性を訴えている

こうしてまとめてみると、カリコさんの研究について、以下のようにいくつか思うところが出てきました。
(”ネバーギブアップ”精神)
カリコさんは遺伝物質の研究からスタートし、ワクチン開発の役に立つとは思っていなかったのです。
そして、研究を続けるにあたり、不遇の時代が長年続きましたが、それでも自分が取り組んでいる研究がいかに重要かを信じて諦めずに研究を続けたのです。
そして、研究開始から約35年、ドイツの医薬品会社の目に留まり、研究した遺伝物質を使い、「がん治療薬」を作る研究をすることになったのです。

(コロナワクチンとの偶然の出会い)
新型コロナウイルスの感染拡大の中、会社はカリコさんが開発した遺伝物質、メッセンジャーRNAの技術を使い、新型コロナウイルスワクチンの開発を決定し、短期間のうちにこの開発を成功させました。

(人類への多大なる貢献)
カリコさんの開発したワクチンは世界各国で接種され、世界中の多くの人たちの命を救い、パンデミックを収束させ、経済への悪影響も軽減させました。
更にメッセンジャーRNAワクチンはウイルスの変異にも6週間で対応出来るというのです。
なお、メッセンジャーRNAはもともと体内に存在するものを応用したもので、人体に安全だといいます。
更に現在もモデルナではメッセンジャーRNAをベースとした新型コロナとインフルエンザの両方に効果がある混合ワクチンを開発中といいます。

こうしてみると、あらためてカリコさんの不屈の精神のお陰で人類は救われていると思います。
また、基礎研究においては、どの研究がどの分野で役立つかは分からず、従って研究機関や企業は開発資金の制約から役立たないと判断された研究には”研究の中止”の判断が下されるのが一般的です。
ですから、多くの研究者はこうした資金的な制約から研究を断念せざるを得なくなってしまうのです。
しかし、こうした研究者の中には、カリコさんのように不屈の精神で何とか研究を続けるチャンスを探して一定の成果を得る方もいらっしゃるのです。
ですから研究者にとってとても大事なことはカリコさんもおっしゃっているように、自分の研究がいかに人類にとって重要かを信じることなのです。
そのうえで研究のスポンサーとの”偶然の出会い”を待つ忍耐心なのです。

ということで、日本にも沢山の研究者の方々がいらっしゃると思いますが、自分の研究がいかに素晴らしい成果をもたらすかを常に認識し、”偶然の出会い”を信じて不屈の精神で研究を進めていただきたいと思います。

 
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2022年06月23日
アイデアよもやま話 No.5302 特産品の雪中貯蔵に取り組む雪国!
アイデアよもやま話 No.5287 北国の“白いダイヤ“ !?で冬に集めた雪を倉庫で1年中保存し、お米を保管したり、大量のサーバーの冷却に活用する取り組みについてお伝えしました。
そうした中、3月10日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で 特産品の雪中貯蔵について取り上げていたのでご紹介します。

この冬は東北、北陸、更に東京などでも大雪の被害が相次ぎました。
この厄介者の雪を有効活用して地方から特産品を生み出そうという試みが始まりました。

秋田県湯沢市、年間100日以上雪が降る豪雪地帯です。
熱心に雪かきをしているのは地元で卸売業を営む、秋田・湯沢 雪中貯蔵協会(こちらを参照)の会長、吉村和幸さん、掘り進めると貨物用のコンテナが現れました。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「これが僕たちが作った雪室(ゆきむろ)という天然の冷蔵庫です。」

雪室の中のブルーシートを開けてみると、長ネギやほうれん草、りんごがあります。
昨年の秋に収穫した野菜や果物をここで1ヵ月以上貯蔵していたのです。
このように雪の中で貯蔵すると食材に変化が起きるといいます。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「熟成されることによって、本来の味より糖度がのって美味しくなります。」

雪室の中の温度は約0℃、湿度は90%以上、野菜や果物が凍ることなく、ゆっくり熟成し、甘みが増します。
実際に雪室で貯蔵したりんごの糖度を測ってみると17.7%、業務用冷蔵庫で貯蔵したりんごに比べて5%近く甘みが増しています。
更に地元の酒や栗、そしてコーヒー豆まで、雪中貯蔵で熟成が進むのか、地元の11の業者と共同で実験を始めたのです。
吉村さんは次のようにおっしゃっています。
「街全体が厄介者の雪を利用してブランディングして、湯沢市のPRにつながればいいなと思っています。」

3月上旬、吉村さんは雪中貯蔵した野菜を高級イタリアンレストラン、代官山ASOチェレステ 日本橋店の菊池恒毅料理長にリモートで売り込もうとしていました。
旬の食材を生かした人気のお店です。
早速、雪中貯蔵した野菜の味を確かめた菊池さんは次のようにおっしゃっています。
「(大根を味見して、)甘い、梨(のような味)ですね。」
「1ヵ月寝かしているとは思えないくらい、キラキラしています、野菜たちが。」
「野菜のポテンシャルが上がるのを痛感しましたし、これから料理する上ですごい楽しみです。」

春以降、吉村さんの野菜を採用することが決まりました。
雪中貯蔵のブランド化へ大きな一歩です。
更に吉村さんは雪室で熟成させたあるものを使って新商品の開発を進めていました。
訪ねたのは地元で惣菜店「食彩工房 ゆきつかさ」を営む塩田幸司さんです。
塩田さんが得意とするのは秋田名物の寒天、カラフルなフルーツがSNSでも話題となり、県外から買いに来るお客もおります。
中にはケチャップたっぷりの「ナポリタン寒天」(280円)や「冷やし中華寒天」(324円)など、変わり種もあります。
そこへ登場したのがあの雪中貯蔵したりんごを使った「雪中りんご寒天」です。
寒天に牛乳を混ぜて、雪に埋もれたりんごをイメージし、りんごの皮で自然な赤色を出したといいます。
吉村さんはこの寒天を4月以降、ネットや道の駅で販売する予定で次のようにおっしゃっています。
「雪の力を利用して、秋田県という過疎地域から雪の商品をどんどん発信していきたいです。」

この雪室コンテナには地元のクラフトビールやお米のあきたこまちなども貯蔵しているそうです。
熟成することで深みのある味に変わることを期待しているということで、こうした雪国ならではの特産品で地元を知ってもらうきっかけにしたいそうです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

雪室と呼ばれる天然の冷蔵庫ですが、年間100日以上も雪が降る豪雪地帯においては雪室に必要な雪には事欠きません。
ですから、これまで厄介者扱いされていた雪が一転して必要不可欠な存在に変わったわけです。
しかも、雪室に貯蔵していた野菜や果物は熟成されることによって、本来の味より糖度がのって美味しくなるというのです。
驚くのは、雪中貯蔵した大根が甘くて梨のような味になるという効果です。
このように味が美味しく変化するのですから高級イタリアンレストランからの引き合いが出てくるのは当然と言えます。

一方、吉倉さんたちが開発を進めている、秋田名物の寒天と雪中貯蔵したりんごを使った「雪中りんご寒天」は見た目にも美味しそうです。
ですから、機会があれば是非食べてきたいと思っています。
更に雪室コンテナには地元のクラフトビールやお米のあきたこまちなども貯蔵しているといいますが、これらも機会があれば試してみたいと思います。

吉村さんたちは、街全体が厄介者の雪を利用してブランディングして、湯沢市のPRにつながればと思っているといいますが、雪室を活用した野菜や果物の味は普通に育てたものに比べてはるかに美味しくなるのですから、その願いはきっと叶うと思います。

なお、ネット通販を覗いていたら、青森県産の”雪室りんご”が掲載されていましたが、数量限定、かつ完全予約制で残念ながら今年の分は既に3月時点で販売終了になっていました。
そこで湯沢市ビジネス支援センターに直接問い合わせてみたら、やはり今年分は既に販売終了でしたが、秋田県湯沢市のふるさと納税の返礼品の対象になっていると教えてくれました。
ちなみに、返礼品の期間は例年1月〜3月で業者さんは詩の国商店ということです。
ですから、来年は是非タイミングを見計らって雪室関連の野菜や果物を故郷納税の返礼品として入手したいと思っております。
やはり、“梨のように甘い大根”という言葉に惹かれてしまいます。

さて、ここで思いついたことがあります。
それは、雪中貯蔵と同様の効果をもたらす冷蔵庫です。
もし、こうした効果のある冷蔵庫が市販化されれば、多少高価でもかなりの引き合いがあると思います。
毎日のように美味しい野菜が果物を食べることが出来るからです。
私も是非購入したいと思っています。
ですので、こうした冷蔵庫の製造にチャレンジしてくれるメーカーが現れることを期待したいと思います。

 
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2022年06月22日
アイデアよもやま話 No.5306 和傘の技術を生かした照明器具!
3月10日(木)放送の「THE TIME’」(テレビ東京)で和傘の技術を生かした照明器具について取り上げていたのでご紹介します。 

和傘職人の技術を生かした照明器具、配色も様々であんどん型やスタンドタイプのものまで、京都・上京区在住の西堀耕太郎さん(47歳 こちらを参照)は天日干しした和傘から太陽が透けて見えることに着目、2年をかけて商品化し、ミラノやニューヨーク、上海など海外の展覧会などに多数出展すると、スターバックスやザ・リッツカールトン京都、料亭 八代目儀兵衛など、カフェや高級ホテル、料亭などからの注文が殺到し、大ヒット、発売前は160万円だった年商が7800万円になりました。

そんな西堀さんのモットーは「伝統は革新の連続、自分自身も常にアップデートして生きていきたい」といいます。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

西堀さんの作品はテレビを通して見てもとても幻想的で“和のイメージ”そのものと言えます。
そして、その作品を自宅のどこかに置いたら、それだけでその部屋の雰囲気が一変して“和の世界”になってしまうのではと思うくらいのインパクトを感じてしまいます。
ですから、カフェや高級ホテルなどから注文が殺到しているというのもうなずけます。(関連商品についてはこちらを参照)

なお、こうした照明器具を作るようになったきっかけは天日干しした和傘から太陽が透けて見えたという偶然だといいますが、新たな発見はこうした偶然によることが多いようです。
ですから、日頃から好奇心や問題意識を持ち続けることがとても大切なのです。
更に商品化まで2年を要したというように、アイデアは閃いてもそれを具体的なかたちにするまでは何年かかるか分からないのです。
ですから、実現するまでは決して諦めない“ネバーギブアップ”精神もとても重要なのです。

 
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2022年06月21日
アイデアよもやま話 No.5300 ロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界 その2 今、日本は米ソ冷戦当時の西ドイツと同じ立場に立たされている!
4月28日(木)放送の「プライムニュース」(BSフジ)でロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界について取り上げていました。
そこで2回にわたってその一部をご紹介します。
2回目は、米ソ冷戦当時の西ドイツと同じ立場に立たされている今の日本についてです。

「もし中国が日本に攻め込んで来たら何日持ちこたえられるか?」、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、この疑問に少なからず日本国民は興味を示すと思います。
そうした中、4月28日(木)放送の「プライムニュース」(BSフジ)でロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界について取り上げていました。
そこで3回にわたってその一部をご紹介します。
2回目は、甘いと見られる日本の安全保障方針についてです。

安全保障環境が大きく変わる中で日本は何をするべきなのか、自民党の安全保障調査会は国家安全保障戦略など3つの文書の改訂に向けた提言(こちらを参照)をまとめ、昨日(4月27日)岸田総理に提出しました。
そのポイントはこちらです。
この内容について、櫻井さんは次のようにおっしゃっています。
「方向性としては正しいですけど、その程度は全く満たしていないと思います。」
「5年以内でしょ。」
「5年間の時間があるかということですよね。」
「例えばドイツはですね、プーチンの侵略戦争が起きたとたんに2%以上やるって決めたんですね。」
「今までメルケルさん(前首相)の時代をずっと見てみると、アメリカがどんなにプレッシャーをかけても聞く耳を持たなくて、経済が大事だというので、当の敵であるロシアとノルドストリームを使って商売しようとしていたわけでしょ。」
「でもそれを全部凍結してショルツさん(ドイツの現首相)は2%以上というふうにしました。」
「そのためになんと1000億ユーロ(13兆円)の基金を積んだんですよ。」
「それは兵士の福祉とかお給料とか、そういったものには使ってはいけませんと。」
「全て軍備、ミサイルとかに使うべきだというので、これをNATOのためにドイツのために積み上げた。」
「それと同時に、もう一つ、私は本当にドイツってすごいなと思ったんですね。」
「天然ガスを約4割、ロシアに依存してますよね。」
「で、これを約4割をゼロにするのは中々大変なんだけれども、断固としてやるというので、再生可能エネルギーでやるというので、なんと2000億ユーロ(26兆円)の投資を決めたんですよ。」
「この13兆円の軍事費と26兆円の再生可能エネルギーのためのお金をドイツ政府は瞬時に決めたわけですね。」
「これは本当にすごいと思うんです。」
「でも彼らはそれだけの緊迫感を持ってやってるんですが、日本が5年以内って言っているのはあまりにも生ぬるいというふうに私は感じました。」
「それと同時に、そこに書いてある「専守防衛」という考え方を継続したわけですね。」
「「専守防衛」でしかもその際、保持する防衛力を必要最小限。」
「で、このような危機にウクライナのゼレンスキーさん(大統領)は国際社会のおよそ全ての国々にメッセージを出して、もっと武器・装備を下さいと。」
「今までは防御的なものだったけれども、これからは攻撃的なものも下さい、そうすれば勝てると。」
「オースチンさん(アメリカの国防長官)も適切な軍事の支援によってウクライナは勝てるかもしれないというところまできましたね。」
「これは出来る限りの力をそこに投入して戦い続けてきたからですよね。」
「戦う時というのは、国の運命を賭けて戦う時に必要最小限でとか、国民の命を守るのに、国土を守るのに必要最小限でやりましょうという考え方そのものが成り立たないんですよ。」
「で、私も小野寺さん(自民党安保調査会長)に私の「言論テレビ」でお聞きしたんですよ。」
「必要最小限、これは専守防衛の考え方を捨ててないのはなぜかと。」
「専守防衛こそ、今もう我々は平時のごとく打ち捨てるべきだと言ったんですね。」
「そしたら、専守防衛は日本国憲法がある限り駄目だと。」
「なぜならば、憲法9条の第2項で「戦力はこれを保持しない」と書いてある。」
「で、自衛隊というのは元々警察予備隊から出発したから、法的建付けが軍隊ではなくて警察なんだと。」
「しかも必要最小限の力であるから戦力ではなくて、守るのに必要な力ということだから、持てる装備も必要最小限だし、法的建付けも警察なので、軍隊ではないから自衛隊は合憲ですという考え方が成り立つというんですね。」
「このひねくり回した理屈に合わせて、この何十年間かいろんな答弁をして、いろんなことを決めてきたから、それを今ひっくり返すのは大変だから、とりあえずこの専守防衛という考え方を維持して、必要最小限も維持したんだと。」
「でも、必要最小限というのは周りの状況に合わせて必要最小限なので、今はもう各国々の戦力も格段に上に上がったから必要最小限の力も上に上がると言うんですけども、これは屁理屈なんですね。」
「今、言ったように、国民の命を守るのに本当に必要最小限の力でやりましょうという軍隊がどこにいるかですよね。」
「災害で救助に行く時に自衛隊の人たち、3・11(東日本大震災)の時も本当に頑張って下さったけども、彼らは全力投球するわけでしょ。」
「必要最小限で行けなんて誰も言わないですよ。」
「でもここに必要最小限というのは残ってしまって、これはやっぱり専守防衛という、攻撃されてから反撃する、そこには国民の犠牲が出るということが大前提になっていて、私たちは国民の犠牲が出ることを前提にするような国防政策は持っちゃいけないんですよ。」
「国民の犠牲がないように、国土を取られないように、責められる前に防ぐ、防ぐために必要ならば攻撃するという考え方でなければいけない。」
「それがごく普通の民主主義的な国家の基準ですよね。」
「だから私たちもごく普通の民主主義の国になるために、ここのところを本当はもっと根本的に改めないといけないというふうに思いますね。」
「(生ぬるいですかという問いに対して、)生ぬるいどころか根本が全然なっていないっていうことですよ。」
「自民党の皆さん方は頑張ったのは認めるんです。」
「頑張ったのは認めるんですが、自民党の方にも岸田総理にも考えて欲しいのは、今、必要とされる頑張り方はこれでいいのかと考えて欲しい。」
「これが普通の状況なら、今の自民党は本当によくやったと褒めてあげますよ。」
「今でも私はよくやったと評価する部分もあるんですけども、今起きている変化があまりにも大きいから、あまりにも根源的な変化で、戦後の体制が本当に変わっている中で、この大変化の中で、この程度の変化で乗り切れると思っているんですかっていうのが私の問いかけです。」
「いわゆる国家の安寧とか、国民の福祉とか、命の存続とか、そういったことに全責任を持つのがやはり国家であり政治だと思うんですけど、その責任を果たすためには、今起きている変化がどれくらい大きいものであって、私、昔、よく“100年に1回の変化”ということを言いましたけれども、考えてみたら今起きている変化は“100年に1回も起きないような変化”ですよ。」
「その変化に合わせて日本は劇的に変わなきゃいけない時に、この劇的に変わる部分の根本が変わっていない。」
「この上の2%とか1.5%が変わった。」
「これはお化粧が変わったってことですね。」
「根本が変わっていない。」
「そこのところが私は非常に残念に思います。」

「この防衛予算の2%ですけれども、ここにたどり着くのに自民党の中で2%という数値目標を出す必要は無いんじゃないかと。」
「財政の健全性ということも考えてやるべきだという意見があったように聞きます。」
「でも私はさっきも申しあげたように、非常に大きな変化が起きている時に平時の考え方では対処出来ないんですよ。」
「ドイツを私たちが注目しているのは平時の考え方ではなくて有事の考え方においてガラッと変わったわけですね。」
「ドイツだけではなくてヨーロッパ諸国ほとんど全部そうですよね。」
「ところが日本にはその有事の考え方が未だにない。」
「例えば2%を5年以内に達するというけれども、今の自衛隊の現状がどういうふうになっているかということを考えるべきですね。」
「私たちは自分の足元の自衛隊の実力がどういうものかというものを知っておいて、いざという時に自衛隊が本当に動けるのと、動けるとしてどのくらい動けるのということを知っておいて、そのうえでここが足りないから一生懸命今やろうねっていうのが今の課題ですよ。」
「小野寺さんがよく言うのは、自衛隊には定員がありますと。」
「でも定員に足りない、予算がないから定員まで雇えない。」
「だから1割か2割か低い。」
「人も雇えない、それから弾薬が足りない。」
「私、今ウクライナで起きているような戦争を日本と中国の間でするようなことが万々が一あったらですね、ウクライナが今2ヵ月以上守っているけれども、日本はどのくらい守つのかって訊いたら、「国家機密です」と専門家はみんな言うんですうよ。」
「で、国家機密っていっても教えて欲しいって言ったら、ある人は2週間から1週間て言いましたよ。」
「で、ある人はそんなに守たない、それ以下だと。」
「(撃つ)弾が全部無い。」
「で、2%の目標値をするのは時期尚早だと言うけれども、我が国の軍隊が、軍隊ではないんです、法的にはね。」
「自衛隊がこういう状況にあって、いざという時にどうするのと。」
「中国は尖閣(諸島)狙っているし、台湾狙っているし、必ず来るんですよ。」
「中国が来ないなんてあり得ない。」
「必ず中国は我が国を襲いますから、その時にどうするのかということを考えなければいけないのが政治家の役割ですよ。」
「私たち言論人が警告を発しなきゃいけないんですよ。」
「そのレベルに自民党の意識が、与党の意識が全然ついてきていないということを私は言いたいんです。」
「2%を5年以内って、さっきそんな時間ありますかって、冒頭で聞きましたけども、無いと思っていた方が正解です。」
「そのような厳しい状況の中でね、自民党は今までの自民党に比べるとよくやったけれども、今はもっとガラッと変わらなきゃいけない。」
「国民のために変わらなきゃいけない。」
「しかも政治家の皆さん方に意識して欲しいのは、国民の意識の方が先を行っています。」
「永田町の国会議員の皆さん方の方が私たち庶民よりずっと後ろをくっついて来て。」
「これから議論もするでしょうけれど、核の問題だってそうですね。」
「ここでは非核三原則全然やってないんですよ。」
「核の問題については論じてないんですよね。」
「タブーになっている。」
「でも核はね、今回のロシアによる侵略戦争でまさに使える時代になって、そして核不核散体制(NPT)が崩壊したんですよ。」
「だって5大国の核保有大国のロシアが核を使って他国を脅し上げて、領土を取って、ウクライナの南岸だけではなくて、黒海まで行って、モルドバまで取ろうと今しているわけでしょ。」
「こんな無法を核の力を背景にやる時代になってきて、これを見て北朝鮮は「やっぱり俺たちの方が正しかったな」と。」
「他の国もみんな、その野望を持つ国は核を持つ時代に私たちは一歩入ったんですね。」
「その時代に私たちが核を持つか持たないかはきちんと議論をして、その前に私たち日本国は核を持つのか持たないかを決める決め手となる、アメリカとの拡大抑止、アメリカの核によって守ってもらうというアメリカとの拡大抑止が本当に機能しているのかどうか、していないんだったらどうやって機能させるのか、機能させたうえで私たちは核のない国でいいのか悪いのかというというところを議論しなきゃいけない。」
「本当は自民党の安全保障調査会はそこまで踏み込んで「我々は今、本当の正念場なんですよ」ということを何をおっしゃっているのかよく分からない岸田総理に突き付けて欲しかったと私は思います。」
「(ドイツが方向転換する時にも反対勢力はあったと思うが、それにも係わらず舵を切れたドイツと、世論が高まっているにも係わらず中々そこまで踏み切れない日本は根底にどのような違いがあるのかという問いに対して、)すごく大きな違いがあるんですけども、ドイツの状況を見てみたいと思うんですけども、ドイツのショルツさん(首相)、社会民主党という左の政党ですけども、その人は緑の党とか自由民主党という、もっと左と3党連立政権をつくっているわけですね。」
「で、ショルツさんは確かにすごく目覚めて瞬時に1日、2日にして変わったんですよね。」
「だけども本当にウクライナに武器を渡すのをためらったんです、彼は。」
「ためらってものすごい批判を浴びたの、緑の党から、自由民主党から、そして国民から。」
「で、ものすごい批判を浴びて、世論に押されて古いソビエト製の戦車(自走式空砲「ゲパルト」)を(ウクライナに)渡すようになったんですけどもね。」
「だから彼の変化の背景には日本でいう庶民の力、日本国民の力、ドイツ国民の力があったわけですよ。」
「それが凄く大きな直接的な要因だと思います。」

日本を取り巻く安全保障環境は日に日に厳しさを増しているわけですが、小野寺元防衛大臣は次のようにおっしゃっています。
「日本の周りには中国、ロシア、北朝鮮がある。」
「この3者は連携している。」
「世界でこういう複合事態があるかもしれない国は日本だ。」
「日本が一番今危機感を持たなければいけない。」

この発言について、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんは次のようにおっしゃっています。
「一時期、今のロシアでないソビエトとアメリカがものすごい対立をしていましたね、冷戦の時にね。」
「その冷戦構造の最前線にいたのが当時の西ドイツですよ、ベルリンの壁でね。」
「で、もう本当にソビエトからの核にも狙われていて、ワルシャワ条約機構という東陣営の軍事協定の国々の通常軍事力はNATO側の軍事力よりもすごく大きかったわけですね。」
「おまけに核をものすごく向こう側は持っていたわけで、西ドイツは戦々恐々の夜を過ごしていたわけです。」
「それと同じ立場に今日本が立たされている。」
「中国、ロシア、北朝鮮、3つとも独裁国家ですよ。」
「3つとも核を持っている、3つともミサイルを持っている、3つとも隙あらば使ってやろうかという邪な心を持っていますね。」
「そして国際法はほとんど無視してしまう。」
「それから私たちが掲げる価値感ですね。」
「民主主義とか人道とか少数民族とか、こんなことは一切気にしない。」
「本当に野蛮な狼藉(ろうぜき)者国家に私たちは囲まれていて、現実の脅威として核とミサイルがあって、それは今までの人類の歴史から考えると考えられないくらいのすさまじい脅威に私たちは直面していて、私たち日本はどうですか。」
「いわゆる平和憲法、9条があります、公明党がいます、岸田さんの非核三原則があります、何もしません、専守防衛だからやっつけられたら反撃しますよ、反撃力ありますよということになった、こういう事態に立っているんですよということを小野寺さんは警告しているわけですね。」
「だから今までと全く状況が違って、私たちは東西冷戦の最前線に似たところに立たされているという、その危機感を持たないといけないと思いますね。」

「日本が逆を選んだ(ロシアと融和的にならずに圧力をかける側に回った)と、現象としてはそうかもしれないですけど、選択肢はなかったと思いますよ。」
「例えば、私たちの価値感からしても中国やロシアと一緒の道を歩みたいのかという大きな質問がありますね。」
「それに日本人のほとんどの人はノーと言うだろうと思います。」
「それから我が国は日米同盟を持っていますね。」
「今までアメリカの同盟のもとでいろんな意味で守られてきたのが、アメリカが価値観を守るという意味で、それからヨーロッパがロシアがNATOと対立している状況の中で、アメリカとロシアがこのように対立している中で、我が国がロシアに融和的な態度をとって、安倍さん(元総理)の時と全然状況が違うわけですから、戦略的に中国とロシアの分断をという考えはもう捨てなければいけない時に、私たちの行く道としては今の道しかなかったと思いますし、今の道でいいと思うんですよ。」
「私たちが今すべきことはいかにしてプーチンのロシアを勝たせないか、いかにしてプーチンであるとか習近平のこの二人の首脳が喜ぶような世の中をつくるような方向に行かせないか、そのことなんですよ。」
「だから私たちはその方向で努力をしなければならないし、ここで努力をして貢献するためには日本自身がいろんなくびきを取らなきゃ何も出来ない。」
「口ばかりの存在になりますからね。」
「そのことを言ってるんです。」

「(日本は一国で自国を守るだけの軍事力はなく、当然のことながら日米同盟も大きな要素を持っている日本の安全保障を見た時に、今言われたような道しかない道を選んで、日本が台湾有事、ないしは尖閣(諸島)有事の時にアメリカが同盟のルールをきちっと守ってくれるのかどうか、ウクライナのように「兵隊は送りません、情報と大砲は送ります、後頑張りなさい」というような、勿論ウクライナとアメリカの間には、NATOに加盟していない国なので条約的には全然違うとは言いながらも、よく言われるのは「尖閣のような人も住んでいないような岩のためにアメリカの兵隊を死なすのか」という世論が出た時にバイデン大統領はどのような決断を下すのかという問いに対して、)私たちがいろんな疑いを持つのは当たり前ですよね。」
「だけれどもウクライナと日本は違う、日本はアメリカと同盟国です。」
「そこのところには非常に大きな一つの壁があると思って考えなきゃいけないと思うんですね。」
「それから尖閣のことについて、日本が先に行って守ろうとしなければ、アメリカはいくら第5条を適用しますとバイデン大統領が何回言ってもやらないですよ。」
「だけども、国と国との外交関係においては、「日米同盟は機能する」、その大前提を私たちの考え方で揺るがしてはいけないと思うんです。」
「どんなことがあっても日米同盟は機能するんだと。」
「勿論、日本が先にちゃんと自衛隊を(尖閣諸島に)派遣して尖閣を守るということは当たり前のことなんですけども、「日米同盟は機能する」という大前提の上に、しかしそれだけで本当にこの時代大丈夫なのかなというところを今持たなければならないところに世界全体が来ている。」
「NATOの国だってそうだと。」
「イギリスの状況なんかを見ると非常によく分かるんですけども、イギリスだってアメリカがNATO諸国と核の共有をしているのが常に機能するとは思っているかどうか分からないですよ。」
「サッチャーさん(イギリスの元首相)の回顧録なんか読むと、「私は疑問を持たないことにした」と書いてあるんですよ。」
「疑問を心の中で持っていたとしても、イギリスの首相として「私は疑問を持たないことにした」と。」
「英米同盟は「信頼出来るものだということは絶対に揺るがせにしてはならない。」
「しかし、その上で我が国の国防力をどういうふうにもっと強くするか」ということを考えて、彼女は4隻の原子力潜水艦に「トライデント2」という最新鋭の核弾頭ミサイルを積んで、200発くらいの核を自国で持っているわけですよね。」
「だから、そのようにする時が今来てるんですよ。」
「日米同盟は揺らぎありませんと。」
「必ず日米同盟では我々も助けるし、向こうも助けてくれる。」
「けれどもそれだけで十分ではないかもしれない時代があるかもしれないので、日本国民と国土を守るために我が国は主権国家としてちゃんとやりましょうという覚悟を持たなければならない。」
「それが核論議につながっていくんだろうと思います。」

「大事なことはどれだけ兵力、軍事力を持っているかという、実際の力がどれだけロシアにあって、NATO側にあって、中国にあって、日本にあって、アメリカにあるんだという本当にむき出しの冷徹な計算ですよね。」
「そのNATOの加盟国であるバルト三国とかポーランドにはロシアが手を出さないのは、手を出したらロシアとNATOとの戦いになる。」
「で、NATOと戦う時にはロシアは絶対に負けますよ。」
「NATOには絶対に勝てない。」
「だってロシアの勢力は90万でしょ、これ徴兵と職業軍人と合わせてね。」
「今、NATOの欧州諸国だけで185万でしょ。」
「それにアメリカとカナダを加えると326万ですよ。」
「兵力だけでそう。」
「それから武器、装備に関してはアメリカが持っているから負けないですよね。」
「ですからロシアがNATOとの戦争を本当にやるとなると必ず負けます。」
「プーチンはそういうこと分かっているから手を出せない、出したくても出せない。」
「じゃあ中国はどうか。」
「中国、ロシア、北朝鮮対日本はどうかと言った時に、我が国はどうするんですかということをきちんと計算しなければいけないということですね。」
「ここのところを足元の力関係というものを私たちはこの際本当に全部頭に入れてやらないといけないと思いますよ。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんのご指摘の内容を以下にまとめてみました。
・自民党の安全保障調査会は国家安全保障戦略など3つの文書の改訂に向けた提言について、方向性は正しいが、現在GDP比が1%程度である防衛費を5年以内に2%以上へ引き上げるよう政府に要請しようとしているが5年という期間は長すぎる
・こうした日本の対応に対して、ドイツはプーチン大統領の侵略戦争が起きたとたんに有事の考え方にシフトし、13兆円の軍事費投入を決断したが、その裏には世論の強い危機感があった
・更にドイツはウクライナ侵攻以前に天然ガスを約4割ロシアに依存していたが、再生可能エネルギーへのシフト用に2000億ユーロ(26兆円)の投資を決めた
・自衛隊の法的建付けは軍隊ではなく警察であり、しかも国民の命や国土を守るのに必要最小限の兵力で闘うという考え方は成立しない
・専守防衛という、攻撃されてから反撃する、そこには国民の犠牲が出るということが大前提になっており、私たちは国民の犠牲が出ることを前提にするような国防政策は持ってはいけない
・国民の犠牲がないように、国土を取られないように、責められる前に防ぐ、防ぐために必要ならば攻撃するという考え方でなければいけない
・今起きていることは“100年に1回も起きないような変化”であり、その変化に対して平時の考え方では対処出来ず、日本は劇的に変わる必要がある
・今ウクライナで起きているような戦争が日中間で起きたら、ある人は2週間から1週間しか守たない、別な人はそれ以下だと答えている
・中国は尖閣諸島を狙っているし、台湾も狙っているので、その時にどう対抗するかを考えるのが政治家の役割である
・核については、今回のロシアによる侵略戦争でまさに使える時代になり、核不核散体制(NPT)が崩壊した
・こうした時代に私たちはアメリカとの拡大抑止を踏まえて核のない国でいいのか悪いのかをきちんと議論すべきである
・米ソ冷戦構造の最前線にいた当時の西ドイツと同じ立場に今日本が立たされている。
・中国、ロシア、北朝鮮、3国とも独裁国家で、いずれも核やミサイルを持っており、隙あらば使ってやろうかという邪な心を持っている。
・3国のいずれも国際法をほとんど無視しており、民主主義、人道、少数民族などは一切気にしていない。
・こうした状況下にある日本にはいわゆる平和憲法、9条、あるいは非核三原則がある
・しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により今までと全く状況が違って、日本は東西冷戦の最前線に似たところに立たされているという危機感を持たないといけない
・ロシアがNATOと対立している状況の中で、日本が今すべきことはいかにしてロシアを勝たせないか、いかにしてプーチン大統領や習近平国家主席が喜ぶような世の中をつくるような方向に行かせないかである

1回目で、もはやロシアによるウクライナ侵攻は日本にとって“対岸の火事”では済まない状況になりつつあるとお伝えしました。
また、アイデアよもやま話 No.5273 ロシアによるウクライナ侵攻で危機感の足りない日本政府!でも日本政府の危機感の足りなさをお伝えしました。
今回も番組を通して、感じるのはドイツに比べて日本政府の平時と有事の切り替えの不十分さです。
平時と有事とでは次元が異なり、根本的に対応の仕方を変える必要があるのです。
またあらためて感じるのは、日本はいずれも核やミサイルを保有する中国、ロシア、北朝鮮という3つの独裁国家に隣接していることです。
そして、ロシアによるウクライナ侵攻と同様にいつ中国が武力による台湾統一に向けて実際に動き出すか分からないのです。
しかも1回目でもお伝えした内容から台湾統一の次にはいつ尖閣諸島、更には沖縄に武力侵攻してくるか分からないのです。
更に万一中国が日本全土に武力侵攻してきたら、現状ではせいぜい2週間程度しか守り切れないという見方があるのです。
こうした状況において、国家安全保障戦略の5年というスパンはあまりにも長すぎると思います。
国際軍事情勢が以下のように根本的にガラリと変わったのですから、早急に国家安全保障戦略を練り直していただきたいと思います。
・以下の観点からの憲法改正
  専守防衛
自衛隊の位置付け
・日米安保体制など海外との軍事協定、および核兵器の使用も視野に入れた日本の防衛体制の構築、および防衛力の現実的な確保

なお、こうした取り組みは飽くまでも最悪の事態を想定した国家安全保障対策です。
こうした方向に単純に突っ走るのではなく、今、平和憲法を有し、世界唯一の原爆の被爆国、日本に最も求められるのはいかに世界平和を実現するか、その道筋を世界に向けて提案し、実現させるべく、知恵を絞ることなのです。
その際、大きなヒントとなるのは世界各国のほとんどの国民は平和を望んでいるということです。
ですから、世界各国の国民に日本の平和憲法の素晴らしさ、一方では核兵器の悲惨さを理解していただき、平和の維持に向けてともに歩むという壮大な取り組みを進めることが一つの手段と思うのです。

 
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2022年06月20日
アイデアよもやま話 No.5299 ロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界 その1 衰退するロシアと世界制覇に向けて前進する中国!
4月28日(木)放送の「プライムニュース」(BSフジ)でロシアによるウクライナ侵攻で変わる世界について取り上げていました。
そこで2回にわたってその一部をご紹介します。
1回目は、衰退するロシアと世界制覇に向けて前進する中国についてです。

4月18日、中国の楽外務次官とロシアのデ二ソフ駐中国大使が会談、このような発言があったと中国の外務省が発表しています。(こちらを参照)
ロシアに接近し続ける中国の狙いとスタンスについて、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんは次のようにおっしゃっています。
「中国の最終的な狙いはアメリカですからね。」
「ロシアはそのための道具と言っても、ちょっと言い過ぎかもしれませんけども、このウクライナに対する侵略戦争でロシアの力は確実に落ちたわけですよね。」
「そして、ロシアに対する国際社会の見方も劇的に変わりましたよね。」
「ロシアが復権するということは当分ないし、ほとんどないだろうと思うんです。」
「これからロシアは凋落の一途だと思いますね。」
「でも非常に広い国土を持っていて、非常に豊かな資源がありますよね。」
「で、中国はロシアをジュニアパートナーとして、例えば資源供給国みたいなところに置くようにするだろうと思います。」
「勿論ロシアにもまだ相当の武器があるし、核兵器もありますからそんなに軽々には扱いませんけども、基本的には、例えばチベットとかモンゴルとかウイグルの土地を奪って、この人たちが持っている豊かな資源を中国の経済発展のために十分活用してきたわけですね。」
「それと同じような構造になると思いますね。」
「その先に中国が考えているのは自分たちの究極の敵として凌駕したいアメリカと対峙することですので、どんなに国際社会の評判が悪くても戦略を習近平さんは変えなかったですね、今回ね。」
「だから、この路線はその通りだろうと思います。」

「(「新たな国際関係の構築を推進する」という意味について、)文字通りそのまんまですね。」
「中国が主導する新しい国際関係を作りますと。」
「中国が主導する新たな国際社会こそが目的なんですね。」
「例えば4月21日ですから、つい数日前ですけども、ボアオというところでアジアフォーラム(こちらを参照)がありましてね。」
「そこに習近平国家主席がオンラインで演説をしたんですよ。」
「そこで打ち出したのが「グローバル安全保障イニシアティブ」(こちらを参照)というものなんですね。」
「これ読んでみたんですけど、非常にいろんな言葉が入っていて、象徴的で分からないんですけども、確かなことは、中国が掲げている「運命共同体」というのがありますね。」
「これ、2017年の3時間20分にわたる大演説の中で、私がすごく強く印象づけられた言葉なんですね。」
「この地球上の人類はみんな「運命共同体」で、その共同体の枠をつくるのは中国共産党であると。」
「で、中国共産党の価値感の中に全ての人類が包摂(一定の範囲の中に包み込むこと)されるんであって、その中で、「2049年、建国100年までに中国は全ての諸民族の中にそびえ立つ」という言葉があるんですね。」
「で、ボアオで行われたアジア・フォーラムで、グローバル安全保障イニシアティブというのは人類運命共同体の安全保障面のバージョンですということなんですよ。」
「ということは、安全保障においても中国がアメリカを凌駕して、安全保障のメカニズムを作りますという宣言をつい数日前にしているわけですね。」
「だから中国は、新たな国際関係というのは中国が掲げる中国共産党の価値感に基いた人類運命共同体であって、今回はそれに対して「安全保障の面でちゃんとやりますよ」ということなんですね。」
「その証拠に、ソロモン諸島にこの前協定を結びましたね。」
「で、あの協定の中身は実はよく分かっていないんです。」
「で、ソロモン諸島の首相が議会で追及されて、初めて締結したということを認めたんです。」
「つまり、議会にも内緒で、いわんや国民にも内緒で、いわんや南太平洋のいろんな島しょ国にも内緒で(中国と協定を)結んだ。」
「これ典型的な中国のやり口です。」
「トップの人を買収して、ものすごい巨額のお金とかいろんなものを与えたんだと思いますね。」
「トップを買収して、協定を結ばせて署名させる。」
「これで正式な国と国との協定になるわけですね。」
「中国はこれをもって、「我々はちゃんと条約を結びましたよ」ということを言うことが出来ますね。」
「それに対して、アメリカとかオーストラリアはすぐに密使を送り込んで「ここに中国の軍隊を常駐させるようなことがあったら直ちに対応策を取る」と言いましたね。」
「ソロモン諸島はガダルカナルがあるところで、日本とアメリカが激突して大東亜戦争の戦局がガラっと変わった要衝の地を中国は今、取ってオーストラリアとアメリカを分断して、この地政学上ですね。」
「で、中国の考える安全保障における枠組みでイニシアティブを取りたいと。」
「で、その前に中国はTPPに加盟を申請しましたよね。」
「で、このTPPに加盟を申請したと同時にデジタル経済パートナーシップというのがあるんですよ。」
「デジタル経済パートナーシップという仕組みがあって、この頃、デジタルが全てを制しますよね。」
「で、このデジタル経済パートナーシップはシンガポールとニュージーランドとチリが始めたものなんです。」
「これにブルネイが加わって、かつて何が出来たかというと、そこからTPPが生まれたんですよ。」
「つまり、太平洋諸国の、中国からすると「一帯一路」は今まで西にずーと行ってたわけでしょ。」
「それが今、ウクライナの戦争で中々難しい。」
「それから、いろいろと今までやったパキスタンとかはもう破たんしているということが分かって、西に展開することは諦めてはいないんだけれども、時間がかかるなということですね、戦争もあるし。」
「だから、その間に太平洋の方の東の方に、TPPであるとか、ボアオのセミナーで言ったグローバル安全保障のパートナーシップであるとか、そういったものをつくろうということで、これ全部グローバル安全保障イニシアティブとかTPPとかですね。」
「それからデジタル経済パートナーシップ協定(こちらを参照)、全部一緒のものなんですね。」
「で、これは全てに中国が係わっていて、もう一つはアメリカが比較的関与が少ないと。」
「そうしますとね、やっぱり中国は両方を考えて、西も東も、デジタルも安全保障も、それからいろんな含めて国際社会のTPPみたいな経済のルール、価値観のルールも含めて自分たちが主導出来るものをかたちの上で着々とつくっている、その一旦だと思いますね。」

「(ロシアによるウクライナ侵攻でロシアは)つまはじきにされていて、誰も自分たちのガスも買ってくれない、ヨーロッパもどんどん(パイプを)閉め始めましたね。」
「これ買ってくれるのは、発展途上国は買ってくれるかもしれないけれど、やっぱり中国ですよ。」
「だから中国を頼らざるを得ない。」
「もう嫌だとかそんな次元を超えて生き延びるために頼らざるを得ないところまで落ちてしまっていて、私たち日本人が考えることは、中国にはこれからユーラシアの覇者になりますよということですね。」
「それは時間の枠組みはまだ分かりませんよね。」
「今、このウクライナ戦争がまだ続いていますし、どれだけ、どういうかたちで“一帯一路”がどんどん西に伸びていくのか分かりませんけども、中国はそっちがまだ停滞しているのであるならば、東に伸びて、今のうちに取れるところを取ろうという、この両方に展開していて、私たちがやっぱりしっかり見なければいけないのは恐るべき大国としての中国の出現ですよね。」

「(ウクライナ侵攻はクリミヤ併合のように短期間で軍事行動は終息すると)プーチンは見誤った。」
「私たちはこれを見て、絶対に中国に見誤まらせないようにしなければいけないということです。」
「中国は、ここでロシアが成功すればむき出しの力でやれるんだ、核の脅しでやればやれるんだという教訓を得るわけですね。」
「そのような教訓は絶対に中国に与えてはならないのであって、私たちはこのようなことを絶対に許しませんよと。」
「許さない構えも作ってますよと。」
「許さない気持ちも十分ありますよと。」
「許さない体制もちゃんと作ってますよということで、2度としてはならないという強いメッセージを中国に与えるということがこのウクライナ戦争から学ぶべき日本の教訓なんですよ。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、国家基本問題研究所理事長の櫻井よしこさんのご指摘の内容を以下にまとめてみました。
・ウクライナに対する侵略戦争でロシアの力は確実に落ち、凋落の一途でロシアが復権することは当分ない
・ウクライナ侵攻が長引く中、当面ロシアは世界的に孤立する中で中国に頼らざるを得ない
・しかし、ロシアは非常に広い国土があり、非常に豊かな資源がある
・そこで中国はロシアをジュニアパートナーとして、資源供給国のように位置付けようとしている
・その先に中国が考えているのは究極の敵として凌駕したいアメリカと対峙することである
・更にその先に中国が考えているのは中国が主導する新しい国際社会を構築することである
・その具体的なイメージとして習近平国家主席が提唱しているのは、この地球上の人類は全て中国共産党の価値感に基いた「人類運命共同体」であり、その共同体の枠をつくるのは中国共産党であるということである
・「グローバル安全保障イニシアティブ」は「人類運命共同体」の安全保障面のバージョンである
・中国による南太平洋の島しょ国への協定締結の働きかけやTPPへの加盟申請はこうした中国の長期目標達成のための一つのステップと言える
・ウクライナ侵攻もクリミヤ併合のように短期間で軍事行動は終息するとプーチン大統領は見誤ったが、NATOや日本は絶対に中国に見誤まらせないようにしなければいけない

こうしてまとめてみると、アイデアよもやま話 No.5219 驚くべきウクライナ侵攻のロシアの1日当たりの戦費!でもお伝えしたようにロシアはウクライナ侵攻で毎日莫大な戦費をつぎ込んでいるので櫻井さんも指摘されているように凋落の一途でロシアが復権することは当分なく、ロシアは中国に依存せざるを得ない立場になると思います。

今後の世界情勢をみた時に大きな問題は一方の中国です。
今回の番組を通して、あらためて習近平国家主席による世界戦略の本質が見えてきました。
それは、世界の安全の共有を促進するために冷戦構造を無くすことを名目に中国共産党の価値感に基いた「人類運命共同体」として現在の世界を再構築することなのです。
要するに、中国国内同様に世界各国の国民を中国流に人民と国民に区分けして中国共産党政権が世界を支配するという世界戦略なのです。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.749 『”中国式民主主義”の世界展開による民主主義の危機』
そして、その実現の手段として以下のような取り組みを着々と進めているのです。
・国連における発言力の強化(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』
・グローバル安全保障イニシアティブの提案
・TPPへの加盟申請
・一帯一路政策の推進
・アフリカなどの途上国へのインフラ投資
・南太平洋の島しょ国への協定締結の働きかけ

そして、現状では中国によるこうした一連の取り組みに対してアメリカを始め、民主主義陣営の国々、あるいは国連の対応は後手後手に見えてなりません。
ですから、櫻井さんのような専門家が中国に対して大変な脅威を感じていることはとてもうなずけます。
民主主義陣営に属する日本ももっともっと真剣に、かつ現実的にこの大きな問題に対して取り組むべきなのです。
もはやロシアによるウクライナ侵攻は“対岸の火事”では済まない状況になりつつあるのです。

 
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2022年06月19日
No.5298 ちょっと一休み その830 『ロシアで強まる報道統制』

アイデアよもやま話 No.5237 やはりロシアでも中国と同様の報道規制が起きている!でロシアによる報道統制についてお伝えしました。
今回も3
月13日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)でロシアで強まる報道統制について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

ロシアによるウクライナ侵攻の中、ロシア当局は報道統制を強めています。
まず、報道する場合にはロシア政府の公式発表のみ引用が許されている他、ウクライナに関するニュースについて、ロシアによる「攻撃」や「侵攻」などということは規制されており、「特別軍事作戦」と表現しなければなりません。
また外国メディアに対しても軍に関する“虚偽報道”を報じた場合には最大15年の懲役刑に課せられることになりました。
これらの締め付け強化を受けて、アメリカのCNN、ニューヨークタイムズといった報道機関が相次いでロシア国内での報道活動を一時停止する事態になっています。
また反体制派と言われてきた独立系テレビ局「ドシチ」は放送中止に、また民間ラジオ「モスクワのこだま」は解散に追い込まれています。
当局による規制はインターネットにも及んでいて「Facebook」や「Twitter」などのSNSの接続も制限されました。
一方で比較的秘匿性の高いSNS「テレグラム」(こちらを参照)は現在もロシア国内の若者の間で情報を得る手段として活用されていますが、警察官が通行人のスマホの中身をチェックするような場面が見られるなど、情報統制が非常に厳しくなっています。

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

番組を通して、ロシア当局による報道統制について以下にまとめてみました。
(報道規制の内容)
・報道する場合にはロシア政府の公式発表のみ引用が許されている
・ウクライナに関するニュースについて、ロシアによる「攻撃」や「侵攻」などは規制され、「特別軍事作戦」と表現する
・外国メディアに対しても軍に関する“虚偽報道”を報じた場合には最大15年の懲役刑に課せられる

(報道統制による影響)
・アメリカのCNN、ニューヨークタイムズといった報道機関が相次いでロシア国内での報道活動を一時停止する事態になっている
・反体制派と言われてきた独立系テレビ局「ドシチ」は放送中止に、また民間ラジオ「モスクワのこだま」は解散に追い込まれている
・「Facebook」や「Twitter」などのSNSの接続も制限されている
・比較的秘匿性の高いSNS「テレグラム」は現在もロシア国内の若者の間で情報を得る手段として活用されているが、警察官が通行人のスマホの中身をチェックするなど、情報統制が非常に厳しくなっている

一方、3月7日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国で人気のロシア製品について取り上げていたのでご紹介します。 

国際社会から経済制裁が課されているロシアですが、中国ではウォッカやチョコレートなどのロシア製品が並ぶ店が賑わいを見せていました。
なぜ中国ではロシア製品が人気なのでしょうか。

中国・北京の週末、大勢のお客が出入りするお店があります。
ロシアの食品を販売するスーパーでは最近中国人のお客が増えているといいます。
レジを待つ行列が出来ています。
来店客からは次のような声が上がっています。
「ロシアに寄付先がないから、ロシア産の商品を買うことにしました。」

「ロシアがウクライナを攻撃した原因はロシアの安全が脅かされているからだ。」

3月7日発表の中国の貿易統計によると、1―2月のロシアとの貿易は対前年比で輸出が41.5%増、輸入が35.8%増といずれも1年前を上回っています。
中国はロシアにとって最大の貿易相手国、輸出入の拡大でロシアを支援するのか、緊密な関係を背景に国際社会との融和を取り持つのか、習近平政権の姿勢を世界が注視しています。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

中国もロシア同様に独裁政権国家で厳しい報道規制がなされています。
ですから、中国の一般国民もロシア同様に国内外を問わず、あらゆる情報において政府に都合の悪い情報は規制がかかったり、あるいは政府にとって都合のいいフェイクニュースとして垂れ流されます。
ですから、上記のように真実を知らない国民はロシアによるウクライナ侵攻下においても率先してロシア製品を購入するような状況が続いているわけです。

なお、こうしたロシアや中国の状況において、特に気になるのは政府による“虚偽報道”についてです。
ここで言うところの“虚偽報道”とは飽くまでも政府の公式発表が真実で、これに反する情報は全て“虚偽報道”になり、違反者は懲役刑に課せられるということです。
その最たる例は、ウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と表現するロシア政府の公式報道です。
プーチン大統領をはじめとするロシア政府の発言は飽くまでもロシアのあらゆる行為は“善”であり、ロシアにとって都合の悪い他国の行為は全て“悪”なのです。

要するにロシアや中国に限らず、覇権主義国家においては、“まず政府ありき”で政府が絶対的な存在であり、政府により本来の“虚偽報道”が真実として垂れ流され、一方で報道機関が真実の報道をしようとしても“虚偽報道”として見なされて規制がかかるので国民は真実を把握する手段を奪われているのです。
同時に国民は自由に発言する機会も奪われているのです。

こうした視点に立つと、やはりどの国の国民であっても、一人の人間としてどのような環境で暮らすべきなのかという命題が気になります。
そこで、私は以下のように考えます。

いずれの国においても原則として情報の“見える化”が行われており、自由に発言したり、行動したりすることが出来、一方で他人の人権を尊重することが求められる、こうした環境のもとで世界中の人々は暮らせるべきである。

そして、誰もが自由で、同時に他人の権利を尊重するような環境の下で育てば、自ずと平等、あるいは平和の大切さも尊重される“本来あるべき国際社会”に近づくと思うのです。

このように考えると、ロシア対NATO、あるいは中国対日米韓といったような構図ではなく、本来の国のあり方、すなわち上記の命題に応えている国連憲章(参照:No.4956 ちょっと一休み その774 『中国による“内政干渉”の一言で物事が進んでいいのか?』)など国際的な取り決めに照らして国の大小に係わらず全ての国連加盟国の一連の行為は判断が下されるべきなのです。

ところが現実の国際関係はどうも軍事的、あるいは経済的な依存関係から小国による大国への忖度、あるいは一部の国々の同盟関係から国連憲章を無視した判断がなされているように見えます。
更に、国連安全保障理事国の常任理事国である中国やロシアは国連憲章を全く無視した行為を続けており、従って現在の国連安全保障理事国は機能不全に陥っています。
そもそも国連憲章を無視し続けている中国やロシアが常任理事国であること自体が本来あり得ないのです。
これは子どもでも理解出来る理屈なで、今のこうした国連の姿は“裸の王様”状態と言えます。
ですから、国連そのものが本来の機能を持つように建て直すことが求められているのです。
そうしなければ、独裁政権国家による報道規制が無くなることはありません。
更に中国やロシアの国連憲章に対する違法行為は無くならず、独裁政権国家は無くならず、国際社会は増々混とんとした状態に陥ってしまいかねないのです。

 
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2022年06月18日
プロジェクト管理と日常生活 No.750 『ウクライナ危機で高まるロシアからのサイバー攻撃』
2月25日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウクライナ危機で高まるロシアからのサイバー攻撃について取り上げていたのでご紹介します。 

ロシアによるウクライナ侵攻で日露関係が冷え込みで懸念されるのがロシア側からのサイバー攻撃です。
サイバーセキュリティ専門会社、株式会社ラック(LAC) ナショナルセキュリティ研究所長で、元防衛省の初代サイバー防衛隊長、佐藤雅敏さんは次のようにおっしゃっています。
「うちは1000社の顧客を持って毎日ログを監視しているんですけども、(監視状況を示すリアルな画像を示しながら、)これは顧客に対して行われている不正通信。」
「1日あたり約25億件の不正通信を観測しています。」
「(今、どのくらいサイバーセキュリティの危険度は高いのかという問いに対して、)まさにサイバー攻撃は行われていると言っても過言ではない。」

佐藤さんによると、サイバー攻撃を仕掛けてくるのは以下の4つの組織といいます。
旧ソ連時代の軍が母体の政府系
プーチン大統領に共鳴する民間企業
犯罪組織
愛国者

昨年5月、アメリカ最大の石油パイプラインを運営する企業がサイバー攻撃を受けて操業停止に追い込まれ、供給の不安からガソリンスタンドには長蛇の列が出来ました。
このサイバー攻撃もロシア軍の組織が係わっていた可能性があると佐藤さんは指摘します。

なお、ロシアによるウクライナ侵攻下において日本の重要インフラ企業に影響が及ぶ可能性について、佐藤さんは次のようにおっしゃっています。
「可能性はあると思います。」
「電力だけじゃなくて鉄道、ガス会社など・・・」

経済制裁の報復として、電力やガスなどのインフラ企業が狙われる可能性があるといいます。
更にサイバー攻撃はインフラ企業だけではなく、民間企業を巻き込んで仕掛けてくることもあるといいます。
「重要インフラに対する攻撃というのはロシアから直接来ないですね。」
「普通の会社のアカウントを乗っ取り、そこを踏み台にして攻撃を仕掛けたりとか。」
「“対岸の火事”ではいけない。」
「まず自分のところで出来るアクセス制御と言われる2段階認証をしたりとか、変な通信状況がないかどうかを監視することがまず重要ですね。」

企業によるサイバー攻撃対策も大変なようですが、データのバックアップや暗号化といった基本的な対策を講じていく必要がありますが、完全に防ぐことは出来ないといいます。
攻撃を受けてしまった際には、いかに早くリカバリーするか、そのシステムの構築や訓練を国とともに連携していくことが重要だということです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、ロシアからのサイバー攻撃について以下にまとめてみました。
・ロシアによる経済制裁の報復として、サイバー攻撃はインフラ企業だけではなく、民間企業を巻き込んで仕掛けてくることもある
・サイバー攻撃はロシアから直接ではなく、普通の会社のアカウントを乗っ取り、そこを踏み台にして攻撃を仕掛けてくる
・企業としては、まず自社で出来る以下のようなリスク対応策が必要である
  暗号化
  2段階認証
  通信状況の監視
・しかし、サイバー攻撃を完全に防ぐことは出来ない
・従って以下のようなコンティンジェンシープランが必要である
データのバックアップ
素早い早くリカバリー体制の構築
関連企業や国との連携

なお、6月14日(火)付けネット記事(こちらを参照)でトヨタの工場を止めたサイバー攻撃について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

・トヨタ自動車の取引先の部品会社「小島プレス工業」(愛知県豊田市)がサイバー攻撃を受け、2月26日に感染が判明した。
・トヨタはセキュリティー専門家と入念に対応を検討する必要があると判断し、3月1日の復旧を断念し、サイバー攻撃の影響としては初めてトヨタの全14工場が停止し、約1万3000台の生産がストップした。
・このサイバー攻撃には「ロビンフッド」と呼ばれるハッカー集団(拠点不明)が関与していたことがわかった。
・同集団が使ったウイルス「ランサム(身代金)ウェア」は国内で被害が確認されていないタイプ。挙動が不明だったため、調査に時間を要し、大規模な操業停止につながった。
・小島プレスのシステムの安全が確認されたため、翌2日からトヨタの全工場も稼働を再開した。
・ランサムウェアには、攻撃者によって様々な種類がある。昨年10月に被害を受けた徳島県つるぎ町立半田病院は「ロックビット2・0」、今年2月のパナソニックは「コンティ」、3月のデンソーは「パンドラ」と呼ばれるハッカー集団から攻撃を受け、それぞれのグループが開発したウイルスが使われた。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

このサイバー攻撃で注目すべきは、トヨタ本体ではなく、取引先の部品会社が被害を受け、結果として短期間とは言え、トヨタの全14工場が停止したという事実です。
トヨタグループ会社全体としての生産効率を上げるためにはよりきめ細かな業務連携がなされます。
その結果として、今回のようにグループ内のどこか一つに企業がサイバー攻撃に遭い、被害を被ってしまうとグループ全体がその影響を受けてしまうということを国内の企業は少なからず再認識させられたはずです。
しかし、今や特に製造業においては生産プロセスのグローバル化が進んで海外企業との取引も一般的になっています。
ですから、今後、国内に限らず取引のある海外企業も視野に入れたサイバー攻撃のリスク対応策、およびコンティンジェンシープランの構築が求められるのです。
勿論、国や自治体においても例外ではありません。

それにしても不謹慎ではありますが、サイバー攻撃犯罪は以下の観点から犯罪ビジネスとしてはとても効率が良いと思われます。
・短期間で大金を少ない手間で手に入れることが出来る
・ターゲットは世界中に無数にある
・どこに拠点を置いても実行可能である
・通常の犯罪に比べて非常に逮捕されにくい

こうしたことからサイバー攻撃は現状のままでは増える一方だと見込まれます。
しかも逮捕されにくいことから、北朝鮮に見られるように国家主導のサイバー攻撃もあるといいます。(こちらを参照)
ですから残念ながらサイバー攻撃における戦いは関連技術の進歩とともに今後ともずっと続くと見込まれます。

 
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2022年06月17日
アイデアよもやま話 No.5297 レアアースが半分で済む”磁石”!
3月8日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でレアアースが半分で済む”磁石”について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

東芝 研究開発センターの技監、桜田新哉さんは次のようにおっしゃっています。
「自動車ですとかハードディスクなどの中の小さなモーターにはボンド磁石、その中にレアアースが含まれているんです。」
「(レアアースは)価格が高騰し易いですとか、非常に資源リスクが高くて注目されています。」

そこで東芝と東北大学が1年半かけて開発したのはレアアースの量が半分で済むボンド磁石です。
ボンド磁石は、自動車のワイパーや窓の開け閉め、ハードディスクドライブなど、あらゆる小型モーターに使用される磁石です。

原材料のネオジムは産地が限られているレアアースで獲得競争が激しく、価格高騰が見込まれています。
そこで今回目を付けたのがサマリウムというレアアース、実はネオジムを採掘する時に一緒に採れる副産物です。
桜田さんは次のようにおっしゃっています。
「今はほとんど(のボンド磁石)がネオジムになります。」
「ネオジムだけを使っていますと、同時に採れるサマリウムがどんどん余ってきます。」

サマリウムは磁力が弱いという課題がありましたが、今回の研究によって他の元素を足し合わせることで磁石の力が増す鉄分がネオジムよりも多くなることが分かりました。
磁力が増す分、サマリウムを使う量は半分で済みます。
耐熱性に優れ、さびにくいことから将来的にはクルマのモーターなどへの実用化を目指します。
桜田さんは次のようにおっしゃっています。
「(サマリウムの価格が高騰する心配はないかという問いに対して、)勿論これ(サマリウム)だけを使うと同じ問題が起きます。」
「ネオジムとサマリウムを今後はバランスよく使っていくと。」

磁石の生産設備ですが、これまでのネオジムとほとんど変わらないということから、このサマリウムは代替品として適しているといいます。

このことについて解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「やっぱり中国に対する経済安全保障やなんかでも重要な意味を持ってくると思いますね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今回ご紹介した、レアアースが半分で済む”磁石”について以下にまとめてみました。
・ボンド磁石は自動車のワイパーや窓の開け閉め、ハードディスクドライブなど、あらゆる小型モーターに使用されている
・ボンド磁石の中にはレアアースが含まれている
・原材料のネオジムは産地が限られているレアアースで獲得競争が激しく、価格高騰が見込まれている
・東芝と東北大学はレアアースの量が半分で済むボンド磁石を開発した
・今回目を付けたサマリウムというレアアースはネオジムを採掘する時に一緒に採れる副産物である
・ネオジムとサマリウムをバランスよく使うことにより耐熱性に優れ、さびにくいことから将来的にはクルマのモーターなどへの実用化を目指すという

今後、世界的にEV(電気自動車)の普及が見込まれ、EV搭載のモーターの生産量も増えていきます。
そうした中、モーターの原材料であるレアアースの量の十分な確保が求められます。
しかし、日本は中国と政治的に難しい関係にある中、日本のレアアースの輸入先1位は中国で、しかも約92%を中国に依存しているといいます。(こちらを参照)
ですから、滝田さんも指摘されているように、中国に対する経済安全保障の観点からレアアースの輸入先を分散させたり、今回ご紹介したようにレアアースの原材料の代替資源を開発することがとても重要なのです。
更には日本が得意とする「都市鉱山」関連技術の活用(参照:アイデアよもやま話 No.5132 日本は資源大国になり得る!?)も求められます。
また、この技術を世界展開することは世界的な省資源の貢献につながります。
なお、こうした取り組みはロシアによるウクライナ侵攻下における他の資源においても同様に求められるのです。

 
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2022年06月16日
アイデアよもやま話 No.5296 AIによるスマート養殖!
3月4日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でAIによるスマート養殖について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付けは全て番組放送時のものです。

来週から始まるくら寿司の「愛媛県フェア」、愛媛産のねたが並ぶ中、注目はこちらの真鯛、ある最新技術で育てられています。
東京にいながら愛媛県宇和島市にある養殖場のいけすにタブレット一つでエサをやることが出来るといいます。

開発したのはウミトロン株式会社というスタートアップ企業、いけすの上には四角い特殊な機械「ウミトロン セル」が設置されていて、アプリ上で時間を指定すれば、自動的にエサが投入され、1日に数回、船でエサやりに行く手間が省けます。
更に鯛の様子をAIが判定、状態に応じてエサの量を自動調整します。
そのAI桜鯛(1貫 110円)の味は厚みがあって程よく脂がのっているといいます。

近年、漁業は深刻な人手不足、2018年の漁業就業者は15万1701人と、1993年の32万4886人から比べると5年間で半分以下に減っています。
今後、くら寿司ではこの技術の活用を拡げていきたい考えです。
くら寿司の小坂博之さんは次のようにおっしゃっています。
「本格的に6月から導入させていただいて、その結果を持って幅広い魚種に反映することが出来れば、より多くのお客様にリーズナブルな商品を楽しんでいただけることが出来る。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

くら寿司が取り組んでいるAIによるスマート養殖について以下にまとめてみました。
・タブレットのアプリ上で時間を指定すれば、遠く離れた養殖場のいけすに自動的にエサが投入される
・更に鯛の様子をAIが判定し、状態に応じてエサの量を自動調整する
・こうした取り組みで以下のメリットが期待出来る
1日に数回、船でエサやりに行く手間が省ける
コスト削減により低価格で商品が提供出来る
深刻な人手不足対策にもなる
AIでのエサやり管理により、こうした技術の品質向上が図られる

なお、くら寿司ではこの技術の活用を今後とも拡げていきたい考えだといいますが、将来的には植物工場と同様に場所を問わず、魚の養殖場を設置することにより漁業の地産地消が可能な時代を向えるのではないかと期待出来ます。

一方、今後ともウミトロンのようなDX(デジタルトランスフォーメーション)の時流に乗ったスタートアップ企業が続々と登場して来ると思われます。
また、今回ご紹介したような技術は他の用途にも適用出来ると思われます。

 
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2022年06月15日
アイデアよもやま話 No.5295 画期的なTシャツなどへのオンデマンドプリント!
3月3日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でTシャツなどへのオンデマンドプリントについて取り上げていたのでご紹介します。 

Tシャツなどへの印刷を1枚から受け付け、最速でその日のうちに出荷まで行うというオンデマンドプリントを手掛ける企業が3月3日に東証マザーズに上場しました。
上場したのはアパレル製品や雑貨への印刷を請け負う株式会社イメージ・マジックです。
最大の特徴はデジタル技術を活用した、生産や出荷の工程の徹底した効率化です。
商品をQRコードで管理し、プリントや梱包など、出荷までの作業の大部分を自動化し、人手で行うよりも80%以上時間が短縮出来るといいます。
以前は企業からの注文が多くを占めていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大後はコンサート活動を自粛したアーティストが新たな収益源としてオリジナルグッズを発注するなど、個人からの注文が急増したということです。
2020年5月から1年間の売上高は1年前の1.5倍に増えました。
山川誠社長は次のようにおっしゃっています。
「在庫を積むようなビジネスは売れ残ってしまうとお金をかけて廃棄していくわけですよね。」
「必要な分だけつくる時代に変わった時に私たちの仕組みが非常に役立つんじゃないか。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

今回ご紹介したTシャツなどへのオンデマンドプリント技術を開発したイメージ・マジックの取り組みはまさにDX(デジタルトランスフォーメーション)と言えます。
イメージ・マジックはコロナ禍前からDXに取り組んでおり、新型コロナウイルスの感染拡大による個人からの注文の急増にタイムリーに応えることが出来たことから売上げ増につながったのです。
ですから、イメージ・マジックの取り組みはDXの成功事例と言えます。

どのような業種においてもDXへの取り組みの究極の狙いは以下のようなものと考えます。
・ビジネスプロセスの再構築
・あらゆる工程の自動化
・少量多品種生産の実現
・タイムリーな需要への対応
・安定したサプライチェーン
・SDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)への真摯な取り組み

ということで、是非より多くの企業に単なるデジタル化の推進ではなく、あるべきビジネスプロセスの検討結果に基づいたDXに取り組んでいただきたいと思います。

 
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2022年06月14日
アイデアよもやま話 No.5294 核のシェアリングの是非について
3月3日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で核のシェアリング(共有)について触れていたのでご紹介します。 

核兵器の共有について、小野寺元防衛大臣は次のようにおっしゃっています。
「日本は今、“核の傘”という中でしっかりアメリカと含めて同盟関係を支えられていますので、そこはまず確認することであります。」
「やっぱり今回ウクライナが核で脅かされている。」
「それはウクライナが“核の傘”に入っていないからだと思いますので、日本でこういう議論がもし起きるとすれば、責任はロシアにあると思います。」
「ロシアがあんな核の発言をしなければ、日本国内で、例えば核のシェアリングのような議論も通常起きないと思うので、私はロシアに早くこのようなことを止めて欲しいと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、2月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では、ロシアの国防省はプーチン大統領に対し、核戦争の部隊が戦闘体制に入ったと報告したと報じています。

ですから、プーチン大統領はウクライナ侵攻前から既に核兵器をいつでも戦闘に投入出来るように準備していたわけで、プーチン大統領はこれまで核兵器は核戦争勃発の抑止力とされていた”パンドラの箱“をこじ開けてしまったのです。

こうした状況において、小野寺元防衛大臣は、ロシアが核兵器の使用をちらつかせることについて「ロシアに早くこのようなことを止めて欲しい」とおっしゃっていますが、今のプーチン大統領にそれを期待するのはとても難しいと思います。
なぜならば、専門家の多くは「プーチン大統領は何をしでかすか分からない、真意が読み取れない」と思っているからです。

いずれにしても、これまで核兵器の保有を核戦争防止の抑止力と位置付けることが国際社会の暗黙の了解であったのが、プーチン大統領により「いざという時には核兵器を使用する」という状況が現実のものとなってしまったのです。
その理由は、ウクライナが“核の傘”に入っていないからだと見られています。

こうした現状を見れば、日本としてはアメリカの“核の傘”の下にある状態の維持は必須と思われます。
しかし、核のシェアリング(ニュークリア・シェアリング こちらを参照)まで議論を進めるのはどうかと思います。
“戦争放棄”を国是としている日本としては、世界的な核兵器の保有数の削減に向けて世界に発信し続けるべきなのです。
そのためには、グローバル化の進んだ今の国際社会において、戦争がいかに愚かしいのか、あるいは核兵器の威力が格段に進んだ状況における核戦争が人類の滅亡を意味することを世界に向けて説得し続けることが日本に求められると思うのです。
なお、その際のキーワードは世界各国の人たちを対象とした以下の2つだと思います。
・平和の価値の貴重さ
・核戦争の悲惨さ(広島、長崎の事例)

なぜならば戦争における最大の被害者はそれぞれの国民だからです。
また世界各国において、戦争突入の可否を握っているのも国民の総意だからです。
従って、どの国においても国民の大多数が戦争反対であれば、その国の指導者は戦争をしたくても出来ないのです。
ですから、例えば、毎年世界各国のオピニオンリーダーと言われる方々を広島平和記念資料館に招いて核兵器の悲惨さ直接目にしていただき、平和をテーマとした議論をしていただくという試みを始め、継続することは有効な平和維持対策になると期待出来ます。
また、平和憲法を有する日本のアピールにもなると期待出来ます。
ひたすら軍備拡張に走るだけでなく、こうした取り組みも世界平和に向けて有効な手段だと思うのです。

 
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2022年06月13日
アイデアよもやま話 No.5293 ウクライナ問題は北方領土交渉の絶好のチャンス!
3月3日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウクライナ問題をきっかけに北方領土交渉をどう進めるかについて取り上げていたのでご紹介します。 

ロシアによるウクライナ侵攻下における北方領土交渉について、小野寺元防衛大臣は次のようにおっしゃっています。
「(ロシアに強い態度で臨むと交渉に影響が出ると見られているが、)例えば今までロシアと融和的になって交渉しましたが、結局は何も返ってこなかった。」
「私はロシアはそういうスタンスだと今回ではっきり見るべきだと思っています。」
「それはプーチンなのかもしれません。」
「実は今、ウクライナの中のクリミアがロシアにより不法占拠され、今、東部が不法占拠されていますが、実は日本は70年前に北方領土をロシアによる力によって今でも不法占拠されているわけです。」
「これをやっぱり私たちはこの機会にG7とか国際社会にしっかり伝えることによって、むしろ日本もそういう問題があったんだと初めて世界が気づいて、世界の声を後押しして解決に結びつける。」
「私は、今回、むしろ良いチャンスだと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

小野寺元防衛大臣のご指摘はまさにその通りだと思います。
軍事大国、ロシアが今回、自国の国家安全保障のためとは言えウクライナ東部をほとんど不法占拠していますが、実は2014年にもロシアはクリミア半島を不法占拠し、クリミア共和国とセヴァストポリ特別市の一方的な独立宣言をし(クリミア共和国の成立)、一方的にそれらのロシアへの編入の宣言をしてしまったのです。(こちらを参照)
そして、こうした不法行為があっさりと出来てしまったことから、プーチン大統領は今回のウクライナ侵攻も数日で目的を達成出来ると考えたわけです。
ところが、ウクライナのゼレンスキー大統領はプーチン大統領の想定外の不屈の闘志で祖国を守り抜くと決意したことがウクライナの国民のみならず世界中の多くの国々の首脳をも動かし、様々な支援を得て、多くの犠牲を払いながらもいまだに抵抗を続けているのです。

もし、仮にクルミア半島の時と同様にウクライナが短期間のうちに不法占拠を許してしまっていたら、国際社会もほとんど動きが無く、ロシアへの編入の宣言がなされてしまった可能性が高いと思います。

更に、そうなるとこうした状況を見計らって中国による台湾侵攻も現実のものとなる可能性が高くなっていると思います。

そういう意味で、ロシアによるウクライナ侵攻が客観的に見て、失敗だったという判断が下されるような結果になれば、ゼレンスキー大統領の功績は絶大だと思います。
今回のロシアによるウクライナ侵攻に対して、ゼレンスキー大統領は即座にSNSを通して国内外に向けて徹底抗戦の覚悟を示し、同時に国際社会に向けて説得力を持って協力を求めたのです。
その闘志、熱意、そしてウクライナを支援することが自国にとっても少なからずメリットになると世界各国を協力に向けて動かしたのです。
客観的に見れば、ゼレンスキー大統領は“覇権主義国による他国への不法侵攻に対する民主主義国の防波堤”となってくれたということになるのです。

いずれにしても国際社会には国連(国際連合)といった国際組織があり、法に基づいて問題解決を図ろうという仕組みがありますが、残念ながら現実には軍事力、あるいは経済力を背景に中国やロシアのような覇権主義大国は時として、いとも簡単にこうした国際法を無視して自国の目的を達成しようとします。
そして、残念ながら現在の国連にはこうした大国の暴挙を防ぐ有効な仕組みが備わっていないのです。

さて、以下のように日本も北方領土問題を抱えています。
外務省のホームページには以下の記述があります。(こちらを参照)

(1)日本はロシアより早く、北方四島(択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島)の存在を知り、多くの日本人がこの地域に渡航するとともに、徐々にこれらの島々の統治を確立しました。それ以前も、ロシアの勢力がウルップ島より南にまで及んだことは一度もありませんでした。1855年、日本とロシアとの間で全く平和的、友好的な形で調印された日魯通好条約(下田条約)は、当時自然に成立していた択捉島とウルップ島の間の国境をそのまま確認するものでした。それ以降も、北方四島が外国の領土となったことはありません。

(2)しかし、第二次大戦末期の1945年8月9日、ソ連は、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾した後の同年8月28日から9月5日までの間に北方四島のすべてを占領しました。当時四島にはソ連人は一人もおらず、日本人は四島全体で約1万7千人が住んでいましたが、ソ連は1946年に四島を一方的に自国領に「編入」し、1948年までに全ての日本人を強制退去させました。それ以降、今日に至るまでソ連、ロシアによる不法占拠が続いています。(詳しくは「北方領土問題の経緯」のページを参照下さい。)

(3)北方領土問題が存在するため、日露間では、戦後70年以上を経たにもかかわらず、いまだ平和条約が締結されていません。

こうした現実から、日本もまさに終戦直前に今のロシア(当時のソ連)によるウクライナ侵攻と同様の多大な被害を被っていたのです。
残念ながら、当時の終戦時の日本には今回のウクライナのようにソ連の侵攻、および不法占拠に対抗するような余力はなかったのです。
また、当時の世界情勢から、また現在に至るまでソ連、現在のロシアによる北方領土の不法占拠に対して結果的に有効な対応がなされず、いまだに北方領土はロシアに不法占拠された状態が続いているわけです。
まさに国際社会の不条理と言えます。

ということで、小野寺元防衛大臣のご指摘の通り、日本は今回のロシアによるウクライナ侵攻を千載一遇のチャンスと捉えて、国を挙げて国際社会に向けて北方領土の返還を訴えるべきだと思うのです。
ウクライナと同様に日本の粘り強い、そして国際社会に向けた有効な発信力が国際社会を動かすことが出来るのです。
同様に、新疆ウイグルにおける人権問題に国際社会が注目しているこの機会に北朝鮮による拉致問題についてもあらためて国際社会に訴えるのも有効だと思います。
そういう意味で、現政権の外交力の真価が問われていると言えます。

 
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2022年06月12日
No.5292 ちょっと一休み その829 『井上尚弥選手の試合前後のインタビューに見る並外れたプロ意識』
ご存じのようにプロボクシングの世界バンタム級3団体王座統一戦が6月7日、さいたまスーパーアリーナであり、世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)統一王者の井上尚弥(29)=大橋=が世界ボクシング評議会(WBC)王者のノニト・ドネア(39)=フィリピン=に2回TKO勝ちし、日本選手初の3団体統一王者になりました。
私もアマゾンプライムでライブ中継を観ていましたが、井上選手の圧倒的な強さに感動しました。
そして井上選手の試合後のインタビュー(こちらを参照)での次の言葉がとても印象的でした。 
「自分は(この試合を)やる前から「ドラマにするつもりはないと、一方的に圧倒的に勝つんだ」という想いで自分にプレッシャーをかけてこの試合に挑みました。」

なお、この試合前のインタビュー(こちらを参照)では次のようにおっしゃっています。
「1戦目(2019年11月7日のドネア選手との試合)がそのつもり(圧倒的に勝つつもり)でしたから、それが2ラウンド目に深いダメージを負ってしまって、そうならなくなったというところが自分の中ではすごい悔いが残っている場面であるので、今回は1戦目にやろうとしていた試合展開にしたいなと思っています。」

「第1戦でドラマにしてしまったという自分の誤算はありますが、今回はそういう試合にはならないと思います。」
「この先、4団体統一、4階級制覇するための試合だと思って臨んでいます。」

「(ドネア選手は)前回の自分との試合でモチベーションも含め、評価を上げてしまったので、今回自分との戦いを最後にしっかりと花道をつくれればと、そんな想いで・・・」

こうして見てくると、井上選手のプロ中のプロとしての試合に臨む厳しさ、そしてドネア選手に対する冷徹さとともに思いやりを感じます。
また、本来は前回の試合で今回の試合のような展開を目指していたということから、井上選手の目標設定の高さを感じますし、井上選手にとって今回の試合は自分自身に対するリベンジマッチだったということが分かります。
なお、今回の試合結果から6月11日(土)付けネット記事(こちらを参照)で、井上選手が6月10日、米国で最も権威のある専門メディア「リングマガジン」のパウンド・フォー・パウンド(PFP、階級を超えたランキング)で1位となったと報じています。
今や井上選手は文字通り、世界最高のボクシング選手として世界的に評価される存在となったのです。
しかも、凄いのはまだまだ井上選手には伸びしろがあると思われることです。

さて、こうして井上選手の心の内を垣間見ると、アメリカの大リーグで活躍中の大谷翔平選手との以下の共通点が見えてきます。
・長期間にわたる高い目標設定
・その目標を達成するために必要なプロセスを全て洗い出し、着実に一つひとつのステップをこなすこと
・そのプロセスやステップでの問題点を洗い出し、再発防止策を講じること

ちなみに大谷選手は「マンダラチャート」とも呼ばれる目標達成シート(こちらを参照)を活用していたといいます。

しかし、誰もがこうした取り組みをしても、必ずしもみんなが目標を達成出来るわけではなりません。
それでも、全力投球で目標達成に向けてチャレンジし続ければ、必ずそれなりのパワー(スキルや精神力)が備わって来ることは間違いありません。
どこでこうした努力が役立つか分からないのです。
ですから少なくとも自分が実現させたい夢に向かっては、高い目標設定、および実現に至るプロセスの設定、そして日々の努力の積み重ねが求められるのです。

なお、6月8日(火)付けYouTube(こちらを参照)にこの試合の模様がアップされていますので御覧になってみて下さい。

 
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2022年06月11日
プロジェクト管理と日常生活 No.749 『”中国式民主主義”の世界展開による民主主義の危機』
今や、アメリカの最大の脅威は中国であると言われています。
そうした中、ちょっと古い記事ですが、昨年3月24日付けネット記事で”中国式民主主義”について取り上げていたのでその一部をご紹介します。
なお、特に注目すべき箇所については赤字で表記しました。

・アメリカのアンカレッジで行われた米中両国の外交トップの会談は、マスコミの前での激しい非難と攻撃の応酬で始まり、その後、2日間(昨年3月18日、19日)にわたって協議が行われた
・アメリカのブリンケン国務長官や中国の外交トップである楊潔篪・共産党政治局員の発言記録を読むと、ブリンケン長官は新疆ウイグル自治区や香港、台湾、アメリカへのサイバー攻撃と中国に対してバイデン政権が抱く懸念を淡々と列挙したうえで、「米中関係は問題によって競争的であったり、協力的であったり、ときには敵対的である」と静かなトーンで述べている。
・ところが、これを受けた楊氏は延々と独自の主張を展開した。それは中国の内政から外交にわたってその政策の正当性を主張するとともに、アメリカは内政干渉をやめるべきで、アメリカこそ国内に数多くの人権問題などを抱えていると非難するなど、いつもながらの内容だった。
・聞く相手がうんざりするほど延々と自説を展開するのは、首脳会談や外相会談などで中国がよくやる手法だ。
・楊氏は「アメリカや西側世界は国際世論を代表するものではない。世界の圧倒的多数の国々は、アメリカが提唱する普遍的な価値観やアメリカの意見が国際世論を代表するとは考えていない」などと述べ、民主主義の伝道者であるかのように振舞うアメリカを非難した。
・その大前提にあるのは、「アメリカにはアメリカ流の民主主義が、中国には中国流の民主主義がある」という理屈である。
・民主主義は普遍的価値を持っており、国によって定義が大きく異なるものではないというのが、民主主義国での常識だ。ところが中国の主張はまったく異なる。「民主主義のかたちは一つではなく、各国にそれぞれの民主主義のスタイルがある」というのだ。
・もちろん、これは中国に都合のいい勝手な理屈以外の何物でもない。中国は自分たちも自由や民主主義を大事な価値として独自のやり方で実践していると、臆することなく主張している。
・中国の政治や法律など統治システムのすべてがこの理屈で成り立っており、それに基づいて外交や安全保障などの国家戦略が構築されている。それを踏まえたうえで西側諸国は対処しなければならないのだ。
・習近平主席をはじめ、中国の指導者はしばしば「人民」という言葉を使う。その一方、われわれになじみのある「国民」という言葉はほとんど使わない。中華人民共和国という国名をはじめとして、憲法や法律も、人民を使っても国民という言葉は使われていない。
・問題は人民という言葉の意味だ。中国憲法では第1条で、「中華人民共和国は、労働者階級が指導し、労働者、農民の同盟を基礎とする人民民主主義独裁の社会主義国である」と規定し、さらに第2条で「あらゆる権力は人民に属する」「人民が国家権力を行使する機関は、全国人民代表大会および地方各クラス人民代表大会である」などと定められている。
・先進民主主義国で当たり前のように言われる国民主権という言葉はなく、中国は人民主権の国なのである。では、国民と人民は同じなのか。
・周恩来首相はよりクリアに定義している。「人民と国民には区別がある。人民は労働者階級、農民階級、反動階級から目覚めた一部の愛国民主分子である」としている。そして、人民に含まれない人たちについては「中国の一国民ではあるので当面、彼らには人民の権利を享受させないが、国民の義務は遵守させなければならない」と説明している。
・つまり、国民と人民は異なるものであり、国籍を持つ国民全員が人民であるというわけではない。人民は中国共産党の掲げる思想や政策を支持する国民の一部の人たちであり、それを支持しないで批判や反対する国民は人民ではないのである。
・そればかりか人民に属さない国民は、人民の敵であり、人民が持つ権利は行使できないが、法律を守るなどの義務を負うというのだ。
・半世紀以上も前のこうした毛沢東や周恩来の考えが、まさか今日も生きていることはなかろうと思いたいところだが、残念ながら現行憲法を見る限り、国民と人民を区別する考え方は明らかに継承されている。さらに中国の憲法には「いかなる組織ないし個人も社会主義体制を破壊することを禁止する」とも記されている。つまり人民ではない国民に対するさまざまな弾圧や抑圧が法律上、正当化されているのだ。
・中国の論理からすると、中国共産党が一党支配する現在の中国政治を批判する人は、中国の国籍を持っていても主権を行使できる人民ではなくなるばかりか、人民の敵となってしまう。中国のさまざまな法律に基づいてさまざまな権利を奪われてしまううえ、言動が規制されてしまう。
・新疆ウイグルにおける大規模な人権弾圧も、中央政府に批判的な活動をする人権派弁護士や作家、ジャーナリストらの拘束も、彼らを人民の敵であると規定することですべて正当化される。そして習近平体制の下でこうした弾圧がますます強化されていることは、毛沢東や周恩来の唱えた国民と人民の区別が今日も厳然と生きていることを証明している。
・先日閉会した全国人民代表大会で認められた香港の選挙制度改正は、この理屈をついに香港にも徹底させることを意味している。香港の場合、人民と愛国者が同じ意味で使われており、新たな選挙制度では香港の政府や議会など統治システムには愛国者しか参加できなくなる。

立法会選挙に立候補しようとする者が愛国者であるかをチェックするのは、人民主権を守るために当然の合法的な手続きであるということになる。その結果、香港の民主化や独立を主張する人々は愛国者ではない、人民の敵となるのだ。
・米中高官会議における楊氏の発言にみられるように、中国が独自の民主主義論を今後もますます前面に出していくだろうことは明らかだ。そして、中国の論理は世界中の独裁者や権威主義的国家にとっては実に都合のいいものであり、感染症のようにあっという間に世界中に蔓延しかねない。そうした国々が中国を中心に手前勝手な民主主義論を掲げて結束したときに国際社会はどうなるのか。
・これは民主主義と権威主義のいずれが優れているかという次元の話ではなく、民主主義が直面している危機だろう。先進民主主義国を中心に国際社会が連携してその価値を高める努力をしなければ、手前勝手な民主主義が国際社会に広がりかねない。世界は今、そんな状況にある。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

そもそも世界の民主主義国家の国民からすれば、独裁政権国家である中国が唱える“中国式民主主義”という言葉にうさん臭さを感じてしまいます。
そこで、この記事を通して、“中国式民主主義”の特徴について以下にまとめてみました。
・中国においては、国民と人民は異なるものであり、人民は中国共産党の掲げる思想や政策を支持する国民の一部の人たちであり、それを支持しないで批判や反対する国民は人民ではない
・人民に属さない国民は、人民の敵であり、人民が持つ権利は行使出来ないが、法律を守るなどの義務を負う
・人民ではない国民に対するさまざまな弾圧や抑圧が法律上、正当化されている
・中国の政治や法律など統治システムのすべてがこの理屈で成り立っている

こうした中国の状況からNo.5268 ちょっと一休み その825 『中国の全人代は本当に国民の代表?』でお伝えしたようなこと、あるいは習近平国家主席や中国の高官が中国の内政から外交にわたってその政策の正当性を主張するとともに、他国に対して内政干渉をやめるべきという主張を繰り返すことがうなずけます。

さて、今回特に注目したいのは以下のことです。
・中国のこうした論理は世界中の独裁者や権威主義的国家にとっては実に都合のいいものであり、感染症のようにあっという間に世界中に蔓延しかねない
・そうした国々が中国を中心に手前勝手な民主主義論を掲げて結束した時に民主主義は危機を迎える

このように中国は同じ覇権国家であるロシアに比べてはるかにしたたかで、“中国式民主主義”を掲げたり、“一対一路”政策など戦略的な動きを繰り広げつつあるのです。
しかも、こうした中国の戦略により、プロジェクト管理と日常生活 No.666 『国連の専門機関の支配権を強める中国!』プロジェクト管理と日常生活 No.718 『ウイグル人の人権を巡る国連での米中支持の驚くべき割合!』)、あるいはアイデアよもやま話 No.5218 増え続ける中国の”債務の罠”にはまる途上国!でもお伝えしたように既に国連や途上国における中国の支配力は強化されつつあるのです。
更に、“中国式民主主義”を世界中の独裁者や権威主義的国家に広めることにより“中国式民主主義”陣営国家を増やそうとしているのです。
しかも、習近平国家主席が“中国式民主主義”の旗を降ろすようなことは絶対になさそうです。
こうした中国に対抗すべく、冒頭でもお伝えしたように、アメリカは今の最大の脅威は中国であるという見方をしているわけです。
勿論、日本にとってはアメリカが受け止めている以上の大変な脅威です。

ですから今やアメリカ1国が中国に対抗するのではなく、ヨーロッパや日本をはじめとする民主主義陣営の国々は団結して国連での影響力や途上国への中国とは異なる方法での支援強化を図ることが必須なのです。

リスク管理の常道からすれば、民主主義陣営の国々は中国のこうした戦略の脅威に対して、もっと早い時期に適切な対応策に取り組むべきだったのです。
中国による“中国式民主主義”の世界展開を阻止すべく、今からでも真剣に取り組むべきなのです。
そうでなければ、今世紀半ばにも“中国式民主主義”が世界中にまん延し、世界各国が中国式の法治に取り込まれてしまう可能性は限りなく高くなってしまいます。
もし“中国式民主主義”に世界中の多くの国々が取り込まれるようなことになれば、世界中の多くの人たちが中国における“人民ではない国民”扱いを受けることになってしまうのです。

 
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2022年06月10日
アイデアよもやま話 No.5291 不要な衣服が変身!
2月28日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で不要な衣服のリサイクルについて取り上げていたのでご紹介します。 

不要になった服を新たな服に生まれ変わらせる取り組みがアパレル業界で広がる中、全く別なかたちでリサイクルする動きが出てきました。

東京・池袋の駅前にオープンしたH&M、春服を陳列するテーブルをよく見てみると、糸くずが見えます。
実はこのテーブル、H&Mジャパンで、輸送の際に傷ついてしまった商品や汚れてしまい、販売出来ない服のみで作られています。
ハンガーも服が原料です。
H&Mジャパン サステナビリティ・コーディネーターの山浦誉史さんは次のようにおっしゃっています。
「非商材(売り物以外)に関してもリサイクルのものを使っていくのは非常に重要かなと。」

H&Mの依頼を受け、服を原料にテーブルなどを作ったのが株式会社ワークスタジオ(東京・新宿区)で、最高サステナビリティ責任者の草木佳大さんは次のようにおっしゃっています。
「捨てられるはずだった衣類たちを何か救えないか、」

服からボタンやチャックなどを取り除いた後、特殊な工法で服を粉砕、それらと接着剤を混ぜ合わせ、熱でプレス加工して作っています。
洋服10着から20着ほどでボードが1枚完成、強度は木材に匹敵するといいます。
原料となる服や布などはアパレルメーカーや繊維商社、約100社から調達しています。
草木さんは次のようにおっしゃっています。
「繊維からアナザー(他の商材)というのを僕たちが出来れば良い手助けになる。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通してH&MジャパンのSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)への取り組みについて以下にまとめてみました。
・SDGs担当の部署を設けている(サステナビリティ・コーディネーター)
・リサイクル専門業者に依頼して、販売出来ない服をテーブルやハンガーにリサイクルして店舗で使用すること

ご存じのように資源の有効活用の手段として3R(Reduce(減らす)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(再資源化))の3つがあるといいます。
ですから衣料品関連で言えば、出来るだけ精度の高い需要予測に基づいた衣料品を製造し、不良品や売れ残り商品は割引販売したり、今回ご紹介したように別のモノにリサイクルするということになるのです。
こうしてみると、SDGsの観点からアパレルメーカーには以下の要件が求められます。
・より需要の期待出来る商品づくり
・精度の高い需要予測
・環境に負荷を与えない原料の使用
・不良品や売れ残り商品の販路の構築
・具体的なリサイクルの方法を視野に入れた商品づくり

なお、世界的なSDGsの取り組みの拡大に伴い、環境に負荷を与えない原料の生産業者、あるいはワークスタジオのようなリサイクル業者の活躍の場がどんどん広がっていくと思われます。

 
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2022年06月09日
アイデアよもやま話 No.5290 AIが入居者を見守る介護施設!
2月24日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でAIが入居者を見守る介護施設について取り上げていたのでご紹介します。 

介護サービスを展開するベネッセグループが新たな介護施設を公開しました。
この施設の介護業務を支えるのが「マジ神AI」と呼ばれる独自のIT技術です。

東京・新宿区に来月(3月)オープンする新たな介護施設「グランダ四谷」、部屋に入ってみると“在・不在センサー”が天井に設置されており、入所者が居るか居ないかが分かるのです。
45ある部屋の全てのベッドやトイレにセンサーを設置されています。
もし入居者の異常が起きた場合は「マジ神AI」と名付けられた人工知能が察知して、すぐにスタッフが対応出来る仕組みを導入しています。

「マジ神AI」と一風変わったネーミングの由来となったのが、ベネッセスタイルケア 介護職(マジ神)の枝松裕子さんで次のようにおっしゃっています。
「あるホームで入居者とお話している時に(入居者が)すごい大爆笑されたんですね。」
「その時に新人のスタッフに付いてお部屋にいたんですけど、「そんな笑顔見たことなかった」というところで、「枝松さん、マジ神っすね」というところから「マジ神」と言われていて、・・・」

これをきっかけにベネッセは「マジ神」という社内資格制度を新設、枝松さんのように認知症のケアなど、スキルの高い約180人のスタッフが「マジ神」に認定されています。
枝松さんは次のようにおっしゃっています。
「まばたきの数とか、首の筋肉の動きとか、表情筋とか、汗ばんでいるとかを見ながら、緊張されているな、疲れてきたな・・・」

こうした「マジ神」職員の普段の介護業務の中での対応や気づきなどをデーターベース化し、そのデータを学習させた「マジ神AI」を今回の施設に導入しているのです。
ベネッセスタイルケアの祝田健執行役員は次のようにおっしゃっています。
「2025年に30万人以上の介護職が足りないと(言われている。)」
「介護人材を育てることにAIを活用していく。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。


番組を通して、ベネッセグループが新たに介護施設で導入する、介護業務を支える「マジ神AI」と呼ばれる独自のIT技術、および新設した社内資格制度について、以下にまとめてみました。
・入居者の各部屋には以下のものが設置されている
  天井に“在・不在センサー”
  ベッドやトイレにセンサー
・入居者に異常が起きた場合は「マジ神AI」が察知して、すぐにスタッフが対応出来る仕組みになっている
・「マジ神」という社内資格制度を新設し、認知症のケアなど、スキルの高い約180人のスタッフが「マジ神」に認定されている
・「マジ神」職員の普段の介護業務の中での対応や気づきなどをデーターベース化し、そのデータを学習させた「マジ神AI」を今回の施設に導入している
・これらの導入の狙いは、今後予測される介護職不足対策にある

こうしてみてくると、ベネッセグループが新たに介護施設で導入する取り組みの基本的な方針が見えてきます。
それは、以下の2つです。
・AIを最大限に活用する
・AIでカバー出来ないところは、優れた介護職の高いスキルをデーターベース化し、ディープラーニング((参照:アイデアよもやま話 No.3076 人工知能進化のカギ − ディープラーニング!)でAIの能力を進化させる
・こうしたAIとヒトとの協業により、可能な限りAIに介護業務を任せる
・更にAIとロボットとの協業により、究極的には完全に人手を介さずに介護業務を遂行させるシステムを完成させる

なお、こうした基本的な考え方は介護業務に限らず、多くの業務分野に適用出来るのです。

それにしても、非常にスキルの高い介護職の方々は、まばたきの数、首の筋肉の動きなどから入居者の体調を把握出来るというのはさすがだなと思います。

どの分野においてもこうしたプロフェッショナルの方々はいらっしゃるのです。
そして、こうした優れた方々のスキルを水平展開出来るシステムの確立、更にこうしたシステムにおけるAIやロボットなどの最大限の活用の可否が今後の企業の盛衰を決める重要な要素になるのです。

 
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2022年06月08日
アイデアよもやま話 No.5289 設置場所に困らない超音波食洗器!
2月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で設置場所に困らない超音波食洗器について取り上げていたのでご紹介します。

設置場所に困らない超音波食洗器をBDP株式会社(Brand Design Plus)が開発しました。
商品名は「The Washer Pro」(9万9600円)で、台所のシンクに水を溜めて、これを沈めて電源を入れると超音波が1秒あたり約4万回の超音波振動を起こします。
BDPの江郷悠一郎さんは次のようにおっしゃっています。
「汚れた食器を入れていただくと、このように徐々に汚れが落ちていって、このように音も鳴ります。」

振動により大量の微細な泡が発生、それが食器にぶつかって破裂すると、その衝撃で汚れが落ちるということです。
簡単な汚れなら洗剤無しで約10分で落とすことが出来ます。
実際に潜在無しで0分間漬け置きすると、こびり付いたご飯粒は残ってしまいましたが、調味料などの汚れはきれいに落ちました。
食器の他にも魚介類のぬめりや取りや野菜に付着した泥や農薬を除去することも出来るそうです。
江郷さんは次のようにおっしゃっています。
「(どういった方に使ってもらいたいかという問いに対して、)賃貸暮らしをされている方で、従来の食洗器を設置出来ない方やキッチンが狭いご家庭でも、この食洗器なら置くだけで使えるので、(この食洗器で)時短した時間で大切な方と過ごされたりとか、趣味に使っていただくことも弊社は望んでおります。」

なお、この超音波食洗器には以下のメリットがるといいます。
・場所を取らない
・洗剤が要らない
・食器を並べる必要がない
・電気代も一般的な食洗器に比べて年間1万5000円弱節約出来る

ただし、乾燥機能はありません。
また、水を溜めるのに結構時間がかかってしまうので、食器の量が少ない時には手洗いの方が早いかもしれません。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

ご存じのように超音波メガネ洗浄機は以前からありました。
そして私も何度か、街中のメガネ店の店頭に置いてあるこの洗浄機でメガネをきれいにしていただいたことがあります。
今回ご紹介した超音波食洗器はその食器版と言えます。
ならば衣服用の超音波洗濯機もあるのではないかと思ってネット検索してみたらありました。
しかも外出先での部分的な汚れを落とすのに便利な携帯洗濯機もあるのです。
また歯の汚れがよく取れる超音波電動歯ブラシももあります。
要するに、振動により大量の微細な泡を発生させることにより汚れを落とすという基本的な考え方はその対象を選ばず、どんなものにも適用出来るということなのです。

なお、今回ご紹介した超音波食洗器にはメリットがある一方で以下のようなディメリットもあります。
・乾燥機能がない
・水を溜めるのに時間がかかるので食器の量が少ない時には手洗いの方が早い

ということで、今回ご紹介した超音波食洗器は以下の要件を満たすようなお宅にお勧めだと思います。
・食器洗いに時間を割きたくない
・従来型の食洗器の設置に必要な空間がない

なお、隠れたメリットとして、この超音波食洗器を使って定期的にメガネや電動シェーバーの刃などの汚れをまとめて落とすのに使用するといったような使い方が考えられます。
また、コンセントのある場所であれば、どこでも持ち運んで使用することが出来ます。
ただし、この場合、台所のシンクに代わる容器と一定の水量も必要になります。

 
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2022年06月07日
アイデアよもやま話 No.5288 ”塗らない”塗装 !
2月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”塗らない”塗装について取り上げていたのでご紹介します。

布施真空株式会社(大阪・羽曳野市)の工場を訪ねると、そこにあったのは塗装前の車のボンネット、型の上に置いて赤いフィルムをかぶせます。
次の瞬間、機械の中が真っ白になって、出てきたボンネットはまるで塗装されたような状態になっています。
これは、布施真空が開発した、真空状態でフィルムを貼り付ける世界初の技術です。
真空技術によって厚さ1ミリにも満たないフィルムを立体的なものにピッタリと密着させることが出来るのです。
塗って乾かしての工程を何回も繰り返す従来の自動車の塗装。使う電力は塗装工程だけでクルマ1台をつくる総電力の4割近く、この“貼る”塗装なら従来の3分の1に減らせるそうです。
矢葺勉社長は次のようにおっしゃっています。
「夢のある工法で、社会のためにもなるかなと。」
「更にチャレンジしていくということで。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

そもそもクルマのボディの塗装の代わりに色の着いたフィルムを真空技術によって貼り付けるというアイデアが画期的です。
また、この“貼る”塗装は従来の自動車の塗装に比べて以下のメリットがあります。
・作業工程が少なく、生産性の向上が図れる
・使用電力を3分の1に削減出来る

なお、この“塗らない塗装”について疑問が湧いてきたので直接、メーカーの布施真空に問い合わせてみました。
以下はその結果です。
Q1:部分的な傷について、従来の塗装であれば、その箇所だけ修理すればよかったが、“塗らない塗装”ではフィルム全体を貼りかえる必要があるのではないか?
A1:その通りで、従来の塗装に比べてコストがかかる。
   しかし、将来、ボディがプラスチック製になり、射出成型での製造になると低コスト化が図られる。
A2:こうした時代には、購入後にボディの色を変えるといった新たな需要が期待出来るのではないか?
A2:その通り。
   なお、ダイハツのコペンでは既にこうしたサービスが展開されている。

ということで、クルマのボディも将来的にはSDGs(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』)の観点から鉄から植物由来のプラスチックに替わり、従来の塗装も“塗らない塗装”へと変化していくのではないかと思われます。

 
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2022年06月06日
アイデアよもやま話 No.5287 北国の“白いダイヤ“ !?
2月23日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で北国の“白いダイヤ“ について取り上げていたのでご紹介します。

長引くコロナ禍で地方経済も大きな打撃を受ける中、独自の技術やアイデアで成長を続ける企業もあります。
そうした中、豪雪地帯の北海道・美唄市を訪ねると、倉庫に運び込まれていたのは雪です。
株式会社雪屋媚山商店の本間弘達社長は次のようにおっしゃっています。
「みんな雪に苦労していて、雪かき、除雪が大変なんですけども、味方に変われば本当にうれしいことだと思います。」

本間社長が立ち上げたのが雪冷房の会社です。
冬に集めた雪は倉庫で1年中保存、ここでお米を保管すると雪の冷気で酸化を防ぎ、新米に近い味を保てるといいます。
更に大量のサーバーを冷却する必要があるデータセンターにも活用、東京なら年間15億円かかる冷却費用を3億円に抑えられるのです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

勿論、雪は“雪景色”という言葉があるくらい、冬に私たちの目を楽しませてくれたり、スキーなど冬のスポーツに欠かせない存在です。
一方で、北国の方々は毎年、大雪による雪かきで大変な苦労をされています。

こうした中、これまで厄介者と見られたモノをうまく活用する事例をいろいろとお伝えしてきましたが、今回ご紹介している雪の活用もまさに“禍を転じて福と為す”です。

特に大量のサーバーを冷却する必要があるデータセンターではその電力料金が膨大だとは知っていましたが、東京なら冷却費用が年間15億円かかり、雪の活用により5分の1に抑えられるというのです。
今後ともAIの活用、あるいは膨大なデータ量の処理などで増々データセンターは増えていくと見込まれます。
そうした中、雪はデータセンターの冷却費用削減の救世主となるのではないでしょうか。

 
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