2021年03月07日
No.4896 ちょっと一休み その764 『白亜紀の細菌が今も増殖能力!』

ちょっと古い情報ですが、昨年7月29日(水)付けネットニュース(こちらを参照)で今も増殖能力がある白亜紀の細菌について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

・深い海底下の約1億年前の白亜紀に積もった地層で見つかった生きた細菌に、いまも増殖する能力があった――。そんな研究成果を海洋研究開発機構などの研究チームが(2020年)7月28日付で科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。

・採取した海底堆積物の粒子のすきまは微生物より小さいため、諸野祐樹・同機構主任研究員は「堆積物の中を移動してきたとは考えにくい。今回の結果は微生物が貧栄養、低酸素の状態で1億年もの間、増殖能力を残したまま生き延びてきたことを示している」と話す。海底下での生存を可能にしたしくみの解明は、今後の課題だという。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

いくら微生物がごく小さい生物だからとは言え、貧栄養、低酸素の状態で1億年もの間、増殖能力を残したまま生き延びてきたという事実は、まさに驚異です。

諸野さんのおっしゃるように、海底下での生存を可能にしたしくみの解明が進めば、ネイチャー・テクノロジー(参照:アイデアよもやま話 No.4551 ハリセンボンを真似た画期的な撥水加工!)の考え方を応用することにより、人類がより少ないカロリー摂取でも生存出来ることにつながるかも知れません。

また、この解明は人類がこれから迎える宇宙空間での長期間の移動に伴う仮眠状態などでの生存の維持にも役立つ可能性を秘めています。


 
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2021年03月06日
プロジェクト管理と日常生活 No.683 『日本企業におけるデジタル化の課題』

昨年10月23日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でデジタル化の課題について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付については全て番組放送時のものです。

 

政府は今日、経済財政諮問会議を開き、デジタル化の推進と規制改革について議論しました。

この中で菅総理は、新設するデジタル庁が自治体だけでなく、民間のデジタル化にも責任を持てるよう、権限を調整することやテレワーク、兼業・副業など、新たな働き方に対応した就業ルールを年内に策定することなどを関係閣僚に指示しました。

 

菅政権になってあらためて経済政策の司令塔として位置付けられたこの経済財政諮問会議ですが、その評価について解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「菅内閣になって、今回で2回目の会議なんですけども、民間議員が個人名でペーパー、提言を出したり、かなり活性化していますね。」

「菅総理自身が肝入りでやっているし、民間議員も相当やる気を出してます。」

「(デジタル化の課題について、)新浪剛史議員(サントリーホールディングス社長)のペーパーが非常に面白かったんですけども、まず日本でITの投資が(アメリカに比べて)中々進んでいないということがはっきりデータで示しています。(添付のグラフ1参照)」

「次に企業サイドの理由についてもちゃんと示しているんです。」

「これ(添付のグラフ2参照)ご覧いただきたいんですけども、赤で示されているのはIT人材の中でIT企業以外のメーカーやサービス業などで働いている人たちの比率なんですね。」

「(これは日本だけIT企業に偏っているということはITを使いこなす側の人材があまりいないということかという問いに対して、)全くその通りなんです。」

「そういうことを促すためにも人材の流動化が必要だというようなことで、かなり戦略的にいろんなことを芋づる式に洗っていこうという姿勢というのか、雰囲気は伺えますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

昨年10月23日に開催された経済財政諮問会議で新浪議員は2つのグラフを用いて、日本企業におけるデジタル化に向けた課題を指摘されていますが、極めて的を射た内容だと思います。

 

1つ目は、IT投資を増やすことです。

2つ目は、IT企業以外のメーカーやサービス業などで働いている人たちの中のIT人材の比率を増やすことです。

 

ここで何事においても、事業を進めるうえで必要な3つの要素、すなわち“ヒト、モノ、カネ”を思い出して下さい。

すると、新浪議員の指摘されている1つ目のIT投資はモノ(コンピューター機器類や通信設備)とカネ、2つ目のIT企業以外の企業のIT人材はヒトにそれぞれ対応しており、極めて基本的な指摘をされており、特別なことをおっしゃっているわけではないのです。

 

日本企業は総じてこれまでデジタル化にそれほど熱心に取り組んでこなかったのです。

こうした状況は今後の日本経済を展望すると、とても危ういことを暗示しています。

なぜならば、デジタル化、あるいはDX(デジタルトランスフォーメーション)こそ、これからの生産性の向上、あるいは新しいビジネスの展開に欠かせない要件だからです。

 

そこで、これから日本企業がデジタル化に取り組むうえで、基本的な投資を増やすことが求められているのです。

しかし、ここで考慮すべきは特にIT企業以外でのIT人材の育成です。

いくら、投資を増やしても、それを使いこなす人材が不足していては、十分な成果を上げることは出来ないからです。

ですので、量的のみならず質的にも優れた“ヒト、モノ、カネ”の投資がとても重要なのです。

ということは、これからの学校の授業においては、単にパソコンを使えるスキルを身に着けるだけでなく、コンピューターの基礎知識やアプリの作り方や使い方、あるいはシステム的な思考方法などを必須科目として加えることがとても重要なのです。


添付1、2)


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2021年03月05日
アイデアよもやま話 No.4895 ”ゼロ円サービス”でピンチをチャンスに!

これまで何度となくコロナ禍における企業の生き残りに向けた取り組みをお伝えしてきました。

外食産業やカラオケ店の中にもコロナ禍による売り上げ激減の状況下における生き残りを賭けた取り組みをしている店舗があります。

1月14日(木)放送の「グッとラック!」(TBSテレビ)では2つの店舗の事例を取り上げていたのでご紹介します。

 

緊急事態宣言が全国11の都府県に拡大し、多くの飲食店が苦境に立たされている今、逆に活況になっているお店があります。

それが“ゼロ円サービス”のお店です。

カラオケ館(北千住駅前店)では緊急事態宣言後にスタートさせた“ゼロ円サービス”について加藤秀明店長は次のようにおっしゃっています。

「(室料が)平日は2時間ゼロ円、週末は1時間ゼロ円のキャンペーンをやっております。」

「1月8日からキャンペーンを始めまして、先日までずっと満室が続いております。」

 

600円飲み放題の注文が必要ですが、ゼロ円サービスとあって、始めた日から連日満室というのです。

利用者のほとんどが“一人カラオケ”でした。

加藤店長は次のようにおっしゃっています。

「(気になる肝心の儲けについて、)採算度外視で楽しんでいただくキャンペーンと打っていますので利益を考えておりません。」

「(ゼロ円サービスを始めたきっかけについて、)カラオケボックスではクラスターは一度も発生しておりません。」

「安心で安全に利用出来るので、是非足を運んでいただきたいと思っております。」

 

全国カラオケ事業者協会によると、カラオケでのクラスターが発生しているのはカラオケ喫茶やスナックなど、カラオケボックス以外の場所だといいます。

密閉空間であるカラオケボックスは建築基準法で高い換気機能を持つことが定められています。

また超強力な換気扇などで約6分程度に1回空気が入れ代わるようになっているのです。

加藤店長は次のようにおっしゃっています。

「カラオケ館では感染対策も万全に行っております。」

「このゼロ円のキャンペーンによってまたお客様がご来店いただけるのをお待ちしております。」

 

更に焼肉店の「ホルモンなかむら」(東京・府中市)ではお客がある感染対策に取り組むことを条件に千円のホルモン盛り合わせがゼロ円になるサービスがあります。

その条件とは、店内で無言で飲食をしてもらうことです。

しかし、もし失敗すると人数分の盛り合わせ分を支払わなければなりません。

ただし、注文の際の店員への声掛けはセーフです。

なぜこのようなサービスを始めたのかについて、中村友和店長は次のようにおっしゃっています。

「飲食することで飛沫が飛んで感染リスクがあるっていうことはよくテレビで言われているんで、だったら(食事を)無言で楽しんでみてはどうかなっていうのが思い立ったきっかけですかね。」

 

ちなみにホルモンをゼロ円にして利益は出るのかについて、中村店長は次のようにおっしゃっています。

「利益・・・考えたことないですね。」

「それよりもお客さんに来てもらいたいなっていう意識の方が高いですかね。」

 

時短営業で売上が落ちてしまう飲食店が多い中で、このようにゼロ円サービスで活路を見出すお店があるのです。

 

こうした飲食店の取り組みについて、MCの立川しらくさんは次のようにおっしゃっています。

「ホルモン店は一人でもチャレンジOKなら、大丈夫でしょう。」

「だって、一人でしゃべる方が変だもの。」

「だから基本、時短営業てのは多少の効果はあるけども、私はずっと言っている通り、ちゃんと感染対策して、お一人様テイクアウト専門、そういうふうに決定すればいいと思うんです。」

「あとは家族だったらいいとか。」

「そうすれば私は一人でどんどんご飯食べにいけば、時短要請よりも相当効果は良いと思うんですけど、経済も回るし。」

 

またメインコメンテーターの田村淳さんは次のようにおっしゃっています。

「いつも過ごしている小さなグループであればいいと最初言ってたじゃないですか。」

「で、一人で食べる分には飛沫感染も抑えられるわけですから。」

「そしたら、飲食店の人たちも今のような苦しみもしなくて済むし、「ホルモン中村」さんみたいに、こうやって自分たちで何かアイデアを考えて、ちょっとでもお客さんを楽しませようというお店がこうやって出来るところはいいですけど、中々全部のお店がそうもいかないでしょうから、やっぱり一人で行くということを政府が言った方がいいと思いますね。」

 

また、木曜コメンテーターのノンスタイル 井上さんは次のようにおっしゃっています。

「ネガティブじゃないですか、いろんなことに対して。」

「何とかこの緊急事態宣言もポジティブに楽しみながら1ヵ月、2ヵ月を乗り切ろうっている心意気がもっともっと全国的に広がって欲しいですね、消費者も含め。」

 

こうした中、1月12日の会見で西村経済再生担当大臣は次のようにおっしゃっています。

「昼間も外出自粛をお願いしたい。」

「お昼に皆とご飯を食べて良いということでなない。」

 

なお、番組では、飲食店を巡って夜8時で終わってしまうということで、今話題になっている言葉「夕食難民」についても取り上げていました。

外で夕食を食べる場所がない難民状態になってしまう人たちのことを「夕食難民」と言っているのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず“ゼロ円サービス”のカラオケボックスですが、利用者のほとんどが“一人カラオケ”といいますが、これなら「3密」回避になります。

また、“ゼロ円サービス”があるので、カラオケ好きの方にとっては格安で楽しめる格好の空間になります。

ですから、このサービスを始めたお店では連日満室状態というのはとても頷けます。

 

一方、焼肉店の中にはお客に店内で無言で飲食をしてもらうことを条件に千円のホルモン盛り合わせをゼロ円になるサービスを展開しているお店があるのです。

こうした遊び心のあるサービスをしてくれるお店に対しては、コロナ禍という厳しい状況にもめげずに取り組む店主の心意気を感じます。

 

コロナ禍で緊急事態宣言などで時短営業が続く中、売上が落ちてしまう飲食店が多い中で、このようにいろいろとアイデアを絞って利益度外視で“ゼロ円サービス”で活路を見出しているお店があるのです。

 

こうした必死で活路を見出そうしているお店がある中で、追い打ちをかけるように、西村経済再生担当大臣はランチタイムについても外出自粛を依頼しています。

 

ここで思い出されるのは、以前ご紹介した東京慈恵会医科大学 医学部外科・統括責任者の大木 隆生教授の提言です。(参照:アイデアよもやま話 No.4701 新型コロナウイルス対策に必要な発想の転換!)です。

新型コロナウイルスの感染拡大対策は、大きく3つあると思います。

・感染拡大の回避

「3密」(密閉・密集・密接)の回避

  うがいや手洗いの習慣化

  マスクの着用

    PCR検査、抗原検査、あるいは抗原検査による感染者の早期発見

  ワクチンの接種による新型コロナウイルスに対する集団免疫の強化

・経済活動の維持

・感染者用の医療体制の強化

 

今回ご紹介した事例はまさにカラオケ店と飲食店における生き残り策で経済活動の維持の一環です。

一方、西村経済再生担当大臣は感染拡大の回避策としてランチタイムについても外出自粛を依頼しているのです。

 

さて、コロナ禍対策の基本は「3密」の回避です。

ですから、政府や自治体にはこの基本に照らして、あらためて感染拡大の根本要因を洗い出し、どの程度の経済活動であれば、感染拡大や医療機関の受け入れ体制などとのバランスで許容出来るのかを見極めてガイドや要請を出していただきたいと思います。

今回ご紹介した“一人カラオケ”や“一人飲食”、あるいは“店内での無言飲食”はその許容範囲だと思うのです。

 

単にランチタイムにおいても外出自粛を依頼したり、夜8時までの時短営業を飲食店に求めるだけでは、経済活動の維持はとても困難ですし、国民のストレスも限界を迎えてしまいます。

また、コロナ禍におけるコロナ禍前の時間帯での営業継続ガイドが政府から出されれば、各業界は生き残りを賭けて必死にアイデアを考えますから、コロナ禍終息後のコロナ禍前の状況に戻るのではなく、“新たな生活様式”にもつながると期待出来るのです。

 

ということで、コロナ禍はまだ当分続きそうですから、この辺で政府は新たなコロナ禍対策として、国民、あるいは飲食店などのアイデア力を信じて、コロナ禍前に近い時間帯での営業継続ガイドを出すことも検討していただきたいと思います。

勿論ワクチン接種も同時並行でスピーディに進めるべきであることは明らかです。


 
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2021年03月04日
アイデアよもやま話 No.4894 新型コロナ 2019年9月時点で既に拡大!?

昨年11月17日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスは既に2019年9月時点で既に拡大していた可能性について取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

イタリアの国立がん研究所は新型コロナウイルスが昨年9月の時点でイタリア国内で拡散していた可能性があるとする研究結果を発表しました。

中国武漢で初めて感染が確認されたとされる昨年12月よりも前にウイルスが世界へと広がっていた可能性があります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

その後の動きですが、2月15日(月)付けネット記事(こちらを参照)の一部を以下にご紹介します。

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

新型コロナウイルスの発生源を探るため中国湖北省の武漢入りした世界保健機関(WHO)調査団の調査で、2019年12月に確認された武漢での感染は、これまで考えられていたよりはるかに広範に及んでいた兆候があることが分かった。調査団は、中国政府がまだ許可していない数十万件の血液サンプルを緊急調査したい意向だ。

・武漢からスイスに戻った調査団長のピーター・ベン・エンバレク氏がCNNのインタビューで語ったところによると、調査団は今回初めて、武漢では2019年12月の時点で既に12種類以上のウイルス株が存在していたことを突き止めた。

・調査団はまた、中国当局が最初の感染者だとしている40代の男性とも面会した。男性は民間企業に勤務するオフィスワーカーで、特筆するような渡航歴はなく、12月8日に感染が報告されていた。

・今回の調査では対象とする遺伝物質の種類を増やし、遺伝子の完全な検体だけでなく部分的な検体も調査したことで、この時点で存在していた新型コロナウイルスの13の異なる遺伝子配列を初めて収集できたとエンバレク氏は説明する。この情報を、中国で2019年に確認された患者のデータと照らし合わせれば、12月以前に流行が起きていた地域や時期の解明につながる貴重な手がかりとなり得る。

・一部のウイルス学者は以前から、新型コロナウイルスが2019年12月よりずっと前から出回っていた可能性を指摘していた。同ウイルスの変異と思われる株がこれほど多く見つかったことは、その説を裏付ける初の物的証拠になりそうだ。

・WHOの調査団は今後数ヶ月の間に再び武漢を訪れ、調査を継続したい意向。ただし調査日程は確定していない。

・感染起源をめぐる調査に今後数年かかるとの見通しがある。

 

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

 

これらの情報から以下のことが言えます。

新型コロナウイルスは2019年12月よりずっと前からいくつかの国々に拡散していた

・中国当局が最初の感染者だとしている40代の男性は特筆するような渡航歴はなく、2019年12月8日に感染が報告されていたことから、中国が感染源の新型コロナウイルスに感染していた可能性が高い

・2019年9月の時点で新型コロナウイルスがイタリア国内で拡散していた可能性がある

感染起源の特定調査には今後数年かかりそうである

 

ということで、今回の新型コロナウイルスの感染起源の特定や感染拡大経路に関する調査・分析にはまだまだ時間がかりそうです。

 

ここで気になるのはWHOの調査団の方法です。

現在、新型コロナウイルスの感染起源は中国であるという見方が大勢を占めているようですが、その中国は必死にそうした説を必死に否定しにかかっています。

その一環として、調査団が調査したくても、中国の意向で調査にいろいろな制限を加えています。

なぜならば、もし事実だということが明らかになれば、世界各国への速やかな情報公開がなされたかったということで、自国のイメージダウンだけでなく、多くの国々から多額の賠償請求が起こされる可能性が出てくるからと言われています。

 

本来、WHOの調査団のような第三者的なチームが調査する際には、調査される側の国は調査団から出されるあらゆる要求に従って真摯に対応するのが常識です。 

その常識が通用しないところに、国際機関であるWHOの調査団の活動の限界を見る思いです。

 

なお、今年1月から2月にかけて行われたWHOによる武漢でのコロナの発生源の調査は、「調査」とは名ばかりで、実際の記者会見の様子を見ると、その中身はWHOと中国の「共同研究(Joint Study)」に過ぎなかったと一部で報じられています。
ですから、そもそも今回の武漢での調査はWHOによる第三者的な調査ではなかったとも言えそうです。
やはり中国はとてもしたたかな国なのです。

 


 
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2021年03月03日
アイデアよもやま話 No.4893 ISSでの活躍が期待されるロボットアーム!

昨年11月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でISSでの活躍が期待されるロボットアームについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

日本人宇宙飛行士の野口聡一さんら4人が搭乗する宇宙船が日本時間の今朝、アメリカ フロリダ州から国際宇宙ステーション(ISS)に向けて飛び立ちました。

野口さんが今回搭乗したのがアメリカの民間企業、スペースXが開発した新型宇宙船の運用1号機「クルードラゴン」で、新たな有人宇宙開発の時代に入ったことになります。

アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルが2011年に退役して以来、9年ぶりにISSに向かう手段が民間企業の手によって復活しました。

 

今回の新型宇宙船を開発したのは2002年に設立されたアメリカのベンチャー企業、スペースXで、電動自動車(EV)メーカー、テスラで有名なイーロン・マスクさんが創業した会社です。

スペースXは打ち上げに使うロケットエンジンを地上に着陸させて再利用、打ち上げコストは他のロケットに比べて3割ほど低いといいます。

これまで実験での失敗を繰り返しながら精度を高め、今朝の打ち上げでも使用後のロケットエンジンの着地を成功させました。

 

スペースXの成功で民間企業の宇宙ビジネスが今活気づいており、日本のベンチャー企業にもチャンスが広がっています。

宇宙飛行士の作業を代行するロボットを開発するGITAI株式会社は来年夏には長さ1mほどのロボットアームをISSに向けて打ち上げる予定です。

彼らはスペースXの成功が自分たちの追い風になると見ています。

GITAIの中ノ瀬翔CEOは次のようにおっしゃっています。

「我々が作っているロボットは1台で複数の複雑なタスクをこなすことが出来ると。」

「宇宙飛行士の方々はより人間にしか出来ない意義のある作業、探査とか広報、教育に関することに時間を割いていけることになる。」

 

ロボットはカメラで対象を認識、プログラムに従ってスイッチの操作や通信アンテナを組み立てる実験を行います。

更に社内で開発が進むのはSF映画に出てきそうなロボット、宇宙船内のスイッチは誤作動やミスを防ぐため引っ張りながら傾けないと入らない仕組みになっていました。

このロボットも人の指と同じような細かい作業をすることが出来ます。

また遠隔操作も出来るため、危険な船外活動を少なくすることにもつながるといいます。

中ノ瀬CEOは次のようにおっしゃっています。

「国際的な宇宙開発に日本企業として貢献していきたいなと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前にもお伝えしたように宇宙産業はビジネスにおけるニューフロンティア(新たな需要領域)と言えます。

宇宙空間はいろいろな面で地球上とは異なる環境になるので、これまで開発してきた技術をそのまま使えないことが多いと見込まれます。

ですから、従来の技術プラスαが必要になるのです。

従って、独自の技術を持ったGITAIのようなベンチャー企業にもチャンスがあるのです。

また、こうした独自の技術は巡り巡って、地球上でのビジネスにも応用出来る余地が出てきます。

 

ということで、宇宙ビジネスは優れた技術を持っているベンチャー企業にとっては成長の大きなきっかけになり得るのです。


 
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2021年03月02日
アイデアよもやま話 No.4892 騒音の中で声だけを届けられる!?

昨年11月13日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で騒音の中で声だけを届けられる技術について取り上げていたのでご紹介します。 

 

NECでは通話する時に混ざってしまう周囲の騒音を取り除いて自分の声だけを相手に届ける技術を開発してきました。

そしてこの技術を搭載した製品を、2021年2月には完全ワイヤレスのかたちにしての提供を目指します。

耳に装着してスマホと接続し、周囲の騒音をどれくらい消せるのか、鉄道の高架下で実験してみました。

電車が激しく行き交う中、話してみると相手の声だけで電車の騒音は全く聞こえないといいます。

機器の内側には、耳の中で響く自分の声を集音するマイクが、そして外側には発した声と周囲の騒音を拾うマイクが付いています。

NECの独自技術で騒音を打ち消す処理を行い、クリアにした自分の声だけを相手に送っているのです。

NEC デジタルプラットフォーム事業部の青木規至さんは次のようにおっしゃっています。

「自分が発する時の周囲の騒音が相手に届いてしまっているというところが、オンライン会議が普及したことで徐々に(皆が)気づき始めている。」

「時代にあったかたちや色を含めてトゥルーワイヤレス型を開発していた。」

 

元々工事現場でコミュニケーションを取るために活用されていた技術ですが、オンライン会議で使用するなど、新たな市場の開拓につなげたい考えです。

なお、このトゥルーワイヤレス型アラブルデバイスは商品名「マクエア」、価格2万9800円で先行予約のみでの販売といいます。

 

なお、この商品、連続した音は工事の音でも人の声でも消せるのですが、唐突に発した音や声、あるいはペットの鳴き声などは消せないといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

それにしても鉄道の高架下でも相手の声がクリアに聞こえるという技術はすごいと思います。

確かに非常に騒音の大きい工事現場などでのコミュニケーションを取るには、今回ご紹介した商品はとても便利だと思います。

それがコロナ禍の影響で在宅勤務などによるオンライン会議を強いられる状況では、手軽に使用出来るワイヤレス型の商品「マクエア」があればとても重宝します。

ですから、コロナ禍は外食産業を中心に全体の消費が落ち込む一方で、このような新たな需要も生まれているのです。

 

なお、今回ご紹介した商品のような機能がスマホに搭載されれば、どこで電話しても相手の声が良く聞こえるようになるので、価格次第で多くの引き合いがあると期待出来ます。


 
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2021年03月01日
アイデアよもやま話 No.4891 新型コロナウイルス感染の重症化を防ぐ研究!

昨年11月13日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスの感染による重症化を防ぐ研究について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの感染状態が未だ落ち着かない中、患者の重症化を防ぐための研究も進んでいます。

新たに判明したのが重症化し易い人とそうでない人を判別出来るあるタンパク質の存在です。

発見したのは国立国際医療研究センター研究所のグループです。

杉山真也さんは次のようにおっしゃっています。

「CCL17は血液中に含まれるタンパク質の1つです。」

「そのタンパク質の濃度がある一定の値より低くなっている場合に重症化する方が多くいらっしゃったと。」

 

CCL17、抗体をつくる細胞の機能を上げる作用のあるタンパク質です。

健康な人の濃度の値は200〜300だといいますが、杉山さんは次のようにおっしゃっています。

「我々の解析ですと、100を切るぐらいの低い値の方が重症化し易い。」

「(CCL17を増やす方法はあるのかという問いに対して、)今のところないんじゃないかなと思っていますし、増やし過ぎるとアトピーとか喘息にも関係していまして、・・・」

 

実はこのCCL17はアトピー性皮膚炎の検査マーカーとして使われていて、アレルギーの人の値は1000を超えるといいます。

「(欧米人はこのCCL17が少ないということなのかという問いに対して、)アトピー性皮膚炎の検査マーカーとしても日本でしか使われていなくて、人種による差というのはとっても重要なとこなので、研究の中で海外で使って確かめる。」

 

研究グループは今後約20カ所の病院で有効性を調査したうえで、重症化を予測する検査薬としての導入を目指します。

杉山さんは次のようにおっしゃっています。

「物としてはもう出来上がっていまして、承認が得られればメーカーから世に出る。」

 

PCR検査で陽性となった人の中でも症状がある方の約80%は軽傷、そして重症化・重篤化する方は約20%ということです。

この重症化・重篤化する方の可能性が早い段階、特に検査して陽性と分かった早い段階で分かれば対処の方法も変わって来るのではないかということです。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「その物差しが分かったというのは大変な業績だと思いますよね。」

「CCL17とはどんなものなのか、もう一度整理してみると分かり易いと思うんですけども、CCL17が高い人は重症化しにくく、低い人は重症化し易いということが分かったわけです。」

「他の因子についても研究がだいぶ進んでいます。」

「で、その中で一番重要なのはCCL17なんですけども、一番良いのは何なのかというと、血液検査で検査可能だというのは相当大きなメリットだと思いますね。」

「(重症化に関する研究も随分進んできているという指摘に対して、)はい、コロナについての戦略的に重要な点は重症化を防ぐという点だと思うんですね。」

「その道筋がつかめるということは、経済を止めずにコロナと対処して行くという道が開けるということで、相当重要なニュースだと思います。」

「それは強調しておきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

血液中に含まれるタンパク質の1つ、CCL17の効用について以下にまとめてみました。

・CCL17は抗体をつくる細胞の機能を上げる作用がある

・健康な人の濃度の値は200〜300で、100を切るぐらいの低い値になると重症化し易いという分析結果がある

・PCR検査で陽性となった人の中でも症状がある方の約80%は軽傷、そして重症化・重篤化する方は約20%という

・この重症化・重篤化の判別が早い段階、特にPCR検査して陽性と分かった時点で血液検査でCCL17の値も分かれば対処の方法も変わって来る

 

新型コロナウイルスの感染が未だ収束に向かっていない状況において、特に医療施設の負担の大きい重症患者の受け入れ態勢が限界に近い状況では早期に血液検査によりCCL17の値の計測により重症患者の識別が出来ることは、滝田さんも指摘されているように医療関係者にとってとても有益です。

ですので、研究グループには早急に重症化を予測する検査薬としての導入を目指していただきたいと思います。


 
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2021年02月28日
No.4890ちょっと一休み その763 『中国武漢市の李文亮医師の残した言葉』

昨年7月20日(月)、21日(火)放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日)の「池上彰のニュース検定」コーナーで中国武漢市の李文亮医師について取り上げていたので併せてご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

新型コロナウイルスが中国で猛威を振るい始めたのは今年(2020年)に入ってからですが、既に昨年(2019年)12月、その危険性にいち早く気付いた中国人医師がいました。

武漢市中央病院の眼科医、李文亮医師です。

その理由は、李医師が務めていた病院に原因不明の肺炎患者が複数人運ばれて来たからだといいます。

しかもその患者が隔離されたことから危険性に気付きました」。

李医師は武漢で起きた異変を医学部時代の同級生たちとのグループチャットで次のように伝えました。

「海鮮市場で7人がSARSに感染した。」

「私たちの病院で隔離されている。」

 

李医師は昨年12月の段階で新型コロナウイルスによる肺炎をSARS、重症急性呼吸器症候群だと指摘していました。

SARSは2003年に中国広東省で発生し、世界を震撼させた感染症です。

コロナウイルスの一種が原因でした。

李医師は今回発生した原因不明の肺炎についてSARSだと思ったのです。

また新型コロナウイルスと分かっていない段階で警鐘を鳴らしていたのです。

 

本来はそこから対策を取るべきだったのですが、李医師の勇気ある情報発信が警察の目に止まります。

そして、(2020年)1月3日、警察に呼び出されました。

“デマを流した”として、処分を受けたのです。

この時、武漢の病院関係者の間では、謎のウイルスが人から人へ感染するとの指摘が広がり始めていました。

しかし、この重大な情報は公表されることなく、中国当局はヒトからヒトへの感染は確認されていないと言い続けたのです。

危機意識が共有されないまま、感染者数は急速に増えていきました。

 

そして、いち早く危険に気付いた李医師自身にも異変が起きます。

きっかけは1月上旬の緑内障の患者の診察でした。

その患者が新型コロナウイルスに感染していたのです。

それを知らずに治療に当たった李医師自身も結局感染し、入院しました。

しかし、その後も李医師は自分の病状などをSNSで発信し続けます。

そして、(2020年)1月23日、警鐘は現実のものとなりました。

感染拡大が止まらず、武漢が封鎖されたのです。

それから2週間ほどした2月7日、李医師は亡くなりました。

李医師の回復を願っていた中国の多くの人々に大きなショックを与えました。

李医師が亡くなった2月7日の夜には、笛を吹いたり、部屋の照明を消したりして追悼しようという呼びかけがあり、多くの武漢市民が参加しました。

ただ、そうした映像はネットから次々と削除されました。

SNSでは「追悼文を掲載したら削除された。追悼も出来ないのか。」などの声が溢れました。

 

政府に批判の矛先が向かうことを恐れたのか、中国当局はまるで手の平を返すように、李医師への評価を一変しました。

“デマを流した”という処分を撤回したのです。

名誉の回復でした。

李医師は新型コロナウイルスで入院していた時に、次のような言葉を残しています。

「健全な社会には様々な声が必要だ。」

 

李医師を始めとする武漢の医師たちの警鐘を当局が受け止め、すぐに対応していれば、世界中が感染拡大にそれほど苦しむことはなかったのではないでしょうか。

 

以上番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで何度となく、習近平国家主席が率いる中国共産党政権は覇権主義を振りかざし、アメリカにとって代わる世界制覇を目指しているとお伝えしてきました。

そして、中国国内においては、有無を言わさず、中国共産党にとって都合の悪い内容をSNSに投稿すると即座に削除されてしまうばかりでなく、場合によっては逮捕されてしまうというのが実態なのです。

 

そうした中、番組でも取り上げていたように、李医師が入院中に発した「健全な社会には様々な声が必要だ。」という言葉は、ご自身が体験された、勇気ある情報発信は公表されることなく、危機意識が共有されないまま、感染者数は急速に増えていき、その結果ご自身も新型コロナウイルスに感染してしまった無念さがほとばしっているように感じます。

 

民主主義、共産主義など国の体制は異なっても、国の本来あるべき姿としては、以下の要件を満たしていることが求められるべきなのです。

・誰もが自由に自分の考えを発言出来ること

・個人の人権が保障されること

・誰もが法的に平等に扱われること

・法に基づき、国家運営がなされること

・国際ルールに従うこと

・平和国家を追求し、覇権国家による勢力拡大に対しては断固反対の立場を取ること

 

この要件に照らしてみると、現在の習近平国家主席の率いる中国共産党による独裁政権は、“まず中国共産党ありき”で上記のどの要件も満たしていないことは明らかです。

李医師は、ご自身の体験を通してこうした要件を満たさない中国政府への不満、怒りを「健全な社会には様々な声が必要だ。」という言葉で表現されたと思われます。

また、武漢の多くの市民もこの李医師の勇気ある行為、そして自らも新型コロナウイルスに感染して亡くなったことで中国政府に抗議の声を挙げたのです。

しかし、こうしたSNS上の声や映像も当局により削除されたのです。

 

ただ救いなのは、こうした武漢市民の抗議の高まりを当局が無視出来なくなり、“デマを流した”という李医師に対する処分を撤回したことです。

以前にもお伝えしたように、中国共産党も革命により以前の政権から今の政権の座を奪って手に入れたのです。

要するに、武力によるか言論によるか、手段は何であれ、より多くの国民の意思を集結することによって、国民の望む国家に向けて動きだすことが出来るのです。

ですから、自由とか平等とかという権利は手をこまねいていては手に入らない、とても貴重なものなのです。

そして、香港や今回のミャンマーの件を見ても、自由とか人権の尊重といった権利はあっという間に武力によって失われる、とても危ういものなのです。

 

私たちの暮らす日本という国においても基本的には同じなのです。

その時々の政権は、自分たちの政権がより長く維持出来るように、また自分たちが運営し易いようにという狙いを大なり小なり持っています。

しかし、こうした狙いも政党間の政策論争という競争原理が働くことによってよりよい政策の実施に結びつくのであれば必ずしも悪いことではないと思います。

問題はこの部分が特に自由な発言を抑えるような動きにつながったり、政権に不利な事実を隠すといったような行為につながるのです。

こうした政権の習性を少しでも軌道修正させ続けるためには、常に国民やマスコミの側が政権にとって“不都合な真実”を公の目にさらされるような状態を維持しておくことがとても重要なのです。

こうした国民やマスコミの努力があってこそ、自由な発言や人権が保障されるというのが現実の姿なのです。

 

こうして見てくると、中国共産党による一党独裁の現在の中国において、国民が自由や人権の保障を手に入れることはとても困難なことです。

しかし、先ほども触れたように、どんな独裁政権国家においても、国民の声を全く無視することは出来ないのです。

ですから、何らかの手段により、政権にとって無視出来ないほど国民の声が大きくなれば、政権に軌道修正を強いたり、更には新しい国づくりへの大変革も可能なのです。

そこで重要になるのは、国際ルールに照らしたこうした国民の声への国際的な支援です。

 

そこで現在、世界的に無視出来ないことの1つは武力により軍事政権に取って代わられたミャンマーの今後の動向です。

このように軍事力による政権奪還を国際的に許してしまう状況は決してあるべきではないのです。

最悪の場合は、国連軍のような武力を使用してでもこうした軍事政権を元の民主政権に戻すようなことをしなければ、今後ともミャンマーのような政権転覆のリスクは無くならないのです。

しかし、武力の使用はあくまでも最終手段であり、様々な別の平和的な手段による解決が求められるのです。

その最も効果的な手段の一つは世界の大多数の国々が一致団結して武力行為で獲得した軍事政権や本来あるべき姿としての要件を満たしていない国に対して様々な制裁を加え続けることだと思います。

どんな国においても、世界の大多数の国々が自国のあり方を否定し続け、更に世界的に様々な制裁を加えられ続ければ、いずれ国民の不満が爆発し、政権の維持は立ち行かなくなるからです。

 

ということで、中国による覇権主義の世界的な展開や人権無視、あるいは今回のミャンマーの軍事政権に対する世界的な対応は、“国の本来あるべき姿”を巡る試金石と言えます。

新型コロナウイルスの感染拡大を阻止しようとした李医師の発言「健全な社会には様々な声が必要だは、“国の本来あるべき姿”につながる金言なのです。


 
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2021年02月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.682 『今回の地震でも飛び交ったデマや差別的発言とそのリスク管理!』

関東大震災を始め、大地震などの災害が起きると決まったようにデマや差別的発言が飛び交うようです。

2月14日(日)付けネット記事(こちらを参照)で先日の地震でも飛び交ったデマや差別的発言について取り上げていたのでその一部をご紹介するとともに、リスク管理の観点からお伝えします。

 

・2月13日深夜に福島県と宮城県で震度6強を記録した地震をめぐっては、またも差別的な発言やデマ、不確実な情報がツイッターやユーチューブなどで飛び交った。災害のたびに同じような現象は起きている。

・かつて関東大震災ではデマがきっかけで朝鮮半島出身者らへの虐殺も起きた。

・しかし、当時に比べ、今は情報の広がるスピードが桁違いに速い。

 

(井戸に毒を投げ込んだ)

・地震の直後からツイッターで目立った差別的なデマは「朝鮮人」や「黒人」などが「井戸に毒を投げている」というものだ。1923年の関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「暴動を起こした」などのデマが流れたが、それをまねたとみられる。当時はそのデマを真に受けた市民らによる朝鮮半島出身者や中国人らへの虐殺事件が各地で起きた。

・「人工地震」といった書き込みも散見され、中には「安倍晋三前首相が起こした人工地震」などという荒唐無稽(こうとうむけい)な投稿もあった。

・ツイッターでは一時「人工地震」がトレンド入りした。ただ、誤りであることを指摘したり「陰謀論」と皮肉ったりする内容のツイートの方が多く、一種の話題として盛り上がりを見せたケースといえる。

 

(千葉県の「爆発」は人々の勘違い)

・災害時にデマが流れやすいのは、人々に不安があるためだ。そのため、悪意はなくても事実と異なる情報が広がってしまうことも多い。

・今回は千葉県市原市の臨海部で爆発が起きたとする複数の動画や画像が拡散された。確かに工場施設の排気筒から炎のようなものが出ているように見える。しかし、市原市消防局によると工場施設での爆発や火災は確認されていない。

2011年の東日本大震災では被災地で「外国人犯罪が横行している」とのデマが流れ、東北学院大の研究者が仙台市民に調査したところ、8割以上が「それを信じた」と回答している。187月の西日本豪雨でも「火事場泥棒の中国人、韓国人、在日朝鮮人たちが――」とのデマが流された。

 

・刑事事件になったケースもある。16年の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」との偽情報をツイッターに投稿した神奈川県の男が動物園の業務を妨害したとして偽計業務妨害容疑で逮捕されている。

 

(メディアの報道を待ち悪質な情報は通報を)

・誤った情報の拡散に加担しないためにはどうしたらいいのか。ネット上のデマに詳しいジャーナリストの津田大介さんは「不確実な情報に接したらすぐに拡散せず、メディアが報じるのを待ってほしい」と話す。「新聞やテレビの情報は信頼性が高いし、最近は報道も速い」

・差別やヘイトスピーチなどの悪質な書き込みを見つけたらどうすればよいのか。「差別扇動のような明らかに悪質なツイートは、どんどん通報すべきです」と津田さんは言う。

・ツイッターには、悪質な内容のツイートをツイッター社に通報する仕組みがある。問題のあるツイートを開いた時に表示される3点リーダーから「ツイートを報告」を選ぶことで簡単にできる。そのツイートの内容がルールに反すると認められれば、投稿者に対する削除要請や投稿制限、問題のツイートの非表示などの措置が取られる。

・津田さんによると、投稿者が軽い気持ちで書き込みをしている場合、非難を受けると驚いて自分で削除することも少なくないという。津田さんがリツイートした悪質な投稿の大半は、投稿者が自ら削除したという。

・津田さんは情報を受け取る側の知恵も必要だと指摘する。「虚偽情報の『質』は年々高まっていて、数年前の画像をアップして今起きているように見せかけるケースもあります。ブラウザーの画像や動画検索の機能を使って、それが本物かどうか確認してみてください」

 

以上、記事の一部をご紹介してきました。

 

大地震などの災害が起きるとデマや差別的発言が飛び交う状況は今でも変わらないということを記事を通してあらためて認識しました。

人間は大災害が発生すると以外に精神的に脆い習性があるのです。

そこで、番組も参考にしてこの問題をリスク管理の観点から以下にまとめてみました。

(デマの拡散リスク要因)

・面白半分に世間を騒がせる目的で、あるいは自分が目立ちたいがためにフェイクニュースと分かっていながらSNSに投稿する

・差別的発言など本当かどうか分からない記事をそのまま拡散させてしまう

 

(デマの影響)

・社会を無用の混乱に陥れ、最悪の場合は社会をパニック状態にしてしまう

・デマや差別的な発言は、最悪の場合には一部の人たちの命まで奪う結果をもたらす

 

(リスク対応策)

・SNSプロバイダーは、普段からAIやビッグデータなどの技術を駆使して、不確実な内容の情報やデマ情報を把握出来るような仕組みを構築し、明らかに不確実な内容の投稿については「?」などのマークを付けることで誰でも認識出来るようにする

・更に、より実効性のある方法として、こうした情報がSNSに反映される前にAIが投稿ルール(デマの禁止など)に照らして問題がないかをチェックし、警告を表示して投稿をためらわせる

・関係省庁は大規模な災害発生時には、以下の内容のガイドを周知させる

  人間は震災などでパニック状態に陥ると、落ち着いて物事を判断する能力が欠落する習性があり、そのことがデマやフェイクニュースを信用し易くしてさせてしまう

デマやフェイクニュースの拡散は無用の社会混乱をもたらす可能性がある

  デマやフェイクニュースの拡散は偽計業務妨害容疑などで逮捕される可能性がある

 

(コンティンジェンシープラン)

・ユーザーは不確実な情報に接したらすぐに拡散せず、メディアが報じるのを待つ、あるいは関連自治体などに真偽を問い合わせる

・ユーザーはSNSへの悪質な書き込みを見つけたら、どんどん通報する

・通報を受けたプロバイダーはその内容がルール違反と認めたら、投稿者に対する削除要請など必要な処理を行う

 

ということで、しっかりとリスク管理をしておけば、大震災などが起きてもデマやフェイクニュースを最小限に抑えることが出来るのです。


 
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2021年02月26日
アイデアよもやま話 No.4889 中国への投資増、それとも縮小か?

昨年10月8日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国への投資のあり方について取り上げていたのでご紹介します。 

 

昨年9月、菅総理の就任後、初めて行われた中国の習近平国家主席との電話会談で、習近平国家主席が「中国は安定した供給網と公正で開かれた貿易・投資環境を維持する」とわざわざ言及したことが経済界で注目を集めました。

背景には何があるのでしょうか。

 

新型コロナウイルスで日本企業が突きつけられたサプライチェーンの見直し、大きな負担を迫られる企業に対し、加藤官房長官は会見の場で次のようにおっしゃっています。

「デジタル化、サプライチェーンなど新たな課題に対する集中的な改革に必要な投資を行っていく、またそれを支援していく。」

 

経済産業省は海外に拠点を置く日本企業が国内にサプライチェーンを戻した場合、補助金を支給する仕組みを開始、2200億円の予算に対し、8倍を超える1兆8000億円の応募がありました。

その中に中国から日本国内に生産拠点を回帰する動きもあります。

生活用品大手のアイリスオーヤマ株式会社は補助金を利用、中国・大連と蘇州にある工場に依存していたマスク生産の体制を見直しました。

 

また、山形県の医薬品原薬メーカー、株式会社エースジャパンは7割ほどの原料を中国から輸入していましたが、一部を自社で生産するため来年夏(番組放送時)にも県内に工場を建設します。

 

一方、中国国内では別な動きもあります。

江蘇省蘇州市、新型コロナウイルスで未だ日中間の往来が出来ない中、開かれたのが日本企業を誘致するための「中日地方発展協力モデル区」が設置された、その説明会です。

日本企業、約300社が参加、こうした説明会が各地で行われ、日本企業の誘致は中国の国家戦略になっています。

日本国内からもオンラインで参加、会場内ではほとんどの人がマスクをしていません。

コロナ後の経済回復をアピールする場にもなっています。

蘇州市は日本企業を呼び込もうと広大なモデル区を設置し、税金免除など様々な支援策を用意、マンションなどインフラ整備も急ピッチで進めています。

そのモデル区を担当する中国共産党の幹部、蘇州市相城区委員会の顧海東書記は次のようにおっしゃっています。

「日本からの最先端人材には、マンションを購入する際、最高1000万元(約1億5000万円)の補助を出す。」

「日本企業を引き寄せる魅力はどんどん高まっている。」

 

中国側のアプローチは積極的です。

新型コロナウイルスで一時日本への供給がストップするなど、逆風の中、なぜ今誘致を強化するのでしょうか。

上海総領事の磯俣秋男大使は次のようにおっしゃっています。

「中国は日本を含めて外国企業を呼び込んでいるんですね。」

「一緒に発展していきたいという意図と考えがあるのは非常に明白で、それを企業がリスクとチャンスを合わせて考えながら判断されていくだろうと考えております。」

 

中国に16支店を持つメガバンク幹部の見方ですが、みずほ銀行の常務執行役員、菅原正幸さんは次のようにおっしゃっています。

「14億人の巨大マーケットがある国ですから、今年(番組放送時)もGDPの成長率が唯一プラスになる国だということだと思いますよ。」

「民間企業からすると、やはり魅力に感じるんじゃないでしょうかね。」

 

地元政府の支援優遇策を背景に中国への投資を更に進める企業もあります。

蘇州市内にあるオフィス用家具大手、イトーキの子会社、諾浩家具(中国)有限公司の工場では中国での製造にこだわる理由があります。

書類棚の基礎部分の製造工程は機械化が難しく、東南アジアなどへの移転には時間がかかります。

日本に戻すにはコストがかかり過ぎるといいます。

イトーキは上海など周辺に分散していた工場を蘇州市内に統合し、効率化を目指しています。

その先に中国国内の巨大マーケットがあります。

範楠総経理は次のようにおっしゃっています。

「日本からの注文の伸びは既に安定している。」

「中国国内向けの需要は成長の余地が大きい。」

 

更にイトーキは蘇州市の支援を受け、新たなオフィスを準備中です。

入居するのは地元政府ビルです。

家賃は3年間無料で改装費用5000万円の支給も受けました。

更に3年間、企業が支払う税金の一部が還付されます。

範楠総経理は次のようにおっしゃっています。

「蘇州市の政府は資金面で非常に大きく支持してくれる。」

「だから私たちはここに統括会社を設置出来る。」

 

日本企業の誘致を強化する中国、日本の中国戦略も転換点にあります。

こうした状況について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「今の日本人はマスクの苦い経験がありますよ。」

「日本の消費者のために発注して中国で作ってもらったものがいざという時に止まったわけですよ。」

「それで多くの日本人は困ったわけで、中国の消費者向けのものは地産地消でいいと思いますけど、日本のものはちょっと考えちゃいますよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

中国への投資を増やすべきか、それとも縮小すべきか、中国への投資のあり方を考えるうえで、中国は投資先としてどのような特徴を持っているのかについて、ネット記事(こちらを参照)も参考に以下にまとめてみました。

(メリット)

・世界一の巨大なマーケットである

 ・人件費を抑えられる(低賃金)

 ・中国進出に際し、資金面や税金面などで優遇される

(問題)

 ・中国共産党は国際ルールを無視して、自国企業の育成、成長、競争力強化に有利な施策をいろいろと打ち出している

 ・外資が中国に進出するために中国企業と合弁企業を設立することが求められ、従って合弁先企業に技術情報が漏洩するだけでなく、中国共産党に技術情報が筒抜けになる

・中国共産党は抜いた技術情報を使って、国営かそれに近い競合企業を立ち上げ、そこに大量の助成金をつぎ込んで競争力を高める

 ・更に、例えば中国国内で販売する電気自動車(EV)やハイブリッド(HV)に使う走行用バッテリーは、必ず中国製品を採用すべしという条件も突きつけられる

(リスク)

 ・中国共産党の意向次第で、いつどのような要請を受けるか分からない(例えば、コロナ禍において、国外から進出しているマスクメーカーが自国向けに輸出しようとしても中国向けの優先を強いられた)

 

ということで、中国はとても魅力的なマーケットである一方、いろいろな問題やリスクがあるので、進出企業はこうした視点から中国進出の可否を判断することが求められるのです。

一方、日本政府は最低限でもコロナ禍など緊急時の必需品の確保に対応出来るように、国内メーカーには地産地消の割合をある程度確保するように要請することが必要です。

同時に、国際ルール無視を続けるに対して中国に対して、現在はアメリカが矢面に立って、中国を非難し、関税引き上げなどで対応していますが、国連は国際ルールに照らしてタイムリーに改善要請や何らかの制裁を課すことが必要です。

このまま中国の暴走を許せば、習近平国家主席が率いる中国共産党による世界制覇が進み、やがて人類は自由に意見が言えなくなる“暗黒の社会”での暮らしを強いられてしまうことを覚悟しなければならなくなるのです。


 
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2021年02月25日
アイデアよもやま話 No.4888 画期的な”デジタル薬”で治療!?

昨年11月10日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”デジタル薬”について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

”デジタル薬”とはスマホやデジタル機器を使って病気の治療を目指すというものです。

世界で開発競争が始まっていて、日本では早ければ明日にも保険適用の第1号が誕生します。

 

精神疾患や発達障害などを専門とする医療機関、国立精神・神経医療研究センター(東京・小平市)でうつ病患者に対して日本初となる治療の研究が行われています。

福島県出身女性の佐藤さん(仮名 61歳)は次のようにおっしゃっています。

「3・11のことが思い出されていて、津波の怖さより1人で何とかして逃げなきゃいけないっていう怖さがずっと胸の中にあって、膝を抱いてかかえて引きこもっている日がずっと続いてたんです。」

 

佐藤さんは東日本大震災のショックが原因でうつ病と診断され、引きこもり状態が続いていました。

臨床心理士の伊藤正哉さんが佐藤さんに付けるように促したのはVR(仮想現実)ゴーグルです。

二人が見ている映像は和歌山県の南紀白浜の風景です。

上下左右と360度の映像が体験出来るVRゴーグル、患者に自然の風景や趣味などの映像を見せて、前向きな感情を呼び起こします。

このようにデジタル機器を使って病気の治療を目指すものが“デジタル薬”と呼ばれています。

この日が3回目の治療となる佐藤さんは次のようにおっしゃっています。

「今まで殻にこもっていた自分が外に出なくても出たような気分になる。」

「行ってみたいとか全然なかったものが、そんなとこ行ってみたいと思うようになったりとか。」

 

この研究におよそ1年協力している伊藤さんも手ごたえを感じており、次のようにおっしゃっています。

「(うつ病患者は)外に行ったら少しは気分が変わるかも知れないと頭では分かってても心がどうしても動かない状態なんですけども、VRで外に行かなくてもかなりリアルな普段出来ない体験をすることによって行動が変わってくると、何人もの患者で起こっているので・・・」

 

このVRを開発しているのがベンチャー企業の株式会社ジョリーグッド(東京・中央区)です。

これまで手術中の執刀医や看護師などそれぞれの担当の目線になることが出来る医療研修用VRなどを開発してきました。

この技術を生かし、精神疾患を持つ患者に疑似体験をさせることで思考や認知が変わってくると考えています。

来年にも治験を始める計画です。

ジョリーグッドの上路健介CEOは次のようにおっしゃっています。

「通院しなくてもゴーグルをかけるだけで家の中でセラピーが出来てまうと。」

「在宅医療にも貢献していくと考えていす。」

 

既に“デジタル薬”を実用化させた企業もあります。

ベンチャー企業の株式会社CureApp(キュア・アップ 東京・中央区)で開発したニコチン依存治療アプリは早ければ明日にも保険適用が決まる見込みです。

筒状の器具は一酸化炭素濃度測定器で、たばこを1日10本以上吸っているカメラマンが試してみると、出てきた数値は19.8ppmで、タバコを吸わない人は10ppm以下です。

この数値を毎日治療アプリに記録、呼気の状態を“見える化”することで禁煙意識を高めます。

更にタバコを吸いたくなった時、アプリに訴えかけるとアプリ内の看護師が登場、吸いたくなった理由を答えると「お辛いですよね」と寄り添いつつ「「吸いたい!」という衝動は5分もすれば収まります。タバコの代わりに他のことをやることで、・・・」とアドバイスしてくれます。

また食後はすぐに席を立つなど、吸いたくなった時の自分の行動にルールを設定する機能もあります。

治験に協力したみやざきRCクリニックの宮崎院長は次のようにおっしゃっています。

「依存症は中々うちの医療スタッフの見守りがとても非常に重要ですけど、常に見守る、監視することが出来ないわけですから、そこに関して常に(アプリで)介入してもらうっていうのはとても重要なことかなと思うんですね。」

 

実際の治験では、通常の禁煙外来の治療と比べて禁煙の継続率が13.4%向上したという結果が出ています。

医師でもあるキュア・アップの佐竹晃太社長は2014年に起業しました。

きっかけはその前の年、留学先のアメリカのジョンズホプキンズ大学で糖尿病の治療用アプリに出会ったことでした。

そこで抱いた印象について次のようにおっしゃっています。

「治療用アプリというものはいろんな医薬品や新しい医療機器と比べて本当に安いコストで開発することが出来ます。」

「ただ一方で治療効果に関しては医薬品とそん色ない。」

 

保険適用が決まれば、患者は医師から処方箋をもらい、アプリと機器を購入することになります。

佐竹社長は次のようにおっしゃっています。

「5年後、10年後、このそれぞれの疾患に関していろいろな特色を持った治療用アプリがどんどん普及してくる。」

「日本から世界に向けても治療用アプリという産業においてリーディングプレイヤーになっていたいと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回2つの“デジタル薬”についてご紹介しましたが、以下にそれぞれの特徴をまとめてみました。

 

(VRゴーグル)

・精神疾患を持つ患者に疑似体験をさせることで思考や認知を変える

・患者に自然の風景や趣味などの映像を見せて、前向きな感情を呼び起こす

・今年にも治験を始める計画である

 

(禁煙意識を高めるアプリ)

・一酸化炭素(CO)濃度測定器で、喫煙者の吐き出すCOの数値を毎日治療アプリに記録し、呼気の状態を“見える化”することで禁煙意識を高める

・タバコを吸いたくなった時、アプリに訴えかけるとアプリ内の看護師が登場し、アドバイスしてくれる

・吸いたくなった時の自分の行動にルールを設定する機能もある

・実際の治験では、通常の禁煙外来の治療と比べて禁煙の継続率が13.4%向上したという結果が出ている

・治療用アプリはいろんな医薬品や新しい医療機器と比べて安いコストで開発出来る

・一方で治療効果に関しては医薬品とそん色ない

 

さて、この2つの“デジタル薬”の特徴はどちらも通院が不要で、いつでもどこでも患者の都合で使用出来ることです。

一方で、“デジタル薬”ですから、担当医が遠隔でこれらの使用状況や更に治療効果を数値化して把握出来れば、治療方法の改善につなげることも出来ます。

また、禁煙意識を高めるアプリにおいては、医薬品や他の医療機器と比べて安いコストで開発でき、一方で治療効果も医薬品と比べてそん色ないといいますから、医療費の増大を抑える手段としても有効です。

 

ということで、“デジタル薬”はまだまだ発展途上で医療分野におけるニューフロンティアと言えます。

また“デジタル薬”も医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)における一つの柱と言えます。


 
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2021年02月24日
アイデアよもやま話 No.4887 金融緩和の光と影!

昨年11月6日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で金融緩和の光と影について取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

世界的な金融緩和を追い風にして、今日、日経平均株価は29年ぶりに高値を付けました。

そして、一方では円高ドル安も進んでいる状況です。

ただ先行きを見てみると、アメリカ大統領選を含めて不透明な要素もかなりあります。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「そのリスクというかダークサイドを織り込んでいるのが金相場とビットコイン、暗号資産だと思いますね。」

「それで金相場なんですけども、上昇しているビットコインも投資家の資金を集めているんですけど、いずれも共通しているのはアメリカの分裂状態、そして基軸通貨、ドルに対して大丈夫なのという不信感があるんだと思うんです。」

「そして、どうも株価に熱気が感じられないんですよね。」

「その辺がリスク感覚と表裏の関係にあるように思えてなりません。」

「(その市場感覚が金やビットコインに現れてくるということなのかという問いに対して、)リアルではなくむしろ仮想の方にお金が逃げている感じじゃないんでしょうか。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組も参考にして、現在の金融状況について以下にまとめてみました。

・コロナ禍による金融緩和と一方で一部の業界、あるいは企業を除いて消費の激減から企業の新規投資の削減により、“カネ余り”状態が続いている

・従って株式や金、あるいはビットコインが主な投資の対象となっている

・更にコロナ禍により在宅勤務が増え、時間に余裕の出来た個人が株式などへの投資に向かっている

・その結果、これらが相まって株式相場などの上昇が続いており、“投資のための投資”、あるいは“バブル”の様相を呈しつつある

 

こうしてまとめてみると、コロナ禍の収束の兆しが見えるまでこの状態はしばらく続くと思われます。

しかし、“山高ければ、谷深し”という株式相場の格言があるように、やがてコロナ禍が収束に向かい出すと、一転して多くの企業の新規投資が再開始め、金融緩和は一段落し、どこかの時点で行き過ぎていた株価などのバブル崩壊を迎えることになります。

 

そもそも株式相場においては、これまでの歴史が示しているように、また先ほどの格言もあるように、株価が上昇する時も下落する時も大なり小なり行き過ぎてしまいがちなのです。

そして上昇し過ぎた状態がしばらく続くとバブルと呼ばれ、それが一転して大きく下落するとバブル崩壊と呼ばれるのです。

 

今回のコロナ禍においても、緊急事態宣言が出た辺りでは投資家の過剰反応が出て、今から思えば必要以上に株価の下落がありました。

そして、少し間を置いて株価は戻り始め、今では金融緩和を背景にバブル状態を呈しつつあるというわけです。

 

ということで、プロの株式投資家でなくてもこうした株式相場の基本的な特性を意識することによって、多少は株式投資という大海をより安全に航行し続けられると思うのです。


 
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2021年02月23日
アイデアよもやま話 No.4886 アリババグループ傘下のアント上場延期に見る国外企業による中国進出の危うさ!

昨年11月6日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアリババグループ傘下のアント上場延期について取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

中国のネット通販最大手、アリババグループ傘下の金融会社、アントグループの上場延期について、中国人民銀行は11月6日、投資家の利益を保護するためだとの見解を示しました。

アントは11月5日に上海、香港の両市場で株式上場する予定でしたが、創業者のジャック・マーさんが中国当局から指導を受けたとして直前になって延期されました。

これについて、中国人民銀行の幹部は記者団に対して、「市場の健全な長期的発展と投資家の利益保護に係る判断だ」と述べ、延期の判断の正当性を強調しました。

 

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(上場すれば、調達額がサウジアラムコを上回って史上最大になる予定だったのに、直前の延期について、)中国は金融市場の改革を謳って(うたって)いたわけですけども、今回の件で“衣の下から強権という鎧(よろい)が見えた”感じがしますね。」

「で、アントグループなんですけども、あまりきつい金融監督を受けずに高利融資を行っている、そこは問題と言えばそれまでなんですけども、上場のわずか2日前にストップをかけるというのはいかにも強権ですね。」

「(アリババグループの創業者、ジャック・マーさんが金融当局に批判的な発言をしたので、それが当局の逆鱗に触れたのではと言われていますが、)有力企業のアリババグループでさえこういう状況ですから、“いわんや他の企業おや”ということでにらみをきかしているわけですよね。」

「しかし、こんなことをやっちゃうと中国でビジネスをしている企業にとってリスクが出てきますよね。」

「(中国でのビジネスにおいて、)規制リスクや法的リスクが出てくるわけですから、いろんな条件で“こっちの水は甘いぞ”といって入った後でこのリスクに直面すれば大変なことだと思いますよ。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

また昨年11月13日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でも同様のテーマを更に掘り下げて取り上げていたので一部内容が重複しますがご紹介します。

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

中国の電子決済サービス、アリペイを運営するアントグループの上場延期を巡って、習近平国家主席が直接延期を命じたとアメリカメディアが11月12日に報じました。

ウォールストリートジャーナルの電子版が中国政府関係者の話として伝えたものです。

アントを傘下に持つアリババグループの創業者、ジャック・マーさんが昨年10月の講演で、中国当局の規制強化について「技術革新を妨げている」と批判したことに習近平国家主席が激怒し、上場を延期させるよう当局に直接命じたとしています。

アントは10月5日に上海と香港の証券取引所に上場する予定でしたが、10月2日にジャック・マーさんが中国当局に事情聴取され、翌3日に上場延期を発表していました。

 

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「アリババグループの総帥、ジャック・マーさんが政府批判としたと、言わばそれが“アリの一穴”になって中国のシステムを揺さぶるんじゃないかということで、習近平国家主席自身が上場のストップをかけたわけですね。」

「これはまさに国家が市場の上にある、国家が産業の上にあるということをはっきりさせているわけで、ある意味産軍複合体と同じ構造になっていると思います。」

「(まさにチャイナリスクが明らかになったということになるという指摘について、)はい、共通するのはその点だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、アリババグループ傘下の金融会社、アントグループが昨年11月5日に上海、香港の両市場で株式上場する予定だったのが、その直前の11月2日に延期されたといいますが、その理由は、アリババグループ創業者、ジャック・マーさんが中国当局から指導を受けたことにあると見られていますが、こうしたことは常識的には考えられませんし、前代未聞です。

こうした事実にあらためて習近平国家主席による独裁的な強権を見る思いです。

 

そうは言うものの、中国は今も経済発展途上国家であり、その旺盛な需要から進出企業にとってはとても魅力的です。

ですから、特に中国のような独裁国家への企業進出にあたっては、滝田さんの指摘されている規制リスクや法的リスクだけでなく、一旦当局ににらまれたら逃れられない強権リスクもあることから、最悪の事態も想定したうえでの進出を覚悟する必要があります。

なぜならば、今の中国は法治国家の衣は着ていますが、習近平国家主席の意向次第で、誰でも、あるいはどの企業も法的根拠は明確にされないまま罰せられるという典型的な独裁国家なのですから。


 
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2021年02月22日
アイデアよもやま話 No.4885 レコードの売り上げが急上昇!

昨年11月3日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で売り上げが急上昇のレコードについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

11月3日はレコードの日です。

今年の上半期、実はアメリカではレコードの売り上げ(約246億円)がCD(約138億円)を約30年ぶりに上回ったといいます。(全米レコード協会調べ)

日本でもアナログの音が見直されていて、新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ町工場の助けとなっています。

 

渋谷にあるレコード専門店、HMVレコードショップの竹野智博さんは次のようにおっしゃっています。

「こちら(キテレツ大百科)がものすごい反響がある商品でして、当店の入荷数が一番多いタイトルになりますね。」

 

こちらの店舗では8万点以上のレコードが揃っていて、レコードの日の今日、107のタイトルが新たに発売されました。

その中には広末涼子さんのファーストアルバム「Arigato!」(4180円)や外国人に人気があるという大貫妙子さんの「Drawing」や「TCHOU<チャオ!>」(各4180円)のアルバムもあります。

来店した20代のある男性は次のようにおっしゃっています。

「親がレコードを沢山持っていて、その影響で家にレコードプレーヤーがあって、自分もちょっと買ってみようかなという感じです。」

 

スマホなどで圧縮された音源を聴くのが主流の中、手軽に聴くことが出来る低価格のプレーヤーも登場し、アナログレコードが見直され始めています。

ちなみに、「VINYL TRNSPORT」はスピーカー内蔵で6463円(税別)です。

竹野さんは次のようにおっしゃっています。

「今年に関してはトータルだと(コロナ禍の影響で)4〜5月が休業だったため明確には言えないんですけど、2018年から2019年にかけては(売り上げが前年比)115%とかそのぐらいで。」

 

今、音楽ファンの間で話題になっているレコードプレーヤーがあります。

完全受注生産、納品まで3ヵ月待ちという商品「AP0」で、価格は200万円(税別)です。(詳細はこちらを参照)

製造しているのは神奈川県茅ケ崎市にある中小企業、株式会社由紀精密で医療や航空宇宙機器の精密部品メーカーで、宇宙ステーションへの無人補給機「こうのとり」に使われた部品も製造しています。

精密加工の技術をレコードプレーヤーに注ぎ込みました。

大坪正人社長は次のようにおっしゃっています。

「レコードを正確に回転させなければいけない。」

「そこから信号を正確に読み取らなければいけないので、その一連のものがすごく精度が必要なんですね。」

「なので私たちはものすごく精度の高い部品を売りにしているので、アナログレコードプレーヤーがぴったりだったんですね。」

 

設計や構造は機械エンジニアの視点で考えられていて、ターンテーブルは磁気ベアリングで非接触で支えるという、磁石の反発力を使い、振動の影響を受けないようになっています。

 

予想を上回るペースの注文で新型コロナウイルスの影響を補うかっこうになっているといいます。

大坪社長は次のようにおっしゃっています。

「コロナの影響も私たちの会社としてはものすごく受けているんですね。」

「飛行機の部品(の製造)がなくなってしまったりとか。」

「そういう意味では、飛行機が減っている分をこういったものを作ることで埋めて、一般の方も楽しめるような機器に応用が出来るというのはすごく良いことだなと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、昨年の上半期、アメリカでのレコードの売り上げがCDを1.8倍近くまで増えているという事実に驚かされます。

今や、楽曲の媒体はCDから更にファイルへと移行され、レコードは完全に過去の遺物状態かと思いきや、盛り返しているのです。

しかし、考えてみれば、レコードのジャケットはちょっとした飾りにもなるし、レコードを聴く際にレコード針を回転するレコードの上にセットする間のワクワク感、そしてアナログ音の温かさがレコードにはありました。

更に何十年も前のドーナツ盤をたまに聴くと当時を懐かしく思い出してきます。

ですから、便利さでは劣るものの、レコードにはCDやファイルには無い独特の良さがあるのです。

一方、若い世代の中には過去の楽曲に対して当時とは違った意味で魅力を感じている人たちが現れているということ、更にはコロナ禍で外出がままならない状況も相まってレコードやレコードプレーヤーの売り上げが伸びていると思われます。

こうした状況において、200万円と高額ではあるものの、高音質のレコードプレーヤーが予想に反して売り上げを伸ばしていることはコロナ禍で苦しんでいた技術力のあるメーカーの支援にもつながり、何となくほっとした気持ちになります。

 

ということで、今回ご紹介した由紀精密のように、より多くのメーカーにはその独自の技術を生かした商品やサービスを新たに生み出し、コロナ禍を乗り切り、さらなる発展を遂げていただきたいと思います。


 
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2021年02月21日
No.4884 ちょっと一休み その762 『郵便ポストの知られざる世界!』

昨年12月5日(土)放送の「新美の巨人たち」(テレビ東京)で郵便ポストの知られざる世界について取り上げていたのでその一部をご紹介します。

 

赤い丸型ポスト誕生の陰には驚くべき工夫とアイデアがあります。

歴史を紐解けば、その造形には機能美だけではない、アート作品のような美しさがあったのです。

 

日本で一番高い場所にある丸型郵便ポストは海抜2305mの富士山五合目にあります。

また、日本一低い場所にある丸型郵便ポストは和歌山県すさみ町の水深10mあたりの海底にあります。

捨てられたわけではありません。

ダイビングスポットとして知られるこの海の“町おこし”の一環で置かれたのです。

世界で一番深いところにある丸型郵便ポストとしてギネス世界記録にも登録されています。(2002年)

専用の耐水はがきを使えば、ちゃんと配達してくれます。

丸型郵便ポストは全国の名所や旧跡に置かれています。

愛らしい姿が懐かしい風景の中に美しく馴染んでいるのです。

また東京・小平市は高度成長期にベッドタウンとして発展した街ですが、そこかしこで丸型ポストと出会うことが出来ます。

なんとその数37本、中には日本一大きい丸型郵便ポスト、高さ2.8mもあります。

勿論特注です。

オブジェではありません。

通常のポストとして使われています。

 

なお、東京スカイツリーの傍らにあるソラマチにちょっと面白い場所があります。

郵政博物館、ここには郵便や通信に関する歴史的な資料が収められているのです。

 

さて、日本の郵便制度が始まったのは明治4年(1871年)のこと、当時のポストは「書状集箱」という、江戸の名残りを感じさせる屋根の付いたも木製のものでした。

鉄製のポストが登場するのは明治34年(1901年)、発明家の俵谷高七が考案した俵谷式ポストと呼ばれる赤いポストです。

更に同じ年には差し入れ口に雨除けの蓋が付いた中村式ポストが考案されました。

そして明治41年(1908年)には早くも丸い顔の回転式の郵便ポストが登場します。

雨除けと盗難防止のために差し入れ口が回転式の凝った作りになっているのです。

その構造ですが、回転式のつまみをぐるっと回すと手紙の受け皿が上に移動して、そこに手紙を入れ、つまみを放すと受け皿が自動でぐるっと回って手紙が下に落ちるというものです。

単純な仕組みですが実に手際がいいのです。

しかし、この回転式ポストは郵便物が入れにくく、故障し易いという問題を抱えていました。

そこで明治45年(1921年)に登場したのが丸型庇(ひさし)付きポストで、現在の丸型ポストの原型です。

このかたちは大正、昭和へと受け継がれていきました。

ところが太平洋戦争(1941〜1945年)で日本中の多くの都市は空襲によって被災し、郵便局と沢山の郵便ポストが失われてしまったのです。

昭和20年(1945年)、焼け野原から戦後の郵便事業は始まります。

その最前線を担う郵便ポストの復旧は最優先の課題でした。

終戦の翌年の昭和21年(1946年)、逓信省で研究開発が始まり、昭和24年(1949年)には新しい丸型ポストの設計図が完成します。

従来のポストとの最大の違いは上下分離式です。

頭部と胴体が分かれているのです。

取り出し口の方向を設置場所によって変えることで郵便物の収集作業を円滑に行えるからです。

こうして昭和24年8月15日、戦後の郵政事業復興のシンボルとして丸型ポストは誕生したのです。

およそ半世紀の歳月をかけて進化し、発展し、工夫をこらし、丸型ポストの造形は磨き上げられました。

 

ところが、丸型ポストの誕生からたった2年、意外なことが起きたのです。

昭和26年(1951年)に誕生した角型の郵便差出箱3号、あんなに時間をかけて作ったのにどうして新しいポストをつくったのでしょうか。

 

その後、続々とニューバージョンが生み出され、やがて丸型ポストは次第に淘汰され、生産中止に追い込まれてしまうのです。

理由の一つは内部の構造にありました。

現場で働く郵便職員たちにとって丸型ポストは少しやっかいな問題があったのです。

丸型ポストの断面を見ると、投函された郵便物は胴体内部の斜めに取り付けられた底板の上に直接落とされます。

溜まった郵便物を取集する際には、取り出し口に直接取集袋と呼ばれる袋をあてがい、かき出すように集めなければなりません。

雨の日に雨水が郵便物に触れないようにするのは中々の苦労なのです。

ところが角型のポストの場合は空の取集袋を用意してポストの内部の袋と交換するだけでその業務は簡単でスピーディに終わります。

郵便博物館の副館長、井村恵美さんは次のようにおっしゃっています。

「丸型ポストというのは手でかき出して作業をするんですけども、戦後の復興期に容量が増えてきた郵便物を取集するのに大変時間を要するようになってしまいまして、より便利に早く取集が出来る角型ポストがすぐに誕生するきっかけとなったんですね。」

 

ポストが丸型から角型に変わった理由は、機能の問題ばかりではないといいます。

井村さんは次のようにおっしゃっています。

「当時のデザイナーの中に一部では古い時代の古めかしいものの象徴という印象もあったようなんですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して、日本のポストの変遷を垣間見ることが出来ました。

日本のこれまでのポストの歴史はポストを巡るその時代ごとに、より便利なポストを追及した設計者のアイデアが込められているのがよく分かりました。

 

さて、確かに丸型ポストを見かけることはほとんどなくなってしまいましたが、丸型ポストには現在主流の角型ポストにはない、何とも言えない風情、温かみ、あるいはアートを感じます。

しかし、デジタル化の進行とともにはがきや手紙は電子メールにどんどん置き換わりつつあります。

ですから角型ポストの設置もやがて大幅に縮小されていくのではないかと危惧されます。

また、小包などは郵便局と宅配便業者とのマーケットの奪い合いが繰り広げられています。

ポストの変遷と同様に、郵政民営化をきっかけに郵政事業も時代の変化とともには大きな転換を迫られてきているのです。

 

しかし、たまに実家(千葉県外房)の近くの小さな郵便局に行くと、一般の銀行にはない何とも言えない家族的な雰囲気を感じます。

ですから、郵便局にはこうした雰囲気を失わず、これからも頑張って生き残っていっていただきたいと思います。

 

しかし、世界的な通貨のデジタル化の流れを受けて、いずれ日本も遅ればせながらお札やコインといった通貨が本格的にデジタル通貨に移行される時代を迎えることになります。

そうした時代に、郵便局も含めて既存の金融機関はどのようなかたちに転換するのかとても興味が涌いてきます。

いずれにしても新しいサービスを生み出して生き残っていっていただきたいと思います。


 
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2021年02月20日
プロジェクト管理と日常生活 No.681 『信じられないビットコインのパスワード管理!』

1月14日(木)付けネットニュース(こちらを参照)でビットコインのパスワード管理について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

 

・10年前、サンフランシスコ拠点のIT専門家ステファン・トーマス氏がWeUseBitcoinsという名前の企業の、トークンがどのように機能するかを説明する動画を制作するためスイスで働いているときに、なんと7002BTC(2億4100万ドル)を渡されたとメディアは説明している。(BTC:ビットコインの通貨単位)

・報道によれば、トーマス氏はトークンをウォレットに入れ、IronKeyと呼ばれる小さなハードドライブに秘密鍵へのアクセスを含め、すべてを隠した。ハードドライブはパスワードで保護されていて、パスワードの入力を10回失敗すると、ウォレットは暗号化され、トークンへのアクセスを奪われてしまうようだ。

・トーマス氏は紙にパスワードを記録していたが、1年以内に紛失してしまったと話している。ウォレットにアクセスしようと8回挑戦したが、失敗に終わり、永遠に締め出されるまで2回しか残されていない。

・暗号資産の世界は暗号資産を保護できる利用者に分かりやすい解決策を求めている。報道されたように、「ソーシャルリカバリーウォレットと呼ばれる新しい種類のスマートコントラクトという代替案」がある。また、バックアップのパスフレーズを書き留め、保管する必要性のないシードレスウォレットに取り組んでいる開発者もいる。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

今や、銀行をはじめ、クレジットカードやネット通販などいたるところで個人認証の手段としてパスワードが使用されています。

そして、このパスワード設定の際にはそれぞれのサービスによって、桁数や使用文字の種類などの制約があります。

ですから、ユーザーは出来るだけ覚えやすくするために一つのパスワードで全てのサービスに応じたいところですが、必然的にサービスによっては異なるパスワードを設定せざるを得ません。

しかし、個々のパスワードは覚えきれませんからサービスとパスワードとの対応表のようなものを作成し、紙やパソコン内部、あるいはUSBメモリーなどに保存して管理することが求められます。

普通は、パスワードを設定する際に、先ほどお伝えしたように出来るだけ同じものを設定しますから、こうした設定であれば、あまり忘れることはありません。

しかし、自分にとって重要なサービスの場合だとあえて分かりにくいパスワードを設定しがちです。

それが裏目になって、きちんとしたパスワード管理がなされていないと正しいパスワードが分からなくなり、サービスプロバイダーに助けを求めます。

そして、サービスプロバイダーはパスワードに代わる本人確認データ(名前、生年月日、メールアドレスなど)を確認してパスワードの再設定を出来るようにしています。

あるいは、パスワードを忘れた際の、パスワードを思い出すためのヒントをあらかじめ登録しておいて、それを表示しもらい思い出すといった手段もあります。

ですから、パスワードを忘れてもこうした救済措置があるので安心してサービスを受け続けることが出来るのです。

ちなみに、こうした手段はまさにパスワード忘れリスクの対応策、すなわちコンティンジェンシープランと言えます。

 

ところが驚くことに今回ご紹介したように、仮想通貨のビットコインのパスワードは10回間違えると永遠にビットコインから締め出されるというのです。

要するに、ビットコインには最後の頼みとなるコンティンジェンシープランが用意されていないのです。

本来、高額の場合には何百億円、あるいはそれ以上とも言われる仮想通貨による貴重な財産を扱うビットコインのようなサービスこそパスワードを忘れた際のコンティンジェンシープランがなければ、こうしたサービスとして相応しくないのです。

 

最近、セキュリテイ関連サービスプロバイダーの提供するアプリを導入していれば、クラウド上でパスワード管理をしてくれるサービスもあり、個々のパスワードを覚える必要はないという状況ですが、全ての人がこうしたサービスを受けているわけではありません。

 

いずれにしても多くのサービスは個人情報、あるいは財産などの保護のために個人認証が前提になっています。

そして、その手段の多くはパスワードに依存しています。

そしてパスワード管理はとても煩わしいので、何とか早くどんなサービスにも共通して使えるパスワードに代わる、汎用的で確実な本人確認の方法を実現させて欲しいと思います。


 
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2021年02月19日
アイデアよもやま話 No.4883 汚れが付きにくくワックス不要の床材!

昨年9月1日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で汚れが付きにくくワックス不要の床材について取り上げていたのでご紹介します。 

 

株式会社エービーシー商会は、薬品に強く抗菌性も備えた単層構造の塩ビシート床材「アンビアンス」を販売しています。

表面にはUVコーティングを施しており、薬品による変色や劣化を抑制する。

細菌の繁殖を抑える機能も備えており、昨今の感染症対策として衛生管理が求められる環境に適しています。

重量物や人の通行が多い工場の床などにも向いている。汚れが付きにくくメンテナンスがし易く、ワックス掛けは不要。

単層構造なので、摩耗しても色や柄を保ち、長期使用に耐える。

 

「アンビアンス」の価格や、耐薬品性、抗菌性に関する各種試験データなどは、以下(ホームページ)からダウンロードできる資料で確認できる。

 

以上、ネットニュースの一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した塩ビシート床材「アンビアンス」のメリットについて以下にまとめてみました。

・汚れが付きにくい

・ワックス掛けが不要 

薬品に強い

・抗菌性も備える

・表面にはUVコーティングを施しており、薬品による変色や劣化を抑制する

・細菌の繁殖を抑える機能も備えており、感染症対策として衛生管理が求められる環境に適している

・重量物や人の通行が多い工場の床などにも向いている

・単層構造なので、摩耗しても色や柄を保ち、長期使用に耐える

・16色のバリエーションを用意しており、色分けによるゾーニングも可能である

 

中でも細菌の繁殖を抑える機能も備えていることから、コロナ禍においては特に医療施設などからの引き合いが期待出来ます。

 

なお、アイデアよもやま話 No.4865 新型コロナウイルスはスマホ画面などで最長28日生存!でもお伝えしたように新型コロナウイルスはどこで感染するか分かりません。

そこで既にエレベーターのボタンなどいろいろなところで抗菌、抗ウイルスシートが貼られて始めています。

ですから、今回ご紹介した床材も含めてこうしたシート、あるいは抗菌、抗ウイル機能を持たせた素材の製品が普及するほど感染予防になるのです。

 

さて、エービーシー商会に直接問い合わせたところ、一般住宅向けとしても販売しているということでした。

ですから、一般住宅においても床材を選ぶ際に選択肢の一つとして検討してもいいのではないかと思います。

ただし、肝心の価格については他の床材メーカーと比較してみることが必要です。


 
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2021年02月18日
アイデアよもやま話 No.4882 かばんに入る1人乗りEV!

前回は中国で普及が急速に進むミニEVについてお伝えしました。

そうした中、昨年11月3日(火)付けネットニュース(こちらを参照)でかばんに入る1人乗りEVについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

1人乗り電気自動車(EV)「WALKCAR(ウォーカー)」を持つCOCOA MOTORS.株式会社(ココアモーターズ、東京・渋谷)社長の佐藤国亮さんは2013年、24歳で同社を創業し、社長兼エンジニアとして、電気設計やソフトウエア開発を担当する。

・ノートパソコンのような見た目の装置に恐る恐る両足を乗せる。重心を少し前に移すと、その装置は「ウィーーン」と控えめな音を出して進み始めた。

・手で操作するステアリングホイールはなく、前進同様、左右の旋回にも重心の移動を使う。重心を右に移せば右に旋回し、左に移せば左に旋回する。どちらかの足のつま先を離せば減速する。意のままに操るには数時間単位の練習が必要だが、ひとたび習得すれば直感的な操縦を楽しめる。

・ココアモーターズが20206月に198000円(税別)で販売を始めた製品だ。EVといっても、前述したようにあるのは板状の装置だけ。米テスラや日産自動車などが手掛ける乗用車ベースのEVとは一線を画す。

・最大の特徴は、小さく、軽いこと。車両寸法は全長215×全幅346×全高74ミリで、対角寸法は約13インチとなる。重さは2.9キロ。手で持ち上げて移動でき、かばんに入れても簡単に持ち運べる。

・携帯して電車やバスに乗り込み、到着した駅やバス停からのラストワンマイルの移動などで使う。

・底部に4輪を備え、駆動用モーターで前2輪(インフォイールモーター)を動かして走る。

・最高速度や航続距離は走行モードによって変わり、速度を重視したスポーツモード時は、最高時速16キロで航続距離は5キロ。ノーマルモード時は、最高時速10キロで航続距離は7キロとなる。いずれも、充電時間は60分としている。

・初期ロット300台は完売し、需要に応じて増産を計画する。

・しかし最高時速6キロを超えることから、公道を走る際にはナンバープレートを取り付ける必要がある。また、第一種原動機付き自転車(原付一種)を運転可能な免許も必須だ。国が定める保安基準にのっとって、ヘッドランプや方向指示器などの機器も追加しなくてはならない。公道を走るためのハードルは高く、現実的ではない。

 

・同じように、数キロの移動を目的とした1人乗りの小型車両は、世界中で生まれては消えている。

・代表格の「セグウェイ」(米セグウェイが開発・販売、現在は中国企業の傘下)は207月に米国生産を終了した。セグウェイは、普及が見込めない左右2輪車から、欧米で人気の高い電動キックボード(キックスケーター)に事業の軸足を移した。

・電動キックボードは、次世代移動サービス「MaaS(マース)」に組み込む車両として日本でも期待を集める。20年下期から、各地で公道上の実証実験が始まり、1人乗りモビリティーの有力候補として注目度が高い。実用的な電動キックボードに対して、持ち運びやすさや乗り味などで優位性を示せるかが、ウォーカーの普及に向けた鍵となりそうだ。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した1人乗りEV「ウォーカー」はかばんに入るほどの大きさといいますが、

重さが3kgほどでは何百メートルも持ち歩くのはちょっときついと思います。

また、「ウォーカー」はステアリングホイールがないので不安定、一方「電動キックボード」は「ウォーカー」に比べれば安定した走行が出来ますが、持ち運びにはちょっと不便です。

そして、「ウォーカー」には気軽にバランス感覚を養えるといったメリットもあります。

しかし、これらの乗り物の共通点として、最高時速6キロを超えることから公道を走行する際には、運転免許の取得やナンバープレートを取り付けたり、ヘッドランプや方向指示器などの機器を設置したりといった要件を満たすことが求められます。

ですから、こうした簡易的な乗り物の普及にあたってはこうした規制の見直しや交通安全対策の再検討が必要です。

 

また、この他にも似たような乗り物として「電動車いす」もありますが、今のところ、「電動車いす」が最も歴史が古く、普及も進んでいます。

そしてこれもアイデアよもやま話 No.3748 首の傾きだけで操作出来る電動車いす!

アイデアよもやま話 No.4660 電動車いすに後付け出来る自動運転機能!でお伝えしたようにいくつかのパターンがあります。

 

こうした乗り物をひとくくりにすれば、一人乗りEVと位置付けられ、今は未だ発展途上の乗り物でまだまだ進化の過程にあるようです。


 
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2021年02月17日
アイデアよもやま話 No.4881 中国製ミニEVが販売台数でテスラを抜いた!?

昨年10月29日(木)付けネットニュース(こちらを参照)で中国で普及が進むミニEV(電気自動車)について取り上げていたのでそのごく一部をご紹介します。 

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

・日本の軽自動車に相当するコンセプトのK-Carが中国で急激に売れ始めている。しかし日本との大きな違いは、それがすべて電気自動車であるということだ。

・中国の中堅自動車メーカー、上汽通用五菱汽車が今年7月に発売した小型の電気自動車「宏光MINI EV」(4人乗り)が爆発的に売れ、業界の注目を集めている。ベースグレードの価格が28800(1元は約16)と日本円で50万円を切る価格が大きな反響を呼び、発売日の724日から20日間で15000台を販売、91カ月の販売台数は2150台に達した。自動車情報アプリ「網易汽車」1014日付によると、10月に入ってもその勢いは衰えず、1日あたり時には1000台を超えるペースで売れているという。

・ 「宏光MINI EV」が売れた原因は、詰まるところ「ついにガソリン車と真正面から勝負出来る電気自動車が登場してきた」(自動車評論家・国沢光宏氏)ことにある。

・宏光MINIは最高速105km/h(モーター出力27,2馬力)と都市高速くらいなら走れるパフォーマンスと、本格的な電気自動車に匹敵する航続距離を持つ」などと述べ、絶賛している。

 

以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。

 

なお、昨年11月30日(月)付けネットニュース(こちらを参照)でも同様の内容についてについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

・中国のEVでトップに立ったのは、中国の自動車メーカー、上汽GM五菱の「宏光ミニEV」。全長29メートル、幅14メートル。見た目は日本の軽ワゴン車に似ているが、全長がさらに3040センチ小ぶりのコンパクトカーだ。

・なにより世間を驚かせたのが、価格だった。家庭用電源を使った67時間の充電で120キロ走れる最安モデル(エアコンなし)が288万元(約43万円)、エアコンありが328万元(約49万円)。そして170キロ走行できる遠距離モデルが388万元(約58万円)と中国でも飛び抜けて安い価格に設定された。短距離向けのためコストがかかる電池代を抑えられたほか、部品をほぼ国産化したことも大きい。

・高級車テスラとは客層も用途も異なる。しかし、EVが大都市だけでなく、地方都市や農村にまで広がるきっかけにもなると受け止められ、中国メディアは「国内の新エネルギー車メーカーも慌てさせた」と報じた。

 

以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。

 

また、1月21日(木)付けネットニュース(こちらを参照)でも同様の内容についてについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

・上汽GM五菱は地方都市を中心とした消費者の生活実態を、徹底的に研究してきた。普段使いなら30km以内の移動がほとんどであることや、省スペースでの駐車が重要視されていることなどを軸に仕様を詰めていった。マーケティング上のターゲットは「おしゃれな若者」とした。

・上汽GM五菱の源流は1958年に設立された柳州動力機械廠。当初は農作業に使うトラクターなどを製造していた。日本との関わりは比較的深く、三菱自動車の軽トラック「ミニキャブ」をベースとした車を生産したり、ダイハツの技術供与を受けたりしながら小型の商用車や乗用車を手掛けて成長してきた。2000年代に中国自動車大手の上海汽車と米ゼネラル・モーターズ(GM)の出資を受け、今の経営形態に落ち着いた。

・高度な技術が要求される内燃機関を、モーターで代替できるようになったことが中国国内での自動車開発のハードルを下げたのは事実だ。もちろん、日米欧の自動車メーカーとの合弁などで数十年間にわたって技術を蓄積してきたことが根底にはある。

 加えて、中国国内の深刻な大気汚染が新エネルギー車の普及を必要不可欠なものとした。EVであれば外資でなく中国メーカーにも勝機があるという打算もあり、中国政府はEVを自動車産業政策の中核に据えた。

・過剰にも思えた中国のEV重視の産業政策だったが、世界的に加速している脱炭素の流れがこれを後押ししている。もともと環境問題に敏感な欧州に加えて、米国はバイデン大統領がパリ協定に復帰するための文書に署名した。

・脱炭素の流れを受けて、中国のEV熱はますます高まっている。上海では昨秋以降、新エネルギー車の「特需」が起きた。上海市交通当局が、上海ナンバー以外のクルマに市内の一部高速道路を使わせない規制を入れる方針を打ち出したからだ。「ガソリン車のナンバーの新規取得は100万円以上かかる。この機会にナンバーが無料の環境対応車を購入しようとする顧客が増えている」(上海市内の自動車販売店)

・脱炭素について、日本自動車工業会の豊田章男会長は「日本は火力発電の割合が大きいため、自動車の電動化だけではCO2排出削減につながらない」と指摘した。中国には原子力発電の積極推進が可能という強みもあり、クルマの電動化を進めれば進めるほど環境面でのメリットを得やすい。

 

以上、ネット記事のごく一部をご紹介してきました。

 

3つの記事の内容をご紹介してきましたが、何よりも驚くのは、昨年7月に発売されたばかりの中国の小型EV「宏光MINI EV」が昨年9月に早くも中国国内で2万150台を販売し、EV世界最大手のテスラを抜いたという中国のEVメーカー、上汽通用五菱汽車のスピード感です。

また、上汽通用五菱汽車は闇雲にEVの製造に乗り出したのではなく、しっかりとしたマーケットリサーチに基づいて製造すべきEVの仕様や価格を決定していることです。

 

日本におけるEVと言えば、今のところ日産「リーフ」の独壇場と言えますが、「宏光MINI EV」はその「リーフ」の年間販売台数(2019年 1万9789台)よりも更に多くの台数をたった1ヵ月で販売しているのです。

 

また、日本のクルマで言えば軽自動車に相当するカテゴリーとは言え、K−CarのEV「宏光MINI EV」のベースモデルの価格が日本円で約43万円、そしてフル充電で170km走行出来るモデルでも約58万円という破格の安さにも驚かされます。

ベースモデルでも120km走行出来るといいますから、短距離での足代わりに乗るのであれば十分です。

 

EVの充電費用とガソリン車のガソリン代、および販売価格の比較だけで見れば、間違いなく既に中国においてはEVはガソリン車を超えたと言えます。

ただ、バッテリーの寿命や充電インフラなども加味した比較では懸念が残りますが、これまでの販売台数からすると、こうした懸念もほとんどなさそうです。

 

日本では、EVの普及において軽自動車が置き去りになるのではないかという懸念の声があがっていますが、もし「宏光MINI EV」が日本に低価格で上陸したら、その懸念もほとんどなくなるのではないかと思ってしまいます。

 

こうした状況から中国のEV事情は、ハイペースでの売り上げ増、そして多くの競合他社の存在からは今後とも価格やフル充電でのより長い航続距離、あるいは装備といった面での競争でいろいろなバリエーションのEVが登場してくると見込まれます。

 

ということで、国策による後押しもあって、かつての日本の高度経済成長期と同様に中国国内でのEVの売り上げは中国国内に一通り行き渡るまで伸び続けると見込まれます。

まさに“恐るべし、中国のEVメーカー”です。

このような安価な中国製EVが日本に輸出されてきたら、と思うとあまりのスピード感の違いに恐怖感を覚えます。


 
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2021年02月16日
アイデアよもやま話 No.4880 温室効果ガス対策はコストから成長ドライバーに!

アイデアよもやま話 No.4876 脱炭素社会実現(2050年)に向けた菅総理の本気度は伝わるが、・・・で地球温暖化対策に対する菅総理の本気度についてお伝えしました。

そうした中、昨年10月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコストから成長ドライバーに変わる温室効果ガス対策について取り上げていたのでご紹介します。 

 

コロナ禍で世界は大きく変わっていますが、番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「地球温暖化対策のところで今回大統領選挙にあたって、バイデン前副大統領は相当思い切った環境対策を出しているんですね。」

「例えば2050年までの(CO2)ゼロエミッションというのもバイデンさんの政策の中に入っていまして、それを日本の菅首相と韓国の文在寅大統領が後追いしているような状況ですね。」

「特に特徴は今までは環境対策はコストだったんですけれども、環境対策を通じて新型コロナウイルスから経済を立ち上げよう、ドライバーにしていこうという、そういう方向に変わってきたっていうことは大きな変化だと思いますね。」

「これから経済成長の軸になっていく可能性が非常に高くなってきたと思いますね。」

 

なお、バイデン大統領候補は、温室効果ガス対策に係る技術開発・インフラ整備に10年間で1.7兆ドルの投資をするといいます。(番組放送時)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

地球温暖化対策として、既に“持続可能な社会”、あるいは“SDGs”(持続可能な開発目標)といったキーワードはかなり世界的に浸透してきています。(参照:No.4578 ちょっと一休み その710 『日本も国家としてSDGsに真剣に取り組むべき!』

こうしたキーワードが社会に定着するまでは、確かに環境対策はコストでした。

しかし、プロジェクト管理と日常生活 No.639 『気候クライシス その4 迫りくる“ティッピングポイント”でもお伝えしたように、地球温暖化対策は世界的に喫緊の課題となっています。

そして、「2050年までにCO2排出量を実質ゼロに」が現在の世界的な共通目標として設定されています。

こうした状況に輪をかけて、現在コロナ禍で多くの国々が給付金など多額の財政支出で財政的にひっ迫しています。

同時に多くの企業も存続の危機に直面しています。

そこで、こうした状況から経済を復興させる新たな何か、すなわち目標が求められているのが今の状態と言えます。

そして、その目標として世界的に挙げられているのが“CO2排出量ゼロ”と“DX”(デジタルトランスフォーメーション)と言えるのです。

この2つの課題を解決することが新たな需要を創造し、経済再生への道となるのです。

ここで特筆すべきは、“CO2排出量ゼロ”は持続可能な社会の実現をもたらし、“DX”はデジタル化により社会を新たなステージへと再生させるというとても重要な意味を持っていることです。


 
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2021年02月15日
アイデアよもやま話 No.4879 コロナ禍でエンタメはどう変わる!?

昨年10月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナ禍で変わるエンターテインメント業界について取り上げていたのでご紹介します。 

 

コロナ禍で中々人が集まれない中、エンターテインメントのあり方も急速に変わってきています。

東京・秋葉原にあるAKB48劇場、新型コロナウイルスの影響で昨年2月26日から観客を入れての公演を中止しました。

昨年9月から公演は再開したものの、定員250人に対して観客数に91人と上限を設けるなど(番組放送時)、会いに行けるアイドルなど簡単には会えなくなってしまいました。

 

更にライブにも異変が起きています。

ファンによる掛け声が禁止され、ペンライトを振ったり、拍手で応えるだけです。

AKB48の村山彩希さんは次のようにおっしゃっています。

「MCで(お客が)笑っているのか、滑っているのか全然分からないんですけど、このかたちだからこそ新しい挑戦が多分出来ると思うので、これからもここ(劇場)を盛り上げていきたいと思います。」

 

新型コロナで変わるエンターテインメント業界、コロナ禍でどのような決断をしてきたのか、業界のトップランナーである秋元康さんにエンターテインメントの新たな姿を聞きました。

「(新型コロナウイルスの感染拡大の状況において、どういうことを考えたかという問いに対して、)「3密」を避けることはエンターテインメントの熱狂とは反対側にあることなので非常に大変だとは思いましたけども、エンターテインメントがコロナによってどう変わるかではなくて、この世界や生き方がどう変わるかで、ここに合わせたエンターテインメントがあるだろうだろうな。」

 

AKB48や乃木坂46の生みの親で総合プロデューサーでもあり、古くはおニャン子クラブをはじめ次々とトップアイドルを世に送り出してきた秋元さん、美空ひばりさんの「川の流れのように」の作詞も手掛けるなど、45年間エンターテインメント業界をけん引してきました。

秋元さんは次のようにおっしゃっています。

「とにかく今は“熱狂とは何か”が最大のテーマじゃないですかね。」

「“熱狂”というのは狭い空間の中で密になって汗を飛ばし、応援し、ライブというのは多分そういうものだったと思うんですよね。」

「一緒の熱狂を感じていたものが熱狂が危険だという今の状況がこれからのエンターテインメントにどう影響していくかな。」

 

昨年10月27日、秋元さんが総合プロデューサーを務める乃木坂46、白石麻衣さんの卒業コンサートのリハーサルが行われていました。

コロナ禍でコンサートをネットで生配信するというかたちを取らざるを得ませんでした。

白石さんは次のようにおっしゃっています。

「みんなの体調面を第一に考えた時に、オンラインというかたちを取ったんですけども、一人でも多くの方に見てもらえるオンラインはすごく私は新しいし、素敵だなと思ったので・・・」

 

リアルなコンサートのように収容人数の制限がないことや遠方からでも参加し易いといった点でメリットがある一方、秋元さんには次のような懸念もありました。

「人間の目っていうのは自分が見たいものを見ているわけですね。」

「ところが、配信・オンラインで、ライブであるとか舞台とかを見るとやはりそこでスイッチングされているので自分が見たいものではない。」

「全員が同じところを見なければいけないという、そこにちょっと不自由さがあるような気がしますね。」

 

新型コロナで熱狂の伝え方の試行錯誤は続く一方、熱狂の生み出し方にも今大きな変化があるといいます。

「視聴者が見たいものを一生懸命探してみる。」

「マーケティングリサーチをしますから、要するにここにはどんなお魚がいるのかなっていうのはみんなが同じように調べるのでみんな同じようなエサで同じような場所に釣り糸を垂らすことになってしまって、視聴者の皆さんからお叱りを受けるのはどの番組を見ても同じじゃないかと。」

「視聴者が見たいものもすごく大事なんですが、作り手側が作りたいものを作って、(視聴者が)どう受け止めて下さるかの時代に来ているんじゃないかな。」

 

誰もが楽しめる最大公約数の番組ではなく、特定の人の心に訴える最小公倍数の番組作り、公開後大ヒットが続く映画「鬼滅の刃」はまさにそうした作品だといいます。

「「鬼滅の刃」にしてもアニメ化されても、まだ一部の人たちが熱狂していたものが広がっていって、普段はアニメなんか見ない人たちが「面白いんだって」って言って広がっていって、今回の大ヒットになるような、ああいう世代や層がドミノ倒し、パタパタと倒れていくようなヒットの仕方をするんじゃんないかなと。」

 

そして今週(番組放送時点)、秋元さん自身が新たな試みとして企画・原作を手掛けたドラマがスタートしました。

業界のタブーに挑んた、その名も「共演NG」です。

舞台は弱小テレビ局が社運を賭けたドラマの制作現場、かつては恋人同士で今は共演NGの大物俳優二人がドラマで共演するというものです。

このドラマについて、秋元さんは次のようにおっしゃっています。

「僕なんかはまず虫眼鏡で太陽光線を集めて、集めないと発火しないじゃないですか。」

「その発火させるポイントをどこにするかということは考えますよね。」

「あまり広いとフォーカスが合わないと、結局は“帯に短し襷に長し”で誰にも刺さらない中庸なものになっちゃうんで、千人、1万人の中で「面白そうだ」よりもこの10人が熱狂的に「面白い」と思うことが我々の非常に狙いではありますね。」

 

「(エンターテインメント業界のこれからの軌道について、)僕が信じているのはこうなって欲しいなと、これ(右肩上がり)は希望的な観測なんですけども。」

 

希望的観測と話す理由は、まず向き合うべき現実があるかです。

「苦労なさっている分野の業界の皆さんがいるので、医療も応援しなきゃいけないし、そういうところから一丸とならないと。」

「多分エンターテインメントってそこの全てが満たされながらの楽しみであり、それを切り離してエンターテインメントだけ良ければいいわけではないので、我々も頑張らないといけないと思いますけどね。」

 

見えない熱狂をどう作りだしていくかはエンタメ業界だけでなくほかの業界にも当てはまる話だと思います。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず番組を通しての秋元さんの印象を以下にまとめてみました。

・エンターテインメントとは何かを客観的、かつ科学的に追及していること

・エンターテインメントと社会との関係についても自分なりの考えを確立していること

 

なお、秋元さんは、「エンターテインメントがコロナによってどう変わるかではなくて、この世界や生き方がどう変わるかで、ここに合わせたエンターテインメントがあるだろうだろうな。」とおっしゃっています。

要するに、初めに“エンターテインメントありき”ではなくて、あくまでもエンターテインメントは人生の一部であるというスタンスなのです。

ですから、エンターテインメントは人々の暮らしに寄り添っているとも言えます。

 

この基本的な考え方はエンターテインメントに限らず、どの業界においても通用するはずです。

コロナ禍が長期間にわたって続いており、多くの業界は大変な苦境に追い込まれています。

そこから抜け出すには、まずコロナ禍において、人々が、あるいは社会の求めるものは何か、すなわち需要の変化を見極めることがスタートポイントです。

全く需要が無くなるということはあり得ません。

なぜならば常に人々は何らかの欲求を持っているからです。

コロナ禍での新たな需要の象徴的なキーワードは“巣ごもり需要”です。

要するに“自宅にこもったままで、これまで通りの暮らしにより近い時間を過ごせるか、あるいはどのようにより楽しい暮らしを送れるか”という課題に対する的確なアイデアをかたちに出来るかどうかが企業の存続を左右するのです。

ですから、特にコロナ禍の影響を強く受けている業界においては、コロナ禍以前のビジネスモデルに縛られるのではなく、新たなビジネス環境に即した業態に生まれ変わるくらいの覚悟で臨むことが求められているのです。

 

なお、秋元さんは「とにかく今は“熱狂とは何か”が最大のテーマじゃないですかね。」とおっしゃっているように、エンターテインメントの究極の狙いの一つは“熱狂”だと思います。

しかし、コロナ禍においては「3密」回避を基本に“熱狂は危険”という状況を余儀なくされているのです。

ですから現状ではリアルなコンサートでは収容人数を制限したり、ファンによる掛け声を禁止したりというようなことが行われています。

更に、秋元さんも指摘されているように、オンライン映像では自分の観たい情景を見ることが出来ないという不自由さがあります。

一方で、オンラインコンサートは遠方からでも参加し易いといったメリットがあります。

しかも録画がコンサート後も配信されれば、ファンの方々はいつでも自分の好きなミュージシャンのコンサートを自宅で楽しむことが出来ます。

ですから、今の映像技術を駆使すれば、オンラインコンサートの弱点をある程度はカバー出来ると思います。

一方、オンラインコンサートにはリアルコンサートにはないメリットがあります。

このプラスマイナスを考慮すると、コロナ禍は図らずもオンラインコンサートという新しいマーケットを創造したと言えるのではないかと思えてきます。

 

卑近な例ですが、私は竹内まりやの大ファンですが、彼女のコンサートは滅多にありませんし、しかもコンサートが開催されても簡単にはチケットが手に入りません。

ですから、彼女のようなとても人気のあるミュージシャンのコンサートがコロナ禍をきっかけにオンラインでも気軽に観れるようになれば、多くのファンの心を癒せるのではないかと思うのです。

また、秋元さんも指摘されているように、オンラインコンサートなどオンラインでの配信を前提に「作り手側が作りたいものを果断に作ってみる」というチャレンジが作り手に求められていると思うのです。

公開後大ヒットが続く映画「鬼滅の刃」はまさにこうした作品の象徴的な存在なのです。

 

ということで、どんな状況においてもどの業界においても需要が全く無くなることはないので、その潜在需要を的確に捉え、それに応えるような商品やサービスを提供出来れば、必ず道は開け、更なる成長軌道に乗ることが出来るのです。

要はアイデア次第なのです。

そしてコロナ禍後を見据えた事業継続のキーワードはDX(デジタルトランスフォーメーション)なのです。

単なるデジタル化はなく、デジタル化を大前提とした今後進むべき事業やビジネスプロセスの大変革、すなわちデジタル変革を制する者がこれからのビジネスを制すのです。


 
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2021年02月14日
No.4878 ちょっと一休み その761 『日本政府によるデジタル化政策の失われた20年』

昨年10月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本政府のデジタル化政策のこれまでの経緯について取り上げていたのでご紹介します。 

 

番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川 眞一さんは以下のパネルを見せてくれました。

 

政府のIT基本戦略

・電子商取引ルールと新たな環境整備

・電子政府の実現

  行政内部の電子化

  官民接点のオンライン化

  規制・制度の改革

 

そして市川さんは次のようにおっしゃっています。

「これいつのものだと思われますか?」

「実はなんと2000年12月27日に政府のIT戦略本部が決定したものなんですね、20年前。」

「で、実際、こういったIT戦略は何回もこの20年間でまとめられていますし、そして政府の中にも内閣官房にIT総合戦略室があるんですね。」

「ですから、やはりスピードが大事だとすると、菅総理が各大臣にきちっと指示を出して、そしてIT総合戦略室が総合調整すれば、実はデジタル庁とかわざわざ法律を通して設けなくても出来ることだと思うんですよ。」

「ですからやはり今スピード感が非常に重要になってきていますから、そういう意味で特に日本は新型コロナ禍の問題でIT化に関しては政府も民間も周回遅れだということは分かってしまったので、ここは組織をつくるとかそういうことではなくて、今まであるメニューをいかに淡々と着実に進めていくか、そういうことなんじゃないでしょうかね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず驚くのは冒頭の「政府のIT基本戦略」に関する記述が2000年に政府のIT戦略本部が決定したものであるということです。

この記述を見てほとんどの方は菅政権が新たに掲げた看板政策の1つだと思われたのではないでしょうか。

市川さんの指摘はまさにその通りだと思います。

日本政府のデジタル化に対する取り組みは2000年に既に方針は打ち出されていたのです。

そして内閣官房にIT総合戦略室が既に存在しているので、わざわざデジタル庁を新設する必要はなかったのです。

 

ではなぜ折角2000年にIT基本戦略が打ち出されていたのに、引き続き実行に向けた取り組みがなされてこなかったのでしょうか。

ちなみに2000年12月27日の時期は第2次森内閣で2001年4月26日に第1次小泉内閣に引き継がれました。

小泉内閣と言えば、郵政民営化を旗印に「自民党をぶっ壊す」という掛け声で総理大臣の座を手に入れたことで有名です。

もし仮に小泉総理がIT基本戦略を引き継いで「デジタル化で日本を今一度洗濯する」というようなフレーズで持ち前のリーダーシップで日本をリードしていただいていたら今の日本はデジタル化で世界に後れをとるどころか、世界をリードしていたのではないかととても残念に思います。

 

実は政府によるデジタル化への取り組みでもう一度チャンスがありました。

2015年に施行されたマイナンバー制度です。

その狙いは行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現といいます。

しかし、この制度は未だにごく一部しか機能していないのです。

もしマイナンバー制度の普及に本気で取り組んでいれば、今も大変な状況にあるコロナ禍対策もスマートな対応が出来ているはずなのです。

 

では、なぜ日本でのデジタル化がこれまでの20年間で遅遅として進まなかったのかですが、それは歴代の総理にどのような日本に変えたいのかという確たるイメージがデジタル化に関してなかったか、あるいはあっても実現させるだけの突破力がなかったと私は思うのです。

 

そして現在、ようやく菅総理が政策の柱の一つとして本腰を入れてデジタル化を進めると宣言したのです。

しかもそのきっかけはコロナ禍における給付金配布など、人海戦術による他の主要国に比べての効率の悪さの露呈です。

ですから、もし新型コロナウイルスの感染拡大が発生していなければ、日本政府によるデジタル化はこれまで通り“遅遅として進まず”状態が続いていると懸念されます。

 

遅ればせながらですが、菅政権には是非他のデジタル化先進国より一歩や二歩先を行く、単なるデジタル化ではないDX(デジタルトランスフォーメーション)を目指して日本を生まれ変わらせていただきたいと思います。


 
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2021年02月13日
プロジェクト管理と日常生活 No.680 『激しさを増す米中の経済覇権争いと軍事衝突リスクの回避策!』

10月14日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で米中の経済覇権争いについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

IMF(国際通貨基金)の世界経済予測、各国の見通しが2025年まで出ていますが、経済規模(GDP)で中国がアメリカを相当追い上げていく予想です。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「米中はほぼ拮抗、横綱相撲ですね。」

「そこで重要になるのは仲間を集めることなんですけども先週(番組放送時)東京で日米豪印(日本、アメリカ、オーストラリア、インド)による会議を開きました。」

「日米豪印を合わせると(約35兆ドルを超えるので)、この開きを維持しているうちに中国に今のルール順守などの体制に入ってもらうように働きかけるというか、圧力をかけることでしょうね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

最近の中国の南シナ海や東シナ海での軍事行動など覇権主義の世界的な展開、あるいは一帯一路政策などの拠りどころは継続的な高度経済成長、および近い将来アメリカを追い抜く勢いの軍備拡張にあると思われます。

しかし、これまで何度となくお伝えしてきたように、問題は習近平国家主席の率いる中国共産党政権の目指している方向です。

具体的には、反民主化、反自由、そして反人権尊重、すなわち世界各国を中国共産党の管理下に置くことだと思われることです。

いくら習近平国家主席など中国共産党の幹部が美辞麗句を並べても、中国共産党の方針、そして実際の様々な行動はその狙いに沿った確固としたものに見えます。

 

ですから、自由主義陣営の国々はこうした中国共産党の狙いを阻止すべく、軍事衝突を回避しつつ、中国に対して厳しく対峙する必要があるのです。

その一つの現れが今回ご紹介した、昨年10月に開かれた日米豪印による会議です。

まさに“合従連衡”です。

米中のみでの経済、および軍事覇権争いはそれぞれパワーが拮抗しつつある状況においては長期化し、いずれ実際に軍事衝突してしまう可能性が残ってしまいます。

しかし、自由主義陣営の国々のみならず中国の覇権主義に異を唱える国々が協力してあらゆる面で中国に対峙し続ければ、中国共産党の拠りどころである経済成長の芽を摘むことになりますから、国民の不満を高めることにつながり、さすがの習近平政権も現在の政策の軌道修正を余儀なくされるのです。

同時に協調すべきは、いかに中国が現在進めている政策が国連憲章などに違反しているかをしつこく追及することです。

こうした対応は、中国のイメージダウンにつながるのでボディブローになると期待出来ます。

 

ということで、習近平国家主席率いる中国共産党の進める政策は明らかに社会のあるべき姿に反するものなので、中国国民のためにも是正させることがとても必要なのです。


 
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2021年02月12日
アイデアよもやま話 No.4877 “空飛ぶタクシー”への試乗が実現!

昨年10月28日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で“空飛ぶタクシー”への試乗について取り上げていたのでご紹介します。

 

世界で初めて人が乗れるドローンを開発した企業と2年間の交渉の末、“空飛ぶタクシー”に試乗することが出来ました。

実際に試乗したTBSテレビ上海支局の森岡紀人さんは次のようにおっしゃっています。

「本当にびっくりしましたね。」

「感想としては映画やアニメで見た世界がついに現実になってきたと感じました。」

 

中国で最近たびたび目にするドローンを使ったライトショー、こうした小型ドローンを開発している中国のドローンメーカー、イーハン(EHANG)が“空飛ぶタクシー”に取り組んでいます。

今回試乗したのは最新型の「EHANG216」、2人乗りで16個のプロペラが付いていることから216と名付けられました。

早速乗り込んでみると、高度30mまで垂直に飛び上がり、しばらくホバリングした後、時速20kmで前進し始めました。

機内には操縦桿はなく、タブレットが2つ付いているだけで、全自動で航行します。

16個のプロペラが回るので機内は結構揺れましたが、怖いとは感じませんでした。

これまでに世界23の都市で5000回以上テスト飛行をしていて、最高時速は130km、1回の充電で21分間飛行可能です。

機体の価格は30万ドル、日本円で約3200万円で、中国や日本の企業などに既に89台販売されたとのことです。

試乗した森岡さんは次のようにおっしゃっています。

「実用化については、まだ課題が見えてないところが多いんです。」

「イーハンは“空飛ぶタクシー”を高層ビルの消火活動用などに使うことも検討しているんですが、利用実績はまだゼロです。」

「実用化するには充電スタンドや駐機場の整備などに莫大な資金が必要なため中国でも一部の都市で荷物搬送用としてのみ使われているのが実情です。」

「そして法整備の問題もあります。」

「例えば、日本では“空飛ぶタクシー”には航空法などが適用されるため家屋が密集している場所では最も高い建物の300m上空を飛ばなければならないなど、“空飛ぶタクシー”に合わない規制が多く、新たな法整備が必要です。」

「一方で、世界展開をしていくうえでアメリカによる中国企業の締め出しも懸念されているのですが、この点について(イーハンに)聞いてみると・・・」

 

主席戦略官の徐華翔さんは次のようにおっしゃっています。

「アメリカの市場は割合にすごく小さいです。」

「ほぼ無視出来ます。」

「そしてアメリカの技術に対する依存度も小さい。」

「ですのでファーウェイとは違います。」

 

森岡さんは次のようにおっしゃっています。

「サプライチェーンもほぼ中国なので心配ないと強気でした。」

「とは言え、世界中で200もの“空飛ぶタクシー”が開発されているため競争は必死です。

「逆にいうと“空飛ぶタクシー”が飛び回る世界がもうすぐそこに来ていると言えます。

 

実用化にあたっては法整備が必要になってきますが、世界中の都市で交通渋滞などが深刻という問題もあります。

“空飛ぶタクシー”の登場に期待したいものです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

恐らく初めて自動車に乗った時には誰もが大変な興奮を覚えたと思います。

その後、初めて飛行機に乗った時には更なる興奮に包まれたと思います。

そして今回ご紹介したドローンによる“空飛ぶタクシー”ですが、タクシーですから乗客になれば空を自由にあちこち移動出来るのです。

ですから、初めて“空飛ぶタクシー”に乗ったら、これまでにない大変な感動を味わえると思います。

 

ただ、“空飛ぶタクシー”の実用化に向けては以下のような課題があるといいます。

・航続可能時間が短い

現在は1回の充電での飛行時間は20分程度である

・乗客は1人のみである

  最低でも乗客の定員は2人にして欲しい

・販売価格が高い

機体の価格は日本円で約3200万円である

・運賃が高額である

  機体価格が高額で、タクシードライバーの人件費もかなりかかるのでその分運賃が上乗せされる

・飛行の可否は強風など天候に大きく左右される

・飛行中の安全性に対して不安がある

・充電スタンドや駐機場の整備などに莫大な資金と時間が必要である

・新しい空の乗り物ということで、新たな法整備が必要である

 

“空飛ぶタクシー”の実用化に向けてはこのようにいろいろな課題がありますが、用途や特定の地域内での飛行に限定すれば、実用化までの期間はそれほど長くないと思われます。

というのは中国や日本の企業などに既に89台販売されているからです。(番組放送時)

ちなみに“空飛ぶタクシー”の実用化初期の用途として以下のようなものが考えられます。

・災害救助

・高層ビルの消火活動

・ディズニーランドなどのレジャー施設での飛行

・法律で定められた特定地域内での飛行


 
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2021年02月11日
アイデアよもやま話 No.4876 脱炭素社会実現(2050年)に向けた菅総理の本気度は伝わるが、・・・

昨年10月26日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で脱炭素社会実現(2050年)に向けた菅総理の本気度について取り上げていたのでご紹介します。 

 

菅政権発足後初めての国会において、菅総理は所信表明演説で新たな改革の旗印として温室効果ガスの排出を実質ゼロを目指す考えを以下のように表明しました。

「我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。」

「すなわち2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言いたします。」

「温暖化への対応は経済成長の制約ではありません。」

「積極的に温暖化対策を行うことが産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要であります。」

 

就任から40日、マスク姿で初の所信表明を行った菅総理、これまで最優先課題として押し出してきたコロナ対策やデジタル化に続き、新たな菅カラーとして打ち出したのはカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現です。

温室効果ガスの排出実質ゼロ、これを30年以内に実現すると期限を明確に示したのは初めてのことです。

担当する小泉環境大臣は次のようにおっしゃっています。

「恐らく未だ日本の中では“脱炭素”という言葉自体も浸透しているとは言えないと思いますが、これがじわじわと日本を変えていくと思います。」

「環境省としては新たな時代が来たと認識してしっかり責任を果たしていきたいと思います。」

 

また梶山経済産業相は次のようにおっしゃっています。

「カーボンニュートラルを目指すうえで不可欠な水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などの社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ実行計画を年末を目処に取りまとめてまいりたいと考えております。」

 

なお、菅政権発足時に公明党の山口代表と結んだ合意文書には、これまでの安倍政権を継承するとしながら、外交・安保や憲法などこれまで重要視されてきた政策よりも前に「脱炭素社会の構築に努める」という項目が新たに追加されています。

公明党は自らの手柄を主張します。

山口代表は次のようにおっしゃっています。

「我が党が先行的に主張したことに呼応するこの政権の姿勢が明示されたことも歓迎したいと。」

 

テレビ東京と日本経済新聞は昨年10月23日から25日にかけて、全国968人に世論調査を実施、菅政権に期待する規制改革は再生エネルギーの活用が労働時間規制の柔軟化とともに14%で首位となりました。

内閣の支持率は63%、日本学術会議の任命拒否問題もあり、内閣発足直後と比べ11%ポイント下落しました。(番組放送時)

 

大きな課題を掲げたことに共産党の志位委員長は次のようにおっしゃっています。

「脱炭素社会への大規模な転換、これ必要なことは論を待ちません。」

「しかし同時に原子力からも抜け出さなきゃなんない。」

「どうやってやるのか。」

「「原発を動かす」と言っていますでしょ。」

 

また立件民主党の福山幹事長は次のようにおっしゃっています。

「安倍政権が取り組まなかったことをやろうとしていることは評価しますが、それについても具体性もなく原発をどうするかについても何ら言及がありませんでした。」

「何らかの政策集を読み上げているような所信だったと思います。」

 

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(「2050年に脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言いたします」というが、“宣言”という言葉を所信表明演説の中で使うのは珍しいのではという指摘について、)極めて異例ですね。」

「その意味合いは何なのかははっきりしていますね。」

「これは2050年(温室効果ガスの排出量)ゼロを国際公約にするという意味です。」

「相当重要なポイントですね。」

「で、それについても相当本気と言っていいと思います。」

「理由は人事にあります。」

「梶山経産大臣と小泉環境大臣を菅内閣は留任させているわけですね。」

「2つの重要な温室効果ガスゼロにするためのキーポストの大臣の留任、ここが1つのポイントですね。」

「(菅総裁に代わった際に交わされた自民党と公明党の政権合意の中にも入れられたことについて、)そこにも決意が表れているわけですね。」

「そこで実際にエンジンですね、どういう格好で推進するかなんですけども、2つポイントがありますね。」

「1つは画期的な技術革新を進める必要があるわけですね。」

「次世代太陽光電池が一つ、もう一つはCO2の再利用ですね。」

「ここら辺を相当進めていく必要がある。」

「そしてもう一つはCO2を出さないエネルギー源、原発の再稼働。」

「安全性を徹底的に確認したうえで進めていく必要がある。」

「この2つのエンジンと言ったらいいのか、エネルギーをこの政策の推進力にしてもらいたいと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組でも報じているように、確かに菅総理は「2050年に脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言いたします」と表明されたように気持ちのうえでは本気で実現を目指すとの決意を示されたのだと思います。

しかし、問題は実現するための具体的なプロセスです。

アイデアよもやま話 No.4858 2030年の電源構成から見えてくること!でもお伝えしたように政府は、2050年の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を5〜6割とし、原子力による依存度は少なからず残っている数値を「参考値」として公表しています。

また梶山経済産業相はその具体策として、水素、蓄電池、カーボンリサイクル、洋上風力などの再生可能エネルギーを挙げられております。

そして解説キャスターの滝田さんはその具体策として、次世代太陽光電池、CO2の再利用、そして原発の再稼働の3つを挙げられております。

 

しかし、太陽光や風力による自然エネルギー発電については天候に左右されるという弱点があり、従って電力の安定供給の観点から余剰電力を蓄えるための大量のバッテリーを要します。

更に太陽光や風力での発電は巨大台風などによる強風に対しても弱いというリスクがあります。

また原発については、核廃棄物の最終処分場の確保といった大きな課題、そして原発の周辺自治体の反対への対処といった課題があります。

いくら菅総理が本気で2050年カーボンニュートラルを実現すると宣言されても、こうした様々な課題を解決するための具体的な方策を持ち得なければ実現は“絵に描いた餅”に終わってしまうのです。

しかも国民にすれば、そうした目標を達成出来なかったでは済まされないのです。

なぜならば、このまま地球温暖化が進めば、海面上昇や巨大台風の発生、疫病の多発、あるいは海産物や農産物の収穫量の激減といった様々なリスクの上昇が見込まれるからです。

ですから、2050年カーボンニュートラルの実現は国内外を問わず、世界各国の共通のとても大きな課題なのです。

 

ということで、菅政権、およびその後の政権には、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、しっかりと実現可能性の高い具体的な方策を検討し、一つひとつのプロセスを確実にクリアしていっていただきたいと思います。

同時にエネルギー関連のより多くの企業にはアイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・のような発電装置の開発に取り組んでいただき、是非実用化していただきたいと思います。


 
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2021年02月10日
アイデアよもやま話 No.4875 オンライン会議アプリの事例紹介!

今回はオンライン会議アプリの2つの事例のご紹介です。

まず、昨年10月21日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でオンライン会議上で変装出来るアプリについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

ズームやスカイプなどのオンライン会議上で変装が出来るアプリ、使い方は簡単です。

身なりを整えてパソコンのカメラで写真を1枚撮っておくだけです。

そうすれば、あわててメイクをしなくてもあたかもきちんとしたかっこうで会議に参加しているように見せられるのです。

このアプリを開発した株式会社エンバディミーの吉田一星CEOは次のようにおっしゃっています。

「“オンライン会議疲れ”が問題になってきてて、自分の表情を見せたくないとか、化粧をしたくないというような理由で、カメラをオフにしている人は多いと思うんですけども、そうすると相手側から見ると、表情がよく分からなくて伝わりづらい、そういうのを解決するために開発しようと思って開発しました。」

 

AIがカメラに映っている顔の動きを認識して写真や動画の顔に反映させる技術なのですが、実は2年前(番組放送時)の番組でも取材していました。

これをパソコン上で作動するように設計し、顔の角度までよりリアルに見せられるようにしてオンライン会議でも使えるように改良したのです。

なお、このアプリの名前は「エクスプレッション カメラ」で無料で使用出来ます。

ただしMac版のみです。

 

これだけ詳細に顔の表情が再現されてしまうと悪用の可能性が出てきますが、これについて吉田さんは次のようにおっしゃっています。

「トランプ大統領(番組放送時)の映像を使って、トランプ大統領が言っていないセリフを言わせて拡散させてしまうみたいな悪い使われ方はあると思います。」

 

こうした悪用リスクをなくすために、このアプリは画面に消すことの出来ないロゴを表示して加工したことが必ず分かるようにするなどの対策を取っています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

2つ目は、似たようなアプリについて昨年11月2日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で取り上げていたのでご紹介します。

 

離れた場所にいる人と対面しているかのように会議出来るシステムでは、本人の画像を合成して作りだした本物そっくりな分身がゴーグルを付けた本人の動きと連動します。

本人以外にも離れた場所から他の人の分身が集まり、会議が始まります。

更にゴーグルにドキュメントの画像を映し出すことも出来ます。

なおこのアプリを開発したのは南国アールスタジオ株式会社で、商品名は「ホワイトルーム」(スターター版)で月額11万円といいます。

 

なぜこのようなことが可能なのか、そのカギはゴーグルに搭載されたセンサー、今いる空間をスキャンし、他の人がいる場所とリアルタイムに重ね合わせてデジタル化した資料を投影しています。

同じ空間で共有出来れば、離れている相手がどの資料を見ているかも一目瞭然です。

形状が複雑なものでも指示しながら確認出来、話し易くなります。

どういう業界からの需要が多いかという問いに対して、秦勝敏代表は次のようにおっしゃっています。

「海外に工場を持っている製造業さんですとか実技を伴う教育の場合に、どうしても今のテレビ会議ですとカバー出来ない部分がございますので、そういった部分を3Dですとかアバター技術を使って教育の質を高めることに使われております。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介したアプリ「エクスプレッション カメラ」は無料での提供ですが、Mac版のみというのはアンドロイド版ユーザーにとっては残念です。

またこのアプリを使用しているところをテレビ画面で見ていると、動作が多少ぎこちないように見えます。

しかしそれでも、身なりを整えてパソコンのカメラで写真を1枚撮っておくだけで、どんなかっこうをしていてもあたかもきちんとしたかっこうで会議に参加しているように見せられるといいます。

ですから、コロナ禍でオンライン会議をするのが当たり前になってくると、自宅でくつろいだ身なりでいても他の参加者からスーツ姿で会議に参加しているように見られるというのはとても便利だと思います。

またなりすましによる悪用対策もなされているというのは安心出来ます。

 

一方、「ホワイトルーム」では本物そっくりな分身がゴーグルを付けた本人の動きと連動し、更にゴーグルにドキュメントの画像を映し出すことも出来ます。

ゴーグルが必要とは言え、ドキュメントなどの資料の画像も映し出せるので会議以外にもリモート研修などあらゆる分野でいろいろな用途が考えられます。

ただし、月額11万円の使用料がかかります。

 

それにしてもコロナ禍による新しい生活様式に合わせていろいろなアプリが開発されているようです。

いずれにしてもオンライン会議アプリはコロナ禍にあって、「3密」回避対策になり、しかもスムーズな在宅勤務を可能にするのでかなりの需要が期待出来ます。

そこで、究極のオンライン会議アプリの満たす要件について、私の思うところを以下にまとめてみました。

なお、その大前提は限りなくリアルな会議に近く、違和感がないことです。

・会議では現実の参加者全員の顔などの表情が読み取れること

・参加者はその時々でバーチャルなファッションを自由に選べること

・ドキュメントなどの資料も合わせてパネル上やゴーグルに表示出来ること

・議事録はAIがまとめ、最後に参加者全員が確認・合意出来ること

 

ということで、究極のオンライン会議アプリが実用化されれば、コロナ禍の終息後も継続されると大いに期待出来ます。

まさに新しい生活様式の一部となるのです。

なお、この新しい生活様式はビジネスに限らず研修など様々な分野で適用出来ると見込まれます。

その結果、コロナ禍前に比べて生産性向上も見込まれます。


 
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2021年02月09日
アイデアよもやま話 No.4874 やはり中国は人権無視の国!

昨年10月20日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で新疆ウイグル自治区で行われる人権無視について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

(ウイグル族のある地域の出生率目標はほとんどゼロ)

・新疆ウイグル自治区の2つの行政区では2015年から2018年にかけ人口の自然増は84%も減少した。

・今年、ウイグル族(イスラム教徒)のある地域では出生率の目標はほとんどゼロに設定されている。

・米ワシントンに拠点を置く「共産主義の犠牲者祈念財団」のアドリアン・ツェンツ上級研究員が今年6月、発表した報告書『不妊手術、IUD(子宮内避妊用具)、強制避妊――新疆ウイグル自治区における中国共産党のウイグル族出生率抑制キャンペーン』は世界を驚愕させた。もちろん中国共産党は「全くデタラメ」とこの報告書の内容を全面的に否定している。

・「一人っ子政策」で人口増を抑制してきた中国共産党は生産年齢人口を確保するため2016年に「二人っ子政策」に転換した。

・しかしツェンツ氏の報告書は、新疆ウイグル自治区で不妊手術などによりウイグル族の自然増を抑える一方で、漢民族の自然増と移住を促進する漢民族の“入植政策“の実態をあぶり出している。

・ウイグル族と漢民族の異民族間の結婚が奨励され、ウイグル族の文化とアイデンティティーを薄める「中華民族」への同化政策がとられている。

・政府文書は、出生抑制政策に違反した場合、強制収容所への超法規的収容によって罰することを義務付けていた。

 

(出産可能年齢の既婚女性の最大34%に不妊手術)

・昨年の文書は、新疆ウイグル自治区の2つの農村部での大量不妊手術計画を明らかにしていた。おそらく23人以上の子供を産んだ出産可能年齢の既婚女性をターゲットに不妊手術は行われ、その数は地域の出産可能年齢の既婚女性の1434%に達したという。

・新疆ウイグル自治区南部にある4つの行政区では少なくとも出産可能年齢の女性の80%に不妊手術かIUDを装着する計画が立てられた。18年に中国で女性に装着されたIUD(純増分)の80%が新疆ウイグル自治区(人口は中国全体の1.8%に過ぎない)に集中していた。

こうした結果、新疆ウイグル自治区における漢民族の人口増はウイグル族に比べ8倍も多くなっていたとツェンツ氏は指摘する。

 

(前例のない社会統制メカニズム)

・新疆ウイグル自治区の強制収容所は2016年に陳全国という男が同自治区の党委員会書記に任命されてから急速に拡大した。陳氏は2011年、胡錦濤国家主席(当時)にチベット自治区の党委書記に任命され、胡氏と同じようにチベット族の弾圧で頭角を現した。

・ツェンツ氏は「チベット自治区と新疆ウイグル自治区の共通項は陳氏が前例のない社会統制の手法と警察国家メカニズムを導入したことだ」と強調する。ウイグル族コミュニティーでは各戸に貧困対策を名目にQRコードを貼り付けた。

・スマホをかざすだけでその世帯に暮らす人々の個人情報にアクセスできる。また多くの“簡易“警察署を設けて地域の「グリッド管理」を行い、人工知能(AI)で漢民族とウイグル族を見分ける顔認識システムでウイグル族への監視を強化しているとされる。

 

(習主席は非常にスマートだ)

・中国共産党によるチベット自治区や新疆ウイグル自治区への統制強化はそれだけにとどまらない。中国共産党の貧困対策は社会統制を家族単位にまで拡大するトップダウンスキームで構成される。農村部の余剰労働者の可処分所得を増やす職業訓練と労働移動がその手段だ。

・チベット自治区では「怠惰な人を育てるのをやめよ」と宣言し、職業訓練プロセスの「厳格な軍事的管理」によるチベット族の「低い労働規律」の強化と「後ろ向き思考」の改革が進められる。中国語教育や法律教育もカリキュラムに組み込まれる。

・今年17月だけでチベット自治区の農村部で543千人の余剰労働者が訓練された。このうち約5万人がチベット自治区内の他地域に移され、約3100人が中国の他地域に送られた。職業訓練とは名ばかりの洗脳、愛国教育と言って差し支えない。

・中国の習近平国家主席は次世代情報技術や新エネルギー車など製造業の高度化を目指す産業政策「中国製造2025」を掲げる。貧困対策を錦の御旗にした職業訓練と労働移動のスキームはサプライチェーン拡充のため中国東部に広げられているとツェンツ氏は言う。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

この記事を以下に要約してみました。

・2020年、ウイグル族(イスラム教徒)のある地域では出生率の目標はほとんどゼロに設定されている。

・「共産主義の犠牲者祈念財団」のアドリアン・ツェンツ上級研究員が2020年6月、発表した報告書によれば、その手段は不妊手術、IUD(子宮内避妊用具)、強制避妊といいます。

・中国共産党は「全くデタラメ」とこの報告書の内容を全面的に否定している。

・しかしツェンツ氏の報告書は、ウイグル族の人口の自然増を抑える一方で、漢民族の自然増と移住を促進する漢民族の“入植政策“の実態をあぶり出している。

・ウイグル族と漢民族の異民族間の結婚が奨励され、ウイグル族の文化とアイデンティティーを薄める「中華民族」への同化政策がとられている。

・政府文書は、出生抑制政策に違反した場合、強制収容所への超法規的収容によって罰することを義務付けていた。

・習近平国家主席は次世代情報技術や新エネルギー車など製造業の高度化を目指す産業政策「中国製造2025」を掲げる。

・貧困対策を錦の御旗にした職業訓練と労働移動のスキームはサプライチェーン拡充のため中国東部に広げられているとツェンツ氏は言う。

 

要するに習近平国家主席はウイグル族の人口減少、「中華民族」への同化政策、そして「中国製造2025」の目標達成にウイグル族を活用しようという政策を進めているとツェンツさんの報告書は伝えているのです。

まさにツェンツさんも指摘されていつように、その是非はともかく習近平国家主席は非常にスマートな国家リーダーなのです。

 

こうした習近平国家主席の推し進める政策の基本的な考え方は中国共産党による世界規模での覇権主義の展開です。

そのためには中国の国内外を問わず、自由や人権の無視、あるいは事実を無視して中国共産党の正当性をあくまでも主張することをいとわないのです。

 

ということで、中国共産党の暴走を何としても食い止めなければならないのです。

その根拠は単に自由主義陣営国と基本的な考え方が異なるからということではありません。

個々の人間の自由や人権の保障は国連憲章などでも規定されているからです。

全ての国連加盟国は国連の規定を順守する義務を負わなければなりませんが、中国共産党は平然とこれら無視し続けて、暴走しているからなのです。(参照:No.4866 ちょっと一休み その759 『中国共産党の最大のウソとは?』

 

なお、少数民族に対する同化政策については、かつての日本のアイヌ民族、あるいはアメリカの原住民(インディアン)などに対する事例があります。

しかし、今やこうした同化政策は人権尊重の観点から否定されています。

問題は中国が現在もウイグル族への強引な同化政策を続けていることなのです。

しかも習近平国家主席の世界的な覇権主義の行きつく先は、世界各国に対する中国文化への同化政策さえ実施しかねない懸念があるのです。

 

さて、ツェンツさんの報告書は以下のようにも伝えています。

・悪名高きドナルド・トランプ米大統領だが、中国の暗部を真っ向から糾弾した数少ない西側指導者の1人だったことだけは確かだ。

・一方、バラク・オバマ前大統領時代の副大統領だった民主党大統領候補ジョー・バイデン前副大統領は2011年から1年半の間に、当時、副主席だった習氏と8回も会っている。中国の地方の学校でバスケットのシュートに興じ、通訳のみを介した食事は合わせて25時間以上に及んだ。

・私が懸念するのは、習主席は非常にスマートだということだ。バイデン氏は原則として人権問題に厳しい。しかし習主席は人権問題の争点化を巧みに避け、地球温暖化対策で譲歩してくるかもしれない。バイデン氏もトランプ氏以前の政権と同じ落とし穴にはまる恐れはある。

 

ということでバイデン大統領には、スマートな習近平国家主席の策略に引っかかることなく、自由主義陣営国のリーダーとしてしっかり対峙していただきたいと思います。


 
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2021年02月08日
アイデアよもやま話 No.4873 画期的な“消化するシート”!

昨年10月20日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“消化するシート”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

火災が発生すると消化してくれるシートがあります。

このシート、カリウムなど消火剤となる物質をシート状にしたものなのです。

炎で熱せられるなどして温度が300℃以上になると白い煙が発生します。

この煙が燃焼中の炎の酸素や水素と結びつくことで火を消します。

この商品を開発したヤマトプロテック株式会社 中央研究所の富山昇吾所長は次のようにおっしゃっています。

「消火器は誰かが(火を)見つけて、火のそばに行って消さなきゃいけない。」

「このシートはあらかじめ建築材とか壁とかそういったものに貼り付けておくだけで火が起きたら煙を出して自動的に消化する。」

 

この消火剤、もともとは天井に設置して使えるようにタブレット状のものを開発していました。

それを熱が早く伝わるように薄く伸ばして壁に貼れるシート状に加工したのです。

富山所長は次のようにおっしゃっています。

「(沖縄の)首里城の火災から1年になるんですが、ああいった文化財に水を直接かけるとダメにしてしまいますからね。」

「このシートから出る煙は建物、あるいは中にある宝物に対して非常に優しいと。」

 

このシートの商品名は「K/SMOKEパネル」で受注生産、そして価格は1屬△燭蠖万円ですが、今後広く導入されるようコストを下げる研究もしているそうです。

このシートにより一瞬で消化されるといいます。

またこのシートから出る煙は人体には全く影響ないといいます。

更にガソリンで引火した場合、消火器や水では消えず、燃え尽すまで消えないのですが、このシートでは一瞬で消えるといいます。

そして既存の壁紙の上に貼れるということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した消化シートの特徴を以下にまとめてみました。

・自動で消化してくれる

消化シートを建築材や壁などに貼り付けておくだけで、温度が300℃以上になると白い煙が発生し、この煙が燃焼中の炎の酸素や水素と結びつくことで一瞬のうちに消化する

・消化シートから出る煙は建物、あるいは中にある宝物に対して非常に優しい

・ガソリンで引火した場合でも消化シートでは一瞬で消化出来る

・消化シートは既存の壁紙の上にも貼れる

・消化シートから出る煙は人体には全く影響ない

 

こうしてみると、いかに消化シートが消火剤として優れているかが分かります。

ただ問題はその価格です。

現在は1屬△燭蠖万円といいますから、一般家庭での普及は望めません。

現在コストを下げる研究もしているといいますが、是非一般家庭でも購入出来るような価格の商品を提供していただきたいと思います。

もし低価格化が実現すれば、国内外を問わず大量の受注が見込まれることは間違いありません。

更に、この消化シートが世界的に普及すれば、世の中から火災の発生が飛躍的に減少しますから社会的な貢献度合いもとても大きいのです。


 
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2021年02月07日
No.4872 ちょっと一休み その760 『「中国の成功」が終わりに近づいている!?』

昨年11月2日(月)付けネット記事(こちらを参照)で「中国の成功」が終わりに近づいている理由について取り上げていたのでその一部をご紹介します。 

 

米中の対立が深まる中、世界情勢はどうなるのか。NHK「欲望の資本主義2020」での発言や著書『スクエア・アンド・タワー』が話題で、独自の視点から資本主義の歴史を俯瞰するニーアル・ファーガソンに、米中関係や中国情勢について展望を聞きました。

番組の未公開部分も多数収録した『欲望の資本主義4スティグリッツ×ファーガソン不確実性への挑戦』から、一部を抜粋した内容の更にその一部を以下にまとめました。

 

(米中関係、あるいは世界秩序について、近年の最も重要な変化について)

・「チャイメリカ」では、中国が貯蓄をし、アメリカが消費します。中国は輸出、アメリカは輸入です。そして、中国はアメリカに融資します。つまり、アメリカは経常収支の赤字を埋めるために中国から借金し、そのお金で中国から膨大な消費財を輸入するという構造になっていたのです。

・「チャイメリカ」は2007年時点の、世界経済の仕組みを説明したものでした。そして私は、そのような構造は持続不可能で、いずれ経済危機を引き起こしてしまうと主張しました。「チャイメリカ」はギリシャ神話の怪獣キメラのようなもので、実際には存在しない幻想だからです。そして、現実に、経済危機は翌年、2008年に起こりました。

・米中の関係は緊張し、相互批判が始まりました。その時になって初めて、アメリカは「チャイメリカ」はアメリカではなく中国を利していたことに気付いたのです。金融危機が起こった時、中国の成長率は10%で、アメリカの失業率は10%でした。

・アメリカは急成長する中国に追いつかれそうになっていることを理解しました。1980年代の中国の経済規模はアメリカの約10分の1に過ぎませんでした。それが、2014年には、米ドルベースのGDPでは半分ほどの規模ですが、購買力平価の基準では中国のGDPはアメリカを抜き世界1位となったのです。

・その事実はアメリカに警鐘を鳴らしました。2015年に大統領選挙への出馬を宣言したドナルド・トランプは、中国の知的財産侵害を強く非難し、中国からの輸入品に関税を課すと公約しました。

・私は、米中の貿易戦争の原因がトランプにあるとは思っていません。この貿易戦争は中国の不正行為に対するアメリカの報復であるという側面が大きいからです。中国は計り知れないほど世界中の企業や機関、個人の知的財産を侵害しています。それでも、トランプは抑制的でした。2017年の大統領就任後1年間は、貿易戦争を開始しませんでした。驚くべきことです。

・人々の予測より、米中の貿易戦争は長引いており、着地点を見いだせずにいます。私はこの戦争に当面、終わりはないと予想しています。両者の対立は貿易の枠を越えてしまっているからです。

・今や対立の焦点は技術をめぐる攻防に移りつつあります。ファーウェイ製のハードウェアを使って世界の5Gネットワークを中国が支配することを、アメリカはなんとしても阻止しようとしています。

・戦線は貿易から、投資や地政学、イデオロギーの領域へと広がっています。アメリカは技術などの戦略的な経済領域で中国からの投資を制限し、中国の南シナ海の制海権に異議を申し立て、香港政策を非難し、新疆ウイグル自治区での人権弾圧を批判しています。

・貿易戦争から技術戦争、そして冷戦へと戦線は拡大し、「チャイメリカ」は死に至り、第二の冷戦が始まったのです。

・勝者がどちらになるのか予測はつきません。アメリカが勝つとは限らないのです。中国経済はかつてのソ連を遥かに凌駕し、アメリカと比較した技術力も、当時のソ連より優れています。

 

(中国の成功は終わりに近づいている)

・21世紀初頭の経済学者の主要な関心の1つは「中国は成功できるか」ということでした。激しい競争と資本主義制度に基づいた比較的自由な市場と、政治的競争も説明責任も代議政治も真の法の支配もない一党独裁国家の組み合わせが成功できるのか─―。

・中国が成功すれば、私が信じている多くのことが間違っていたことになります。私は、啓蒙主義者の識見や、フリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンなどの広義の自由主義思想の継承者です。そして、世の中のオペレーティングシステムに必要なのは自由市場だけでなく、国家に管理されない市民社会と人と人がつながる生きた社会ネットワークだ─―と考えています。

・資本主義は民主主義と一体であり、市場経済があるのと同時に、選挙で選ばれる代議政治と法の支配があります。それらのどれかを切り離せるとは思えません。市場経済のみが存在して、民主主義が存在しなければ、最終的にはその経済は蝕まれるはずです。無責任な官僚制度による利益追求が始まり、腐敗が広がります。

・もし、中国が成功し、私が間違っていることが証明されれば、それは、アダム・スミスから、ハイエク、フリードマンに至るまでの多くの偉大な経済学者もまた間違っていたということになります。

・けれども、私は中国の経済的な成功は終わりに近づいていると見ています。人口統計学的要素や財政・金融上の逆風により、今後、中国経済は鈍化していくはずです。今後10年で成長率は半分ほどになると推測しています。

・中国はこの40年の間に歴史上最大のブルジョワジー(中産階級)を創り出しました。一方で、マルクス・レーニン主義者は健在です。大きな矛盾です。マルクスによれば、ブルジョワジーは敵で、革命で打倒すべき対象だからです。

・ブルジョワジーは民主主義に興味はありません。彼らの関心は財産権です。それを守るには法の支配が必要です。が、中国では財産権は保障されていません。市民は法で守られておらず、国家の気まぐれで人々の資産は簡単に取り上げられてしまいます。共産党に「お前は腐敗している。規則に違反した」と判断されたらゲーム・オーバーです。

・中国の中産階級は不安を感じ始めています。だからこそ、中国には資本規制があるのです。規制がなければ、中国の富の大部分は、法の支配と保護を求め国外へ流出してしまうからです。中国の富、つまり、中産階級の多くは国外への移住を望んでいます。移民を希望する中国人は多く、中国への移住を望む人は少ないという事実が、それを物語っています。

・私は昨年、アメリカの市民権を得ましたが、同じ日に、カリフォルニア州北部の町で新たにアメリカ市民となった人の出身国で、最も多かったのは間違いなく中国でした。これが、今中国で起こっていることの本質だと思います。

・中国の国家と中産階級の緊張関係は、経済の最もダイナミックな場所で顕在化しています。ハイテク産業の集積地深圳のIT企業の人々は頻繁にシリコンバレーとを行き来しています。アメリカのパスポートを持つ人も少なくありません。その彼らに、北京の共産党政府は懐疑的な目を向けています。

 

(今この国には三種類の中国がある)

・中国の友人は「今この国には三種類の中国がある」と私に言いました。「新・新中国」「新・旧中国」「旧・旧中国」の3つです。「新・新中国」とはテクノロジーの世界です。つまりテンセントやアリババです。「新・旧中国」は政党の世界です。そこには、共産党員が子供に経営を継がせる高収益の国有企業があります。そして、最後の「旧・旧中国」は北部の寂れた工業地帯にある採算性が低いままの国有企業です。

・これら3つの中国の間には対話も調和もありません。特にテクノロジーの「新・新中国」と共産党の「新・旧中国」の間には、「テクノロジー中国」と「政党中国」の間には、指摘したような緊張関係があります。

・中国政府が、その正当性の根拠としていた経済成長は、もはや維持できなくなりつつあります。共産党は別の根拠を探さなければなりません。その1つが毛沢東思想です。近年の習近平や共産党幹部の言説に、その復活が垣間見られます。

・私は、今後20年の間に、中国は何らかの形で政治的な危機を経験すると予想しています。私たちが間違っているのか、それとも、中国が失敗するのか─―その時、真実の瞬間が訪れます。賭けてもいいです。真実の瞬間に、アダム・スミスとフリードリッヒ・ハイエク、ミルトン・フリードマンが正しかったと証明されます。自由な社会がなければ自由経済は長く維持できません。

 

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

 

なお、昨年11月13日(金)付けネット記事(こちらを参照)で「テクノロジー中国」と「政党中国」の間の緊張関係の一例について取り上げていたので以下にその一部をご紹介します。

なお、日付は全て記事掲載時のものです。

 

・中国の電子決済サービス「アリペイ」運営のアント・グループが上海と香港の両証券取引所での新規上場を延期したことを巡り、中国の習近平国家主席が直接、上場中止を決めたことが11月12日、明らかになった。

・アントを傘下に持つ中国の電子商取引最大手アリババグループの創業者で、中国最大の資産家の馬雲氏が中国の金融当局を批判する発言をしたことが引き金となった。

・米紙ウォールストリート・ジャーナルは「資本と影響力を持つ大規模な民間企業に対し、習氏の許容度が低くなってきたことを示している」と指摘。習氏による支配と中国共産党の一派が求める安定性に対する挑戦とみなしたという。

・馬氏は10月24日に上海で開かれたイベントで講演。技術革新を通じ、中国の金融問題の解決を支援する考えを示し、政府による規制の厳格化が技術開発を抑えていると批判した。習氏は、これに関する報告書を読み激怒。当局にアントの上場を調査して中止させるよう命じた。

・アントは今月5日(昨年11月5日)に新規上場し、史上最高額の3兆6千億円相当を調達する見込みだったが、直前の2日に中国当局が馬氏らを呼び出し、新たな規制案を公表。アントは翌3日に上場延期となった。

 

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。


私は経済の専門家ではありませんが、経済に限らず、社会全体が発展するうえで最も大切なことは誰もが平等で自由にものを言えるような環境が保障されていることだと思います。
こうした環境が保障されていてこそ、経済、文化、芸術などあらゆる分野で、総体として最も発展出来ると期待出来るのです。
こうした前提で見ると、習近平国家主席の率いる中国共産党政権は、自由資本主義社会であろうと、共産主義社会であろうと関係なく、明らかに本来“あるべき社会”とは逆行した社会を目指していると言えます。
そして、その中国の本質は以前にもお伝えしたように、また今回ご紹介したネット記事からも伺えるように“中国共産党第一主義”なのです。
中国においては、個々の国民の自由や人権よりも中国共産党政権の維持、および更なる繁栄が重視されるのです。
しかも、習近平国家主席は様々な手段を用いて、覇権主義の国際展開を進める野望を持っています。
ですから、この野望が達成された暁には、こうした内容をブログに掲載している私なども罰せられることになるのは明らかです。

しかし、こうした中国の動きについて、独自の視点から資本主義の歴史を俯瞰するニーアル・ファーガソンさんは「中国の成功」が終わりに近づいていると予測されております。
個人的に私は習近平国家主席は戦略家としてはとても優れた政治家だと思っています。
しかし、とても残念なことにその目指す道は他の先進国とは相いれない共産党一党独裁という政治信条であり、今まさに国際的に孤立状態を深めつつあります。
ですから、このままの状況が進んでいくと、いずれかつての日本が国際連盟を脱退して国際的に孤立したのと同じ道を歩んでしまうと危惧されます。
その先には多くの自由主義陣営国との戦争勃発という大変な状況が待ち構えています。
そうなれば、中国も含めて世界中の多くの人たちを悲惨な状況に追い込んでしまいます。
自国民をこうした目に遭わせることについては、米中も含め、どこの国の指導者も望んでいないはずです。
ですから、習近平国家主席には是非ともその頭脳明晰な戦略力で本来“あるべき社会”に照らして、これまでの中国の政治、および社会のかたちを抜本的に見直して、国際社会から孤立せず、共存共栄出来るような方向に大転換を図っていただきたいと思います。


 
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2021年02月06日
プロジェクト管理と日常生活 No.679 『経済復活のカギは地方銀行再編!?』

昨年10月6日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で経済復活のカギについて取り上げていたのでご紹介します。

 

浅井将雄さんは運用資産3兆円の巨大ファンドを率いるキャブラ・インベストメント・マネジメントの共同経営者で、ロンドンの金融界の大物とされます。

世界的な投資家にちなんで、“和製ジョージ・ソロス”とも呼ばれます。

その浅井さんがテレビ東京のインタビューで日本経済の復活への処方箋を示しました。

カギは意外にも菅総理が進めようとしている地方銀行の再編です。

 

世界の金融センター、ロンドンの超一等地、ここに世界最大級の再建系ファンド、キャプラ・インベストメント・マネジメントの拠点があります。

このファンドを率いる浅井さんは今世界経済への危機感を強めています。

企業の負債が最大のリスクだと指摘します。

「(コロナ禍によって)世界的に中央銀行経由で末端企業まで貸し出されたデッド(借金)は必ずどこかで回収されなきゃいけなくて、年末(番組放送時)にかけて早くも企業の資金繰りがまたひっ迫してくる状況は十分に考えられる。」

「企業に対する融資がひっ迫してくると、将来的には早い段階で不良債権の増大が出て来て、金融機関が連鎖的に経営不振に陥るという状況が十分にあり得る。」

 

ただ日本経済には成長の余地があるといいます。

その起爆剤が地方銀行(地銀)の再編と外資といいます。

「もし外資が地銀の再編に参画して、ある地方にフランスやイギリスやスペイン、アメリカでもいいんですけど、そういう企業を呼び込むような起爆剤になれば、それはそれで正しい国際金融都市、また自由化のあり方になる起爆剤になるかなと思っていますので、1600兆円という個人金融資産をベースに十分な掘り起こせるアセット(資産)がある。」

「成長産業の側面を持ち得る可能性がある部分・・・」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

浅井さんの指摘されているように、コロナ禍で経営に瀕する企業が増え、それがきっかけでそうした企業に融資している金融機関の不良債権が膨らんで連鎖的に経営不振に陥る状況は金融恐慌につながりかねません。

そこで浅井さんは地銀の再編と外資を提案されているわけです。

勿論、政府によるコロナ禍での企業の倒産リスク対応策として企業への給付金、あるいは金融機関からの超低金利かつ無担保融資などでの支援をタイムリーに実施することは必要です。

その際、コロナ禍後を見据えた企業のデジタル化投資を支援することも必要だと思います。

企業の生産性向上に寄与し、更に国のデジタル化政策にも合致するからです。

 

このようにコロナ禍を契機に、持続可能な社会の実現、デジタル化、およびあらゆる面での新しい生活様式を見据えたうえで、政府がこれから日本が進むべき道を示し、大きな方向性のもとに国や地方自治体、あるいは企業などがまい進することが日本の将来にとってとても重要だと思います。

その際、浅井さんの提案もその中の選択肢の一つだと思うのです。

 

コロナ禍は今を生きている多くの人たちにとってはかつてない程の大規模な災難をもたらしていますが、だからこそ大規模な社会変革に取り組む絶好のチャンスでもあるのです。

特に日本にとってはデジタル化、すなわちDX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組むとても大きなきっかけになっています。

もしコロナ禍がなければ、相変わらず日本政府はデジタル化に向けて重い腰を挙げなかったからです。

ということで、菅政権には早急にデジタル化を推進し、給付金の支給などにスピーディに対応出来るようなシステムを構築していただきたいと思います。


 
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