2016年05月25日
アイデアよもやま話 No.3399 ”仕事がない世界”がやってくる その1 技術革新による格差拡大!

前回、斬新なアイデアをスピーディにサービス化し、市場を席巻する“アイデアエコノミー”と呼ばれる潮流が世界規模で進展していること、そしてその影響についてお伝えしました。

そうした中、3月15日(火)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)で”仕事がない世界”の到来について取り上げていました。

そこで、3回にわたってご紹介します。

1回目は、技術革新による格差拡大についてです。

 

人間が手を加えず、3Dプリンターが作り上げる自動車、手書きの文字を代筆してくれるロボット、私たちの仕事の半分が機械に置き換わるかもしれません。

更に、人間に代わってホームページをデザインする人工知能(AI)まで登場しています。

これまで人間にしか出来ないと思われてきた仕事も機械に置き換わろうとしています。

こうした状況について、ある未来学者は、5年後、10年後には自分の仕事がなくなることは当たり前になると予測しています。

こうした将来を見据えて、欧米では働かなくても収入を保障する制度まで検討されています。

番組では、“仕事のない世界”で私たちはどう生きていくのかを考えます。

 

生活の糧を得るために働く、このことが技術の進歩によって失われることに人々は常に不安を抱いてきました。

経済学者のケインズも1930年に技術革新がもたらす失業に警鐘を鳴らしています。

ただ、ケインズは仕事がなくなることについて、ユニークな見方をしています。

100年後、人類は歴史上初めて余暇をどう楽しむか悩むようになる、と著書「孫の世代の経済的可能性」(1930年)で予測していたのです。

 

AIにビッグデータ、ITにロボットなど急速な進歩によって10年から20年後世界中で大幅に雇用が失われていくという調査結果があります。

アメリカや日本では総労働人口のほぼ半数の雇用、製造現場に従事する労働者の多い中国やタイでは7割以上の雇用が失われるといいます。

 

アメリカの労働生産性と雇用数の1947年からの推移を見ると、2000年くらいまでは共に伸びてきました。

ところが、2000年以降、技術革新がもたらしてきた大幅な生産性向上によって人々の不安とは裏腹に、労働生産性は伸び続けますが、雇用の伸びは止まります。

生産性向上が経済を成長させ、また新たな産業が生まれ、雇用を増やすというこれまでのサイクルが変わり、今後は技術革新によって雇用が大幅に減っていくと見られているのです。

 

生活をしていくために働くということを前提にしている社会はどうなっていくのか、新たな社会制度はどうあるべきなのかの議論を始めている国もあります。

今、全米各地でタクシー会社の従業員によるデモが頻発しています。

IT技術を使った新たな輸送サービスが自分たちの仕事を奪っていると抗議しているのです。

ある二人のタクシー運転手は、それぞれ番組の中で次のようにおっしゃっています。

「収入は半分近くになってしまった。」

 

「タクシー業界はめちゃくちゃになってしまった。」

 

この元凶こそアイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!でお伝えした、アメリカのウーバー・テクノロジーズが提供している、スマホを使った新たな配車サービス、ウーバー(Uber)です。

IT技術を媒体に需要と供給を結びつけるサービスは、“オンデマンドエコノミー”(需要に応じたサービス)と呼ばれています。

料金はタクシーに比べて1割ほど安く設定されています。

サービスを運営する会社はその一部を手数料として受け取ります。

 

あるウーバーの利用客の女性は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「アプリで車をすぐに見つけられるから便利です。」

「料金も安いですしね。」

 

また、ウーバーに登録している運転手の一人は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「20分で14ドルの収入ですよ。」

 

車とスマホさえあれば始められるこの仕事ですが、保険やガソリンなどの経費は全て運転手の自己負担です。

 

サンフランシスコにある、この業界の最大手、ウーバー・テクノロジーズは創業わずか7年で企業価値は7兆円を超したと報じられています。

一方、サンフランシスコでは市内最大手のタクシー会社が破産申請する事態となりました。

運転手をはじめ事務職の職員など、およそ1200人の雇用が脅かされています。

 

急成長する“オンデマンドエコノミー”ですが、従来の企業のように安定した雇用を生み出していないという指摘もあります。

全米3都市で宅配サービスを展開する会社、Doormanで配達をするのは自家用車を持ち込む一般のドライバーです。

オフィスは一部屋のみで正社員はわずか12人、アプリのプログラマーやウェブのデザイナー、そして営業担当者だけです。

既存の業者のような車の配車係や経理、総務、そして整備などの社員はいません。

アプリを使うことで少ない要員で運営が可能となり、競争力につながっています。

DoormanのCEO、サンダー・アデルさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「重視しているのは、使いやすいソフトを作り、効率的なシステムを築き上げること。」

「爆発的な成長のカギはそこにあります。」

 

“オンデマンドエコノミー”で収入を得たことのある人は、全米で4500万人といい、その半数以上が18歳から34歳の若者といいます。

2年前に失業し、正社員の仕事を探している34歳の女性、イブ・ペーナさんは時給16ドルの買い物代行サービスが生活の支えです。

仕事は数時間しか見つからない日も少なくありません。

 

こうした“オンデマンドエコノミー”の仕事も近い将来、AIを使った自動運転などの新たなテクノロジーで置き換えられると専門家は予測しています。

シンギュラリティ大学のポール・サフォー教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「5年、10年後には自分の仕事がなくなることが当たり前になります。」

「爆発的な変化が続いていくでしょう。」

「今起きている革命の前では、企業のトップでさえ無関係ではいられないのです。」

 

企業は合理的な判断でコストを削減し、効率性をどんどん高めて利益を得るということをこれまでやってきましたが、これまでは生産性と同時に雇用の数も同じように上がってきました。

ところが、2000年あたりから様子が変わって来て、今後は雇用が大幅に減るのではないかと懸念されているのです。

こうした状況について、番組ゲストの千葉大学法政経学部教授の広井 良典さんは次のようにおっしゃっています。

「これまでは生産性が上がると確かに人手が少なくて済むようになるわけですから、その限りでは人手は余るわけですけども、その分新たな需要が発生して、そちらにまた労働力が移って全体として経済成長も並行して進んでいくある種の好循環があったわけですね。」

「ところが、今はこれだけモノが増える時代になって、人々の需要と言いますか消費もほとんど飽和してきているので、そういう中で生産性だけが上がっていくとその分人手が少なくていいということで労働力が余る、失業が生じる、加えてインターネットとかAIの技術が進んだことでそういう状況が非常に顕在化している、そういう時代状況だと思います。」

「(一方で、アメリカでは全く違うオンデマンドエコノミーが生まれていて、新たに起業した会社が急成長しているが、雇用の受け皿としては十分に吸収出来ないということになるのかという問いに対して、)確かにオンデマンドエコノミーは新しい可能性もあると思いますので、光と影といいますか、両面考えていく必要があると思いますけど、やはりそれほど新たな雇用を生み出すわけではない、むしろ生産性が上がって人手がいらなくなる部分の方が大きかったり、それから新たに生まれる雇用といってもかなり不安定であったり、いろんな保障という面でもかなり問題が大きいと思います。」

「(そうなっていくと一部の人が成功して高額の所得を得るということになるのかという問いに対して、)そうですね、結局生産性が上がって少ない労働力で生産が出来ると、少ない労働力に富が集中して多くの人が失業して、そこで結果として格差が広がっていくという状況がかなり進みつつあるというふうに言えると思います。」

「(ニーズのある仕事はどちらかというと低賃金の仕事が多くなる傾向なのかという問いに対して、)まさにそういう状況で、生産性の上昇が必ずしも全体の豊かさにつながらなくて、かえって格差とか低賃金を増やしている状況が今出て来ていると思います。」

 

プロジェクト管理と日常生活 No.437 『人類が直面しつつある究極のリスク』でもお伝えしましたが、今や技術革新が多くの人たちを豊かにするどころか、一部の人たちに仕事と富が集中し、その他の多くの人たちは雇用機会を奪われるという悲惨な状況を迎えつつあるのです。

一方で、冒頭でご紹介したように、経済学者のケインズは1930年に100年後の人類は歴史上初めて余暇をどう楽しむか悩むようになると予測されています。

1930年から100年後といえば、2030年で今から14年後です。

 

確かにこれまでは技術革新と共に既存の産業界の中での新規需要、あるいは新規産業の誕生により新たな雇用が創出され、より豊かな暮らしが実現されてきました。

しかし、明らかに状況はこれまでと変化しているのです。

ロボットやAIという今進みつつある技術革新があらゆる肉体労働、および頭脳労働の分野にわたって人に取って代わろうとしているのです。

どんなに技術革新が進んでも、あるいは新規産業が誕生してもこれまでのようには人の雇用の入り込む隙がほとんどなくなってしまうのです。

ですから、こうした状況に陥らなくするためには、今から14年後に実現するかどうかは別として、人類が余暇をどう楽しむか悩むようになる時代を迎えられるようにするためには人類共通の課題の解決が求められるのです。

その課題とは、これまでの資本主義から脱却した新たな経済の仕組みの構築です。


 
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2016年05月24日
アイデアよもやま話 No.3398 “アイデアエコノミー”が抱えるジレンマ!

5月11日(水)付けの日経BP社のネット記事で、アイデアエコノミーという耳慣れない言葉を目にしたのでご紹介します。

 

今や、電子部品のコモディティ(汎用品)化とモジュール(部品集約)化が進み、部材を購入し組み立てれば誰でもテレビ事業に参入出来るようになりました。

米国の液晶テレビメーカー、VIZIO(ビジオ)はその象徴といいます。

社内では商品企画だけを手掛け、電子部品は台湾や韓国から調達し、台湾企業に生産委託し、中国の工場で組み立て、米国で販売するのです。

これだけの業務をわずか100人ほどの社員でこなしています。

 

こうした事態は家電業界に限らず、斬新なアイデアをスピーディにサービス化し、市場を席巻するアイデアエコノミーと呼ばれる潮流が世界規模で進展しています。

前回もご紹介したタクシーを所有しない世界最大級のタクシー会社といわれるウーバーの台頭はその好例です。

 

要するに、これまでは素晴らしいアイデアがあっても、実用化には研究開発費、あるいは生産技術が高いハードルとなって断念せざるを得なかったのが、電子部品のコモディティ(汎用品)化とモジュール(部品集約)化、およびインターネット関連技術の活用により、誰でもアイデア次第で容易に新規参入出来る分野が増えてきた状況がアイデアエコノミーなのです。

 

一方、こうした経済を活性化させるインフラ、アイデアエコノミーにはリスクもあります。

実は、冒頭記事のタイトルに“アイデアエコノミーの恐怖”とあったように、既存の製造業やサービス業といった業界からすれば、従来に比べて圧倒的な低コストのアイデアエコノミーはまさに恐怖なのです。

同時に、これまでの業界の従業員の立場も危うくなります。

アイデアエコノミーは様々なテクノロジーを駆使することにより、結果的に徹底的な人手の削減をもたらすからです。

 

ですから、先進国の多くの企業にとって、アイデアエコノミーはまさに恐怖なのです。

しかし、一般消費者からすれば、アイデアエコノミーは低価格で提供してくれるのですから大歓迎です。

こうした状況の中で、従業員であると同時に消費者であるという一般の人たちは、低賃金、あるいは失業のリスクと低価格での商品やサービスの享受というジレンマを抱えてしまいます。

 

いずれにしても、アイデアエコノミーの流れを止めることは出来ません。

そして、これまで何度となくお伝えしてきたように、この流れはAI(人工知能)やロボット、あるいはIoT(Internet Of Things)と相まって今後ともどんどん加速していきます。

ですから、利便性を追求していくと同時に、何らかのかたちで雇用の確保を維持していかなければ、一部の人たちに安定した雇用が集中してしまい、格差社会は必然的に世界規模で増々広がってしまうのです。

 

これまでの歴史においても、産業革命のように新しい産業が誕生するたびに失業者が出てしまいました。

でも、そのたびに新しい産業による雇用創出でつじつま合わせ以上の雇用機会がもたらされ、その結果、多くの人たちが豊かな社会を享受出来てきました。

ところが、アイデアエコノミーの時代は、以下の点でこれまでとは大きく異なるのです。

・あまりにも変化が速すぎること

・雇用創出よりも失業者数の方が圧倒的に多いこと

 

ということで、アイデアエコノミーの時代は、一部のアイデア力のある人たち、あるいは産業界にとってはとても夢のある時代ですが、その他の多くの人たちにとっては仕事に就きにくい悪夢の時代になる可能性をはらんでいるのです。

そうならないためには、何らかの抜本的な対策が求められます。

有効な対策がなされなければ、いずれ格差社会の圧倒的に多くの弱者による反乱が起き、大きな社会不安をもたらすことは間違いありません。

いよいよ人類は、テクノロジーの進歩の極みにおける課題解決を迫られつつあるように思います。


 
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2016年05月23日
アイデアよもやま話 No.3397 ウーバーのライドシェアが過疎の町を救う!?

以前、アイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!アメリカのウーバー・テクノロジーズが提供している、スマホを使った新たな配車サービス、ウーバー(Uber)が急速に台頭していることをお伝えしました。

そうした中、3月15日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウーバーが過疎の町を救う可能性について取り上げていたのでご紹介します。

 

一般のドライバーがマイカーを使ってお客を運ぶライドシェアが世界中に広がっています。

その代表格とも言えるのが、アメリカ発祥のウーバーです。

ウーバーのライドシェアは世界各地のお客のニーズを集める一方で、タクシードライバーたちが仕事を奪われるとして抗議運動を起こしています。

日本ではこれまでライドシェアは認められてきませんでしたが、そこに変化が起き始めているようです。

 

京都の北に位置する京丹後市丹後町は人口5600人、65歳以上の高齢化率40%の過疎の町です。

この町に暮らす84歳の女性は、息子夫婦と同居していますが、昼間は一人でいることが多く、生活に苦労しているといいます。

電車は通ってなく、自宅から300m離れたバス停は坂の上なので交通の便が悪いというのです。

その上、バスは1時間以上の間隔での運行です。

かつて、町にあったタクシー会社は8年前に撤退しました。

なので、すぐにどこかに行きたくても我慢するしかないのです。

公共交通がほとんどないエリアは“交通空白地域”と呼ばれ、地方を中心に広がっています。

 

こうした町の状況を変えようと、立ち上がったのが地元のNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」に勤める東 和彦さんです。

東さんは、ボランティア10人ほどと共に1年半前からコミュニティバスを運行しています。

しかし、市が提供した車両は1台だけです。

また、「どこでも行けるようにして欲しい」という声が沢山出ていました。

そこで、新たな取り組みがスタートしました。

東さんに協力するのはウーバージャパンです。

ウーバーの持つシステムを使い、4月からライドシェアを展開する予定です。

実は、日本でも“交通空白地域”に限り、ライドシェアは認められているのです。

ウーバージャパンの高橋 正巳社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今後、日本でこういった展開が重要になってくるのではないかと感じて、弊社の仕組みが新しいかたちで活かせるところに非常に可能性を感じましたし、・・・」

 

ある日、ウーバーのアプリを高齢者が使えるかテストが行われました。

テストに参加した78歳の男性も2つのボタンだけの操作に納得されていたようです。

 

タブレットやスマホで依頼すれば、1番近くを走る車がやってくる仕組みです。

運転手の自家用車を使うため、NPOは車両を購入する必要がありません。

なので、料金はタクシーの半額程度に設定されています。

しかも、クレジット決済なのでその場で支払う必要がありません。

また、今回運転手として名乗りを上げたのは、地元住民19名、利用者が支払う料金の約7割が収入になります。

名乗りを上げた中の一人、町民の男性(65歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「基本的には無職、バイトは週3回、その合間を縫って何か出来れば、・・・」

 

また、別な町民の男性(43歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「新聞販売業をしているんです。」

「日中空白の時間がありますので、・・・」

 

ウーバーはこの町だけでなく、富山県南砺市などからも同様の依頼を受け、ライドシェアを広げようとしています。

こうした状況について、ウーバージャパンの高橋社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「それは我々としても非常にやりがいもありますし、今後いろんな展開が考えられる取り組みなので、どんどんチャレンジして取り組んでいきたいというふうに思っています。」

 

ウーバーが強気になる裏側には、安倍政権の後押しもありました。

3月11日、“交通空白地域”限定ですが、“訪日外国人向けライドシェア”のサービス解禁を認める方針が閣議決定されたのです。

ところが、それに対して猛反発しているのがタクシー業界です。

3月8日の反対集会、「全自交労連 ハイタク労働者総決起集会」にはおよそ2500人が集まりました。

全自交労連の伊藤 実中央執行委員長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「基本的に安倍政権はライドシェアを成長戦略として捉えているんですが、人命と成長を引き換える話じゃないと思うし、・・・」

 

「そこ(ライドシェア)にはアプリを提供するということでウーバーが介在しているわけですよ。」

「そうすると、いずれ外堀が埋まってくるんじゃないのかなと。」

「最終的には都市部に拡大していくっていうことを考えているでしょうし。」

 

労働組合は、タクシー用の免許を持たないドライバーが増えれば、事故が起きやすくなると主張しています。

また、丹後町のような“交通空白地域”のケースでもライドシェアには否定的です。

 

しかし、タクシー業界が一枚岩と言えない事実があります。

ウーバーは2014年、東京都内でスマホアプリを使った配車サービスを開始しました。

高級感のある車を格安で利用出来ると人気を集めています。

実は、こうしたサービスを支えているのが中小のタクシー会社なのです。

なぜ、批判の矛先であるウーバーと提携するのか、番組では提携企業の運転手に話を聴くことが出来ました。

「日本交通とか大和とか国際とかグループに所属すれば、それだけネームバリューでお客は乗ってくれるじゃないですか。」

「小さい会社は生き残っていくのが大変なんですよ。」

 

ウーバーを敵として見なし、ライドシェアの拡大を妨げたとしても、生き残っていくのは大手だけ、反対運動への見方は冷ややかです。

 

ライドシェアは近い将来、都市部まで広げる可能性があるのか、タクシー業界を所管する国土交通省・自動車局の坂井 英隆企画調整官は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「いわゆるライドシェアの提案というのは、何かあった時の責任は個々のドライバーの方が負うと。」

「安全安心の担保がなされてないので問題があると考えております。」

「全てが悪いと思っているわけではなくて、安全安心が確保されるかたちでサービスが提供される必要があるというふうに考えていると。」

 

ウーバーが展開するライドシェアは、事故などの責任をウーバーが取らず、ドライバーだけに背負わせるのが問題だと指摘します。

ただ、ウーバーの進出先は既に世界70ヵ国に広がり、日本人だけでなく、訪日外国人からも解禁を求める声が上がっています。

今後、ライドシェアはどこまで広がるのか、その行方が注目されます。

番組コメンテーターの、大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは、次のようにコメントされております。

「基本的な方向性は、やはり拡大していくべきである。」

「これは過疎地への対応だとか、観光立国という、そういう観点からは拡大する必要があるわけですが、他方で日本の特殊性というのを一定程度配慮しないといけない。」

「一つは、日本の場合にはタクシーの質が非常に高くて、非常に普及している。」

「最近の稼働率で見ても、実車率が5割を切っていると言われていますから供給過剰で車が余っているわけですよね。」

「ですから、そのあたりを考えると、まずは地方で段階的、試験的に規制の緩和をやるということですが、都市部については、ここは例えば安全に対する規制の強化、もしくは既存の業者との競争条件に対する配慮、こういうことを考えて、かなりゆっくりと規制緩和することが必要なんじゃないかと思います。」

「まずは、実験的にゆっくりと過疎地でやるということですね。」

 

実際に過疎地においては電車やバスの便はよくありません。

一方、料金の高いタクシーは敬遠されがちです。

そうした“交通空白地域”における移動手段としてライドシェアはとても理に適っていると思います。

というのは、料金が安く、運転手が地元の方々であれば、安心して利用することが出来るからです。

更に、地元の範囲であれば、カーナビに頼らなくても運転手は最適ルートで目的地まで運転していけます。

また、安全については、自動ブレーキの標準装備車限定というように安全装備を義務付ければこれまでに比べて格段に事故を起こすリスクが低くなります。

また、副次効果として、ささやかではではありますが、ライドシェアの運転手という新たな職業を地元にもたらします。

 

ただし、まだ地元でタクシーが稼働しているところについては、タクシー会社との料金面などでの調整が必要になります。

ですが、こうした課題はライドシェアの世界的な普及に伴い、徐々に解決されていくと思われます。

こうした課題の解決策のキーポイントは、お客様である乗客の満足度向上が第一だからです。

 

ということで、国が今進めている“交通空白地域”限定でのライドシェアの取り組みには基本的に大賛成です。


 
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2016年05月22日
No.3396 ちょっと一休み その543 『自分の持つ可能性より低いところで諦めるのは自分に不親切』

5月3日(火)放送の「BS1スペシャル」(NHKBS1)のテーマは「TOSHIKO〜スウィングする日本の心〜」で、今年デビュー70年を迎えるジャズピアニスト、秋吉 敏子さん(86歳)の波乱の人生について、この番組のために特別収録した演奏を交えながら伝えていました。

 

秋吉さんは26歳で渡米後、人種や女性差別を受けながらも、ジャズと和の要素を融合させ、独自のジャズを開拓されました。

そして、2007年には日本人としてただ一人アメリカジャズ界の最高峰「ジャズマスター」の称号を贈られ、今もニューヨークを舞台に現役で活躍されています。

こうしてこれまで紆余曲折を経て波乱の人生を歩まれてこられた秋吉さんは、番組の中でいくつか珠玉のようなお話をされていました。

 

そうした中で、今回特にご紹介したいのは次の言葉です。

「自分の可能性は分からないわけですから、自分の可能性がこれだけあるのに、ここ(その可能性よりも低い部分)でもって諦めて、これはやっぱり自分に不親切なんですよ。」

「だから、Be kind to yourself(自分の優しく)と向こう(アメリカ)で言うのは、自分の可能性を見ないといけない。」

「これが自分に対する義務でもあれば、自分に対する親切さ。」

「せっかくこれだけのものを持っているのに、不親切にもこの辺でよしちゃったっていう、これはやっぱり不親切。」

 

私は“自分の持つ可能性より低いところで諦めるのは自分に不親切”という言葉にとても衝撃を受けました。

この言葉は、人生を前向きに生きる上でのとても励みになる言葉だと思います。

 

私たちは一人一人持っている能力やその程度は異なります。

でも、私たちは一人一人生まれながらにして、自分の持つ可能性を最大限に発揮することを人生の目標として持っていると解釈することが出来ます。

そして、自分の持っている能力を最大限に発揮しないのは自分にとって不親切であるというのは、一人一人の“個”としての存在の尊厳につながるように思います。


 
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2016年05月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.437 『人類が直面しつつある究極のリスク』

2月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、2020年の世界経済の3大リスクについて取り上げていました。

そこで、番組を通して人類が直面しつつある究極のリスクについてお伝えします。

 

世界経済に対するリスクを分析する専門家が今から4年後、2020年のリスクを予想しました。

アメリカのシンクタンク、ユーラシアグループの代表、イアン・ブレマーさんは以下の3つのリスクを挙げています。

1.2020年までに中国が構造改革を速いスピードで実現出来るのか不透明

2.原油価格の低迷に伴う中東リスクの拡大

3.技術革新に伴う雇用を奪うリスク

   

中でも私が特に注目するのは、3つ目の技術革新に伴う雇用を奪うリスクについてです。

私は、これを人類が直面しつつある究極のリスクと捉えています。

その理由は、人類の持つ能力と技術の進歩との関連の変化にあります。

人類には、大きく分けて手足を上手に使う能力、および優れた知能という他の生物にはない並外れた能力が備わっています。

ところが、18世紀の産業革命以来、紡織機などの工場制機械工業の導入を皮切りに工場や家電などにおける様々な機械化の展開、また蒸気機関車、あるいは自動車、電車、大型の船、飛行機などの移動手段の発明、更にはコンピューターやの発明により、私たち人類の手足、あるいは知能の飛躍的な拡張を遂げつつあります。

これは何を意味しているでしょうか。

私たちが日々の暮らしの糧としているあらゆる仕事が人類が自ら発明した技術によっていよいよ取って代わられる時代を迎えつつあると私は思うのです。

 

ブレマーさんもAI(人工知能)や3Dプリンター、自動運転車などの技術革新は企業にはプラスであるものの、年収5千ドル〜1万ドル程度の水準の人々、世界的に見た場合の中間層の職を奪い、これが社会問題になりかねないと予想しています。

 

こうした状況下においては、大きく以下の2つの課題を解決する必要があると考えます。

1.技術の進展に伴う人類の創造力などの新たな能力の開発

2.仕事の有無に係わらない生活保障制度

 

こうした課題をクリアしないと、世界的な格差社会の進行を食い止めることは出来ないばかりか、精神的に豊かな暮らしも困難な時代を迎えることになってしまうのです。

 

なお、2020年の日本経済については、人口減少が続く日本は巨大経済を持ち合わせる中国をライバル視するのではなく、特定の分野に特化し、高い付加価値の創造を目指すシンガポール型の成長を目指すべきだとブレマーさんは主張しています。

しかし、こうしたことも今回ご紹介したような大きな時代の流れから見れば、過渡的な対応策に過ぎず、先ほどお伝えした2つの課題の解決が求められると思うのです。


 
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2016年05月20日
アイデアよもやま話 No.3395 仮想通貨が決済手段に!

3月17日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で決済手段として広がりつつある仮想通貨について取り上げていたのでご紹介します。

 

2年前、インターネット上の仮想通貨であるビットコインの取引所、マウントコックスが経営破綻し、この事件でビットコインのイメージは悪化しました。

ところが、政府は3月4日に仮想通貨を決済手段の一つに位置づけることを決めるなど、今再び注目を集めています。

 

三重県鈴鹿市のある主婦の方は、カナダに留学中の娘さんへの仕送りに最近仮想通貨のビットコインを使うようになりました。

娘さんの口座を示すQRコードをスマホの専用アプリに読み込み、送金額を入力して送金ボタンを押せば手続き完了です。

その3分後には娘さんから送金されたとスマホに連絡があります。

こちらの主婦がビットコインを使い始めたのは、送金手数料の安さからです。

これまで何千円だったのが何円になったくらい安いというのです。

以前使っていたゆうちょ銀行の送金手数料は、10万円の送金で2500円(受け取りは別料金)でしたが、ビットコインの送金手数料はアプリ会社などに払う6円だけで済むのです。

 

ビットコインの専用アプリ、coincheckを開発したレジュプレス株式会社(東京都渋谷区)創業時メンバーの大塚 雄介取締役は、ビットコイン最大の特徴のついて、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世界で海外に送金している方々にとっては非常に安くて簡単で便利に送れる方法。」

「より少額を早く送れるので、そこのところが非常に新しい市場が出来てくると思っています。」

 

では、なぜビットコインを使うと格安に送金が出来るのでしょうか。

従来の一般的な海外送金の場合、複数の金融機関を経由するため、送金額の数%も手数料がかかります。

一方、ビットコインの場合、暗号化されてインターネット経由で送られるために原則無料なのです。

 

ビットコインの普及を目指す大塚さんはある日、NPO法人、グッドネーバーズ・ジャパンを訪問しました。

その目的は、ビットコインでの寄付の紹介です。

スマホで該当のQRコードを読み取って、金額を入力して押すだけで寄付が出来るというのです。

ビットコイン・アプリ「coincheck」を使えば、送金手数料なしに手軽に少額の募金が出来るのです。

 

このNPO法人は、アジアやアフリカなどで12年前から貧しい子どもたちの支援を行っています。

また、東日本大震災の時には、被災地で活動しました。

広報部の飯島 史画さんは、ビットコインを使った募金には多くのメリットがあると感じており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海外の団体や個人の方から「寄付したい」と申し出がありまして、銀行振り込みの手数料だったりとかで難しい面もあったんですね。」

「(ビットコインには)ディメリットがないんじゃないかと思います。」

 

現在、ビットコイン売買サービス「coincheck」では、NPOなど8団体に対してビットコインで寄付が可能な仕組みを整えています。

ビットコインを使った寄付のかたちは広がっていて、ロシアに編入されたウクライナ、クリミア半島の人たちがQRコードを掲げて世界に支援を求めたこともありました。

 

ビットコインなどの仮想通貨はどこまで勢いを増すのか、こうした状況について、経済学者で早稲田大学ファイナンス総合研究所の野口 悠紀夫顧問は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「通貨を巡るこれまでの仕組みが仮想通貨の登場によって非常に大きく変わる可能性があります。」

「人々が銀行の送金システムを使わないで仮想通貨を使う可能性は十分に考えられますね。」

「ただし、銀行もそれを指をくわえて見ているわけではなくて、銀行自体が仮想通貨を導入しようということも既に計画が進んでいます。」

「銀行が自分で仮想通貨の仕組みを作って海外に送金する場合も使うでしょうし、国内での送金に使うことも考えられますね。」

「銀行が対応すれば、逆にこれまでの仮想通貨がつぶされる可能性もあるんですね。」

「どっちがどうなるか分からない。」

 

アメリカのシティバンクをはじめ、バークレイズやゴールドマンサックスなど、国際金融機関40行は2015年9月に仮想通貨の研究会を立ち上げました。

この研究会には日本のメガバンクも参加しています。

銀行は仮想通貨にどのように向き合っていくのか、全国銀行業界の佐藤 康博会長は、ある会合で次のようにおっしゃっています。

「仮想通貨ということそのものが悪ということではなくて、これは社会の利便性を上げるという意味で有用な面もありますし、具体的にどういうサービスが可能になってくるのかお話出来る状態ではないわけですけども、「決済」という観点から見ても十分利便性があるものにつながっていく可能性が見えてきていると。」

 

革命的とされる仮想通貨の技術を巡り、社会は既に大きく動き始めています。

 

なお、日本銀行(日銀)でも3月17日に黒田総裁が日銀内にフィンテックセンターという新組織を作ることを表明したといいます。

中央銀行が自らこうしたセンター作りに乗り出すというのはビットコインなど仮想通貨の存在感が増しているという背景があると見られています。

 

番組の最後に、仮想通貨の将来性について、番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸さんは、次のようにおっしゃっています。

「今は仮想通貨の残高は60億ドルまで増えていて、利用者は1200万人まで来ていると。」

「ですからかなりの勢いで今拡大しているんですね。」

「これからは3つの主体が入り乱れて戦国時代のような状況になってくる。」

「一つは新たな新興企業で、ここは送金手数料が安いということをてこにして市場を拡大していく。」

「他方で、既存の銀行などは送金手数料が高くて、そこがドル箱でしたから手をこまねいていてはいけないんで、そこに乗り込んで逆襲に出てる。」

「3つ目は、例えば中国だとかイギリス、カナダなどが、国だとか中央銀行とかそういう公的なところが乗り込んでいくと、この3つがこれから戦っていくかたちですね。」

 

「規制を強めると信用度は上がるわけですが、自由度は下がってしまう。」

「逆に、自由にすると信用度は落ちるわけですから、この信用度と自由度のトレードオフですね。」

「そのバランスが重要なると。」

 

以前にもお伝えしましたが、インターネットが日本で普及し始めた1990年頃、私はいずれインターネットを通してあらゆる情報が行き来する時代になると直感しました。

そして、その普及のスピードはどんどん加速しており、まさに“情報のビッグバン”が起きていると言えます。

そうした中の一つが仮想通貨であり、これはアイデアよもやま話 No.3379 フィンテック革命 その1 10年後には現金がなくなる!?でご紹介したフィンテック革命の一つの現象と言えます。

特に利用料金の安さから仮想通貨が決算手段として今後普及していくことは間違いありません。

同様に、今後はクレジットカードも仮想通貨に取って代わられる可能性を秘めています。

なぜならば、クレジットカード決済の登録企業は、クレジットカード会社に5%ほどの手数料を支払っているからです。

 

ということで、金融業全般がテクノロジーの進歩、およびその活用により大きな変革の時代を迎えているのです。

ですから、こうした状況の中で最もテクノロジーをうまく活用したビジネスモデルを生み出した企業が新たな業界リーダーとなり得る千載一遇のチャンスなのです。


 
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2016年05月19日
アイデアよもやま話 No.3394 中国で横行する“悪質な商標申請”!

日本企業の商品名などが中国で商標申請・登録されている状況については以前から問題視されてきました。

そうした中、3月17日(木)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で中国で横行する“悪質な商標申請”について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国で、日本の地名や人名、あるいは商品名などを商標申請して、日本の企業に対して商標を高く売って稼ごうとするブローカー、あるいはサイトが存在しているといいます。

例えば、以下のようなものが商標申請・登録されています。

・地名:京都(車の免許教習所)、浅草(筆記用具)

・人名:北島(水着。水泳用品)、錦織圭(スポーツ用品)、福原愛(かばん製品)

 

こうした状況により、以下のような弊害が考えられます。

・日本の企業が中国で自社の商品を販売する場合、日本での商品名が使えなくなる

・中国の企業が中国で悪質な商標登録された商標を使って商品を販売した場合、中国の消費者はこの商品が日本で販売されている本物と間違える可能性が出てくる

・一方で、日本で同じ商品名の商品を日本の企業が中国で販売する場合、悪質な商標登録された商標を使えず、別な商品名で販売すると偽物と疑われる可能性が出てくる

・人名の場合、本人のイメージが損なわれる

 

また、こうした商標権を取り戻す手段としては、以下の2つがあるといいます。

・中国当局に異議申請を申し立てる

・中国で申請あるいは登録された商標の権利を買い戻す

 

経済のグローバル化に伴い、今後ともどんどん各国間で商品やサービスの輸出が増えていく一方で、中国以外でもこうした悪質な商標申請が広がる可能性を秘めています。

そうした中で、こうした悪質な行為は経済のグローバル化の大きな弊害になります。

ですから、悪質な商標申請の防止策として、地名や人名、あるいは既にグルーバルに知名度が広まっている企業名や商品名などは原則として新たな商標登録の対象外とするなどの国際的な取り決めが早期に求められると思います。


 
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2016年05月18日
アイデアよもやま話 No.3393 “豊かな生活なき経済成長”をもたらす”副業のススメ”!

3月16日(水)放送のニュース(NHK総合テレビ)で会社員への”副業のススメ”について取り上げていたのでご紹介します。

 

安倍政権が次々と打ち出す働き方改革、今度は多くの企業で禁止されている社員の副業をもっと認めてはどうかという話が出てきました。

その第一の理由は、人手不足の解消といいます。

安倍政権は“一億総活躍”でGDP600兆円を目指していますが、そのためには働く人たちがもっと増える必要があるというのです。

そこで、意欲や余裕のある人には、本業の仕事が終わった後や週末などに副業などで更に活躍してもらうということなのです。

ところが、多くの企業は、社内規定である就業規則で社員の副業や兼業を禁止しています。

中小企業庁の調べでも副業を認めている企業は全体の3.8%程度しかありません。

ですから、本当に副業をし易くするためには、政府が企業に依頼して就業規則を見直してもらうようにする必要があります。

 

なぜ、安倍政権がこれほど社員の副業にこだわるのか、そこにはもう一つ重要な背景があるといいます。

それは、マイナンバー制度です。

このマイナンバーで会社に内緒で副業していることがバレ易くなると言われています。

民間の労務行政研究所の調べでも、マイナンバーで副業が発覚した時、会社はどう対応するのかというアンケートに対して、厳格に対処すると答えた企業が32%に達しています。

ということは、今後副業に対する処分を巡って法的なトラブルになる可能性が出てきます。

ですから、専門家の中には、マイナンバー制度を機に副業をもっと認めやすくしてはどうかという意見が出てきたのです。

 

ところが、ただでさえ労働時間の長い日本の職場で、副業はもっと忙しくなってしまいます。

複数の企業で働くようになると、その人トータルとしての働き過ぎや長時間労働をどうやって防ぐのか、また雇用保険などの社会保険も複数の会社で同時に働くということを想定していないので制度の見直しも必要になります。

 

安倍政権では、“一億総活躍”プランを今年5月にまとまりますが、その中でこのことを盛り込もうとしていますが、一番重要なのは企業がこのような話をいいことに、例えば給料は安いままだけどどんどん副業で稼いで下さいね、などとならないように、まず本業での賃上げをきちんと努力する、ここが先決だと竹田 忠NHK解説委員は提言されております。

 

マイナンバー制度との関連はともかく、経済成長のために“一億総活躍”プランを打ち出し、労働力不足を補うために副業を進めるという方針は時代に逆行しているように思えてなりません。

本来であれば、一人一人のより豊かな暮らしを実現させるために、インターネットやロボット、AI(人工知能)などのテクノロジーを駆使して長時間労働、あるいは働き過ぎの問題を解決し、ワークライフバランスをうまく調整させていく方向で対策を打ち出すべきだと思うのです。

経済成長は単なる手段であって目的ではないのです。

こうした最終ゴールが曖昧なままでの“副業のススメ”では、竹田さんも心配されているように、今の会社の給料は安いままで、副業で稼ぐような状態になっては増々長時間労働が増え、“豊かな生活なき経済成長”をもたらしてしまいます。


 
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2016年05月17日
アイデアよもやま話 No.3392 ”夢の新素材”グラフェンが生活を変える!?

3月14日(月)放送のニュース(NHK総合テレビ)で”夢の新素材”グラフェンを取り上げていたのでご紹介します。

 

ダイヤモンド並みの強度を持ちながら折り曲げることが出来る”夢の新素材”とも言われているグラフェンを使った製品が2月にスペインで開かれた世界最大のモバイル機器展、モバイルワールドコングレスでお披露目されました。

 

展示品の一つは、曲がるディスプレーです。

画面はガラスではなくプラスチック製で、通常シリコンと金属で作る半導体をグラフェンとプラスチックで代替しています。

この製品を展示していたウエアラブル端末に特化しているディスプレー会社では数年以内の実用化を目指しているといいます。

 

また、他に展示されていた、電気を通し易いグラフェンの性能を活かした充電器はスマホをわずか5分で充電出来るといいますが、課題は小型化です。

この製品を展示していたバッテリー会社では、家電製品のリチウムイオン電池を全てグラフェンにするのが目標といいます。

 

グラフェンの研究で6年前にノーベル物理学賞を受賞した研究者が在籍するイギリスのマンチェスター大学のグラフェン研究所では、通電性の高いグラフェンをインク状にして服に塗ったセンサーを開発しています。

このセンサーに指で触れると音声が出ます。

研究室では、グラフェンは既に実用化の段階に入っていると考えています。

また、この研究所のアラビンド・ビジャヤラガバン博士は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「スマホの全ての部品をグラフェンで改善出来ます。」

「グラフェンが理論上の素材ではなく、実際の製品として使われる日は近いです。」

 

グラフェンは炭素で出来た素材です。

極めて薄い素材でありながら、ダイヤモンド並みの強度があります。

折り曲げることが出来、熱に強く、電気も通し易いことから様々な分野に応用が期待されています。

なので、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めています。

グラフェンはモバイル以外にも、例えばがん細胞を探して動脈の中を移動するセンサーなど、医療分野でも応用が期待されています。

こうした実用化に向けては、製造コストの削減や性能を安定させての量産化が当面の課題といいます。

なお、市場規模は15年後には1000億円に拡大するとの見方もあります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、確かにグラフェンは私たちの生活をいろいろな面で改善してくれそうです。

私が特に実用化を期待しているのは、スマホ、およびEV(電気自動車)のバッテリー、および充電機器です。

番組で取り上げていたように、スマホをわずか5分で充電出来る充電器があればとても便利です。

また、EVの充電もガソリン車並みに短時間で充電出来るようになれば、普及の起爆剤になります。

そして、フル充電でのスマホの利用時間が長くなれば、毎日の充電から解放されます。

同様に、EVのバッテリーは現在リチウムイオンが主流ですが、グラフェンで代替出来るようになれば、軽量化、低価格化、およびフル充電での後続可能距離が伸びると期待出来ます。

ということで、関連メーカーには出来るだけ早く実用化していただきたいと思います。


 
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2016年05月16日
アイデアよもやま話 No.3391 医療を変える変幻自在の新素材!

3月13日(日)放送の「夢の扉」(TBSテレビ)で医療を変える変幻自在の新素材について取り上げていたのでご紹介します。

 

番組の冒頭で、ドライヤーで温めると締まっていくおもちゃの靴のひもが紹介されていました。

ひもの部分は熱に反応して縮む機能を持つ素材だったのです。

この性質が医療に役立つといいます。

手術の際、縫いづらい箇所に糸を通せば、温めるだけでしっかりと縫合してくれるのです。

こうした、外からの刺激で性質を変える機能を持ったプラスチックは“スマートポリマー”と呼ばれています。

この“スマートポリマー”を研究しているのが物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の主任研究員でプラスチック素材を研究している荏原 充宏さん(40歳)です。

 

“スマートポリマー”はプラスチックの一種で、分子レベルで様々な賢い機能を持たせることが出来る新素材です。

その機能は主に次の5つです。

・熱を加えると一気に縮み、再度広げることが出来る

・磁力を当てると熱を発し、その温度を自由に設定出来る

・バラバラに切っても完全に元の姿に戻すことが出来る

・決められた時間になると体内で自然に分解し、それらは尿となって体外に排出される

・狙った物質だけを選んで吸着させることが出来る

 

こうした賢い新素材、“スマートポリマー”に惚れ込んでいる荏原さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「世の中でいろんなことに役に立つんじゃないかなというふうに考えております。」

「特に、我々は医療に応用しようと思っております。」

 

荏原さんは、大学病院の心臓外科医と実用化に向けた共同研究を進めています。

荏原さんが新たに開発した、磁力を加えると変形するシートを小さく丸めて血管を通し、心臓に到達した時点で磁力を加えれば一気に広がり、患部を塞ぐことが出来ると期待しています。

実現出来れば、外科手術の必要がなくなります。

 

神経をつなぎ合わせる手術でも使えます。

縫合した場所を“スマートポリマー”で保護することで再生を早めます。

治った後は、溶けてなくなるため尿として体外に排出されるので安全です。

 

荏原さんは、実現出来るかどうかに関係なく、自分のイメージしたものをスケッチブックに描きだしています。

その理由は、人が想像出来ることは必ず実現出来るという信念を持っているからです。

 

ある日、荏原さんは開発中の“スマートポリマー”の実験を行っていました。

スケッチブックにも描いた“貼るがん治療”の実験です。

このシートの繊維は、分子レベルで抗がん剤と熱を発する成分が閉じ込められています。

このシートをがんの患部に直接貼り付け、外から磁力を加えると“スマートポリマー”は発熱し、抗がん剤を放出する仕組みです。

実際に抗がん剤を点滴で入れるよりも、直接患部に貼れるモノがあれば、局所での抗がん剤の濃度が上がることも期待出来るといいます。

 

実験に使うのは人の肺がんの細胞です。

シャーレの中には培養されたがん細胞がぎっしり入っています。

患部に貼り付けるように、その上に“スマートポリマー”を乗せ、白いコイルから磁力を発生させます。

がん細胞は熱に弱く、約43℃で死滅します。

更に、“スマートポリマー”からは抗がん剤も放出されます。

がん細胞を熱で殺す温熱療法と抗がん剤を使った化学療法、この2つの相乗効果を狙う新たながん治療法なのです。

通常どんどん増殖していくがん細胞ですが、磁力を加えて15分後にはシャーレの中のがん細胞の30%は死滅していました。

更に、磁力を加えて15分後から放置すると、24時間後には70%、そして4日後には90%のがん細胞が死滅していました。

もし将来、こうした“貼るがん治療”が実現すれば、患者は週に数回患部に磁力を加えるだけで抗がん剤治療が続けられます。

 

荏原さんが目指しているのは、患者の負担を今よりも減らす医療です。

荏原さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「都市部の大きな大学病院でないと受けられない先進医療が沢山ありますので、誰でもどこでもいつでも受けられる先進医療を実現することが夢だと思っております。」

 

“スマートポリマー”で開発中の新たな医療機器があるといいます。

それは、例のスケッチブックに描かれていた腕時計型透析装置です。

全国で30万人を超えるといわれている透析患者、腎臓機能が低下すると血液の中の毒素や余分な水分が取り除けなくなってしまいます。

そこで、腎臓の代わりとなる大掛かりな装置を使って行う治療が人工透析です。

人工透析では、およそ120リットルもの水を使い、一旦体外に出した血液から毒素などを取り除き、きれいにした血液を再び体内に戻します。

これを続けなければ、心不全、肺水腫、あるいは脳血管障害など、命にかかわる深刻な症状を引き起こしてしまいます。

ある人工透析の必要な患者さんは、1回の治療に4時間、それを週3回受けているといいます。

患者さんは治療の間の4時間、動けないのでトイレも我慢しなければならないといいます。

人工透析の治療には、多くの水や電気を必要とするだけでなく、日常生活も犠牲にしなければなりません、

そこで、荏原さんは“スマートポリマー”で、いつでもどこでも透析が出来る装置を目指しているのです。

 

そのきっかけとなったのは5年前の東日本大震災です。

多くの透析患者を抱える病院の電気や水の供給が滞り、更に追い打ちをかけるように福島第一原発事故も発生しました。

当時のニュースで報じられたのは、人工透析を受けるために福島県いわき市から東京や千葉県、新潟県など他県へと避難してきた多くの患者の姿でした。

透析難民となった659人の患者がバス29台で大移動、この様子をテレビで観ていた荏原さんは衝撃を受けました。

そして、水や電気などインフラがない場所でこそ“スマートポリマー”が活躍出来るのではないかと思いました。

そこで、思い描いたのが災害時でも使える腕時計型透析装置なのです。

 

東日本大震災から5年、スケッチブックに描いたモノが一つのかたちになりました。

それが実験用の小型透析装置です。

腕時計とまではいきませんが、それでもかなり小型です。

血液の通り道には“スマートポリマー”が設置してあります。

乾電池で動き、水を使用しない想定です。

透析患者から取り除く毒素の一つ、クレアチニンだけを選んで吸着させる機能を持たせました。

 

荏原さんたちは、動物実験で6時間血液を循環させ、クレアチニンを吸着する効果を確認し、実験は次のステップへと進むことになりました。

使うのは、透析患者から提供された貴重な血液です。

空気に触れた血液が固まらないように、血清を使うのです。

実験では、この血清を荏原さんが開発した小型の透析装置に流しました。

チューブに吸い上げられた血清が透析装置に向かって行き、“スマートポリマー”が毒素であるクレアチニンを吸着させ、透析装置を通り抜け戻った血清を何度も循環させたのです。

実験から1週間後、荏原さんの元に分析結果が届けられました。

患者の体内に溜まってしまう毒素、クレアチニン1日分の量を小型の透析装置は6時間の循環で除去することに成功したことが分かりました。

この実験により、少なくとも尿毒素を取ることに関しては、災害時にも使えることが分かったのです。

 

この結果に、東日本大震災の発生時に透析患者を輸送した常磐病院(福島県いわき市)の川口 洋名誉院長は、更なる期待を寄せて、次のようにおっしゃっています。

「クレアチニンだけでなくて、それ以外の(取り除く)物質がいっぱいありますので、多くのモノを吸着して、人間の体から出していく能力が加われば、更に良いものに出来るんじゃないかと思いますね。」

 

透析難民の姿を見て思い描いた腕時計型透析装置、荏原さんは遂にその試作機を作り上げました。

ある男性の透析患者(68歳)は、この試作機について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「こんな画期的なことはないんじゃない。」

「それがあれば、多分どこでも行けると思うから、それを持ってヨーロッパ一周したいな。」

「もう、もろ手を挙げて応援するね、頑張れって。」

「うれしい。」

 

この声を聴いた荏原さんは、番組の最後に次のようにおっしゃっています。

「僕ら研究者って常に直接患者さんと触れあっているわけではないので、実験を今日やっても明日やってもさほど、我々の仕事上は変わらないんですね。」

「しかし、やっぱりこれが実用化された未来に、その1日の差で亡くなる人ってすごく沢山いるわけです、現実的には。」

「ですので、そういったところを実際に現場のお医者さんのこういう話を聴くことによって、そういうところまで考えを巡らせながら実験を加速的に出来るかなというふうに思っています。」

 

 

今回ご紹介したように、変幻自在の新素材、“スマートポリマー”により多くの病気の治療が出来るようになれば、私たちは病気になっても入院したり手術を受けたりすることなく、簡単な治療で治せるようになります。

ですから、“スマートポリマー”はiPS細胞などによる再生医療と同様に医療革命をもたらすと大いに期待出来そうです。

 

荏原さんのおっしゃる、“人が想像出来ることは必ず実現出来る”は様々な発明を目指す人たちにとってとても心強くなる言葉だと思います。

これまで何度となくお伝えしてきている、“アイデアは存在し、見つけるものである”と合わせてアイデアをかたちにしようとしている方々にはネバーギブアップ精神で邁進していただきたいと思います。


 
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2016年05月15日
No.3390 ちょっと一休み その542 『日本の人口は2100年には半減!?』

ご存知のように日本における少子高齢化はどんどん進んでおります。

そこで、日本の人口は2100年にはどこまで減っているのかネット検索してみました。

その結果、国連予測(2015年)によると、2100年の日本の人口は8300万人、そして世界の人口は112億人です。

ですから、日本の人口は現在よりも3割ほど減少ということになります。

一方、内閣府による予測(2014年)では、2100年の日本の人口は6400万人で、現在よりもざっと半分に減少ということになります。

ですから、国連と内閣府の予測に違いはあるものの、2100年の日本の人口は今よりもかなり減っていると見込まれます。

一方、世界の人口は現在よりも1.5倍ほどに増えていると見込まれます。

また、世界の人口に占める日本の人口の割合は、現在の約1.4%から約0.7%に減少すると見込まれます。

 

これほど日本の人口が減ってしまうと、特に地方の中には過疎化どころか村や町そのものが消滅してしまうのではないかと危惧されます。

“国家100年の計”という言葉がありますが、これほど人口が減少するということは、日本国土の効率的な活用の抜本的な見直し、すなわち再構築が求められるのです。

その方向性の一つは、アイデアよもやま話 No.2969 少子化対策としてコンパクトシティ化はいいけれど・・・でもご紹介したコンパクトシティです。

その時に、考慮すべきは世界の人口は現在よりも1.5倍ほどに見込まれるということです。

食料やエネルギーなどの資源問題、および地球環境問題は世界の人口と連動して影響しますので、日本の人口が大幅に減るからといって安心してはいられません。

 

日本の人口は減少しても、世界的な視点に立って2100年を見据えて資源問題や地球環境問題に積極的に取り組むことがこうした先進技術のある日本に求められているのです。

また、日本において世界に先駆けて出来るだけ早期に“持続可能な社会”を実現させること、これこそが人類の存続にも貢献出来る“国家100年の計”と言えるのではないかと思います。


 
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2016年05月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.436 『ゴディバ、5年で売上高2倍の秘密』

2月16日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、5年で売上高を2倍にしたゴディバの秘密について取り上げていました。

そこで、番組を通してプロジェクト管理の観点からゴディバ躍進の秘密についてご紹介します。

 

ギフトに最適な高級チョコとして今まで以上に存在感を高めているのがベルギーのゴディバです。

日本での売り上げはここ5年で2倍以上になっています。

日本の店舗は、本国ベルギーと比べ商品内容が異なる部分も少なくないといいます。

また、宇治抹茶のクッキーのように、日本からヨーロッパやアメリカに発信している商品もあるといいます。

ゴディバ ジャパン躍進の注目を集めるジェローム・シュシャン社長は、このように就任以来クッキーやビスケットなど日本独自の商品開発に力を入れてきました。

もうとっくに過ぎてしまいましたが、今年のバレンタインデー限定で発売されたカップ型チョコレートも日本で開発されたもので、黒蜜を加えるなど、味にも特徴があります。

 

こうした取り組みにより、ゴディバ ジャパンの売り上げは、2010年の133億円から2015年には282億円と、5年間で倍増しました。

フランス人のシュシャン社長は、ラコステやモエ ヘネシー・ルイ・ヴィトンを経て、2010年から現職に就いた、まさにビジネスのプロです。

これまでのゴディバ ジャパンのイメージをガラリと変えたその手腕に今、世界中の注目が集まっています。

 

ゴディバ ジャパン躍進の影響は、本国にも及んでいます。

1926年開業の本店、ゴディバ・グランプラス店でも、今年のバレンタインデーには日本で独自開発されたカップ型チョコレートが並べられていました。

ベルギー以外で開発された商品が本店で発売されるのは珍しいといいます。

 

本国でも認められたゴディバ ジャパンの実力、そのキーマンはゴディバ ジャパンのショコラティエ、フランス人のヤニック・シュヴォローさんです。

数多くのショコラティエの中でも世界のトップ5に選ばれています。

シュヴォローさんは、2010年からゴディバ ジャパンの商品開発責任者に就任しました。

シュヴォローさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「日本人の味覚は、大変洗練されています。」

「日本での菓子作りに大きな可能性を感じています。」

「黒蜜やユズ、きな粉など、パティシエの創造力をかきたてる食材が日本には沢山あります。」

 

シュヴォローさんは、チョコレートをふんだんに使った日本独自のソフトクリーム(475円)を開発、それはその後世界中で販売され、大ヒットとなりました。

世界80ヵ国に展開するゴディバ、シュヴォローさんは日本から変革を起こしたいといいます。

 

実はシュシャン社長は、弓道歴30年以上で錬士五段の腕前です。

元々、来日したきっかけが弓道の精神に感銘を受けたからだといいます。

シュシャン社長は、弓道を経営に生かしていることについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

売り上げは目的ではなく結果である。

「ビジネスでも利益や売り上げ(の的に)当てたいですが、これに気を取られるとなかなか当たらない。」

「一つ一つの動作、姿勢を正しくすれば、必ず当たるという考え方です。」

正射必中という考え方があります。」

 

正しく射れば必ず中る(当る)シンプルですがビジネスの要諦を突いた奥の深い言葉だといいます。

ベルギー生まれの高級チョコレート、ゴディバ、日本を愛する二人のフランス人の手で更に生まれ変わろうとしています。

 

正射必中の環境を作るために、シュシャン社長は本部でも店舗でも働きやすい環境をまず作ったということで、社長室も本部に入ってすぐのところにあって、誰でもすぐにのぞけるようになっています。

そうした環境を作っていくと、スタッフの声がお客さんの声とイコールになってくる、そうすれば自ずとニーズがつかめるようになってくるというのです。

中てるのではなく中るのだというのはどの業界でも当てはまることだと、シュシャン社長を取材した番組のメーンキャスター、大江 麻理子さんは感想を述べられております。

 

正しく射れば必ず中るという言葉は、プロジェクト管理と日常生活 No.435 企業活動におけるプロセス管理の重要性!』でもお伝えした企業活動におけるプロセス管理の重要性につながります。

いかに高い売上目標を掲げようとも、その目標を達成するためにお客様の要求の把握、およびそれに応えられる製品、あるいはサービスの開発などの一連のプロセスが的確になされなければ目標達成はとても危ういのです。

何が何でも目標を達成させるというのではなく、こうしたプロセス管理がしっかり出来てこそ、目標は結果として後からついて来るのです。

 

そういう意味で、これまでお伝えしてきた、様々な不正事件を起こした企業はこうした考え方の反面教師と言えます。

適切なプロセス管理を踏み外した企業に明るい未来はないのです。


 
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2016年05月13日
アイデアよもやま話 No.3389 新たなリサイクル − 画期的なペット樹脂を分解する細菌!

3月11日(金)放送のニュース(NHK総合テレビ)でペット樹脂を分解する細菌について取り上げていたのでご紹介します。

 

ペットボトルなどの素材、ペット樹脂を分解することが出来る細菌を慶応大学などのグループが発見し、微生物の力を利用したエネルギー消費の少ない新たなリサイクル技術につながる可能性があるとして注目されています。

 

石油から作られるペット樹脂は、ペットボトルや衣類、容器などに幅広く利用されていますが、現在のリサイクル技術では大きな熱エネルギーが必要になることが課題になっています。

そうした中、慶応大学などのグループは、ペット樹脂を分解出来る微生物を探そうと、処分施設で土壌を採取し、そこに住み着いている細菌を詳しく調べました。

その結果、ペット樹脂を分解出来る細菌を発見し、この細菌がペット樹脂を分解するために作り出している酵素も取り出すことに成功しました。

ただ、酵素の力が弱いため、分解のスピードは遅いといいます。

そこで、グループでは今後酵素の力を高める研究を進めることで微生物の力を利用したエネルギー消費の少ない新たなリサイクル技術の開発につなげたいとしています。

 

私たちが日々の暮らしに必要な食料や衣類などの生活物資を生産するためには多くのエネルギーが使われています。

しかし、同時にこうした生活物資のリサイクルにも同様に多くのエネルギーが使われているのです。

ですから、生産技術と同様にリサイクル技術においても持続可能性が求められるのです。

そうした観点から見ると、今回ご紹介したペット樹脂を分解する細菌の発見は持続可能な社会に向けた大きな一歩といえます。

是非、出来るだけ早い実用化に向けて研究を進めていただきたいと思います。

それにして、リサイクルにもいろいろなアイデアがあることに感心させられます。


 
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2016年05月12日
アイデアよもやま話 No.3388 持ち運び出来る加湿器!

よく旅行先のホテルなどで、エアコンが効きすぎて空気が乾燥し、のどをやられて風邪をひいてしまうことがあります。

そうした中、3月8日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で持ち運び出来る加湿器を取り上げていたのでご紹介します。

 

どこでも気軽に持ち運び出来る、直径5センチほどのドーナツ型の加湿器が市販化されています。

使い方ですが、コップなどに水を入れて、その上に浮かべると加湿器になるという具合です。

中央の部分が超音波振動して水が霧状になって吹き出すのです。

1時間におよそ60ミリリットルの水で加湿してくれます。

軽くタッチして4時間のタイマーをセットすることも出来るといいます。

そして、運ぶためのケースが付いており、その蓋に水を入れて使うことも出来ます。

また、水のタンクやフィルターの手入れも不要といいます。

USBケーブルが付いていて、パソコンなどに差し込んで使うタイプです。

なお、この商品は韓国のデザイナーによるアイデアといいます。

ちなみに、この加湿器の商品名ですが、ネット検索したところ、「フォグリング ポータブルマルチ加湿器」で価格は3240円でした。

 

この商品、部屋全体を加湿するのが目的ではなく、口元や鼻の周りを潤してくれるということですが、旅行や出張などの際にバッグなどに入れておくと、のどを潤したり、風邪の予防に便利だと思います。


 
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2016年05月11日
アイデアよもやま話 No.3387 今は亡きhideについて その3 怪獣と言われたhide!

5月2日(月)放送のドキュメント番組、hide 50th anniversary FILM JUNK STORY」(WOWOWライブ 2015年制作)でhideの楽曲のみならず彼の人柄や生き方にも触れることが出来ました。

そこで、番組を通して3回にわたって今は亡きhideについてご紹介したいと思います。

3回目は、周りから怪獣と言われたhideについてです。

 

hideは、生前よく周りの人たちから怪獣と言われていたといいます。

それは、いつも突拍子もないアイデアで他のバンドメンバーを振り回していたからです。

また、より高い次元のサウンドを求めて、時には苦しみながらも容赦なくメンバーを取り換えていったといいます。

そこで、アイデアよもやま話 No.780 ちょっと一休み その103 『尾崎豊とチェ・ゲバラ - 二人の共通点』でお伝えした尾崎 豊とチェ・ゲバラを思い出しました。

この二人も生前、自分の生き方を貫くために生き急ぎ、周りの人たちを振り回していたのです。

 

よく“あの人は良い人”と言われますが、こうした人は周りの人たちとの間に出来るだけ波風が立たないように振る舞っています。

でも、周りから“良い人”と言われるような人は、自分が本来やりたいことを成し遂げようとしても、周りの人に迷惑がかかるような場合には、ついブレーキをかけてしまいがちになります。

ですから、“良い人”であり続けたいと思っている限りは、自分の夢を実現することはとても難しくなるのです。

 

ということで、この夢は絶対に実現したいと思う、そういう夢を幸いにも持てた場合には、才能の有無に係わらず想いを巡らし、時には非情な心で周りの迷惑も顧みず、全速力で暴れまわる怪獣のごとく夢に立ち向かっていくことが求められるのです。


 
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2016年05月10日
アイデアよもやま話 No.3386 今は亡きhideについて その2 松本 秀人によりプロデュースされたhide!

5月2日(月)放送のドキュメント番組、hide 50th anniversary FILM JUNK STORY」(WOWOWライブ 2015年制作)でhideの楽曲のみならず彼の人柄や生き方にも触れることが出来ました。

そこで、番組を通して3回にわたって今は亡きhideについてご紹介したいと思います。

2回目は、松本 秀人によりプロデュースされたhideについてです。

 

hideは、X JAPANのメンバーになる前の時期に次のように語っていたといいます。

「自分が嫌いなんで、今のhideを自分の中で作りだして、いかに自分がイメージしたようにかっこよくhideが振る舞えるかっていうことを気にしてんだよね。」

「松本 秀人(本名)」はhideが誰よりもかっこよくなるように必死でプロデュースするんだ。」

 

よく、芸能人は人前に出ている時とプライベートの時とでイメージが違うと言われますが、hideはまさに松本 秀人によってファンの前で最もかっこよくイメージされるようにプロデュースされていたということなのです。

 

こうしたことは一般の人たちについても言えると思います。

誰でも自分の中には、今の自分とこうありたい自分という二人が常に心の中に同居しています。

そして、“どうせ見るならより大きい夢を”といわれるように、その落差が大きいほど今の自分をより高める可能性を秘めているのです。

しかし、こうありたい自分により近づくためには沢山の努力が求められます。

努力というと、何となくきつくて辛いイメージがあります。

しかし、プロデュースというと、前向きな響きがあり、いろいろなアイデアが湧いてきそうな気分になれます。

 

ということで、今の自分からこうありたい自分に向かって、自らがプロデュースして最後までやり遂げるというような考え方、生き方をお勧めしたいと思います。


 
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2016年05月09日
アイデアよもやま話 No.3385 今は亡きhideについて その1 テクノロジーの進歩により幻の楽曲が完成!

1998年5月2日、33歳で急逝したロックアーティスト、X JAPANのギタリストとして日本のロック界を牽引したhideについては、以前アイデアよもやま話 No.3213 進化する3D映像!、およびNo.3228 ちょっと一休み その515 『DMM VR Theaterに行って来ました!』でご紹介しました。

私は、それまでhideについては名前くらいしか知りませんでした。

ところが、この時以来hideはロックス好きの私にとってとても気になる存在となりました。

その魅力は、hideの歌声を聴いていると、ワクワク、ドキドキするといったような、心を突き動かされる何とも心地よい気分にさせてくれるところです。

そうした中、5月2日(月)放送のドキュメント番組、hide 50th anniversary FILM JUNK STORY」(WOWOWライブ 2015年制作)でhideの楽曲のみならず彼の人柄や生き方にも触れることが出来ました。

そこで、番組を通して3回にわたって今は亡きhideについてご紹介したいと思います。

1回目は、テクノロジーの進歩による幻の楽曲の完成についてです。

 

番組では、hideの活動の歩みや生きざま、彼が残した影響を生前の映像やコメント、関係者らの新たな証言などでたどっていました。

ですから、hideの多くのファンの方々にとってこの番組は必見と言えます。

 

hide(本名:松本 秀人)は1964年12月13日、横須賀で生まれました。

そして、hideが亡くなってから18年が過ぎましたが、今でも墓前にはファンからの花がいつも咲き誇っているといいます。

驚くことに、hideの告別式には全国から5万人ものファンが足を運んだといいます。

それは戦後の日本において、参列者が一番多いと言われている葬儀でした。

葬儀が執り行われた築地本願寺、本堂の一部にhideへの想いが込められていました。

その声は今も世代を超えて、日本各地からだけではなく世界各国からも届いているといいます。

この事実は、いかにhideがミュージシャンとして卓越した存在であったかを物語っています。

 

さて、前置きが長くなりましたが、今回番組を通してご紹介したいのは、hide with Spread Beaver(X JAPANの解散後に結成)により2014年12月10日にリリースされた新曲「子 ギャル」の製作過程です。

「子 ギャル」は、本来、1998年11月に発売された3rdアルバム『Ja,Zoo』に収録される予定でした。

ところが、制作途中にhideは他界し、ラフなボーカルによるデモ音源しか存在しなかったため再現不可能と思われていた幻の楽曲です。

時を経て、YAMAHAが開発したボーカロイド・歌声合成技術を元に、hideの右腕的存在と言われてきたI.N.Aさんが残されたhideのボーカルトラックの中から1音1音の声を拾い、組み合わせていったのです。

それは困難かつ孤独な作業だったといいます。

こうして、「子 ギャル」は信じがたいほどの復元技術で完成にこぎ着けました。

 

試しにyoutubeで「子 ギャル」を聴いてみたら全く違和感を感じませんでした。

そこで思ったことがあります。

冒頭でご紹介した3Dテクノロジーとボーカロイド・歌声合成技術の組み合わせにより、亡くなられた多くの素晴らしいミュージシャンの歌声ばかりでなく映像を新しく作り出すことが出来るのです。

これは凄いことだと思います。

今後、新しく作られる楽曲をその時点で活躍されているミュージシャンだけでなく、既に亡くなられたミュージシャンでも音声と動画が残っていれば、時代を超えて、その時々のプロデューサーは、新曲と時代を超えたミュージシャンとの組み合わせによって最適な楽曲として完成させることが出来るようになるのです。

更に、その先には、アンドロイドとボーカロイドが一体化したロボットが登場することにより、極限の魅力、楽しさが追求される時代を迎えることになるのではと期待出来るのです。


 
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2016年05月08日
No.3384 ちょっと一休み その541 『運動で疲労回復!?』

3月8日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“鬼トレ”を取り上げていたのでご紹介します。

 

今、 “鬼トレ”、すなわちタフでハードなトレーニングがビジネスマンを中心に人気を集めています。

仕事帰りにこうした“鬼トレ”を日課にしている愛好者は、熟睡出来るので疲れが取れると感じています。

運動をするのは疲れを取るため、欧米では一般的なこの考え方が今日本でも広がりつつあります。

 

果たして本当に疲れは取れるのでしょうか。

番組では、筑波大学・筑波キャンパス(茨城県つくば市)でスポーツと脳の研究をしている専門家に検証を依頼しました。

まず、採用試験を想定した模擬面接でストレスをかけて脳の疲労状態を作りました。

次に10分ほどの軽い運動をします。

その結果を脳の変化を数値化したグラフで見ると、ストレスをかけると脳の機能は低下しますが、運動をすると疲労前以上に回復していることが分かります。

つまり、疲労度が改善されたのです。

筑波大学体育系 運動生化学の征矢 英昭教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「軽い運動で気分が良くなることによって、認知的、精神的な疲労が改善されたのが分かった。」

「例えば、ビジネスマンなどが皇居の周りを走っていますよね。」

「あの人たちは走ることによって気分が前向きになって、仕事の作業効率が上がることを実感しているんだと思います。」

 

一見、仕事や勉強などで脳が疲れている状態で運動すると更に疲労度が増すと思われがちですが、専門家による検証実験では、疲労度が改善されるということが実証されたのです。

やはり、仕事や勉強を何時間も根詰めて続けた後には運動などで気分転換を図ることが理にかなっているのです。


 
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2016年05月07日
プロジェクト管理と日常生活 No.435 『 企業活動におけるプロセス管理の重要性!』

最近、従業員が過酷な労働環境のもとで働かされるブラック企業という言葉を耳にするようになってきました。

そうした中、2月2日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の特別企画、「カイシャの鑑」でブラック企業とは真逆な企業について取り上げていました。

そこで、番組を通して企業活動におけるプロセス管理の重要性についてお伝えします。

 

空前の人手不足の中、躍進を遂げている企業があります。

「3K」と呼ばれる職場で、入社志望者が殺到しているのは、株式会社真田ジャパン(栃木県那須塩原市)です。

ちなみに、「3K」とは「 きつい (Kitsui) 」、「汚い (Kitanai) 」、「危険 (Kiken) 」を意味しています。

真田ジャパンは、ゴミの収集の他、一般廃棄物と産業廃棄物を扱う、従業員60人ほどで、作業員の制服は黄色のシャツに蝶ネクタイという異色の企業です。

そこには、五月女 明社長の強い想いが込められており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(ゴミ収集は、)3K、今は5Kなんて言われるんです。」

「市民の皆さんの視点を変えていきたい、変えてもらいたいと。」

「我々の仕事は、「暗い」、「汚い」、それを逆転の発想で、汚れたらすぐ仕事中でも着替えるという、それがですね、働く皆さんの意識高揚につながっていくと。」

 

制服は、クリーニングしたものを毎日会社が支給、ゴミ収集だからこそ綺麗な服を着て気持ちよく働ける環境が大切だというのです。

更に、予約なしで来てもらいたい、本当の姿を見てもらいたいと、産廃施設を常に公開しています。

この施設が出来てから、売り上げは1.7倍に増加、顧客の信頼を勝ち得ています。

 

独自の制度は社員の家族にもあります。

真田ジャパンは、課長職以上の社員には、家族にもボーナスを支給しています。

更に、勤続10年の社員には、家族全員に海外旅行をプレゼントしています。

こうした配慮が3Kとも呼ばれる仕事に対する家族の理解や安心感を生んでいます。

 

家族まで含めた働きやすい環境づくりは思わぬ効果を生んでいます。

家族、2代、3代で働く従業員も少なくないといいます。

募集をかけていないにも係らず、入社希望者が絶えません。

この3ヵ月で5人が入社したいと言ってきています。

 

こうした真田ジャパンの思い切った取り組み、その背景にはある出来事がありました。

五月女社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(社員の)お孫さんが町でおじちゃんの姿を見たと。」

「そうしましたら、家に帰ったら、「おじいちゃん、あの仕事辞めて欲しい」と言われたと。」

「私はその時にハンマーで頭を打たれた思いをしましたね。」

「もの凄い衝撃でした。」

「これほど家庭の皆さんは悩むんだ、辛い思いをしているんだと。」

 

この出来事をきっかけに、五月女社長は一連の改革に乗り出したのです。

その結果、ゴミ収集車を毎日40分ほどかけて掃除をし、ピッカピカで、臭いにおいも全くしないようになりました。

 

番組では、こうした真田ジャパンの取り組みを「逆3K」戦略として、次のように分析しています。

3K  ⇒ 真田ジャパン 

汚い    「きれいな」制服、収集車

きつい   「気持ちよく」働ける環境

危険    「家族」も安心

 

しかも、真田ジャパンは営業職を全く置いていない会社でもあります。

それでも、仕事の依頼がどんどんやってきます。

 

「ご家庭なんでも応援隊」は、家庭のちょっとした困りごとを引き受ける便利屋のような存在です。

この事業でも、「きれい」には徹底的にこだわっています。

応援隊のスタッフは、家に上がる前に新品の靴下に履き替えます。

ゴミ収集をする中で、雑務を頼まれることが重なり、事業化を決めたのです。

3年前から全国展開を始め、昨年11月、東京に進出しました。

でも営業職はゼロといいます。

それでもなぜ事業が拡大出来るのか、それについて五月女社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私は、一切「儲けろ」と言いません。」

「お客さんに「喜んでもらってこい」、「感動してもらってこい」と。」

「すると、向こう(お客さん)に真っ直ぐに一生懸命やってくれて、「社長、仕事終わりました」と言って帰ってくる。」

 

営業職を置かなくても、街中で黄色のシャツに蝶ネクタイという目立つ制服で一生懸命仕事をしている従業員の姿そのものが宣伝になっているというわけです。

ちなみに、「ご家庭なんでも応援隊」の利用料金は基本料金4200円+アルファです。

番組で紹介されたお宅の例では、ベッドの組み立てと家具の移動で総額2万円ほどといいます。

決して安くはありませんので、スタッフに対する信頼感の高さが利用料金に反映されていると思われます。

なお、全国の同業者が真田ジャパンを見学に訪れているといいます。

 

こうした真田ジャパンの取り組みについて、番組コメンテーターで、日本総研の高橋 進理事長は、次のようにおっしゃっています。

「そもそも40分かけて車を磨くって、余分な仕事をさせられているわけじゃないですか、従業員の方は。」

「だから、仕事は決して楽ではない。」

「なのに、なぜ(従業員の)満足感が高い?」

「その満足感がお客さんに伝わって、お客さんの満足感にもつながっているわけですよね。」

「で、廃棄物処理業者っていうと、どっちかというと車両だとか、設備、そういったハードで勝負するイメージじゃないですか。」

「ところが、この会社はハードで勝負してないですよ。」

「ソフト、特に人への投資のところで企業価値を汲んで、それで勝負してるわけですよね。」

「で、そういう観点に立つと、私はもう、最近、例の廃棄物処理業者、いろいろ問題になっていますけども、その対極にある。」

「これ大企業が学べることが2つある。」

「一つは、人への投資をちゃんとやるっていうのは大企業もそうですね。」

「それから、もう一つは、短期的な利益を追求しないで顧客のためにやっていれば、いずれ長期的な利益が付いてくる。」

「今の大企業って、割かし短期志向なんですよ。」

「むしろ、長期の視点に立って利益をどう上げるかってことをもっと大企業にやって欲しい。」

「そういう意味で二つこの企業から学べる点があるなと思います。」

 

なお、五月女社長は、社員のことを「社員さん」と呼んでおり、毎朝、一番早く会社に来て、社員一人一人に握手して出迎えているといいます。

 

さて、ここまで番組の内容についてご紹介してきました。

ここからは、真田ジャパンの取り組みについて、プロセス管理の観点から見ていきます。

そもそも“企業は人なり”と言われているように、企業が存続していくうえで、従業員は最も大切な存在です。

ですから、どんな企業においても従業員が最大限に満足出来るような状態で働けることが求められます。

また、お客様からは、自社が提供する商品やサービスに対して最大限の満足を得ていただくことが求められます。

こうした観点から、真田ジャパンの以下の取り組みは的を射ていると思います。

・従業員に対する「逆3K」戦略

・短期的な利益を追求しない顧客満足の追求

 

こうした取り組みこそ、まさにビジネスにおけるプロセス管理のあるべき姿だと思います。

いくら高い売上目標を掲げても、それを達成するためのプロセスが確立されていなければ目標達成は危ういのです。

売上目標を掲げることよりも、従業員がやる気を持って活動出来るような環境を作り、お客様に喜んでいただくことに従業員も喜びも見出すような仕組み作りこそが全ての企業に求められるのです。

そして、その具体策はそれぞれの企業によって異なります。

そこにこそ、企業独自の最も適したアイデアが求められるのです。


 
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2016年05月06日
アイデアよもやま話 No.3383 AIが運転手!?

前回は、タクシー業界の革命児とも言える、スマホを使った新たな配車サービスのウーバーについてご紹介しました。

ところが、更にその先を行くサービスの萌芽とも言える自動運転車を巡るルール作りが進められています。

 

これまでAI(人工知能)による自動運転車の事故責任はどこにあるかという問題に、世界的に関心が寄せられていました。

そうした中、2月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でAIが運転手であるという見解を伝えていたのでご紹介します。

 

アメリカ運輸省の道路交通安全局がグーグルの自動運転車に搭載されるAIを運転手と見なすのが妥当と見解を示したことが分かりました。

これにより交通事故の責任の所在など法的な問題があるものの、人が運転しない自動車でも公道を走行出来る可能性が出てきました。

今回のアメリカ当局の見解は、今後の自動運転車をめぐるルール作りにも影響を与えそうです。

 

考えてみれば、既に都内の交通機関「ゆりかもめ」などは運転手が運転席におらず、AIによる自動運転で走行されています。

ですから、事故時の責任は明らかにAIです。

しかし、クルマの自動運転車は通行人などのいる一般道を走行するので、安全対策は格段に厳しいレベルが求められます。

それでも、アメリカ当局がAIを運転手と見なす見解を出したということは、グーグルの自動運転車に搭載されているAIがそれだけ進歩していることを示しています。

 

ということで、今回のアメリカ当局による見解は、自動運転車普及のための大きな一歩になると思います。

そして、この見解をもとにAIによる自動運転技術は更なる進化を遂げ、私たちのクルマ生活は一変することになりそうです。

その一環として、ウーバーの弱点とも言える運転手の道路網に関する不十分な知識もロンドンタクシーの運転手と同等、あるいはそれ以上の知識をAIが備えることによりどんな状況下になっても目的地までの最適な道順を案内してくれるようになります。

また、ウーバーの運転手は人ですが、これもAIによる自動運転タクシーに取って代わられるようになります。

ですから、“AIが運転手”というキーワードにより、ウーバーによる新たなタクシーサービスもAIによる自動運転タクシーへと転換されるようになるはずです。

また、AIによる自動運転車がタクシー業界でも解禁になると、多くの企業がITやAIの活用により、タクシー業界への参入が容易になります。

ですから、競争原理が働き、運転手不要による人件費の削減と相まってタクシー運賃は大幅に安くなることが期待出来ます。

こうした動きは止められませんから、一気に自動運転車が普及していけば、タクシー業界のみならず輸送業界全体への影響は計り知れません。


 
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2016年05月05日
アイデアよもやま話 No.3382 ウーバーによるタクシー革命!

2月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でウーバーによるタクシー革命を取り上げていたのでご紹介します。

 

今、世界のタクシー産業が大きな転換点を迎えています。

アメリカのウーバー・テクノロジーズが提供している、スマホを使った新たな配車サービス、ウーバー(Uber)が急速に台頭したことで、世界のタクシーがお客を奪われつつあるというのです。

300年以上の歴史のある、世界最高のタクシーとも言われているイギリスのロンドンタクシーもこのウーバーと激突しています。

 

2月10日、ロンドンは異様な空気に包まれていました。

道路を完全に封鎖していたのは、黒い車体が特徴のロンドンタクシーです。

タクシーの運転手たちは、ウーバーによって自分たちの仕事がなくなってしまうと抗議していたのです。

 

ウーバーは、スマホのアプリで自分の位置を知らせると、登録ドライバーが自家用車などで迎えに来て目的地まで送り届けてくれるサービスです。

現在、世界の約60ヵ国・地域の300都市以上に普及し、利用者は800万人以上、そして1日の利用者数は100万人に上っています。

ロンドンでも運賃はタクシーより4割ほど安く、利用者が急増しているのです。

ある若い女性の利用者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ウーバーの方が安いから、ロンドンタクシーはもう使わない。」

 

また、スマホがあれば、簡単な手続きで一般の人もウーバーの運転手になれるのです。

ある運転手は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「1週間で約10万円(600ポンド)は稼ぐよ。」

 

ウーバーでお金を稼ぐ人がいる一方で、ロンドンタクシーの運転手の収入は、3割から4割も減ったといいます。

ロンドンタクシーの運転手になって22年になるコートニー・コンネルさん(56歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロンドンを知り尽くした俺たちがウーバーに負けるのは納得いかない。」

「カーナビに頼るウーバーには抜け道は分からない。」

「そこが我々プロとは違う。」

 

ロンドンタクシーの運転手たちはロンドンの道を全部暗記しているのです。

ロンドンタクシーの運転手になるためのタクシー運転手養成学校では、2万5000以上の通りや数千の建物の名前を全て記憶し、特別な試験に合格しなければならないのです。

試験では、地図を一切見ずに目的地までの最短ルートを答えられるかが問われます。

更に、ロンドンタクシーの運転手は渋滞の時間帯や抜け道にも精通していないといけません。

しかし、ウーバーが登場して以降、運転手になるための学校も生徒数も減っています。

 

利用する側のロンドン市民の一人は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ロンドンタクシーの運転手の知識はすごい。」

「しかし、安さに比べれば価値があるとは思わない。」

 

長年、運転手の圧倒的な知識を武器に世界一と言われてきたロンドンタクシーも、スマホと新しいテクノロジーには勝てないようです。

 

まさにタクシー革命を起こしつつあるウーバーですが、未だ上場している会社ではありません、

しかし、その企業価値は7兆円とも言われています。

 

ウーバーは、今後とも順調に普及していくのかについて、番組コメンテーターのクレディ・スイス証券のチーフ・マーケット・ストラテジスト、市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「ベースの部分は安全と安心だと思うんですね。」

「それはやはり国によっても規制があると思いますので、これを曲げることは出来ないと思うんですけども、ただそれを前提としたうえでの競争ということであれば、それはユーザーがどちらを選ぶかということだと思いますね。」

「(具体的にどういう競争になるかについて、)価格と利便性、そこにユーザーがどういう付加価値を見出すかですよね。」

「(都市による規制のあり方について、)ロンドンは特殊な街ですよね。」

「もともとが国王のいる街で、それを守るために道も非常に複雑に作ってありますし、自分が今どこにいるか分からない。」

「でもタクシーに乗ると、非常にスムーズに、渋滞も多いですけども先まで運んでくれるっていう、そういうところでの競争ということになってくるでしょうね。」

「(競争条件がそろっていないのではという問いに対して、)それは安心と安全というところですね。」

「ここが最低限、公共交通機関ですから、日本でもそうだと思うんですけども、それについては何らかの規制が必要ですし、条件をそろえる必要があると思うんですね。」

「日本の場合は、まさにそこのところが非常に重要なポイントだと思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、あらためてウーバーの配車サービスとタクシーの違いについて考えてみたいと思います。

既に、タクシー業界でもスマホを使った配車サービスが実施されていますが、両者には主に以下のような違いがあると思います。

・運転手の立場

タクシー運転手はタクシー会社の従業員ですが、ウーバーの運転手はウーバーに登録された一般のドライバーであること

・安心・安全への取り組み

利用者が最も気になる安心・安全に関する研修では、タクシー会社であれば、対面による研修制度がありますが、ウーバーでは対面での研修がないので不安を感じること

・運賃

ロンドンの例では、ウーバーの運賃はタクシーより4割ほど安いということ

・便利さ

  タクシーはタクシー乗り場や移動中のタクシーを呼び途止めて乗車しますが、ウーバーはスマホで自分の指定した時間、場所から乗車出来ること

  タクシーの運賃は現金、あるいはクレジットカードで支払いますが、ウーバーでは常にあらかじめ登録したクレジットカードから支払われるので現金やクレジットカードの持ち歩きが不要であること

 

今回ご紹介したウーバーによるタクシー・サービスですが、ネット検索したら日本でも既に解禁されていることが分かりました。

ただし、今のところ利用地域は都内の一部の地域のみでの試験運用ですが、今後徐々に全国展開していくようです。

 

いずれにしても、ウーバーのようなサービスが今後とも世界的に普及するカギは、以下の3つだと思います。

・低運賃

・安全・安心

・利用のし易さ

 

一方、テクノロジーを駆使することによって、これまで不可能と思われていたサービスがどんどん実現されつつあるというのが現状です。

ですから、ウーバーのようなサービスがいずれタクシー業界の主流になっていく可能性は大いにありそうです。


 
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2016年05月04日
アイデアよもやま話 No.3381 フィンテック革命 その3 アメリカで急拡大するフィンテック!

最近、フィンテック革命という耳慣れない言葉を耳にするようになりました。

そこで、この「フィンテック革命」について3回にわたってご紹介します。

3回目は、アメリカで急拡大するフィンテックについてです。

 

2月8日(月)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)のテーマは「ITが変える“お金の未来” 〜フィンテック革命の衝撃〜」でした。

そこで、番組を通してアメリカで急拡大するフィンテックについて以下にお伝えします。

 

金融サービスの新たな可能性を切り開くフィンテック、急拡大しているのがアメリカです。

きっかけは8年前のリーマンショック、経営が悪化した大手金融機関が貸し渋り、低所得者や中小企業が融資を受けにくくなりました。

これをチャンスと捉えたIT企業が新たな発想で融資などの金融サービスに乗り出したのです。

そのアイデアとは、資金を借りたい人と貸したい人をネット上で仲介する仕組みです。

Funding Circle(会社名も同様)というサイトで、借りたい金額の他、事業内容、売り上げなど、必要な情報を入力し、融資を申請します。

すると、銀行より金利は高いものの約3000万円の融資を受けることが出来たのです。

この会社では、融資の申し込みを受けると、その経営状態を審査し、5段階で格付け、金利は格付けに応じて約5%〜22%に設定します。

資金を貸したい人は、この格付けをホームページで確認し、共感出来る企業に融資します。

リスクはありますが、高い利回りも期待出来ます。

既にこのサイトを通じた融資は1800億円以上に上ります。

 

世界で3億人以上が利用するツイッターの創業者、ジャック・ドーシーさんもフィンテックの可能性にいち早く気づき、リーマンショックの翌年に新たな会社、スクエアを起こしました。

ドーシーさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「金融サービスの分野では、我々の目の前に広大な“空き地”が広がっているのです。」

 

まず手掛けたのは、独自の決済システムです。

ある小型機器をスマホやタブレット端末に取り付けるだけで、クレジットカードが利用出来ます。

どこでもカードが使えるため、小さな店からも人気を集め、およそ200万の事業者が利用しています。

 

実は、この新たな会社、スクエアは、このシステムを通じて業者の決済のデータも集めています。

これらのデータを活用し、企業への融資まで始めています。

スクエアは事業者の売り上げを日々分析しています。

そして、事業者が資金を欲しがりそうなタイミングで自動的に判定、融資可能な金額と金利をはじき出し、持ち掛けるのです。

スクエアから融資を受けたあるコーヒーショップでは、ある日およそ400万円の融資が可能であるという知らせが突然届きました。

ちょうどコーヒー豆の焙煎器を購入しようか迷っていたところでした。

この店では即座に融資を申し込み、翌日にはおよそ400万円が振り込まれ、焙煎器を購入出来ました。

このコーヒーショップの経営者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「資金が早く手に入れば入るほど、ビジネスは成功します。」

 

また、ドーシーさんは、次のようにおっしゃっています。

「これまで銀行が手の届いていなかった人々に融資を実行することが出来るようになりました。」

 

急拡大するフィンテック、その可能性を評価する金融当局もフィンテックが銀行の経営に打撃を与え、金融システムを揺るがさないか警戒しています。

サンフランシスコ連邦準備銀行のマーク・ゴールド副総裁は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「現在、我々が目にしている技術革新の中には金融のあり方を破壊しかねないものもあります。」

「何が起きているかを監視し、長期的にどんな影響があるのか考えていかなければなりません。」

 

一方、これまでにない付加価値を提供出来るフィンテックの課題について、番組コメンテーターの日本総合研究所の副理事長、そして金融庁のフィンテックの検討会メンバーでもある翁 百合さんは、次のように指摘されております。

・もう少し時間が経たないと、フィンテックでどのくらいの不良債権が発生するか分からないこと

・個人情報などのセキュリティ管理のレベルアップ

・認証技術の更なる進化

・既存の金融システム破壊リスクへの対応

 

アメリカを先頭にフィンテック革命は否応なく進んでいきますが、まだ具体的にどのようなかたちに落ち付いて行くか専門家にも分からないようです。

ですから、しばらくの間はいろいろなアイデアが試行錯誤でかたちになっていくと思われます。

しかし、いずれにしても私たちユーザーにとってこれまでに比べてメリットのある方向で動いていくことは間違いなさそうです。

同時に、フィンテック革命に伴うリスクにも十分に注意を払うことが求められると思います。


 
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2016年05月03日
アイデアよもやま話 No.3380 フィンテック革命 その2 大手銀行の取り組み!

最近、フィンテック革命という耳慣れない言葉を耳にするようになりました。

そこで、この「フィンテック革命」について3回にわたってご紹介します。

2回目は、大手銀行の取り組みについてです。

 

2月8日(月)放送の「クローズアップ現代」(NHK総合テレビ)のテーマは「ITが変える“お金の未来” 〜フィンテック革命の衝撃〜」でした。

そこで、番組を通して大手銀行の取り組みについて以下にお伝えします。

 

これまで送金や決済、融資といった金融サービスを提供出来るのは、豊富な資金とシステムを持つ大手金融機関に限られてきましたが、今フィンテックと呼ばれるITを使った技術革新が大手金融機関が独占してきたサービスに次々と風穴を開けています。

 

ロボ・アドバイザーという資産運用のサービスも生まれています。

およそ6000銘柄の金融商品の値動きをAI(人工知能)が常にチェック、お客のニーズに合わせて自動的に銘柄を組み合わせて投資してくれます。

これまで資産運用サービスは主に銀行や証券会社の専門の社員が担ってきました。

これをAIで行うとチェック出来る銘柄数が格段に増えます。

人件費を抑えられるため、手数料はその分安く設定出来ます。

主に富裕層が利用していた資産運用のサービスを誰にでも格安で提供します。

 

こうした動きに対して、日本の銀行もフィンテックの新たな動きに対応を迫られています。

これまで銀行がIT企業に出資したり、買収することについては厳しく法律で規制されてきました。

しかし、金融庁も時代の変化に合わせて、規制緩和をし、新たなサービスの取り組みを促す方向に政策を転換しようとしています。

 

フィンテックを取り込まないと生き残れない状況下、大手銀行の一つ、りそなホールディングスでは、フィンテックをどう活用して事業を展開していくか、具体的なプラン作りを始めています。

今取り組んでいるのは顧客のニーズを先取りして融資などを提案していくサービスです。

そのために必要になるのがビッグデータです。

去年11月、カード会社と提携してネット通販のサイトを立ち上げ、顧客のデータを集め始めました。

この銀行の口座を持つ人がサイトを経由して買い物をすると、銀行からポイントが得られます。

銀行には、その人がいつ何を買ったのか情報が入ります。

このデータを分析して、結婚や出産といった転機を捉え、必要なタイミングで先回りしてローンなどを提案します。

 

一方、支店のあり方を抜本的に見直そうとしています。

ある支店では、最先端の認証技術を活用して口座開設などの手続きを簡略化しました。

事務作業にあたる人を減らし、その分ローンや資産運用の相談といった体面サービスにあたる人員を千人増やすことにしています。

 

東 和浩社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「新しいフィンテックの企業には、全く違う消費者側からの目線も入っていますし、銀行というビジネスモデルをひょっとすると捨てていかなければいけない・・・」

「重要な仕事というのは、フェイス・トゥ・フェイスのコンサルティング(相談)の部分だと思います。」

「勿論、フィンテックで技術競争をやっていくのはこれから避けて通れることではないですけれども、技術だけの部分ではなくていかにお客様の求めるものがどう違うかっていうのを今見つけなくてはいけない時代に来ているというふうに思いますね。」

 

翁さんは、日本の銀行のこうした動きについて次のようにおっしゃっています。

「(開発スピードが速いフィンテックに日本の銀行が勝てるかという問いに対して、)日本の銀行はやはり日本の銀行だけではないですが、銀行業というのは装置産業で、人も沢山雇っていますので、今の非常にインターネットを活用して、身軽なかたちで次々と起業しているベンチャー企業に比べるとコストの面で相当違いがあります。」

「そういう意味では、そういった特定の分野での勝負というと、特徴を出しているIT企業には勝てない部分がかなりあると思います。」

「今までは、規制でそういったIT企業に出資するとか出来ませんでしたので、どうしても自前主義でやらざるを得なかったということなんですね。」

「ですから、こういったITの流れに乗っていくためには、そういった新しいIT企業なんかとオープンなかたちで組んでイノベーションを起こしていくということが非常に課題になってきていると思います。」

「(その方向に金融庁も規制を緩和するということを打ち出していることについて、)そうですね。」

「同時に、先ほどフェイス・トゥ・フェイスっていうご紹介がありましたが、やはり金融業らしい、銀行業らしいサービスは何なのかということを、フィンテックへの対応も非常に重要なんですが、銀行ならではのサービスっていうのは何なのか、利用者の目線に立ってどういったサービスが出来るのかっていうことを本格的に考えなければいけないということではないかと思います。」

「(AIがいろんな分析が出来たり、アドバイスが出来るようになると、行員の再教育、人材育成が増々大事になってくるのではという問いに対して、)その通りだと思います。」

「やはり、人材をどうやって育成していくか、特にいろいろな専門性のある人材をいかに育てていくかということが重要になってくると思います。」

「銀行によっては、この分野を強化したい、例えば企業に対するサービスを強化したいというのであれば、事業の目利きとか、どういうアドバイスが出来るかというような人材を育成していくことが大事だと思いますし、例えば資産運用のアドバイスであれば、そういったことに対して非常に知識のある人材を育てていくといったようなかたちで、専門性のある人材を育てていくことが非常に重要になってくると思います。」

「(特に、銀行にとってマイナス金利という新しい局面で、積極的な貸出先を見つけることが求められている中で、本当にお金を借りたい人、今まで融資に無縁だった人たちとか融資してもらえなかったところ、だけど可能性のあるところをどうやって確実に見つけていくのかが問われることについて、)そうだと思います。」

「特に地域なんかでは、地方創生ということが課題になっていまして、やはり金融機関がそこの企業や自治体や大学などと組んで新しい産業をどう生み出していくか、そういったところに積極的に支援をしていくというようなことも求められると思いますし、やはり小さな企業であってもどうやって支援していくのかということも重要だと思います。」

「(私たち利用者として、フィンテックの動きをどう捉えたらいいのかという問いに対して、)自分に合った金融商品の提案など付加価値の高いサービスをフィンテックは与えてくれるものでありますので、安全性とかセキュリティなどに信頼が得られれば、私たちの暮らしを非常に豊かにしてくれる可能性を秘めた動きではあると思います。」

「(しかし、私たちにも金融機関やフィンテックに対するリテラシー(知識や利用能力)が問われるのではないかということに対して、)そうだと思います。」

「また、銀行のサービス向上も促されると、また競争が促されて、より良い金融システムになっていくのではないかと思います。」

 

金融とITが融合したフィンテック革命により、これまでの金融を取り巻く環境が一変し、大手銀行と言えどもこの時代の流れにうまく乗っていかないと生き残りが難しい時を迎えているのです。

また、こうしたITの進歩の速さを考えると、大手銀行と言えども安泰としていられない厳しい時代に入ったという認識が必要だと思います。


 
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2016年05月02日
アイデアよもやま話 No.3379 フィンテック革命 その1 10年後には現金がなくなる!?

最近、フィンテック革命という耳慣れない言葉を耳にするようになりました。

そこで、この「フィンテック革命」について3回にわたってご紹介します。

1回目は、10年後には現金がなくなるという驚くべき予測についてです。

 

2月13日(土)放送の「マネーの羅針盤」(テレビ東京)のタイトルは「フィンテック革命で変わる“お金のカタチ”」でしたので以下にご紹介します。

 

1月20〜23日に開催されたダボス会議で、ドイツ銀行CEOのジョン・クライアンさんが衝撃的な発言をされました。

10年後には現金は存在しないだろう。

 

確かに、今やプリペイドカードやお財布携帯など、現金はどんどん不要になってきています。

実は、これらを可能にした技術がフィンテック(Fintech)なのです。

フィンテックとは、金融(Finance)にIT技術(Information Technology)を融合し、そこに新しい価値を見出していこうとするものです。

 

その動きは更に加速しています。

銀行などの金融機関を介さずにIT企業を介して、個人間で送金したり、個人間での融資も活発に行われています。

また、仮想通貨も現実になっています。

金融業界に進出するITベンチャー企業、株式会社メタップスCEOの佐藤 航陽さんは、その未来像について、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「どの会社も何かしら金融業をやっていて、何かしらインターネットサービスをやっている状態が20年後ぐらいには訪れるだろうなと。」

「なので、IT業界も金融業界も私は無くなると思っていますね。」

 

一方、メガバンクはこうした動きについて危機感を持っています。

三菱東京UFJ銀行デジタルイノベーション推進部の藤井 達人さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「技術の進展自体がドッグイヤーと言われるスピードで進化していまして、金融機関といえどもなかなか競争力を保つことは出来ない世界になっている。」

 

フィンテックを使った最先端のサービスは意外な場所で活躍しています。

茨城県土浦市にある久松農園では、年間50品目以上の有機野菜を栽培しており、契約した消費者と飲食店に野菜を直接販売しています。

多くの顧客と直接取引する業態だからこそ、問題になったのが決済です。

例えば、これまでは200万円のカード決済があった場合、およそ5%、つまり10万円の決済手数料をクレジットカード会社に支払うため手元には190万円しか残りませんでした。

そんな時に出会ったのが株式会社メタップスが運営する「SPIKE」という決済サービスです。

「SPIKE」を使った決済サービスでは月々8000円の決済手数料だけで課金、決済の両方が行われ、200万円の売り上げなら手元には199万2000円が残ります。

しかも、この決済サービスは、月額100万円までなら決済手数料が無料、発生するカード会社への手数料は「SPIKE」が負担しているといいます。

 

株式会社メタップスがこうした決済サービスにこだわる理由は、こうしたサービスの先に狙いがあります。

株式会社メタップスは、決済サービスだけでなく、SPIKEコインというプリペイド型の仮想通貨を発行、保有しているだけで年間1%のポイントが付きます。

更に、そのコインを使ってSPIKEでのショッピングサイトでの買い物でもポイントが加算されます。

その狙いは、独自の経済圏を作ることです。

CEOの佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「極力、自分たちの経済圏からお金が逃げないようにどう作るかということ次第かなと思っていて、実際に楽天さんとかは10年前ぐらいから同じような取り組みをしてますし。」

 

SPIKEや楽天などの企業が目指す経済圏とは、以下の通りです。

まず、自社が運営するショッピングモールでの買い物に対して、仮想コインでポイントを加算し、次の買い物を促します。

更に、送金や融資などもそのコインで出来、個人の経済活動のほとんどが特定のコインで完結してしまいます。

このように顧客を囲い込むのが狙いなのです。

今、その経済圏をめぐり、世界中で熾烈な競争が始まっているのです。

CEOの佐藤さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「国家というものが通貨をコントロールして経済をコントロールする時代から企業がそこに参戦してきて、どちらの経済システムがユーザーや消費者にとっていいものなのかをちゃんと選べるようになってきていると。」

 

こうした動きの中、コンサルタント会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーは次のような予測をしています。

フィンテックは今後10年間で銀行の売上を40%減らし、利益は60%減らすというのです。(2015年9月 グローバルバンキング・アニュアルレビューより)

 

では、大手銀行はこうした動きにどう対応するのでしょうか。

三菱東京UFJ銀行デジタルイノベーション推進部の藤井さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「何か付加価値を付け加えたサービスをご提供していく必要があると考えております。」

「例えば、送金であれば送金に伴う何らかの補償のような機構を一緒に付けると。」

「自分たちの金融サービスを高度化していく、非常にチャンスだと捉えています。」

 

東京大学大学院教授の柳川 規之さんはこうした動きのポイントについて、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ポイントは「革命前夜」です。」

「これからは銀行とか証券というものが、実は言葉としては無くなってしまって、IT業界と垣根がなくなったり、あるいは現金だとか銀行預金を支払いに使っていたのが、そういうものが一切使われないで決済が出来てしまうような世界が起こるような革命が起きるかも知れない。」

「ただ、今我々が利用者として見ているのは、それより随分手前な世界なんで革命前夜、大きな変化が起きるけれども予兆が起きているという。」

「将来的には仮想通貨というものがかなり使われるようになって、モノの支払いだとか預金だとかいろいろなかたちで使われるようになるんですけど、実はこういう動きは既に起こっていて、Tポイントとかポイントというものがあるんですけど、最近は使い勝手が良くなっていて、いろいろなコンビニだとか喫茶店だとかお店でポイントが使えたりとか、しかもポイントが貯まったり、いつの間にか現金を持たなくとも相当生活が出来るようになってきているんですね。」

「その変化がどんどん進んでいくと、かなり銀行預金や現金が使われなくなると。」

「で、もう一つのポイントはですね、そうやってポイントが使われることで、いろいろな情報が我々の利用情報とかが、そのポイント発行会社に溜まっていくんですね。」

「先ほど経済圏て話がありましたけど、一つのポイントっていうのはいろいろな情報が集められる。」

「そうすると、それを使ってこの人に融資してあげようとか、その人にはもっとお金を貸せるとか、そういうことが今までだと銀行しか出来なかったことが結構ポイント発行会社にも出来るようになってくる。」

 

「(一方で、ディメリットや信用の問題が起きてくる懸念について、)技術革新が起きているので新しいビジネスが出てくると。」

「そういう中では、そういうビジネスがちゃんと成り立つようにするためには安心だとか安全だとかこういうものをきっちり担保していく必要は出てくるんだろうと思うんですね。」

「そういう(安全を担保する)法律をどういうふうに作って安心を実現させていくかっていうのは大きなポイントなんですけど、技術はかなり発展してきているんでいわゆるグーグルだとかアップルだとかこういう会社は、皆さんスマホを持っていると思うんですけども、その中にはもう電子的な決済をするような仕組みはもう出来ているんですね。」

「なので、それを実際に使うのかどうかは別なんですけども、仕組みとしてはもう出来ていて、これでもう世界中に送金や決済が出来てしまうという便利な技術はもう出来ている。」

「やっぱり、銀行も今までの銀行だけじゃなくて、こういう技術を使ったサービスを活用していくと、そういう方向に行くんだと思うんですね。」

「ところが、そこで問題になってくるのは、今の銀行規制の問題ですね。」

「だから、楽天は銀行を持ってるんですけども、銀行の方は楽天のような会社は持てないと、こういうようになっていたので、ここを変えて銀行も今後いろいろなビジネスが出来るようにしようというのが今政府の審議会で議論がされているということなんですね。」

 

「もう技術革新がとっても速いんで、いろんなサービスが出来るようになってくると。」

「そのサービスをきちっと取り込むかたちで、銀行業、あるいは証券業もやっていかないと国際競争にも勝てないし、かつ利用者にも利便性が提供出来ないということになるんですね。」

「本当は、いろんな新しいサービスがこれから出てきますんで、それをきちっと安心の適用されたかたちでやっていくということがこれから期待されるところですね。」

 

今回、フィンテックという金融分野の新しい潮流についてご紹介してきました。

しかし、考えてみれば銀行のオンラインシステムやクレジットカードが登場した時に、既にその萌芽は誕生していたのです。

では、当時と現在の違いはというと、一言で言えばテクノロジーの進歩、あるいは進化だと思います。

具体的には、インターネット、あるいは回線スピード、記憶装置、ビッグデータ、AI(人工知能)などの技術の性能向上や進化による利用料金の低コスト化、あるいは無料化です。

要するに、それまで不可能だったこと、あるいは可能だったけれども高い利用料金がネックで普及しなかったことが技術革新によって可能になったということです。

更には、認証技術の進化による暗証番号以外による認証の実用化です。

また、こうした大きな社会変革のベースは一部の優れた人たちの沢山のアイデアによるテクノロジーの進化、そしてそれらをうまく利用することを思いつく人たちのアイデアの相乗効果とも言えます。

ですから、フィンテックのこれからの展開を思えば、現在はまだまだ入り口付近で、これからもどんどん進化していくと思われます。

 

さて、一般ユーザー、あるいは利用する企業の立場からすると、フィンテックにはどのようなメリットがあるのかを以下にまとめてみました。

・現金の持ち歩きが不要

・クレジットカードの持ち歩きが不要

・暗証番号の暗記が不要

・審査次第で、必要な時に必要な金額のローンが容易に可能

・株式以外にも、多くの投資、あるいは資金の貸し付けが容易に可能

 

ですから近い将来、何枚ものクレジットカードで分厚くなっている財布の持ち歩きは不要ということになります。

これらの機能は、全てスマホでカバー出来てしまうのです。


 
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2016年05月01日
No.3378 ちょっと一休み その540 『熊本地震にみる現行の耐震基準の危うさ』

4月19日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で、熊本地震関連について取り上げていましたが、その中でとても気になることを伝えていたのでご紹介します。

 

建物の耐震構造に詳しい専門家、東京工業大学の和田 章名誉教授は、“現在の耐震基準は大震災が連続して建物を襲うことを想定していない”として、被災後の建物に立ち入る時は十分注意をするよう次のように呼びかけています。

「(現在の耐震基準は)今回のようにひびが入ったり、梁が柱から抜け出たり、何が起きているか分からないところに、もう一度さっきより大きな地震が来ることはほとんど考えていませんので、(対策としては)みんなで2階で寝泊まりすることにしましょうとか、明らかに傾いているところにみんなで住むのは絶対やめて欲しいと思いますね。」

 

私たちは自分の住んでいる住宅が最新の耐震基準を満たしていれば、とりあえず安心してしまいます。

ところが、今回の熊本地震のように連続して大地震が起きてしまうと保証の限りではないというわけです。

ちなみに、4月20日朝のニュース番組(NHK総合テレビ)では、ビルやマンションなどでも度重なる強い余震で柱が劣化して建物の重さを支えきれなくなるなど、累積の被害を受けて崩壊に至っているものも今回の地震で出て来ているといいます。

また、4月20日付け読売新聞の夕刊の「よみうり寸評」では、以下のように伝えています。

国土交通省が益城町と熊本市で1064件の建物を調べたところ、崩壊の危険が指摘された建物が約51%に上ったといいます。

そして、現行の耐震基準は“一度の”震度7級の揺れを前提に、鉄筋などの強度が計算されているといいます。

 

要するに、熊本地震は専門家の想定をも超えていたわけです。

そこで、今回の熊本地震で、耐震基準を満たした住宅が継続して発生している大きな余震で実際にどの程度被害を受けたのかを調査して、従来の耐震基準とは別な累積被害の観点から今後の耐震住宅のあり方に活かして欲しいと思います。


 
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2016年04月30日
プロジェクト管理と日常生活 No.434 『三菱自動車の不正にみる第三者機関による性悪説に立ったレビューの必要性』

これまで、企業による不正行為が繰り返し報道されてきており、そのたびに再発防止策が検討されてきました。

そして、このブログでもこれまで排ガス不正や食品偽装、不正会計といった企業による不正行為に対する対応策について、以下のようにお伝えしてきました。

プロジェクト管理と日常生活 No.412 『国内外企業の不正にみる“経営者の心のあり方”の重要性』

プロジェクト管理と日常生活 No.413 『東芝の不正会計にみるプロセス管理の重要性』

プロジェクト管理と日常生活 No.422 『東芝の不正会計にみる監査法人の定期検査運用のあり方』

プロジェクト管理と日常生活 No.426 『無くならない食品偽装のリスク対応策』

 

ところが、残念なことにまた三菱自動車による不正行為が明るみになりました。

そこで、今回の不正行為について各種報道記事から以下に簡単にまとめてみました。

 

今回の不正の原因は、実際の性能よりも燃費性能を高く見せる燃費データの改ざんといいます。

同社によると、燃費試験データを改ざんし、燃費性能を偽っていたのは、2013年6月から生産している「eKワゴン」と「eKスペース」、同社が日産自動車に供給している「デイズ」、「デイズルークス」の軽自動車4車種で、62万5000台になるといいます。

同社は、これらの車を国土交通省に提出する燃費試験データで不正な操作を行い、燃費性能を実際よりも高く見せていたということで、軽自動車の供給先である日産自動車側の指摘で発覚しました。

なお、今回の燃費不正問題では、意図的なデータ改ざんが発覚した軽自動車以外にも、「パジェロ」、「iMiEV」、「アウトランダー」など約10車種で国内で定められた手順とは異なる試験を行っていたことがわかっています。

また、4月26日(火)には同社の相川 哲郎社長が国土交通省を訪れ、調査の途中経過を報告しました。

この報告によりますと、同社は25年間にわたって国で定めた方法と異なる方法で走行データを測定していたことが新たに分かりました。

同社が改ざんしていたのは、自動車が走る際のタイヤや風の抵抗などを測定した走行抵抗のデータです。

記者会見で更なる事実が明らかになりました。

走行データの測定では、日本では「蛇行法」という方法を国が定めています。

ところが、同社はアメリカ式で採用されている方法を採用していました。

違法の測定は、1991年から25年間も続いていました。

このことについて、相川社長は、会見の場で次のようにおっしゃっています。

「(不正を)始めた時に、これでいいんだというふうに思ってやり始めたのが、そのまま伝承されて、疑わずにやっていた可能性もございます。」

 

また、別な不正も明らかになりました。

走行データを測定していたのは、最も燃費が良い1車種のみで、残りの3車種は走行試験を行わずにそのデータを流用していたというのです。

例えば、「eKワゴン」の2013年モデルには、エコモデル、標準車、4WDの3つのグレードがあります。

本来、燃費データを取るためには、それぞれのグレードで走行試験を実施する必要があります。

ところが、実施されたのは燃費の良いエコモデルのみで、試験を実施しなかったグレードの燃費はエコモデルのデータをもとに机上で算出されたのです。

その後、2014年と2015年にモデルチェンジされていますが、そこでも走行試験は実施されず、2013年のエコモデルのデータをもとに算出されていたといいます。

しかも、走行試験が実施された場合でも、算出には燃費が良くなるように意図的にデータが抽出されました。

また、不正が行われた軽自動車の開発では、社内会議で燃費目標は当初の目標26.4km/ℓから最終目標29.2km/ℓまで実に2年間で5回も目標数値が引き上げられていました。

目標の燃費を達成するためにまず目標の数値を先に設定し、そこから逆算して、実際に走行試験を行わずに机上で計算するなどして不正に燃費を改ざんしていたのです。

その背景には、燃費を巡るライバルメーカーとのし烈な競争があったのです。

いずれにしても、こうしてみてくると、同社は“不正のデパート”と言わざるを得ません。

 

同社は、この日、弁護士でつくる特別調査委員会を設置、3ヵ月を目途に真相究明のための調査をし、結果を公表する方針です。

一方、国土交通省は、5月11日までに追加の報告をするよう求めています。

 

今後、問題の車種に適用されたエコカー減税の返納や顧客へのガソリン代補填(ほてん)に加え、日産自動車に対する補償など、同社は多額の負担が求められることになります。

アナリストからは、負担増は判明している分だけでも1000億円を超えるとの見方が出ており、「経営へのインパクトは非常に大きい」と懸念する声が上がっています。

更に、軽乗用車の燃費を偽装していた問題で、27日に都内の本社で開いた同社の決算発表記者会見で、「1日当たりの(新車の)受注台数が半減している」と述べたといいます。

こうした影響のため、同社は軽乗用車の生産拠点である水島製作所(岡山県倉敷市)の全従業員の4割弱にあたる約1300人を自宅待機とすることを決めたといいます。

更に、このために約7800社とされる下請け企業への影響が懸念されており、すでに県内では操業停止に踏み切る取引先が出始めたといいます。

また、帝国データバンクが4月28日に発表した調査では、三菱自動車グループから直接もしくは間接的に仕事を得ていた下請け企業は全国で7777社、従業員は約41万人に上るといいます。

 

今後の調査結果次第で、不正による影響範囲は更に広がる可能性があります。

まさに、三菱自動車は再度危急存亡の危機に直面しているのです。

そればかりでなく、関連会社や取引会社の中にも同様の状況に陥っているところが出ているかも知れないのです。

 

これまで何度となくこうした不正が自社の屋台骨を脅かすほどの影響をもたらしたこと、あるいは廃業に追い込まれたことが報道されてきました。

それでも、なぜ不正が続いてきているのでしょうか。

やはり、経営者が経営責任を全うしてこなかったと言わざるを得ません。

同社の多くの従業員のみならず、契約社員や販売店の方々、そして関連会社や取引会社の方々はこれまで三菱自動車とのパートナーシップを大切にし、それぞれ一生懸命に業務を遂行されてきたと思います。

そうした方々への今後の影響を考えるととても胸が痛みます。

 

同社は、2000年と2004年にもリコール隠しという不正行為がありましたが、ようやくビジネスがうまく回り始めてきた状況でした。

にもかかわらず、再度今回のような不正問題が発覚したことはとても残念です。

しかも、明るみになったきっかけは自社内ではなく、軽自動車の供給先である日産自動車からの指摘だったというのです。

自社内での自浄作用が全く機能していなかったと言わざるを得ません。

もし日産自動車からの指摘がなければ、今後とも影響範囲は世間に知られずにどんどん広がっていくことになったはずです。

それにしても、社内の風通しが良ければ、あるいは隠ぺい体質が改善されていれば、こうした不正に気付いた従業員の声が早期に経営層に届き、それなりの対応がなされたと思うととても残念です。

 

さて、今回の不正問題で他にも明らかになったことがあります。

それは、自動車の許認可に関する権限を持つ国土交通省の審査があまりにもずさんだったということです。

自動車の走行抵抗は燃費を大きく左右する極めて重要な要素です。

その数値を国土交通省は、自ら審査することなく、自動車メーカーからの自己申告に任せていたというのです。

要するに、性善説に基づいた対応です。

 

三菱自動車が国の定めた走行データの測定方法と異なる測定方法を1991年から25年間も続けていたという事実、更にはこうした事実を見過ごしてきた国土交通省の審査には驚くばかりです。

 

プロジェクト管理において、開発した成果物の検査にはピアレビューと第三者レビューという大きく2つの方法があります。

ピアレビューは仲間内のレビューであり、第三者レビューとは文字通り、開発に直接関係しない第三者によるレビューです。

そして、重要な成果物については、ピアレビューだけでなく第三者レビューを実施するというのが一般的です。

 

製造業においても、当然こうした成果物の検査には同様の工程があるはずです。

ところが、三菱自動車においては、残念ながらこうした工程が全く機能していなかったのです。

しかも、社外の第三者にあたる国土交通省は性善説に立っており、自ら審査をしていなかったというのです。

これでは、国土交通省の存在価値はありません。

本来であれば、国土交通省が自ら審査しなくても、第三者機関に依頼して審査する仕組みにしておくべきだったのです。

性善説に立った審査では意味がないのです。

こうした審査は性悪説に立って、あらゆるプロセスを疑ってかからなければ駄目なのです。

 

このような審査体制では、三菱自動車のみならず、日本の自動車産業全体に対する不信感が残ってしまいます。

ですから、こうした不正に対する最後の砦となる国土交通省による審査制度の見直しが求められます。

自動車はとても便利な移動手段である一方、走る凶器にもなり得ること、あるいはガソリン車は地球温暖化をもたらすCO2を排出するということを忘れてはならないのです。


最後に、三菱自動車と言えば、EV(電気自動車)メーカーとして「iMiEV」の量産メーカーとしての先駆け、そしてEVとしても実用的なPHV「アウトランダー」の生産という素晴らしい実績も上げられています。
ですから、企業として進取性という素晴らしい面も内包されているのです。


もう一つ、最後の砦は社外の第三者によるレビューですが、企業は飽くまでも第三者に依存することなく、自社内での完全性を追求することこそがあるべき姿なのです。


ということで、三菱自動車には是非、日本を代表する企業として心機一転してあらためて出直して欲しいと思います。


 
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2016年04月29日
アイデアよもやま話 No.3377 画期的な”水増し”燃料が実用化!

2月10日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“水増し”燃料の実用化について取り上げていたのでご紹介します。

 

軽油に水を混ぜても、そのパワーが落ちないという次世代エコ燃料が開発され、今年から実用化が始まっています。

山梨県富士吉田市で、日本初のエコ燃料で一般道を走るバスがあります。

その燃料は、水50%と軽油50%、つまり水で薄めたエコ軽油燃料です。

このバスの運転車は、乗っていて今のところ問題ないといいます。

 

このエコ軽油燃料を開発したのは、エネコ ホールディングス株式会社です。

この燃料の作り方ですが、まずタンクに軽油10リットルを入れます。

続いて水も10リットル投入します。

すると、比重が軽い軽油は上に、比重が重い水は下に溜まり、境目がくっきり分かります。

そして、ポイントは独自に開発した界面活性剤で、水と油を付ける接着剤です。

この界面活性剤を入れると、水と経由が混ざり合い、エマルジョン燃料と呼ばれています。

検査所で分析したところ、驚くことに、このエネコ製エマルジョン燃料から水分はほとんど検出されず、JIS(日本工業規格)が定めた軽油100%とほぼ同じ結果になりました。

 

そもそもなぜ水を混ぜても燃焼効率が落ちないのでしょうか。

軽油の中に入り込んだ水は、高熱を加えると沸騰して爆発を起こし、軽油が細かい粒になります。

細かい粒になることで、軽油は熱を受ける面積が増えて、より燃焼がし易くなるのです。

更に、このエマルジョン燃料を使うことによって50%CO2削減になるというのです。

また、排気ガスのSOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)も半分以上削減出来るといいます。

 

この次世代エコ燃料を試験的に使っているのが、井出造園です。

除雪作業で悩みの種は燃料代です。

そこで使い始めたのがエマルジョン燃料です。

従来の100%の軽油と比べても、パワーも燃費も同等といいます。

エマルジョン燃料を使い始めてから1ヵ月、1月の燃料費は従来の76万円から48万円へと約4割のコスト削減が出来ました。

半分が水で出来たエマルジョン燃料は、燃料費が削減出来、排気ガスも削減出来て環境にも優しいという、まさに一石二鳥のエコ燃料です。

 

ただ、問題もあります。

このエマルジョン燃料は、現在山梨県内でしか燃料の製造・販売が出来ません。

この問題について、エネコ ホールディングスの副社長で、開発責任者でもある山本 泰弘さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「これ(軽油)に混ぜ物をした場合、その分は税金がかかっていないということで不正軽油というかたちになります。」

「もう少し、税金をかからずして、これが日本全体、また世界全体で使っていただければ、そこが僕たちの一番の課題です。」

 

軽油は、1リットル当たり約32円の地方税がかけられています。

しかし、50%を水で作ったエマルジョン燃料には半分の約16円の税金しかかけられないので、公道を走ることは認められませんでした。

そこで、エネコ ホールディングスは水の部分も納税することで山梨県からようやく許可が下りたのです。

 

急に税金の壁が立ちはだかろうとしている中、山梨県のこの中小企業が、今世界の注目を集めています。

2月8日、山本さんが出迎えたのは、タイからやって来た、タイ空軍の大佐とタイの商社の社長の二人です。

タイでは、原油の需要が年々増加し、輸入依存度は70%を超えています。

エネルギー資源が乏しい国にとって、喉から手が出るほど欲しい技術なのです。

ということで、エマルジョン燃料による新エネルギー事業の基本合意書が調印されました。

 

エネコ ホールディングスの技術を求めているのはタイだけではありません。

3月末までに、シンガポールやガーナなど16ヵ国と契約を結ぶ予定になっています。

こうした状況について、山本さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「全世界を探しても、私たちのこの技術を出来るのはエネコ ホールディングスしかありません。」

「これからも世界に発信します。」

 

エネコ ホールディングスでは、水の割合を更に上げる研究が続けられています。

水50%と軽油50%を混ぜたエマルジョン燃料に水を更に50%ずつ混ぜていきます。

合計でエマルジョンを3回繰り返すというのです。

1回目のエマルジョンの水の割合は50%、2回目で75%、3回目で87.5%になります。

 

こうした新たに開発したエマルジョン燃料の分析を新日本検定協会(横浜市港北区)に依頼した結果は、従来の軽油とほぼ同じ燃焼効率というものでした。

この結果について、検査担当者もビックリです。

 

これで満足していない山本さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「今、(エマルジョンの)繰り返し3回で加水率87.5%、これを確実に出来るように技術をもう少し確立しなきゃいけないのと、更に3回を10回くらい出来るまで実験を繰り返し、この技術を確立していきたいと思っています。」

 

なお、現在は軽油の他に重油や灯油でもエマルジョン燃料を作ることが出来ますが、3月からはいよいよガソリンを使った実験も始めるということです。

 

軽油などに水と界面活性剤を加えるだけで、燃焼効率が大幅に向上するという現象はちょっと信じられませんが、実用化され、普及が世界的に進めば、間違いなく化石燃料の枯渇時期を遠のかせるだけでなく、地球温暖化問題の解決にも大いに貢献出来ます。

この発明がノーベル賞の受賞に値するかどうかはともかく、ガソリンなど全ての燃料をエマルジョン燃料として実用化出来れば、世界的な貢献度は計り知れないと思います。

ですから、国は原発再稼働に力を注ぐよりも、こうした画期的なエコ燃料や再生可能エネルギーの研究開発、および普及に向けた取り組みに対して、国家プロジェクトにするとか、開発補助金を付与するなど、積極的に支援していただきたいと思います。


 
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2016年04月28日
アイデアよもやま話 No.3376 命の宿るような”おしぼり人形踊り”!

2月2日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で命の宿るような”おしぼり人形踊り”について取り上げていたのでご紹介します。

 

おしぼりで作られた人形を巧みに操って躍らせる”おしぼり人形踊り”が宴会を盛り上げる芸として福岡県などで人気を集め、インターネットでも話題になっています。

短なる宴会芸の域を超えて広がりを見せる”おしぼり人形踊り”は箸と指で細かなしぐさを表現します。

レパートリーも豊富で、動画投稿サイトでもかなりの人気のようで、命が宿っているようだと、全世界からコメントが寄せられています。

 

”おしぼり人形踊り”は宴席のテーブルで演じられます。

手軽に場を沸かせることが出来ると人気です。

この踊りの起源は不明ですが、北九州では製鉄景気に沸いた戦前にはこうして演じられていたといいます。

ある宴席で場を沸かせていた“おしぼり人形踊り”に夢中になっているおひとり、中村 泰隆さん(72歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「どんな歌が来ようが、どんな音が来ようが、どんな太鼓が来ようが、踊れるのがこの子(おしぼり人形)の良いところです。」

 

IT関連の会社を経営している中村さんがおしぼり人形に出会ったのは22年前、当時の取引先に見せてもらったのが最初でした。

その時の様子について、中村さんは次のようにおっしゃっています。

「おしぼりをクルクルクルクル丸めてされているから、何かなあと思っていたら、人形になったでしょ。」

「それでまず驚くでしょ。」

「次にそれが踊り出すでしょ。」

「もう衝撃よ。」

 

そこで、腕を磨き、宴会や商談の席で披露したところ、効果てきめん、ビジネスの味方になり、次のようにおっしゃっています。

「ちょっと操ってみたらゲラゲラ笑われてね。」

「座がいっぺんにはじけたんですよ。」

「それでお客さんに近づけた。」

「お客さんもこっちに近づいてくれた。」

 

こうして中村さんは今やおしぼり教室を開くまでになっています。

中村さんと同じようにコミュニケーション術にしたいと企業経営者などが集まっているのです。

 

”おしぼり人形踊り”には日本舞踊の基礎が盛り込まれています。

品を付けるなどの所作が生かされているため、人間らしい動きになるといいます。

これまで100人以上が学び、遠くは関西から通っている方もいるといいます。

 

更に、おしぼり人形は宴会芸の域を超えて広がりを見せています。

介護施設などから頻繁に招かれるようになっているのです。

お年寄りが笑顔になるうえ、指を使うため認知症の予防にもつなげようというのです。

こうしたご自身の取り組みについて、中村さんは次のようにおっしゃっています。

「笑っていただいて元気を出してもらうというのが自分はうれしいからね。」

「今日、僕は自分も興奮しているんですよ。」

「頑張ります。」

 

箸とおしぼりだけで作られたおしぼり人形、私も番組で初めて”おしぼり人形踊り”を見て、中村さん同様に衝撃を受けました。

同時に、”おしぼり人形”に命を宿らせる元となっている日本舞踊の品を付けるなどの所作の表現力の素晴らしさをあらためて感じました。

 

ということで、”おしぼり人形踊り”は日本の隠れた伝統芸能の一つと言えると思います。


 
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2016年04月27日
アイデアよもやま話 No.3375 熊本地震にみる今後の災害対策のあり方!

4月14日に熊本県で震度7を観測した地震が起きて以降、熊本県と大分県では地震の回数が少なくなってきているものの、いまだに活発な地震活動が続いています。

そこで、これまで4月23日、25日、26日と、災害対策の不備や簡易ベッド、あるいは簡易間仕切りという具体的な支援の取り組みについてお伝えしてきました。

今回はあらためて熊本地震にみる今後の災害対策のあり方について、私の思うところをお伝えします。

 

熊本地震関連については、連日マスコミでいろいろと報道されていますが、それらの中には今後の災害対策のあり方のヒントがちりばめられているように思いました。

そして、4つのキーワードが思い浮かんできましたので以下にご紹介します。

1.まず被災者ありき

2.災害対策プロデューサーの必要性

3.既存の組織を最大限に活用

4.情報の一元化

 

まず、1番目についてですが、支援物資の最終輸送先は一般的に避難所です。

ところが、高齢者のいるお宅やペットの飼い主など、避難所に行きたくても行けない事情のお宅もあるのです。

あるいは、今回の熊本地震では、幼児やペットの鳴き声など周りへの迷惑を気にされて自動車で避難生活を送る家族も多く見受けられています。

ですから、まず支援対象の被災者の方々がどのような状況であるかの把握が、より効果的な災害対策のためには最も重要なのです。

 

2番目は、災害対策プロデューサーの必要性です。

今回の熊本地震でも、被災地の自治体、国、各企業、大勢のボランティアの皆さん、あるいは自衛隊などあらゆる組織が総動員して一生懸命に支援活動をされています。

ところが、活動全体が統括されて効率よくなされているかというとどうもおぼつかないように見受けられます。

より迅速でより効果的な災害対策を目指すためには、災害活動全体をプロデュースする人、あるいは組織がどうしても必要だと思うのです。

そして、その枠組みは、プロジェクト管理と日常生活 No.433 『熊本地震に見る過去の大震災の経験が活かされていない災害対策』でお伝えした内容でいいと思います。

なお、災害対策プロデューサーは、あくまでも平常時に災害対策のあり方を具体的にデザインすること、および平常時の災害訓練、あるいは研修が役割で、被災時にはこのデザインされた体制や方法で各組織が災害に対応するというわけです。

また、災害対策プロデューサーは、一度災害対策の枠組みをデザインしたらおしまい、ということはなく、大震災のたびに問題点を見出し、新たな改善策を検討し続けることが求められるのです。

 

3番目は既存の組織を最大限に活用することです。

大震災は、言わば非常時です。

非常時とは、平常時に機能していたものが機能しなくなる事態です。

ですから、平常時とは別なかたちで機能させること、すなわち代替手段が求められるのです。

代替手段と言っても、新たに何かを求めるというのではコストがかかってしまいます。

そこで代替手段として活躍できるのが既存の組織です。

幸いにして、日本はあらゆる面で社会インフラが進んでいます。

ですから、これらを被災時に活用しない手はありません。

具体的には、以下のようなものが考えられ、こうした組織と事前支援協定を結んでおくのです。

・支援物資の提供
  乾パンやカップヌードルなどの非常食、あるいは飲料水のメーカー
  オムツなどの生活用品メーカー
  製薬会社や近隣自治体の病院
  簡易発電機メーカー
  簡易コンロメーカー
  簡易浄水器メーカー
  簡易ベッドや簡易間仕切りなどのメーカー
  コンビニやスーパー
・支援物資の輸送
  トラック、バス、タクシー、フェリーボートなどの運送業者
  自衛隊
・避難施設の提供

  被災を免れた学校などの体育館
  賃貸住宅
  空き家
  ホテルや旅館
  テントメーカー
  客船やフェリーボート

  塾(子どもの学習用)

・情報の提供

  IT関連企業やネットプロバイダー

・ボランティアの事前確保

  一般人の中には、看護師など様々な技能を身に付けられており、いざという時にはボランティアを希望されている方々がおられます。

  あるいは、企業の中には、従業員をボランティアとして派遣したいところもあるはずです。

  そうした方々、あるいは企業をボランティア希望者として持っているスキルと共に事前登録しておけば、被災時にタイムリーに必要なだけの支援を効率よく確保することが出来るのです。

 

最後の4番目は情報の一元化です。

被災時には、様々な情報が錯そうして混乱を増長してしまう可能性を秘めています。

また、一部の避難所では支援物資が多く届き過ぎて山積みされている一方で、別な避難所では足りない状況が発生しているといいます。

多く届き過ぎると、その整理にまた人手が必要になってしまいます。

ですから、全ての災害関連情報を一元化させておくことが求められるのです。

具体的には、被災者、国や地方自治体、あるいはボランティアの方々など誰でも見ることの出来る、支援物資の需給管理など一元化された情報を提供するシステムの構築です。

実際に、今回の熊本地震ではネットプロバイダーが個別にこうした役割を断片的に果たされていますが、より効率的にするためには全体にわたっての情報の一元化が必要なのです。


 
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2016年04月26日
アイデアよもやま話 No.3373 被災者のストレス軽減の取り組み その2 簡易間仕切りでプライベート確保!

4月14日夜発生の前震、そして4月16日未明の本震以降、熊本地震はその後の余震が続いており、多くの被災者の方々は避難所での厳しい生活を続けられております。

そこで、4月23日には、プロジェクト管理と日常生活 No.433 『熊本地震に見る過去の大震災の経験が活かされていない災害対策』で災害対策関連についてお伝えしました。

そうした中、4月20日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、被災者のストレス軽減の取り組みについて取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、プライベートを確保出来る簡易間仕切りについてです。

 

4月19日、世界的な建築家、坂 茂さんが今回の震災で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村の避難所を訪ねました。

板さんは、これまで2008年の四川大地震や2010年のハイチ大地震など、世界の災害現場で被災者の支援をしてきました。

2011年に起きた東日本大震災では、独自に考案した避難所用の間仕切りをおよそ1500帯分提供しました。

2014年には、こうした取り組みが認められ、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞しました。

そして、今回の震災でも間仕切りの準備を始めました。

板さんは、3日後には間仕切りを避難所に搬入したいと考えています。

板さんは、避難所生活でストレスは解消しないけれど、間仕切りが標準としてすぐにやれないとプライバシーがないと考えています。

 

その間仕切りですが、柱の部分は紙で作った管、紙管で出来ています。

軽量ですが、高い強度を持つのが特徴です。

実際に組み立ててみると、一つの空間を作るのに大人4人で5分ほどで設置出来るといいます。

柱を組み合わせるだけで設置出来、布をかければ簡単にプライバシーを確保出来ます。

そして、上の部分は開いているので閉塞感もないといいます。

また、紙管はコストが安く、簡単に作れるため、災害発生後すぐに用意出来るメリットがあります。

 

板さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「プライバシーって本当に重要ですよ。」

「これでやっとゆっくり寝れるってみなさんおっしゃって下さいますね。」

 

「人それぞれいろんな出来ることがあるじゃないですか。」

「例えば、床屋さんが来て皆さんの髪をかったりする人がいたり、子どもと遊んでくれる人たちもいたし、精神的なストレス解消のためのサポートはいろいろな立場の人が出来ると思うんですよね。」

 

また、板さんは、避難所の皆さんは我慢して要望を言わないといいます。

でも、避難所の皆さんが無理だと思っても言うことによって、誰かがそれを聞いていて、必ず誰かが解決策を持っているので言うことが大事なんだといいます。

それで、解決策が出てくれば、その経験が次の震災の対策としてつながる、この循環を作らないといけないと強くおっしゃっていると番組ではいいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、前回ご紹介した段ボールによる簡易ベッドと今回ご紹介した簡易間仕切りを組み合わせて避難所に提供出来れば、避難されている方々に快適な眠りとプライベート空間を提供することが出来ます。

ちなみに、4月24日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)で、熊本市の避難所でこの簡易間仕切りが設置される作業の様子を取り上げていました。


また、板さんのおっしゃるように、避難所の皆さんは無理だと思っても我慢せずにとりあえず要望を伝えてみることが大事だと思います。

そして、混乱の続く避難場所では、板さんのおっしゃるように、とりあえず人それぞれいろんな出来ることを実行することによって、避難所の場の雰囲気が和むようになると思います。


 
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