2020年04月08日
アイデアよもやま話 No.4611 クリーニング店のおせっかいサービスで売り上げ急増!

1月16日(木)放送の「グッとラック!」(TBSテレビ)でクリーニング店のおせっかいサービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

兵庫県西脇市にある株式会社東田ドライというクリーニング店の年商は2013年には約1億円でした。

ところが翌年の2014年にあるサービスを打ち出したところ、売り上げが急上昇し、なんと2019年には約13億円と6年間で約13倍に急増したのです。

 

そこにはどのような秘密があるのでしょうか。

1963年創業の東田ドライ、3代目社長の東田 伸哉さんは次のようにおっしゃっています。

「5年前に全国から利用出来る宅配クリーニングというサービスを始めて、ただそれは多くの会社がやっていることなので、ある無料サ−ビスを打ち出したのが理由です。」

 

年商が急上昇した無料サービスのポイントは以下の通りです。

  1. 衣類の状態をチェックする無料の検品作業(毛玉取りなど)

  2. 自発的に行う無料のおせっかいサービス(衣類の穴の修復や新たなボタンの付け直しなど)

  3. 東田 勇一会長(59歳)自らが深夜2時からシミ抜きの無料サービス

東田会長は、こうしたサービスを30年近く前から行ってきたといいます。

朝から始まる洗濯までになるべく多くのシミ抜きをするため、この時間に毎日行っているのです。

 

しかし、無料のおせっかいサービス、人件費などのコスト増大で大変に思えますが、3代目社長は次のようにおっしゃっています。

「着られる状態で返さないとクリーニングとして成り立っていないという感覚がみんなにあると思うので、ボタンが取れてて留められない状態でクリーニングしましたというのは、僕たちの感覚でいうと違う。」

「みんながやりたい、やってあげたいという気持ちでやっていることなので・・・」

 

このおせっかいサービスは東田ドライの創業当時の50年ほど前から自然発生的に続いていることなのです。

つまり、従業員たちはおせっかいサービスを特別なことをしているとは思っていないのです。

そんなひたむきに働く従業員の姿を毎日見ていた東田社長は、これこそ売上急上昇の秘策になると思ったのです。

「スタッフのおせっかいな気持ちでやっている仕事なんだということを表現して売りにしようと。」

「そこが強みなんだろうなと、その時気付きました。」

 

そこで東田社長は、おせっかいサービスを売りにしたホームページに大リニューアル、無料で行っている従業員の細かな検品作業や優れた技術などを前面にアピールしたのです。

すると全国からクリーニングの注文が殺到し、その結果、年商が約1億円から約13億円に急上昇したのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した東田ドライというクリーニング店の普通のお店ではあり得ない“おっせかいサービス”で、でんかのヤマグチの商売の戦略(参照:アイデアよもやま話 No.4217 年商9億円の街の電気屋さん!)、そしてリッツ・カールトンホテルのサービス(参照:No.468 ルールの少ないのが成熟した社会!)を思い出しました。

これらに共通しているのは、本来の業務を超えたお客に対する徹底したサービスです。

こうした徹底した顧客指向のサービスがお客に受け入れられないわけがありません。

また、こうしたサービスを受けたお客の満足する様子は、サービスを提供する側にとって「この仕事をやってて良かった」という満足感、あるいは「仕事に対する誇り」を持たせてくれます。

 

一方で、こうした徹底した顧客指向のサービスは、その分コストがかかるので、サービス残業や低賃金をもたらすというような弊害リスクがあります。

しかし、これらの企業が何年も継続して“徹底した顧客指向”を貫いているということは、こうしたサービスの継続を可能にするアイデアが裏に隠されていると思うのです。

 

逆に言えば、ある企業が“こうした企業になりたい”という想いが強ければ、アイデア次第で実現出来るという証をこれらの企業は示してくれているとも言えます。

 

ここで、あらためてお伝えしたいのは、アイデアは存在し、見つけるものであるという言葉です。

アイデアはきっとどこかに存在しているので、諦めずに考え続ければ、いずれ何かをきっかけに見つけることが出来るのです。


 
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2020年04月07日
アイデアよもやま話 No.4610 マスク不足で注目を集める商品 その2 鼻マスク!

2月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でマスク不足で注目を集める商品について取り上げていました。

そこで、2回にわたってご紹介します。 

2回目は、鼻マスクについてです。

 

愛媛県にあるバイオインターナショナル株式会社で注文が殺到し、2ヵ月待ちとなっているのが、U字型の小さな商品、鼻の中に入れるだけで花粉対策になるという、商品名「やわらか鼻マスク」です。

鼻の下に入れて、奥までしっかり差し込むという使い方です。

気になる着け心地ですが、最初はちょっと違和感がありますが、慣れてしまえば意外と普通に過ごせるといいます。

 

その特徴は、直径1cmの円の中にある小さな白いシートにあります。

0.1ミクロンの微粒子でも99%遮断するという特殊なフィルターで、旭化成や東レなどが開発したものを採用しています。

 

実際に花粉を使って、この特殊フィルターと一般的なガーゼを比べてみると、一般的なガーゼは花粉をほぼ通してしまっていますが、特殊フィルターは花粉がフィルターの上に乗ったままです。

東原 松秀社長は次のようにおっしゃっています。

「(新型コロナウイルス肺炎の影響で)市場から一気にマスクが消えちゃって、(お客様から)「せめて鼻だけでも対策したい」というお声をいただいて、生産能力をずっと上げて来たんですけど、それでも生産が全く間に合わず・・・」

「まさに踏ん張り時でもあり、勝負ところでもあると。」

 

1年前に比べ4倍以上の受注があり、急ピッチで増産を進めています。

 

気になるのは、今のマスク不足がいつ解消されるのかです。

既に週1億枚のマスクが国内で供給されていて、中国からも毎週1000万枚を輸入されているといいます。

それでも不足している現状について、ある政府関係者は次のようにおっしゃっています。

「買い占めさえなければ、供給は追いついている。」

「本当は足りているんだ。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルス肺炎のお蔭で、例年花粉症でこの季節にはその症状を和らげるためのマスクが必要になるのに不足の事態が続いています。

そうした中、今回ご紹介した鼻マスクはマスクの代用品として花粉症の人たちにとってありがたい存在だと思います。

ところが、試しにアマゾンで「やわらか鼻マスク」を検索したところ、3月30日の時点で在庫切れで、「この商品の再入荷予定は立っておりません」と表示されていました。

こうした状況から、いかに今回の新型コロナウイルス肺炎によるマスクの需要の大きさが凄まじいかが容易に想像されます。

 

こうした状況から思うのは、マスクの供給体制の見直しの必要性です。

新型コロナウイルスに限らず、ウイルス感染症の予防にマスクは必須です。

ですから、普段から世帯ごとにある程度マスクの買い置きをしておくこと、そして緊急時の関連企業によるマスクの増産体制の確保が求められます。


 
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2020年04月06日
アイデアよもやま話 No.4609 マスク不足で注目を集める商品 その1 マスク用とりかえシート!

2月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でマスク不足で注目を集める商品について取り上げていました。

そこで、2回にわたってご紹介します。 

1回目は、マスク用とりかえシートについてです。

 

新型コロナウイルス肺炎の感染拡大が続く中、深刻なのがマスク不足です。

花粉症の季節に差しかかり、更に拍車がかかる恐れがあります。

高知県日高村、ここで今注目を集めるあるモノが作られています。

1956年、日本で初めて不織布の生産を始めた金星製紙株式会社、その日高工場で作っているのが「さらふあ マスク用とりかえシート」(税別298円)で、2月始めに販売を開始しました。

長方形の不織布が50枚入っています。

使い方はいたって簡単です。

竹ノ内 渉社長は次のようにおっしゃっています。

「不織布1枚を口元に当たるようにセットしまして、マスクに着けるとこういう(普通のマスクを着けるのと同じような)かたちになります。」

「(息苦しくないかという問いに対して、)それはありません。」

「適度な空気の流通性があります。」

「で、非常に肌触りがいいと。」

 

このシートが汚れたら、取り出して捨てるだけです。

これで、新しいマスクへの交換を減らすことが出来ます。

 

発売から10日間で15万箱(750万枚)を出荷、特に医療施設や食品工場からの注文が殺到しているといいます。

竹ノ内社長は次のようにおっしゃっています。

「(注文の)電話が毎日鳴りっぱなしで、需要に追い付かない状態であります。」

 

マスク不足が深刻になり始めた1月下旬、マスクの代わりになればという思いからこの商品の開発に着手、約1週間で商品化に成功しました。

本格的な花粉のシーズンを迎え、金星製紙は高知県内4つの工場をフル稼働させ、生産量を2倍に増やす計画です。

竹ノ内社長は次のようにおっしゃっています。

「輸入品も入ってこられませんので、大変皆さん困っていると思いますので、何とかお役に立てればと思って、大増産をかけたいと思っております。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

政府の要請を受けてマスクは大幅に増産され、中国などからの輸入も増えていますが高まる需要に供給が追いつかず、店頭に入荷しても、すぐに売り切れになってマスク不足は今も解消されていません。(詳細はこちらを参照)

 

そうした中、今回ご紹介した、新しいマスクへの交換を減らすことが出来るマスク用とりかえシートはマスク不足に大いに貢献出来ます。

しかも、金星製紙では約1週間で商品化に成功したというのですから驚きです。

元々原料の不織布の生産をしていたからこそ短期間で商品化出来たということもありますが、金星製紙のこうした姿勢にあらためて“企業の社会的貢献”の意味を実感させていただきました。

また、従業員も金星製紙で働いていることにプライドを持てると思います。

 

一方、こうしたマスク不足が続く中、甲府市内の中学生が3月17日に手作りのマスク612枚を山梨県に寄贈したと報じられていました。(詳細はこちらを参照)

 

山梨大教育学部付属中1年の滝本 妃(ひめ)さん(13歳)で、大人用400枚と子ども用212枚を作りました。

県はマスクが必要な高齢者施設や児童養護施設に届けるといいます。

 

滝本さんは、臨時休校でできた時間を使い、1日30枚を超えるペースで作り続けました。

「裁縫は苦手。今回は皆さんの役に立ちたくて頑張った。一人でも多くの方に使ってもらえたらうれしい」と話し、今も作り続けているといいます。

 

以上、ネット記事の一部をご紹介しました。

 

裁縫が苦手であるにもかかわらず、臨時休校でできた時間を使い、1日30枚を超えるペースで手作りマスクを作り続けたという滝本さんの行為には頭の下がる思いです。

こうした行為は、単にマスクを届けるというだけでなく、受け取った方々にマスク不足に対する心配を超えた“心温まる想い”を届けていると思います。

 

新型コロナウイルスは、マスク不足だけでなく、日々の暮らしに様々な、かつ大きな影響を与えています。

しかし、こうした苦難を乗り越えていくうえで、より多くの企業や個々人が自分の立場で何が出来るかを考え、実行に移せばそれだけ早く感染拡大の収束を迎えることが出来ると思うのです。

 

とりあえず、出来るだけ人ごみを避けたり、うがいや手洗いをこまめにすることは誰でもすぐにでも始められます。


 
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2020年04月05日
No.4608 ちょっと一休み その715 『国際競争力で日本が6位の気になる要因』

昨年10月9日(水)付け読売新聞の夕刊記事で国際競争力ランキング(2019年版)について取り上げていたのでご紹介します。

 

ダボス会議を主催するスイスの「世界経済フォーラム」は昨年10月9日、2019年版の国際競争力ランキングを発表しました。

141ヵ国・地域のうち、日本は一昨年より一つ順位を下げ、6位でした。

 

一昨年2位のシンガポールが1位になり、米国は2位に後退しました。

香港は3位に入ったものの、採点対象のデータが昨年春までのもので、昨年6月からの抗議運動の影響は考慮されていません。

ちなみに4位はオランダ、5位はスイスです。

 

ランキングは、マクロ経済の安定性や健康など12の分野103項目を採点して作成されました。

日本は一昨年に続き、健康寿命の長さや交通網の整備で高評価を得たものの、労働市場の流動性の低さや女性の労働参加が不十分であることなどで評価が低いでした。

 

以上、記事の内容をご紹介してきました。

 

なお、国際競争力ランキング(2019年版)の主な順位はこちらを参照下さい。

 

さて、以前から日本は“少子高齢化先進国”であると自他ともに認めています。

ですから、日本は本来他国に比べてより多くの人たちが働き易い環境の整備が必要なはずです。

ところが、国際競争力ランキングを下げている要因に「労働市場の流動性の低さや女性の労働参加が不十分であること」が含まれているのは、日本政府が取り組むべき政策にきちんと向き合っていないことを意味します。

ちなみに、2月27日(木)付けネットニュース(こちらを参照)で既に日本は韓国に1人当たりGDP(国内総生産)や労働生産性(就業者1人当たりのGDP)で追い抜かれたと報じられています。

ですから、こうした観点でも以前のような競争力を失いつつあるのです。

日本政府はこうした事実を真摯に受け止めて、積極的な対策を打ち出して欲しいと思います。


 
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2020年04月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.636 『“緊急事態宣言”はすぐにでも出すべき』

本日は地球温暖化問題の最新状況についてお伝えするつもりでしたが、急きょ新型コロナウイルス関連の内容に切り替えることにしました。

4月3日(金)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で“緊急事態宣言”について取り上げていたのでご紹介します。

 

新型コロナウイルスに日本で感染が確認された人は、空港の検疫で見つかった人やチャーター機で帰国した人なども含めて、全国で3003人となり、3000人を超えました。

1日の新たな感染者は午後7時の時点(放送時点)で227人と4日連続で200人を超えています。

 

一方、専門家グループは人と人との接触を8割削減した場合、収束に向かうとするシミュレーションをまとめ、対策の必要性を指摘しています。

 

東京都は新たに10代から80代までの89人の感染の確認を発表しました。

89人のうち6割に当たる55人は今のところ感染経路が分かっていないということです。

都内で感染が確認されたのは合わせて773人になりました。

爆発的な患者の増加、オーバーシュートを防ぐ重要な局面とされる東京、対策の強弱で感染者数にどんな違いがあるのか、専門家がシミュレーションをしました。

国のクラスター対策班メンバーでもある北海道大学の西浦 博教授などのグループは、対策を取らなかった場合、緩やかな外出の自粛要請で人と人との接触を2割減らした場合、そして強い外出制限をかけて接触を8割減らした場合で、人口10万人当たりの1日の新たな感染者数を分析しました。

 

新規感染者数のシミュレーションのグラフでは、東京は流行が始まってから10日〜2週間ほど経った状況に当てはまるといいます。

この時点で、対策の強弱の違いで感染者数に大きな違いはありません。

差がつくのは流行開始から30日後、今から2〜3週間経った時期です。

対策を取らなかった場合と接触を2割減らした場合はいずれも爆発的な患者の増加を防ぐことは難しいとしています。

一方、強い外出制限をかけて接触を8割減らした場合は感染が終息に向かうとしています。

西浦教授は次のようにおっしゃっています。

「感染の増加を防ぐことが難しくなってきましたので、約8割の行動制限をすることが必要になると考えております。」

「おおむねヨーロッパで行われている行動制限というのが8割程度の行動制限するものに相当すると考えられています。」

「どんどんと速いスピードで感染者数が出てきて、医療の崩壊する時期に立たされるということを考えれば、出来るだけ早く強固に対策をしておくことが必要だと思っています。」

 

こうした状況において、安倍総理は“緊急事態宣言”について4月3日の参議院本会議で次のように述べました。

「現時点でまだ全国的、かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況にあり、必要な状況になれば躊躇なく“緊急事態宣言”を行う所存です。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

以前にもお伝えしたように、リスク対応策はリスクが顕在化する前の早い時期に対応策に着手していれば、リスクが顕在化してもそれほど大きな影響を受けずに済みます。

一方、リスクの顕在化が間近になって対応策の着手が遅くなれば遅くなるほど大きな影響を受けるというのがリスク管理の常識です。

 

さて、今回の新型コロナウイルスについて、専門家による新規感染者数のシミュレーションではまさに強い外出制限をかけて接触を8割減らすことが現時点で必要だという結果が出ているのです。

最近、他の有識者の方々の中でも同様の発言をされているようです。

 

ところが、安倍総理は「現時点でまだ全国的、かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況にある」とおっしゃっているのです。

ということは、安倍総理は、オーバーシュート(爆発的な患者の増加)が顕在化した時点で“緊急事態宣言”を発令するつもりであるというように受け取れます。

これは、リスク管理の考え方をはき違えているように思えます。

もし、本当に安倍総理がこのようにお考えであるならば、感染経路が不明な感染者の割合の増加によるオーバーシュートに突入するリスクはとても高くなります。
しかもその時期はこれから2〜3週間後です。
更にそれ以前に感染者の増加は医療崩壊をもたらす可能性が高いと言われています。


しかし、一国の総理なのですから、当然こうした基本的な考え方をお持ちだと思います。

ですから、何か裏に公に出来ないような事情があるのかもしれません。

そうであれば、明確にそうした事情を国民に分かり易く説明していただきたいと思います。

一つ考えられるのは経済的な多大な影響ですが、何よりも大切なのは人の命です。
でも今も毎日感染者数は増えている状況なのですから、きちんと国民に説明すれば、少なくとも半数以上の国民の理解は得られるはずです。
また、空振りに終わったとしても、だからと言って現状から見れば国民からの非難はあまりないと思うのです。


とうことで、リスク管理の常識に照らせば、安倍総理はすぐにでも“緊急事態宣言”を発令し、強い外出制限をかけるべきだと思うのです。


 
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2020年04月03日
アイデアよもやま話 No.4607 空気中の微細な粒子から“黒いダイヤモンド”が誕生!?

地球温暖化の元凶と言われるCO2活用の取り組みについて、以前、アイデアよもやま話 No.3709 佐賀県で進む画期的な取り組み その1 日本初の清掃工場で発生するCO2を回収・活用する取り組み!でご紹介しました。

また、アイデアよもやま話 No.4269 低価格の合成ダイヤモンドの衝撃!では合成ダイヤモンドについてご紹介しました。

そうした中、1月14日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で空気中の微細な粒子から作られる“黒いダイヤモンド”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

指輪と聞いてまず思い浮かぶのが、透明に光り輝くダイヤモンドです。

しかし、オランダ人デザイナーのダーン・ローズガールデさんの手に光るのは真っ黒な宝石です。

この"黒いダイヤモンド"は地中から掘り出した炭素の結晶ではなく、空気中から寄せ集めた微細な粒子から出来ています。

その黒い輝きは人間社会による大気汚染の不都合な事実と持続可能な未来に向けてともり始めたかすかな光を映しています。

 

2013年、ローズガールデさんは大気汚染が進む北京の空を眺め、ある思いを巡らせました。

「わたしたちは皆、きれいな空気を享受する権利があると同時に、きれいな空気を保つ役割もある」。

人々が集まる場所の空気をきれいにできないかと考え、巨大な空気清浄装置を設置する案を思いついたのです。

 

2015年9月、オランダのロッテルダムにアルミニウムなどでできた高さ7メートルの空気清浄装置「スモッグ・フリー・タワー(SFT)」が初めて出現しました。

SFTは取り込んだ空気の中から微細な粒子を吸着し、1時間当たり3万㎥のきれいにした空気を排出します。

使うのは1170ワット程度の再生可能エネルギーが生み出した電力だけです。

これまでに中国や韓国など計7カ所でタワーを試験的に設置する「スモッグ・フリー・プロジェクト」を実施しました。

 

ローズガールデさんはSFTで集めた粒子を圧縮・成型して指輪にすることを発案しました。

出来たのが「スモッグ・フリー・リング(SFR)」です。

1つのSFRを作ることで、1000㎥の清浄な空気をもたらします。

2016年10月には北京のちりから作ったSFRを1つ250ユーロ(約3万円)で販売しました。

リングを買うことが環境保全につながると考えるカップルから人気があるといいます。

「経済的発展は海面上昇や気候変動、CO2排出などの問題を生み出しました。

今こそ創造的にその問題を解決するときなのだ」と強調するローズガールデさん。

地球を持続可能なものにするために、身の回りに無制限にあるように思える空気に価値を見出しました。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

火力発電所などから排出される大量のCO2の処理については、回収して地中に閉じ込めるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術(参照:アイデアよもやま話 No.1334 CO2を地中に閉じ込める技術CCSに注目!)という方法もありますが、この方法は“汚いモノに蓋をする”という考え方です。

こうした方法より望ましいのは、“汚いモノ”、あるいは“厄介者”を単に排除するのではなく有効活用するという考え方です。

今回ご紹介した、空気中の微細な粒子から“黒いダイヤモンド”を作るというアイデアもまさに理想的な手段の一つと言えます。

街中に空気清浄装置を設置し、汚れた空気を綺麗にし、同時に“黒いダイヤモンド”も作れるというのですから。

 

このような基本的な考え方は、無駄なエネルギーを使わずに物事に対処するうえで、いろいろな分野で参考にすべきだと思います。


 
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2020年04月02日
アイデアよもやま話 No.4606 行政も注目する“フラワーカフェ”!

1月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で“フラワーカフェ”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

花を通じて社会全体を明るくする、そんな思いで全国初の試みに挑戦する若き女性社長を取材しました。

東京の真ん中に花とスイーツが人気のカフェがあります。

これを手掛けているのは30歳の女性社長です。

このお店、若い女性だけでなく、様々な企業や行政からも注目を集めています。

 

東京・千駄ヶ谷に今話題のお店「ローランズ」があります。

緑が溢れる店内、カフェのようですが、お客の目当てはオープンサンドです。

ライ麦パンの上には甘いイチゴがたっぷり、綺麗な花びらもあしらわれています。

いろどり豊かなオープンサンドの数々、インスタグラムで若い女性たちを引き付けています。

実は、このカフェを運営しているのは隣にあるお花屋さんです。

花をあしらったスイーツも花のプロだからこそ生み出せる作品だったのです。

花屋部門のリーダーを務める高橋 麻美さん、このお店で働いて2年半になります。

高橋さんは生まれつき身体に障害があり、身長は130cmに満たないほどです。

それでも職場で不自由を感じることはないといいます。

高橋さんは次のようにおっしゃっています。

「ここで働いていると障害のことを忘れる。」

「楽しく仕事をさせていただいております。」

 

「ローランズ」のスタッフの多くは、心や身体に障害や病気を持っています。

その数は60人のスタッフのうち45人にも上ります。

カフェスペースで働く山田 涼子さん(仮名)もその一人、精神障害系の疾患を抱えています。

こちらで働き始めて約1年が経ちました。

山田さんは次のようにおっしゃっています。

「ずっとここで働きたいなと思っています。」

 

このお店を立ち上げた若き女性社長が福寿 満希さん(30歳)です。

福寿さんは次のようにおっしゃっています。

「障害者雇用のイメージを変えていきたかったなというのはすごく・・・」

「仕事自体が楽しいものになって、人らしくみんなが働けることがすごく大切かなと思ったので、・・・」

 

このお店を訪れるお客のほとんどは障害者が働いていることに気が付かないといいます。

お店の別の階では別の仕事に従事するスタッフがおります。

作っているのは法人向けのフラワーアレンジメントです。

会社の安定収入につながるだけでなく、作業そのものがスタッフに安らぎを与えています。

そのスタッフの一人、パニック症状の経験を持つ遠藤 薫さん(仮名)は次のようにおっしゃっています。

「すごく癒されます。」

「(花に)触って、感覚と匂いと色とかたちとかで。」

 

作品の質の高さが評価されていて、契約するウェディング会場の数を伸ばしています。

こうした仕事がスタッフたちの生きがいになっていました。

遠藤さんは次のようにおっしゃっています。

「人生の中の幸せの絶頂のタイミングっていくつかあるけど、そのうちの一つのところに関われるのは、気分が良すぎて体調が悪いことなど全然忘れちゃうんですよね。」

 

障害者雇用のイメージを変えたいと会社を立ち上げ、奮闘して来た福寿さん、評判は海を渡り海外から視察に訪れるほどになりました。

大学時代に特別支援学級の教員免許を取得した福寿さん、教育実習をする中で、障害者たちの働く環境に関心を持ったといい、次のようにおっしゃっています。

「(障害者が)就職が出来たとしても、例えばシール貼り続けるとか、箱を折り畳み続けるとか、単調な作業の仕事の選択肢がほとんどで、もっと働きたいという夢を持っている子どもたちがその受け入れ先になるような会社を自分がいつか作れたらいいな・・・」

 

福寿さんは、2013年、23歳の時にたった一人で株式会社LORANS(ローランズ)を立ち上げたのです。

そして、とうとう行政をも動かすことになりました。

昨年12月13日、東京都の小池知事は新たな特例を発表しました。

会見の場で、次のようにおっしゃっています。

「障害者の雇用を促進するために、全国で初めて都がこの特例を活用すると。」

「で、障害者雇用のノウハウをお持ちの一般社団法人ローランズプラス(ローランズのグループ会社)という、こちらの出資をされて、「ウィズダイバーシティ有限責任事業組合」というLLP(有限責任事業組合)を設立したと。」

 

都が国の戦略特区制度を活用し、ローランズの新たな活動を後押しするというのです。

 

この翌週、福寿さんは東京都庁にやって来ました。

東京都の担当者との打ち合わせのためです。

小池知事の会見後、福寿さんのもとには問い合わせが相次いだといいます。

障害者雇用を巡っては、一定割合を法律で義務付けられているにも係わらず、手本になるべき国ですら1.22%で基準を満たしていませんでした。(2018年12月25日付け 日本経済新聞の夕刊記事より)

ちなみに、障害者法定雇用率は以下の通りです。

国・地方自治体 2.5%

民間企業    2.2%

 

こうした問題を解決するために、今回ローランズはLLPを設立しました。

中小企業はLLPに対し、フラワーアレンジメントなどを発注すると、中小企業はその分量に応じて障害者を雇用したと見なされます。

法定雇用率を達成したいという企業のニーズは高いと見られ、LLPでは受注が増えるのに応じて障害者雇用を増やしていく仕組みです。

 

番組取材のある日、福寿さんと何人かのスタッフは植栽メンテナンスのため東京・天王洲にやって来ました。

このエリアの植栽を一手に引き受けているのです、

そきに訪ねて来たのは、植栽を発注している寺田倉庫の役員、木村 哲章さんです。

実はローランズのLLPへの参画を検討しています。

木村さんは次のようにおっしゃっています。

「うちとしても出資参画出来るということがすごくうれしくて・・・」

「もともと天王洲エリアの緑をきれいにしていくことを企業として(ローランズに)発注していたんですけど、事業を進めていくうえでも、障害者の雇用につながっていくということでもプラスになるということで、今回(LLPへの参画を)検討しているところです。」

 

福寿さんの仲間がまた一人増えそうです。

 

障害者が生き生きと働ける場を増やしたい、福寿さんの想いは今大きく花開こうとしています。

 

福寿さんは次のようにおっしゃっています。

「様々な中小企業様と協力して、チームになって障害者雇用を推進していけたらいいなと思っています。」

「生き生きと働く人たち(障害者)が増えていくのかなと思うとすごくワクワクしますね。」

 

障害や病気を持つ方を75%雇用しているローランズですが、事業成功のポイントは以下の2つといいます。

・障害の重さに関係なく、個々の得意なことを伸ばす仕事を割り振る

・各事業ごとに5人前後のチームを組み、チーム内でアイデア出しなどコミュニケーションを散り易くする

 

しかし、全国の企業、約10万社のうち、半数以上は法定雇用率を満たしていないといいます。

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「ここで何が問題なのかということなんですけども、要するに障害者の方を雇用しなきゃいけない、その基準を満たさない不足一人当たりについて、原則60万円/年を国に納めるという仕組みになっているんですよね。」

「一方で、実際に障害者の方を1人雇うにはどのくらいお金がかかるのかということですね。」

「給料や社会保障費などで年間260〜300万円かかるわけです。」

「更に、職場環境の整備(やカウンセラーとの契約)などの費用がかかるんです。」

「これは中小企業にとってコスト面で大きな負担なんですね。」

「そうすると、年間60万円であれば、納付金を納めて済ましちゃおうと、そういう企業が多いんです。」

「今回紹介された仕組みなんですけど、LLPというのは有限責任事業組合ですね。」

「そこが余力のない中小企業に代わって障害者の方を雇う、かなり大きな可能性を秘めていると思います。」

「他にかなり広がっていくといいと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

福寿さんが取り組んでいる、ローランズを通しての障害者支援の取り組みは、以下の点でとても素晴らしいと思いました。

・障害者に働く場を提供している

・そこで働く障害者が生きがいを感じている

・事業の成功に向けて、個々の障害者に適した仕事の割り振り、およびチーム制を導入している

・全国の半数以上の企業は企業障害者法定雇用率の基準を満たしていないが、この問題の解決に、ローランズの設立したLLPは大いに期待出来る

・LLPの受注増は障害者雇用増につながる

・ローランズでの活動は海外でも評判になり、海外から視察に訪れるほどになっている

 

健常者の中でも個々人でいろいろな能力に差があります。

ましてや障害者の中では、障害の部位、あるいは程度によって業務を割り当てるにあたっていろいろな制約が出てきます。

そうした中、業務に人を合わせるのではなく、個々人によって出来る範囲を見極めたうえで業務を割り当てるというのは障害者支援にあたって、とても理に適っています。

しかも、こうした枠内で見れば、健常者も障害者もほとんど対等です。

また、障害者は孤立した労働環境よりも同じ障害者同士が一つのチームで働けることは精神的にもリラックス出来ます。

 

また、多くの企業が国の定める障害者法定雇用率を満たそうとしても、現実にはコスト的に無理な中、余力のない中小企業に代わって、ローランズが障害者を雇うという方式はとても理に適っています。

更に、少子高齢化が進む中、労働力不足を補うという観点からも望ましいです。

 

ということで、福寿さんには今後とも国内での事業拡張を進め、更には海外展開にも取り組んでいただきたいと思います。

 

なお、こうした事業展開はフラワー(花)という視点だけでなく、他のいろいろな分野においても適用出来ると思います。


 
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2020年04月01日
アイデアよもやま話 No.4605 ホンダの提唱する”自由運転”から見えてくること!

1月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でホンダの提唱するクルマの”自由運転”について取り上げていたのでご紹介します。 

 

今年は自動運転技術が更に加速すると期待されています。

先週(放送時点)アメリカで開かれた世界最大の家電と技術の見本市、CESでは早くも自動運転が普及した世界を見据えた技術やサービスを約4500社が展示し、注目を集めました。

そうした中、ホンダのブースにあったのは曲線が特徴的なコンセプトカーです。

ホンダが発表したのは、自動運転ではなく”自由運転”という新しいコンセプトです。

そのコックピットの特徴は、足にアクセルやブレーキのペダルがありません。

例えばハンドルを2回タッチすると、クルマは自動で発進、ハンドルを右にこするとクルマは自動で右に車線変更するなど、簡単な操作でクルマを制御出来るのです。

そして、ハンドルを握るだけで、すぐに手動に切り替えることが出来ます。

またハンドルを離せば自動運転に切り替わります。

このシームレスな感覚が一つの特徴です。

自動運転が普及した先の技術やサービスをアピールしました。

本田技術研究所の鈴木 健之さんは次のようにおっしゃっています。

「生活の可能性を広げるためには、新しい発見や出会いを促すようなモビリティ(乗り物)を準備する必要があると考えております。」

「身体拡張装置というような、自分の身体の一部になるようなクルマを考えています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

以前お伝えしたように、私も自らハンドルを握ってドライブすることが好きなので、クルマの自動運転時代になっても、自分で運転したい時にはハンドルを操作したいので従来通りの運転操作機能を残しておいて欲しいと思っています。

今回ご紹介したホンダの提唱する“自由運転”コンセプトはまさにこうしたドライバーの要望を満たすものです。

しかし、番組ではこのコンセプトカーにはアクセルやブレーキのペダルがないと伝えていました。

では手動に切り替えた時にどのように操作するのか気になったのでネット検索したところ、ホンダのホームページ(こちらを参照)にその答えがありました。

その箇所の記述は以下の通りです。

 

「運転席」と「助手席」の間にステアリングを置いたものとなりました。普段はそのまま自動運転をすることを想定していますが、人がクルマの操作をするという場合は、ステアリングを人の前に自由に引き寄せることができる構造になっています。ステアリングを押せばアクセル、引けばブレーキになるなど、基本的な操作をすべてステアリングにまとめています。

 

「ステアリングを押せばアクセル、引けばブレーキになる」ということですが、実際の操作性はどうなのか、試乗してみたいと思います。

一方、こうした操作方法であれば、アクセルとブレーキの踏み間違いは無くなると思います。

 

番組でもう1つ気になったのは“身体拡張装置”という言葉には具体的にどのような想いが込められているのかでした。

この答えも先ほどのホンダのホームページに以下の記述がありました。

 

本田技術研究所の鈴木さんは、いわゆる『自動運転』は、Aという場所からBという場所まで、いかに効率よく移動できるかという部分に行きつくと考えています。しかし、それでは「目的地」があることが前提で、目的地が決まらないと運転できないということに「不自由さ」を感じていました。目的地を決めず、心の赴くままにどこへでもドライブする。自由運転が目指す方向性を、鈴木さんは「散歩」という言葉に例えます。

 

確かにクルマを散歩感覚で利用出来たら楽しいと思います。

そこで、思いついたのはその時の気分で行きたい場所、あるいはコースをドライブ出来ることです。

例えば、「海岸沿いのドライブで3時間ほどで帰宅出来るコース」をカーナビに指定するとカーナビがいくつかのコースを表示してくれて、そこから自分がコースを選択すれば、後はクルマが自動運転でドライブ出来るというようなイメージです。

 

ここで更に思いついたのは、では途中どこで休憩し、散歩し、どこでどのレストランで食事をするか、あるいは途中電車に乗ったり、サイクリングしたいというようなことです。

更に、どの区間は自分で運転したいというような要求も出てきます。

また更に、区間によってオープンカーに乗りたいという贅沢な要求もあり得ます。

また、泊りがけのドライブであれば、宿泊施設はどこにするかということも出てきます。

ここまで自分の要求を具体的にしていくと、どこかのクルマメーカーだけの枠内では対応出来ないということに思い当たります。

では、こうしたトータルな行動要求に応えようとすると、やはりMaaS(参照:アイデアよもやま話 No.4335 MaaSで進む交通モビリティ全体の最適化!)というコンセプトに行きつきます。

 

ということで、個々人がプライベートタイムを目いっぱい楽しむうえで、移動手段という観点から見ると、単に“自動運転”や“自由運転”という枠内で対応しようとしても無理が生じるのです。

更にこうした先には空飛ぶ自動車時代の到来が見通せます。

こうしてみてくると、実用化が近づいているクルマの自動運転ですが、その先にはまだまだいろいろな可能性が広がっているのです。


 
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2020年03月31日
アイデアよもやま話 No.4604 世界初 電気を溜められる液体!

1月5日(日)放送の「未来の起源」(TBSテレビ)で電気を溜められる液体について取り上げていたのでご紹介します。 

 

物質・材料研究機構の中西 尚志さんは柔らかい材料の開発を行っていますが、今回開発したのは電気を溜めることが出来る液体です。

これまで電気をためる個体はありましたが、液体は世界初です。

布に染み込ませて電極で挟めば、振動を電気に変える柔らかい電子部品を作ることが出来ます。

靴の中敷きなど、体を動かすだけで発電が可能になるのです。

今後は液体の中に電気を溜める量、耐久性の改善などに取り組むといいます。

 

なお、ご自身の研究の原動力について、中西さんは次のようにおっしゃっています。

「教科書に載るような科学として何かを遺したい。」

「商品化されて使われるような材料を開発したい。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

液体は固体とは違って、様々なかたちに変化することが出来ます。

ですから、どんなかたちであれ、ちょっとした空間があれば液体は存在することが出来ます。

そうした媒体に蓄電出来る技術が実用化されれば、バッテリーとしての用途は格段に増えます。

しかし、課題は番組でも指摘しているように蓄電密度、耐久性、寿命、安全性あるいはコストです。

こうした課題が今後どの程度クリア出来るかがとても気になりますが、中西さんには課題を解決し、液体を媒体としたバッテリーの新たな可能性の開拓にチャレンジしていただきたいと思います。


 
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2020年03月30日
アイデアよもやま話 No.4603 冬季のタイヤのバーストに注意!
今年は暖冬と言われていますが、それでも気温の変化が激しく、寒い日もあります。
私の住む横浜市内でも昨日は今冬初めて雪が降りました。

そうした中、1月24日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で冬季のタイヤのバーストについて取り上げていたのでご紹介します。

 

寒くなると注意が必要なことがあります。

それはタイヤのバースト(破裂)です。

気温が下がると、タイヤのバーストが原因による横転事故が起き易くなります。

自動車評論家の国沢 光宏さんは次のようにおっしゃっています。

「冬場になって気温が下がってくると、(タイヤの)空気圧が低くなるので、極限まで減っていればバーストする可能性は出てきます。」

 

こうしたタイヤのバーストが原因による横転事故を防ぐためには、スタッドレスタイヤに交換する際、空気圧をしっかり点検することが大切だといいます。

JAF提供の実験映像では、高速走行を始めると、空気圧が充分ではないタイヤはしだいに変形、タイヤの温度が一気に上昇し、破裂してしまいました。

 

こうした事故防止のためには日頃、ガソリンスタンドやディーラーでのセルフチェックが非常に重要だとJAFでは注意喚起しています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

タイヤのバースト事故について、もう少し詳細が知りたくなり、ネット検索したら以下の記述を見つけたのでご紹介します。(詳細はこちらを参照)

 

パンクなどを含めたタイヤ故障による日本自動車連盟(JAF)の救援件数はこの10年で十数万件も増え、2018年度は約41.5万件に達した。帰省のため長距離を走る年末年始に要請が多いという。

 

タイヤには指定空気圧がある。これを下回ると空気圧不足になる。日本自動車タイヤ協会によると、乗用車用タイヤの空気圧は1カ月で5〜10%程度低下する。少なくとも月1回の空気圧点検を呼び掛けている。

 

ところが、月1回の空気圧点検を怠る人が少なくない。JAFの2017年のアンケートで、1ヵ月以内の感覚でタイヤ点検する人は27.4%にとどまった。

 

東名高速道路浜名湖サービスエリアで日本自動車タイヤ協会が2019年10月に実施したタイヤ点検では、乗用車の48.8%が空気圧不足だった。アンケートでは、空気圧点検は月1回以上が13.7%にとどまり、最も多かったのが年2回程度で43.6%だった。

 

以上、ネット検索の結果をご紹介しました。

 

2019年のJAFによる高速道路でのタイヤ点検で、乗用車の半数近くが空気圧不足だったという結果には驚きます。

この結果は、タイヤの空気圧点検が習慣化されていないケースが多いことを示しています。

JAFでも指摘しているように、タイヤのバーストは空気圧をしっかり点検してさえいれば防げるのです。

しかし、こうした状況ではバースト事故が起きてしまうリスクはなくなりません。

 

そこで、バースト事故防止の対応策を一つ思い付きました。

それはIoT(モノのインターネット化)技術を応用したタイヤ空気圧の自動チェックです。

タイヤに空気圧を自動でチェック出来るセンサーを取り付け、空気圧がある数値以下になったらスマホなどに知らせるというものです。

こうすれば、ドライバーはタイヤの空気圧を気にしなくても、適切なタイミングでガソリンスタンドやディーラーで空気圧の補充を依頼出来ます。

そして、バースト事故を一気に減らせるようになります。

 

問題は、こうしたセンサーを実際にタイヤに取り付けることが出来るか、そしてその価格がどのくらいかですが、バースト事故はそのクルマだけでなく、その周囲を走行中のクルマをも巻き込んでしまう大事故発生の可能性があります。

ですから、どのクルマにとっても他人ごとではないのです。

こうしたことから、タイヤメーカーやセンサー関連企業には早期に空気圧を自動でチェック出来るセンサーを市販化していただきたいと思います。

 

さて、こうした事故対応策とは別次元の対応策を思い出しました。

それは、空気不要のタイヤ(エアレスタイヤ)(参照:アイデアよもやま話 No.4471 空気が要らないタイヤ!)です。

5年後の実用化と目指すとしていますが、これこそ究極のタイヤのバースト事故防止対応策だと思います。


 
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2020年03月29日
No.4602 ちょっと一休み その714 『盛田昭夫の金言!』

昨年10月5日(土)放送の「あの人に会いたい アンコール」(NHK総合テレビ)で 元ソニー会長の盛田昭夫について取り上げていました。

そこで、番組を通して盛田昭夫の金言を中心に紹介します。

 

ソニーの創業者、盛田昭夫(1990年 78歳没)はミスタージャパンとも呼ばれる国際的な経済人でした。

1921年、盛田昭夫は江戸時代から続いた造り酒屋の長男として生まれました。

子どもの頃から電気に興味を持った盛田昭夫は大阪帝国大学の理学部に進学、海軍の技術研究所に勤めます。

そこで生涯のパートナー、井深大に出会います。

戦後20人ほどで始めた町工場を井深大とともに世界的な企業、ソニーへと育て上げました。

 

盛田昭夫は番組の中で次のようにおっしゃっています。

「よくアメリカやヨーロッパの人が「お前、アメリカの発明を使ってそれでモノを作って攻めてくるのはけしからん」と怒るんですね。」」

「私は、そうじゃないと。」

「科学とか学問なら発明をするということは非常に大事なんですけども、私はビジネスマンですと。」

「発明とか技術だけではビジネスは成り立ちませんと。」

「やっぱりその技術を使ってどういう製品を作るか、それをどうしてみんなが良いモノを安く使えるように作るか、そのプロダクトプランニング(製品計画)とプロダクション(製造)というところにもう1つ、発明が要るんですと。」

「それで、今度は出来ても、それを売りに行きますと、新しいモノって、大体世の中の人は分かんないから買ってくれないんですね。」

「ですから、これをマーケティングする、売り広めるには非常に新しい発明、創造的マーケティングが要るんですね。」

 

「トランジスターラジオの時に、アメリカの会社の方が実は私のところより4ヵ月くらい早く作ったんです。」

「で、私は、世界最初って言われますけど、実は二番目なんです。」

「ところが、その時私はセールスマンでアメリカに売りに行ったんです。」

「あっちも売り始めたわけですね。」

「そしたら、その頃アメリカではハイファイという真空管の大きなスピーカーのラジオが流行り始めて、なんでそんな小さなおもちゃみたいなラジオを買うかというんですね。」

「その時にアメリカの会社は、これは売れないと思って、それで止めてしまったんですね。」

「私はみんなと相談して、いや、これは売り方を考えなきゃいけない。」

「ニューヨークに20ものラジオ局があるのに、そんなでっかいラジオで家中に鳴っていたら、せっかくラジオがあるのに一つしか聴けないじゃないですか。」

「20局あったらみんな一人ひとりが自分のラジオを持って、自分の好きなプログラム(番組)を聴いた方がいいでしょ。」

「ラジオというのは個人で持つものだという考え方で売ろうじゃないかと思って一生懸命売ったわけです。」

「ですから、売り方にも一つの発明があるわけですね。」

「だからアメリカやヨーロッパの人が、俺の発明使ってすぐ攻めてくると言うけど、そうじゃないと。」

「日本の産業というのはやはりモノのプロダクトプランニングとその売り方というところにも発明するのと同じくらい努力しているんですよ。」

「だから、あなた方も日本に来るならそれだけの努力をして下さいよと言うんですけど、アメリカだってちゃんと努力している会社はあるんで、そういう会社は日本でもちゃんとやっているんですね。」

「だけどまあ、日本人というのは一生懸命苦労してきたんですから、ここまで。」

「しかし、まあ、あんまり苦労して自分の努力に集中するあまり、今度は相手の迷惑もちょっと考えないといかんわけですからね。」

「まあ、そこら辺のところで日本の産業もビジネスマンもちょっと大人にならなきゃいけない時に来てるんですね。」

 

「我々は新しいものをしょっちゅう考えているわけですから、そういうヒントっていうのはどこで出てくるか分からないんですね。」

「いろんな発明をした人が風呂の中で考えたり、寝てて考えたりするわけですけども、しかし一番大事なことは、私はうち(ソニー)の連中に言うんですけどね、好奇心を失わないことだと思うんですね。」

「私は好奇心の塊ですから、いつでも「あれは何だ、これは何だ」と(聞きます)。」

「子どもはね、「何、何とか、なぜ、なぜ」と言いますわね。」

「だんだん大人になるに従って当たり前になっちゃうわけね。」

「(物事を)当たり前に思うようになったらおしまいなんですね。」

「我々はやっぱり好奇心を無くさないようにすることが一番大事だと私は思っています。」

 

1980年代の日米貿易摩擦のさ中、盛田昭夫は国際社会での日本のあり方を訴えます。

相手を理解しつつ、自らも主張する姿勢、企業に必要な独創性など、数多くの提言を残しました。

 

夢を持ち続け、人を真似るのではなく、自分自身で発見し、創造する、盛田昭夫のベンチャー精神は今も息づいています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回お伝えしたい盛田昭夫の金言は以下の2つです。

 

「日本の産業というのはプロダクトプランニングとその売り方というところにも発明するのと同じくらい努力しているんですよ。」

 

「我々はやっぱり好奇心を無くさないようにすることが一番大事だと私は思っています。」

 

なお、好奇心の重要性については、私もこれまでNo.56 好奇心が大切!No.3924 ちょっと一休み その631 好奇心 感動 目標 アイデア 実行 達成!』などで何度となくお伝えしてきました。

 

ちなみに、先日、以前録画しておいた映画「陽はまた昇る」(2002年)を遅ればせながら観ました。

そのあらすじは、ざっと以下の通りです。

1970年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が初めてマイナス成長に陥った。そんな中、家電メーカー業界8位、日本ビクターの本社開発部門に勤める、あと数年で定年を迎える開発技師、加賀谷静男が事業部長として赤字続きの非採算部門である横浜工場ビデオ事業部への異動と大幅な人員整理の厳命が下る。だが、人材こそ何よりの財産と考える加賀谷は、ひとりの解雇も出さないために極秘のプロジェクト・チームを結成。本社に悟られぬようにしながら、家庭用VTRVHSの開発に着手する。ところが数年後、家電メーカーの雄・ソニーがベータマックスを発表。足踏み状態の続くビデオ事業部は崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望を託し、開発を続けた。そして、遂にベータマックスを超える、録画が可能な試作機が完成する。しかし、その時既にベータマックスは国内規格として採用されようとしていた。このままでは、自分たちの努力が水泡に帰してしまう。そこで加賀谷は大阪へ向かい、親会社である松下電器相談役・松下幸之助にVHS方式の採用を直訴。果たして、加賀谷の願いは聞き入れられ、その結果、ひとりの解雇者も出さずにVHS方式のプレイヤーの販売にこぎ着けることに成功するのだった。

 

さて、録画方式の規格統一に向けて、他の多くのメーカーがソニーのベータマックス方式に参加する意向を示している中、どうして松下幸之助がVHS方式の採用を決断したのか、その最大の理由は録画時間の両者の差だった。録画時間はベータマックス方式が1時間、それに対してVHS方式は倍の2時間だったのだ。そのきっかけを与えてくれたのは、横浜工場ビデオ事業部所属で、リストラの結果、慣れない営業に回された一人の技術者からの提言だった。この技術者は営業に出向いて、いろいろなお客から録画時間は短くても2時間は欲しいという声を聞いていたのだ。このことをプロジェクトチームに伝え、急きょ設計要件に加えられた。この録画時間2時間の壁はとても高く、チームのメンバーは寝る間を惜しんで試作機完成まで頑張り抜いた。

 

さて、この映画は日本ビクターの視点から作られていますが、私はこの映画を観て、すぐに今回ご紹介しているテレビ番組「あの人に会いたい アンコール」を思い出しました。

盛田昭夫はプロダクトプランニングや売り方も発明とおっしゃっていますが、残念ながらビデオレコーダーの開発におけるソニーのプロダクトプランニングは失敗だったと思います。

ユーザーの立場から考えれば、放映される映画や一部の特集番組などは大体2時間ほどの時間枠です。

ですから、これらの番組を録画出来るかどうかはビデオレコーダー購入条件としてとても重要なのです。

もし、ソニーがベータマックス方式のビデオレコーダーの開発時に、お客の潜在的な要望もしっかりと把握し、あるいは開発陣のメンバーが好奇心を持って自らいろいろな使い方を試行していれば、設計要件を録画時間は少なくとも2時間以上と設定し、ビデオレコーダーの規格はベータマックス方式ですんなりと統一されていたのです。

 

今や、あらゆる製品やサービスのグローバル化が進んでいます。

ですから、どんなに優れた商品やサービスでもグローバル化を考慮した販売方法を発見しなければ大きな売り上げには結びつかないのです。

そういう意味で、盛田昭夫の指摘しているように、プロダクトプランニングや売り方も発明だという意識を持つことはとても重要なのです。

 

ちなみに、ソニーはその後、1979年に発売した小型の再生専用音楽プレーヤー「ウォークマン」を世界的に大ヒットさせましたが、この商品に関してはプロダクトプランニングにおいても売り方においても大成功した大変な発明だったと思います。

 

さて、今やネット社会が完全に根付いています。

同時にAIやロボット、あるいはIoTなどの技術も日進月歩で進化し続けています。

それでもやはり、こうした技術の発明だけでなく、プロダクトプランニングや売り方の発明に対する認識を持ち続けることの重要性は変わらないと思うのです。


 
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2020年03月28日
プロジェクト管理と日常生活 No.634 『コロナショックとリーマンショックは似て非なるもの』

世界各地で感染が拡大する、中国の武漢に端を発した新型コロナウイルス肺炎について、3月11日、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べて世界的な大流行になっているとの認識を示したうえで、各国に対して対策の強化を訴えたと報じられています。

そうした中、3月16日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコロナショックとリーマンショックとの相違、および対応策について取り上げていたのでご紹介します。

 

(発生源)

リーマンショック:アメリカの住宅ローン

コロナショック :中国の武漢

共通点     :世界への波及(*) 


* リーマンショックの場合は、アメリカでの住宅ローンを束ねた商品化商品が世界に広がったが、コロナショックの場合は、春節などの旅行で中国人が世界中に行ったことで広まった

    また、リーマンショックの場合は、アメリカの問題がフランスのパリバショックというかたちで顕在化したが、コロナショックの場合は、アジアの問題だと思っていたら、イタリアで感染が爆発的に広がった

 

(メカニズム)

リーマンショック:金融機能のマヒ ⇒ 世界的な需要の蒸発

コロナショック :世界的な消費蒸発の懸念 ⇒ 金融不安の拡大

相違点     :双方で金融と消費の影響の流れが逆

 

(対応策)

リーマンショック:アメリカの銀行に公的資金を注入

         大規模な財政・金融政策

コロナショック :検査体制・病院の確保

         ワクチンの開発

         消費の喚起

         企業・雇用の支援

 

なお、リーマンショックの際には中国が一気に4兆元(現在の交換レートで約60兆円)の景気対策を実施しました。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「まさに中国が世界経済の歯止め役になって、結果として中国の台頭が加速したわけです」。

「一方で、今回(のコロナショック)なんですけども、その中国のパワーはリーマンショックの時とは違います。」

「まさにコロナショックの発生地ですからね。」

「で、どうなるのかというと、世界各国はどうも自分を囲い込む、ブロック化が進むんじゃないのかということが懸念されるところです。」

「ブロック化が進んでしまいますと、もう世界活動が委縮しますので、どうやってその誘惑を抑えるのかというところが今回のポイントになってくると思います。」

「(これで経済が回っていくのかという問いに対して、)一番悪いケースは1930年代のようにブロック化が世界経済の収縮と戦争を招いてしまうような事態ですね。」

「それはどうしても防がなければいけないと思います。」

 

一方、番組コメンテーターでピクテ投信投資顧問 シニア・フェローの市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「まさに今、EUのブロック化が進みそうになってきていますので、そういったところにもきちっと対応していかなければいけないと思うんですけども、まず重要なことは滝田さんがおっしゃっておられましたように、コロナウイルスの感染の拡大をいかに抑止するか、これが一丁目一番地だと思うんですね。」

「こういった感染対策というのは、基本的には3つのプロセスから成ると思うんですけど、一つ目は感染拡大の抑止、これが最重要です。」

「今日(3月16日)、この点については日銀の政策は評価しますけど、二番目は信用不安をいかに緩和していくかという。」

「それがある程度目途が立ってきた段階で、(三番目の)本格的な景気対策を打つということだと思うんですね。」

「で今回、トランプ大統領が間違えてしまったのは、三番目から行ってしまったわけですね。」

「これ多分、大統領選挙を相当気にされたからだと思うんですけども(新型コロナウイルスを)過小評価してしまったと。」

「ところが、その間にアメリカで感染が急激に拡大することによって、いかにFRBが利下げをしても心理的に「もっと感染が広がってしまうんじゃないか」というところに人々の気持ちが行ってしまっていると。」

「ここは日本政府が非常にうまく対応したところで、いろいろ批判はありましたけれども、大規模イベントの中止要請をしたりとか、小中高校の休校の要請をしたりとかいうことで、そういう意味ではやはり世界がまず一番目の感染拡大の阻止をして、それに耐えることによって次のステップにいつ移行出来るか、これがポイントになると思いますね。」

「これは副作用を伴います。」

「消費をかなりギュッと締めなきゃいけない面はありますけど。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新型コロナウイルス肺炎がこれほど世界中の多くの人たちに感染し、また経済的にもリーマンショックと比較されるほどの影響を与えると想像出来た人はほとんどいなかったと思います。

そして、今のところ、世界的な視点でいつ新型コロナウイルス肺炎が終息に向かうのか分からないような状況なのです。

 

今回の問題への対応にあたってまず思うのは、世界的にどの国もパンデミック(感染症の世界的な大流行)クラスの感染症を想定したリスク対応策がきちんと整備されていなかったということです。

 

このことは置いておいても、新型コロナウイルス肺炎の問題は、中国の湖北省武漢で新型コロナウイルス肺炎の発生が確認され、武漢当局が昨年12月30日に「原因不明の肺炎患者確認」を公表した後、速やか、かつ適切な対応がなされていれば、中国の一部の地域内での感染騒ぎで済んだはずなのです。

 

世界中の人たちは、このことについて大いに認識する必要があります。

そして、世界保健機関(WHO)を中心に、新型ウイルスによる感染症の再発防止策として世界共通のガイドラインの発行が求められます。

こうしたガイドラインがあれば、今回のようなパンデミックになるまでのリスクを防げると思うのです。

ただし、こうしたガイドラインを有効なものとするためには、各国の国内における情報の風通しがよくなくてはなりません。

こうした意味では、特に中国においては、共産党一党独裁による権力集中の弊害を取り除く必要があると思います。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.632 『中国、ビッグデータで新型コロナウイルス肺炎の感染経路を特定!』

こうしたガイドラインが作成され、中国の中央政府と地方政府との間の風通しがよくなっていれば、もし今回と同様の新たな感染症が発生したとしてもパンデミックには至らなかったと思うのです。

 

さて、番組を通して分かるように、新型コロナウイルス肺炎と比較されるリーマンショックは似て非なるもので、原因は全く異なります。

ですから、対応策も当然異なるのです。

また、個々の国による具体的な対応策の相違は当然あってもいいのですが、大きな枠でのプロセスは同じであるべきです。

そうした中で、トランプ大統領の今回の対応策で気になるのは、市川さんの指摘されているように、当初のその影響の過小評価による、感染拡大の抑止よりも景気対策を重視してしまったことです。

その結果、感染拡大を許し、金融政策の効果を少なくしてしまったのです。

ですから、リスク対応策に限らず、今回のような大きな問題の発生においても出来るだけ早期に、しかも適切に対応することがとても重要なのです。

 

ということで、まだまだ新型コロナウイルス肺炎の世界的な収束は見えませんが、一段落したところで感染病のパンデミックにおける世界各国共同での再発防止策の検討をすべきだと思うのです。


 
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2020年03月27日
アイデアよもやま話 No.4601 地球温暖化対策に最も積極的なイギリス その3 原子力発電所の廃止、および脱炭素化の推進!

イギリス大使館からの1月31日(金)付けメールでイギリスの地球温暖化対策について取り上げていました。

そこで、3回にわたってその内容をご紹介します。

3回目は原子力発電所の廃止、および脱炭素化の推進についてです。

 

洋上風力発電を推進する一方で、イギリスが脱炭素化に当たり、再生可能エネルギーの他に不可欠なエネルギーとして捉えているのが原子力発電です。

現在、イギリスの電力に占める原子力発電の割合は約20%ですが、イギリスは廃止措置と新規建設を組み合わせて、その割合を将来も維持していく考えです。

国際通商部の原子力担当である荻原澄恵商務官は次のようにおっしゃっています。

「イギリスは1956年に世界で初めて民生用原子力発電所(コールダーホール)の建設をし、1940年代から原子燃料生産・再処理も行うなど、安全性の高い原子力発電所の運転と廃止措置の経験において、世界をリードする存在です。」

 

イギリスと日本は、1960年代の東海原子力発電所(茨城県東海村)の共同建設以来、原子力の歴史を共有しており、老朽化した原子力施設の廃止措置は、両国に共通する課題となっています。

原子力発電所の廃止措置は、あくまで原子力サイクルの一工程で、安全かつ効率的に、コストをかけずに実施することが重要となります。

過去のイギリスでは、最先端技術を使用することを重視し過ぎる傾向がありましたが、原子力発電所の廃止措置は数十年単位の長期の作業になるため、現在ではその廃止措置のプロセスをいかに管理するかが重視されています。

革新的な技術ソリューションの導入と並行して、目的に合わせた「人」と「プロセス」を適切に配備することが、効率的に廃止措置を進める鍵になります。

既にイギリスでは30年以上にわたって廃止措置に取り組んでおり、その知識や経験は日本で生かされるはずです。

 

スコットランド北部のドーンレイ高速増殖炉、イギリスは原子力発電に関して70年以上の経験と知識を併せ持っています。

既に福島第一原子力発電所の廃止措置に関して、イギリスの企業が協力を行っています。

例えば、3Dマッピングで放射線を視覚化する技術を持つ企業や、廃止措置のプロジェクトを計画し管理をサポートする企業が、福島でサービスを提供しているのです。

荻原商務官は、原子力における日英両国の強い結び付きを次のように指摘しています。

「日本原子力研究開発機構(JAEA)は長年、イギリス原子力廃止措置機関(NDA)と協定を結んでおり、日本の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃止措置にも、スコットランド北部のドーンレイ高速増殖炉で同型の廃止措置の経験を持つ、イギリスの知見が生かされています。」

 

島国である日英両国は、古い原子力発電施設が、スペースの限られた海岸沿いの農村地域に位置している共通点を持っています。

地域住民への説明や、廃止措置後の用地の利用についても、日本はイギリスに学ぶ面が多くあり、今後も日英両国の経験の共有は続きます。

今脱炭素化に向けて求められているのは、業界やステークホルダー(利害関係者)の「原子力施設の効果的な運転」から「卓越した廃止措置実施」への意識改革ともいわれています。

 

駐日イギリス大使館では、2020年2月17日から28日までの約2週間、「Clean Growth Week(クリーン成長週間)」という名称でイベントを開催します。

期間中は、洋上風力発電産業に関連するイギリス企業15社が参加するトレードミッション(展示会・商談会)や、原子力の日英協働を成功させる環境づくりをテーマにした、日英原子力産業フォーラムなどが行われます。

また期間中の2月19日には、脱炭素化を進めるイギリスで、今どのような投資の機会があるのか、先進的なスマートシティープロジェクト・最新テクノロジーの紹介や、各種ファンドの情報を含めて、日本の投資家向けのイベントが開催されます。

イベントを締めくくるレセプションでは、日本の革新的なテック企業を表彰する「テック・ロケットシップ・アワード」が実施されます。

アワードの対象企業は、革新的かつテクノロジー主体の日本のスケールアップ企業で、イギリス未進出の会社です。

また将来的にイギリスでのビジネス展開に関心を持つ会社です。

アワードの受賞企業は、イギリスの最先端のテクノロジーを体験出来るイギリス視察ツアーに招待され、イギリス政府が成長のチャンスをサポートします。

アワードには4分野あり、その一つが「Clean Growth」。プロジェクトの規模に関わらず、脱炭素化に挑戦するスケールアップ企業を応援する予定です。

 

国際通商部の小川逸佳・対英投資上級担当官は次のようにおっしゃっています。

「イギリスには、欧州のブレーンとしての能力と実績があり、スタートアップを支えるエネルギッシュなエコシステムが構築されています。」

「欧州のAIスタートアップの約半数がイギリス企業で、IPO(新規株式公開)企業、ユニコーン企業は欧州最多。投資は活況で、教育水準が高く、柔軟性を持った世界トップクラスの人材が集積しています。

受賞企業には、欧州進出の足掛かりとして、まずその第一歩をイギリスから始めてほしいと考えています。」

 

またカウワン担当部長は、最後に次のようにおっしゃっています。

「気候変動は地球の危機ですが、むしろそれをビジネスチャンスと捉えてほしい。」

「イギリスのクリーン成長戦略を見て分かるように、脱炭素化と経済成長は両立します。」

「そのイギリスの知見が生かされる、日英のコラボレーションが数多く成立することを願っています。」

「今年11月にイギリスで開催する予定のCOP26(気候変動枠組条約の第26回締役国会議)と世界の脱炭素の必要性を背景に、2月17〜28日の二週間、イギリス大使館ではClean Growth(脱炭素と経済成長) GREAT Weekを開催し、さまざまなイベントを予定しています。」

「アフリカ地域での日英協力による再生可能エネルギーの供給といった第三国での取り組みについてもこの間協議します。」

Clean Growth GREAT Weekを通じて日英のコラボレーションをこれまで以上に深化させることを期待しています。」

 

クリーン成長ならびにClean Growth GREAT Weekに関連する情報はこちらでご覧頂けます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

洋上風力発電を推進する一方で、イギリスが脱炭素化に当たり、再生可能エネルギーの他に不可欠なエネルギーとして捉えているのが原子力発電ですが、気になるのは、現在、電力に占めるその割合は約20%で、その割合を将来も維持していく考えというところです。

イギリスはクリーン成長戦略を掲げ、温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言していますが、やはり再生可能エネルギーだけでの目標達成は無理ということなのでしょうか。

 

しかし、安全性の高い原子力発電所の運転と廃止措置の経験において、世界をリードする存在といいます。

そして、イギリスと日本は1960年代の東海原子力発電所(茨城県東海村)の共同建設以来、原子力の歴史を共有しているという事実を今回初めて知りました。

老朽化した原子力施設の廃止措置は、両国に共通する課題となっていますので、福島第一原発事故後の廃炉作業を進めるうえで、こうした取り組み年数の長いイギリスは良き相談相手になると期待出来ます。

また、日本の高速増殖炉もんじゅの廃止措置にも、スコットランド北部のドーンレイ高速増殖炉で同型の廃止措置の経験を持つ、イギリスの知見が生かされているといいます。

 

また、駐日イギリス大使館では、2020年2月17日から28日までの約2週間、「Clean Growth Week(クリーン成長週間)」という名称でイベントを開催することについては、海外進出を目指す日本の革新的なベンチャー企業にとってはチャンスを得るとても良い機会になると思われます。

 

なお、カウワン担当部長のおっしゃるように、気候変動は地球の危機ですが、それは大きなビジネスチャンスでもあるのです。

そして、イギリスの成功体験から脱炭素化と経済成長は両立出来ると言えるのです。

ですから、今後国内から再生可能エネルギー関連ビジネスを目指すより多くベンチャー企業が誕生し、イギリスなど海外の企業や研究機関などとも連携し、事業を成功させて欲しいと思います。

 

さて、こうした流れがある一方で、3月11日(水)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)によれば、原発についても福島第一原発では廃炉作業に最長40年かかるとされています。

更に、その敷地内には放射性物質を含む水を溜めこむ高さ10mほどのタンクが現在1000近く設置されており、1週間に1本のペースで今も増え続けております。

東京電力によれば、2022年の夏頃には全てのタンクが満杯になるとしています。

しかも、これらの汚染水の処分方法は未だに決まっていないのです。

 

こうした日本の状況を考えると、やはり日本政府にもイギリスと同様に2050年まで電力を再生可能エネルギーだけで賄うという挑戦的な方針を打ち出していただきたいと思います。

その際、再生可能エネルギーといえば、太陽光発電がその中心的な存在ですが、固定価格買取制度(FIT)の期間の終了を迎えつつあるので、今後の普及はそれほど見込めません。

また、メガソーラーは、環境破壊のリスクを伴います。

 

そうした中、アイデアよもやま話 No.4250 ユーグレナ バイオ燃料プラントを完成!アイデアよもやま話 No.4589 ノーベル賞級の画期的な発明 ― 電気不要、水と触媒だけで水素を製造出来る!?でご紹介したように新しい再生可能エネルギーは既に実用化されているのです。

ですから、真剣にこうした新しいエネルギーの普及拡大に取り組めば、日本が世界のエネルギー政策をリード出来る立場になるのも夢ではないと思うのです。

 

ということで、是非、日本政府には真剣にエネルギー政策に取り組んでいただき、世界各国が参考に出来るような素晴らしい政策を打ち出して欲しいと思います。


 
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2020年03月26日
アイデアよもやま話 No.4600 地球温暖化対策に最も積極的なイギリス その2 地域社会の経済活性化にも貢献する洋上風力発電!

イギリス大使館からの1月31日(金)付けメールでイギリスの地球温暖化対策について取り上げていました。

そこで、3回にわたってその内容をご紹介します。

2回目はイギリスの洋上風力発電についてです。

 

イギリス・国通商部の宮北幸代上席商務官は次のようにおっしゃっています。

「イギリスには大規模なデベロッパー(開発業者)が存在しないため、政府は定期的に電力買い取り価格のオークションを実施し、世界から投資を募り、外資系の企業を上手に取り込みながら、地域のサプライチェーンを構築しています。」

「そして、デベロッパーやパブリックセクター、教育機関が連携したクラスターを整え、生産性や競争力向上、イノベーションの創出を通じて地域経済の成長を後押ししています。」

 

洋上風力発電のプロジェクトには、プロジェクト管理や建設、運転や保守というウィンドファーム(集合型風力発電所)の全要素が含まれ、地域に雇用を生み出します。

イギリス政府は2030年までに洋上風力発電の設備容量を30GW(現在の約4倍)に拡大する予定で、約2万7000人の雇用を創出すると見込んでいます。

同時に、国内部品の調達率60%を達成する目標も掲げています。

 

そもそもなぜイギリスは、洋上風力発電を推進するようになったのか、宮北上席商務官は次のようにおっしゃっています。

「イギリスにはもともと、北海油田のオイル&ガス事業のエンジニアリングで培われた技術があり、それが強みとしてあります。」

「洋上の構造物や海底・海中調査などのノウハウは、洋上風力発電の設置にも生かされており、実際にオイル&ガスの分野で強みを持つ企業が洋上風力発電に参入するケースが多くなっています。」

 

イギリス政府は、洋上風力発電に革新技術を導入するため、2013年にイギリスの研究・試験施設と専門家が結集したイギリス洋上再生可能エネルギー・カタパルト(Offshore Renewable Energy Catapult)を創設し、同時に巨額の公共研究開発(R&D)費を投入し、風力タービンの大型化による定格出力の向上をはじめとする各種イノベーションを通じて、ここ数年で大幅なコスト削減を実現しています。

 

イギリス内に8カ所ある洋上風力発電のクラスター(集団)のうち、ハンバー(Humber)のプロジェクト・オーラではハル大学を中心にメーカー、開発者、サプライチェーン、学術界、イノベーション機関など官民が一体になりクラスターを形成しています。

そのイギリス政府が今取り組んでいるのが、洋上風力発電の世界市場に最先端のスキルや専門性を提供することで、その重要なターゲットの一つが日本市場です。

 

日本はイギリスと同じ島国で国土も広くないことから、洋上風力発電の市場として潜在的に大きな可能性があると見なされています。

ただし水深の浅い大陸棚の多いイギリスと違い、日本は海底が深いため、着床式(基礎が地面に固定されたもの)ではなく浮体式(洋上に浮かんだ浮体式構造物を利用したもの)の洋上風力発電が求められます。

宮北上席商務官は次のようにおっしゃっています。

「現在イギリスでは、世界各地の水深の深い海域への設置に対応するため、浮体式構造のイノベーションにも取り組んでいます。」

「既に日本の商社や電力会社の一部が、イギリスの洋上風力発電のプロジェクトに投資しており、イギリス企業とのパートナーシップを基に、その技術やノウハウを日本に導入する試みが始まっています。」

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

イギリスの洋上風力発電の取り組みにおける特徴を以下に要約してみました。

・イギリスには大規模なデベロッパー(開発業者)が存在しない

・政府は定期的に電力買い取り価格のオークションを実施し、世界から投資を募り、外資系の企業を上手に取り込みながら、地域のサプライチェーンを構築している

・デベロッパーやパブリックセクター、教育機関が連携したクラスターを整え、生産性や競争力向上、イノベーションの創出を通じて地域経済の成長を後押ししている

・イギリス政府は2030年までに洋上風力発電の設備容量を現在の約4倍に拡大し、約2万7000人の雇用を創出すると見込んでいる

・同時に、国内部品の調達率60%を達成する目標も掲げている

・イギリス政府は、洋上風力発電に革新技術を導入するため、2013年にイギリスの研究・試験施設と専門家が結集したイギリス洋上再生可能エネルギー・カタパルト(Offshore Renewable Energy Catapult)を創設し、同時に巨額の公共研究開発(R&D)費を投入し、各種イノベーションを通じて、ここ数年で大幅なコスト削減を実現している

・イギリス政府が今取り組んでいるのが、洋上風力発電の世界市場に最先端のスキルや専門性を提供することで、その重要なターゲットの一つが日本市場である

・イギリスでは、世界各地の水深の深い海域への設置に対応するため、浮体式構造のイノベーションにも取り組んでいる

 

こうして見てくると、イギリスは洋上風力発電を再生可能エネルギー発電の大きな柱とし、以下のような要件をうまく組み合わせて大きな1つの戦略として展開しているように思えます。

・自国に不足している大規模なデベロッパーや資金については海外の機関投資家や企業を取り込むこと

・同時に地域のサプライチェーンを構築すること

・デベロッパーやパブリックセクター、教育機関が連携したクラスターを整え、生産性や競争力向上、イノベーションの創出を通じて地域経済の成長を後押しすること

・国内部品の調達率を高めること

・洋上風力発電関連の研究機関を創設し、同時に巨額の公共研究開発費を投入し、各種イノベーションを通じて大幅なコスト削減を実現すること

・世界市場にこうした洋上風力発電の最先端のスキルや専門性を提供すること

・同時に各国の状況に対応したイノベーションにも取り組むこと

 

こうしたイギリスの洋上風力発電に取り組む国家戦略は、国の柱となり得る基幹製品の研究開発、および世界展開に際し、どの国にも大いに参考になると思うのです。


 
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2020年03月25日
アイデアよもやま話 No.4599 地球温暖化対策に最も積極的なイギリス その1 クリーン成長戦略とは?

イギリス大使館からの1月31日(金)付けメールでイギリスの地球温暖化対策について取り上げていました。

そこで、3回にわたってその内容をご紹介します。

1回目はイギリスのクリーン成長戦略についてです。

 

今年11月、イギリスはスコットランド・グラスゴーにて気候変動枠組条約の第26回締役国会議、COP26を開催することとなりました。

 

2020年の今年は、採択から5年経ったパリ協定の適用開始の年という重要な局面を迎え、脱炭素社会に向けた国際的な機運をさらに高めていくことが必要です。

 

イギリスは昨年6月、主要7カ国で初めて温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言、気候変動への取り組みを更に加速させています。

 

COP26の議長国として、国際的な脱炭素社会の実現、脱炭素化と経済成長の両立を目指す Clean Growth ー すなわち「クリーンな成長」に向けて、日本との連携を深めることを目指します。

 

イギリスは今脱炭素化を目指し、どの国よりも早くCO2排出量ゼロを法制化しました。

世界最大規模の洋上風力発電設備を保有し、原子力発電所の廃止措置で実績を重ねるなど、低炭素へ積極的に取り組みつつ、経済成長を実現しています。

このイギリスの先駆的な取り組みは、日本にどのような価値をもたらすのか? 駐日イギリス大使館にイギリスの最新事情を聞きました。

エネルギー・気候変動政策担当部長のナオミ・カウワンさんは次のようにおっしゃっています。

「イギリスが脱炭素化で世界をリードしている事実は、日本ではあまり知られていない。」

「イギリス議会は2008年に気候変動法を制定し、2050年までに1990年比80%削減という法定目標を定めました。」

「2019年6月にはさらに一歩踏み込んで、2050年までにCO2ネット排出量をゼロにするという改正法案を可決。」

「先進7カ国(G7)の中でCO2のネット排出量ゼロを法制化したのは初で、今国として気候変動への取り組みを加速しています。」

 

「イギリスの低炭素化への取り組みの特徴は、経済成長を図りながらCO2排出量を減らしていく「クリーン成長戦略(Clean Growth Strategy)」を掲げていることにあります。」

「1990年から2016年までの間、イギリスはCO2排出量を42%削減しましたが、同時期に経済は67%成長しました。」

「政府はクリーンな成長の実現に向け、クリーン成長基金(Clean Growth Fund)などに大型の投資を行い、クリーン技術のイノベーションや商業化を支援しました。」

「その結果、低炭素経済は他の経済の4倍の速さで成長を続けており、低炭素セクターの雇用も上昇、低炭素に関わるサービスや製品の輸出も増加しています」

 

その中心となっているのが、世界最大規模の洋上風力発電です。

イギリスの再生可能エネルギーの電力は、同国の年間発電量の3分の1以上を占めています。

その再生可能エネルギーの中で、洋上風力発電の設備容量は2018年末に8GW(=800万kW 大きな火力発電設備1基の出力は約100万kW)に達し、世界一の規模を誇ります。(RCGRenewables Consulting Group)調べ)

イギリスの最初の洋上風力発電は、イングランド北東部のニューカッスル沿岸に2000年に建設され、現在、8カ所に洋上風力発電のクラスター(集団)があります。

以前は港町として栄えていたリバプールやハルなど、現在は経済復興が必要とされる沿岸地域での導入が進んでいます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

記事を通して、イギリスが地球温暖化対策に以前からとても積極的であり、世界をリードしていることが理解出来ました。

そして、CO2排出量の削減と経済成長とのバランスを図るクリーン成長戦略を掲げ、昨年6月には主要7ヵ国で初めて温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすると宣言、気候変動への取り組みを更に加速させているといいます。

このクリーン成長戦略の大きな柱である再生可能エネルギーですが、地の利を生かした世界最大規模の洋上風力発電を中心に既に同国の年間発電量の3分の1以上を占めているといいます。

しかし、この状況から温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするというのは非常に挑戦的な目標だと思います。

 

こうしたイギリスの動きに比べて、日本のエネルギー政策は今一つ積極性に欠けていると思われます。

なぜならば、未だに低コストですが、CO2排出量の最も多い石炭火力発電の新規建設を計画していたりするからです。


 
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2020年03月24日
アイデアよもやま話 No.4598 量子革命、投資でも!

前回、間もなく実用化される量子暗号により、盗聴やハッキングが理論上不可能になるとお伝えしましたが、量子革命は投資の世界でも進んでいるようです。

3月2日(月)付け読売新聞の一面で「「量子」革命 投資でも」というタイトル記事が目に留まったのでご紹介します。

 

慶応大学理工学部(横浜市)にある研究拠点「IBM Q ネットワークハブ」では、同大や国内メガバンクなどで作るチームが量子コンピューターを金融分野に活用する研究に取り組んでいます。

 

実用的なマシンが誕生すれば、計算に毎日数時間以上かけているデリバティブ(金融派生商品)の価格決定を即座に行うのも夢ではありません。

理論上、従来のコンピューターで100万回かかる計算が1000回で済むからです。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

これまでスーパーコンピューターが株式投資に利用されてきましたが、量子コンピューターの登場により、株式投資はこれまでとは全く次元の異なる段階に突入すると思われます。

そして、実用化されれば、その驚異的な処理速度から短期間のうちにスーパーコンピューターは株式投資のみならず、より素早い処理が求められる分野で爆発的に普及していくことは容易に想像出来ます。

 

一方、量子コンピューターによる判断の是非を人間がすぐに確認することは不可能です。

こうした状況において懸念されるのは、以前にもお伝えしたように、量子コンピューターと言えども所詮ビッグデータという限られたデータ空間の範囲で分析し、判断が下されるということです。

量子コンピューターは、人間のようにデータでは表現出来ない“現実の場”における空気感が持てないということです。

こうした限界が時によっては量子コンピューターの判断を狂わすということを人間はしっかり認識しておくことが求められます。


 
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2020年03月23日
アイデアよもやま話 No.4597 いよいよ量子暗号が実用化!

昨年12月31日(火)付け、および1月21日(火)付け読売新聞朝刊で量子暗号関連の記事に目が留まったので併せてご紹介します。 

 

東芝は、盗聴やハッキングが理論上不可能な量子暗号通信を2020年度に実用化すると正式に発表しました。

個人の生体情報や購買行動などを活用したデータビジネスが注目を浴びる中、データを守るのに必要な暗号の開発競争は激化しています。

 

量子暗号通信は、暗号の作成や解読に必要な「暗号鍵」に、光の粒(光子)を使う通信技術。情報の送り手は受け手に送信したいデータと共に暗号鍵を送ります。

不正に読み取ろうとすると、光子の状態が変化して鍵として使えなくなります。

現在の技術レベルでは最も安全性が高いとして、「究極の暗号」と呼ばれています。

 

東芝は、送受信した情報を読むのに必要な「暗号鍵」をやりとりする専用機器やソフトウェアなどを、定額制で顧客に提供する事業をまずアメリカで始めるといいます。

金融機関が内部で取引や顧客に関する情報といった秘匿性の高いデータをやりとりする際の利用を想定しています。

アメリカでは、現地の通信関連企業などとの協業も検討しています。

アメリカ以外でも、安全保障など特に秘匿性の高い情報を扱っている各国政府のほか、金融機関、医療機関を対象に事業を展開する戦略を描いています。

東北大学と大容量の遺伝子情報を送信する実証実験に成功したほか、イギリスでの試験的な通信網の整備に協力するなど準備を進めています。

データを活用したビジネスが急速に拡大しているアメリカを中心に実績を積み重ね、事実上の業界標準(デファクト・スタンダード)を目指すといいます。

 

暗号は、既にネット通販におけるクレジットカードでの支払いや、スマートフォンアプリなどに幅広く浸透しています。

現在は複雑な素数の組み合わせで作られており、理論的には膨大な量の計算をすれば解読が可能です。

計算速度で最先端のスーパーコンピューターを大きく上回る量子コンピューターが実用化されれば、既存の暗号が解読されるとの懸念が強まっています。

量子暗号通信は現在の技術レベルでは最も安全性が高いことから、「究極の暗号」とも呼ばれており、暗号解読のリスクに備える切り札と目されています。

 

欧米や韓国、中国なども開発に巨費を投じる中、国内では、東芝が1990年代から基礎研究を始め、国内外の企業や研究機関との実証実験を重ねてきました。

また、NECも顔認証のデータ伝送などに量子暗号を用いる研究を進めています。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

東芝は、盗聴やハッキングが理論上不可能な量子暗号通信を2020年度に実用化すると正式に発表したのですから、是非計画通り実現して欲しいと思います。

量子暗号通信が広く普及すれば、盗聴やハッキングなど犯罪者にとっては恐るべき存在となります。

是非とも東芝に限らず、日本企業にはこの分野に限らず、AIやロボットでも世界的にリーダーシップを持ち続けて欲しいと思います。


 
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2020年03月22日
No.4596 ちょっと一休み その713 『松下幸之助の金言!』

これまでも“経営の神様”と言われている松下電気(現パナソニック)の創業者、松下幸之助(1989年 94歳没)については、アイデアよもやま話 No.3194 興味深い松下幸之助の人材抜擢法!でお伝えしていました。

そうした中、昨年4月27日(土)放送の「あの人に会いたい アンコール」(NHK総合テレビ)で松下幸之助について取り上げていました。

そこで番組を通して、松下幸之助の金言に焦点を当ててご紹介します。

 

(商売の厳しさについて)

「商売人が事業をやって儲けないということは、戦争で負けるのと一緒ですわ。」

「戦(いくさ)行って首取られるのと一緒ですわ。」

「それはあきまへんがな。」

 

(部下が失敗した場合の対応について)

「失敗の内容によりますよ。」

「部下は非常に失敗しますな。」

「そうすると僕は怒らなかった。」

「どっちかというと慰めました。」

「そう心配するなと。」

「もういっぺんしっかりやればいいではないか。」

「そしたら成功するかもしれないから、しっかりやってくれと。」

「決してしからなかったです。」

「というのは、本人は失敗したことを苦に悩んでいるからです。」

「それを叱ったらやる気がなくなってしまう。」

「その時は力をつけてやらないといけない。」

「君、心配しなくてええ。」

「それで会社つぶれへんと。」

「だいたいそういう調子です。」

「なぜ社員を叱らなかったかというと、小さな失敗はよく叱ったものですよ。」

「こんなもの分からんのかと叱ったりしますけどな。」

「しかし、大きな失敗をした場合はね、むしろこっちが引き受けないと。」

「社長に心配をかけずにやるとよく言いますけどね、社長にしてみれば一番の心配は社長がしないといけないですよ。」

「それが仕事なんです。」

「社長が心配するのを嫌になったら、社長を辞めたらいいです。」

「どんどん心配になってくると。」

「うるさいことみんな起こってくる。」

「これが社長の生きがいだと。」

「これであればこそ、自分が社長をしている意義があるんだというようにならんと苦労が増えますな。」

 

(儲けは一番後の清算 先憂後楽)

「(企業で一番大切なことは、生き残るということが一番大切ですが、その生き残ることの基本は儲かること、もう一つは人間関係が良いということでは、という指摘に対して、)そうですが、儲けが先に立つとやはりことが汚くなりますよ。」

「だから儲けは一番後の清算ですな。」

「だから奉仕を先に持ってこないといけないです。」

「で、結果が儲かると。」

「政治家だったら先憂後楽ですな。」

「諸売人もそれです。」

「先憂後楽と言うことは何にでも通用しますな。」

「その志のない者は上に立てませんな。」

 

昭和50年代、松下幸之助は、これからの日本はもっと混迷した社会を迎えるだろうと予測しました。

昭和54年、私財70億円を投じて松下政経塾を設立、将来の日本のために新しい考え方で社会を動かす人材を育てたいと思ったのです。

また、研究や文化活動にも惜しみなく援助を行いました。

そして次のようにおっしゃっています。

(日本の本当の復興について)

「今まではうたかたの繁栄だったわけですな。」

「だいたい戦後30年(1945年〜1975年)というものは高度成長に経済が発展してきましたな。」

「それは外国の援助というものによってやったですな。」

「だから、日本の国民の自力によって戦後の復興したんじゃないですね。」

「僕が考えるに、3年も4年も戦争して負けたと。」

「昔であれば、民族が奴隷になったり、非常に苦しみを味わいますわな。」

「ところが、日本は戦争に負けたその日から救済されているでしょ。」

「一つは技術もあげましょうと、食べ物は一つ援助しましょうと、政治の方も教えましょうと。」

「そういう結構な負け方というのはないでしょう。」

「そこにそもそも甘えがあったわけですな。」

「その甘えが積もり積もって、今日つけを支払いせねばならないですな。」

「今、物資は豊かですけども、精神的には貧困であると。」

「戦後30年にして、ようやく日本は精神な敗北をしたんですな。」

「日本の持てる精神ですな。」

「日本人の古来のね。」

「そういう良いものがあるとするなら、ここらで精神復興しなければいかんですよ。」

「精神復興即、それは日本の本当の復興になります。」

 

なお、日本でいち早く週休二日制を取り入れ、日本人の勤労意識に大きな影響を与えました。

また、水道の水のように豊富に物資を送り出せば、誰もが簡単に手にすることが出来る、松下幸之助が唱えた“水道哲学”のもと、テレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家庭用電化製品が次々と生産されました。

製品は飛ぶように売れ、日本人の生活スタイルに変化をもたらしました。

 

事業を通じて、人々の生活文化の向上に貢献する、松下幸之助の経営の精神は常に社会とともにありました。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

松下幸之助は、商売の厳しさについて戦を例に取ってお話されていますが、果たしてどれだけの経営者が経営に失敗したら自分の命は無くなるくらいの覚悟を持っているでしょうか。

こうした言葉から、松下幸之助の経営に賭ける覚悟、あるいは凄みをうかがい知ることが出来ます。

 

また、「儲けは一番後の清算」という言葉については、プロジェクト管理の中のプロセス管理の重要性につながる言葉だと思います。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.606 『売上を伸ばす店長の極意とは!』

商売の究極の狙いは、世のため人のためであり、その目標を目指して一生懸命に事業に取り組んでいれば、結果は後からついてくるというプロセス重視の考え方です。

ところが、成果の一つ、すなわち儲けを第一義に目指して事業に取り組むと、どうしても無理が生じていて、粉飾決算や製造データの改ざんなどの不正行為につながってしまうのです。

これでは、本末転倒で社外的なイメージダウンや多くの従業員の士気(モーラル)の低下という、数値には表されなくとも大きな損失をもたらすことになるのです。

 

さて、松下幸之助は日本でいち早く週休二日制を取り入れ、日本人の勤労意識に大きな影響を与えたといいます。

こうした従業員の暮らしを考慮した施策も“経営の神様”と言われる所以だと思います。

 

一方、松下幸之助が唱えた“水道哲学”は、当時の日本の状況を考えれば、とても理に適っていたと思います。

しかし、地球環境問題やエネルギー問題が世界的に取りざたされる現在は、“持続可能な社会”の実現が世界的に共通の課題となっています。

ですから、もし今も松下幸之助が存命であれば、“水道哲学”ではなく、“持続可能な社会”の実現の重要性を唱えていると容易に想像出来ます。


 
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2020年03月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.632 『参考にすべき台湾の新型コロナウイルス対策』

連日報道されているように、新型コロナウイルス肺炎をきっかけにマスク不足が未だに続いています。

そうした中、3月3日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で台湾による優れたマスク不足対策について取り上げていたのでご紹介します。

 

マスク不足について革新的な取り組みが注目されているのが台湾です。

日本や中国本土と同様にマスク不足が起きると、2月6日から実名登録性による購入制限を開始、1週間に大人2枚、子ども4枚までしか購入出来ないようにして、買い占めを防いでいます。

そして更なる施策を打ったのがIT担当大臣のオードリー・タンさんです。

台湾メディアによると、タン大臣は衛生当局が公開したマスクの在庫データを使い、民間と協力してマスクを購入出来るお店を地図上で確認出来るまとめサイトを作りました。

 

もっと詳しい情報がないかとネット検索したらあったので(記事の内容の一部をご紹介します。(詳細はこちらを参照 2月29日付け)

 

・日本では1月16日にはじめて国内の感染者発生が公表されたが、新型コロナウイルスを「指定感染症」として閣議決定したのは1月28日だが、台湾は感染者が一人も出ていない1月15日の時点で「法定感染症」に定めていた

・安倍首相は2月27日、全国の小中高校や特別支援学校に休校要請することを発表したが、台湾では既に学校の休校は原則終了している

・旧正月(春節)の冬休みを2週間延長して24日まで休みにしていたのを、現在は教職員や生徒で感染者が1人出れば学級閉鎖、2人以上なら学校閉鎖するという基準を設け、授業を再開している

・共働き家庭への配慮も評価されており、休校中に小学生の世話が必要になる保護者は、看護休暇を申請出来るようにし、中学生以上でも障害を持つ子供の保護者であれば、同じ制度が適用されるようにした

・もし、企業が有給休暇の取得を拒否した場合、法律に則って処罰することも表明した

・「休校」という方針だけが発表された日本とは、大きな違いである

・台湾立法院(国会)は2月25日、600億台湾ドル(約2200億円)を上限とする経済対策の特別予算案を可決した(大きな打撃を受けている観光産業への支援などが柱になる予定)

・その他にも中国へのマスク輸出禁止や厳しい渡航制限など、蔡政権が次々と打ち出す方針に当初は批判もあったが、それでも2月28日現在で感染者数が34人に抑えられていることから、批判は少なくなっている

・台湾では、2003年に起きたSARS(重症急性呼吸器症候群)で84人の死者を出したが、その時との違いも、高い評価を得ている理由である

・検査体制が異なるため単純な比較は出来ないが、日本の感染者数230人(クルーズ船のよう正反応者705人を除く)、韓国の2000人以上(いずれも2月28日現在)と比較しても、現時点での封じ込め対策は一定の成果を出しているといえる

・“神対応”を連発する蔡政権の中で、世界から注目されているデジタル担当政務委員(大臣に相当)のオードリー・タン(唐鳳)氏(38歳)は世界的に有名なプログラマーで、8歳からプログラミングを学び、14歳で中学を中退、15歳でIT企業を起業し、その後にトランスジェンダーであることを明かし、36歳で入閣した時は性別欄に「無」と記入した

・タン氏はIQ180ともいわれる天才で、台湾の人々は「彼女の存在は私たちの希望」と慕う

・台湾が誇る天才が、感染症対策でも活躍している

・日本と同じく台湾でも、1月後半からマスクの在庫不足が問題になっていたが、まずは輸出や持ち出し、転売が禁止され、2月6日にはマスクの購入が実名制になり、7日間で2枚しか買えないようにした

・厳しい供給規制に反発が起きる可能性もあったが、タン氏は衛生福利部(保健省)中央健康保険署と協力して、台湾国内の薬局にあるマスクの在庫データをインターネット上に公開した

・すると、民間のITエンジニアがそのデータを地図上に落とし込み、在庫状況がひと目でわかるアプリを開発して無償配布した

・緊急時に発生するデマ情報の拡散を防ぐため、ラインなどの通信アプリを通じて間違った情報を信じないよう注意するメールを配信した

・新型コロナウイルスに感染しやすいタクシー運転手やバス運転手にマスクが優先的に届くように求める情報を発信すると、フェイスブック上では、本当に必要な人にマスクを譲ろうという声があふれた

・台湾の新型コロナウイルス発生状況のホームページはグラフや地図を効果的に使用していて、どの地域にどれくらいの感染者が出たか分かり易い

・台湾にも寄港した国際クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客については、下船してから訪れた場所を全て公開した

・こういったテクノロジーを使用した危機管理に、米国をはじめ世界から注目が集まっている

・タン氏にインタビューした経験がある台湾在住のノンフィクションライターの近藤弥生子さんは次のように話す

「両親の職業がジャーナリストということもあり、彼女は『情報』が人々にどのような影響を与えるかをとても理解しています。また、現役の閣僚でありながらも特定の政治的立場に立つのではなく、むしろ意見の対立をIT技術で可視化して、解決につなげることを考えている。入閣した時に『公僕の中の公僕になる』と宣言したとおり、特定団体の利益のために動くのではなく、テクノロジーを駆使して台湾の人々と行政院をつなぐ“パイプ”になっています。」

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきましたが、台湾における新型コロナウイルスの感染状況に応じたきめ細かな対応について、記事を通して以下に要約しました。

 

・感染状況の改善により2月末の時点で、一定の基準を設け、授業を再開している

・休校中に小学生の世話が必要になる保護者は、看護休暇を申請出来るようにし、中学生以上でも障害を持つ子供の保護者であれば、同じ制度が適用されるようにした

・官民共同での素早いマスク不足対策

2月6日にはマスクの購入を実名制にし、7日間で大人2枚、子ども4枚までしか買えないようにした

台湾国内の薬局にあるマスクの在庫データをインターネット上に公開した

民間のITエンジニアがそのデータを地図上に落とし込み、在庫状況がひと目でわかるアプリを開発して無償配布した

・緊急時に発生するデマ情報の素早い拡散防止対策 

 

以前、リスク対応策の実施は、リスクの発生後、速ければ速いほど犠牲が少なくて済み、遅くなれば遅くなるほど犠牲が大きくなるとお伝えしましたが、台湾政府の対応は世界的に見て、相対的に素早く、しかも的確に対応しているように見えます。


さて、日本政府も、ようやく3月13日に“新型コロナ対策”改正特措法が成立し、緊急事態宣言が可能になり、14日に施行されましたが、こうした法律は今後の再発防止策ともなり得ます。

改正特措法では新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、国民生活に影響を及ぼす恐れがある場合、総理大臣が「緊急事態」を宣言することで自治体を通じた外出の自粛やイベント会場の利用制限などの要請が可能となります。

 

また、マスク不足対策についても、ようやくマスクの転売禁止が3月15日から始まりました。

不足に拍車を掛けている転売目的の買い占めを排除するため、政府は罰則付きで監視を強めるといいます。(詳細はこちらを参照)

 

なお、新型コロナウイルス肺炎の経済的な影響については、専門家の中にはリーマンショック以上に大きいという指摘がなされています。

ですから、新型コロナウイルス肺炎の早期収束を目指すことはとても重要ですが、一方で経済の落ち込み対策とのバランスが求められます。

多くの企業が廃業に追い込まれてしまっては、新型コロナウイルス肺炎終息後に経済の落ち込みからの脱却が大問題としてのしかかって来るからです。

また、デマの影響の大きさを考えると、SNSでの悪質なデマについてはその発信源を特定し、処罰の対象にすべきと考えます。


 
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2020年03月20日
アイデアよもやま話 No.4595 耳慣れない”環境電波発電”!

これまで発電を巡っては様々な発電装置についてご紹介してきました。

そうした中、昨年12月29日(日)放送の「未来の起源」(TBSテレビ)で環境電波発電について取り上げていたのでご紹介します。 

 

首都大学東京システムデザイン研究科の山下 晋平さんは環境電波発電を目指したデバイスの研究開発を行っています。

環境電波は非常に微弱な電力であるため、山下さんは高感度なダイオードが必要だとし、電波を電力に変える整流ダイオードを使用したアンテナを開発しました。

山下さんの開発したアンテナは微弱な電波を電力に変えることに成功し、目に見えない身近な電波を電力として有効活用出来ると期待されています。

 

山下さんはその原動力について、次のようにおっしゃっています。

「ディスカッションを通して刺激され、研究の結果が出ることがモチベーションに繋がっています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

既に太陽光発電については、ソーラーウォッチなどいろいろなモノに活用されています。

しかし、この発電システムは暗い場所では機能しません。

一方、今回ご紹介した環境電波は今やどこにいてもほとんどの場所に存在しています。

ですから、太陽光発電よりもより広範囲で活用することが出来ると期待されます。

しかし、肝心の発電量や発電装置の大きさ、あるいはコストについて、番組からは分かりません。

ですから、山下さんの研究が今後どのような成果を得るのか、見守るしかありません。


 
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2020年03月19日
アイデアよもやま話 No.4594 究極の個人データ”顔認証”!

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.590 『当初ずさんだったPayPayのセキュリティ対策』で、発信元の特定が難しい闇サイト、ダークウェブについて触れました。

そうした中、昨年12月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「巨大データ社会 あなたのデータのゆくえ」をテーマに取り上げていました。

そこで、今回は究極の個人データ”顔認証”に焦点を当ててご紹介します。 

 

今、究極の個人データと言われているのが人の顔です。

それを取得するのが“顔認証”システムですが、進化する一方で、危うさも浮き彫りになっています。

今や空港の出入国も“顔パス”の時代になっています。

成田空港では、2018年から顔認証審査システムを導入しています。

顔写真を撮り、パスポートと照合、わずか数十秒、後は無人ゲートを通過するだけです。

 

”顔認証”システムは、イベント会場などではセキュリティチェックに使われています。

他にもオフィスやスマホのロック解除から決済の承認まで、溢れる”顔認証” システム

は気づかぬ間に意外なところでも設置されています。

タクシーの後部座席で流れるタブレット広告です。

まず始めに告知が表示されます。

その一部は、以下の通りです。

「このタブレットは、フロントカメラによる顔画像認識によってお客様の性別を推定し、最適なコンテンツを配信しています。」

 

「顔画像認識を無効にされたい場合は、この画面の左下にあります「画面OFF」ボタンをタップして広告放映を止めて下さい。」

 

その仕組みは、カメラで顔画像を識別し、年齢や性別などに合わせて広告を流すというものです。

このシステムについて、以下のような利用者の声があります。

「気がつかなかったですね。」

 

「あまり良い気持ちじゃないですね。」

 

「嫌というわけではない。」

 

「何も言わずに撮られるのはちょっと嫌。」

 

休憩中のタクシー運転手が事情を教えてくれました。

「10人中8人はそのまま見て、2人は消す。」

「(理由は)個人情報のこと。」

 

更に別の運転手は次のようにおっしゃっています。

「(画面が消される理由について、)まず顔写真が撮られて、毎回同じようなコマーシャルが出て来るから。」

 

タクシーの顔認証システムの一つを運営するのがジャパンタクシーです。

顔認証の乗客への周知が不十分だったと異例の2度にわたる行政指導を受けました。

しかし、顔認証の個人データがいつどう使われているのか、気付くのは難しいのです。

 

データの集積地、東京・渋谷、センター街の入り口にあるのが1912年(明治45年)創業の大盛堂書店です。

店内の至る所に防犯カメラが設置されています。

長らく万引きの被害に悩まされて来たといいます。

船坂 良雄社長は次のようにおっしゃっています。

「138万円くらい盗られたんですね、去年(2018年)1年で。」

 

そこで今年(2019年)取り入れたのがカメラを使った顔認証システムです。

開発したのは金融機関のシステムなども手掛けるグローリー株式会社(GLORY)です。

こちらのオフィスに入る前、スタンバイ中の取材スタッフ全員の顔データを取得していました。

このシステムでは、過去に万引きをした人などの顔情報とその属性をシステムに登録します。

例えば、「盗難(常習)」、国籍は「日本」と選択するだけです。

グローリーの生体・画像認識販売企画部の越智 康雄部長は次のようにおっしゃっています。

「(この他にも)「「クレーマー」や「いたずら」など、こういったお店にとって非常にケアしていかないといけない方は、あらかじめこういう項目をご用意しております。」

「認証率はおよそ99.9%。」

 

来店したお客の中で要注意人物として登録されれば、顔認証システムで徹底的にマークされるのです。

 

そこで、顔情報を登録した記者がマスクとメガネを着けてみたところ、顔の見えているところだけに重点を置いて判別します。

更に情報の流出対策についても万全だといいます。

全ての情報が一見ランダムな文字列で、グローリーの顔認証システムに入れなければ、画像データを開くことは出来ないといいます。

その顔認証システムは、同じく渋谷にある啓文堂書店と大手の丸善ジュンク堂書店を入れた3店舗でデータベースを共同で構築しています。

それにより、個人書店がビッグデータの恩恵にあずかっています。

 

全国の書店での万引き被害額は年間200億円以上、まさに死活問題なのです。

大盛堂書店の船坂社長は次のようにおっしゃっています。

「この本(「SHOE DOG」)を盗りに1人が2日間来て、顔認証システムを入れていなければ、恐らく盗られていたと思います。」

 

個人データを収集するという告知義務はあるものの、既に防犯の域を超えつつある顔認証社会、専門家は情報管理の重要性を唱えています。

 

慶応大学の山本 龍彦教授は次のようにおっしゃっています。

「過去の前科がずっと民間事業者のデータベースの中に残っていくということがあり得るので、“スティグマ”と言われるものですが、烙印が押されてしまって、その人の人生につきまとっていくということがありますよね。」

「だから(個人情報の)登録自体の適切さを担保することも非常に重要になってきますよね。」

 

この顔を含めて、私たちの個人データは思っている以上に広範囲で活用されているようです。

個人情報の光と影について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「例えば与信判断・価格差別、つまりお金持ちとそうでない人も区別・差別するような使い方、それから就職・内定判断、これはリクナビの件で問題になりました。」

「そして世論・投票誘導、今世界中で選挙に影響を与えるようなことが行われています。」

「そして犯罪予測・監視みたいなものなんですけど、これ(個人情報の扱い)の難しいところは、100%の人がこれダメじゃないかと言っているわけじゃないんですよ。」

「例えば犯罪予測・監視については、治安維持につながるじゃないかという人もいれば、与信判断・価格差別も富裕層向けの当然のサービスじゃないかと考える人もいるわけで、そうなってくるとガチッと法規制で縛るわけにもいかないところがあるんですよね。」

「(影の部分をどうしたら少なくしていけるのかという問いに対して、)私は、最後に問われるのはデータを扱っている事業者なり、個人の倫理観。」

「結局、自分のやっていることは本当に世の中のためになっていることなのかどうかとか、正義がそこにあるのかどうかというのを、結局一人ひとりが一回自問する必要があると思いますね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

認証率がおよそ99.9%まで進んだ究極の個人データ”顔認証”を利用して、全てが片づくのであれば、何枚ものカードを持ち歩いたり、それぞれのパスワードを覚えておく必要も無くなり、いろいろな面で暮らしがとても便利になります。

そこで、以下に顔認証システムのメリット、ディメリットをまとめてみました。

(メリット)

・鉄道やバスなどの交通機関、あるいは官庁や企業、イベント、レジャーなどあらゆる施設の出入り、買い物などが全て顔パスになる

・業務で使用するパソコンなどのパスワード設定も不要になる

・スーパーやコンビニ、書店などは顔認証システムにより多額に上る万引きの被害をかなり軽減出来る

・顔認証システム、および防犯カメラを中国のように大々的に普及させれば、犯罪抑止力として、あるいは犯罪容疑者の逮捕にとても役立つ

 

(ディメリット)

・個人の立場からは、顔認証システムによりどこまで自分の個人情報を把握されているのか不安になる

・過去の前科が民間事業者のデータベースの中に残ったままだと、その人の人生にずっとつきまとっていくリスクがある

・タクシーの後部座席で流れるタブレット広告のように、乗客によっては無用のサービスを提供される

 

ということで、“顔認証”にも立場によってメリット、ディメリットがあるので、どのようにバランスを持たせるかがとても重要なのです。


 
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2020年03月18日
アイデアよもやま話 No.4593 スマホにおける私たちの位置情報は丸裸!?

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.590 『当初ずさんだったPayPayのセキュリティ対策』で、発信元の特定が難しい闇サイト、ダークウェブについて触れました。

そうした中、昨年12月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「巨大データ社会 あなたのデータのゆくえ」をテーマに取り上げていました。

そこで、今回はスマホにおける私たちの位置情報の危うさに焦点を当ててご紹介します。 

 

前回は個人データの闇での売買についてお伝えしましたが、データが盗られているのは闇の世界だけではありません。

私たちの個人データを取り巻く環境はどうなっているのか、データ経済に詳しい立教大学ビジネススクールの田中 道昭教授は取材する相内キャスターのiPhoneの中に蓄えられている情報をチェックしました。

すると、iPhoneの設定画面から「プライバシー」の項目をクリック、その中にある「位置情報サービス」をクリックし、更にオンになって「利用頻度の高い場所」をクリックすると、相内キャスターの自宅、そして最近行った場所が全て表示されました。

そして、その一つをクリックすると、相内キャスターがいつどこを訪れたのか詳しく表示されました。

 

位置情報を把握されれば、その人の行動パターンだけでなく、趣味・嗜好や性別、家族構成まで分析され、知らないところでマーケティングの対象として利用されることがあるといいます。

iPhoneを手掛けるアップルは位置情報について「正確な所在データを収集、使用および共有することがあります」としています。

このことについて、田中教授は次のようにおっしゃっています。

「いろいろなデータを集めている会社であれば、そこに(位置)データを提供したら、かなり高いがい然性(見込み)で相内さんのデータだと特定可能な時代になっていると。」

「自分の位置情報がどういったアプリに提供しているのかは納得して使われるし、そういったところまで許容したつもりはないアプリは削除するとか、そういった一つひとつの細かいアクションは一人ひとりでも取るべき・・・」

 

私たちの個人データがどのように使われているのか、これまで以上に気にかけていく必要がありそうです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

私も知らない場所に行く時に、スマホのナビアプリはとても重宝しています。

また、スマホのユーザーは設定次第で必要に応じて自分の過去の行動履歴を確認することが出来るのです。

更に、親が自分の子どもにスマホを持たせて、そのスマホの位置情報における参照権限を自分に付与することで、子どもの現在の位置情報や過去の行動履歴を把握することにより、子どもの安全管理が容易に出来るようになります。

 

しかし、こうした情報、あるいはナビアプリを使用していない場合でもスマホのユーザ―一人ひとりの位置情報は全てスマホのプロバイダー、あるいはナビアプリのサプライヤーに把握されているのです。

ですから、田中教授の指摘されているように、スマホの初期設定や位置情報関連のアプリをスマホにインストールする際にどの範囲まで自分の位置情報が業者などの第三者によって使用されるかをきちんと確認することが大切になります。

 

また、悪意のある人が他人のスマホでも設定次第でその人の位置情報を把握出来てしまうので、特にあまり技術的な知識のないスマホのユーザーは要注意です。

 

ということで、今やスマホは多くの人たちにとって、無くてはならない必需品となっていますが、一方で以前にはないような犯罪のきっかけを与える存在でもあるということをユーザーの一人ひとりは自覚することがとても大切だと思います。


 
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2020年03月17日
アイデアよもやま話 No.4592 個人データが闇で売買!

以前、プロジェクト管理と日常生活 No.590 『当初ずさんだったPayPayのセキュリティ対策』で、発信元の特定が難しい闇サイト、ダークウェブについて触れました。

そうした中、昨年12月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「巨大データ社会 あなたのデータのゆくえ」をテーマに取り上げていました。

そこで、今回は個人データの闇での売買に焦点を当ててご紹介します。 

 

前回ご紹介したように自ら提供する個人データもあれば、一方で奪われる個人データもあるのです。

サイバーセキュリティを手掛ける株式会社スプラウト(sprout)を番組レポーターが訪れると、日本人のクレジットカード情報がダークウェブというインターネットの闇市場で売買されていました。

パソコンのモニターに表示されていた売買物件の値段は39ドル(約4300円)でした。

高野 聖玄社長は次のようにおっしゃっています。

「(なぜ値段が安いかについて、)それだけ供給側が多いということかなと思います。」

「売られている側としては、“そんな値段で”っていうのはありますけど。」

 

ダークウェブでは、世界中のハッカーやデータのブローカーたちが匿名性の高い通信技術を使って盗んだ個人データなどを売買しているのです。

高野社長は次のようにおっしゃっています。

「やはり大量にデータベースごと抜かれた情報とかありますので、そうすると売り手としては安く沢山売ってどんどん回転させていくといったエコシステムが出来ていると。」

「(世界中の個人データの中で特に日本人のデータが高く買われる理由について、)クレジットカードの利用枠が一般的に世界と比較すると金額的に大きいので、そこを悪用する。」

 

スプラウトが今年(2019年)ダークウェブで取り引きされる日本人のメールを検知したところ、疑いがあったのが1億6700万件にも上りました。

その多くが大手企業に勤める人のメールでした。

高野社長は次のようにおっしゃっています。

「漏えい自体は自分ではどうしようも出来ませんので、そこは“漏れるかもしれない”というように使ったうえで、パスワードの使い回しは避けるということと、二段階認証があるものについては二段階認証をつけて、そこでブロックすると。」

「その2つぐらいですかね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも発信元の特定が難しい闇サイト、ダークウェブの存在が問題です。

発信元の特定が難しくては、犯罪の取り締まりはとても困難になります。

更に、ダークウェブでは世界中のハッカーなどが匿名性の高い通信技術を使って盗んだ個人データなどを売買しているといいますが、供給側が多く、その売買価格がとても安いという状況も問題です。

こうした状況では、不正行為を働こうとする人、あるいは組織は容易に個人情報を入手出来ますから、個人情報関連の犯罪は後を絶ちません。

 

こうしたことから、ダークウェブでの発信元の特定、および個人データの盗難防止対策が求められますが、現状では短期間での解決は期待出来そうにありません。

そこで、ユーザーの立場からは、高野社長のおっしゃるように、パスワードの使い回しを避けること、そしてネット通販などの事業者には出来るだけ二段階認証を付けてもらうことという2つしかなさそうです。

 

ネット社会はとても便利ですが、残念ながら副作用とも言える、実社会とは違ったサイバー犯罪をもたらしているのです。

しかも、その犯罪は、高度な技術を駆使することによって、とても効率よく多額のお金を手に入れることが出来るので決してなくなることはなさそうです。


 
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2020年03月16日
アイデアよもやま話 No.4591 私生活動画収集プロジェクトへの参加で20万円!?

昨年12月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で「巨大データ社会 あなたのデータのゆくえ」をテーマに取り上げていました。

そこで、今回は私生活動画収集プロジェクトに焦点を当ててご紹介します。 

 

昨年12月24日夜、東京都内の某所を番組レポーターが訪ねたのは、システムエンジニア(SE)のAさん(29歳)の自宅です。

家賃8万円ほど、6畳のワンルームマンション、迎えたクリスマスイブですが、彼女とともに過ごせない特殊な事情がありました。

部屋の2ヵ所の隅には小型のカメラがそれぞれ1台、玄関とトイレにもそれぞれ1台設置されています。

なので、Aさんの彼女はこの部屋には来たくないというのです。

実はAさん、1ヵ月の契約で私生活を24時間撮影されるプロジェクトに参加しているのです。

映像は全てケーブルを通って部屋の隅にあるハードディスクに記録されます。

その映像データは個人を特定出来ないように処理したうえで、必要とする企業などに提供されるといいます。

Aさんは次のようにおっしゃっています。

「面白そうだなという好奇心と20万円もらえるのは凄いと思って。」

「全然気にならないので、お風呂を出てパンツを履く時とかぐらいは気を使いますけど、それ以外は正直なところ(カメラは)ないものとしてほぼ扱っています。」

 

この私生活動画収集プロジェクトの名は「EXGRAPH」、約1300人の応募があったといいます。

今回のプロジェクトには女性も参加しています。

先ほどの男性と同様、6畳ワンルームの部屋にカメラ4台が設置されています。

カメラのある生活について、この女性、Bさんは次のようにおっしゃっています。

「カメラは確かに気になるんですけど、嫌悪感を示すほどのものではなく、自分のアーカイブ(記録)みたいのが残れば面白いんじゃないかな。」

「(トイレのカメラについて、)パジャマがワンピースだったり、長めだったので気にならなかったというのはあるかもしれません。」

 

教育関連の企業に勤めるというBさん、お金に困ってプライバシーを売るわけではないといいます。

「(20万円は高いか、安いかについて、)夜遅く帰るので、その間は撮られてないことを差し引けば20万円は妥当じゃないかと思っています。」

 

24時間私生活の動画を収集するプロジェクト、番組は仕掛人を直撃しました。

私生活動画収集プロジェクトを主宰する遠野 宏季さんは次のようにおっしゃっています。

「一つはデータの活用で、今オンラインのSNSだと検索エンジン、後はECサイトでデータの活用が進んでいるんですけど、この身の回りの部屋の中などのデータが十分に活用されていないというのをどんどん活用して、健康だとか身の回りをより良くすることが出来るんじゃないかという思いで一つはやっています。」

 

遠野さんがこの一風変わったプロジェクトを立ち上げる裏には意外な背景がありました。

京都大学大学院に在籍中の3年前(放送時点)、AI(人工知能)を使うベンチャー企業、株式会社Plasma(プラズマ)を立ち上げました。

そこで医療や人体に関する分析を手掛けていましたが、ある壁にぶつかったといい、次のようにおっしゃっています。

「解析する技術があっても元のデータがないと駄目な中で、今回どこの会社もとろうとしなかったデータをリスクを取ってとってみたら、それを解析するとどんな良いことがあるか。」

 

遠野さんは2018年に会社を京セラグループに売却、そこで得た売却益で新たな企業を対上げ、人にまつわるデータを取得する側に回ったのです。

遠野さんは次のようにおっしゃっています。

「動画を見れば、人の行動もある種の感情も何に使っているか見れるので本当にリッチなデータです。」

「それに対して、何となくきちんと議論せずに使わないのは社会にとって損失だと思っています。」

「使えるものを使わないというのは。」

「正しい使い方をすれば、社会の役に立つものと信じています。」

「批判は大歓迎です。」

 

そして24時間撮影生活を続ける男性、Aさんのお宅に遠野さんがやってきました。

実は、昨年のクリスマスイブが実験の最終日だったのです。

4台のカメラを撤収し、パソコン、ハードディスクも1分ほどで回収し終えました。

この時の遠野さんとAさんとのやり取りは以下の通りです。

(遠野さん)

「いつでも参加出来るという状況の時に参加したいと思いますか?」

(Aさん)

「そもそもお金もらえてというのが続くんだったら、個人的には参加したくてですね。」

 

遠野さんは次のようにおっしゃっています。

「(今回収集した映像データについて、)最小限の使う部分を被験者さんと相談させていただきまして、それ以外はすぐに削除する予定です。」

「(データの活用について、)新しい選択肢が出来たのは大きな一歩かなと思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通してまず感じたことは、遠野さんもおっしゃっているように、いくらAIなどを駆使した解析技術が進んだとしても、肝心のデータがなければ、あるいは不足したり、精度が悪ければ、有効な解析をすることは出来ないということです。

そして、遠野さんは、自宅における丸ごとの私生活という、言わば個人の暮らし関連データのニューフロンティアを見つけ、プロジェクトとして動かしたのです。

このプロジェクトを通して、遠野さんがどのような視点で分析し、そこからどのような結果が得られるのかとても興味が湧いてきます。

 

なお、このプロジェクトを自宅だけでなく、業務中の動きも対象にすれば、更にいろいろなことが見えて来て、様々な視点から業務改善を図ることが出来るのではと思いました。

まさに、“働き方改革”を進めるうえでの有効なツールになり得ます。

また“教育改革”などにおいても同様です。


 
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2020年03月15日
No.4590 ちょっと一休み その712 『安倍政権は絶好の機会を逃した!』

今や新型コロナウイルス肺炎の感染拡大阻止は、世界各国の最優先課題となっているような状況です。

国内においても、以下のように報じられています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は2月28日、全国全ての小中学校や高校などに3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう各都道府県の教育委員会などを通じて要請しました。

不幸にして新型コロナウイルス肺炎に感染した方々、更には亡くなられた方々がいらっしゃいますが、昨年12月31日に中国の湖北省武漢市当局により新型コロナウイルスについて公表されてから今回の政府による臨時休校の要請までは既に2ヵ月ほど経過しています。

 

さて、新型コロナウイルスとインフルエンザの致死率の比較が気になったのでネット検索してみたところ、こちらのネット記事によると、新型コロナウイルスの致死率は季節性インフルエンザの10倍といいます。 

ですから、この数字と中国の湖北省武漢市当局が新型コロナウイルスについて公表した昨年12月31日からの日本国内の感染状況の経過を注視していれば、もっと早くより適切な対策を公表出来たと思うのです。

2月28日の政府の公表から3月2日の臨時休校まではわずか2日しかありません。

これでは現場が混乱するのは当然です。

せめて公表から休校の開始まで2週間ほどの猶予があれば、対応方法について検討する時間が持てたと思います。

 

そうは言っても、遅ればせながらではあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大阻止を目的とした安倍総理ご自身による臨時休校の決断は良かったと私は思います。

 

しかし、とても残念に思うのは、政府は絶好の機会を逃してしまったことです。

3月2日からの臨時休校以来、生徒が学校での授業が受けられなくなってしまった状態が続いています。

そして中には暇を持て余したり、カラオケ店やゲームセンターなどで時間を過ごす生徒もいると報じられています。

このような生徒の中から新型コロナウイルス肺炎の感染者が出てしまっては本末転倒です。

 

政府は働き方改革、および教育改革を進めていますが、この両方に共通して言えることは、インターネット、IT、AI、あるいはロボットなどの最大限の活用です。

また、今ではテレワークをする環境については、その気になればどの企業でも短期間のうちに低コストで整備出来ます。

ですから、せめて3月2日から2週間ほど前に安倍総理が臨時休校などの緊急事態宣言を発表していれば、多くの学校や施設、企業などは3月2日以降の体制を十分とは言わないまでもかなり整えることが出来、3月2日を迎えることが出来たはずなのです。

 

報道によれば、ネット上では多くの学習支援アプリの提供企業が3月末まで無料でこうした学習を出来るように支援しているといいます。

これはこれで素晴らしいサービスだと思います。

しかし、本来であれば、各学校で、先生と個々の生徒とがリモート学習を出来る環境を整えてあれば、多少効率は悪くなっても授業の中断を避けることが出来たのです。

ですから、緊急事態というやむを得ない状況ではありますが、“禍を転じて福と為す”ということわざの通り、リモート学習に必要な最低限の環境を整えられるようなガイドラインを事前に公表していれば、多くの教師も真剣に取り組み、少なくとも授業における教育改革をかなりの程度まで進めることが出来たと思われます。

 

ということで、安倍政権は絶好の機会を逃したと思うのです。


 
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2020年03月14日
プロジェクト管理と日常生活 No.632 『中国、ビッグデータで新型コロナウイルス肺炎の感染経路を特定!』

2月18日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で、中国政府によるビッグデータを活用した新型コロナウイルス肺炎の感染経路の特定について取り上げていたのでその要点をご紹介します

 

(要点)

・新型コロナウイルスによる肺炎が深刻となっている中国で、ビッグデータをはじめとする最新技術が感染経路の特定に利用されている

・ビッグデータは人権活動家や少数民族らを監視するためにも使われ、その乱用に批判が出ているが、政府が肺炎対策に活用されていると自賛する一方、個人情報の流出を懸念する声が根強い

・中国内には2億台以上とも伝えられる監視カメラが街頭に設置され、体制に反対する動きがないか目を光らせている

・携帯電話の通話や位置情報なども集められ、個人の行動を詳細に分析し、この監視システムが感染経路の把握に利用されている

・肺炎のまん延で、個人の移動が細かく管理されるようになり、最新技術による監視も強化されているもようだ

・自分が乗った飛行機や列車に感染者がいたかどうかを教えてくれるスマホのアプリもある

・ハイテクを活用して追跡し、中国政府が特定した濃厚接触者は2月17日、54万6000人に達した

・当局は、肺炎対策のために利用される個人情報について厳格に管理し、事態収束後には破棄されるとしているが、個人情報の流出によって感染者に対する差別が懸念されている

・中国版ツイッター「微博」では「(感染者の)個人情報を勝手に公開しないでほしい。彼らに罪はない」という声が上がっている

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

こうして見てくると、個人の位置情報、および通信内容の履歴が政府に管理されていることから、その是非はともかく中国社会は個人情報のビッグデータ化、およびその“見える化”が非常に進んでいると言えます。

こうした情報を今回のようなパンデミック(世界的流行)級の伝染病対策に活用すれば、非常に効率的、かつ効果的に感染の拡大を鎮静化するうえでとても有効な問題対応策の手段となります。

しかも、ビッグデータを活用して自分が乗った飛行機や列車に感染者がいたかどうかを教えてくれるスマホのアプリもあるといいますから、個人の立場からも自分が感染している可能性を判断するうえでとても便利です。

また、こうした個人の監視システムは犯罪容疑者の早期逮捕、および犯罪の抑止対策としてとても役立ちます。

 

こうしたメリットのある一方で、個人情報の徹底した“見える化”を可能にするビッグデータはとても大きなリスクをはらんでいます。

万一、このビッグデータが不正に流出して悪用された場合の影響は計り知れません。

しかも、一旦流出したビッグデータを取り返すことはほぼ不可能で、高額で販売出来ますから拡散する可能性も非常に高いです。

また、中国のような共産党による一党独裁国家においては、政府は反政府的な特定の個人などを監視するうえでもとても便利な手段となります。

 

ということで、ビッグデータを活用した“見える化”、即ち現状把握はプロジェクト管理の中の問題管理における問題対応策として非常に有効なのです。

また、犯罪のリスク対応策としても同様に有効なのです。

一方で、個人情報の観点からは、その保護リスクは極めて高いのです。

ですから、問題解決や犯罪リスクの観点と個人情報の保護の観点からバランスの取れた対応策がとても重要なのです。

 

なお、一方で、新型コロナウイルスに対する中国政府の初動の遅れに批判の声が上がっています。

2月16日(日)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)では次のように報じています。

 

中国では、死者が1665人、感染者が6万8500人(2月16日現在)に上り、市民からは政府の初動の遅れが感染拡大につながったなどと批判の声が相次いでいます。

更に武漢の医師、李 文亮さんが自らも感染して2月7日に死亡したことが拍車をかけました。

李さんは、当局の発表前にSNSで警鐘を鳴らしましたが、“デマを流した”などとして警察から処分を受けていました。

インターネットでは、“中国政府の言論統制が感染拡大を招いた“などと訴える文書が公開され、改革派の知識人を中心に賛同する動きが広がっています。

公開された文書に署名した精華大学の元講師、呉 強さんは次のようにおっしゃっています。

「問題の原因は、政府が権力を独占し、言論の自由を奪ったからだ。」

「大きな不満は習近平国家主席にも向かっている。」

 

こうした中、湖北省を中心に地方政府の幹部を更迭する動きが相次いでいます。

国民の不満の矛先が習主席本人や共産党の最高指導部に向かわないようにする狙いもあると見られます。

 

また、昨年12月31日に地元当局が新型コロナウイルスについて公表後、中国メディアはこれまで習主席が1月20日に新型コロナウイルスへの対策を指示したと伝えていましたが、2月16日になって1月7日の時点で指示していたと伝えたのです。

これに対して、インターネット上では「1月7日に本当に指示していたら、ここまで大勢死ぬはずがない」というように批判的な意見が見られます。

 

更に悩ましい事態も生じています。

向こう1年間の重要政策などを決める全人代、全国人民代表大会の開催が危ぶまれているのです。

全人代に先立って開かれる地方レベルの会議は相次いで延期されています。

全人代は毎年3月5日に開幕されることが慣例で、仮に延期されれば極めて異例です。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を通してあらためて思うのは、リスク対応策を実施するうえでとても重要なことは、いかにリスクの顕在化後に素早く対応するかなのです。

なぜならば、対応が遅れれば遅れるほどその影響は大きくなるからなのです。

こうした観点から、今回の新型コロナウイルス肺炎の世界的な感染拡大は、武漢政府の医師、李さんによる警告の無視、および中国政府による初動の遅れが大きな原因だと言えます。

更に、いかに習政権が政権維持のために誤った情報を流しているかという事実を番組からうかがい知ることが出来ます。

そして初動の遅れは自らにも極めて異例の全人代開催の延期となって現れています。

またこうした習政権にとって不都合な事実を隠し、誤った情報を流し続ければ、今後ともどこかでその悪影響をもたらすことになるはずです。

そして、このまま世界各国への影響はともかく中国国内での感染者、および死亡者の数が沈静化しない状態が続くようであれば、いずれ国民の不満が爆発して習政権は終わりを迎えるようになってしまうと想像されます。

そうなれば、習政権が自ら招いた“自滅”をもたらすことになります。

習政権の肩を持つわけではありませんが、中国国民のことを考えれば、真摯に事実に向き合い、正確な情報を国民に伝え、少しでも早く新型コロナウイルス肺炎が沈静化するように取り組んでいただいたいと思います。


なお、3月11日(水)付けネットニュース(こちらを参照)によると、中国の習近平国家主席は3月10日、新型コロナウイルスの感染が大流行した湖北省武漢市を訪れ、政府が事態を収拾させたとのメッセージを発しました。
中国は3月10日、新型ウイルスの新たな感染者が19人にとどまり、これまでで最少となりました。
うち2人は海外からの渡航者で、その他は全員、武漢市で確認されました。


ということで、中国における私の懸念は単なる心配事に終わったのであれば幸いです。
しかし、中国に代わってイタリアなど世界各国で感染拡大が進んでいます。
ですから、感染拡大の防止や世界経済の減速、あるいは東京オリンピック開催への影響を考えると、国際協調で適切な対応が求められます。


 
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2020年03月13日
アイデアよもやま話 No.4589 ノーベル賞級の画期的な発明 ― 電気不要、水と触媒だけで水素を製造出来る!?

2月26日(水)、27日(木)と2日間にわたって、「スマートグリッドEXPO」(「二次電池展」なども同時開催)見学のため東京ビッグサイトに行って来ました。

 

毎回この種の展示会には出向くようにしていますが、今回はこれまでになく興奮しました。

その理由は、これで地球環境問題もエネルギー問題も解決出来るという確信を持てたからです。

 

エネコホールディングス株式会社Eneco Holdings)については、以前アイデアよもやま話 No.3377 画期的な”水増し”燃料が実用化!でその画期的、かつ独創的な技術についてお伝えしました。

そのエネコ ホールディングスが今回の展示会ではとんでもない装置を展示していたのです。

その技術とは、水道水と廃棄物からなる独自開発した触媒を接触させ、発生した低温の反応熱を利用し、外部からのエネルギーを利用せずに、低エネルギーで効率的に「Eneco PLAZMA H2(純水素ガス)」と「Eneco PLAZMA HHO(酸水素ガス)」の両方を発生させる技術です。

つまり、この装置「Eneco PLAZMA FUSION」は電気も熱も使用せず、またCO2も排出せずに2種類のガスを製造出来るというわけです。

ですから、この装置で製造された水素ガスは燃料として使用出来ます。

実際に、この装置は既に以下の燃料精製装置としての使用実績があり、その実用性が実証されているのです。

・公道を走行するバス

・乗用車

・バングラデシュの大手繊維会社

 

なお、この装置については、4月1日よりEneco工場(山梨県富士吉田市)で稼働予定で、工場見学も出来るようになるといいます。

 

さて、今回ご紹介した燃料精製装置は、以前アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・でお伝えした発電装置の主な要件を満たすものです。

水と特殊な触媒さえあれば、水素ガスを製造出来るのですから、水素ガス発電装置、あるいはバッテリーと組み合わせることによって、世界中どこでも水素ガス、あるいは電気として使用出来るようになるのです。

ですからノーベル賞級の極めて画期的な発明と言えます。

 

ちなみに、私の知る限り、会場に置かれていた業界新聞やこの展示会関連のテレビニュース番組でこの装置については一切触れられていませんでした。

このような画期的な装置がなぜ大々的に報道されないのかとても不思議に思っております。


 
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2020年03月12日
アイデアよもやま話 No.4588 災害時にも役立つ“油だけとれる繊維”!

「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、これまで様々なアイデアをご紹介してきましたが、実はその多くは「トレンドたまご(トレたま)」というコーナーで取り上げていたアイデアなのです。

そして、このコーナーで紹介されたアイデア商品の中から毎年、年末に“トレたま年間大賞”が発表されています。

そこで、今回は昨年12月24日(火)放送分を通して、その大賞候補の中から2回にわたって2つご紹介します。

2回目は、”油だけとれる繊維”についてです。

なお、このアイデアは昨年のトレたま大賞を受賞しました。

 

水をはじいて油だけを吸着出来る繊維を使った吸着マットが災害現場でとても役立ったといいます。

昨年8月の大雨で佐賀県大町町は町中浸水、しかも鉄工所から油が大量に流出しました。

一面真黒な油で鏡のような災害現場で油の除去に使われたのがこの吸着マットでした。

そして、第一線で活動にあたったのは海上自衛隊・佐世保水中処理隊の隊員たちです。

作業完了までには14日間で245名を要したといいます。

取っても取っても次々に油が湧いて来たといいます。

凄いのは、作業完了後には畑の土も道路もそのまま使えるようになったことです。

 

開発したのは、エム・テックス株式会社M-TechX 埼玉県さいたま市)で、災害のあった大町町に18万枚の吸着マットを寄付していました。

番組では、”油だけとれる繊維”の開発者である竹ノ下 友基部長とともに大町町の役場を訪問しました。

大町町 総務課の宮崎 貴浩さんは次のようにおっしゃっています。

「大町町のピンチを本当に助けてもらったということで、本当に心の底から感謝しております。」

 

一方、竹ノ下さんは次のようにおっしゃっています。

「まずお役に立てて本当に良かったなということと、これで出来ることをやっていきたいという想いからモノを作って来たので、本当にそういった信念を持ったところが実現出来たのかな。」

 

この吸着マットの素晴らしさについて、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「これは便利。」

「家庭で役立つだけではなくて、災害の時に役立つのはビデオにあった通りですよね。」

「もう1つ、値段がものすごく安い。」

「アメリカだったら倍以上の値段になると思います。」

 

なお、実際に番組放映中に、水の上に油の浮いた容器の中に吸着マットを浸すと、(まるでマジックのように)1分もかからないうちに綺麗に油を取り除くことが出来ました。

しかも、吸着マットの上側には全く油が染み込まず綺麗なままです。

 

この便利な”油だけとれる繊維”ですが、家庭用には商品名「ベルサイユのわた」で500円程度(税別)で販売されています。

 

ちなみに“トレたま年間大賞”候補には、前回、今回とご紹介した2つ以外にも以下の8つのアイデアがありました。

・透明な醤油

・ドローンで自動歩行

・“ひねってポイ”の消臭袋

・ハンディプリンター

・カプセル植木鉢

・変身する指輪(目の錯覚を利用)

・玄関ドア 自動開閉装置

・自動血管膨らませ装置

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

家庭の料理で、天ぷらなどを揚げると残りの油の処分に困りますが、今回ご紹介した「ベルサイユのわた」を使えば簡単に処分出来ます。

更に、”油だけとれる繊維”は家庭で役立つだけではなくて、タンカー事故や災害の時に油が大量に流出した場合にも役立ち、しかも価格も安いというのです。

ということで、今回ご紹介した”油だけとれる繊維”は海外からの引き合いも大いに期待出来そうです。


 
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2020年03月11日
アイデアよもやま話 No.4587 パイプ探査ロボット!

「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、これまで様々なアイデアをご紹介してきましたが、実はその多くは「トレンドたまご(トレたま)」というコーナーで取り上げていたアイデアなのです。

そして、このコーナーで紹介されたアイデア商品の中から毎年、年末に“トレたま年間大賞”が発表されています。

そこで、今回は昨年12月24日(火)放送分を通して、その大賞候補の中から2回にわたって2つご紹介します。

1回目は、パイプ探査ロボットについてです。

 

配管の老朽箇所の点検などにパイプ探査ロボットは、ロボットのカメラで配管の中を確認出来ます。

新型のロボットは、パイプの太さが途中で変わっても自由に動くことが出来るのです。

10cmの細いパイプを通る時は、身体を真っすぐにして進みます。

そして15cmの太いパイプになると、パイプの角度に合わせて移動します。

これで全国の見えない配管を“見える化”します。

なお、このロボットを開発したのは弘栄設備工業株式会社(山形県山形市 船橋 吾一社長)です。

 

解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「老朽化した設備は、図面が無くなっていたり、あるいはそもそもそこに入るのが危険ですよね。」

「そこにロボットが代わりに入って行って、図面まで引いてくれるわけですから、これぞ正しいロボットの使い方だなと思いますよ。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

配管の老朽箇所について、これまでどのような方法で点検していたのか分かりません。

しかし、今回ご紹介したパイプ探査ロボットを使用すれば、カメラで配管の中を確認出来るだけでなく、図面まで引いてくれるのですから、山川さんのおっしゃるように、“これぞ正しいロボットの使い方”だと思います。

 

ロボットやドローンについては、被災地の瓦礫の中をかき分けて進んだり、あるいは老朽化した鉄橋などの点検に使用したりと、私たち人間が取り組むと危険であったり、そもそも非常に困難だったりすることが効率的に出来るのですから、AIとの組み合わせにより、今後とも様々な分野での活用が期待出来ます。


 
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2020年03月10日
アイデアよもやま話 No.4586 資生堂工場の国内回帰!

昨年12月24日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で資生堂工場の国内回帰について取り上げていたのでご紹介します。 

 

これまで工場を中国などアジアに移転することが多かった日本企業ですが、最近国内に戻す企業も出始めています。

大手化粧品メーカーの資生堂は、昨年12月24日、36年ぶりになる栃木新工場(那須)を本格稼働しました。

街の人たちは次のようにおっしゃっています。

「雇用が増えれば、(街が)活性化もするでしょうし、お金も循環するでしょうし。」

 

「(新たな)就職先が出来て来るかな。」

 

工場では、衛生管理を徹底する他、社員の6割が女性ということを受け、働き易いようにパウダールームなどを備えています。

国内工場を建設した最大の理由は、海外での需要の増加です。

2018年、中国での売り上げは1908億円で、前年より32.3%増えました。

この需要に対する供給が追い付かず、資生堂では約500億円〜600億円ほどの販売機会の損失が発生したとしています。

この工場の稼働により、中高価格帯のスキンケア製品を1億2000万個製造することが出来ます。

長谷川 修嗣那須工場長は次のようにおっしゃっています。

「現在の400人体制の人員について、将来的には1000人規模の工場になることを計画しておりです。」

「ブランドの発信拠点として地域の皆さんとともに成長・発展していきたいと思っております。」

 

日本の化粧品は、外国人観光客にも根強い人気です。

特に中国からの観光客からは以下のような声があります。

「9万円ほど、妻の友達に頼まれて買いました。」

 

「15万円前後、買いました。」

「値段は中国のものより高いですが、使った時の効果が高いです。」

「しっとりするし、中国のものと違って乾燥しません。」

 

「日本の化粧品は品質が保証されています。」

「アジア女性に適していて、アンチエイジングや美白に効果がある製品があります。」

「なぜなら、日本の女性もとても美白が好き、全アジアの女性も美白が好き」

 

日本の化粧品の根強い人気は、黒子役だった企業の急成長を促しています。

株式会社日本色材工業研究所(東京都港区)は、エスティローダーグループなど国内外のメーカー約400社の化粧品の製造を請け負っているのです。

メーカーから製造を請け負うOEMの化粧品の国内市場規模は2018年度に3250億円と4年で4割も増加しています。(矢野経済研究所調べ)

日本色材工業研究所の奥村 浩士会長は次のようにおっしゃっています。

「各メーカーさんもどんどん外注に出していくという方向へ動いているために、化粧品全体の伸びよりもOEMの伸びの方が大きい。」

 

茨城県つくば市、日本色材工業研究所は生産能力の不足を補うため、34億円を投じて工場を増設中です。

今は神奈川県の工場などで作ったものを充てんしていますが、来年(2020年)からはこの工場で一貫生産出来、生産能力は1.5倍にアップします。

日本色材工業研究所 つくば工場の高木 明工場長は次のようにおっしゃっています。

「つくば工場でバルク(中身)を作ることによって、お客様のご要望に応えられる時間が圧倒的に短くなりますし、・・・」

 

「(化粧品のメイドインジャパンのニーズが高まり、)海外メーカーからの受注も増えているといいます。」

「現実に、中国、東南アジアからも増えていますので、これはしばらく続くんじゃないでしょうか。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した内容を通じて、日本の化粧品メーカーの技術力の高さ、また色白を好む日本女性向けの化粧品がそのまま他のアジア諸国の女性の願望をも満たすことから、化粧品市場が今後とも拡大する期待感が持てます。

しかも、こうした女性の願望は、価格の高さよりも所品のブランドを優先する傾向があるので、利益率も高いと思われます。

 

さて、資生堂は、海外での需要増による機会損失対策として、工場の国内回帰を果たしたといいますが、なぜ人件費の高い国内への工場回帰なのか、番組を通して考えられるのは、ブランドの発信拠点としての位置付け、および外国人観光客の増加です。

更に、中国の人件費の高騰、そして今回の中国発のコロナウイルス感染などの国情不安リスクも検討されたのかもしれません。

 

いずれにしても、大手メーカーによる工場の国内回帰は、下請け企業や今回ご紹介した日本色材工業研究所のような関連企業にとっても、あるいは国内の雇用創出の観点からも望ましいと思います。


 
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