2018年11月16日
アイデアよもやま話 No.4175 銃社会アメリカにおける3Dプリンターでの製造方法公開の是非!

以前、アイデアよもやま話 No.2452 3Dプリンターは現在の”魔法の箱”でアメリカでの3Dプリンターによる銃の製造の弊害についてお伝えしました。

そうした中、8月1日(水)放送の「NHKニュース7」(NHK総合テレビ)で銃社会アメリカで3Dプリンターでの製造方法の公開について取り上げていたのでご紹介します。 

 

銃社会アメリカで今、小さな銃が大きな議論を呼んでいます。

3Dプリンターで作ったプラスチック製の銃です。

その製造方法をインターネット上で公開することを認めたトランプ政権に避難の声が上がっています。

3Dプリンターがあれば誰でも銃が作れる、そんな社会になるのでしょうか。

 

アメリカで問題になっている3Dプリンターを使ったプラスチック製の銃、殺傷能力もあると見られます。

プラスチック製なので金属探知機に反応しにくく、製造番号もないため所有者の特定も難しいことから“ゴースト・ガン(幽霊のような銃)”とも呼ばれています。

議論の発端は、5年前にテキサス州にある団体が製造方法をインターネット上に公開したことでした。

この団体の創設者は次のようにおっしゃっています。

「3Dプリンターで出来る世界初の自己防衛だ。」

「銃規制なんて無理なんだ。」

 

銃規制に取り組んでいた当時のオバマ政権はただちに削除するように要求、“表現の自由”だと団体側から裁判を起こされても公開を認めませんでした。

 

しかし、トランプ政権は今年6月に一転して和解に応じました。

製造方法の公開を認めたのです。

7月31日、アメリカ国務省のナウアート報道官は次のようにおっしゃっています。

「(裁判を続ければ)表現の自由を保障した憲法を根拠に敗訴するとの説明を受けた。」

 

このため団体側は8月1日に公開するとしていました。

そこに“待った”がかかります。

ワシントン州などがトランプ政権を相手取り、公開の許可を取り消すよう求める訴えを起こしたのです。

ワシントン州のファーガソン司法長官は次のようにおっしゃっています。

「身元調査もない、待つ必要もない、製造番号もない、この前例なき決定は市民の安全を脅かし、州法を損なうものだ。」

 

野党の民主党もトランプ政権を強く非難しました。

ある民主党議員は次のようにおっしゃっています。

「劇場も学校もこの銃がやってくる。」

「“ゴースト・ガン”はアメリカの銃による暴力の新たな潮流だ。」

 

また民主党上院トップのシューマー院内総務は次のようにおっしゃっています。

「責任はトランプ政権にある。」

 

そして公開前日、ワシントン州連邦地方裁判所が出したのは公開を一時的に差し止めるという仮処分でした。

国民に取り返しのつかない損害を与える恐れがあると判断したのです。

公開は当面全米で違法になるということです。

表現の自由か、安全のための規制か、激化する議論の行方が注目されています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通じて、あらためてトランプ大統領の大衆迎合主義を感じました。

どうもトランプ大統領には国としてどうあるべきかよりも、自分が大統領として居続けるために半数以上を目途とした大衆が目の前で望んでいることを叶え、選挙で少しでも有利に戦えるようにという気持ちが強いようです。

今回ご紹介している銃の規制の問題においても、銃メーカー団体や自分の身は自分で守るという価値観を持った国民という大きな支持基盤を維持するために銃の規制には消極的だという見方があります。

ですから“ゴースト・ガン”の規制にも反対する姿勢を貫いているのだと思います。

このようにビジネスマンとしての実績から、トランプ大統領は最大限にその能力を生かして巧妙に政権運営をしているように思います。

 

しかし、“ゴースト・ガン”に対する規制がなければ、誰でも簡単に3Dプリンターで銃を作ることが出来てしまいます。

しかも、誰が“ゴースト・ガン”を持っているのか、あるいはアメリカ国内でいくつの“ゴースト・ガン”が出回っているのかも分からないのです。

ですから、アメリカ社会は増々“銃の蔓延”で不安な日々を送ることになってしまいます。

更に、“ゴースト・ガン”の作り方が公開されれば、他の国の人たちも簡単に“ゴースト・ガン”を作ることが出来てしまいます。

 

一方、救われるのはこうしたトランプ大統領の政策に対して異を唱える人たちの存在です。

単により多くの国民の支持を得られるような“大衆迎合主義”に基づいた政策運営がまかり通るのではなく、“表現の自由”か、“安全のための規制”かという観点に立って物事の本質を議論するような土壌をしっかりと根付かせて欲しいと世界をリードすべき大国、アメリカに期待したいと思います。

常識的には“表現の自由”よりも“安全のための規制”の方が優先されるべきだと思います。


 
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2018年11月15日
アイデアよもやま話 No.4174 生命維持の要 エクソソーム その4 食べ物に含まれるエクソソームの効用!

7月22日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHK Eテレ東京)で生命維持の要であるエクソソームについて取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

4回目は食べ物に含まれるエクソソームの効用についてです。 

 

エクソソームは私たちの体の中だけではなく、野菜や果物などの細胞からも分泌されています。

どんなものが入っているのでしょうか。

ブドウの果汁を1時間ほど遠心分離機にかけ、これを顕微鏡で見てみるとブドウ由来のエクソソームがあります。

ブドウだけではなく多くの食物にエクソソームが存在していることが分かっています。

例えばショウガにはアルコール性の肝障害を予防する効果があることが実験で確かめられています。

その実験ではA,Bの2匹のマウスのうち、Bのマウスにのみショウガのエクソソームを投与、その後2匹のマウスに同じ量のアルコールを摂取させます。

するとエクソソームを事前に投与したBのマウスの方がアルコール肝障害の指標となる酵素、ASTの数値が低くなっていたことが分かったのです。

これはショウガ由来のエクソソームがこれ以上肝臓にダメージが起こらないよう保護していると考えられるのです。

エクソソームの研究で世界をリードしている国立がん研究センター研究所・分子細胞治療研究分野 プロジェクトリーダーの落谷 孝弘さんは次のようにおっしゃっています。

「ある疾患になると、がんでも結構ですけど、そのエクソソームの中身が変わる、つまりマイクロRNAが変化するということは分かりました。」

「恐らく何らかのそういった細胞はSOSとしてエクソソームを放出しているだろうと。」

「エクソソームを持つマイクロRNAを調べることで、まだ病気ではないんだけども何か少し危険な状態になっている。」

「これを元に戻すためにお薬ではなくて、ある食品を取りましょう。」

「こういう成分を含んだ食品を沢山取ることによって、我々の体内のマイクロRNAが変化したものを元に戻りますね。」

「そういった研究をこれから重ねていきたいと思っています。」

「(他にもエクソソームを持っている食品はあるかという問いに対して、)随分論文として分かってきています。」

「例えばこれ、ちょうど今年の国際研究会で発表されたばかりなんですけども、ゆで卵のエクソソームが我々の体の中に入って思わぬことをするという証拠が出て来たんですね。」

「これはまだまだ動物の実験の段階ですけども、動脈硬化を抑えたり、あるいはゆで卵のエクソソームを摂取したマウスは記憶力が上がったり、そういった驚くべき結果だったんですね。」

 

「我々が今考えているのはミライレストランというイメージで、例えば先ほどの血液中のマイクロRNAのエクソソームの診断が痛さも感じず、簡単に行われたとすると、例えばレストランに行って、まず簡単なエクソソーム検査をする、そうすると数分で「あなたのマイクロRNAがどう変化している、だからそれを元に戻すためにどんな食材の組み合わせがいいでしょう。」」

「メニューが出てくる、そういったことがあればいいですよね。」

「でもこれにはまだまだ膨大な研究が必要だと思いますけども、これを一歩一歩データを取っていきたいと思っています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず、エクソソームは私たちの体の中だけではなく、野菜や果物などの細胞からも分泌されていることから、エクソソームはヒトだけでなく多くの食品に存在していることが分かりました。

そして、いろいろな食品由来のエクソソームやマイクロRNAの持つ効能を把握し、未病状態で最も適した食品を食べることによって私たちの体内のマイクロRNAが変化したものを元に戻し、病気にならずに済むことが出来るというのです。

そして、その一つのビジネスモデルがミライレストランというわけです。

 

“医食同源”という言葉がありますが、食品に関するエクソソームやマイクロRNAの研究はまさに現代版の“医食同源”と言えます。


 
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2018年11月14日
アイデアよもやま話 No.4173 生命維持の要 エクソソーム その3 未病や女性の肌の老化への活用の可能性!

7月22日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHK Eテレ東京)で生命維持の要であるエクソソームについて取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

3回目は未病や女性の肌の老化への活用の可能性についてです。 

 

エクソソーム研究は私たちが身に覚えのある未病という分野でも大きな広がりを見せています。

そもそも未病とは何か、例えば肩こりで病院に行っても病気と診断されることはありません。

ところが肩こりは時に狭心症や心筋梗塞など心臓病のサインであるかも知れないのです。

こういう状態が危険な未病なのです。

この異変をエクソソームを利用して発見しようという研究が進んでいるのです。

研究ではあらゆる世代の健康な男女のエクソソームを解析し、体内のマイクロRNAの数値をデータ化しようとしています。

健康な状態のマイクロRNAのデータが分かれば、これが基準になります。

例えば肩こりの人に健康なデータとは異なる結果が出ていたら、それはなんらかの病気の前触れと考えられるのです。

この検査がわずか1滴の血液から出来るようになるといいます。

もしこの血液中に心臓病のサインを示すエクソソームが流れていれば、それは大きな発見です。

 

続いて、女性の肌の老化にもエクソソームが関わっているといいます。

東京・銀座にある化粧品メーカー、加齢とともに衰える肌の張りや弾力はコラーゲンが大きく影響しています。

コラーゲンは肌の表皮の下、真皮部分にある繊維芽細胞で作られます。

コラーゲンは真皮全体に網目状の構造を作ることで、肌に弾力を与え、表皮を支える役割を担っているのです。

ところが肌の老化のメカニズムについては未だに謎があるといいます。

大手化粧品メーカーのビューティサイエンス研究センター長、松熊 祥子さんは次のようにおっしゃっています。

「紫外線によってシミとかシワができるということは分かっております。」

「ですけど、個人差が生まれますよね。」

「同じ50代になった時に、一人ひとりシワの深さも違いますし、シミの量も違いますし、まだまだ個人の老化については分かっていないことが多いのです。」

 

例えば同じ50歳でも、実年齢よりも肌が若い人もいれば、そうでない人もいます。

この個人差はいったいなぜ起きるのか、このメーカーではその謎を解くカギがエクソソームにあるのではないかと考えました。

そして研究を続ける中で貴重な撮影に成功しました。

しかし、中にどんなメッセージが書いてあったのかまでは分かっていません。

更なる研究が待たれます。

松熊さんは次のようにおっしゃっています。

「私たちの皮膚の細胞がエクソソームを取り込んで何かしら起こっているんじゃないかと。」

「それが実は老化を起こしているかもしれません。」

 

このエクソソームやマイクロRNAの数の種類を調べれば、肌の老化の個人差やそのメカニズムを解明出来るかもしれません。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

あらゆる世代の健康な男女のエクソソームを解析し、体内のマイクロRNAの数値をデータ化し、健康な状態のマイクロRNAのデータを基準に、肩こりの人などに基準値と異なる結果が出ているかどうかの検査がわずか1滴の血液から出来るようになるといいます。

そして、この血液中に心臓病などのサインを示すエクソソームが流れていれば、未病の状態、すなわち病気になる前段階で何らかの治療を施すことが可能になるのです。

 

また女性の肌の老化についても、エクソソームやマイクロRNAの数の種類を調べることにより、肌の老化の個人差やそのメカニズムを解明につながる可能性があるといいます。

 

こうした一連の研究はエクソソームやマイクロRNAの数の種類やその働きを“見える化”するプロセスと言えます。

“見える化”により、今どんな状態であるかが把握出来、そこからどんな対応をすべきかという次のステップにつなげることが出来るのです。

 

エクソソームやマイクロRNAに関する研究はまだまだ歴史が浅いので、これからどんどん研究が進むにつれて、これまでにない未病段階からのあらゆる病気の治療法や女性の肌の老化防止などにつながると大いに期待出来そうです。


 
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2018年11月13日
アイデアよもやま話 No.4172 生命維持の要 エクソソーム その2 がん治療への期待!

7月22日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHK Eテレ東京)で生命維持の要であるエクソソームについて取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

2回目はがん治療への期待についてです。 

 

前回ご紹介した心筋梗塞の他にもエクソソームを使った新たな治療への期待が高まっています。

それは私たちに身近ながんです。

がん細胞もまたエクソソームを分泌していることが分かっています。

この研究で世界をリードしているのが国立がん研究センター研究所・分子細胞治療研究分野 プロジェクトリーダーの落谷 孝弘さんなのです。

落谷さんはがん細胞がエクソソームを巧みに利用し、増殖していることを突き止め、この性質を治療に応用しようとしています。

落谷さんは次のようにおっしゃっています。

「がん細胞はエクソソームを自分自身が生き残る手段としてとてもうまく利用していたんですね。」

 

がん細胞が人を死に至らしめる最大の要因は転移です。

最初は小さな存在だったがん細胞が体内で増殖し、別の臓器へと転移・増殖することで人の命を奪います。

がん細胞はどうやって転移するのか、今まで謎とされてきたこのメカニズムがエクソソーム研究によって明らかになってきました。

がん細胞が放出したエクソソームが向かった先は血管の壁の中、ここで“もっと栄養が欲しい”というメッセージを伝えると、血管を作る細胞が仲間からのメッセージと勘違いし、血管を伸ばし始めるのです。

こうしてがん細胞は増殖に欠かせない酸素や栄養を奪い取ろうとしているのです。

更にがん細胞は攻撃を仕掛けてくる免疫細胞にもエクソソームを放出していました。

本来、免疫細胞にはがん細胞をやっつける働きがあります。

これに抵抗するため、がん細胞は“攻撃するのを止めて”というメッセージを免疫細胞に送りつけます。

すると受け取った免疫細胞はメッセージを真に受け、がん細胞を攻撃するのを止めてしまうというのです。

エクソソームを利用したがん細胞の巧妙な悪だくみです。

しかし、落谷さんはこれを逆手に取ってがん細胞の転移を抑え込む戦略を編み出しました。

がんを広げる大元であるエクソソームを封じ込めることが出来れば、がんの転移を抑えられるという発想です。

その方法とは、ある抗体をがん細胞のエクソソームに目印として貼り付けます。

すると免疫細胞ががん細胞のエクソソームを容易に見つけられるようになり、食べ始めるという仕組みです。

 

この作戦はマウス実験で驚きの結果が出ています。

マウスの肺の断面を見てみると、目印を加えていないマウスは赤く見える部分にがん細胞が転移しています。

しかし、目印を加えたマウスはほとんど転移が見られませんでした。

がん細胞の数を分析すると、なんと90%も転移を抑えられることが分かったのです。

転移を食い止めるだけではありません。

エクソソームを使ってがんの超早期発見も可能になるといいます。

落谷さんは次のようにおっしゃっています。

「実はがん細胞の種類ごとにマイクロRNAの種類も異なるということが分かりました。」

「そのメッセージであるエクソソーム中のマイクロRNAを知ることで、実はどんながんが患者さんの体の中に生まれてきたか、これを知ることが出来るんですね。」

 

「(マーキングすることは人間の体でも出来るのかという問いに対して、)まだまだ動物を使った実験ですけども、原理的には可能だと思います。」

「(元々あるがんではなく、転移に着目されたのはどうしてかという問いに対して、)実は我々がエクソソームの研究を開始して、一つ実験をしたんですね。」

「ごく簡単な実験で、がん細胞がエクソソームを分泌する経路を止めたんです。」

「で、エクソソームを止めたら、がん細胞が増殖しなくなるんじゃないか、死んじゃうんじゃないか。」

「ところが残念ながら、それは起こらなかったんです。」

「増殖は全く変わらない。」

「あれ、エクソソームががん細胞にとって非常に大事な役割を果たしているはずなのに、なぜ何も変化がないのか。」

「で次にやったことは、このがん細胞を免疫が少し低下している動物に移植しました。」

「このがん細胞、実はマウスの肺に100%転移を起こす強い転移能力を持ったがん細胞だったんです。」

「ところが、増殖は変わらないんだけども、シャーレの中でも動物に移植しても転移がほとんど消えたんですね。」

「増殖はしたけれども、転移はなかった。」

 

ここのところについてのおさらいです。

  1. 研究ではマウスにとても転移し易いがん細胞を移植

  2. このがん細胞はあらかじめエクソソームを分泌出来ないように操作されたもの

  3. 3週間後、がんそのものは大きく増殖

  4. しかし、がんの転移は起こっていなかったこと

 

このことから落谷さんは、エクソソームはがんの転移に大きく関わっていると思い至ったのです。

落谷さんは次のようにおっしゃっています。

「つまりエクソソームの本質は何かというと、がん細胞はこれを自分の転移をする手段として一番使っているんだと。」

「ですからエクソソームの機能を止めることが転移のコントロールにつながるのではないか、そういう発想なんですね。」

「エクソソームは我々の体が持つ天然のデリバリーシステムだと言われます。」

「実はお薬を投与すると、がんだけではなくいろんな正常の組織や細胞にも効いてしまうので副作用が出ますね。」

「そうじゃなくて、がんだけを狙い撃ちする新しいかたちのデリバリー、つまりいろいろなお薬や新しい抗がん剤を運ぶ“器”として利用したい。」。

「実はそういった研究も今世界中でやられているんですね。」

 

なお、現在の研究では13種類のがんを判別出来ることが分かっており、2020年を目途に実用化すべく、急ピッチで研究が進んでいるのです。

ちなみに、13種類の中には以下のがんが含まれます。

 前立腺がん

 すい臓がん

 乳がん

 ぼうこうがん

 卵巣がん

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を見てまず感じたのは、ヒトの体内のエクソソームに係わる状況はヒトの社会に似たようなことが起きているなということです。

そして、13種類のがんを早期に判別する方法については2020年を目途に実用化すべく、急ピッチで研究が進んでいる状況といいます。

なお、この研究については他の研究も進められています。

 

特に私が注目したいのは、副作用のない抗がん剤でピンポイントでがんだけを狙い撃ち出来る医療法の研究です。

がんは日本人の死因ランキングで不動の1位ですから、実現すればどれだけ多くのがん患者の方々に喜んでもらえるでしょうか。


 
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2018年11月12日
アイデアよもやま話 No.4171 生命維持の要 エクソソーム その1 エクソソームを通した臓器同士の膨大なやり取り!

7月22日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHK Eテレ東京)で生命維持の要であるエクソソームについて取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

1回目はエクソソームを通した臓器同士の膨大なやり取りについてです。 

 

2017年9月から「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)で放送した「シリーズ 人体」、今回はそのプラスルファの情報をお伝えします。

人体において重要なテーマとしてお伝えしたのが臓器同士の会話です。

これまでは脳が出す指令によって臓器は活動していると常識的に考えられてきましたが、それを覆したのです。

その主役、臓器同士のやり取りに使われるのはエクソソームと呼ばれるメッセージカプセルです。

エクソソームは1万分の1ミリほどの小さなカプセルで、中にはマイクロRNAと呼ばれるメッセージ物質が詰まっています。

例えば、心臓の細胞からメッセージ物質が放出されると体内を巡り腎臓へ、すると腎臓はそれに従って心臓を助けるためおしっこを作って出し、血圧を下げるなどの反応をします。

こうしたメッセージ物質の多くはエクソソームに包まれて運ばれることが次々と明らかになっています。

私たちの体の中を駆け巡るエクソソームはなんと100兆個もあります。

臓器同士は膨大なやり取りを繰り返しているのです。

更にエクソソームがどんなメッセージ物質を持っているかを調べることで、体内で起きている病気の兆しを発見することも可能になります。

これまでの健康常識に大変革をもたらしつつあるエクソソーム研究、番組ではその可能性に迫ります。

 

人々を死に追い込む心筋梗塞、この治療にエクソソームを活かそうという研究が進んでいます。

心筋梗塞は発症すると、細胞が瞬く間に壊死します。

一命を取りとめても心臓を元通りに戻すことは困難とされています。

心臓は新しい細胞に入れ替わるケースが極めて遅いのです。

50年かけて入れ替わるのはわずか3割程度に過ぎません。

ところが心臓の中に潜むエクソソームの中にごくわずかですが、心臓の細胞を再生させるメッセージを持ったマイクロRNAが含まれていました。

これをうまく使えば心筋梗塞を治すことが可能になるかもしれません。

 

番組の中で映し出された心筋梗塞を起こしたマウスの心臓は画面の下の部分では細胞は死滅し、数が減っています。

一方、マイクロRNAを人工的に増やしたマウスでは、心臓の壁が元気な状態に戻っていきました。

このようにエクソソーム研究によって医療の世界に革命が起きようとしているのです。

国立がん研究センター研究所・分子細胞治療研究分野 プロジェクトリーダーの落谷 孝弘さんは次のようにおっしゃっています。

「我々人間の体の細胞数ってだいたい37兆個あると言われてるんですね。」

「つまり1個の細胞が沢山のエクソソームを分泌しているということになります。」

「更に健康な状態の時はいいんですけども、これが少し健康から外れた状態、病気になったりすると、その病気にかかる細胞の分泌するエクソソームの量が何十倍にも増えるということも分かっているんですね。」

「実際に細胞の言葉を我々は聞き取ることは出来ないんですけども、まさにそのエクソソームの中に細胞が発した何かのメッセージが込められている、それが恐らくSOSであったり、あるいはもっと別のメッセージかも知れませんね。」

「(それが分かったのはいつかという問いに対して、)それは2007年、今から11年前。」

「実はスウェーデンの呼吸器内科の先生であるヤン・ロトバル博士という方がある論文を出されました。」

「どうやらマイクロRNAというものがエクソソームに入っている、そのマイクロRNAこそがメッセージ物質の役割を果たす、その主役なんだということだったんですね。」

「実際にはマイクロRNAは核酸物質の一種です。」

「でもこれが実は不安定なんですね、とっても。」

「ですから血液中に出てくると、恐らく一瞬で分解されるはずなのになぜ安定なのかおかしい、何かやっぱり理由があるはずだ。」

「そこに彼らはエクソソームという発想を持ってきて、その中に大事にパッケージングされている。」

「実はエクソソームは脂質二重膜という脂の膜で包まれていますから壊れない、守られているんですね。」

 

では、この中はどうなっているのでしょうか。

落谷さんは次のようにおっしゃっています。

「実はマイクロRNAは22個の塩基が連なっている、そしてこれがいろいろな種類、つまりいろいろな配列の22個の塩基の小さなRNAがあって、これが沢山エクソソームに詰まっている、そういうことなんですね。」

「(この順番は組み変わらないのかという問いに対して、)組み変わります。」

「そうするとメッセージの種類が変わっていくということですね。」

「たった22個なんですけど、実はそれが意味を持つ、これが最近の大きな発見なんですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

私も番組の冒頭で言われていたように、これまで脳が出す指令によって臓器は活動していると思っていました。

ところが、エクソソームを通じて臓器同士は膨大なやり取りをしているというのです。

そして、エクソソームの中にいろいろな配列の22個の塩基のマイクロRNAが詰まっており、これが種類によっていろいろな機能を果たしているというわけです。

ですから、どのマイクロRNAがどんな役割と果たしているかと突き止めることによって、心筋梗塞だけでなく様々な病気を治す可能性が出て来たのです。

それだけでなく、特定の病気にかかる細胞の分泌するエクソソームを突き止めることによって、発病時に素早く適切な治療を施すことが出来るようになるのです。

 

今、iPS細胞など再生医療にとても注目が集まっていますが、今回ご紹介したエクソソーム、およびマイクロRNAも新たな医療法として今後の研究に注目したいと思います。


 
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2018年11月11日
No.4164 ちょっと一休み その671 『マイバッグ持参のスーパーでの買い物の効用!』

最近、あちこちで“エコ”、あるいは“省エネ”という言葉を耳にします。

それだけ地球環境問題、地球温暖化問題、あるいは省エネへの関心が高まってきているのだと思います。

また、No.4080 ちょっと一休み その657 『いずれ人の体内にもプラスチックが蓄積される!?』などでもお伝えしたように世界的にプラスチック製品に対する規制の動きが加速しています。

そうした中、国内でもレジ袋の有料配布の義務化が検討され始めています。

 

こうした流れの中で、以前からスーパーによっては、プラゴミの削減を目的にレジ袋を有料にしたり、マイバッグや使い回しのレジ袋を持参するとポイントカードのポイントが加算されたりします。

そうした中、自分なりに少しでもプラゴミを減らそうと、以前どこかでいただいた布製のマイバッグを持ってスーパーに買い物に出かけました。

そうしたらレジで思わぬメリットに気付きました。

マイバッグをレジ係に渡すと買った商品をきちんと詰め込んでくれたのです。

これまでは、スーパーで買った商品はレジ係がくれたレジ袋に自分で詰め込むのが当たり前と思っていたのでちょっと得した気分になりました。

こうしたちょっとした生活パターンの変化によって、“エコ”、あるいは“省エネ”に貢献出来るのです。

しかし、レジ袋は生ごみなどを出す際の袋としてとても重宝しています。

ですから、完全に無くなってしまうと困ります。

また、今はプラスチックのストローや海に大量に廃棄されたプラゴミに注目が集まっていますが、実はプラスチックは工業用の様々な原料としても使用されているのです。

そこで、こうした“脱プラスチック”の阻害要因となるこうした問題を解決するためには、石油由来ではなく天然の素材によるプラスチックへのシフトです。

実はもう既にこの問題は解決寸前のように思われるのです。

それは、アイデアよもやま話 No.4118 “脱プラスチック”の新素材を開発した日本のベンチャー企業に商機!でご紹介した、株式会社TBMで開発された最新版の「LIMEX(ライメックス)」という新素材です。

価格がどうなのか分かりませんが、是非とも大量生産により、出来れば現行のプラスチックよりも低価格にして世界展開を目指していただきたいと思います。


 
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2018年11月10日
プロジェクト管理と日常生活 No.566 『学校教育の課題とその対応策!』

6月7日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で変わる教育と新たな市場の可能性について取り上げていました。

そこで今回は、プロジェクト管理の観点から、学校教育の課題とその対応策というかたちでご紹介します。

 

2020年度から小学校で英語教育が本格化し、プログラミング教育も必修化されます。

こうして授業数が増える一方で、教員の働き過ぎの解消も待った無しとなっています。

こうした教育現場の変化に対応するため、様々な商品サービスが登場し、新たな市場を作り出そうとしています。

 

6月7日、都内で開かれた「NEW EDUCATION EXPO 2018」で140あまりの出展企業の中には富士通やパナソニックといった大手企業も顔をそろえ、電子黒板などを展示していました。

中でも多くの教育関係者が詰めかけたのは、内田洋行による、全ての教材を電子化した「未来の教室」での模擬授業です。

現役の教員が興味を示したのは作業の効率化でした。

1台のプロジェクターに2画面同時に接続出来るといいます。

この教室では、答案用紙も電子化しており、瞬時に生徒全員に配信・回収することが出来ます。

 

このところ問題になっているのが教員の労働時間の長さです。

文部科学省によると、中学校で約6割、小学校で約3割の教員が「過労死ライン」に達する時間まで働いているといいます。

そうした中、働き方改革に関するものが注目されています。

例えば、顕微鏡で見ている映像を大きなスクリーンに投影する装置により、生徒の数の分だけ顕微鏡を用意する必要がなく、教員の負担を減らせるといいます。

また、教員にとって大きな負担になっているのは、教材の準備やテストの採点など、授業以外の時間に行う作業です。

こうした作業にも電子化の波があります。

内田洋行のAP&プラットフォーム開発部の小森 智子さんは次のようにおっしゃっています。

「(かなり分厚いバインダーの帳票を指して、)これが学校で先生方が書かなければいけない書類といいますか、作らなければいけない帳票類になっております。」

「これを今までは手で書いていたというところを今回システム(電子)化すると。」

「正しく(出席簿や成績を)つけられるとか、子どもさんに返るデータなので、精神的な負担が減るのは大きいところかなとは思います。」

 

展示会の主催者である内田洋行の大久保 昇社長は、日本の教育現場の特異性が新たな市場を生むと指摘し、次のようにおっしゃっています。

「日本の学校の先生ほど全てのことを要求されているところはないんです。」

「海外ですと、例えば生徒指導は別の人がやるとか、進路指導は別の人がやるとか、みな別々なんです。」

「来年、再来年以降、場合によったら(教育市場に)展示物ではなく、サービスを出してくる会社も出てくると思います。」

 

教育現場のもう一つの大きな変化が2020年度から始まるプログラミング教育です。

この新市場に様々な企業が参入しています。

 

番組の解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「日本の学校の先生は本当に頑張っているんですよ。」

「人口1億人超える国・地域で、これだけ教育水準が高いところは日本以外にないんですよ。」

「それを支えてるんで、本当にいろんな支援をやって欲しいんですけど、ただ1点だけ、実は授業に充てている時間と言うのは世界的にみても平均以下なんです、日本というのは。」

「授業以外のところがすごく大変で、さっきあったような事務作業だとか部活、特に事務作業のところがいろいろペーパーレス化とかやれることがいっぱいあると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも学校教育の狙いは、生徒や学生が社会に出た後、自身の自己実現と同時に社会にとって有意な人材となることを最大限に支援することにあると思います。

ですから、学校教育は以下の要件を満たすことが求められます。

・自己実現に必要な基礎能力の育成

・社会規範の理解

・時代の要請に沿った能力の育成

 

ここで今回の本題である、現在の学校教育における課題とその対応策について、番組を通して以下にまとめてみました。

・教師が授業に充てる時間の増加

(現在は、授業に充てている時間は世界的に平均以下)

・教師の過重労働の解消

 (現在は、教師が事務作業に忙殺)

・時代の要請に沿った教育

 (現在は、グローバル化に伴う英語の必要性、あるいはテクノロジーの進化に伴う新たなスキルの習得の必要性が求められていること)

 

ここからは、私の思うところについてお伝えします。

個々の学校で一つひとつの課題の対応策を検討し、それを実施するという作業を行うのは、現実の教師の多忙な状況からして無理があります。

一方、個々の企業が今回ご紹介したようなかたちで個別に教育支援ツールとして提供するのでは断片的になる傾向があります。

そこで、文部科学省(文科省)でプロジェクトを立ち上げ、少なくとも義務教育における学校教育全体のプロセスを整理し、それをシステム化するとともに、国内共通のガイドラインとして提供することが望ましいと考えます。

また、専門性が要求される英語教育やプログラミング教育については、専門の教師をつけることです。

 

一方で、英語に限らず、どの語学教育においてもAIの進化により、いずれ同時通訳、あるいは自動翻訳が当たり前の時代を迎えることは明らかです。

また、プログラミングなどのテクノロジーもAIやロボット、あるいはIoTの進化によりこれまで人手を介してきた作業はどんどんAIやロボットに置き換わっていくことも明らかです。

ですから、こうしたテクノロジーの進化に合わせて、ヒトに求められるスキルも変化していくのです。

なので、国としてこうした状況をきちんと把握しつつ、どのような人材を育成すべきかを常に念頭に置いた教育政策を進めることがとても重要だと思うのです。

一方で、どんなに優れた才能やスキルがあっても、反社会的、あるいは犯罪に結びつく行動に走るような人材が増えては、健全な社会とは言えません。

そこで、教育の指針として絶対に外せないのは以下の3点だと思います。

・独創性

・最新テクノロジーを最大限に使いこなせるスキル

・“5方良し”の精神(参照:No.4134 ちょっと一休み その666 『これからの時代のキーワード その4 ”五方良し”


 
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2018年11月09日
アイデアよもやま話 No.4169 自動運転車の実用化に向けた哲学的命題!

アイデアよもやま話 No.4071 次世代自動車のキーワードは”CASE”で次世代自動車のキーワードについてご紹介しました。

そうした中、7月24日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でA:オートノマス(自動運転)とE:エレクトリック(電動化)の2つについて取り上げていました。

そこで、今回は自動運転車の実用化に向けた哲学的命題についてご紹介します。

 

 

前回は2050年に100%電動車化を目指す動きについてご紹介しましたが、番組の最後に番組コメンテーターでクレディ・スイス証券の市川 眞一さんは次のようにおっしゃっています。

「今、日本の自動車産業が抱えているのは動力の問題、つまりガソリンなのか電動なのかという問題と同時に制御の問題というのがあって、これが自動運転自動車というものなんですけど、両方とも基本的には技術の問題だと受け止められがちなんですが、実は自動運転の問題は極めて深遠な哲学的な命題を含んでいることだと思うんですね。」

「それは例えばクルマを運転していて危険な状態になった時、搭乗者の安全を優先するのか、それとも道を歩いている歩行者の安全を優先するのかという問題があって、人がクルマを運転しているのであれば、それはやはりドライバーの責任が重くて最終的には結果責任を裁判で明らかにすることになるんですけども、自動運転になった時にプログラミングをして事前にその時の対応を決めておかなきゃいけないわけですね。」

「(どちらを選択するのか、サンデル教授の有名な「ハーバード白熱教室」でもそういう議論がありましたが、左側に行けば二人いる、右側に行けば一人いる場合、どちらに突っ込みますかということになってしまいますが、)そこに対してサンデル教授は白熱教室の中では結論を出していないんですね。」

「これは哲学的命題だということで、結論を出していないんですけども、これを制度化していく、つまり実用化していくということになると制度に仕込まなきゃいけないわけですから、これは結論を出さなきゃいけないということになります。」

「(市川さんの視点としては、制度設計こそ国の役割であるということかという問いに対して、)そうですね、アメリカや中国は今これに向けて議論もしていますし、法制化の準備もしている。」

「これに対して、日本がはたしてこの問題をどうしていくのか、そこが実は一番重要なポイントになってくると思いますね。」

 

「仮に90%の事故が減らせるとしても、きちっと事前に説明が国民に出来ていないと、一つの事故で全てが台無しになってしまうわけですね。」

「その辺がやはり政治や行政はきちっと国民にあるべき姿を説明して、その中でコンセンサスを取っていくという作業をこれからしていかないと、国内において自動運転車は普及させ、更にそれを世界に戦っていくということが出来なくなってしまいますね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

自動運転については、昨年10月に初期の日産「リーフ」から新型「リーフ」に買い替えた時から、高速道路での同一車線上でそのメリットを体感しています。

一旦時速を設定すれば、その後は渋滞の時でさえブレーキペダルから解放されるからです。

しかし、万一の事故についてはあくまでもドライバーの自己責任となります。

同様に、自動駐車については、実際に日産販売店で試乗体験しましたが、壁ギリギリまで「リーフ」が近づき、普段運転しているが故に精神衛生上とても悪いと感じました。

それは現在の自動運転だけでなく駐車機能について万一キズが付いたり、へこんでもオーナーの自己責任になると分かっていたからです。

 

なお、自動運転のレベルは以下の5つのレベルに区分されています。

レベル0  ドライバーがすべてを操作

【運転支援】レベル1 システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート

【運転支援】レベル2 システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート

【自動運転】レベル3 特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作

【自動運転】レベル4 特定の場所でシステムが全てを操作

【完全自動運転】レベル5 場所の限定なくシステムが全てを操作

 

ですから、新型「リーフ」の自動運転レベルは「レベル2」ということになります。

そして、「レベル5」の段階になって、初めて自動運転車の乗客は自己責任から免れるのです。

それでも安心は出来ません。

なぜならば、番組で紹介されたサンデル教授の「ハーバード白熱教室」でも、どうしても避けられない事故が発生する可能性があるからです。

しかも、事故の場合、どちら側の人を助けるかなど、いくつかの選択肢が発生します。

ですから、正解はなく、結論を出すことが出来ず、従って哲学的命題として正解はお預け状態にせざるを得ないのです。

それでも、自動車事故はドライバーに起因する場合が多いということから、自動運転車の普及は自動車事故を減らすうえではとても有効です。

ですから、番組でも指摘されているように、自動運転の機能と限界、および万一の事故の場合の責任を明確にして法制化したうえで、それを分かり易く理解出来るレベルにまとめて国民にガイドすることが今後の自動運転車の開発、普及の必須条件だと思います。

 

なお、いろいろと解決すべき課題は残っていますが、将来的にあらゆるクルマの運転形態の標準が「レベル5」の自動運転になれば、免許のない人でも気軽にクルマを利用出来るようになり、現在よりも格段に自動車事故は少なくなると期待出来ます。


 
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2018年11月08日
アイデアよもやま話 No.4168 2050年に100%電動車化へ!

アイデアよもやま話 No.4071 次世代自動車のキーワードは”CASE”で次世代自動車のキーワードについてご紹介しました。

そうした中、7月24日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でA:オートノマス(自動運転)とE:エレクトリック(電動化)の2つについて取り上げていました。

そこで、今回は2050年に100%電動車化を目指す動きについてご紹介します。

 

7月24日、日本の自動車産業の将来を考える経済産業省(経産省)の有識者会議は世界で販売する日本車について、2050年までに全ての乗用車が電動車になるという中間報告を発表しました。

近く最終提言を取りまとめる方針です。

世耕経済産業大臣はこの会議で次のようにおっしゃっています。

「トップレベルの自動車産業を有する日本だからこそ掲げることが出来るゴールだと。」

「世界的にも大変インパクトの大きいメッセージになろうかと。」

 

自動車メーカーのトップも参加する「自動車新時代戦略会議」がまとめた中間報告では、日本車について世界最高水準の環境性能を実現するため、2050年までに乗用車1台当たりが排出する温室効果ガスを2010年の水準に比べて約9割削減することを目指します。

これにより、2050年には日本のメーカーが世界で販売する乗用車の100%がEVやハイブリッド車などの電動車になる見通しだとしています。

会議にはトヨタやホンダ、日産自動車のトップなども参加し、経産省によると取りまとめた内容について、各社から「異論はなかった」ということです。

ただ事前の調整ではガソリン車などの販売を止め、乗用車を100%電動化することに反発の声も聞かれ、経産省は目標はあくまでも「最高水準の環境性能の実現」だとして、自動車メーカーに配慮したかたちとなりました。

 

なお、今回の会議で出された「世界の電動化の状況」(2017年)は以下の通りです。

 

      販売台数   電動化率 (EVPHVHVFCVを含む)

日本    513万台 31.6%

アメリカ 1722万台  4.0%

ドイツ   255万台  4.8%

中国   2794万台  3.0%

インド   369万台  0.03%

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず、あらためて国内でのEVの普及を目指すに当たり、必要要件を以下にまとめてみました。

・太陽光など再生可能エネルギーによる発電設備の更なる導入

・急速充電スタンドの更なる全国展開

・EVを電源としても利用出来る充電・給電併用スタンドの全国展開

・以下の取り組みによる電費の向上

  EV用バッテリーやモーターの性能向上

  車体の軽量化

 

今、世界的に注目されている地球温暖化問題の解決にあたっては、いくらEVが走行中にCO2排出量をゼロに出来てもその電力が化石燃料による火力発電から得られたものでは実質的なCO2排出量の削減には100%貢献出来ません。

ですから、自動車における実質的なCO2排出量の削減には、EVの普及とともにそれに必要な電力を再生可能エネルギーによる発電にシフトしていく必要があるのです。

また、EVはガソリン車がガソリンスタンドでガソリンを補給するように、充電スタンドで充電する必要があります。

ですから、EVの普及とともに充電スタンドの全国展開が求められるのです。

更に、EVは移動する電源とも言われるように、移動手段であると同時に電力源としての機能があります。

ですから、電力需要の少ない深夜時間帯に充電して昼間の電力需要のピーク時間帯に電力源として活用出来れば、水力発電と同様の機能を果たすことが出来、電力需要ピークを平準化させることが出来るのです。

そのためには単にEV用の充電スタンドを設置するだけでなく、EVのバッテリーを電力源として活用するための給電スタンドが必要になるのです。

ですから、充電スタンドの増強の次のステップとして充電スタンドと供給スタンドを一体化させた充電・給電併用スタンドの普及が必要になるというわけです。

こうした取り組みと並行して、EV用のバッテリーやモーターの性能向上、および車体の軽量化による電費の向上が求められるのです。

 

さて、番組でも紹介されていたように、今は日本の自動車の電動化率は世界で断トツですが、純粋なEVの割合で見れば、国内での普及率はまだまだごくわずかに過ぎません。

そのほとんどはPHV(プラグインハイブリッド車)やHV(ハイブリッド車)です。

また、FCV(燃料電池車)においては電動車に占める割合はほぼ0%に過ぎません。

FCVの普及の高いハードルとして、販売価格の高さ、および水素ガスを補充する水素ステーションの設置費用の高さが挙げられます。

ちなみに、EV用の急速充電器の設置費用は500万円ほどですが、水素ステーションの設置費用はその10倍の5億円ほどと言われています。

また、EVのバッテリー技術の進歩により、航続距離でもFCVの600kmほどに対してEVもこの数字に近づいていくのは時間の問題だと思われます。

 

こうした中、自動車の販売台数が世界的に断トツの中国は純粋なEVの普及に全力で取り組んでいます。

他の先進国もこうした中国の動きと同様の傾向があります。(参照:アイデアよもやま話 No.3878 加速するEVシフト!

その理由は、日本の自動車メーカーのハイブリッド技術に追いつくためには時間がかかるので、一足飛びにEVの開発を進め、EVで日本製のEVと対抗しようという狙いがあります。

ここで注目すべきは以下の2つの観点です。

1つ目は、ハイブリッド車に比べてEVの構造は単純なのでバッテリーを除けば製造コストが安く、その分販売価格を抑えることが出来るということです。

ですからバッテリーの価格が安くなるにつれてEVの販売価格はいずれガソリン車とも競合出来るようになると見込まれます。

現在でも航続距離が100km程度であれば、中古車では十分に購入し易いところまで来ています。

2つ目はハイブリッド車は走行中にCO2排出量をゼロにすることは出来ませんが、EVはゼロなのです。

ですから、EVは環境性能においてPHVやHVに比べて優れているのです。

この2つ目の観点から、近い将来世界的には電動車イコールEVという時代がやってくることは間違いないと思います。

 

ここで、気になるのは、経産省は自動車メーカーに配慮して、ハイブリッド車などの電動車も含めて、目標はあくまでも「最高水準の環境性能の実現」だとしたことです。

こうした経産省の配慮がこれから本格化する世界的なEV競争において、結果的に日本メーカーの弱点になることが危惧されます。

こうした長期的な方針を決める「自動車新時代戦略会議」で進めるこれからの時代の自動車戦略においては、経産省による将来の自動車産業のあるべき姿を見据えた断固としたリーダーシップが求められると思うのです。


 
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2018年11月07日
アイデアよもやま話 No.4167 タトゥー隠し専用スプレー!

温泉やプールなどではタトゥーがあると入れない施設があります。

そうした中、7月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でタトゥー隠し専用スプレーについて取り上げていたのでご紹介します。

 

タトゥー隠し専用スプレーを開発したのはパーヒの長山 太陽男社長です。

長山さん次のようにおっしゃっています。

「外国人なんかは温泉に入れなくて困っている、タトゥー入っている人がいっぱいいるんで、ここ(タトゥー隠し専用スプレーのパーツ)に顔料を入れて空気で噴き出してタトゥーを隠すことが出来ます。」

 

使い方は、まず肌の色に言わせて顔料を調整します。

それをエアスプレーにセットし、タトゥーに吹き付けるだけなのです。

それだけで近くで見なければ分からないほどにタトゥーが隠れてしまうのです。

特殊メイク用の顔料を使っているので、濡れたタオルでゴシゴシこすっても落ちません。

この状態を3日ほどキープ出来るといいます。

番組の中で実際にこのスプレーを体験した女性は次のようにおっしゃっています。

「多少突っ張る感じはあるものの、特に気にはならないので多分使います。」

 

長山さん自身もニュージーランド生まれということもあり、外国人の友達も多く、仲間たちの悩みを解決したいと開発を進めました。

長山さんは次のようにおっしゃっています。

「日本といえば温泉というイメージがあるので、タトゥーを隠さないと文化に触れられないという悩みは結構ありました。」

「これからオリンピックもあるので、せっかく日本に来てもらって、タトゥーが入っている人が嫌な思いをしないように、これをどんどん導入してもらって外国人の方に使って欲しいと思っています。」

 

既に一部のホテルに試験導入していて、規則を知らずに来日した観光客にも好評だといいます。

タトゥー以外にもアザや手術後などにも使えるといいます。

また、お湯や温泉にも溶け出すことはないといいます。

 

なお、タトゥー隠し専用スプレーの商品名は「body concealer」、価格は1万5000円で8月より発売予定といいます。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

タトゥーについては、国内では刺青と言われ、かつては任侠の世界では当たり前でした。

ですから、私が子どもの頃、銭湯に行くと当たり前のように刺青の男性を見かけることがありました。

こうした風習は今でも暴力団関係者など一部に残っているので、冒頭でお伝えしたように温泉やプールなどではタトゥーがあると入れない施設があるのです。

しかし、一方で、若い人たちの中にはファッションの一部としてタトゥーをするのが当たり前のようになっています。

その多くは海外のアイドルやタレントからの影響が大きいと思われます。

また、海外のスポーツ界などでもタトゥーのある選手をテレビ中継などで見かけることがあります。

更には、街中をあるいていると、ごく普通の訪日外国人でタトゥーをしている人を見かけることもあります。

このように国により文化の違いによってタトゥーに対するイメージは大きく異なるのです。

 

こうした中、タトゥーをしている訪日外国人に対してタトゥー隠し専用スプレーはとてもありがたい商品だと思います。

そこで、こうした商品は他にもないかとネット通販サイトを見てみたら、スプレーではなくクリーム状のものをいくつか見かけました。

ちなみに価格は高くても5000円以内でした。

 

ということで、需要のあるところにはそれに応える商品が生まれるという原理原則をあらためて実感しました。


 
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2018年11月06日
アイデアよもやま話 No.4166 バクテリア発電の持つ可能性!

これまで様々な発電方法についてご紹介してきましたが、今回は7月20日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通してバクテリア発電についてご紹介します。 

 

Sensingnet Inc.の中川 聡CEOが開発したのは、土の中にいるバクテリアによる発電装置です。

中川さんは次のようにおっしゃっています。

「(確かにLEDが光っているが、どこで発電しているのかという問いに対して、)実は土の中にいるバクテリアが発電をしています。」

「バクテリアの中には、電気を作り出しながら生きている種類のバクテリアがいるんですね。」

「(ではこのバクテリアがどのくらいの電気を作ってくれるのかという問いに対して、)バクテリアが作っている電気は0.3ボルトくらいですけども、電圧を上げる装置で引き上げることが出来るんですね。」

「大体3ボルト、ですから乾電池2本分くらいの電圧にこの装置は電圧を上げることが出来るのです。」

 

そこで、鉢植えに温度センサーを取り付けて、電圧が落ち着くまで数十秒待ちます。

すると、離れている場所でも温度と湿度をリアルタイムで送信してくれるのです。

更に人感センサーにつなぐと、人が近づくのに反応してアラートが出ます。

この鉢植えを玄関などに置いておけば、離れていても来客や不法侵入をチェックすることが出来るのです。

 

東京大学で特任教授だった中川さんはバクテリア発電の未来について次のようにおっしゃっています。

「バクテリアというのは地球上のいろいろな所にいると言われているので、例えば自然環境の状況を調べたり、電気をあまり使えない状況の文化財とか、一時的には被災地で電気が必要で何かを通信で送りたいとか、今まで出来なかったことが可能になる。」

 

このバクテリア発電装置は大きな電力を集める太陽光や風力による発電とは別に考えていて、この小さな電力でセンサーを使ってどういうことが出来るのかという研究なのです。

例えば電気の通っていない場所でGPSの情報が取れたり、送ったり、人が入れない場所の環境データを送ったり、そして自然環境を壊さないというところがポイントだといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私たちの暮らしの中には既に多くの極小出力の電力が使われています。

以下はその一例です。

身近なところでは小さな太陽光発電シートを使った卓上計算機や腕時計などがあります。

また振動エネルギーを電気に変換する振動発電も実用化されています。

そうした中、今回ご紹介したバクテリア発電は乾電池2本分くらいの用途に使えるといいます。

またバクテリアは土の中にいるのですから、鉢植えなどとして使えば、自然環境を壊さないので環境にも優しいです。

ですから、バクテリア発電もその発電出力に見合う用途で使えば、再生可能エネルギーの一環として位置付けられると期待したいと思います。


 
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2018年11月05日
アイデアよもやま話 No.4165 中国におけるeスポーツ急成長の裏側!

eスポーツについてはアイデアよもやま話 No.4013 世界が熱狂、eスポーツ!などでご紹介してきました。

そうした中、7月19日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で 中国におけるeスポーツ急成長の裏側について取り上げていたのでご紹介します。

 

オリンピックの新しい種目になれるのか注目を集めている競技がe−スポーツです。

スポーツと言ってもプレイヤーは飛んだり走ったりすることはありません。

ゲーム場で競い合うのです。

世界的に人気が高まっており、今や競技人口は1億人以上で野球の3倍にのぼるとも言われています。

 

番組では、このeスポーツ市場が急成長している中国で、そのブームの理由を取材しました。

6月30日、浙江省杭州のゲーム大会で熱い声援の先にいるのはゲームの対戦で生計を立てる、いわゆるプロのゲーマーたちです。

2つのチームが対戦型のコンピューターゲームで勝敗を競い、ゲームの模様はスクリーンに映し出されます。

こうしたゲームの対戦を単なる遊びではなく競技と捉えたのがeスポーツです。

中国ではこのeスポーツの試合観戦の人気が高まっています。

この日の勝者はプロチーム「LGD」の5人、メンバーの年齢は18歳〜24歳、年俸制でチームと契約しています。

24歳のメンバー、陳博さんはプロゲーマー歴7年で年俸4000万円です。

チームを運営するのはeスポーツ専用の企業、LGDゲーミングで有望な選手を獲得し、育成しています。

会場の外では公式グッズを販売、売り上げは好調だといいます。

 

LGDゲーミングの李軒CSOは、eスポーツが利益を生む大きな仕掛けがあるといいます。

案内された先にあったのは本格的な放送スタジオ、大会の様子はインターネットで世界中に生中継していて、視聴者は2000万人を超えるといいます。

その際のネット上の広告収入が最大の収益の柱です。

こうした中国のeスポーツ市場はこの3年間で毎年20%ずつ増えるという急成長、今年は1兆5000億円規模に達すると見込まれています。

この会場も約5億円を投じて自社で建設、建設費用はオープンから1年で回収出来る見込みです。

eスポーツの伸びを見込んで、更に大型の会場も建設中です。

客席の数は最大800と現在の会場の1.5倍、更に大きな大会を呼び込んでチームの収益につなげる狙いです。

建設費用は8億円かかっていますが、その半分を地元政府が補助しました。

実は、中国はeスポーツを新たな産業として推進・育成する政策を掲げています。

国内のレジャー消費を拡大する他、今後eスポーツの業界で世界をリードしようという思惑です。

李軒CSOは次のようにおっしゃっています。

「政府の資金援助は、チームの経営にとって大変重要で魅力です。」

「政府のサポートによって、中国のeスポーツ業界は更に速く発展していけます。

 

一方、7月16日、上海市内にあるeスポーツ専門の七煌原初学院で学生がモニターを見ながら学んでいるのはeスポーツの実況解説です。

昨年開校したプロの実況者育成コースです。

この学校では、他にeスポーツの運営やゲームソフトの開発を学ぶコースなども開講、こうした学校にも政府が資金を補助しています。

学生たちはeスポーツ業界の今後の成長を期待しているのです。

応舜潔校長は次のようにおっしゃっています。

「雨後の竹の子のように今全国各地に学校ができています。」

「今年はまさにeスポーツの教育元年と言えるでしょう。

 

国を挙げて育成する中国のeスポーツ市場、今後増々熱を帯びそうです。

 

このようにeスポーツ人気は増々加熱する中、駅も空港もない農村部に作られたeスポーツ専用の巨大なスタジアムがあります。

地元政府が250億円以上投じたプロジェクトの一部だといい、国策に後押しされてブームが行き過ぎてきているのではないかと指摘する声も出始めているといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、まず感じることは中国における新ビジネスに対する国を挙げての対応の速さです。

eスポーツもその一つで、将来性を賭けているわけです。

そして、eスポーツ専門の学校まで出来ているのには驚きです。

 

一方、日本の動きですが、10月20日(土)放送の「マツコ懐疑」(日本テレビ)でもeスポーツについて取り上げていたのでその一部を以下にご紹介します。

小学校5年生でプロ契約する天才ゲーマーやプロゲーマー集団、芸能事務所所属の美女ゲーマーが取り上げられていました。

小学生の天才ゲーマーは、ライブ動画配信サイトで自分のプレーを自宅から世界に配信しています。

 

さて、気になるeスポーツ大会の賞金ですが、日本のeスポーツ史上最高額となる優勝賞金1億円の大会が12月開催されるといいます。

また5対5で対戦するDota2という世界大会の賞金総額は23億円で1位は10億円といいます。

ですから、優勝すれば一人2億円の取り分になります。

ちなみに、番組に登場した格闘技「鉄拳」のプロゲーマーとして活躍しているたぬかなという名前の女性には男性込みの公式世界大会で準優勝しました。

月収は軽の新車が買えるくらいといいます。

 

こうした背景には、小さな子どもまで含めたゲーマー人口の増加、ゲームの進化、およびeスポーツの将来性に賭けるスポンサーの存在があります。

ですから、一部には「なんでゲームであるeスポーツがスポーツなの」という疑問が残ると思いますが、今後ともeスポーツは世界的にかなり普及していくと思われます。

 

それにしても今やeスポーツの競技人口は1億人以上で野球の3倍にのぼるとも言われていることには驚きです。

でも考えてみれば、身近なところでも3歳くらいの幼児がテレビやスマホでゲームを楽しむ時代なのですから、近い将来小学生の1億円eスポーツ・プレイヤーが誕生してもおかしくありません。

 

さて、成長著しいeスポーツですが、このeスポーツの状況を冷静に見ると、AIやロボットの普及で働く場が奪われると言われる一方で、デジタルゲームという新しいゲームの形態は新たな産業を生み出していると実感出来ます。


 
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2018年11月04日
No.4164 ちょっと一休み その671 『あらためて思うネット社会の大きな可能性!』

今や短期間のうちに急成長を遂げるベンチャー企業が世界的に次々に登場してきますが、その最大の要件はネット社会の普及にあると思います。

ネット社会の特徴は、あらゆるコミュニケーションを誰でも安価で容易に出来ることです。

こうした環境によってサービスを提供する企業は、ネット社会以前の業態の企業に比べて格段に事業を展開するうえでの人件費や通信費などのコストを削減出来るようになったのです。

更にユーザーはどこに住んでいても場所に関係なく様々な多くの種類の商品やサービスを受けることが出来るようになったので、従来に比べて格段に多くの潜在需要を取り込むことが出来るようになったのです。

更に最近ではAIのディープラーニング(深層学習)、およびIoTなどによるビッグデータの活用によりより的確な需要を把握し、新たな需要の掘り起こしが可能になりつつあります。

一方で、こうしたネット社会のメリットと実社会におけるロボットの活用の組み合わせにより、更に新規ビジネス誕生の幅は広がっています。

 

一方で、AIやロボットなどの導入により、仕事が奪われるという懸念が出て来ています。

また、18世紀の産業革命の時なども労働者による機械化反対運動が起きていました。

しかし、実際には産業革命により格段に新しいビジネスが誕生し、個々のビジネスに必要なスキルが求められるようになり、労働需要が増えたのです。

同様に、近年はネット通販ビジネスの拡大により物流業界では人手不足が深刻化するほど業務量が増えているといいます。

同様にAIやロボットの活用次第でこれまでにない多くのビジネスの誕生が期待出来るのです。

ですから、ヒトから好奇心やベンチャー精神が失われない限り、常に新しくベンチャー企業が誕生し、その中から一大産業へと成長する企業が現れるのです。

その結果、従来のビジネス衰退する一方で新規ビジネスが活況を呈し、従来の雇用が失われる一方で、新規雇用が生まれると期待出来るのです。

 

ということで、とても単純な話ですが、私たちの未来は私たち一人ひとりがどう生きるかにかかっていると言えるのです。


 
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2018年11月03日
プロジェクト管理と日常生活 No.564 『もし東京で豪雨災害が起きたら!』

7月に西日本を襲った、平成で最悪の被害をもたらした豪雨災害については、プロジェクト管理と日常生活 No.551 『西日本を襲った記録的豪雨に思う地球温暖化リスク対応策の必要性』でもお伝えしましたが、7月10日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でもこの西日本豪雨災害について取り上げていました。

今回は番組を通して、このような豪雨災害がもし東京で起きたらどのような影響があるかについてご紹介します。

 

もし今回のような規模の豪雨が東京で起きたらどうなるのか、豪雨の被害に詳しい早稲田大学 理工学術院の関根 正人教授は次のようにおっしゃっています。

「気圧配置だったり、諸々の条件が関東には雨を降らせなかっただけの話です。」

「他人ごとでは済まない話だと思います。」

 

2本の川に挟まれた真備町(岡山県倉敷市)のような地形は東京にもあります。

隅田川、荒川、江戸川などの川に囲まれたエリアです。

今回のような100ミリ規模の雨が隅田川と荒川に挟まれたエリアに降り、堤防が決壊した場合どうなるか、過去の豪雨のデータを利用し、浸水予測をしてもらいました。

その結果、2時間後には地下の下水道は広範囲で満杯となり、地上では墨田区の半分ほどが2m以上の浸水、最大では5mを超える深さになるところもあります。

避難場所が少ないと言われる江戸川区では、こういった時のためにスーパー堤防があります。

江戸川の河川敷と公園が一体となって整備されたスーパー堤防は、災害時には避難場所としても使われます。

しかし、川が近くにない地域でも注意は必要だといいます。

渋谷や溜池山王の周辺は今回のような豪雨で浸水の恐れがあるといいます。

更に東京では都市ならではの危険な場所があると関根教授は指摘します。

アンダーパスという立体的に交差している道路です。

関根教授は次のようにおっしゃっています。

「50cmないし1mぐらいの浸水になってきますとクルマはもう通過することが出来ない。」

「例えば渋滞が起こってクルマが止まってしまうことになると、クルマは動かなくなりますし、扉すら開けられない状態になる可能性があります。」

「一番危険なのはやはり地下浸水による被害だと思います。」

 

「これまでにない雨になった時に初めて怖いということに気付く。」

「その時ではもう遅いので、そのあたりのことをしっかり想像出来るようにしていきたい。」

 

東京各所にある地下も豪雨の時は避けた方が良い場所ですが、段差のある地下入り口は浸水をある程度防げます。

今回のように明らかに異常な雨だと感じた場合は3階以上の高い建物に逃げるなど、危機意識を持つことが大切だといいます。

 

被災地域を取材した、番組のキャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「特に上空から見ていると、日本の住宅というのはいかに散らばって無秩序に建っているのか、しかも稲作文化で育ってきたせいか、どうしても水を求めて川の近くに建っていくんですね。」

「で、結果として、それが氾濫する危険が分かっていても、そこから離れられないというね、これをすごく感じたんですね。」

「で、そこに高齢化の問題が今押し寄せて来ていて、一方で異常気象が続くと考えた時に、本当にまた非常に残酷なようですけど、今ある場所に皆さんまた戻っていただいて強靭化していく、補助金を出していくっていうのは、そういう復旧のさせ方で本当に抜本的な解決になるのか、やはり残酷なようですけどコンパクトシティとか、そういう人の移動を伴った抜本的な土地計画の見直し、これが必要じゃないかなと感じましたね。」

 

このコメントを受けて、メインキャスターの大江 麻理子さんは、こうした災害はどこでも起こり得るということを念頭に置いた方がいいとおっしゃっています。

 

さて、来年度予算の概算要求では、公共事業など一律で10%減らすように求めています。

番組コメンテーターでモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「(そうした中で自然災害の規模がこれだけ大きくなっている中でその方針で大丈夫なのかという問いに対して、)私もちょっと問題かなと思いますけど、やはり歳出の配分が正しいのかということが大きな問題だと思いますね。」

「で、数字を見てみると非常に面白いんですけども、社会歳出を見てみますと、例えば2000年度から2016年度まで33兆円上がっています。」

「(この中で、)インフラ・教育・防衛などは5兆円しか上がってないんです。」

「やっぱり偏って社会保障に使っているということは、今回の被害の一つの原因ではないかなとちょっと思いますね。」

「やっぱり歳出を何とかもっと効率的に配分すべきではないかと思いますし、今日の概算要求で社会保障を増やす、公共事業を減らす、そういうかたちが続いているなということがちょっと心配ですね。」

 

そこで社会保障の効率化が重要だということになります。

解説キャスターの山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「(そのためには何が必要かという問いに対して、)特に医療費のところが中心なんですけど、63歳から65歳の男性がその後20年間どういう健康状態だったかというのを追跡した調査なんですが、一番標準的なパターンはだいたい70歳台くらいから介護が段々必要になってくる、これが全体の7割を占めています。」

「その中でずうっと元気な人は11%います。」

「ちなみに、こういった方の中では中小企業の社長さんが多いらしいです。」

「やっぱり仕事と関係するんです。」

「で、問題は19%の人は早いうちから寝たきりになっていかれる方なんですが、ここの医療コストが実は莫大なんです。」

「ですから、これをどうやって予防措置を取って減らしていくか、ここが一番大事になっていくわけですね。」

 

これについて、フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「その通りですけど、予防だけじゃなくて、医療費だけじゃなくて、やっぱり成長戦略につながる項目を増やして社会保障は上限を付けるということが必要だと思います。」

「キャップをはめる、そうしないとうまくいかないと思いますし、加えて受益者負担をもっと合理化すること、あるいは費用対効果分析を徹底すること、こういうことをやって初めて持続性のある日本経済になる。」

「そうしないとちょっと持続性は怖いですね。」

 

番組の最後には、日本は医療データが沢山ある国なので、そのビッグデータをうまく活かしていきたいという指摘がされました。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して感じたことを以下にまとめてみました。

持続可能な社会について、最近注目されているのは主に地球環境問題についてです。

そして以前、地球環境問題を考えるうえで、地球環境、エネルギー、および経済という3つのバランスの必要性についてお伝えしました。

同様に、集中豪雨や巨大台風、あるいは巨大地震などに備える社会インフラの整備を進めるうえで、社会インフラ、医療費などの社会保障、および経済という3つのバランスの必要性を考えることが求められます。

中でも経済の良し悪しは税金として社会インフラや社会保障の対応策を講じるための源資に直結しますからとても重要です。

 

しかし、番組でも指摘されているように、国の政策では社会インフラよりも医療費などの社会保障が重視されております。

この傾向は高齢化の進行に伴い、今後増々強まると思われます。

すると社会インフラへの投資は一層抑えられてしまうことになります。

 

確かに日本の首都、東京には日本の人口の1割近くが集中しており、自然災害の被害はとても大きいと見込まれています。

しかし、地球温暖化の進行に伴い、今や国内のどこにおいても巨大台風や集中豪雨に襲われる可能性があります。

また、巨大地震も同様にどの地域で起きてもおかしくないと言われています。

ですから、国全体として大災害のリスク対応策が求められるのです。

 

ではどうするかですが、大きく以下の3つの対応策があると思います。

・医療費の削減

国民的な健康増進運動により健康寿命を延ばすこと

・経済の活性化

ベンチャー企業の育成支援などによる成長戦略の促進

AIやロボットなどの活用による生産性の向上

・費用対効果分析によるリスク対応策の優先順位の決定による効率的なコスト配分

被害の大きさ、あるいは効果の度合いとそのリスク対応策用コストの観点から優先順位に沿ってリスク対応策を実施すること

 

要するに、国は自然災害の枠内だけでリスク対応策用コストを検討するのではなく、医療費なども含めた全体の枠組みで優先順位を決めて全体のリスク対応策を実施すると同時に、医療費の削減策、あるいは経済の活性化対策にしっかりと取り組むことが必要だと思うのです。

毎年毎年、国の借金を重ねながら今を生きている世代の暮らしを最優先していては、将来の日本を背負う世代の時代には国家財政が破たんしてしまうことは明らかなのです。


 
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2018年11月02日
アイデアよもやま話 No.4163 「働き方改革」を進めるだけでいいのか?

前々回、前回と2回にわたって漫画家 三田 紀房さんの漫画制作への独自の取り組みについてご紹介しました。

前回では、安倍政権の進める「働き方改革」にも参考になる三田さんの進める描かない漫画革命についてご紹介しました。

 

しかし、合理的思考の飽くなき追求だけで世の中は心豊かな社会になるのでしょうか。

「働き方改革」により生産性が向上しても、企業が更なる利益を追求して労働時間がそれほど短縮出来なければ、従業員の収入は多少増えても自由な時間はあまり増えません。

 

一方、地球温暖化は予想以上のスピードで進んでおります。

7月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)によると、1951年から1980年までの世界の平均気温からみて、2017年までの40年たらずの期間に0.9℃上昇しているといいます。

一方、環境省が昨年新たな予測をまとめました。

このまま温暖化が進むと今世紀末には全国平均気温は現在より4.6℃上昇するとしています。

今夏の世界的な記録的猛暑やスーパー台風、あるいは集中豪雨はこうした影響によるものと一部の専門家は指摘しています。

ですから、現状のままではこうした自然災害による被害は今後とも一層大きくなると予想されます。

 

さて、世界的に“脱原発”が叫ばれていますが、日本政府はまだ当分原発を主要電源として位置付けております。

化石燃料による火力発電も同様です。

現時点ですぐに“脱原発”を実現しようとすれば、火力発電に大きく依存しなければならず、その分地球温暖化の大きな原因であるCO2を排出してしまいます。

しかも、化石燃料はいずれ枯渇してしまう運命にあります。

また太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電にのみ依存するにはまだまだ道を遠いと言わざるを得ません。

 

こうしたことから、私たちは再生可能エネルギー発電の普及と並行して、「働き方改革」とともに地球温暖化や地球環境、そしてエネルギー枯渇の問題解決にもつながるような「ライフスタイル改革」を進める必要があるのです。

今、その一つとして世界的にストローなどのプラスチックゴミ削減が大きく取り上げられていますが。こうした一つひとつの取り組みを積み重ねていくことがとても大切だと思います。

「ライフスタイル改革」はこれまで何ととなくお伝えしてきた持続可能な社会の実現に直結しなければならないのです。


 
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2018年11月01日
アイデアよもやま話 No.4162 三田 紀房さんの漫画への独自の取り組み その2 描かない漫画革命!

7月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では漫画家 三田 紀房さんがゲストに迎えられていました。

そこで、番組を通して三田さんの漫画制作への独自の取り組みについて2回にわたってご紹介します。

2回目は三田さんの進める描かない漫画革命についてです。

 

新しいことに次々にチャレンジしてきた三田さんですが、今、漫画界の常識を覆す新たな取り組みを始めています。

三田さんは今も漫画の週間連載を抱えています。

「アルキメデスの大戦」では、戦艦大和の建造を巡り、対立する日本海軍の内部を描きます。

しかし、三田さんが連載しているのはこれだけではありません。

「ドラゴン桜」の続編、「ドラゴン桜2」も1月に連載を始めました。

しかし、今いるアシスタントは連載1本で精一杯です。

更にもう1本抱えられる秘密はどこにあるのでしょうか。

三田さんは次のようにおっしゃっています。

「僕は「ネーム(設計図)」だけやるというスタイルですね。」

「これ(「ネーム」)が出来れば、漫画は90%出来たも同然なので、これさえ出来ればもうほぼほぼ終わりと。」

 

実は、「ドラゴン桜2」は話の流れと大まかなコマ割りを描いた「ネーム」だけを描き、後は漫画の専門家ではないデザイン会社に外注しているといいます。

その理由について、三田さんは次のようにおっしゃっています。

「週刊誌2本やるということは、この倍の人数が必要になりますので、やはり人材をまず獲得するところから始めるとなると、非常にコストと時間的ロスがあるので・・・」

 

漫画づくりをもっと合理的に、今、三田さんは分業を進めることで漫画の制作プロセスを根本から変えようとしているのです。

三田さんは次のようにおっしゃっています。

「この技術が確立すれば、漫画の産業ってもっともっと可能性が広がるって思うんですね。」

「漫画を受注して生産するという、これまでにないスタイルが出来ることによって漫画に参入する可能性が一気に広がるわけですよ。」

「(どうしてこのような方法を考えたのかという問いに対して、)まず一つは僕の年齢的、体力的な問題がありますね、もう60歳ですので。」

「やはり、もうキャラクターを入れるのが1本が精一杯と。」

「で、もう1本やはりやりたいんだけど、それをどうやって解決するかと言った時に、それを外部で生産してくれるシステムが出来上がりましたので、そこに全て外注するというスタイルを採用したんですね。」

「(業界としてはこれまでにない仕組みなので、仕組みづくりから始めたのかという問いに対して、)そうですね。」

「これにはかなり時間をかけましたけども、でもかなりその水準が出来ましたので、そこはもう思い切ってチャレンジしてみようということだったんですけども。」

「(漫画業界は人手不足も進んでいる業界になるのかという問いに対して、)漫画業界は家内制手工業というイメージが強いんですね。」

「で、やっぱり狭い空間で少人数でという、やはりそこには非常に可能性を感じる若者がだんだん減ってきているので、それを何とか解決するにはビジネスの感覚で、いわゆる会社勤めの感覚を若い人たちに持ってもらうと。」

「そうすることによって漫画に入り易い環境になるんではないかなということで、我々が今それにトライしているところなんですけども。」

「いわゆる、これはビジネスというところのロジスティックスというか、物流システムというか、いろんなパートを分けることによって全体の分業体制をどうやって確立するか、それがうまく円滑に回れば漫画の生産量が一気に上がるというふうに僕は考えているので、それを何とか成功させたいなというふうに考えております。」

 

なお、三田さんは外注するだけでなく、ご自身のスタッフも「働き方改革」が進んでいて週休3日で残業が無いといいます。

これについて、次のようにおっしゃっています。

「そうですね、最終日だけは原稿が仕上がるまで頑張ってやってもらうんですけども、基本的には週4日できちっと上がるようにはしていますけど。」

「(職場に変化はあったかという問いに対して、)まずみんな健康的になりましたね。」

「非常に明るく元気に働いてもらっています。」

「(三田さんにとって、投資、ビジネスの本質は(テーマとして)扱っていて何だと感じられたかという問いに対して、)夢がありますんでね、みなさんね。」

「それを実現するためには、やはりどうやって効率的に、合理的に夢に向かって着実に前進していくかということをもっとシステムとして考えるということを我々はやっていこうということなんですけども。」

「(“合理的”というのが一つのポイントになるという指摘に対して、)そうですね、出来るだけ合理的にやりたいと僕は考えています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して感じるのは、三田さんは独創性のある漫画家であると同時にとても合理的な発想の持ち主であるということです。

複数の漫画を同時に作りたい、そのためにはどうすべきか、というところから外注まで枠を広げた分業を取り入れたのです。

更に三田さんの素晴らしいところは、ご自身のスタッフに対しても残業が無く、週休3日制を取り入れているところです。

その裏には、こうした制作プロセス、および働き方を導入しても問題なく複数の漫画制作が出来るという入念なシステムの検討がなされていたはずです。

 

ということで、三田さんは漫画界における制作プロセス、および働き方の改革を実現したと言えます。

まさに漫画界の革命家なのです。

ですから、三田さんはこれからもAIやロボットなどの活用により更に3本、4本の漫画を同時並行的に作ってしまう可能性を秘めています。

 

ここまで書いてきて思うことは、安倍政権の進めている「働き方改革」のあるべき姿です。

その本質は合理的思考の飽くなき追求です。

具体的には、外注まで含めた枠での分業と協業、およびAIやロボットなど最新のテクノロジーの活用です。

単なる掛け声では中途半端な改善で終わってしまい、改革には至らないのです。

そのためには、まず意識改革です。

スポーツ界でのパワハラやセクハラ、あるいはメーカーでの不正検査やデータの改ざんが相次いで報道されていますが、まずこうした組織風土を一層することから始めることが必要です。

そして、どのような立場の人でも自由に発言出来るような仕組みづくりです。

こうした取り組みのうえで、“精神主義”に陥らず、システム思考を最大限に活用して生産性を向上した先に、より有効な「働き方改革」が可能になるのです。

 

では合理的思考の飽くなき追求だけで世の中は心豊かな社会になるのでしょうか。

このことについてはいずれあらためて私の思うところについてお伝えしたいと思います。


 
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2018年10月31日
アイデアよもやま話 No.4161 三田 紀房さんの漫画への独自の取り組み その1 大ヒットのヒミツ、知ってそうで知らないことを素材に!

7月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では漫画家 三田 紀房さんがゲストに迎えられていました。

そこで、番組を通して三田さんの漫画制作への独自の取り組みについて2回にわたってご紹介します。

1回目は知ってそうで知らないことを素材にしていることについてです。

 

三田さんの代表作「ドラゴン桜」は、弁護士が落ちこぼれの生徒を1年で東大合格まで導くサクセスストーリーで、その累計発行部数は800万部です。

更に、投資や経済を題材にした漫画「インベスターZ」も100万部の大ヒット、名門私立学校の投資部を舞台に株式投資の具体的なノウハウから経済そのものの仕組みまで詳しく、分かり易く描いているのが特徴です。

この「インベスターZ」は実写ドラマとしてテレビ東京で7月から毎週金曜日に「ドラマ25」として放送されました。

その大きな特徴が原作の漫画同様、実在の経営者たちが本人役で登場することです。

そして、彼らの多くがこの漫画の大ファンなのです。

ミドリムシの研究を行っている株式会社ユーグレナの出雲 充社長は次のようにおっしゃっています。

「こんなにお金と真正面に向き合った漫画って本当に初めてだと思うんですよ。」

「「インベスターZ」という漫画自体が本当にベンチャーなんですよ。」

 

また、求人サイトを運営する株式会社ビズリーチの南 壮一郎社長は次のようにおっしゃっています。

「大好きな漫画です。」

「やっぱり自分も会社の創業者なので“志”とか“想い”というのは事業だったり、人を動かすんだなというのは漫画を通じて凄く感じた部分です。」

 

更に、日本の金融の街、兜町でも番組のインタビューでは面白いという声が返って来ています。

経済の現場で支持を集める「インベスターZ」の作者、三田さんは元西武百貨店の社員で、30歳で漫画家に転身しました。

三田さんは次のようにおっしゃっています。

「(「インベスターZ」は)基本、社会人をターゲットにしているんですけど、出来るだけ若い人、就活生であったり、新卒の社会人の方に特に読んでもらいたいなというふうにして企画しています。」

「中学生の主人公とともに投資を学んでいただいて、それを活かしていただくという筋立てになっています。」

 

この漫画の特徴の一つとして、知っているようで知らないことを分かり易く伝える部分があります。

史実を元にした内容がいろいろ出てきますが、その一つがアメリカのゴールドラッシュです。

1848年にアメリカ西海岸で金鉱が発見され、ゴールドラッシュが起きました。

人々はこぞって金を掘りに西海岸へ押し寄せました。

ところが、儲かったのはスコップやツルハシを売った人、宿、お酒と博打を提供した酒場の主人、更に最終的には大量の人員と物資を運ぶために鉄道を敷いた実業家が大儲けしました。

なので、金が出たからといって、大勢の人の後にくっついて“金を掘ったヤツに金持ちはいない”、こうしたエピソードが漫画の中に沢山出てきます。

 

この漫画の中にはいろいろなエピソードが出てきますが、中でも三田さん自身が最も印象的だったものについて次のようにおっしゃっています。

「これは、鉄道王というのはスタンフォードさんなんですね。」

「スタンフォード大学の創設者で、私、実際にスタンフォード大学に見学に行ったことがあるんです。」

「それで自分が身近に感じる場面ということで、これを出さしていただいたんですけども。」

 

また、漫画の中で描いている世界は金融の基本に忠実ですが、どういうきっかけでこのような素材を得ようと思ったのかという問いに対して、次のようにおっしゃっています。

「これはやっぱり知ってそうで知らないことが実はすごく多いんですね。」

「しかも中々人に聞けない。」

「やはりそれを漫画でこっそり情報収集が出来ると。」

「そうすると、実世界で役立ってもらえるんじゃないかと。」

「そういうきっかけでこの作品作りをしているんですけど。」

 

また、この漫画に中には実際の経営者が本人役で登場していますが、そのことについて次のようにおっしゃっています。

ちなみに、この中には人類初の一般人の月旅行を予約された、今話題のスタートトゥデイの前澤 友作社長も登場しています。

「やはり読者の方っていうのは、リアルな情報が欲しいんですね。」

「で、それをまず求めるために実際にオファーしてみる。」

「そうすると以外に「出てもいい」という返事が返って来るんですね。」

「実際に出ていただくんであれば、そのまま書いてしまおうということで。」

「そうすると、生の情報をそのまま読者に提供出来るということで、実際の社長さんに出ていただきました。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

投資や経済を題材にした漫画「インベスターZ」を例にとると、番組を通して以下のように大ヒットの秘密が見えてきます。

・名門私立学校の投資部を舞台にして、株式投資の具体的なノウハウから経済そのものの仕組みまで詳しく、分かり易く描いていること

・実在の経営者たちが本人役で登場していること

・知っているようで知らないことを分かり易く伝えていること

 

中でも特に大ヒットにつながったと思うのは、知っているようで知らないことを分かり易く伝えていることにあると思います。

その一つが投資や経済を題材にした漫画「インベスターZ」の中で、アメリカのゴールドラッシュで、最終的には大量の人員と物資を運ぶために鉄道を敷いた実業家が大儲けしたとありますが、これは鉄道インフラを抑えたということで、現在の企業の成功事例にも言えることです。

アメリカを代表するGAFAと呼ばれる4社、すなわちグーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)は商品やサービス、あるいは情報を提供するという、ネット上のプラットフォームを提供するサービスを展開しており、従来では考えられない程短期間のうちにベンチャー企業から大企業へと成長しました。

この他にもアメリカにはユーチューブやツイッター、テスラ、あるいはウーバーなど新たなサービスを提供する、存在感のあるベンチャー企業があります。

一方、国内でもかつてのベンチャー企業で今や日本を代表する大企業に成長したソフトバンクの孫社長は、かつて自社の株主総会で「ソフトバンクはプラットフォームを提供する企業を目指す」というようなことをおっしゃっていました。

そして、実際にネット上のプラットフォームのみならずAIやロボット、更には自動運転に係わるサービスまで展開しつつあります。

また、プロ野球チームのオーナー企業でもあります。

他にも楽天やDeNA、あるいはメルカリなど多くのベンチャー企業も同様の戦略で急成長しております。

 

ということで、私はまだ「インベスターZ」を読んでいませんが、“知っているようで知らないこと”についてどんな事例が取り上げられているのか期待しつつ、近いうちに読んでみようと思っております。


 
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2018年10月30日
アイデアよもやま話 No.4160 アイデア方程式 有害な夜光塗料×?=無害な夜光塗料!

今回は前回に引き続いてアイデア方程式についてです。

7月12日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)で無害な夜光塗料について取り上げていたのでご紹介します。

 

暗闇を照らし、生活を便利に、私たちの安全を陰で支える夜光塗料、そんな夜光塗料の世界で今注目を集めている画期的な新素材があります。

今夜は100年の歴史を塗り替えたと称賛される方程式です。

 

時計の文字盤や標識など、幅広い分野で利用されている夜光塗料、今世界中から注目を浴びているのが新素材を使った無害な夜光塗料です。

有害物質を含むことから、それまでの夜光塗料が廃止されたのは1990年代、開発メーカーは暗闇で光る新素材を探すもそう簡単には見つかりませんでした。

しかし、ヒントは突然やってきました。

開発者が電気を消した瞬間です。

「消した蛍光灯がうっすら光ってるぞ、これは使えるかもしれない!」

 

開発チームは蛍光灯が消えた後に残る光の元素を特定し、この元素に様々な物質を加えることで誕生したのが新素材、ルミノーバを加えた夜光塗料です。

従来の10倍という明るさを実現しました。

その性能が評価され、国内外の高層ビルなどの重要施設で避難誘導表示にも採用されています。

有害物質を含まない、新時代の夜光塗料は消した蛍光灯に残る光をヒントに生まれていました。

 

ということで、今回のアイデア方程式は有害な夜光塗料×蛍光灯=無害な夜光塗料でした。

 

誰もが一度は見たことのあるぼんやり光る蛍光灯ですが、まさに“灯台下暗し”です。

アイデアとはごく身近にころがっているものなのかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した無害な夜光塗料も前回ご紹介したイオン飲料と同様にそのきっかけは、消した蛍光灯がうっすら光っている光景をたまたま見かけたという偶然にあります。

この偶然も普通であればそのままで終わってしまいますが、夜光塗料メーカーで暗闇で光る新素材を探している問題意識の高い開発者だからこそ、この偶然を見過ごさなかったのです。

しかし、こうしたヒントを得た後は、蛍光灯が消えた後に残る光の元素を特定し、この元素に様々な物質を加える研究開発が続けられたのです。

こうして誕生したのが新素材、ルミノーバを加えた夜光塗料です。

このルミノーバの誕生は様々な物質の組み合わせであり、まさに「アイデアは既存の要素の組み合わせ」の結果であり、「アイデアは存在し、見つけるものである」のです。

これまでも繰り返しお伝えしてきたように、アイデアのヒントを得ても、発明して実用化に至るまでには大変な苦労が待ち構えているのです。

ですから、発明には、目的を達成するまでは決して諦めない、ネバー・ギブアップ精神が求められるのです。

こうした優れたアイデア力のある人たちによる様々な発明の積み重ねの上に、私たちは便利さ、あるいは豊かさを享受することが出来ているのです。

今回ご紹介した、有害物質を含まず、従来の10倍という明るさを実現した夜光塗料も今や国内外の高層ビルなどの重要施設で避難誘導表示として採用されており、私たちの安全に寄与してくれているのです。


 
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2018年10月29日
アイデアよもやま話 No.4159 アイデア方程式 出張中のトラブル×?=イオン飲料!

イオン飲料はスポーツをしている人たちや健康志向の高い人たちを中心に今や世界的に普及しています。

そうした中、7月5日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でイオン飲料について取り上げていたのでご紹介します。 

 

皆さんは旅先でアイデアが沢山浮かぶといった経験はないでしょうか。

普段と違う環境、見知らぬ異国の風景、旅は未知の刺激に溢れています。

今夜の方程式はそんな旅先で起きた思わぬハプニングがアイデアにつながったお話です。

 

スポーツの後や風呂上りに素早く水分や電解質を補給出来るイオン飲料、誕生したのは38年前の1980年でした。

そのきっかけはメキシコ、病院用の点滴液を手掛けるメーカーの研究員は出張中に激しい下痢に襲われ、脱水症状に陥ってしまいました。

現地の医師から手渡されたのはなんと刺激の強い炭酸飲料でした。

「弱った身体にもっと優しい飲み物はないだろうか・・・」、帰国した研究員は手術で疲れた医師が疲労回復にあるモノを利用していたことを思い出しました。

それは点滴です。

「私が求めていたのは飲む点滴液だ!」、この発想がきっかけとなり、身体から失われた成分を補給するイオン飲料が誕生しました。

健康志向を追い風に大ヒットしました。

イオン飲料の原点は出張中のトラブルと飲む点滴という着眼点にありました。

ちなみに、このイオン飲料の商品とは「ポカリスエット」でした。

 

ということで、今回のアイデア方程式は出張中のトラブル×飲む点滴=イオン飲料でした。

 

なお、フランスの作家、マルセル・プルーストは次のような言葉を残しています。

「本当の旅の発見は新しい風景を見ることではなく、新しい目を持つことにある。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

毎回この番組を見ていて思うのは、いろいろな発明のきっかけの意外さです。

病院用の点滴液を手掛けるメーカーの研究員が出張中に激しい下痢に襲われ、脱水症状に陥ってしまったことがイオン飲料発明のきっかけであったということはなんとなくうなずけます。

そのきっかけのプロセスを以下に分解してみました。

・研究員自身が点滴液を手掛けるメーカーの研究員であること

・出張先で激しい下痢で苦しんだこと

・現地の医師から手渡されたのは刺激の強い炭酸飲料であったこと

・手術で疲れた医師が疲労回復に点滴液を利用しているところをたまたま見かけたこと

・この光景を見て、下痢で苦しんだ自分が求めていたのはこの点滴液だと閃いたこと

 

このように見てくると、発明の生まれるいくつかの要因が明らかになってきます。

それを以下にまとめてみました。

・日頃から好奇心旺盛で問題意識が高いこと

・何らかの問題あるいは課題を抱えていること

(自身が下痢になったこと)

・それらの解決のきっかけになることに遭遇すること

(医師が疲労回復に点滴液を利用しているところを見かけたこと)

・この3つがつながってイオン飲料のアイデアが閃いたこと

 

ということで、番組の中でフランスの作家、マルセル・プルーストの言葉が紹介されていますが、これは日頃から好奇心旺盛であることがあることが前提だと思うのです。

今回登場した研究員も問題意識がなければ、医師が点滴液を利用している光景を見かけても何にも閃かなかったと思うのです。

しかし、好奇心旺盛な人にとっては、旅先の見知らぬ土地はいろいろな刺激を受けます。

ですから、旅をする時間がない人でも身近なところで普段は通らない道を歩いてみることも何か閃くきっかけになる可能性を秘めているのです。

またここまで大げさに考えなくても、変わったデザインのお宅や美味しそうな料理のお店などを見つけることが出来るかもしれないのです。

 

ちなみに、点滴液ですが、私の親戚のお宅では幼い娘さんが風邪をひいた時に、病院には行きますが、風邪薬をもらうことなく栄養分の生き届いた点滴を依頼しているといいます。


 
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2018年10月28日
No.4158 ちょっと一休み その670 『相田みつをの並外れた厳しい生き方』

9月14日(金)放送の「爆報! THE フライデー」(TBSテレビ)で、詩人で書家の相田みつをの破天荒で常識はずれの行動と日本人の愛する言葉の裏にあった驚きの真実について明かしていたのでご紹介します。

なお、92歳の妻、知江さんが番組に緊急出演され、沈黙を破っていました。

 

相田みつをは、猛反対する知江さんの実家を5年にもわたり口説きに口説いてようやく結婚にこぎつけました。

しかし、結婚後2人の子宝に恵まれたものの、当時一家4人が暮らしていたのは下宿の8畳一間で、家賃もきちんと払えないような暮らしぶりでした。

そんな貧乏生活の中、相田みつをが見せたのは“書”への異常なこだわりでした。

住んでいる家は8畳なのに、作品制作のためお金もないのに自宅の隣に30畳のアトリエを構え、家賃は払えないのに最高級の筆と最高級の硯を使用していました。

当時、大卒の初任給が1万5千円の時代に一反3万円の最高級の和紙を一晩で山のように使っていました。

いつ気に入った“書”が書けるか分からないからというのがその理由でした。

“書”に関するものは全てつけ払いで、生活は貧乏のどん底でした。

今日食べるお米にも困るほどでした。

当時、生活の糧にしていたのは個展でわずかに売れる“書”と地元の和菓子屋さんの袋や包装紙のデザインを自ら頼み込んでの仕事でした。

しかし、この稼ぎだけでは当然生活はままならず、お金が無くなると妻の知江さんは結婚を反対していた実家に頭を下げてお金を借りていました。

更に貧乏暮らしの苦しさに拍車をかけたのが、相田みつをが命じた妻の労働禁止令でした。

その理由とは、副業を持って少しでも収入があると、それに甘えて筆が甘くなり、作品に影響が出るということでした。

更に妻を悩ます驚きの奇行がありました。

最も妻を困らせたのは、常人では計り知れない相田みつをの異常行動でした。

なぜか相田みつをはようやく個展で売れた自分の“書”を焼却しました。

それは売れた作品に納得がいかないというのが理由でした。

何と相田みつをは購入者の自宅に押しかけて「あの“書”を売るのはやはり恥ずかしい」と、せっかくの収入を返金して無理やり買い戻して焼却していたのです。

“書”を極めていくための相田みつをの異常なこだわりに家計はまさに“火の車”でした。

しかも相田みつをは苦労ばかりかけた妻に感謝やねぎらいの言葉すらかけたことがないといいます。

そんなわがまま放題の末、相田みつをは1991年に67歳で死去しました。

脳内出血による突然死でした。

まだその名が世に知れ渡る前だったため、彼の死は小さく報じられました。

残された家族にほとんど何も残すことなく天国へと旅立ったのです。

しかし、その死の数年後、相田みつをの“書”は爆発的にヒットしました。

それまで彼の作品集はほとんど売れていませんでしたが、あることをきっかけになんと100万部を突破しました。

そのきっかけとなったのは、大物芸能人、美空ひばりの自伝でした。

そこには次の一文が書かれていました。

 

つまずいたっていいじゃないか

にんげんだもの

 

美空ひばりが相田みつをの“書”と出会ったきっかけは、兄と慕う銀幕スター、萬屋錦之助です。

相田みつをの“書”に強く惹きつけられた萬屋錦之助がこの言葉を病に伏せる美空ひばりに送ったといいます。

晩年、病と闘う美空ひばりの心も支えた相田みつをの言葉は口コミで徐々に広まり、今では400万部の大ベストセラーになっています。

 

さて、よくトイレなどに飾られている相田みつをの書いた日めくりカレンダーの売り上げは1500万部以上といい、関連書籍を含め累計2000万部の大ヒットといいます。

更に1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災で復興を目指す街、神戸市長田区菅原市場では相田みつをの以下の言葉が支えになっています。

 

うばい合えば足らぬ

わけ合えばあまる

うばい合えば憎しみ

わけ合えば安らぎ

 

その不思議な力を持つ言葉は、2004年10月23日に起きた新潟県中越地震、2011年3月11日に起きた東日本大震災、あるいは2018年6月〜7月の西日本豪雨など、自然災害に見舞われるたびに落ち込んだ人々の心を立ち直らせてきました。

 

さて、今までメディアにほとんど姿を現さなかった相田みつをの妻、91歳となった千江さんは現在アトリエの隣の母屋で暮らしています。

夫の死から27年経って、千江さんは番組の中で以下のように沈黙を破りました。

「(夫と別れたいと思ったことはないかという問いに対して、)ありましたね。」

「かなり何回もありましたよ。」

「この人と一緒にいてもしょうがないと思って。」

 

「でもいくつになっても、夜中でも何でも話し合いましたね。」

「「こういう歌を詠んだけどどう?」とかね。」

 

何と相田みつをの書いた“書”を最後に選んでいたのは妻の千江さんだったのです。

個展や本で“書”を出す時は妻が批評して選んでいたというのです。

相田みつをの作品は妻、千江さんとの合作だったのです。

そんな千江さんが相田みつをの600作品の中で最も好きな言葉があります。

それは「ただいるだけで」という以下の詩です。

千江さんは次のようにおっしゃっています。

「うぬぼれかもしれないけど、私のことを詠ってくれてたのかなと思って。」

 

ただいるだけで

 

あなたがそこに

ただいるだけで

その場の空気が

あかるくなる

 

あなたがそこに

ただいるだけで

みんなのこころが

やすらぐ

 

そんな

あなたにわたしも

なりたい

 

相田みつをの数々の言葉の裏には常に自分を愛し、信じてくれる人がいる、だからこそ相田みつをの言葉は苦しい時に勇気を与えてくれるのです。

そして、相田みつをは自分が亡くなる寸前、千江さんに驚きの言葉をかけていました。

「この次、生まれ変わった時はもうちょっといい生活をさせてやるからね。」

「その時、「来世も結婚しような」と言ってくれました。」

 

来世も一緒にいたい、今まで妻にねぎらいの言葉一つかけなかった相田みつをの妻への感謝の言葉、しかし、千江さんは次のようにおっしゃっています。

「私は「来世まで!?」ということで、「ちょっと待ってね」って、一瞬答えるのに困ったんですよ。」

「またこれの繰り返しじゃ大変だからと思って。」

「でも結婚は悔いが無いと思いますね。」

「楽しい人でした、本当に。」

 

日本人の心に響く相田みつをの言葉の裏には夫婦の愛が隠されていたのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

実はたまたまですが、高齢の父が独り暮らしなので毎週のように実家に通っているのですが、私がいつもパソコンで作業している2階の即席のテーブルの前の壁にかかっているカレンダーには相田みつをの“書”が月替わりで書かれています。

なので、顔をあげるといつもこの“書”が目に飛び込んできます。

ちなみに10月分を以下にご紹介します。

 

心の目

 

どん底な

真っ暗闇

だからこそ

自分自身が

明るくいないと

何も見えない

明るくいれば

まわりが

見えてくる

自分の歩むべき道が

見えてくる

 

さて、このように相田みつをの“書”をじっと眺めていると、誰にでも理解出来る言葉で、物事の本質を簡潔に表現していると思います。

なので、多くの人たちの心に深く入り込んでくるのだと思います。

この作品でも、どん底に突き落とされたような時に勇気を与え、「前向きに生きよう」という気持ちにさせてくれます。

 

また、この番組を通して、その内容は相田みつを自身の日々の暮らしや実体験に基づいており、特に奥様の千江さんとの係わり、あるいは千江さんへの愛情が深く影響を与えていると思います。

 

一方で、“書”で表現する内容、および“書”そのものの表現方法に対する強いこだわりには異常なくらいに並外れた厳しさを感じます。

一つひとつの言葉の改行について、なぜここで改行しているのか、あるいは漢字で表現したりひらがなで表現したりなど、私にはその理由が今一つ理解出来ませんが苦労の跡が感じられます。

こうしたところにも感性による強いこだわりがあるのだと思います。

こうした“書”にたいする並外れた厳しさ、あるいはこだわりは、ようやく個展で売れた自分の“書”を買い戻して焼却してしまうという行為に特に感じられます。

 

さて、一つひとつの作品についての感想はいろいろありますが、ここでは以下の一つだけについてお伝えします。

 

うばい合えば足らぬ

わけ合えばあまる

うばい合えば憎しみ

わけ合えば安らぎ

 

この作品は、阪神・淡路大震災など、自然災害に見舞われるたびに落ち込んだ人々の心を立ち直らせてきましたといいます。

しかし、私が感じたのは、自然災害に限らず、個人、企業などの組織、更には国どうしの関係の基本においてもこの作品で言わんとしていることがとても大切だということです。

奪い合いが争いにつながり、分け合うことが平和につながるのです。

最近の例で象徴的なのは、アメリカのトランプ大統領の政策、「アメリカファースト」、あるいは「経済ファースト」です。

“自国さえ良ければ”という外交政策では、他国との関係はギスギスしたものとなり、行き着く先は様々な局面での争いです。

世界各国がこうしたアメリカの政策に流されて同様の政策転換がなされれば、かつての国家間の弱肉強食時代に戻ってしまいます。

そればかりでなく、地球温暖化問題も解決からも遠ざかるばかりです。

このままでは頻発するスーパー台風により世界各地で広範囲にわたる大きな被害がもたらされる状況が加速してしまいます。

 

また、この作品はこれまで何度かお伝えしてきた“三方良し”、あるいは私の造語の“五方良し”(参照:No.4134 ちょっと一休み その666 『これからの時代のキーワード その4 ”五方良し”)にもつながる意味を持っていると思います。

こうした言葉で思い描く社会は、“お互いに尊重し合い、Win−Winの社会”、あるいは“持続可能な社会”なのです。

 

さて、この番組を通してあらためて言葉の持つ力を感じました。

ここで思い出したのは、今年のテニスの4大大会の一つ、全米オープン女子シングルス決勝で大坂なおみ選手(20歳)が元世界ランク1位で、4大大会を23回も制した女子テニス界の女王、セリーナ・ウィリアムズ選手(36歳)を下し、日本人として初優勝を果たした時の優勝セレモニーでの次の言葉です。

皆さんがセレナを応援していたのに、こんな終わり方でごめんなさい。」

「ただ言わせて。」

「試合を見てくれてありがとう。」

「全米の決勝でセレナと対戦することが夢でした。」

「実現出来て嬉しく感じています。」

「一緒にプレーしたことを感謝しています。」

「ありがとう。」

 

この言葉が多くの観衆を感動させ、大坂なおみ選手に対するそれまでのアウェイから賞賛の嵐へと大きく変えたのです。


 
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2018年10月27日
プロジェクト管理と日常生活 No.564 『日本全国どこでもM7程度の地震発生の可能性がある!?』

前回まで4回にわたって南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策についてお伝えしてきました。

そうした中、9月9日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で日本全国どこでもM7程度の地震発生の可能性があるという衝撃的な内容について取り上げていたので簡単にご紹介します。

 

地震の専門家である東京大学の教授によると、日本各地での地震の発生時期、および震度の予測がいろいろとなされていますが、9月6日の早朝に北海道で起きた巨大地震の震源地は予測されていた地域とは異なる場所だったといいます。

従って、日本全国どこでもM7程度の地震発生の可能性があると指摘しておりました。

 

以上、番組の内容を簡単にご紹介してきました。

 

これまで南海トラフ巨大地震、あるいは首都直下型地震については繰り返し報道されており、いずれ発生するだろうというのが一般的な理解だったと思います。

ところが、この番組を見るかぎり、日本全国どこでも巨大地震発生の可能性があるというのです。

ということは、地震の専門家はいろいろと巨大地震の発生する可能性のある場所を探っていますが、まだ抜けのある地域があるということです。

現に、9月6日に発生した北海道の地震も震源地も専門家が予想していなかった地域といいます。

ですから、北海道ではまだ本来専門家が予想していた場所で巨大地震が起こり得るということなのです。

 

このように、日本全国どの地域でいつ巨大地震が発生するか分からないのですから、被害を最小限に食い止めるために、どの地域の住民、企業、あるいは公共施設も全て巨大地震に対するリスク対応策が求められるということになるのです。

しかし、あらゆるリスク対応策を実施するためには膨大なコストがかかるので限度があります。

ですから、これまでの4回にわたる南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策でもお伝えしたように、“臨時情報” (巨大地震が発生するかもしれない予兆を捉えて公表する情報)の適切な活用が被害を最小限に食い止めるためにとても重要なのです。


 
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2018年10月26日
アイデアよもやま話 No.4157 アイデア方程式 テーブルクロス×?=ドライクリーニング!

6月28日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でドライクリーニングについて取り上げていたのでご紹介します。

 

大切なスーツやおしゃれ着の手入れに欠かせないドライクリーニング、誕生のきっかけは1825年のフランスでした。

染物業者だった男性はシルクを水洗いすると縮んでしまうことに悩んでいました。

そんな時、考え事に気を取られ、ランプの油をこぼしてしまったのは妻のお気に入りのテーブルクロスの上でした。

あわてて拭き取るも、シミは消えませんでした。

覚悟を決め、夕方、妻に謝ろうと再びテーブルクロスを見るとこの男性は驚きました。

油をこぼした部分だけが新品のように見事にキレイになっていたのです。

「油で汚れが落ちるのか」、これをヒントに男性は油を使った新しい洗濯方法を開発しました。

水を使わないことからドライクリーニングと呼ばれ、世界中に広まりました。

肩崩れや縮みから衣類を守る新しいクリーニング方法は、うっかりこぼしてしまったランプの油という偶然から生まれていたのです。

まさに怪我の功名、不幸中の幸いです。

 

ということで、今回のアイデア方程式はテーブルクロス×ランプの油=ドライクリーニングでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ドライクリーニングが1825年には既に発明されていたことにはビックリです。

1825年といえば日本はまだ江戸時代です。

いろいろなきっかけで発明は誕生しますが、今回のケースのように偶然生まれる発明も少なくないようです。

しかし、染物業者だった男性はシルクを水洗いすると縮んでしまうという問題意識を持っていたからこそ、テーブルクロスの油をこぼした部分だけがキレイになっていたことを見逃さなかったのです。

ですから、常日頃から問題意識や好奇心を持っている人こそが発明を生み易いのです。

また、これからの時代はAIやロボットなどのテクノロジーがどんどん発達していきますから、これまで私たち人間のやっていた仕事の多くはこうしたテクノロジーによって置き換わっていくという大きな時代の変化があります。

ですから私たちには、こうしたテクノロジーを自在に活用出来るだけのアイデア力が増々重要になってきます。

なので好奇心旺盛でいろいろな問題意識を持てるような人材を育てるような教育が増々求められるのです。

その結果として、私たちは更なる豊かさを手に入れることが出来るのです。


 
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2018年10月25日
アイデアよもやま話 No.4156 お茶の美味しい飲み方!

以前、アイデアよもやま話 No.3127 驚くべき緑茶パワー その1 「氷水出し緑茶」の驚くべき美味しさ!で氷水出し緑茶の美味しさについてお伝えしました。

そうした中、6月23日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でお茶の美味しい飲み方について取り上げていたのでご紹介します。 

 

実はお茶を入れる時、あることを変えると普段飲んでいるお茶が劇的に美味しくなるというのです。

日本茶インストラクターの柳本 あかねさんは美味しいお茶の入れ方のポイントについて次のようにおっしゃっています。

「一番重要なのがお湯の温度だと思いますね。」

「温度を気を付けるとグッと味が変化しますので。」

「お湯の温度が低いとまろやかで、甘味のあるお茶が出来上がります。」

 

暖かいお茶を飲む時のポイントは、沸騰したお湯をそのまま入れず、お湯の温度が70℃くらいまで下げること、素手で触っても熱くない程度です。

お茶の成分は、温度によって溶けだす濃さが違うのです。

主な成分は甘味のアミノ酸、渋み・苦味のカフェイン、温度が低いと甘味の成分が際立ち、高いと渋みや苦味の成分が強くなるのです。

 

番組では実際に美味しいお茶の飲み方を伝えていました。

1煎目は煎茶を茶さじ2杯分に60℃ほどのお湯を入れます。

待ち時間は1分、すると苦味が一切なくて、お茶の甘味が際立ちます。

そして、2煎目は80℃のお湯を入れ、1回目より冷ます時間を短めにすると、甘味に加えて渋みなども引き出せるのです。

このように温度を変えるだけでいろんな味が楽しめます。

 

続いては夏にぴったりのちょっと変わったお茶の入れ方です。

茶葉の上に氷をそのまま入れて、常温の水を茶葉が浸るくらいまで入れます。

甘味を引き出すために5分間じっくり待ちます。

こうして飲むと、ぬるま湯でいれた1煎目よりももっと味が濃い甘味が引き出せるのです。

 

次は玉露の美味しい飲み方です。

玉露というと、ちょっと高級感がありますが、甘味がたっぷり含まれていますので煎茶よりも温度の低い1煎目は60℃で入れるとよいということです。

茶葉の量は煎茶と同じ茶さじ2杯分、そして入れるお湯の量も小さい茶碗に半分くらい入れて3分間待ちます。

すると普段飲んでいるお茶とは全然違う、甘味のある美味しいお茶を飲むことが出来ます。

 

これだけではありません。

玉露は茶葉が柔らかいので、お茶を入れた後そのまま食べることも出来るのです。

番組では茶葉にポン酢をかけてみました。

するとお茶の葉に含まれている食物繊維なども取ることが出来るのです。

食べると柔らかく、おひたしを食べているようで、その味は茶葉っぽくないといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、あらためて日本茶の飲み方のアイデアについて感心しました。

こうしたアイデアの源泉は、お茶に含まれているアミノ酸やカフェインの風味、あるいは入れたお湯の温度によりアミノ酸やカフェインの溶け出す度合いが異なる性質を把握したところにあるのです。

これまで冷やした甘味のあるお茶を飲んだら、その後は茶葉を捨てていましたが、この番組を見てから、捨てずに熱いお湯を入れて少し苦味のあるお茶を飲むようにしました。

更には、玉露は茶葉が柔らかく、食べれば植物繊維として取ることも出来るのです。

 

考えてみれば、肉など他の食べ物も焼いたり煮たり、あるいは刺身として、いろいろな食べ方があります。

しかし、美味しい食べ方を追求するためには、それぞれの食材の性質を様々な観点から把握し、更に他の食べ物との相性も追求することにより、より美味しい食べ方、あるいはより栄養分を吸収出来る食べ方が出来るのです。

 

このように考えていくと、私たちは何気なく当たり前のように毎日いろいろなものを食べたり、飲んだりしていますが、その裏には一つ一つの食べ物、あるいは飲み物をどのようなかたちで提供するか、あるいはどのような組み合わせで提供するかというアイデアが無数に存在しているのです。

ですから、たかが料理と侮ることは出来ないのです。

料理や飲料の世界も無限のアイデアに満ちているのです。


 
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2018年10月24日
アイデアよもやま話 No.4155 ”デフレ”脱却”出来ない原因はネット通販!?

安倍政権はアベノミクスの一環として、日銀による金融政策で物価上昇を2%まで上げることでデフレ脱却を目指してきました。

しかし、未だにその目的は達成出来ておりません。

そうした中、6月22日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”デフレ”脱却”出来ない原因について取り上げていたのでご紹介します。 

 

日銀はインターネット通販の拡大が物価下押しに作用してきたとするレポートを公表しました。

特に日用品や衣料品の分野では消費者物価を0.3%程度押し下げていると試算しています。

ネット通販による物価の下押し圧力について、第一生命経済研究所の永濱 利廣主席エコノミストは次のようにおっしゃっています。

「ネット通販はコストを抑制出来る分、商品の値段を安く出来るというところで、物価は上がりにくくなると。」

「これは世界的に起こっていることですね。」

「もう一つは、最近はやはり(メルカリなど)中古市場が増えていて、中々新品の値段が上げにくいというところも押し下げ要因として効いていると思います。」

 

実際、6月22日に発表された今年5月の消費者物価指数は、価格の変動が大きい生鮮食品を除いた伸び率が1年前に比べて0.7%と横ばいに留まりました。

更に、デフレ脱却の妨げとなるのはネット通販だけではありません。

町の人にどこで食料品を買うのか聞いてみると、今ドラッグストアで食料品を買う消費者が増えているというのです。

ドラッグストア最大手のウエルシア、その足立西新井店では扱う商品の3分の1が食料品です。

その種類は一般的なスーパーとほとんど変わらないほどです。

近隣のスーパーの価格と比べると確かに安いのです。(テレビ東京調べ)

例えば、ミネラルウオーターでは最大で15円割安です。

更にウエルシアはプライベートブランドも開発、品質を確保しつつ、価格を更に抑える狙いがあるといいます。

 

更にコンビニにも対抗、オフィス街にある店舗の一つ、神田小川町店(東京都千代田区)ではレジ横にコーヒーマシン、弁当も種類を豊富に取り揃えます。

お客の中には「コンビニ行くならこっちかな」という声があります。

この安売りを武器に、国内のドラッグストアの売上高は右肩上がりで増加しています。

 

ではなぜスーパーやコンビニより安い価格設定が出来るのでしょうか。

その理由について、ウエルシアホールディングス 商品本部の袴田 雄也さんは次のようにおっしゃっています。

「利益源としては化粧品とお薬がありますので、その分食品とかは安くすることが出来ます。」

 

ドラッグストアの主力商品である医薬品の粗利益率は30〜40%台なのに対して食料品は10〜20%台、値引きの少ない医薬品で利益が出せる分スーパーやコンビニより食料品を値下げ出来るといいます。

袴田さんは次のようにおっしゃっています。

「ある程度商品というのはお客さんを来ていただくという来店目的になりますし、そういった面で安く提供させていただいております。」

 

ドラッグストアの安売りは物価にも大きな影響を与えているといいます。

永濱さんは次のようにおっしゃっています。

「ドラッグストアという存在がある限り、それ以外の小売業は値上げに二の足を踏んでしまうと。」

「インフレ率の0.1%程度の押し下げ要因に効いていると思います。」

 

番組の解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「(ネット通販やドラッグストアがデフレ脱却出来ない原因になっているのではないかということに対して、)今おっしゃったのは供給サイドの話だと思うんですね。」

「経済は供給サイドと同様に需要サイドもありますから、その点で重要なのは高齢化が進んでいることだと思うんです。」

「今65歳以上の世帯というのは全体の35%を占めています。」

「そこで気になるのが高齢世帯の消費マインドが最近少し冷え込んでいるんですね。」

「ポイントになってくるのが頻繁に購入する食品やガソリンの値段が今年に入って上昇したんですね。」

「で、高齢世帯というのは現役世代に比べて所得が低いですから、そういう意味で物価の上昇に影響を受け易いんだと思うんです。」

「アベノミクスでは所得が増えて物価が上がるという好循環を想定してるんですけれども、どうもその外側にいる人たちが増えてきているというのも需要面から物価を上がりにくくしているんだと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも物価は需要と供給の関係において、需要が供給を上回れば上がり、供給が需要を上回れば下がるというのが経済の大原則です。

そして、この需給バランスにより物価は決定されるのです。

身近な例として、コンサートのチケットの価格が挙げられます。

最近の例では、絶大な人気を誇る人気歌手、安室 奈美恵さんの引退コンサートでは、ネット上ではとんでもない価格で転売されていたといいます。

また、普段開催されるコンサートの価格は、歌手やグループの人気の度合いによって価格が異なっています。

このように、供給サイドであるコンサート会場の入場可能な人数は決まっており、一方需要サイドのチケット購入希望者はコンサート会場の入場者の枠をはるかに超えることもあり得るので、コンサート会場の規模、およびチケット購入希望者数のバランスにおいてチケット価格は決定されるのが一般的なのです。

 

さて、滝田さんが番組の中で指摘されていましたが、需要と供給との両面において影響を与える要件を番組も参考にして以下にまとめてみました。

(需要の増加要件)

・所得の多い正社員の割合の増加

・ネット通販による新たな需要の創造

・スーパーやコンビニよりも安いドラッグストアの台頭など、供給側の競争原理による価格の引き下げ

・画期的な商品やサービスの誕生による新たな労働の場の創造

・新たな需要につながるライフスタイルの変化

(需要の減少要件)

・収入の少ない高齢者化社会の進行

・収入の少ない非正規労働者の増加

・総需要の減少につながる少子化の進行

・ロボットやAIなどの産業界での導入の進行に伴う失業者の増加

・供給側の競争原理の働かない高価格の維持

・需要の減少につながるライフスタイルの変化

 

(供給の増加要件)

・ネット通販による膨大な種類の商品の提供

・画期的な商品やサービスの誕生

・AIやロボットなどの導入による生産力の増強

・新たな供給をもたらすライフスタイルの変化

(供給の減少要件)

・メルカリなど中古市場の台頭

・シェアリングサービスの台頭

・少子高齢化による労働人口の減少

・既存の供給を押し下げるライフスタイルの変化

 

需要と供給の関係についてこうしてまとめてみましたが、今後の状況がどうなるかが気になるところです。

今は景気が上向きの傾向にありますが、人手不足がネックとなり、その足を引っ張っている状況だと言われています。

また中小企業の中には、従業員の高齢化や後継者が見つからないなどの問題から、廃業に追い込まれる企業が多くなっているとの報道もあります。

技術力のある中小企業の事業継続を維持することは日本の国力維持にとっても極めて重要な課題と言えます。

ですから、この課題を解決する適切な対応策に速やかに取り組むことが求められます。

 

しかし、長い目で見れば、少子高齢化は今後とも進行し、非正規労働者の割合も増加傾向にあります。

ちなみに、少子高齢化により労働人口(15歳以上64歳まで)は毎年ほぼ64万人ずつ減少しているという調査結果があります。

一方で、長い目で見れば、ロボットやAIの普及により、労働市場は縮小傾向にあります。

ですから、少子高齢化による労働人口の減少はロボットやAIの普及とともにいずれ解消されると見込まれます。

しかし、中古市場の広がりやシェアリングサービスの台頭というライフスタイルの変更は総供給量に大きな影響を与え、この流れを止めることは出来ません。

一方で、中古品の再利用やシェアリングサービスによる省資源化は、環境問題やエネルギー問題、すなわち地球温暖化の阻止にもつながります。

ですから、ライフスタイルの変化、およびAIやロボットなどの導入による生産力の増強とそれに伴う労働需要の減少による商品やサービスに対する消費力の減少のジレンマを視野に入れた経済政策の適切な国のかじ取りがとても重要になります。

また、企業には魅力ある商品やサービスを誕生させることによる継続的な消費の喚起、および労働需要の創出と、一方で地球環境問題や地球温暖化問題への対応が求められます。

 

ということで、現政権は“デフレ脱却”を重要課題の一つとしていますが、長期的に考えれば、単に“デフレ脱却”ということではなく、少子高齢化やライフスタイルの変化、およびAIやロボットなどのテクノロジーの進歩という枠組みの中で、どのような社会を目指すかという観点で、政権が変わろうともより良い政策を検討し、着実に実行していただきたいと思います。


 
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2018年10月23日
アイデアよもやま話 No.4154 iPS細胞と同様に期待されるMuse細胞の可能性!

前回もご紹介したように、iPS細胞を用いると、あらゆる組織や臓器を作り出すことが可能となり、病気や怪我で失った機能を取り戻せるのではないかと期待されています。

そうした中、9月3日(月)付けのネットニュース(こちらを参照)でiPS細胞と同様に期待されるMuse細胞について取り上げていたのでご紹介します。

 

三菱ケミカルホールディングス傘下の生命科学インスティテュート(東京・千代田、木曽誠一社長)は9月3日、開発中の再生医療製品「Muse(ミューズ)細胞」の新たな臨床試験(治験)を始めると発表しました。

既に急性心筋梗塞の治験が1月からスタートしており、今回は2つ目の治験として脳梗塞治療を狙います。

有効性や安全性を確認し、早期実用化を目指します。

 

ミューズ細胞は東北大学の出沢真理教授らの研究チームが発見した多能性細胞の1つで、様々な細胞に分化する性質が知られています。

点滴で静脈に送り込むと体内の傷ついた場所に集まり、組織や細胞を再生する性質があるのです。

この性質を使った様々な研究が進んでいます。

 

生命科学インスティテュートは東北大学病院で9月から脳梗塞患者を対象にした治験を始めます。

脳梗塞による年間死亡者数は6万人以上とされ、脳梗塞を含む脳血管障害は日本における入院原因の第2位です。

発症後に運動機能障害などの後遺症も起きるため、要介護になる可能性も高いです。

 

これまでのラットを使った治療実験では運動機能の改善効果が確認されており、今回、実際の脳梗塞患者を対象にした治験で安全性や有効性を確かめます。

 

今回の治験は脳梗塞発症後2週間以上が経過した20歳以上80歳以下の患者が対象で、身体機能の障害などを起こしていることが治験に参加できる患者の条件となります。

約35人を対象に治験を進め、2020年1月の終了を見込んでいます。

 

以上、ネットニュースの内容の一部をご紹介してきました。

 

私の周りにも脳梗塞を患って、身体機能の障害を起こしている人が何人かおります。

そうした人たちは大なり小なり日々の暮らしで不自由な思いをしています。

そして、家族など周りの人たちの支援も必要になります。

また、脳梗塞を含む脳血管障害は日本における入院原因の第2位といいます。

そうした中、様々な細胞に分化する性質を持つ多能性細胞の1つであるミューズ細胞は、

点滴で静脈に送り込むと体内の傷ついた場所に集まり、組織や細胞を再生する性質があるというのです。

この記事を見る限り、ミューズ細胞にはiPS細胞と同様の可能性が秘められていると期待出来ます。

まさにノーベル賞級の大発見だと思います。

ですから、2020年1月の終了を目指す実際の脳梗塞患者を対象にした治験を是非成功させていただきたいと思います。

そして、少しでも早く実際の医療現場での治療に使えるようになって欲しいと思います。

更に、脳血管障害だけでなく、他の病気の治療にも効果を発揮出来ればと期待したいと思います。

ということで、国はこのような研究開発にこそ十分な補助金を付けるべきだと思います。

 

このように、今や医療の世界も様々な発見がなされています。

そこで思い起こされるのは、これまで何度となくお伝えしてきた言葉、「アイデアは存在し、発見するものである」です。


 
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2018年10月22日
アイデアよもやま話 No.4153 注目すべきiPS細胞の実用化研究!

6月21日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で最新のiPS細胞の実用化研究について取り上げていたのでご紹介します。 

 

熊本大学では最大1500匹を飼育出来る世界最大級の繁殖施設を今整備しています。

この施設の責任者は熊本大学 大学院生物学研究部 老化・健康長寿学分野の三浦 恭子准教授です。

ハダカデバネズミの長寿のヒミツを解き明かそうとしています。

1匹1匹の体調を気遣いながら、ハダカデバネズミの細胞を日々分析しています。

三浦さんは次のようにおっしゃっています。

「(ハダカデバネズミは)敏感というか繊細な動物ではあります。」

「温度、湿度の管理がとても大事で、この部屋(飼育室)も30℃で湿度55%から60%くらいに保って厳密にコントロールしますね。」

 

三浦さんの恩師はノーベル賞を受賞した京都大学の山中 伸弥教授、その山中教授のもとでiPS細胞の研究に取り組んできました。

iPS細胞を用いると、あらゆる組織や臓器を作り出すことが可能となり、病気や怪我で失った機能を取り戻せるのではないかと期待されています。

しかし、iPS細胞には課題もありました。

iPS細胞を生き物の体にそのまま移植すると、組織や臓器に変化せず、がんになってしまうリスクがあります。

そのことがiPS細胞の実用化を阻む一つの要因となっていました。

そこに風穴を開けたのが三浦さんの研究です。

2016年、世界で初めてハダカデバネズミからiPS細胞を作ることに成功しました。

更にそのiPS細胞ががんにならないことを突き止めました。

三浦さんはヒトのiPS細胞とハダカデバネズミのiPS細胞を比較して実験を行いました。

それぞれをマウスの精巣に移植したところ、ヒトのiPS細胞を移植した精巣は肥大化し、がんになりました。

ところが、ハダカデバネズミの方にはがんの兆候は見られなかったのです。

三浦さんは次のようにおっしゃっています。

「やっぱり生物の研究というのは、やってみないと分からないというところがかなり多いので、(今回の研究結果には)びっくりしましたね。」

 

今年5月、健康長寿をテーマにした講演会が熊本大学で開かれ、三浦さんが登壇し、今後の研究目標を語りました。

「最終的にはハダカデバネズミの老化耐性、がん化耐性に関与するような遺伝子を導入することで、将来的にはヒトでも(ハダカデバネズミの老化耐性、がん化耐性を)再現することが可能であろうということで、新規の老化、がん化の予防薬の開発につなげられればと考えております。」

 

三浦さんは次のようにおっしゃっています。

「ハダカデバネズミが専門の私といろんな(老化関連の)病気が専門の先生の研究とを組み合わせることによって、(老化やがんなどの)新しい予防法や治療法が今後どんどん生まれる可能性があるということになります。」

 

三浦さんはハダカデバネズミの長寿のメカニズムを今後10年以内に突き止め、その成果をヒトの健康長寿に役立てたいと考えています。

世界が注目する熊本大学の老化研究、将来私たちの寿命を大きく左右することになるかもしれません。

 

このハダカデバネズミは、ロシアや中国の他、IT企業のグーグルも研究を進めるなど、世界的に注目されているそうです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

どんなに素晴らしい発明であっても、その実用化に際して副作用の影響が大きければ、副作用が出ないようにするか、副作用が無視出来る程度まで軽減出来る発明を伴わなければ実用化すべきではありません。

今回ご紹介したiPS細胞の研究はまさにiPS細胞という医療技術を実用化するうえでの大きなハードルである副作用を取り除くための研究なのです。

ですから、この副作用を取り除くためのハダカデバネズミの研究が世界的に注目されているのは当然のことなのです。

 

iPS細胞の研究については山中教授がノーベル賞を受賞し、世界的に特許も取得されました。

ですので、是非ハダカデバネズミの研究を通してiPS細胞関連の医療技術の実用化に伴う細胞のがん化という副作用を取り除く研究を他国に先駆けて進め、山中教授と同様にノーベル賞の受賞、および世界的な特許の取得を目指していただきたいと思います。

こうした医療技術の世界展開は人類全体の健康寿命を延ばすだけでなく、その経済効果はかなりのものと見込まれます。

 

さて、医療技術にはこれまでご紹介してきたようにiPS細胞以外にもアイデアよもやま話 No.4141 夢のようなDIYバイオ!でご紹介したバイオテクノロジーなど様々な方法があります。

更に今年10月1日にはとても喜ばしいニュースが飛び込んできました。

今年のノーベル生理学・医学賞を受賞された、本庶 佑京都大学特別教授(76歳)などの研究成果である、免疫を抑制する働きを持つ分子「PD−1」の発見による「がん免疫療法」です。

この発見は、単にがんの治療に役立つだけでなく、iPS細胞の利用による副作用でがんになってしまった患者の治療にも役立つので、iPS細胞の利用を補完する手段としても位置付けられます。


 
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2018年10月21日
No.4152 ちょっと一休み その669 『日本のスポーツ界の指導者はどうあるべきか!』

アイデアよもやま話 No.4121大坂なおみ選手 今シーズン急成長の3つのヒミツ!でテニスの大坂なおみ選手とコーチのサーシャ・バインさんによる急成長のヒミツついてお伝えしました。

また、最近はスポーツ界でコーチによる選手へのパワハラが話題になっています。

そうした中、このお二人に関連して、9月21日(土)放送の「バイキング」(フジテレビ)で日本のスポーツ界の指導者はどうあるべきかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

元プロ野球選手で、現在は東京大学の特任研究員として科学的な指導法を研究している桑田 真澄さんは次のようにおっしゃっています。(「日刊SPA」2018年7月20日配信記事より)

「そもそもコーチの語源は、ハンガリーのコチという村で作られた四輪馬車のことで、「目的地まで大切な人を馬車で送り届ける」という意味なんです。」

「つまり、コーチはプレーヤーの目的達成をサポートする伴走者でなければならないんです。」

 

また、番組コメンテーターの東国原 英夫さんは次のようにおっしゃっています。

「厳密にいうと、イギリスのオックスフォード大学で、チューターっていう家庭教師に対する隠語、スラングがコーチ。」

「なぜコーチかというと、イギリスで昔、枝ぶちで体罰をしてた。」

「それがコーチ、つまり、馬車のむち。」

「だからチューターっていう家庭教師を辞する言葉がコーチだったらしいですよ。」

「それが転じてコーチになったらしいです。」

 

そして、番組コメンテーターでスポーツライターの小林 信也さんは次のような指摘をしています。

「日本では、コーチが選手を導くという「コーチング」ではなく、単に教えるという「ティーチング」に特化してしまっている人が多い。」

 

また、番組では次のようにおっしゃっています。

「日本のスポーツ、どうしても学校の先生と生徒というような関係で、教える人、教えられる人、それがずうっと行くんですね。」

「で、テニスがちょっと違うのはある時期からプロになるので、選手が主役になるんですよ。」

「そうすると、それをどうサポートするかというコーチ、日本ではコーチもティーチャーと同じ意味で使われているんですけど、ある時期からティーチャーからコーチに関係が変わらないといけないのに、今のスポーツは変わらないまま行っちゃうと。」

「ここが問題だと思うんでです。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を見た後、以前お伝えしたNo.11 『守(しゅ)』『破(は)』『離(り)』のご紹介を思い出しました。

この『守』、『破』、『離』はどんな道を歩むにしても、学ぶ人の立場から、成長を遂げるプロセスはこうあるべきであると説いたものだと思います。

 

この言葉を指導する側のティーチャー、およびコーチと照らし合わせて考えると、大雑把に考えれば、以下のようになると思います。

『守』    :ティーチャー(教えること)

『破』〜『離』:コーチ(目的達成をサポート)

 

ですから、今話題になっているパワハラはまさに小林さんも指摘されているように強制的に教えるティーチャーの域を超えていないことを示しています。

 

今や、ロボットの世界でも指示された通りに単純作業をこなす段階からAI(人工知能)を駆使したディープラーニング(深層学習)によるロボット自身が判断能力を持って作業する段階に移行しつつあります。

 

このAIを搭載したAIロボットと対比することによって、自ずとスポーツ選手を指導する立場の人はどうあるべきかということが見えてきます。

ティーチャーと呼ばれようとも、コーチと呼ばれようとも選手を指導する立場の人は、まず“選手ファースト”で、『守』、『破』、『離』の原則に則り、学ぶ側の成長を支援する立場で指導がされるべきだと思うのです。

 

さて、ここで注意すべきは、『守』、『破』、『離』の原則はワンサイクルで終わるものではないということです。

例え『離』の段階に達したとしても、技術はどんどん進化していくので、継続的な成長を遂げるためには、『守』、『破』、『離』のサイクルを繰り返さなければならないということです。

 

また、現場の指導者と同様に、監督する立場の文部科学省や様々なスポーツ団体の役員レベルの方々にも“選手ファースト”方針が徹底されることが求められるのです。

ですから、特に指導する側の方々は、旧態依然とした意識や体制から脱皮しない限り、永遠にパワハラは無くならないということを肝に銘じるべきなのです。


 
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2018年10月20日
プロジェクト管理と日常生活 No.563 『南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策 その4 巨大地震の前兆を捉える最新の研究!』

9月1日(土)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)では「MEGAQUAKE「南海トラフ巨大地震 “Xデー”に備えろ」」をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して、南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策について4回にわたってご紹介します。

4回目は巨大地震の前兆を捉える最新の研究についてです。

 

どうすればより正確に巨大地震の前兆を捉えられるのか、最新の研究が進んでいます。

岐阜県の旧神岡鉱山の跡地にある地下トンネルでごくわずかな地震の兆候を捉えようという試みが行われています。

東京大学の新谷 晶人教授が開発しているのは、レーザーを使って地盤のごくわずかな動きを観測する超高精度の装置です。

巨大地震が起きる直前、震源域で岩盤がごくわずかにずれ動き始める可能性があると考えられています。

こうした現象を捉えるのが新谷さんの目標です。

この観測装置の精度は従来の10倍を誇ります。

これまでの装置では観測出来る地盤の動きはおよそ1000分の1ミリでした。

ところがこの装置は10万分の1ミリの動きも捉えられるというのです。

高い精度を実現するため、装置の全長は1.5kmにも及びます。

その内部ではレーザー光が反射を繰り返しています。

地盤がわずかでも動くと、レーザー光が反射して戻るまでの時間が変化する仕組みです。

新谷さんはこの装置を南海トラフの震源域の近くに設置し、これまで観測されたことのない巨大地震の前兆を捉えたいと考えており、次のようにおっしゃっています。

「微小な変動が地震の前に起こるかもしれませんし、新しいデータを取れるような期待があります。」

 

巨大地震の前兆を宇宙からの目で捉える挑戦も進んでいます。

オーロラが舞う地球と宇宙の堺目、電離層、電気を帯びた粒子、電子が無数に漂っています。

北海道大学の日置 幸助教授は巨大地震の前に電離層で異変が起きると考えています。

東日本大震災の当日、2011年3月11日、東北地方上空の電離層で観測された電子の数の変化ですが、巨大地震が発生するおよそ40分前から異常な変化が起きていたというのです。

日置さんは次のようにおっしゃっています。

「極めて重要なことかなとこの時点で思いましたね。」

 

もしこれが巨大地震の前兆だったのなら、直前に地震を予測出来たのではないか、2000年以降に起きたM8以上の巨大地震を調べた日置さんは同じような変化をいくつも見つけました。

2004年にインド洋大津波を起こしたスマトラ島沖のM9.1の巨大地震では、上空の電子は地震の1時間以上前から変化していました。

また、2014年に起きたM8.2のチリのイキケ巨大地震、この時も地震発生のおよそ20分前から変化が現れていました。

同じような変化を分析した13の巨大地震のうち10で確認しました。

電離層の異常は地震の前触れではないのか、日置さんは慎重に検証を重ね、南海トラフ巨大地震の予測につなげたいと考えており、次のようにおっしゃっています。

「この情報を生かすことが震災で亡くなった方へのこちらが出来る最大になると。」

「科学が地震による被害者を少なく出来ることを夢見て仕事をしていきたいと思います。」

 

日本に迫りくる未曽有の国難、南海トラフ巨大地震、“Xデー”が訪れる前に今何が出来るのか、問い続けることが私たちの未来を変えるカギになるのです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回は、地下トンネルでごくわずかな地震の兆候を捉えようという試み、そしてオーロラが舞う地球と宇宙の堺目、電離層の異変という巨大地震の前兆を捉える2つの最新の地震予知の方法のご紹介でした。

少しでも早く巨大地震発生の予知が出来ることは、それだけ避難などの適切なリスク対応策を取ることが出来ます。

ですから、こうした地震予知の研究は今後ともより高い精度を目指して進めていただきたいと思います。

また、こうしたデータをもとに“臨時情報” (巨大地震が発生するかもしれない予兆を捉えて公表する情報)が全ての国民に的確に伝わるような仕組みの確立も必要です。

 

しかし、それだけで万全とは言えません。

私たちは日頃から以下のような備えをしておくことが被害を少しでも食い止めることが出来るのです。

・電気、ガス、水道が止められても最低でも3日間くらいは自給自足の生活が出来るような備えをしておくこと

・すぐに安全な場所に避難出来るように、日頃から緊急避難セットを準備しておくこと

・避難場所や避難経路、および避難場所までにかかる時間などを確認しておくこと

・家族間などの連絡方法を確認しておくこと


 
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2018年10月19日
アイデアよもやま話 No.4151 ありがたい”水没したクルマ”の高額買取り!

災害などで”水没したクルマ”は値段がつかず、廃車にするしかないと思っている方が多いのではないでしょうか。

そうした中、7月16日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”水没したクルマ”の高額買取りについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

西日本豪雨では、真夏の厳しい暑さの中、多くのボランティアが駆けつけ、懸命の復旧作業が続いていました。

そんな中で特に大きな問題になっているのは、悪臭がしたり交通の妨げになったりする大量の粗大ごみです。

中でも大雨で“水没したクルマ”はごみの集積所にも持ち込めず、手の付けられない状態になっています。

 

そうした廃棄も修理も出来ない“水没したクルマ”を買い取る業者があります。

西日本豪雨で甚大な被害を受けた広島市安芸区では家具や家電製品などはゴミとして大量に廃棄されています。

こうした中、未だ手が回っていないのがクルマ、街中には水没したと見られるクルマがあちらこちらに放置されています。

こうした“水没したクルマ”の中には、ヘッドライトに水が溜まったり、更には車内にもまだ水が残っています。

こうした状況を見て歩いた、水没車や事故車の買い取りを行う株式会社タウの藤久 拓也執行役員は次のようにおっしゃっています。

「もうエンジンはかからないと思います。」

「恐らくディーラーさんに持ち込まれるとお値段はつかないと思います。」

「廃車になると思います。」

 

一般的な販売店が扱わないクルマでも買い取り、ロシアやペルーなどに中古車として輸出します。

 

広島市内に住むYさんは今回の豪雨でクルマが完全に水没してしまい、ディーラーには直せないと言われ、精神的なショックが大きかったと言います。

Yさんが新車で購入したのはマツダCX5で、購入額は約300万円、走行距離は約1万kmでした。

そこでタウに買い取り価格の見積もりを出してもらうと、45万円ということでした。

Yさんは次のようにおっしゃっています。

「他のディーラーや販売店からは1万円とか5万円と言われていたので45万円だったらまだ良かったなと安心しました。」

 

広島県廿日市市の水没したクルマの車両置き場には、タウが買い取ったクルマが並んでいました。

ひと際驚きなのは、土砂がクルマの中に入ってしまっても買い取りの対象になるというのです。

中には助手席のガラスが割れて、車内に土砂が入り込んだクルマや送風口に土がつまった状態のクルマまであります。

運んできたクルマは掃除して査定を始めます。

まずは外装からです。

クルマを見ながらタブレットに記入していきます。

エンジンの状態やへこみなど、チェックするのは50項目、再利用出来る部品を調べて110ヵ国以上に輸出します。

修理などは現地に任せてコストを抑える仕組みです。

藤久さんは次のようにおっしゃっています。

「私たちは世界中に100ヵ国以上の販売ルートを持っているから、こういった事故、あるいは故障で壊れたクルマを高く買い取りさせていただくことが出来ます。」

「少しでもこういったクルマの買い取りの部分で私たちはそういった被害者の方々の支援が出来ればなと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ほとんど評価ゼロ円と思っていた“水没したクルマ”を納得のいくような評価額で買い取ってくれるタウのビジネスは以下の観点からも望ましいと思います。

・“水没したクルマ”を単なる廃車にせず、途上国に輸出して再利用すること

・“水没したクルマ”を修理して安く販売するというビジネスにより、途上国に働く場を提供し、クルマの購入者は低価格で購入出来ること

 

ということで、国内ではコストが見合わずに廃棄ゴミとして処分されるモノでも、途上国など海外への輸出を視野に入れることによって、新しい事業展開が出来、Win−Winの関係を築くことが出来るのです。


 
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2018年10月18日
アイデアよもやま話 No.4150 視力に関係なく見えるメガネ!

6月21日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で視力に関係なく見えるメガネについて取り上げていたのでご紹介します。

 

視力に関係なく見えるメガネを開発した株式会社QDレーザの手嶋 伸貴さんは次のようにおっしゃっています。

「この製品を使うと、近視とか乱視、遠視、老眼に関係なくモノをくっきり見ることが出来ます。」

 

一見サングラスのようなメガネには度が入っていないということですが、このメガネをかけてみるとモノがくっきり見えるといいます。

見えるヒミツは、メガネの内側にある小さなプロジェクターです。

非常に弱いレーザーをプロジェクターから目の中に送り込んで、見たいものを網膜に上書きしているといいます。

通常、近視や老眼の人は水晶体の厚みをうまく調整出来ないので、映像を捉える網膜にぼやけて映ってしまうのです。

ところが今回開発したメガネは、プロジェクターから直接映像のレーザーを網膜に当てているので、視力には関係なく見えるということなのです。

なので、近視などの人でもメガネに付いているカメラが映したそのままの映像を見ることが出来るのです。

また、メガネとスマホをケーブルでつなげば、小さい文字でもすらすらと見えます。

ちなみに、こちらの目に当たっているレーザーは、安全性の国際規格を満たしているので、1日8時間以内であれば目に当てても体に影響はないということです。

手嶋さんは次のようにおっしゃっています。

「まずは医療機器として用途を考えています。」

「視覚障害者の方の見易さを向上するような機械を目指して今開発を進めています。」

 

番組のフィールドキャスターは近視で、裸眼で視力0.1以下ですが、実際にこのメガネをかけると視力検査表で0.7くらいまでは見えたといいます。

視力に悩む人を救うかもしれない未来のメガネ、見るという概念が変わります。

 

なお、このメガネの商品名は「RETISSA Display」で価格は59万8000円(税抜き)で今夏発売予定です。(注:10月18日時点で既に発売中)

なお、カメラ搭載モデルは発売時期未定です。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

近視や老眼などでメガネをかけている方は視力の状態の変化に合わせてメガネの買い替えを迫られます。

そこまでいかなくても、疲れた時など体調によって、同じメガネをかけていても文字の見易さが変化します。

また、目の障害により視力を失っている方や弱視の方もいらっしゃいます。

そうした中、今回ご紹介した、視力に関係なく見えるメガネは画期的でまさに“メガネ革命”と言えます。

このメガネの原理からすれば、網膜さえ機能していれば誰でも視力を取り戻すことが出来るのです。

また近視や老眼による視力の変化があっても、このメガネであれば、メガネの買い替えも不要になります。

ただ問題は価格です。

大量生産により、せいぜい10万円以下まで低価格化が進めば間違いなく世界中からの引き合いが期待出来ます。

勿論、遠近両用メガネをかけている私もその一人です。

なので是非低価格化を進めていただきたいと思います。


 
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