2019年01月21日
アイデアよもやま話 No.4231 アイデア方程式 タイヤ×?=レストランガイド!

昨年10月4日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でミシュランのレストランホテルガイドについて取り上げていたのでご紹介します。

 

もしあなたが新しいものを売りたいと思った時、どんな努力をするでしょう。

品質の向上、商品の宣伝、そんな発想とは全く違った方法で成功を収めたお話が今回の方程式です。

 

レストランを星の数で紹介する、世界中でおなじみのレストランホテルガイドブックが誕生したのは1900年のフランス、当時の自動車はフランスでもわずか2500台ほど、まだ出始めの頃で富裕層が近所を乗り回すだけでした。

そこで頭を悩ませていたのがタイヤメーカーです。

クルマに乗る機会が少なければ、タイヤも擦り減らない、売り上げも伸びない、自動車の旅をもっと楽しく、誰もが出かけたくなるものにするために知恵を絞る中、閃きは生まれました。

「そうだ、旅行ガイドはどうだ?」

「ドライブの楽しさを伝える魅力的なガイドブックを作るんだよ!」

 

こうして1900年(明治33年)にレストランホテルガイドが誕生、当初は自動車修理工場やガソリンスタンド、ホテルなど、ドライブを快適にする方法が満載でした。

星の数で紹介するスタイルは1926年から始まり、ドライブ文化をけん引し続けています。

今やおよそ世界100ヵ国で出版されるガイドブックはドライブ旅行を広めたかったタイヤメーカーの閃きから生まれていたのです。

 

何に人はワクワクするのか、人々のニーズはどこにあるのか、丹念に掘り起こせば、そこに問題解決の糸口が見えてくるに違いありません。

 

ということで、今回のアイデア方程式はタイヤ×ドライブ旅行=レストランホテルガイドでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私もですが、多くの方々はなぜタイヤメーカーのミシュランがレストランホテルガイドブックを発行しているのか不思議に思っていたのではないでしょうか。

このガイドブックのお蔭で、少なくともミシュランという言葉は世界中の多くの人たちに知れ渡ったと思います。

そして、今やクルマ社会は世界的に完全に定着しており、そのお蔭でミシュランに限らずタイヤメーカーも潤っていると思います。

しかも今後、ガソリン車からEV、あるいは自動運転車へのシフトが進んだとしても、タイヤメーカーは影響を受けることはありません。

また、このガイドブックに掲載されたお蔭で、これまで知られていなかったレストランやホテルも一躍有名になり、売上が向上したところも数多くあると思います。

 

ですから、タイヤメーカーであるミシュランが当初タイヤの売上向上を狙いとしていたレストランホテルガイドブックは、当初の狙いを達成するだけでなく、多くの魅力的なレストランやホテルの知名度を上げるうえでも貢献しているのです。

 

ということで、今回ご紹介した宣伝手法のように、直接商品のアピールをするのではなく、消費者の潜在的な要求を把握し、その要求に応えるようなアイデアと自社の商品との結びつきを見つけ、それを具体的な宣伝に結び付けるというのは一つのスマートな手法だと思います。

また、この基本的な考え方は、いろいろな方面に応用出来そうです。


 
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2019年01月20日
No.4224 ちょっと一休み その681 『太陽の塔のメッセージとは!』

岡本 太郎さん制作による太陽の塔については、アイデアよもやま話 No.1832 岡本太郎作『太陽の塔』の持つすごいパワー!でお伝えしたことがあります。

そうした中、昨年12月5日(水)再放送の「視点・論点」(NHK総合テレビ)で太陽の塔のメッセージについて取り上げていたのでご紹介します。

なお、演者は岡本太郎記念館の平野 暁臣館長でした。 

 

昨年3月、太陽の塔は内部空間が修復を終え、48年ぶりに一般公開が始まりました。

太陽の塔はいま、大阪・千里の「万博記念公園」に立っています。

名前が示すように、この公園は1970年の万国博覧会の会場跡地です。

戦後日本を代表する巨大イベント、大阪万博に太陽の塔は屹立していました。

 

これをつくったのは、前衛芸術家の岡本太郎です。

太陽の塔は、異端の芸術家が、万博のテーマパビリオンとしてつくったものなのです。

その異様な風体は、西洋の美意識とも和のテイストとも無縁で、世界を見渡しても似たものがありません。

犖たことがないもの瓩いきなりあのスケールで出現したわけですから、とうぜん世間を騒がせ、賛否両論が巻き起こりました。

当時の反応を一言でいえば、大衆が好意的に受け入れたのに対して、知識人が否定するというもので、とりわけ美術界の反発は相当なものでした。

馬鹿でかい張りボテ、アナクロ、おのぼりさん相手、牛乳瓶……などなど、識者たちは酷評しました。

僕は、そこにはある価値観が通底していたと思います。

1つは「税金でわけのわからないモノをつくるな」という、ある種の猯票鵜瓩任△蝓△發Γ韻弔蓮崙本が誇るべきはワビサビ的な伝統美だ」という狆鐚鵜瓩任后

そしてこの良識と常識こそが、岡本太郎が万博を機に打ち壊そうとしたものでした。

日本美の流儀からも、西洋美の規範からも外れている、それが知識人たちを不快にさせる一方で、大衆を惹きつけたわけですが、ではいったい、なぜ太郎は、万博という晴れ舞台でそのような物をつくったのでしょう?

開幕直後、太陽の塔の思想について、太郎はこう言っています。

「五重の塔ではない日本、ニューヨーク、パリの影でない日本。」

 

実は、かねて太郎は「日本人の価値基準は2つしかない。西洋のモダニズムと、その裏返しとしての伝統主義だ」と主張していました。

ニューヨーク、パリに手放しで憧れるか、いわゆる狷本の伝統瓩貌┐温むかのどちらかじゃないか。

ともに舶来文化に対するコンプレックスの産物であり、それにノーを突きつけない限り、真の日本文化は開けないのだ。

そう考えていたのです。

 

日本人が長年憧れてきた西洋風のカッコよさや、その逆の効果をねらった「日本調」をともにケトバす、それが太郎のコンセプトでした。

太郎が日本調を嫌うようになった発端は、若いころの京都体験です。

29歳でパリから戻った太郎は、真っ先に京都と奈良を訪れました

日本の源流に出会えると期待して訪れたわけですが、待っていたのは大きな失望と落胆でした。

日本の伝統として今京都に残っているのは形式だけ、奈良にいたっては最初から大陸文化そのものじゃないか、いったいこれのどこが日本なんだ、そう感じたのです。

日本人が和の伝統と信じているものは、はたして爐曚鵑箸Δ瞭本瓩覆里? 

 

もしかしたら最初からそんなものはないのかもしれない、そう絶望しかけたとき、驚愕すべきものと遭遇します。

縄文土器でした。

縄文人の荒々しい造形感覚と出会った太郎は、そのすさまじい生命力に圧倒されます。

平面的でひ弱な「日本の美」とは正反対だったからです。

「驚いた、こんな日本があったのか。」

「いや、これこそが日本なんだ。」

「身体中の血が熱くわきたち、燃えあがる。」

「これだ、まさに私にとって日本発見であると同時に、自己発見でもあった。」

 

太郎は縄文こそが「オリジナルの日本」なのだと直感しました。

モダニズムでもジャパネスクでもない日本。借り物ではない猖榲の日本瓩慮局景をそこに見たのです。

狩猟採集時代、われわれの祖先は、孤独と不安に耐え、自然と溶け合いながら生きていました。

そこに息づいていたのは、原始のたくましさと豊かさ、そしてふつふつとたぎる生命力と呪術の感性です。

しかしそうした原生日本は、弥生になると忽然と姿を消してしまいます。

農耕社会への移行が日本人の感性を大きく変えてしまったからです。

自然とともに誇らかに生きた民たちが取り替え可能な「労働力」に変わった瞬間でした。

そんな農耕文化の精神が、形式的で暗い、いわゆる「日本の伝統」を生んだ、太郎はそう考えます。

縄文との出会いから数年後、東北や沖縄を旅した太郎は、原生日本の心持ちが今も受け継がれている様を眼のあたりにします。

「日本人の中には今も縄文の精神が宿っている」、そう確信した太郎は、「それを呼びさまし、とりかえす」「それがオレの仕事だ」と恐らく考えるようになったのだろうと思います。

 

この頃画風も変わりました。

それまでの緻密な画面構成とは打って変わって、梵字にも似た黒いモチーフが画面を支配します。

それは神秘的・呪術的な気配に満ちていました。

そして1964年にこう宣言します。

『芸術は呪術である』

太郎が太陽の塔に取り組むのは、この3年後のことです。

大阪万博という空前のプロジェクトを前にして、真っ先に思い浮かんだのはこの「呪術としての芸術」の実践だったに違いありません。

数千万人が訪れるという千載一遇のチャンスを活かして、日本人の心の奥底に潜んでいる狷貶犬凌喚瓩鮓討咾気泙后

それが太郎の狙いだった、そう考えれば、太郎がつくったテーマ館の意図も理解出来ます。

万博は「未来を祝福する祭典」ですから、パビリオンはみな先端技術や近未来のヴィジョンをアピールします。

「技術の進歩が社会を豊かにし、人を幸せにする」、それが万博のメッセージです。

しかし、岡本太郎のテーマ館はそうした近代主義的な進歩思想とは対極にあります。

更には世界の仮面と神像が宙に浮かぶ、まるで神々の森に迷い込んだような呪術的な空間が現れます。

そしていよいよ太陽の塔の中に入ると、高さ41mの《生命の樹》という巨大なオブジェが観客を迎えます。

1本の樹に、単細胞から人類まで、生物進化の歴史をたどる33種の生き物がびっしりと実っている、という空前絶後のオブジェです。

ここでは「根源から未来へと噴きあげる生命のエネルギー」が表現されていました。

「生命の神秘」から始まるテーマ館が訴えていたのは、「狩猟時代の誇らかな生き方」であり、「原始社会の尊厳」であり、「生命力のダイナミズム」です。

およそ万博パビリオンには似つかわしくありませんが、そこには「裏のテーマ」があったと考えれば得心がいきます。

 『縄文の心を思い出せ!』、恐らくそれが太陽の塔のメッセージだと思います。

しかし当時の観客たちにそれが伝わったとは思いません。

「夢の未来」を無邪気に信じていた高度成長の時代には、とても無理だったろうと思います。

でも、今なら分かります。

太郎のメッセージは、古くなっていないどころか、これからの時代にこそ必要なものです。 

万博から半世紀を経て、太陽の塔は内臓を取り戻し、再び生命の火が灯りました

太陽の塔が本当の仕事をするのはこれからなのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

岡本 太郎さんは、生前テレビ番組で「芸術は爆発だ」とよく叫んでおりました。

当時の私は、芸術は従来の常識などに囚われない、創造力を最大限に発揮した作家の自由な心の表現であるくらいの理解をしていました。

ところが、この番組を通して「芸術は爆発だ」の叫びの背景には私たちの祖先である縄文時代の人たちの心の躍動感があることを知りました。

 

今の時代につながる大きなきっかけとなっているのは明治維新だと思います。

当時の国の進むべき道を象徴している言葉として、“富国強兵”、“殖産興業”、“和魂洋才”といったものがあります。

そして、私たちは確かに戦後と比べれば格段の物質的な“豊かさ”を手に入れていますが、心の“豊かさ”については甚だ疑問です。

 

そうした中、岡本 太郎さんが太陽の塔を通して発信するメッセージは、心の“豊かさ”につながる「縄文時代の人たちが持っていた心の躍動感を忘れるな」だったのです。

ここには、No.3492 ちょっと一休み その559 『人類滅亡後の地球では何が起こる?』でもお伝えした松尾芭蕉の言葉「不易流行」の通り、どんな時代になっても人として暮らすうえで、どんなに物質的に豊かになっても、心の持ち方、すなわち“躍動感”、あるいは“感動”する気持ちの大切さは変わらないと思うのです。

 

また、岡本 太郎さんは縄文時代の人たちの作品を通して、当時の人たちの荒々しい造形感覚、生命力に圧倒され、縄文こそが「オリジナルの日本」なのだと直感したといいますが、スペインのアルタミラ洞窟の壁画にもあるように、海外でもはるか遠い古代の人たちの心の持ちようは、日本の縄文時代の人たちと同様であったのではないかと思われます。

 

こうして考えてみると、太陽の塔の発信するメッセージは、日本人のみならず世界中の人たちに対するもので、まさに万博に相応しい永遠のテーマだったとあらためて感じます。


 
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2019年01月19日
プロジェクト管理と日常生活 No.576 『加速する“AI兵器”のリスク対応策!』

昨年9月21日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でAI技術の兵器への応用について取り上げていたのでご紹介します。 

 

急速に進化を続けるAI、人工知能、その利用が今軍事の分野で加速しています。

機関銃を備えた車両、そこにAIが搭載されています。

AIは目標を識別して人間の判断を介さずに自動的に攻撃を行います。

 

昨年8月下旬、ロシア国防省が開いた世界最大級の武器の見本市、地元ロシアや中国など18ヵ国、およそ1200の企業が参加し、世界各国から軍の関係者が集まりました。

今回大きな注目を集めたのは無人戦闘車両、ロシアを代表する銃器メーカーのカラシニコフ社が開発した“AI兵器”です。

機関銃とともにカメラやレーダーを装備、そこにAIが搭載されています。

AIはカメラに映った映像などをもとに距離も割り出し、対象の動きを捉えます。

人間の操作なしに、自動で攻撃を行うことも出来るといいます。

付けられた名前は「サラトーニク」、ロシア語で「共に戦う仲間、戦友」を意味します。

 

AI兵器の分野で世界をリードしたいというロシア政府の意向を受け、開発が進められてきました。

今回取材に応じた開発の責任者は、実際の運用では人間が制御するとしたうえで、内戦が続くシリアで使われる可能性を示唆しました。

カラシニコフ社のゲンナージエヴィチ副社長は次のようにおっしゃっています。

「この兵器をシリアなどで使用することが(ロシアで)既に認められています。」

「私たちは兵士を危険にさらすことなく、任務を遂行出来るようにこの兵器を作ったのです。」

 

一方、国際社会では“懸念の声”が広がっています。

ロシアの見本市と時を同じくして、国連ではAI兵器の規制を検討する国際会議が開かれました。

参加したのは70ヵ国以上の政府代表や専門家です。

“想定外の行動を取るリスク”や“責任の所在が曖昧”になることを危惧し、規制を速やかに設けるべきという声が相次ぎました。

オーストリア大使は次のようにおっしゃっています。

「人間の生死について、AIに意思決定を委ねるべきではありません。」

 

また、ブラジル代表団は次のようにおっしゃっています。

「標的の選定や攻撃などの判断は必ず人間が行うよう義務付けるべきです。」

 

一方、開発を進める国々は“正確に攻撃出来、兵士の被害や負担も減らせる”と主張、規制に反対しました。

アメリカ代表団は次のようにおっしゃっています。

「拙速な規制は被害を最小限に抑えるAI技術の開発を阻害しかねません。」

 

また、ロシア代表団は次のようにおっしゃっています。

「すぐに制限したり、禁止したりするのはもってのほかです。」

「AI兵器だからこそ厳しい戦場でも活動出来るのです。」

 

5日間にわたった会議で各国の溝は埋まらず、議論は継続することになりました。

今回の議論で、日本はAI兵器については議論が尽くされていないとして国際的な規制を設けるのは時期尚早だとしています。

日本の高見澤 將林軍縮大使は次のようにおっしゃっています。

「人間社会の生活の利便性の向上に使われるAIの持っているポテンシャルも考えるべきだということもございますし、まだまだ共通の認識を得るためには相当な努力が必要だろうなと思っております。」

 

AI兵器を巡る現状に、国連の軍縮部門トップの中満 泉事務次長は次のようにおっしゃっています。

「AIが武力を使う決定をしていいのか、私たちの考え方では、人間が武力を行使する決定権は必ず確保しておくべきだと。」

「人間が責任を取らなければいけないと考えております。」

 

平行線に終わった議論が次に行われるのは昨年11月の予定です。

一方、様々なAI技術が兵器に転用されるかもしれないという危惧も広がっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

AI兵器に関する議論は、自動運転車に関する議論とよく似ていると思います。

確かに自動運転車によって格段に交通事故は減少すると期待されています。

一方、AI兵器によって正確な攻撃が可能になり、兵士の被害や負担が減少すると期待されています。

 

しかし、自動運転車では歩行者や周りの障害物などをどのように正確に識別するのか、そして万一事故が起きた場合に誰が責任を取るのかが大きな課題となっています。

一方AI兵器においては、敵と味方をどのように識別するのか、そして誤射や誤爆が発生した場合に誰が責任を取るのかが大きな課題となっています。

要するに周りの識別と問題発生時の責任の所在です。

 

では、もう少しこうした課題の本質がクリアになるように、自動運転車やAI兵器が普及していった場合をイメージしてみます。

まずあらゆるクルマの自動運転化が進めば進むほど、交通状況全体がコントロール出来るようになり、事故や渋滞の減少が期待出来ます。

しかし、それでも自動運転車の制御機能が完璧ということはあり得ないので、事故件数ゼロは期待出来ません。

ただ、こうした事故の再発防止策により事故件数は徐々にゼロに近づいていくと期待出来ます。

また、自動運転車の制御機能がサイバー攻撃により乗っ取られるようなことになれば、事故や殺人事件につながります。

このサイバー攻撃については、再発防止策を施しても、サイバー攻撃者との戦いはいつまでも続くと思われます。

 

一方、戦闘において片方の陣営のみがAI兵器を投入すれば、AI兵器での戦闘が続く限りその陣営の兵士の被害はほとんど皆無のまま戦闘が進みます。

しかしこうした事態はそう長くは続かず、双方の陣営の兵器のAI兵器化が進めば、AI兵器同士の戦闘になります。

ですからAI兵器同士の戦闘である限り、両陣営の兵士の被害は発生しません。

そしてAI兵器はコンピューターで制御されていますから、当然のことながらサイバー攻撃などにより、相手陣営のAI兵器の制御機能の乗っ取り合戦が起きます。

ですから、“サイバー攻撃で優位に立つ国が戦闘を制する”時代がやがてやってくると思われます。

 

では、こうしたAI兵器のリスク対応策ですが、核兵器と同様にAI兵器を全面使用禁止にすることはとても難しいと思います。

また間違いなくAI兵器はどんどん進化していき、それにつれて施設の破壊能力や殺傷能力も向上していきます。

そこで、究極のこうしたリスク対応策として考えられるのは、奇想天外に思われるかもしれませんが、AI兵器同士の代理戦争による勝敗の決定です。

 

具体的には、外交交渉が決裂し、いよいよ交戦による解決しか道がなくなった場合、これまでのような生身の兵士を投入した戦闘に突入するのではなく、人命などに一切影響を及ばさない戦闘区域、および戦闘期間を限定し、そこでAI兵器同士で戦わせるのです。

その結果をもとに、これまでの戦争終結と同様のプロセスを踏むようなシステムを国際的に構築すれば、結果として被害を最小限に抑えたかたちで国家間の対立の解決につながると期待出来るのです。

 

では、なぜ思い切って全面的な兵器禁止をも目指さないか、そこにはある重大な理由があります。

それは、万一将来的に宇宙人が地球に襲撃してきた場合などに備えて各国が共同でその防戦に努める際、やはりある程度の戦闘機能を備えておく必要がるからです。


 
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2019年01月18日
アイデアよもやま話 No.4229 ふるさと納税による地方名産品の宣伝効果!

昨年12月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でふるさと納税による地方名産品の宣伝効果について取り上げていたのでご紹介します。 

 

ふるさと納税の返礼品が魅力的だと寄付金が沢山集まるだけでなく、地元への経済効果も生まれています。

しかし一方で、金券など地元とは関係なさそうな返礼品もまだ数多く出品されています。

昨年12月6日、発表されたのはふるさと納税の返礼品による経済効果です。

ふるさと納税ポータルサイトを運営するさとふるの青木 大介取締役兼COOは次のようにおっしゃっています。

「その(ふるさと納税の)効果を明確にして良い取り組みが全国に広がればという思いでこちらの研究をさせていただきました。」

 

調査をしたのは事業構想大学院大学とさとふるによる共同研究です。

その地域で生産加工された返礼品とそうでないものを比べると、地元への経済効果に最大6倍の差が出ると試算します。

例えば北海道網走市では、オホーツク海のすぐそばにある水産会社、牛渡水産は地元で獲れた毛ガニを使った返礼品を生産しています。

窯で茹でたカニの身を一つひとつ手作業でむき、カニ味噌と一緒に甲羅に塗っていきます。

出来上がりはまわるいかたちです。

商品名は「ケダマ」で、Mサイズで3980円です。

網走産の「ケダマ」の特徴は身が立っており、牛渡水産では特産品として網走産のみにこだわって作っているといいます。

返礼品に選ばれたことで、この会社には大きな影響が出てきました。

牛渡水産の牛渡 貴士さんは次のようにおっしゃっています。

「ふるさと納税をきっかけに、個別でご注文いただける方が増えましたので、その対応をしていくと計算してビックリしたんですけど、(売り上げが)125倍・・・」

 

以前は卸がメインだったものの、今では「ケダマ」の販売数は年間1万個を超えるほどになりました。

更に雇用にも影響が出てきました。

牛渡さんは次のようにおっしゃっています。

「まずパートの従業員の働く日数が劇的に増えた。」

「小さな企業でも今まで知り得なかったお客様とつながれるきっかけになれるような素晴らしい制度だと思います。」

 

流氷で漁に出られず、仕事が減る時期にも「ケダマ」の発注に対応するため、従業員の仕事も増え、給与アップにもつながるようになったといいます。

 

一方別のアプローチで注目を集めているのは和歌山県高野町です。

返礼品は旅行券の日本旅行ギフトカードで還元率はなんと5割です。

また、静岡県小山町の返礼品はアマゾンのギフト券で還元率は4割です。

 

こうした状況について、野田前総務大臣は、次のようにおっしゃっています。

「返礼品を贈る場合には、地場産品とすることが適切であることから、良識ある対応を合わせてお願いしています。」

 

総務省は、全国の自治体に以下の通知をしていますが、これを完全に無視したかたちです。

・寄付額の3割以内

・地域の特産品以外を贈らない

 

これに対して、小山町役場 シティプロモーション推進課の勝又 徳之課長は次のようにおっしゃっています。

「なんとか自主財源を確保しようということで、ただまだ法律的に整備されていませんし、寄付が多く集まったんで継続的に続けようと。」

 

小山町が見込む2018度の税収は約37億円、ふるさと納税で集まった寄付額は既に70億円を超えています。

公園や橋の整備に活用するといいます。

 

通知を守らない自治体について、菅官房長官は昨年12月6日にふるさと納税の対象から外すように法改正を検討しているとあらためて強調しました。

もし法改正されることになった場合について、勝又課長は次のようにおっしゃっています。

「しっかり制度に則ったかたちで運用していきたいとは考えております。」

 

解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「(ふるさと納税について)私は基本的には肯定派なんですよ。」

「例えば佐賀県の佐賀牛はふるさと納税で全国ブランドになりましたよね。」

「あれだけのブランドにしようと思ったら、マーケティングコストに換算したらすごい価値で、全国でそういうものが掘り起こされたわけですよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

山川さんもおっしゃっているように、私もふるさと納税には基本的に賛成です。

その理由は、地方の優れた名産品が全国的に知られるきっかけとなり、大幅に売り上げを伸ばした北海道網走市の水産会社、牛渡水産のような事例があるからです。

一方、和歌山県高野町での返礼品が旅行券の日本旅行ギフトカードであったり、静岡県小山町の返礼品がアマゾンのギフト券であったりというのは総務省からの通知を守る他の真面目な自治体と比べて明らかに不適切です。

本来であれば、この自治体への通知が守られればいいのですが、現状では残念ながら十分に守られていません。

 

山川さんのおっしゃっているように、ふるさと納税による地方名産品の宣伝効果は絶大だと思います。

ですから、ふるさと納税は地方の零細企業であっても魅力的な商品であれば全国的に売り上げを伸ばせるチャンスを与えていると言えます。

そういう意味で、ふるさと納税は“地方創生”の1つの有効な手段とも言えます。

ということで、通知を守らない自治体について、ふるさと納税の対象から外すように法改正を進め、健全なかたちで“地方の名産品”の掘り起こしによる“地方経済の活性化”を目指して今後ともふるさと納税を推進していただきたいと思います。


 
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2019年01月17日
アイデアよもやま話 No.4228 ノルウェー発の画期的な洋上風力発電!

昨年9月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でノルウェー発の画期的な洋上風力発電について取り上げていたのでご紹介します。

 

風力発電は次世代のエネルギー源とされますが、陸地や水深の浅い海など、設置出来る場所が限られるというのが課題でした。

しかし、北欧からやってくる“黒船”がこの課題を解決し、発電の場所が一気に広がりそうです。

 

東京都千代田区にあるオフィスビル、ここに昨年9月27日に年間売上高約7兆円のノルウェー国営石油会社、エクイノールが日本支店をオープンしました。

ポール・アイトラハイム副社長は次のようにおっしゃっています。

「日本は洋上風力発電で大きな可能性がある。」

「うまくいけば日本と一緒に協力出来る。」

 

その実力を探るため、番組は今回ノルウェーに向かいました。

南西部に位置する港町、スタバンゲル、エクイノールが本社を構える町です。

町から船に乗ると、ほどなくして氷河が山や陸地を削って出来たフィヨルドの雄大な風景が広がります。

こうした豊かな観光資源に加え、エクイノールなどが運営する世界屈指の北海油田が経済を支えてきました。

しかしエクイノールは今、化石燃料からの脱却が進み、将来に備えています。

船は風や波が強い沖合へと進み、激しい揺れで取材スタッフも船酔い状態です。

やがてエクイノールが開発した世界初の洋上風力発電の大きな風車が見えてきました。

最大の特徴は、海の上に浮いているところです。

この風車、水深200mの海にまるで茶柱のようにまっすぐ浮かんでいます。

風車の柱は水中に100m伸びていて水面から上の高さも100m、重さは5300トンですが、重心は水中にあり、風を受ける羽の活動を自動で調整し、直立のまま安定させているといいます。

プラントマネージャーのネノート・ケセリックさんは次のようにおっしゃっています。

「羽の中心に内蔵したシステムが揺れを制御し、安定させている。」

 

洋上の風力発電は柱を海底に突き刺す着床式というタイプが主流ですが、エクイノールは海に浮かべる浮体式の技術を世界で初めて確立させました。

浮かんでいる柱は柔軟に動いて風を受け流せるため、地面に固定された着床式より暴風に強いのです。

既にスコットランド沖で海面からの高さが170mを超える巨大な風車5基を実用化し、沿岸の2万2000世帯に電気を供給しています。

ノルウェー沖にも更に11基を設置する計画で、着々と事業の拡大を進めています。

ケセリックさんは次のようにおっしゃっています。

「浮体式の風力発電では我々が世界で最も経験を積んでいる。」

 

今回、エクイノールは日本にこの“浮かぶ風車”を売り込もうというのです。

エクイノールの幹部、ソニア・クレーグさんは次のようにおっしゃっています。

「日本の海は風も良く、沖合での発電能力は高い。」

「特に海が深いので“浮体式”が適している。」

 

さて、ノルウェーでの海底油田に携わる企業の商談会ですが、会場内で目立つのが風力発電の風車の模型です。

世界のエネルギー供給に占める風力発電などの再生可能エネルギーの割合は2040年には40%にまで急拡大すると予想され、次世代のエネルギー源として注目を集めています。

石油採掘企業の関係者は次のようにおっしゃっています。

「浮体式風力発電が急激に伸びている。」

「5年以内に石炭火力発電の強力な競争相手になるだろう。」

「私も“石油ガス事業担当”だから、“次世代エネルギー担当”になった。」

 

また、別の企業の関係者は次のようにおっしゃっています。

「風車が大きくなり、技術も成熟して浮体式風力発電の大きな市場が出来る。」

 

「世界の海が浮体式風車で覆われれば、原子力や特に火力発電を取り除ける。」

 

ビジネスチャンスを見出す日本企業もあります。

横河電機では、海底油田からガスなどが噴き出した時、洋上の設備を守る装置で世界シェア7割を誇ります。

浮体式風車の広がりで、今後同じく自社が開発した無人管理システムに商機が生まれると期待しています。

横河電機の日高 佳久さんは次のようにおっしゃっています。

「洋上風力発電は基本的に無人なので、この技術が転用出来ると思っています。」

「こちら側(陸地)で風力を適切にモニタリングして監視、管理することは可能だと・・・」

 

一方、発電の要となる浮かぶ風車は現在福島沖など、日本でも実証実験が行われていて、特に先頭を走る戸田建設は長崎県五島列島で1基の実用化に成功しました。

ただエクイノールが既にこの3倍もの発電能力を持つ巨大風車を複数稼働させていて、日本勢は後れを取っているのが実情です。

これを見て日本企業を支援する日本財団は、日本とエクイノールなどノルウェー企業との共同研究開発を可能にする基金を設立、約12億円の枠組みで先進国、ノルウェーから学び、後を追います。

日本財団の海野 光行常務理事は次のようにおっしゃっています。

「やはり日本に海外の事業者がどんどん入って来るかもしれないという危機感があります。」

「日本の技術を生かした中で、日本の企業が浮体式発電の施設などを運用していける力をつけてもらいたい。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

国内では再生可能エネルギーと言えば、太陽光発電、中でも主に企業が推進しているメガソーラーが主流です。

そして、最近ではクルマでの移動中、あちこちで空き地や山を切り崩した跡地に沢山の太陽光パネルが敷き詰められたメガソーラーの光景を目にするようになりました。

特に、今まで木々に覆われていた緑の山だったところがメガソーラーに置き換わった光景を目にすると再生可能エネルギーの普及と環境破壊の進行とのジレンマで複雑な気持ちになってしまいます。

しかも、以前お伝えしたように、メガソーラーに限らず、太陽光発電パネルは巨大台風などの強風になると剥がれて飛んで行き、凶器と化す可能性があるのです。(参照:No.3312 ちょっと一休み その529 『突風被害の指標に見る地球温暖化の影響の怖さ』

風力発電の場合も同じで、更に騒音の問題もあります。

 

こうして見てくると、今回ご紹介した洋上風力発電の持つ可能性についてもっと真剣に取り組む必要性を感じます。

その際の考慮点を以下にまとめてみました。

・より高い発電効率

・巨大台風などの強風対策

・海洋環境への影響の有無

・遠隔操作などの管理システム

・火力発電との費用対効果の比較

 

そこで、番組でも取り上げていた日本財団による、日本とエクイノールなどノルウェー企業との共同研究開発を支援する動きはとても理に適っていると思います。

是非、無人の洋上風力発電の管理システムの技術に強い横河電機やアイデアよもやま話 No.3369 ”町工場”の逆襲!でご紹介したベンチャー企業の株式会社チャレナジーなども巻き込んでより優れた洋上風力発電の実用化に向けた取り組みを進めていただきたいと思います。


 
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2019年01月16日
アイデアよもやま話 No.4227 日本初のEVごみ収集車の燃料は・・・

昨年9月26日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でEVごみ収集車について取り上げていたのでご紹介します。 

 

JFEエンジニアリング株式会社の鶴見製作所(横浜市鶴見区)の片隅にごみ収集車があります。

JFEエンジニアリングの白尾 誠一郎さんは次のようにおっしゃっています。

「(普通のごみ収集車のように見えますが、)実は(日本初の)電池交換型のEVごみ収集車なんです。」

 

EVなので勿論とても静かです。

そして、走行、作業中、一切排気ガスも出ません。

この動力となるリチウムイオンバッテリーは充電式ではなく、バッテリー・ステーションで交換します。

白尾さんは次のようにおっしゃっています。

「(バッテリーが)中に格納された段階で充電が始まりまして、既にフル充電された状態のバッテリーがいくつも用意されています。」

「(他のEVとの違いについて、)もとになる電力はごみの清掃工場で燃やしてつくる。」

 

なお、バッテリーの交換にかかる時間はわずか3分で、フル充電で約60km走行可能といいます。

 

こちらのごみ収集車、川崎市浮島処理センターで、今年2月から稼働する予定です。

このゴミ処理センターでは、1日たり600トンのごみを収集しています。

そのごみを燃やす熱を利用して発電し、バッテリーに充電しているのです。

こちらで稼働する140台のごみ収集車があるのですが、それを全て動かす電気を発電出来るといいます。

 

この「エネルギー循環型ごみ収集システム」は、バッテリー・ステーションと込みで、EVごみ収集車1台あたり5900万円(税抜き)です。

白尾さんは次のようにおっしゃっています。

「(EVの単価について、)今は実際にはかなり高い価格になっていますけども、軽油代と比べると、電気で動かすことを考えると4分の1から5分の1で済みますね。」

「そこのランニングコストの安さも魅力だと思います。」

 

更にエコだということで、川崎市では導入が始まるのですが、既に川崎市以外の町からも引き合いが来ているといいます。

またゴミ収集車ですが、災害時には電力供給車にもなるということで、1つのバッテリーがフル充電された状態でおよそ5000台のスマホを充電することが出来るといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

私はかねてから人の営みのあるべきライフスタイルとして“地産地消”が望ましいと思ってきました。

同時に社会のあるべき姿としては“持続可能な社会”です。

それを可能にするのが植物工場であったり、再生可能エネルギーやリサイクルであったりするわけです。

 

今回ご紹介したEVごみ収集車は、ごみの清掃工場で燃やす熱を利用して発電し、バッテリーに充電した電気を動力源にしているのですから、ごみのリサイクルと言えます。

しかも、全てのEVごみ収集車の動力源として賄っており、その余剰電力はバッテリーに蓄電されますから、停電などいざという時には貴重な電力として活用することが出来ます。

ただ「エネルギー循環型ごみ収集システム」の普及に際して、問題はその初期費用、およびランニングコスト、そしてEVごみ収集車の動力源以外の電力としてバッテリーを使用する場合の投資対効果です。

この「エネルギー循環型ごみ収集システム」に対して既に川崎市以外の町からも引き合いが来ているといいますから、是非この課題をクリアして、全国展開、更には世界展開を進めるべきだと思います。

 

なお、この動力となるリチウムイオンバッテリーは充電式ではなく、バッテリー・ステーションで交換していると言います。

この方式は以前アイデアよもやま話 No.3622 中国独自のEV戦略! などでご紹介したバッテリー交換システムです。

日本国内ではイスラエルに本社を構えるベンチャー企業、ベタープレイスが以前この方式を普及させようとしましたが、頓挫してしまいました。

その理由は、バッテリーの形状の標準化という高いハードルがあったからです。

しかし、中国ではある程度この方式が普及しているといいます。

バッテリー交換システムには交換システムの国際標準などいろいろと課題がありますが、その課題がクリア出来れば、EVのバッテリーの充電は不要になり、バッテリーの交換だけで走行出来るようになるのでEV普及の起爆剤となり得ます。

ですから、EVの巨大市場である中国が今後ともバッテリー交換システム普及の拡大に邁進すれば、国際的なデファクトスタンダードになる可能性は捨てきれません。

太陽光などの再生可能エネルギーによる不安定な発電とバッテリーの相性はとてもいいので、この可能性には常に注視しておいた方がいいと思います。


 
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2019年01月15日
アイデアよもやま話 No.4226 沖縄の深海に眠る埋蔵量300兆円の”お宝”!

昨年9月26日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(テレビ東京)で 沖縄の深海に眠る“お宝”について取り上げていたのでご紹介します。

 

金属資源のほぼ100%を輸入に頼っている日本ですが、その状況がもしかしたら変わるかもしれません。

可能性を秘めているのが金、銀、銅などの鉱物で、沖縄の深さ1000m以上の深海の底にあるのです。

日本の近海にはこうした海洋資源が沢山眠っていて、その埋蔵量は300兆円以上と言われています。

 

沖縄から北西におよそ100km、辺りに何もないこの大海原である調査が行われていました。

巨大なロボットが海へ投下されます。

向かうのは1000mを超える海底です。

ロボットに搭載されたドリルで掘っていくと海底には大きな穴が、そして海底からドリルが引き上げられていきます。

この作業は昼夜問わず行われました。

採掘されたのは、海底に眠っていた鉱物、日本の近海には貴金属やレアメタル、メタンハイドレートなど多くの資源が眠っていて、埋蔵量は300兆円分を超えるとされています。

それを探し出す調査技術の確立を目指すのが、通称「海のジパング計画」です。

今回、WBSが長期にわたり密着取材したJ−MARES(次世代海洋資源調査技術研究組合)が探すのが海底熱水鉱床です。

マグマに熱せられた金属を含む海水が海底で冷やされることで作られます。

この海底熱水鉱床には、金、銀、銅、亜鉛、鉛などが含まれています。

 

今回の調査、勿論闇雲に海底を掘ったわけではありません。

昨年5月、出港前に海底熱水鉱床を探す世界最先端の技術を見せてくれました。

J−MARES技術部の淺川 栄一部長は次のようにおっしゃっています。

「今回の海底熱水鉱床探査は反射法地震調査という方法でやります。」

「それは音を出して反射した音を拾うという方法なんですけども、・・・」

 

音波で海底熱水鉱床の在り処を探そうというのです。

エアガンという音波を発生させる装置、それと長いケーブル、ここに付いた音波の受信装置を組み合わせて使います。

沖縄から北西に100kmの沖合、海にケーブルが下ろされ、エアガンも海に投入されると、海底下1kmにまで音波を届けることが出来るというエアガンの衝撃波が海面にまで届きます。

音波は海底にぶつかると反射します。

更に音波は海底を進み、違う層にぶつかるたびに反射します。

こうして地層の状況を調べていきます。

船内では収集したデータの解析が行われていました。

解析装置のパネルに表示された赤と青の線は海底下の地層の境界線を表しています。

きれいな堆積が分かりますが、その横の地層はグチャグチャに、ここが海底熱水鉱床とされる場所です。

音波を使って海底の下まで見えるようになったことで、砂や泥に埋まってしまった海底熱水鉱床の場所も分かるようになりました。

 

昨年8月、東京ではこの調査をもとに会議が行われました。

音波探査の結果をより詳細にして3Dデータ化し、VR(仮想現実)使い、この会議には九州にいる研究者の他、東京の別の場所にいる研究者も参加しています。

VRでは平面のデータと違い、近くに寄ることも出来るため、より詳しい解析が可能になるといいます。

 

そして昨年9月、音波探査のデータを使い、沖縄で掘削が行われ、鉱物とされる物質が現れました。

日本はやはり黄金に輝くジパングだったのです。

 

しかし課題もあります。

淺川さんは次のようにおっしゃっています。

「次のステップとして、それをどう回収するかというところにまたコストの問題があるので、陸上の鉱山との競争力が一番の問題かな。」

「(日本は資源大国になれるかという問いに対して、)それを目指してるんです。」

「歴史を遡れば、日本は金とか銀とか世界有数の産出国だったんですけど、今は陸上の鉱山は閉山されてしまって、海底熱水鉱床みたいなものがあれば、一時のように資源大国になれるんじゃないかと。」

 

番組の最後に、番組のメインキャスター、大江 麻理子さんは次のようにおっしゃっています。

「今回は半年以上にわたって取材をしました。」

「今回調査したのが10ヵ所以上で掘削をしていまして、どんな鉱物資源が含まれていたのかという詳細な調査結果はこの後出てくるということです。」

「海底熱水鉱床、活動中のものはとても熱いので、掘削が不可能なんですね。」

「ですから、活動が止まってしまったものを掘削するのですが、止まると砂をかぶってしまったり、熱がないので探しにくいというところで、それを探し出せる技術、これがすごいんですよ。」

「日本は今、世界の最先端、オンリーワンの技術を持っていますので、勿論日本近海で300兆円以上という資源を探すということも大事なんですが、この資源の在り処を探す技術自体も世界に売り出していければ大きなビジネスチャンスになるのではないかということでした。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

金属資源のほぼ100%を輸入に頼っている日本ですが、日本の近海にはこうした海洋資源が沢山眠っていて、その埋蔵量は300兆円以上ということに金属資源大国という夢の実現に向けた明るい未来を感じます。

是非、金属資源を探し出す調査技術の確立を目指す「海のジパング計画」を成功させ、次のステップである陸上の鉱山との競争力のある回収技術も確立させていただきたいと思います。

更に大江さんのおっしゃるように、こうした一連の技術で日本近海に眠る金属資源を探して回収するだけでなく、この技術自体も世界に売り出していければ大きなビジネスチャンスになると期待出来ます。


 
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2019年01月14日
アイデアよもやま話 No.4225 新たな宅配便サービス!

昨年9月26日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新たな宅配便サービスについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

自宅に荷物が届く宅配便、便利なサービスですが、その反面ドライバー不足や梱包に使われた段ボールのごみなどが問題になっています。

そこで、ネスレ日本が佐川急便と共同でこうした問題を解決すると同時に、地域の活性化を目指すサービスを今年1月から始めます。

 

ネスレ日本の高岡 浩三社長は次のようにおっしゃっています。

「(このサービスは)タクシー業界でいう“ウーバー方式”ですね。」

「宅配業界の中でこのシステムを進展出来ないのかと。」

 

高岡社長が発表したのは、佐川急便と組んだ新しい宅配サービス「マチエコ便」です。

その仕組みですが、佐川急便が商品をエコハブと呼ばれるサービス拠点まで運びます。

エコハブはネスレ日本と契約した個人宅や商店主です。

注文したお客はエコハブの人に家まで運んでもらうか、エコハブまで取りに行くかを選べます。

取りに行った場合は商品代金から5%の割引が受けられます。

 

1月1日からの展開に先駆けて東京・町田市で既に新しい宅配サービスが始まっています。

Mさんの自宅は今回の宅配サービスの拠点、エコハブです。

少し前に届いた荷物は2軒分ですが、その都度増減があります。

段ボールには2軒分の商品が一緒に入っています。

そこへやって来たのは、近所に住むNさん、注文した商品をエコハブに取りに来たのです。

商品はエコバックに詰め替えて持ち帰ります。

Nさんは次のようにおっしゃっています。

「これ(エコバッグ)だと自転車のかごとかにも入るし、肩にかけても軽いので、便利ですね。」

「段ボールを崩してごみに出す手間が省けますね。」

「(しかし、わざわざ取りに来るのは面倒ではないかという指摘に対して、)宅配便(の指定時間)も結局2時間はいないといけないじゃないですか。」

「それで、ちょっと塾の子どもの送り迎えで10分だけ出たいという時があって、ドキドキしながら迎えに行って帰って来たとかいうことがあったので、逆に自分の都合で予定が立てられて取りに伺えるし、そういうところが便利・・・」

 

この宅配便新サービスの拠点を担うMさんにはネスレ側から手数料が支払われます。

Mさんは次のようにおっしゃっています。

「今来てくださった方(Nさん)も(息子の)お嫁さんの年代なんですね。」

「なので、いろんな年代の方とお話が出来る、刺激も受けられる。」

「これを始めてから、主人に言わせると「生き生きしてきたね」って言われます。」

 

Mさん、今度はエコバッグに商品を入れて向かった先は近所に住む妊娠中のKさんのお宅です。

以来に応じて、宅配業者に代わって配達もするのです。

Kさんは次のようにおっしゃっています。

「顔を知っている人が届けてくれる方が安心だなって。」

「ご近所付き合いも中々薄くなってきている感じがあるので、ご近所の輪とか広がっていったら私は嬉しいなと思っています。」

 

この宅配新サービス「マチエコ便」、まずはネスレ商品に限定してスタートしますが、今後はP&Gやファンケルの商品も対応する予定です。

このサービスに相乗りする企業も募っていくといいます。

高岡社長は次のようにおっしゃっています。

「ネスレだけじゃなくて他の企業さんも乗っかっていただくことも出来るので、これからどんどん増えていくと思いますね。」

「出来るだけ早い時間の中で、全国にこのシステムを広げようと思っています。」

 

宅配便業界は、ネット通販などの成長により年々取り扱う荷物の数が増えています。

ちなみに、2017年度の宅配便取り扱い個数は42億5100万個に上っています。(国土交通省調べ)

また荷物の増加だけでなく、不在などによる再配達が大きな負担になっています。

こうした中、リクシルが昨年9月26日に発表したのが、スマホと連動した戸建て住宅向けの宅配ボックス、スマート宅配ポストです。

価格は28万8280円(設置費別)です。

不在時に荷物が届くと、スマホに通知が届きます。

最大のポイントは、スマホで遠隔操作することで2つ目以降の荷物も配達してもらうことが出来ます。

宅配ボックスにはカメラが付いているので、宅配業者と会話をしながらスマホでカギを開けられます。

また宅配ボックスに荷物を入れると、提携している宅配業者に連絡がいくシステムも備えていて、不在時の集荷にも対応しています。

これらの機能により、再配達を減らし、宅配を効率化するのが狙いだといいます。

ただ、現在の戸建て住宅向け宅配ボックスの普及率は1%未満、リクシルは2020年度までに約2万台の販売を目指しています。

リクシル エクステリア事業部の井出 眞治さんは次のようにおっしゃっています。

「再配達の問題が今社会問題化していること、そしてCO2の排出量も問題になっていることが(開発の)背景になります。」

「よりマーケットを大きくしていく、様々なお客様のニーズに応えていくと考えております。」

 

また番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミストの熊谷 亮丸さんは次のようにおっしゃっています。

「人手不足がどれくらい日本経済を押し下げるかというシミュレーションなんですけども、このまま自然体でいくと、標準シナリオでは就業者は127万人減って、その結果、潜在GDPという、実力の国内総生産は10年後には7.1兆円減ってしまう。」

「大事なのは、ネスレのケースでも高齢者をうまく活用するということ。」

「高齢者活躍シナリオ、これは60代後半の方が前半の方と同じぐらいの就業率まで上がるという前提で計算してみると、標準シナリオと比べると152万人ぐらい増えて、プラスに転換して25万人増える、この結果潜在GDPもマイナスだったものがプラス1.4兆円に増えると。」

「その意味では、人手不足を解消して、なおかつ高齢者の方が活躍出来る社会をつくる、これが日本経済にとって極めて重要な課題であると。」

「それに非常によく取り組んでいるなと、そういう印象です。」

「(高齢者の活躍はこの先ずっと期待出来るのかという問いに対して、)」これは10年後ぐらいまでは高齢者の方が活躍すればなんとか賄えるんですが、30年、50年でみると、やはりある程度外国人の労働者をもっと入れていかないと、中々マイナス賄うことが出来ないということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでアイデアよもやま話 No.3847 ”物流版ウーバー”が”宅配の危機”を救う!?などで何度か宅配便サービスについてお伝えしてきましたが、これらは全て配送先まで送り届ける手段を自動運転車にしたり、一般ドライバーに委託するというように、配送手段をどうするかに焦点を当てていました。

ところが、今回ご紹介した宅配サービス「マチエコ便」は、商品を個人宅や商店主と契約したエコハブと呼ばれるサービス拠点まで運ぶというものです。

そして、そこから先は注文したお客はエコハブの人に家まで運んでもらうか、エコハブまで取りに行くかを選べるようにしています。

このサービスのメリットには以下のようなものがあります。

・エコハブの人が届け先まで配達すると、ネスレ側から手数料を受け取れること

・届け先であるお客は、自分の都合のいい時間にエコハブに行って受け取れること

・自分で受け取りに行った場合は商品代金から5%の割引が受けられること

・顔を知っている人が届けてくれる方が安心であると思うお客は、こうした宅配便サービスを通して、ご近所付き合いが出来ること

・人手不足が問題視されている宅配便業界は、配達に要する時間や不在などによる再配達の負担が軽減されること

 

ということで、熊谷さんも指摘されているように、「マチエコ便」や”物流版ウーバー” のような宅配サービスは人手不足を解消して、なおかつ高齢者の方が活躍出来る社会をつくるという日本経済の重要な課題の対応策の一つとしてとても有望だと思います。

 

一方、リクシルが昨年発表した、スマホと連動した戸建て住宅向けの宅配ボックス、「スマート宅配ポスト」は再配達を減らし、宅配を効率化するのが狙いだといいますが、問題はこの宅配ボックスの価格が高額なことです。

戸建て住宅向けが対象であること、更に価格が28万8280円(設置費別)であることからユーザーは非常に限られてしまいます。

 

さて、今回ご紹介した新しい宅配サービス「マチエコ便」を通して感じたことは、いろいろなビジネスを一つひとつのプロセスに分解していき、それらを個人や個人商店などで代用出来ないかという観点で切り分けていくと、いろいろな可能性が見えてくるのではないかという期待感です。

そして、それを新たなサービスとして実現させることで、より多くの人たちに働く場を提供し、全体として活力のある社会につながるのではないかということです。


 
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2019年01月13日
No.4224 ちょっと一休み その681 『仮想技術が新たな産業革命をもたらす!?』

これまでアイデアよもやま話 No.4142 複合現実(MR)で働き方改革!?アイデアよもやま話 No.4222 仮想旅行は“旅行業界のニューフロンティア”!?などで仮想技術の活用の場についてお伝えしてきました。

そこであらためて仮想技術の種類について以下にまとめてみました。

VR(仮想現実):ゴーグルを着けてCGの世界に入り込んだかのような体験が出来るという技術

AR(拡張現実):スマホなどの端末を使って、実際の風景にCGの映像を重ね合わせるという技術

複合現実(MR):VRやARの技術を進化させたもので、ARのように現実にCGを重ね合わせるだけではなくて、自分の手で空間をタッチして操作することが出来るという技術

 

こうした一連の技術は旅行やエンターテインメントのみならず、在宅で自分の代わりにロボットに出社してもらうなど、新たなライフスタイルをもたらすので少子高齢化対策としても有効です。

勿論そのベースとなるのはインターネットやAI、ロボット、IoTなどの技術です。

ですから、こうした総合技術が新たな産業革命をもたらすことは間違いありません。

そしてこうした一連の技術による産業革命は当然のことながら生産性向上に寄与し、従来の多くの仕事の分野を私たち人間から技術に置き換えていきます。

しかし一方で、大量の関連技術を身に付けた技術者を必要とするので新たな働く場をもたらします。

 

しかし、これまでの産業の歴史を見れば分かるように、トータルとし私たち人間は産業の進歩とともに自由な時間を手に入れることが出来るのです。

と言いたいところですが、現実には日本では、一方でブラック企業の存在や有給休暇取得率の低さが大きな問題になっています。

こうしたことから未来社会に向けた課題として以下のようなものが考えられます。

・適切なワークライフバランスの維持

・自由な時間の有意義な暮らし方

・働きたくても働けない人たちの収入対策

・テクノロジーの進歩に取り残されないための生涯教育の場の提供


 
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2019年01月12日
プロジェクト管理と日常生活 No.575 『リーマンショックから10年 その2 日本社会に残した傷痕!』

リーマンショックについては、プロジェクト管理と日常生活 No.361 『あらためて感じるリーマンショックの罪深さ』プロジェクト管理と日常生活 No.552 『金融危機は10年周期!?』でお伝えしてきました。

そのリーマンショックから既に10年を経過しましたが、その教訓は生かされているかについて2回にわたってご紹介します。

2回目は、昨年9月14日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通して、日本社会に残した傷痕についてです。

 

リーマンショック時には日本でも多くの企業が打撃を受け、リストラや派遣切りが深刻化しました。

あれから10年、企業は、雇用はどう変わったのか、リーマンショックが残した日本社会への爪痕を番組が追いました。

 

日本、アメリカ、ユーロ圏のGDP(国内総生産)を比較すると、リーマンショックが起きた2008年を見ると、日本が一番落ち込んでおり、危機の震源地であるアメリカよりも経済的な影響を受けたと言えます。

その影響を番組で取材を進めていくと、日本企業に今も色濃く残っていることが分かりました。

 

大手照明機器メーカー、岩崎電気株式会社、従業員は約2000人、工場やスタジアムなどで使う照明を製造しています。

社長の伊藤 義剛さん、10年前は経営戦略を担う部署の部長でした。

当時の会社の売り上げは700億円余り、海外にも販路を広げていましたが、そこに突如リーマンショックが襲いかかったのです。

売り上げは1年で100億円減少、海外からの注文はパタリと止まりました。

当時について、伊藤社長は次のようにおっしゃっています。

「急に仕事が冷え込んできて「先行きどうなるんだろう」というようなかたちがあったのを覚えていますね。」

 

危機に直面し、会社がまず手を付けたのは最大15%の給与カットです。

その後、グループ会社の統廃合なども行いましたが、売り上げの減少分は補えませんでした。

リーマンショックから3年後、会社は正社員100人の希望退職を募りました。

伊藤社長は退職希望者との面談を行いました。

当時について、伊藤社長は次のようにおっしゃっています。

「面接するのは当然先輩ばっかりなんですね。」

「昨日まで一緒だった人が辞めていくわけですから、それはいい感じではなかったですけどね。」

 

何とか危機を乗り切り、売り上げはリーマンショック前の8割まで回復しましたが、業績は伸び悩んでいます。

国内市場の縮小に加え、LED照明を安く作る新興国のメーカーと厳しい競争にさらされているためです。

伊藤社長は、給料を上げたくても十分に社員に還元出来ないジレンマを感じています。

「社員の皆さんには、出来るだけ給料を払いたいんです。」

「やはり一度縮小したマインドは、正直言ってまだ完全に戻っていないのかなというのがありますね。」

 

リーマンショックが一つの要因になって、企業経営者は縮み思考になっており、日本経済にとっても大きな問題になっています。

このことは統計からも分かります。

民間企業の現金・預金はリーマンショック以降、ずうっと上がっていって2017年度は過去最高の約260兆円になっています。(出典:日銀 資金循環統計)

この資金は、会社として次に何か起きた時のためにため込んでおきたいという心理が働いているものと解釈出来ます。

 

このことを働く側の人の立場で見ると、40代前半の平均月収(大卒男子 正規社員)を年代ごとに比べると、以下のようになります。(出典:日本総研まとめ)

 15年前  49万円

 10年前  50万円

  5年前  46万円

 現在(*) 43万円  *2018年

 

リーマンショックが40代前半の人たちにどのような影響を与えているのかを探ります。

リーマンショックの煽りを受けてリストラされた40代のある男性は、リーマンショックが起きた当時、広告代理店で働いていました。

ところが1年後、会社は業績不振を理由に男性を解雇しました。

この10年、男性はたびたび転職を余儀なくされ、給料も上がりませんでした。

結婚し、子どもが生まれたばかり、人材サービス会社に勤めた手取りは約23万円、年収は390万円ほどでした。

その後、塗料メーカーに転職し、月給は5万円ほど増えましたが、“自分たちは報われない世代だ”という思いはぬぐえません。

この男性は次のようにおっしゃっています。

「辛い時も勿論ありますし、もう少し時代が変わっていればと思うこともありますけど、受け入れるか、飲み込むかして、何とかしていかないといけない、何とか生きていくしかないかなという感じですね。」

 

リーマンショックによる影響を強く受けた40代、大和総研 経済調査部の小林 俊介エコノミストは次のようにおっしゃっています。

「10年経ってリーマンショックの傷痕からかなりの程度回復してきているということ自体は事実だと思います。」

「しかしながら一方で、企業の事業戦略として即戦力を求めていると、しかも若年層の即戦力を求めている。」

「そうした中で、固定費が高いミドルシニア層に対して必ずしも目線がいっていない。」

「こういうことが起きている。」

 

40代前半の働き盛りで給料が上がらないという苦しい状況の理由について、番組キャスターの豊永 博隆さんは次のようにおっしゃっています。

「この世代は、転職を余儀なくされて、専門性を培う機会を逃してしまったり、あるいは企業がこの期間、人材育成への投資を減らしたことで十分な教育を受ける機会がなかった、そういう人が多いっていうことなんですよね。」

「そのために景気が回復してきても中々賃金が上がらないということにつながるということなんですよね。」

「今回の取材を通じて、金融危機の最前線にいた人たちからは“危機はまた起きる”、あるいは“2つと同じかたちで起きない”、こんな言葉を聞きました。」

「紛争や事故などと違って、金融危機は目に見えるかたちでは現れにくいということがありますよね。」

「それだけに、関心を持って知ることこそが次の危機を防ぐ原動力になるのではないかと感じました。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず、リーマンショック以降の日本の状況について、番組を通して分かったことを以下にまとめてみました。

・リーマンショックが一つの要因になって、企業経営者は縮み思考になっており、日本経済にとっても大きな問題になっていること

・民間企業の現金・預金はリーマンショック以降増え続け、2017年度は過去最高の約260兆円に上っていること

・40代前半の働き盛りの世代は、転職を余儀なくされて、専門性を培う機会を逃していること

・40代前半の平均月収(大卒男子 正規社員)は下がり続けていること

・金融危機の最前線にいた人たちからは“危機はまた起きる”、あるいは“2つと同じかたちで起きない”という声があること

・金融危機は目に見えるかたちでは現れにくいこと

・関心を持って知ることこそが次の危機を防ぐ原動力になること

 

前回もお伝えしたように、やはり日本経済は今もリーマンショックの傷痕が残っているのです。

しかも40代前半の働き盛りの世代は、専門性を培う貴重な機会を逃しており、平均月収も下がっているのです。

 

ところが、番組でも指摘しているように、金融危機は目に見えるかたちでは現れにくいのです。

ですから、ある日突然やってくるのです。

しかもそのきっかけは世界中のどこの国が震源地になるか分かりません。

今、震源地として最も世界的に注目されているのは、米中の経済摩擦のエスカレート、およびイギリスのEU離脱による影響と言われています。

 

では、こうしたリスクに対して、日本にはどのような対応策が考えられるでしょうか。

以下に私の思うところをまとめてみました。

・米中の経済摩擦、およびEUの離脱による国際経済、および日本経済への影響を把握し、そのリスク対応策を検討すること

・具体策として、以下のような対応策が考えられること

  日本独自に国際金融、および国際経済の安定の視点から今後の方向性を打ち出し、国際機関に対して積極的にリスク対応策を提唱すること

米中の首脳に対して、経済摩擦がこれ以上エスカレートしないように働きかけること

  政府、および企業の立場でそれぞれコンティンジェンシープランを検討しておくこと


 
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2019年01月11日
アイデアよもやま話 No.4223 カスタムシューズが注文したその日に製造される!?

昨年9月20日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で画期的なカスタムシューズの製造技術にについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

アディダス ジャパンは、自分に一番合ったシューズをつくるための最新の計測技術を公開しました。

足の形状を瞬時に読み取るフットスキャナーや走りながら骨格の動きを計測し、最適な靴のかたちを導き出す機器などです。

これらの計測技術を使い、将来的には計測したその日にカスタムシューズを製造し、販売することが可能になるとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

新しく靴を購入する際、靴のデザインはとても気に入っても、自分の足に合わず、購入を見送ってしまうことがよくあります。

今回ご紹介したカスタムシューズの製造技術はまさにこうした問題を解決してくれます。

しかも、アディダスでは将来的には計測したその日にカスタムシューズを製造し、販売することを目指すといいます。

これが実現されれば、あらかじめ自分の足のサイズなどを計測して登録しておけば、気に入った靴が注文した翌日には手に入ることも夢ではなくなります。

しかし、問題は購入価格です。

購入価格次第では、“シューズ革命”到来となる可能性を秘めています。

ですから、こうした問題の解決策として当然製造の自動化技術が進歩するはずです。

 

さて、今回ご紹介した技術は、靴だけでなくファッションなどにも応用出来ます。

ですから、こうした技術の広範囲での応用は“シューズ革命”というよりも一種の“産業革命”と言えると思います。


 
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2019年01月10日
アイデアよもやま話 No.4222 仮想旅行は“旅行業界のニューフロンティア”!?

昨年9月20日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で仮想旅行について取り上げていたのでご紹介します。 

 

普段行かない場所で非日常的な体験をするのが旅の醍醐味です。

ただ遠くに行こうとすると、まとまった休みが必要です。

中々時間が取れない人でも実際に旅に行かずにリアルな体験が出来る仮想旅行が今注目を集めています。

 

昨年9月20日から始まった「ツーリズムEXPOジャパン」(東京ビッグサイトで開催)は、国内47都道府県はもちろん、海外からも136の国と地域が参加する世界最大級の旅の祭典です。

 

ハワイ州観光局のブースでは、ハワイが体験出来るといいます。

VR(仮想現実)のゴーグルを着けると、バーチャルでハワイを体験出来ます。

気分を盛り上げるために座っているシートがVRの画面と連動して揺れたり、水しぶきや扇風機による風を吹き付けたりすることでより臨場感が高まり、まるでハワイにいるかのような気分を味わえます。

ハワイ州観光局のマネージャー、宮本 紗絵さんは次のようにおっしゃっています。

「行った気分をまずここで体感していただきまして、やっぱり行ってみたいと思えるきっかけになったらな・・・」

 

こうした体験自体を商品化する動きもあります。

ANA(全日本空輸)ホールディングスのブースで、深堀 昴さんは次のようにおっしゃっています。

「遠隔で本当に釣りが出来るというサービスのデモでございます。」

「釣り竿を完全同期させて、振動とか堅さ、柔らかさを模擬体験出来るようになっています。」

 

竿の動きや魚がかかった時の重さ、振動はモーターで制御、自宅にいながら遠隔地でも釣り体験が楽しめます。

ANAホールディングスでは、こうして釣った魚はANA便で翌日届くサービスが出来ればと考えており、今年春にもこのサービスを始めたい考えです。

 

更に仮想旅行のための別な仕組みも考えています。

美ら海水族館に置かれている分身ロボットでは、画面をタッチ操作することで簡単に遠隔操作することが出来ます。

自分の分身となるロボットで仮想旅行出来る仕組みです。

深堀さんは次のようにおっしゃっています。

「どうしても飛行機にご搭乗いただけないお客様は大勢いますので、例えば身体的制約ですとか、高齢者の方々で旅行に行けない方々にとって、新しい移動手段としてこういうサービスを展開していけたらと思っています。」

 

この仮想旅行が実用化に向けて動き出しています。

旅行会社のJTBは先週(放送時点)から仮想旅行の体験会を始めました。

東京・港区にいながら約1000km離れた小笠原諸島に訪れたかのような体験が出来るといいます。

小笠原には体験者の分身となるロボットがいます。

島にいる人と会話も可能です。

全てリアルタイムでのやりとりです。

更に、現地の人が亀の甲羅や手に触れると、その感触がリアルに伝わります。

この仮想旅行を実現したのは、今回JTBと組んだKDDIとロボットベンチャー、テレイグジスタンス株式会社の技術です。

ウミガメの動きや甲羅の堅さを感じられるのは、指に付けた機械によるものです。

触った感覚や温度まで感じることが出来ます。

こうした感覚はKDDIの高速通信技術によってリアルタイムで伝わるのです。

テレイグジスタンスのCPO、佐野 元紀さんは次のようにおっしゃっています。

「今までずっと概念としては研究されていたんですけども、通信の体系などの関係で中々実現が難しかった。」

「技術としてはいろいろなところに応用が利くと思っています。」

 

仮想旅行の商用化を目指すJTBは様々な可能性に期待を寄せています。

JTB 東京交流創造事業部の池田 伸之部長は次のようにおっしゃっています。

「旅を試す機会は今までなかったと思うんです。」

「より多くの方々が旅に触れる機会を増やしていく機会になるんじゃないかなと思います。」

 

ANAによると、世界的には航空機の利用者はまだ少ないので、仮想旅行のようなサービスを導入することで旅行をしたいという動機づけにしたいということです。

番組コメンテーターで大阪大学准教授の安田 洋祐さんは次のようにおっしゃっています。

「(リアルな旅行に行きたい人も増えるのではという見方について、)そうですね、そういうきっかけの一つとして、こうしたVRが役に立つかもしれないですし、例えば音楽をイメージすると、スマホでもハイレゾ、すごいいい音質のものを聴きたいとか、定額のストリーミング再生でものすごい手軽で身近なものになっているんですけど、じゃあライブの人気がなくなったかというとむしろ逆でライブに行きたい、この前も安室奈美恵さんのコンサートがありましたけど、ああいったものに人が行きたがると。」

「今回のVR旅行もああいったバーチャルな体験を通じて、よりリアルな旅に関心が高まるきっかけになるんじゃないかという気がしています。」

 

「ロボットなんかをみると、もう旅行だけではなくて、例えば「働き方改革」なんかにも使えるんじゃないか。」

「在宅で自分の代わりにロボットに出社してもらうとか、作業現場に行ってもらって、そこで実際にその指示を出したり、作業をするということに応用がすごい利きそうな可能性を感じる技術ですよね。」

 

「VRなので、リアルに旅行が出来るような場所に行くというのは番組のVTRで紹介されていましたけど、それこそ未来とか過去みたいなタイムトラベルとか、宇宙とか、実際にリアルな旅行が出来ないものにもひょっとすると仮想的に行けるようになる、そんな時代がやってくるかもしれないですよね。」

 

また、番組の解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「(分身ロボットにより、見るだけでなく体験に近いことも出来ることについて、)ああいうのが自宅とか病院でも出来るようになると、シニアが非常に有望な市場になると思うんです。」

「過去1年間に国内、国外に旅行した人の割合が70代くらいになるとガクンと落ちるんですよ。(74歳までの70%程度以上から75歳以上では50%足らずまでダウン)」(2016年 社会生活基本調査)

「なぜかというと当然健康の問題が出たり、健康であってもおっくうになってしまうこともありますよね。」

「親孝行したくて、「一緒に旅行に行こうよ」と思う時には親がもう動けなくなっているという、そういう時に一緒にこういうもので体験してあげるとか、そういうニーズが出てくるんじゃないかなと思うんで。」

「特に団塊の世代がもう70代になってきていますからね、ここが新しい旅行のスタイルを開拓すると、そういうのも面白いんじゃないかなと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、遠隔操作による、釣りの実体験に近い模擬体験や自分の分身となるロボットでの仮想旅行が出来る時代の到来を感じます。

一方で、世界的には航空機や旅客船の利用者はまだ少なく、仮想旅行のようなサービスは実際に旅行をしたいという動機づけになるといいます。

更に、こうした技術はタイムマシンや宇宙旅行などのよりリアルに近い疑似体験をも可能にします。

ですから、多忙な人や高齢者など、時間的に、あるいは身体的制約で旅行に行けない人たちも気軽に様々な旅行体験を楽しむことが出来るようになります。

ちなみに、アイデアよもやま話 No.4214 ANA 空から宇宙へ!でANAによる宇宙関連ビジネスについてお伝えしましたが、ANAは分身ロボットの遠隔操作技術により地球上のみならず宇宙空間でのビジネスチャンスを狙っているようです。

こうした取り組みは他の多くの企業でもこれから始まると思います。

ということで、仮想旅行はまさに“旅行業界のニューフロンティア”と言えます。 


 
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2019年01月09日
アイデアよもやま話 No.4221 リーマンショックから立ち上がったベンチャー企業!

リーマンショックについては、これまでプロジェクト管理と日常生活 No.552 『金融危機は10年周期!?』などでお伝えしてきました。

そうした中、昨年9月12日(水)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でリーマンショックから立ち上がったベンチャー企業について取り上げていたのでご紹介します。

 

世界を震撼させたリーマンショックから間もなく10年になります。(放送時点)

アメリカの証券会社の破たんが日本にまで影響し、多くの企業が大規模なリストラに踏み切りました。

当時、会社を去った技術者たちの中には、もう一度挑戦したいと夢を描く人もいます。

そこで、番組では技術者たちの逆襲の舞台に密着しました。

 

新潟県にあるベンチャー企業、コネクテックジャパン株式会社(新潟県妙高市)の社長、平田 勝則さん(54歳)は、創業から9年、半導体関連の事業を展開しています。

32人の社員のうち、50代と60代が半数以上、その多くがリーマンショック後にリストラの対象となった技術者です。

かつて大手電機メーカーに勤めていた平田さん、会社を立ち上げたのはリーマンショックの辛い経験を跳ね返すためだといいます。

 

当時勤めていたパナソニックでは、平田さんがいた半導体部門もリストラの対象になりました。

管理職だった平田さんは、会社の方針に従い、同僚たちにリストラを言い渡しました。

平田さんは次のようにおっしゃっています。

「本当に地獄絵図のところでした。」

「自分の力のなさに本当にふがいなさと怒りを、本当にたまらない数ヵ月間でした。」

 

会社を去った技術者の能力や志の高さを知っていた平田さん、その力を集めれば世界で挑戦出来ると考え、新たに会社を立ち上げる決断をしました。

平田さんは次のようにおっしゃっています。

「自分で手塩にかけて共に学んできた仲間をリーマンというわけの分からない事象で切らざるを得なくなった時に、今こそ更に“人こそ大事なり”であるべきじゃないかな。」

 

創業メンバー3人で工場を構えたのが平田さんの地元、新潟でした。

当初5年間は苦しい経営が続きますが、10年後世界に通用する高い技術の開発を目指しました。

昨年実現したのが、これまでより低い温度で半導体のチップを取り付ける技術です。

従来は260℃まで温度を上げないと装着出来なかった半導体を80℃で取り付けられるようにしたのです。

衣服や医療器具など、柔らかい素材にもセンサーが装着出来るとして用途は更に広がるとしています。

平田さんは次のようにおっしゃっています。

「半導体が至るところに実装出来さえすれば、いろんなサービス、産業が生まれてくる。」

「(新しい産業を)引っ張っていくトリガーに我々はなりたいと願っています。」

 

一度は挫折を味わった技術者たち、世界で勝ち抜くには何が必要なのか、毎朝平田さんが理想とする経営者、松下幸之助の言葉を全員で読み上げます。

挑戦を続けなければ道は開けない、リストラで苦い経験をした技術者たちが心を一つにする時間です。

出身メーカーは異なりますが、もう一度自分の力を試したいという思いが詰まった技術者たち、少人数でも世界に挑戦出来ると自信を深めています。

社員の内藤 弘之さんは次のようにおっしゃっています。

「ワクワクしますね。」

「また私の力が役に立つんだ。」

「世界で戦えるんじゃないかと本気で思っています。」

 

技術者たちが挑戦の舞台に定めたのが台湾です。

世界的企業が集まる台湾の見本市で取引先を一気に拡大したいと考えていました。

半導体チップを低温で取り付けるあの技術をアピールする計画です。

平田さんは次のようにおっしゃっています。

「大きく道が開けるんじゃないかなと思っています。」

 

いよいよ平田さんたちの勝負の日、昨年9月5日、世界の680の企業が出展する見本市、最新の技術や製品が紹介され、3日間で5万人近くが訪れました。

平田さんたちの展示ブースでは、小さな会社が要求に応えられるのかという指摘もありました。

一方、前向きな評価も相次ぎました。

商談に向け、交換出来た名刺の数は目標を超える328枚に上りました。

 

10年前の辛い経験から這い上がった技術者たち、逆襲に向けた挑戦はこれからも続きます。

平田さんは次のようにおっしゃっています。

「自分自身として一番成長出来たのがこの10年じゃないかなと。」

「だから10年前よりよりタフな人間になれているし、よりアグレッシブでよりチャレンジングな人間になれたのは、ああいうショックが人が起こしたことだけれども、それに巻き込まれた中で見えたことではないかと思っています。」

 

コネクテックジャパンを取材した古市 啓一朗記者は次のようにおっしゃっています。

「(この会社の強みについて、)ズバリ“目利き力”だと思います。」

「有望な人材や技術がどこにあるのかを見極める力です。」

「実はこの会社の新しい技術が新潟県や長野県などの中小企業の技術者が開発した素材も使われているんです。」

「平田さんは退職後に全国を駆け回って人や技術を探したといいます。」

「そうした苦労があったからこそ、磨かれた力なのかもしれません。」

 

「(リーマンショック後に現場を離れてしまった技術者の多くの現状について、)平田社長に話を聞きますと、かつての同僚の多くが半導体とは異なる分野で仕事をしているそうです。」

「そして一部の人は海外のメーカーで働いているということです。」

「今回の取材で半導体製品へのニーズは非常に高いと感じました。」

「技術者たちの知見はAIをはじめとした最先端の事業で必要とされるからです。」

「平田さんたちの挑戦こそが日本の技術を磨き、発展させるカギになると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かにリーマンショックでは、世界中で多くの従業員がリストラに遭うなど大変な状況に追い込まれました。

そうした中、今回ご紹介したコネクテックジャパンの事例は、こうした状況から這い上がったベンチャー企業の成功例として救われます。

しかし、リストラに遭った人たちの中には、やむを得ず中国企業に転職して長い年月の中で培った技術を提供することによりその後の中国企業の躍進に貢献した人たちも少なからずいるといいます。

こうした状況は日本からの貴重な技術の海外移転であり、国家的な損失と言えます。

 

そういう意味で、経済危機に陥った際などにリストラに遭った人たちの受け皿として、国内にコネクテックジャパンを立ち上げた平田さんのような存在はとても貴重だと思います。

ですから、どんな状況においても、事業を起こしたい人、技術を持っている人、そして資金を提供したい人という3者の出会いの場の必要性、重要性をとても感じます。


 
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2019年01月08日
アイデアよもやま話 No.4220 ベンチャー企業が成功する要件とは・・・

昨年9月11日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でベンチャー企業が成功する要件について取り上げていたのでご紹介します。 

 

昨年9月11日、国内最大規模のベンチャー企業のイベントが開催されました。

日本にも優れた技術を持つベンチャーが次々に生まれていますが、かつてのアップルやフェイスブックのように世界を席巻するようなベンチャーはまだ登場していないのが現状です。

日本のベンチャーに必要なものは何なのでしょうか。

 

監査法人やコンサルティングの世界大手、デロイトトーマツグループが昨年9月11日に開催した「イノベーションサミット」、すぐにでも大企業と組めるほどの実力のあるベンチャーが国内外から300社集まりました。

以下はその出典品の一部です。

マッシュルームが出展したのは、スマホで制御するスマート宅配ボックスです。

電子的に全て管理されているので、いつどこで誰が開けたかが全部裏側で管理されているので、不正使用がないようになっているといいます。

 

また、エンパスが出展したのは、音声から人の感情を解析する装置です。

AIが人の声からリアルタイムで感情を解析し、喜び、平常、怒り、悲しみという4パターンで表現するというものです。

ドライバーの感情から安全運転を呼びかけたり、電話販売などでお客の感情に合わせて会話をすることで売り上げにつなげるといった使い方が見込まれるといいます。

 

そして、グローバル・モビリティ・サービス株式会社(参照:アイデアよもやま話 No.3917 逆輸入の自動車ローン!)が出展したのは、ローンが滞った人の自動車のエンジンを遠隔操作で止める装置です。

貸し倒れの減少につながるといいます。

 

このイベントは昨年で8回目、規模は年々拡大し、出展企業は2017年の140社から2018年には300社と倍以上に増えました。

しかし、課題があるといいます。

デロイトトーマツ ベンチャーサポート事業統括本部の斎藤 祐馬部長は次のようにおっしゃっています。

「日本から世界に勝てるベンチャー企業が出てこないことですね。」

 

日本を代表するITベンチャー、メルカリも海外への攻略はこれからです。

海外市場を開拓出来ていない状況が続いています。

そこでデロイトトーマツは海外の企業や投資家と接点が持てるこうしたイベントを積極的に開催しているといいます。

斎藤さんは次のようにおっしゃっています。

「実際に海外の起業家や海外の大企業に会ったり、海外の人たちとフェーストゥフェースで会うことで、人はインスパイアされるものなので・・・」

 

このイベント会場にマレーシア最大の財閥、サンウェイの投資責任者、チュアさんが日本のベンチャーの盛り上がりを聞きつけてわざわざ日本にやって来たといいます。

チュアさんは先ほどのグローバル・モビリティ・サービスの装置に注目し、個別の商談を始めました。

しかし、辛口の指摘もしました。

「地元のニーズを捉えるのが大事。」

「タクシードライバーなどに話を聞くこと、それから地元の金融機関も大事。」

「関係を作らないと成り立たない。」

 

マレーシアの金融機関の担当者を紹介する約束をして、この日は商談を終えました。

グローバル・モビリティ・サービスの中島 徳至社長は次のようにおっしゃっています。

「私たちのネットワークではなし得ないアクセス権をお持ちだったんですね。」

「ですから、そういう部分で言いますと、すごく可能性が広がった。」

 

チュアさんは、日本のベンチャー企業に共通する課題があると指摘します。

「日本のベンチャー企業は英語の交渉力がない。」

「今日もいろいろ回ったが、説明出来ない企業が多かった。」

「世界の企業と組んで、海外の市場に打って出るべきだ。」

「中身は非常に興味深かった。」

 

会場には創業から間もない企業に、個人で投資するエンジェル投資家の姿もありました。

エンジェル投資家の世界最大の団体「KEIRETSUFORUM」のトップ、ランディー・ウィリアムズCEOは、こうした場を活用し、海外企業や投資家と関係をつくることが重要だと話します。

「海外とのコネクションは必要。」

「我々のプラットフォームを使って欲しい。」

「ウォールストリートなど、世界には沢山の投資家がいる。」

「日本のベンチャーは今こそつかみに行く時だ。」

 

デロイトトーマツ ベンチャーサポートの斎藤さんは、日本のベンチャーが世界で勝つためには最初からグローバルな視点を持つことが重要だといいます。

またフィンランドでは、ベンチャー企業を英語で登録しないと認められないような仕組みで、国策としてグローバルなベンチャーを育てるのであれば、そうした取り組みも必要だといいます。

 

番組コメンテーターでレオス・キャピタルワークス社長の藤野 英人さんは次のようにおっしゃっています。

「(ベンチャー企業に出資する際、投資したくなる視点について、)まず一つは熱狂的な、コアなユーザーがいるというところで、ユーザーが会社を育てるというところもあります。」

「それからコミュニケーションが世界標準というところで、これは販売の仕方であったり、実際に英語が出来るというような面で見ると、コミュニケーションが世界標準であることが大事です。」

「何よりも大事なのは、燃える商魂です。」

「やはり売ろうとする力なんですよね。」

「自分の商品、製品やサービスを売ろうとする、それを伝えたいという気持ちがある人が強くて、それがあれば拙い英語でも伝わるので、英語力そのものは大事なんですけども、やはり売ろう、自分たちの考え方を伝えたい気持ちがどれだけあるかということが大切ですね。」

「(実際に投資してリターンに燃える商魂は影響してくるのかという問いに対して、)非常に重要でして、実際に情熱の高い会社の株価が、もしくは業績の高いというのは僕らの中でも実証データがあるんです、当社で調べたものですけども。」

 

一方、番組の解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「(日本で世界ベンチャーを育てるために何が必要かについて、)あえて“放置”と書いたんですけど、一言で言えば“足の引っ張り合い”はもうしないと。」

「よく元気な企業がベンチャー企業で出てくると、大企業が同じ商品を出して、過当競争に持っていくということが日本で起きがちなんですね。」

「一つ、京都の企業の事例を取り上げたいんですね。」

「京都からは京セラだとか日本電産だとか、いろんな世界企業が育ってますけど、実はよそ者が多いんですよ。」

「京セラは鹿児島出身ですね、稲森さんは。」

「それからオムロンの立石さんは熊本だったり。」

「よそから来ているんですけども、京都人てよく排他的だというじゃないですか。」

「でもあれは自分のテリトリーを冒される時は排他的になるんですけども、新しいこと、違うことをやっている人たちはけっこう尊重するんです。」

「しかもプライドがあるから、物まねは他の人がしない。」

「だから育っていくんですね。」

「日本全体が今新しいものが出て来た時に寛容性を持って、あまり物まねしないという、そういう文化が出来るといいんじゃないかなと。」

「そうしないとホームマーケットで儲けないと外には打って出れないです。」

「(特に大企業がベンチャーの真似をしないというのは重要なのではという指摘に対して、)と思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきましたが、以下にベンチャー企業が成功する要件をまとめてみました。

・何よりも大事なのは“燃える商魂”であること

・グローバルな視点を持つこと

・熱狂的な、コアなユーザーが存在する市場を狙うこと

・コミュニケーションの世界標準、すなわち英語での交渉力を身につけること

・企業や投資家と接点が持てるイベントに積極的に出席して、事業にプラスになる様々な情報を入手すること

・世界的な投資機関やエンジェル投資家などからの投資を活用すること

・日本全体がベンチャー企業に対して寛容性を持ち、物まねしない文化を作り上げること

 

中でも、藤野さんの指摘されているように、“燃える商魂”を持つことはベンチャー企業の経営者にとって最大の武器になると思います。

そして、“燃える商魂”の源は熱狂的な、コアなユーザーが存在する市場を狙うことだと思います。

いずれにしても、これからの経営者にはグローバルな視点を持つことが欠かせません。


 
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2019年01月07日
アイデアよもやま話 No.4219 画期的な段ボールのオーダーメード!

段ボールといえば、私たちの暮らしにとってとても便利で身近な存在です。

そうした中、昨年9月11日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で画期的な段ボールのオーダーメードについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

タナックス株式会社が製品化を目指しているのは、商品のサイズに合わせて自動で梱包出来るマシンです。

その仕組みですが、まずは包む荷物の大きさをセンサーで計測、するとサイズに合わせてカットされた段ボールが滑り込み、あっという間に折りたたまれていきます。

最後に郵送用のシールを貼り、完成です。

すぐ配送出来る状態になるのです。

 

こうして荷物はコンベヤー上をスムーズに進むのですが、自動なので有難味が分かりません。

そこで番組では本当に凄いのか、番組レポーターが一つの荷物を包装する間にマシンはいくつ包めるか実験してみました。

組み立てにかかった時間は1分強、その間にマシンは5個も包装していました。

ちなみに、発売時には1箱を約7秒で包むスピードになるそうです。

凄さが分かったところで、肝心の包み具合を確認すると、梱包材を入れなくてもピッタリと荷物が段ボールに収まっています。

商品のサイズがピッタリなので緩衝材が不要なので、その分段ボールのサイズも小さく出来ます。

タナックスの遠藤 貴之さんは次のようにおっしゃっています。

「様々なサイズにこの機械1台で対応出来ますので、人手不足には貢献出来ると思います。」

 

なお、このマシンの商品名はタナックス「TXP−600」で価格は1億円程度といい、今年発売の予定です。

 

緩衝材が不要なので、段ボールのサイズが一回り小さくなり、その分一回で沢山運べるようになって、輸送費の削減にもつながるということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそも商品のサイズに合わせて自動で梱包出来、しかも郵送用のシールまで貼れるマシンが1億円程度の価格とはいえ、今年発売の予定であることに日本企業の技術力の高さを再認識させられました。

 

このマシン、「TXP−600」のメリットをまとめると以下の通りです。

・商品の梱包から郵送用のシール貼りまで自動で処理出来る

・商品のサイズがピッタリなので緩衝材が不要で、段ボールのサイズが一回り小さくなり、その分一回で沢山運べるようになって、輸送費の削減にもつながる

・様々なサイズにこの機械1台で24時間対応出来るので、人手不足に貢献出来る

 

今や、ネット通販の拡大などで物流関係の人手不足が大きな問題になっています。

そうした中、今回ご紹介したマシンは商品の梱包〜郵送準備までのプロセスを自動化出来、しかも24時間対応出来るのですから、人手不足に大いに貢献出来ると思います。

ですから、価格次第で世界中の物流関連企業から引き合いがあると期待出来ます。

 

こうしたマシンに更に物流センターでのロボットや配送用の自動運転車が加わると、近い将来、商品の注文から購入者の元に商品を届けるまでの全てのプロセスが自動化されるのではないかと想像が膨らんでしまいます。


 
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2019年01月06日
No.4218 ちょっと一休み その680 『大晦日の明け方に遭遇したUFO!?』

毎年、毎週末のほとんど、そして年末年始は千葉県外房の実家で過ごしています。

そして、その際によく行く日蓮宗派の清澄寺は年が明けると大勢の初詣で客でにぎわうので、いつものように大晦日の夜明けの時間帯に合わせてお参りに行きました。

ちなみに、実家から清澄寺まではクルマで30分足らずの距離です。

今回は、平成の大晦日最後の日の出を拝もうと、いつもとは順番を変えて本堂でお参りする前にまず見晴らしのいい日蓮上人の銅像のある高台まで30段くらいの階段を駆け上って行きました。

着いた時にはまだ朝日は見えず、水平線近くの雲の帯のすき間からうっすらと茜色の光が垣間見えました。

誰もいない静けさの中、0℃近くの寒さのため冷たい指先をこすりながら日の出を待っていると、朝日に反射して光り輝いているソーセージを横にしたような小さな雲のようなものが空中に見えました。

同時に飛行機がその近くを右から左に向かって飛んで行くのが見えました。

飛行機はどんどん視界の端に向かって飛んで行く一方で、雲のようなものもゆっくりと同じ方向に移動していました。

そのスピードは飛行機に比べてとてもスローでした。

そしてしばらくすると、その物体の左側に少し間をおいて丸いかたちをした小さなものが現れました。

その後、ちょっと目をそらしている間に2つの物体は消えてしまいました。

そしてどこに行ったんだろうと探していると、また2つの物体は1つに合体したかたちになって見えました。

ちなみに、同じ時間帯に飛んでいた飛行機と比べて、大きさはその5倍〜10倍くらいに見えました。

また、具体的色については、星のように光り輝いていたので分かりませんでした。

このあたりから、今自分が見ているのはUFOでなかいかという確信が芽生えてきました。

更にしばらくすると、この物体の後方に先ほどと同様の丸いかたちをした小さな3つの物体が水平線と並行したかたちで少し間をあけて現れました。

そしてこれらの物体はどんどん遠くに離れて行き、やがて見えなくなってしまいました。

 

この一連の光景は午前6時30分頃から20分間くらいの間の出来事でした。

ちなみに、この間、たまたま私と同じように日の出を見に来た60代前後の男性がやって来て、私が「あそこに見えるのはUFOではないですか」と話しかけ、その男性もうなずいていたので夢物語ではありません。

 

これまで、テレビ番組の特集でUFOに関する動画などを見ても、本当にUFOは存在するのかについては半信半疑でした。

しかし、今回の目撃により、UFOは存在するという確信に変わりました。

また、この出来事が大晦日の明け方というのも何かを暗示しているのではないかという思いもしてきました。

今年の年末もまた帰省する際に、同じような時間帯に清澄寺に行き、同じような現象を見ることが出来るか試してみたいと思っています。

 

ちなみに、清澄寺からの帰り道、久しぶりに10匹近くの子猿が道路を横断しているところを見かけました。

これらの猿はクルマを見かけても逃げる気配はなく、こちらをじっと見つめていました。

最近、私の実家近辺では、猿や猪、キョンなどの動物をよく見かけるようになったという話を地元の方々から聞くようになりました。

また、実家との往復で山中を走っているとたまにクルマにひかれた動物の死骸を見かけるようになりました。


(追記)
1月3日に帰宅して、たまたま録画しておいた昨年12月22日(土)放送のテレビ番組、「ビートたけしの超常現象Xファイル」(テレビ朝日)を見ていたら、驚きました。
千葉県市川市の住宅街ではUFOの出現が多発しているというのです。
昨年4月28日午後4時頃、携帯電話で撮影された動画には私が見たのと同じ白く発光する大量のUFOがゆっくり移動している光景がありました。
この謎の光が目撃されたのは今回だけでなく、2013年4月7日午後6時頃に千葉県市川市の市川駅周辺にも出現していたというのです。
デジカメで撮影された映像には同じような複数の飛行物体が雲の中から出現している様子が映し出されていました。
全体のかたちや間隔を変えずに飛行、何者かが制御している可能性が考えられるといいます。


ということで、この番組を見て増々UFOの存在を身近なものと感じるようになりました。


 
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2019年01月05日
プロジェクト管理と日常生活 No.574 『リーマンショックから10年 その1 アメリカ経済に教訓は生かされているか!?』

リーマンショックについては、プロジェクト管理と日常生活 No.361 『あらためて感じるリーマンショックの罪深さ』プロジェクト管理と日常生活 No.552 『金融危機は10年周期!?』でお伝えしてきました。

そのリーマンショックから既に10年を経過しましたが、その教訓は生かされているかについて2回にわたってご紹介します。

1回目は、昨年9月13日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通して、アメリカ経済についてです。

 

2008年9月15日、アメリカを代表する投資銀行、リーマン・ブラザーズが経営破たん、株価は急落、金融システムはマヒ状態に陥り、世界経済を奈落の底に突き落としました。

あれから10年、成長を続けるアメリカ経済に死角はないのか、リーマンショックの危機対応にあたったティモシー・ガイトナー元財務長官は次のようにおっしゃっています。

「ものすごい危機が起きるかもしれない。」

「そのリスクは消し去られていない。」

 

リーマンショックから10年、変調の兆しはないのでしょうか。

ニューヨーク株式市場、株価は堅調です。

ダウ平均株価は昨年1月に記録した最高値に迫る勢いです。(番組放送時点)

不動産市場も活性化しています。

マンハッタン南西部の一画、ニューヨークで最大の再開発が進んでいます。

商業施設やオフィスビルなど13のビルを建設するハドソンイヤード・プロジェクト、地上51階建てのビルは昨年10月完成予定、企業からの引き合いが強く、家賃は2016年に完成した同じ区画内のビルと比べ3割も上昇したといいます。

トランプ減税もあって、消費も順調です。

消費者の購買意欲を示す指標は17年10ヵ月ぶりという高い水準です。

装飾品や高級ブランドなども軒並み業績は好調です。

住宅市場も好調です。

 

しかし現地で取材すると、“危うさ”も見えてきました。

アトランタ郊外に住むリー・ヒックスさん(53歳)は2017年に念願のマイホームを購入しました。

プール付きの100坪を超える豪邸、価格は1億4000万円ほどでした。

オフィス家具メーカーに勤務していたヒックスさんは、リーマンショックによって解雇され、当時住んでいた住宅を差し押さえられてしまいました。

その履歴が残ったため、リーマンショック後に厳しい融資基準が課せられた銀行からは借りられませんでした。

代わって住宅ローンを提供したのは、銀行の免許を持たないノンバンク、購入価格の8割、1億円を超える融資を受けました。

ヒックスさんに融資したノンバンクは、リーマンショック後に創業、急激に融資を増やしています。

銀行への規制が続く一方で、住宅ローン全体に占めるノンバンクの割合は今や50%近くに達しています。

ノンバンク、エンジェルオークのシュレーニ・プラブCEOは次のようにおっしゃっています。

「我々は“金融危機の申し子”だ。」

「危機後の規制のお蔭で成長出来た。」

「これからも住宅ローンを提供出来るよ。」

 

ノンバンクを含む金融機関に対する当局の監督は危機前より強化されると言われています。

そこにワシントンにあるシンクタンクが次のような疑問を投げかけました。

ノンバンクは銀行に比べて借り手の信用度が低いうえに、情報が十分に開示されておらず、どれほどリスクがあるのか不透明だというのです。

 

更に今、ウォール街で大丈夫かとささやかれているのが社債を巡る問題です。

社債というのは、会社が発行する債券です。

リーマンショックから立ち直るために今、金融緩和と低金利が続いていたということで、本来は業績が良くないのに良い会社のように立ち振る舞って、金利が安い有利な条件で債権を発行している会社もあるんじゃないか、それは時限爆弾のようなものになるんじゃないかという懸念がささやかれているのです。

この状態をある専門家は“茹でガエル”と表現しています。

“茹でガエル”とは、カエルにとって気持ちのいい水温で泳いでいたら、だんだん温度が上がっていって、気が付かないうちに熱湯になっていたということの例えです。

 

今、あらためて金融危機から何を学ぶべきか、当時のニューヨーク連銀の総裁で、後の財務長官も務めたティモシー・ガイトナーさんは、2008年、リーマン・ブラザーズが破たんする直前までFRB(連邦準備制度理事会)を代表する立場で他の金融機関による買収交渉をまとめようと奔走していました。

当時、多くの金融機関を破たんの瀬戸際から救ったのは、FRBが持っていた緊急にお金を貸す仕組みでした。

しかし、その後の法律改正によって手続きが必要になり、迅速に対応することが困難になったのです。

言わば消火器がじょうろになったようなものです。

当時について、ガイトナーさんは次のようにおっしゃっています。

「FRBは議会の承認を得なければ動けない。」

「急な危機に対応が遅れるリスクがある。」

「金融システムは元来危険で壊れやすいものだ。」

「破たんのリスクから人々を守るために、強力な保護策が必要だ。」

「危機の記憶は永遠には残らない。」

「忘却は敵なのだ。」

 

番組では、リーマンショックから10年経った今の状況に対して、「そう言えばそんなことがあったな」ぐらいの昔話が大方の人たちの見方だといいます。

過去の苦い経験を生かして、どこにリスクの芽があるのかということを油断せずに見ていいくことが必要ではいかというのが取材をして感じたことだといいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず、番組を通して分かった、アメリカのリーマンショック再来リスクの芽になりそうな事象を以下にまとめてみました。

・銀行への規制が続く一方で、住宅ローン全体に占めるノンバンクの割合は今や50%近くに達していること

・ノンバンクは銀行に比べて借り手の信用度が低いうえに、情報が十分に開示されておらず、どれほどリスクがあるのか不透明であること

・リーマンショックの際に、多くの金融機関を破たんの瀬戸際から救ったFRBが持っていた緊急にお金を貸す仕組みがその後の法律改正によって手続きが必要になり、迅速に対応することが困難になっていること

 

こうしたことから分かるのは、リーマンショックから得られた教訓が生かされていないということです。

信用度の低い借り手への住宅ローン全体に占めるノンバンクの割合が50%近くに達しており、しかもどれほどリスクがあるのか不透明であるという状況は、まさにいつ爆発するか分からない時限爆弾を抱えているのと同じ状況です。

しかも、リーマンショック級の経済危機の再来時に、リーマンショックの際のコンティンジェンシープラン、すなわちFRBが持っていた緊急にお金を貸す仕組みが迅速に対応出来なくなっているということは、リーマンショック時以上の経済の混乱をもたらします。

 

ここでとても重要なことは、リーマンショックはアメリカのみならず世界経済に大きな影響をもたらしました。

そして、その影響は長く続き、今現在も世界的にその尾を引いています。

ところが、トランプ大統領のアメリカファースト、経済優先、そしてポピュリズムの考え方、そこには世界をリードすべき大国の指導者にこそ必要な”本来あるべき社会”を目指すという理念が欠けています。

更に有能な側近と言えどもその意見を真摯に聞かず、自分の意に沿わない閣僚は次々に退任させています。

まさに”裸の王様”状態です。

しかも、米中間での関税引き上げなどによる経済摩擦は、次なる世界経済の危機の火種として世界各国により危惧されています。

更に経済に止まらない米中間の覇権争いは第三次世界大戦勃発の大きな火種となる可能性を秘めています。

ですから、トランプ大統領の存在そのものが現在最も大きな世界経済、あるいは世界平和のリスクと言えます。

ですから、このリスク対応策としてはトランプ大統領にご自身の持つべき責任感を強く認識していただくか、他の方に大統領を代わっていただくかということになります。


 
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2019年01月04日
アイデアよもやま話 No.4217 年商9億円の街の電気屋さん!

街の電気屋さんといえば、家電量販店やネット通販などに押されながら、細々と地域密着型のきめ細かいサービスで商売を続けているというイメージがあります。

そうした中、昨年10月23日(火)放送の「あさチャン」(TBSテレビ)で年商9億円の街の電気屋さんについて取り上げていたのでご紹介します。

 

東京の町田市に大手家電量販店が11店舗もあるこの家電激戦区に年商9億円の街の電気屋さんがあります。

それは「お役に立ちます でんかのヤマグチ あなたの街の電気屋さん」の看板のある株式会社ヤマグチの展開する販売店です。

店内の商品の価格をチェックしてみると、例えば55型4K有機ELテレビの場合、大手家電量販店の平均価格は約36万5000円ですが、54万8000円と割高です。(昨年10月17日時点)

社長の山口 勉さんは次のようにおっしゃっています。

「(店内にお客さんの姿はあまり見かけませんが、)何とか22年間黒字できております。」

「(年商は)やっと9億5000万〜6000万円。」

「やはり我々街の電気屋ですから、そんな量販店のようには安く出来ないんですよね。」

 

安いことで年商9億円を稼ぎ出しているわけではなさそうです。

そこで買い物客の声を聴いてみると、次のような声が続きました。

「多少お金を払ってもサービスが良い。」

 

ではでんかのヤマグチにはどんなサービスがあるのでしょうか。

でんかのヤマグチには総勢40人の従業員がいます。

例えば、10年以上の常連客の女性、中溝さん(85歳)はいつも配達をお願いしているといいます。

中溝さんは次のようにおっしゃっています。

「今日、ふと思い付いてお電話したら、今日のうちに来て下さるじゃない。」

「本当にありがたいですよ。」

 

でんかのヤマグチでは「即日配達」をするのは当たり前、更にFAXなどの操作方法を懇切丁寧に分かり易く説明してくれます。

 

お客さんを満足させるサービス、実はここからが凄いのです。

午後5時、ある団地に入っていく従業員、すると1分後あっという間に出てきました。

その手には家庭ごみがあります。

お客様の代わりにゴミ箱に持って行くというのです。

これをでんかのヤマグチでは“裏サービス”と呼んでいます。

これこそが年商9億円を稼ぎ出すでんかのヤマグチの真骨頂なのです。

このサービスを受けている足の不自由な高齢の女性は次のようにおっしゃっています。

「自分で歩けないですから、これは歩行器ですからね。」

「だから本当にありがたいです。」

「本当、“神様、ヤマグチ様”です。」

 

従業員の名刺の裏には、次のような文言があります。

ヤマグチの裏サービス

 久しぶりに孫の顔を見に行くのが、留守になるのが心配!!

 家に一晩泊まってもらえないかな

 留守中の花の水やりたのみたい!!

少しタンスを動かしたい

ちょっと買い物してもらえないかな?

お店に行きたいけど・・・

 送迎します

 

このようにこれまで実際に応えて来たサービスが書かれています。

電化製品とは全く関係のないサービスがずらりと並んでいます。

 

今年襲来した台風24号の後、小屋が倒壊したお客さんのお宅では、なんと営業担当の加藤寛志さんが小屋を修理していました。

加藤さんは次のようにおっしゃっています。

「普段から家電以外でもお付き合い出来るように心掛けています。」

「そうすることによって商売につながると思っていますから。」

 

一方、テレビが映らなくなったお宅では、故障のため買い替えることになりました。

すると15分後には新しいテレビが届き、設置も手早く完了しました。

でんかのヤマグチならではの“血の通ったサービス”があったからこそ、迷うことなく即購入、人々から信頼を得ることで年商9億円を稼ぎ出していたのです。

山口社長は次のようにおっしゃっています。

「電気製品の修理に行くだけじゃなくて、地域のお客様にあそこの電気屋があって、あんな面白いことやっているよ、ちょっとぶらっと来てもらいたい。」

「それでにぎやかしてもらったら一番いいですよね。」

 

ということで、年商9億円を稼ぎ出すサービスは以下の2つです。

1.懇切丁寧な説明

2.お客様のためなら何でもやる“裏サービス”

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して分かった、でんかのヤマグチの商売の戦略、あるいはお客様に対する接し方でリッツ・カールトンホテルのサービス(参照:No.468 ルールの少ないのが成熟した社会!)を思い出しました。

両者に共通しているのは、本来の業務を超えたお客様に対する徹底したサービスです。

 

さて、商品を購入するお客様には大きく以下の2つのタイプがあると思います。

1.価格重視:他のサービスは度外視して少しでも安い商品を求める

2.サービス重視:多少価格が高くても、その販売会社、あるいは販売員の信頼性の高さやアフターサービスなど総合的な評価で購入先を決める

 

そして、一人のお客様の購入判断の決め手は、購入する商品によってこの2つのタイプのどちらになるかが変わり得るのです。

そして後者のサービス重視のタイプの場合、販売会社のコストがかかるので、当然その分販売価格も高くなります。

ですからお客様は販売価格の高い分以上に販売会社によって提供されるサービスにメリットを感じるかどうかが2つのタイプの販売会社の選択の分かれ目になるのです。

 

ということで、今回ご紹介した年商9億円の街の電気屋さん、でんかのヤマグチの年商9億円の秘密は、その対象となるお客様が何を求めているのか、あるいはどんなことに困っているのかを的確に把握し、競合する家電量販店と差別化した徹底したサービス重視の戦略にあると言えるのです。

そして、このサービス重視はお客様との間に強い信頼感、絆が生まれるので容易に離れることのない固定客となるのです。

更に、ここには隠れたメリットがあります。

それは、サービスを通したお客様との深い信頼関係から、でんかのヤマグチの従業員に与えられた仕事への“やりがい”を感じることです。

このことが、更なるサービス、あるいは生産性の向上につながるという好循環を生むのです。


 
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2019年01月03日
アイデアよもやま話 No.4216 ”近所の人”がスーパーの買い物代行!

昨年9月11日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”近所の人”がスーパーの買い物代行するサービスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

生鮮食品を注文当日に自宅に届けてくれるネットスーパーは、最近ではかなり身近な存在になってきましたが、今人手不足などの影響で当日配達分の枠がすぐに埋まってしまい、利用が制限されてしまうという課題があります。

傷みやすい生鮮食品をその日のうちにどう届けるのか、様々なサービスが始まっています。

 

大都市圏で約260店を展開するスーパーマーケット、ライフでは7年前にネットスーパーのサービスを開始しました。

しかし利用者が徐々に増えている裏で、配送の人手不足が問題になっているといいます。

ライフコーポレーションの金原 政史さんは次のようにおっしゃっています。

「都市部ではネットで注文するニーズが非常に高くて、スーパー側では場所、人の確保が中々難しくなってきている。」

 

そこでライフは昨年9月、買い物代行サービス「ツイディ」を展開する企業と提携しました。

買い物をして欲しい人と買い物に行ける人をマッチングするサービスです。

パソコンやスマホで商品を注文すると、時間が空いている近所の人が代わりに買い物してくれます。

当初は新聞販売店のデリバリースタッフが配送を担当、新聞配達の空き時間を活用し、指定の時間に商品を届けます。

都内で働きながら子育てをしている、ある女性は次のようにおっしゃっています。

「買い物の時間は普段は非常に難しいので、結局土日とかになってしまうので、生鮮食品なんかはその日にあると新しいものが食べられるっていうのはいいですね。」

 

「ツイディ」は今後配送するスタッフを一般の人にも広げていきたい考えです。

「ツイディ」を運営するダブルフロンティアの八木橋 裕社長は次のようにおっしゃっています。

「地元で遠くから買うのではなく、スーパーには毎日商品が来ているので、そこで買いましょうと。」

「ドライバー不足を解決する策の一つになっていると思っています。」

 

一方、自分たちで配達手段を確保するのが難しい町の商店にもネットスーパー参入の機会を提供する動きがあります。

レシピ投稿サイトを運営するクックパッドが昨年8月下旬から始めたネットスーパー、クックパッドマートです。

利用者が使うのはスマホのアプリ、配達地域ごとに決められた店で注文することが出来、クックパッドに掲載されたレシピに必要な食材を買うことも出来ます。

クックパッドから委託された配送業者が各店舗を回って商品を集めます。

店には配送の負担がなく、売り上げに応じた手数料を払うだけです。

このサービスを使用している精肉柳屋(東京都世田谷区)の柳 晃正代表は次のようにおっしゃっています。

「うちのやり易いようなかたちで、うちのベースを変えずにやっていただけているので、うちとしてはすごくやり易いです。」

 

利用者の家に届けるのではなく、酒の専門店やドラッグストアなどの一画にクックパッドが専用の棚を設置し、そこへ商品を届ける“置き配”にしました。

集荷や配達のルートを絞ることで配送コストを縮小しました。

このため利用者は送料無料で商品1つから購入出来ます。

 

まずは東京の目黒、渋谷、世田谷の3区の一部でスタートし、今年(2019年)以降には都内の他の区や神奈川県への拡大をクックパッドマートは目指します。

クックパッド 買物事業部の福崎 康平部長は次のようにおっしゃっています。

「スーパーに行っているユーザー体験と同じような体験で、日常的に使えるようなサービスを目指しているので、1日数千円くらいの食材が売れるのであれば、気軽に販売店として参加出来るのですごく参入し易いんじゃないかなとは考えています。」

 

番組コメンテーターでレオス・キャピタルワークス社長の藤野 英人さんは次のようにおっしゃっています。

「(生鮮食品の宅配は物流の中でも特に難しいと言われているということについて、)まず“ビシャビシャ物流”と言われているぐらいですね。」

「元々水気が多いわけですから、生鮮品は非常に扱いが難しい。」

「普通の段ボールでは扱えません。」

「それから温度管理が必要だとクール便だったりということで配送品質が求められるんですね。」

「配送品質が求められるということはコストがかかるということなので、そういう面でみればコスト高になり易いというような構造を持っています。」

 

そうした難しい生鮮宅配を制するにはどうすればよいのか、藤野さんの出した解は、「真面目にやり抜いた企業が勝つ」です。

 

「結局、今言ったビシャビシャな物流をきちんとパッケージし、梱包するということであったり、専用の設備が必要であるということがあるので、そういうことを一つひとつやっていかなければいけない。」

「だから何か魔法の解決策があるわけではなくて、きちんとやり抜くしかないなと思いますね。」

「(あとは付加価値をいかに高めるかもポイントではないかという指摘に対して、)そうでうね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して分かったことは、地域によって買い物する人の要望が異なり、従って求められるサービスも異なって来るということです。

過疎地と言われる地域には、自宅から歩いて行ける範囲内にスーパーやコンビニはありません。

ですから、高齢者など自分で買い物に出かけられない人にとって、多少の手数料を払ってでも”近所の人”に買い物代行をお願い出来る「ツイディ」のようなサービスはとても便利です。

しかし、都市部ではスーパーまでは歩いていくにはちょっと遠いですが、コンビニであれば歩いて行けるというところが少なくありません。

こうしたところに住んでいる人にとっては、手数料のかからないクックパッドマートのようなサービスがとても便利です。

しかも多少なりとも歩く機会になるので健康上のメリットもあります。

 

さて、買い物のパターンにはこの他にも従来通り、自分で買い物に行くパターンやクルマに商品を積んで自宅近くまで売りに来る業者から買うというパターンもあります。

前者の場合、自分で一つひとつの商品の品定めが出来るし、いろいろな商品を目にして買い物を楽しむことが出来ますし、そこで普段会話をする機会のない人との出会いもあるかもしれません。

また、後者の場合も選べる商品の種類は少ないながらも前者と同様のメリットがあります。(参照:アイデアよもやま話 No.2842 買い物の楽しさを届ける”おばあちゃんのコンシェルジュ”

 

このように買い物には、本来の買い物の機能以外に気分転換や健康促進といったメリットもあるのです。

ですから、買い物をする立場の人のその時々の気分や状況によって、買い物のパターンを選べる環境が整っていることが個々人の心身の“豊かさ”につながると思います。

ですから、将来自動運転車が実用化され、更に日常生活全般を支援してくれるマイロボットの登場によって、私たちの暮らしは少なくとも物理的には未知の領域とも言える“豊かさ”を手に入れることが出来ると期待出来ます。


 
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2019年01月02日
アイデアよもやま話 No.4215 自動運転時代に必須の事故直前の動きを記録するEDR!

昨年9月10日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で事故直前の動きを記録するEDRについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

煽り運転による死亡事故をきっかけにドライブレコーダーの市場は急成長しています。

ただ、なぜ事故が起こったのか、その真相を究明するには映像だけでは十分ではありません。

そこで今注目されているのが既にクルマに搭載されている装置から事故直前のクルマの状態を記録したデータを抜き出して解析するという取り組みです。

 

埼玉県行田市にある自動車修理工場、ダイエー自動車販売に修理のため持ち込まれた事故車、そこにやって来て損傷した部分の写真を撮ったり、タイヤの空気圧を測ったり、クルマの状態を詳しく調べているのは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の二人の事故調査員です。

この調査員の一人、中屋敷 剛史さんは次のようにおっしゃっています。

「事故の状況と損傷の状態を比較しているというかたちになります。」

「確認をすることによって迅速に保険金の支払いにつなげていると。」

 

損害保険会社は交通事故の保険金を支払う前に、このように部品単位で被害の状況を調べ、保険金の金額を算出します。

ただ、こうした調査はあくまでクルマの損傷から事故の状況を推察するものです。

そこで、事故が発生した原因についてより詳しく把握するために新たに取り入れたのがCDR(Crash Data Retrieval)です。

中屋敷さんは次のようにおっしゃっています。

「この機械をクルマに接続してEDR(Event Data Recorder)というデータを読み出す。」

「これは飛行機でいうところのフライトレコーダーのような事故記録装置。」

 

車両の中央に搭載されている部品はエアバッグの展開を制御するものです。

EDR(記録装置)この部品に内蔵されています。

衝突などで強い衝撃が加わった瞬間から5秒前までのクルマの状態を記録します。

記録されたデータは専用の装置で読み出します。

日本では、法律によるEDRの装着義務はありませんが、既に多くのクルマに搭載されています。

 

では読み出したデータからどのようなことが分かるのでしょうか。

あいおいニッセイ同和損害調査株式会社(東京都新宿区)で、中屋敷さんは次のようにおっしゃっています。

「こちらがプリクラッシュデータということで、衝突前のクルマの挙動を示しているものになります。」

「ゼロのところが衝突した時間になりますけど、そこから遡ること4.2秒後から1秒間隔で記録されています。」

 

今回事故を起こしたクルマのEDRには、車速は勿論、ブレーキやアクセルの操作やエンジン回転数など、事故を起こす前の運転状況が1秒間隔で記録されていました。

こうしたEDRのデータは事故の真相究明に役立ち始めています。

 

様々な調査を手掛けている交通事故総合分析センターの東京交通調査事務所(東京都千代田区)でもEDRのデータを解析、CGを使ってリアルな事故の状況を再現することで原因を科学的に検証しています。

こちらの伊藤 達也さんは次のようにおっしゃっています。

「これまで分からなかったことが全てEDR情報で分かりますので、事故前の運転車の挙動とかが全て把握出来ますので、かなり精度が高くなってきていると思います。」

 

警察庁でもEDRのデータを交通事故の捜査に活用しています。

2016年に起きた乗用車の暴走事故では、アクセルとブレーキの踏み間違いを解明するなど、これまでに約180件の実績があります。(2017年末まで)

 

では冒頭に登場した埼玉の修理工場の事故車をEDRのデータで解析すると、事故発生の4.2秒前、衝突地点の手前およそ37mをアクセルを踏んで走行、1秒後にはアクセルから足を離しました。

衝突地点からは約28m手前です。

アクセルを離したまま車は進み、衝突の0.2秒前ブレーキを踏みましたが、ほとんど減速せず、時速約30キロの速度で相手の車両に衝突していたことが分かりました。

 

あいおいニッセイ同和損害保では、現在EDRのデータを解析出来るEDRアナリスト15人が事故の調査に当たっています。

いち早くEDRに注目したのは、将来の自動運転化に対応するためです。

社長の金杉 恭三さんは次のようにおっしゃっています。

「従来ですと、ぶつかった時にご本人なり相手に確認をするみたいなことは出来たんですけど、自動運転になりますと、確認は人間には出来ないわけなんで、自動化に伴って事故原因を客観的につかんでいくということの必要性が高まるというふうに思っています。」

 

将来の自動運転化を見越して、政府も2020年までにEDRのような走行記録装置の義務化を検討しています。

 

EDRデータの読み取り装置を提供しているのが大手部品メーカーのボッシュ(BOSCH)(東京都渋谷区)です。

ある日、この装置を使い、損害保険会社の調査員などに向けてEDRのデータを読み取る

研修をしていました。

ボッシュはこうした講習会を実施し、精度の高い分析が出来る専門家を育成しています。

部品メーカーとして自動運転の実現に向け、最先端の安全システムを提案していくためにも、EDRのデータは有効だといいます。

ボッシュの里 廉太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「精度の高いデータが取れると活用する範囲が広がると思いますので、データを今後の安全のための糧に出来るような仕組みを作るというのが私どもの役目だと思います。」

「特に自動運転にかけての記録データはとても重要だと考えているので、今頑張ってそこら辺を伸ばそうとしております。」

 

さてEDRのデータを読み取れるクルマは今は限られているといいますが、今後自動運転車が普及する際に、事故が起こった時の責任の所在を明らかにするためにもこのデータの開示が重要になっているということです。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

冒頭でお伝えしたように、ドライブレコーダーの市場は急成長しています。

しかし、事故の原因をより正確に特定するためにはドライブレコーダーのデータだけでは不十分で、EDRのデータがとても重要であることが番組を通して分かりました。

EDRのデータを活用すれば、事故の原因の追究は格段に精度が上がるのです。

ですから、なぜ日本では事故分析に効果を発揮するEDRのクルマへの装着義務が今までなされなかったのか、とても疑問に思います。

救いなのは、遅ればせながら将来の自動運転化を見越して、政府も2020年までにEDRのような走行記録装置の義務化を検討していることです。

すぐそばまで来ている自動運転車時代には、EDRのクルマへの搭載は不可欠なのです。

 

さて、EDRも今話題になっているIoT(モノのインターネット化)の一環と言えます。

IoTによる様々なモノのデータの“見える化”により、これまで把握してこなかったデータが容易に入手出来るようになり、そのデータを活用することにより新たなビジネスにつなげることが大いに期待出来るのです。


 
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2019年01月01日
アイデアよもやま話 No.4214 ANA 空から宇宙へ!

新年明けましておめでとうございます。

今年も引き続き、様々なアイデアに関する内容をこのブログで発信していきたいと思っております。

その内容が少しでも皆様にとって何かの参考になれば幸いです。

ということで、本年もよろしくお願いいたします。

 

昨年9月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でANAによる宇宙産業への取り組みについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

宇宙関連ビジネスの市場規模は将来的に100兆円になるとも言われています。

こうした中、全日空(ANA)と宇宙航空開発機構(JAXA)は昨年9月6日に宇宙空間で作業する遠隔操作ロボット「アバター」の開発プロジェクト「アバターXプログラム」を立ち上げました。

ANAホールディングスの片野坂 真哉社長は次のようにおっしゃっています。

「宇宙空間におけるエンターテインメント、こういった宇宙関連ビジネスに向けて始動して参りたいと思っております。」

 

立ち上げの会場では最新技術がお披露目されました。

ヘッドセットにロボットの指先が映し出されるのですが、最大の特徴は操縦する人がロボットの手の感覚を感じられるということです。

この最新機は触った感覚が分かるので、早く操作に慣れることが出来る他、繊細な遠隔操作も可能になるといいます。

 

既にこのプロジェクトには大手ゼネコンや通信キャリアなども参加を表明しています。

大規模な実証実験のため、今年4月に大分県に月面を再現した実験施設の建設を開始、2020年代までに宇宙空間での実験を開始する計画です。

 

しかし、ANAはなぜこのプロジェクトを始めたのでしょうか。

ANAホールディングスの津田 佳明チーフ・ディレクターは次のようにおっしゃっています。

「うまくいけば、次のステップとしては、今度は宇宙にホテルを建てるとか、あるいは月で、あるいは火星移住みたいなところになると、人が(宇宙で)生活するようになるところではいろいろビジネスモデルとしてマネタイズ出来るようになるのかなと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、宇宙はビジネスの新たなフロンティアであるとお伝えしましたが、航空会社のANAも宇宙関連ビジネスに乗り出したわけです。

そして、誰もが一度は宇宙に行ってみたいと思っているのではないでしょうか。

しかし、実際の宇宙旅行となるとかなり高い料金になるはずですから、当面はお金に余裕のある層に限られると思います。

そこで今回ご紹介した遠隔操作ロボット「アバター」ですが、これは自分が実際に宇宙に行かなくても自分の分身としてロボットを遠隔操作することにより月など他の星での散策を楽しめるようになるわけです。

ですから、その分料金も安く済みますからある程度の引き合いが期待出来ます。

 

これ以外にも宇宙関連ビジネスとしていろいろなものがありそうです。

例えば、小型衛星にカメラを搭載して、そのカメラを遠隔操作で自在に移動し、カメラの映像をリアルタイムで自分のパソコンやスマホで見ることが出来たらとても楽しいのではないでしょうか。

あるいは宇宙エレベーターなどは実現したら、私も是非乗って宇宙から地球を眺めてみたいと思っています。

 

ということで、今回はANAによる宇宙関連ビジネスへの取り組みについてご紹介しましたが、他にも多くの企業がいろいろなアイデアを競って取り組んでいくと見込まれます。

ちなみに、アイデアよもやま話 No.4203 小学生が提案する宇宙ビジネスとは・・・でもお伝えしたように、今や小学生の中からも素晴らしいアイデアが飛び出してくるような時代になっているのです。


 
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2018年12月31日
アイデアよもやま話 No.4213 シェアリングエコノミーで人手不足解消!?

9月7日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で人手不足解消に役立つシェアリングサービスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

カーシェアリングや民泊など、モノや場所を多くの人たちと共有するシェアリングエコノミーで新たな動きがあります。

人手不足のある業界でも広がり始めています。

 

9月7日、民間団体のシェアリングエコノミー協会が開いた「シェアサミット2018」には、エアビーアンドビーなど関係企業約200社の他に民泊オーナーやウーバーイーツの配達員などが終結し、規制緩和や業界の展望について議論しました。

更に会場に多数参加していたのは、内閣官房や総務省、経済産業省など日本政府の関係者です。

政府は「シェアリングエコノミーの推進」を成長戦略に盛り込むなど、経済成長の起爆剤として期待を寄せています。

今年、政府が初めて行った試算によると、市場規模は最大5250億円で、今後は様々な産業に広がっていくと強調します。

内閣官房シェアリングエコノミー促進室の高田 祐介企画官は次のようにおっしゃっています。

「人口減少社会において、どれだけ国の成長力を維持していくというのが大事だと思っています。」

「(シェアリングによって多くの産業が)新しいサービスに刷新されていくという可能性もこれから大いにある・・・」

 

今年に入ってシェアリングが広がった意外な業界があります。

建設業には70種以上の職種があり、それぞれに専門の職人がいます。

そうした中、建設現場と職人をつなぐ「助太刀」というアプリがあります。

どういう現場で金額がいくらか、いつ何人が必要かというようなことをマッチングするのです。

経験のある職種や居住地など、簡単な情報を入力するだけで登録出来ます。

建設業では職人と現場の需給ミスマッチが人手不足を加速させています。

時間の空いている職人と人手が足りない建設現場のマッチングをすることでその問題を解消するのがこのアプリなのです。

昨年12月にサ−ビスをスタートし、現在登録者数は1万5000人を超えています。

 

「助太刀」を開発したのは、10年以上建設業に携わってきたという株式会社助太刀の我妻 陽一社長です。

我妻さんは次のようにおっしゃっています。

「仲間も仕事も探す時は知り合いから紹介してもらうだけです。」

「連絡手段は未だに電話連絡なんですね。」

「今、職人さん不足とか人手不足って言っているんですが、今あるリソースを100%生かし切れてないんですね。」

 

300万人の職人がいるという建設業界、今後サービスの内容を強化し、まずは今年度中に5万人の登録を目指します。

番組コメンテーターで日本総研の理事長、高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「シェアリングエコノミーのブレーキを踏んでいるのは役所自身ですよね。」

「やっぱり役所が抜本的に姿勢を変えるべきだと思いますね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

最近シェアリングエコノミー、あるいはシェアリングサービスという言葉をよく耳にするようになりました。

そして、今や政府もシェアリングエコノミーを経済成長の起爆剤として期待を寄せています。

そもそも“シェアリング(sharing)”とはモノやサービス、あるいは場所などを多くの人たちで共有することです。

今回ご紹介した、人手不足と言われる建設業界でのシェアリングエコノミーとは、300万人とも言われる職人さんを建設会社が少しでも共有して人手不足を解消しようというものです。

 

さて、あらためてシェアリングエコノミーの本質について考えてみましたが、それは必要な人、あるいは企業などが必要な時に必要な資源(ヒト、モノ、サービス)を需給バランスによる適正な価格で確保出来る、あるいは資源を提供するシステムということです。

そして、このメリットは一言で言えば、資源の有効活用です。

このシステムは資源を必要とするユーザーと資源の2つの要素から成り立っています。

そして資源の中には人も含まれますが、特に人の場合は収入がなければ暮らしていけませんので、少しでも多くの仕事にありつけることが求められます。

また既に働いている人の中でも副業を求めている人は資源となり得るのです。

 

そしてシェアリングエコノミーについては、これまでもレンタカーや着物のレンタルなど一部の業界ではビジネスとして展開されてきました。

また賃貸マンションやアパートなどもシェアリングエコノミーの範疇に入ると思います。

しかし、今話題になっているシェアリングエコノミー、あるいはシェアリングサービスは以下の点においてこれまでとは異なるのです。

・所有から共用へという、資源の有効活用を意識した新しい価値観

・より広範囲のユーザーと資源(企業だけでなく個人も含む)のマッチング

 

そして、こうしたサービスを可能にしているのがインフラとなるインターネットを活用した様々なアプリの存在です。

このアプリのお蔭で、短期間に低価格で不特定多数のユーザーと資源を結びつけることが出来るようになったのです。

 

ただし、シェアリングエコノミーには資源の側からみての適正な価格が維持出来るか、そしてユーザーの側には安定した品質など課題がいろいろあります。

また人手不足の解消を海外の人材により解決する動きもあります。

しかし、一般国民の立場からすれば、まず国内の人材を最大限に有効活用することが求められます。

ですから、シェアリングエコノミーを単に企業の人手不足解消の解決策として捉えるのではなく、国内のいろいろな立場で働きたい人たちが適正価格で働けるような場としてシェアリングエコノミーを活用出来るようなシステムが求められるのです。

 

なお、こうしたシェアリングエコノミーには他にも大きなメリットがあります。

高齢者にとって適度に働くことは、収入を得られるだけでなく、他の人とのコミュニケーションによる気分転換や生きがいになり、それは健康増進、そして医療費の削減にもつながるからです。


 
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2018年12月30日
No.4212 ちょっと一休み その679 『ゴーン日産自動車前会長騒動から見えてきたこと その3 やはり権力は腐敗する!』

プロジェクト管理と日常生活 No.571 『今回のゴーン日産自動車前会長騒動にみる内部告発制度の重要性!』では内部告発制度の重要性についてお伝えしました。

そうした中、11月25日(日)放送の「報道プライムサンデー」(フジテレビ)でゴーン日産自動車前会長(以下、ゴーン前会長)の素顔について取り上げていました。

そこで番組を通して3回にわたって、私の思うところについてご紹介します。

3回目は、腐敗する権力についてです。

 

前回お伝えしたゴーン日産自動車前会長主導によるブラジルへの投資について、ジャーナリストの井上 久男さんは次のようにおっしゃっています。

「(こうした投資を一人で決められるほど権力が集中していたのかという問いに対して、)事実上形式的に取締役会は開きますけども、実質的に一人で決めると。」

「意見を言うと、ゴーン前会長は「Don’t teach me」って言うんです。」

「「俺に説教するな」って言うんですね。」

 

また経費の私的流用として以下のような指摘があります。

・600屬離泪鵐轡腑鷙愼

・ヨットクラブの会費600万円

・姉・母親の自宅購入

・姉に実体のないアドバイザー報酬(年10万ドル)

 

ちなみに、日産の社員の年間平均給与は818万円といいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

昔から“権力は腐敗する”と言われてきましたが、ゴーン前会長もその例外ではなかったようです。

その背景の一つには経営者の高額報酬というグローバルスタンダードに比べて、日本の経営者の報酬が少なすぎるということがあったと思われますが、それならば1回目でもお伝えしたように正々堂々と法に則った正規の手続きを踏むべきだったのです。

また、経費の私的流用についても同じことが言えます。

 

一方で、経営においても井上さんの指摘されているように、優れた経営手腕による成果と、そこから生まれる慢心が「Don’t teach me」という発言に象徴されています。

また、自分に逆らう役員は次々に排除したり、自分の失敗は部下になすり付けていたという別の報道もなされています。

ですから、結局残った役員は“イエスマン”だけということになってしまったようです。

まさに“ワンマン経営”です。

 

ではこうした“ワンマン経営”にならず、風通しが良く、誰でも忌憚のない意見を言えるような経営環境はどうしたら実現出来るのでしょうか。

大きく3つあると思います。

それはまず、経営トップの心のあり方、そして情報の“見える化”、および1回目でもお伝えした内部告発制度の整備です。

 

ということで、確かにゴーン前会長は経営手腕にはとても優れていたようですが、残念ながら権力の乱用により世界的な経営者としての地位を危うくしているのです。


 
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2018年12月29日
プロジェクト管理と日常生活 No.573 『”完成検査”は時代遅れ!?』

いくつかの自動車メーカーによる完成検査の不正については、プロジェクト管理と日常生活 No.513 『日産自動車の不正な完成検査から見えてくること』などでお伝えして来ました。

そうした中、8月31日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で完成検査の近況について取り上げていたのでご紹介します。

 

クルマの完成検査で不適切な検査が相次いで発覚した問題を受け、国土交通省(国交省)は8月31日に国内自動車メーカー14社の担当役員などを集めて対策会議を開催しました。

会議で国交省側は、「信じ難い深刻な事態だ」として最大限の危機感を持って対応するよう求めました。

メーカー側からは、役員による現場チェックや人為的なミスを防ぐための検査の自動化などが提案されました。

 

こうした完成検査について不適切な事例が相次ぐ背景について、番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「「ルールを守りなさい」っていうのは理解出来るとして、完成検査自体の必要性、あるいは内容の大幅な見直し、これが必要じゃないかなと思います。」

「完成検査は1951年、道路運送車両法という法律ができて、それに基づく通達ベースの制度なんですね。」

「言ってみれば、出荷前にメーカーが代行して車検をするというような制度です。」

「車検を思い出していただければ分かりますけど、それはランプが点くかとか、ブレーキがちゃんと効くかとか、あるいはガラスにヒビが入っていないかとか、割とハードウェアのチェックが中心です。」

「で、日本の自動車メーカーって過去数十年で生産技術も品質管理も相当高度化して、1個一個の工程で完結をする。」

「だから下流に問題になるものを一切流さないというプロセスが出来ています。」

「なので完成検査の段階で問題が発見されるというのは極めて稀なケースだと思います。」

「だとすると、この完成検査自体が無用の長物になっている可能性は高い。」

「(内容を見直すとすればどういう部分かという問いに対して、)ハードウェアのところに今問題があるケースは少ないんですけど、これからリスクが高まるのは本当にソフトウェアです。」

「で、2021年に実際に検査の見直しが入るようです。」

「(自動ブレーキや自動車線維持など、)自動車の制御に関するソフトウェアのバグがないかとか、あるいは(ハッキングされる)セキュリティホールがないかとか、実はこの辺が一番大事なチェック項目にこれからなってくると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

この番組で完成検査は1951年、道路運送車両法の施行に基づく通達ベースの制度であることを知りました。

この通達から既に70年近く経っており、その間に自動車の技術革新は大幅に進歩してきました。

通常、国においても企業においても、技術革新など環境の変化に伴い、適時通達や規定の類は見直されるべきなのです。

ところが、完成検査は2021年に見直しが予定されているといいます。

ですから、常識的に考えて完成検査に関する通達は現状に合わなくなっていると思われます。

こうした状況から梅澤さんは、完成検査自体が無用の長物になっている可能性は高いと指摘されているのです。

ちなみに、私が以前勤務していた外資系のIT企業では定期的に社内標準文書の見直しをしておりました。

このように完成検査に関する通達は現状に合わなくなっていることが度重なる不正検査を生み出しているとも考えられます。

 

一般的に何か問題が発生すれば、問題の原因を明らかにして再発防止策が検討されます。

今問題になっている不正検査では、各メーカーごとに社内という枠内で再発防止策が検討されています。

しかし、そもそも現在国により規定されている検査項目における完成検査が現在の技術レベルに照らして不要ということになれば、そもそも問題視することはなかったということになります。

こうしたことから、完成検査は2021年に見直しが予定されているといいますが、その計画をもう少し前倒しして実施すべきだと思います。

 

なお、こうした国や自治体による規定の良し悪しは企業、のみならず管理する官庁の生産性にも大きく影響を与えます。

ですから、国の進める「働き方改革」の一環として、既存の規定の見直しをすべきだと思います。

同時に、規定の定期的な見直しもすべきなのです。


 
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2018年12月28日
アイデアよもやま話 No.4211 景気後退に配慮する軽減税率だが・・・

現行の8%から10%への増税の時期は2019年10月となり、No.4194 ちょっと一休み その676 『ユーザー目線が欠如している消費増税に伴う軽減税率の指針!』ではユーザー目線が欠如している消費増税に伴う軽減税率の指針についてお伝えしました。

一方、11月22日(木)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)では消費税率の引き上げに伴う景気対策として新たな検討案について取り上げていたのでご紹介します。

 

新たな検討案とはクレジットカードなどのポイント還元です。

安倍総理はポイント還元率を5%とし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの9ヵ月間実施することを検討する考えを示しました。

政府内ではこれまで消費税率の引き上げ幅に合わせて2%分を還元する方向で検討が進められていましたが、これを更に拡大し、増税分以上の還元を検討する意向を表明したことになります。

 

還元率が5%になれば、例えば現金を使わずにクレジットカードなどで1000円の買い物をした場合、税率が10%で100円の消費税がかかる一方で、50円分がポイントとして還元されることになります。

また、5%分の還元が実現した場合、軽減税率の対象となる飲食料品の税率は実質3%となる計算です。

例えば、中小の小売店で飲食料品を1000円分買った場合、現在は税込み価格が1080円、増税後も軽減税率が適用されて据え置かれますが、5%、50円分のポイント還元を受けると実質的な負担は1030円で済む計算です。

 

安倍総理は、マイナンバーカードを活用して買い物に使えるプレミアム付きのポイント販売するよう求める自民党の提言についても“しっかり準備した上で導入していきたい”と述べました。

伊藤忠経済研究所の武田 淳チーフエコノ三ストは次のようにおっしゃっています。

「5%還元ということになりますと、消費増税後の落ち込みをカバーする、これは当然なんですけども、それに加えて消費増税前の駆け込み需要をも後ろにずらすということで、景気の波を平準化出来ると。」

 

一方で、オリンピックの後の景気が不安なところにポイント還元の終了というマイナス要素が加わることになる、オリンピック後の景気を支えるために、また新たな財政支出をする事態になれば、財政健全化が相当遅れることになる、そうしたリスクをはらんでいる政策だと指摘しています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

なお、先ほどのマイナンバーカードを活用して買い物に使えるプレミアム付きのポイント販売については、プレミアム付き商品券として12月7日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で取り上げていたのでもう少し詳しくご紹介します。

 

来年10月の消費税率の引き上げの対策の一つとして販売されるプレミアム付き商品券について、政府は使用出来る期間を再来年3月までの半年間とし、最大で2万5000円分の商品券を2万円で購入出来るようにする方針です。

また利便性を高めるため、額面が1枚500円とする方向です。

なお発行する枚数が多くなり、事務的な負担が増すことから自治体の裁量でより額面が大きい商品券の販売も出来るようにする方向です。

また商品券の利用先は原則として発行元の市区町村に限定する方針ですが、小規模な自治体などにも配慮し、周辺の自治体でも利用出来るように検討することにしています。

なお、対象は低所得者や2歳以下の子どもがいる子育て世帯です。

政府はこうした方針を来週(番組放送時)早々に自治体側に伝え、制度設計を具体化させることにしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かに、毎度のことながら消費増税時には増税前の駆け込み需要による増税後の落ち込みがもたらされます。

ですから、そうした弊害を出来るだけ少なくするために政府が景気の波を平準化させる対策を検討することの必要性は理解出来ます。

しかし伊藤忠経済研究所の武田さんが指摘されているように、オリンピックの後の景気が不安なところにポイント還元の終了というマイナス要素が加わることになり、オリンピック後の景気を支えるために、また新たな財政支出をする事態になれば、財政健全化が相当遅れることになります。

また、消費増税で最も影響を受けるのは低所得者や2子育て世帯で、こうした方々は増税後ずっと増税の負担が続くのです。

一方で政府は少子化対策も進めています。

そして、No.4194 ちょっと一休み その676 『ユーザー目線が欠如している消費増税に伴う軽減税率の指針!』でもお伝えしたように、クレジットカードのポイント還元やプレミアム付きのポイント販売にも運用に伴う新たな作業が発生します。

 

こうした中、12月11日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でNHKの世論調査について伝えていたので以下にご紹介します。

消費税率引き上げ後の消費の冷え込みを抑えるため、中小の小売店などで現金を使わずに買い物をした場合に5%分のポイントを還元する政府の方針について聞いたところ、反対が45%と賛成を大きく上回りました。

 

NHKは12月8日から2日間、18歳以上の1951人に電話(固定・携帯 RDD(Random Digit Dialing))で世論調査を行い、1074人(55%)から回答を得ました。

来年10月に消費税率を予定通り10%に引き上げることについて、賛成29%、反対36%、どちらとも言えない27%という結果でした。

また5%分のポイント還元については、賛成14%、反対45%、どちらとも言えない31%でした。

そして住民税が非課税の世帯などを対象に、購入額よりも多い額の買い物が出来るプレミアム付き商品券の発行については、賛成24%、反対31%、どちらとも言えない37%でした。

 

ちなみに、東京など大都市への税収の偏りを是正するため、政府、自民党は企業が自治体に納める地方法人税の一部を地方に再配分する方向で調整を進めています。

これについて、賛成32%、反対12%、どちらとも言えない43%でした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

NHKの世論調査結果からみると、消費増税について反対の方が多いのは当然ですが、その差は7%とそれほど大きな差はありません。

しかし、5%分のポイント還元について反対が賛成よりも31%多く、プレミアム付き商品券の発行についても反対が7%多いという結果については、国民は消費増税の意図について理解しており、政府の方針について消費増税の意図に反すると考えているのではないかと考えられます。

ですから、国民の総意としては、生活が厳しくなる消費増税には反対だが、増税する以上はやたらと複雑な消費の落ち込み対策などせずに進めて欲しいということだと思います。

特に軽減税率については、現状の政府の方針はとても複雑なので、買い物の現場のあちこちで混乱が起きるのは間違いありません。

 

こうしたことから、私が考える対策は以下の2つです。

1つ目は、今回の消費増税の狙いを国民が十分に納得出来るように安倍総理自らがしっかりと説明することです。

2つ目は消費増税に伴う弊害の対策は低所得者や子育て世帯を対象としてピンポイントで給付金を支給することです。


 
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2018年12月27日
アイデアよもやま話 No.4210 アイデア方程式 ゴム×?=工業用ゴム!

9月6日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)で工業用ゴムについて取り上げていたのでご紹介します。

 

輪ゴム、消しゴム、長靴、タイヤなど、私たちの身の回りに溢れる様々なゴム製品、ゴムがこれほど多彩な要素に使えるようになったのはある一人の男の挑戦があったからでした。

失敗続きだったゴム開発に突然訪れた幸運とはいったい何だったのでしょうか。

 

西洋に南米原産の原料がもたらされ、ゴム製品の開発ブームが巻き起こったのは1800年代初頭でした。

アメリカのある発明家もゴム開発に魅了された一人でした。

当時のゴムは暑さで溶けやすく、寒さでもろくなる欠点を抱えていました。

気温に左右されないゴムを開発しようと、様々な成分を混ぜ実験を繰り返すも、うまくいかず、失敗の連続でした。

 

そんな中、運命の瞬間が訪れました。

硫黄を混ぜたゴムの塊りがストーブに落下しました。

「熱を加えたのにゴムは溶けずに硬くなっている!」

「そうか、硫黄を加えたゴムは熱を加えることで丈夫で弾力のあるものに変わるのか!」

 

取り組みから実に10年以上、気温の変化に強い実用的なゴムはこうして誕生しました。

ストーブの熱という偶然が諦めない男に幸運をもたらしたのです。

 

熱を加えた経緯には諸説あるようですが、ゴムに耐久性を持たせるために、試しに混ぜたものは塩にコショウ、チキンスープにクリームチーズ、果てはインクに下剤まで実に多彩でした。

決して諦めないその姿勢が幸運を呼び込んだと言えるでしょう。

 

ということで、今回のアイデア方程式はゴム×ストーブの熱=工業用ゴムでした。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

確かにゴムは今や私たちの暮らしの中のいたるところで使われています。

そのゴムの開発も取り組みから10年以上かかっていたのです。

しかもそのきっかけは、たまたまストーブに落とした硫黄を加えたゴムだったというのです。

 

私たちはゴムに限らず多くの製品の利用により豊かさを享受しています。

その製品の一つひとつの誕生には様々な経緯があります。

ひょんなことから短期間で誕生する製品もあるでしょうし、ゴムのように10年以上かかってしまう製品もあります。

そして、どの製品の誕生にも共通しているのは、誕生まで決して諦めない“ネバー・ギブアップ”精神です。

ですから、今何らかのアイデアをかたちにしようと取り組んでいる人たちには、今回ご紹介した番組を参考にして、最後まで決して諦めずに取り組んでいただきたいと思います。

取り組み続けていれば、どこかで“アイデアの神様”が“偶然”のきっかけ、あるいは“閃き”というプレゼントをしてくれるはずです。


 
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2018年12月26日
アイデアよもやま話 No.4209 日本人のライフスタイルに合った次世代型ハウス!?

9月5日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で新たなマイホームの選択肢、次世代型ハウスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

次世代型ハウスとして注目されているのが動かせる家、「ムービングハウス」です。

キャンピングカーでもなく、トレーラーハウスでもなく、新しい家として注文が急増しているといいます。

ちなみにハリウッドスターのウィル・スミス愛用の超豪華トレーラーハウスは、映画撮影中のホテルとして、更に別荘として海外のセレブたちに大人気となっている移動出来る家です。

 

その進化形、次世代型ハウス「スマートモデューロ」(こちらを参照)が遂に日本に上陸しました。

世界中にどこでも移動可能な、ハイクラスなムービングハウスと宣伝されています。

ムービングハウスにはキャンピングカーやトレーラーハウスのように家の土台にタイヤが付いているわけではありません。

クレーンで吊って移動するのです。

この「スマートモデューロ」を手掛けているのは株式会社アーキビジョン21(北海道千歳市)です。

気になる価格は一棟で750万円です。

しかもキッチンにダイニングテーブル、ベッドと家具、家電全てついています。

東京都内で同じ広さの戸建てを建てようとすると一般的に1000万円以上はかかりますが、ムービングハウスなら家具、家電付きのうえ、割安で夢のマイホームを手に入れることが出来るのです。

更に、安いだけではありません。

ムービングハウスをいくつもつなげてリビングを広げることも出来ます。

日本全国どこへでも、海外にだって移動出来るのです。

 

転勤をきっかけに、宮城県から北海道に家ごと引越しをしたKさんの家族を番組で取材しました。

Kさんは次のようにおっしゃっています。

「ベッドとか冷蔵庫とか洗濯機とか、そのまま家に積んだまま持ってきたので、引っ越し自体はすごく簡単に出来ました。」

 

ムービングハウスは家ごと移動可能なので、引っ越しがとても楽なのです。

 

更に、ムービングハウスには後から増築出来るのです。

Kさんの家はもともと4つの箱を横に並べた家でしたが、娘が生まれたのをきっかけにもう一つ箱を買い足して広い家にしました。

ムービングハウスならライフスタイルに合わせて増築・減築が自由自在に出来るのです。

しかも、どう組み合わせるかはアイデア次第です。

Kさんの家は現在5つの箱を長方形型に並べていますが、例えばコの字型に置いて、娘さんのために広い庭にすることも可能なのです。

 

ムービングハウスに住むという新しい選択肢、他にはどんな可能性があるのでしょうか。

コンテナハウスを扱っているBOX OF IRON HOUSEの堤 広之代表は次のようにおっしゃっています。

「コンテナハウスで宿泊施設を建てたものがあるんですけど、場所が奄美大島になるんですけど・・・」

 

そこで、番組では現地の奄美大島まで取材に行きました。

奄美空港からクルマで10分ほど、奄美の真っ青な海の目の前に建つ11個ものコンテナを使ったホテル「Kazbo」、3部屋ある全ての部屋から、しかもお風呂に入りながらオーシャンビューなのです。

ではなぜコンテナを使ったホテルを作ったのでしょうか。

オーナーの福田 和矢さんは次のようにおっしゃっています。

「奄美大島は台風がかなり多いので、台風に対してかなり強度のある家を考えた時に、コンテナをベースにした施設を作るということを考えたんですね。」

 

コンテナでできたムービングハウスは、そもそも輸送用に作られたものなので強度も抜群、しかも気密性も高いので夏場はエアコンの冷気が逃げにくく、冬場は熱が下がりにくいので、光熱費を抑えることが出来るといいます。

 

更に、オーナーにはホテルをあえてコンテナで作った将来的な狙いがありました。

建て増しが出来るので、部屋数を増やしたりも基本的には出来るので、現在は平屋ですが、お客さんが増えれば、2階建て、3階建てにし、客室を増やすことが出来るのです。

 

“増やせて、減らせて、動かせる”、定年退職を迎えたら、都会を離れて田舎暮らしも出来る、日本人のライフスタイルに合った次世代型ハウスとして注目されています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで家の大規模な改築はあったものの、家そのものを遠くまで移動するなんてことは想像しなかった人たちが多いと思います。

そうした中、“増やせて、減らせて、動かせる”ムービングハウスはまさに奇想天外なアイデアであり、以下のようなメリットあるというのはとても素晴らしいと思います。

・ムービングハウスでできた戸建て住宅はライフスタイルに合わせて増築・減築が自由自在に出来るだけでなく、そのまま引っ越しも出来る

・ムービングハウスでできたホテルは建て増しが出来るので、部屋数を増やしたり、客数の増加に合わせて客室、および階数を増やすことが出来る

・特にコンテナでできたムービングハウスは強度も抜群で気密性も高いので省エネであり、光熱費を抑えることが出来る

 

一方で、見えない課題もありそうですが、日本人のライフスタイルに合った次世代型ハウスとして期待出来そうです。


 
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2018年12月25日
アイデアよもやま話 No.4208 “退職させないハラスメント”の急増!

9月5日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で退職させないハラスメントについて取り上げていたのでご紹介します。

 

パワハラ(パワーハラスメント)被害に遭った人は3人に1人と言われています。

昔と今で大きく変わっているパワハラの相談内容、それは退職したくても企業がそれを認めてくれない“退職させないハラスメント”の急増です。

被害を受けた30代の男性は、1日16時間50日連続勤務させられたことから退職を申し出ました。

この時の様子について、この男性は次のようにおっしゃっています。

「これ何みたいな感じで呼び出された時もありまして、「どうするつもりだ」って渡されたので、当時の僕は「分かりました」みたいな感じで、その場で(退職届を)破くしかなかったみたいな。」

「最終的に脅し的な感じで、「無理やりにでも辞めると言うんだったら、損害賠償で訴えるからな」と言われましたね。」

 

退職を認めないだけでなく、退職するなら慰謝料を払えと言われたというのです。

この男性は慰謝料を払うことはありませんでしたが、退職出来たのは数ヵ月後だったということです。

 

退職に追い込むようなパワハラをしながら、一方で退職を認めない、こうした“退職させないハラスメント”が増える背景にはいったい何があるのでしょうか。

職場のハラスメント問題に詳しい、日本リーガルネットワークの早野 述久弁護士は次のようにおっしゃっています。

「典型的なブラック企業だと、過剰な業務があって慢性的な人手不足になっているので、そのような会社だと特に従業員を辞めさせないように圧力をかけてくる傾向がありますね。」

「社会的にも今労働者不足になってきていますので辞めさせてもらえないと、そういったかたちの“退職させないハラスメント”が増えていく可能性があると思います。」

 

退職の権利については、民法の中でも労働者の権利として規定されています。

更には、労働基準法にはその手続きが細かく規定されています。

ですから、退職をさせないというのは明らかに法律違反に当たります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそもパワハラ被害に遭った人が3人に1人と言われている現状が大問題です。

しかし、パワハラかどうかという判断はとても難しいと思います。

加害者と被害者の関係により、両者にしっかりとした信頼関係があれば、周りからはパワハラと見られるものでも被害者はパワハラとは思わないし、信頼関係がなければ、ちょっとしたことでもパワハラと感じてしまうところがあるからです。

いずれにしても、加害者側が相手の立場を尊重する気持ちで接すれば、パワハラ被害は激減するはずです。

 

しかし、今回ご紹介している“退職させないハラスメント”はこうしたパワハラとは別の新たなハラスメントなのです。

その背景は番組でも指摘されているように労働者不足だと思います。

 

では、この問題の解決策としてどのようなアイデアがあるでしょうか。

以下に私の思うところについてまとめてみました。

・会社が退職をさせないと行為は明らかに法律違反であるを会社や従業員に理解してもらえるように国が取り組むこと

・会社が労働環境の改善を図り、従業員がまだこの職場で働いてもいいと思ってもらえるようにすること

・具体的には以下のような方策があること

  一人ひとりの従業員の悩みに真摯に耳を傾け、真剣にその悩みの解決に当たること

  作業プロセスの見直しにより従業員の負担を減らすこと

  従業員の賃金を増やすこと

  ロボットやAIなどの導入で生産性向上に取り組むこと


 
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2018年12月24日
アイデアよもやま話 No.4207 食糧危機はバイオテクノロジーで救えるか!?

8月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でバイオテクノロジーについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

現在、世界の人口は76億人と言われています。

これが2050年には98億人まで増えると予測されていて、全ての人に食糧が行き渡るには生産量を現在の1.7倍に増やす必要があるという試算もあります。

ただ農地を広げるにも限界があり、足りないということが懸念されています。

そこで注目されているのがバイオテクノロジーを使った生産の拡大です。

こうした中、ドイツの製薬大手、バイエルの子会社、日本モンサント株式会社8月30日に日本で運営する遺伝子組み換え作物の試験農場を公開しました。

迫る食糧危機に私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。

 

8月30日、日本モンサントの試験農場(茨城県河内町)がメディアに公開されました。

一般的な品種のトウモロコシは殺虫剤を使っていないため、虫食いが多く見られます。

一方、遺伝子組み換えがされたトウモロコシでは害虫がこれを食べると死んでしまうため、虫食いなどはなく、とてもつややかです。

違いは歴然、遺伝子組み換えトウモロコシは虫食いもなく、実もしっかりしています。

このトウモロコシに組み込んだのは、土の中に存在する微生物の遺伝子、この微生物が作るたんぱく質が害虫に対して毒素を出すというのです。

人や他の生き物には害がないとされています。

 

現在、世界26ヵ国で遺伝子組み換え作物が栽培されています。(2016年国際アグリバイオ事業団調べ)

アメリカではトウモロコシや大豆の約9割が遺伝子組み換え作物といいます。

日本も約20年前からこうした遺伝子組み換え作物を飼料用や加工用として輸入しています。

そして遺伝子組み換え作物は輸入されるトウモロコシや大豆の実に8割以上にも及ぶと見られています。

一方、国内では食用の遺伝子組み換え作物は商業栽培されていません。

トウモロコシや大豆をはじめセイヨウナタネやパパイヤなど8種の作物で栽培は承認されているものの、消費者の抵抗感が強く、企業は栽培・流通に踏み切っていないのが現状です。

 

一度も除草剤を散布していない状態の遺伝子組み換え大豆の畑では、大豆が見えないほど雑草が生い茂っています。

一方、除草剤を1回だけ散布した状態の遺伝子組み換え大豆の畑では、大豆だけが生育して雑草はきれいに枯れている状況です。

使用したのは、モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」です。

通常の畑に使うと雑草とともに農作物も枯らしてしまいますが、この遺伝子組み換え大豆は「ラウンドアップ」の影響を受けない特性を持っています。

モンサント社の遺伝子組み換え大豆の種と除草剤をセットで購入すれば、農家は除草する手間を大幅に省くことが出来るため、アメリカでは多くの大豆農家が使用しています。

 

この「ラウンドアップ」については、8月に利用者から発がん性があるとして裁判を起こされていましたモンサント側にカリフォルニア州裁判所は約320億円の支払いを命じました。

モンサントは「除草剤の成分に発がん性がないことは明らかだ」として上訴する方針です。

 

逆風下のモンサントが筑波大学との共催で開催したのが高校生や大学生向けのイベントです。

クイズを通じて、今後世界が直面する食糧問題の解決に遺伝子組み換えなど、新たな技術が不可欠だとアピールしました。

日本モンサントの中井 秀一社長はイベントの場で次のようにおっしゃっています。

「品種改良への理解をより更に深めていただきたいと思っています。」

 

日本市場での広がりを見据えて、消費者の理解を広げようと努めています。

イベントでは今注目されているゲノム編集についても紹介されていました。

ゲノム編集とは、遺伝子を自在に操作出来る新しい技術のことです。

細胞の中に特殊な酵素を入れるだけで狙った遺伝子をピンポイントで切断します。

すると遺伝子に変化が起こり、新しい品種を作ることが出来るのです。

これまで新しい品種を作るためには10年以上かかることもありましたが、ゲノム編集なら数年で作ることも可能なため、世界各国が研究にしのぎを削っています。

 

しかし遺伝子を操作することから遺伝子組み換えと同じように法律で規制するべきか、世界中で議論が巻き起こっています。

アメリカやオーストラリアでは外部の遺伝子を組み込んでいなければ規制の対象から外す方針を示しています。

しかしヨーロッパでは欧州司法裁判所が規制対象に含めるべきだとの判断を示しました。

こうした中、8月30日、日本でもゲノム編集の規制について遺伝子組み換え生物等専門委員会の会議が開かれました。

会議では外部から遺伝子を組み込まなければ、生態系に影響を及ぼすリスクが少ないとして規制の対象から外す方針がまとめられました。

今後は各省庁で食品の安全性や表示方法などが議論される見通しです。

 

なお、ゲノム編集に関しては農作物だけでなく動物についても研究が進んでいます。

京都大学と近畿大学は筋肉の成長を抑える遺伝子の機能を止めて筋肉量を1.2倍に増やす「マッスル真鯛」の開発を進めています。

量産化に目途をつけていてトラフグなど他の魚にも研究を広げているということです。

 

そして全く違うアプローチも今始まっています。

ベンチャー企業のインテグリカルチャー株式会社が取り組んでいるのは、細胞から育てて肉を作るという「細胞農業」です。

培養液の入ったシャーレだとか試験管などで細胞を肉にまで育てるというもので、現在100gで1万円までコストが下がって来たといいます。

このベンチャーですが、今年の5月には農業の官民ファンドや企業などから3億円の資金を調達して来年末にも商業用のプラントを建設する予定だといいます。

 

番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは次のようにおっしゃっています。

「そもそも食用の生物の新しい種を作るというアプローチとしては3つあって、1つ目は昔からやられている交配、2つ目は遺伝子組み換え、そして3つ目がゲノム編集というかたちになります。」

「で、遺伝子組み換えは他の生物の遺伝子を組み込むということなのでかなり変化の度合いは大きい。」

「その代わり試行錯誤は相当必要で、新しい種を作るのに時間がかかってきたということで、ゲノム編集の場合はより精度が上がっていて、かつ外来の遺伝子を使わないということであれば、安全性も大丈夫だろうというふうに今見られています。」

「で、このゲノム編集に関しては既に商用化されているものでいうと、マッシュルームがあって、酸化する酵素の遺伝子を破壊してしまって、その結果として切っても変色しない、茶色くならないというのがあります。」

「あとは「マッスル真鯛」もありましたし、ジャガイモの芽に毒がない品種を作ろうみたいな研究も進んでいます。」

 

また解説キャスターで日経BPの雑誌編集者の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「まず現実問題として我々は既にもう食べているということですね。」

「例えばトウモロコシ、日本が一番輸入しているのはアメリカからなんですけども、そのアメリカでは作付け面積の92%は遺伝子組み換えで作られていると。(農水省のデータをもとに作成 2016年の実績)」

「(大豆は94%。)」

「ナタネはオーストラリアから輸入していますけど、これも93%なんですね。」

「で、一番はっきりするのは油です。」

「油に使われていますから、本当のエキセントリックなことを言い出すと、フライドポテトも食べられなくなるし、コロッケもから揚げも食べられなくなる。」

「そもそも外食にも行けなくなってしまうっていう、そういう意味では我々はまず消費しているっていうことを受け止めなきゃいけないということですね。」

 

特に注目している分野について、梅澤さんは次のようにおっしゃっています。

「農業、水産業、畜産業、全て将来的には兆円規模の市場になると思います。」

「農業が一番大きい、遺伝子組み換えだけで既にこれだけの市場があるということで明らかなんですけども、もう一つ大事なのは畜産業、特に肉ですね。」

「例えば、牛肉1kg生産するのに穀物11kgが必要だと言われていて、人口が増えます、肉を食べたい人が増えますという中で、どうやって肉を効率的に生産するかと考えると、この筋肉がどんどん育つ肉というものがちゃんと作れたら、大分食糧危機を緩和することが出来る。」

 

また山川さんは次のようにおっしゃっています。

「農家を楽にするっていうことを考えた方がいいと思うんです。」

「農家の高齢化の問題が出ていますからね。」

「害虫駆除だとか雑草を取るとか、そういう負担が減るわけです。」

「今、日本の農家は65歳以上の方が7割以上占めているわけですから、その方々を楽にする技術でもあるんだとっていうことは受け止めた方がいいと思いますね。」

「(遺伝子組み換えの種や技術、特許などを持っている企業や国が独占してしまうと強くなって、いびつな権力闘争が生まれる可能性があるのではないかという指摘に対して、)そこは競争になりますけど、私は今の食糧自給率だとか、いろんな農業の生産性の低さを考えた時に、日本がもっと率先して取り組んでいくべきものだと思っていますけどね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組では遺伝子組み換え、ゲノム編集、細胞農業という3つのバイオテクノロジーについて取り上げていましたので、それぞれについて整理するとともに私の思うところをお伝えします。

 

まず遺伝子組み換えについてです。

そもそもアメリカではトウモロコシや大豆の約9割が遺伝子組み換え作物といいますから驚きです。

こうした中、日本も約20年前からこうした遺伝子組み換え作物を飼料用や加工用として輸入しているのです。

ですから、私たち日本人も遺伝子組み換え作物とは無縁ではないのです。

 

しかし、モンサント社の遺伝子組み換え大豆の種と除草剤「ラウンドアップ」をセットで購入すれば、農家は除草する手間を大幅に省くことが出来るため、アメリカでは多くの大豆農家が使用しているといいます。

しかし、この「ラウンドアップ」については、8月に利用者から発がん性があるとして裁判を起こされていたモンサント側にカリフォルニア州裁判所は約320億円の支払いを命じました。

 

一方、オーストラリアから輸入しているナタネも遺伝子組み換えが93%といいますが、フライドポテト、コロッケなど多くの食物を揚げるのに使われています。

ですから私たちが普段食べている食物は遺伝子組み換え技術で溢れ、発がん性などのリスクのある食物を食べていることになるかもしれないのです。

 

2番目はゲノム編集についてです。

これまで新しい品種を作るためには10年以上かかることもありましたが、ゲノム編集なら数年で作ることも可能なため、世界各国が研究にしのぎを削っているのは当然と言えます。

なお、ゲノム編集に関しては農作物だけでなく動物についても研究が進んでおります。

京都大学と近畿大学が開発を進めている「マッスル真鯛」は量産化に目途をつけていてトラフグなど他の魚にも研究を広げているといいます。

 

しかし遺伝子を操作することから遺伝子組み換えと同じように法律で規制するべきか、世界中で議論が巻き起こっています。

こうした中、日本でもゲノム編集の規制について遺伝子組み換え生物等専門委員会の会議が開かれ、外部から遺伝子を組み込まなければ、生態系に影響を及ぼすリスクが少ないとして規制の対象から外す方針がまとめられました。

今後は各省庁で食品の安全性や表示方法などが議論される見通しという状況です。

 

気になるのは、“リスクが少ない”という表現です。

“リスクが少ない”ということは“リスクゼロ”ではないということです。

しかし考えてみれば、自動車や飛行機など文明の利器と言われるものはとても便利ですが、その頻度の差はあれ、事故がつきものです。

ですから私たちは暮らしに係わるあらゆるものについて、利便性とリスクを天秤にかけて選択したうえで使用しているというのが実態なのです。

また長い目でみて懸念されるのは、こうした遺伝子組み換えやゲノム編集により作られた食物がどんどん増えていき、これらを人類が食べ続けて、人類の遺伝子やDNAに悪影響が出てこないかということです。

 

3番目は細胞農業についてです。

遺伝子組み換えやゲノム編集とは全く違うアプローチで、細胞から育てて肉を作るというものですが、どのようなリスクがあるのかが気になるところです。

しかし来年末にも商業用のプラントを建設する予定だといいますから、実用化までそう遠くはないと期待出来そうです。

 

さて、一方で日本の農家は65歳以上の方が7割以上占めているといい、少子化高齢化の進行とともに農業に携わる人口は今後増々減少していくと見込まれます。

ですから、若い世代の人たちにとって農業や畜産業が魅力的な産業になるような状況を作り出すことは私たちの食生活を維持していくうえで、あるいは食糧の自給率を上げていくうえで国策としてとても重要なのです。

 

こうした状況下において、今回ご紹介した3つのバイオテクノロジーがそれぞれのリスクを克服してどんな農作物や動物においても適用出来るようになれば、まさに食糧危機の救世主となり得ます。


 
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2018年12月23日
No.4206 ちょっと一休み その678 『ゴーン日産自動車前会長騒動から見えてきたこと その2 ゴーン前会長の最終目標はブラジル大統領!?』

プロジェクト管理と日常生活 No.571 『今回のゴーン日産自動車前会長騒動にみる内部告発制度の重要性!』では内部告発制度の重要性についてお伝えしました。

そうした中、11月25日(日)放送の「報道プライムサンデー」(フジテレビ)でゴーン日産自動車前会長(以下、ゴーン前会長)の素顔について取り上げていました。

そこで番組を通して3回にわたって、私の思うところについてご紹介します。

2回目は、ゴーン前会長の最終目標についてです。

 

日産自動車(以下、日産)で高額の報酬を得ていたゴーン前会長らが今回の事件、すなわち有価証券報告書で報酬額を過少に申告していたことの動機は、日本の低い報酬が動機だったのでしょうか。

しかし、全く違う見方をしているジャーナリストがいます。

20年にわたり日産を取材してきた井上 久男さんはゴーン前会長の裏の顔について次のようにおっしゃっています。

「お金に対して非常に執着心が強くて、強欲というかケチなんですね。」

 

日産関係者によるとゴーン前会長はかつて「名誉は金で買える」とおっしゃっていたといいます。

そして井上さんは、ゴーン前会長には壮大な野望があったと指摘しています。

それはブラジル大統領になることで、井上さんは日産の複数の社員から聞いたといいます。

また、その裏付けとも取れるのが日産によるこれまでの数々のブラジルへの貢献です。

その一部は以下の通りです。

・2014年:南米初の生産工場建設で約1188億円の投資

・2016年:ブラジル・リオオリンピックでは、公式スポンサーとして250億円、自動車4200台の提供

ゴーン前会長は聖火ランナーとなり、ブラジル国内で目立つ存在となった       

       生産能力拡張で約240億円の投資

・2018年:7月、更に生産能力拡張で約45億円の投資を決定

 

こうしたブラジルへの貢献の結果、2400人の雇用が生まれたといいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそもゴーン前会長には、今回の事件は想定外であったと思います。

なぜならば、ゴーン前会長ほどの手腕のある経営者であれば、こうした事件につながるようなリスク対応策は当然考えていたからです。

しかし、今回はそこに甘さがあったということです。

その甘さの原因は次回お伝えする“権力の腐敗”にあると思われます。

 

さて、ゴーン前会長はお金に対して非常に執着心が強かったといいますが、番組を通して、そこにはブラジル大統領になるという野望があり、そのために出来るだけ選挙資金が必要であるということが理由の一つであることが分かりました。

 

もしゴーン前会長がブラジル大統領になれば、きっと優れた経営手腕を発揮してブラジルの国民に貢献出来ると期待出来ますが、残念ながらその野望は頓挫してしまう可能性が大きくなってしまいました。


 
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